JP2002171970A - 抗Wnt−3aモノクローナル抗体 - Google Patents

抗Wnt−3aモノクローナル抗体

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JP2002171970A
JP2002171970A JP2000368336A JP2000368336A JP2002171970A JP 2002171970 A JP2002171970 A JP 2002171970A JP 2000368336 A JP2000368336 A JP 2000368336A JP 2000368336 A JP2000368336 A JP 2000368336A JP 2002171970 A JP2002171970 A JP 2002171970A
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慎治 ▲高▼田
Shinji Takada
律子 ▲高▼田
Ritsuko Takada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発生学における分析試薬、乳癌等の癌の診断
薬として有用と考えられる抗Wnt−3aモノクローナ
ル抗体、特に免疫沈降法やウエスタンブロット法のみな
らず、組織免疫染色法にも用いることができる抗Wnt
−3aモノクローナル抗体を提供すること。 【解決手段】 抗原として、組換えマウスWnt−3a
タンパク質のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
分画物を大量に用いてマウスを免疫し、かかるマウスの
脾細胞とマウスミエローマを用いて常法により細胞融合
を行い、Wnt−3aタンパク質に対するモノクローナ
ル抗体を得る。得られる抗Wnt−3aモノクローナル
抗体を用いると、免疫沈降の他、Wnt−3aタンパク
質に対するウエスタンブロッティングや、組織に局所的
に発現したWnt−3aタンパク質に対する免疫蛍光を
行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Wnt−3aタン
パク質に対するモノクローナル抗体、特に免疫沈降法や
ウエスタンブロット法のみならず、組織免疫染色法にも
用いることができる抗Wnt−3aモノクローナル抗体
に関する。
【0002】
【従来の技術】動物の発生過程における様々な局面で、
細胞間・組織間の相互作用を行う分泌性シグナル分子が
数多く知られている。これらの細胞間シグナル分子の1
つであるWntファミリーに属するタンパク質は、線
虫、ショウジョウバエからマウス、ヒトにいたる種々の
動物種の発生過程において時間的、位置的に特異的に発
現し、形態形成の誘導因子、細胞の極性決定因子、増殖
分化の調節因子として重要な役割を果たすことが知られ
ている。また、Wntという名称は、ショウジョウバエ
のセグメントポラリティ遺伝子の1つwinglessと、マウ
スで発見されたオンコジーンint-1に由来する。
【0003】現在まで、マウスではWnt−3aを含め
少なくとも18種類のWnt遺伝子が存在することが知
られており、これら多くのWnt遺伝子の各々がマウス
初期胚の神経管等で局所的に発現しており、それぞれの
Wnt遺伝子が形態形成に固有の役割を担っているとも
のと考えられている。例えば、体幹部の神経管では最も
背側ではWnt−1,Wnt−3aが、それより少し広
い背側の領域ではWnt−3が、腹側ではWnt−5
a,Wnt−7a,Wnt−7bが、また背側の一部と
最も腹側の底板と呼ばれる領域でWnt−4が発現して
いる。本発明者らにより作製されたWnt−3aノック
アウトマウスでは前肢より後方の体節が神経管に変換す
ること(Genes Dev 8: 174-189, 1994、Dev. Biology 1
83, 234-242, 1997)から、これらの中でもWnt−3
a遺伝子は初期発生における細胞の分化経路の選択に重
要な役割を果たしているものと考えられているが、その
詳細については未だ明らかとなっていない。また、抗W
nt−3aウサギ抗血清については、Burrusらによる免
疫沈降法にのみ使用可能な抗血清に関する報告(ExpCel
l Res , 220(2): 363-373, 1995)や、本発明者らによ
る免疫沈降法やウエスタンブロット法に使用可能な抗血
清に関する報告(Genes to Cells ; 3, 659-670, 199
8)がなされているが、抗Wnt−3aモノクローナル
抗体、特に免疫沈降法やウエスタンブロット法のみなら
ず組織免疫染色法にも用いることができる抗Wnt−3
aモノクローナル抗体は知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】脊椎動物のWnt−3
aタンパク質の研究を行う上で、Wnt−3aタンパク
質に特異的に反応するモノクローナル抗体を作製するこ
とは、抗血清と異なり同質の抗体を継続的に入手する上
で必要不可欠である。従来、免疫沈降法やウエスタンブ
ロット法に使用可能なWnt−3aタンパク質に対する
抗血清は知られているが、Wnt−3aタンパク質の機
能を正確に把握するには、抗Wnt−3aモノクローナ
ル抗体、特に免疫沈降法やウエスタンブロット法のみな
らず組織免疫染色法にも用いることができる抗Wnt−
3aモノクローナル抗体が求められていた。しかし、現
在までに樹立された脊椎動物のWntに対する抗体に
は、抗Wnt−3aモノクローナル抗体、特に免疫沈降
法やウエスタンブロット法のみならず組織免疫染色法に
も用いることができる抗Wnt−3aモノクローナル抗
体は存在しなかった。本発明の課題は、発生学における
分析試薬、乳癌等の癌の診断薬として有用と考えられる
抗Wnt−3aモノクローナル抗体、特に免疫沈降法や
ウエスタンブロット法のみならず組織免疫染色法にも用
いることができる抗Wnt−3aモノクローナル抗体を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討し、抗原として組換えマウス
Wnt−3aタンパク質のSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動分画物を大量に用いてマウスを免疫するこ
とにより、意外にも自己タンパク質に対するモノクロー
ナル抗体が得られることを見い出し、得られたモノクロ
ーナル抗体のうちの1つが免疫沈降法やウエスタンブロ
ット法のみならず組織免疫染色法にも用いることができ
るモノクローナル抗体であることを確認し、本発明を完
成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、Wnt−3aタンパク
質に対するモノクローナル抗体又はその可変領域からな
る抗体結合部位を含む抗体フラグメント(請求項1)
や、免疫沈降法、ウエスタンブロット法及び組織免疫染
色法のいずれにも用いることができる請求項1記載のモ
ノクローナル抗体又はその可変領域からなる抗体結合部
位を含む抗体フラグメント(請求項2)や、請求項1又
は2記載のWnt−3aタンパク質に対するモノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株又はそれらに
由来する細胞株(請求項3)や、抗原として、組換えW
nt−3aタンパク質のSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動分画物を用いることを特徴とする抗Wnt−
3aモノクローナル抗体の製造方法(請求項4)や、請
求項1又は2記載のモノクローナル抗体又はその可変領
域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントを用い
ることを特徴とするWnt−3aの検出方法(請求項
5)や、請求項1又は2記載のモノクローナル抗体又は
その可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
ントを含むことを特徴とするWnt−3a検出用キット
(請求項6)に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のモノクローナル抗体又は
その可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
ントとしては、Wnt−3aと反応する抗Wnt−3a
モノクローナル抗体や該モノクローナル抗体の可変領域
からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントであれば
どのようなものでもよいが、免疫沈降法やウエスタンブ
ロット法のみならず組織免疫染色法にも用いることがで
きるモノクローナル抗体や、これらモノクローナル抗体
の可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメン
トが好ましい。また、これら抗体フラグメントとして
は、モノクローナル抗体をペプシンで消化して得られる
F(ab′)2、F(ab′)2を還元して得られるFa
b′、モノクローナル抗体をパパインで消化して得られ
るFabなどを例示することができる。
【0008】また、上記モノクローナル抗体の製造方法
としては、ハイブリドーマ法(Nature 256, 495-497, 1
975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(I
mmunology Today 4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリ
ドーマ法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAP
Y, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc., 1985)など任意の方
法における慣用のプロトコールを用いて、動物(好まし
くはヒト以外)に組換えWnt−3aタンパク質のSD
S−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分画物を大量に投
与することにより産生させる方法を挙げることができ、
この方法による場合、使用する抗原の由来動物種と免疫
する動物種が同じであっても、すなわち抗原として例え
ばマウスWnt−3aタンパク質を用いてマウスを免疫
した場合であっても、過度な実験によることなく抗Wn
t−3aモノクローナル抗体を得ることができる。例え
ば、ハイブリドーマ法による場合、SDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動分画物とせず、夾雑物を含むWn
t−3aタンパク質をそのまま抗原として用いた場合に
は、抗Wnt−3aモノクローナル抗体産生ハイブリド
ーマを得ることが困難である。
【0009】本発明のWnt−3aタンパク質に対する
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株又
はそれらに由来する細胞株としては、抗Wnt−3aモ
ノクローナル抗体を産生することができる細胞株であれ
ば特に制限されるものではなく、かかる抗Wnt−3a
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞株は、組換
えWnt−3aタンパク質のSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動分画物を大量に投与した動物(好ましく
はヒト以外)の脾細胞と当該動物の由来の骨髄腫細胞と
を、常法により細胞融合させ、HAT培地で選択し、そ
の中からWnt−3aに対して特異的に免疫反応するこ
とができるものを標識化抗IgG抗体等によりスクリー
ニングすることにより作出することができる。かかる抗
Wnt−3aモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細
胞株又はそれらに由来する細胞株を、インビボ又はイン
ビトロで常法により培養することにより抗Wnt−3a
モノクローナル抗体を生産することができ、例えば、イ
ンビボ系においては、マウス又はラット等の齧歯目動
物、好ましくはハイブリドーマと由来を同じくする齧歯
目動物の腹腔内で培養することにより、またインビトロ
系においては、動物細胞培養用培地で培養することによ
り、抗Wnt−3aモノクローナル抗体を得ることがで
きる。インビトロ系でハイブリドーマを培養するための
培地としては、ストレプトマイシンやペニシリン等の抗
生物質を含むRPMI1640又はMEM等の細胞培養
培地を例示することができる。
【0010】本発明のWnt−3aの検出方法として
は、上記本発明のモノクローナル抗体や、該モノクロー
ナル抗体の可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フ
ラグメントを用いる方法であれば特に制限されるもので
はなく、これらモノクローナル抗体等を用いて、RIA
法、ELISA法、蛍光抗体法、プラーク法、スポット
法、血球凝集反応法、オクタロニー法等の免疫学的測定
方法を行うことによりWnt−3aを特異的かつ正確に
検出・測定することができる。例えば、固相化された上
記本発明のモノクローナル抗体及び/又はその可変領域
からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメントと、これ
らモノクローナル抗体又はその可変領域からなる抗体結
合部位を含む抗体フラグメントとは認識部位を異にす
る、標識化された第2のモノクローナル抗体及び/又は
その可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラグメ
ントとを用いる方法や、組織において局所発現したWn
t−3aタンパク質に特異的に結合することができる本
発明のモノクローナル抗体と該モノクローナル抗体に対
する標識化二次抗体(抗Ig抗体)とを用いる方法等を
挙げることができる。上記固相化用の担体としては、シ
リコン、ナイロン、プラスチック、ガラスからなるビー
ズ、マイクロプレート、試験管、フィルター、メンブレ
ン等を用いることができる。
【0011】本発明において組織免疫染色法とは、標識
化抗体を用いる免疫反応により組織・細胞等を顕微鏡等
で観察することができるように染色する方法をいい、以
下、組織免疫染色法の一つである蛍光抗体法(免疫蛍光
法)を例にとって説明する。蛍光抗体法は、蛍光標識し
た抗Wnt−3aモノクローナル抗体を用いて、組織や
細胞におけるWnt−3aタンパク質の局在を蛍光顕微
鏡下に検出する方法であり、かかる蛍光抗体法として
は、パラホルムアルデヒド等で処理した組織において局
所発現したWnt−3aタンパク質に蛍光標識した抗W
nt−3aモノクローナル抗体を用いる直接蛍光抗体法
や、パラホルムアルデヒド等で処理した組織において局
所発現したWnt−3aタンパク質に未標識の抗Wnt
−3aモノクローナル抗体(一次抗体)を結合させた後
に蛍光標識した二次抗体(抗Ig抗体)を結合させる間
接蛍光抗体法とを例示することができる。抗体の蛍光標
識には、緑色系のFITC(フルオレセインイソチオシ
アネート)、TRITC(テトラメチルローダミンイソ
チオシアネート)、Cy3(シアニン−3)等の蛍光物
質や、GFP(グリーン蛍光タンパク質)等の蛍光発光
タンパク質などを融合させた融合タンパク質を用いるこ
ともできる。また、上記組織免疫染色法において、モノ
クローナル抗体に代えて、前記F(ab′)2、Fabな
どの該モノクローナル抗体の可変領域からなる抗体結合
部位を含むWnt−3aに結合する抗体フラグメントを
使用することもできる。
【0012】また、本発明のWnt−3aの検出方法に
おいて、抗Wnt−3aモノクローナル抗体や抗体フラ
グメントの標識物質としては、上記蛍光物質の他、β−
ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォス
ファターゼ等の酵素を例示することができ、これら酵素
は「酵素標識法(生物化学実験法 27 ) 」 (第1 版、石
川栄治著、学会出版センター、1991年)などに記載され
ている方法で標識することができる。またこれら酵素に
代えて、例えば、125I、32P、35S、3H等のラジオア
イソトープを用いることもできる。
【0013】本発明のWnt−3a検出用キットとして
は、本発明のモノクローナル抗体や抗体フラグメントが
含まれている検出用キットであれば特に制限されるもの
でなく、例えば、本発明のモノクローナル抗体及び/又
は抗体フラグメントと、該モノクローナル抗体又は抗体
フラグメントとは異なる部位でWnt−3aと反応する
少なくとも1種の第2の標識化モノクローナル抗体及び
/又は抗体フラグメントとが含まれている検出・測定用
キットや、本発明のモノクローナル抗体と該モノクロー
ナル抗体に対する標識化二次抗体(抗Ig抗体)とが含
まれている検出・測定用キットなどを挙げることができ
る。
【0014】
【実施例】以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体
的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施
例に限定されるものではない。 実施例1[マウスWnt−3aタンパク質の調製] マウスWnt−3aタンパク質(29〜352アミノ酸
残基のタンパク質のアミノ末端にHisタグを融合した
融合タンパク質)をコードするDNAを用いて大腸菌
(BL21(DE3)plys S)を形質転換した。この形質転換細
胞を培養することによってマウスWnt−3aタンパク
質を発現させ、ニッケルアガロースレジン(Quiagen社
製「Ni-NTA Agarose」)を用いて精製した。さらにこの
精製物を文献(Nature : 227,, 680-685, 1970)記載の
方法に準じてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
により分画し、Wnt−3aタンパク質に相当するバン
ド(38kD)を調製した。すなわち、精製したマウス
Wnt−3aタンパク質を塩析法により濃縮し、SDS
を含む13%のアクリルアミド分離ゲル(180×24
5×3mm)を用いて電気泳動的に分離し、マウスWn
t−3aタンパク質に対応するバンドをゲルを染色固定
することなく切り出した。切り出したゲルバンドは0.
001%ブロモフェノールブルー溶液に浸して10分間
振盪後、SDSを含む8%アクリルアミドゲル(bottom
gel)と4%アクリルアミドゲル(upper gel)との間
に挟み込み、通常とは逆向きに電気泳動することによ
り、ゲル上部にマウスWnt−3aタンパク質を溶出さ
せ、回収した。
【0015】実施例2[動物への免疫] 上記得られたマウスWnt−3aタンパク質0.4mg
相当量の抗原溶液(0.8mg/ml,0.5mlをP
BSで1mlとする)を、同容量のフロイント・コンプ
リート・アジュバンド(Difco Lab.社製)と共にエマル
ジョン化させ、生後6週齢のBALB/cマウス(日本
クレア社製)4匹に等分して腹腔内に投与し免疫した。
この1次免疫から14日後、0.4mg相当量の抗原溶
液(1ml容量)を0.1mlの免疫増強剤(RIBI社製
「リビ・アジュバント・システム」)と混濁状態にし
て、各免疫マウス4匹に等分して腹腔内に投与し2次免
疫した。2次免疫から12日後、各マウスの眼底より採
血し、Wnt−3aタンパク質に対する抗体が各マウス
の体内で作られていることを確認するためにELISA
法により抗体価の上昇について調べた。さらに10日後
(2次免疫から22日後)3次免疫を行った。3次免疫
は、0.4mg相当量の抗原溶液(1ml容量)のみを
各免疫マウス4匹に等分して腹腔内に投与することによ
り行った。
【0016】実施例3[抗Wnt−3aモノクローナル
抗体産生ハイブリドーマ細胞株の樹立] 最後の免疫から3日後に、抗体価の高かった2匹の免疫
マウスの脾臓から得られたリンパ球と、p3-X63-Ag8-U1
マウスミエローマ細胞とを50%のポリエチレングリコ
ール4000(Boehringer Mannheim製)に加えて細胞
融合させた。この融合により得られたハイブリドーマ細
胞を、10%のFCSを含むHAT培地で2週間培養し
た。ハイブリドーマ細胞を含む培地の上清画分0.1m
lを、前記抗原として用いたマウスWnt−3aタンパ
ク質をコーティングした96ウエル培養プレートの各ウ
エルに加えて室温で60分間培養した後、培養液を捨て
0.1%のツイーン20を含むPBSで洗浄した後に、
西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識化抗マウス
IgG抗体(ZYMED社製)を用いて、マウスWnt−3
aに対するモノクローナル抗体の有無を検出した。その
結果、920ウエル中、マウスWnt−3aと反応性の
ある12株を選択した。
【0017】実施例4[二次スクリーニング] 上記12株の抗原反応性ハイブリドーマ細胞株から、W
nt−3aタンパク質に特異性の強い反応を示すハイブ
リドーマ細胞株を二次スクリーニングするために、ウエ
スタンブロッティングを行った。Wnt−3aタンパク
質発現マウスL細胞とWnt−3aタンパク質未発現マ
ウスL細胞の各細胞抽出液をSDS−ポリアクリルアミ
ド電気泳動法にかけ、分離したタンパク質をメンブレン
フィルター(MILIPORE社製「Immobilon transfer membr
anes」)にブロッティングした。このブロッティングし
た膜を、5%スキムミルクを含むTBS(50mM Tris-HC
l,pH7.6−150mM NaCl)でブロッキングした後、上記1
2株のハイブリドーマ細胞株の各培養上清80μlを用
いて、室温で60分間インキュベーションした。インキ
ュベーションした膜を0.05%のツイーン20を含む
TBSで洗浄後、5%スキムミルクを含むTBSで希釈
したHRP標識化抗マウスIgG抗体のF(ab′)2
ラグメント(NA 9310;Amersham Pharmacia Biotech)
溶液に浸した。抗原特異的HRP反応により生じた化学
ルミネッセンスをKodak Scientific Imaging Film(X-O
MAT AR, Kodak)とECL detection kit(Amersham Pharm
acia Biotech)により視覚化した。その結果、12株の
うち、Wnt−3aタンパク質に対して特異性の強い反
応を示す3つのクローン、#3、#7、#11が得られ
た。また、#3、#7、#11等のクローンの産生する
免疫グロブリン抗体のサブクラスを、マウス・モノクロ
ーナル・アイソタイプ・キット(RPN29;Amersham
Pharmacia Biotech)により調べた結果、全てIgG1
であることがわかった。なお、上記ハイブリドーマ#
3、#7、及び#11株は、京都市左京区吉田河原町1
4にある財団法人近畿地方発明センター内の科学振興事
業団近藤誘導分化プロジェクト研究室において保存さ
れ、一定の条件の下で関係者に分譲される。
【0018】実施例4[モノクローナル抗体の特異性] 上記得られた抗マウスWnt―3aモノクローナル抗体
のWnt−3aに対する特異性を調べるために、ウエス
タンブロット分析を行った。Wnt−3aタンパク質を
発現させたマウスL細胞の細胞抽出液をSDS−ポリア
クリルアミド電気泳動法により分離し、分離したタンパ
ク質をメンブレンフィルター(MILIPORE社製「Immobilo
n transfer membranes」)にブロッティングした。この
ブロッティングした膜を、5%スキムミルクを含むTB
Sで5倍希釈した#3、#7又は#11クローンの産生
するモノクローナル抗体を含むハイブリドーマ細胞株の
各培養上清中、室温で60分間インキュベーションし
た。0.05%のツイーン20を含むTBSで洗浄後、
5%スキムミルクを含むTBSで希釈したHRP標識化
抗マウスIgG抗体のF(ab′)2フラグメント(NA 93
10;Amersham Pharmacia Biotech)溶液に上記インキュ
ベーションした膜を浸した。抗原特異的HRP反応によ
り生じた化学ルミネッセンスをKodak Scientific Imagi
ng Film(X-OMAT AR, Kodak)とECL detection kit(Am
ersham Pharmacia Biotech)により視覚化した。その結
果を図1に示す。なお、コントロール(L)としては、
マウスWnt−3aタンパク質未発現のマウスL細胞の
細胞抽出液を用いた。このことから、これら3つのクロ
ーンから産生されるモノクローナル抗体は、マウスWn
t−3タンパク質と特異的に反応することから、マウス
Wnt−3aタンパク質の発現を検出するのに有効であ
ることがわかった。
【0019】実施例5[組織染色能] 本発明の抗Wnt−3aモノクローナル抗体が組織染色
に使用できるか否かを検討してみた。マウス9.5日胚
を、3.5%のパラホルムアルデヒドを添加したPBS
により4℃で15分間振盪固定した後、O.C.T. compoun
d(Tissue-Tek社製)を用いて包埋しクライオスタット
(Leica社製)で10μmの厚さのtransverse切片を作
製し、APSコートしたスライドガラスに固定した。こ
のtransverse切片を室温で20分間乾燥させた後、TB
S中で室温にて5分間洗浄し、−20℃のメタノールに
浸漬し、再度TBSで洗浄した後、2%のBSAを含む
HANKS(Ca2+,Mg2+を含まない)中で室温にて
10分間ブロッキングし、実施例3により得られた#3
クローンの産生するモノクローナル抗体を含むハイブリ
ドーマ細胞株の培養上清を2%のBSAを含むHCMF
Sで希釈して調製した溶液を上記ブロッキングした切片
にのせ、室温で60分間反応させた。これら反応させた
切片をTBS中で室温にて5分間×3回振盪して洗浄し
た後、2%のBSAを含むTBSで100倍希釈したC
y3標識化抗マウスIgG抗体(Chemicon Internation
Inc.社製)を用いて室温にて30分間染色した。これ
ら染色物を遮光したままTBS中で室温にて5分間×3
回振盪して洗浄した後、グリセリンで封入し、蛍光顕微
鏡で観察した。この結果を図2に示す。図2において神
経管の蓋板に染色が認められることから、#3クローン
の産生する抗Wnt−3aモノクローナル抗体は組織染
色に使用可能であることがわかった。
【0020】
【発明の効果】本発明によると、発生学における分析試
薬として有用であり、乳癌等の癌の診断薬として有用と
考えられる抗Wnt−3aモノクローナル抗体、特に免
疫沈降法やウエスタンブロット法のみならず、組織免疫
染色法にも用いることができる抗Wnt−3aモノクロ
ーナル抗体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗Wnt−3aモノクローナル抗体の
特異性に関するウエスタンブロットの結果を示す図であ
る。
【図2】本発明の抗Wnt−3aモノクローナル抗体を
用いたマウス胚におけるWnt−3aタンパク質の局在
に関する組織免疫蛍光の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12P 21/08 C12N 15/00 C C12R 1:91) 5/00 B Fターム(参考) 4B024 AA12 BA43 BA80 CA04 DA06 EA04 GA11 HA04 HA15 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA13 DA14 4B065 AA26X AA91Y AA92X AB01 AB05 BA02 BA08 CA24 CA25 CA46 4H045 AA11 BA10 CA40 DA76 EA50 EA51 FA72 FA74

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Wnt−3aタンパク質に対するモノク
    ローナル抗体又はその可変領域からなる抗体結合部位を
    含む抗体フラグメント。
  2. 【請求項2】 免疫沈降法、ウエスタンブロット法及び
    組織免疫染色法のいずれにも用いることができる請求項
    1記載のモノクローナル抗体又はその可変領域からなる
    抗体結合部位を含む抗体フラグメント。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のWnt−3aタン
    パク質に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリ
    ドーマ細胞株又はそれらに由来する細胞株。
  4. 【請求項4】 抗原として、組換えWnt−3aタンパ
    ク質のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分画物
    を用いることを特徴とする抗Wnt−3aモノクローナ
    ル抗体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体又はその可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フ
    ラグメントを用いることを特徴とするWnt−3aの検
    出方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体又はその可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フ
    ラグメントを含むことを特徴とするWnt−3a検出用
    キット。
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