JP2002216329A - スライダ、ヘッド・アセンブリおよびディスク・ドライブ装置 - Google Patents

スライダ、ヘッド・アセンブリおよびディスク・ドライブ装置

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JP2002216329A
JP2002216329A JP2001001967A JP2001001967A JP2002216329A JP 2002216329 A JP2002216329 A JP 2002216329A JP 2001001967 A JP2001001967 A JP 2001001967A JP 2001001967 A JP2001001967 A JP 2001001967A JP 2002216329 A JP2002216329 A JP 2002216329A
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disk
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shaped recording
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JP2001001967A
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Sachiyo Baba
幸代 馬場
Yasunori Kawamoto
康憲 川本
Shunichiro Ota
俊一郎 太田
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    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B21/00Head arrangements not specific to the method of recording or reproducing
    • G11B21/16Supporting the heads; Supporting the sockets for plug-in heads
    • G11B21/20Supporting the heads; Supporting the sockets for plug-in heads while the head is in operative position but stationary or permitting minor movements to follow irregularities in surface of record carrier
    • G11B21/21Supporting the heads; Supporting the sockets for plug-in heads while the head is in operative position but stationary or permitting minor movements to follow irregularities in surface of record carrier with provision for maintaining desired spacing of head from record carrier, e.g. fluid-dynamic spacing, slider
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/48Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed
    • G11B5/58Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with provision for moving the head for the purpose of maintaining alignment of the head relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following
    • G11B5/60Fluid-dynamic spacing of heads from record-carriers
    • G11B5/6005Specially adapted for spacing from a rotating disc using a fluid cushion

Landscapes

  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高回転速度化および高記録密度化された高性
能なHDDにおいてサーボ情報の書き込みが可能である
とともに、データの読み出し、書き込み信頼性を確保す
る。 【解決手段】 スライダ3aのセンタ・パット53a
を、その幅方向において、線対称な形状とする。線対称
の典型例として、流入縁10に臨む辺が、流入縁10と
略平行な直線状をなす形態がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクに対
してデータの読み、書きを行うためのヘッドを備えたス
ライダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンピュータのデータ記録手段として最
も一般的なハード・ディスク・ドライブ(HDD)は、
単数または複数の磁気ディスクを同軸上に配置し、それ
をスピンドル・モータで駆動する構造を有している。デ
ータの読み出し、書き込みは、前記磁気ディスクに対向
して設けた磁気ヘッドにより行われ、この磁気ヘッドは
アクチュエータ、一般的にはボイス・コイル・モータ
(以下、VCM)により揺動される。前記磁気ディス
ク、磁気ヘッドおよびアクチュエータは、ディスク・エ
ンクロージャと呼ばれる筐体に収納されている。ディス
ク・エンクロージャは、薄箱状の例えばアルミニウム合
金製ベースと、ベースの開口部を封止するトップ・カバ
ーとから構成される。データの読み出し、書き込みを行
う磁気ヘッドは、データ書き込み用の変換器(Transduc
er)とデータ読み出し用の磁化手段とを別個に設けるも
のがある。読み出し用の磁化手段としては、磁気抵抗
(MR:Magneto Resistive)効果、さらには巨大磁気
抵抗(GMR:Giant Magneto Resistive) 効果を利用
したものが実用化されている。MRまたはGMRを適用
した読み出し用の磁化手段は、ノイズの影響を受けにく
いため、ディスクの記録密度を高めることが可能であ
る。
【0003】磁気ヘッドはスライダと称される部材の所
定位置に配置されている。したがって、磁気ヘッドを含
めてスライダと呼ぶこともあるし、単にスライダと呼ぶ
場合でも磁気ヘッドを意味していることもある。つま
り、磁気ヘッドとスライダとは等価なものと認識される
ことがある。さて、磁気ヘッドが磁気ディスクに対して
データの読み出し、書き込みを行う際には、磁気ヘッド
(スライダ)は磁気ディスク上に所定の間隔を隔てて浮
上する。磁気ヘッドの磁気ディスク上における浮上は、
磁気ディスクの回転によって磁気ディスク上に誘起され
る空気軸受け(Air Bearing、以下エア・ベアリングと
称す)によって引き起こされる。このことから、磁気デ
ィスクと対向するスライダの面を、空気ベアリング面
(Air Bearing Surface、以下ABSと称す)と呼ぶ
が、このABSの性状がスライダの浮上に大きな影響を
及ぼすことになる。
【0004】データの読み出し、書き込みを重視する場
合には、磁気ディスクからのスライダの浮上高さ(Flyi
ng Height)は、低いことが望ましい。磁気ディスクと
磁気ヘッドとの間の磁気的な相互作用を十分に確保する
ためである。したがって、高密度の磁気記録には低浮上
のスライダを採用することが望ましいのである。もっと
も、浮上高さが低すぎると、磁気ディスク表面の微小な
突起と接触する危険性が出てくる。したがって、高密度
の磁気記録を実現するためには、磁気ディスク表面を平
滑化することが重要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】HDDにおける主要な
技術課題としては、磁気ディスク1枚あたりの記録容量
を向上すること、および磁気ディスクに記録されている
データの読み出し、磁気ディスクへのデータの書き込み
の速度を向上すること、が掲げられる。後者について
は、磁気ヘッドが磁気ディスク上の必要なトラックに移
動するシーク時間を短縮することによって、データの読
み出し、書き込み速度を向上することができる。磁気ヘ
ッドは前述のようにVCMにより駆動されているため、
このVCMの性能をアップすることによりシーク速度を
速くすることが可能である。VCMの性能をアップする
ためには、VCMを構成する永久磁石をより磁気特性の
強いものにするか、またはその厚みを厚くして、ボイス
・コイルに印加される磁界を大きくすればよい。また、
磁気ディスクの回転速度を速くすることによりデータの
読み出し、書き込み速度を向上することができる。
【0006】ところで、HDDは製造段階で磁気ディス
クにサーボ情報を書き込む。サーボ情報は、HDD外部
からサーボ情報書き込み用のヘッドを導入し、例えば磁
気ディスクの1記録面にサーボ情報を書き込む。その
後、当該サーボ情報をHDDが有する磁気ヘッドにより
読み出すとともに、他の記録面に対してはHDDが有す
る他の磁気ヘッドを用いて書き込んでいる。サーボ情報
は磁気ディスクに対して厳密に書き込む必要があるた
め、磁気ディスクの回転速度を、磁気ディスクにフラッ
タ(Flutter)が生じないような低速度とする必要があ
る。一方で、サーボ書き込み時の磁気ディスクの回転速
度が遅すぎると、スライダを磁気ディスクから浮上させ
ることができず、サーボの書き込み自体ができなくな
る。したがって、HDD使用時における浮上高さ(公称
浮上高さ)が高くなるようにスライダのABSを設計す
ることにより、サーボ書き込み時の低回転速度において
もスライダの浮上高さを確保していた。ところが、HD
Dの高性能化のために記録密度が大きくなると、スライ
ダの浮上高さが低くないと磁気ディスクに対するデータ
の読み出し、書き込みの信頼性を確保することができな
い。このことは、HDDの高性能化のためには、スライ
ダの公称浮上高さを低減しなければならないことを意味
しており、サーボ書き込みのために公称浮上高さを高く
するという手法を採用しにくくなる。
【0007】以上説明したように、HDDの高性能化、
つまり磁気ディスクの定格回転速度の向上および記録密
度の増大に対応するスライダの理想的な浮上高さは、サ
ーボ情報の書き込みに要求される低回転速度から高速な
定格回転速度にわたって低いレベルでしかも磁気ディス
クの内周側および外周側にわたって変動が少ないことで
ある。本発明は、このような理想的な浮上高さを実現で
きるスライダを提供することにより、高回転速度化およ
び高記録密度化された高性能なHDDにおいてサーボ情
報の書き込み、データの読み出し、書き込み信頼性を確
保することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】従来、磁気ディスクが回
転を停止している非動作時にはスライダを磁気ディスク
上に形成した退避領域に着地させ、磁気ディスクが回転
を開始すると退避領域からスライダを浮上させるととも
に磁気ディスクのデータ記録領域に移動(シーク)させ
る形式のHDDがある。このHDDは、コンタクト・ス
タート・アンド・ストップ(Contact Start and Stop:
CSS)型のHDDと称されている。CSS型のHDD
とは異なり、非動作時には磁気ディスクの外方に設けた
ランプにスライダを退避させるタイプのロード/アンロ
ード(Load/Unload)型のディスク・ドライブ装置も存
在する。現在、CSS型からロード/アンロード(Load
/Unload)型へとHDDのタイプは移行している。CS
S型のHDDは、前記退避領域を、一般的に、磁気ディ
スクの内周域に設けている。この退避領域は、表面が平
滑であるとスライダが磁気ディスク表面と吸着するおそ
れがあるため、その表面を意図的に粗くしている。スラ
イダが退避領域で磁気ディスク表面に衝突することを避
けるため、CSS型のHDDにおいては、磁気ディスク
の内周側においてスライダがより速く、つまり低回転速
度でも浮上できるようにスライダのABSを設計してい
た。ところが、このようなスライダは、磁気ディスク外
周側においては、低回転速度での浮上高さを確保するこ
とができない。したがって、サーボ書き込み時の磁気デ
ィスクの回転速度は、磁気ディスク外周側で所定の浮上
高さが得られる回転速度を基準とする必要があることか
ら、速い回転速度に設定する必要がある。このことは、
より低い回転速度でサーボの書き込みを行いたいという
要請に反する。ところが、ロード/アンロード型のHD
Dは、前述のように、非動作時には磁気ディスクの外方
に設けたランプにスライダを退避させるから、磁気ディ
スク上の特定の位置において低回転速度で所定の浮上高
さを確保するという考えを導入する必要がない。
【0009】磁気ディスク内周側において低回転速度で
も浮上できるスライダが、磁気ディスク外周側において
は低回転速度での浮上高さを確保することができない理
由は、磁気ディスク内周側と外周側とでは、スライダが
受けるエア・フローの方向に差異があるためである。詳
しくは後述する発明の実施の形態の欄で説明するが、ス
ライダの浮上高さは、スライダに正圧(Positive Press
ure)を付与するためのパッドがエア・フローをどのよ
うに受けるかということに影響される。つまり、磁気デ
ィスク内周域において低回転速度でも浮上できるスライ
ダは、磁気ディスク内周側に位置するときに受けるエア
・フローによってより高く浮上できるように前記パッド
の形状が定められるが、この形状が磁気ディスク外周側
において浮上高さを得るために有効とは限らないのであ
る。
【0010】浮上高さに最も影響を与えるのは正圧であ
る。正圧は、一般に、磁気ディスクの回転速度が速くな
ればなるほど高くなる。磁気ディスクの角速度ωが一定
であっても、周速度Vは、その半径方向の位置rによっ
て変動する。つまり、周速度Vは、V=r・ωであるか
ら、磁気ディスクの外周領域ほど周速度Vは大きくな
る。したがって、正圧による浮上高さは、磁気ディスク
の外周領域ほど上昇することになる。負圧(Negative P
ressure)型のスライダは、この上昇分に見合うだけの
負圧を発生させることにより、磁気ディスクにおける半
径方向の位置による浮上高さの変動を抑えることを主目
的として開発されたものである。また、より低い回転速
度においてスライダを浮上させることができ、しかも浮
上高さを低減することが可能となる。この意味で、負圧
型のスライダは高性能化が要求されるHDDにとって好
適な技術と言えよう。
【0011】そこで本発明者は、ロード/アンロード型
のHDDに用いられるある特定の負圧型スライダについ
て検討を行ったところ、正圧を司るパッドの形状を調整
することにより前述した本発明の課題を解決できること
を知見した。すなわち本発明は、ディスク状記録媒体と
対向配置されかつデータの読み・書きヘッドを支持する
スライダであって、空気の流入縁と流出縁を有しかつ前
記流入縁と前記流出縁との間に形成されたエア・ベアリ
ング面を有するスライダ本体と、前記エア・ベアリング
面に形成されかつ前記流出縁側に先端部が配置される略
U字状のレールと、前記レールの先端部と前記流出縁と
の間に形成される1対のランディング・パッドと、前記
1対のランディング・パッド間に配置されかつ前記スラ
イダに対する正圧を司るセンタ・パッドとを備え、前記
センタ・パッドは、その幅方向において、線対称の形状
をなすことを特徴とするスライダである。センタ・パッ
ドが、本発明のスライダのように、その幅方向におい
て、線対称の形状をなしていると、ディスク状記録媒体
の内周域および外周域における浮上高さの変動を抑制す
ることができる。なお本発明において、流入縁は流出縁
よりも、ディスク状記録媒体の回転方向に沿って上流側
に配置される。
【0012】本発明のスライダにおいて、センタ・パッ
ドを、流入縁に臨む辺が、流入縁と略平行な直線状とす
ることができる。また本発明のスライダにおいて、レー
ル上でかつ流入縁側および1対のランディング・パッド
間に、スライダに対する正圧を司るパッドを形成するこ
とができる。そして、レールに囲まれた領域に、負圧発
生面を形成することにより、本発明のスライダは、負圧
型のスライダとして機能し、より低い回転速度で浮上す
るとともに、ディスク状記録媒体の半径方向の位置によ
る浮上高さの変動抑制効果をより顕著にすることができ
る。
【0013】また本発明は、ディスク状記録媒体と対向
配置されかつデータの読み・書きヘッドを支持するスラ
イダと、前記スライダを支持しかつ前記ディスク状記録
媒体上を移動させるための揺動型アクチュエータとから
なるヘッド・アセンブリであって、前記スライダは、前
記ディスク状記録媒体の回転方向に所定の間隔をおいて
配置される流入縁および流出縁と、前記ディスク状記録
媒体の径方向に所定の間隔をおいて配置される内側縁お
よび外側縁とを有し、かつ前記流入縁と前記流出縁と前
記内側縁と前記外側縁との間に形成されたエア・ベアリ
ング面を有するスライダ本体と、前記流入縁に沿って形
成されたクロス・レールと、前記クロス・レールの両端
から前記流出縁に向けて延びる1対のサイド・レール
と、前記クロス・レールと前記1対のサイド・レールの
境界部に形成されかつ前記スライダの正圧を司る第1の
パッドと、前記1対のサイド・レールの前記流出縁側端
部と前記流出縁との間に形成される1対のランディング
・パッドと、前記1対のランディング・パッド間に形成
されるセンタ・レールと、前記センタ・レール上に形成
されかつ前記スライダの正圧を司る第2のパッドとを備
え、前記第2のパッドは、前記スライダが前記ディスク
状記録媒体の内周域および外周域において受ける前記デ
ィスク状記録媒体の回転によって生ずるエア・フローに
対して等方的な形状をなすことを特徴とするヘッド・ア
センブリを提供する。本発明のヘッド・アセンブリにお
いて、第2のパッドは、スライダがディスク状記録媒体
の内周域および外周域において受ける前記ディスク状記
録媒体の回転によって生ずるエア・フローに対して等方
的な形状をしているから、前記ディスク状記録媒体の内
周域および外周域におけるスライダの浮上高さの変動を
抑制することができる。
【0014】本発明のヘッド・アセンブリにおいて、第
2のパッドは、ディスク状記録媒体の内周域と外周域に
おける、ディスク状記録媒体の回転によるスライダの浮
上高さの変動を抑制するように形成することが望まし
い。また本発明のヘッド・アセンブリにおいて、第2の
パッドは、ディスク状記録媒体の内周域においてディス
ク状記録媒体の回転により生ずるエア・フローによって
受ける圧力と、ディスク状記録媒体の外周域においてデ
ィスク状記録媒体の回転により生ずるエア・フローによ
って受ける圧力との差を抑制するように構成することが
望ましい。さらに本発明において、前記クロス・レール
と前記1対のサイド・レールとに囲まれる領域に、前記
ディスク状記録媒体の回転に伴い、前記スライダに対し
て負圧を付与するための負圧ポケットを形成することが
望ましい。なお、本発明において、内側縁とは、スライ
ダをディスク状記録媒体に対向配置された状態で、ディ
スク状記録媒体の内周側に配置される縁をいう。また、
外側縁とは、スライダをディスク状記録媒体に対向配置
された状態で、ディスク状記録媒体の外周側に配置され
る縁をいう。
【0015】本発明はさらに、回転軸を中心に回転駆動
しかつデータを記録するディスク状記録媒体と、前記デ
ータの記録再生を行うヘッドを備えたスライダと、前記
ディスク状記録媒体上で前記スライダをシークするため
のアクチュエータと、前記ディスク状記録媒体と前記ス
ライダと前記アクチュエータとを収容する筐体と、を備
え、前記スライダは、前記ディスク状記録媒体の回転方
向に所定の間隔をおいて配置される流入縁および流出縁
と、前記ディスク状記録媒体の径方向に所定の間隔をお
いて配置される内側縁および外側縁とを有し、かつ前記
流入縁と前記流出縁と前記内側縁と前記外側縁との間に
形成されたエア・ベアリング面を有するスライダ本体
と、前記エア・ベアリング面の中央部に形成された負圧
発生面と、前記流入縁に沿って形成されかつ前記負圧発
生面より突出したクロス・レールと、前記クロス・レー
ルの両端から前記流出縁に向けて延びかつ前記クロス・
レールと同一の高さを有する1対のサイド・レールと、
前記クロス・レールと前記1対のサイド・レールの境界
部に突出して形成されかつ前記スライダの正圧を司る第
1のパッドと、前記1対のサイド・レールの前記流出縁
側端部と前記流出縁との間に形成されかつ前記サイド・
レールと同一の高さを有する1対のランディング・パッ
ドと、前記1対のランディング・パッド間に形成されか
つ前記ランディング・パッドと同一の高さを有するセン
タ・レールと、前記センタ・レール上に突出して形成さ
れかつ前記スライダの正圧を司る略矩形の平面形状を有
する第2のパッドとを備え、前記第2のパッドは、前記
内側縁と略平行な第1の辺と前記外側縁と略平行な第2
の辺とを有し、前記第1の辺に対する前記第2の辺の長
さの比が0.8〜1.2の範囲にあることを特徴とするデ
ィスク・ドライブ装置を提供する。本発明のディスク・
ドライブ装置は、第2のパッドを構成する第1の辺と第
2の辺とが、第1の辺に対する第2の辺の長さの比が
0.8〜1.2になるように設定されているから、ディス
ク状記録媒体の内周域および外周域におけるスライダ浮
上高さの変動を抑制することができる。本発明のディス
ク・ドライブ装置において、前記第1の辺に対する前記
第2の辺の長さの比は、0.9〜1.1の範囲とすること
が望ましい。
【0016】本発明のディスク・ドライブ装置によれ
ば、前記ディスク状記録媒体の回転速度が4000rp
mのときの前記ディスク状記録媒体内周域における前記
スライダの浮上高さより、前記ディスク状記録媒体の回
転速度が10000rpmのときの前記ディスク状記録
媒体内周域における前記スライダの浮上高さが高く、そ
の変動が40%以下とすることができる。また本発明の
ディスク・ドライブ装置によれば、前記ディスク状記録
媒体の回転速度が4000rpmのときの前記ディスク
状記録媒体外周域における前記スライダの浮上高さよ
り、前記ディスク状記録媒体の回転速度が10000r
pmのときの前記ディスク状記録媒体外周域における前
記スライダの浮上高さが高く、その変動が20%以下と
することができる。つまり、本発明のディスク・ドライ
ブ装置は、ディスク状記録媒体の内周域および外周域に
おけるスライダ浮上高さの変動を抑制することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下本発明を実施の形態に基づき
説明する。図7に本実施の形態によるHDD(ハード・
ディスク・ドライブ)1の構成概略を示す。図7におい
て、ディスク状記録媒体である磁気ディスク2は、スピ
ンドル・モータ(図示せず)によって図中白抜き矢印方
向に回転駆動される。磁気ディスク2は、ガラスまたは
アルミニウム基板上に磁気記録層としての磁性薄膜を備
えている。また、図7において、スライダ3を備えたア
クチュエータ4は、ピボット軸Pを中心に図中実線矢印
で示す範囲を揺動する。この範囲は、磁気ディスク2の
データ記録領域の最内周(ID)および最外周(OD)
の範囲として定義される。アクチュエータ4の揺動運動
は、アクチュエータ4の一端に設けたボイス・コイル・
モータ用コイル5aとボイス・コイル・モータ用磁石5
bとから構成されるボイス・コイル・モータ5により実
現される。また、HDD1は、ロード/アンロード型の
装置であり、非動作時にスライダ3を退避、保持するラ
ンプ7が磁気ディスク2の外方に設けてある。以上の磁
気ディスク2、アクチュエータ4等のHDD1を構成す
る部品は、アルミニウム合金等で構成される筐体である
ベース6内に収容される。ベース6の開口部はトップ・
カバーと称される板状の部材で封止される。磁気ディス
ク2は、通常、その表裏両面に磁気記録層を形成するた
め、1枚の磁気ディスク2には、図8に示すように、そ
の表裏両面に対応して2つのスライダ3が対向配置され
る。そして、スライダ3の磁気ディスク2に対向する面
にABS(Air Bearing Surface:空気ベアリング面)
が形成される。
【0018】本実施の形態のスライダ3は、ABSに負
圧を発生させる負圧(Negative Pressure)型のスライ
ダである。負圧型のスライダ3は、負圧と正圧(Positi
ve Pressure)、さらにアクチュエータ4による負荷(L
oad)ばねによる弾性力の釣合によりスライダ3の浮上
高さが決定される。前述したように、負圧型のスライダ
3は、磁気ディスク2における半径方向の位置による浮
上高さの変動を抑えることができ、しかもより低い回転
速度において所定の浮上高さを得ることができる。
【0019】さて、本発明者は、4つの異なるABSを
持つスライダ3を作成し、磁気ディスク2のIDおよび
ODにおいて種々の回転速度で磁気ディスク2を回転さ
せてその浮上高さを測定した。図1〜図4に、測定に用
いたスライダ3のABSを示す。なお、以下、図1〜図
4に示すスライダ3を各々3a,3b,3cおよび3d
とする。詳しくは後述するが、スライダ3a,3b,3
cおよび3dは、センタ・レール上に位置し、正圧を司
るセンタ・パッドの形態が相違している。なお、図1〜
図4における、濃淡は高さを意味しており、最も濃い部
分が最も高く、白色の部分は最も低い部分であることを
示している。
【0020】図1おいて、スライダ3aは、流入縁(Le
ading Edge)10、流出縁(Trailing Edge)11、内
側縁12および外側縁13を有している。流入縁10
は、回転する磁気ディスク2上に、ABSを対向させて
スライダ3aを所定の浮上高さをもって浮上させたとき
に、空気が流入してくる縁である。流入縁10から流入
した空気は流出縁11から流出される。また、内側縁1
2および外側縁13からも僅かに空気が流入し、流出縁
11から流出される。スライダ3aは、1対のサイド・
レール20,21およびクロス・レール22を有してい
る。サイド・レール20,21は、クロス・レール22
と接続され、全体としてU字状のレールを構成する。サ
イド・レール20,21は、両者で正圧を受けてスライ
ダ3aの浮上時の左右のバランスを保つために形成され
る。サイド・レール20,21の先端と流出縁11との
間には所定の距離が設けられている。サイド・レール2
0,21とクロス・レール22との境界には、ABSパ
ッド51および52が形成されている。ABSパッド5
1および52は、スライダ3aにおいて、正圧を司る部
位である。サイド・レール20,21の先端と流出縁1
1との間には、1対のランディング・パッド30a,3
1aが形成されている。ここで、スライダ3aが磁気デ
ィスク2に対向配置された状態において、ランディング
・パッド30aは磁気ディスク2の内周側に、ランディ
ング・パッド31aは磁気ディスク2の外周側に配置さ
れる。サイド・レール20,21を流出縁11まで延ば
して形成することもできるが、磁気ディスク2の径方向
の位置によってスライダ3の浮上高さが変動しやすい。
ところが、本実施の形態のスライダ3aのように、サイ
ド・レール20,21を所定の長さに抑えつつランディ
ング・パッド30a,31aを形成する形態とすると、
スライダ3aの浮上高さを磁気ディスク2の径方向の位
置にかかわらず安定させることができる。また、このラ
ンディング・パッド30a,31aは、スライダ3aが
磁気ディスク2と接触してしまったときに、後述する磁
気ヘッド部分を保護するための補助輪としての機能を有
している。ランディング・パッド30a,31aとの間
には、センタ・レール40が形成されている。このセン
タ・レール40は、磁気ディスク2回転時にスライダ3
aに負圧を付与する。そして、センタ・レール40の上
には、センタ・パッド53aが形成されている。センタ
・パッド53aも、ABSパッド51および52ととも
に、スライダ3aにおいて、正圧を司る。
【0021】前述のように、図1において、濃淡が高さ
を示している。また、図1には、A−A断面、B−B断
面を示しているが、ABSパッド51,52およびセン
タ・パッド53aが最も高い。ABSパッド51,52
およびセンタ・パッド53aは同一の高さを有してい
る。サイド・レール20,21、クロス・レール22、
ランディング・パッド30a,31aおよびセンタ・レ
ール40は、ABSパッド51,52およびセンタ・パ
ッド53aの次に高い。サイド・レール20,21、ク
ロス・レール22、ランディング・パッド30a,31
aおよびセンタ・レール40は同一の高さを有してい
る。他の部分は最も高さの低い部分である。この部分
は、図1において白色で示されている。この面は、AB
Sパッド51,52およびセンタ・パッド53aを基準
とすると凹部60になる。そしてこのポケット状の凹部
60が負圧発生面となる。スライダ3aのABSを以上
のような段差を有する面とするための好適なプロセス
は、イオン・ミリング(Ion Milling)である。つま
り、所定形状のマスクを施した状態でイオン・ミリング
によりスライダ3aをエッチングすることにより、図1
に示す形態のABSを得ることができる。もっとも、ス
ライダ3aは、3つの段差を有しているから、イオン・
ミリングによるエッチングを2段階に分けて行う必要が
ある。このような手法は周知であるので、詳しい説明は
省略する。
【0022】スライダ3aは、例えば、炭化チタン(T
iC)とアルミナ(Al23)とのセラミックス混合化
合物(Al23−TiC)から構成される。ただし、流
出縁11から所定の幅部分は、アルミナ(Al23)か
ら構成される。このアルミナ(Al23)部分に、デー
タ書き込み用の変換器およびデータ読み出し用の磁化手
段、つまり磁気ヘッドが形成されている。この部分は微
小なため、記載を省略している。
【0023】以上、図1に記載のスライダ3aについて
説明したが、図2〜図4に示すスライダ3b〜3dも基
本的には同様の形状を有している。したがって、図2〜
図4に示すスライダ3b〜3dについては、主な相違点
についてのみ触れ、他の図1と同一の部分とみなせる部
分には同一の符号を付してその説明を省略する。図2に
示すスライダ3bは、図1に示したスライダ3aと、ラ
ンディング・パッド30b,31bの形態が異なる。つ
まり、図1のスライダ3aは、サイド・レール20,2
1に臨む側に凸部を形成している。そして、この凸部
を、内側縁12,外側縁13に寄せて配置している。こ
れに対して図2のスライダ3bは、図1のスライダ3a
と同様に、サイド・レール20,21に臨む側に凸部を
形成している。しかし、図2のスライダ3bは凸部をラ
ンディング・パッド30b,31bの幅方向(図中、左
右方向のこと)の中央に形成している。センタ・レール
40上に形成したセンタ・パッド53bは、図1に示し
たスライダ3aのセンタ・パッド53aとほぼ同様の形
状をしている。図3に示すスライダ3cは、図1のスラ
イダ3aと、センタ・レール40上に形成したセンタ・
パッド53cの形態が異なる。つまり、図1のスライダ
3aはセンタ・パッド53aの流入縁10側に臨む側が
ほぼ直線状をなしているのに対し、図3のスライダ3c
はセンタ・パッド53cの流入縁10側に臨む側に凸部
が形成されている。この凸部は、外側縁13の側に寄せ
て形成されている。また、ランディング・パッド30
c,31cの形態が、図1のスライダ3aのランディン
グ・パッド30a,31aの形態と異なる。図4に示す
スライダ3dは、図1のスライダ3aと、センタ・レー
ル40上に形成したセンタ・パッド53dの形態が異な
る。つまり、図1のスライダ3aはセンタ・パッド53
aの流入縁10側に臨む側がほぼ直線状をなしているの
に対し、図4のスライダ3dはセンタ・パッド53dの
流入縁10側に臨む側に凸部が形成されている。ただ
し、図3に示すスライダ3cとは凸部を形成した部位が
異なり、図4のスライダ3dは、内側縁12の側に寄せ
て凸部を形成している。また、ランディング・パッド3
0d,31dの形態が、図1のスライダ3aのランディ
ング・パッド30a,31aの形態と異なる。なお、以
下の説明において、センタ・パッド53a〜53dを、
センタ・パッド53と総称することがある。
【0024】以上の各種スライダ3a〜3dを用いて磁
気ディスク2のIDおよびODにおける浮上高さを測定
した結果を、図5および図6に示す。なお、図5は磁気
ディスク2の内周側にスライダ3a〜3dを配置して測
定した結果を、また、図6は磁気ディスク2の外周側に
スライダ3a〜3dを配置して測定した結果を示してい
る。
【0025】図5に示すように、図1に示したスライダ
3aおよび図2に示したスライダ3bは、4000rp
mの低回転速度においても所定の浮上高さが得られた。
この回転速度においてスライダ3aおよびスライダ3b
を用いてサーボ情報の書き込みを行ったところ、適正に
サーボ情報を書き込むことができた。なお、図5に示す
ように、スライダ3aおよびスライダ3bは、4000
rpmから10000rpmまで、浮上高さの挙動がほ
とんど一致している。図3に示したスライダ3cは、低
回転速度における浮上高さが大きく、回転速度が速くな
るにつれて浮上高さは直線的に低下する。スライダ3c
は、前述したCSS型のHDD1に適しているというこ
とができる。図4に示したスライダ3dは、スライダ3
cとは逆に回転速度が速くなるにつれて浮上高さが高く
なる。また、回転速度による浮上高さの変動について見
ると、スライダ3aおよびスライダ3bが最も変動が少
ない。
【0026】以上の結果より、次のことが言える。ま
ず、スライダ3aとスライダ3bの比較において、ラン
ディング・パッド30a〜31bの形態に拘わらず、セ
ンタ・パッド53a,53bの、流入縁10側に臨む側
を直線状とすることにより、サーボ情報の書き込みが可
能な程度の浮上高さを得て、かつ回転速度の増大による
浮上高さの変動を抑制することができる。ちなみに、ス
ライダ3aおよびスライダ3bは4000rpmのとき
の浮上高さに対する10000rpmのときの浮上高さ
の変動率が約30%であるのに対して、スライダ3dは
約95%である。この変動率は、40%以下、さらには
30%以下に抑えることが望ましい。また、スライダ3
a〜3dにおいて、ABSパッド51,52の形態、特
に流入縁10側に臨む側に設ける凸部の位置を操作する
ことによって、磁気ディスク2のIDまたはODで浮上
しやすくすることができる。
【0027】次に図6において、スライダ3aおよびス
ライダ3bは、4000rpmから10000rpmま
での範囲で、浮上高さの変動が最も少ない。また、図5
に示したIDの測定結果では、4000rpmから10
000rpmまでの範囲において、スライダ3c,スラ
イダ3aおよびスライダ3b,スライダ3dの順に浮上
高さが高くなっている。これに対して、図6では、回転
速度によって、浮上高さの順位に変動がある。つまり、
5000rpm以下の範囲では、スライダ3c,スライ
ダ3d,スライダ3aおよびスライダ3bの順で浮上高
さが高いが、7000rpmを超えるとスライダ3cの
浮上高さが増大し、10000rpmではスライダ3c
の浮上高さが最も高くなる。スライダ3aおよびスライ
ダ3bは、4000rpmでは最も浮上高さが高いが、
10000rpmではスライダ3dと同等の浮上高さと
なり、回転速度による浮上高さの変動が少ないことが伺
える。ちなみに、スライダ3aおよびスライダ3bは4
000rpmのときの浮上高さに対する10000rp
mのときの浮上高さの変動率が約10%であるのに対し
て、スライダ3cは約65%である。この変動率は、2
0%以下、さらには10%以下に抑えることが望まし
い。また、図5をも参照すれば、スライダ3aおよびス
ライダ3bは、IDおよびODによる浮上高さの変動が
少ないことがわかる。
【0028】以上の図5および図6に示した結果より、
スライダ3aおよびスライダ3bは、IDおよびODに
おいて4000rpm程度の低回転速度でサーボ情報の
書き込みが可能な程度の浮上高さを確保することができ
る。しかも、10000rpmといった高回転速度にお
いても浮上高さが必要以上に高くなることがない。した
がって、スライダ3aおよびスライダ3bは、高回転速
度および高記録密度を採用する高性能なHDD1に適用
しても十分に実用に耐え得る特性を有している。スライ
ダ3cは、IDにおける低回転速度での浮上高さが高い
ことから、CSS型のHDD1にとって好適であるが、
10000rpmという高回転速度においては、浮上高
さが高いために磁気ディスク2との間の磁気的な相互作
用が弱くなる。スライダ3cは、IDにおける低回転速
度の浮上高さが不十分であり、サーボ情報の書き込みが
できなかった。
【0029】センタ・パッド53a,53b,53cお
よび53dの形状による浮上高さの挙動が相違する原因
を確認するため、ABSにおけるエア・フローをシミュ
レーション(Simulation)により求めた。このエア・フ
ローは、磁気ディスク2にスライダ3が対向した状態で
磁気ディスク2の回転によりABSに生ずるエア・フロ
ーをシミュレートしたものである。図9にその結果を示
す。なお、図9はスライダ3cについての結果である。
また、図9(a)はスライダ3cが磁気ディスク2のI
Dに位置したときの結果を、図9(b)はスライダ3c
が磁気ディスク2のODに位置したときの結果を示して
いる。センタ・パッド53c近傍のエア・フローに着目
する。図9(a)においては、内側縁12から外側縁1
3に向けたエア・フローがセンタ・パッド53cに対し
て突き当たることがわかる。図9(b)においては、図
9(a)とは逆に、外側縁13から内側縁12に向けた
エア・フローがセンタ・パッド53cに対して突き当た
ることがわかる。ここで、センタ・パッド53cは凸部
を有しており、図9(a)の場合、つまりスライダ3c
がIDに位置しているときにはセンタ・パッド53cの
凸部がエア・フローをせき止めるような機能を発揮する
ものと推察される。エア・フローがせき止められると、
それだけセンタ・パッド53cに作用する圧力(正圧)
が大きくなり、スライダ3cの浮上を容易にする。した
がって、スライダ3cはIDにおいて、低回転速度でも
所定の浮上高さを確保することができたものと推測され
る。
【0030】スライダ3a,3bおよび3dにおいて
も、ABSにおけるIDおよびODのエア・フローの方
向は、基本的に図9に示したスライダ3cの場合と同様
と考えてよい。したがって、スライダ3aおよびスライ
ダ3bは、スライダ3cのようにセンタ・パッド53
a,53bに凸部を有しない場合は、IDおよびOD各
々において凸部によるエア・フローのせき止め機能を発
揮することがない。つまり、IDまたはODのいずれか
において浮上しやすいということがないのである。ま
た、スライダ3dの場合は、スライダ3dがODに存在
するときにセンタ・パッド53dがエア・フローをせき
止める機能を発揮することができる。スライダ3dの場
合に、IDよりもODで低回転速度の浮上高さを確保で
きるのは、このためであろう。
【0031】スライダ3cおよびスライダ3dについ
て、IDおよびODに存在するときに生ずる圧力を測定
した。その結果、スライダ3cはIDにおける圧力がO
Dにおける圧力の2倍に、またスライダ3dはODにお
ける圧力がIDにおける圧力の1.6倍であった。スラ
イダ3cはIDにおいてセンタ・パッド53cの凸部に
よるエア・フローのせき止め効果が生じ、またスライダ
3dはODにおいてセンタ・パッド53dの凸部による
エア・フローのせき止め効果が生じると推測されること
に符合する。
【0032】以上説明したように、IDおよびODまで
浮上高さを均等にするためには、センタ・パッド53
に、スライダ3cおよびスライダ3dのような凸部を形
成することは望ましくない。スライダ3aおよびスライ
ダ3bのように、エア・フローを受ける面、より具体的
には、流入縁10に臨む側を直線状とすることが望まし
い。もっとも、直線状という例は、以上の測定結果、シ
ミュレーションからすると、あくまで一形態にすぎな
い。つまり、センタ・パッド53の流入縁10に臨む側
が、IDおよびODにおいて受けるエア・フローに対し
て方向性を持たない等方的な形状とすればよいのであ
る。この典型例がスライダ3aおよびスライダ3bの直
線状なのである。エア・フローに対して方向性を持たな
い他の例として、図10に示すように、センタ・パッド
53の流入縁10に臨む側に凸部を形成することもでき
る。図10の例のように、凸部を形成したとしても、セ
ンタ・パッド53の幅方向に線対称となるように形成す
れば、その形態はエア・フローに対して方向性を持たな
いことになる。線対称となる他の形態として、図11に
示すように、センタ・パッド53の幅方向中央に凸部を
形成する例がある。
【0033】スライダ3cおよび3dのセンタ・パッド
53c,53dのように、凸部が端に寄って形成されて
いる場合でも、凸部の突出量が少なければ、エア・フロ
ーに対して方向性を持たない形態とみなすことができ
る。エア・フローに対して方向性を持たない形態に該当
するか否かの尺度として、内側縁12および外側縁13
に臨むセンタ・パッド53の2つの辺の比を用いること
ができる。ここで、図12に示すように、センタ・パッ
ド53の内側縁12に臨む辺をa、外側縁13に臨む辺
をbとする。辺aの長さをLa、辺bの長さをLbとす
る。このとき、本発明においては、辺aに対する辺bの
長さの比、つまりLb/Laが0.8〜1.2の範囲にあ
れば、エア・フローに対して方向性を持たない形態とみ
なせる。この比が1に近づくにつれて、エア・フローに
対して方向性を持たない望ましい形態となることはいう
までもない。具体的には、辺aに対する辺bの長さの比
が0.9〜1.0の範囲、さらには0.95〜1.05の範
囲とすることが望ましい。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高回転速度化された高性能なHDDにおいてサーボ情報
の書き込みが可能であるとともに、データの読み出し、
書き込み信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スライダ3aのABSを示す図である。
【図2】 スライダ3bのABSを示す図である。
【図3】 スライダ3cのABSを示す図である。
【図4】 スライダ3dのABSを示す図である。
【図5】 スライダ3a〜3dを磁気ディスク2の内周
側に位置した状態で回転速度による浮上高さを測定した
結果を示すグラフである。
【図6】 スライダ3a〜3dを磁気ディスク2の外周
側に位置した状態で回転速度による浮上高さを測定した
結果を示すグラフである。
【図7】 HDD1の構成を説明するための図である。
【図8】 スライダ3の配置状態を示す斜視図である。
【図9】 スライダ3cにおけるエア・フロー(Air Fl
ow)をシミュレーションにより求めた結果を示す図であ
る。
【図10】 本発明によるセンタ・パッド53の変形例
を示す図である。
【図11】 本発明によるセンタ・パッド53の他の変
形例を示す図である。
【図12】 本発明によるセンタ・パッド53の他の変
形例を示す図である。
【符号の説明】 1…HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、2…磁気
ディスク、3,3a,3b,3c,3d…スライダ、4
…アクチュエータ、5…ボイス・コイル・モータ、5a
…ボイス・コイル・モータ用コイル、5b…ボイス・コ
イル・モータ用磁石、6…ベース、7…ランプ,10…
流入縁、11…流出縁、12…内側縁、13…外側縁、
20,21…サイド・レール、22…クロス・レール、
30a,30b,30c,30d,31a,31b,3
1c,31d…ランディング・パッド、40…センタ・
レール、51,52…ABSパッド、53,53a,5
3b,53c,53d…センタ・パッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川本 康憲 神奈川県藤沢市桐原町1番地 日本アイ・ ビー・エム株式会社 藤沢事業所内 (72)発明者 太田 俊一郎 神奈川県藤沢市桐原町1番地 日本アイ・ ビー・エム株式会社 藤沢事業所内 Fターム(参考) 5D042 NA02 PA10 QA02 QA03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク状記録媒体と対向配置されかつ
    データの読み・書きヘッドを支持するスライダであっ
    て、 空気の流入縁と流出縁を有しかつ前記流入縁と前記流出
    縁との間に形成されたエア・ベアリング面を有するスラ
    イダ本体と、 前記エア・ベアリング面に形成されかつ前記流出縁側に
    先端部が配置される略U字状のレールと、 前記レールの先端部と前記流出縁との間に形成される1
    対のランディング・パッドと、 前記1対のランディング・パッド間に配置されかつ前記
    スライダに対する正圧を司るセンタ・パッドとを備え、 前記センタ・パッドは、その幅方向において、線対称の
    形状をなすことを特徴とするスライダ。
  2. 【請求項2】 前記センタ・パッドは、前記流入縁に臨
    む辺が、前記流入縁と略平行な直線状をなすことを特徴
    とする請求項1に記載のスライダ。
  3. 【請求項3】 前記レール上に前記スライダに対する正
    圧を司るパッドが形成され、かつ前記レールに囲まれた
    領域に、負圧発生面が形成されたことを特徴とする請求
    項1に記載のスライダ。
  4. 【請求項4】 ディスク状記録媒体と対向配置されかつ
    データの読み・書きヘッドを支持するスライダと、 前記スライダを支持しかつ前記ディスク状記録媒体上を
    移動させるための揺動型アクチュエータとからなるヘッ
    ド・アセンブリであって、 前記スライダは、 前記ディスク状記録媒体の回転方向に所定の間隔をおい
    て配置される流入縁および流出縁と、前記ディスク状記
    録媒体の径方向に所定の間隔をおいて配置される内側縁
    および外側縁とを有し、かつ前記流入縁と前記流出縁と
    前記内側縁と前記外側縁との間に形成されたエア・ベア
    リング面を有するスライダ本体と、 前記流入縁に沿って形成されたクロス・レールと、 前記クロス・レールの両端から前記流出縁に向けて延び
    る1対のサイド・レールと、 前記クロス・レールと前記1対のサイド・レールの境界
    部に形成されかつ前記スライダの正圧を司る第1のパッ
    ドと、 前記1対のサイド・レールの前記流出縁側端部と前記流
    出縁との間に形成される1対のランディング・パッド
    と、 前記1対のランディング・パッド間に形成されるセンタ
    ・レールと、 前記センタ・レール上に形成されかつ前記スライダの正
    圧を司る第2のパッドとを備え、 前記第2のパッドは、前記スライダが前記ディスク状記
    録媒体の内周域および外周域において受ける前記ディス
    ク状記録媒体の回転によって生ずるエア・フローに対し
    て等方的な形状をなすことを特徴とするヘッド・アセン
    ブリ。
  5. 【請求項5】 前記第2のパッドは、前記ディスク状記
    録媒体の内周域と外周域における、前記ディスク状記録
    媒体の回転による前記スライダの浮上高さの変動を抑制
    するように形成されたことを特徴とする請求項4に記載
    のヘッド・アセンブリ。
  6. 【請求項6】 前記スライダは、前記ディスク状記録媒
    体の内周域において前記ディスク状記録媒体の回転によ
    り生ずるエア・フローによって受ける圧力と、前記ディ
    スク状記録媒体の外周域において前記ディスク状記録媒
    体の回転により生ずるエア・フローによって受ける圧力
    との差を抑制するように構成されていることを特徴とす
    る請求項4に記載のヘッド・アセンブリ。
  7. 【請求項7】 前記クロス・レールと前記1対のサイド
    ・レールとに囲まれる領域に、前記ディスク状記録媒体
    の回転に伴い、前記スライダに対して負圧を付与するた
    めの負圧ポケットが形成されたことを特徴とする請求項
    4に記載のヘッド・アセンブリ。
  8. 【請求項8】 回転軸を中心に回転駆動しかつデータを
    記録するディスク状記録媒体と、 前記データの記録再生を行うヘッドを備えたスライダ
    と、 前記ディスク状記録媒体上で前記スライダをシークする
    ためのアクチュエータと、 前記ディスク状記録媒体と前記スライダと前記アクチュ
    エータとを収容する筐体と、を備え、 前記スライダは、 前記ディスク状記録媒体の回転方向に所定の間隔をおい
    て配置される流入縁および流出縁と、前記ディスク状記
    録媒体の径方向に所定の間隔をおいて配置される内側縁
    および外側縁とを有し、かつ前記流入縁と前記流出縁と
    前記内側縁と前記外側縁との間に形成されたエア・ベア
    リング面を有するスライダ本体と、 前記エア・ベアリング面の中央部に形成された負圧発生
    面と、 前記流入縁に沿って形成されかつ前記負圧発生面より突
    出したクロス・レールと、 前記クロス・レールの両端から前記流出縁に向けて延び
    かつ前記クロス・レールと同一の高さを有する1対のサ
    イド・レールと、 前記クロス・レールと前記1対のサイド・レールの境界
    部に突出して形成されかつ前記スライダの正圧を司る第
    1のパッドと、 前記1対のサイド・レールの前記流出縁側端部と前記流
    出縁との間に形成されかつ前記サイド・レールと同一の
    高さを有する1対のランディング・パッドと、 前記1対のランディング・パッド間に形成されかつ前記
    ランディング・パッドと同一の高さを有するセンタ・レ
    ールと、 前記センタ・レール上に突出して形成されかつ前記スラ
    イダの正圧を司る略矩形の平面形状を有する第2のパッ
    ドとを備え、 前記第2のパッドは、前記内側縁と略平行な第1の辺と
    前記外側縁と略平行な第2の辺とを有し、前記第1の辺
    に対する前記第2の辺の長さの比が0.8〜1.2の範囲
    にあることを特徴とするディスク・ドライブ装置。
  9. 【請求項9】 前記第1の辺に対する前記第2の辺の長
    さの比が、0.9〜1.1の範囲にあることを特徴とする
    請求項8に記載のディスク・ドライブ装置。
  10. 【請求項10】 前記ディスク状記録媒体の回転速度が
    4000rpmのときの前記ディスク状記録媒体内周域
    における前記スライダの浮上高さより、前記ディスク状
    記録媒体の回転速度が10000rpmのときの前記デ
    ィスク状記録媒体内周域における前記スライダの浮上高
    さが高く、その変動が40%以下であることを特徴とす
    る請求項8に記載のディスク・ドライブ装置。
  11. 【請求項11】 前記ディスク状記録媒体の回転速度が
    4000rpmのときの前記ディスク状記録媒体外周域
    における前記スライダの浮上高さより、前記ディスク状
    記録媒体の回転速度が10000rpmのときの前記デ
    ィスク状記録媒体外周域における前記スライダの浮上高
    さが高く、その変動が20%以下であることを特徴とす
    る請求項8に記載のディスク・ドライブ装置。
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