JP2002178507A - 液体噴射ヘッドおよびその駆動方法 - Google Patents

液体噴射ヘッドおよびその駆動方法

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JP2002178507A
JP2002178507A JP2000376779A JP2000376779A JP2002178507A JP 2002178507 A JP2002178507 A JP 2002178507A JP 2000376779 A JP2000376779 A JP 2000376779A JP 2000376779 A JP2000376779 A JP 2000376779A JP 2002178507 A JP2002178507 A JP 2002178507A
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surface acoustic
acoustic wave
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Mamoru Tsukada
護 塚田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面弾性波を利用して吐出液滴の制御性に優
れた新規な構造を備えた液体噴射ヘッドおよびその駆動
方法を提供する。 【解決手段】 表面弾性波の波長程度の厚さとする圧電
体基板1を2枚重ね合わせてその間にノズル4を形成す
るとともに圧電体基板1のノズル4と反対側の面にそれ
ぞれUDT(一方向性櫛型交差指状電極)2を配置す
る。UDT2を一つのパルス波形を位相をずらして順次
入力することで駆動することにより、圧電体基板1のノ
ズル4を形成する壁面上に表面弾性波を発生させ、この
表面弾性波によって生じるノズル壁面の凸状の歪み変形
はノズル4の先端部方向へ移動し、ノズル4内の液体
は、この凸状の歪み変形に引きずられて運動し先端部方
向に移動してノズル先端から液滴として吐出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、櫛型交差指状電極
により発生する表面弾性波を利用して液滴を吐出させる
液体噴射ヘッドおよびその駆動方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の液体噴射方式は、急激に熱を与え
ることによって液体の相転移を引き起こさせ、その発泡
圧力で液滴を吐出させるヒータ駆動方式と、液体の入っ
た加圧室に付設した圧電素子を変形させることによって
液滴を吐出させる圧電(ピエゾ)方式が最も一般的であ
る。これらの方式はいずれも液体噴射ヘッドにより多数
のかつ微細なノズルを高密度に配置しようとすると、き
わめて精密な成形技術やプロセス技術が要求されるため
に、印刷画質の高精細化、高速化に近年大きく問題を投
げかけている。また、圧電方式の場合には、印加単位電
圧当たりなるべく大きな力でかつ大きな変位量を実現で
きるような材料が望まれるため、PZT系の圧電材料を
使用することが必要である。しかし、PZT系の圧電材
料は鉛を含有した材料であるため、環境的な視野からそ
の使用は望ましくない。
【0003】このような問題に対して、塩川氏等により
表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave )のス
トリーミング現象を利用した技術(電子情報通信学会技
術報告書、US89−51、P41〜46)が提案さ
れ、さらに、特開平06−064173号公報、特開平
10−034909号公報等においても、櫛型交差指状
電極により発生する表面弾性波SAWを利用した液体噴
射装置が提案されている。この種の表面弾性波SAWを
利用する液体噴射ヘッドにおいては、一般に、圧電体基
板の表面に櫛型交差指状電極(IDT:Inter −digita
l Transducer )を配置し、この櫛型交差指状電極を配
置した面と同じ面に発生する表面弾性波を利用して液体
を吐出させるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
表面弾性波SAWを利用する液体噴射ヘッドにおいて
は、厚さが十分に厚い圧電体基板の表面に櫛型交差指状
電極(IDT)を配置し、この櫛型交差指電極を配置し
た面と同じ面に発生する表面弾性波を利用して液体を吐
出させることが一般的であるため、液流路(ノズル)内
に電極を配置しなければならず、電極とインク等の液体
の接触から電気化学的反応が懸念され、また、電極を駆
動させるドライバ回路側に引き出すことも困難であっ
た。そのため、この種の液体噴射ヘッドは、いずれも、
液滴のサイズやその吐出方向等の液滴の制御性の問題や
液体供給系などヘッドの構成に不十分な点がみられ、製
品化に至っていない。
【0005】また、従来の圧電方式の液体噴射ヘッドに
おけると同様に圧電体に含有される鉛材料の環境的な視
点から、鉛を含有しない材質で、変位量の少ないもので
あっても液体を十分に吐出させることができる構造を備
えた液体噴射ヘッドが要望されている。
【0006】そこで、本発明は、前述した従来技術の有
する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、表面
弾性波を利用して吐出液滴の制御性に優れ、かつ鉛を含
有しない材質で変位量の少ないものであっても吐出に必
要な変位量を実現することができる新規な構造を備える
液体噴射ヘッドおよびその駆動方法を提供することを目
的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の液体噴射ヘッドは、表面弾性波によって液
滴を吐出させる液体噴射ヘッドにおいて、表面弾性波を
発生させる表面弾性波発生手段を駆動することにより液
流路の少なくとも一方の壁面の凸状の歪み変形を吐出口
方向に移動させることにより液滴を吐出させることを特
徴とする。
【0008】本発明の液体噴射ヘッドにおいては、前記
液流路の相対向する両壁面の対向する位置が同時に歪み
変形することが好ましい。
【0009】本発明の液体噴射ヘッドにおいては、前記
液流路の先端部分のある区分を除く一定区間または全区
間にわたって前記液流路の壁面を表面処理して、吐出さ
せる液体の粘性を小さくすることが好ましい。
【0010】本発明の液体噴射ヘッドにおいては、2枚
の圧電体基板を重ね合わせてその間に前記液流路を形成
するとともに、前記圧電体基板の液流路と反対側の面に
表面弾性波発生手段を配置することが好ましく、このと
き、前記圧電体基板の厚さを表面弾性波の波長程度とす
ることが好ましい。
【0011】本発明の液体噴射ヘッドにおいては、前記
表面弾性波発生手段を前記液流路の両壁面にそれぞれ配
置し、前記表面弾性波発生手段にそれぞれ同一の駆動波
形を印加することが好ましい。
【0012】本発明の液体噴射ヘッドにおいては、前記
表面弾性波発生手段が一方向性櫛型交差指状電極(UD
T)であることが好ましい。
【0013】本発明の液体噴射ヘッドにおいては、前記
表面弾性波発生手段が複数並列して形成されていること
が好ましく、また、液体供給タンク保持機構と吐出ノズ
ル選択手段および駆動手段を備えていることが好まし
い。
【0014】さらに、本発明の液体噴射ヘッドの駆動方
法は、表面弾性波発生手段を駆動することにより発生す
る表面弾性波によって液流路から液滴を吐出させる液体
噴射ヘッドにおいて、液流路の壁面の凸状の歪み変形を
吐出口方向に移動させる表面弾性波発生手段を液流路を
形成する両壁面にそれぞれ配置し、前記表面弾性波発生
手段にそれぞれ同一の駆動波形を印加することを特徴と
する。
【0015】また、本発明の液体噴射ヘッドの駆動方法
は、表面弾性波発生手段を駆動することにより発生する
表面弾性波によって液流路から液滴を吐出させる液体噴
射ヘッドにおいて、液流路の吐出口から同相で反射して
くる反射波に対して逆相で反射波を中和させるような駆
動波形を表面弾性波発生手段に印加することを特徴とす
る。
【0016】
【作用】本発明の液体噴射ヘッドによれば、表面弾性波
によって生じる液流路壁面の凸状の歪み変形の移動によ
って液体を吐出させるものであって、表面弾性波を利用
することにより液滴の制御性に優れ、また、圧電体基板
の厚さを表面弾性波の波長程度に薄くして、液流路と反
対側の面に一方向性櫛型交差指状電極(UDT)を形成
することにより、液流路内に電極を配置することを必要
とせず、電極の安定性を向上させることができ、さら
に、液供給系、ヘッド構成の完全な実用可能なデバイス
とするとともに、従来方式のヘッドではなし得ていない
A4サイズ幅のようなフルマルチノズル化も可能な液体
噴射ヘッドを提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0018】図1は、本発明の液体噴射ヘッドの一実施
例の構成を概略的に図示する部分斜視図であり、図2の
(a)は本実施例における表面弾性波発生手段としての
電極部を示す模式図であり、同(b)は表面弾性波発生
手段の電極部に印加する駆動波形の一例を示す図であ
る。そして、図3は、本発明の液体噴射ヘッドにおける
液吐出の基本的原理を示す模式図である。
【0019】図1において、1は、表面弾性波発生手段
としての表面弾性波を励振することができる一方向性櫛
型交差指状電極(UDT:Uni −Directional Transduc
er)2がそれぞれ一面に形成された圧電体基板であり、
これらの2枚の圧電体基板1をUDT2が形成されてい
ない面を相対向させていわゆる背中合わせに重ね合わ
せ、両者の間に所定の間隔をおいて配置したリブ3を介
して液流路となるノズル4を形成するように構成され、
上下のUDT2はそれぞれの位置が互いに重なるように
配置され、各ノズル4はUDT2にそれぞれ対応するよ
うに配置されている。UDT2は、図1においては上下
の圧電体基板1にそれぞれ2個のみ図示しているが、そ
れぞれの圧電体基板1上に幅方向に多数並列して形成さ
れる。このUDT2は、表面弾性波を発生させる櫛型交
差指状電極(IDT)の双方向性の損失を防ぐように一
方向にのみ表面弾性波を励振することができるものであ
り、図2の(a)に示すように、圧電体基板1の一面
に、フォトリソグラフィプロセスによって、通常のUD
T電極の設計要領にしたがって作成される。また、UD
T2の各電極の端部は、図2の(a)に示すように、吐
出ノズル選択手段および駆動手段を備えたプリント基板
5にワイヤー6によってワイヤーボンディングされ、U
DT2は、外部からプリント基板5を介して駆動波形が
印加され、表面弾性波を発生させる。なお、UDT2
は、圧電体基板の材質、表面弾性波の伝播速度や駆動周
波数等に応じて最適化するように形成することができ
る。
【0020】また、本発明の液体噴射ヘッドにおいて
は、圧電体基板1においてUDT2を形成した面とは反
対側の裏面に生じる表面弾性波を利用するものであり、
裏面に十分な表面弾性波が生じるように圧電体基板1の
厚さは表面弾性波の波長(λ)程度に薄くすることが必
要である。
【0021】このように構成される液体噴射ヘッドは次
のように作製することができる。
【0022】圧電体基板1の一面にUDT2をフォトリ
ソグラフィプロセスによって通常のUDTの設計要領に
したがって作成し、電極の幅はλ/4とした。このよう
な圧電体基板1を2枚作製するとともに、圧電体基板1
のUDT2を形成していない面(すなわち、ノズル4の
壁面を形成する面)にスクリーン印刷で接着剤をデポジ
ットして所定の高さとなるようにリブ3を取り付ける。
そして、2枚の圧電体基板1のUDT2を形成していな
い面を対向させて背中合わせに配置し、かつ上下のUD
T2の位置が互いに重なるようにアライメントした上
で、接着して硬化させる。これによって、上下の両圧電
体基板1のUDT2を形成していない面がノズル4を形
成する壁面となり、ノズル4の高さはリブ3の高さによ
って規定される。このように接合された上下の圧電体基
板1には、図6に示すように、接着剤で液供給流路を塞
がないように、カートリッジホルダ8が接着される。ま
た、UDT2の各電極の端部にワイヤー6によってワイ
ヤーボンディングされた吐出ノズル選択手段および駆動
手段を備えるプリント基板5は、カートリッジホルダ8
の一面に取り付けられる。なお、図6においては、プリ
ント基板5は1個のみ図示しているが、裏面側にも他方
のUDTにワイヤーボンディングされたプリント基板が
同様に配置されている。そして、カートリッジホルダ8
の後方に液体を充填した液体供給タンク9を装着して、
該液体供給タンク9からノズル4に液体を供給する。図
6に図示する装置においては、UDT2およびノズル4
は複数並列され、フルマルチノズルタイプを構成してい
る。また、UDT2には、コネクタ10から吐出ノズル
選択手段および駆動手段を備えたプリント基板5を介し
て駆動波形が印加され、ノズル4から液滴の吐出を行う
ように構成される。
【0023】ノズル4の幅を規定するリブ3について
は、表面弾性波が電極の交差幅にしか立たないので、必
ずしもノズル毎に設ける必要はない。また、ノズル4の
高さは、発生する表面弾性波の振幅の高さ(すなわち、
後述するようにノズル壁面の凸状の歪み変形が支障なく
運動できる程度の大きさ)とする。
【0024】次に、以上のように構成される液体噴射ヘ
ッドにおいて、圧電体基板に形成した表面弾性波発生手
段としてのUDTとその駆動形態および液吐出メカニズ
ムについて、図2および図3を用いて説明する。
【0025】図2の(a)には、表面弾性波発生手段と
しての標準的なUDT2を示し、各電極の端部は、前述
したように、吐出ノズル選択手段および駆動手段を備え
たプリント基板5にワイヤー6によってワイヤーボンデ
ィングされる。UDT2は、表面弾性波を発生させる櫛
型交差指状電極(IDT)の双方向性の損失を防ぐこと
ができ一方向にのみ表面弾性波を励振することができる
ものである。このUDT2は、3本の電極で構成され、
図2の(b)に示すような120°づつ位相の異なる三
相交流で駆動することにより、特に、上下重なり合うU
DT2を同じ波形で同時に駆動することにより、表面弾
性波は順次ノズル4の先端方向に進行する。このとき、
圧電体基板1の厚さを表面弾性波の波長(λ)程度に薄
くしてあることにより、UDT2を形成した面とは反対
側のノズル4の壁面を形成する面にも表面弾性波が生じ
る。この表面弾性波によって、ノズル4を形成する壁面
に凸状の歪み変形が生じ、この凸状の歪み変形が移動す
る。これは、まるでチューブをしごくかのように凸状の
歪み変形が移動する。すなわち、図3に示すように、ノ
ズルを形成する壁面が凸状に歪み変形し、この凸状部が
順次ノズル先端方向(矢印で示す方向)に移動する。こ
れによって、ノズル内の液体は、この凸状の歪み変形に
引きずられて運動し、ノズル4の先端部方向に移動して
ノズル先端から吐出することとなる。このようにチュー
ブをしごくようなモードで機能させるには、密度が低い
ために無機材料にように力は出せなくとも大きな変位を
期待できる有機系の材料で、特に、SV(Share Vertic
al)モードの存在するものも有効である。また、ノズル
内の撥水性処理と組み合わせることによって、液体の粘
性効果を下げることにより、液体の吐出性能を向上させ
ることができる。さらに、複数のパルスを印加すること
は、移送する液体の粘性やイナータンス効果が大きい場
合に有効に作用する。
【0026】このように表面弾性波発生手段としてUD
T2を用いることにより、表面弾性波の損失を最小限に
抑えることができ、励振効率の向上によって、液滴の制
御性を向上させることができ、また、表面弾性波の励振
方向の自由な制御ができるので、任意な駆動波形で液体
に揺さぶりをかけるなど、液体切断や液滴化にバリエー
ションを与えることも可能である。なお、各パルスの位
相関係は、一度表面弾性波が消失してしまっても、液体
の運動を持続することがむしろ問題であるので、必ずし
も120°の関係である必要はない。
【0027】次に、表面弾性波発生手段の他の例につい
て図4を用いて説明する。
【0028】図4の(a)には、複数の電極を互いに平
行に液吐出方向に沿って順次配列した自由度の高いUD
T2aを示し、その他の構成は前述した実施例と同様で
ある。このUDT2aに対して、図5の(a)に示すよ
うに、一つのパルス波形を位相をずらして順次入力する
ことができるように構成する。このようなパルス波形を
上下重なり合う電極に同時に与えることにより、表面弾
性波は順次ノズル4の先端方向に進行する。これによ
り、図3に関連して説明したように、ノズル4を形成す
る壁面に凸状の歪み変形が生じてこれを移動させ、まる
でチューブをしごくかのように凸状の歪み変形が移動す
る。すなわち、ノズルを形成する壁面が凸状に歪み変形
し、この凸状部が順次ノズル先端方向に移動することに
より、ノズル内の液体は、この歪み変形に引きずられて
運動しノズル先端部から吐出することとなる。
【0029】また、図4の(b)には、ノズルの先端部
に向かって拡開した略V字状の電極を複数配列したUD
T2bを示し、このUDT2bは、表面弾性波を開放端
であるノズル先端部の一点に集中させるように作用す
る。このUDT2bを図5の(a)に示すと同様に一つ
のパルス波形を位相をずらして順次入力することによっ
て駆動することにより、ノズル内の液体は周囲からノズ
ル先端部の一点に集まって、そこから吐出されることと
なり、液吐出の指向性を高めることができる。
【0030】また、図2の(a)、図4の(a)や
(b)に図示するUDT2、2a、2bにおいて、ノズ
ル先端部の開放端から同相で反射してくる反射波に対し
て、ノズル先端付近でちょうど波がぶつかるように、同
一波形を逆相にした波で反射波を中和させるように駆動
することもでき(図5の(b)参照)、このような駆動
方法を用いると、ノズル先端部の開放端から反射してく
る反射波によって逆方向に引きずられて運動する液体の
運動にカウンターパンチを当て、液体の逆方向への運動
を打ち消すようにして、液体の吐出をしやすくすること
ができる。なお、このように開放端から反射してくる波
にカウンターを当てる場合には、表面弾性波の速度と先
端までの距離から計算してディレイ時間を求めておく。
【0031】以上のように、圧電体基板1の厚さを、U
DTを形成した面の裏面側に十分な表面弾性波を発生さ
せるように表面弾性波の波長程度に薄くして、圧電体基
板1に図2の(a)あるいは図4の(a)、(b)等に
図示するようなUDTを形成したものを2枚背中合わせ
に配置し、上下に重なり合うUDTを同じ波形で同時に
駆動することにより、2枚の圧電体基板1の壁面によっ
て形成されるノズル4の内壁面は、図3に示すように、
まるでチューブをしごくように凸状の歪み変形が移動す
る。なお、ノズル4の高さは、発生させる表面弾性波の
振幅の高さすなわち凸状の歪み変形が支障なく運動でき
る程度とする。このようにすることによって、ノズル4
内部の液体はノズル壁面の歪み変形に引きずられて運動
するので、液体はノズル4の先端部から吐出する。ま
た、いずれか一方のUDTのみを駆動するように構成す
る場合においても、液体を吐出することができる。な
お、この場合には、ノズル4の高さを半分にすることが
必要であり、その分液体の粘性効果が増大するが、前記
と同様に液体を吐出させることができる。
【0032】また、液体をノズル4の先端部から吐出さ
せるためには、ノズル4の大きさに対する液体の粘性や
イナータンス、ノズル構成部材のぬれ性等を考慮して、
液体の表面張力に対して打ち勝ち、さらにある速度以上
で液滴を飛翔させることができるように十分大きな力と
なるような条件を設定する必要がある。例えば、UDT
2を駆動するための印加電圧をある程度の大きさとす
る、あるいは、ノズル4の内壁面の表面処理等により液
体の粘性を小さくする等によって、液滴を十分に飛翔さ
せることができる。ノズル4の先端部のある区間を除く
一定区間あるいは全区間においてノズル内面を表面処理
することにより、吐出させる液体の粘性を小さくするこ
とができ、このようにノズル4の少なくともある区間の
粘性を調節する手段によって、なるべく小さな力で吐出
できるように調節することも可能である。なお、このと
き、ノズル先端部をもとのままにしておくことにより、
先端部の表面張力によって液ダレを防止することができ
る。この粘性を調節する手段としては、ポリテトラフル
オロエチレン(テフロン(登録商標))のような撥水剤
の塗布や蓮の葉の表面に見られるような微細なフラクタ
ル構造を設けることが望ましい。例えば、ポリテトラフ
ルオロエチレン(テフロン)の微粒子を有機バインダー
に溶かしたものを、ノズル先端部をマスキングして、ス
プレーコートすることによって、ノズル内の撥水処理を
行うことができる。
【0033】次に、本発明の液体噴射ヘッドの具体的な
実施例についてさらに説明する。本例では、圧電体基板
の材料として、128°回転Y板X伝播LiNbO3
単結晶を用いた。この材料の表面弾性波の伝播速度は約
4000m/secであり、駆動周波数を20MHzと
するとき、λ=0.2mmであり、圧電体基板の厚さを
0.2mm(=λ)とし、該圧電体基板上に図4の
(a)に示すUDT2aを幅λ/4とする電極で作成し
た。また、電極材はアルミニウムとした。このように構
成された液体噴射ヘッドを用いて、図6に示すように、
カートリッジホルダ8の後方に液体を充填した液体供給
タンク9を装着し、コネクタ10を介して、図5の
(a)に示す駆動波形を印加して、吐出確認を行ったと
ころ、印加電圧を上げていくと吐出に至ることが確認で
き、デバイスの有効性を確認した。
【0034】また、本発明においては、ノズルを形成す
る壁面における凸状の変位歪みの移動は、液滴を吐出す
る作用と同時に吐出された液体分を補給するリフィル機
能も有しており、印字スピードの向上に貢献する。ま
た、通常のバルク波の圧電式のヘッドと違って、表面弾
性波では一桁以上速い駆動速度を実現でき、同時に速い
駆動を行えば、その分電極のパターン間隔は小さくな
り、高密度化することができ、印字解像度の向上、小液
滴化に寄与する。さらに、表面弾性波は電極の交差幅に
しか立たないので、2枚の圧電体基板を貼り合わせるだ
けで、1ノズル毎にリブを設けなくてもよく、特に、図
4の(b)に示すUDT2bを採用する場合には、液体
が周囲から一点に集まることから、一層リブを必要とし
ない。このようにリブを必ずしも必要としない構成であ
るので、ノズルの目詰まりをおこしにくくすることも可
能である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
表面弾性波によって生じる液流路壁面の凸状の歪み変形
の移動によって液体を吐出させるものであって、表面弾
性波を利用することにより、液滴の制御性に優れ、ま
た、圧電体基板の厚さを表面弾性波の波長程度に薄くし
て、液流路と反対側の面に一方向性櫛型交差指状電極
(UDT)を形成することにより、液流路内に電極を配
置することを必要とせず、電極の安定性を向上させるこ
とができ、さらに、液供給系、ヘッド構成の完全な実用
可能なデバイスとするとともに、従来方式のヘッドでは
なし得ていないA4サイズ幅のようなフルマルチノズル
化も可能な液体噴射ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体噴射ヘッドの構成の一実施例を概
略的に図示する部分斜視図である。
【図2】(a)は本発明の液体噴射ヘッドの一実施例に
おける表面弾性波発生手段としての電極部を示す模式図
であり、(b)は表面弾性波発生手段の電極部に印加す
る駆動波形の一例を示す図である。
【図3】本発明の液体噴射ヘッドにおける液吐出の基本
的原理を示す模式図である。
【図4】(a)および(b)はそれぞれ本発明の液体噴
射ヘッドの他の実施例における表面弾性波発生手段とし
ての電極部を示す模式図である。
【図5】(a)は図4の(a)に図示する電極部に対し
て印加する駆動波形の一例を示し、(c)はカウンター
を当てる場合の駆動波形の一例を示す。
【図6】本発明の液体噴射ヘッドに液体供給タンクを装
着した状態を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1 圧電体基板 2、2a、2b UDT(一方向性櫛型交差指状電
極) 3 リブ 4 ノズル 5 プリント基板 6 ワイヤー 8 カートリッジホルダ 9 液体供給タンク 10 コネクタ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面弾性波によって液滴を吐出させる液
    体噴射ヘッドにおいて、表面弾性波を発生させる表面弾
    性波発生手段を駆動することにより液流路の少なくとも
    一方の壁面の凸状の歪み変形を吐出口方向に移動させる
    ことにより液滴を吐出させることを特徴とする液体噴射
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記液流路の相対向する両壁面の対向す
    る位置が同時に歪み変形することを特徴とする請求項1
    記載の液体噴射ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記液流路の吐出口方向のある一点に表
    面弾性波を集中させるように凸状の歪み変形が吐出口方
    向に移動して液滴を吐出させることを特徴とする請求項
    1または2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記液流路の先端部分のある区分を除く
    一定区間または全区間にわたって前記液流路の壁面を表
    面処理して、吐出させる液体の粘性を小さくすることを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液
    体噴射ヘッド。
  5. 【請求項5】 2枚の圧電体基板を重ね合わせてその間
    に前記液流路を形成するとともに、前記圧電体基板の液
    流路と反対側の面に表面弾性波発生手段を配置すること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の
    液体噴射ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記圧電体基板の厚さを表面弾性波の波
    長程度とすることを特徴とする請求項5記載の液体噴射
    ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記表面弾性波発生手段を前記液流路の
    両壁面にそれぞれ配置し、前記表面弾性波発生手段にそ
    れぞれ同一の駆動波形を印加することを特徴とする請求
    項1ないし6のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記表面弾性波発生手段が一方向性櫛型
    交差指状電極(UDT)であることを特徴とする請求項
    1ないし7のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記一方向性櫛型交差指状電極(UD
    T)は少なくとも3本以上の電極で構成され、かつそれ
    ぞれの電極に対して独立に駆動波形を入力できるように
    構成されていることを特徴とする請求項8記載の液体噴
    射ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記表面弾性波発生手段が複数並列し
    て形成されていることを特徴とする請求項1ないし9の
    いずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
  11. 【請求項11】 液体供給タンク保持機構と吐出ノズル
    選択手段および駆動手段を備えていることを特徴とする
    請求項1ないし10のいずれか1項に記載の液体噴射ヘ
    ッド。
  12. 【請求項12】 表面弾性波発生手段を駆動することに
    より発生する表面弾性波によって液流路から液滴を吐出
    させる液体噴射ヘッドにおいて、液流路の壁面の凸状の
    歪み変形を吐出口方向に移動させる表面弾性波発生手段
    を液流路を形成する両壁面にそれぞれ配置し、前記表面
    弾性波発生手段にそれぞれ同一の駆動波形を印加するこ
    とを特徴とする液体噴射ヘッドの駆動方法。
  13. 【請求項13】 表面弾性波発生手段を駆動することに
    より発生する表面弾性波によって液流路から液滴を吐出
    させる液体噴射ヘッドにおいて、液流路の吐出口から同
    相で反射してくる反射波に対して逆相で反射波を中和さ
    せるような駆動波形を表面弾性波発生手段に印加するこ
    とを特徴とする液体噴射ヘッドの駆動方法。
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