JP2002226256A - 無機質パネル、その製造方法、建物及び無機質パネルの表面状態検査方法 - Google Patents

無機質パネル、その製造方法、建物及び無機質パネルの表面状態検査方法

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JP2002226256A
JP2002226256A JP2001017321A JP2001017321A JP2002226256A JP 2002226256 A JP2002226256 A JP 2002226256A JP 2001017321 A JP2001017321 A JP 2001017321A JP 2001017321 A JP2001017321 A JP 2001017321A JP 2002226256 A JP2002226256 A JP 2002226256A
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inorganic panel
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Takeshi Kubo
剛 久保
Hidemaro Furumura
秀麿 古村
Takao Uchiumi
崇雄 内海
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防藻剤が塗膜から溶出して早期に防藻性能が
失われることがなく、長期にわたって安定した防藻性能
を維持し、藻類や黴が発生することのない無機質パネル
を提供すること、また、そのような無機質パネルの製造
方法を提供すること。 【解決手段】 無機硬化性組成物からなる硬化体で構成
される無機質パネルであって、無機硬化性組成物からな
るスラリーに防藻剤を添加混合して硬化してなることを
特徴とする無機質パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、外壁パネル等の
建築材料として用いられる無機質パネル、その製造方
法、建物及び無機質パネルの表面状態検査方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、主に無機質材料からなる住宅用外
壁パネルなどの無機質パネルには、防藻剤を添加した塗
料を無機質パネルの表面に塗布することにより、防藻性
能を付与し、藻や黴の発生を防ぐことが行われている。
【0003】上記の防藻剤は、一般にフェニル基やピリ
ジン基を有する塩素系芳香族有機化合物からなり、これ
らの防藻剤や防黴剤が無機質パネルの表面塗膜中に添加
されることにより、緑藻などの藻類や黴の成育を阻害す
る作用が一定期間持続することになる。
【0004】しかし、藻類や黴に対する成育阻害作用
(拮抗作用)は、無機質パネル表面の塗膜中の防藻剤等
によるため、防藻剤等の添加量が限定され、成育阻害作
用は時間の経過と共に低下し、また、表面の塗膜層から
の防藻剤の溶出や塗膜自体の剥離等により、無機質パネ
ルの長期間一定の防藻性能や防黴性能を維持することは
困難であるという問題点があった。
【0005】特に、建物の北面や終日直射日光が当たら
ない部位や雨水が直接あたる部位は、その表面が湿っぽ
く、特に藻類の増殖には最適な条件となるので、藻類等
の発生が著しく、建物の美観性が大きく低下するという
問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の点
に鑑みてなされたもので、早期に防藻剤が塗膜から溶出
したりして防藻性能が失われることがなく、長期にわた
って安定した防藻性能が維持され、藻類等が発生するこ
とのない無機質パネルを提供すること、また、そのよう
な無機質パネルの製造方法を提供することを目的とす
る。また、長期にわたって外壁面に藻類や黴が発生する
ことのない建物を提供することを目的とする。さらにま
た、防藻性能を有する無機質パネルの表面状態の検査方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の無機質パ
ネルは、無機硬化性組成物からなる硬化体で構成される
無機質パネルであって、無機硬化性組成物からなるスラ
リの少なくとも一部に防藻剤を添加混合して硬化してな
ることを特徴とする。
【0008】請求項2記載の無機質パネルは、請求項1
記載の無機質パネルにおいて、無機硬化性組成物が、二
酸化珪素及び酸化アルミニウムを含有する反応性粉体と
アルカリ金属珪酸塩と水を含有するものであることを特
徴とする。
【0009】請求項3記載の無機質パネルの製造方法
は、二酸化珪素及び酸化アルミニウムを含有する反応性
粉体100重量部に対して、アルカリ金属珪酸塩0.2
重量部〜450重量部、水35重量部〜150重量部か
らなる無機硬化性組成物の少なくとも一部に防藻剤を添
加混合してなるスラリを硬化させることを特徴とする。
【0010】請求項4記載の建物は、無機質パネルが外
壁パネルとして使用された建物であって、建物の外壁の
藻が発生しやすい部分には、防藻剤の添加量を他の部分
の無機質パネルの防藻剤の添加量よりも増量した無機質
パネルを使用したことを特徴とする。
【0011】請求項5記載の無機質パネルの表面状態検
査方法は、無機質パネルの表面状態をカメラで画像デー
タにして、その画像データを画像処理手段により膨らみ
部分と平坦部とを区別し、その領域を白と黒の二値化
し、それぞれの専有面積から、評価対象領域に占める膨
らみ部の専有率を算出し、標準専有率と対比して無機質
パネルの表面状態の良否を検定することを特徴とする。
【0012】防藻剤としては、フェニル基やピリジン
基、ピリジン基を有する有す塩素系芳香族有機化合物を
主成分とするものが使用できる。さらに、出願人が先に
出願した特願平11−3027号に記載したようなトリ
アジン系化合物及びヒンダードアミン系光安定剤を配合
した防藻剤組成物等も使用できる。
【0013】請求項3記載の無機質パネルの製造方法に
おいては、無機硬化性組成物からなるスラリ全量に防藻
剤を添加、混合する方法、防藻剤が添加、混合されたス
ラリを無機質パネルの屋外側表面部分にのみ使用し、残
りの部分には防藻剤が添加、混合されていない通常のス
ラリを使用する方法がある。
【0014】上記後者の方法においては、上記のように
硬化前のスラリを防藻剤の有無の二層構造とすることだ
けでなく、硬化後の無機質パネルの屋外側表面に対し
て、防藻剤が溶解した溶液をスプレ−等の適当な塗布手
段により均一に塗布する方法や、硬化後の無機質パネル
の屋外側表面に対して、あらかじめ防藻剤が添加、混合
されたスラリを適当な手段により後付け方式で塗布する
方式で塗布する方法も含まれる。なお、この場合の塗布
量は、通常塗布厚みが10〜1000μmである。
【0015】請求項4記載の建物において、藻が発生し
やすい部分は、建物の北側部分と、樹木、塀、樋等に遮
られて日が当たりにくい部分であるのが好ましい。
【0016】(作用)請求項1又は2記載の無機質パネ
ルや請求項3記載の無機質パネルの製造方法により製造
された無機質パネルにおいては、防藻剤が無機硬化性組
成物からなるスラリの少なくとも一部に防藻剤が添加混
合されているので、防藻剤が表層の塗膜から溶出したり
するようなことがなく、長期にわたって安定した防藻性
能が維持される。
【0017】請求項4記載の建物においては、特に藻類
が発生しやすい、建物の北側部分と、樹木、塀、樋等に
遮られて日光が当たりにくい部分などでは、外壁の防藻
剤量が他の部分より多量に含まれているので、長期にわ
たって外壁面に藻類や黴が発生することがなく、また、
藻類が発生し難い部分の外壁に多量の防藻剤を使う必要
がなく、経済的である。
【0018】また、請求項5記載の無機質パネルの表面
状態検査方法によれば、無機質パネルの表面の膨らみ状
態が、目視による官能的な検査によらず、客観的な定量
化された検定が行われ、請求項1又は2記載の無機質パ
ネル等の無機質パネルの表面状態の検査が信頼性と正確
性の高いものとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】1.無機硬化性組成物の実施の形
態 無機硬化性組成物としては、一般的な壁パネルに利用さ
れる無機硬化性組成物が適用可能である。それらは、例
えば、実公昭59−22817号公報等に記載されてい
る高温高圧養生された軽量気泡コンクリート(AL
C)、特公平4−45471号公報に記載されている成
型用含水成型材料などである。
【0020】この発明において、無機硬化性組成物は、
二酸化珪素及び酸化アルミニウムを含有する反応性粉体
とアルカリ金属珪酸塩と水を含有するが、場合によって
はさらに発泡剤が添加、混合され、発泡硬化体となるも
のであってもよい。
【0021】特に、二酸化珪素及び酸化アルミニウムを
含有する反応性粉体100重量部に対して、アルカリ金
属珪酸塩0.2重量部〜450重量部、水35重量部〜
150重量部を含有させた無機硬化性組成物を硬化させ
た無機質パネルは、衝撃に対しても強く、また、防耐火
性能にも優れた無機質パネルを得ることができる。
【0022】上記反応性粉体としては、二酸化珪素を5
重量%〜85重量%の範囲内で、酸化アルミニウムを9
5重量%〜10重量%の範囲内で含有し、その他の成分
を5重量%〜10重量%の範囲内で含有するものが好適
に使用される。
【0023】このような反応性粉体としては、フライア
ッシュ、メタカオリン、カオリン、ムライト、コランダ
ム、アルミナ系研磨材を製造する際のダスト、粉砕焼成
ポーキサイト等が例示されるが、組成が適当であればこ
れら限定されるものではない。
【0024】これらの反応性粉体は、そのまま用いても
よいが、反応活性(以下、活性ということがある)の高
いものを分級して用いたり、溶射処理や機械的エネルギ
ーを加えた粉砕処理等を行うことにより、活性化処理を
行ったものが好適に用いられる。これらの活性化手段は
併用されて用いることもできる。
【0025】上記溶射処理する方法としては、セラミッ
クコーティングに適用される溶射技術が応用される。そ
の溶射技術では、通常、材料粉末が2000℃〜160
00℃の範囲内の温度で溶融され、30m/秒〜800
m/秒の範囲内の速度で噴霧される。また、プラズマ溶
射法、高エネルギーガス溶射法、アーク溶射法等により
活性化処理されたものでもよい。好適な比表面積は、
0.1m2 /g〜100m2 /g程度である。
【0026】粉砕して機械的エネルギーを与える方法と
しては、従来公知の任意の方法が採用される。粉砕手段
としては、ジェットミル、ロールミル、ボールミル等に
よる方法があげられる。ボール媒体ミル、媒体攪拌型ミ
ル、ロールミル等を使用する場合、0.5kwh/kg
〜30kwh/kg程度の機械的エネルギーを作用させ
ると活性化が好適に進行する。機械的エネルギーが小さ
いと粉体は活性化され難く、一方、機械的エネルギーが
大きいとこれらの粉砕装置への負荷が大きい。また、粉
砕された粉体は、必要に応じて上述の分級手段により分
級される。ここで、作用される機械的エネルギーはボー
ルミルに供給した電力を処理粉体単位重量当たりで表し
た数値である。
【0027】原料粉体としてのフライアッシュは、必要
に応じて、焼成されたものであってもよい。焼成温度
は、低いとフライアッシュの黒色が残り、成形品への着
色が困難となり、高いと、アルカリ金属珪素塩との反応
性が低くなるので、400℃〜1000℃の範囲内の温
度であることが好ましい。
【0028】この発明に使用されるアルカリ金属珪酸塩
とは、一般式M2 O・nSiO2 (Mは、K、Na、L
iから選択される1種以上の金属であり、nは正数を示
す)で表される塩である。nの値が小さいと、緻密な硬
化体が得られず、大きくなると水溶液の粘度が上昇し、
混合が困難となるので、nの値は、0.05〜8の範囲
内が好ましく、さらに好ましくは、0.5〜2.5の範
囲内である。
【0029】アルカリ金属珪酸塩は、そのまま配合され
てもよいが、水に溶解された水溶液として添加されるの
が好ましい。ここで、この水溶液濃度は薄くなると、フ
ライアッシュ粉末との反応性が低下し、一方濃くなる
と、固形分が生じやすくなるので、通常10重量%〜6
0重量%の範囲内で用いられる。
【0030】アルカリ金属珪酸塩の水溶液を得る方法
は、通常の方法がそのまま採用される。例えば、アルカ
リ金属珪酸塩をそのまま加圧、加熱下で水に溶解しても
よい。また、アルカリ金属水酸化物を別途調整し、この
水溶液に珪砂、珪石粉等のSiO2 成分を上記nの値が
所定の値となるように加圧、加熱下で溶解してよい。
【0031】このアルカリ金属珪酸塩は、通常、反応性
粉体100重量部に対して、0.2重量部〜450重量
部の範囲内で配合される。アルカリ金属珪酸塩の配合量
が少ないと硬化が十分に進行されず、一方、配合量が多
くなると得られる硬化体の耐水性が低下する。好ましい
配合量は、反応性粉体100重量部に対して、10重量
部〜350重量部の範囲内、さらに好ましくは20重量
部〜250重量部の範囲内である。
【0032】この無機硬化性組成物には、水が必須成分
として配合される。水の配合量は特に制限されないが、
通常は、反応性粉体100重量部に対して、35重量部
〜1500重量部の範囲内である。配合される水の量が
少ないと十分に硬化が進行されないばかりか、配合も困
難となる。一方、配合量が必要以上多くなると得られる
硬化体の強度が低下しやすくなる。好ましい水の配合量
は、反応性粉体100重量部に対して、45重量部〜1
000重量部の範囲内、さらに好ましくは50重量部〜
500重量部の範囲内である。この水は、上述したアル
カリ金属珪酸塩水溶液の形で添加されてもよいし、また
独立して添加されてもよい。
【0033】この発明において、無機硬化性組成物から
なる硬化体は、発泡剤を含んで形成された発泡硬化体で
あってもよい。このような発泡硬化体は、建物の外壁と
して断熱性等を持たせて高付加価値化させる。このため
に、上述の無機硬化性組成物には、発泡剤が必要に応じ
て発泡助剤と共に添加される。
【0034】発泡剤としては、過酸化水素、過酸化ソー
ダ、過酸化カリ、過ほう酸ソーダ、等の過酸化物や、M
g、Ca、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Z
n、Al、Ga、Si、フェロシリコン等の金属粉末が
あげられる。これらの発泡剤は、単独でも2種以上混合
しても用いられる。
【0035】過酸化水素を発泡剤として用いるときは、
安全性、安定した発泡を考慮すると水溶液として用いる
のが好ましい。また、金属粉末を用いる場合は、安定し
た発泡を得るために、粒子径が200μm以下の微粉末
を用いることが好ましい。
【0036】十分な発泡硬化体を得るためには、発泡剤
は、反応性粉体100重量部に対して、0.01重量部
〜10重量部の範囲内で用いることが好ましい。発泡剤
の配合量が少なすぎると発泡倍率が低すぎて十分な発泡
硬化体を得ることができず、一方、発泡剤の配合量が多
すぎると発泡ガスが過剰となり、破泡する場合が多くな
る。
【0037】発泡を均一に生じさせるために、発泡助剤
が添加されることが好ましい。発泡助剤としては、例え
ば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パル
ミチン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、シリカゲル、ゼオライ
ト、活性炭、アルミナ粉末等の多孔質粉体等があげられ
る。これらの発泡助剤は、単独でも2種以上混合しても
用いられる。
【0038】発泡剤の配合量が多くなると、無機硬化性
組成物の粘度を上昇させて破泡を発生しやすくする場合
がある。通常、発泡助剤の配合量は、反応性粉体100
重量部に対して10重量部以下である。
【0039】無機硬化性組成物には、必要に応じて無機
質充填材が添加されてもよい。無機質充填材は、水に溶
解せず、無機硬化性組成物の硬化反応を阻害せず、アル
カリ金属珪酸塩と反応しないものであれば特に限定され
ない。例えば、珪砂、川砂、ジルコンサンド、結晶質ア
ルミナ、岩石粉末、火山灰、シリカフラワー、シリカヒ
ューム、ベントナイト、高炉スラグ等の混合セメント用
混合材、セピオライト、ワラストナイト、マイカ等の天
然鉱物、炭酸カルシウム、珪藻土等があげられる。これ
らは、単独でも2種以上混合しても用いられる。
【0040】発泡硬化体を得る場合、無機質充填材の平
均径は、0.01μm〜1000μmの範囲内であるこ
とが好ましい。平均径が小さいと無機硬化性組成物の粘
度が上昇し、高倍率の発泡硬化体が得られ難く、一方、
平均径が大きくなると発泡が不安定になる場合がある。
また、この無機質充填材の量が多くなると得られる発泡
体の強度が低下するので、その配合量は、反応性粉体1
00重量部に対して700重量部以下であることが好ま
しい。
【0041】さらに、硬化体の軽量化を図る目的で、シ
リカバルーン、パーライト、フライアッシュバルーン、
シラスバルーン、ガラスバルーン、発泡焼成粘土等の無
機質発泡体、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチ
レン等の合成樹脂発泡体、塩化ビニリデンバルーン等が
添加されてもよい。これらは、単独でも2種以上混合し
ても用いられる。また、必要に応じて、アルミナセン
ト、γ−アルミナ、溶射されたアルミナ、アルミン酸ア
ルカリ金属塩又は水酸化アルミニウムを加えてもよい。
【0042】以上の各配合成分は、無機硬化性組成物の
全体が均一となり、反応が均一となるように適宜の組み
合わせで配合することにより、ペースト状の無機硬化性
組成物とすることができる。このようにして得られる無
機硬化性組成物は、常温でも硬化するが、加温させるこ
とにより硬化反応が促進される。例えば、50℃〜11
0℃の範囲内の温度では、30分〜8時間程度で硬化さ
れ、成形体の圧縮強度等の機械的物性が図れる。
【0043】防藻剤としては、フェニル基やピリジン
基、ピリジン基を有する有す塩素系芳香族有機化合物等
を主成分とするものが使用できる。さらに、出願人が先
に出願した特願平11−3027号に記載したようなト
リアジン系化合物及びヒンダードアミン系光安定剤を配
合した防藻剤組成物等も使用できる。
【0044】上記トリアジン系化合物としては、例え
ば、2−クロロ−4,6−ビス(エチルアミノ)−1,
3,5−トリアジン、2−クロロ−4−エチルアミノ−
6−イソプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン、2
−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−S−ト
リアジン、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−イ
ソプロピルアミノ−S−トリアジン、2−メチルチオ−
4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−S−トリアジ
ン、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シク
ロプロピルアミノ−S−トリアジンから選ばれた少なく
とも1種があげられる。
【0045】また、上記ヒンダードアミン系光安定剤と
しては、下記の構造式で表されるテトラメチルピペリジ
ル構造単位(1)又はピペラジノン構造単位(2)を1
分子中に1個以上含有するヒンダードアミン系化合物か
ら選ばれた少なくとも1種があげらる。
【化1】
【化2】
【0046】これら多種多様な防藻剤は、それ自体の分
子構造中に疎水性の部分と親水性の部分とを同時に有し
ているため、種々の溶媒やマトリックス(無機硬化性組
成物からなる硬化前スラリ)に対する相溶性が良好であ
り、硬化前のスラリ中においては機械的攪拌を加えれば
均一に分散しやすい性質を兼ね備えている。さらに、界
面活性剤と併用することにより、各種防藻剤の硬化前の
スラリとの相溶性をさらに向上させることも可能であ
る。
【0047】また、防藻剤分子を不溶性の担体と結合さ
せたり(一種の化学修飾)、高分子化合物の網目構造に
閉じ込めて固定化したり(格子型包括法)、小さなカプ
セルに閉じ込めて固定化することにより(マイクロカプ
セル型包括法)、防藻剤分子の徐放性能発現による防藻
性能の長期持続性を実現する事が可能になる。
【0048】2.実施例1 (a)反応性粉体の活性化処理 メタカオリン(エンゲルハード社製「SATINTON
E SP33」、平均粒径3.3μm、比表面積13.
9m2 /g)100重量部にトリエタノールアミン25
重量%とエタノール75重量%の混合溶液0.5重量部
を加え、粉砕装置(三菱重工業社製「ウルトラファイン
ミルAT−20」、ジルコニアボール直径10mm使
用、ボール充填率85体積%)に供給し、25kwh/
kgの機械的エネルギーを作用させ、粉砕メタカオリン
からなる反応性粉体を得た。
【0049】(b)無機硬化性組成物の調整 得られた粉砕メタカオリンからなる反応性粉体100重
量部、アルカリ金属珪酸塩としての珪酸カリウム水溶液
(モル比1.4、濃度50重量%)165重量部、無機
質充填材としてのワラスナイト100重量部、珪砂10
0重量部、ビニロン繊維(クラレ社製「RM182×
3」)3部、発泡剤としての金属シリコン微粉末(粒子
径200μm以下)0.1重量部、発泡助剤としてのス
テアリン酸亜鉛3重量部、トリアジン系化合物からなる
防藻剤1重量部を配合してペースト状の無機硬化性組成
物(硬化前のスラリ)を得た。 (c)無機質パネルの製造 ゴム製の加飾型を敷設した壁パネル用下枠に上記の無機
硬化性組成物を投入した。次いで、下枠に振動を加えて
レベリングし、脱泡を行った後、上型をセットして50
℃〜110℃の範囲内の温度で、5時間加熱し、型枠か
ら硬化物を取り出し、厚さ15mm、幅888mm、長
さ2799mmの無機質発泡体からなる無機質パネルを
製造した。この無機質パネルの比重は1.0、単位面積
当たりの重量は15kg/m2 であり、軽量で外壁とし
ての取り付け性が向上したものであった。
【0050】(d)無機質パネルの性能評価 得られた無機質パネルを建物ユニットの外壁として取り
付け、藻類の繁殖が数多く観察される地域内に設置し、
外壁上に藻類が繁殖する経過を観察した。その結果、経
過期間1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、
36ヵ月のいずれの期間経過後でも藻類の発生は認めら
れなかった。
【0051】3.実施例2 (a)図1(A)に示すように、実施例1で用いた防藻
剤添加の無機硬化性組成物1を実施例1の投入量の1/
5を、最初にゴム製の加飾型を敷設した壁パネル用下枠
3に投入した。続いて、図1(B)に示すように、残り
の4/5については、実施例1で用いた無機硬化性組成
物から防藻剤を除いた配合に相当する無機硬化性組成物
2を投入し、実施例1と同様に硬化させて実施例1と同
じ大きさの無機質パネルを得た。この無機質パネル10
は、図1(C)に示すように、表層部11にのみ防藻剤
が添加され、本体部12には防藻剤がない二層構造体で
あった。
【0052】(b)無機質パネルの性能評価 得られた無機質パネルを、その防藻剤が添加された層側
を外側にし、建物ユニットの外壁として取り付け、藻類
の繁殖が数多く観察される地域内に設置し、外壁上に藻
類が繁殖する経過を観察した。その結果、経過期間1ヵ
月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、36ヵ月の
いずれの期間経過後でも藻類の発生は認められなかっ
た。
【0053】4.実施例3 (a)反応性粉体の活性化処理 メタカオリン(エンゲルハード社製「SATINTON
E SP33」、平均粒径3.3μm、比表面積13.
9m2 /g)100重量部にトリエタノールアミン25
重量%とエタノール75重量%の混合溶液0.5重量部
を加え、粉砕装置(三菱重工業社製「ウルトラファイン
ミルAT−20」、ジルコニアボール直径10mm使
用、ボール充填率85体積%)に供給し、25kwh/
kgの機械的エネルギーを作用させ、粉砕メタカオリン
からなる反応性粉体を得た。
【0054】(b)無機硬化性組成物の調整 得られた粉砕メタカオリンからなる反応性粉体100重
量部、アルカリ金属珪酸塩としての珪酸カリウム水溶液
(モル比1.4、濃度50重量%)165重量部、無機
質充填材としてのワラスナイト100重量部、珪砂10
0重量部、ビニロン繊維(クラレ社製「182×3」)
3部、発泡剤としての金属シリコン微粉末(粒子径20
0μm以下)0.1重量部、発泡助剤としてのステアリ
ン酸亜鉛3重量部を配合してペースト状の無機硬化性組
成物(硬化前のスラリ)を得た。
【0055】(c)無機質パネルの製造 ゴム製の加飾型を敷設した壁パネル用下枠(1m×1
m)に上記の無機硬化性組成物を投入し、振動を加えて
レベリングし、脱泡を行った後、上型をセットして85
℃で、6時間加熱し、型枠から硬化体を取り出した。こ
の硬化体の表面に実施例1で用いた防藻剤をスプレ等の
適当な塗布手段により均一に塗布厚みが10〜1000
μとなるように塗布して、無機質パネルを得た。この無
機質パネルの比重は1.0、単位面積当たりの重量は1
5kg/m2 であり、軽量で外壁としての取り付け性が
向上したものであった。
【0056】(d)無機質パネルの性能評価 得られた無機質パネルを、その防藻剤塗布面を外側にし
て建物ユニットの外壁として取り付け、藻類の繁殖が数
多く観察される地域内に設置し、外壁上に藻類が繁殖す
る経過を観察した。その結果、経過期間1ヵ月、3ヵ
月、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、36ヵ月のいずれの
期間経過後でも藻類の発生は認められなかった。なお、
防藻剤水溶液を塗布しなかった無機質硬化体を同様にし
て藻類が繁殖する経過を観察したところ、6ヵ月経過後
までは、藻類の発生は認められなかったが、12ヵ月経
過以降には継続的に藻類の発生が明らかに認められた。
【0057】5.実施例4 実施例1で得られた無機質パネルを、藻類が発生しやす
い、建物の北側部分と、樹木、塀、樋等に遮られて日光
が当たりにくい部分とに、外壁パネルとして取り付け、
その他の部分の外壁には、実施例1の無機質パネルより
防藻剤の量が1/2量に減らされた配合に相当する無機
質硬化組成物からなる無機質パネルを取り付けて建物を
構築した。
【0058】この建物においては、経過期間1ヵ月、3
ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、36ヵのいずれの
期間経過後でも、いずれの面の外壁にも藻類の発生は認
められなかった。
【0059】5.実施例4 実施例1で得られた無機質パネルを供試体(n=10)
としてASTM C666に定める凍結融解試験の各サ
イクル(凍50サイクル、凍100サイクル、凍150
サイクル、凍200サイクル)後の表面状態の評価を、
請求項5記載の方法により行った。
【0060】請求項5記載の方法による評価 まず、供試体の表面状態をデジタルカメラで平面画像の
データとして画像処理ソフトを使うコンピュータ(画像
処理手段)に取り込んだ。その画像データを画像ディス
プレイ等の表示手段に表示して、膨らみ部(損傷部位)
と平坦部との境界に生じる影等の異色部を膨らみ部の輪
郭として画像処理手段に入力した。実際の表示上ではデ
ィスプレイ上に異色部と一致する閉曲線を描き、無機質
パネルの表面全体を取り囲んだ。次に、閉曲線に囲まれ
た部分を黒で塗りつぶし、残りの平坦部を白で塗りつぶ
した。この白と黒の二値化されたそれぞれの部位が専有
する面積(ピクセル数)から評価対象領域に占める黒で
扱われる膨らみ部(損傷部位)の専有率を算出し、標準
専有率と対比して無機質パネルの表面状態の良否を検定
した。なお、比較のため、同供試体について、官能評価
を行った。
【0061】その結果、請求項5記載の方法による評価
値にはバラツキがないのに、官能評価では、評価者によ
るバラツキが見られた。
【0062】
【発明の効果】請求項1又は2記載の無機質パネルや請
求項3記載の無機質パネルの製造方法により製造された
無機質パネルにおいては、防藻剤が無機硬化性組成物か
らなるスラリに添加混合されているので、防藻剤を添加
した塗料が表面に塗布されたパネルのように塗料が剥げ
たりして防藻剤が離散するようなことがなく、安定して
長期にわたって防藻性能が確保されたものとなってい
る。
【0063】請求項4記載の建物においては、特に藻類
が発生しやすい、建物の北側部分と、樹木、塀、樋等に
遮られて日光が当たりにくい部分などでは、外壁の防藻
剤量が他の部分より多量に含まれているので、長期にわ
たって外壁面に藻類や黴が発生することがなく、また、
藻類が発生し難い部分の外壁に多量の防藻剤を使う必要
がなく、経済的である。
【0064】請求項5記載の無機質パネルの表面状態検
査方法によれば、無機質パネルの表面の膨らみ状態が、
目視による官能的な検査によらず、客観的な定量化され
た検定が行われ、無機質パネルの表面状態の検査が信頼
性と正確性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の無機質パネルの製造方法の一実施例
を示すものであって、(A)及び(B)はその工程順を
示す断面図、(C)は得られた無機質パネルの断面図で
ある。
【符号の説明】
1 防藻剤添加の無機硬化性組成物 2 防藻剤無添加の無機硬化性組成物 3 壁パネル用下枠 10 無機質パネル 11 表層部 12 本体部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C04B 28/26 (C04B 28/26 14:04 14:04 Z 14:06 14:06 Z 14:38 14:38 C 24:04 24:04 24:12) 24:12) Z 103:67 103:67 111:40 111:40 Fターム(参考) 2E162 CA00 CB00 FA11 FA12 FA17 2G051 AA90 AB07 CA04 EA11 ED07 4G012 PA03 PA04 PA11 PA24 PB06 PB20 PC01 PC11 4G019 HA02 HA05 HB01 HC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機硬化性組成物からなる硬化体で構成
    される無機質パネルであって、無機硬化性組成物からな
    るスラリの少なくとも一部に防藻剤を添加混合して硬化
    してなることを特徴とする無機質パネル。
  2. 【請求項2】 無機硬化性組成物が、二酸化珪素及び酸
    化アルミニウムを含有する反応性粉体とアルカリ金属珪
    酸塩と水を含有するものであることを特徴とする請求項
    1記載の無機質パネル。
  3. 【請求項3】 二酸化珪素及び酸化アルミニウムを含有
    する反応性粉体100重量部に対して、アルカリ金属珪
    酸塩0.2重量部〜450重量部、水35重量部〜15
    0重量部からなる無機硬化性組成物の少なくとも一部に
    防藻剤を添加混合してなるスラリを硬化させることを特
    徴とする無機質パネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 無機質パネルが外壁パネルとして使用さ
    れた建物であって、建物の外壁の藻が発生しやすい部分
    には、防藻剤の添加量を他の部分の無機質パネルの防藻
    剤の添加量よりも増量した無機質パネルを使用したこと
    を特徴とする建物。
  5. 【請求項5】 無機質パネルの表面状態をカメラで画像
    データにして、その画像データを画像処理手段により膨
    らみ部分と平坦部とを区別し、その領域を白と黒の二値
    化し、それぞれの専有面積から、評価対象領域に占める
    膨らみ部の専有率を算出し、標準専有率と対比して無機
    質パネルの表面状態の良否を検定することを特徴とする
    無機質パネルの表面状態検査方法。
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JP2005272264A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 防藻性ポーラスコンクリート

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005272264A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 防藻性ポーラスコンクリート
JP4537099B2 (ja) * 2004-03-26 2010-09-01 住友大阪セメント株式会社 防藻性ポーラスコンクリートの製造方法

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