JP2002156268A - 液体消費状態検出器 - Google Patents

液体消費状態検出器

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JP2002156268A JP2000351795A JP2000351795A JP2002156268A JP 2002156268 A JP2002156268 A JP 2002156268A JP 2000351795 A JP2000351795 A JP 2000351795A JP 2000351795 A JP2000351795 A JP 2000351795A JP 2002156268 A JP2002156268 A JP 2002156268A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の圧電素子が設けられたインクカートリ
ッジ等において、検出制御回路が効率良く構成された液
体消費状態検出器を提供すること。 【解決手段】 本発明による液体消費状態検出器は、液
体を収容する収容空間に少なくとも一部が露出すると共
に当該収容空間に対して振動可能な振動部と、駆動信号
に基づいて振動部を振動させることが可能であると共に
振動部の振動によって逆起電力信号を発生させる圧電素
子と、を備える。液体消費状態検出部1200、121
0が、圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費
状態を検出する。振動部及び圧電素子は、複数が配置さ
れており、各振動部は、互いに異なる固有振動数を有し
ている。複数の圧電素子は、直列に接続されている。液
体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に設
けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響インピーダン
スの変化を検出することで、とりわけ、共振周波数の変
化を検出することで、インク等の液体の消費状態を検知
することができる液体消費状態検出器に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置においては、圧
力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧されたインク
をインク滴として吐出するノズル開口と、を有するイン
クジェット記録ヘッドが、キャリッジに搭載されてい
る。
【0003】インクジェット記録装置では、インクタン
ク内のインクが流路を介して記録ヘッドに供給され続け
ることにより、印刷を継続可能に構成されている。イン
クタンクは、例えばインクが消費された時点でユーザが
簡単に交換できる、着脱可能なカートリッジとして構成
されている。
【0004】従来、インクカートリッジのインク消費の
管理方法としては、記録ヘッドでのインク滴の吐出数や
メンテナンスにより吸引されたインク量をソフトウエア
により積算してインク消費を計算により管理する方法
や、インクカートリッジに液面検出用の電極を取付ける
ことにより実際にインクが所定量消費された時点を管理
する方法などがある。
【0005】しかしながら、ソフトウェアによりインク
滴の吐出数やインク量を積算してインク消費を計算上管
理する方法には、次のような問題がある。ヘッドの中に
は吐出インク滴に重量バラツキを有するものがある。画
質には影響を与えないが、累積した場合を考慮して、マ
ージンを持たせてインクカートリッジに充填してある。
従って、個体によっては、マージン分だけインクが余る
という問題が生ずる。
【0006】一方、電極によりインクが消費された時点
を管理する方法は、インクの実量を検出できる。このた
め、インク残量を高い信頼性で管理できる。しかしなが
ら、インクの液面の検出をインクの導電性に頼るので、
検出可能なインクの種類が限定されたり、電極のシール
構造が複雑化し得る。また、電極の材料としては、通常
は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属が使用されるの
で、インクカートリッジの製造コストがかさむ。さら
に、2本の電極を装着する必要があるため、製造工程が
多くなり、結果として製造コストがかさんでしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特願2000−147
052号は、上記の課題を解決すべく、液体残量を正確
に検出でき、かつ複雑なシール構造を不要とした、液体
容器に装着される圧電装置及びモジュール体を開示して
いる。また、特願2000−146966号は、そのよ
うな圧電装置及びモジュール体に利用され得る検出制御
回路を開示している。
【0008】本件発明者は、複数の圧電素子が設けられ
たインクカートリッジ等において、当該複数の圧電素子
の各々に対してそれぞれに検出制御回路を構成すること
は、設置スペースの点でもコストの点でも問題であるこ
とを知見した。
【0009】本発明は、このような点を考慮してなされ
たものであり、複数の圧電素子が設けられたインクカー
トリッジ等において、検出制御回路が効率良く構成され
た液体消費状態検出器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体を収容す
る収容空間に少なくとも一部が露出すると共に、当該収
容空間に対して振動可能な振動部と、駆動信号に基づい
て振動部を振動させることが可能であると共に、振動部
の振動によって逆起電力信号を発生させる圧電素子と、
圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を
検出する液体消費状態検出部と、を備え、振動部及び圧
電素子は、複数が配置されており、各振動部は、互いに
異なる固有振動数を有しており、複数の圧電素子は、直
列に接続されており、液体消費状態検出部は、複数の圧
電素子に対して共通に設けられていることを特徴とする
液体消費状態検出器である。
【0011】あるいは、本発明は、液体を収容する収容
空間に少なくとも一部が露出すると共に、当該収容空間
に対して振動可能な振動部と、駆動信号に基づいて振動
部を振動させることが可能であると共に、振動部の振動
によって逆起電力信号を発生させる圧電素子と、圧電素
子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を検出す
る液体消費状態検出部と、を備え、収容空間は、複数が
配置されており、複数の収容空間の各々に、振動部及び
圧電素子が設けられており、各振動部は、互いに異なる
固有振動数を有しており、複数の圧電素子は、直列に接
続されており、液体消費状態検出部は、複数の圧電素子
に対して共通に設けられていることを特徴とする液体消
費状態検出器である。
【0012】本発明によれば、液体消費状態検出器が複
数の圧電素子に対して共通に設けられているため、設置
スペースの点でもコストの点でも、液体消費状態検出器
の構成が効率化され得る。特に、複数の圧電素子が直列
に接続されているため、回路構成が極めて簡単化され得
る。直列に接続された圧電素子からの信号が、どの圧電
素子において発生した信号であるかは、各振動部の固有
振動数が異なることによって特定可能である。
【0013】好ましくは、液体消費状態検出部は、各振
動部の固有振動数にそれぞれ対応した複数のバンドパス
フィルタ回路と、バンドパスフィルタ回路を通過した信
号に基づいて液体消費状態を検出する検出本体部と、を
有している。この場合、バンドパスフィルタ回路によっ
て特定の周波数帯以外のノイズが除去され得るので、液
体消費状態の検出精度が向上され得る。
【0014】より具体的には、複数のバンドパスフィル
タ回路は例えば並列に接続され、複数のバンドパスフィ
ルタ回路の各々に導通用スイッチが接続され得る。この
場合、所望のバンドパスフィルタ回路を選択的に利用す
ることが容易である。さらに、導通用スイッチは、いず
れか1つの導通用スイッチが導通状態の時に他の導通用
スイッチが非道通状態であるよう制御されることが好ま
しい。この場合、選択された単一の圧電素子からの信号
のみを、容易に抽出することができる。導通用スイッチ
は、例えば、半導体スイッチによって構成され得る。こ
の場合、機械式スイッチに比べて安価かつ小型であり、
低電流で、信頼性も高い。
【0015】液体消費状態検出部は、例えば、逆起電力
信号の周波数を測定するようになっている。逆起電力信
号の周波数は、収容空間内の物質の共振周波数に対応す
るため、これによって液体消費状態を簡易かつ正確に検
出することができる。
【0016】具体的には、液体消費状態検出部は、逆起
電力信号の所定時間の振動回数を計測するカウンタを有
しており、当該カウンタにより計測された数値に基づい
て、逆起電力信号の周波数を測定するようになってい
る。
【0017】あるいは、液体消費状態検出部は、逆起電
力信号が所定回数だけ振動する間の時間を計測するため
のクロックカウンタを有しており、当該クロックカウン
タにより計測された時間に基づいて、逆起電力信号の周
波数を測定するようになっている。
【0018】また、好ましくは、振動部の液体収容空間
に対して露出する部分は、液体収容空間側から見て対称
な形状となっている。そして、圧電素子は、好ましく
は、振動部の液体収容空間に対して露出する部分の略中
心の位置で、当該振動部の液体収容空間側とは反対側に
固定されている。
【0019】特に好ましくは、振動部の液体収容空間に
対して露出する部分は、液体容器内面側から見て円形と
なっている。
【0020】また、好ましくは、圧電素子の振動方向
は、振動部の液体収容空間に対して露出する部分に対し
て略垂直となっている。
【0021】なお、以上のような特徴のいずれかを有す
る液体消費状態検出器と、液体を収容するための収容空
間を区画する壁部と、を備えた液体容器(例えばインク
カートリッジ)も、本件の保護対象である。
【0022】この場合、液体容器は、液体消費状態検出
器によって検出された液体消費状態を記憶する記憶部を
更に備えることが好ましい。
【0023】さらに、以上のような特徴を有する液体容
器と、液体容器に接続され液体容器内に収容されている
液体を消費する液体消費本体部と、を備えた液体消費装
置(例えばインクジェット記録装置)も、本件の保護対
象である。
【0024】あるいは、液体を収容する収容空間に少な
くとも一部が露出すると共に、当該収容空間に対して振
動可能な振動部と、駆動信号に基づいて振動部を振動さ
せることが可能であると共に、振動部の振動によって逆
起電力信号を発生させる圧電素子と、液体を収容するた
めの収容空間を区画する壁部と、を各々有する複数の液
体容器と、各圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液
体消費状態を検出する液体消費状態検出部と、各液体容
器に接続され、液体容器内に収容されている液体を消費
する液体消費本体部と、を備え、各振動部は、互いに異
なる固有振動数を有しており、複数の圧電素子は、直列
に接続されており、液体消費状態検出部は、複数の圧電
素子に対して共通に設けられていることを特徴とする液
体消費装置も、本件の保護対象である。
【0025】あるいは、液体を収容する収容空間に少な
くとも一部が露出すると共に、当該収容空間に対して振
動可能な振動部と、駆動信号に基づいて振動部を振動さ
せることが可能であると共に、振動部の振動によって逆
起電力信号を発生させる圧電素子と、液体を収容するた
めの収容空間を区画する壁部と、を有する液体容器と、
圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を
検出する液体消費状態検出部と、液体容器に接続され、
液体容器内に収容されている液体を消費する液体消費本
体部と、を備え、収容空間は、複数が配置されており、
複数の収容空間の各々に、振動部及び圧電素子が設けら
れており、各振動部は、互いに異なる固有振動数を有し
ており、複数の圧電素子は、直列に接続されており、液
体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に設
けられていることを特徴とする液体消費装置も、本件の
保護対象である。
【0026】これらの場合、液体消費装置は、液体消費
状態検出部によって検出された液体容器の液体消費状態
に基づいて、液体消費本体部における液体の消費動作を
制御する制御回路部を更に備えることが好ましい。
【0027】あるいは、液体消費装置は、液体消費状態
検出器によって検出された液体消費状態を記憶する記憶
部と、記憶部によって記憶された液体容器の液体消費状
態に基づいて、液体消費本体部における液体の消費動作
を制御する制御回路部と、を更に備えることが好まし
い。
【0028】さらに、以上のような特徴のいずれかを有
する液体消費状態検出器を制御する制御装置であって、
直列に接続された圧電素子に駆動信号を与え、液体消費
状態検出部に液体消費状態を検出させることを特徴とす
る制御装置も、本件の保護対象である。
【0029】前記の制御装置あるいは制御装置の各要素
手段は、コンピュータシステムによって実現され得る。
【0030】また、コンピュータシステムに各装置また
は各手段を実現させるためのプログラム及び当該プログ
ラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、
本件の保護対象である。
【0031】ここで、記録媒体とは、フロッピー(登録
商標)ディスク等の単体として認識できるものの他、各
種信号を伝搬させるネットワークをも含む。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を通じて
本発明を詳細に説明する。以下の実施形態はクレームに
かかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で
説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手
段に必須であるとは限らない。
【0033】本発明の基本的概念は、振動現象を利用す
ることで、液体容器内の液体の状態(液体容器内の液体
の有無、液体の量、液体の水位、液体の種類、液体の組
成を含む)を検出することである。
【0034】振動現象を利用した液体容器内の液体の状
態の具体的な検出方法としてはいくつかの方法が考えら
れる。例えば、弾性波発生手段により液体容器の内部に
対して弾性波を発生し、液面あるいは対向する壁によっ
て反射する反射波を受波することで、液体容器内の媒体
およびその状態の変化を検出する方法がある。また、振
動する物体の振動特性から音響インピーダンスの変化を
検知する方法もある。
【0035】音響インピーダンスの変化を利用する方法
としては、圧電素子を有する圧電装置またはアクチュエ
ータの振動部を振動させ、その後、振動部に残留する残
留振動によって生ずる逆起電力を測定することによっ
て、共振周波数または逆起電力波形の振幅を検出するこ
とで音響インピーダンスの変化を検知する方法がある。
あるいは、測定機、例えば伝送回路等のインピーダンス
アナライザによって、液体のインピーダンス特性または
アドミッタンス特性を測定し、電流値や電圧値の変化、
または、振動を液体に与えたときの電流値や電圧値の周
波数による変化を測定する方法がある。
【0036】以下、圧電装置またはアクチュエータの動
作原理の詳細について説明する。図1および図2は、圧
電装置の一実施形態であるアクチュエータ106の詳細
および等価回路を示す。
【0037】このアクチュエータ106は、少なくとも
音響インピーダンスの変化を検知して、液体容器内の液
体の消費状態を検出する方法に用いられる。特には、残
留振動により共振周波数を検出することで音響インピー
ダンスの変化を検知して、液体容器内の液体の消費状態
を検出する方法に用いられる。
【0038】図1(A)は、アクチュエータ106の拡
大平面図である。図1(B)は、アクチュエータ106
のB−B断面を示す。図1(C)は、アクチュエータ1
06のC−C断面を示す。さらに図2(A)および図2
(B)は、アクチュエータ106の等価回路を示す。ま
た、図2(C)および図2(D)は、それぞれインクカー
トリッジ内にインクが満たされているときのアクチュエ
ータ106を含む周辺およびその等価回路を示し、図2
(E)および図2(F)は、それぞれインクカートリッジ
内にインクが無いときのアクチュエータ106を含む周
辺およびその等価回路を示す。
【0039】アクチュエータ106は、ほぼ中央に円形
状の開口161を有する基板178と、開口161を被
覆するように基板178の一方の面(以下、表面とい
う)に配置される振動板176と、振動板176の表面
の側に配置される圧電層160と、圧電層160を両方
からはさみこむ上部電極164および下部電極166
と、上部電極164と電気的に結合する上部電極端子1
68と、下部電極166と電気的に結合する下部電極端
子170と、上部電極164および上部電極端子168
の間に配設され両者を電気的に結合する補助電極172
と、を有する。
【0040】圧電層160、上部電極164および下部
電極166は、それぞれの主要部としての円形部分を有
する。そして、圧電層160、上部電極164および下
部電極166のそれぞれの円形部分が、圧電素子を形成
している。
【0041】振動板176は、基板178の表面に、開
口161を覆うように形成される。
【0042】キャビティ162は、開口161と面する
振動板176の部分と基板178の開口161とによっ
て形成される。圧電素子とは反対側の基板178の面
(以下、裏面という)は、液体容器内方に面している。
これにより、キャビティ162は液体と接触するように
構成されている。なお、キャビティ162内に液体が入
っても基板178の表面側に液体が漏れないように、振
動板176は基板178に対して液密に取り付けられて
いる。
【0043】下部電極166は、振動板176の表面
(液体容器とは反対側の面)に位置している。下部電極
166の主要部である円形部分の中心と開口161の中
心とは、ほぼ一致するように取り付けられている。な
お、下部電極166の円形部分の面積は、開口161の
面積よりも小さくなるように設定されている。
【0044】一方、下部電極166の表面側には、圧電
層160が、その円形部分の中心と開口161の中心と
がほぼ一致するように配置(形成)されている。この場
合、圧電層160の円形部分の面積は、開口161の面
積よりも小さく、かつ、下部電極166の円形部分の面
積よりも大きくなるように設定されている。
【0045】一方、圧電層160の表面側には、上部電
極164が、その主要部である円形部分の中心と開口1
61の中心とがほぼ一致するように配置(形成)されて
いる。上部電極164の円形部分の面積は、開口161
および圧電層160の円形部分の面積よりも小さく、か
つ、下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなる
よう設定されている。
【0046】したがって、圧電層160の主要部は、上
部電極164の主要部と下部電極166の主要部とによ
って、それぞれ表面側と裏面側とから挟みこまれる構造
となっている。これにより、圧電層160は効果的に変
形駆動され得る。圧電層160、上部電極164および
下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分が、
アクチュエータ106における圧電素子を形成する。
【0047】上述のように、このような圧電素子は振動
板176に接している。また、上部電極164の円形部
分、圧電層160の円形部分、下部電極166の円形部
分および開口161のうちで、面積が最も大きいのは開
口161である。このような構造のために、振動板17
6のうち実際に振動する振動領域は、開口161によっ
て決定される。
【0048】また、上部電極164の円形部分、圧電層
160の円形部分および下部電極166の円形部分の各
面積が、開口161の面積より小さいことにより、振動
板176がより振動しやすくなっている。
【0049】さらに、圧電層160と電気的に接続する
下部電極166の円形部分および上部電極164の円形
部分のうち、下部電極166の円形部分の方が小さい。
従って、下部端子166の円形部分が、圧電層160の
うちで圧電効果を発生する部分を決定する。
【0050】圧電素子を形成する圧電層160、上部電
極164、及び下部電極166の円形部分は、その中心
が、開口部161の中心とほぼ一致している。また、振
動板176の振動部分を決定する円形状の開口部161
の中心は、アクチュエータ106の全体のほぼ中心に位
置している。したがって、アクチュエータ106の振動
部の中心は、アクチュエータの中心とほぼ一致する。
【0051】更に、圧電素子の主部及び振動板176の
振動部分が、円形な形状を有するので、アクチュエータ
106の振動部は、アクチュエータ106の中心に対し
て対称な形状である。
【0052】振動部が、アクチュエータ106の中心に
対して対称な形状であるので、構造の非対称性から生じ
得る不要な振動を励起することがない。このため、共振
周波数の検出精度が向上する。
【0053】更に、振動部が、アクチュエータ106の
中心に対して対称な形状であるので、製造が容易であ
り、圧電素子ごとの形状のばらつきを小さくできる。し
たがって、圧電素子ごとの共振周波数のばらつきが小さ
くなる。
【0054】また、振動部が等方的な形状であるので、
接着の際に固定のばらつきの影響を受けにくく、液体容
器に均等に接着され得る。すなわち、アクチュエータ1
06の液体容器への実装性がよい。
【0055】更に、振動板176の振動部分が円形な形
状を有するので、圧電層160の残留振動の共振モード
において、低次、例えば一次の共振モードが支配的とな
る。すなわち、残留振動の共振モードにおいて、単一の
ピークが出現する。そのため、ピークとノイズとを、明
確に区別することができるので、共振周波数を明確に検
出することができる。
【0056】また、円形形状の振動板176の振動部分
の面積を大きくすることによって、逆起電力波形の振幅
及び液体の有無による共振周波数の振幅の差が大きくな
り、共振周波数の検出の精度を更に向上できる。
【0057】振動板176の振動による変位は、基板1
78の振動による変位よりもはるかに大きい。すなわ
ち、アクチュエータ106は、コンプライアンスの小さ
い(振動によって変位しにくい)基板178と、コンプ
ライアンスの大きい(振動によって変位しやすい)振動
板176との2層構造を有する。この2層構造によっ
て、基板178によって液体容器に確実に固定されなが
ら、かつ、振動板176の変位を大きくできる。このた
め、逆起電力波形の振幅及び液体の有無による共振周波
数の振幅の差が大きくなり、共振周波数の検出の精度が
向上できる。
【0058】更に、振動板176のコンプライアンスが
大きいので、振動の減衰が小さくなり、共振周波数の検
出の精度が向上できる。
【0059】また、アクチュエータ106の振動の節
は、キャビティ162の外周部、すなわち、開口部16
1の縁付近に位置する。
【0060】上部電極端子168は、補助電極172を
介して上部電極164と電気的に接続するように、振動
板176の表面側に形成されている。一方、下部電極端
子170は、下部電極166に電気的に接続するよう
に、振動板176の表面側に形成されている。上部電極
164は、圧電層160の表面側に形成されるため、上
部電極端子168と接続する途中において、圧電層16
0の厚さと下部電極166の厚さとの和に等しい段差を
有する必要がある。上部電極164だけでこの段差を形
成することは難しい。かりに上部電極164だけで段差
を形成することが可能であったとしても、上部電極16
4と上部電極端子168との接続状態が弱くなってしま
い、切断してしまう危険がある。そこで、補助電極17
2を補助部材として用いて、上部電極164と上部電極
端子168とを接続させている。このようにすること
で、圧電層160も上部電極164も補助電極172に
支持された構造となり、所望の機械的強度を得ることが
でき、また、上部電極164と上部電極端子168との
接続を確実にすることが可能となる。
【0061】なお、圧電素子と振動板176のうちの圧
電素子に直面する振動領域とが、アクチュエータ106
において実際に振動する振動部である。また、アクチュ
エータ106に含まれる部材は、互いに焼成されること
によって、一体的に形成されていることが好ましい。ア
クチュエータ106を一体的に形成することによって、
アクチュエータ106の取り扱いが容易になる。
【0062】さらに、基板178の強度を高めることに
よって、振動特性が向上し得る。即ち、基板178の強
度を高めることによって、アクチュエータ106の振動
部のみが振動し、アクチュエータ106のうち振動部以
外の部分が振動しない。また、アクチュエータ106の
振動部以外の部分が振動しないためには、基板178の
強度を高めることに加えて、アクチュエータ106の圧
電素子を薄くかつ小さくすると共に、振動板176を薄
くすることも有効である。
【0063】圧電層160の材料としては、ジルコン酸
チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン
(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、
を用いることが好ましい。基板178の材料としては、
ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。ま
た、振動板176には、基板178と同じ材料を用いる
ことが好ましい。上部電極164、下部電極166、上
部電極端子168および下部電極端子170は、導電性
を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミ
ニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0064】上述したように構成されるアクチュエータ
106は、液体を収容する容器に適用することができ
る。例えば、インクジェット記録装置に用いられるイン
クカートリッジやインクタンク、あるいは、記録ヘッド
を洗浄するための洗浄液を収容した容器、などに装着す
ることができる。
【0065】図1および図2に示されるアクチュエータ
106は、液体容器の所定の場所に、キャビティ162
が液体容器内に収容される液体と接触するように装着さ
れる。液体容器に液体が十分に収容されている場合に
は、キャビティ162内およびその外側は液体によって
満たされている。
【0066】一方、液体容器の液体が消費され、アクチ
ュエータの装着位置以下まで液面が降下すると、キャビ
ティ162内に液体が存在しない状態となる、あるい
は、キャビティ162内にのみ液体が残存されその外側
には気体が存在する状態となる。
【0067】アクチュエータ106は、この状態の変化
に起因する、少なくとも音響インピーダンスの相違を検
出する。それによって、アクチュエータ106は、液体
容器に液体が十分に収容されている状態であるか、ある
いは、ある一定以上の液体が消費された状態であるか、
を検知することができる。さらに、アクチュエータ10
6は、液体容器内の液体の種類も検出することが可能で
ある。
【0068】ここで、アクチュエータによる液面検出の
原理について説明する。媒体の音響インピーダンスの変
化を検出するためには、媒体のインピーダンス特性また
はアドミッタンス特性を測定する。インピーダンス特性
またはアドミッタンス特性を測定する場合には、例えば
伝送回路を利用することができる。伝送回路は、媒体に
一定振幅の周期電圧を印加し、その周波数を変えて媒体
に流れる電流を測定する。あるいは、伝送回路は、媒体
に一定振幅の周期電流を供給し、その周波数を変えて媒
体の電圧を測定する。伝送回路で測定された電流値また
は電圧値の変化が、音響インピーダンスの変化を示す。
また、電流値または電圧値が極大または極小となる周波
数fmの変化も、音響インピーダンスの変化を示す。
【0069】上記の方法とは別に、アクチュエータ10
6は、液体の音響インピーダンスの変化を共振周波数の
変化を用いて検出することができる。共振周波数は、例
えばアクチュエータの振動部が振動した後に振動部に残
留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定すること
によって、検出することができる。この場合、例えば前
記のような圧電素子を利用することができる。
【0070】前記の圧電素子は、アクチュエータの振動
部に残留する残留振動により逆起電力を発生する。逆起
電力の大きさは、アクチュエータの振動部の振幅によっ
て変化する。従って、アクチュエータの振動部の振幅が
大きいほど、検出が容易である。また、アクチュエータ
の振動部における残留振動の周波数によって、逆起電力
の大きさが変化する周期が変わる。すなわち、アクチュ
エータの振動部の周波数は、逆起電力の周波数に対応す
る。ここで、共振周波数は、アクチュエータの振動部と
振動部に接する媒体との共振状態における周波数をい
う。
【0071】共振周波数fsを得るために、振動部と媒
体とが共振状態であるときの逆起電力測定によって得ら
れた波形を、フーリエ変換する。アクチュエータの振動
は、一方向だけの変形ではなく、たわみや伸長等様々な
変形をともなうので、共振周波数fsを含め様々な周波
数を有する。よって、圧電素子(振動部)と媒体とが共
振状態であるときの逆起電力の波形をフーリエ変換し、
最も支配的な周波数成分を特定することで、共振周波数
fsを判断する。
【0072】媒体のアドミッタンスが極大またはインピ
ーダンスが極小であるときの周波数fmは、媒体の誘電
損失または機械的損失などによって、共振周波数fsに
対しわずかに異なる。しかし、実測される周波数fmか
ら共振周波数fsを導出することは手間がかかるため、
一般には、周波数fmを共振周波数fsの代わりに使用
する。ここで、アクチュエータ106の出力を伝送回路
に入力することで、アクチュエータ106は少なくとも
音響インピーダンスを検出することができる。
【0073】なお、媒体のインピーダンス特性またはア
ドミッタンス特性を測定して周波数fmを測定する方法
と、アクチュエータの振動部における残留振動振動によ
って生ずる逆起電力を測定することによって共振周波数
fsを測定する方法と、によって特定される共振周波数
には、差がほとんど無いことが実験によって証明されて
いる。
【0074】アクチュエータ106の振動領域は、振動
板176のうち開口161によって決定されるキャビテ
ィ162を構成する部分である。液体容器内に液体が充
分に収容されている場合には、キャビティ162内に
は、液体が満たされ、振動領域は液体容器内の液体と接
触している。一方で、液体容器内に液体が充分にない場
合には、振動領域は液体容器内のキャビティに残った液
体と接するか、あるいは、液体と接触せず、気体または
真空と接触する。
【0075】本発明のアクチュエータ106には、キャ
ビティ162が設けられている。これにより、アクチュ
エータ106の振動領域に液体容器内の液体が残るよう
に設計することができる。その理由は次の通りである。
【0076】アクチュエータ106の液体容器への取り
付け位置や取り付け角度によっては、液体容器内の液体
の液面がアクチュエータの装着位置よりも下方にあるに
もかかわらず、アクチュエータの振動領域に液体が付着
してしまう場合がある。振動領域における液体の有無だ
けから液体の有無を検出する場合には、このようにアク
チュエータの振動領域に付着する液体が液体の有無の正
確な検出を妨げる。
【0077】たとえば、液面がアクチュエータの装着位
置よりも下方にある状態のとき、キャリッジの往復移動
などにより液体容器が揺動して液体が波うち、振動領域
に液滴が付着してしまうと、アクチュエータは液体容器
内に液体が充分にあるとの誤った判断をしてしまう。
【0078】そこで、アクチュエータ106では、振動
領域に液体が残存している場合であっても液体の有無を
正確に検出するようにキャビティを積極的に設けること
で、液体容器が揺動して液面が波立ったとしても、アク
チュエータの誤動作を防止することができる。このよう
に、キャビティを有するアクチュエータを用いること
で、誤動作を防ぐことができる。
【0079】また、図2(E)に示すように、液体容器
内に液体が無く、アクチュエータ106のキャビティ1
62に液体が残っている場合を、液体の有無の閾値とす
る。すなわち、キャビティ162の周辺に液体が無く、
この閾値よりキャビティ内の液体が少ない場合は、イン
ク無しと判断し、キャビティ162の周辺に液体が有
り、この閾値より液体が多い場合は、インク有りと判断
する。
【0080】例えば、アクチュエータ106を液体容器
の側壁に装着した場合、液体容器内の液体がアクチュエ
ータの装着位置よりも下にある場合をインク無しと判断
し、液体容器内の液体がアクチュエータの装着位置より
上にある場合をインク有りと判断する。
【0081】このように閾値を設定することによって、
キャビティ内のインクが乾燥してインクが無くなったと
きであってもインク無しと判断することができ、キャビ
ティ内のインクが無くなったところにキャリッジの揺れ
などで再度インクがキャビティに付着しても(閾値を越
えないので)インク無しと判断することができる。
【0082】ここで、図1および図2を参照しながら、
逆起電力の測定により得られる媒体とアクチュエータ1
06の振動部との共振周波数から、液体容器内の液体の
状態を検出する動作および原理について説明する。
【0083】アクチュエータ106において、上部電極
端子168および下部電極端子170を介して、それぞ
れ上部電極164および下部電極166に電圧を印加す
る。このため、圧電層160のうち、上部電極164お
よび下部電極166に挟まれた部分に電界が生じる。こ
の電界によって、圧電層160は変形する。圧電層16
0が変形することによって、振動板176のうちの振動
領域がたわみ振動する。圧電層160が変形した後しば
らくは、たわみ振動がアクチュエータ106の振動部に
残留する。
【0084】残留振動は、アクチュエータ106の振動
部と媒体との自由振動である。従って、圧電層160に
印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすること
で、電圧を印加した後の振動部と媒体との共振状態を容
易に得ることができる。残留振動は、アクチュエータ1
06の振動部の振動であり、圧電層160の変形を伴
う。このため、圧電層160は逆起電力を発生する。こ
の逆起電力は、上部電極164、下部電極166、上部
電極端子168および下部電極端子170を介して検出
される。検出された逆起電力によって、共振周波数が特
定できる。この共振周波数に基いて、液体容器内の液体
の状態を検出することができる。
【0085】一般に、共振周波数fsは、 fs=1/(2×π×(M×Cact)1/2) (式1) で表される。ここで、Mは振動部のイナータンスMact
と付加イナータンスM’との和である。Cactは振動部
のコンプライアンスである。
【0086】図1(C)は、本実施例において、キャビ
ティ162にインクが残存していないときのアクチュエ
ータ106の断面図である。図2(A)および図2(B)
は、キャビティにインクが残存していないときのアクチ
ュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価
回路である。
【0087】Mactは、振動部の厚さと振動部の密度と
の積を振動部の面積で除したものであり、詳細には、図
2(A)に示すように、 Mact=Mpzt+Melectrode1+Melectrode2+Mvib (式2) と表される。
【0088】ここで、Mpztは、振動部における圧電層
160の厚さと圧電層160の密度との積を圧電層16
0の面積で除したものである。Melectrode1は、振動部
における上部電極164の厚さと上部電極164の密度
との積を上部電極164の面積で除したものである。M
electrode2は、振動部における下部電極166の厚さと
下部電極166の密度との積を下部電極166の面積で
除したものである。Mvibは、振動部における振動板1
76の厚さと振動板176の密度との積を振動板176
の振動領域の面積で除したものである。
【0089】ただし、Mactを振動部全体としての厚
さ、密度および面積から算出することができるように、
圧電層160、上部電極164、下部電極166および
振動板176の振動領域のそれぞれの面積は、上述のよ
うな大小関係を有するものの、相互の面積の差は微小で
あることが好ましい。
【0090】また、本実施例において、圧電層160、
上部電極164および下部電極166においては、それ
らの主要部である円形部分以外の部分は、主要部に対し
て無視できるほど微小であることが好ましい。従って、
アクチュエータ106において、Mactは、上部電極1
64、下部電極166、圧電層160および振動板17
6のうちの振動領域のそれぞれのイナータンスの和であ
る。また、コンプライアンスCactは、上部電極16
4、下部電極166、圧電層160および振動板176
のうちの振動領域によって形成される部分のコンプライ
アンスである。
【0091】尚、図2(A)、図2(B)、図2(D)、
図2(F)は、アクチュエータ106の振動部およびキ
ャビティ162の等価回路を示すが、これらの等価回路
において、Cactはアクチュエータ106の振動部のコ
ンプライアンスを示す。Cpzt、Celectrode1、Celect
rode2およびCvibは、それぞれ、振動部における圧電層
160、上部電極164、下部電極166および振動板
176のコンプライアンスを示す。Cactは、以下の式
3で表される。 1/Cact=(1/Cpzt)+(1/Celectrode1)+(1/Celectrode2) +(1/Cvib) (式3) 式2および式3より、図2(A)は、図2(B)のように
表すこともできる。
【0092】コンプライアンスCactは、単位面積に圧
力をかけたときの変形によって受容できる媒体の体積を
表す。すなわち、コンプライアンスCactは、変形のし
易さを表す。
【0093】図2(C)は、液体容器に液体が十分に収
容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体
が満たされている場合のアクチュエータ106の断面図
を示す。図2(C)のM’maxは、液体容器に液体が十分
に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に
液体が満たされている場合の付加イナータンス(付加質
量(振動領域の振動に影響を及ぼす質量)を面積の2乗
で除したもの)の最大値を表す。M’maxは、 M’max=(π×ρ/(2×k3))×(2×(2×k×a)3/(3×π))/(π×a2)2 (式4) (aは振動部の半径、ρは媒体の密度、kは波数であ
る。)で表される。
【0094】尚、式4は、アクチュエータ106の振動
領域が半径aの円形である場合に成立する。付加イナー
タンスM’は、振動部の付近にある媒体によって、振動
部の質量が見かけ上増加していることを示す量である。
式4からわかるように、M’maxは、振動部の半径aと
媒体の密度ρとによって、大きく変化する。
【0095】波数k は、 k=2×π×fact/c (式5) (factは、振動部の共振周波数である。c は、媒体中を
伝播する音響の速度である。)で表される。
【0096】図2(D)は、液体容器に液体が十分に収
容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体
が満たされている図2(C)の場合のアクチュエータ1
06の振動部およびキャビティ162の等価回路を示
す。
【0097】図2(E)は、液体容器の液体が消費さ
れ、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無
いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内
には液体が残存している場合のアクチュエータ106の
断面図を示す。
【0098】式4は、液体容器に液体が満たされている
場合に、インクの密度ρなどから決定される最大のイナ
ータンスM’maxを表す式である。一方、液体容器内の
液体が消費され、キャビティ162内に液体が残留しつ
つアクチュエータ106の振動領域の周辺にある液体が
気体または真空に置換された場合等の付加イナータンス
M’は、一般的に、 M’=ρ×t/S (式6) と表せる(より詳しくは、後述の式8参照)。ここで、
tは振動にかかわる媒体の厚さである。Sは、アクチュ
エータ106の振動領域の面積である。振動領域が半径
aの円形の場合は、S=π×a2 である。
【0099】従って、付加イナータンスM’は、液体容
器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振
動領域の周辺に液体が満たされている場合には、式4に
従う。一方で、液体が消費され、キャビティ162内に
液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周
辺にある液体が気体または真空に置換された場合には、
式6に従う。
【0100】ここで、図2(E)のように、液体容器の
液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周
辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビ
ティ162内には液体が残存している場合の付加イナー
タンスM’を、便宜的にM’cavとし、アクチュエータ
106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合の
付加イナータンスM’maxと区別する。
【0101】図2(F)は、液体容器の液体が消費さ
れ、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無
いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内
には液体が残存している図2(E)の場合のアクチュエ
ータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路
を示す。
【0102】ここで、媒体の状態に関係するパラメータ
は、式6において、媒体の密度ρおよび媒体の厚さtで
ある。液体容器内に液体が充分に収容されている場合
は、アクチュエータ106の振動部に液体が接触する。
一方、液体容器内に液体が充分に収容されていない場合
は、キャビティ内部に液体が残存するか、もしくは、ア
クチュエータ106の振動部に気体または真空が接触す
る。アクチュエータ106の周辺の液体が消費され、図
2(C)のM’maxから図2(E)のM’cavへ移行する過
程における付加イナータンスM’varは、液体容器内の
液体の収容状態によって媒体の密度ρや媒体の厚さtが
変化することに伴って変化する。これにより、共振周波
数fsも変化する。従って、共振周波数fsを特定する
ことによって、液体容器内の液体の収容状態(有無)を
検出することができる。
【0103】ここで、図2(E)に示すようにt=dと
した場合、式6を用いてM’cavを表すと、式6のtに
キャビティの深さdを代入し、 M’cav=ρ×d/S (式7) となる。
【0104】また、媒体が互いに種類の異なる液体であ
れば、組成の違いによって密度ρが異なるため、付加イ
ナータンスM´及び共振周波数fsが異なる。従って、
共振周波数fsを特定することで、液体の種類を検出で
きる。
【0105】図3(A)は、インクタンク内のインクの
量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示
すグラフである。ここでは液体の1例としてインクにつ
いて説明する。縦軸は、共振周波数fsを示し、横軸
は、インク量を示す。インク組成が一定であるとき、イ
ンク残量の低下に伴い、共振周波数fsは、上昇する。
【0106】インク容器にインクが十分に収容され、ア
クチュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たさ
れている場合には、その最大付加イナータンスM’max
は、式4に表わされる値となる。一方で、インクが消費
され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュ
エータ106の振動領域の周辺にインクが満たされてい
ないときには、付加イナータンスM’var は、媒体の厚
さtに基づいて式6によって算出される。式6中のt
は、振動にかかわる媒体の厚さであるから、液体が残留
するアクチュエータ106のキャビティ162のd(図
1(B)参照)を小さく、即ち、基板178を十分に薄
くすることによって、インクが徐々に消費されていく過
程を検出することもできる(図2(C)参照)。ここ
で、tinkは振動にかかわるインクの厚さとし、tink−
maxはM’maxにおけるtinkとする。
【0107】例えば、アクチュエータ106は、インク
カートリッジの底面にインクの液面に対してほぼ水平に
配置される。この場合、インクが消費され、インクの液
面がアクチュエータ106からtink-maxの高さ以下に
なると、式6によりM’varが徐々に変化し、式1によ
り共振周波数fsが徐々に変化する。従って、インクの
液面がtの範囲内にある限り、アクチュエータ106は
インクの消費状態を徐々に検出することができる。
【0108】あるいは、インクカートリッジの側壁に、
アクチュエータ106はインクの液面に対してほぼ垂直
に配備され得る。この場合、インクが消費され、インク
の液面がアクチュエータ106の振動領域に達すると、
水位の低下に伴い付加イナータンスM’が減少する。こ
れにより、式1により共振周波数fsが徐々に増加す
る。従って、インクの液面がキャビティ162の直径2
a(図2(C)参照)の範囲内にある限り、アクチュエ
ータ106はインクの消費状態を徐々に検出することが
できる。
【0109】図3(A)の曲線Xは、底面に配置されたア
クチュエータ106のキャビティ162を十分に浅くし
た場合や、側壁に配置されたアクチュエータ106の振
動領域を十分に大きくまたは長くした場合の、インクタ
ンク内に収容されたインクの量とインクおよび振動部の
共振周波数fsとの関係を表わしている。インクタンク
内のインクの量が減少するとともに、インクおよび振動
部の共振周波数fsが徐々に変化していく様子が理解で
きる。
【0110】より詳細には、インクが徐々に消費されて
いく過程を検出することができる場合とは、アクチュエ
ータ106の振動領域の周辺において、互いに密度が異
なる液体と気体とがともに存在しかつ振動にかかわる場
合である。インクが徐々に消費されていくに従って、ア
クチュエータ106の振動領域周辺において振動にかか
わる媒体は、液体が減少する一方で気体が増加する。
【0111】例えば、アクチュエータ106をインクの
液面に対して水平に配備した場合であって、tink がt
ink−maxより小さいときには、アクチュエータ106の
振動にかかわる媒体はインクと気体との両方を含む。し
たがって、アクチュエータ106の振動領域の面積Sを
用いて、式4のM’max以下になった状態をインクと気
体の付加質量で表すと、 M’=M’air+M’ink= ρair×tair/S+ρink×tink/S (式8) となる。ここで、M’airは空気のイナータンスであ
り、M’inkはインクのイナータンスである。ρairは空
気の密度であり、ρinkはインクの密度である。tairは
振動にかかわる空気の厚さであり、tinkは振動にかか
わるインクの厚さである。
【0112】アクチュエータ106の振動領域周辺にお
ける振動にかかわる媒体のうち、液体が減少して気体が
増加するに従い、アクチュエータ106がインクの液面
に対しほぼ水平に配備されている場合には、tairが増
加し、tinkが減少する。それによって、M’varが徐々
に減少し、共振周波数が徐々に増加する。よって、イン
クタンク内に残存しているインクの量またはインクの消
費量を検出することができる。尚、式7において液体の
密度のみの式となっているのは、液体の密度に対して、
空気の密度が無視できるほど小さい場合を想定している
からである。
【0113】アクチュエータ106がインクの液面に対
しほぼ垂直に配備されている場合には、アクチュエータ
106の振動領域のうち、アクチュエータ106の振動
にかかわる媒体がインクのみの領域と、アクチュエータ
106の振動にかかわる媒体が気体のみの領域との並列
の等価回路(図示せず)と考えられる。アクチュエータ
106の振動にかかわる媒体がインクのみの領域の面積
をSinkとし、アクチュエータ106の振動にかかわる
媒体が気体のみの領域の面積をSairとすると、 1/M’=1/M’air+1/M’ink=Sair/(ρair×tair)+Sink/(ρink×tink ) (式9) となる。
【0114】尚、式9は、アクチュエータ106のキャ
ビティにインクが保持されない場合に適用される。アク
チュエータ106のキャビティにインクが保持される場
合の付加イナータンスについては、式9によるM’と式
7のM’cav との和によって計算することができる。
【0115】アクチュエータ106の振動は、tink−m
axの深さからインクの残留する深さ(d)まで変化する
ので、インクの残留する深さがtink−maxよりわずかに
小さい程度でアクチュエータ106が底面に配置されて
いる場合には、インクが徐々に減少する過程を検出する
ことは出来ない。この場合、tink−maxから残留する深
さdまでのわずかなインク量変化におけるアクチュエー
タの振動変化から、インク量が変化したことを検出す
る。また、側面に配置され、開口部(キャビティ)の径
が小さい場合は、開口部を通過する間のアクチュエータ
の振動変化は微量なので、通過過程のインク量を検出す
ることは難しく、インク液面が開口部より上か下かを検
出する。
【0116】例えば、図3(A)の曲線Yは、小さい円形
の振動領域の場合におけるインクタンク内のインクの量
とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示
す。インクタンク内のインクの液面がアクチュエータの
装着位置を通過する前後におけるインク量の差Qの間
で、インクおよび振動部の共振周波数fsが激しく変化
している様子が示される。このことから、インクタンク
内にインクが所定量残存しているか否かを2値的に検出
することができる。
【0117】アクチュエータ106を用いて液体の有無
を検出する方法は、振動板176が液体と直接接触する
ことでインクの有無を検出するので、インクの消費量を
ソフトウェアによって計算する方法に比べ、検出精度が
高い。更に、電極を用いて導電性によりインクの有無を
検出する方法は、液体容器への電極の取付位置及びイン
クの種類によって影響され得るが、アクチュエータ10
6を用いて液体の有無を検出する方法は、液体容器への
アクチュエータ106の取付位置及びインクの種類によ
って影響され難い。
【0118】更に、単一のアクチュエータ106を用い
て発振と液体の有無の検出との双方を実施することがで
きるので、発振と液体の有無の検出とを異なったセンサ
を用いて実施する方法と比較して、液体容器に取付ける
センサの数を減少することができる。したがって、液体
容器を安価に製造できる。なお、圧電層160の振動周
波数を非可聴領域に設定することで、アクチュエータ1
06の動作中に発生する音を静かにすることが好まし
い。
【0119】図3(B)は、インクの密度とインクおよ
び振動部の共振周波数fsとの関係の一例を示す。ここ
では、液体の例としてインクについて説明しており、
「インク満」と「インク空」とは相対的な2状態を意味
し、いわゆるインクフル状態とインクエンド状態とを意
味するものではない。図3(B)に示すように、インク
密度が高い場合、付加イナータンスが大きくなるので共
振周波数fsが低下する。すなわち、インクの種類によ
って共振周波数fsが異なる。したがって、共振周波数
fsを測定することによって、インクを再充填する際
に、密度の異なったインクが混入されていないか確認す
ることができる。つまり、互いに種類の異なるインクを
収容するインクタンクを識別できる。
【0120】続いて、液体容器内の液体が空の状態であ
ってもアクチュエータ106のキャビティ162内に液
体が残存するようにキャビティのサイズと形状を設定し
た時において、液体の状態を正確に検出できる条件を詳
述する。アクチュエータ106は、キャビティ162内
に液体が満たされている場合に液体の状態を検出できれ
ば、キャビティ162内に液体が満たされていない場合
であっても液体の状態を検出できる。
【0121】共振周波数fsは、イナータンスMの関数
である。イナータンスMは、振動部のイナータンスMac
tと付加イナータンスM’との和である。ここで、付加
イナータンスM’が液体の状態と関係する。付加イナー
タンスM’は、振動部の付近にある媒体によって振動部
の質量が見かけ上増加していることを示す量である。即
ち、振動部の振動によって見かけ上媒体を吸収する(振
動に関わるイナータンスが増加する)ことによる振動部
の質量の増加分をいう。
【0122】従って、M’cav が式4におけるM’max
よりも大きい場合には、見かけ上吸収する媒体は全てキ
ャビティ162内に残存する液体である。よって、液体
容器内に液体が満たされている状態と同じである。この
場合、振動に関わる媒体はM’max よりも小さくならな
いので、インクが消費されても変化を検出することが出
来ない。
【0123】一方、M’cavが式4におけるM’ maxよ
りも小さい場合には、見かけ上吸収する媒体はキャビテ
ィ162内に残存する液体および液体容器内の気体また
は真空である。このときには液体容器内に液体が満たさ
れている状態とは異なりM’が変化するので、共振周波
数fsが変化する。従って、アクチュエータ106は、
液体容器内の液体の状態を検出できる。
【0124】即ち、液体容器内の液体が空の状態で、ア
クチュエータ106のキャビティ162内に液体が残存
する場合に、アクチュエータ106が液体の状態を正確
に検出できる条件は、M’cavがM’maxよりも小さいこ
とである。尚、アクチュエータ106が液体の状態を正
確に検出できる条件M’max>M’cavは、キャビティ1
62の形状にかかわらない。
【0125】ここで、M’cav は、キャビティ162の
容量とほぼ等しい容量の液体の質量イナータンスであ
る。従って、M’max >M’cav の不等式から、アクチ
ュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件
は、キャビティ162の容量の条件として表すことがで
きる。例えば、円形状のキャビティ162の開口161
の半径をaとし、およびキャビティ162の深さをdと
すると、 M’max>ρ×d/πa (式10) である。式10を展開すると a/d>3×π/8 (式11) という条件が求められる。従って、式11を満たす開口
161の半径aおよびキャビティ162の深さdである
キャビティ162を有するアクチュエータ106であれ
ば、液体容器内の液体が空の状態であって、かつ、キャ
ビティ162内に液体が残存する場合であっても、誤作
動することなく液体の状態を検出できる。
【0126】尚、式10、式11は、キャビティ162
の形状が円形の場合に限り成立する。キャビティ162
の形状が円形でない場合、対応するM’maxの式を用
い、式10中のπaをその面積と置き換えて計算す
れば、キャビティの幅および長さ等のディメンジョンと
深さの関係が導き出せる。
【0127】なお、付加イナータンスM’は音響インピ
ーダンス特性にも影響するので、残留振動によりアクチ
ュエータ106に発生する逆起電力を測定する方法は、
少なくとも音響インピーダンスの変化を検出していると
もいえる。
【0128】また、本実施例によれば、アクチュエータ
106が振動を発生して、その後の残留振動によりアク
チュエータ106に発生する逆起電力を測定している。
しかし、アクチュエータ106の振動部が駆動電圧によ
る自らの振動によって液体に振動を与えることは必ずし
も必要ではない。即ち、振動部が自ら発振しなくても、
それと接触しているある範囲の液体と共に振動すれば、
圧電層160はたわみ変形する。このたわみ変形が逆起
電力電圧を発生させ、上部電極164および下部電極1
66にその逆起電力電圧を伝達する。この現象を利用す
ることで媒体の状態を検出してもよい。例えば、インク
ジェット記録装置において、印字時における印字ヘッド
の走査によるキャリッジの往復運動に伴って発生するア
クチュエータの振動部の周囲の振動を利用して、インク
タンクまたはその内部のインクの状態を検出してもよ
い。
【0129】図4(A) 、図4(B)及び図4(C)
は、アクチュエータ106を振動させた後の、アクチュ
エータ106の残留振動の波形と残留振動の測定方法と
を示す。インクカートリッジ内のアクチュエータ106
の装着位置レベルにおけるインク水位の上下は、アクチ
ュエータ106が発振した後の残留振動の周波数変化
や、振幅の変化によって検出することができる。図4
(A) 乃至図4(C)において、縦軸はアクチュエータ
106の残留振動によって発生した逆起電力の電圧を示
し、横軸は時間を示す。アクチュエータ106の残留振
動によって、図4(A) 乃至図4(C)に示すように電
圧のアナログ信号の波形が発生する。次に、アナログ信
号を、信号の周波数に対応するデジタル数値に変換す
る。図4(A)乃至図4(C)に示した例においては、
アナログ信号の4パルス目から8パルス目までの4個の
パルスが生じる時間を計測している。
【0130】より詳細には、アクチュエータ106が発
振した後、予め設定された所定の基準電圧を低電圧側か
ら高電圧側へ横切る回数をカウントする。そして、4カ
ウントから8カウントまでの間をHighとしたデジタ
ル信号を生成し、所定のクロックパルスによって4カウ
ントから8カウントまでの時間を計測する。
【0131】図4(A)は、アクチュエータ106の装
着位置レベルよりも上位にインク液面があるときの波形
である。一方、図4(B)はアクチュエータ106の装
着位置レベルにおいてインクが無いときの波形である。
図4(A)と図4(B)とを比較すると、図4(A)の
方が図4(B)よりも4カウントから8カウントまでの
時間が長いことがわかる。換言すると、インクの有無に
よって4カウントから8カウントまでの時間が異なる。
この時間の相違を利用して、インクの消費状態を検出す
ることができる。
【0132】アナログ波形の4カウント目から数えるの
は、アクチュエータ106の振動が安定してから計測を
はじめるためである。4カウント目からとしたのは単な
る一例であって、任意のカウントから数えてもよい。こ
こでは、4カウント目から8カウント目までの信号を検
出し、所定のクロックパルスによって4カウント目から
8カウント目までの時間を測定している。この時間に基
いて、共振周波数を求めることができる。クロックパル
スは、インクカートリッジに取り付けられる半導体記憶
装置等を制御するためのクロックと等しいクロックのパ
ルスであることが好ましい。また、8カウント目までの
時間を測定する必要は無く、任意のカウントまで数えて
もよい。図4においては、4カウント目から8カウント
目までの時間を測定しているが、周波数を検出する回路
構成にしたがって、異なったカウント間隔内の時間を検
出してもよい。
【0133】例えば、インクの品質が安定していてピー
クの振幅の変動が小さい場合には、検出の速度を上げる
ために4カウント目から6カウント目までの時間を検出
することにより共振周波数を求めてもよい。また、イン
クの品質が不安定でパルスの振幅の変動が大きい場合に
は、残留振動を正確に検出するために4カウント目から
12カウント目までの時間を検出してもよい。
【0134】また、他の実施例として、所定期間内にお
ける逆起電力の電圧波形の波数を数えてもよい(図示せ
ず)。この方法によっても共振周波数を求めることがで
きる。より詳細には、アクチュエータ106が発振した
後、所定期間だけHighであるデジタル信号を生成
し、当該所定期間において所定の基準電圧を低電圧側か
ら高電圧側へ横切る回数をカウントする。そのカウント
数を計測することによってインクの有無を検出できる。
【0135】さらに、図4(A)および図4(B)を比較し
て分かるように、インクがインクカートリッジ内に満た
されている場合とインクがインクカートリッジ内に無い
場合とでは、逆起電力波形の振幅が異なる。従って、共
振周波数を求めることなく、逆起電力波形の振幅を測定
することによって、インクカートリッジ内のインクの消
費状態を検出してもよい。
【0136】より詳細には、例えば、図4(A)の逆起電
力波形の頂点と図4(B) の逆起電力波形の頂点との間
に基準電圧を設定する。アクチュエータ106が発振し
た後、所定期間だけHighであるデジタル信号を生成
し、逆起電力波形が基準電圧を横切った場合には、イン
クが無いと判断する。逆起電力波形が基準電圧を横切ら
ない場合には、インクが有ると判断する。
【0137】図4(C)は、所定のクロックパルスを用
いて図4(A)に示したパルス波形の4カウント目から
8カウント目までの時間を測定した例を示す。この図に
おいて、4カウント目から8カウント目までの間にクロ
ックパルスが5カウント分出現している(実際には、1
00カウントから200カウント分のクロックパルスが
出現するが、ここでは説明を簡単にするために少ないク
ロックパルスで説明する)。クロックパルスは、一定の
周期を有するパルスであるので、クロックパルスの個数
をカウントすることにより時間を測定することができ
る。4カウント目から8カウント目までの間の時間を測
定することによって、共振周波数を求めることができ
る。クロックパルスは、逆起電力波形の周期より短い周
期を有することが好ましく、例えば逆起電力の周波数が
400kHz程度ならば16MHz等の周波数が高いク
ロックパルスであることが好ましい。
【0138】図5は、アクチュエータ106が音響イン
ピーダンスの変化を検知することで液体容器1内の液体
の消費状態を検出し、検出した結果に基づいてインクジ
ェット記録装置を制御するための記録装置制御部200
0の構成を示す。
【0139】記録装置制御部2000は、液体容器1の
インク収容部(収容空間)ISに装着されると共に直列
に接続された複数のアクチュエータ106A、106B
及び106C(各アクチュエータの固有振動数は異な
る:図14参照)に対して各アクチュエータ106A〜
106Cを同時に駆動する電圧を与え、その結果アクチ
ュエータ106A〜106Cが検知する音響インピーダ
ンスの変化から液体の消費状態を検出する液体消費状態
検出部1200と、液体消費状態検出部1200が出力
する液体有無の検出結果に基づいて記録装置を制御する
制御回路部1500と、を備える。
【0140】図5に示すように、3つのアクチュエータ
106A,106B,及び106Cは、液体消費による
液面低下方向に沿って異なる位置に設置されている。各
アクチュエータ106A〜106Cは直列に接続されて
おり、互いに異なる固有振動数を有している。
【0141】制御回路部1500は、液体消費状態検出
部1200が出力する液体有無の検出結果に基づいて記
録装置動作制御部1402を制御する制御部1400
と、制御部1400の指示に基づいて記録装置の動作を
制御する記録装置動作制御部1402とを更に備える。
制御回路部1500は、記録装置動作制御部1402に
よりその動作が制御される提示処理部1404、印刷動
作制御部1406、インク補充処理部1408、カート
リッジ交換処理部1410、印刷データ記憶処理部14
12、及び印字データ記憶部1414を更に備える。
【0142】記録装置制御部2000は、インクジェッ
ト記録装置の内部に設けられてもよいが、記録装置制御
部2000の一部の機能が外部に設けられてもよい。例
えば、制御回路部1500の機能が、記録装置に接続さ
れたコンピュータ等の外部装置に与えられてもよい。さ
らに、記録装置制御部2000の一部の機能が、プログ
ラムとして記録媒体に格納され供給されてもよい。記録
装置制御部2000の一部の機能を記録媒体に格納され
たプログラムとして記録装置に接続されたコンピュータ
に供給することにより、記録装置制御部2000の一部
の機能が後日改良された場合、容易に最新の機能を実行
するプログラムをコンピュータの記憶媒体に格納し、常
に最新の機能を用いて記録装置の動作を制御することが
できる。
【0143】また、記録装置制御部2000の一部の機
能は、プログラムとして、サーバ等の情報処理装置から
電気通信回線を介して、記録装置に接続されるコンピュ
ータ等の端末に送信されてもよい。この場合、最新の機
能を、容易に電気通信回線を介してサーバから入手して
コンピュータの記憶装置に格納することができ、これに
より記録装置は常に最新の機能を実行することができ
る。
【0144】液体消費状態検出部1200は、アクチュ
エータ106A〜106Cを同時に駆動し、音響インピ
ーダンスの変化から液体容器1内の液体の有無を検出す
る。例えば、液体消費状態検出部1200は、アクチュ
エータ106A〜106Cが残留振動により発生した逆
起電力例えば電圧値を測定する測定回路部800と、測
定回路部800が測定した逆起電力に基いて液体容器1
内の液体の有無を表す信号を出力する検出回路部110
0と、を有する。
【0145】測定回路部800は、アクチュエータ10
6A〜106Cを同時に駆動する駆動電圧を生成する駆
動電圧生成部850を有する。駆動電圧生成部850に
よって生成される駆動電圧によって、液体容器1に装着
されたアクチュエータ106A〜106Cが駆動され発
振される。各アクチュエータ106A〜106Cは駆動
発振後も振動し続けるが、アクチュエータ106A〜1
06Cが互いに異なる固有振動数を有するため、当該残
留振動の周波数はアクチュエータ106A〜106C間
で互いに異なっている。
【0146】この残留振動によって、各アクチュエータ
自身が、それぞれの周波数帯で逆起電力を発生させる。
測定回路部800は、アクチュエータが発生した各周波
数帯の逆起電力の波形のアナログ信号を、そのアナログ
信号と同一の周波数を有するデジタル信号に変換してデ
ジタル回路部900に出力する。
【0147】検出回路部1100は、測定回路部800
が出力したデジタル信号の所定パルス数の振動に費やさ
れる時間を測定するデジタル回路部900と、デジタル
回路部900がカウントした時間に基づいて液体の有無
を判定する液体有無判定部1000と、を有する。
【0148】本実施例においては、デジタル回路部90
0は、図4(A)及び図4(B)に示すように、測定回
路部800が出力した逆起電力波形中の4カウント目か
ら8カウント目までがHighの信号を出力する。更
に、図4(C)に示すように、デジタル回路部900
は、上記デジタル信号中の4カウント目から8カウント
目までのHighである期間において、所定のクロック
パルス(逆起電力波形の周期より短い周期を有する)の
パルス数をカウントする。一定の周期を有するクロック
パルスのパルス数をカウントすることで、4カウント目
から8カウント目までの時間を測定することができる。
例えば図4(C)では、クロックパルスが5カウント分
存在し、5カウントをクロックパルスの周期と掛け合わ
せることで時間を算出することができる。
【0149】ここでは、説明を簡単にするために低い周
波数のクロックパルスを例にして説明しているが、実際
には16MHz等の周波数が高いクロックパルスが使用
される。液体有無判定部1000は、デジタル回路部9
00が出力したカウント値に基づいて、液体容器1内の
液体の有無を判定し、判定結果を制御回路部1500へ
出力する。
【0150】本実施例においては、複数のアクチュエー
タ106A〜106Cが液面低下方向の異なる位置にそ
れぞれ装着されているので、それぞれのアクチュエータ
の装着位置における液体の消費状態を段階的に検出する
ことができる。
【0151】液面が各アクチュエータの取付位置レベル
より高いか否かによって、各アクチュエータの出力信号
は異なる。例えば、検出される逆起電力の周波数や振幅
が大きく変化すれば、それに伴って検出信号が変化す
る。液体消費状態検出部1202は、各検出信号に基づ
いて、液体の液面が各アクチュエータ106A,106
B,及び106Cの取付位置レベルを通過したか否かを
判定できる。検出処理は、例えば予め定められたタイミ
ングで定期的に行われる。
【0152】ここで、液面がアクチュエータの取付位置
より低い状態を「液体無し状態」とし、液面がアクチュ
エータより高い状態を「液体有り状態」とする。液面が
アクチュエータを通過すると、「液体有り状態」から
「液体無し状態」へ検出結果が変化する。本実施の形態
では、液面通過の検知とは、このような検出結果の変化
を示す。
【0153】本実施形態の特徴として、制御部1400
が、インピーダンスの検出に用いるアクチュエータを、
液体消費の進行に応じて液体の液面の低下方向に沿って
選択することができる。詳述すると、液体容器1の装着
直後すなわち液体フル状態では、アクチュエータ106
Aの固有振動数に対応する通過周波数帯を有するバンド
パスフィルタ回路が用いられて(図11及び図14参
照)、アクチュエータ106Aの残留振動のみが液体消
費状態の検出に使用され得る。液体が消費され液面がア
クチュエータ106Aを通過すると、アクチュエータ1
06Aは液体無し状態を検出する。これに応えて、制御
部1400は、液体検出位置を中段に切り換えるべく、
アクチュエータ106Bの固有振動数に対応する通過周
波数帯を有するバンドパスフィルタ回路が用いられて、
アクチュエータ106Bの残留振動のみが液体消費状態
の検出に使用され得る。同様にして、アクチュエータ1
06Bが液体無し状態を検出すると、検出位置を最下段
のアクチュエータ106Cへと切り換えるべく、アクチ
ュエータ106Cの固有振動数に対応する通過周波数帯
を有するバンドパスフィルタ回路が用いられて、アクチ
ュエータ106Cの残留振動のみが液体消費状態の検出
に使用され得る。液体が消費され液面がアクチュエータ
106Cを通過すると、アクチュエータ106Cは液体
無し状態を検出する。
【0154】液体消費状態検出部1200がアクチュエ
ータ106Cによる液体無しの判定結果を出力した場
合、制御部1400は、記録装置動作制御部1402を
制御して所定の低インク量対応処理を行う。低インク量
対応処理とは、インクが残り少なくなったことを考慮し
て、不適切な印刷等の記録装置の動作を禁止または抑制
する処理である。記録装置動作制御部1402は、制御
部1400の指示に基づいて、提示処理部1404、印
刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カ
ートリッジ交換処理部1410、あるいは印刷データ記
憶処理部1412の動作を制御して、低インク量対応処
理を実行する。
【0155】提示処理部1404は、アクチュエータ1
06により検知される液体容器1内の液体の有無に対応
する情報を提示する。情報の提示には、ディスプレイ1
416による表示およびスピーカ1418による発報が
ある。ディスプレイ1416は、例えば記録装置の表示
パネルや、記録装置に接続されたコンピュータの画面で
ある。あるいは、提示処理部1404がスピーカ141
8と接続されて、アクチュエータ106が液体無しを検
出すると、報知音がスピーカ1418から出力される。
スピーカ1418は、記録装置のスピーカでもよく、記
録装置に接続されたコンピュータ等の外部装置のスピー
カでもよい。また、報知音として音声信号を用いること
も好適であり、音声合成処理によりインク消費状態を示
す合成音声が生成されてもよい。
【0156】印刷動作制御部1406は、印刷動作部1
420を制御して、記録装置の印刷動作を停止させる。
印刷動作の停止により、インクが無くなった後の印刷動
作が回避される。また、印刷動作制御部1406は、低
インク量対応処理の他の例として、ある印刷処理を終了
してから次の印刷処理に移ることを禁止してもよい。こ
のような印刷処理の禁止により、ひとつの印刷処理、た
とえば一連の文章の印刷途中で印刷が停止するのを回避
できる。また、印刷処理の禁止の例として、1ページ印
刷している途中で印刷処理が停止するのを防ぐために、
改ページ終了後の印刷処理を禁止することも好ましい。
【0157】インク補充処理部1408は、インク補充
装置1422を制御してインクカートリッジにインクを
自動的に補充する。このインクの補充により、印刷を継
続することができる。
【0158】カートリッジ交換処理部1410は、カー
トリッジ交換装置1424を制御してインクカートリッ
ジを自動的に交換する。このような対応処理によって、
ユーザの手をわずらわせることなく印刷動作を継続する
ことができる。
【0159】印刷データ記憶処理部1412は、低イン
ク量対応処理として、印刷完了前の印字データを印字デ
ータ記憶部1414に格納する。この印字データは、イ
ンクエンド検出後に記録装置に送られてくる印字データ
である。この印字データの格納により、印刷前の印字デ
ータが失われることを回避できる。
【0160】構成要素1404〜1412については、
これらの全てが記録装置制御部2000に設けられる必
要はない。また、全ての構成要素1404〜1412に
おいて低インク量対応処理が行われる必要はなく、少な
くともひとつの低インク量対応処理が行われればよい。
例えば、インク補充処理部1408またはカートリッジ
交換処理部1410が処理を行うのであれば、印刷動作
制御部1406は印刷動作の停止処理を行わなくてもよ
い。
【0161】なお、上記に例示した以外の、低インク量
対応処理を行う構成すなわちインク不足による不適切な
動作を回避する構成、が設けられてもよい。また、上記
の低インク量対応処理は、アクチュエータ106Cがそ
の装着位置において「液体無し」を検知してから「所定
の余裕量」分の印刷が行われた後に実行されることが好
適である。「所定の余裕量」は、アクチュエータ106
Cの「液体無し」検知後に全インクを消費してしまうま
での印刷量より少ない適当な値に設定される。
【0162】本実施の形態によれば、検出位置を順次下
方に切り換えていくことが可能なので、制御部1400
におけるデータ処理量を抑制することができる。この結
果、検出動作が印刷動作のスループットを低下させるこ
とはない。
【0163】また、複数のアクチュエータに対して、駆
動電圧生成部850等が共通に設けられているため、配
置スペースの点でもコストの点でも、回路の構成が効率
化されている。
【0164】なお、配置されるアクチュエータの数は限
定されない。また、アクチュエータの間隔は一定でなく
てもよい。例えば、液面が低くなるほどアクチュエータ
の間隔を狭くすることが好適である。こうした変形は、
以下の他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0165】図6は、図5の記録装置制御部2000を
他の液体容器1’と共に示すブロック図である。本実施
形態では、液体容器1’が3色用に3個のインク収容部
(収容空間)ISA〜ISCを有しており、各インク収
容部にアクチュエータ106A〜106Cが装着されて
いる。3つのアクチュエータ106A,106B,及び
106Cは、各インク収容部の底面近傍に設置されてい
る。
【0166】図6に示すように、各アクチュエータ10
6A〜106Cは、図5の場合と同様、直列に接続され
ており、互いに異なる固有振動数を有している。
【0167】図6に示す実施の形態では、3色のインク
のそれぞれについて、インク消費状態が検出され得る。
なお、各インク収容部に複数のアクチュエータを設ける
と、3色のインクのそれぞれについて、段階的に液体量
消費状態を検出することができる。
【0168】図7は、図5の記録装置制御部2000を
他の3つの液体容器1A〜1Cと共に示すブロック図で
ある。本実施形態では、各液体容器1A〜1Cが1つの
インク収容部(収容空間)ISA〜ISCを有してお
り、各インク収容部にアクチュエータ106A〜106
Cが装着されている。3つのアクチュエータ106A,
106B,及び106Cは、各インク収容部の底面近傍
に設置されている。
【0169】図7に示すように、各アクチュエータ10
6A〜106Cは、図5の場合と同様、直列に接続され
ており、互いに異なる固有振動数を有している。
【0170】図7に示す実施の形態では、各液体容器1
A〜1Cについて、インク消費状態が検出され得る。な
お、各インク収容部に複数のアクチュエータを設ける
と、各液体容器のそれぞれについて、段階的に液体量消
費状態を検出することができる。
【0171】図8は、図5に示した記録装置制御部20
00を変形した実施形態を示す。図8の液体容器1は、
液体容器1内の液体を記録紙等の記録媒体に吐出して印
字するためのヘッド部1300に連通するように、キャ
リッジ上に装着されている。ヘッド部1300は、ヘッ
ド駆動部1440によって駆動されるようになってい
る。また、図8の記録装置は、ヘッド部1300から液
体を吸引してヘッド部1300のノズルを清掃するクリ
ーニング部1436を有している。クリーニング駆動部
1432がポンプ1434を駆動することにより、クリ
ーニング部1436はヘッド部1300から液体を吸引
するようになっている。
【0172】図8に示す記録装置制御部2004の制御
回路部1502は、図5に示した記録装置制御部200
0が有する要素に加えて、ヘッド部1300が吐出した
インク滴の数を数える液体吐出カウンタ(ドットカウン
タ)1450と、液体吐出カウンタ1450が数えたイ
ンク滴の数に基づいてインク消費量を算出する液体消費
量算出部1452と、液体消費状態検出部1210が検
出したインク消費状態に基づいてクリーニング駆動部1
432を制御するクリーニング制御部1442と、を更
に有している。また、検出回路部1104は、液体吐出
カウンタ1450がカウントしたヘッド部1300のイ
ンク滴の吐出数を、アクチュエータ106A〜106C
を用いて検出したインクの消費状態に基づいて補正する
液体消費状態補正部1010を有する。
【0173】次に、図8において新たに加わった要素に
ついての動作を説明する。液体吐出カウンタ1450
は、印字時にヘッド部1300から吐出されるインク滴
の数をカウントし、液体消費量算出部1452へ出力す
る。液体消費量算出部1452は、液体吐出カウンタ1
450のカウント値に基づいて、ヘッド部から吐出され
たインク量を算出する。
【0174】また、印刷とは関係のない駆動信号を印字
ヘッドに印加してインク滴を空吐出させることにより、
ヘッド部1300のノズル開口近傍の不揃いのメニスカ
スを回復させたり、ノズル開口におけるインクの目詰ま
りを防止すること(フラッシング操作)によっても、イ
ンクが消費される。したがって、液体吐出カウンタ14
50は、フラッシング操作によるインク滴吐出数につい
てもカウントして、液体消費量算出部1452へ出力す
る。
【0175】液体消費量算出部1452は、印字操作及
びフラッシング操作におけるヘッド部1300からのイ
ンクの吐出数から、インクの消費量を算出して、算出し
たインク消費量を液体消費状態補正部1010へ出力す
る。液体消費量算出部1452によって算出されたイン
ク量は、提示処理部1404のディスプレイ1416に
よって表示される。
【0176】更に、ヘッド部1300をクリーニング部
1436によって清掃する(クリーニング操作)際に
も、ヘッド部1300内のインクが吸引されることで液
体容器1内のインクが消費される。したがって、液体消
費量算出部1452は、クリーニング制御部1442を
介してクリーニング駆動部1432がポンプ1434を
駆動した時間(例えばポンプ1434に通電した時間)
とポンプ1434の時間当たりのインク吸収量とを掛け
ることによって、クリーニングによるインクの消費量を
算出する。
【0177】したがって、液体消費量算出部1452
は、液体吐出カウンタ1450とクリーニング制御部1
442とによって、消費されたインク量を算出する。液
体消費状態補正部1010は、液体消費量算出部145
2の算出値を、液体有無判定部1000の判定結果に基
づいて補正する。
【0178】インク消費状態の検出に、液体有無判定部
1000及び液体消費量算出部1452の2つの出力を
用いる理由を次に述べる。
【0179】液体有無判定部1000の出力は、液体の
液面をアクチュエータ106A〜106Cによって実際
に測定した情報である。一方、液体消費量算出部145
2の出力は、液体吐出カウンタ1450がカウントした
インク滴の数及びポンプの駆動時間から算出された推定
のインク消費量である。
【0180】この算出値は、ユーザサイドで設定される
印刷形態や使用環境により、例えば室温が極端に高いま
たは低い場合、あるいは、インクカートリッジの開封後
の経過時間が長い場合、インクカートリッジ内の圧力や
インクの粘度が変化することによって誤差を生じること
がある。
【0181】そこで、液体消費状態補正部1010は、
液体消費量算出部1452によって算出されたインク消
費量を、液体有無判定部1000から出力されたインク
有無の判定結果に基づいて補正する。更に、液体消費状
態補正部1010は、液体有無判定部1000から出力
されたインク有無の判定結果に基づいて、液体消費量算
出部1452がインク消費量を算出するのに用いる算出
式のパラメータを補正する。このように算出式のパラメ
ータを補正することによって、当該算出式をインクカー
トリッジが使用されている環境に適合させることができ
る。これにより、算出式によって得られた値が、実際に
使用した値により近似するようになる。
【0182】アクチュエータ106Cが「インク無し」
を検知した場合、記録装置動作制御部1402に制御さ
れる印刷動作制御部1406、インク補充処理部140
8、カートリッジ交換処理部1410、印刷データ記憶
処理部1412及びクリーニング制御部1442は、所
定の低インク量対応処理を行う。
【0183】印刷動作制御部1406は、ヘッド駆動部
1440を制御して、ヘッド部1300におけるインク
の吐出を停止したり、インクの吐出量を減少させる。こ
れにより、インクが無くなった後の印刷動作が回避され
る。
【0184】クリーニング制御部1442は、低インク
対応処理として、クリーニング部1436によるヘッド
部1300のクリーニング動作を禁止したり、クリーニ
ングの回数を減少したり、ポンプ1434の吸引力を弱
めたりして、インクの吸引量を減少させる。ヘッド部1
300のクリーニングの際に、比較的多くのインクがヘ
ッド部1300から吸引される。したがって、低インク
となったときにクリーニング動作を禁止することによ
り、残り少ないインクがクリーニングのためにヘッド部
1300から吸引されることを回避でき、クリーニング
のためにインクが不足するという事態を回避できる。あ
るいは、前述のように、クリーニングの回数を減少した
り、ポンプ1434の吸引力を弱めてもよい。制御部1
400が、液体容器1内のインク残量に基づいて、印刷
動作制御部1406及びクリーニング制御部1442が
どのような低インク処理を実行するかを選択する。
【0185】図9は、図8に示した記録装置制御部20
04を変形した実施形態を示す。この実施例では、半導
体記憶手段7が液体容器1に装着され、記録装置制御部
2006が情報記憶制御回路部1444を有している。
その他は、図8に示した記録装置制御部2004と同様
の構成である。したがって、半導体記憶手段7及び情報
記憶制御手段1444と関係ない要素についてはその説
明を省略する。
【0186】本実施の形態の液体容器1は、半導体記憶
手段7を有する。半導体記憶手段7は、例えば、EEP
ROM等の書き換え可能なメモリである。制御回路部1
506は、情報記憶制御回路部1444を有する。
【0187】液体消費状態検出部1210は、アクチュ
エータ106A〜106Cを駆動して液体容器1内の液
体の消費状態を検出し、アクチュエータ106A〜10
6Cを用いた液体消費状態の検出に関連する消費関連情
報を制御回路部1506へ出力する。
【0188】制御部1400は、情報記憶制御回路部1
444を介して、消費関連情報を半導体記憶手段7に書
き込む。更に、情報記憶制御回路部1444は、消費関
連情報を半導体記憶手段7から読み出して、制御部14
00へ出力する。
【0189】次に、半導体記憶手段7について詳細に説
明する。半導体記憶手段7は、アクチュエータ106A
〜106Cを用いた液体の消費状態の検出に関連する消
費関連情報を記憶する。消費関連情報は、検出された液
体の消費状態の情報を含む。情報記憶制御回路部144
4は、アクチュエータ106A〜106Cを用いて得ら
れた消費状態情報を半導体記憶手段7に書き込む。そし
て、この消費状態情報が読み出され、記録装置制御部2
006において使用される。
【0190】消費状態情報を半導体記憶手段7に記憶す
ることは、特に液体容器1を脱着する場合において有利
である。例えば、液体が途中まで消費された状態で、液
体容器1がインクジェット記録装置から取り外されたと
する。この時、液体消費状態を記憶した半導体記億手段
7が常に液体容器1と共にある。液体容器1は、再度同
じインクジェット記録装置に装着されるか、あるいは他
のインクジェット記録装置に装着される。この時、半導
体記憶手段7から液体消費状態が読み出され、その液体
消費状態に基づいて記録装置制御部2006が動作す
る。例えば、液体が空または液体残量が少ない液体容器
1が装着された場合でも、その旨がユーザに伝えられ
る。このように、液体容器1を脱着する場合であって
も、液体容器1の以前の消費状態情報を確実に利用でき
る。
【0191】半導体記憶手段7は、さらに、液体吐出カ
ウンタ1450がカウントしたインク滴の数に基づいて
液体消費量算出部1452が算出した液体消費状態を記
憶してもよい。アクチュエータ106A〜106Cは、
アクチュエータ106A〜106Cの装着位置における
インク液面の通過を確実に検出できるが、液面通過の前
後のインク消費状態についての検出は困難である。従っ
て、液面通過の前後のインク消費状態について、液体消
費量算出部1452が算出した液体消費状態から推定
し、当該推定値を半導体記憶手段7に格納することが好
ましい。
【0192】また、消費関連情報は、液体の消費状態に
応じて検出されるべき検出特性情報を含む。本実施形態
では、検出特性情報として、消費前検出特性情報および
消費後検出特性情報が記憶される。消費前検出特性情報
は、インクの消費が開始される前の検出特性、すなわ
ち、インクフル状態における検出特性を示す。消費後検
出特性情報は、インクが所定の検出目標まで消費された
ときに検出される予定の検出特性、具体的には、インク
液面がアクチュエータの取付位置レベルを下回ったとき
の検出特性を示す。
【0193】情報記憶制御回路部1444は、半導体記
憶手段7から検出特性情報を読み出し、液体消費状態検
出部1210は、その検出特性情報に基づいてアクチュ
エータを用いて液体消費状態を検出する。消費前検出特
性に対応する検出信号が得られた場合、インクの消費が
まだ進んでおらず、インクの残量は多いと考えられる。
少なくとも、インク液面がアクチュエータより上である
ことは確実に分かる。一方、消費後検出特性に対応する
検出信号が得られたときは、インクの消費が進み、残量
が少ないので、インク液面はアクチュエータを下回って
いることが分かる。
【0194】検出特性情報を半導体記憶手段7に記憶す
ることの利点の一つを説明する。
【0195】検出特性情報は、液体容器1の形状、アク
チュエータの仕様、インクの仕様、等の各種の要因によ
って決まる。従って、改良等の設計変更が行われたとき
には、検出特性も変化することがある。液体消費状態検
出部1210が常に同じ検出特性情報を使用すると、こ
うした検出特性の変化への対処が困難である。一方、本
実施の形態では、検出特性情報が半導体記憶手段7に記
憶され利用される。したがって、検出特性の変化に容易
に対処できる。例えば、新しい仕様の液体容器1が提供
されるときも、その液体容器1の検出特性情報を、記録
装置制御部2006が容易に利用できるのである。
【0196】液体容器1の仕様が同じでも、製造ばらつ
きによって検出特性が異なることがある。例えば、液体
容器1の形状や肉厚に応じて、検出特性が異なることも
ある。従って、さらに好ましくは、個々の液体容器1ご
との検出特性情報が測定されて半導体記億手段7に格納
される。本実施の形態では、各液体容器1が半導体記憶
手段7を有するので、その半導体記憶手段7に固有の検
出特性情報を格納できる。これにより、製造ばらつきの
検出への影響を低減でき、検出精度を向上できる。この
ように、本実施の形態は、個々の液体容器1の検出特性
の相違に対応できて有利である。
【0197】図10は、図9に示した記録装置制御部2
006の動作手順を示すフローチャートである。
【0198】まず、インクカートリッジが装着されたか
否かが判定される(S10)。すなわち、新品のインク
カートリッジまたは途中まで使用されたインクカートリ
ッジが装着されたことが検出される。この処理には、イ
ンクジェット記録装置に備えられたスイッチ等(図示せ
ず)が用いられる。
【0199】インクカートリッジが装着されると、半導
体記憶手段7から検出特性情報等を含む消費関連情報が
読み出される(S12)。記録装置制御部2008の提
示処理部1404、印刷動作制御部1406、インク補
充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、
印刷データ記憶処理部1412及びクリーニング制御部
1442が、読み出された消費関連情報を利用する。例
えば、読み出された消費関連情報により液体容器1内の
液体残量が少ないことが分かると、ディスプレイ141
6に液体残量が少ないことを表示したり、ヘッド部13
00の動作を停止させる。
【0200】液体消費状態検出部1210は、読み出さ
れた検出特性情報に基づいて、アクチュエータ106A
〜106Cを用いて液体の消費状態を検出する(S1
4)。検出された液体消費状態に基づいて、液体容器1
内の液体の有無が判定される(S16)。「液体無し」
が検出された場合には、液体無し対応工程(S18)が
実行される。液体無し対応工程(S18)としては、印
刷データ記憶処理部1412によって印字データを記憶
するステップ(S24)、印刷動作制御部1406によ
って印刷動作を停止するステップ(S26)及び提示処
理部1404によって液体無しを表示するステップ(S
28)が含まれる。
【0201】この場合、液体無し表示ステップ(S2
8)の指示により、後述するようにユーザがインクカー
トリッジを交換することで、インクジェット記録装置に
インクが補充される。
【0202】あるいは、液体無し対応工程(S18)と
して、カートリッジ交換処理部1410によって自動的
にインクカートリッジを交換(S20)してもよいし、
インク補充処理部1408によって自動的にインクを補
充(S22)してもよい。この場合、インクは自動的に
インクジェット記録装置に補充され、ユーザがインクカ
ートリッジを交換する必要が無い。この場合、後述する
カートリッジ交換判断ステップ(S32)を経ずに、液
体消費情報読出しステップ(S12)に戻る。なお、イ
ンク補充ステップ(S22)が実施される場合、インク
が補充された後、どれだけの量のインクが記録装置に補
充されたかの情報が半導体記憶手段7に格納される(S
34)。
【0203】液体無し対応手段(S18)として、印字
データ記憶ステップ(S24)、印刷動作停止ステップ
(S26)及び液体無し表示ステップ(S28)が実行
された後、検出された液体消費状態は半導体記憶手段7
に格納される(S30)。インクカートリッジ内にイン
クがないことは、液体無し表示ステップ(S28)によ
ってユーザに伝達されているので、ユーザが液体無し表
示ステップ(S28)の指示に従ってインクカートリッ
ジを交換する。この場合(S32,Y)、液体消費状態
検出ステップ(S14)に戻る。一方、ユーザがインク
カートリッジを交換しない場合、インクカートリッジを
交換するよう更にユーザに促すような表示がディスプレ
イ又はスピーカにより提示されて、プロセスを終了す
る。
【0204】図11は、測定回路部800の回路構成を
示す図である。測定回路部800は、駆動電圧生成部8
50、フィルタ回路部880、基準電位生成部816、
ハイパスフィルタ824、増幅部860及び比較器83
6を有する。駆動電圧生成部850は、相補に並列にベ
ースB同士及びエミッタE同士が接続されたNPN型ト
ランジスタ810及びPNP型トランジスタ812の2
個のバイポーラトランジスタを含む。NPN型トランジ
スタ810及びPNP型トランジスタ812は、アクチ
ェエータ106A〜106Cを駆動するためのトランジ
スタである。アクチュエータ106A〜106Cは、直
列に接続され、一方側(この場合、アクチエータ106
A側)の端子が、互いに接続されたNPN型トランジス
タ810及びPNP型トランジスタ812のエミッタE
に接続され、他方側(この場合、アクチュエータ106
C側)の端子が、グランドGNDに接続される。アクチ
ュエータ106A〜106Cの他方側の端子は、電源V
cc(5V)に接続されてもよい。
【0205】端子840から駆動電圧生成部850に入
力されるトリガ信号が、LowからHighとなると、
互いに接続されたNPN型トランジスタ810及びPN
P型トランジスタ812のベースBが立ち上がり、NP
N型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ81
2は入力されたトリガ信号の電流を増幅して、アクチュ
エータ106A〜106Cに与える。図11の場合、P
NP型トランジスタ812のエミッタEとコレクタCと
の間の電圧が、アクチュエータ106A〜106Cに与
えられる。このため、アクチュエータ106A〜106
Cは急激に充電されて発振する。更に、アクチュエータ
106A〜106Cは、発振後に残留する振動により逆
起電力を発生する。
【0206】NPN型トランジスタ810(PNP型ト
ランジスタ812も同様)のベースB及びエミッタE間
はPN接合になっており、ベースBとエミッタEとの電
位差が0.6V以下ではエミッタE側にほとんど電流が
流れず、0.6Vを超えると大きく増幅された電流がエ
ミッタEに流れる。すなわち、NPN型トランジスタ8
10及びPNP型トランジスタ812は、それぞれ0.
6Vの不感帯又はバイアス電圧を有しており、NPN型
トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は
合計1.2V程度のバイアス電圧を有する。アクチュエ
ータの逆起電力を含めた端子電位が不感帯の範囲内であ
れば、トランジスタが動作してエミッタEに電流が流れ
込むことはなく、トランジスタの動作のためにアクチュ
エータの残留振動を抑えてしまうことがない。不感帯が
ないと、アクチュエータの電圧はトランジスタにより制
御されて一定値となり、逆起電力を調べることができな
い。
【0207】図11において、バイポーラトランジスタ
としてNPN型トランジスタ810及びPNP型トラン
ジスタ812が用いられているが、バイポーラトランジ
スタの代わりに電界効果トランジスタを用いてもよい。
電界効果トランジスタを用いる場合、図11のNPN型
トランジスタが配置されている位置にN型電界効果トラ
ンジスタを配置する。N型電界効果トランジスタのゲー
トをNPN型トランジスタ810のベースBの位置に配
置し、ソースをエミッタEの位置に配置する。また、P
NP型トランジスタ812が配置されている位置にP型
電界効果トランジスタを配置する。P型電界効果トラン
ジスタのゲートをPNP型トランジスタ812のベース
Bの位置に配置し、ソースをエミッタEの位置に配置す
る。更に、P型電界効果トランジスタ及びN型電界効果
トランジスタのゲート同士及びソース同士を接続する。
直列に接続されたアクチュエータは、一方側の端子が半
導体スイッチを介して互いに接続されたP型電界効果ト
ランジスタ及びN型電界効果トランジスタのソースに接
続され、他方側の端子が電源Vcc又はグランドGND
に接続されることが好ましい。
【0208】アクチュエータ106A〜106Cは、互
いに異なる固有振動数を有するため、残留振動の周波数
はアクチュエータ106A〜106C間で互いに異なっ
ている。従って、アクチュエータ106A〜106Cか
ら発生される逆起電力信号は、それぞれ異なる周波数帯
を有している(図14参照)。
【0209】これらの逆起電力信号は、フィルタ回路部
880を通過する。フィルタ回路部880は、並列に接
続された複数のバンドパスフィルタ回路885A〜88
5Cを有している。
【0210】バンドパスフィルタ回路885Aは、アク
チュエータ106Aの固有振動数に対応した通過周波数
帯を有しており、導通用の半導体スイッチSWAが接続
されている。同様に、バンドパスフィルタ回路885B
は、アクチュエータ106Bの固有振動数に対応した通
過周波数帯を有しており、半導体スイッチSWBが接続
されている。同様に、バンドパスフィルタ回路885C
は、アクチュエータ106Cの固有振動数に対応した通
過周波数帯を有しており、半導体スイッチSWCが接続
されている。
【0211】各半導体スイッチSWA〜SWCは、例え
ば制御部1400によって制御され、所望のバンドパス
フィルタ回路が容易に選択的に利用されるようになって
いる。本実施の形態では、半導体スイッチSWA〜SW
Cは、いずれか1つの半導体スイッチが導通状態の時に
他の半導体スイッチが非道通状態であるよう制御され
る。これにより、選択された単一のアクチュエータから
の信号のみを、容易に抽出することができる。
【0212】フィルタ回路部880には、不要なノイズ
を除去するという作用効果もある。フィルタ回路部88
0を通過した信号は、ハイパスフィルタ824を介して
増幅部860に出力される。
【0213】ハイパスフィルタ824は、コンデンサ8
26と抵抗器828とを有している。駆動電圧生成部8
50の出力は、このようなハイパスフィルタ824を介
して増幅部860に出力される。ハイパスフィルタ82
4は、アクチュエータの出力のうち高周波成分を増幅部
860へ出力する一方、低周波成分を取り除く。更に、
ハイパスフィルタ824は、増幅部860の出力が基準
電位を中心として0〜5V(Vcc)の範囲に収まるよ
うに調整する役割がある。
【0214】基準電位生成部816は、直列に接続され
た抵抗818及び820と、抵抗820に並列に接続さ
れたコンデンサ822と、を有する。これにより、基準
電位生成部816は、2〜3V程度の安定した直流電位
を基準電位として生成し、ハイパスフィルタ824、増
幅部860及び比較器836へ供給する。このため、ハ
イパスフィルタ824及び増幅部860が出力する信号
波形の電圧は、基準電位を中心にして振動する。
【0215】増幅部860は、オペアンプ834と抵抗
830及び832とを有する。オペアンプ834、抵抗
830及び832は、入力信号を反転せずに増幅して出
力する非反転増幅回路として構成されている。駆動電圧
生成部850が出力した逆起電力信号が、ハイパスフィ
ルタ824を介してオペアンプ834の+端子に入力さ
れる。オペアンプ834の−端子は、負帰還抵抗830
を通して出力端子と接続する一方、抵抗832を通して
基準電位と接続している。これにより、アクチュエータ
が出力した微弱な逆起電力信号が基準電位を中心として
増幅され、比較器836へ出力される。このように増幅
された逆起電力信号の波形は、図4に示したアナログ波
形として表され得る。
【0216】比較器836には、増幅部860から出力
された逆起電力信号の電圧と基準電位生成部816が生
成した基準電位とが入力され、逆起電力信号の電圧が基
準電位以上のときにHighの信号を、逆起電力信号の
電圧が基準電位以下のときにLowの信号を出力する。
これにより、デジタル波形の逆起電力信号が生成され
る。すなわち、オペアンプ834の出力が基準電位を中
心に振動する一方、比較器836の−端子の電圧が基準
電位と等しいので、比較器836は基準電位を基準にし
て逆起電力信号の電圧を比較して、デジタル波形の逆起
電力信号を出力する。比較器836は、生成したデジタ
ル波形の逆起電力信号を、端子844へ出力する。
【0217】なお、前述のように、圧電素子への駆動電
圧信号の供給は、端子840からのトリガ信号の入力に
よってなされる。このトリガ信号の入力は、制御装置8
40cによってなされ得る。制御装置840cは、例え
ば、液体容器が搭載されるインクジェット記録装置等の
各種の液体消費装置に設けられ得る。
【0218】また、フィルタ回路部880は、増幅部8
60と比較器836との間に設けられてもよい。その場
合、ハイパスフィルタ824の入力側は、アクチュエー
タ106Aのアクチュエータ106Bと接続されていな
い側と接続される。
【0219】図12は、図5の検出回路部1100の回
路構成を示す。検出回路部1100は、デジタル回路部
900及び液体有無判定部1000を有する。デジタル
回路部900は、フリップフロップ910及び918
と、カウンタ912及び920と、NANDゲート91
4及び916と、を有する。カウンタ920は、最高値
(1111、1111)まで数えたら、次にクロックパ
ルスが入力されても(0000、0000)にならず、
最高値を維持するものとする。
【0220】トリガ信号が、端子842からフリップフ
ロップ910のクロック入力ピンCLKに入力される
と、フリップフロップ910は、カウンタ912に対し
て、測定回路部800から出力された逆起電力信号のパ
ルス数の計測をカウンタ912が開始するよう制御する
信号を出力する。更に、カウンタ912が逆起電力信号
のパルスを8個数えると、NANDゲート916を介し
てフリップフロップ910がクリアされる。したがっ
て、フリップフロップ910は、トリガ信号が入力され
てから逆起電力信号が8パルス目までの間Highとな
っている信号を、カウンタ912のカウントイネーブル
端子ENPに供給する。
【0221】カウンタ912は、カウンタイネーブル端
子ENPに入力される信号がHighのときのみ、クロ
ックを計数する。カウンタ912は、トリガ信号がフリ
ップフロップ910に入力されてから逆起電力信号のパ
ルス数の計数を開始し、パルス数を8個数えた時点でカ
ウントイネーブル端子ENPに入力される信号がLow
になるのでパルス数のカウントを終了する。カウンタ9
12は、4パルス目から8パルス目までがHighとな
っている信号を、出力ピンQCからフリップフロップ9
18の入力ピンDに出力する。
【0222】フリップフロップ918は、カウンタ91
2が出力した4パルス目から8パルス目までがHigh
となっている信号を入力ピンDから受容し、端子846
から入力した16MHzの周波数のクロックをクロック
入力ピンCLKから受容して、入力ピンDから入力され
た信号を当該クロックに同期させて出力する。
【0223】
【数1】
【0224】図12の回路では、逆起電力波形の4パル
ス目から8パルス目までの間に存在する16MHzのク
ロックパルスのパルス数をカウントしたが、カウンタ9
12の出力を用いる計数回路を追加して組み合わせるこ
とにより、8カウント目までの時間ばかりでなく任意の
カウント目まで数えることもできる。すなわち、異なっ
たカウント間隔内の時間を検出することができる。
【0225】図13は、図12に示した液体有無判定部
1000の詳細な回路構成を示す。液体有無判定部10
00は、カウンタ920が出力した逆起電力信号の4パ
ルス目から8パルス目までの間に現れる16MHzのク
ロックパルス数のカウント値に基づいて、液体容器1内
の液体の有無を判断する。液体有無判定部1000は、
図13に示すように、上限値レジスタ1011と、下限
値レジスタ1012と、比較部1014及び1016
と、ANDゲート1018とを有する。上限値レジスタ
1011にはカウント値の上限値が格納され、下限値レ
ジスタ1012にはカウント値の下限値が格納されてい
る。
【0226】比較部1014は、デジタル回路部900
が出力したカウント値をB端子から受容し、カウント値
の上限値を上限値レジスタ1011からA端子を介して
受容する。カウント値が上限値より小さい場合、比較部
1014はHighの信号をアンドゲート1018に出
力する。一方、カウント値が上限値以上の場合、比較部
1014は、Lowの信号をアンドゲート1018に出
力する。カウント値が上限値以上の場合は、逆起電力波
形の周波数が下限値より低く、逆起電力波形が正常に測
定されていないので、液体容器が記録装置に装着されて
いないかまたは確実に装着されていない可能性がある。
【0227】一方、比較部1016は、デジタル回路部
900が出力したカウント値をA端子から受容し、カウ
ント値の下限値を下限値レジスタ1012からB端子を
介して受容する。カウント値が下限値より大きい場合、
比較部1016はHighの信号をアンドゲート101
8及び端子1022に出力する。一方、カウント値が下
限値以下である場合、比較部1016はLowの信号を
アンドゲート1018及び端子1022に出力する。カ
ウント値が下限値以下である場合、液体容器1内の液体
がアクチュエータ106の装着位置において存在しない
ことを意味する。
【0228】比較部1014及び1016の双方がHi
ghの信号を出力した場合、すなわち、カウント値が上
限値より小さく下限値より大きい場合、アンドゲート1
018はHighの信号を出力する。この場合、逆起電
力波形の周波数が上限値より低いので、液体容器1内の
液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて
存在する。しかも、逆起電力波形の周波数が下限値より
高いので、液体容器1が記録装置に確実に装着されてお
り、液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにお
いて存在することがわかる。すなわち、端子1020が
Highの場合は、液体容器1が記録装置に確実に装着
されており、液体がアクチュエータ106の装着位置レ
ベルにおいて存在する正常な状態である。
【0229】比較部1014がLowの信号を出力し、
比較部1016がHighの信号を出力した場合、すな
わち、カウント値が上限値以上で下限値より大きい場
合、アンドゲート1018はLowの信号を出力する。
また、端子1022には、Highの信号が入力され
る。この場合、端子1020がLowなので異常であ
り、端子1022がHighなので液体容器1が記録装
置に装着されていないか又は確実に装着されていないと
判定できる。
【0230】比較部1014がHighの信号を出力
し、比較部1016がLowの信号を出力した場合、す
なわち、カウント値が上限値より小さく下限値以下の場
合、アンドゲート1018はLowの信号を出力する。
この場合、端子1020がLowなので異常であり、端
子1022がLowなので液体がアクチュエータ106
の装着位置レベルにおいて無いことがわかる。
【0231】なお、異なる固有振動数を有するアクチュ
エータ106A〜106Cからの逆起電力信号における
共振周波数について、周波数帯の実際例の概略を図14
に示す。図14に示すように、各アクチュエータ106
A〜106Cのそれぞれの振動の周波数帯内において、
「液体有り状態」と「液体無し状態」とが判別され得
る。尚、アクチュエータ106A〜106Cの固有振動
数を変更するためには、キャビティ162の径を変える
等すればよい。
【0232】図15は、アクチュエータ106の製造方
法を示す。図15では、複数のアクチュエータ106
(図15の例では4個)が一体に形成されている。図1
5に示した複数のアクチュエータの一体成形物を、それ
ぞれのアクチュエータ106において切断することによ
り、図16に示すアクチュエータ106を製造する。図
15に示す一体成形された複数のアクチュエータ106
のそれぞれの圧電素子が円形である場合、一体成形物を
それぞれのアクチュエータ106において切断すること
により、図1に示すアクチュエータ106を製造するこ
とができる。複数のアクチュエータ106を一体に形成
することにより、複数のアクチュエータ106を同時に
効率良く製造することができ、運搬時の取り扱いが容易
となる。
【0233】アクチュエータ106は、薄板又は振動板
176、基板178、弾性波発生手段又は圧電素子17
4、端子形成部材又は上部電極端子168、及び端子形
成部材又は下部電極端子170を有する。
【0234】圧電素子174は、圧電振動板又は圧電層
160、上部電極164及び下部電極166を含む。基
板178の上面に振動板176が形成され、振動板17
6の上面に下部電極166が形成されている。下部電極
166の上面には、圧電層160が形成され、圧電層1
60の上面に、上部電極164が形成されている。した
がって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主
要部及び下部電極166の主要部によって、上下から挟
まれるように形成されている。
【0235】図15に示す場合、振動板176上に、複
数(図15の例では4個)の圧電素子174が形成され
ている。振動板176の表面に下部電極166が形成さ
れ、下部電極166の表面に圧電層160が形成され、
圧電層160の上面に上部電極164が形成される。上
部電極164及び下部電極166の端部に上部電極端子
168及び下部電極端子170が形成される。そして、
4個のアクチュエータ106が、それぞれ別々に切断さ
れて個別に使用される。
【0236】図16は、圧電素子が矩形のアクチュエー
タ106の一部分の断面を示す。図17は、図16に示
したアクチュエータ106の全体の断面を示す。
【0237】図17に示すように、基板178の圧電素
子174と対向する面には、貫通孔178aが形成され
ている。貫通孔178aは振動板176によって封止さ
れている。振動板176は、アルミナや酸化ジルコニア
等の、電気絶縁性を備えると共に弾性変形可能な材料に
よって形成されている。
【0238】貫通孔178aに対応する位置に、圧電素
子174が振動板176上に形成されている。下部電極
166は貫通孔178aの領域から一方向、図17では
左方に延びるように振動板176の表面に形成されてい
る。上部電極164は貫通孔178aの領域から下部電
極とは反対の方向、図17では右方に延びるように圧電
層160の表面に形成されている。
【0239】上部電極端子168及び下部電極端子17
0は、それぞれ補助電極172及び下部電極166の上
面に形成されている。下部電極端子170は、下部電極
166と電気的に接触し、上部電極端子168は、補助
電極172を介して上部電極164と電気的に接触し
て、圧電素子とアクチュエータ106の外部との間の信
号の受け渡しをする。上部電極端子168及び下部電極
端子170は、電極164及び166と圧電層160と
を合わせた圧電素子174の高さ以上の高さを有する。
【0240】図18は、図15に示したアクチュエータ
106の製造方法を示す。まず、グリーンシート40
に、プレスあるいはレーザー加工等を用いて貫通孔40
aを穿孔する。グリーンシート40は、焼成後に基板1
78となるものである。グリーンシート40は、セラミ
ック等の材料で形成される。
【0241】次に、グリーンシート40の表面に別のグ
リーンシート41を積層する。グリーンシート41は、
焼成後に振動板176となるものである。グリーンシー
ト41は、酸化ジルコニア等の材料で形成される。
【0242】次に、グリーンシート41の表面に、導電
層42、圧電層160、導電層44を、圧膜印刷等の方
法で順次形成する。導電層42は、後に下部電極166
となるものであり、導電層44は、後に上部電極164
となるものである。
【0243】次に、形成されたグリーンシート40、グ
リーンシート41、導電層42、圧電層160及び導電
層44を、乾燥して焼成する。
【0244】スペーサ部材47、48は、上部電極端子
168と下部電極端子170の高さを底上げして圧電素
子より高くするための部材である。スペーサ部材47、
48は、グリーンシート40、41と同材料を印刷する
かあるいは積層して形成する。スペーサ部材47,48
を用いることにより、貴金属である上部電極端子168
及び下部電極端子170の材料が少なくて済む。また、
上部電極端子168及び下部電極端子170の厚みを薄
くできるので、上部電極端子168及び下部電極端子1
70を精度良く印刷でき、精度の良い高さとすることが
できる。
【0245】導電層42の形成時に、導電層44との接
続部44’及びスペーサ部材47及び48を同時に形成
すると、上部電極端子168及び下部電極端子170を
容易に形成したり、強固に固定することができる。最後
に、導電層42及び導電層44の端部領域に、上部電極
端子168及び下部電極端子170を形成する。上部電
極端子168及び下部電極端子170を形成する際、上
部電極端子168及び下部電極端子170が、圧電層1
60に電気的に接続されるように形成する。
【0246】図19は、本発明が適用されるインクカー
トリッジのさらに他の実施形態を示す。図19(A)
は、本実施形態によるインクカートリッジの底部の断面
図である。本実施形態のインクカートリッジは、インク
を収容する容器1の底面1aに貫通孔1cを有する。貫
通孔1cの底部はアクチュエータ650によって塞が
れ、インク溜部を形成する。
【0247】図19(B)は、図19(A)に示したア
クチュエータ650及び貫通孔1cの詳細な断面を示
す。図19(C)は、図19(B)に示したアクチュエ
ータ650及び貫通孔1cの平面を示す。アクチュエー
タ650は、振動板72および振動板72に固定された
圧電素子73を有する。圧電素子73が振動板72及び
基板71を介して貫通孔1cに対向するように、アクチ
ュエータ650は、容器1の底面に固定される。振動板
72は、弾性変形可能で、耐インク性を備える。
【0248】容器1のインク量に依存して、圧電素子7
3及び振動板72の残留振動によって発生する逆起電力
の振幅及び周波数が変化する。アクチュエータ650に
対向する位置に貫通孔1cが形成されているため、最小
限の一定量のインクが貫通孔1cに確保される。したが
って、貫通孔1cに確保されるインク量により決まるア
クチュエータ650の振動の特性を予め測定しておくこ
とにより、容器1のインクエンドを確実に検出すること
ができる。
【0249】図20は、貫通孔1cの他の実施形態を示
す。図20(A)、(B)、及び(C)のそれぞれにお
いて、左側の図は、貫通孔1cにインクKが無い状態を
示し、右側の図は、貫通孔1cにインクKが残った状態
を示す。図19の実施形態においては、貫通孔1cの側
面は垂直な壁として形成されている。図20(A)にお
いては、貫通孔1cは、側面1dが上下方向に斜めであ
り外側に拡大して開いている。図20(B)において
は、段差部1e及び1fが、貫通孔1cの側面に形成さ
れており、上方の段差部1fが下方の段差部1eより広
くなっている。図20(C)においては、貫通孔1c
は、インクKを排出しやすい方向すなわちインク供給口
2の方向へ延びる溝1gを有する。
【0250】図20(A)〜(C)に示した貫通孔1cの
形状によれば、インク溜部のインクKの量を少なくでき
る。従って、図1および図2で説明したM’cavを、
M’maxと比較して小さくすることができる。このた
め、インクエンド時におけるアクチュエータ650の振
動特性を、容器1に印刷可能な量のインクKが残存して
いるインク残存時と大きく異ならせることができ、イン
クエンドをより確実に検出することができる。
【0251】図21は、アクチュエータの他の実施形態
を示す斜視図である。アクチュエータ660は、アクチ
ュエータ660を構成する振動板72の貫通孔1cより
も外側にパッキン76を有する。アクチュエータ660
の外周には、カシメ孔77が形成されている。アクチュ
エータ660は、カシメ孔77を介して、カシメにより
容器1に固定される。
【0252】図22(A)、(B)は、アクチュエータ
の更に他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態に
おいては、アクチュエータ670は、凹部形成基板80
および圧電素子82を備える。凹部形成基板80の一方
の面には、凹部81がエッチング等の手法により形成さ
れ、他方の面に圧電素子82が取り付けられている。凹
部形成基板80のうち、凹部81の底部が振動領域とし
て作用する。従って、アクチュエータ670の振動領域
は、凹部81の周縁によって規定される。
【0253】アクチュエータ670は、図1の実施例に
よるアクチュエータ106において、基板178および
振動板176が一体として形成された構造と類似する。
この場合、インクカートリッジを製造する際の製造工程
を短縮することができ、コストが低減される。アクチュ
エータ670は、容器1に設けられた貫通孔1cに埋め
込み可能なサイズであることが好ましい。それによっ
て、凹部81がキャビティとしても作用することができ
る。尚、図1の実施例によるアクチュエータ106を、
図22の実施例によるアクチュエータ670と同様に、
貫通孔1cに埋め込み可能なように形成してもよい。
【0254】図23は、アクチュエータ106を取付モ
ジュール体100として一体形成した構成を示す斜視図
である。モジュール体100は、インクカートリッジの
容器1の所定個所に装着される。モジュール体100
は、インク液中の少なくとも音響インピーダンスの変化
を検出することにより、容器1内の液体の消費状態を検
知するように構成されている。
【0255】本実施形態のモジュール体100は、容器
1にアクチュエータ106を取り付けるための液体容器
取付部101を有する。液体容器取付部101は、平面
がほぼ矩形の基台102と、駆動信号により発振するア
クチュエータ106を収容する基台102上の円柱部1
16と、を有している。また、モジュール体100は、
インクカートリッジに装着されたときに、モジュール体
100のアクチュエータ106が外部から接触できない
ように構成されている。これにより、アクチュエータ1
06を外部の接触から保護することができる。なお、円
柱部116の先端側エッジは丸みが付けられていて、イ
ンクカートリッジに形成された孔へ装着する際に嵌めや
すくなっている。
【0256】図24は、図23に示したモジュール体1
00の分解図である。モジュール体100は、樹脂から
なる液体容器取付部101と、プレート110および凹
部113を有する圧電装置装着部105(図23参照)
とを含む。さらに、モジュール体100は、リードワイ
ヤ104a及び104b、アクチュエータ106及びフ
ィルム108を有する。好ましくは、プレート110
は、ステンレス又はステンレス合金等の錆びにくい材料
から形成される。
【0257】液体容器取付部101に含まれる円柱部1
16および基台102は、リードワイヤ104a及び1
04bを収容できるように中心部に開口部114が形成
されると共に、アクチュエータ106、フィルム10
8、及びプレート110を収容できるように開口部11
4の周囲に凹部113が形成されている。
【0258】アクチュエータ106は、プレート110
にフィルム108を介して接合され、プレート110お
よびアクチュエータ106は凹部113(液体容器取付
部101)に固定される。従って、リードワイヤ104
a及び104b、アクチュエータ106、フィルム10
8及びプレート110は、液体容器取付部101に一体
として取り付けられる。
【0259】リードワイヤ104a及び104bは、そ
れぞれアクチュエータ106の上部電極及び下部電極と
結合して、圧電層に駆動信号を伝達する一方、アクチュ
エータ106が検出した共振周波数の信号を記録装置等
へ伝達する。
【0260】アクチュエータ106は、リードワイヤ1
04a及び104bから伝達された駆動信号に基づい
て、一時的に発振する。また、アクチュエータ106
は、発振後に残留振動し、その振動によって逆起電力を
発生させる。このとき、逆起電力波形の振動周期を検出
することによって、液体容器内の液体の消費状態に対応
した共振周波数を検出することができる。
【0261】フィルム108は、アクチュエータ106
とプレート110とを接着して、アクチュエータを液密
にする。フィルム108は、ポリオレフィン等によって
形成し、熱融着で接着することが好ましい。アクチュエ
ータ106とプレート110とをフィルム108によっ
て面状に接着して固定することにより、接着の場所によ
るばらつきが無くなり、振動部以外の部分が振動しな
い。したがって、アクチュエータ106をプレート11
0に接着しても、アクチュエータ106の振動特性は変
化しない。
【0262】なお、プレート110は円形状であり、基
台102の開口部114は円筒状に形成されている。ア
クチュエータ106及びフィルム108は矩形状に形成
されている。リードワイヤ104a及び104b、アク
チュエータ106、フィルム108及びプレート110
は、基台102に対して着脱可能としてもよい。基台1
02、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエ
ータ106、フィルム108及びプレート110は、モ
ジュール体100の中心軸に対して対称に配置されてい
る。また、基台102、アクチュエータ106、フィル
ム108及びプレート110の中心は、モジュール体1
00のほぼ中心軸上に配置されている。
【0263】また、基台102の開口部114の面積
は、アクチュエータ106の振動領域の面積よりも大き
く形成されている。プレート110の中心でアクチュエ
ータ106の振動部に直面する位置には、貫通孔112
が形成されている。図1および図2に示したように、ア
クチュエータ106にはキャビティ162が形成されて
おり、貫通孔112とキャビティ162とが、共にイン
ク溜部を形成する。プレート110の厚さは、残留イン
クの影響を少なくするために、貫通孔112の径に比べ
て小さいことが好ましい。例えば、貫通孔112の深さ
はその径の3分の1以下の大きさであることが好まし
い。貫通孔112は、モジュール体100の中心軸に対
して対称なほぼ真円の形状である。また、貫通孔112
の面積は、アクチュエータ106のキャビティ162の
開口面積よりも大きい。貫通孔112の断面の周縁は、
テ-パ形状であっても良いし、ステップ形状であっても
よい。モジュール体100は、貫通孔112が容器1の
内側へ向くように、容器1の側部、上部又は底部に装着
される。インクが消費され、アクチュエータ106周辺
のインクがなくなると、アクチュエータ106の共振周
波数が大きく変化することに基いて、インクの水位変化
を検出することができる。
【0264】図25は、モジュール体の他の実施形態を
示す斜視図である。本実施形態のモジュール体400
は、液体容器取付部401に圧電装置装着部405が形
成されている。液体容器取付部401は、平面がほぼ角
丸の正方形上の基台402と、基台402上の円柱状の
円柱部403と、を有している。更に、圧電装置装着部
405は、円柱部403上に立てられた板状要素406
および凹部413を含む。板状要素406の側面に設け
られた凹部413には、アクチュエータ106が縦向き
に配置されている。なお、板状要素406の先端は所定
角度に面取りされていて、インクカートリッジに形成さ
れた孔へ装着する際に嵌めやすくなっている。
【0265】図26は、図25に示したモジュール体4
00の分解斜視図である。図23に示したモジュール体
100と同様に、モジュール体400は、液体容器取付
部401および圧電装置装着部405を含む。液体容器
取付部401は基台402および円柱部403を有し、
圧電装置装着部405は板状要素406および凹部41
3を有する。アクチュエータ106は、プレート410
に接合されて凹部413に固定される。モジュール体4
00は、リードワイヤ404a及び404b、アクチュ
エータ106、及びフィルム408をさらに有する。
【0266】なお、本実施形態では、プレート410は
矩形状であり、板状要素406に設けられた開口部41
4も矩形状に形成されている。リードワイヤ404a及
び404b、アクチュエータ106、フィルム408、
及びプレート410は、基台402に対して着脱可能と
して構成しても良い。アクチュエータ106、フィルム
408及びプレート410は、開口部414の中心を通
り開口部414の平面に対して鉛直方向に延びる中心軸
に対して、対称に配置されている。更に、アクチュエー
タ406、フィルム408及びプレート410の中心
は、開口部414のほぼ中心軸上に配置されている。
【0267】プレート410の中心に設けられた貫通孔
412の面積は、アクチュエータ106のキャビティ1
62の開口の面積よりも大きく形成されている。アクチ
ュエータ106のキャビティ162と貫通孔412と
は、共にインク溜部を形成する。プレート410の厚さ
は、貫通孔412の径に比べて小さく、例えば貫通孔4
12の径の3分の1以下の大きさに設定することが好ま
しい。貫通孔412は、モジュール体400の中心軸に
対して対称なほぼ真円の形状である。貫通孔412の断
面の周縁は、テ-パ形状であっても良いし、ステップ形
状であってもよい。モジュール体400は、貫通孔41
2が容器1の内部に配置されるように、容器1の底部に
装着することができる。アクチュエータ106が垂直方
向に延びるように容器1内に配置されるので、基台40
2の高さを変えてアクチュエータ106が容器1内に配
置される高さを変えることにより、インクエンドの時点
の設定を容易に変えることができる。
【0268】図27は、モジュール体の更に他の実施形
態を示す。図23に示したモジュール体100と同様
に、図27のモジュール体500は、基台502および
円柱部503を有する液体容器取付部501を含む。ま
た、モジュール体500は、リードワイヤ504a及び
504b、アクチュエータ106、フィルム508、及
びプレート510をさらに有する。液体容器取付部50
1に含まれる基台502は、リードワイヤ504a及び
504bを収容できるように中心部に開口部514が形
成され、アクチュエータ106、フィルム508、及び
プレート510を収容できるように開口部514の周囲
に凹部513が形成される。アクチュエータ106は、
プレート510を介して、圧電装置装着部505に固定
される。従って、リードワイヤ504a及び504b、
アクチュエータ106、フィルム508及びプレート5
10は、液体容器取付部501に一体として取り付けら
れる。
【0269】本実施形態のモジュール体500は、平面
がほぼ角丸の正方形状の基台502上に、上面が上下方
向に斜めな円柱部503が形成されている。円柱部50
3の上面の上下方向に斜めに設けられた凹部513上
に、アクチュエータ106が配置されている。
【0270】すなわち、モジュール体500の先端は傾
斜しており、その傾斜面にアクチュエータ106が装着
されている。このため、モジュール体500が容器1の
底部又は側部に装着されると、アクチュエータ106が
容器1の上下方向に対して傾斜するように配置される。
モジュール体500の先端の傾斜角度は、検出性能を鑑
みて、ほぼ30°から60°の間とすることが望まし
い。
【0271】モジュール体500は、アクチュエータ1
06が容器1内に配置されるように容器1の底部又は側
部に装着される。モジュール体500が容器1の側部に
装着される場合には、アクチュエータ106が、傾斜し
つつ、容器1の上側、下側、又は横側を向くように容器
1に取り付けられる。一方、モジュール体500が、容
器1の底部に装着される場合には、アクチュエータ10
6が、傾斜しつつ、容器1のインク供給口側を向くよう
に容器1に取り付けられることが好ましい。
【0272】図28は、図23に示したモジュール体1
00を容器1に装着したときの、インク容器の底部近傍
の断面図である。モジュール体100は、容器1の側壁
を貫通するように装着されている。容器1の側壁とモジ
ュール体100との接合面には、Oリング365が設け
られ、モジュール体100と容器1との液密を保ってい
る。このようにOリングでシールが出来るために、モジ
ュール体100は、図23で説明したような円柱部を備
えることが好ましい。
【0273】モジュール体100の先端が容器1の内部
に挿入されることで、プレート110の貫通孔112を
介して、容器1内のインクがアクチュエータ106と接
触する。アクチュエータ106の振動部の周囲が液体か
気体かによって、アクチュエータ106の残留振動の共
振周波数が異なるので、モジュール体100を用いてイ
ンクの消費状態を検出することができる。
【0274】また、モジュール体100に限らず、図2
5に示したモジュール体400、図27に示したモジュ
ール体500、又は図29及び図30に示すモジュール
体700A、700B、750A、及び750B、及
び、モールド構造体600を容器1に装着して、インク
の有無を検出してもよい。
【0275】図29は、モジュール体100の更に他の
実施形態を示す。図29(A)のモジュール体750A
は、アクチュエータ106bと基台部360とを有す
る。モジュール体750Aは、その前面が容器1の側壁
の内面と略一体となるように、容器1に装着されてい
る。アクチュエータ106bは、圧電層160、上部電
極164、下部電極166、及び振動板176を含む。
振動板176の上面に下部電極166が形成されてい
る。下部電極166の上面には圧電層160が形成さ
れ、圧電層160の上面に上部電極164が形成されて
いる。したがって、圧電層160は、上部電極164及
び下部電極166によって上下から挟まれるように形成
されている。圧電層160、上部電極164、及び下部
電極166は、圧電素子を形成する。圧電素子は振動板
176上に形成されている。圧電素子及び振動板176
の振動領域は、アクチュエータが実際に振動する振動部
である。容器1の側壁には貫通孔385が設けられてい
る。したがって、インクは容器1の貫通孔385を介し
て、振動板176と接触する。
【0276】次に図29(A)に示したモジュール体7
50Aの動作について説明する。上部電極164及び下
部電極166は、圧電層160に駆動信号を伝達すると
共に、圧電層160が検出する共振周波数の信号を記録
装置に伝達する。圧電層160は、上部電極164及び
下部電極166によって伝達された駆動信号により発振
し、その後残留振動する。この残留振動により、圧電層
160は逆起電力を発生する。そして、逆起電力波形の
振動周期をカウントし、その時点での共振周波数を検出
することで、インクの有無を検出できる。
【0277】モジュール体750Aは、アクチュエータ
106bの振動部の圧電素子側とは反対の面、すなわ
ち、図29(A)に示すように、振動板176のみが、
インク容器1内のインクと接触するようになっている。
図29(A)のモジュール体750Aでは、図23から
図27に示したリードワイヤ(104a、104b、4
04a、404b、504a及び504b)の電極のモ
ジュール体への埋め込みが不要となる。このため、成形
工程が簡素化される。更に、モジュール体750Aの交
換やリサイクルが可能となる。また更に、アクチュエー
タ106bは基台部360により保護されているので、
アクチュエータ106bを外部との接触から保護でき
る。
【0278】図29(B)は、モジュール体の更に他の
実施形態を示す。図29(B)のモジュール体750B
は、アクチュエータ106bと基台部360とを有す
る。モジュール体750Bは、その前面が容器1の側壁
の内面と略一体となるように、容器1に装着されてい
る。アクチュエータ106bは、圧電層160、上部電
極164、下部電極166、及び振動板176を含む。
振動板176の上面に下部電極166が形成されてい
る。下部電極166の上面には圧電層160が形成さ
れ、圧電層160の上面に上部電極164が形成されて
いる。したがって、圧電層160は、上部電極164及
び下部電極166によって上下から挟まれるように形成
されている。圧電層160、上部電極164、及び下部
電極166は、圧電素子を形成する。圧電素子は振動板
176上に形成されている。圧電素子及び振動板176
の振動領域は、アクチュエータが実際に振動する振動部
である。容器1の側壁には薄壁部380が設けられてい
る。モジュール体750Bは、アクチュエータ106b
の振動部の圧電素子側とは反対の面、すなわち、図29
(B)に示すように、振動板176のみが、インク容器
1の薄壁部380と接触するように容器1に装着され
る。したがって、アクチュエータ106bの振動部は、
薄壁部380と共に残留振動する。
【0279】次に図29(B)に示したモジュール体7
50Bの動作について説明する。上部電極164及び下
部電極166は、圧電層160に駆動信号を伝達すると
共に、圧電層160が検出する共振周波数の信号を記録
装置に伝達する。圧電層160は、上部電極164及び
下部電極166によって伝達された駆動信号により発振
し、その後共振周期で振動する。振動板176が容器1
の薄壁部380と接触しているので、アクチュエータ1
06bの振動部は、薄壁部380と共に残留振動する。
薄壁部380の容器1の内面側は、インクと接触するの
で、アクチュエータ106bが薄壁部380と共に残留
振動する際、この残留振動の共振周波数及び振幅は、イ
ンク残量により変化する。この残留振動により、圧電層
160は逆起電力を発生する。そして、逆起電力波形の
振動周期をカウントし、その時の共振周波数を検出する
ことにより、インク残量を検出することができる。
【0280】図29(B)のモジュール体750Bで
は、図23から図27に示したリードワイヤ(104
a、104b、404a、404b、504a及び50
4b)の電極のモジュール体への埋め込みが不要とな
る。このため、成形工程が簡素化される。更に、モジュ
ール体750Bの交換やリサイクルが可能となる。また
更に、アクチュエータ106bは基台部360により保
護されているので、アクチュエータ106bを外部との
接触から保護できる。
【0281】図30(A)は、モジュール体700Bを
容器1に装着したときのインク容器の断面図を示す。図
30(A)の場合、取付構造体の1つとしてモジュール
体700Bを使用する。モジュール体700Bは、その
液体容器取付部360が容器1の内部に突出するように
して、容器1に装着されている。取付プレート350に
貫通孔370が形成され、貫通孔370とアクチュエー
タ106bの振動部とが面している。更に、モジュール
体700Bの底壁に孔382が形成され、圧電装置装着
部363が形成されている。アクチュエータ106b
は、孔382を塞ぐようにして配備される。
【0282】したがって、インクは、圧電装置装着部3
63の孔382及び取付プレート350の貫通孔370
を介して、振動板176と接触する。圧電装置装着部3
63の孔382及び取付プレート350の貫通孔370
は、共にインク溜部を形成する。圧電装置装着部363
とアクチュエータ106bとは、取付プレート350及
びフィルム部材によって固定されている。また、液体容
器取付部360と容器1との接続部には、シーリング構
造372が設けられている。シーリング構造372は、
合成樹脂等の可塑性の材料により形成されてもよいし、
Oリングにより形成されてもよい。図30(A)のモジ
ュール体700Bと容器1とは別体であるが、図30
(B)に示すように、モジュール体700Bの圧電装置
装着部を容器1の一部で構成してもよい。
【0283】図30(A)のモジュール体700Bで
は、図23から図27に示したリードワイヤのモジュー
ル体への埋め込みが不要となる。このため、成形工程が
簡素化される。更に、モジュール体700Bの交換が可
能となり、リサイクルが可能となる。
【0284】インクカートリッジが揺れる際に、インク
は容器1の上面あるいは側面に付着し得る。このような
インクは、容器1の上面あるいは側面から垂れてアクチ
ュエータ106bに接触して、アクチュエータ106b
を誤作動させる可能性がある。しかし、モジュール体7
00Bの液体容器取付部360が容器1の内部に突出し
ている場合、容器1の上面や側面から垂れてきたインク
によりアクチュエータ106bが誤作動することはな
い。
【0285】また、図30(A)の例では、振動板17
6と取付プレート350の一部のみが、容器1内のイン
クと接触するように容器1に装着される。
【0286】図30(B)は、アクチュエータ106b
を容器1に装着したときの他の例についてのインク容器
の断面図を示す。図30(B)の例によるインクカート
リッジでは、保護部材361が、アクチュエータ106
bとは別体として容器1に取り付けられている。従っ
て、保護部材361とアクチュエータ106bとはモジ
ュールとして一体となっていない。しかしながら、保護
部材361は、アクチュエータ106bをユーザーの手
が触れないように保護することができる。アクチュエー
タ106bの前面に対応して、容器1の側壁に孔380
が配設されている。
【0287】アクチュエータ106bは、圧電層16
0、上部電極164、下部電極166、振動板176及
び取付プレート350を含んでいる。取付プレート35
0の上面に振動板176が形成され、振動板176の上
面に下部電極166が形成されている。そして、下部電
極166の上面に圧電層160が形成され、圧電層16
0の上面に上部電極164が形成されている。したがっ
て、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部
及び下部電極166の主要部によって上下から挟まれる
ように形成されている。圧電層160、上部電極164
及び下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分
は、圧電素子を形成する。圧電素子は振動板176上に
形成されている。圧電素子及び振動板176の振動領域
は、アクチュエータが実際に振動する振動部である。取
付プレート350には、貫通孔370が設けられてい
る。したがって、インクは、容器1の孔380及び取付
プレート350の貫通孔370を介して、振動板176
と接触する。容器1の孔380及び取付プレート350
の貫通孔370は、共にインク溜部を形成する。また、
図30(B)の例では、アクチュエータ106bは、保
護部材361により外部との接触から保護されている。
【0288】尚、図30(A)および(B)の例におけ
るアクチュエータ106b及び取付プレート350は、
図1の基板178を有するアクチュエータ106で置換
可能である。
【0289】図30(C)は、アクチュエータ106b
を含むモールド構造体600を備える実施形態を示す。
図30(c)の例では、取付構造体の1つとしてモール
ド構造体600を使用する。モールド構造体600は、
アクチュエータ106bとモールド部364とを有す
る。アクチュエータ106bとモールド部364とは、
一体に成形されている。モールド部364は、シリコン
樹脂等の可塑性の材料によって成形される。モールド部
364は、アクチュエータ106b側から延びる2本の
足を有するように形成されている。モールド部364の
足部は、内部にリードワイヤ362を有する。モールド
部364は、モールド部364と容器1とを液密に固定
するために、モールド部364の2本の足の端が容器1
の外側で半球状に形成されている。モールド部364
は、アクチュエータ106bが容器1の内部に突出する
ように容器1に装着される。これにより、アクチュエー
タ106bの振動部が容器1内のインクと接触する。モ
ールド部364によって、アクチュエータ106bの上
部電極164、圧電層160、及び下部電極166が、
インクとの接触から保護されている。
【0290】図30(C)のモールド構造体600は、
モールド部364と容器1との間にシーリング構造37
2を必要としないで、インクが容器1から漏れにくい。
また、容器1の外部からモールド構造体600が突出し
ない形態であるので、アクチュエータ106bを外部と
の接触から保護することができる。またモールド構造体
600は、モールド部364が容器1の内部に突出して
いるので、容器1の上面や側面から垂れてきたインクに
より、アクチュエータ106bが誤作動することがな
い。
【0291】図31は、図1に示したアクチュエータ1
06を用いたインクカートリッジ及びインクジェット記
録装置の実施形態を示す。複数のインクカートリッジ1
80は、それぞれのインクカートリッジ180に対応し
た複数のインク導入部182及びホルダー184を有す
るインクジェット記録装置に装着される。複数のインク
カートリッジ180は、それぞれ異なった種類、例えば
異なった色のインクを収容する。複数のインクカートリ
ッジ180のそれぞれの底面には、少なくとも音響イン
ピーダンスを検出する手段であるアクチュエータ106
が装着されている。アクチュエータ106をインクカー
トリッジ180に装着することによって、インクカート
リッジ180内のインク残量を検出することができる。
【0292】図32は、インクジェット記録装置のヘッ
ド部周辺の詳細を示す。インクジェット記録装置は、イ
ンク導入部182、ホルダー184、ヘッドプレート1
86及びノズルプレート188を有する。インクを噴射
するノズル190が、ノズルプレート188に複数形成
されている。
【0293】インク導入部182は、空気供給口181
とインク導入口183とを有する。空気供給口181
は、インクカートリッジ180に空気を供給する。イン
ク導入口183には、インクカートリッジ180からイ
ンクが導入される。
【0294】インクカートリッジ180は、空気導入口
185とインク供給口187とを有する。空気導入口1
85には、インク導入部182の空気供給口181から
空気が導入される。インク供給口187は、インク導入
部182のインク導入口183にインクを供給する。イ
ンクカートリッジ180に空気導入口185から空気を
導入することによって、インクカートリッジ180から
インク導入部182へのインクの供給が促される。ホル
ダー184は、インクカートリッジ180からインク導
入部182を介して供給されたインクをヘッドプレート
186に連通するものである。
【0295】図33は、図30に示したインクカートリ
ッジ180の他の実施形態を示す。図33(A)のイン
クカートリッジ180Aは、上下方向に斜めに形成され
た底面194aに、アクチュエータ106が装着されて
いる。アクチュエータ106が、インク容器194の上
下方向に対し斜めに装着されているので、インクの掃け
が良好になる。
【0296】インクカートリッジ180のインク容器1
94の内部には、インク容器194の内部底面から所定
の高さに、アクチュエータ106と直面する位置に防波
壁192が設けられている。アクチュエータ106と防
波壁192との間には、インクで満たされた間隙が形成
される。防波壁192とアクチュエータ106との間隔
は、毛細管力によりインクが保持されない程度に空けら
れている。
【0297】インク容器194が横揺れしたときに、イ
ンク容器194内部にインクの波が発生し、その衝撃に
よって、気体や気泡がアクチュエータ106によって検
出されてアクチュエータ106が誤作動する可能性があ
る。しかし、防波壁192を設けることによって、アク
チュエータ106付近のインクの波を防いで、アクチュ
エータ106の誤作動を防ぐことができる。
【0298】図33(B)のインクカートリッジ180
Bのアクチュエータ106は、インク容器194の供給
口の側壁上に装着されている。インク供給口187の近
傍であれば、アクチュエータ106は、インク容器19
4の側壁又は底面に装着されてもよい。また、アクチュ
エータ106は、インク容器194の幅方向の中心に装
着されることが好ましい。
【0299】インクは、インク供給口187を通過して
外部に供給されるので、アクチュエータ106をインク
供給口187の近傍に設けることにより、インクニアエ
ンド時点までインクとアクチュエータ106とが確実に
接触する。したがって、アクチュエータ106は、イン
クニアエンドの時点を確実に検出することができる。
【0300】更に、アクチュエータ106をインク供給
口187の近傍に設けることで、インク容器をキャリッ
ジ上のカートリッジホルダに装着する際に、インク容器
上のアクチュエータ106とキャリッジ上の接点との位
置決めが確実となる。その理由は、インク容器とキャリ
ッジとの連結において最も重要なのは、インク供給口と
供給針との確実な結合であるからである。これらの間に
少しでもずれがあると、供給針の先端を痛めてしまった
りあるいはOリングなどのシーリング構造にダメージを
与えてしまい、インクが漏れ出してしまう。このような
問題点を防ぐために、通常、インクジェットプリンタ
は、インク容器をキャリッジにマウントする時に正確な
位置合わせができるような特別な構造を有している。従
って、供給口近傍にアクチュエータを配置させることに
より、アクチュエータの位置合わせをも同時に確実なも
のとなるのである。さらに、アクチュエータ106をイ
ンク容器194の幅方向の中心に装着することで、より
確実な位置合わせが実現できる。インク容器が、ホルダ
への装着時に、幅方向中心線を中心として軸揺動した場
合に、もっともその揺れが少ないからである。
【0301】図34は、インクカートリッジ180の更
に他の実施形態を示す。図34(A)は、インクカート
リッジ180Cの断面図、図34(B)は、図34
(A)に示したインクカートリッジ180Cの側壁19
4bを拡大した断面図、及び、図34(C)は、その正
面からの透視図である。
【0302】インクカートリッジ180Cは、半導体記
憶手段7とアクチュエータ106とが、同一の回路基板
610上に形成されている。図34(B)及び図34
(C)に示すように、半導体記憶手段7は回路基板61
0の上方に形成され、アクチュエータ106は同一の回
路基板610において半導体記憶手段7の下方に形成さ
れている。
【0303】アクチュエータ106の周囲を囲むよう
に、異型Oリング614が、側壁194bに装着され
る。側壁194bには、回路基板610をインク容器1
94に接合するためのカシメ部616が複数形成されて
いる。カシメ部616を介して回路基板610をインク
容器194に接合し、異型Oリング614を回路基板6
10に押しつけることで、アクチュエータ106の振動
領域がインクと接触することをできるようにしつつ、イ
ンクカートリッジの外部と内部とを液密に保つ。
【0304】半導体記憶手段7及び半導体記憶手段7付
近には、端子612が形成されている。端子612は、
半導体記憶手段7とインクジェット記憶装置等の外部と
の間の信号の受け渡しをする。半導体記憶手段7は、例
えばEEPROMなどの書き換え可能な半導体メモリに
よって構成され得る。半導体記憶手段7とアクチュエー
タ106とが同一の回路基板610上に形成さているの
で、アクチュエータ106及び半導体記憶手段7をイン
クカートリッジ180Cに取付ける際に1回の取付け工
程で済む。また、インクカートリッジ180Cの製造時
及びリサイクル時の作業工程が簡素化される。更に、部
品の点数が削減されるので、インクカートリッジ180
Cの製造コストが低減できる。
【0305】アクチュエータ106は、インク容器19
4内のインクの消費状態を検知する。半導体記憶手段7
は、アクチュエータ106が検出したインク残量などの
インクの情報を格納する。また、半導体記憶手段7は、
インク残量等を検出する際に用いられるインク及びイン
クカートリッジの特性等の特性パラメータに関する情報
を格納する。
【0306】半導体記憶手段7は、予めインク容器19
4内のインクがフルの時すなわちインクがインク容器1
94内に満たされた時、又は、インクがエンドの時すな
わちインク容器194内のインクが消費された時の共振
周波数を、特性パラメータの一つとして格納する。イン
ク容器194内のインクがフル又はエンド状態の共振周
波数は、インク容器が初めてインクジェット記録装置に
装着されたときに格納されてもよい。また、インク容器
194内のインクがフル又はエンド状態の共振周波数
は、インク容器194の製造中に格納されてもよい。
【0307】半導体記憶手段7に予めインク容器194
内のインクがフル又はエンドのときの共振周波数を格納
し、インクジェット記録装置側で共振周波数のデータを
読出すことにより、インク残量を検出する際のばらつき
を補正できる。これにより、インク残量が基準値まで減
少したことを正確に検出することができる。
【0308】図35は、インクカートリッジ180の更
に他の実施形態を示す。図35(A)に示すインクカー
トリッジ180Dは、インク容器194の側壁194b
に複数のアクチュエータ106が装着されている。図1
5に示した一体成形された複数のアクチュエータ106
を、これら複数のアクチュエータ106の各々として用
いることが好ましい。複数のアクチュエータ106は、
上下方向に間隔をおいて、側壁194bに配置されてい
る。複数のアクチュエータ106を上下方向に間隔をお
いて側壁194bに配置することによって、インク残量
を段階的に検出することができる。
【0309】図35(B)に示すインクカートリッジ1
80Eは、インク容器194の側壁194bに上下方向
に長いアクチュエータ606が装着されている。上下方
向に長いアクチュエータ606によって、インク容器1
94内のインク残量の変化を連続的に検出することがで
きる。アクチュエータ606の長さは、側壁194bの
高さの半分以上の長さを有することが望ましい。図35
(B)におけるアクチュエータ606は、側壁194b
のほぼ上端からほぼ下端までの長さを有している。
【0310】図35(C)に示すインクカートリッジ1
80Fは、図35(A)に示したインクカートリッジ1
80Dと同様に、インク容器194の側壁194bに複
数のアクチュエータ106が装着されている。また、複
数のアクチュエータ106の直面に所定の間隔をおい
て、上下方向に長い防波壁192を備える。図15に示
した一体成形された複数のアクチュエータ106を、こ
れら複数のアクチュエータ106の各々として用いるこ
とが好ましい。
【0311】アクチュエータ106と防波壁192との
間には、インクで満たされた間隙が形成される。また、
防波壁192とアクチュエータ106との間隔は、毛細
管力によりインクが保持されない程度に空けられてい
る。
【0312】インク容器194が横揺れしたときにイン
ク容器194内部にインクの波が発生し、その衝撃によ
って気体や気泡がアクチュエータ106によって検出さ
れてしまい、アクチュエータ106が誤作動する可能性
がある。しかし、図35(c)のように防波壁192を
設けることによって、アクチュエータ106付近のイン
クの波立ちを防いで、アクチュエータ106の誤作動を
防ぐことができる。また、防波壁192は、インクが揺
動することで発生した気泡がアクチュエータ106に侵
入することを防ぐ。
【0313】図36は、インクカートリッジ180の更
に他の実施形態を示す。図36(A)のインクカートリ
ッジ180Gは、インク容器194の上面194cから
下方に延びる複数の隔壁212を有する。それぞれの隔
壁212の下端とインク容器194の底面とは所定の間
隔が空けられており、インク容器194の底部は連通し
ている。インクカートリッジ180Gは、複数の隔壁2
12のそれぞれによって区画された複数の収容室213
を有する。複数の収容室213の底部は互いに連通す
る。
【0314】複数の収容室213のそれぞれにおいて、
インク容器194の上面194cにアクチュエータ10
6が装着されている。図15に示した一体成形されたア
クチュエータ106を、これら複数のアクチュエータ1
06の各々として用いることが好ましい。アクチュエー
タ106は、インク容器194の収容室213の上面1
94cのほぼ中央に配置される。
【0315】収容室213の容量は、インク供給口18
7側が最も大きく、インク供給口187からインク容器
194の奥へ遠ざかるにつれて徐々に小さくなってい
る。したがって、アクチュエータ106が配置される間
隔も、インク供給口187側が広く、インク供給口18
7からインク容器194の奥へと遠ざかるにつれ、狭く
なっている。
【0316】インクはインク供給口187から排出さ
れ、空気は空気導入口185から入る。このため、イン
ク供給口187側の収容室213のインクから順にイン
クカートリッジ180Gの奥の方の収容室213のイン
クが消費される。例えば、インク供給口187に最も近
い収容室213のインクが消費されて、インク供給口1
87に最も近い収容室213のインクの水位が下がって
いる間、他の収容室213にはインクが満たされてい
る。インク供給口187に最も近い収容室213のイン
クが消費され尽くすと、空気が、インク供給口187か
ら数えて2番目の収容室213に侵入し、2番目の収容
室213内のインクが消費され始めて、2番目の収容室
213のインクの水位が下がり始める。この時点で、イ
ンク供給室187から数えて3番目以降の収容室213
には、インクが満たされている。このように、インク供
給口187に近い収容室213から遠い収容室213へ
と順番にインクが消費される。
【0317】このように、アクチュエータ106がそれ
ぞれの収容室213ごとにインク容器194の上面19
4cに配置されているので、アクチュエータ106はイ
ンク量の減少を段階的に検出することができる。更に、
収容室213の容量が、インク供給口187から奥へ向
かって徐々に小さくなっているので、アクチュエータ1
06がインク量の減少を検出する時間間隔が徐々に小さ
くなり、インクエンドに近づくほど頻度を高く検出する
ことができる。
【0318】図36(B)のインクカートリッジ180
Hは、インク容器194の上面194cから下方に延び
る一つの隔壁212を有する。隔壁212の下端とイン
ク容器194の底面とは所定の間隔が空けられており、
インク容器194の底部は連通している。インクカート
リッジ180Hは、隔壁212によって区画された2室
の収容室213a及び213bを有する。収容室213
a及び213bの底部は互いに連通する。
【0319】インク供給口187側の収容室213aの
容量は、インク供給口187から見て奥の方の収容室2
13bの容量より大きい。特に、収容室213bの容量
は、収容室213aの容量の半分より小さいことが好ま
しい。
【0320】収容室213bの上面194cに、アクチ
ュエータ106が装着される。更に、収容室213bに
は、インクカートリッジ180Hの製造時に入る気泡を
捕らえる溝であるバッファ214が形成される。図36
(B)においては、バッファ214は、インク容器19
4の側壁194bから上方に延びる溝として形成されて
いる。バッファ214は、インク収容室213b内に侵
入した気泡を捕らえる。このため、気泡によってアクチ
ュエータ106がインクエンドを誤認識することを防止
することができる。
【0321】なお、アクチュエータ106を収容室21
3bの上面194cに設けているため、インクニアエン
ドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまで
のインク量に対しては、ドットカウンタによって把握し
た収容室213aでのインクの消費状態に対応した補正
をかけることで、最後までインクを消費することができ
る。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや
間隔を変えたりすることなどによって調節することによ
り、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変え
ることができる。
【0322】図36(C)のインクカートリッジ180
Iは、図36(B)のインクカートリッジ180Hの収
容室213bに、多孔質部材216が充填されたもので
ある。多孔質部材216は、収容室213b内の上面か
ら下面までの全空間を埋めるように設置されており、ア
クチュエータ106と接触している。
【0323】インク容器が倒れた時やキャリッジ上での
往復運動中に、空気がインク収容室213b内に侵入し
てしまい、これがアクチュエータ106の誤作動を引き
起こす可能性がある。しかし、多孔質部材216が備え
られていれば、多孔質部材21が空気を捕らえるため、
アクチュエータ106と空気が接触することを防ぐこと
ができる。また、多孔質部材216はインクをも保持す
るので、インク容器が揺れた場合等でも、インクがアク
チュエータ106にかかってアクチュエータ106がイ
ンク無しをインク有りと誤検出するのを防ぐことができ
る。多孔質部材216は、最も容量が小さい収容室21
3に設置することが好ましい。
【0324】なお、アクチュエータ106を収容室21
3bの上面194cに設けているため、インクニアエン
ドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまで
のインク量に対しては、ドットカウンタによって把握し
た収容室213aでのインクの消費状態に対応した補正
をかけることで、最後までインクを消費することができ
る。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや
間隔を変えたりすることなどによって調節することによ
り、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変え
ることができる。
【0325】図36(D)のインクカートリッジ180
Jは、図36(C)のインクカートリッジ180Iの多
孔質部材216が、孔径の異なる2種類の多孔質部材2
16A及び216Bによって構成されたものである。多
孔質部材216Aが、多孔質部材216Bの上方に配置
されている。上側の多孔質部材216Aの孔径は、下側
の多孔質部材216Bの孔径より大きい。あるいは、多
孔質部材216Aは、多孔質部材216Bよりも液体親
和性が低い部材で形成されてもよい。
【0326】孔径の小さい多孔質部材216Bの方が孔
径の大きい多孔質部材216Aより毛細管力は大きいの
で、収容室213b内のインクは下側の多孔室部材21
6Bに集まり、保持される。したがって、一度空気がア
クチュエータ106まで到達して、アクチュエータ10
6がインク無しを検出すると、インクが再度アクチュエ
ータに到達してアクチュエータ106がインク有りと検
出することが無い。更に、アクチュエータ106から遠
い側の多孔質部材216Bにインクが吸収されるため、
アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良い。この
ため、インク有無を検出するときの音響インピーダンス
変化の変化量が大きくなる。
【0327】なお、アクチュエータ106を収容室21
3bの上面194cに設けているため、インクニアエン
ドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまで
のインク量に対しては、ドットカウンタによって把握し
た収容室213aでのインクの消費状態に対応した補正
をかけることで、最後までインクを消費することができ
る。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや
間隔を変えたりすることなどによって調節することによ
り、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変え
ることができる。
【0328】図37(A)は、図36(C)に示したイ
ンクカートリッジ180Iを変形した実施形態であるイ
ンクカートリッジ180Kを示す断面図である。図37
(A)に示すインクカートリッジ180Kの多孔質部材
216の下部は、インク容器194の底面の方向にむけ
て徐々に小さくなるように圧縮され、水平方向の断面積
及び孔径が小さくなるように設計されている。図37
(A)に示すように、インクカートリッジ180Kは、
多孔質部材216の下部をその孔径が小さくなるように
圧縮するために側壁にリブが設けられている。多孔質部
材216下部の孔径は、圧縮されることにより小さくな
っているので、インクは多孔質部材216下部へと集め
られ、保持される。アクチュエータ106から遠い多孔
質部材216下部にインクが吸収されるため、アクチュ
エータ106近傍のインクの捌けが良い。このため、イ
ンク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変
化量が大きくなる。したがって、インクが揺れることに
よってインクカートリッジ180K上面に装着されたア
クチュエータ106にインクがかかっていしまい、アク
チュエータ106がインク無しをインク有りと誤検出す
ることを防止することができる。
【0329】一方、図37(B)及び図37(C)のイ
ンクカートリッジ180Lは、多孔質部材216の下部
が、インク容器194の幅方向においてインク容器19
4の底面にむけて徐々に小さくなるように圧縮され、水
平方向の断面積及び孔径がインク容器194の底面の方
向にむけて徐々に小さくなっている。多孔質部材216
下部の孔径は、圧縮されることにより小さくなっている
ので、インクは多孔質部材216の下部へと集められ、
保持される。アクチュエータ106から遠い多孔質部材
216Bの下部にインクが吸収されるため、アクチュエ
ータ106近傍のインクの捌けが良い。このため、イン
ク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化
量が大きくなる。したがって、インクが揺れることによ
ってインクカートリッジ180Lの上面に装着されたア
クチュエータ106にインクがかかっていしまい、アク
チュエータ106がインク無しをインク有りと誤検出す
ることを防止することができる。
【0330】図38(A)は、アクチュエータ106を
用いたインクカートリッジの更に他の実施形態を示す。
図38(A)のインクカートリッジ220Aは、インク
カートリッジ220Aの上面から下方へと延びるように
設けられた第1の隔壁222を有する。第1の隔壁22
2の下端とインクカートリッジ220Aの底面との間に
は所定の間隔が空けられており、インクは、インクカー
トリッジ220Aの底面を通じてインク供給口230へ
流入できるようになっている。第1の隔壁222に対す
るインク供給口230側には、インクカートリッジ22
0Aの底面より上方に延びるように第2の隔壁224が
形成されている。第2の隔壁224の上端とインクカー
トリッジ220A上面との間には所定の間隔が空けられ
ており、インクは、インクカートリッジ220Aの上面
を通じてインク供給口230へ流入できるようになって
いる。
【0331】第1の隔壁222によって、インク供給口
230から見て第1の隔壁222の奥の方に第1の収容
室225aが形成される。一方、第2の隔壁224によ
って、インク供給口230から見て第2の隔壁224の
手前側に第2の収容室225bが形成される。第1の収
容室225aの容量は、第2の収容室225bの容量よ
り大きい。第1の隔壁222及び第2の隔壁224の間
には、毛管現象を起こせるだけの間隔が空けられる、す
なわち、毛管路227が形成される。したがって、第1
の収容室225aのインクは、毛管路227の毛細管力
により毛管路227に集められる。このため、気体や気
泡が第2の収容室225bへ混入することを防止するこ
とができる。また、第2の収容室225b内のインクの
水位は、安定的に徐々に下降できる。インク供給口23
0から見て、第1の収容室225aは第2の収容室22
5bより奥に形成されているので、第1の収容室225
aのインクが消費された後で、第2の収容室225bの
インクが消費される。
【0332】そして、インクカートリッジ220Aのイ
ンク供給口230側の側壁、すなわち、第2の収容室2
25bのインク供給口230側の側壁に、アクチュエー
タ106が装着されている。アクチュエータ106は、
第2の収容室225b内のインクの消費状態を検知す
る。アクチュエータ106を第2の収容室225bの側
壁に装着することによって、インクエンドにより近い時
点でのインク残量を安定的に検出することができる。更
に、アクチュエータ106を第2の収容室225bの側
壁に装着する高さを変えることにより、どの時点でのイ
ンク残量をインクエンドとするかを、自由に設定するこ
とができる。
【0333】毛管路227を介して第1の収容室225
aから第2の収容室225bへインクが供給されるた
め、アクチュエータ106は、インクカートリッジ22
0Aの横揺れによるインクの横揺れの影響を受け難い。
従って、アクチュエータ106はインク残量をより確実
に測定できる。更に、毛管路227がインクを保持する
ので、インクが第2の収容室225bから第1の収容室
225aへ逆流することが防止される。
【0334】また、インクカートリッジ220Aの上面
には、逆止弁228が設けられている。逆止弁228
は、インクカートリッジ220Aが横揺れしたときに、
インクがインクカートリッジ220A外部に漏れること
を防ぐ。更に、逆止弁228をインクカートリッジ22
0Aの上面に設置することで、インクのインクカートリ
ッジ220Aからの蒸発をも防ぐことができる。インク
カートリッジ220A内のインクが消費されて、インク
カートリッジ220A内の負圧が逆止弁228の圧力を
越えると、逆止弁228が開いて、インクカートリッジ
220Aに空気を吸入する。これにより、インクカート
リッジ220A内の圧力が略一定に保持される。
【0335】図38(C)及び(D)は、逆止弁228
の詳細の断面を示す図である。図38(C)の逆止弁2
28は、ゴムにより形成された羽根232aを有する弁
232を有する。羽根232aは、インクカートリッジ
220の外部との通気孔233と対向している。羽根2
32aの変形によって、通気孔233が開閉される。す
なわち、インクカートリッジ220内のインクが減少
し、インクカートリッジ220内の負圧が逆止弁228
の圧力を越えると、羽根232aがインクカートリッジ
220の内側に変形して(開いて)、外部の空気がイン
クカートリッジ220内に取り入れられる。
【0336】図38(D)の逆止弁228は、ゴムによ
り形成された弁232とバネ235とを有する。インク
カートリッジ220内の負圧が逆止弁228の圧力を越
えると、弁232がバネ235に抗して(押圧して)下
降し(開いて)、外部の空気がインクカートリッジ22
0内に吸入される。
【0337】一方、図38(B)に示すインクカートリ
ッジ220Bは、図38(A)のインクカートリッジ2
20Aにおいて、逆止弁228を設ける代わりに、第1
の収容室225aに多孔質部材242を配置したもので
ある。多孔質部材242は、インクカートリッジ220
B内のインクを保持すると共に、インクカートリッジ2
20Bが横揺れしたときにインクがインクカートリッジ
220Bの外部へ漏れことを防ぐ。
【0338】以上、キャリッジ及びキャリッジに装着さ
れるキャリッジと別体のインクカートリッジに対して、
当該インクカートリッジ又はキャリッジにアクチュエー
タ106を装着する場合について説明した。しかしなが
ら、キャリッジと一体化され、キャリッジと共にインク
ジェット記録装置に装着されるインクタンクにアクチュ
エータ106を装着してもよい。更に、キャリッジと別
体の、チューブ等を介してキャリッジにインクを供給す
るオフキャリッジ方式のインクタンクにアクチュエータ
106を装着してもよい。また、記録ヘッドとインク容
器とが一体となって交換可能に構成された部材のインク
カートリッジ相当部分に、本発明のアクチュエータを装
着してもよい。
【0339】なお、記録装置制御部2000、200
2、2004、2006、それらの各要素及び制御装置
840c(図10参照)は、コンピュータシステムによ
って構成され得る。ここで、コンピュータシステムにこ
れらの各要素を実現させるためのプログラム及び当該プ
ログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体
201(図5参照)も、本件の保護対象である。
【0340】さらに、前記の各要素が、コンピュータシ
ステム上で動作するOS等のプログラムによって実現さ
れる場合、当該OS等のプログラムを制御する各種命令
を含むプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒
体202も、本件の保護対象である。
【0341】ここで、記録媒体201、202とは、フ
ロッピーディスク等の単体として認識できるものの他、
各種信号を伝搬させるネットワークをも含む。
【0342】なお、液体の例としては、インクの他に、
グルー、マニキュア等が用いられ得る。
【0343】以上、本発明を複数の実施の形態を用いて
説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記
載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な
変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は
改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得るこ
とが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0344】
【発明の効果】本発明によれば、液体消費状態検出器が
複数の圧電素子に対して共通に設けられているため、設
置スペースの点でもコストの点でも、液体消費状態検出
器の構成が効率化され得る。特に、複数の圧電素子が直
列に接続されているため、回路構成が極めて簡単化され
得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクチュエータ106の詳細を示す図である。
【図2】アクチュエータ106の周辺およびその等価回
路を示す図である。
【図3】インクの密度とアクチュエータ106によって
検出されるインクの共振周波数との関係を示す図であ
る。
【図4】アクチュエータ106の逆起電力波形を示す図
である。
【図5】アクチュエータが音響インピーダンスの変化を
検知することで液体容器1内の液体の消費状態を検出
し、検出した結果に基づいてインクジェット記録装置を
制御する記録装置制御部2000の構成を示す図であ
る。
【図6】アクチュエータが音響インピーダンスの変化を
検知することで液体容器1’内の液体の消費状態を検出
し、検出した結果に基づいてインクジェット記録装置を
制御する記録装置制御部2000の構成を示す図であ
る。
【図7】アクチュエータが音響インピーダンスの変化を
検知することで液体容器1A〜1C内の液体の消費状態
を検出し、検出した結果に基づいてインクジェット記録
装置を制御する記録装置制御部2000の構成を示す図
である。
【図8】図5に示した記録装置制御部2000の更に他
の実施の形態を示す図である。
【図9】図8に示した記録装置制御部2004の更に他
の実施の形態を示す図である。
【図10】図9に示した記録装置制御部2006の動作
手順を示すフローチャートである。
【図11】測定回路部800の回路構成を示す図であ
る。
【図12】検出回路部1100の回路構成を示す図であ
る。
【図13】図12に示した液体有無判定部1000の詳
細な回路構成を示す図である。
【図14】周波数帯の実際例の概略を示す図である。
【図15】アクチュエータ106の他の実施形態を示す
図である。
【図16】図15に示したアクチュエータ106の一部
分の断面を示す図である。
【図17】図16に示したアクチュエータ106の全体
の断面を示す図である。
【図18】図15に示したアクチュエータ106の製造
方法を示す図である。
【図19】本発明のインクカートリッジの更に他の実施
形態を示す図である。
【図20】貫通孔1cの他の実施形態を示す図である。
【図21】アクチュエータ660の他の実施形態を示す
図である。
【図22】アクチュエータ670の更に他の実施形態を
示す図である。
【図23】モジュール体100を示す斜視図である。
【図24】図23に示したモジュール体100の構成を
示す分解図である。
【図25】モジュール体100の他の実施形態を示す図
である。
【図26】図25に示したモジュール体400の構成を
示す分解図である。
【図27】モジュール体100の更に他の実施形態を示
す図である。
【図28】図23に示したモジュール体100をインク
容器1に装着した断面の例を示す図である。
【図29】モジュール体100の更に他の実施形態を示
す図である。
【図30】モジュール体100の更に他の実施形態を示
す図である。
【図31】図1および図2に示したアクチュエータ10
6を用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録
装置の実施形態を示す図である。
【図32】インクジェット記録装置の詳細を示す図であ
る。
【図33】図32に示したインクカートリッジ180の
他の実施形態を示す図である。
【図34】インクカートリッジ180の更に他の実施形
態を示す図である。
【図35】インクカートリッジ180の更に他の実施形
態を示す図である。
【図36】インクカートリッジ180の更に他の実施形
態を示す図である。
【図37】図36(C)に示したインクカートリッジ1
80の他の実施形態を示す図である。
【図38】モジュール体100を用いたインクカートリ
ッジの更に他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1、1’、1A〜1C 容器 1a 底面 1b 側壁 1c、40a 貫通孔 1d 側面 1e、1f 段差部 1g、1h 溝 2 インク供給口 40、41 グリーンシート 42、44 導電層 44’ 接続部 47、48 スペーサ部材 67 板材 68 フロート 71 接着剤層 78、80、178 基板 73、82、圧電振動板 74、75 インク吸収体 76 パッキン 77 カシメ孔 81 凹部 100、400,500、700 モジュール体 101、401、501 液体容器取付部 102 基台 104、362 リードワイヤ 105、405、505 圧電装置装着部 106、106b、650、660、670 アクチュ
エータ 106A〜106C アクチュエータ SWA〜SWC 半導体スイッチ 108 フィルム 110 プレート 112、412、370 貫通孔 113 凹部 114 開口部 116 円柱部 160 圧電層 162 キャビティ 164 上部電極 166 下部電極 168 上部電極端子 170 下部電極端子 172 補助電極 174 圧電素子 176 振動板 180 インクカートリッジ 181 空気供給口 182 インク導入部 183 インク導入口 184 ホルダー 185 空気導入口 186 ヘッドプレート 187 インク供給口 188 ノズルプレート 190 ノズル 192 防波壁 194 インク容器 194a 底面 194b 側壁 194c 上面 212 隔壁 213、213a、213b 収容室 214 バッファ 216、216a、216b 多孔質部材 220 インクカートリッジ 222 第1の隔壁 224 第2の隔壁 225a 第1の収容室 225b 第2の収容室 227 毛管路 228 逆止弁 230 インク供給口 232 弁 232a 羽根 233 通気孔 235 バネ 242 多孔質部材 250 キャリッジ 252 記録ヘッド 254 インク供給針 256 サブタンクユニット 258、258’ 凸部 260、260’ 弾性波発生手段 262 インク室 266 膜弁 270 弁体 272 インクカートリッジ 274 容器 274a 底面 274b 側面 276 インク供給口 278 凹部 280、280’ ゲル化材 282 パッキン 284 バネ 286 弁体 288 半導体記憶手段 290 容器 290a 底面 292、294、296 インク室 298、300、302 インク供給口 304、306、308 ゲル化材 310、312、314 凹部 316 板材 318 フロート 350 取付プレート 360 液体容器取付部 364 モールド部 372 シーリング構造 402、502 基台 403、503 円柱部 404、504 リードワイヤ 408、508 フィルム 410、510 プレート 413、513 凹部 414、514 開口部 600 モールド構造体 606 アクチュエータ 610 回路基板 612 端子 800 測定回路部 810 NPN型トランジスタ 812 PNP型トランジスタ 816 基準電位生成部 818、820、828,830、832 抵抗 822、826 コンデンサ 824 ハイパスフィルタ 834、840、842、844、846 端子 836 比較器 840c 制御装置 850 駆動電圧生成部 860 増幅部 880 フィルタ回路部 885A、885B、885C バンドパスフィルタ回
路 900 デジタル回路部 910、918 フリップフロップ 912、920 カウンタ 914,916 NANDゲート 1000 液体有無判定部 1010 液体消費状態補正部 1011 上限値レジスタ 1012 下限値レジスタ 1014、1016 比較部 1018 ANDゲート 1020、1022 端子 1100、1104 検出回路部 1200、1210 液体消費状態検出部 1300 ヘッド部 1400 制御部 1402 記録装置動作制御部 1404 提示処理部 1406 印刷動作制御部 1408 インク補充処理部 1410 カートリッジ交換処理部 1412 印刷データ記憶処理部 1414 印字データ記憶部 1416 ディスプレイ 1418 スピーカ 1420 印刷動作部 1422 インク補充装置 1424 カートリッジ交換装置 1432 クリーニング駆動部 1434 ポンプ 1436 クリーニング部 1440 ヘッド駆動部 1442 クリーニング制御部 1444 情報記憶制御回路部 1450 液体吐出カウンタ 1452 液体消費量補正部 1500、1502、1506 制御回路部 2000、2004、2006 記録装置制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/18 101D

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体を収容する収容空間に少なくとも一部
    が露出すると共に、当該収容空間に対して振動可能な振
    動部と、 駆動信号に基づいて振動部を振動させることが可能であ
    ると共に、振動部の振動によって逆起電力信号を発生さ
    せる圧電素子と、 圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を
    検出する液体消費状態検出部と、を備え、 振動部及び圧電素子は、複数が配置されており、 各振動部は、互いに異なる固有振動数を有しており、 複数の圧電素子は、直列に接続されており、 液体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に
    設けられていることを特徴とする液体消費状態検出器。
  2. 【請求項2】液体を収容する収容空間に少なくとも一部
    が露出すると共に、当該収容空間に対して振動可能な振
    動部と、 駆動信号に基づいて振動部を振動させることが可能であ
    ると共に、振動部の振動によって逆起電力信号を発生さ
    せる圧電素子と、 圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を
    検出する液体消費状態検出部と、を備え、 収容空間は、複数が配置されており、 複数の収容空間の各々に、振動部及び圧電素子が設けら
    れており、 各振動部は、互いに異なる固有振動数を有しており、 複数の圧電素子は、直列に接続されており、 液体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に
    設けられていることを特徴とする液体消費状態検出器。
  3. 【請求項3】液体消費状態検出部は、 各振動部の固有振動数にそれぞれ対応した複数のバンド
    パスフィルタ回路と、 バンドパスフィルタ回路を通過した信号に基づいて液体
    消費状態を検出する検出本体部と、を有していることを
    特徴とする請求項1または2に記載の液体消費状態検出
    器。
  4. 【請求項4】複数のバンドパスフィルタ回路は、並列に
    接続されており、 複数のバンドパスフィルタ回路の各々に、導通用スイッ
    チが接続されていることを特徴とする請求項3に記載の
    液体消費状態検出器。
  5. 【請求項5】前記導通用スイッチは、いずれか1つの導
    通用スイッチが導通状態の時に他の導通用スイッチが非
    道通状態であるよう制御されるようになっていることを
    特徴とする請求項4に記載の液体消費状態検出器。
  6. 【請求項6】前記導通用スイッチは、それぞれ半導体ス
    イッチであることを特徴とする請求項4または5に記載
    の液体消費状態検出器。
  7. 【請求項7】液体消費状態検出部は、逆起電力信号の周
    波数を測定するようになっていることを特徴とする請求
    項1乃至6のいずれかに記載の液体消費状態検出器。
  8. 【請求項8】液体消費状態検出部は、逆起電力信号の所
    定時間の振動回数を計測するカウンタを有しており、当
    該カウンタにより計測された数値に基づいて、逆起電力
    信号の周波数を測定するようになっていることを特徴と
    する請求項7に記載の液体消費状態検出器。
  9. 【請求項9】液体消費状態検出部は、逆起電力信号が所
    定回数だけ振動する間の時間を計測するためのクロック
    カウンタを有しており、当該クロックカウンタにより計
    測された時間に基づいて、逆起電力信号の周波数を測定
    するようになっていることを特徴とする請求項7に記載
    の液体消費状態検出器。
  10. 【請求項10】振動部の液体収容空間に対して露出する
    部分は、液体収容空間側から見て対称な形状となってい
    ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の
    液体消費状態検出器。
  11. 【請求項11】圧電素子は、振動部の液体収容空間に対
    して露出する部分の略中心の位置で、当該振動部の液体
    収容空間側とは反対側に固定されていることを特徴とす
    る請求項10に記載の液体消費状態検出器。
  12. 【請求項12】振動部の液体収容空間に対して露出する
    部分は、液体容器内面側から見て円形となっていること
    を特徴とする請求項10または11に記載の液体消費状
    態検出器。
  13. 【請求項13】圧電素子の振動方向は、振動部の液体収
    容空間に対して露出する部分に対して略垂直となってい
    ることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載
    の液体消費状態検出器。
  14. 【請求項14】液体を収容するための収容空間を区画す
    る壁部と、 請求項1乃至13のいずれかに記載の液体消費状態検出
    器と、を備えたことを特徴とする液体容器。
  15. 【請求項15】液体消費状態検出器によって検出された
    液体消費状態を記憶する記憶部を更に備えたことを特徴
    とする請求項14に記載の液体容器。
  16. 【請求項16】請求項14または15に記載の液体容器
    と、 液体容器に接続され、液体容器内に収容されている液体
    を消費する液体消費本体部と、を備えたことを特徴とす
    る液体消費装置。
  17. 【請求項17】液体を収容する収容空間に少なくとも一
    部が露出すると共に、当該収容空間に対して振動可能な
    振動部と、駆動信号に基づいて振動部を振動させること
    が可能であると共に、振動部の振動によって逆起電力信
    号を発生させる圧電素子と、液体を収容するための収容
    空間を区画する壁部と、を各々有する複数の液体容器
    と、 各圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態
    を検出する液体消費状態検出部と、 各液体容器に接続され、液体容器内に収容されている液
    体を消費する液体消費本体部と、を備え、 各振動部は、互いに異なる固有振動数を有しており、 複数の圧電素子は、直列に接続されており、 液体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に
    設けられていることを特徴とする液体消費装置。
  18. 【請求項18】液体を収容する収容空間に少なくとも一
    部が露出すると共に、当該収容空間に対して振動可能な
    振動部と、駆動信号に基づいて振動部を振動させること
    が可能であると共に、振動部の振動によって逆起電力信
    号を発生させる圧電素子と、液体を収容するための収容
    空間を区画する壁部と、を有する液体容器と、 圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を
    検出する液体消費状態検出部と、 液体容器に接続され、液体容器内に収容されている液体
    を消費する液体消費本体部と、を備え、 収容空間は、複数が配置されており、 複数の収容空間の各々に、振動部及び圧電素子が設けら
    れており、 各振動部は、互いに異なる固有振動数を有しており、 複数の圧電素子は、直列に接続されており、 液体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に
    設けられていることを特徴とする液体消費装置。
  19. 【請求項19】液体消費状態検出部によって検出された
    液体容器の液体消費状態に基づいて、液体消費本体部に
    おける液体の消費動作を制御する制御回路部を更に備え
    たことを特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記
    載の液体消費装置。
  20. 【請求項20】液体消費状態検出器によって検出された
    液体消費状態を記憶する記憶部と、 記憶部によって記憶された液体容器の液体消費状態に基
    づいて、液体消費本体部における液体の消費動作を制御
    する制御回路部と、を備えたことを特徴とする請求項1
    6乃至18のいずれかに記載の液体消費装置。
  21. 【請求項21】請求項1に記載の液体消費状態検出器を
    制御する制御装置であって、 直列に接続された圧電素子に駆動信号を与え、液体消費
    状態検出部に液体消費状態を検出させることを特徴とす
    る制御装置。
  22. 【請求項22】請求項2に記載の液体消費状態検出器を
    制御する制御装置であって、 直列に接続された圧電素子に駆動信号を与え、液体消費
    状態検出部に液体消費状態を検出させることを特徴とす
    る制御装置。
  23. 【請求項23】少なくとも1台のコンピュータを含むコ
    ンピュータシステムによって実行されて、前記コンピュ
    ータシステムに請求項21または22に記載の制御装置
    を実現させるプログラムを記録したコンピュータ読取り
    可能な記録媒体。
  24. 【請求項24】少なくとも1台のコンピュータを含むコ
    ンピュータシステム上で動作する第2のプログラムを制
    御する命令が含まれており、 前記コンピュータシステムによって実行されて、前記第
    2のプログラムを制御して、前記コンピュータシステム
    に請求項21または22に記載の制御装置を実現させる
    プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013107367A (ja) * 2011-11-24 2013-06-06 Ricoh Co Ltd 画像形成装置、画像形成装置の制御方法及び制御プログラム
KR20190106288A (ko) * 2018-03-08 2019-09-18 현대자동차주식회사 연료전지용 워터트랩장치 및 그 제어방법

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KR20190106288A (ko) * 2018-03-08 2019-09-18 현대자동차주식회사 연료전지용 워터트랩장치 및 그 제어방법
KR102575714B1 (ko) * 2018-03-08 2023-09-07 현대자동차주식회사 연료전지용 워터트랩장치 및 그 제어방법

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