JP2002168770A - 光路長可変光学系及びそれを用いた装置 - Google Patents

光路長可変光学系及びそれを用いた装置

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JP2002168770A
JP2002168770A JP2000363612A JP2000363612A JP2002168770A JP 2002168770 A JP2002168770 A JP 2002168770A JP 2000363612 A JP2000363612 A JP 2000363612A JP 2000363612 A JP2000363612 A JP 2000363612A JP 2002168770 A JP2002168770 A JP 2002168770A
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Tadashi Hirata
唯史 平田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 稼動部が小さく、制御が簡単で、光路長のス
キャン範囲が広く、高速スキャニングが可能な透過型光
路長可変光学系及びそれを用いた装置を提供する。 【解決手段】 光導入部1と、第1の回折格子4と第1
の正レンズとで構成されたスペクトル分散要素と、光透
過性素材でできたクサビ形状のプリズム6を光の進行方
向に対して略平行な方向を軸として回転させるようにし
て構成され、前記スペクトル分散要素で分散させられた
光を角振動数に対して略線形に位相を変調させる位相変
調素子と、第2の正レンズ7と第2の回折格子8とで構
成され、前記位相変調素子を介して位相変調をかけられ
かつ空間的に分散させられた光を1つの光路に統一させ
るスペクトル統一要素と、光導入部1とは別個に設けら
れた光取り出し部11とを互いに光学的に接続させて構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低コヒーレンス光
を用いた光断層構造観測装置(OCTシステム)およ
び、OCTシステムに用いられる光路長可変光学系に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、OCTシステムといわれる可干渉
距離が短い低コヒーレンス光を用いた生体の断層構造を
観測する装置が開発されている。
【0003】コヒーレンス光を用いた光断層構造観測装
置は、低コヒーレンス光を発生させる光源からの光をサ
ンプル光と参照光とに分離し、サンプル光を測定対象に
照射させた後に、測定対象からの反射光を再び参照光と
合成して両方の光の干渉信号を検出する方法を用いた構
成となっている。その場合、サンプル光と参照光の光路
長が一致したときだけ干渉信号が得られるので、参照側
またはサンプル側の光路長を変化させることによって測
定対象の観察している部位をスキャンしているのと同じ
効果が得られ、測定対象の断層構造を観測することが可
能となる。
【0004】また、OCTシステムの特徴としては、光
ヘテロダイン検出という手法を用いて、生体の散乱光な
どの非常に弱い信号でも高SN比で観測することが可能
なことが挙げられる。光ヘテロダイン検出の原理は、参
照側またはサンプル側の少なくとも一方の光の周波数を
シフトさせた後に、サンプル光と参照光を干渉させる
と、干渉信号としては、参照側とサンプル側との差の周
波数成分をもつビート信号が観測されるが、このビート
信号をディテクタで電気信号に変換した後、このビート
周波数に合わせたバンドパスフィルタを通すことで他の
ノイズ成分を除去し、SN比を飛躍的に向上させるとい
うものである。
【0005】図22は、内視鏡に応用したOCTシステ
ムの一従来例である。本従来例においては、光学系はマ
イケルソン干渉計として構成されている。具体的に説明
すると、低コヒーレンス光源51からの射出光はシング
ルモードファイバ52を介して、光サーキュレータ53
を通りカップラー54へと導かれ、導かれた光はカップ
ラー54を介してサンプル側と参照側とに分離される。
【0006】参照側に分離された光は、シングルモード
ファイバ55を介して光路長可変光学系56に導かれ
る。光路長可変光学系56は、レンズ57と可動ミラー
58とで構成されており、可動ミラー58の位置を変化
させることによって、サンプル側の光の干渉する位置の
スキャニングをおこなうことができるようになってい
る。
【0007】光路可変長光学系56に導かれた光は、レ
ンズ57を経た後に可動ミラー58で反射されてレンズ
57を経て光路長可変光学系56から戻される。光路長
可変光学系56から戻された光は、再びシングルモード
ファイバ55でカップラー54に導かれる。
【0008】一方、サンプル側に分離された光は、参照
側のシングルモードファイバ55とは別個に設けられた
シングルモードファイバー59を介してサンプル側先端
光学系60に導かれ、そこから被写体(測定対象)61
に向けて照射される。さらに、被写体61で反射された
光は、再びサンプル側先端光学系60、シングルモード
ファイバ59を通り、カップラー54を介して参照側経
路からの戻り光と合成され、干渉する。
【0009】カップラー54からの干渉光は一方がシン
グルモードファイバ62を介して第1のディテクタ63
に直接導かれ、もう一方の干渉光がシングルモードファ
イバ52を介して光サーキュレータ53を通り、第2の
ディテクタ64側へ選択的に導かれる。導かれたこれら
2つの光は、それぞれ第1ディテクタ63、第2ディテ
クタ64を介して光信号から電気信号に変換される。電
気信号に変換されたこれら2つの信号は、干渉成分のみ
位相が反転しているので、差分検出によって、直流成分
(非干渉成分)が除去されて干渉信号成分だけが残り、
バンドパスフィルタ65を通過した後に復調器66を介
して復調される。
【0010】参照側の光路長可変光学系としては、上述
のミラーを光軸方向に動かす方法を用いた構成の光路長
可変光学系以外に、K.F.Kwong et. al ,Opt.Lett.18,55
8-560(1993)の光路長可変光学系がある。
【0011】この光路長可変光学系は、図23に示すよ
うに、回折格子67と、フーリエレンズ68と、ガルバ
ノミラー69とで構成されており、ガルバノミラー69
の傾きを変化させることにより、波長ごとに位相の変化
を与え、結果として光学系内の光の群速度を変化させる
ことで見かけ上の光路差を変化させるようになってい
る。
【0012】図23では、K.F.Kwongらによる光路長可
変光学系を、内視鏡に使いやすいようにシングルモード
ファイバ70と結合させている。K.F.Kwongらによる光
路長可変光学系においては、回折格子67に入射させる
光は平行光であることが望ましいが、シングルモードフ
ァイバ70から射出される光は一般的には拡がりを持っ
ている。
【0013】そこで、図23の光学系では、回折格子6
7に平行光を入射させるために、シングルモードファイ
バ70と回折格子67との間にコリメータレンズ71を
設けてシングルモードファイバ70からの拡がりを持つ
射出光をほぼ平行な光に変えている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、OCTシス
テムにおいて生体からの反射光などの弱い信号を観察し
たい場合は、差分ディテクタを使用することは重要であ
る。
【0015】測定対象からの反射光が非常に弱い場合の
干渉光の強度は、図24に示すように、グラフ形状が、
非常に強い直流成分(L)の上に小さな干渉信号成分
(I)がのっているような形になる。
【0016】このような信号を通常の差分を用いないデ
ィテクタで検出した場合には、検出される電気信号は、
直流成分が非常に大きく、干渉成分が非常に弱い信号と
して検出される。そして、直流成分が大きい電気信号
を、バンドパスフィルターに入力すると、信号が飽和し
やすくなるだけでなく、光源の出力揺らぎに起因する電
気信号の直流成分の揺らぎによるノイズが増加してしま
うため好ましくない。
【0017】一方、差分ディテクタを用いて検出する
と、直流成分が除去されて干渉信号の成分だけを信号と
して取り出すことができ、信号をバンドパスフィルター
に入力しても蝕和することが無くなる。また光源の出力
揺らぎに起因する直流成分の揺らぎも同時にキャンセル
することができるため、ノイズの増加も抑えることがで
きる。
【0018】しかし、上述のような従来のマイケルソン
型の干渉計と差分ディテクタの両方を用いて構成する場
合には、差分ディテクタを構成する第1ディテクタと第
2ディテクタの直流成分の大きさを一致させるために、
カップラーの分配比を1:1にする必要があり、サンプ
ル側と参照側の光の分配比を自由に変えることができな
い。
【0019】一方、本件出願人の今までの実験結果か
ら、生体を観察する場合には、生体からの反射光が弱い
ためにサンプル側に光を多く分配し、参照側の光量を少
なくしたほうがSN比がよくなることが分かっている。
【0020】そこで、サンプル側と参照側との光量分配
比を変えることができ、かつ差分ディテクタを使用する
ことができる光路長可変光学系を構成するのが理想的で
ある。
【0021】サンプル側と参照側の光量分配比を変える
ことができ、かつ、差分ディテクタを用いる構成として
は図1に示すようなマハツェンダー型の干渉計を構成す
るのがよい。
【0022】すなわち、図1に示すマハツェンダー型の
干渉計では、低コヒーレンス光源21から射出された光
は、シングルモードファイバ22を通り第1のカップラ
ー23へと導かれ、導かれた光は、第1カップラー23
を介してサンプル側と参照側とに分離される。
【0023】サンプル側に分離された光は、シングルモ
ードファイバ24、光サーキュレータ25、シングルモ
ードファイバ26、サンプル側先端光学系27を経て被
写体(測定対象)28に照射される。被写体28で反射
された光は、再びサンプル側先端光学系27、シングル
モードファイバ26を経て、光サーキュレータ25へ戻
ってくる。光サーキュレータ25へ戻ってきたサンプル
側の光は、第2のカップラー29に接続しているシング
ルモードファイバ30の方へ選択的に導かれる。
【0024】一方、参照側に分離された光は、光路長可
変光学系31への光導入用シングルモードファイバ32
を介して光路長可変光学系31へと導かれる。光路長可
変光学系31に入射した光は、光路長が変化させられた
後に、光取り出し用のシングルモードファイバ33を介
して、第2のカップラー29へと導かれる。
【0025】サンプル側経路から導かれた光と参照側経
路から導かれた光とは、第2のカップラー29で合成さ
れ、それにより干渉信号を生じて第2のカップラー29
から出力される。第2のカップラー29で合成されて生
じた干渉信号は、シングルモードファイバー35,36
を介して第1のディテクター37,第2のディテクター
38へと分配されて導かれる。第1のディテクター37
と第2のディテクター38では、それぞれ光の強度の検
出が行なわれる。第2のカップラー29における光量分
配比を1:1とし、第1のディテクター37と第2のデ
ィテクター38とで差分ディテクター39を構成するこ
とにより、直流成分が除去され、干渉信号の成分のみが
出力される。
【0026】ところで、マハツェンダー型干渉計を構成
する場合には、図1からもわかるように、参照光の導入
部と取り出し部とが異なった光路長可変光学系、すなわ
ち、透過型光路長可変光学系が必要になる。
【0027】この透過型光路長可変光学系には、米国特
許第5,321,501号の図10に示されるように、
レトロリフレクターを往復運動させて光路長のスキャン
を行なう方法を用いた構成のものがあるが、この方法で
は、レトロリフレクターを往復運動させるのに大きな力
が必要になるので、レトロリフレクターを垂直方向に十
分な幅で高速にスキャンすることは不可能である。
【0028】この問題点を解決した透過型光路長可変光
学系としては、本件発明者本人の発明による特願平11
−159270号に記載のものがある。この発明の概要
は、互いに同じ素材、互いに同じ形状の平行平板プリズ
ムを同位相で反対の方向に回転させて光路長を変化させ
るというものである。この光路長可変光学系は、回転運
動を利用しているため、スキャニングスピードを高速化
することができるようになっている。しかし、この発明
では、スキャン範囲を広く取る場合にはプリズムを大型
化する必要があった。
【0029】本発明は、上述の問題点に鑑み、稼動部が
小さく、制御が簡単で、光路長のスキャン範囲が広く、
高速スキャニングが可能な透過型光路長可変光学系及び
それを用いた装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】本第1の発明による光路
長可変光学系は、光導入部と、前記光導入部から導入さ
れた光のスペクトルを空間的に分散させるスペクトル分
散要素と、前記スペクトル分散要素で分散させられた光
を角振動数に対して略線形に位相を変調させる位相変調
素子と、前記位相変調素子を介して位相変調をかけられ
かつ空間的に分散させられた光を1つの光路に統一させ
るスペクトル統一要素と、前記光導入部とは別個に設け
られた光取り出し部とで構成され、前記これらの構成要
素が互いに光学的に接続され、かつ前記位相変調素子の
光の角振動数に対する位相変調量の傾きを時間の経過と
ともに変化させるようにした光路長可変光学系である
か、又は、該光路長可変光学系における前記スペクトル
分散要素が第1の回折格子と第1の正レンズとで構成さ
れ、前記スペクトル統一要素が第2の回折格子と第2の
正レンズとで構成されている光路長可変光学系であっ
て、前記位相変調素子が光透過性素材でできたクサビ形
状のプリズムで構成され、該クサビ形状のプリズムを光
の進行方向に対して略平行な方向を軸として回転させる
ようにしたことを特徴とする。
【0031】本第2の発明による光路長可変光学系は、
光導入部と、前記光導入部から導入された光のスペクト
ルを空間的に分散させるスペクトル分散要素と、前記ス
ペクトル分散要素で分散させられた光を角振動数に対し
て略線形に位相を変調させる位相変調素子と、前記位相
変調素子を介して位相変調をかけられかつ空間的に分散
させられた光を1つの光路に統一させるスペクトル統一
要素と、前記光導入部とは別個に設けられた光取り出し
部とで構成され、前記これらの構成要素が互いに光学的
に接続され、かつ前記位相変調素子の光の角振動数に対
する位相変調量の傾きを時間の経過とともに変化させる
ようにした光路長可変光学系であるか、又は、該光路長
可変光学系における前記スペクトル分散要素が第1の回
折格子と第1の正レンズとで構成され、前記スペクトル
統一要素が第2の回折格子と第2の正レンズとで構成さ
れている光路長可変光学系であって、前記位相変調素子
が光透過性の液体を少なくとも2枚の表面が平らな光透
過性の板で挟んだ態様で構成され、前記少なくとも2枚
の光透過性の板がなす角度を時間とともに変化させるよ
うにしたことを特徴とする。
【0032】本第3の発明による光路可変長光学系は、
光導入部と、前記光導入部から導入された光のスペクト
ルを空間的に分散させるスペクトル分散要素と、前記ス
ペクトル分散要素で分散させられた光を角振動数に対し
て略線形に位相を変調させる位相変調素子と、前記位相
変調素子を介して位相変調をかけられかつ空間的に分散
させられた光を1つの光路に統一させるスペクトル統一
要素と、前記光導入部とは別箇に設けられた光取り出し
部とで構成され、前記これらの構成要素が互いに光学的
に接続され、かつ前記位相変調素子の光の角振動数に対
する位相変調量の傾きを時間の経過とともに変化させる
ようにした光路長可変光学系であるか、又は、該光路長
可変光学系における前記スペクトル分散要素が第1の回
折格子と第1の正レンズとで構成され、前記スペクトル
統一要素が第2の回折格子と第2の正レンズとで構成さ
れている光路長可変光学系であって、前記位相変調素子
が少なくとも1つの光透過性素材でできたクサビ形状の
プリズムで構成され、該クサビ形状のプリズムを光のス
ペクトルが空間的に分散されている方向に対して略垂直
な方向を軸として振動させるようにしたことを特徴とす
る。
【0033】本第4の発明による光路可変長光学系を用
いた装置は、コヒーレンス長が短い光を発生させる光源
からの光を光分離手段を介してサンプル側経路と参照側
経路とに分離し、前記参照側経路に導かれた光を光合成
手段へと導き、前記サンプル側経路に導かれた光を光学
系を介して被写体に集光し、前記被写体で散乱又は反射
された光を前記光学系を通った後に前記光合成手段に導
き、前記参照側経路を通った光と前記サンプル側経路を
通った光とを前記光合成手段で合成して干渉させ、前記
干渉信号がディテクタで検出された後に電気的処理をお
こなう光断層構造観測装置であって、前記参照側経路中
または前記サンプル側経路中の少なくとも一方に本第1
〜3のいずれかの光路長可変光学系を配置して前記サン
プル側の光の干渉する位置を時間の経過とともに変化さ
せるとともに、前記参照側経路中または前記サンプル側
経路中の少なくとも一方に光の中心角振動数をシフトさ
せる光学要素を配置して参照側とサンプル側の光が干渉
したときにビート信号を発生させて光ヘテロダイン検出
をおこなうようにしたことを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の実施例の説明に先立ち、
本発明の原理について説明する。本発明は、以下のフー
リエ変換の性質を光学系に応用したものである。
【0035】時間的に変化する関数x(t)があり、そ
れをフーリエ変換して、角振動数領域ωで表現したもの
をX(ω)とする。 x(t) ⇔ X(ω) X(ω)に対して、位相を角振動数に対して傾きTgで
線形に変調をかけると次のようになる。
【0036】X(ω)・exp(−iωTg) ただし、iは虚数単位である。これを逆フーリエ変換す
ると、時間領域では、 x(t−Tg) となる。
【0037】すなわち、ある時間的に変化する信号をフ
ーリエ変換し、角振動数成分に対して傾き−Tgで線形
に位相変調をかけると変調された信号は実時間ではTg
遅れることを示している。
【0038】本発明は、光路長可変光学系に入射した光
を角振動数の成分に分散した後、角振動数に対して線形
に位相変調をかけるときに位相変調量の傾きTgを時間
的に変化させることで、光路長可変光学系から射出され
る光の信号の時間的遅延量(群遅延時間という)を変化
させるという原理を使っている。
【0039】群遅延時間Tgを距離に換算した値c・T
g(但し、cは真空中の光の速度)を群遅延距離Lgと
いうが、群遅延距離Lgの時間的な変化は、OCTシス
テムにおいてはサンプル側の干渉位置をスキャンしてい
ることに相当する。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態について述べる。なお、本実施形態では、特
に断らないない限り光導入部側を前側、光取り出し部側
を後側ということにする。実施例1 本発明の光断層構造観測装置およびそれに用いられる光
路長可変光学系の第1実施例を図1〜図4に示す。
【0041】図1は本発明の光路長可変光学系を用いた
光断層構造観測装置のシステム図、図2は本発明の光路
長可変光学系の第1実施例を示す概略構成図、図3は本
実施例の光路長可変光学系を構成するクサビ形状のプリ
ズムの配置及び動きを示す説明図、図4は本実施例のク
サビ形状のプリズムを中心波長の光が通るときの群遅延
距離及び干渉信号のビート周波数の時間経過の一例を示
すグラフである。
【0042】本実施例のOCTシステムは図1に示すマ
ハツェンダー型干渉計を基本としている。なお、後述の
第2〜5実施例のOCTシステムも光路長可変光学系内
部の構成以外は図1の構成と同様である。
【0043】図1に示すように、本実施例の光断層構造
観測装置では、低コヒーレンス光源21から射出された
光は、シングルモードファイバ22を通り第1のカップ
ラー23へと導かれ、導かれた光は、第1のカップラー
23を介してサンプル側と参照側とに分離される。
【0044】サンプル側に分離された光は、シングルモ
ードファイバ24、光サーキュレータ25、シングルモ
ードファイバ26、サンプル側先端光学系27を経て被
写体(測定対象)28に照射される。被写体28で反射
された光は、再びサンプル側先端光学系27、シングル
モードファイバ26を経て、光サーキュレータ25へ戻
ってくる。光サーキュレータ25へ戻ってきたサンプル
側の光は、第2のカップラー29に接続しているシング
ルモードファイバ30の方へ選択的に導かれる。
【0045】一方、参照側に分離された光は、光路長可
変光学系31への光導入用シングルモードファイバ32
を介して光路長可変光学系31へと導かれる。光路長可
変光学系31に入射した光は、光路長が変化させられた
後に、光取り出し用のシングルモードファイバ33を介
して、第2のカップラー29へと導かれる。
【0046】サンプル側経路から導かれた光と参照側経
路から導かれた光とは、第2のカップラー29で合成さ
れ、それにより干渉信号が第2のカップラー29から出
力される。第2のカップラー29で合成されて生じた干
渉信号は、シングルモードファイバー35,36を介し
て第1のディテクター37,第2のディテクター38へ
と分配されて導かれる。第1のディテクター37と第2
のディテクター38では、それぞれ光の強度の検出が行
なわれる。本実施例では、第2のカップラー29におけ
る光量分配比を1:1にし、第1のディテクター37と
第2のディテクター38とで差分ディテクター39を構
成している。従って、干渉信号を検出するときには、直
流成分が除去され、干渉信号の成分のみが出力される。
【0047】この光断層構造観測装置に用いられる本実
施例の光路長可変光学系31は、図2に示すように、光
導入用シングルモードファイバ1と正のパワーを持つ第
3の正レンズ2とからなる光導入部3と、光のスペクト
ルを空間的に分散させるスペクトル分散要素である第1
の回折格子4と正のパワーを持つ第1の正レンズ5との
ペアと、前記スペクトル分散要素で分散させられた光を
角振動数に対して略線形に位相を変化させる位相変調素
子であるクサビ形状のプリズム6と、前記位相変調をか
けられかつ空間的に分散させられた光を1つの光路に統
一させるスペクトル統一要素である正のパワーを持つ第
2の正レンズ7と第2の回折格子8とのペアと、正のパ
ワーを持つ第4の正レンズ9と光取り出し用シングルモ
ードファイバ10とからなる光取り出し部11とで構成
され、これらの光学要素が光学的に接続されている。
【0048】クサビ形状のプリズム6は、光を透過する
素材であるガラスでできている。また本実施例では、第
1の正レンズ5と第2の正レンズ7には、焦点距離が同
じレンズが使用されており、かつ、第1の正レンズ5と
第2の正レンズ7は、光軸が一致するように配置されて
いる。また、第1の回折格子4は、第1の正レンズ3の
前側焦点位置に、クサビ形状のプリズム6は第1の正レ
ンズ5の後側焦点と第2の正レンズ7の前側焦点位置
に、第2の回折格子8は第2の正レンズ7の後側焦点位
置にほぼ一致するように、それぞれ配置されている。
【0049】また、クサビ形状のプリズム6は、光の進
行方向に対して略平行な方向を軸として回転可能に設け
られている。クサビ形状のプリズム6の回転軸は、光導
入部3から導入される光の中心波長の光が通る位置から
ずれて位置している。
【0050】ここで、本実施例の光路長可変光学系31
の座標系を次のように定義しておく。クサビ状のプリズ
ム6の回転軸をz軸とする。また、回折格子4,8の格
子の方向(回折格子の格子が切ってある方向)をx軸、
x軸とz軸に垂直な方向をy軸とする。なお、このとき、
第1の正レンズ5および第2の正レンズ7の光軸は、z
軸方向と平行にセッティングされているものとする。
【0051】また、クサビ形状のプリズム6の向きは、
クサビ形状のプリズム6を回転させたときにクサビ形状
のプリズム6の前側の面の法線単位ベクトルN1および
後側の面の法線単位ベクトルN2のxy平面側への正射
影のベクトルP1,P2の絶対値が変化しないようにす
る。
【0052】但し、法線単位ベクトルN1,N2は、z
軸とクサビ形状のプリズム6の前側または後ろ側の面と
の交点を基点として、ベクトルN1又はN2と光の進行
方向とのなす角度が鋭角になる方向に取ることとする。
【0053】具体的には、クサビ形状のプリズム6の配
置と動きは、図3(a)〜(d)に示すようになる。図3(b)
中の実線で書かれた部分はある時刻にz軸方向からみた
クサビ形状のプリズム6、図3(a)は図3(b)と同じ時刻
にx軸方向からみたクサビ形状のプリズム6を示してい
る。
【0054】図3(a)の状態より少し時間が経過する
と、クサビ形状のプリズム6が回転して、z軸方向から
見て図3(b)中の点線で示す位置に来る。更に時間が経
過すると更にクサビ形状のプリズム6が回転して、z軸
方向から見て図3(d)中の実線で示す位置、x紬から見
て図3(c)の位置に来る。更に時間が経過すると、クサ
ビ形状のプリズム6は図3(d)中の点線で示す位置に達
し、更に時間が経過すると図3(a)及び(b)中の実線で示
す位置に戻る。以上の動作は繰り返し行われる。
【0055】このように構成された本実施例の光路長可
変光学系31の作用を説明する。クサビ形状のプリズム
6を回転させると、クサビ形状のプリズム6部分での光
の角振動数に対する位相変調量の傾きが変化するので、
群遅延量が時間とともに変化する。その結果サンプル側
の被写体の干渉する位置を時間の経過とともに変えるこ
とができ、被写体の断層構造が観察できるようになる。
【0056】また、クサビ形状のプリズム6を回転させ
ると、光導入部3からの入射光の中心周波数の位相が時
間とともに変化するので、光取り出し部11における光
の中心周波数が光導入部3の中心周波数からシフトす
る。このため、サンプル側の光と参照側の光を干渉させ
るとビート信号が発生し、光ヘテロダイン検出が可能に
なる。
【0057】ここで、クサビ形状のプリズム6による位
相変調と群遅延量の変化、中心周波数のシフトについて
詳細に述べる。本実施例では、第1の回折格子4とクサ
ビ形状のプリズム6が、それぞれ第1の正レンズ5の前
側焦点位置と後側焦点位置に配置されているため、クサ
ビ形状のプリズム6の面においては、第1の回折格子4
での情報がフーリエ変換されている。
【0058】また、クサビ形状のプリズム6と第2の回
折格子8が、それぞれ第2の正レンズ7の前側焦点位置
と後側焦点位置に位置しているので、クサビ形状のプリ
ズム6の面においてフーリエ変換されている場合は、第
2の回折格子8の面ではそれが逆フーリエ変換されてい
る。
【0059】第1の回折格子4ではスペクトル幅を持っ
た光が分散されるので、クサビ形状のプリズム6におい
ては、光は第1の回折格子4に入射した光の角振動数ご
とにy軸方向に沿って分布することになる。
【0060】格子の空間周波数N(格子の間隔の逆数)
の第1の回折格子4に角度θiで入射した波長λの光は
次のような角度θに回折される。 sinθ − sinθi = mNλ 但し、mは整数である。なお、ここでは、m=1とす
る。
【0061】従って、光導入部3から導入される光の中
心波長をλoとしたときに、第1の回折格子1から射出
された波長λoと波長λ=λo+Δλの光とがなす角度
Δθは、次式(1)として表すことができる。
【0062】 Δθ =NΔλ/cosθ ……(1) 第1の回折格子4と第1の正レンズ5との間隔および第
1の正レンズ5とクサビ形状のプリズム6との間隔は第
1の正レンズ5の焦点距離f1に等しいので、クサビ形
状のプリズム6の位置での波長λoと波長λ=λo+Δ
λの光の位置の差ΔY(Δλ)は次式(1.1)のように表
すことができる。
【0063】 ΔY(Δλ)= f1・Δθ ……(1.1) 従って、Δθの値として上記式(1)を式(1.1)に代入する
と、次式(2)になる。 ΔY(Δλ)= f1・N・Δλ/cosθ ……(2) ここで、波長λ=λoの光はクサビ形状のプリズム6の
回転軸からずれた位置を通るので、波長λ=λoの光が
通る位置をYoとすると、波長λ=λo+Δλの光がク
サビ形状のプリズム6を通る位置Y(Δλ)は、次式
(3)として表すことができる。
【0064】 Y(Δλ)= Yo + ΔY(Δλ) = Yo +f・N・Δλ/cosθ ……(3) 但し、fは第1の正レンズ5および第2の正レンズ7の
焦点距離であり、f=f1=f2である(但し、f2は
第2の正レンズ7の焦点距離である)。
【0065】ここで、クサビ形状のプリズム6の正射影
ベクトルP1(またはP2)とy軸とのなす角度をα、
クサビ形状のプリズム6の前側、後側の面の法線単位ベ
クトルN1と法線単位ベクトルN2とのなす角度をφと
して、クサビ形状のプリズム6を通過して第2の回折格
子8に達するまでの光路長について考察する。
【0066】クサビ形状のプリズム6の回転軸を通過す
る光は、クサビ形状のプリズム6が回転しても光路長が
変化しないので、クサビ形状のプリズム6の回転軸から
Y(λ)だけ離れた位置を通る光とクサビ形状のプリズ
ム6の回転軸を通る光との光路長差Z(Y)は、φ<<
π/2のとき次式(4)のように近似できる。
【0067】 Z(Y)=Y(λ)・(n−1)φcosα ……(4) 但し、nはクサビ形状のプリズム6の屈折率である。中
心周波数の光がクサビ形状のプリズム6を通る位置はY
oであるので、α=0のときの波長λoと、αが任意の
値のときの波長λo+Δλとの光の位相差Ψ(λ、α)
は、 Ψ(λ、α)=2π・Z(Y)/λo 上記式(4)より、 Ψ(λ、α)=(2π/λo)・(Yo+ΔY)・(n
−1)φcosα 従って、上記式(3)より、 Ψ(λ、α)=(2π/λo)・(Yo+f・N・cosθ)・K・cosα ……(5) となる。
【0068】但し、K=(n−1)φとおいている。群
遅延量を見積もるためには、位相を光の角振動数の関数
で表す必要があるので、波長λの光を角振動数ωで置き
換えて、α=0のときの光の中心角振動数ωoに対す
る、αが任意で角振動数ω=ωo+Δωの光の位相差Ψ
(ω、α)は、次式(6)のように表すことができる。
【0069】 Ψ(ω、α)=Yo・K・ω・cosα/c −2π・(K/cosθ)・f・N・cosα・(Δω/ωo) ……(6) 但し、cは真空中での光の速度である。
【0070】式(6)に注目すると、クサビ形状のプリズ
ム6は、光の角振動数ωに対して位相を線形に変化させ
ていることになるため、群遅延量を変化させる作用があ
ることがわかる。
【0071】群遅延距離Lgは、 c×Tg (Tgは
群遅延時間)であり、Tg=−dφ(ω)/dω|ω=
ωo で求めることができるので、 Lg=−K・Yo・cosα+K・f・N・(λo/cosθ)・cosα ……(7) と表すことができる。
【0072】ここで、クサビ形状のプリズム6を回転さ
せる(αを変化させる)とcosαの値が−1から+1
まで変化するので、群遅延距離Lgは、 2K|f・N・λo/cosθ−Yo| の幅で変化することになる。これは、サンプル側の光の
干渉する位置を ΔLs=K|f・N・λo/cosθ−Yo| だけスキャンできることを意味している(本実施例の構
成では、サンプル側の光は往復しているので、サンプル
側の光の干渉する位置の変動量は群遅延距離の変動量の
半分になる)。
【0073】一方、中心波長での位相遅延距離Lpは、
c×Tp(Tpは位相遅延時間)であり、Tp = Ψ
(ωo)/ωoであるので、上記式(6)より、 Lp=K・Yo・cosα ……(8) と表すことができる。
【0074】本実施例ではYo≠0であるので、クサビ
形状のプリズム6を回転させるとαが変化するので、位
相遅延距離Lpが時間的に変化し、ドップラーシフトが
発生する。
【0075】ドップラーシフトによる光の中心周波数の
シフト量ΔFは次のように表される。 ΔF=−(1/λo)・dLp/dt 但し、tは時刻である。
【0076】本実施例では、サンプル側の光は変調がか
けられていないので、参照側の光とサンプル側の光を干
渉させる際に、干渉信号は Fb=(1/λo)・|dLp/dt| の周波数をもつビート信号として現れる。これにより光
ヘテロダイン検出が可能になる。
【0077】一例として、クサビ形状のプリズム6を単
位時間あたりRr回転で等速回転運動させた場合を考え
る。クサビ形状のプリズム6が単位時間あたりRr回転
するので、αの値は、 α=2π・Rr・t+αo になる。
【0078】但し、αoはt=0のときのクサビ形状の
プリズム6のy軸に対する傾き角である。時刻tでの群
遅延距離Lg(t)および干渉信号のビート周波数ΔF
b(t)は、それぞれ Lg(t)=−K・{Yo−f・N・(λo/cosθ)} ・cos(2πRr・t+αo) ……(9) ΔFb(t)=|2π・R・K・(Yo/λo) ・sin(2πRr・t+αo)| ……(10) になる。
【0079】式(9)および式(10)に注目すると、群遅延
距離Lgがcos関数で変化するのに対して、ビート周
波数ΔFbがsin関数で変化することがわかる。具体
的な例として、図4に、第1の正レンズ5及び第2の正
レンズ7の焦点距離f=50mm、第1の回折格子4及
び第2の回折格子8の空間周波数N=600本/mm、
クサビ形状のプリズム6の角度φ=6°、クサビ形状の
プリズム6の屈折率n=1.5、低コヒーレンス光源の
中心波長λo=1.31μm、クサビ形状のプリズム6
の回転数R=1000rps、中心波長の光がクサビ形
状のプリズム6を通るときの座標Yo=2mmの場合に
おける群遅延距離及び干渉信号のビート周波数の時間経
過を示す。
【0080】図4より、α=+−π/2の付近におい
て、図中符号Hで示すような比較的広い範囲にわたって
ビート信号の周波数変化は少なくなり、光路長(群遅延
距離)もほぼ時間に対して線形にスキャンできているこ
とがわかる。
【0081】次に、光取り出し部について述べる。本実
施例のような構成の光路長可変光学系では、第2の正レ
ンズ7と第4の正レンズ9の焦点距離が次の条件式(11)
を満たすのが望ましい。
【0082】 NA>f2(n−1)φ/f4 ……(11) 但し、f2は第2の正レンズ7の焦点距離、f4は第4
の正レンズ9の焦点距離、nはクサビ形状のプリズム6
のクサビの角度(法線単位ベクトルN1と法線単位ベク
トルN2とのなす角度)、NAは光取り出し用シングル
モードファイバの開口数である。
【0083】条件式(11)は、第4の正レンズ9で集光さ
れた光が光取り出し部11のシングルモードファイバ1
0に結合されるための条件である。2つの正レンズ7,
9の焦点距離が条件式(11)から外れた場合、光取り出し
側のシングルモードファイバ10に入射する光の角度が
大きくなりすぎて光がファイバ中を伝播しなくなる。
【0084】この点について説明する。本実施例では、
クサビ形状のプリズム6で光が曲げられるので、第2の
回折格子8に当たる光はクサビ形状のプリズム6の回転
に伴い所定の半径の円周上を回転運動する。そのときの
円の半径Rは、次式(12)として表すことができる。
【0085】 R=f2・(n−1)φ ……(12) 第2の回折格子8から射出される光は、入射する光に対
してyz平面内で曲げられ、xz平面内では曲げられな
い。このため、第2の回折格子8から射出される光は楕
円運動する。楕円の長軸の方向はxz平面内にあり、そ
のときの長軸の半径Rxは右辺が上記式(12)と同じ
く、 Rx=f2・(n−1)φ になる。
【0086】一方、短軸の半径Ryは、 Ry=R|cosβ| になる。
【0087】但し、βは第2の回折格子8に入射する中
心波長の主光線と第2の回折格子8から射出する光との
なす角度である。以上の結果より、第4の正レンズ9の
位置で入射する光の径が最大になるのは光がxz平面を
横切るときであり、そのときに光取り出し用シングルモ
ードファイバヘ入射する光の最大の入射角γは次式(13)
のようになる。
【0088】 γ=Rx/f4 =f2・(n−1)φ/f4 ……(13) 一方、開口数NAのシングルモードファイバは、γma
x=sin-1(NA)より大きな角度の光は伝播しない
ので、光を常に取り出すためには次式(14)を満たす必要
がある。
【0089】 γmax>γ ……(14) 一般にシングルモードファイバはNAが0.2以下であ
るので、γmax≒NAと近似することができ、このた
め、 NA≒γmax> γ=f2・(n−1)φ/f4 とおくことができる。
【0090】したがって、第2の正レンズ7と第4の正
レンズ9の焦点距離は、上記条件式(11)を満たすように
しなければならない。これは光が光取り出し部11のシ
ングルモードファイバ10に結合するための最低の条件
である。実際には、光取り出し部11のシングルモード
ファイバ10への結合効率を上げるために、次の条件式
(15)を満たすことがより望ましい。
【0091】 0.7NA>f2・(n−1)φ/f4 ……(15) さらに本実施例の構成においては、光導入部3の正のパ
ワーを持つ第3の正レンズ2の焦点距離f3と光取り出
し部11の正のパワーを持つ第4の正レンズ9の焦点距
離f4は次の条件式(16)を満たすことが望ましい。
【0092】 0.5<Di・f4/(Do・f3)<10 ……(16) 但し、Diは光導入用シングルモードファイバ1のモー
ドフィールド径、Doは光取り出し用シングルモードフ
ァイバ10のモードフィールド径である。
【0093】この条件式(16)は、光取り出し部11のシ
ングルモードファイバ10への光の結合効率を大幅に下
げないための条件である。光導入用シングルモードファ
イバ10の端面での光のモードフィールド径Diと光取
り出し部11の第4の正レンズ9を介して集光される光
の最小スポットサイズ(ウエストサイズ)Woは、第1
の回折格子4と第2の回折格子8の間の光学系がほぼ1
倍系のアフォーカル光学系であることを考慮すると、次
式のように近似できる。
【0094】Wo=Di・f4/f3 第4の正レンズ9で集光した光を光取り出し用シングル
モードファイバ10へ効率よく結合するには、光取り出
し用シングルモードファイバ10ヘ集光させたときの光
のスポットサイズWoと光取り出し用シングルモードフ
ァイバ10のモードフィールド径Doとをできるだけ一
致させるのが良い。
【0095】Di・f4/(f3・Do)>10になる
と、光取り出し用シングルモードファイバ10ヘ集光さ
せたときの光のスポットサイズWoが、ファイバのモー
ドフィールド径Doよりも非常に大きくなり、ファイバ
ヘの光の結合効率が大幅に下がる不具合が発生する。
【0096】また、Di・f4/(Do・f3)<0.
5の場合は、光取り出し用シングルモードファイバ10
に入射する光のNAが大きくなり過ぎるので、ファイバ
ヘの光の結合効率が大幅に下がる不具合が発生する。
【0097】次に、本実施例において使用するクサビ形
状のプリズム6の大きさについて述べる。クサビ形状の
プリズム6の位置においては、第1の回折格子4と第1
の正レンズ2との作用によって光が空間的に広がってい
るが、クサビ形状のプリズム6の大きさΔYbrは上記
式(2)より、 ΔYbr= f1・N・Δλbr/cosθ ……(17) になる。
【0098】但し、Δλbrは、光路長可変光学系に入
射される光の波長の広がり幅である。OCTシステムで
は、光の波長の広がりの半値全幅(FWHM)ΔλFWHM
は数十nm〜百nm程度のものが使用されるので、実際
の波長の広がり幅Δλbrは、ΔλFWHMの数倍と考えて
も数百nmである。また、回折格子の格子周波数は数百
本/mm〜千本/mmであり、正レンズの焦点距離も長
くても数百mm程度であるので、ΔYbrは、数mm〜
数十mm程度になり、クサビ形状のプリズム6の大きさ
をコンパクトにすることができる。
【0099】このため本実施例によれば、稼動部が小さ
く、制御が簡単で、光路長のスキャン範囲が広く、高速
にスキャニングが可能な透過型光路長可変光学系を達成
することができる。実施例2 第2実施例は、第1実施例の光路長可変光学系における
第2の回折格子より後ろ側の光学要素の構成についての
変形例である。
【0100】図5は第2実施例の光路長可変光学系にお
ける第2の回折格子より後ろ側の光学要素を示す概略構
成図である。なお、第2の回折格子8よりも前側の光学
要素は、第1実施例と同じ構成であるので図示を省略す
る。また、光路長可変光学系以外の本発明の断層観察診
断装置のその他の構成は第1実施例と同様なので、全体
のシステム図は省略する。
【0101】第2実施例の光路長可変光学系は、第2の
回折格子8より後ろ側が、第1のコーンレンズ12と、
第2のコーンレンズ13と、正のパワーを持つ第4の正
レンズ9と、光取り出し用シングルモードファイバ10
とで構成されている。
【0102】なお、コーンレンズとは、片方の面が平面
で、もう片方の面が円錐状になったレンズのことであ
る。本実施例の作用を以下に説明する。
【0103】第1実施例の説明で光取り出し用シングル
モードファイバ10に光を結合するためには、光取り出
し用シングルモードファイバ10に入射する光の角度γ
を、 NA>γ にしなければならないことは述べたが、光取り出し用シ
ングルモードファイバ10に入射する光のスポット径が
変化しない限り、γをさらに小さく取れば光取り出し用
シングルモードファイバ10ヘの光の結合効率が高くな
る。
【0104】本実施例では、第1実施例と同様に第2の
回折格子8から射出された光は、クサビ形状のプリズム
の回転に伴い、図6の符号aで示すように楕円運動をす
る。一方、光取り出し用シングルモードファイバ10に
入射する光の最大角度γは、楕円運動をして第4の正レ
ンズ9に入射する光の長軸の半径Rに対して γ=R/f4 の関係がある。
【0105】従って、第4の正レンズ9の焦点距離f4
を長くすることでγの値を小さくすることができる。し
かし、第4の正レンズ9の焦点距離f4を長くすると、
実施例1の条件式(3)に関して説明したように、第4の
正レンズ9で集光される光の最小スポットサイズ(ウエ
ストサイズ)Woが大きくなってしまい、結合効率を高
くすることができない。
【0106】しかし、楕円運動をして第4の正レンズ9
へ入射する光の長軸の半径Rを、例えば図6の符号bで
示すように、小さくすることができれば第4の正レンズ
9の焦点距離f4を長くしなくてもγを小さくすること
が可能になり、その結果、光取り出し用シングルモード
ファイバ10への光の結合効率を高くすることができ
る。
【0107】そこで本実施例では、楕円運動をして第4
の正レンズ9へ入射する光の長軸の半径Rを小さくする
手段として、2つのコーンレンズ12,13を組合せた
光学系を用いている。
【0108】図7(a)は2つのコーンレンズ12,13
の距離が近いときの光の経路であり、図7(b)は2つの
コーンレンズ12,13の距離が離れているときの光の
経路を表わしている。
【0109】2つのコーンレンズ12,13の間の距離
が近い場合は、A面(B面)に入射した光はC面(D
面)に当たるため第2のコーンレンズ13を出た光は、
第1のコーンレンズ12に入射した光と平行にならない
ので、光り取り出し用シングルモードファイバ10に入
射させることが出来ない。しかし、2つのコーンレンズ
12,13を離していくと、A面(B面)に入射した光
がD面(C面)を通るようになり、所定量離したときに
コーンレンズ2を出た光がコーンレンズ1に入射した光
と平行になり、この後に配置されている第4の正レンズ
9によって集光されて光取り出し用シングルモードファ
イバ10に結合させることができる。
【0110】図8は楕円運動をする光の、コーンレンズ
通過後のyz平面と平行な方向およびx軸と平行な方向
の径を、第1のコーンレンズ12と第2のコーンレンズ
13との間の距離を変数としてとったグラフである。但
し、2つのコーンレンズ12,13の間の距離が近すぎ
る領域Vは第2のコーンレンズ13からの射出光が発散
するので表示していない。この領域Vでは、図7を用い
て説明したように、光が光取り出し用シングルモードフ
ァイバ10に結合されない。しかし、2つのコーンレン
ズ12,13の間の距離を少しずつ離していくと、図8
の矢印Wで示すように、第2のコーンレンズ13を通過
後の楕円運動をする光の長軸方向および短軸方向の径を
第1のコーンレンズ12を通過前の径に比べて小さくす
ることができる領域が存在する。
【0111】そして、本実施例では、第1のコーンレン
ズ12および第2のコーンレンズ13の間隔を前記した
楕円運動をする光の長軸方向および短軸方向の径を小さ
くなるところに設定している。このため、第4の正レン
ズ9の焦点距離が短くても、光取り出し用シングルモー
ドファイバ10ヘの光の入射角γを小さくすることがで
き、光取り出し用シングルモードファイバ10ヘの光の
結合効率を大幅に向上させることができる。
【0112】なお、本実施例では2つのコーンレンズ1
2,13を組合せて楕円運動をする光の径を小さくした
が、図9に示すように、両面が円錐形状に形成された1
つのコーンレンズ12’をコーンレンズ12,13の代
わりに用いても同様の効果が得られる。実施例3 第3実施例は、第1実施例の光路長可変光学系における
位相変調素子であるクサビ形状のプリズムを別の光学要
素に置き換えた例である。
【0113】図10は本実施例の光路長可変光学系の概
略構成図である。なお、光路長可変光学系以外の本発明
の断層観察診断装置のその他の構成は第1実施例と同様
なので全体のシステム図は省略する。
【0114】本実施例の光路長可変光学系は、光導入用
シングルモードファイバ1と正のパワーを持つ第3の正
レンズ2とからなる光導入部3と、光のスペクトルを空
間的に分散させるスペクトル分散要素である第1の回折
格子4と正のパワーを持つ第1の正レンズ5とのペア
と、前記スペクトル分散要素で分散させられた光を角振
動数に対して略線形に位相を変化させる位相変調素子で
あるプリズム6’と、前記位相変調をかけられかつ空間
的に分散させられた光を1つの光路に統一させるスペク
トル統一要素である正のパワーを持つ第2の正レンズ7
と第2の回折格子8とのペアと、正のパワーを持つ第4
の正レンズ9と光取り出し用シングルモードファイバ1
0とからなる光取り出し部11とで構成され、これらの
光学要素が光学的に接続されている。
【0115】また、本実施例では、第1の正レンズ5と
第2の正レンズ7には、焦点距離が同じレンズが使用さ
れており、かつ、第1の正レンズ5と第2の正レンズ7
は、光軸が一致するように配置されている。また、第1
の回折格子4は、第1の正レンズ3の前側焦点位置に、
プリズム6’は、第1の正レンズ5の後側焦点と第2の
正レンズ7の前側焦点位置に、第2の回折格子8は、第
2の正レンズ7の後側焦点位置にほぼ一致するように、
それぞれ配置されている。
【0116】プリズム6’は図11に示すように、光透
過性の液体を少なくとも2枚の表面が平らな光透過性の
ガラス板である、ガラス14,15で挟んだ態様で構成
され、2枚の光透過性のガラス板のなす角度φを時間と
ともに変化させることができるようになっており、第1
の回折格子4側のガラス14は固定され、第2の回折格
子8側のガラス15を第1の回折格子4及び第2の回折
格子8の格子と同じ方向を向いた軸Cに対して振動させ
ることができるようになっている。
【0117】ガラス15の振動のさせかたとしては、例
えばガルバノ機構をつけた軸にガラス15を取り付ける
方法があるが、ガラス14とガラス15とのなす角度を
変えることができればその他の方法を用いても構わな
い。
【0118】本実施例の位相変調素子であるプリズム
6’による群遅延について詳しく述べる。本実施例で
は、第1実施例と同様の座標系を取ると、ガラス15の
振動軸Cを通る光と高さYを通る光の光路長差Zは Z=(n−1)・Y・φ になる。
【0119】ここで、nは光透過性液体の屈折率、φは
プリズム6’のガラス14とガラス15とのなす角度で
ある。従って、中心波長の光がプリズム6’を通る高さ
をY、Nを格子の空間周波数(格子の間隔の逆数)、θ
を第1の回折格子4の後ろ側の面の法線と中心波長の光
が射出される光とのなす角度、λoを低コヒーレンス光
源の中心波長、fを第1の正レンズ5および第2の正レ
ンズ7の焦点距離とすると、角振動数ωoの光と角振動
数ω=ωo+Δωの光との位相差Ψ(ω)は、次式(18)
で表すことができる。
【0120】 Ψ(ω)=Yo・(n−1)・ω・φ/c −2π・(n−1)・f・N・φ・Δω/(ωo・cosθ) ……(18) 従って、式(18)よりガラス14とガラス15とのなす角
度がφであるプリズム6’は、光の角振動数ωに対して
位相を線形に変化させていることになるため、プリズム
6’は、群遅延量を変化させる作用があることがわか
る。
【0121】ここで、第1実施例と同様にプリズム6’
による位相変調と群遅延量の変化、中心周波数のシフト
についての考察をおこなうと、群遅延距離Lgと位相遅
延距離Lp、光の中心集周波数のシフト量ΔFは、次式
(19)〜(21)のようになる。
【0122】 Lg=−(n−1)・Yo・φ+(n−1)・f・N・(λo/cosθ)・ φ ……(19) Lp=(n−1)・Yo・φ ……(20) ΔF=−(n−1)・Yo・dφ/dt ……(21) 以上の結果より、ガラス14とガラス15とのなす角度
φを時間的に変化させれば群遅延量を変化させることが
でき、結果として光断層構造観測装置の参照側の光路長
を変えることができることがわかる。
【0123】また、ガラス15の振動軸Cと中心波長の
光が通る位置とをずらすことによって位相遅延量を時間
的に変化させて、ドップラーシフトを発生させ、これを
サンプル側の信号と合成することで、ビート信号を発生
させ、光ヘテロダイン検出が可能になる。
【0124】ガラス14とガラス15とのなす角度φの
時間的な変化のさせかたとしては、例えば、正弦波、三
角波などが考えられる。本実施例では、ガラス14とガ
ラス15とのなす角度φが変化すると、第2の回折格子
8から射出される光は、図12に示すように直線上を動
くようになる。このため、第4の正レンズ9を通過し
て、光取り出し用シングルモードファイバ10ヘ入射す
る光の入射角γが変化する。
【0125】従って、第4の正レンズ9からの射出光を
光取り出し用シングルモードファイバ10に結合させる
ためには、第2の正レンズ7の焦点距離f2と第4の正
レンズ9の焦点距離f4が次の条件式(22)を満足するよ
うにするのが望ましい。
【0126】 NA>f2(n−1)Δφmax/(2・f4) ……(22) 但し、Δφmaxは前記2つの光透過性の板であるガラ
ス14と15とのなす角度φの変化量の最大値である。
【0127】上記条件式(22)を満たさない場合は、プリ
ズム6’のガラス14とガラス15とのなす角度φを変
化させたときに、光取り出し用シングルモードファイバ
10ヘ入射する光の入射角γが大きくなりすぎて光が光
取り出し用シングルモードファイバ10に結合されなく
なる部分が出てくる。
【0128】ガラス14とガラス15とのなす角度φを
変化させたときに光取り出し用シングルモードファイバ
10ヘの光の結合効率をより上げるためには、次の条件
式(23)を満たすことが望ましい。
【0129】 0.7NA>f2(n−1)Δφmax/(2・f4) ……(23) また、第1実施例と同様な議論から、光取り出し用シン
グルモードファイバ10のモードフィールド径と第4の
正レンズ9で集光する光のスポットサイズとの差を小さ
くして、光取り出し用シングルモードファイバ10への
光の結合効率を大幅に下げないために、光導入部3の第
3の正レンズ2の焦点距離f3と光取り出し部11の第
4の正レンズ9の焦点距離f4とを次の条件式(24)を満
たすように設定することが望ましい。
【0130】 0.5<Di・f4/(Do・f3)<10 ……(24) 但し、Diは光導入部3のシングルモードファイバ1の
モードフィールド径、Doは光取り出し部11のシング
ルモードファイバ10のモードフィールド径である。
【0131】本実施例では、ガラス15を振動させる角
度を大きくとらなくても第1の正レンズ5および第2の
正レンズ7の焦点距離fを大きく取れば光路長のスキャ
ン幅を大きくとることができるので、ガラスを振動させ
るときの角度が数十ミリラジアン程度の小さい角度でも
って十分に広いスキャンがおこなえる。
【0132】ガラスの振動量が小さいと、ガラスを高速
に振動させることができるとともに制御も安定して行な
えるというメリットがある。したがって、本実施例のよ
うなプリズムを使用すれば、稼動部が小さく、制御が簡
単で、光路長のスキャン範囲が広く、高速にスキャニン
グが可能な透過型光路長可変光学系を達成することがで
きる。
【0133】なお、本実施例ではガラス14を固定し、
ガラス15を振動させるように構成したが、ガラス14
を振動させ、ガラス15を固定するように構成しても、
或いは、ガラス14とガラス15の両方を同時に振動さ
せるように構成しても、同様の効果が得られる。実施例4 第4実施例は、第3実施例における第2の回折格子8よ
り後ろ側の光取り出し部11の構成のみを変えた例であ
る。
【0134】図13は本実施例の光路長可変光学系にお
ける第2の回折格子8より後ろ側の光学要素の構成を示
す概略構成図であり、(a)は第2軸から見た図、(b)は第
1軸から見た図を夫々示している。
【0135】但し、本実施例では、第2軸をスペクトル
分散要素によって空間的に分散させられた光の方向に垂
直な方向、すなわち、第1の回折格子の格子の方向と平
行な方向にとり、第2軸に垂直な方向に第1軸をとって
いる。
【0136】なお、第2の回折格子8よりも前側の光学
要素は、第1実施例と同じ構成であるので図示を省略す
る。また、光路長可変光学系以外の本発明の断層観察診
断装置のその他の構成も第1実施例と同様なので全体の
システム図は省略する。
【0137】本実施例の第2の回折格子8より後ろ側の
光取り出し部11’は、第1軸の方向に正のパワーを持
ち第1軸に垂直な第2軸の方向にパワーを持たないレン
ズ16と、第1軸の方向にパワーを持たず第2軸の方向
に正のパワーを持つレンズ17と、光取り出し用シング
ルモードファイバ10とで構成されている。
【0138】レンズ16は、後ろ側の面が平面で前側の
面が第2軸の方向と平行な方向を軸として円筒形状に形
成されたシリンドリカルレンズである。また、レンズ1
7は、後ろ側の面が平面で前側の面が第1軸の方向と平
行な方向を軸として円筒形状に形成されたシリンドリカ
ルレンズである。
【0139】レンズ16およびレンズ17は、第1軸方
向のビームウエスト位置と、第2軸方向のビームウエス
ト位置が光取り出し用シングルモードファイバ10の端
面とほぼ一致するように配置されている。
【0140】レンズ16およぴレンズ17の焦点距離は
次のように設定することが望ましい。光取り出し部11
‘のシングルモードファイバ10に光を結合するため
に、レンズ16の第1軸方向の焦点距離f4aが次の条
件式(25)を満足するようにする。
【0141】 NA>f2(n−1)Δφmax/(2・f4a) ……(25) 但し、Δφmaxは前記2つの光透過性の板のなす角度
φの変化量の最大値である。
【0142】上記条件式(25)を満たさない場合は、図1
0に示すプリズム6’のガラス14とガラス15とのな
す角度φが大きくなったときに光取り出し用シングルモ
ードファイバ10に入射する光の入射角が大きくなりす
ぎるため、入射光のうち光取り出し用シングルモードフ
ァイバ10に結合されない部分ができてしまう。
【0143】さらに、光取り出し用シングルモードファ
イバ10ヘの光の結合効率を大幅に下げないために、光
導入部の第3の正レンズの焦点距離f3、光取り出し部
11’のレンズ16の第1軸方向の焦点距離f4a、レ
ンズ17の第2軸方向の焦点距離f4bを次の条件式(2
6),(27)を満たすように設定することが望ましい。
【0144】 0.25<Di・f4a/(Do・f3)<10 ……(26) 0.5<Di・f4b/(Do・f3)<5 ……(27) 但し、Diは光導入部のシングルモードファイバのモ−
ドフィールド径、Doは光取り出し部のシングルモード
ファイバ10のモードフィールド径である。
【0145】群遅延距離Lgの変化量を大きく取るため
には、上記式(19)より第2の正レンズの焦点距離f2を
長くするか、前記2つの光透過性の板であるガラス1
4,15のなす角度φの変化量の最大値Δφmaxを大
きくする必要がある。光路長可変光学系の光取り出し部
11’のレンズ16,17に通常のレンズを使用する場
合において、f2やΔφmaxを大きくしたときは、上
記条件式(22)を満たすために光取り出し部11’のレン
ズ16,17の焦点距離を長くする必要がある。
【0146】しかし、レンズ16,17の焦点距離を長
くすると、図14(a)に示すように、光取り出し部1
1’のシングルモードファイバ10のファイバ端面での
光のスポットサイズがシングルモードファイバ10のモ
ードフィールド径に比べて大きくなりすぎてしまうの
で、シングルモードファイバ10ヘの光の結合効率が落
ちてしまう。
【0147】そこで、本実施例のように第1軸方向と第
2軸方向のパワーを独立に設定できるようにして、光が
振れる第1軸の方向では、レンズ16の第1軸の方向の
焦点距離を上記条件式(25),(26)に合うように設定し、
光が振れない第2軸の方向では、レンズ17の第2軸の
方向の焦点距離を上記条件式(27)に合うように設定する
と、光取り出し部のファイバ端での光のスポット形状が
図14(b)に示すようになり、スポットサイズが光取り
出し部11’のシングルモードファイバ10のモードフ
ィールド径に極力近づいて、ファイバーヘの光の結合効
率が大幅に向上する。
【0148】このため、本実施例によれば、光路長のス
キャン幅を大きくし、かつ、光取り出し部のファイバー
ヘの結合効率が高い光路長可変光学系を達成できる。実施例5 実施例5は、第3実施例のプリズム6’の部分を第1の
プリズムと第2のプリズムに置き換えて構成した例であ
る。
【0149】図15は本実施例の光路長可変光学系を示
す概略構成図である。なお、光路長可変光学系以外の本
発明の断層観察診断装置のその他の構成は第1実施例と
同様なので全体のシステム図は省略する。
【0150】本実施例の光路長可変光学系は、光導入用
シングルモードファイバ1と正のパワーを持つ第3の正
レンズ2とからなる光導入部3と、光のスペクトルを空
間的に分散させるスペクトル分散要素である第1の回折
格子4と正のパワーを持つ第1の正レンズ5のペアと、
前記スペクトル分散要素で分散させられた光を角振動数
に対して略線形に位相を変化させる位相変調素子である
前側のプリズム18と、光路補正用の後ろ側のプリズム
19と、前記位相変調をかけられかつ空間的に分散させ
られた光を1つの光路に統一させるスペクトル統一要素
である正のパワーを持つ第2の正レンズ7と第2の回折
格子8のペアと、正のパワーを持つ第4の正レンズ9と
光取り出し用シングルモードファイバ10とからなる光
取り出し部11とで構成され、これらは光学的に接続さ
れている。
【0151】また、本実施例では、第1の正レンズ5と
第2の正レンズ7には、焦点距離が同じレンズが使用さ
れている。また、第1の回折格子4は、第1の正レンズ
3の前側焦点位置に、前側のプリズム18は、第1の正
レンズ5の後側焦点と第2の正レンズ7の前側焦点位置
に、第2の回折格子8は、第2の正レンズ7の後側焦点
位置にほぼ一致するように、それぞれ配置されている。
【0152】前側のプリズム18は、光透過性素材のガ
ラスでできたクサビ形状のプリズムであり、図16に矢
印で示すように、プリズムを光が進行している方向及び
光のスペクトルが空間的に分散されている方向のいずれ
に対しても略垂直な方向を軸として振動させることによ
り、時間の経過とともに群遅延量を変化させて、光路長
を変化させることができるようになっている。
【0153】前側のプリズム18を振動させる方法とし
ては、例えば、ガルバノ機構を付けた軸に前側のプリズ
ム18を取り付ける方法があるが、その他の方法を用い
ても構わない。
【0154】また、光路補正用の後ろ側のプリズム19
は、前側のプリズム18を介して大きく曲げられた光の
進行方向を元の方向に近づけるためのものであり、本実
施例では、前側のプリズム18と同じクサビ角で、同じ
屈折率のものが、前側のプリズム18の直後に上下逆向
きにして配置されている。また、後ろ側のプリズム19
は、稼動部を備えてなく固定されている。
【0155】図17は第1の回折格子4に対する前側の
プリズム18の傾き角を変化させたときの、前側のプリ
ズム18に入射する光の位置に関する位相の傾き量を示
すグラフである。
【0156】図17より、前側のプリズム18の傾き角
を変えると、位相の傾き量が変化することがわかる。本
実施例の構成では、前側のプリズム18の近傍では第1
の回折格子4を介して光が角振動数の成分によって空間
的に分散されているため、前側のプリズム18の傾き角
を時間の経過とともに変えて、位相の傾き量を時間の経
過とともに変化させることによって群遅延量が変化し、
結果的に光路長を変化させることができるようになって
いる。
【0157】本実施例では、前側のプリズム18を高速
で振動させるために前側のプリズム18を振動させる角
度を数十ミリラジアンと小さくしても、第1の正レンズ
5および第2の正レンズ7の焦点距離を長くするか、第
1の回折格子4及び第2の回折格子8の格子周波数を高
くするか、回折格子を傾けて光の分散量を大きくするこ
とによって群遅延距離を増幅することができるので、高
速で光路長の振れ幅が広い光路長可変光学系を達成する
ことができる。
【0158】なお、本実施例では、第2の回折格子8よ
りも後ろ側に配置された第4の正レンズ9に通常の軸対
称のレンズを用いたが、第4実施例と同様にシリンドリ
カルレンズで構成すれば、光取り出し部のファイバへの
結合効率がより高い光路長可変光学系が得られる。
【0159】また、図18に示すように、クサビ形状を
した後ろ側のプリズム19’を第1の正レンズ5の後ろ
側焦点位置と第2の正レンズ7の前側焦点位置にほぼ一
致するように配置し、後ろ側のプリズム19’と同じク
サビ角、同じ屈折率のクサビ形状の前側のプリズム1
8’を後ろ側のプリズム19’の直前に配置し、前側の
プリズム18’を固定して、後ろ側のプリズム19’を
光が進行している方向及び光のスペクトルが空間的に分
散されている方向のいずれに対しても略垂直な方向を軸
として振動させても本実施例と同様な効果が得られる。実施例6 本発明の光断層構造観測装置およびそれに用いられる光
路長可変光学系の第6実施例を図19〜図21に示す。
【0160】図19は本実施例の光路長可変光学系を用
いた光断層構造観測装置のシステム図、図20は本実施
例の光路長可変光学系の概略構成図、図21は本実施例
の光路長可変光学系を構成するクサビ形状のプリズムの
配置を示す説明図である。
【0161】本実施例のOCTシステムは、マハツェン
ダー型干渉計を基本としている。図19に示すように、
本実施例の光断層構造観測装置では、低コヒーレンス光
源21から射出された光は、シングルモードファイバ2
2を通り第1のカップラー23へと導かれ、導かれた光
は、第1のカップラー23を介してサンプル側と参照側
とに分離される。
【0162】サンプル側に分離された光は、シングルモ
ードファイバ24、光サーキュレータ25、シングルモ
ードファイバ26、サンプル側先端光学系27を経て被
写体(測定対象)28に照射される。被写体28で反射
された光は、再びサンプル側先端光学系27、シングル
モードファイバ26を経て、光サーキュレータ25へ戻
ってくる。光サーキュレータ25へ戻ってきたサンプル
側の光は、第2の音響光学素子(AOM)40へつなが
っているシングルモードファイバ30の方へ選択的に導
かれ、第2のAOM40を通った後にシングルモードフ
ァイバ42を介して第2のカップラー29へと導かれ
る。
【0163】一方、参照側に分離された光は、光路長可
変光学系31’への光導入用シングルモードファイバ3
2を介して光路長可変光学系31’まで導かれる。光路
長可変光学系31’に入射した光は光路長が変化させら
れた後に、光取り出し用のシングルモードファイバ33
に取込まれ、第1の音響光学素子(AOM)41を通っ
た後にシングルモードファイバ43を介して第2のカッ
プラー29へと導かれる。
【0164】サンプル側経路から導かれた光と参照側経
路から導かれた光とは、第2のカップラー29で合成さ
れ、それにより生じる干渉信号が第2のカップラー29
から出力される。第2のカップラー29で合成されて生
じた干渉信号は、シングルモードファイバー35,36
を介して第1のディテクター37,第2のディテクター
38へと分配されて導かれる。第1のディテクター37
と第2のディテクター38では、それぞれ光の強度の検
出が行なわれる。第1のディテクター37と第2のディ
テクター38とで差分ディテクター39を構成してお
り、干渉信号を検出するときには、干渉信号の成分のみ
が出力され、それ以外の成分(直流成分)は除去される
ようになっている。
【0165】この光断層構造観測装置に用いられる本実
施例の光路長可変光学系31’は、図20に示すよう
に、第1実施例と異なり、クサビ形状のプリズム6の回
転軸と中心波長の主光線が通る位置とを一致させてい
る。なお、それ以外の構成は第1実施例と同じである。
【0166】すなわち、本実施例の光路長可変光学系3
1’は、光導入用シングルモードファイバー1と正のパ
ワーを持つ第3の正レンズ2とからなる光導入部3と、
光のスペクトルを空間的に分散させるスペクトル分散要
素である第1の回折格子4と正のパワーを持つ第1の正
レンズ5のペアと、前記スペクトル分散要素で分散させ
られた光を角振動数に対して略線形に位相を変化させる
位相変調素子であるクサビ形状のプリズム6と、前記位
相変調をかけられかつ空間的に分散させられた光を1つ
の光路に統一させるスペクトル統一要素である正のパワ
ーを持つ第2の正レンズ7と第2の回折格子8のペア
と、正のパワーを持つ第4の正レンズ9と光取り出し用
シングルモードファイバ10とからなる光取り出し部1
1とで構成され、これらは光学的に接続されている。
【0167】クサビ形状のプリズム6は、光を透過する
素材であるガラスでできている。また本実施例では、第
1の正レンズ5と第2の正レンズ7には、焦点距離が同
じレンズが使用されており、かつ、第1の正レンズ5と
第2の正レンズ7は、光軸が一致するように配置されて
いる。また、第1の回折格子4は、第1の正レンズ3の
前側焦点位置に、クサビ形状のプリズム6は、第1の正
レンズ5の後側焦点と第2の正レンズ7の前側焦点位置
に、第2の回折格子8は、第2の正レンズ7の後側焦点
位置にほぼ一致するように、それぞれ配置されている。
【0168】クサビ形状のプリズム6は、光の進行方向
に対して略平行な方向を軸として回転可能に設けられて
いる。また、クサビ形状のプリズム6の回転軸は、図2
1に示すように、光導入部3から導入される光の中心波
長の光の主光線が通る位置と一致している。
【0169】また、クサビ形状のプリズム6の向きは、
クサビ形状のプリズム6を回転させたときにクサビ形状
のプリズム6の前側の面の法線単位ベクトルN1および
後側の面の法線単位ベクトルN2のxy平面側への正射
影のベクトルP1,P2の絶対値が変化しないようにし
てある。
【0170】但し、法線単位ベクトルN1,N2は、z
軸とクサビ形状のプリズム6の前側または後ろ側の面と
の交点を基点として、ベクトルN1又はN2と光の進行
方向のなす角度が鋭角になる方向に取ることとする。
【0171】本実施例の群遅延距離Lg、位相遅延距離
Lp、光の中心周波数のシフト量ΔFは、第1実施例で
導いた式(7),(8)等において、クサビ形状プリズムの回
転軸が中心波長の光の主光線が通る位置と一致させてあ
る条件 Yo= 0とおいた値と一致する。
【0172】すなわち、次式(34)〜(36)となる。 Lg= (K/cosθ)・f・N・λo・cosα ……(34) Lp= 0 ……(35) ΔF= 0 ……(36) 上記式(34)〜(36)より、本実施例では、クサビ形状のプ
リズム6が回転すると光路長は変化するが、光の中心周
波数のシフトは起こらないことがわかる。
【0173】なお、光ヘテロダイン検出をおこなうため
には、参照側とサンプル側の少なくとも一方で光の周波
数のシフトをおこなう必要がある。第1〜5実施例はこ
れを光路長可変光学系31でおこなっていたが、本実施
例においては、光ヘテロダイン検出をおこなうための光
の周波数のシフトを参照側の第1の音響光学素子(AO
M)41とサンプル側の第2の音響光学素子(AOM)
40とでおこなっている。第1のAOM41および第2
のAOM40における光の周波数シフト量をそれぞれF
a1,Fa2、光源の中心周波数をFoとすると、第1
のAOM41を通過後の参照側の光の中心周波数はFo
+Fa1、第2のAOM40を通過後のサンプル側の光
の中心周波数はFo+Fa2となるので、本実施例で得
られる干渉光のビート信号の周波数Fbは、 Fb =|Fa1−Fa2| となる。
【0174】一般にAOMの周波数のシフト量Fa1お
よびFa2は一定であるので、干渉光のビート周波数F
bも一定になる。そして、ビート周波数が一定の場合、
干渉信号が電気信号に変換された後のバンドパスフィル
ターの帯域を狭くすることができSN比を向上させるこ
とができる。
【0175】一方、第1〜5実施例の構成によれば、光
路長可変光学系が光の中心角振動数をシフトさせる光学
要素を兼ねているので、構成が簡単で安価なシステムが
構築できるというメリットがある。
【0176】なお、本第6実施例では音響光学素子を参
照側とサンプル側の両方に配置しているが、音響光学素
子を参照側とサンプル側のいずれか一方に配置して構成
しても本実施例と同様の効果が得られる。
【0177】また、光取り出し部を第2実施例と同様の
コーンレンズを使用して構成しても同様な効果が得られ
る。さらに、本実施例では光路長可変光学系31’にお
ける位相変調素子としてクサビ形状のプリズム6を使用
したが、実施例3、4、5と同様の光路長可変光学系で
用いている位相変調素子及び光取り出し部の構成を用い
ても、位相変調素子の位相が変化しない位置と、中心角
振動数の光が通る位置とを合わせることによって、本実
施例と同様の効果が得られる。
【0178】以上説明したように、本発明による光路長
可変光学系及びそれを用いた装置は、特許請求の範囲に
記載された特徴のほかに下記に示すような特徴も備えて
いる。 (1)光導入部と、前記光導入部から導入された光のス
ペクトルを空間的に分散させるスペクトル分散要素と、
前記スペクトル分散要素で分散させられた光を角振動数
に対して略線形に位相を変調させる位相変調素子と、前
記位相変調素子を介して位相変調をかけられかつ空間的
に分散させられた光を1つの光路に統一させるスペクト
ル統一要素と、前記光導入部とは別個に設けられた光取
り出し部とで構成され、前記これらの要素が、互いに光
学的に接続され、かつ前記位相変調素子の光の角振動数
に対する位相変調量の傾きを時間の経過とともに変化さ
せるようにしたことを特徴とする光路長可変光学系。 (2)前記スペクトル分散要素が、第1の回折格子と第
1の正レンズとで構成されており、前記スペクトル統一
要素が、第2の回折格子と第2の正レンズとで構成され
ていることを特徴とする上記(1)に記載の光路長可変
光学系。 (3)前記光導入部が、前記光路長可変光学系の外部か
ら該光路長可変光学系に光を取り入れるための光導入用
シングルモードファイバーと第3の正レンズとで構成さ
れ、前記光取り出し部が第4の正レンズと前記光路長可
変光学系の外部へ光を取り出すための光取り出し用シン
グルモードファイバーとで構成されていることを特徴と
する請求項1に記載の光路長可変光学系。 (4)前記第2の正レンズの焦点距離と前記第4の正レ
ンズの焦点距離が次の条件式(11)を満たすことを特徴と
する上記(3)に記載の光路長可変光学系。
【0179】 NA > f2(n−1)φ/f4 ……(11) 但し、f2は第2の正レンズの焦点距離、f4は第4の
正レンズの焦点距離、nはクサビ形状のプリズムの屈折
率、φはクサビ形状のプリズムのクサビの角度、NAは
光取り出し用シングルモードファイバの開口数である。 (5)前記第2の回折格子と前記第4の正レンズとの間
に少なくとも1つのコーンレンズが設けられていること
を特徴とする上記(3)に記載の光路長可変光学系。 (6)前記光導入部が、前記光路長可変光学系の外部か
ら該光路長可変光学系に光を取り入れるための光導入用
シングルモードファイバーと正のパワーを持つ第3の正
レンズとで構成され、前記光取り出し部が、第1軸の方
向に正のパワーを持ちかつ前記第1軸に垂直な第2軸の
方向にパワーを持たないレンズと、前記第1軸の方向に
パワーを持たず前記第2軸の方向に正のパワーを持つレ
ンズと、前記光路長可変光系の外部へ光を取り出すため
の光取り出し用シングルモードファイバーとで構成され
ており、前記第2軸が前記スペクトル分散要素を介して
光が空間的に分散させられる方向に対して垂直な方向を
向いていることを特徴とする請求項2に記載の光路長可
変光学系。 (7)前記光導入部が、前記光路長可変光学系の外部か
ら該光路長可変光学系に光を取り入れるための光導入用
シングルモードファイバーと正のパワーを持つ第3の正
レンズとで構成され、前記光取り出し部が、正のパワー
を持つ第4の正レンズと前記光路長可変光学系の外部へ
光を取り出すための光取り出し用シングルモードファイ
バーとで構成されていることを特徴とする請求項2に記
載の光路長可変光学系。 (8)前記第2の正レンズの焦点距離と前記第4の正レ
ンズの焦点距離とが次の条件式(22)を満たすことを特徴
とする上記(7)に記載の光路長可変光学系。
【0180】 NA > f2・(n−1)・Δφmax/(2・f4)……(22) 但し、f2は第2正レンズの焦点距離、f4は第4の正
レンズの焦点距離、nは光透過性液体の屈折率、Δφma
xは2つの光透過性の板のなす角度φの変化量の最大
値、NAは光取り出し用シングルモードファイバの開口
数である。 (9)前記位相変調素子であるクサビ形状プリズムと前
記第2正レンズとの間に前記クサビ形状プリズムのクサ
ビの角度と屈折率と同一のクサビの角度と屈折率を有す
るクサビ形状プリズムが配置されていることを特徴とす
る請求項3に記載の光路長可変光学系。 (10)前記位相変調素子であるクサビ形状プリズムと
前記第1正レンズとの間に前記クサビ形状プリズムのク
サビの角度と屈折率と同一のクサビの角度と屈折率を有
するクサビ形状プリズムが配置されていることを特徴と
する請求項3に記載の光路長可変光学系。 (11)前記光導入部が、前記光路長可変光学系の外部
から該光路長可変光学系に光を取り入れるための光導入
用シングルモードファイバーと正のパワーを持つ第3の
正レンズとで構成され、前記光取り出し部が、正のパワ
ーを持つ第4の正レンズと前記光路長可変光学系の外部
へ光を取り出すための光取り出し用シングルモードファ
イバーとで構成されていることを特徴とする請求項3、
上記(9)、(10)のいずれかに記載の光路長可変光
学系。 (12)前記光導入部が、前記光路長可変光学系の外部
から該光路長可変光学系に光を取り入れるための光導入
用シングルモードファイバーと正のパワーを持つ第3の
正レンズとで構成され、前記光取り出し部が、第1軸の
方向に正のパワーを持ちかつ前記第1軸に垂直な第2軸
の方向にパワーを持たないレンズと、前記第1軸の方向
にパワーを持たず前記第2軸の方向に正のパワーを持つ
レンズと、前記光路長可変光学系の外部へ光を取り出す
ための光取り出し用シングルモードファイバーとで構成
されており、前記第2軸が、前記スペクトル分散要素を
介して光が空間的に分散させられる方向に対して垂直な
方向を向いていることを特徴とする請求項3、上記
(9)、(10)のいずれかに記載の光路長可変光学
系。 (13)コヒーレンス長が短い光を発生させる光源から
の光を光分離手段を介してサンプル側経路と参照側経路
とに分離し、前記参照側経路に導かれた光を光合成手段
へ導き、前記サンプル側経路に導かれた光を集光レンズ
で被写体に集光し、前記被写体で散乱又は反射された光
を前記集光レンズを通った後に前記光合成手段に導き、
前記参照側経路を通った光と前記サンプル側経路を通っ
た光とを前記光合成手段で合成して干渉させ、前記干渉
信号がディテクタで検出された後に電気的処理をおこな
う装置であって、前記参照側経路中または前記サンプル
側経路中の少なくとも一方に上記(1)〜(12)のい
ずれかに記載の光路長可変光学系を配置して前記サンプ
ル側の光の干渉する位置を時間の経過とともに変化させ
るとともに、前記参照側経路中または前記サンプル側経
路中の少なくとも一方に光の中心角振動数をシフトさせ
る光学要素を配置して参照側とサンプル側の光が干渉し
たときにビート信号を発生させて光ヘテロダイン検出を
おこなうようにしたことを特徴とする断層構造観察装
置。 (14)前記光分離手段と前記光合成手段をそれぞれ独
立して配置してマハツェンダー干渉計を構成し、かつ前
記干渉信号を検出するディテクタを差分型ディテクタで
構成したことを特徴とする請求項4又は上記(13)に
記載の断層構造観察装置。 (15)前記光路長可変光学系が、光の中心角振動数を
シフトさせる光学要素を兼ねていることを特徴とする請
求項4、上記(13)、(14)のいずれかに記載の断
層構造観察装置。 (16)前記光路長可変光学系と前記光の中心角振動数
をシフトさせる光学要素とが、分離されていることを特
徴とする請求項4、上記(13)、(14)のいずれか
に記載の断層構造観察装置。 (17)前記光路長可変光学系が、前記光路長可変光学
系から出力される光の中心角振動数を入力される光の中
心角振動数に対してシフトさせないように構成されてい
ることを特徴とする上記(16)に記載の断層構造観察
装置。 (18)前記光の中心角振動数をシフトさせる光学要素
は音響光学素子であること特徴とする請求項4、上記
(13)、(14)、(16)、(17)のいずれかに
記載の断層構造観察装置。
【0181】
【発明の効果】本発明によれば、稼動部が小さく、制御
が簡単で、光路長のスキャン範囲が広く、高速スキャニ
ングが可能な透過型光路長可変光学系を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1〜5実施例の光路長可変光学
系を用いた光断層観測装置のシステム図である。
【図2】第1実施例の光路長可変光学系の概略構成図で
ある。
【図3】第1実施例の光路長可変光学系を構成するクサ
ビ形状のプリズムの配置及び動きを示す説明図である。
【図4】第1実施例のクサビ形状のプリズムを中心波長
の光が通るときの群遅延距離及び干渉信号のビート周波
数の時間経過の一例を示すグラフである。
【図5】第2実施例の光路長可変光学系における第2の
回折格子より後ろ側の光学要素を示す概略構成図であ
る。
【図6】クサビ形状のプリズムの回転に伴い第2の回折
格子から射出された光が楕円運動をする状態を示す説明
図である。
【図7】図7は、2つのコーンレンズの間の距離とコー
ンレンズを通過する光の経路を示す説明図であり、(a)
は2つのコーンレンズの距離が近いときの光の経路、
(b)は2つのコーンレンズの距離が離れているときの光
の経路を表わしている。
【図8】2つのコーンレンズの間の距離に対する、楕円
運動をする光の、コーンレンズ通過後のyz平面と平行
な方向およびx軸と平行な方向の径を示すグラフであ
る。
【図9】第2実施例に用いるコーンレンズの変形例を示
す説明図である。
【図10】第3実施例の光路長可変光学系の概略構成図
である。
【図11】第3実施例の要部説明図である。
【図12】第3実施例による2枚のガラスのなす角度φ
が変化したときの第2の回折格子から射出される光の状
態を示す説明図である。
【図13】第4実施例の光路長可変光学系における第2
の回折格子より後ろ側の光学要素の構成を示す概略構成
図であり、(a)は第2軸から見た図、(b)は第1軸から見
た図を示している。
【図14】光取り出し部のファイバ端での光のスポット
形状及びファイバのモードフィールド径の大きさを示す
説明図である。
【図15】第5実施例の光路長可変光学系の概略構成図
である。
【図16】第5実施例の要部説明図である。
【図17】第5実施例における第1の回折格子に対する
前側のプリズムの傾き角を変化させたときの、前側のプ
リズムに入射する光の位置に関する位相の傾き量を示す
グラフである。
【図18】第5実施例の変形例を示す概略構成図であ
る。
【図19】第6実施例の光路長可変光学系を用いた光断
層構造観測装置のシステム図である。
【図20】第6実施例の光路長可変光学系の概略構成図
である。
【図21】第6実施例の光路長可変光学系を構成するク
サビ形状のプリズムの配置を示す説明図である。
【図22】従来のOCTシステムのシステム図である。
【図23】従来の光路長可変光学系の概略構成図であ
る。
【図24】直流成分と干渉信号成分の強度の比較を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 光導入用シングルモードファイバ 2 第3の正レンズ 3 光導入部 4 第1の回折格子 5 第1の正レンズ 6 クサビ形状のプリズム 6’ プリズム 7 第2の正レンズ 8 第2の回折格子 9 第4の正レンズ 10 光取り出し用シングルモードファイバ 11 光取り出し部 12,12’,13 コーンレンズ 14,15 ガラス 16,17 レンズ 18,19 プリズム 21 低コヒーレンス光源 22,24,26,30 シングルモードファイ
バ 28 測定対象 31,31’ 光路長可変光学系 32 光導入用シングルモードファイバ 33 光取り出し用シングルモードファイバ 35 第1のディテクタ 36 第2のディテクタ 37 差分ディテクタ 38 第1の音響光学素子(AOM) 39 第2の音響光学素子(AOM)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導入部と、前記光導入部から導入され
    た光のスペクトルを空間的に分散させるスペクトル分散
    要素と、前記スペクトル分散要素で分散させられた光を
    角振動数に対して略線形に位相を変調させる位相変調素
    子と、前記位相変調素子を介して位相変調をかけられか
    つ空間的に分散させられた光を1つの光路に統一させる
    スペクトル統一要素と、前記光導入部とは別個に設けら
    れた光取り出し部とで構成され、前記これらの構成要素
    が互いに光学的に接続され、かつ前記位相変調素子の光
    の角振動数に対する位相変調量の傾きを時間の経過とと
    もに変化させるようにした光路長可変光学系であるか、 又は、該光路長可変光学系における前記スペクトル分散
    要素が第1の回折格子と第1の正レンズとで構成され、
    前記スペクトル統一要素が第2の回折格子と第2の正レ
    ンズとで構成されている光路長可変光学系であって、 前記位相変調素子が光透過性素材でできたクサビ形状の
    プリズムで構成され、該クサビ形状のプリズムを光の進
    行方向に対して略平行な方向を軸として回転させるよう
    にしたことを特徴とする光路長可変光学系。
  2. 【請求項2】 光導入部と、前記光導入部から導入され
    た光のスペクトルを空間的に分散させるスペクトル分散
    要素と、前記スペクトル分散要素で分散させられた光を
    角振動数に対して略線形に位相を変調させる位相変調素
    子と、前記位相変調素子を介して位相変調をかけられか
    つ空間的に分散させられた光を1つの光路に統一させる
    スペクトル統一要素と、前記光導入部とは別個に設けら
    れた光取り出し部とで構成され、前記これらの構成要素
    が互いに光学的に接続され、かつ前記位相変調素子の光
    の角振動数に対する位相変調量の傾きを時間の経過とと
    もに変化させるようにした光路長可変光学系であるか、
    又は、該光路長可変光学系における前記スペクトル分散
    要素が第1の回折格子と第1の正レンズとで構成され、
    前記スペクトル統一要素が第2の回折格子と第2の正レ
    ンズとで構成されている光路長可変光学系であって、 前記位相変調素子が光透過性の液体を少なくとも2枚の
    表面が平らな光透過性の板で挟んだ態様で構成され、前
    記少なくとも2枚の光透過性の板がなす角度を時間とと
    もに変化させるようにしたことを特徴とする光路長可変
    光学系。
  3. 【請求項3】 光導入部と、前記光導入部から導入され
    た光のスペクトルを空間的に分散させるスペクトル分散
    要素と、前記スペクトル分散要素で分散させられた光を
    角振動数に対して略線形に位相を変調させる位相変調素
    子と、前記位相変調素子を介して位相変調をかけられか
    つ空間的に分散させられた光を1つの光路に統一させる
    スペクトル統一要素と、前記光導入部とは別箇に設けら
    れた光取り出し部とで構成され、前記これらの構成要素
    が互いに光学的に接続され、かつ前記位相変調素子の光
    の角振動数に対する位相変調量の傾きを時間の経過とと
    もに変化させるようにした光路長可変光学系であるか、 又は、該光路長可変光学系における前記スペクトル分散
    要素が第1の回折格子と第1の正レンズとで構成され、
    前記スペクトル統一要素が第2の回折格子と第2の正レ
    ンズとで構成されている光路長可変光学系であって、 前記位相変調素子が少なくとも1つの光透過性素材でで
    きたクサビ形状のプリズムで構成され、該クサビ形状の
    プリズムを光のスペクトルが空間的に分散されている方
    向に対して略垂直な方向を軸として振動させるようにし
    たことを特徴とする光路長可変光学系。
  4. 【請求項4】 コヒーレンス長が短い光を発生させる光
    源からの光を光分離手段を介してサンプル側経路と参照
    側経路とに分離し、 前記参照側経路に導かれた光を光合成手段へと導き、 前記サンプル側経路に導かれた光を光学系を介して被写
    体に集光し、前記被写体で散乱又は反射された光を前記
    光学系を通った後に前記光合成手段に導き、 前記参照側経路を通った光と前記サンプル側経路を通っ
    た光とを前記光合成手段で合成して干渉させ、前記干渉
    信号がディテクタで検出された後に電気的処理をおこな
    う装置であって、 前記参照側経路中または前記サンプル側経路中の少なく
    とも一方に請求項1〜3のいずれかに記載の光路長可変
    光学系を配置して前記サンプル側の光の干渉する位置を
    時間の経過とともに変化させるとともに、 前記参照側経路中または前記サンプル側経路中の少なく
    とも一方に光の中心角振動数をシフトさせる光学要素を
    配置して参照側とサンプル側の光が干渉したときにビー
    ト信号を発生させて光ヘテロダイン検出をおこなうよう
    にしたことを特徴とする断層構造観察装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009540321A (ja) * 2006-06-14 2009-11-19 ユニヴァーシティ オブ ハダーズフィールド 表面特性測定装置
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