JP2002206453A - エンジン負荷算出装置及び機械損失算出装置 - Google Patents

エンジン負荷算出装置及び機械損失算出装置

Info

Publication number
JP2002206453A
JP2002206453A JP2001002532A JP2001002532A JP2002206453A JP 2002206453 A JP2002206453 A JP 2002206453A JP 2001002532 A JP2001002532 A JP 2001002532A JP 2001002532 A JP2001002532 A JP 2001002532A JP 2002206453 A JP2002206453 A JP 2002206453A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
engine
load
engine load
calculating
speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001002532A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Komori
隆史 小森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yanmar Co Ltd
Original Assignee
Yanmar Diesel Engine Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yanmar Diesel Engine Co Ltd filed Critical Yanmar Diesel Engine Co Ltd
Priority to JP2001002532A priority Critical patent/JP2002206453A/ja
Publication of JP2002206453A publication Critical patent/JP2002206453A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 経年劣化や個体差の影響を受けることなく、
常に、エンジン負荷を正確に求めることができるエンジ
ン負荷算出装置及びこの算出されたエンジン負荷に基づ
いてエンジンの機械損失を正確に算出することができる
機械損失算出装置を提供する。 【解決手段】 回転数検出手段11によって検出された
エンジン回転数からクランク軸2回転毎におけるエンジ
ン回転数の分散値を分散値算出手段12により算出す
る。エンジン回転数の分散値とエンジン負荷との相関関
係を表す相関マップを記憶手段13に記憶させておき、
上記算出されたエンジン回転数の分散値に基づいて、負
荷導出手段14が相関マップからエンジン負荷を求め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン負荷算出
装置及びこの装置の算出結果であるエンジン負荷を利用
してエンジンの機械損失を算出する機械損失算出装置に
係る。特に、本発明は、エンジンの経年劣化や個体差の
影響を受けることなしに、エンジン負荷を正確に算出す
ることができる装置及びこの算出されたエンジン負荷に
基づいて機械損失を正確に算出することができる装置を
得るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えばディーゼルエンジンに
おいてエンジン負荷を算出する手法としては、一般に、
エンジン回転数と燃料噴射量とを検出し、これらの検出
値を利用している。つまり、エンジン回転数、燃料噴射
量、エンジン負荷の相関関係を表す相関マップを予め作
成しておく。そして、運転中のディーゼルエンジンのエ
ンジン回転数を回転数センサにより検出すると共に、燃
料噴射量を決定するためのラック位置を検出し、これら
検出されたエンジン回転数とラック位置から求まる燃料
噴射量とを上記相関マップに当てはめることでエンジン
負荷を求めるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来のエンジン負荷算出手法では、以下のことが原因でエ
ンジン負荷を正確に求めることができない場合があっ
た。つまり、上述した如く、燃料噴射量をラック位置に
置き換えて検出しているため、経年劣化によってラック
位置の操作量に狂いが生じた場合、そのラック位置に応
じた所定の燃料噴射量が得られていない可能性がある。
また、エンジン個々の個体差によってラック位置の操作
量と燃料噴射量との関係に相違が生じていることがあ
る。つまり、複数のエンジンにおいてラック位置を共に
同一の位置に設定しても、それぞれにおいて燃料噴射量
が異なっている可能性がある。
【0004】このように従来のエンジン負荷算出手法で
は、ラック位置の操作量という経年劣化や個体差の影響
を受けやすいものから燃料噴射量を推定していたため、
上記相関マップによって求められるエンジン負荷と実際
のエンジン負荷との間に差が生じ、エンジン負荷を正確
に求めることができない可能性があった。
【0005】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、経年劣化や個体差の
影響を受けることなく、常に、正確な算出結果を出力を
得ることができる装置を提供することにある。つまり、
エンジン負荷を正確に求めることができるエンジン負荷
算出装置及びこの算出されたエンジン負荷に基づいてエ
ンジンの機械損失を正確に算出することができる機械損
失算出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】−発明の概要− 上記の目的を達成するために、本発明は、経年劣化や個
体差の影響を受けることのない観測量を使用してエンジ
ン負荷を求めるようにしている。この観測量としてはエ
ンジン回転数の分散値やエンジンの回転変動エネルギで
ある。
【0007】−解決手段− 具体的に、第1の解決手段は、エンジン負荷算出装置
に、回転数検出手段、分散値算出手段、記憶手段、負荷
導出手段を備えさせている。回転数検出手段は、エンジ
ン回転数を検出するものである。分散値算出手段は、回
転数検出手段の出力を受け、検出されたエンジン回転数
からエンジン1サイクルを基準とする周期毎におけるエ
ンジン回転数の分散値を算出するものである。記憶手段
は、エンジン回転数の分散値とエンジン負荷との相関関
係をエンジン回転数毎に予め記憶したものである。負荷
導出手段は、分散値算出手段の出力を受け、算出された
エンジン回転数の分散値に基づいて、記憶手段に記憶さ
れているエンジン回転数の分散値とエンジン負荷との相
関関係からエンジン負荷を求めるものである。
【0008】この特定事項により、回転数検出手段によ
ってエンジン回転数を検出し、このエンジン回転数から
エンジン1サイクルを基準とする周期毎におけるエンジ
ン回転数の分散値を分散値算出手段が算出する。そし
て、負荷導出手段が、この分散値に基づいて、記憶手段
に記憶されているエンジン回転数の分散値とエンジン負
荷との相関関係からエンジン負荷を求める。つまり、本
発明では、あるエンジン負荷に対応するためには、その
負荷に応じた筒内燃焼が必要となり、その結果がエンジ
ン回転数の分散値という形で現れることを利用してエン
ジン負荷を求めるようにしている。このように、経年劣
化や個体差の影響を受けることのないエンジン回転数の
分散値に基づいてエンジン負荷を求めるようにしている
ため、常に、エンジン負荷を正確に求めることが可能に
なる。
【0009】第2の解決手段は、分散値算出手段による
分散値の算出手法を具体化したものである。つまり、上
記第1の解決手段において、分散値算出手段は、エンジ
ン回転数の分散値を算出する際に使用するエンジン平均
回転数を、前回サイクルにおけるエンジン平均回転数と
している。
【0010】この特定事項により、平均回転数の計算回
数を大幅に削減でき、分散値を算出するための演算処理
時間の短縮化を図ることができる。
【0011】第3の解決手段は、エンジン負荷算出装置
に、回転数検出手段、エネルギ算出手段、記憶手段、負
荷導出手段を備えさせている。回転数検出手段は、エン
ジン回転数を検出するものである。エネルギ算出手段
は、回転数検出手段の出力を受け、検出されたエンジン
回転数からエンジン1サイクルを基準とする周期毎にお
けるエンジンの回転変動エネルギを算出するものであ
る。記憶手段は、回転変動エネルギとエンジン負荷との
相関関係をエンジン回転数毎に予め記憶したものであ
る。負荷導出手段は、エネルギ算出手段の出力を受け、
算出された回転変動エネルギに基づいて、記憶手段に記
憶されている回転変動エネルギとエンジン負荷との相関
関係からエンジン負荷を求めるものである。
【0012】この特定事項においては、あるエンジン負
荷に対応するためには、その負荷に応じた筒内燃焼が必
要となり、その結果がエンジンの回転エネルギの変動と
いう形で現れることを利用してエンジン負荷を求めるよ
うにしている。このように、経年劣化や個体差の影響を
受けることのない回転変動エネルギに基づいてエンジン
負荷を求めるようにしているため、本解決手段によって
も、常に、エンジン負荷を正確に求めることが可能にな
る。
【0013】第4の解決手段は、エネルギ算出手段によ
る回転変動エネルギの算出手法を具体化したものであ
る。つまり、上記第3の解決手段において、エネルギ算
出手段は、回転変動エネルギを4点FFT手法によって
算出するよう構成されている。
【0014】この4点FFT手法によって回転変動エネ
ルギを算出する場合、各気筒の周期毎に4個のデータを
サンプリングするのみでエンジン負荷を正確に求めるこ
とが可能になり、処理演算の簡素化を図ることができ
る。
【0015】第5の解決手段は、エネルギ算出手段によ
る回転変動エネルギの算出手法を更に具体化したもので
ある。つまり、上記第3または第4の解決手段におい
て、エネルギ算出手段は、エンジンの各気筒の燃焼周期
毎にエンジンの回転変動エネルギを算出するよう構成さ
れている。
【0016】この特定事項により、各気筒毎の回転変動
エネルギの差を検出することが可能となり、より高い精
度でエンジン負荷の算出を行うことが可能になる。
【0017】第6の解決手段は、上記各解決手段におい
て算出されたエンジン負荷を利用してエンジンの機械損
失を算出するための装置に係るものである。つまり、エ
ンジンの気筒内圧を検出する内圧検出手段を備えさせ
る。また、上記第1〜第5のうち何れか一つの解決手段
に係るエンジン負荷算出装置の負荷導出手段からのエン
ジン負荷信号及び上記内圧検出手段の出力信号を受け、
気筒内圧に基づいて算出されたエンジンの総出力とエン
ジン負荷とによってエンジンの機械損失を算出する損失
算出手段を備えさせている。
【0018】この特定事項により、上記エンジン負荷算
出装置によって正確なエンジン負荷が算出されているた
め、損失算出手段において算出される機械損失も正確に
算出されることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本形態では、ディーゼルエンジン
の負荷及び機械損失を算出するものとして本発明を適用
した場合について説明する。
【0020】(第1実施形態)先ず、第1実施形態につ
いて説明する。本形態は、エンジン負荷の算出に際しエ
ンジン回転数の分散値を使用していることを特徴とする
ものである。
【0021】図1は、本形態に係るエンジン負荷算出装
置1及び機械損失算出装置2の構成を示すブロック図で
ある。この図に示すように、エンジン負荷算出装置1
は、回転数検出手段11、分散値算出手段12、記憶手
段13及び負荷導出手段14を備えている。一方、機械
損失算出装置2は、内圧検出手段21及び損失算出手段
22を備えている。
【0022】上記回転数検出手段11は、ディーゼルエ
ンジンの回転数を検出するものであり、例えば、エンジ
ンのクランク軸に同期して回転する図示しない回転数検
出用のパルスギアを備えさせ、このパルスギアに対向し
て電磁ピックアップを配置する。エンジンが駆動してパ
ルスギアが回転する際、電磁ピックアップがパルスギア
の歯を検出する(回転するパルスギアの歯の通過タイミ
ングの検出を行う)ことでエンジン回転数が検出できる
ようになっている。
【0023】分散値算出手段12は、回転数検出手段1
1の出力を受け、検出されたエンジン回転数からエンジ
ン1サイクル(4ストロークエンジンの場合にはクラン
ク軸の2回転)を基準とする周期毎におけるエンジン回
転数の分散値を算出するものである。以下、この分散値
算出手段12による分散値の算出手法について説明す
る。
【0024】一般に、ディーゼルエンジンは、ある一定
のエンジン回転数を維持させようとする際、エンジン負
荷が小さい場合には、燃料噴射量が比較的少なくても回
転数維持が可能である。一方、エンジン負荷が大きい場
合には、燃料噴射量を比較的多くしなければ回転数が維
持できない。周知の如く、ディーゼルエンジンの運転時
には、「圧縮」「爆発」「膨張」「排気」の行程が繰り
返されており、燃料噴射量によって「爆発行程」時にお
けるピストンの速度は異なることになる。図2(a)
は、低負荷時におけるエンジン回転数の変動状態を示
し、図2(b)は、高負荷時におけるエンジン回転数の
変動状態を示している。つまり、所定時間当たり(例え
ば1分当たり)のエンジン回転数は同一(図2(a)及
び(b)における平均回転数は一致している)であって
も、各行程に伴って僅かに変化する(例えば「爆発行
程」時にはピストンが加速されて一時的にエンジン回転
数が上昇し、逆に「圧縮行程」時にはピストンが減速さ
れて一時的にエンジン回転数が下降する)エンジン回転
数の変動幅はエンジン負荷によって異なることになる。
本形態では、この局部的なエンジン回転数の変化に着目
し、エンジン回転数の分散値(図2において斜線を付し
た部分の面積)を求めるべく、分散値算出手段12を備
えさせている。
【0025】この分散値算出手段12では、以下の式
(1)によってエンジン1サイクル毎の分散値が求めら
れる。尚、ここでは、上記パルスギア(歯車)の歯が電
磁ピックアップを通過する度に、データサンプリングが
行われて局部的な(パルスギヤの歯が通過した瞬間の)
エンジン回転数が検出されるようになっている。また、
本形態の場合、エンジン回転数の分散値を算出する際に
使用するエンジン平均回転数aveとして、前回サイク
ルにおける平均回転数を利用している。例えば、3気筒
エンジンの場合には、図2(b)における時間Lの間
(クランク軸が2回転する間)に各気筒において「爆発
行程」が順に行われ、この時間Lの周期の前の周期にお
ける平均回転数が利用されることになる。
【0026】
【数1】
【0027】記憶手段13は、上記エンジン回転数の分
散値とエンジン負荷との相関関係をエンジン回転数毎に
予め記憶している。具体的には、図3に示すように、縦
軸をエンジン回転数の分散値とし、横軸をエンジン負荷
として、これらの相関関係をエンジン回転数毎(例え
ば、1200rpm、1500rpm、1800rpm、210
0rpm、2400rpm毎)に設定した相関マップを予め作
成しておき、記憶手段13はこの相関マップを記憶して
いる。
【0028】負荷導出手段14は、上記分散値算出手段
12の出力を受け、算出されたエンジン回転数の分散値
に基づいて、記憶手段13に記憶されている相関マップ
からエンジン負荷を求めるようになっている。そして、
この負荷導出手段14は、導き出したエンジン負荷を機
械損失算出装置2の損失算出手段22に出力するように
なっている。
【0029】一方、機械損失算出装置2に備えられた内
圧検出手段21は、エンジンの総出力を求めるべく、エ
ンジンの気筒内圧を検出するものである。
【0030】また、損失算出手段22は、上記内圧検出
手段21及びエンジン負荷算出装置1の負荷導出手段1
4からの出力信号を受け、気筒内圧に基づいて算出され
たエンジンの総出力とエンジン負荷とによって機械損失
を算出するものである。以下、この機械損失の算出手順
について説明する。先ず、運転中のディーゼルエンジン
の気筒内圧を上記内圧検出手段21によって検出し、そ
の検出値から以下の式(2−1)〜(2−3)によりエ
ンジンの出力トルクTmを算出する。
【0031】
【数2】
【0032】同時に、そのときの負荷トルクTLと回転
数とを計測する。上記エンジン出力トルクTmと負荷ト
ルクTLとの差から回転数を算出した場合、図4のAに
示すように、エンジン回転が加速することになる。これ
は、今、エンジンの機械損失を考慮していないためであ
る。従って、このエンジン出力トルクTmと負荷トルク
Lとの差(Tm−TL)から更にトルクTFを差し引き、
このトルクTFの値がエンジン回転が加速しない値(図
4のBの状態となる値)となった場合に、このトルクT
Fを機械損失トルクとして求める。つまり、以下の式
(3)が成立するようにトルクTFを設定し、この場合
のトルクTFを機械損失トルクとして求める。
【0033】
【数3】
【0034】このように、本形態では、エンジンの経年
劣化や個体差の影響を受けることのないエンジン回転数
の分散値に基づいてエンジン負荷を求めるようにしてい
るため、常に、エンジン負荷を正確に求めることが可能
になる。つまり、ラック位置から求められる燃料噴射量
によってエンジン負荷を算出するといった従来の手法を
採用していないため、実際のエンジン負荷に略一致した
エンジン負荷の算出値を得ることが可能となる。そし
て、この正確に算出されたエンジン負荷に基づいて機械
損失が算出されるため、この算出された機械損失も正確
に得られるものとなる。
【0035】(第2実施形態)次に、第2実施形態につ
いて説明する。本形態は、エンジン負荷の算出に際しエ
ンジンの回転変動エネルギを使用していることを特徴と
するものであり、それ以外の構成は上述した第1実施形
態のものと同様である。従って、ここでは、第1実施形
態との相違点についてのみ説明する。
【0036】図5は、本形態に係るエンジン負荷算出装
置1及び機械損失算出装置2の構成を示すブロック図で
ある。この図に示すように、エンジン負荷算出装置1
は、回転数検出手段11、エネルギ算出手段15、記憶
手段13及び負荷導出手段14を備えている。一方、機
械損失算出装置2は、内圧検出手段21及び損失算出手
段22を備えている。
【0037】エネルギ算出手段15は、回転数検出手段
11の出力を受け、検出されたエンジン回転数からエン
ジン1サイクルを基準とする周期毎におけるエンジンの
回転変動エネルギを算出するものである。以下、このエ
ネルギ算出手段15による回転変動エネルギの算出手法
について説明する。
【0038】このエネルギ算出手段15は、4点FFT
(高速フーリエ変換)手法によって回転変動エネルギを
算出するようになっている。この4点FFT手法は、周
期Tの波形信号に対してT/4の間隔で計測した4個の
データを用いて、周期Tの信号のエネルギ、振幅、位相
を算出する手法として一般に知られている。今、図6に
示すような正弦波形を考える。この波形の振幅を周波数
軸上で表すと、実数成分と複素数成分とによって表現す
ることができる。その行列式が以下の式(4−1)であ
る。この行列式におけるデータ(x0,x1,x2,x3
は、図6にも示すようにT/4の間隔で計測したデータ
値である。この行列式におけるX0は直流成分、X1は基
本波(第1高調波)成分、X2及びX3は折り返し成分で
ある。今、上記正弦波形のエネルギを求めるために必要
とするのは基本波成分であるX 1のみである。上記行列
式を展開したものを式(4−2)に示す。つまり、この
4つの式のうちX1の式が基本波成分を表現したものと
して得られることになる。
【0039】
【数4】
【0040】この基本波成分の式を回転変動エネルギと
して得るために、実数成分及び複素数成分をそれぞれ二
乗する。それによって求められた回転変動エネルギの算
出式を以下の式(5−1)に示す。また、(5−2)及
び(5−3)は、それぞれ振幅及び位相の算出式を示し
ている。
【0041】
【数5】
【0042】このようにして求められた回転変動エネル
ギが、上記第1実施形態で示した面積(図2の波形にお
いて斜線を付した面積)に等価なものとして得られるこ
とになる。
【0043】今、3気筒ディーゼルエンジンについて考
えると、1サイクル(クランク軸の2回転、つまり回転
角720°)において各気筒それぞれにおいて4個のデ
ータを取得することから、図7(a)に示すように(こ
の図7では、データサンプリングタイミングを波形上の
丸印で示している)、クランク軸の回転角度60°毎に
回転数データのサンプリングを行うことになる。このた
め、この3気筒それぞれにおいて爆発行程が行われる上
記回転角度720°中の回転変動エネルギは以下の式
(6)によって表されることになる。
【0044】
【数6】
【0045】尚、4気筒ディーゼルエンジンである場合
には、図7(b)に示すように、クランク軸の回転角度
45°毎に回転数データのサンプリングを行うことにな
る。
【0046】また、本形態における記憶手段13は、エ
ンジンの回転変動エネルギとエンジン負荷との相関関係
をエンジン回転数毎に記憶している。具体的には、上記
図3で示した相関マップと同様に、縦軸をエンジンの回
転変動エネルギとし、横軸をエンジン負荷として、これ
らの相関関係をエンジン回転数毎に設定した相関マップ
を予め作成しておき、記憶手段13はこの相関マップを
記憶している。
【0047】そして、負荷導出手段14は、上記エネル
ギ算出手段15の出力を受け、算出されたエンジンの回
転変動エネルギに基づいて、記憶手段13に記憶されて
いる相関マップからエンジン負荷を求めるようになって
いる。
【0048】一方、機械損失算出装置2では、上述した
第1実施形態の場合と同様に、内圧検出手段21及びエ
ンジン負荷算出装置1の負荷導出手段14からの出力信
号を受け、気筒内圧に基づいて算出されたエンジンの総
出力とエンジン負荷とによって機械損失を算出する。
【0049】このように、本形態においても、エンジン
の経年劣化や個体差の影響を受けることのないエンジン
の回転変動エネルギに基づいてエンジン負荷を求めるよ
うにしているため、常に、エンジン負荷を正確に求める
ことが可能になる。そして、この正確に算出されたエン
ジン負荷に基づいて機械損失が算出されるため、この算
出された機械損失も正確に得られるものとなる。
【0050】−各実施形態の比較− 上述したように、第1実施形態ではエンジン回転数の分
散値に基づいてエンジン負荷を求めるようにしている。
また、第2実施形態ではエンジンの回転変動エネルギに
基づいてエンジン負荷を求めるようにしている。以下、
それぞれの利点及び特徴について説明する。
【0051】先ず、第1実施形態のものでは、データの
サンプリング数やサンプリングタイミングに何ら制約を
受けることがない。このため、データサンプリングのた
めの機構やその動作を簡素化することができる。ところ
が、この第1実施形態のものでは、求められる分散値
は、式(1)からも明らかなように「全ての信号成分」
から「直流成分」のみを差し引くことにより求められて
いる。このため、分散値には、本来必要とする基本波の
成分(1.5次成分…ここではクランク軸1回転当たり
の爆発行程の回数により周波数成分を表示する。つまり
3気筒エンジンの場合にはクランク軸2回転で3回の爆
発行程が行われるので基本波は1.5次成分となり、4
気筒エンジンの場合の基本波は2次成分となる)の他に
不必要な波形成分(3次成分など)も含まれることにな
る。例えば、この3次成分は、全信号成分中におけるエ
ネルギ量の割合がエンジン回転数によって異なることが
知られている。このため、ある一つのエンジン回転数の
みから上記相関関係マップを作成し、それを他のエンジ
ン回転数の場合にも当てはめて流用することはできな
い。この点に鑑み、上記第1実施形態では、エンジン回
転数の分散値とエンジン負荷との相関関係をエンジン回
転数毎に設定した相関マップを作成し、この不具合を回
避できるようにしている。
【0052】一方、第2実施形態のものでは、4点FF
T手法により、基本波の成分(1.5次成分)のみを抽
出することが可能であり、他の不必要な波形成分(3次
成分など)を含むことなしにエンジンの回転変動エネル
ギを求めることができる。また、データのサンプリング
数も各気筒当たり4個といった少ない数で正確な回転変
動エネルギを算出することができ、処理時間の短縮化を
図ることができる。ところが、本第2実施形態の場合に
は、上述した第1実施形態の場合と異なりデータのサン
プリングタイミングを精度よく設定する必要がある。
【0053】−その他の実施形態− 上述した各実施形態では、ディーゼルエンジンの負荷及
び機械損失を算出するものとして本発明を適用した場合
について説明した。本発明は、これに限らずガソリンエ
ンジンその他のエンジンの負荷及び機械損失を算出する
ものとして適用することも可能である。
【0054】また、エンジンの各気筒の燃焼周期毎にエ
ンジンの回転変動エネルギを算出するようにエネルギ算
出手段15を構成した場合には、各気筒毎の回転変動エ
ネルギの差を検出することが可能となり、より高い精度
でエンジン負荷の算出を行うことが可能になる。
【0055】また、本発明におけるエンジン回転数の分
散値やエンジンの回転変動エネルギの算出においては、
エンジン1サイクルを基準とする周期毎に行えばよく、
必ずしもエンジン1サイクル毎に算出する必要はなく、
このエンジン1サイクルの整数倍、例えばエンジン2サ
イクル毎や3サイクル毎に算出するようにしてもよい。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明では、経年劣化や
個体差の影響を受けることのない観測量としてのエンジ
ン回転数の分散値やエンジンの回転変動エネルギを使用
してエンジン負荷を求めるようにしている。従来は、ラ
ック位置から求められる燃料噴射量によってエンジン負
荷を算出していたため、経年劣化によってラック位置の
操作量に狂いが生じた場合やエンジンの個体差によって
適切な燃料噴射量が得られないままエンジン負荷を算出
してしまう場合があった。本発明では、実際のエンジン
負荷に略一致したエンジン負荷の算出値を得ることが可
能となり、算出されたエンジン負荷の値の信頼性の向上
を図ることができる。また、この信頼性の高い値として
得られたエンジン負荷に基づいて機械損失が算出される
ため、この算出された機械損失の信頼性も高く確保され
ることになる。
【0057】また、エンジン回転数の分散値を算出する
際に使用するエンジン平均回転数を、前回サイクルにお
けるエンジン平均回転数とした場合には、平均回転数の
計算回数を大幅に削減でき、分散値を算出するための演
算処理時間の短縮化を図ることができて、エンジン負荷
算出装置の実用性の向上を図ることができる。
【0058】更に、4点FFT手法によって回転変動エ
ネルギを算出するようにした場合には、各気筒の周期毎
に4個のデータをサンプリングするのみでエンジン負荷
を正確に求めることが可能になり、処理演算の簡素化を
図ることができる。従って、これによってもエンジン負
荷算出装置の実用性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るエンジン負荷算出装置及び
機械損失算出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は低負荷時におけるエンジン回転数の変
動状態を示し、(b)は高負荷時におけるエンジン回転
数の変動状態を示す図である。
【図3】分散値とエンジン負荷との相関関係をエンジン
回転数毎に設定した相関マップを示す図である。
【図4】機械損失トルクの算出原理を説明するためのエ
ンジン回転数の変化状態を示す図である。
【図5】第2実施形態に係るエンジン負荷算出装置及び
機械損失算出装置の構成を示すブロック図である。
【図6】4点FFT手法を説明するための正弦波を示す
図である。
【図7】(a)は3気筒エンジンにおけるデータサンプ
リングタイミングを示し、(b)は4気筒エンジンにお
けるデータサンプリングタイミングを示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン負荷算出装置 11 回転数検出手段 12 分散値算出手段 13 記憶手段 14 負荷導出手段 15 エネルギ算出手段 2 機械損失算出装置 21 内圧検出手段 22 損失算出手段
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 362 F02D 45/00 362J 368 368S 35/00 364 35/00 364B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン回転数を検出する回転数検出手
    段と、 上記回転数検出手段の出力を受け、検出されたエンジン
    回転数からエンジン1サイクルを基準とする周期毎にお
    けるエンジン回転数の分散値を算出する分散値算出手段
    と、 エンジン回転数の分散値とエンジン負荷との相関関係を
    エンジン回転数毎に予め記憶した記憶手段と、 上記分散値算出手段の出力を受け、算出されたエンジン
    回転数の分散値に基づいて、記憶手段に記憶されている
    エンジン回転数の分散値とエンジン負荷との相関関係か
    らエンジン負荷を求める負荷導出手段とを備えているこ
    とを特徴とするエンジン負荷算出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエンジン負荷算出装置に
    おいて、 分散値算出手段は、エンジン回転数の分散値を算出する
    際に使用するエンジン平均回転数を、前回サイクルにお
    けるエンジン平均回転数としていることを特徴とするエ
    ンジン負荷算出装置。
  3. 【請求項3】 エンジン回転数を検出する回転数検出手
    段と、 上記回転数検出手段の出力を受け、検出されたエンジン
    回転数からエンジン1サイクルを基準とする周期毎にお
    けるエンジンの回転変動エネルギを算出するエネルギ算
    出手段と、 回転変動エネルギとエンジン負荷との相関関係をエンジ
    ン回転数毎に予め記憶した記憶手段と、 上記エネルギ算出手段の出力を受け、算出された回転変
    動エネルギに基づいて、記憶手段に記憶されている回転
    変動エネルギとエンジン負荷との相関関係からエンジン
    負荷を求める負荷導出手段とを備えていることを特徴と
    するエンジン負荷算出装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のエンジン負荷算出装置に
    おいて、 エネルギ算出手段は、回転変動エネルギを4点FFT
    (Fast Fourier Transform)手法によって算出するよう
    構成されていることを特徴とするエンジン負荷算出装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載のエンジン負荷算
    出装置において、 エネルギ算出手段は、エンジンの各気筒の燃焼周期毎に
    エンジンの回転変動エネルギを算出するよう構成されて
    いることを特徴とするエンジン負荷算出装置。
  6. 【請求項6】 エンジンの気筒内圧を検出する内圧検出
    手段と、 上記請求項1〜5のうち何れか一つに記載のエンジン負
    荷算出装置の負荷導出手段からのエンジン負荷信号及び
    上記内圧検出手段の出力信号を受け、気筒内圧に基づい
    て算出されたエンジンの総出力とエンジン負荷とによっ
    てエンジンの機械損失を算出する損失算出手段とを備え
    ていることを特徴とする機械損失算出装置。
JP2001002532A 2001-01-10 2001-01-10 エンジン負荷算出装置及び機械損失算出装置 Pending JP2002206453A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001002532A JP2002206453A (ja) 2001-01-10 2001-01-10 エンジン負荷算出装置及び機械損失算出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001002532A JP2002206453A (ja) 2001-01-10 2001-01-10 エンジン負荷算出装置及び機械損失算出装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002206453A true JP2002206453A (ja) 2002-07-26

Family

ID=18871022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001002532A Pending JP2002206453A (ja) 2001-01-10 2001-01-10 エンジン負荷算出装置及び機械損失算出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002206453A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008082911A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Mitsuboshi Belting Ltd クランク軸の回転変動評価装置・回転変動評価方法・回転変動評価プログラム
US7610799B2 (en) 2005-05-09 2009-11-03 A&D Company, Ltd. Engine measurement device
KR20140048568A (ko) * 2012-10-16 2014-04-24 콘티넨탈 오토모티브 시스템 주식회사 변속기의 입력축 토크 도출 방법 및 장치

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7610799B2 (en) 2005-05-09 2009-11-03 A&D Company, Ltd. Engine measurement device
JP2008082911A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Mitsuboshi Belting Ltd クランク軸の回転変動評価装置・回転変動評価方法・回転変動評価プログラム
KR20140048568A (ko) * 2012-10-16 2014-04-24 콘티넨탈 오토모티브 시스템 주식회사 변속기의 입력축 토크 도출 방법 및 장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7623955B1 (en) Method for estimation of indicated mean effective pressure for individual cylinders from crankshaft acceleration
US7530261B2 (en) Fourier-based misfire detection strategy
AU750684B2 (en) Process for detecting a misfire in an internal combustion engine and system for carrying out said process
JP4509986B2 (ja) 内燃機関の失火検出装置
US5699253A (en) Nonlinear dynamic transform for correction of crankshaft acceleration having torsional oscillations
US5915272A (en) Method of detecting low compression pressure responsive to crankshaft acceleration measurement and apparatus therefor
JP5026334B2 (ja) 角速度及び角加速度算出装置、トルク推定装置、燃焼状態推定装置
US8256278B2 (en) Engine misfire detection systems and methods using discrete fourier transform approximation
US7293453B2 (en) Misfire detection system for internal combustion engine
WO2002071308A9 (en) Engine control using torque estimation
US9068905B2 (en) Method for determining a rotational speed of a driveshaft of an internal combustion engine
CN101952579B (zh) 用于生成内燃发动机运行循环同步信号的方法
Hamedović et al. IMEP-estimation and in-cylinder pressure reconstruction for multicylinder SI-engine by combined processing of engine speed and one cylinder pressure
US6212945B1 (en) Method and apparatus for combustion quality diagnosis and control utilizing synthetic measures of combustion quality
JPS62267639A (ja) エンジンの上死点の位置決め方法
JP2002206453A (ja) エンジン負荷算出装置及び機械損失算出装置
US5503007A (en) Misfire detection method and apparatus therefor
US6411917B1 (en) Engine speed calculating apparatus
JP2014009591A (ja) エンジンの燃焼状態解析システム
JP2002371906A (ja) 内燃機関の失火判定装置
WO2020174542A1 (ja) エンジントルク推定装置、エンジントルク推定方法及びエンジン制御装置
EP0709663B1 (en) Misfire detection by accelerations in one cycle
JP2009174483A (ja) 内燃機関の制御装置
Łutowicz Unsteady angular speed of diesel engine crankshaft preliminary examination
JP2559516B2 (ja) 内燃機関の燃焼状態検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060627

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20061005