JP2002234321A - タイヤ空気圧検出装置 - Google Patents

タイヤ空気圧検出装置

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JP2002234321A
JP2002234321A JP2001032480A JP2001032480A JP2002234321A JP 2002234321 A JP2002234321 A JP 2002234321A JP 2001032480 A JP2001032480 A JP 2001032480A JP 2001032480 A JP2001032480 A JP 2001032480A JP 2002234321 A JP2002234321 A JP 2002234321A
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JP
Japan
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wheel
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regression
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JP2001032480A
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English (en)
Inventor
Motonori Tominaga
元規 富永
Yuichi Inoue
祐一 井上
Masahiro Yonetani
正弘 米谷
Kazuhiro Kamiya
和宏 神谷
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Denso Corp
Toyota Motor Corp
Soken Inc
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Denso Corp
Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Priority to CA002438102A priority patent/CA2438102A1/en
Priority to PCT/JP2002/000958 priority patent/WO2002062598A1/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転状態値のバラツキによる直線回帰精度の
低下を防止すると共に、タイヤ空気圧低下時に警報され
る圧力のバラツキをなくす。 【解決手段】 車輪速度偏差値演算部で求められた車輪
速度偏差値Dおよび前後車輪速度比演算部で求められた
前後車輪速度比βのうち、有効範囲内にあるものを選択
し、選択された車輪速度偏差値Dおよび前後車輪速度比
βに基づいて回帰直線を導出する。例えば、最初に求め
られたスリップ偏差値Aを中心とした所定幅の領域を有
効範囲とし、それ以外を有効範囲外とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両におけるタイ
ヤの空気圧の状態を検出するタイヤ空気圧検出装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来のタイヤ空気圧検出装置として特開
平10−100624号公報に示されるものがある。こ
の従来公報に示されたタイヤ空気圧検出装置について説
明する。
【0003】従来公報に示されたタイヤ空気圧検出装置
は、下記のように示される車輪速度偏差値Dと前後車輪
速度比βとの関係に基づいて、タイヤ空気圧の低下を検
出している。
【0004】
【数1】
【0005】
【数2】
【0006】ただし、VFRは右側前輪車輪速度、VFL
左側前輪車輪速度、VRRは右側後輪車輪速度、VRLは左
側後輪車輪速度である。
【0007】車輪速度偏差値Dは、4輪の車輪速度から
求められる回転状態値であり、例えば対角線の関係にあ
る前後輪における車輪速度比の差分として与えられる変
数で、4輪のうちのいずれかのタイヤの空気圧が低下す
ると、それに伴って増減する。前後車輪速度比βは、4
輪の車輪速度から求められるスリップ状態値であり、駆
動輪に伝達される駆動力の作用で駆動輪に生じるスリッ
プ状態の程度を表すもので、例えば後輪駆動であれば前
後車輪速度比βが小さいほど駆動輪がスリップしている
ことを表している。
【0008】各車輪のタイヤ空気圧が規定値となってい
る場合には車輪速度偏差値Dが0になるが、4輪のうち
のいずれかのタイヤ空気圧が規定値よりも低下すると車
輪速度偏差値Dが増減するため、これに基づいてタイヤ
空気圧の低下を検出することが可能となる。
【0009】しかしながら、例えば後輪駆動車におい
て、駆動輪となる右側後輪のタイヤ空気圧が規定値より
も低下すると、空気圧の低下によって右側後輪の回転半
径が小さくなるが、逆に他の駆動輪よりも接地面積が大
きくなってスリップを抑制する力を増加させるため、他
の駆動輪の方がスリップし易くなり、スリップ状態の程
度に応じて車輪速度偏差値Dが変動する。
【0010】このため、図11に示すように、最小2乗
法を用いてスリップ状態の程度を表す前後車輪速度比β
と車輪速度偏差値Dとの関係を一次関数に回帰すること
によって回帰直線を求め、車輪速度偏差値Dをスリップ
が生じていない理想的な走行状態(すなわち前後車輪速
度比β=1)における値に補正することで、駆動輪のス
リップによる影響を排除し、正確にタイヤ空気圧の低下
を検出できるようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、回転状
態値となる車輪速度偏差値Dは前後車輪速度比βのみと
関連があるのではなく、走行時における各輪の瞬間的な
不均一回転(例えば、車両旋回、悪路走行、変速ショッ
クに起因する不均一回転)によって変化してばらつく。
このようなバラツキがあるデータが1次関数に回帰され
ると、直線の回帰精度を低下させ、タイヤ空気圧低下時
に警報される圧力がばらつくという問題がある。
【0012】本発明は上記点に鑑みて、回転状態値のバ
ラツキによる直線回帰精度の低下を防止すると共に、タ
イヤ空気圧低下時に警報される圧力のバラツキをなくす
ことも目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、回転状態値演算手段で
求められた回転状態値およびスリップ状態値演算手段で
求められたスリップ状態値のうち、有効範囲内にあるも
のを選択する選択手段を備え、回帰演算手段は、選択手
段での選択が行われたときには、該選択された回転状態
値およびスリップ状態値に基づいて回帰直線を導出する
ようになっていることを特徴としている。
【0014】このように、回転状態値演算手段で求めら
れた回転状態値およびスリップ状態値演算手段で求めら
れたスリップ状態値のうち、有効範囲内にあるものを選
択する選択手段を備えるようにしている。このため、回
帰演算手段による回帰直線の演算が、選択手段によって
選択された有効範囲内のものに基づいて成される。これ
により、回転状態値のバラツキによる直線回帰精度の低
下を防止できると共に、タイヤ空気圧低下時に警報され
る圧力のバラツキをなくすことができる。
【0015】請求項2に記載の発明においては、回帰演
算手段による回帰直線の演算が行われたか否かを判定す
る回帰判定手段を有し、選択手段は、回帰判定手段によ
って回帰直線の演算が行われていないと判定されると選
択は行わず、回帰直線の演算が行われていると判定され
ると選択を行うようになっていることを特徴としてい
る。このように、回帰判定手段によって最初の回帰直線
の演算が行われた後に、選択手段での選択が行われるよ
うにすることができる。
【0016】請求項3に記載の発明においては、選択手
段は、該選択手段による選択前に回帰演算手段が演算し
た回帰直線に基づいて、有効範囲を設定するようになっ
ていることを特徴としている。例えば、請求項4に示す
ように、選択手段は、該選択手段による選択前に回帰演
算手段が演算した回帰直線を中心として所定幅の領域を
有効範囲に設定する。このような有効範囲を設定するこ
とにより、主に車両旋回時による回転状態値のバラツキ
をなくすことができる。
【0017】請求項5に記載の発明においては、タイヤ
空気圧の低下が生じた車輪が駆動輪であるか否かを判定
する駆動輪判定手段を有し、駆動輪判定手段により、タ
イヤ空気圧の低下が生じた車輪が駆動輪であることが判
定されると、有効範囲としてスリップ状態値に上限値も
しくは下限値の少なくとも一方を設けることを特徴とし
ている。
【0018】このように、タイヤ空気圧の低下が生じた
車輪が駆動輪である場合には、スリップ状態値に上限値
を設けることで、主に瞬間的なスリップによる回転状態
値のバラツキをなくすことができ、スリップ状態値に下
限値を設けることで主に変速時のノイズによる回転状態
値のバラツキをなくすことができる。
【0019】請求項6に記載の発明においては、スリッ
プがない理想的な走行状態でのスリップ状態値に相当す
る理想状態値(βid=F(A))を演算する理想走行
状態値演算手段(3e)を有し、回転状態値補正手段
は、回帰演算手段によって求められた回帰直線と理想走
行状態演算手段によって求められた理想状態値とから、
理想走行状態における回転状態値を求めるようになって
いることを特徴としている。このように、回帰直線と理
想状態値とから、理想走行状態における回転状態値を求
めることができ、この理想走行状態における回転状態値
に基づいて、正確にタイヤ空気圧の低下を判定すること
ができる。
【0020】請求項7に記載の発明においては、タイヤ
空気圧の低下が生じた車輪が駆動輪であるか否かを判定
する駆動輪判定手段を有し、駆動輪判定手段により、タ
イヤ空気圧の低下が生じた車輪が駆動輪であることが判
定されると、理想状態値演算手段で演算された理想状態
値の線と比べて、スリップ状態値が低くなる領域を有効
範囲として設定するようになっていることを特徴として
いる。このような有効範囲を設定することで、減速時の
ノイズによる回転状態値のバラツキをなくすことができ
る。
【0021】なお、請求項8に示すように、駆動輪判定
手段は、回帰演算手段で演算される回帰直線の傾きに基
づいて、タイヤ空気圧の低下が生じた車輪が駆動輪であ
るか否かの判定を行うことができる。具体的には、請求
項9に示すように、駆動輪判定手段は、回帰演算手段で
演算される回帰直線の傾きが所定のしきい値(K)より
も大きい場合に、タイヤ空気圧の低下が生じた車輪が駆
動輪であると判定する。
【0022】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1に、本発明
の一実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置の概略構成
を示し、この図に基づいてタイヤ空気圧検出装置の説明
を行う。
【0024】タイヤ空気圧検出装置は、各車輪のいずれ
かのタイヤの空気圧が低下したことを検出するものであ
り、タイヤ空気圧の低下を検出すると運転者にその旨の
警告を行うようになっている。このタイヤ空気圧検出装
置は、前輪駆動もしくは後輪駆動の車両に搭載される
が、本実施形態では後輪駆動の車両に搭載された場合を
例に挙げて説明する。
【0025】タイヤ空気圧検出装置は、車両の各車輪1
a、1b、1c、1dに対応して設けられた車輪速度検
出手段としての車輪速度センサ2a、2b、2c、2d
と、各車輪速度センサ2a〜2dからの検出信号が入力
される演算処理装置3と、演算処理装置3からの警告信
号に基づいてタイヤ空気圧の低下を運転者に警告する警
報装置4とを有して構成されている。
【0026】車輪速度センサ2a〜2dのうち、2つの
車輪速度センサ2a、2bは従動輪(右前輪、左前輪)
1a、1bにおける車輪速度信号の検出を行い、残る2
つの車輪速度センサ2c、2dは駆動輪(右後輪、左後
輪)1c、1dにおける車輪速度信号の検出を行う。
【0027】演算処理装置3は、マイクロコンピュータ
等で構成され、車輪速度センサ2a〜2dから入力され
た検出信号に基づいて各種演算を行う。この演算処理装
置3は、以下のように構成されている。
【0028】演算処理装置3には、車輪速度演算手段と
しての車輪速度演算部3a、車輪速度偏差値処理部3b
が備えられている。車輪速度演算部3aは、車輪速度セ
ンサ2a〜2dからの検出信号(例えばパルス信号)に
基づいて各車輪1a〜1dの車輪速度の演算が行うもの
である。車輪速度偏差値処理部3bは、回転状態値演算
手段としての車輪速度偏差値演算部、第1車輪速度偏差
値記憶部、車輪速度偏差値平均処理部を有して構成され
ているもので、車輪速度演算部3aでの演算結果に基づ
いて車輪速度偏差値Dに関する各種処理を行うものであ
る。
【0029】これらの構成においては、まず、車輪速度
演算部3aにより車輪速度センサ2a〜2dからの検出
信号に基づいて各車輪1a〜1dの車輪速度の演算が行
われる。例えば数ms内に入力される各車輪速度センサ
2a〜2dからの検出信号の数から各車輪それぞれの車
輪速度VFL、VFR、VRL、VRRが演算される。次に、車
輪速度が演算されると、この車輪速度に関するデータに
基づき、車輪速度偏差値演算部によって上記数1に示さ
れる車輪速度偏差値Dが演算される。そして、この演算
結果に関するデータが車輪速度偏差値記憶部に備えられ
たメモリに記憶されると共に、この記憶内容に基づき車
輪速度偏差値平均処理部にて車輪速度偏差値Dの平均値
AVEが求められる。なお、車輪速度偏差値Dの平均値
AVEは、次式のように示され、n0個の車輪速度偏差値
Dを平均化したものに相当する。
【0030】
【数3】
【0031】また、演算処理装置3には、前後車輪速度
比処理部3cが備えられている。この前後車輪速度比処
理部3cは、スリップ状態値演算手段としての前後車輪
速度比演算部、前後車輪速度比記憶部、前後車輪速度比
平均処理部を有して構成されている。この前後車輪速度
比処理部3cでは、車輪速度演算部3aから送られる車
輪速度に関するデータに基づき、前後車輪速度比演算部
にて上記数2に示される前後車輪速度比βが演算された
のち、この演算結果に関するデータが前後車輪速度比記
憶部に備えられたメモリに記憶され、この記憶内容に基
づいて前後車輪速度比平均処理部が前後車輪速度比βの
平均値βAVEを求めるようになっている。なお、前後車
輪速度比βの平均値βAVEは、次式のように示され、n0
個の前後車輪速度比βを平均化したものに相当する。
【0032】
【数4】
【0033】また、演算処理装置3には、スリップ偏差
値処理部3d、理想的走行状態値演算部3e、車輪速度
偏差値補正処理部3fが備えられている。
【0034】スリップ偏差値処理部3dは、スリップ偏
差値演算部とスリップ偏差値記憶部を有して構成されて
いる。スリップ偏差値演算部では、車輪速度偏差値処理
部3b内の車輪速度偏差値演算部によって演算された車
輪速度偏差値Dと、前後車輪速度比処理部3c内の前後
車輪速度比演算部によって演算された前後車輪速度比β
とに基づいて、スリップ偏差値Aを演算する。このスリ
ップ偏差値Aとは、前後車輪速度比βに対する車輪速度
偏差値Dの変化量(ΔD/Δβ)に相当し、n 0個の車
輪速度偏差値Dと前後車輪速度比βとをもとに最小2乗
法を用いて演算される。なお、このスリップ偏差値演算
部が回帰演算手段に相当する。
【0035】スリップ偏差値記憶部では、スリップ偏差
値演算部で演算された結果に基づいて基準スリップ偏差
値Aoldを記憶する。この基準スリップ偏差値Aol
dには、例えば、車両が走行し始めてから最初に演算さ
れたスリップ偏差値Aが設定されたのち、スリップ偏差
値Aが演算される毎に適宜更新される。
【0036】理想走行状態値演算部3eでは、スリップ
偏差値処理部3d内のスリップ偏差値記憶部で記憶され
たデータに基づいて理想走行状態値βidを演算する。
この理想走行状態値βidとは、補正基準となるスリッ
プのない理想的な走行状態での前後車輪速度比βに相当
し、スリップ偏差値Aの1次又はそれ以上の関数として
演算される。すなわち、理想走行状態値βidは、βi
d=F(A)で表され、例えばスリップ偏差値Aの1次
の関数となる場合には、βid=1−Coef×|A|
で表される。ただし、Coefは定数である。
【0037】車輪速度偏差値補正処理部3fは、車輪速
度偏差値補正部、第2車輪速度偏差値記憶部を有して構
成されている。車輪速度偏差値補正部は回転状態値補正
手段に相当する。この車輪速度偏差値補正部では、車輪
速度偏差値処理部3b内の車輪速度偏差値平均処理部で
演算された車輪速度偏差値平均値DAVEと、前後車輪速
度比処理部3c内の前後車輪速度比平均処理部で演算さ
れた前後車輪速度比平均値βAVEと、スリップ偏差値演
算部3dで演算されたスリップ偏差値Aと、理想的走行
状態値演算部3eで演算された理想走行状態値βidと
に基づいて、補正後車輪速度偏差値D′AVEを演算す
る。補正後車輪速度偏差値D′AVEとは、理想的な走行
状態における車輪速度偏差値Dに相当する。具体的に
は、補正後車輪速度偏差値D′AVEを次式のように求め
ている。
【0038】
【数5】
【0039】そして、第2車輪速度偏差値記憶部では、
車輪速度偏差値補正部で演算された補正後車輪速度偏差
値D′AVEのうち、基準値D′AVEstdをメモリに記憶
する。この基準値D′AVEstdとは、空気圧判定の基
準となる4輪同圧時の補正後車輪速度偏差値D′AVE
あり、演算処理装置3の起動後、最初に演算された車輪
速度偏差値Dと前後車輪速度比βとから求められた車輪
速度偏差値平均値DAV E、前後車輪速度比平均値βAVE
スリップ偏差値A、理想走行状態値βidから演算され
たものに相当する。
【0040】さらに、演算処理装置3には、差圧判定値
演算部3g、空気圧低下判定部3hとが備えられてい
る。差圧判定値演算部3gでは、車輪速度偏差値補正処
理部3f内の第2車輪速度偏差値記憶部に記憶された基
準値D′AVEstdと、車輪速度偏差値補正部で求めら
れた補正後車輪速度偏差値D′AVEとに基づいて差圧判
定値ΔD′AVEを求める。この差圧判定値ΔD′AVEは、
基準値D′AVEstdと車輪速度偏差値D′AVEとの差分
(ΔD′AVE=D′AVEstd−D′AVE)に相当し、こ
の差圧判定値ΔD′AVEが空気圧の低下量の評価に用い
られる。
【0041】空気圧低下判定部3hでは、差圧判定値Δ
D′AVEの絶対値|ΔD′AVE|と予め設定されたスレッ
ショルド値Dshとを比較することによって、空気圧判
定を行う。具体的には、絶対値|ΔD′AVE|の方がス
レッショルド値Dshよりも大きければ、タイヤ空気圧
が低下している旨の警告信号を警報装置4に送るように
なっている。
【0042】そして、警報装置4は、このタイヤ空気圧
が低下している旨の警告信号が入力されると、例えば車
室内に備えられた警告ランプを点灯させること等によ
り、運転者に対してタイヤ空気圧が低下したことを警告
するようになっている。
【0043】次に、図2、図3に、上記構成のタイヤ空
気圧検出装置によるタイヤ空気圧判定処理のフローチャ
ートを示し、これらの図に基づいてタイヤ空気圧判定処
理の詳細を説明する。
【0044】まず、ステップS100では演算回数カウ
ントNをN=0にリセットする。そして、ステップS1
01では、車輪速度センサ2a〜2dからの検出信号に
基づく車輪速度演算処理として、車輪速度演算部3aで
各車輪それぞれの車輪速度V FL、VFR、VRL、VRRの演
算を行ったのち、車輪速度の演算回数Nをインクリメン
トする。この処理は、例えば数秒間の車輪速度パルスを
もとに、数秒毎の車輪速度の平均値を各車輪毎に演算す
ることで行う。
【0045】続く、ステップS102では、車輪速度偏
差値演算処理として、車輪速度偏差値処理部3b内の車
輪速度偏差値演算部で車輪速度偏差値Dを演算する。こ
の車輪速度偏差値DはステップS101で求められた各
車輪速度を上記数1に代入することにより求められる。
【0046】また、ステップS103では、前後車輪速
度比演算処理として、前後車輪速度比処理部3c内の前
後車輪速度比演算部で前後車輪速度比βを演算する。こ
の前後車輪速度比βもステップS101で求められた各
車輪速度を上記数2に代入することにより求められる。
【0047】この後、ステップS104において、基準
スリップ偏差値Aoldが0でないか否かに基づき、基
準スリップ偏差値Aoldが設定済みであるか否かを判
定する。この処理が回帰判定処理に相当し、演算処理装
置3内に備えられた図示しない回帰判定手段によって判
定される。このとき、基準スリップ偏差値Aoldが0
ではない値となっており、設定済みであるとして肯定判
定されれば、ステップS105に進む。
【0048】ステップ105では、ステップS102、
S013で求められた車輪速度偏差値Dと前後車輪速度
比βとが有効範囲内であるか否かを判定する有効範囲判
定処理を行う。この処理は演算処理装置3に備えられた
図示しない選択手段によって行われる。この有効範囲判
定処理の詳細について図4を参照して説明する。図4
は、ステップS102、S103での演算結果のプロッ
ト例を示したものである。なお、図中の直線A′は、後
述するステップS109において求められた初回の回帰
直線を示したものである。
【0049】例えば、タイヤに釘が刺さったりしてタイ
ヤの空気圧が低下しつつある場合であっても、車輪速度
偏差値Dや前後車輪速度比βの演算速度の方が空気圧の
低下速度よりも十分に速いため、演算結果は回帰直線
A′上にプロットされるか、もしくはその近傍にプロッ
トされることになる。
【0050】しかしながら、走行時における各輪の瞬間
的な不均一回転が生じている際(主に車両旋回時)にお
いては、図4に示されるように回帰直線A′から離れた
位置にプロットされるような演算結果が得られる場合が
ある。このような演算結果は、不均一回転によるバラツ
キ成分を含んだものであると考えられるため、回帰直線
導出用データとして用いるのは好ましくない。
【0051】従って、ステップS105では、回帰直線
A′を中心として所定幅の領域を有効範囲に設定すると
共にそれを超える領域を有効範囲外として設定し、有効
範囲外のものが回帰直線導出用データとして選択されな
いように、演算結果が有効範囲外である場合にはステッ
プS101に戻している。これにより、有効範囲外の時
の演算結果が後述するステップS106、S107で記
憶されないようにしている。
【0052】一方、ステップS104において、基準ス
リップ偏差値Aoldが0であり、設定済みではないと
して否定判定されれば、ステップS106、S107に
進む。そして、ステップS106で、車輪速度偏差値記
憶部3cのメモリに、今まで記憶させてきた車輪速度偏
差値D(N)の一つとして、今回演算された車輪速度偏
差値Dを記憶させる。なお、D(N)はn0個分の車輪
速度偏差値Dの配列で、車輪速度偏差値Dをn0個格納
し、演算回数Nと一致する場所に車輪速度偏差値Dを記
憶するようになっている。そして、n0個の車輪速度偏
差値Dが格納された後において、例えば上記カウンタリ
セット処理(ステップS100)で演算回数Nが0にリ
セットされると、演算回数Nに応じた場所に記憶された
車輪速度偏差値Dが新しく演算された車輪速度偏差値D
に適宜更新されるようになっている。
【0053】また、ステップS107で、前後車輪速度
比記憶部3fのメモリに、今まで記憶させてきた前後車
輪速度比β(N)の一つとして、今回演算された前後車
輪速度比βを記憶させる。なお、β(N)はn0個分の
前後車輪速度比βの配列で、前後車輪速度比βをn0
格納し、演算回数Nと一致する場所に前後車輪速度比β
を記憶するようになっている。そして、n0個の前後車
輪速度比βが格納された後においては、上記したD
(N)と同様に、適宜、新しく演算された前後車輪速度
比βへと更新されるようになっている。
【0054】この後、ステップS108で、演算回数N
がn0以上であるか否かを判定する。そして、肯定判定
されればn0個分の車輪速度偏差値Dや前後車輪速度比
βが記憶されたものとしてステップS109に進み、否
定判定されればステップS101に戻る。
【0055】続く、ステップS109では、スリップ偏
差値演算処理として、スリップ偏差値処理部3d内のス
リップ偏差値演算部でスリップ偏差値Aを求める。すな
わち、最小2乗法を用いてn0個分の前後車輪速度比β
と車輪速度偏差値Dとの関係を一次関数に回帰した回帰
直線を導出し、この回帰直線の傾きからスリップ偏差値
Aを求める。このスリップ偏差値Aは、車輪速度偏差値
Dの前後車輪速度比βに対する依存性を表す。
【0056】そして、ステップ110に進み、ステップ
S109で演算された最初のスリップ偏差値Aを基準ス
リップ偏差値Aoldとして、スリップ偏差値処理部3
d内のスリップ偏差値記憶部に記憶させる。
【0057】続く、ステップS111は、車輪速度偏差
値平均化処理として、車輪速度偏差値処理部3b内の車
輪速度偏差値平均処理部で車輪速度偏差値Dの平均値D
AVEを演算する。この平均値DAVEは、ステップS106
で記憶されたn0個分の車輪速度偏差値Dを上記数3に
代入することにより求められる。
【0058】続く、ステップS112では、前後車輪速
度比平均処理として、前後車輪速度比処理部3c内の前
後車輪速度比平均処理部で前後車輪速度比βの平均値β
AVEを演算する。この平均値βAVEは、ステップS107
で記憶されたn0個分の前後車輪速度比βを上記数4に
代入することにより求められる。
【0059】続く、ステップS113では、理想的走行
状態値演算処理として、理想的走行状態値演算部3eで
理想的走行状態値βidを演算する。この理想的走行状
態値βidは、ステップS109で演算されたスリップ
偏差値Aに関する1次もしくはそれ以上の関数から求め
られる。
【0060】続く、ステップS114では、車輪速度偏
差値補正処理として、車輪速度偏差値補正処理部3f内
の車輪速度偏差値補正部で、ステップS109、S11
1〜S113で求められたスリップ偏差値A、車輪速度
偏差値平均値DAVE、前後車輪速度比平均値βAVE、およ
び理想走行状態値βidを、上記数5に代入することに
より補正後車輪速度偏差値D′AVEを求める。
【0061】図5に、補正後車輪速度偏差値D′
AVEと、この補正後車輪速度偏差値D′AVEの導出に用い
るスリップ偏差値A、理想的走行状態値βid、車輪速
度偏差値平均値DAVE、および前後車輪速度比平均値β
AVEの相関関係を示し、これらの関係について具体的に
説明する。
【0062】図5は、駆動輪1c、1dのいずれか一
方、ここでは左後輪のタイヤ空気圧が低下した時におけ
る車輪速度偏差値Dと前後車輪速度比βとの相関関係を
示している。この図中、白丸が、演算されたn0個分の
車輪速度偏差値Dと前後車輪速度比βとの関係を示し、
黒丸が車輪速度偏差値平均値DAVEと前後車輪速度比平
均値βAVEとの関係を示している。
【0063】駆動輪1c、1dの一方である左後輪のタ
イヤ空気圧が低下すると、左後輪における車輪速度VRL
が増加するため、タイヤ空気圧の低下に伴って前後車輪
速度比βが1より低下する。そして、理想的な走行状態
においては、理想的走行状態値βidがβid=F
(A)の関係となる。このため、本実施形態のステップ
S113に示したように、スリップ偏差値Aに基づき、
βid=F(A)の関係から理想的走行状態値βidが
求められる。
【0064】一方、ステップS109に示したように、
最小2乗法を用いてn0個分の前後車輪速度比βと車輪
速度偏差値Dとの関係を一次関数に回帰した回帰直線を
導出することができる。
【0065】従って、ステップS114で示したよう
に、導出した回帰直線と理想的走行状態値βid=F
(A)との交点を求めることにより、駆動輪1c、1d
の空気圧低下時の理想的な走行状態における車輪速度偏
差値D、すなわち補正後車輪速度偏差値D′AVEを求め
ることができる。
【0066】このようにして、駆動輪1c、1dの空気
圧低下時における理想的な走行状態での車輪速度偏差値
Dである補正後車輪速度偏差値D′AVEを正確に求める
ことができる。
【0067】続いて、ステップS115で基準値D′
AVEstdがすでに検出済みであるか否かを判定する。
これは、車輪速度偏差値補正処理部3f内の第2車輪速
度偏差値記憶部のメモリに基準値D′AVEstdが記憶
されているか否かによって判定される。そして、今回演
算された補正後車輪速度偏差値D′AVEが、演算処理装
置3の起動後最初に求められたものであれば、基準値
D′AVEstdが記憶されていないため、ステップS1
16に進んで今回演算されたD′AVEを基準値D′A VE
tdとしてメモリに記憶し、ステップS101に戻る。
また、今回演算された補正後車輪速度偏差値D′
AVEが、最初に求められたものでなければステップS1
17に進む。
【0068】続く、ステップS117では、差圧判定値
演算処理として、差圧判定値演算部3gで基準値D′
AVEstdと補正後車輪速度偏差値D′AVEとの差分とな
る差圧判定値ΔD′AVEを求める。
【0069】そして、ステップS118で、差圧判定値
ΔD′AVEの絶対値|ΔD′AVE|と予め設定されたスレ
ッショルド値Dshとを大小比較し、絶対値|ΔD′
AVE|がスレッショルド値Dshよりも大きいか否かを
判定する。
【0070】これにより、肯定判定されるとステップS
119に進み、タイヤ空気圧が低下しているとして、そ
の旨の警告信号を警報装置4に送り、否定判定されると
そのまま処理を終了し、ステップS101に戻る。以上
の処理により、各車輪1a〜1dにおけるタイヤ空気圧
が低下しているか否かが判定できる。
【0071】以上説明したように、本実施形態では、ス
テップS105において、回帰直線A′に基づいて設定
された有効範囲外の演算結果がステップS106、S1
07で記憶されないようにしている。
【0072】このため、不均一回転によるバラツキ成分
を含んだ演算結果を回帰直線導出用データとして用いな
いようにすることができる。これにより、不均一回転時
のデータを用いた場合における直線の回帰精度の低下を
防止することができる。そして、直線の回帰精度の低下
を防止できることから、スリップ偏差値Aを正確に導出
することができると共に、理想的走行状態値βidや補
正後車輪速度偏差値D′AVEの導出も正確に行うことが
でき、タイヤ空気圧低下時に警報される圧力のバラツキ
をなくすことができる。
【0073】また、従来公報では、理想的な走行状態を
定める基準値を前後車輪速度比β=1として車輪速度偏
差値Dの補正を行っているが、実際には駆動輪の空気圧
低下時の前後車輪速度比βが1にならないため、過補正
になってしまう。このような場合、タイヤ空気圧の低下
に対する車輪速度偏差値Dの変化量が駆動輪と転動輪
(従動輪)とによって異なり、タイヤ空気圧低下時に警
報される圧力がばらついてしまう。
【0074】しかしながら、本実施形態におけるタイヤ
空気圧検出装置では、車輪速度偏差値Dと前後車輪速度
比βとに基づいてスリップ偏差値Aを求め、このスリッ
プ偏差値Aから求められる理想走行状態値βid=F
(A)に基づいて車輪速度偏差値Dを補正している。こ
のため、駆動輪1c、1dの空気圧低下時における理想
的な走行状態での車輪速度偏差値Dである補正後車輪速
度偏差値D′AVEを、過補正することなく正確に求める
ことができる。
【0075】従って、駆動輪と従動輪共に補正後車輪速
度偏差値D′AVEの変化量が一致し、タイヤ空気圧低下
時において、警報される圧力にバラツキが生じないよう
にできる。
【0076】(第2実施形態)本実施形態では、第1実
施形態と異なる領域のデータを除去する場合について説
明する。ただし、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出
装置の全体構成は第1実施形態と同様であり、また、タ
イヤ空気圧判定処理についても第1実施形態とほぼ同様
であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0077】上記第1実施形態では、主に車両旋回時の
ような不均一回転時における演算結果を回帰直線導出用
データとして用いないようにしたが、本実施形態では、
主に瞬間的なスリップや変速時のノイズが生じた場合の
ような不均一回転時における演算結果を回帰直線導出用
データとして用いないようにする。
【0078】すなわち、瞬時のスリップが生じて、演算
された前後車輪速度比βが想定される前後車輪速度比β
の下限値よりも下回ったり、変速時のノイズが生じて、
前後車輪速度比βが増加して想定される前後車輪速度比
βの上限値を超えたりする場合がある。このような場合
には、不均一回転時のバラツキ成分を含んだ演算結果で
あると考えられため、回帰直線導出用データとして用い
るのは好ましくない。
【0079】従って、図6に示すように、前後車輪速度
比βに上限値と下限値とを設定し、その中の領域を有効
範囲にすると共にそれを超える領域を有効範囲外とす
る。
【0080】図7、図8に、本実施形態におけるタイヤ
空気圧検出装置が実行するタイヤ空気圧判定処理のフロ
ーチャートを示し、この図に基づいてタイヤ空気圧判定
処理の詳細を説明する。
【0081】図7、図8から分かるように、本実施形態
に示すタイヤ空気圧判定処理は、第1実施形態で示した
タイヤ空気圧判定処理(図2参照)のステップS104
をステップS104aに変更すると共に、ステップS1
05における有効範囲を変更したものである。
【0082】ステップS104aでは、ステップS11
0で記憶された基準スリップ偏差値Aoldが所定のし
きい値Kよりも大きいか否かを判定する。これは、タイ
ヤ空気圧低下が生じている車輪が駆動輪であるか、従動
輪であるかを判定するために行われる。この判定は、演
算処理装置3内に備えられた図示しない駆動輪判定手段
によって行われる。
【0083】例えば、従動輪1a、1bのいずれかでタ
イヤ空気圧低下が生じると、従動輪1a、1bの車輪速
度VFR、VFLが駆動輪1c、1dよりも高くなり、前後
車輪速度比βが上記した上限値を超えることになるが、
演算結果に不均一回転時のバラツキ成分が含まれている
わけではない。従って、従動輪1a、1bでタイヤ空気
圧低下が生じた場合における回帰直線の傾き(=スリッ
プ偏差値A)がほぼ0になることを利用し、基準スリッ
プ偏差値Aoldをしきい値Kと比較することで、駆動
輪1c、1dでのタイヤ空気圧低下の場合にのみ、回帰
直線導出用データからの除外が行われるようにしてい
る。
【0084】そして、基準スリップ偏差値Aoldがし
きい値Kよりも小さいような場合には、タイヤ空気圧低
下が生じている車輪が従動輪1a、1bであるとしてス
テップS101に戻り、しきい値Kより大きくなる場合
に、タイヤ空気圧低下が生じている車輪が駆動輪である
としてステップS105に進む。
【0085】そして、ステップS105では、ステップ
S103で演算された前後車輪速度比βが上記した有効
範囲内であるか否かを判定する有効範囲判定処理を行
う。そして、ステップS105で肯定判定されればステ
ップS106以降に進む。逆に、否定判定されれば、そ
のときの演算結果が回帰直線導出用データとして用いら
れないように、ステップS101に戻り、後述するステ
ップS106、S107で演算結果が記憶されないよう
にする。
【0086】このように、駆動輪1c、1dでのタイヤ
空気圧低下が生じた場合に、前後車輪速度比βに上限値
と下限値を設定することで、主に瞬間的なスリップや変
速時のノイズが生じた場合のような不均一回転時におけ
る演算結果を回帰直線導出用データとして用いないよう
にすることができる。
【0087】これにより、第1実施形態と同様に、不均
一回転時のデータを用いた場合における直線の回帰精度
の低下を防止することができると共に、タイヤ空気圧低
下時に警報される圧力のバラツキをなくすことができ
る。
【0088】(第3実施形態)本実施形態も第2実施形
態と同様に、第1実施形態と異なる領域のデータを除去
する場合について説明する。ただし、本実施形態におけ
るタイヤ空気圧検出装置の全体構成は第2実施形態と同
様であり、また、タイヤ空気圧判定処理についても第2
実施形態とほぼ同様であるため、異なる部分についての
み説明する。
【0089】本実施形態では、不均一回転時として、主
に減速時のノイズが生じた場合の演算結果を回帰直線導
出用データとして用いないようにする。
【0090】例えば、駆動輪1c、1dのタイヤ空気圧
が低下したときにおいて、減速時のノイズが生じると、
車輪速度偏差値Dや前後車輪速度比βの演算結果は図9
のようにプロットされる。
【0091】本来ならば、駆動輪1c、1dのタイヤ空
気圧が低下したときには、理想走行状態値βid=F
(A)の線と比べて前後車輪速度比βの演算結果が低く
なるはずであるが、減速時のノイズが生じると、その演
算結果が高くなる場合がある。このような演算結果を回
帰直線導出用データとして用いると、図9に示したよう
に、回帰直線を誤推定してしまうことになる。
【0092】従って、図10に示すように、理想走行状
態値βid=F(A)によって示される線よりも前後車
輪速度比βが低くなる領域を有効範囲にすると共に、高
くなる領域を有効範囲外にし、有効範囲外の演算結果は
回帰直線導出用データとして用いないようにする。
【0093】この場合、第2実施形態で示した図7、図
8と全く同様のタイヤ空気圧判定処理を実行し、図7、
図8のステップS105における有効範囲を、基準スリ
ップ偏差値Aoldに基づいて求めた理想走行状態値β
id=F(A)によって示される線よりも前後車輪速度
比βが低くなる領域として設定すれば良い。
【0094】なお、従動輪1a、1bでタイヤ空気圧低
下が生じた場合についての取り扱いに関しては、第2実
施形態と同様であり、駆動輪1c、1dにおけるタイヤ
空気圧低下が生じた場合についてのみ、有効範囲外の演
算結果を回帰直線導出用データとして用いないようにす
る。
【0095】(他の実施形態)上記各実施形態では、後
輪駆動の車両に本発明の一実施形態を適用したものを例
に挙げて説明したが、前輪駆動の車両に適用してもよ
い。この場合には、駆動輪のタイヤ空気圧低下に伴っ
て、理想的走行状態値βidが1より大きくなるという
関係になる。
【0096】また、上記説明においては、回転状態値と
して数1に示される車輪速度偏差値Dを用いているが、
他のものを用いても良い。すなわち、回転状態値とは、
車両旋回に起因して発生し得る左右輪間の車輪速度の偏
りが打ち消されるように、各車輪1a〜1dの車輪速度
を関係づけた値であればよく、数1で表されるものの
他、例えば以下に表すものがある。
【0097】
【数6】
【0098】
【数7】
【0099】
【数8】
【0100】これらの関係式はすべて、車両旋回時に同
様の車輪速度の偏りが発生しうる左前後輪間と右前後輪
間とのそれぞれの差分をとることで、車両旋回に起因し
て発生する左右前輪間および左右後輪間の車輪速度の偏
りが打ち消されるように、各車輪1a〜1dの車輪速度
を関係づけたものである。
【0101】また、上記実施形態で説明したように、車
輪速度偏差値Dが所定のしきい値を超える時にタイヤ空
気圧低下を警告するようなシステムである場合には、ス
リップ偏差値(傾き)Aが小さいときに、スリップによ
る車輪速度偏差値Dの補正を行わなくても良い。これ
は、後輪(駆動輪)減圧時の場合、スリップ偏差値Aが
小さい時は、車輪速度偏差値Dがしきい値を超える可能
性がないことから、多少の誤差があったとしても問題が
ないし、また、前輪(転動輪)減圧時はいかなる場合で
も傾きAがほぼんど零になることから、スリップによる
車輪速度偏差値Dの補正は不要であるためである。従っ
て、スリップ偏差値Aが小さい場合を補正対象から除く
ことにより、後輪減圧時のうちの補正の必要性に乏しい
場合、及び前輪減圧時を補正対象から除外することが可
能である。
【0102】また、上記各実施形態では、車輪速度偏差
値Dの平均値DAVEを求めた後に、平均値DAVEをβid
=F(A)で表される曲線上に投影することによって補
正後車輪速度偏差値D′AVEを求めるようにしている
が、車輪速度偏差値Dのそれぞれをβid=F(A)で
表される曲線上に投影した後、それらの平均値を採るよ
うにしても良い。
【0103】また、上記各実施形態では、演算回数Nが
0となるごとに、それまでにデータとして記憶された
0個分の車輪速度偏差値Dや前後車輪速度比βから、
それらの平均値DAVEや平均値βAVEを求め、差圧判定値
ΔD′AVEの絶対値|ΔD′A VE|を求めるようにしてい
る。しかしながら、このような場合にはn0個分のデー
タが蓄積される間、タイヤ空気圧判定が行えない。この
ため、車輪速度偏差値記憶部や前後車輪速度比記憶部
で、最も古くに記憶された車輪速度偏差値Dや前後車輪
速度比βが新しく演算された車輪速度偏差値Dや前後車
輪速度比βに適宜更新されるようにし、更新される毎に
平均値DAVEや平均値βAVEを求めるようにするという移
動平均とすることで、短時間毎にタイヤ空気圧判定が行
えるようにできるなお、上記各実施形態では、理想走行
状態値βid=F(A)に基づいて回転状態値(車輪速
度偏差値D)を補正する場合を例に挙げたが、従来公報
に示すような回転状態値の補正方法を採用したものにお
いて、各実施形態で示すような有効範囲を設定すること
も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるタイヤ空気圧検
出装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すタイヤ空気圧検出装置が実行する制
御のフローチャートである。
【図3】図2に続くタイヤ空気圧検出装置が実行する制
御のフローチャートである。
【図4】回帰直線A′と有効範囲との関係を示す図であ
る。
【図5】図1に示すタイヤ空気圧検出装置における補正
前の車輪速度偏差値平均値DAV Eと補正後車輪速度偏差
値D′AVEとの関係を示した図である。
【図6】本発明の第2実施形態における回帰直線A′と
有効範囲との関係を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に示すタイヤ空気圧制御
処理のフローチャートである。
【図8】図7に続くタイヤ空気圧制御処理のフローチャ
ートである。
【図9】減速時ノイズが生じた場合の演算結果をプロッ
トした図である。
【図10】本発明の第3実施形態に示す回帰直線A′と
有効範囲との関係を示す図である。
【図11】従来のタイヤ空気圧検出装置における補正前
の車輪速度偏差値Dと補正後車輪速度偏差値D′との関
係を示した図である。
【符号の説明】
1a〜1d…車輪、2a〜2d…車輪速度センサ、3…
演算処理装置、3a…車輪速度演算部、3b…車輪速度
偏差値処理部、3c…前後車輪速度比処理部、3d…ス
リップ偏差値処理部、3e…理想的走行状態値演算部、
3f…車輪速度偏差値補正処理部、3g…差圧判定値演
算部、3h…空気圧低下判定部、4…警報装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000000011 アイシン精機株式会社 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 (72)発明者 富永 元規 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 井上 祐一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 米谷 正弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 神谷 和宏 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪駆動もしくは後輪駆動の車両の各車
    輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段(2a〜2
    d、3a)と、 車両旋回に起因して発生する左右輪間の車輪速度の偏り
    が打ち消されるように、前記車輪速度検出手段によって
    検出された各車輪速度を関係づけすることで求められる
    回転状態値(D)を演算する回転状態値演算手段(3
    b)と、 前記車輪速度検出手段により検出された車輪速度に基づ
    いて、駆動輪と従動輪との間のスリップ状態の程度に依
    存するスリップ状態値(β)を演算するスリップ状態値
    演算手段(3c)と、 前記回転状態値演算手段によって演算された回転状態
    値、および前記スリップ状態値演算手段によって演算さ
    れたスリップ状態値を一次関数に回帰させて、回帰直線
    を導出する回帰演算手段(3d)と、 前記回帰演算手段によって求められた回帰直線に基づ
    き、前記回転状態値演算手段によって求められた回転状
    態値を補正する回転状態値補正手段(3f)と、 前記回転状態値補正手段が求めた補正後の回転状態値に
    基づいて、前記各車輪のタイヤ空気圧の低下を判定する
    空気圧低下判定手段(3h)とを有しているタイヤ空気
    圧検出装置であって、 前記回転状態値演算手段で求められた回転状態値および
    前記スリップ状態値演算手段で求められたスリップ状態
    値のうち、所定の有効範囲内にあるものを選択する選択
    手段を備え、 前記回帰演算手段は、前記選択手段での選択が行われた
    ときには、該選択された回転状態値およびスリップ状態
    値に基づいて前記回帰直線を導出するようになっている
    ことを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。
  2. 【請求項2】 前記回帰演算手段による回帰直線の演算
    が行われたか否かを判定する回帰判定手段を有し、 前記選択手段は、前記回帰判定手段によって前記回帰直
    線の演算が行われていないと判定されると前記選択は行
    わず、前記回帰直線の演算が行われていると判定される
    と前記選択を行うようになっていることを特徴とする請
    求項1に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  3. 【請求項3】 前記選択手段は、前記回帰演算手段が演
    算した回帰直線に基づいて、前記有効範囲を設定するよ
    うになっていることを特徴とする請求項2に記載のタイ
    ヤ空気圧検出装置。
  4. 【請求項4】 前記選択手段は、前記回帰演算手段が演
    算した回帰直線を中心として所定幅の領域を前記有効範
    囲に設定するようになっていることを特徴とする請求項
    3に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  5. 【請求項5】 タイヤ空気圧の低下が生じた車輪が前記
    駆動輪であるか否かを判定する駆動輪判定手段を有し、 前記駆動輪判定手段により、前記タイヤ空気圧の低下が
    生じた車輪が前記駆動輪であることが判定されると、前
    記有効範囲として前記スリップ状態値に上限値もしくは
    下限値の少なくとも一方を設けることを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検出装
    置。
  6. 【請求項6】 スリップがない理想的な走行状態での前
    記スリップ状態値に相当する理想状態値(βid=F
    (A))を演算する理想走行状態値演算手段(3i)を
    有し、 前記回転状態値補正手段は、前記回帰演算手段によって
    求められた回帰直線と前記理想走行状態演算手段によっ
    て求められた理想状態値とから、理想走行状態における
    回転状態値を求めるようになっていることを特徴とする
    請求項1乃至5のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検
    出装置。
  7. 【請求項7】 タイヤ空気圧の低下が生じた車輪が前記
    駆動輪であるか否かを判定する駆動輪判定手段を有し、 前記駆動輪判定手段により、前記タイヤ空気圧の低下が
    生じた車輪が前記駆動輪であることが判定されると、前
    記理想状態値演算手段で演算された理想状態値の線と比
    べて、前記スリップ状態値が低くなる領域を前記有効範
    囲として設定するようになっていることを特徴とする請
    求項6に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  8. 【請求項8】 前記駆動輪判定手段は、前記回帰演算手
    段で演算される回帰直線の傾きに基づいて、前記タイヤ
    空気圧の低下が生じた車輪が前記駆動輪であるか否かの
    判定を行うようになっていることを特徴とする請求項5
    又は7に記載のタイヤ空気圧検出装置。
  9. 【請求項9】 前記駆動輪判定手段は、前記回帰演算手
    段で演算される回帰直線の傾きが所定のしきい値(K)
    よりも大きい場合に、前記タイヤ空気圧の低下が生じた
    車輪が前記駆動輪であると判定するようになっているこ
    とを特徴とする請求項8に記載のタイヤ空気圧検出装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6945102B2 (en) 2002-12-25 2005-09-20 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Method and apparatus for detecting decrease in tire air-pressure and program for judging decompression of tire

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6945102B2 (en) 2002-12-25 2005-09-20 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Method and apparatus for detecting decrease in tire air-pressure and program for judging decompression of tire

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