JP2002171996A - 被検物質の代謝により誘導される環境ホルモン毒性を検出する方法、並びにその方法を行うための装置およびキット - Google Patents

被検物質の代謝により誘導される環境ホルモン毒性を検出する方法、並びにその方法を行うための装置およびキット

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JP2002171996A
JP2002171996A JP2000371782A JP2000371782A JP2002171996A JP 2002171996 A JP2002171996 A JP 2002171996A JP 2000371782 A JP2000371782 A JP 2000371782A JP 2000371782 A JP2000371782 A JP 2000371782A JP 2002171996 A JP2002171996 A JP 2002171996A
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Mitsuko Ishihara
美津子 石原
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被検物質の代謝により誘導される環境ホルモ
ン毒性を簡便に且つ安定して検出できる方法、およびこ
れを実施するための装置およびキットを提供する。 【解決手段】 被検物質の、代謝により誘導される環境
ホルモン毒性を検出する方法であって、代謝活性を有す
る細胞からなる代謝系細胞と、内分泌ホルモンに対して
感受性のある細胞からなる検出系細胞とを、被検物質の
存在下において共培養する工程と、前記検出系細胞から
mRNAを回収する工程と、回収されたmRNAの発現プロファ
イルを分析することにより、被検物質の代謝毒性を検出
する工程とを具備する被検物質の代謝により誘導される
環境ホルモン毒性を検出する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検物質の代謝に
より誘導される環境ホルモン毒性を検出する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイオキシンを始めとする環境ホ
ルモンと呼ばれる外因性内分泌撹乱物質の生殖障害、免
疫系障害および中枢系障害等が社会問題化している。そ
のため、現在では様々な方法によって、新規材料や化合
物等の様々な物質に関しての環境ホルモン毒性を検出す
る試験が試みられている。
【0003】一方、ベンツピレンやフェノバルビタール
類等は、生体において代謝され、代謝物に変換された後
で、その毒性が増加することが知られている。一般的に
は、それらの代謝物の毒性を検出する方法として、代謝
活性化法が使用されている(Lyng R.D.ら、(1991)Terato
g.Carcinog.Mutagen 11(1)31-9を参照されたい)。該代
謝活性化法は以下のような方法である。先ず、予めPCB
等を処理したラットから肝臓を摘出し、そのホモジネー
トを製作する。該ホモジネートから9000×gの遠心によ
り代謝酵素類を含むS-9分画を採取する。これにNADPH補
酵素類を加えたS-9Mixと被検物質とを混和した後に、生
化学反応を行い被検物質の代謝物を得る。その後、この
代謝物について目的とする毒性に関する検出を行うとい
う方法である。このように、従来の方法は煩雑であり、
その上更に酵素類の失活というリスクもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の状況に鑑み、本
発明の目的は、被検物質の代謝により誘導される環境ホ
ルモン毒性を簡便に且つ安定して検出できる方法、およ
びこれを実施するための装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、被検物質の、
代謝により誘導される環境ホルモン毒性を検出する方法
であって、代謝活性を有する細胞からなる代謝系細胞
と、内分泌ホルモンに対して感受性のある細胞からなる
検出系細胞とを、被検物質の存在下において共培養する
工程と、前記検出系細胞からmRNAを回収する工程と、回
収されたmRNAの発現プロファイルを分析することによ
り、被検物質の代謝毒性を検出する工程とを具備する被
検物質の代謝により誘導される環境ホルモン毒性を検出
する方法である。
【0006】また、前記方法を行うための装置であっ
て、夫々のコンパートメントに独立して代謝系細胞と検
出系細胞とを維持する2つのコンパートメントを培養容
器として具備し、前記2つのコンパートメントは液体を
介して1つの培養系を構成する装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】1.発明の概要 本発明は、被検物質の代謝により誘導される環境ホルモ
ン毒性を検出する方法である。本発明の方法は、基本的
に以下のように実施することが可能である。
【0008】即ち、本方法は、被検物質の存在下におい
て、代謝系細胞と検出系細胞とを1つの培養系で共培養
する第1の工程と、前記検出系細胞を回収する第2の工
程と、回収した検出系細胞からmRNAを回収する第3の工
程と、回収されたmRNAの発現プロファイルを分析するこ
とによって被検物質の代謝毒性を検出をする第4の工程
とを行うことにより該毒性の検出を達成する。
【0009】本発明の方法の特徴の1つは、被検物質の
代謝により誘導される環境ホルモン毒性を培養細胞を用
いて検出することにある。特に、代謝系細胞により被検
物質を代謝することと、得られた代謝産物に検出系細胞
を曝露することとを、1つの培養系において同時におよ
び/または経時的に行うことを特徴とする。これは前述
の第1の工程により達成される。
【0010】本特徴によって、本発明は、不安定な酵素
の使用および煩雑な操作を回避することが可能であり、
且つ従来では長時間を要する試験時間を短縮することが
可能となる。
【0011】本発明の方法のもう1つの特徴は、毒性の
検出を検出系細胞のmRNAの発現プロファイルを分析する
ことにより行うことである。詳しくは後述するが、基本
的には、該検出系細胞のmRNAの発現プロファイルの分析
は、環境ホルモン毒性の影響を受けていない正常な検出
系細胞のmRNAの発現プロファイルと比較することにより
行うことが可能である。
【0012】ここで、前記被検物質が代謝毒性のある環
境ホルモンである場合、代謝系細胞と接することによっ
て生じた代謝産物が該検出系細胞に作用し、その結果、
該検出系細胞の遺伝子の発現に何らかの影響が生じる。
従って、その発現に影響が見られた遺伝子を検出するこ
とによって、被検物質の代謝毒性を検出することが可能
である。例えば、前記検出系細胞のmRNAの発現プロファ
イルを分析し、正常時のmRNAの発現プロファイルと比較
し、その相違を検出することにより、被検物質の代謝毒
性を検出することが容易に達成される。ここで、前記影
響を受ける「遺伝子」とは、内分泌撹乱性を有する物質
の作用により特異的に発現される遺伝子と、および内分
泌撹乱性を有する物質の作用により特異的に転写量が変
化する遺伝子とを言う。また、ここで言う「転写量の変
化」とは増加および減少等の全ての変化を含む。
【0013】前記比較を予め行い、環境ホルモン毒性の
影響によって発現するようなマーカー遺伝子を明らかに
しておくことにより、検出工程を簡便に実施することも
可能である。また、DNAチップを利用することも、より
多くの数の被検物質を効率的に試験することが可能であ
る点で効果的である。
【0014】また、代謝毒性を選択的に検出するために
は、代謝産物に特異的なマーカー遺伝子を使用するか、
或いは、代謝系細胞を含まない同検出系により未代謝物
について毒性検出を行い、これにより得られた結果を差
し引くことによって達成することが可能である。
【0015】更にまた、本発明は、本発明の方法を実施
するのに都合のよい装置、即ち、細胞チップ、も提供す
る。本発明の装置である細胞チップは、2つのコンパー
トメントからなる培養容器を単数または複数で具備する
プレートであり、前記コンパートメントの夫々に代謝系
細胞と検出系細胞とを独立して保持する装置である。前
記第1の工程のためには該2つのコンパートメントは、
培地または試薬等の液体により共通する系を形成され
る。また、前記第2の工程では、検出系細胞を選択的に
回収するのに有利である。ここでいう「独立して保持す
る」とは、2種の細胞が互いに混合せずに維持された状
態をいう。
【0016】2.詳細な説明 (1)用語の説明 本発明の方法によって検出の対象となる「環境ホルモ
ン」とは、生体の恒常性、生殖、発生または行動に関す
る種々の生体内ホルモンの合成、貯蔵、分泌、体内輸
送、受容体結合、ホルモン作用または排出等の諸過程を
阻害するまたは促進する外因性化学物質のことをいう。
一般的には、「外因性内分泌撹乱物質」、「内分泌撹乱
物質」または「内分泌障害性物質」と称される化学物質
である。また、本明細書において、「環境ホルモン」、
「内分泌撹乱物質」および「内分泌障害生物質」の語は
相互に交換可能に使用することが可能である。
【0017】ここでいう「代謝毒性」および「代謝によ
り誘導される毒性」とは、生体の組織または細胞におけ
る一般的な代謝、即ち、化学または物理的変化により生
じる、または増強される毒性をいう。本発明の方法は、
代謝により生じるまたは増強される環境ホルモン毒性、
即ち、環境ホルモンの内分泌撹乱作用を検出するための
方法である。
【0018】(2)代謝系細胞 本発明の方法に使用される代謝系細胞は、代謝活性を有
する細胞である。本発明における「代謝活性」の語は、
生体の組織または細胞における一般的な代謝、即ち、化
学的または物理的変化、を外因性物質に対して行うこと
が可能な能力を示す。特に、本発明においては、酵素触
媒反応を介して、化学物質等の外因性物質の化学構造に
変化を与えることが可能な代謝活性、即ち、薬物代謝活
性を有する細胞を使用することが好ましい。
【0019】本発明の方法に使用される代謝系細胞は、
例えば、ヒト、ブタ、ウシ、ウサギ、マウスおよびラッ
ト等の哺乳動物由来の肝臓から得ることが可能である。
或いは、代謝活性を与えるため、または代謝活性を修飾
するために遺伝子工学的に操作して得た細胞であっても
よい。
【0020】前記肝細胞を使用する場合、肝細胞は、前
記動物の何れかより得た肝臓を、通常の代謝活性に損傷
のないように、それ自身公知の方法により単離すること
によって得ることが可能である。また、単離された肝細
胞は、単離操作の後で直ぐに使用しても、短期間培養し
た初代細胞であっても、継代培養した細胞であってもよ
く、また、株化された細胞であってもよい。また、正常
細胞であっても癌化した細胞であってもよい。
【0021】例えば、肝細胞は、麻酔したラットからコ
ラゲナーゼ還流により単離することにより得た初代肝細
胞を使用してもよい。また、使用するラットは、ポリ塩
化ビフェニル(以下、PCBと記す)またはフェノバルビ
タール等を投与することにより、予め薬物代謝系を誘導
した個体を使用してもよい。また、得られた初代肝細胞
は、約24時間、ウィリアムス培地E等で培養した後に
使用すればよい。
【0022】(3)検出系細胞 本発明の方法において使用可能な検出系細胞は、内分泌
ホルモンに対して感受性のある細胞である。ここで使用
する「内分泌ホルモンに対して感受性のある細胞」と
は、その細胞の培養系に内分泌ホルモンが存在している
条件下では、そのホルモンの支配を受けて細胞機能等の
発現が制御されるが、該培養系に内分泌ホルモンが存在
していない条件下では該ホルモンによって該発現が制御
されない細胞をいう。言い換えれば、そのような細胞に
おいて、内分泌ホルモンの存在する場合には該内分泌ホ
ルモンにより制御される発現機構が作動し、内分泌ホル
モンが不在である場合には該内分泌ホルモンにより制御
される発現機構が作動しないような、2つの異なる機構
によって夫々制御される2つの相があるとも考えられ
る。即ち、前記細胞においては、内分泌ホルモンが、そ
のような発現機構の作動と停止(即ち、オンとオフ)を
制御するスイッチとして機能する。
【0023】現在問題となっている環境ホルモンの主な
毒性は、内分泌撹乱作用によるものである。即ち、内分
泌ホルモンの作用を撹乱することによって、内分泌ホル
モンにより維持される細胞の本来的な恒常性を崩壊する
ものである。従って、一方では、第1の系として、内分
泌ホルモンに感受性のある細胞を内分泌ホルモンにより
制御される条件下におき、その上で被検物質を作用させ
ることによって、生体内で環境ホルモンが毒性を示すの
により近い状態を導き、被検物質と内分泌ホルモンの相
互作用を観察することができる。他方、第2の系として
内分泌ホルモンによる制御がオフの状態にある前記細胞
に対して、前記被検物質を作用させることによって、被
検物質の内分泌ホルモン撹乱作用以外の作用を観察する
ことができる。第1の系で見られる作用から、第2の系
で見られる作用を差し引くことにより、被検物質の内分
泌撹乱作用のみを選択的に検出することが可能である。
【0024】従って、従来の環境ホルモンを検出する方
法において使用される生殖系の細胞では、内分泌ホルモ
ンの存在の有無に関係なく内分泌ホルモンの影響を受
け、即ち、1つの機構のみによって細胞機能発現が制御
されているため、環境ホルモン毒性を検出するために使
用することは好ましくない。
【0025】また、現在問題となっている環境ホルモン
の主な毒性である内分泌撹乱作用は、環境ホルモンが、
細胞核内に存在する内分泌ホルモンの受容体に作用し、
それによって当該受容体に本来的に作用すべき内分泌ホ
ルモンの作用を撹乱することにより生じると考えられて
いる。
【0026】従って、本発明における「内分泌ホルモ
ン」とは、内分泌線より分泌される内因性のホルモンの
うち、細胞核内にその受容体が存在する内分泌ホルモン
を示す。例えば、エストロゲン、エストラジオールおよ
びプロゲステロン等の雌性ホルモン、テストステロンお
よびアンドロステロン等の雄性ホルモン、コルチゾル、
アルドステロン、コルチコステロンおよびコルチゾン等
の副腎皮質ホルモン等のステロイドホルモン、並びにア
ミノ酸誘導体ホルモン、例えば、トリヨードチロニン
(一般的にTと略される)、チロキシン(一般的にT
と略される)等の甲状腺ホルモン、および副甲状腺ホ
ルモン等である。
【0027】本発明は、以上に記した原理に基づき達成
されたものであり、従って、検出系細胞と培養系に存在
させる内分泌ホルモンの選択は、本発明を達成する上で
重要である。本発明を用いることにより、一般的に、pp
b から ppt のレベルの極微量で生じ、生物の生殖系、
神経系および免疫系等の種々の機能に対して慢性的に影
響を与えると考えられている環境ホルモンの毒性を正確
に検出することが可能である。
【0028】また、本発明に使用することが可能な内分
泌ホルモンに対して感受性のある細胞は、例えば、ヒ
ト、ブタ、ウシ、ウサギ、マウスおよびラット等の哺乳
動物由来の生殖系細胞または神経系細胞等であってよ
く、また、これらは正常細胞であっても癌化した細胞で
あってもよく、また、遺伝子工学的に操作して得た細胞
であってもよい。しかしながら、上述した通り、これら
の細胞は恒常的に内分泌ホルモンにより制御されている
細胞ではなく、上述の通りの内分泌ホルモンに感受性の
ある細胞であることが望ましい。
【0029】本発明で好ましく使用できる細胞の例は、
マウス神経芽細胞腫Neuro2a、マウス子宮癌細胞腫MCF
7、マウス精巣ライディッヒ細胞TM3、精巣セルトリ細胞
由来の細胞株TM4および15P-1、並びにマウス神経芽細胞
腫S-20Y 等である。
【0030】内分泌ホルモンに対して感受性のある細胞
であることの確認は、例えば、以下ような変化を観察す
ることにより行える。Neuro2a の場合、トリヨードチロ
ニンを添加することによってその形態が変化する。この
変化は、トリヨードチロニンの添加によって神経突起様
の突起が伸長しているためであると考えられる。また、
S-20Yの場合では、トリヨードチロニンを添加すること
によって細胞増殖率が変化する。
【0031】また特に、内分泌撹乱物質によって影響を
受ける、若しくは受け易い、または受ける可能性のある
内分泌ホルモンを選択し、そのような内分泌ホルモンに
対して感受性のある細胞を選択することは、環境ホルモ
ン毒性を特異的に検出するのに有利である。
【0032】本発明の方法では、当該内分泌ホルモンに
より制御された条件下において、当該検出系細胞が被検
物質と接触したときに得られる遺伝子発現プロファイル
を分析することによって、環境ホルモン毒性を検出する
ことがより好ましい。更に詳しくは、後の「環境ホルモ
ン毒性に特異的なマーカー遺伝子」の項目において説明
する。
【0033】(4)共培養および検出系細胞の回収 本発明における「共培養」とは、代謝系細胞と検出系細
胞とを1培養系に維持することをいう。以下に好ましい
共培養系を達成するための培養容器について図1、図2
AおよびB、図3並びに図4を用いて説明する。ここで
示す培養容器は、上述の第2の工程における操作、即
ち、検出系細胞を回収するのに有利である。
【0034】図1、図2AおよびBは、2つのコンパー
トメントを具備する培養系である。2つのコンパートメ
ントの夫々には、代謝系細胞3と検出系細胞2が、独立
して保持される。また、両コンパートメント間で、培地
または試験用試薬等の液体の行き来が可能であり、従っ
て、本方法における第1の工程を行う際には、2つのコ
ンパートメントは、該液体を媒介して1つの培養系とし
て保証される。
【0035】図1の培養系は、仕切4により仕切られる
2つのコンパートメントを具備する。仕切4は、各コン
パートメントに培養される検出系細胞2と代謝系細胞3
を独立した状態にし、共培養中に互いの細胞が混じり合
うのを防ぐ。共培養においては、添加される液体を仕切
4の高さより高い水面で維持することにより、前記液体
の介在によって2つの細胞系が1つの系を共有する共培
養系が達成される(図1)。
【0036】図4のプレート10は、複数の容器11を
具備する(図4A)。各容器11は、仕切13を挟んで
並列する2つのコンパートメントにより構成される。当
該仕切13は、容器11の全体を構成するための壁12
の高さよりも低く配置される(図4B)。仕切13は、
該2種の細胞が混合するのを防ぐ。図1の容器1を複数
備えた図4に示すようなプレート10を使用することも
可能である。図4のプレート10では、容器10を9個
備えるように記述しているが、具備される容器の数はこ
れに限るものではない。
【0037】また、図2AおよびBの容器は、上下に2
つのコンパートメントが存在するものである。両コンパ
ートメントの仕切の一部分をポリビニリデンジフルオラ
イド(poly vinylidene difluoride;以下、PVDFと記す)
等の液体透過性の膜等により構成することによって、2
つのコンパートメントを1つの培養系とすることが可能
である。好ましくは、上層7の底部を当該膜により構成
し、該膜上に細胞を維持する。本試験では、図2Aのよ
うに代謝系細胞3が上層7、検出系細胞2が下層8とな
るようにしても(図2A)、図2Bのように検出系細胞2
が上層7、代謝系細胞3が下層8となるようにしてもよ
い(図2B)。検出系細胞を回収する際には、図2Aの場
合、まず上層7および/または肝細胞を取り除いた後
に、下層8の検出系細胞2をピペッティングやトリプシ
ン処理により回収すればよい。図2Bの場合、上層7か
ら、ピペッティングやトリプシン処理により検出系細胞
2を選択的に回収すればよい。
【0038】また、肝細胞は、グリコサミノグリカンを
含む細胞外マトリックスによってその細胞接着が達成さ
れていることが見出されている。従って、グリコサミノ
グリカンと構造が似ているキトサンの1つである[1→4]
結合 2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルカンを肝細胞特異
的細胞接着基板材料として用いることが提案されている
(Elicin Y.M.ら、(1998)22(10)837-46)。本発明の方法
において、このようなキトサンを使用することは、検出
系細胞を選択的に回収するために有利である。好ましい
キトサンは、例えば、[1→4]結合 2-アミノ-2-デオキシ
-β-D-グルカン等の糖鎖付加キトサン類であり、より好
ましくは[1→4]結合 2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルカ
ンである。
【0039】即ち、上述図1に示した培養容器の1つの
コンパートメントに前記キトサンをコートし、そこに肝
細胞3を平板培養する。もう一方のコンパートメントに
は当該コートは行わずに検出系細胞2を平板培養する。
前記糖鎖付加キトサン類は、トリプシンおよびコラゲナ
ーゼ等の一般的に細胞の回収において使用される糖鎖付
加キトサンを切断しない酵素によっては消化されない。
そのため、そのような酵素を用いることにより検出系細
胞2を選択的に回収することが可能である。また、前記
糖鎖付加キトサン類を使用することによって、図3に示
すように、両種の細胞を混合培養による共培養を行った
後に、トリプシン等で消化回収し、前記キトサンを固定
したアフィニティクロマトグラフィによって肝細胞3を
除き、検出系細胞のみを選択的に回収することも可能で
ある。また図1に示すような培養系を使用すれば、mR
NAの回収時に必ずしも検出系細胞を回収しなくとも、
mRNAを選択的に回収することも可能である。
【0040】(5)mRNAの抽出 上述のように回収した検出系細胞からのmRNAの回収は、
例えば、グアニジンイソチオシアネートを用いて変性す
ることと、セシウム溶液を用いての密度勾配超遠心等の
一般的に公知の抽出方法により行うことが可能である。
【0041】単離されたmRNAは、そのまま、またはRT-P
CR反応によって増幅した後で、後述する発現プロファイ
ルの分析を行う。
【0042】(6)mRNAの発現プロファイル 本発明の検出方法における、mRNAの発現プロファイルの
分析とは、細胞において発現された所望するmRNAに関す
る発現の有無およびその発現の程度を明らかにすること
をいう。本発明の方法では、基本的に、被検物質または
被検物質の代謝産物に対して検出系細胞を曝露した後に
得られるmRNAの発現プロファイルと、曝露しない当該細
胞のmRNAの発現プロファイルを比較すればよい。また、
環境ホルモン毒性に関するマーカー遺伝子を予め同定し
ておけば、試験の度に比較を行うことなく、該マーカー
遺伝子の発現の有無および/または発明量の変化を測定
することによって環境ホルモン毒性を検出することが可
能である。
【0043】そのようなマーカー遺伝子の例は、チトク
ロームP450CY1A1、1B1および2A1等の薬物誘導遺伝子
等、ダイオキシンの受容体であるアリルハイドロカーボ
ン受容体等の薬物受容体関連遺伝子等であるが、これに
限定されるものではない。また、環境ホルモンに特異的
なマーカー遺伝子を得るための獲得方法(即ち、マーカ
ー遺伝子を検出または同定する方法、および単離方法)
の詳細は後述の(9)で説明する。
【0044】また、前記のマーカー遺伝子の発現および
/または発現量の変化等を指標にするmRNAの発現プロフ
ァイルの分析は、例えば、発現されたmRNAとこれらの遺
伝子とのハイブリダイゼーション等によって行うことが
可能である。また、前記マーカー遺伝子を遺伝子プロー
ブとして使用し、これを蛍光検出用 DNA チップまたは
遺伝子センサ型 DNA チップ(一般的に電位型DNAチップ
とも称される)等に固定することによってDNAチップを製
造し、これを用いてハイブリダイゼーションを行うこと
も可能である。DNA チップを利用することにより、大量
のサンプルについて簡便に目的とする毒性を試験するこ
とが可能である。本発明に利用できる DNA チップは、
一般的に遺伝子の検出に使用されている全ての DNA チ
ップである。また、例えば、ドットブロッティングおよ
びノーザンハイブリダイゼーションを行うことにより、
或いはそれ自身公知の方法により、PCRを用いて発現さ
れたmRNAを検出および/または定量してもよい。
【0045】ここでいう「遺伝子プローブ」とは、目的
とする遺伝子を検出するためのプローブであり、神経細
胞等の内分泌ホルモンに感受性のある細胞における内分
泌撹乱物質の作用によって、特異的に発現する遺伝子ま
たは転写量が変化する転写産物、およびその一部である
オリゴヌクレオチドからなる遺伝子プローブである。
【0046】(7)細胞チップ 本発明の好ましい態様では、簡便に本方法を実施するこ
とが可能な細胞チップも提供する。例えば、本発明の細
胞チップは、上述したような図4のプレート10を用い
て製造することが可能である。本発明の細胞チップは、
図5に示す通り、プレート10の容器11に具備される
2のコンパートメントの夫々に、検出系細胞14と代謝
系細胞15が維持される装置である。好ましくは、代謝
系細胞15は、コンパートメントと該細胞15の間に、
上述した何れかの糖鎖付加キトサン類が存在する。ま
た、本発明に使用可能なプレート10は、一般的な培養
に使用されるプラスチック類およびガラス等によって、
一般的な技術により製造される。
【0047】(8)代謝毒性検出用キット 本発明の好ましい態様では、本方法を実施するためのキ
ットも提供する。例えば、上記の細胞チップと、培地
と、細胞回収用の酵素と、mRNA回収用の試薬と、mRNA発
現プロファイルを解析するためにマーカー遺伝子を固定
したDNAチップとを具備するキットとして提供される。
また、細胞チップは、試験実施者が、プレートに播種す
るように、冷凍または低温保存された状態で、プレート
と共に提供されてもよい。
【0048】(9)環境ホルモン毒性に特異的なマーカ
ー遺伝子 環境ホルモン毒性に特異的なマーカー遺伝子の獲得方法
は、以下のように行うことが可能である。即ち、(1)
内分泌撹乱物質により影響を受ける内分泌ホルモンの少
なくとも1の存在下で該内分泌ホルモンに対して感受性
のある細胞を含有する第1の培養系において被検物質を
作用させることと、該内分泌ホルモンの非存在下で該細
胞を含有する第2の培養系において該被検物質を作用さ
せることとを具備する工程と、および(2)前記被検物
質の作用によって、前記第2の培養系の細胞においては
発現されず、前記第1の培養系の細胞においては発現さ
れた遺伝子を検出して、前記被検物質の内分泌撹乱性の
有無を判定する工程とを具備する方法である。
【0049】ここで使用される「環境ホルモン毒性に特
異的なマーカー遺伝子」の語は、「内分泌撹乱性特異的
遺伝子」と同義に使用され、これらは互いに交換可能に
使用される。
【0050】本獲得方法は、2つの工程、即ち、工程
(1)と工程(2)とからなる。工程(1)は、被検物
質の存在する培養液中で動物細胞を培養する工程であ
り、工程(2)は、工程(1)で発現した遺伝子の中か
ら、内分泌撹乱作用により特異的に発現した遺伝子を検
出し、それにより被検物質の内分泌撹乱作用を判定する
工程である。具体的には、工程(1)では、2つの環境
下で細胞を培養する。即ち、内分泌ホルモン存在下と、
内分泌ホルモン非存在下である。本方法の工程(1)に
ついて図6を用いて説明する(図6)。
【0051】図6の細胞培養系21は、内分泌ホルモン
存在下で被検物質を存在させ、インキュベーションを行
った培養系である。この場合に発現される遺伝子を、遺
伝子群24として培養系21の右側に模式的に示した。
培養系21の細胞23では、通常発現している遺伝子群
26と、被検物質を与えたときに発現する遺伝子群27
が存在する。この被検物質を与えたときに発現する遺伝
27には、被検物質の内分泌ホルモンに対する撹乱作用
によって発現した遺伝子と、被検物質自身が単独で細胞
に作用したことによって発現された遺伝子とが含まれ
る。被検物質自身が単独で細胞に作用したことによって
発現される遺伝子には、ヒートショックプロテイン等の
ストレスに関連する蛋白質、アポトーシスに関連する蛋
白質、チトクロームP450等の薬物代謝関連蛋白質お
よび薬物受容体関連蛋白質等に関連する遺伝子群が含ま
れる。
【0052】一方、細胞培養系22は、内分泌ホルモン
の非存在下において被検物質を存在させ、インキュベー
ションを行った培養系である。この場合に発現される遺
伝子は、遺伝子群25として培養系22の右側に模式的
に示した。培養系22の細胞23では、通常発現してい
る遺伝子群26と、被検物質を与えたときに発現する遺
伝子群27が存在する。しかしながら、培養系21とは
異なり、被検物質を与えたときに発現する遺伝子群27
には、被検物質自身が単独で細胞に作用したことによっ
て発現された遺伝子のみが含まれる。被検物質自身が単
独で細胞に作用したことによって発現される遺伝子に
は、細胞培養系21の場合と同様の遺伝子群も含まれ
る。
【0053】このように、工程(1)は、2つの細胞培
養系を用いて、それぞれの条件での遺伝子の発現を誘導
する工程である。
【0054】工程(2)は、工程(1)で発現された遺
伝子群24と遺伝子群25とを比較し、被検物質の内分
泌ホルモンに対する撹乱作用によって発現した遺伝子を
検出し、被検物質の内分泌撹乱作用を判定する工程であ
る。
【0055】本方法の大きな特徴の1は、内分泌ホルモ
ンの存在に依存して細胞機能発現が変化する内分泌ホル
モンに対して感受性のある細胞を使用したことである。
これにより、従来の技術では不可能であった内分泌撹乱
作用を純粋に試験することが可能となる。図7に従来の
生殖系細胞を使用した内分泌撹乱作用の検出方法につい
て示した。生殖系細胞33を含む細胞培養系30に被検
物質を添加すると、図7の培養系30の右側に示すよう
な遺伝子群32が発現する。従来の方法により使用され
る生殖系細胞は、恒常的に内分泌ホルモンによって細胞
機能発現が制御されているため、本願のような効果、即
ち、被検物質が内分泌ホルモン作用を撹乱することによ
って生じる毒性のみを特異的に検出することは不可能で
ある。
【0056】本方法の工程(2)において使用される遺
伝子を検出する手段は、エチジウムブロマイドによる U
V 検出、cDNA 合成、および PCR の際にラベルした dNT
P を用いることで蛍光検出やオートラジオグラフィーに
よる検出等を使用することが可能であり、また、それ自
身公知の従来の検出方法を使用することも可能である。
【0057】また、内分泌撹乱作用の有無の判定は、内
分泌ホルモン存在下で被検物質を添加することにより発
現された遺伝子と、内分泌ホルモン非存在下で被検物質
を添加することにより発現された遺伝子との間の差異を
基に判断することが可能である。
【0058】また、本獲得方法の工程(2)において検
出された内分泌撹乱作用により特異的に発現される遺伝
子を単離することができる。本方法で検出および単離さ
れるものは、遺伝子、転写産物および逆転写産物、即
ち、DNA、RNAおよびcDNAの何れでもよく、また、その
ような遺伝子および転写産物の一部分であるオリゴヌク
レオチド、並びにこれらの配列に相補的な配列を有する
ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの何れでも
よい。
【0059】このように本獲得方法により単離された遺
伝子は、マーカー遺伝子として使用することが可能であ
る。また、蛍光検出用 DNA チップおよび遺伝子センサ
型 DNA チップ等の基板に固定化してプローブとして使
用することが可能である。
【0060】以下に、本獲得方法の詳細を更に説明す
る。まず、本発明の遺伝子転写産物の単離方法について
説明する。
【0061】(a)培養細胞における内分泌撹乱物質の
インビトロアッセイ系 この工程は上述の本獲得方法の工程(1)に相当する。
アンドロゲン、エストロゲン、またはトリヨードチロニ
ンに感受性のある動物細胞、例えば、マウス神経芽細胞
腫 Neuro2a を同ホルモンを除去した培地中で培養す
る。同一条件下で2つ以上の培養容器で培養を同時に行
う。その後、同ホルモン類、例えばトリヨードチロニン
を添加し、続いて、片方の培養容器に内分泌撹乱物質、
例えば、TCDD(2378-テトラクロロジベンゾ p-ジオキシ
ン)またはDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)
等、または何れかの被検物質を添加し、もう片方には被
検物質を添加せずに、転写に影響が出る時間、例えば、
24時間培養を行う。
【0062】或いは、アンドロゲン、エストロゲン、ま
たはトリヨードチロニンに感受性のある動物細胞、例え
ば、マウス神経芽細胞腫 Neuro2a を同ホルモンを除去
した培地中で培養する。同一条件下で3つ以上の培養容
器で培養を同時に行う。その後、用意した培養容器の2
に同ホルモン類、例えばトリヨードチロニンを添加し、
続いて、そのうちの1の培養容器に内分泌撹乱物質、例
えば、TCDD(2378-テトラクロロジベンゾ p-ジオキシン)
またはDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)等、
または何れかの被検物質を添加し、残りの1には被検物
質を添加せずに、転写に影響が出る時間、例えば、24時
間培養を行う。同時に、残りの1の培養容器に、前記ホ
ルモン類を添加せずに、内分泌撹乱物質、例えば、TCDD
(2378-テトラクロロジベンゾ p-ジオキシン)またはDDT
(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)等、または何れ
かの被検物質を添加し、他の2の培養容器と同様に、転
写に影響が出る時間、例えば、24時間培養を行う。
【0063】以下の工程は、上述の工程(2)に相当す
る。
【0064】(b)転写産物の分離 上記で得られた複数種類の培養細胞サンプルから mRNA
の単離を行う。培養した細胞を回収し、グアニジンイソ
チオシアネートを用いた変性とセシウム溶液を用いた密
度勾配超遠心によって、mRNA を単離する。
【0065】(c)内分泌撹乱物質で特異的に転写量が
変化するポリヌクレオチドの分離 上記で得られた複数種類の mRNA を比較し、内分泌撹乱
物質を添加したときに特異的に転写量が変化する転写産
物を単離する。単離には、ハイブリダイゼーションを行
うことによって、両方の細胞サンプルに含まれる産物を
除く、サブトラクションによって行うことができる。サ
ブトラクションによる分離の例を図8に示した。この例
では、4つの培養容器、即ち、(i)内分泌撹乱物質と内
分泌ホルモンを含む培養系、(ii)内分泌ホルモンのみを
含む培養系、(iii)内分泌撹乱物質のみを含む培養系、
および(iv)対照用培養系(即ち、内分泌撹乱物質も内分
泌ホルモンも含有しない系)を用いたものを示す(図
8)。内分泌ホルモンと内分泌撹乱物質を添加した細胞
培養系(i)から取得した mRNA 40 をリバーストランスク
リプターゼによる逆転写をすることにより cDNA 41 を
作成し、この cDNA 41と、内分泌撹乱物質を添加してい
ない細胞培養系 42 から取得した mRNA 42 とをハイブ
リダイゼーションさせる。ハイブリダイズした mRNA
は、カラムや密度勾配超遠心によって除く。ここでは、
密度勾配超遠心の例を示す。このとき dNTP はラベルし
ておくことが好ましい。これにより、内分泌ホルモンと
内分泌撹乱物質を作用した細胞に特異的に存在する転写
産物を cDNA 43 として取得することができる(図
8)。同様に、細胞系(iii)から取得した mRNA 44 をリ
バーストランスクリプターゼによる逆転写をすることに
より cDNA 45 を作成し、この cDNA 45 と、細胞系(iv)
から取得した mRNA 46 とをハイブリダイゼーションさ
せる。ハイブリダイズした mRNA は、カラムや密度勾配
長遠心によって除く。密度勾配超遠心の例を示す。この
とき dNTP はラベルしておくことが好ましい。これによ
り内分泌撹乱物質が単独で細胞に作用したことにより発
現または転写量の変化した遺伝子の転写産物を RNA 47
として得ることが可能である(図8)。更に、上記で得ら
れた cDNA 43 と RNA 47 とをハイブリダイゼーション
し、ハイブリダイズしなかった cDNA を得ることによ
り、内分泌撹乱物質の内分泌撹乱性に特異的な転写産物
を得ることが可能である(図8)。
【0066】また、任意 PCR による増幅で、電気泳動
的に分離することによって単離することもできる。電気
泳動による分離の例を図9に示した。この例では、4つ
の培養容器、即ち、(i)内分泌撹乱物質と内分泌ホルモ
ンを含む培養系、(ii)内分泌ホルモンのみを含む培養
系、(iii)内分泌撹乱物質のみを含む培養系、および(i
v)対照用培養系を用いたものを示す(図9)。4種類の
細胞培養系から得られたmRNA について、末端を蛍光色
素または放射線同位物質で標識した 10〜20 塩基の任意
の配列のプライマーを用いて逆転写反応を行う(図9、5
0)。その後、逆転写に用いたプライマーと、そのプライ
マーとは異なる末端を蛍光色素、または放射線同位物質
で標識した 10〜20 塩基の任意の配列のプライマーを用
いて PCRを行う(図9、51)。PCR 後の4種類のサンプル
を適当なゲル、例えば、ポリアクリルアミドゲル内で電
気泳動的に分離する。その際、4つのサンプルは隣接し
て、泳動し、同じ断片が同じ泳動度で泳動されるように
する。PCR 断片が十分に分離できるまで泳動した後、オ
ートラジオグラフィーやフルオロイメージャー等によっ
て、泳動した PCR 断片を該泳動ゲルから検出する。内
分泌撹乱物質と内分泌ホルモンとを添加した細胞培養系
(i)、内分泌ホルモンのみを添加した細胞培養系(ii)、
内分分泌撹乱物質のみを添加した細胞培養系(iii)およ
び対照用細胞培養系(iv)から増幅した PCR サンプルを
比較し、増幅量、例えば、蛍光強度が2倍以上(図9、5
4)、または、2分の1以下(図9、54)の顕著な増減が見
られるPCR 断片をゲルから切り出す。例えば、シリカ膜
等によって、PCR 断片を回収することにより、内分泌撹
乱性により特異的に存在する転写産物に起因するポリペ
プチドとして取得することができる(図9)。
【0067】(d)DNA チップ 本検出方法で使用することが可能な所望するDNAプロー
ブを固定したDNA チップは、以下の手順により作成する
ことができる。
【0068】蛍光検出用 DNA チップの作製 上記で取得したポリヌクレオチドまたはその一部の配列
を有する人工的に合成したオリゴヌクレオチド、または
それらの配列に相補的な配列を有したヌクレオチドを基
板に固定化する。基板は、例えば、ガラス基板およびシ
リコン基板等、従来用いられる何れの基板も使用するこ
とが可能である。固定化手段は、スポッター等を使用す
る手段、一般的な半導体技術を使用した手段等、当業者
にそれ自身公知の手段を用いて固定することが可能であ
る。
【0069】遺伝子センサ型 DNA チップの作製 上記で取得したポリヌクレオチドまたはその一部の配列
を有する人工的に合成したオリゴヌクレオチド、または
それらの配列に相補的な配列を有したヌクレオチド等、
本発明のヌクレオチドを、基板、例えば、電極基板上に
共有結合、イオン結合、物理吸着および化学吸着等によ
って固定化する。遺伝子センサ型 DNAチップの例は、平
成8年10月24日に登録された特許番号第25734
43号の自動遺伝子検出装置等であるが、これに限られ
るものではない。
【0070】本発明のポリヌクレオチド類を具備する遺
伝子プローブおよび DNA チップを用いると内分泌撹乱
作用に特異的に転写量が変化する転写産物を容易に検出
することができる。
【0071】(e)DNAチップを使用した内分泌撹乱作
用の検出方法 本発明のDNAチップを使用することにより、確実に且つ
効率的に大量の被検物質についての内分泌撹乱性を検出
することが可能である。即ち、予め、上述の工程(1)
と工程(2)を具備する本獲得方法により、内分泌撹乱
性に由来するヌクレオチドを検出し単離する。次に、得
られたヌクレオチドを所望する DNA チップに固定する
ことにより DNA チップを製造する。この DNA チップを
用いた試験に供するサンプルの調製は、内分泌ホルモン
の有無を問題とせずに、上記細胞に対して被検物質を作
用させることにより実施することが可能である。即ち、
該細胞培養系に被検物質を作用させ、この細胞培養系か
ら所望のヌクレオチド、例えば、mRNA 等を抽出する。
次に、これを、該 DNA チップに処理してハイブリダイ
ゼーションを行う。これにより、内分泌撹乱性に依存し
て存在する遺伝子を容易に且つ短時間で、しかも多数の
サンプルを同時に試験することが可能である。該培養系
から抽出するヌクレオチドと、DAN チップに固定される
プローブは、互いに相補的な配列を有するように設計す
ることが好ましい。また、検出するための標識は、蛍
光、放射性同位元素等、それ自身公知の何れの手段も使
用することが可能である。
【0072】このように、本発明の被検物質の代謝によ
り誘導される環境ホルモン毒性を検出する方法のmRNAの
発現プロファイルの分析は、予めマーカー遺伝子を固定
したDNAチップを使用して行うことも可能である。
【0073】
【実施例】以下に、具体例を挙げて本発明を更に詳しく
説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、この実施例
に限定されるものではない。
【0074】[1.初代肝細胞の単離]3週齢のSDラッ
トをケタラールで麻酔して開腹した。肝臓動脈にシリン
ジを挿入し、EGTAを含むハンクス液で前還流を行った。
その肝臓を摘出した後、I型コラゲナーゼ含有ハンクス
液で還流し、700×gで3分間遠心して初代肝細胞を単離
した。得られた初代肝細胞は、10mMのHEPESでpH7.35に
調整したウィリアムス培地Eに10%ウシ胎児血清(以下、F
SCと記す)を添加した培地中で24時間培養した。
【0075】[2.肝細胞とNeuro2aの培養]マウス神
経芽細胞腫Neuro2aを24穴マルチウェルプレートで培養
した。一方、上記1で得た肝細胞は2層培養用細胞カッ
プに播種した。被検物質について、環境ホルモン毒性を
検出する場合には、培養液として、被検物質を添加した
10% FCSおよび30nMのトリヨードチロニンを含有するDF
培地を使用し、前記細胞を保持した24穴マルチウェルプ
レートの各穴に、1つずつ前記カップをセットした後
に、3日間、5% CO2ガスインキュウベーター内で静置し
た。
【0076】[3.肝細胞とNeuro2aの細胞チップ上で
の培養]ガラス基板に複数の容器を形成し、各容器の中
には、2種類の細胞を並列培養できるように2つのコン
パートメントを配置し、図4に示すようなプレートを製
造した(図4)。該2つのコンパートメントは、溝を形
成することによって配置した。一方のコンパートメント
は、[1→4]結合 2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルカンで
コートした。前記コートしたコンパートメントに肝細胞
を播種し、24時間培養して該細胞を該コート剤に接着さ
せ、洗浄し余分な細胞を除去した。他方のコンパートメ
ントにNeuro2aを播種し、24時間培養の後、洗浄して
余分な細胞を除去し、細胞チップを製造した。被検物質
について、環境ホルモン毒性を検出する場合には、培養
液として、被検物質を添加した10% FCSおよび30nMのト
リヨードチロニンを含有するDF培地を使用し、3日間、5
% CO2ガスインキュウベーター内で静置した。
【0077】[4.被検物質の毒性応答転写物の測定
例:その1]上述で得られた被検物質を処理したNeuro2
aに関して、毒性応答転写物であるmRNAのプロファイル
について、本項のような測定例その1の方法または後述
する測定例その2に示す方法によって分析した。
【0078】(1)Neuro2a細胞の回収 上述で得た被検物質曝露細胞を0.25%のトリプシンで3分
間処理して回収した。当該回収は、肝細胞が混入しない
ように行った。2層培養の場合には、上層のカップを取
り除いてから、下層の検出系細胞のみをトリプシン処理
によって回収した。
【0079】(2)mRNAの調製 上述の(1)の工程で得た細胞5×106細胞に18mLのホモ
ジネートバッファーを加えてホモジナイズした。前記ホ
モジネートバッファーは、4Mのグアニジンニソチオシア
ネート、2%のSDSおよび10mMのEDTAを含有する緩衝液で
ある。得られたホモジネートを15℃で5000×gで20分間
遠心し、その上清を採取した。得られた上清を更にシリ
ンジに連結した18Gの注射針を10往復させた。得られた
溶液を同量のCsTFAおよびEDTAを含有するセシウム溶液
に重層し、30000×gで20時間の超遠心を行った。超遠心
の後にその上清を除去した。沈渣を乾燥した後、70%の
エタノールで洗浄し、更に乾燥し、滅菌水に懸濁してRN
A溶液を得た。
【0080】(3)毒性応答転写物の測定 上述の(2)の工程で得たRNAをナイロン膜にブロット
した。一方、薬物誘導遺伝子であるチトクロームP450CY
P1A1、1B1および2A1、並びに芳香族化合物受容体である
アリルハイドロカーボン受容体のcDNAを32Pで標識し、
これをプローブとして使用し、ドットブロッティングを
行い、mRNAの発現プロファイルを分析した。
【0081】[5.被検物質の毒性応答転写物の測定
例:その2] (1)Neuro2a細胞の回収 上述で得た被検物質曝露細胞を0.25%のトリプシンで3分
間処理して回収した。当該回収は、肝細胞が混入しない
ように行った。上述の細胞チップを使用した試験の場
合、当該ウェルの培養液を除去した後にトリプシン処理
を行って、浮遊したNeuro2aのみを回収した。
【0082】(2)mRNAの調製 上述の(1)で得た細胞を、各ウェル毎に新しい当該プ
レート(即ち、例3の細胞チップに使用したプレート)
に移し、RNAの調製を行った。先ず、細胞1mg当たり、20
μLのメルカプトエタノール含有グアニジンニソチオシ
アネートを添加し、超音波破砕プローブで細胞を破砕
し、14μLの冷エタノールを添加し、13000×gで5分間遠
心した。得られたペレットを、NaAc(pH5.5)を含むNaI溶
液に溶解し、予めシリカ膜カートリッジを装着した新し
い当該プレートに上から流して吸着させた。濾液を2回
吸着させた後に、65℃に加温したDEPC処理水で溶出して
RNA溶液を得た。
【0083】(3)毒性応答転写物の測定 上述の(2)の工程で得た当該プレートの各ウェルに回
収したRNA溶液に、チトクロームP450CYP1A1、1B1および
2A1、並びにアリルハイドロカーボン受容体のcDNAの一
部をプローブとして予め固定した電流型DNAチップを浸
し、ハイブリダイゼーションをし、各mRNAの発現プロフ
ァイルを分析した。
【0084】[6.環境ホルモン毒性に特異的なマーカ
ー遺伝子の獲得]環境ホルモン毒性に特異的なマーカー
遺伝子を獲得する方法は、例えば、以下のように行うこ
とが可能である。
【0085】例1.内分泌撹乱物質のインビトロアッセ
イ系 (1)Neuro2a の培養 陰イオン交換樹脂 AG1-X8 とウシ胎児血清を、50mg樹脂
/mL の割合で混合し、室温で5時間インキュベートし
た。1000×gで10分間の遠心により、樹脂を除去した
後、新しい樹脂を50mg樹脂/mL の割合で添加し、更
に、室温で18時間インキュベートした。その後、1000×
gで10分間の遠心と、30000×gで20分間の遠心によっ
て、樹脂を完全に除去し、0.22μm孔サイズのフィルタ
ーにより滅菌し、トリヨードチロニン除去ウシ胎児血清
を調整した。このトリヨードチロニンを除去したウシ胎
児血清を10%含むダルベッコ MEM 培地とハム F-12 培
地を1:1の割合で混合したDF培地を用いて、マウス
神経芽細胞腫 Neuro2a を37℃、5%CO2存在下で、培養
した。その後、30nMのトリヨードチロニンを培養液に添
加し、5日間培養した。
【0086】(2)ダイオキシンのインビトロアッセイ 上記(1)の培養で得られた細胞を2つの容器に分け、
片方の培養容器に内分泌撹乱物質である 1nM の TCDD(2
378-テトラクロロジベンゾ p-ジオキシン)を添加し、も
う片方の培養容器には TCDD を添加せず、夫々、24時間
の培養を行った。24時間後、細胞の形態の観察および細
胞の回収を行った。
【0087】例2.内分泌撹乱物質によって転写量が変
化するポリヌクレオチドの取得 (1)mRNA の調製 上記の例1で得られた細胞 5×106cells に対して、18m
L のホモジネートバッファー(グアニジンイソチオシア
ネート、SDS、EDTA 含有)を加えてホモジナイズした。
このホミジネートを 15℃ で 5000×g で 20 分間遠心
し、上清を採取した。この上清を更にシリンジに連結し
た 18G の注射針を 10 往復させ、得られた溶液を同量
のセシウム溶液(CsTFAおよびEDTAを含有)に重層して、3
0000×g で20時間の超遠心を行った。超遠心後の遠心管
を取り出し、ピペットを用いて静かに上清を吸い上げ
た。遠心管は、逆さまにしてペーパータオル上で乾燥し
た。乾燥後、熱した剃刀で底を切り離し、70%エタノー
ルで洗浄し、更に乾燥した。乾燥後、滅菌水に懸濁して
RNA 溶液とした。
【0088】(2)mRNA のサブトラクション 上記の(1)の工程で得た二種類の細胞から調製した m
RNA 溶液の内、TCDDを添加した細胞から得られた RNA
溶液について、逆転写によって cDNA を合成した。即
ち、1μg の RNA を含む溶液に逆転写酵素バッファー、
dNTPmix(各10μM)、RNAase インヒビター10u、ランダム
プライマー25pmolに M-MLV 逆転写酵素20u を加えて、
全体で 20μL にした。30℃ で 10 分、42℃ で 20
分、99℃ で5 分の順に温度を変化し、cDNA を合成し
た。cDNA 溶液を RNase によって RNAを除去し、一本鎖
DNA 溶液を調製した。この溶液と上記(1)の工程で
得た TCDD を添加していない細胞から得られた mRNA 溶
液を37℃でハイブリダイズした。このハイブリダイゼー
ション溶液を同量のセシウム溶液に重層して、30000×g
で20時間の超遠心によって分離し、ハイブリダイズして
いない一本鎖 DNA 溶液を回収し、目的のポリヌクレオ
チド溶液とした。
【0089】例3.内分泌撹乱物質によって転写量が変
化するポリヌクレオチドの取得 (1)RNA の調製 上記例1で得た細胞 5×106cells に対して、18mLのホ
モジネートバッファー(グアニジンイソチオシアネー
ト、SDS、EDTA含有)を加えてホモジナイズした。このホ
モジネートを 15℃ で 5000×g で20分間、遠心し、上
清を採取した。この上清を更にシリンジに連結した 18G
の注射針を 10 往復させ、得られた溶液を同量のセシ
ウム溶液(CsTFAとEDTA含有)に重層して、30000×g で 2
0 時間の超遠心を行った。超遠心後の遠心管を取り出
し、ピペットを用いて静かに上清を吸い上げた。遠心管
は逆様にしてペーパータオル上で乾燥した。乾燥後、熱
した剃刀で底を切り離し、70%エタノールで洗浄し、乾
燥した。乾燥後、滅菌水に懸濁し、RNA 溶液とした。
【0090】(2)PCR による DNA 断片の比較 上記(1)の工程で得た2種類の細胞から調製した mRN
A 溶液について、逆転写によって、cDNA を合成した。
即ち、1μgの RNA を含む溶液に逆転写酵素バッファ
ー、dNTPmix(各10μM)、RNAase インヒビター10u、任意
の配列を持ち末端をローダミンでラベルしたプライマー
25pmol に M-MLV 逆転写酵素 20u を加えて全体で 20μ
L とした。30℃ 10分間、42℃ 20分、99℃ 5分間の順
に、温度を変化し、cDNA を合成した。この溶液に、更
に、リバーストランスクリプターゼバッファー、任意の
配列を有し、末端をローダミンでラベルしたプライマー
10pmolと別の任意の配列を持ち、末端をローダミンでラ
ベルしたプライマー10pmol、リバーストランスクリプタ
ーゼ 2.5u を加え、全体量を100μL にした。94℃で30
秒、55℃で30秒、72℃で 1 分のサイクルを 30 回繰り
返すことで、任意の部分が増幅された RT-PCR 産物を含
む溶液を得た。
【0091】この2種類の RT-PCR 産物を含む溶液を含
む溶液を、7M の尿素-4%ポリアクリルアミドゲルに隣
接したレーンに添加し、TBE バッファーで 40W の定電
力で3 時間電気泳動を行った。ゲル板を蛍光イメージア
ナライザーにセットし、RT-PCR 産物のバンドを検出し
た。隣接したレーンのバンドの蛍光強度を比較し、2倍
以上、または 2分の1以下の蛍光強度の差があったバ
ンドについて、ゲルから切り出した。ゲル断片からシリ
カ膜を用いて、含まれる RT-PCR 断片を回収し、目的の
ポリヌクレオチド断片溶液とした。
【0092】例4.DNAチップの作製 内分泌撹乱物質によって転写量が変化するポリヌクレオ
チドを固定したDNAチップを以下のように作製した。例
2または3で得られたポリヌクレオチドをプローブとし
て、ポリリジンでコートしたガラス基板上に、市販のス
ポッターを用いて固定させて、蛍光検出型DNAチップを
作製した。
【0093】例5.DNAチップの作製 分泌撹乱物質によって転写量が変化するポリヌクレオチ
ドを固定したDNAチップを以下のように作製した。例2
または3で得られたポリヌクレオチドをターミナルデオ
キシヌクレオチジルトランスフェラーゼとメルカプト基
を持ったdNTPにより、末端にメルカプト基を導入した。
末端をラベルしたポリヌクレオチドを金電極上にスポッ
ティングし、化学的に吸着させることで、遺伝子センサ
型DNAチップを作製した。
【0094】
【発明の効果】以上のように本発明によると、代謝毒性
を有する被検物質の代謝毒性も容易に検出することが可
能である。本発明のように転写産物を検出することによ
って、物質の環境ホルモン毒性、即ち、内分泌撹乱性を
容易に検出することが可能であり、廃棄物や新規材料等
の毒性の判定を容易に、しかも確実に検出することが可
能である。
【0095】検出系細胞にNeuro2a等の内分泌ホルモン
に対して感受性のある細胞を用いて、トリヨードチロニ
ン等の内分泌ホルモンの存在下で試験を行うことによ
り、環境ホルモンの毒性を特異的に検出することが可能
である。
【0096】代謝系細胞に肝細胞を用いて、これとキト
サンとの接着能を利用して検出系細胞と分離することに
より、検出工程を簡便に行うことが可能である。
【0097】予めマーカー遺伝子を固定したDNAチップ
を用いることにより、より簡便に毒性を検出することが
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用できる培養容器の例を示す
断面図。
【図2】本発明の方法に使用できる培養容器の例を示す
断面図。
【図3】本発明における培養容器の使用例を示すスキー
ム。
【図4】本発明の方法に使用できる培養容器の例を示す
図。
【図5】本発明の細胞チップを示す断面図。
【図6】環境ホルモン毒性に特異的なマーカー遺伝子の
獲得方法の概念を示す図。
【図7】従来の生殖系細胞を使用した内分泌撹乱作用検
出方法の概念を示す図。
【図8】マーカー遺伝子の獲得方法の例を示すスキー
ム。
【図9】マーカー遺伝子の獲得方法の例を示すスキー
ム。
【符号の説明】
1.培養系 2.検出系細胞 3.代謝系細胞
4.仕切 5.培地 7.上層 8.下層 9.アフィニティクロマトグ
ラフィ 10.プレート 11.容器 12.壁
13.仕切 14.検出系細胞 15.代謝系
細胞 21.細胞培養系 22.細胞培養系 2
3.細胞 24.遺伝子群 25.遺伝子群 2
6.遺伝子群 27.遺伝子群 30.細胞培養系
33.生殖系細胞 32.遺伝子群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 (C12Q 1/02 //(C12Q 1/02 C12R 1:91) C12R 1:91) C12N 15/00 A F Fターム(参考) 4B024 AA11 AA19 BA55 BA80 CA01 CA04 CA09 CA11 CA12 GA18 HA14 HA19 4B029 AA07 AA08 AA21 BB11 BB20 CC02 CC03 CC08 FA15 GA03 GB02 GB04 4B063 QA01 QA07 QA18 QA19 QQ53 QQ61 QR32 QR35 QR41 QR42 QR56 QR69 QR77 QR84 QS13 QS25 QS34 QS36 QX02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検物質の、代謝により誘導される環境
    ホルモン毒性を検出する方法であって、 代謝活性を有する細胞からなる代謝系細胞と、内分泌ホ
    ルモンに対して感受性のある細胞からなる検出系細胞と
    を、被検物質の存在下において共培養する工程と、 前記検出系細胞からmRNAを回収する工程と、 回収されたmRNAの発現プロファイルを分析することによ
    り、被検物質の代謝毒性を検出する工程とを具備する被
    検物質の代謝により誘導される環境ホルモン毒性を検出
    する方法。
  2. 【請求項2】 前記代謝系細胞が肝細胞であることを特
    徴とする請求項1に記載の被検物質の代謝により誘導さ
    れる環境ホルモン毒性を検出する方法。
  3. 【請求項3】 前記内分泌ホルモンに対して感受性のあ
    る細胞がNeuro2aであって、且つ前記共培養において、
    更にトリヨードチロニンが存在していることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の被検物質の代謝により誘導
    される環境ホルモン毒性を検出する方法。
  4. 【請求項4】 前記検出系細胞をキトサンに接着して分
    離することにより、前記内分泌ホルモンに対して感受性
    のある細胞を回収し、前記回収された細胞からmRNAを回
    収することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に
    記載の被検物質の代謝により誘導される環境ホルモン毒
    性を検出する方法。
  5. 【請求項5】 前記mRNAの発現プロファイルの分析を、
    予めマーカー遺伝子を固定したDNAチップを用いて行う
    ことを特徴とした請求項1から4の何れか1項に記載の
    被検物質の代謝により誘導される環境ホルモン毒性を検
    出する方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から5の何れか1項に記載の方
    法を行うための装置であって、 夫々のコンパートメントに独立して代謝系細胞と検出系
    細胞とを維持する2つのコンパートメントを培養容器と
    して具備し、且つ前記2つのコンパートメントは液体を
    介して1つの培養系を構成する装置。
  7. 【請求項7】 請求項1から5の何れか1項に記載の方
    法を行うためのキットであって、請求項6に記載の装置
    と、代謝系細胞および検出系細胞と、mRNAの発現プロフ
    ァイル分析するためにマーカー遺伝子が固定されたDNA
    チップとを具備するキット。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8404441B2 (en) 2010-04-19 2013-03-26 Empire Technology Development Llc DNA intercalator detection
JP2016202032A (ja) * 2015-04-17 2016-12-08 国立大学法人東北大学 アレルギー型薬物性肝障害の評価方法

Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8404441B2 (en) 2010-04-19 2013-03-26 Empire Technology Development Llc DNA intercalator detection
US9029128B2 (en) 2010-04-19 2015-05-12 Empire Technology Development Llc DNA intercalator detection
JP2016202032A (ja) * 2015-04-17 2016-12-08 国立大学法人東北大学 アレルギー型薬物性肝障害の評価方法

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