JP2002174624A - 誘電泳動装置用電極、その製法及び誘電泳動装置並びに該電極を使用する物質の分離方法及び検出方法 - Google Patents

誘電泳動装置用電極、その製法及び誘電泳動装置並びに該電極を使用する物質の分離方法及び検出方法

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JP2002174624A JP2000374210A JP2000374210A JP2002174624A JP 2002174624 A JP2002174624 A JP 2002174624A JP 2000374210 A JP2000374210 A JP 2000374210A JP 2000374210 A JP2000374210 A JP 2000374210A JP 2002174624 A JP2002174624 A JP 2002174624A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】励起光が物質(分子)の下に存在する電極上で
反射されて検出されるバックグラウンドを低減させ、S
/N比を向上させ得る誘電泳動装置用電極を提供する。 【解決手段】電極に空白部を設けることによって、該電
極への電圧印加によって生じる負の誘電泳動力により影
響を受ける物質が、前記電極の空白部、その上方若しく
はその下方に集合し得るように形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、蛍光強度等によ
り測定対象物質(測定対象分子)を検出するに際して、
バックグラウンドを低減させ、S/N(シグナル/ノイ
ズ)比を向上させた誘電泳動装置用電極、その製法及び
該電極を具備した誘電泳動装置並びに該電極を使用する
物質の分離方法、検出方法に関する。
【0002】
【発明の背景】近年、半導体技術の進歩によりフォトリ
ソグラフィー等の微細加工技術によってnmからμm単位
での物質加工技術が確立され、現在もその微細加工技術
は進歩しつづけている。
【0003】化学・生化学分野に於いては、この微細加
工技術を利用して、生体試料からの分析対象成分の抽出
(抽出工程),化学・生化学反応を用いる当該成分の分
析(分析工程),並びにそれに続く分離処理(分離工
程)及び検出(検出工程)といった一連の化学的・生化
学的分析工程の全てを一辺数cm〜数十cmのチップ上に集
積化等した極小の分析装置をもちいて行う、微細総分析
システム〔Micro TotalAnalysis System(μ-TAS)、La
boratory on a chip〕と呼ばれる新技術が発展しつつあ
る。
【0004】このμ-TASの手法は、化学的・生化学的分
析工程全てを通じて、分析時間の短縮化、使用するサン
プル量や化学・生化学反応に必要な試薬量の低減化、分
析機器や分析スペースの縮小化に大きく貢献するものと
期待されている。
【0005】特に、μ-TASに於ける分離工程について
は、テフロン(登録商標)やシリカ等を材料として作製
された内径1mm以下のキャピラリー(細管)を分離カラ
ムとして使用して高電界中で物質の持つ電荷の差を利用
して分離を行うキャピラリー電気泳動法や、同様のキャ
ピラリーを用いてカラム担体と物質との相互作用の差を
利用して分離を行うキャピラリーカラムクロマトグラフ
ィー法が開発されている。
【0006】しかしながら、キャピラリー電気泳動法
は、分離に高電圧が必要であることや、検出領域でのキ
ャピラリー容量が制約されるため検出感度が低いという
問題、更には、チップ上のキャピラリーチップでは、分
離のためのキャピラリー長に制約があり、高分子の分離
に充分なキャピラリー長が得られないため、低分子の物
質の分離には適しているが高分子の物質の分離には適さ
ないという問題を有している。また、キャピラリーカラ
ムクロマトグラフィー法は、分離処理の高速化に限界が
あり、処理時間の短縮化が困難であるという問題を有し
ている。
【0007】そこで、近年、上記した如き問題を解決す
る手段の一つとして、物質を不均一な交流電界内に置く
と、物質内に正と負の分極が起こり、物質が移動する力
が働く現象、いわゆる誘電泳動力〔H.A.Pohl: ”Dielec
trophoresis”, Cambridge Univ. Press (1978)、T.B.J
ones: ”Electromechanics of Particles”, Cambridge
Univ. Press (1995)等〕を利用した分離方法が、注目
されている。
【0008】この分離方法は、(1)誘電泳動力の大き
さは、物質(粒子)の大きさ・誘電的性質に依存し、電
界傾度に比例するため、微細加工電極を用いれば、電界
および電界傾度をきわめて大きくとることができるの
で、キャピラリー電気泳動のように高電圧を必要とせ
ず、低い印加電圧で高速な分離が期待できる、(2)電
界の強い場所が微小領域に極限されるため、電界印加に
よる温度上昇も最小限にとどめることができ、また、高
電界場の形成が可能となる、(3)誘電泳動は、電界傾
度に比例する力であることからわかるように、印加電圧
の極性に依存しないので、交流電界下でも直流同様に力
が働く。従って、高周波交流を用いれば水溶液での電極
反応(電気分解反応)は抑えられるので、電極自体をチ
ャネル(サンプル流路)中に集積化することが可能とな
る、(4)キャピラリー電気泳動のように検出部分のチ
ャンバ容量に制約がないことから検出感度の向上も望め
る、等の点から、現在ではμ-TASに適した分離方法と考
えられている。
【0009】誘電泳動とは、不均一な電界内で中性粒子
が移動する現象のことであり、この際に分子に働く力を
誘電泳動力と呼ぶ。また、誘電泳動力は、物質が電界の
強い方へと移動する正の誘電泳動力と電界の弱い方へと
移動する負の誘電泳動力の2種類に分けられる。
【0010】(誘電泳動力の一般式)等価双極子法(Eq
uivalent dipole moment method)は誘導電荷を等価的
な電気双極子に置き換えて、誘電泳動力を解析する手法
である。これによれば、電界Eの中に置かれた半径aの球
体粒子に働く誘電泳動力Fdは、
【0011】
【数1】 で与えられる。ここで
【外1】 は、ω:印加電圧の角周波数、j:虚数単位を用いて、
【0012】
【数2】
【0013】
【数3】 ただし、
【外2】 は粒子と溶液の誘電率と導電率であり、上の式で複素量
にはをつけた。
【0014】式(1)は
【数4】 であれば粒子を電界が強い方へと引き付ける力が働き
(正の誘電泳動, PositiveDEP)、
【数5】 であれば粒子を電界の弱い方へと押しやる力が働く(負
の誘電泳動力, NegativeDEP)ことを示している。
【0015】上記式から明らかなように、ある物質に正
の誘電泳動が発生するか、負の誘電泳動が発生するか
は、1)印可する電界の周波数、2)媒質の導電率及び
誘電率、及び3)物質の導電率及び誘電率、の三種のパ
ラメーターの相互作用によって決定される。
【0016】これらのパラメーターを変えると、同じ物
質でも正の誘電泳動を示したり、負の誘電泳動を示した
りする。負の誘電泳動とは、正の誘電泳動が電界の強い
領域(電気力線密度が高い領域)に移動するのに対し
て、電界の弱い領域(電気力線密度が低い領域)に移動
する現象のことである。図1は、負の電気泳動の説明図
であるが、負の誘電泳動力は物質が受ける電気力線密度
が低くなるような領域に物質を運ぶ力である。
【0017】このような負の誘電泳動を用いて、測定対
象物質を電極上の電界の弱い領域に集合させ、これを蛍
光強度等により検出する場合がある。この蛍光強度等の
検出は、電極上面より、当該測定対象物質に励起光を照
射して蛍光を電極上面から観察することにより行われて
いる。
【0018】その際、従来の電極を用いた場合には、励
起光を照射すると、励起光は当該測定対象物質の下に存
在する電極上でも反射され、それが大きなバックグラウ
ンドとして検出される問題があった。そのため、測定感
度が悪化する問題があった。そればかりか、従来の電極
を用いた場合は、電極は光が透過しないので、電極上に
集合した物質を吸光度によって検出することはできなか
った。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な点に着目してなされたものであり、励起光が物質(分
子)の下に存在する電極上で反射されて検出されるバッ
クグラウンドを低減させ、S/N比を向上させ得る誘電
泳動装置用電極を提供することを目的とする。また、本
発明は、吸光度によって検出することもできる誘電泳動
装置用電極を提供することを目的とする。
【0020】更に、本発明は、上記電極の製法、該電極
を具備した電極構成体及び誘電泳動装置並びに該電極を
使用する物質の分離方法及び検出方法を提供することを
目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明者等は鋭意研究の結果、測定対象物質が集合する
部分の電極を除去することによって、励起光の電極から
の反射に伴うバックグラウンドを低減し得ることを想到
し、本発明に到達した。
【0022】しかして、従来、誘電泳動クロマトグラフ
ィー装置(Field-Flow fracttionation)における装置
及び方法についての特許及び論文は多数見られるが、測
定対象物質が集合する部位を含む電極を除去することに
よってバックグラウンドを低減させ、S/N比を向上さ
せる装置及び方法は全く知られていないし、このような
発想も全く知られていない。
【0023】本発明のうち、請求項1記載の発明は、電
極に空白部を設けることによって、該電極への電圧印加
によって生じる負の誘電泳動力により影響を受ける物質
が、前記電極の空白部、その上方若しくはその下方に集
合し得るように形成されていることを特徴とする。
【0024】上記空白部は、好ましくは中抜き部である
が、励起光が実質的に反射しないか又は吸光度が測定し
得る程度に光が透過する材質が位置していても差し支え
なく、これも本発明の空白部に含まれるものである。前
記負の誘電泳動力により影響を受ける物質の集合する部
位は、その物質にとって電気力線の密度が低い部位であ
る。
【0025】また、誘電泳動力により影響を受ける物質
の全てが前記空白部等に集合するのが好ましいが、一部
であっても差し支えない。
【0026】請求項10記載の電極構成体は、電極と、
該電極面との間に空隙を形成するように、その上方に設
けられた蓋部とを有し、該電極を上記請求項1記載のよ
うに形成したことを特徴とする。
【0027】本発明で電極構成体というのは、本発明の
電極と電極基板と蓋部とを含むものである。誘電泳動装
置は、前記電極又はこの電極構成体に、電極への電圧印
加装置や検出部等を付加したものである。
【0028】本発明の電極の製法は、物理的及び/又は
化学的手段によって、前記請求項1記載の空白部を形成
したことを特徴とする。
【0029】本発明の分離方法及び検出方法は、空白部
を設けた本発明の電極を用いて、該電極への電圧印加に
よって生じる負の誘電泳動力により影響を受ける物質を
含む液状体を、前記電極若しくは空白部上若しくはそれ
らの近傍に位置させるか、それらの上方若しくは下方に
流通させ、前記負の誘電泳動力により影響を受ける物質
を、前記空白部、その上方若しくはその下方に集合させ
ることを特徴とする。
【0030】本発明の分離方法は、2種類以上の物質が
溶解若しくは懸濁している液のいずれにも使用できる
が、空白部若しくはその上下方向に集合させる負の誘電
泳動力により影響を受ける物質は、粒状物であるのが好
ましい。粒状物のほうが、粒状物自身の受ける電気力線
の密度の低い部位が、空白部若しくはその上下方向にな
り易いからである。
【0031】本発明の空白部は、負の誘電泳動力により
影響を受ける物質の大きさ、使用する電極の幅や深さ
(電極面から蓋部までの高さ及び/又は容器底面から電
極面までの高さ)などを変化させることによって、負の
誘電泳動力により影響を受ける物質が集合する電気力線
の密度の低い部位が、空白部若しくはその上下方向に形
成されればよい。
【0032】しかしながら、特に測定対象物質が、例え
ば水等の液体に溶解するものの場合は、試料中の測定対
象物質に「測定対象物質と結合する物質」を介して負の
誘電泳動力で影響を受ける物質を結合させて複合体を形
成させ、該複合体を含む反応物を誘電泳動に付するのが
好ましい。
【0033】尚、本発明で測定対象物質というのは、前
記電気力線の密度が低い部位に集合する物質(分子)の
意味であり、必ずしも測定の目的物でなくとも差し支え
ない。
【0034】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明
する。
【0035】図2は、本発明の誘電泳動装置用電極の実
施例を示すものであり、同一の六角形状が多数連設され
た電極1の負の誘電泳動力により影響を受ける物質(測
定対象物質)が集合する部位3に中抜き部(空白部)2
を形成した例を示す。
【0036】中抜き部2は、中抜き部2若しくはその上
下方向に測定対象物質が集合し得る電気力線の密度が低
い部位が形成されるように設けられている。電気力線の
密度の低い部位というのは、周囲の電極よりも電気力線
の密度の低い部位であり、一般には電気力線の密度の最
も低い部位である。中抜き部2の大きさは、測定する物
質の種類及び大きさ、電極基板とカバーガラス間の距離
(深さ)等によっても異なるが、一般には、中抜き部を
形成しない時に測定対象物質が集合する部位3よりも大
きく形成する。中抜き部2は、図2に示すように連通し
ていても、図3に示すように、六角形状毎に独立してい
ても差し支えない。
【0037】空白部2は、周りの全てが電極で囲まれて
いても、一部には、図2に示すように切れ目4があって
も差し支えないが、周りが全て電極で囲まれているのが
好ましい。
【0038】空白部の周り全てが電極で囲まれていた方
が、空白部の周り全てから電気力線が発生するため、空
白部が高電界領域で囲まれることとなり、物質が特定の
部分に集まり易く捕集され易くなるからである。
【0039】これに対して、空白部の一部が電極で囲ま
れていない場合、その部分からは電気力線が発生しない
ので、空白部に高電界領域でない部分が生じ、その部分
を物質が移動し易くなる。そのため、目的の物質が捕集
されにくくなる場合がある。
【0040】中抜き部に集合させる物質(粒子、分子)
の大きさが小さいほど、電極の幅には注意が必要であ
る。何故なら、中抜き部よりも電極上の方がその物質に
とって電気力線の密度が低い部分となる場合があるから
である。その理由は、中抜き部に接する電極のエッジか
らも電気力線が生じているため、物質の大きさによって
中抜き部に接する電極のエッジから発生する電気力線に
よる影響の度合いが異なるからである。尚、中抜き部に
集合させる物質が小さい場合、中抜き部作製後の電極幅
が狭くなるようにすることによりこの問題を解決し得
る。
【0041】電極及び中抜き部の形状は、円形乃至楕円
形若しくは多角形でも良く、その形状は特に限定されな
い。また、電極自体の幅も、太くても、ワイヤーのよう
に細くても差し支えない。要は、負の誘電泳動力を受け
る被検出物が集合する部位及びその上下方向に電極が存
在しないような電極構造を取れば良い。
【0042】同一の電極構造においても、印可する電界
の周波数、測定対象物質及び媒質の導電率,誘電率の変
化によって、測定対象物質が集合する領域に差異が見ら
れるので、使用目的に応じた印可する電界の周波数等に
応じて、電極構造を決定すると良い。逆に言えば、電極
構造に合わせて、周波数等を変化させることによって、
所望の位置に測定対象物質を集合させることができる。
【0043】電極に中抜き部2を形成するには、例えば
適当な刃物等を使用して、切断する方法等の物理的手
段、例えばエッチング液を用いて電極を除去するエッチ
ング等の化学的手段、又は、高周波電源によりプラズマ
とした反応性ガスを用いるエッチング[反応性イオンエ
ッチング:Reactive Ion Etching (RIE)]等の物理的及
び化学的手段、等により電極に中抜き部を形成すれば良
い。
【0044】本発明の空白部2を形成した電極は、例え
ば下記のように、微細加工技術(Biochim. Biophys. Ac
ta. 964, 221―230等)により作製するのが好ましい。
例えば、銅、金、アルミニウム等の電極材料を積層した
基板上にレジストを塗布し、電極フォトマスクをレジス
ト上に積層する。それから光照射してレジストを露光、
現像し、電極以外の部分と空白部とに相当するレジスト
膜を溶解させる。ついでエッチング液に浸漬して電極面
(アルミ面)をエッチングし、残った電極面上のレジス
トを除去する。尚、レジストは、光が露光された部分を
除去するポジレジストと、露光されていない部分を除去
するネガレジストのいずれであっても良い。 リフトオフ法 基板上にレジストを塗布して、同レジスト上に電極フォ
トマスクを積層して、光照射(露光)する。それから、
現像して、電極部分に相当するレジストを除去し、上面
全体に蒸着若しくはスパッタリングによって、電極材料
を積層する。それから電極以外の部分と空白部に相当す
るレジスト(上面に電極が積層されている。)を除去す
る。 メタルマスク法 電極部分だけ中抜きしたメタルマスクを基板に積層し、
その上面に、蒸着若しくはスパッタリングによって電極
材料を塗布する。それからメタルマスク(上面に電極材
料が積層されている)を除去(取外し)する。
【0045】本発明に使用する電極は、例えばアルミニ
ウム、金、銅等の導電性材質からなり、その構造は、誘
電泳動力、即ち、水平及び垂直方向に不均一電界を生じ
得るものであればよく、例えば、インターデジタル形状
[J. Phys. D:Appl. Phys. 258, 81-88,(1992)、Bi
ochim. Biophys. Acta., 964, 221-230 (1988)等]が挙
げられる。
【0046】本発明の電極は、好ましくは基板の上面及
び/又は下面に形成される。通常は、測定対象物質を含
む液状体は、電極の上方に流すので、基板の上面に形成
された電極が使用される。しかしながら、測定対象物質
によっては、電極を中空に浮いた状態とし、電極の下方
に測定対象物質を含む液状体を流すこともできる。この
場合は、基板の下面又は基板の上下両面に形成された電
極が使用される。
【0047】本発明に使用する電極としては、例えば、
図2及び図3に示すように、同一形状(六角形)の電極
が多数連設した形状の電極と、図4に示すように、内部
に陰極を、外部に陽極を設けて、縦横を同一若しくは多
少異なるように形成した電極が挙げられる。
【0048】図2及び図3に示すような電極は、一個所
だけでなく、数箇所に負の誘電泳動領域を形成できるの
で、同一の電気力線の密度が低い部位を有する中抜き部
を数箇所作製できるから、数箇所の蛍光強度を測定して
平均化することによって、信頼性のあるデータが得られ
る。
【0049】また、図4に示す内部に陰極を、外部に陽
極を設けた電極では測定箇所が一個所になるが、必要と
するスペースが少ないため、多検体測定の集積化に貢献
できる。
【0050】図2及び図3に示すような電極の他の具体
例としては、図5に示すように、直線状の帯状部の上下
に対向して三角形の外方突出部を間隔付けて多数連設し
た形状、図6に示すように、直線状の帯状部の上下に対
向して台形の外方突出部を間隔付けて多数連設した形
状、図7に示すように、六角形を多数直線状に連設した
形状、図8に示すように、直線状の帯状部の上下に対向
して四角形の外方突出部を間隔付けて多数連設した形
状、図9に示すように、直線状の帯状部の上下に対向し
て半円形の外方突出部を間隔付けて多数連設した形状の
ものが挙げられる。尚、図5〜図9で(A)と(B)と
では、末端の形状が異なっているが、これはいずれであ
っても差し支えない。
【0051】また、図4に示すような電極の他の具体例
としては、例えば、図10(A)〜(G)に示すよう
に、外部陽極としては、四角形,八角形のような多角
形、円形,半円形,楕円形等が、内部陰極としては、陽
極の中央部に位置する陰極頭部が、四角形,八角形のよ
うな多角形、円形等に形成された電極が挙げられる。本
発明においては、電極自体は、中抜き部を形成する誘電
泳動に使用し得る電極であれば、どのような電極でも使
用することができ、電極の種類は、特に限定されない。
【0052】電極を作製する際に使用される基板として
は、この分野で用いられるものであれば特に限定されな
いが、例えばガラス、プラスチック、石英、シリコン等
の非導電性の材質からなる基板が好ましい。
【0053】基板としては、透明材質から形成するのが
よいが、励起光が実質的に反射しないか、吸光度が測定
し得る程度に光が透過するなら、必ずしも透明材料でな
くともよい。
【0054】空白部を形成する以外は、電極は従来と同
様で良く、電極上への種々の物質の吸着防止のため、有
機薄膜を電極にコーティングしても差し支えない。
【0055】上記のようにして空白部を形成した本発明
の電極を使用して、本発明の誘電泳動装置を製造するに
は、電極以外は従来と同様に形成すれば良い。
【0056】本発明の電極及び誘電泳動装置を使用し
て、本発明の分離方法を実施するには、分離方法自体は
従来と同じようにして行えば良い。
【0057】即ち、上記した如き電極を用いて形成させ
た不均一電界内に、分離すべき物質を含む液体、例えば
2種以上の物質(分子若しくは粒子)が溶解若しくは懸
濁している液体を存在させて、当該物質に働く誘電泳動
力の差によって分離すれば良い。尚、本発明において印
可する電界は、直流電界及び交流電界のいずれでも良い
が、交流電界が好ましい。
【0058】本発明の方法は、粒子状物質、好ましくは
100nm〜100μmの粒子状物質が、電気力線の密
度が低い部位に集合するような分離方法に適用するのが
好ましい。ある程度の大きさの粒子状物質のほうが、空
白部、その上方若しくはその下方に測定対象物質の集合
する電気力線の密度が低い部位を有する電極が形成しや
すいからである。しかしながら、小さい粒子とか分子で
あっても、電極の巾を狭くしたり、深さ(電極基板とカ
バーガラス間の距離及び/又は容器底面から電極までの
距離)を深くすることによって、前記空白部の上下方向
に電気力線の密度が低い部位を形成し得る電極を構成す
ることができる。要するに、粒子の大きさによって、粒
子自身の受ける電気力線は異なることになるので、ある
程度の大きさの粒子の方が、空白部若しくはその上下方
向に粒子の集合する部位を形成させ易くなるということ
である。
【0059】従って、分子の溶液とか小さい粒子の懸濁
液から、測定対象物質である分子とか小さい粒子を分離
するには、負の誘電泳動力で影響を受ける物質、好まし
くは100nm〜100μmの大きさの粒子状物質に、測
定対象物質を(要すれば「測定対象物質と結合する物
質」を介して)結合させた複合体を誘電泳動に付するの
がよい。粒子の大きさが小さすぎると、電極の巾を極端
に狭くする等の必要が生じるからである。
【0060】上記のように粒子状物質を結合させること
によって、その物質が大きくなるので、測定対象物質の
分離が促進される。従って、この粒子状物質は、分離向
上物質の作用をするものである。
【0061】本発明に使用する粒子状物質としては、例
えばシリカ、アルミナ等の無機金属酸化物、例えば金、
チタン、鉄及びニッケル等の金属及び、無機金属酸化物
等にシランカップリング処理等の操作で官能基を導入し
たもの、例えば各種微生物、真核生物細胞等の生物、例
えばアガロース、セルロース、不溶性デキストラン等の
多糖類、例えばポリスチレンラテックス、スチレン‐ブ
タジエン共重合体、スチレン‐メタクリル酸共重合体、
アクロレイン‐エチレングリコールジメタクリレート共
重合体、スチレン‐スチレンスルホン酸ラテックス、ポ
リアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート、ポ
リアクロレイン被覆粒子、架橋ポリアクリロニトリル、
アクリル酸またはアクリル酸エステル系重合体、アクリ
ロニトリル‐ブタジエン、塩化ビニル‐アクリル酸エス
テル、ポリ酢酸ビニル‐アクリレート等の合成高分子化
合物、例えば赤血球、糖、核酸、タンパク質、脂質等の
比較的大きな生体分子等が挙げられる。
【0062】「粒子状物質」は、通常は「測定対象物質
と結合する物質」に結合させて用いられ、このようにす
ることによって試料中の「測定対象物質」に結合させ得
るが、例えば粒子状物質の表面に官能基を導入した後、
この官能基を介して結合させる方法、粒子状物質と測定
対象物質をリンカーを介して結合させる方法等の化学的
結合法等により測定対象物質に直接粒子状物質を結合さ
せても良い。
【0063】また、粒子状物質と「測定対象物質と結合
する物質」とを結合させるには、後述する標識物質によ
り測定対象物質を標識する方法と同様の方法により行え
ば良い。
【0064】尚、粒子状物質として、直接測定対象物質
と特異的に結合し得る性質を有するものを用いる場合に
は、上記した如き操作は不要である。このような粒子状
物質としては、例えば核酸、タンパク質、脂質等が挙げ
られる。
【0065】本発明に使用する「測定対象物質と結合す
る物質」というのは、粒子状物質と結合させて用いるこ
とにより、試料中の測定対象物質から、該測定対象物質
と「測定対象物質と結合する物質」と粒子状物質との複
合体を形成し得、測定対象物質以外の分子と「測定対象
物質と結合する物質」と粒子状物質との複合体は実質的
に形成しないものであれば良く、特に限定されない。要
するに、測定対象物質以外の物質と結合しても上記三者
の複合体を形成しなければ良いが、実際には「測定対象
物質と特異的に結合する物質」を使用するのが好まし
い。
【0066】「測定対象物質と結合する物質」として
は、例えば「抗原」−「抗体」間反応、「糖鎖」−「レ
クチン」間反応、「酵素」−「インヒビター」間反応、
「タンパク質」−「ペプチド鎖」間反応又は「染色体又
はヌクレオチド鎖」−「ヌクレオチド鎖」間反応等の相
互反応によって測定対象物質と結合するもの等を言い、
上記各組合せに於いて何れか一方が測定対象物質である
場合、他の一方がこの「測定対象物質と結合する物質」
である。
【0067】試料中の測定対象物質に直接若しくは「測
定対象物質と結合する物質」を介して粒子状物質を結合
させて複合体を形成させるには、測定対象物質を含有す
る試料、粒子状物質及び「測定対象物質と結合する物
質」を、例えば、それぞれ水あるいは緩衝液 、例えば
トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン)緩衝液、グッ
ド緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等、に溶解、分
散若しくは懸濁させて液状物とし、これら液状物を互い
に混合接触させればよい。
【0068】本発明の分離法としては以下の2つに大別
される。
【0069】(分離法1)第1に、測定対象物質、又は
負の誘電泳動力で影響を受ける物質(分離向上物質)と
測定対象物質(要すれば「測定対象物質と結合する物
質」)との複合体が、測定対象外物質と同一の負の誘電
泳動力を示す場合であって、測定対象外物質よりも大き
な誘電泳動力を示す物質である場合、実質的に測定対象
物質又は分離向上物質及び分離向上物質と測定対象物質
とを含む複合体のみが大きな誘電泳動力を受けて分離さ
れることとなる。
【0070】即ち、例えば、測定対象物質又は負の誘電
泳動力で影響を受ける物質と測定対象物質(要すれば、
「測定対象物質と結合する物質」)との複合体は、誘電
泳動力によって誘電泳動電極上の空白部若しくはその上
下方向に集合するが、測定対象外物質は集合しないよう
な電界強度及び媒質条件を適宜設定して、これら測定対
象物質と測定対象物質以外の物質とを分離することがで
きる。
【0071】本発明の方法は、流れのない状態で分離す
るのに適している。しかしながら、電界により分子に発
生する誘電泳動力と分子の移動との相互作用によって分
離を行う、いわゆる誘電泳動クロマトグラフィー装置
(Field Flow Fractionation装置)を用いて分離を行っ
てもよい。この場合には、測定対象物質又は負の誘電泳
動力で影響を受ける物質と測定対象物質(要すれば「測
定対象物質と結合する物質」)との複合体のみが、誘電
泳動力によって電極の空白部若しくはその上下方向に捕
集される流速(速度を遅くする)を適宜設定して、これ
ら測定対象物質と測定対象物質以外の物質とを分離する
ことができる。このように、流れによって、電極の中空
部若しくはその上下方向にトラップされている物質が移
動しない条件では、流れの中での測定により、より多く
のサンプルを電極の中空部等にアップライできることに
なるので、測定感度が向上する。
【0072】(分離法2)第2に、測定対象物質又は負
の誘電泳動力で影響を受ける物質と測定対象物質(要す
れば、「測定対象物質と結合する物質」)との複合体
が、測定対象物質以外の物質と異なる負の誘電泳動力で
影響を受ける物質である場合、即ち、測定対象物質、又
は分離向上物質(負の誘電泳動で影響を受ける物質)と
測定対象物質を含む複合体が、負の誘電泳動力を示し、
測定対象物質以外の物質が正の電気泳動力を示す場合、
測定対象物質又は負の誘電泳動力で影響を受ける物質と
測定対象物質とを含む複合体と、測定対象物質以外の物
質との一方は電極の中抜き部若しくはその上下方向に、
他方が異なる電解領域に移動するので、測定対象物質を
測定対象物質以外の物質と分離することが出来る。
【0073】本発明の分離方法により分離された測定対
象物質を、当該物質が有する性質に応じた方法により検
出すれば、試料中の目的とする測定対象物質の存在の有
無を測定(検出)することができる。
【0074】即ち、上記した如き本発明に係る電極、電
極体及び誘電泳動装置を用いて、該電極への電圧印加に
よって生じる負の誘電泳動力により影響を受ける物質
[或いは測定対象物質、又は分離向上物質と測定対象物
質(要すれば「測定対象物質と結合する物質」)との複
合体]を含む液状体(試料)を、本発明に係る電極若し
くは空白部上若しくはそれらの近傍に位置させるか、そ
れらの上方若しくは下方に流通させ、前記負の誘電泳動
力により影響を受ける物質を、前記空白部、その上方若
しくはその下方に集合させた後、該物質を光学的に検出
することにより試料中の測定対象物質を検出することが
できる。
【0075】尚、上記方法に於ける測定対象物質として
は、それ自体が何らかの光学的な方法により測定(検
出)可能であるか、又は光学的に検出可能な標識物質に
より標識可能なもの、或いはそれ自体が測定(検出)可
能であるか、光学的に検出可能な標識物質により標識可
能な「測定対象物質と結合する物質」と結合したもので
ある。
【0076】本発明においては、光学的に検出可能な標
識物質により、測定対象物質又は「測定対象物質と結合
する物質」を標識するのが良いが、標識自体は、通常こ
の分野で用いられる常法、例えばそれ自体公知のEI
A、RIA、FIA或いはハイブリダイゼーション法等
に於いて一般的に行われている公知の標識方法によって
行えばよい。
【0077】本発明に於いて用いられる光学的に検出可
能な標識物質としては、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光
免疫測定法(FIA)、ハイブリダイゼーション法等、通
常この分野で用いられるものであればよく、特に限定さ
れない。しかしながら、蛍光強度、発光強度若しくは吸
光度によって、測定対象物質を検出する場合に適用し得
る標識物質とするのが特に好ましい。
【0078】尚、上記方法に於いて、「測定対象物質と
結合する物質」としては、それ自体が何らかの光学的な
方法により測定(検出)可能であるか、又は光学的に検
出可能な標識物質により標識可能な「測定対象物質と結
合する物質」を使用するのが一般的である。
【0079】本発明の検出方法は、より具体的には以下
の如く行えば良い。
【0080】即ち、測定対象物質、又は測定対象物質と
分離向上物質(、要すれば測定対象物質と結合する物質
又は/及び光学的に検出可能な標識物質により標識され
た測定対象物質と結合する物質)とを反応させ生じた測
定対象物質と分離向上物質(要すれば測定対象物質と結
合する物質又は光学的に検出可能な標識物質により標識
された測定対象物質と結合する物質)との複合体と、測
定対象物質以外の物質(例えば、遊離の測定対象物質と
結合する物質又は遊離の標識された測定対象物質と結合
する物質)とを、前述した如き本発明の分離方法により
分離する。次いで、分離された測定対象物質又は該複合
体を、測定対象物質又は複合体中の測定対象物質と結合
する物質(又は該複合体中の測定対象物質と結合する物
質に結合した標識物質)の性質に基づいて光学的に検出
することにより、試料中の測定対象物質の存在の有無を
測定することができる。
【0081】更に、本発明の分離方法によれば、試料中
の測定対象物質の存在を検出し得るのみでなく、試料中
の測定対象物質の量を定量的に測定し得る。測定対象物
質の定量は、複合体を形成させない場合は、従来と同様
にして行えば良く、複合体を形成させる場合は、以下に
記載するようにして行えば良い。
【0082】即ち、測定対象物質、又は測定対象物質と
分離向上物質(、要すれば測定対象物質と結合する物質
又は/及び標識された測定対象物質と結合する物質)と
の複合体と、測定対象物質以外の物質[例えば、遊離の
測定対象物質(又は遊離の標識された測定対象物質と結
合する物質)]とを、前述した如き本発明の分離方法に
より分離する。次いで、分離された測定対象物質又は該
複合体中の測定対象物質と結合する物質(又は該複合体
中の測定対象物質と結合する物質に結合した光学的に検
出可能な標識物質)の量、又は遊離の測定対象物質と結
合する物質(又は遊離の標識された測定対象物質と結合
する物質に結合した光学的に検出可能な標識物質)の量
を、これらの性質に応じた光学的測定方法により求め、
これらの量に基づいて、試料中の測定対象分子の量を求
めることができる。
【0083】尚、これら上記の方法に於いて、得られた
測定対象物質、測定対象物質と結合する物質又は標識物
質の量に基づいて、試料中の測定対象物質の量を求める
には、例えば測定対象物質濃度既知の試料を用いて同様
の方法により測定を行い、得られた測定対象物質量と、
複合体中の測定対象物質と結合する物質(又は標識され
た測定対象物質と結合する物質)の量又は遊離の測定対
象物質と結合する物質(又は標識された測定対象物質と
結合する物質中の光学的に検出可能な標識物質)の量と
の関係を示す検量線を、夫々用いて試料中の特定分子の
量を算出すればよい。
【0084】本発明によれば、電極の中空部若しくはそ
の上下方向に測定対象物質(測定対象分子)を集合させ
ることができる。 この集合した測定対象分子に励起光
を照射すると、図11(A)に示すように、従来の電極
を用いた場合のように、分子の下には、電極が存在しな
いので、電極上でも反射されることによるバックグラウ
ンドは検出されなくなる。その結果、従来と比べてS/
N比が向上し、測定感度が向上する。
【0085】また、本発明の電極を使用すれば、測定対
象分子の下には、電極が存在しないので、図11(B)
に示すように、反対側に蛍光検出器を設けることができ
るが、反対側に設けた場合は、測定対象分子が集合した
領域以外は、電極で覆われるため、上面から照射した励
起光は、反射して下面には届かないので、バックグラウ
ンドを更に低減させることができ、S/N比は更に向上
する(スリット効果)。
【0086】更に、本発明によれば、下面から測定でき
るので、従来不可能であった測定対象分子の吸光度を測
定することによって、測定対象分子の定性(検出)及び定
量測定をすることができる。
【0087】以下に実施例及び参考例を挙げ、本発明を
更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限
定されるものではない。
【0088】
【実施例】実施例 1:エッチングにより空白部を形成
した本発明の電極の作製 アルミ蒸着したガラス基板上にレジストを塗布し、同レ
ジスト上に電子ビーム描画装置にて電極及び空白部パタ
ーンを描画したフォトマスクを積層した。それから、レ
ジストを露光して現像し、電極以外の部分と空白部に相
当するレジスト膜を溶解させた後、エッチング液に浸漬
して、アルミ面をエッチングし、アルミ面に残ったレジ
ストを除去することによって、図12に示す空白部を形
成した本発明の電極を作製した。
【0089】上記空白部のパターンを変えて、図12に
おおけるa)〜e)の長さ(μm)の異なる電極1〜4
を作製した。作製した電極1〜4のa)〜e)の長さ
(μm)を次表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】実施例 2:中抜き電極上でのビーズの誘
電泳動試験 従来の電極を使用して、1μm径のビーズを誘電泳動し
た場合、いずれも電界強度の弱い電極上の位置にビーズ
が集合している。実施例1で作製した電極設計ではビー
ズが集合している領域のアルミ電極部分を除いた電極設
計となっている。
【0092】実施例1で作製した電極(上記表1の電極
2)上で、可視化のためビーズ表面を蛍光標識した直径
1μmのビーズを用いて、ビーズが負の誘電泳動を示す
電界下で誘電泳動試験を行った。
【0093】電極基板(中抜き部)の上方に、上記ビー
ズを懸濁させたサンプル溶液を滴下後、カバーガラスを
被せて、光学顕微鏡にて観察を行った。
【0094】上記誘電泳動試験観察の結果、負の誘電泳
動によって電極中抜き部(空白部)にビーズが集合する
のが確認された。ビーズは、中抜き部の上方(カバーガ
ラス付近)の溶液中に浮遊しながら集合していた。
【0095】
【発明の効果】本発明によれば、電極の中空部若しくは
その上下方向に測定対象分子を集合させることができる
ので、測定対象分子の下には電極が存在しないから、蛍
光強度等の検出の場合、励起光が測定対象分子の下の電
極で反射されることが回避される。その結果、バックグ
ラウンドが低減し、S/N比が向上し、測定感度が向上
する。また、電極下面から測定することもできるが、電
極下面から測定すると、電極面からの励起光の反射が下
面に届かないので、更に、バックグラウンドが低減し、
S/N比が向上し、測定感度が向上する。更に、本発明
によれば、下面から測定できるので、従来不可能であっ
た吸光度によって、測定対象分子を測定することができ
るが、これは極めて大きな利点である。
【0096】
【図面の簡単な説明】
【図1】負の誘電泳動の説明図である。
【図2】本発明の電極の実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の電極の他の実施例を示す平面図であ
る。
【図4】本発明の電極の他の実施例を示す平面図であ
る。
【図5】従来の電極の例を示す平面図である。
【図6】従来の電極の他の例を示す平面図である。
【図7】従来の電極の他の例を示す平面図である。
【図8】従来の電極の他の例を示す平面図である。
【図9】従来の電極の他の例を示す平面図である。
【図10】従来の電極の他の例を示す平面図である。
【図11】本発明方法により蛍光測定する場合の説明図
であり、(A)は、蛍光測定器を上方に設けた場合、
(B)は、蛍光測定器を下方に設けた場合を示すもので
ある。
【図12】実施例1で作製した本発明の電極を示す平面
図である。
【符号の説明】
1・………電極 2・………中抜き部 3・………中抜き部を設けない時に測定対象物質が集合
する部位 4・………電極の切れ目

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極に空白部を設けることによって、該電
    極への電圧印加によって生じる負の誘電泳動力により影
    響を受ける物質が、前記電極の空白部、その上方若しく
    はその下方に集合し得るように形成されていることを特
    徴とする誘電泳動装置用電極。
  2. 【請求項2】前記空白部が中抜き部である請求項1記載
    の電極。
  3. 【請求項3】前記負の誘電泳動力により影響を受ける物
    質の集合する部位は、電気力線の密度が低い部位である
    請求項1又は2記載の電極。
  4. 【請求項4】前記負の誘電泳動力により影響を受ける物
    質を含む液状体を、前記電極若しくは空白部上若しくは
    それらの近傍に位置させるか、それらの上方若しくは下
    方に流通させたとき、前記負の誘電泳動力により影響を
    受ける物質が集合し得るように形成されている請求項1
    〜3のいずれか1項記載の電極。
  5. 【請求項5】前記電極が、円形乃至楕円形若しくは多角
    形であり、その中央部付近に円形乃至楕円形若しくは多
    角形の空白部を形成してなる請求項1〜4のいずれか1
    項記載の電極。
  6. 【請求項6】前記電極を基板上に設けてなる請求項1〜
    5のいずれか1項記載の電極。
  7. 【請求項7】前記電極を設けた基板を、励起光が実質的
    に反射しないか又は吸光度が測定し得る程度に光が透過
    する材質で形成してなる請求項6記載の電極。
  8. 【請求項8】前記電極を設けた基板を、透明材質で形成
    してなる請求項7記載の電極。
  9. 【請求項9】前記電極への電圧印加によって生じる負の
    誘電泳動力により影響を受ける物質が、粒子状物質であ
    る請求項1〜8のいずれか1項記載の電極。
  10. 【請求項10】電極と、該電極面との間に空隙を形成す
    るように、その上方に設けられた蓋部とを有する電極構
    成体において、該電極を、請求項1〜8のいずれか1項
    に記載のように形成してなる誘電泳動装置用電極構成
    体。
  11. 【請求項11】物理的及び/又は化学的手段によって、
    前記空白部を形成したたことを特徴とする請求項1〜8
    のいずれか1項記載の誘電泳動装置用電極の製法。
  12. 【請求項12】前記電極と空白部とを、微細加工技術に
    より作製したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか
    1項記載の誘電泳動装置用電極の製法。
  13. 【請求項13】請求項1〜8のいずれか1項記載の誘電
    泳動装置用電極又は請求項10記載の誘電泳動装置用電
    極構成体を具備したことを特徴とする誘電泳動装置。
  14. 【請求項14】電極に空白部を設けた請求項1〜8のい
    ずれか1項記載の電極を用いて、該電極への電圧印加に
    よって生じる負の誘電泳動力により影響を受ける物質を
    含む液状体を、前記電極若しくは空白部上若しくはそれ
    らの近傍に位置させるか、それらの上方若しくは下方に
    流通させ、前記負の誘電泳動力により影響を受ける物質
    を、前記空白部、その上方若しくはその下方に集合させ
    ることを特徴とする物質の分離方法。
  15. 【請求項15】基板上に設けた電極面との間に空隙部を
    形成するようにその上方に設けた蓋部を有する電極構成
    体の前記空隙部から、前記負の誘電泳動力により影響を
    受ける物質を含む液状体を、前記電極に接触若しくは流
    通し得るように供する請求項14記載の分離方法。
  16. 【請求項16】前記負の誘電泳動力により影響を受ける
    物質が、「負の誘電泳動力で影響を受ける物質」に「測
    定対象物質に結合する物質」を結合させ、該結合する物
    質を介して測定対象物質と結合させることにより形成さ
    れる複合体である請求項14又は15記載の分離方法。
  17. 【請求項17】前記「負の誘電泳動力で影響を受ける物
    質」が、「負の誘電泳動力で影響を受ける粒子状物質」
    である請求項16記載の分離方法。
  18. 【請求項18】電極に空白部を設けた請求項1〜8のい
    ずれか1項記載の電極を用いて、該電極への電圧印加に
    よって生じる負の誘電泳動力により影響を受ける物質を
    含む液状体を、前記電極若しくは空白部上若しくはそれ
    らの近傍に位置させるか、それらの上方若しくは下方に
    流通させ、前記負の誘電泳動力により影響を受ける物質
    を、前記空白部、その上方若しくはその下方に集合させ
    た後、該物質を光学的に検出することを特徴とする物質
    の検出方法。
  19. 【請求項19】前記負の誘電泳動力により影響を受ける
    物質が、「負の誘電泳動力で影響を受ける物質」に「測
    定対象物質に結合する物質」を結合させ、該結合する物
    質を介して測定対象物質と結合させることにより形成さ
    れる複合体である請求項18記載の検出方法。
  20. 【請求項20】前記「負の誘電泳動力により影響を受け
    る物質」が、「負の誘電泳動力で影響を受ける粒子状物
    質である請求項19記載の分離方法。
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