JP2002225048A - Frp製成形体およびその製造方法 - Google Patents

Frp製成形体およびその製造方法

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JP2002225048A
JP2002225048A JP2001029380A JP2001029380A JP2002225048A JP 2002225048 A JP2002225048 A JP 2002225048A JP 2001029380 A JP2001029380 A JP 2001029380A JP 2001029380 A JP2001029380 A JP 2001029380A JP 2002225048 A JP2002225048 A JP 2002225048A
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知行 篠田
Akihiko Kitano
彰彦 北野
Hitoshi Nishiyama
等 西山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくとも強化繊維からなる中間基材同士ま
たは中間基材とインサート部品との空隙に生じる欠陥が
抑制された、外観品位、力学的特性、大量生産性に優れ
たFRP製成形体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の繊維強化プラスチック製成形体
は、少なくとも強化繊維からなる中間基材同士、あるい
は、中間基材とインサート部品との空隙内に、長さ30
mm以上の高強度繊維を充填されてなる充填部を有し、
前記中間基材と前記充填部に、樹脂が一体成形にて含浸
された充填成形部を有することを特徴とする。また、本
発明のFRP製成形体の製造方法は、中間基材の間に形
成される空隙を高強度繊維で充填した充填部と中間基材
とに、樹脂を同時に含浸させて一体成形することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック成形
技術分野に属し、詳しくは繊維強化プラスチック(以
下、FRPという。)製の成形体に関するものである。
より詳しくは、発泡体(フォーム剤)や金属などのイン
サート部品を含んだFRP製成形体の外観および力学特
性向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】FRP製成形体の代表的な製造法である
オートクレーブ成形法は、予め強化繊維に樹脂を一定量
含浸させた中間基材(以下、プリプレグという。)を、
目的とする形状の金属製の成形型(例えば、金型な
ど。)に隙間無く積み重ねて3次元形状の成形体を成形
する方法である。かかる成形方法を採用すると、成形体
中には、樹脂のみからなる部分(以下、樹脂リッチ部分
という。)が殆ど無いため、極めて信頼性の高い成形体
が得られる。
【0003】一方、オートクレーブ成形法より大量生産
に向く成形法であるレジン・トランスファー成形法(以
下、RTM成形法という。)は、樹脂が含浸されていな
い(ドライな)強化繊維を直接に複雑な成形型の中に配
置し、その後、樹脂を強制的に強化繊維中に含浸させて
3次元形状の成形体を得る成形方法である。
【0004】このRTM成形法は、大量生産に適する利
点を有するものの、成形型(例えば、金型、木型、FR
P型など。)内で強化繊維が動き易いため、強化繊維が
なく樹脂のみからなる樹脂リッチ部分や、樹脂も強化繊
維もない空孔(以下、ボイドという。)が発生し易い欠
点を有する。これら、樹脂リッチ部分やボイドは成形体
の表面品位を低下させたり(例えば、ヒケなどが発生し
て成形体の表面が平滑でなくなる。)、クラックの発生
源となって、成形体の強度や剛性を低下させるという問
題を生じさせていた。
【0005】さらには、大量生産する実際の成形体は、
FRP製成形体の中に金属やハニカム、発泡材、木材な
どの異種部材をインサートして一体成形することも低コ
スト化を目的として行うため、上記した強化繊維同士の
間や、強化繊維と成形型との間だけでなく、強化繊維と
インサート部品との間でも樹脂リッチ部分が形成され、
この箇所にクラックが発生して、成形体の強度を低下さ
せるという問題や、クラック部分から水分などが侵入し
て、成形体の重量を増加させたりするという問題も生じ
ていた。
【0006】このような問題に対し、強化繊維中に含浸
させる際の樹脂の充填圧力を大きくしたり、樹脂の粘度
を低下させて、樹脂を空隙部に含浸させる技術が従来よ
り用いられているが、樹脂の充填圧力を大きくすると、
成形型の剛性を大きくする必要があり、それに伴い装置
全体が大型化し、製造コストが高くなるという問題が発
生していた。また、樹脂の粘度を低下させた場合でも、
強化繊維と成形型との間に隙間があると、流動抵抗の差
に起因して、樹脂がその隙間を選択的に流れ、成形体の
品質は必ずしも向上するとは限らなかった。つまり、上
述の技術では決定的な解決策にならないのが実状であっ
た。
【0007】一方、最近、強化繊維を編んだり、縫った
りすることにより、3次元の最終形状に予め賦形した基
材(プリフォーム)を形成しておき、樹脂が流れてきた
場合でも強化繊維の構成が乱れないようにするという、
ネットシェイプ・プリフォーム技術が検討されている
が、プリフォーム形成に大掛かりな設備が必要であり、
かつプリフォーム形成のコストが高くなるため、大量生
産する実際の成形体では実用化には至っていないのが実
状である。
【0008】ここで、発生した樹脂リッチ部分、ボイ
ド、クラックへの対応としては、空隙がFRP製成形体
と成形型との間にある場合は、成形体の表面に形成され
るため、補修が可能であり、従来はパテ埋め等の補修に
より対応してきた。しかし、隙間がインサート部品との
間等に有る場合には、成形体の内部に樹脂リッチ部分、
ボイド、クラックが発生するため、補修はほとんど不可
能であり、樹脂リッチ部分、ボイド、クラック自体を発
生させない技術が渇望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解消し、少なくとも強化繊維からなる中間基材同
士、インサート部品と中間基材との空隙に生じる樹脂リ
ッチ部分やボイドを抑制した平滑な表面品位を有すると
共に、優れた力学的特性も有する大量生産に好適なFR
P製成形体およびその製造方法を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、次のような構成を有する。すなわち、繊
維強化プラスチック製成形体であって、少なくとも強化
繊維からなる中間基材同士、あるいは、中間基材とイン
サート部品との間で形成される空隙内に、長さ30mm
以上の高強度繊維が充填されてなる充填部を有し、前記
中間基材と前記充填部とに、樹脂が一体成形にて含浸さ
れた充填成形部を有することを特徴とするFRP製成形
体である。
【0011】また、本発明のFRP製成形体の製造方法
は、少なくとも次の第1〜第3工程からなるものであ
る。
【0012】第1工程:少なくとも強化繊維からなる中
間基材同士、あるいは、中間基材とインサート部品との
間で形成される空隙内に、長さ30mm以上の高強度繊
維を充填する充填工程。
【0013】第2工程:少なくとも前記中間基材と前記
高強度繊維とを成形型の表面に配置した後に、それぞれ
の部材に同時に樹脂を含浸させる成形工程。
【0014】第3工程:FRP製成形体が取り出せる剛
性を発現する程度まで前記樹脂を硬化または重合させた
後に、前記成形型から取り出す取出工程。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1、図2は、いずれも本発
明のFRP製成形体の一例の斜視図で、いずれも成形後
のものである。また、図3は、一体成形前の本発明のF
RP製成形体の一例の斜視図である。図1に示す本発明
のFRP製成形体1は、図3に示す一体成形前のFRP
製成形体8のように、少なくとも炭素繊維、ガラス繊維
などのいわゆる強化繊維からなる中間基材9を折り曲げ
ることにより形成される折り返し部10の空隙11内、
あるいは、中間基材9の間に、例えば後述のインサート
部品を挟み込ませた場合に生じる3次元形状(時には球
状や線状であったりする)の空隙11内に、長さ30m
m以上の高強度繊維4aを強化繊維として充填されてな
る充填部12を有するものであり、中間基材9、13な
どと充填部12とに、樹脂が一体成形にて含浸された充
填成形部5を有する。かかるFRP製成形体1は、かか
る空隙が樹脂リッチ部分、ボイド等の形成を抑制するた
め、極めて平滑な表面を有すると共に、力学的特性だけ
でなく、生産性にも優れるという効果を有する。
【0016】次に、本発明のFRP製成形体1を構成す
る各要素を、より具体的に説明する。
【0017】まず、本発明の繊維強化プラスチック(以
下、FRPという。)とは、強化繊維により強化されて
いる樹脂を指し、例えば炭素繊維、ガラス繊維等の無機
繊維、あるいは、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポ
リアミド繊維などの有機繊維からなる強化繊維により強
化された、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエ
ステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ジシクロペンタジエ
ン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ
る。樹脂としては、粘度が低く、強化繊維への含浸が容
易である熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を形成するR
IM用モノマーが好適であり、その中でも、FRP製成
形体の熱収縮を低減させ、クラックの発生を抑えるとい
う点から、エポキシ樹脂または熱可塑性樹脂やゴム成分
などを配合した変性エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ジシ
クロペンタジエン樹脂がより適している。
【0018】次に、本発明で使用する中間基材9、13
とは、上記FRPに成形する前の少なくとも強化繊維を
指し、例えば、樹脂が含浸されていない(ドライの)強
化繊維の他、硬化前の熱硬化性樹脂が予め含浸されてい
る強化繊維、これらとインサート部品7との組み合わせ
等が挙げられ、いずれの組み合わせにするかは、その成
形方法により使い分けられる。特にRTM成形法で使用
する中間基材としては、RTM成形のメリットの1つで
ある一体成形の効果を最大限に発現するために、ドライ
の強化繊維またはインサート部品とドライの強化繊維と
の組み合わせが好ましい。
【0019】また、本発明で使用するインサート部品7
としては、例えば、スチールやアルミニウムなどの金属
板や、金属柱、金属ボルト、ナット、ヒンジなどの接合
用の金属、アルミハニカムコア、あるいは/及び、ポリ
ウレタン、ポリスチレン、ポリイミド、塩化ビニル、フ
ェノール、アクリルなどの高分子材料からなるフォーム
材やゴム質材、木質材などが挙げられ、主として、釘が
効くことや、ネジが立てられる等の接合を目的としたイ
ンサート部品、中空構造で軽量化を目的としたインサー
ト部品、振動時の減衰を目的としたインサート部品など
が多く用いられる。
【0020】インサート部品7の中でも、後述する充填
部12との間に生じる残留熱応力の点から、線膨張係数
が1×10-6〜25×10-6/℃の範囲内の金属を使用
するのが好ましい。通常、樹脂の線膨張係数は200×
10-6/℃であり、本範囲のように樹脂の1/5以下に
限定することで、成形時に発生する異種材料間の残留熱
応力を低減でき、クラックの発生を最小限に抑制するこ
とができる。
【0021】また、上記金属以外で好ましいインサート
部品7としては、その軽量性・強度との面から、比重が
0.01〜0.5の範囲内の独立発泡構造のフォーム材
が挙げられる。ここでいう独立発泡構造とは、フォーム
材中の発泡セルが各々独立している構造を指す。かかる
フォーム材は、独立発泡構造であることで、そのフォー
ム材中への樹脂の出入りが防止できて、フォーム材近傍
での樹脂リッチ部分の大きさを小さくすることができ
る。ここで、FRP製成形体1が図2のサンドイッチ構
造を形成する場合には、フォーム材はインサート部品
(コア材)7として機能するので極めて適切な材料であ
るといえる。
【0022】次に、上述のように中間基材9同士、ある
いは/及び中間基材9とインサート部品7との間で形成
される空隙11内に、長さ30mm以上の高強度繊維4
aが充填されてなる充填部12を有し、且つ前記中間基
材9や13等と前記充填部12とに、樹脂が一体成形に
て含浸された充填成形部5を有するものである。前記し
たように、プリプレグ成形以外の大量生産向け成形にお
いては、中間基材同士が合流する箇所やインサート物と
の間で、比較的大きな空隙が生じ易い。特に、レジン・
トランスファー成形(RTM成形)と呼ばれる、樹脂が
未含浸(ドライ)の強化繊維を成形型の表面に配置した
後、金属製や樹脂フィルム製の成形型の上面を覆って、
樹脂を注入する成形法においては、ドライの繊維は形態
が不安定であり、かつ、所定の位置で固定しづらいた
め、FRP同士が合流する箇所やインサート物との間
で、数100cm3にも達する3次元複雑形状の大きなボ
イドや樹脂リッチ部分が生じることがある。
【0023】通常、ボイドや樹脂リッチ部分の体積が強
化繊維と同レベルの数μmのサイズであると、外観や機
械物性への影響は無視できる場合があるが、100〜1
000mm3のサイズともなると、周囲との収縮特性と
剛性の差により、成形体表面に凹み、ゆがみ、ソリが発
生して表面平滑性を低下させるばかりか、前記サイズの
ボイドは成形体の全体破壊を引き起こすに足る大きさの
クラックの発生源となる。空隙の差し渡し長さが100
mm以上であると、最初は小さなクラックでも最終的に
は100mm程度に成長することから、如何に高強度な
FRPといえども成形体の全体破壊を引き起こす可能性
が大きく、高強度繊維の充填を施す意味は大きい。
【0024】そこで、本発明のFRP製成形体1では、
この空隙11に30mm以上の長さの高強度繊維4aを
充填して、充填部12を形成させ、且つ前記中間基材
9、13等と前記充填部12とに、樹脂が一体成形にて
含浸された充填成形部5を有することにより、これら両
部材内部に存在する空隙を効率よく補強し、本発明の課
題を解決するものである。
【0025】前記範囲の長さを有する高強度繊維4aを
充填する目的は、応力集中する空隙部の強度を向上さ
せ、クラックの発生を抑えることによる成形体の鏡面精
度を向上させると同時に、力学的特性の低下を最小限に
抑えることにある。高強度繊維の長さが30mm未満で
あると、繊維強化理論が教えるように、応力集中の源で
ある繊維端部の数が増えて強度が十分発現しないためで
あるばかりか、繊維端部に回り込む樹脂が増えるため、
繊維の長手方向の収縮変形量は、同じ繊維量を空隙に充
填した場合よりも大きくなり、成形体の外観を低下させ
る。前記長さ以上であると、空隙への充填量、即ち前記
充填部12における高強度繊維の体積含有率が高くな
り、より高強度・低収縮化とすることが可能となるばか
りか、一度に大量の高強度繊維を空隙部に充填できるた
め、成形の作業効率が向上し、より高い生産性が得られ
るという2次的な効果、後述する高強度繊維の体積含有
率の調整が適切に行えるという3次的な効果をも発現す
る。なお、高強度繊維の長さの上限は、FRP製成形体
のサイズに依存するが、人間が取り扱うという場合であ
ると1000mm程度が上限といえる。
【0026】ここで、充填成形部5における高強度繊維
4aの体積含有率は、空隙部以外のFRP2、7等の強
化繊維の体積含有率をVfとすると、0.5Vf〜1.
1Vfの範囲内であるのが好ましい。本範囲より大きい
と充填成形部5の方が荷重負担が増し、本範囲未満であ
ると充填成形部5の全成形体への寄与が低下するため好
ましくない。なお、表面平滑性に影響する収縮という点
からは、充填成形部5における高強度繊維4aの体積含
有率は、40〜70%の範囲内が好ましい。
【0027】上記の高強度繊維4aは、その補強効果の
面から、引張強度が1.5GPa以上の高強度繊維であ
ることが好ましく、例えば炭素繊維やガラス繊維を、チ
ョッパーや鋏などの切断機で切断したものが例として挙
げられる。また、用いる高強度繊維は、成形体を構成す
る強化繊維と同一の強化繊維であることも好ましい選択
である。このような高強度繊維を使用することで、線膨
張係数を併せて熱などによる変形量を成形体全体で均一
となり、より確実に表面品位が確保できる。
【0028】さらに、上記の高強度繊維4aは、1mあ
たり2〜50ターン(以下、2〜50T/mと略す)の
撚りあることが好ましい。撚りが有ることで、空隙に充
填する際に発生しやすい高強度繊維の切断を抑制でき、
結果的に充填成形部5を高強度にでき、目的とする外観
と力学的特性がより得られやすくなる。また、撚りが有
ることで、上記高強度繊維4aの体積率を本発明の範囲
にすることが容易となり、充填成形部5をより高強度、
小変形とすることができる。
【0029】充填する高強度繊維4aには、硬化してい
ない樹脂が含浸されたものであることも好ましい。樹脂
が含浸されたものを使用することで、成形時に高強度繊
維4aにより確実に樹脂を含浸させることが可能となる
と同時に、充填成形部5の高強度繊維量をより簡便に調
整することも可能となるからである。
【0030】また、本発明の充填成形部5は、FRP製
成形体1のいかなる場所に存在しても差し支えないが、
表成形体の縁や表面に近い部分、特にFRP製成形体1
の端部から1〜50mmの範囲内であると、より効果的
となる。即ち、FRP製成形体1の端部から1mm以下
の成形体の表面は有る程度補修が可能であるため本発明
の効果を最大限に発現しにくく、50mmより内側に入
ると内部のヒケが緩和されてしまう場合があり、表面平
滑性に影響を与えない場合がある。特に、充填成形部5
の形状が線状であるには、ヒケが目立つと同時にクラッ
ク長さも大きくなるので、このような場合には、長さ5
0mm以上の高強度繊維が寄り合わされて紙縒状の形態
を有する高強度繊維束を線状の空隙に予め充填して、一
体成形することが、作業効率上も効果的である。
【0031】本発明のFRP製成形体1は、同じ形状の
FRP製成形体1が数千以上生産される大量生産が要求
される自動車部材やスポーツ用品等の用途向けのFRP
製成形体に適する。特に、自動車部材は、要求される成
形体の形状が複雑なため空隙が生じやすく、本発明は自
動車用途向け成形体に用いられると、その効果を最大限
に発揮するため好ましい。また、表面平滑性、力学的物
性の面からも、自動車用途は本技術の適用に最も適する
用途分野であるといえる。
【0032】本発明のFRP製成形体の製造方法として
は、オートクレーブ成形以外の成形法であるRTM、R
FI、ハンドレイアップ製造法が適用できるが、その中
でも大量生産に適したRTM成形にて成形するのが好ま
しい。なお、かかるRTM成形には、SCRIMP法や
RIM(レジン・インジェクション・モールディング成
形法)、RRIM(レジン・リアクション・インジェク
ション・モールディング成形法)、マッチドダイ法等が
含まれる。
【0033】
【実施例】以下に本発明の実施例と比較例について説明
する。 実施例1〜3、比較例1、2 図3は、一体成形される前の本発明のFRP製成形体の
一例の斜視図である。また、図1は、図3に示される一
体成形される前のFRP製成形体8を一体成形したFR
P製成形体の一例の斜視図である。図3に示した一体成
形される前のFRP製成形体において、中間基材の折り
返し部10で形成される空隙11に、本発明の高強度繊
維4aを充填しないで成形した場合と、充填して充填部
12を形成し、中間基材9と中間基材13と充填部12
とに、樹脂をRTM成形法にて含浸して、FRP2とF
RP6と充填成形部5とに成形した場合について、特性
比較を行った。なお、樹脂としてはエポキシ樹脂を使用
した。
【0034】具体的には、長さ100mm、幅100m
mの目付250g/m2の炭素繊維織物2プライしてな
る中間基材13の上に、更に同織物2プライしてなる中
間基材9を重ね、重ねた織物を空隙11を幅30mm、
折り重ねしろ50mmをとるように180°折り返し、
折り返し部10に形成される空隙11(体積350mm
3、差し渡し長さ100mm)に高強度繊維4aを充填
せずに充填部12を形成せずに一体成形した場合(比較
例1)と、繊維長さ5mm程度のガラスチョップド繊維
充填して充填部12を形成して一体成形した場合(比較
例2)と、長さ30mmの高強度炭素繊維4a(引張強
度4.9GPa)を長さ方向に配置し充填して充填部1
2を形成して一体成形した場合(実施例1)と、80m
mの高強度炭素繊維4a(引張強度3.5GPa)を2
0T/m撚ったものを長さ方向に配置し充填して充填部
12を形成して一体成形した場合(実施例2)と、80
mmの高強度炭素繊維4a(引張強度3.5GPa)を
40T/m撚ったものを長さ方向に配置し充填して充填
部12を形成して一体成形した場合(実施例3)の5水
準である。
【0035】なお、充填成形部5における高強度繊維4
aの体積含有率は、比較例1は0%、比較例2は39
%、実施例1は44%、実施例2は50%、実施例3は
55%であった。
【0036】得られたFRP製成形体1に関して、下記
の評価を行った。得られた評価結果を表1に記す。 (1)充填成形部5の断面観察 サンプルをダイヤモンドカッターで切断後、サンドペー
パーで磨き、目視、及び光学顕微鏡で観察した。 (2)表面平滑性 FRP製成形体1の表面に形成された欠陥について、目
視により判断した。 (3)写像鮮明性 本発明の写像鮮明性とは、ASTM D 5767に基
づくものを指す。本実施例では、図1に記すFRP製成
形体の中間基材を一体成形したFRP6の表面につい
て、写像鮮明度測定器(スガ試験機(株)携帯写像鮮明
度測定器HA−NSIC)を用いて、ユガミやアバタの
指標となるNSICについて測定し、その値を、以下の
基準に沿って評価した。
【0037】写像鮮明性の基準:×=NSICが1未
満、△=NSICが1以上10未満の範囲、○=NSI
Cが10以上20未満の範囲、○○=NSICが20以
上。
【0038】得られたFRP製成形体を評価した結果、
上記評価項目(1)について、比較例1は、空隙11に
樹脂が充填し、樹脂リッチ部分が形成されていた。ま
た、この樹脂リッチ部分には多くのボイドが観察され
た。これは空隙11の流動抵抗が小さいために、樹脂が
一度は含浸したものの通り抜けてしまう現象、いわゆる
ウェットスルー現象を起こしてしまうことにより生じる
と考えられる。
【0039】比較例2は、5mmの長さのガラスチョッ
プド繊維に樹脂が含浸して、充填成形部5が形成されて
いるものの、所々に5mm3程度のサイズのボイドが見
られ、その箇所ではドライのガラスチョップド繊維が観
察された。これはガラスチョップド繊維を充填する際に
生じる、ガラスチョップド繊維の充填密度の差(ムラあ
るいは粗密差)により場所により流動抵抗に差が生じた
ためと考えられる。
【0040】実施例1は、本発明の高強度繊維4aを用
いて空隙11を充填しているため、充填成形部5にボイ
ドは観測されなかった。基材に用いている織物と充填材
の量がほぼ等しいために、中間基材部9と充填部12の
樹脂の流路抵抗が近く、樹脂が均一に流れ、含浸したた
めと考えられる。
【0041】実施例2、3も、同様に充填成形部5にボ
イドは観測されなかった。また、実施例2と3とは、空
隙11への高強度繊維4aの充填に要する作業時間がサ
ンプル2の1/10と、短い作業時間で済んだ。
【0042】また、上記評価項目(2)について、比較
例1は樹脂で満たされた充填成形部5に沿って大きな樹
脂ヒケが見られ、比較例2は、上記したボイドの影響も
あって、不均一な樹脂ヒケが見られた。
【0043】実施例1〜3はヒケは見られなかった。
尚、実施例2の写像鮮明性はオートクレーブ成形により
市販されている外板に匹敵するレベルであった。
【0044】更に、上記評価項目(3)について、写像
鮮明性は、実施例2、1および3、比較例2、1の順に
高く、実施例2が最も写像鮮明性(ここではNSIC)
に優れている。これは目視の結果と同様の傾向であっ
た。本発明により、FRP製成形体の外観品位は著しく
向上していることが明らかである。
【0045】以上をまとめたのが、次の表1である。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明は、FRP製の成形体であって、
少なくとも強化繊維からなる中間基材同士、あるいは、
中間基材とインサート部品との間で形成される空隙内
に、長さ30mm以上の高強度繊維が充填されている充
填部を有し、前記中間基材と前記充填部とに樹脂が一体
成形にて含浸されるた充填成形部を有することから、以
下のような作用効果を発揮する。
【0048】1)樹脂リッチ部分やボイドを無くすこと
が出来るため、表面平滑性に優れ、かつ力学的特性にも
優れるFRP製成形体を得ることが出来る。
【0049】2)空隙への高強度繊維の充填作業効率が
向上し、大量生産に向いている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のFRP製成形体の一体成形後の一例
の斜視図である。
【図2】 図1とは異なる態様の本発明のFRP製成形
体の一体成形後の一例の斜視図である。
【図3】 本発明のFRP製成形体の一体成形前の一例
の斜視図である。
【符号の説明】
1:FRP製成形体 2:中間基材を一体成形したFRP 3:中間基材の折り返し部を一体成形したFRP折り返
し部 4:一体成形された空隙 4a:高強度繊維 5:充填部を一体成形した充填成形部 6:中間基材を一体成形したFRP 7:インサート部品 8:一体成形前のFRP製成形体 9:中間基材 10:中間基材の折り返し部 11:空隙 12:充填部 13:中間基材
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:20 B29K 105:20 Fターム(参考) 4F100 AA37A AA37B AA37C AB01B AG00B AK01B BA03 BA07 BA10A BA10C DB07 DG01B DG12A DG12C DH01A DH01C DJ02B EJ82B GB90 JA02B JB13B JK01B JK02B JK15 JL02 YY00B 4F204 AA39 AB16 AB18 AB25 AD03 AD17 AD35 AM32 EA06 EA08 EB01 EB11 EF02 EF27

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチック製の成形体であっ
    て、少なくとも強化繊維からなる中間基材同士、あるい
    は、中間基材とインサート部品との間で形成される空隙
    内に、長さ30mm以上の高強度繊維が充填されてなる
    充填部を有し、前記中間基材と前記充填部とに、樹脂が
    一体成形にて含浸された充填成形部を有することを特徴
    とするFRP製成形体。
  2. 【請求項2】 充填成形部における高強度繊維の体積含
    有率が、40〜70%の範囲内であることを特徴とする
    請求項1に記載のFRP製成形体。
  3. 【請求項3】 高強度繊維の引張強度が、1.5GPa
    以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    FRP製成形体。
  4. 【請求項4】 高強度繊維が、2〜50ターン/mの範
    囲内の撚りを有することを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載のFRP製成形体。
  5. 【請求項5】 高強度繊維が、未硬化状態の熱硬化性樹
    脂が含浸されてなることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載のFRP製成形体。
  6. 【請求項6】 空隙の体積が、100〜1000mm3
    の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載のFRP製成形体。
  7. 【請求項7】 充填成形部が、FRP製成形体の端部か
    ら1〜50mmの範囲内にあることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載のFRP製成形体。
  8. 【請求項8】 インサート部品が、独立した発泡セルを
    有する独立発泡構造のフォーム材および/または線膨張
    係数が5×10-6〜25×10-6/℃の範囲内の金属で
    あることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    FRP製成形体。
  9. 【請求項9】 少なくとも次の第1〜第3工程からなる
    ことを特徴とするFRP製成形体の製造方法。 第1工程:少なくとも強化繊維からなる中間基材同士、
    あるいは中間基材とインサート部品との間で形成される
    空隙内に、長さ30mm以上の高強度繊維を充填する充
    填工程。 第2工程:少なくとも前記中間基材と前記高強度繊維と
    を成形型の表面に配置した後に、それぞれの部材に同時
    に樹脂を含浸させる成形工程。 第3工程:FRP製成形体が取り出せる剛性を発現する
    程度まで前記樹脂を硬化または重合させた後に、前記成
    形型から取り出す取出工程。
  10. 【請求項10】 前記第2工程において、レジン・トラ
    ンスファー成形法(RTM成形法)にて、樹脂を含浸さ
    せて成形することを特徴とする請求項9に記載のFRP
    製成形体の製造方法。
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