JP2002147855A - 温水手段及び局部洗浄装置 - Google Patents

温水手段及び局部洗浄装置

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JP2002147855A
JP2002147855A JP2000337549A JP2000337549A JP2002147855A JP 2002147855 A JP2002147855 A JP 2002147855A JP 2000337549 A JP2000337549 A JP 2000337549A JP 2000337549 A JP2000337549 A JP 2000337549A JP 2002147855 A JP2002147855 A JP 2002147855A
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hot water
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temperature
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Hidefumi Fujimoto
英史 藤本
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ローコストで安全性、信頼性の高い局部洗浄
装置用の温水装置を提供する。 【解決手段】 入水口と出湯口とが連通した筒状の熱交
換手段の内部に水を通して温水を生成する温水手段にお
いて、熱交換手段内の実質的に伝熱可能な伝熱面により
構成された通水路の水と接する内壁面近傍での壁面と鉛
直方向の水の温度分布の傾きを急峻化するように、断面
形状を設計した通水路を内設固定したことなどによりロ
ーコストで安全性、信頼性の高い局部洗浄装置用の温水
装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に水を所定温度
に加熱する局部洗浄装置用の温水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、円筒状や平板状の基材の内部に薄
肉状の発熱体を埋設し、基材の内外面や表裏面に通水し
て温水を生成する温水装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような温水生成方法においては、概して水と加熱部との
接触面積が小さく、水を効率よく加熱するためには所望
の温水温度に比べて加熱部の表面温度は非常に高い場合
がある。このため、高度な電力制御手段や万一の高温吐
水防止手段などを付加しなければ、安全性に関して信頼
性が得られないといった課題があった。また、加熱部と
水との接触箇所においては、加熱部の温度が所望の温水
温度に比べてかなり高く、加熱部の表面温度が100℃
近くまで達し、この近傍では水が沸騰状態となり、熱交
換器に金属材料が使われた場合などには経年時、孔食に
よる漏水、漏電が生じたり、水あかの析出が促進され通
水路が目詰まりし圧損の増大による流量低下、最悪の場
合断水といった不具合があった。例えば、実公平1−4
2757や特開平10−318605などに瞬間式温水
装置の従来例が記載されているが、加熱ヒータにセラミ
ックを使い、セラミックヒータ面に直接水を接触させて
温水生成している。これによれば、孔食などの腐食には
耐久性があるが、しかし、加熱ヒータの水との接触面積
が小さく、水を効率よく加熱するためには所望の温水温
度に比べて加熱部の表面温度は非常に高い場合がある。
さらに、熱交換器の出湯口近くでサーミスタなどによる
水温の検知を行っている。この場所ではヒーターの温度
を直接検知制御できず、水が流れていない時にヒータが
万が一ONするとヒータの温度は上昇しているにもかか
わらず出湯口の水温は上昇ぜずヒータはさらに温度上昇
するという熱暴走の状態となってしまう。このため、水
流検知、水位検知さらには水位検知を安全に働かせるた
めの傾斜検知まで行っている。このように、高度な電力
制御手段や万一の高温吐水防止手段や火災防止策などを
付加した安全装置を何重にもしなければ、温度の安定性
や安全性に関して信頼性が得られないといった課題があ
った。特に、空だきや熱交換器内の水の量が減り、セラ
ミックヒータの加熱部の一部が空気に接したりするとそ
の近傍のみ異常加熱で温度が上昇し、熱膨張差による熱
ストレスでセラミックヒータが割れて内部に内設した電
気加熱発熱体が水と直接接触し、漏電、感電といった危
険性があった。
【0004】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、ローコストで安全性、信頼性の高い局部洗浄
装置用の温水装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明では、入水口と出湯口とが連通した筒状の
熱交換手段の内部に水を通して温水を生成する温水手段
において、熱交換手段内の実質的に伝熱可能な伝熱面に
より構成された通水路の水と接する内壁面近傍での壁面
と鉛直方向の水の温度分布の勾配を急峻化するように、
断面形状を設計した通水路を内設固定したことを特徴と
する温水手段を提供する。
【0006】この作用効果について以下に説明する。熱
交換器の内部の通水路の壁と接触する近傍の水は、壁と
の摩擦などにより水流の速度が主流に比べて遅い流域が
でき、熱交換器の通水路の壁からの熱エネルギーが水流
に伝わりにくい境界領域が存在し、この領域では水の熱
伝導率が律束となり効率よく熱伝達できない。一般に伝
熱量は、熱伝達率×伝熱面積×温度差で与えられる。効
率よく熱エネルギーを水に伝えるには、 1)熱伝達率を大きくする、 2)伝熱面積を大きくする、 3)温度差を大きくする、 が考えられる。熱伝達率を大きくするには、通水路の断
面積を小さくし、そこを流れる水の流速を速くすること
が考えられる。しかし、流速を上げるとその二乗に比例
して圧損が上昇し、給水圧の低い地域などでは十分な吐
水量が得られないといった問題がある。また、温度差を
大きくするでは、前記熱交換手段の温度を高くしすぎる
と、やけど、耐食性、目詰まりなどの問題が発生する。
また伝熱面積を大きくするには、通水路の断面積を大き
くするか、通水路の長さを長くすればよい。しかし、通
水路の断面積を断面形状が略類似のまま大きくして、伝
熱面積を大きくも層流で水が流れる場合には、伝熱効率
を良くする効果がない。一方、通水路の長さを長くすれ
ば、それに応じて伝熱効率を良くすることができる。
【0007】そこで本発明では、前記通水路の水と接す
る壁の近傍では、水の熱伝導率が律束となり、効率よく
熱伝達できない領域での、熱エネルギーの伝わりやすさ
は、温度差に比例し、該領域の厚さ(距離)に反比例す
るため、通水路の伝熱壁の水と接する近傍での温度分布
の勾配を大きくすることによって得られるため、熱交換
手段内の実質的に伝熱可能な伝熱面により構成された通
水路の水と接する内壁面近傍での壁面と鉛直方向の水の
温度分布の傾きを急峻化するように、断面形状を設計し
た通水路を内設固定したことで、この熱が伝わりにくい
領域を限りなく薄くし、熱が伝わりやすくするようにし
た。
【0008】このような改善手段を設けることにより、
加熱手段を設けた通水路の内壁面の近傍においては、加
熱された水からその周辺にある非加熱水に熱が伝導して
周囲の水が効率よく加熱され、加熱手段による熱伝達の
効率を向上でき、迅速に所定温度の温水を生成でき、温
水装置全体を小型化することができる。しかも、加熱手
段による熱伝達の効率を向上できるので、温水装置の使
用開始とともに直ちに適温の温水を供給できる。これに
よって、従来にくらべて同様な温水昇温幅にも関わらず
熱交換器容積を減少でき、トイレ空間のようにコンパク
トが要求される箇所では好適である。特に局部洗浄装置
ではデザイン性が近年とみに求められたり、さらなるコ
ンパクト要求や各種の大便器、特に外国製便器への取付
を容易に可能とするためには局部洗浄装置本体のコンパ
クト化が求められており、この要求に答えることができ
る。
【0009】第2の発明では、通水路の断面形状が略扁
平となるように設計したことを特徴とする請求項1に記
載の温水手段を提供する。
【0010】これによれば、通水路の断面積を減少させ
ずに、前記熱交換手段内の実質的に伝熱可能な伝熱面に
より構成された通水路の水と接する内壁面近傍での壁面
と鉛直方向の水の温度分布の傾きを急峻化するように、
断面形状を設計した通水路を内設固定するための手段と
して、通水路の断面形状を略扁平となるように設計し
た。これによって、通水路の断面積が減少して圧損が増
大することを防げる。さらに、通水路の断面形状を略扁
平とすることで通水路の略対向する伝熱壁間の距離が小
さくなるため、通水路の伝熱壁の水と接する近傍での温
度分布の勾配を大きくすることができる。これにより、
前記したような効果をもたらす。
【0011】第3の発明では、通水路の断面形状が略矩
形で長辺/短辺のアスペクト比が略1より大きく設計し
たことを特徴とする第1の発明乃至第2の発明に記載の
温水手段を提供する。
【0012】これによれば、断面形状の長辺/短辺比が
略1のまま断面積を減じて水の流速を速めた場合にくら
べて、低圧損でより効率よく熱を水に伝えることができ
る。これは、通水路の断面形状の長辺と短辺のうち伝熱
面積を広くとれる長辺の通水路壁と水の流れの距離が短
く、水の主流が前記通水路の壁と接触する近傍の熱が伝
わりにくい領域を限りなく薄くし、熱が伝わりやすくな
るためである。
【0013】第4の発明では、熱交換手段の通水路断面
の少なくとも一対の略対向した平均的な壁面間隔が0m
mより大きく、2mmより小さい範囲にあることを特徴
とする第1の発明乃至第3の発明に記載の温水手段を提
供する。
【0014】これによれば、より具体的には、本発明の
ように設計することにより、通水路の断面形状の長辺と
短辺のうち伝熱面積を広くとれる長辺の通水路壁と水の
流れの距離が短く、通水路の水と接する内壁面近傍での
壁面と鉛直方向の水の温度分布の傾きを急峻化でき、水
の主流が前記通水路の壁と接触する近傍の熱が伝わりに
くい領域を限りなく薄くし、熱が伝わりやすくすること
ができる。
【0015】第5の発明では、熱交換手段の通水路長の
総和が略0.01m〜100m、より好ましくは略0.
08〜25mであることを特徴とする第1の発明乃至第
4の発明に記載の温水手段を提供する。
【0016】これによれば、特に、熱交換手段の通水路
壁の温度を所望の吐水温水温度より、あまり上げない場
合には、熱交換手段の通水路内の水が、出湯口に近づく
ほど水温は上昇し、熱交換手段の通水路内壁との温度差
が減少し、伝熱効率が次第に低下することになる。通水
路長の総和を上記した範囲内で所望の温水温度となるよ
うに設計することによって、加熱手段からの熱エネルギ
ーが水に効率よく伝達できるようになり、ヒーター温度
を人体にとって危険な温度域まで上げずとも所望の温水
温度とできるので、本質的に安全な温水装置にできる。
通水路長の総和は、長ければ長いほど所望の温度に近づ
きよいが、長すぎると圧損が増えたり容積が大きくなっ
たりする不具合がでる。また、これによってコストアッ
プとなる。これにより、熱交換手段の通水路壁の温度を
使用者が火傷しない程度の温度として、所望の温水温度
を吐水することができるようになる。圧損を低減する解
決手段については下記する。
【0017】第6の発明では、通水路が多数並列に形成
されていることを特徴とする第1の発明乃至第5の発明
のいずれかに記載の温水手段を提供する。
【0018】これによれば、熱交換器での圧損が低くで
きる。一般に圧損は、水の流速の2乗に比例するため多
数並列に通水路を配設するとこれらの通水路に水が分流
でながれ一本の通水路に流れる水量が減少し低圧損とで
きる。この場合、水の流れは層流になる場合が多い。ま
た、通水路を不連続に形成することで略乱流状態も作り
出せ、さらに効率よく熱伝達可能となる。これによっ
て、上水などが低水圧地域や屋上に貯水タンクのある高
層建造物の上階や低圧型電気温水器から給水する場合に
は所望の水量を確保できないといった問題を解消でき
る。また、多数の通水路孔に均等に水が流れるように整
流手段を内設しても良い。
【0019】第7の発明では、熱交換手段が熱伝導材料
で形成されたことを特徴とする第1の発明乃至第6の発
明のいずれかに記載の温水手段を提供する
【0020】これによれば、加熱手段と熱交換手段が熱
的に結合され、加熱手段からの熱エネルギーが熱交換手
段に伝わる際に、熱伝導性が小さいと熱交換手段の隅々
までこの熱エネルギーが伝わらず水を十分に暖められな
い場合があり、伝熱効率が悪くなることがある。熱伝導
性が良いと熱交換手段内が複雑形状となっても隅々まで
熱エネルギーが行き渡り効率良く温水生成できる。
【0021】熱伝導材料としては、銅、しんちゅうなど
の銅基合金、アルミ、ステンレスなどの鉄基合金、チタ
ン合金、ニッケル合金、フッ化グラファイトなど好適に
使用できる。
【0022】第8の発明では、熱交換手段の少なくとも
水と接する最表面が耐食材料で形成されたことを特徴と
する第1の発明乃至第7の発明のいずれかに記載の温水
手段を提供する。
【0023】これによれば、長期間の使用でも孔食など
による漏水がなく、これによって引き起こされる漏電な
どなく安全に使用できる。耐食材料としては、銅基、鉄
基、チタン基、ニッケル基、Sn基、フッ化ニッケルな
どやPt、Auなどといった貴金属が好適に使用でき
る。
【0024】また、熱交換手段全体が同一材料である必
要はなく、たとえば母材がアルミで水と接する最表面の
み耐食性に優れたSUSにするといったこともできる。
これによって、アルミの持つ熱容量の少なさによる温度
の立ち上がりの良さや、加工性の良さによりローコスト
に作れる。最表層のみ耐食材料とする手段は、電気メッ
キ、溶融メッキ、溶射などのコーティング法やクラッド
法などが適宜使用できる。
【0025】第9の発明では、熱交換手段が少なくとも
水と接する表面が電気絶縁材料で形成されたことを特徴
とする第1の発明乃至第8の発明のいずれかに記載の温
水手段を提供する。
【0026】これによれば、万一加熱手段の電気絶縁機
能がブレークダウンした場合でも、加熱手段と水との電
気絶縁性を保て安全に使用でき漏電ブレーカーなどの付
加安全装置を省け、ローコスト化に寄与できる。電気絶
縁材料としては、アルミナ、SiC、ALN、BN、フ
ッ化グラファイトなど電気絶縁性だけでなく熱伝導性の
良い材料はさらに好適に使用できる。
【0027】第10の発明では、熱交換手段の水と接す
る面の少なくとも最表面にSi酸化物や炭酸Caなどで
構成された水アカに対して難付着性あるいは易剥離性の
層が形成されたことを特徴とする第1の発明乃至第9の
発明のいずれかに記載の温水手段を提供する。
【0028】これによれば、熱交換手段の通水路の断面
面積を小さくできコンパクトな熱交換手段とすることが
できる。難付着性あるいは易剥離性の層としては、シリ
コーン系、フッ素系、フルオロアルキル基を有するシラ
ン化合物などや溶融Snメッキなどが好適に使用でき
る。これらの材料の持つ特性として、その表面エネルギ
ーが低く他の物質と接しても互いに引き合う力が弱く、
付きにくくまた付いてもとれやすくなる性質を利用した
ものである。長期間使用時の水アカ等のスケール付着に
よる熱伝達効率の低下を未然に防げる。
【0029】第11の発明では、加熱手段がPTCヒー
タなど熱量制御機能あるいは手段を併せ持ったことを特
徴とする第1の発明乃至第10の発明のいずれかに記載
の温水手段を提供する。
【0030】これによれば、加熱手段を直接制御する熱
量制御手段をもっていれば高効率な熱交換手段と相まっ
て、加熱手段の温度が使用者にとって危険な温度まで上
昇することを防げ、しかも簡易な制御でもよくローコス
ト化に寄与できる。さらに、加熱手段自身が自己温度制
御機能を有していれば、加熱と自己温度制御が同時に可
能でローコストで部品点数が減らせることで、信頼性の
高いものとなる。また、PTCヒータは、万一故障して
も熱暴走することがなく加熱できない不良モードとなる
ので、本質的に安全となる。それにより、ヒータ近傍の
樹脂材料に難燃グレードや高耐熱グレードを使わなくて
も良くなる。
【0031】また、PTCの利点は温度が上がりすぎる
と自身で電力を制御してそれ以上の温度上昇をコントロ
ールすることで、たとえば熱交換手段と加熱手段を熱結
合して使用した場合、ある一カ所が熱結合不足でたとえ
ば空気層があったりすると通常の加熱手段ではその箇所
だけ熱を熱交換手段に伝えられず、どんどん温度上昇し
異常加熱が起き加熱手段が電気絶縁破壊や割れたり燃焼
したりといった装置の重要な信頼性を損なう結果となり
やすいが、本発明ではPTC加熱手段内のどの箇所でも
個々に自己温度制御機能を有しているので、ヒートスポ
ットは本質的に起きず安全に使用できる。
【0032】また、局部洗浄する温水温度を変更したい
場合には、簡易電子温度制御で加熱手段と熱交換手段の
温度制御を行う場合には、制御手段の温度設定を任意に
変更できるようにしておけばよいが、自己温度制御機能
を有した加熱手段の場合には温度を一定に保つ動作をす
るため、吐水温水温度を変更したい場合には、温水手段
の後段で水と混合調整する手段を設けて温度微調整して
もよい。
【0033】第12の発明では、熱交換手段温度と温水
吐出温度とを略同一、あるいは、ある温度差の中で保持
してなるように設計したことを特徴とする第1の発明乃
至第11の発明のいずれかに記載の温水手段を提供す
る。
【0034】これによれば、従来型の瞬間式では使用者
が吐水開始操作後に水流量、圧力、水位などを検知する
ことで水が流れていることを確認判断して、ヒータ加熱
を開始していた。万一上記水の流れ検知手段が故障し、
水が流れていないにもかかわらず流れていると誤った判
断がなされると、ヒータ加熱により熱交換器内部の水は
沸騰状態になっているにもかかわらず、一般に水温検知
手段は熱交換手段の出湯口に配設されヒータ温度そのも
のを制御しているのではないので、この近傍の水温は低
い状態となり、ヒータが熱暴走し人体にとって危険な状
態となる。また、この状態が続くと装置の火災といった
最悪の事態となることもあり得る。
【0035】また、吐水のON,OFFを使用者が繰り
返し行うと、たとえば、吐水OFFの直後にはヒータO
FFになったにもかかわらず、若干冷水が熱交換手段内
部に流れ込み、続けざまに吐水ONにすると一瞬の間ノ
ズルから冷水が吐出し、使用者の局部を急に冷水が刺激
し、精神衛生上苦痛をあたえることがあった。
【0036】また、逆に吐水OFFになったにもかかわ
らず、ヒータの発熱部の温度は一般的に150℃以上ま
で上昇していることがあり、ヒータOFFになってもヒ
ータの持つ熱容量(残熱)により、熱交換器内部の水は
加熱され再度使用者が吐水ONすると熱い湯がノズルか
ら噴出し使用者のデリケートな局部をやけどさせるとい
った危険性もあった。
【0037】これに対して、本発明では熱交換手段温度
と温水吐出温度とを略同一としたことで、水の流れを検
知せずとも、たとえば、使用者の着座を検知してヒータ
ONしたり、人体検知手段で使用者が入室した時点でヒ
ータONすることもできる。これによって、使用者の吐
水操作時にはヒータ、熱交換手段、熱交換手段内部の水
も充分所望の温度になっており、いきなり冷水がでると
いった不具合がなくなる。なお、熱交換手段からノズル
先端までの残水は、熱交換手段を装置本体のノズル収納
近傍に置けば暖められる。また、局部洗浄前にノズルク
リーニング、捨て水、便器ボウル面プレ洗浄に用いても
良い。また、使用者の吐水操作時にヒータONしてもよ
い。
【0038】さらに、水が流れていなくても加熱できる
ので、たとえば冬場の夜など装置内の水が凍って温水装
置や周辺の配管などが割れたりする問題に対して、水抜
きで対処したり、専用のヒーターを付けたりしている
が、本装置では常時加熱手段をONすることも可能で内
部が凍ることはなく利用できる。
【0039】第13の発明では、加熱手段と熱交換手段
とは均熱手段を介して熱的に結合されていることを特徴
とする第1の発明乃至第12の発明のいずれかに記載の
温水手段を提供する。
【0040】これによれば、加熱手段が熱交換手段の全
面になくても均熱手段を介して熱交換手段に熱を拡散で
きるので、加熱手段はコンパクトでよく、加熱手段のロ
ーコスト化に寄与できる。また、均熱板によって熱交換
手段の均熱化がはかれ所望の温度を得やすくなる。
【0041】さらに、加熱手段が大面積を加熱しなけれ
ばならない場合などでは、入水口近くでは加熱手段の温
度が下がり気味で、出湯口近くでは温度が上がり気味に
なりやすく、たとえば加熱手段にセラミック製のものを
用いた場合などでは、加熱手段内の温度ムラによる熱膨
張差で熱ストレスが生じ、セラミック製加熱手段が割れ
てしまうといった不具合を解消できる。
【0042】さらには、加熱手段と熱交換手段の間の熱
結合が不十分で一カ所空気層などが、この間にあったり
するとそこだけ熱が伝わらず、加熱手段の一部だけ異常
加熱を起こす(ヒートスポット)危険性も防げ信頼性を
増すことができる。
【0043】熱的結合手段としては、ロー付けやハンダ
付けなどの溶接、導電性熱伝導性接着剤、絶縁性熱伝導
接着剤、シリコーングリースなどのゲル状粘着材などが
好適に使用できる。
【0044】均熱手段としては、熱伝導率の良い銅、グ
ラファイト、アルミ、BN、ALN、SiCなど用いて
もよいし、ヒートパイプのようにさらに熱伝導、熱輸送
性の高い手段を用いれば好適である。特に、ループ式の
ような平板状にでき均熱輸送ができるものが好適であ
る。
【0045】第14の発明では、熱交換手段あるいは加
熱手段の任意の近傍に熱暴走防止手段を配設したことを
特徴とする第1の発明乃至第13の発明のいずれかに記
載の温水手段を提供する。
【0046】これによれば、万一加熱手段、熱量制御手
段が何らかの理由で故障して熱暴走するような事態にな
っても、燃焼や漏電といった災害を未然に防げる。
【0047】熱暴走防止手段としては、形状記憶合金、
バイメタル、サーマルリードスイッチ、PTCサーミス
タなど繰り返し動作復帰可能な手段を配設したことを特
徴とする。従来技術では出湯温度を測定するために熱交
換器ケーシングに孔をあけOリングなどでシールして温
度検知を行っていた。本発明によれば、出湯温度と熱交
換器温度を略同一とできるので、直接水温を測る必要は
なく、万一の安全対策として熱交換器の出湯近傍やヒー
タ近傍に上記手段を配設することで対応でき、熱交換器
の製造工程、組立工程、部品点数を削減でき、コストダ
ウンが可能となる。
【0048】さらに熱暴走防止手段が温度フューズや電
流フューズ、バイメタルスイッチなどの動作自動復帰不
可能な手段を配設してもよい。動作復帰可能な手段と不
可能な手段を組み合わせて使用するのが好適である。
【0049】第15の発明では、加熱手段と熱交換手段
に蓄熱手段が熱結合されたことを特徴とする第1の発明
乃至第14の発明のいずれかに記載の温水手段を提供す
る。
【0050】これによれば、特に均熱手段を利用すれば
蓄熱手段との熱の出し入れが速やかに行えるので、セミ
貯湯のように熱エネルギーのみ蓄熱し、温水が必要な時
に瞬間で温水を生成できるので、従来たとえば40℃で
貯湯した場合などでは、1日も経てば雑菌が繁殖すると
いった不具合がなく、局部洗浄においては炎症を防止で
き衛生的に使用できる。蓄熱のみでもヒータ併用でもよ
い。また、通常の貯湯タンク容量よりコンパクト化でき
るので、放熱による熱エネルギーのロスが少なくでき省
エネとなる。
【0051】瞬間式においても、加熱手段の補助熱エネ
ルギーとして使える。例えば日本国内の一般家庭で使用
できる電力容量は1500W以下のことが多く、おのず
と昇温可能温度は水量によって制限される。(たとえ
ば、1200Wの電力で流量0.7L/分の水の昇温温
度範囲は入水温度プラス略25℃であり、冬時期の入水
温度が5度以下の場合、出湯温度は30℃にしか到達せ
ず物足りない場合がある。)本発明のように、蓄熱エネ
ルギーを速やかに取り出せれば、瞬間電力プラス蓄熱エ
ネルギー加熱で電力と蓄熱量に応じて、昇温範囲や水量
を設定できる。
【0052】水道水の圧力の耐圧は熱交換手段のみでよ
く、蓄熱部は耐圧構造が必要なくローコスト化に寄与で
きる。特に、従来貯湯方式が大容量の場合には貯湯タン
クを耐圧構造にするとコスト並びに大きく重くなり実用
的でなかった。たとえば、従来の電気温水器などでは水
道圧を減圧し、ゲージ圧で1kg/cm2以下でしか使えず配
管が長くなったりして圧損があると所望の流量が得られ
なかった。圧力がほしい場合には、加圧ポンプを併用し
ていた。本発明によりこのような不具合を解消でき、使
用者は刺激感のある洗浄行為を行える。
【0053】また、蓄熱槽は断熱保温できる構造が好ま
しい。たとえば、ステンレス製などの真空断熱壁を持っ
た容器であれば、一度所望の温水温度とすれば一昼夜以
上略一定の温度を保ち、従来保温のためのエネルギーが
ほぼ必要なくなる。これは、上記のように蓄熱槽が耐圧
構造である必要がないことから比較的にローコストで実
現できる。たとえば、熱交換手段を真空ロー付け法で組
立てる場合など、必然的に高真空中でロー付けするため
自ずと真空容器は作れることになる。
【0054】また、蓄熱材としては潜熱型を利用すれば
溶解時あるいは凝固時に略一定の温度とでき、所望の温
水温度とその温度と略同一にした熱交換手段とあいまっ
て一定温度の温水を供給できる。たとえば、パラフィン
は分子量を選べば略40℃で溶融、凝固点を繰り返すこ
とができる。蓄熱槽中に均熱手段があれば、大容量の蓄
熱材とも速やかに熱の出し入れができ局部洗浄装置だけ
にかぎらず、蓄熱瞬間式温水装置などに利用できる。
【0055】また、過冷却型の蓄熱材を使えば一度溶解
させておけば、凝固点より温度が下がっても蓄熱材は固
まらずに過冷却の状態とでき、電気刺激や圧力、機械刺
激、温度刺激などを与えると凝固を開始し蓄熱した熱エ
ネルギーを放出し始める。これを利用すれば、保温の必
要がなく省エネ型蓄熱温水装置とできる。
【0056】第16の発明では、温水手段の前段にプレ
フィルタを配設したことを特徴とする第1の発明乃至第
15の発明のいずれかに記載の温水装置を提供する。
【0057】これによれば、上水、井水や大便器洗浄用
の貯水タンクの水をポンプ加圧して流れ込んできた赤さ
び、配管工事時などの金属片、スライムやカビなどの微
生物由来の異物などをトラップでき熱交換器の通水路の
詰まりを未然に防げる。また、適宜フィルタのクリーニ
ングができるように脱着できる構造が使用できる。プレ
フィルタとしては、金属金網メッシュ、焼結金属多孔
体、フェルト状金属などや、その他有機樹脂製でも適宜
使用できる。Cu、Zn、Agなど抗菌機能を有した成
分を含んだ金属が好適である。あるいは、抗菌剤として
抗菌金属、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤を含んだ樹脂で
も良い。抗菌機能付与によりフィルタ面での菌の増殖を
抑制でき、たとえばフィルタ面でスライムが発生しフィ
ルタが目詰まりするといったトラブルを未然に防止でき
る。
【0058】第17の発明では、入水口から出湯口に至
る通水路がその途上において複数の通水路に分岐され、
その分岐された熱交換手段内の実質的に伝熱可能な伝熱
面により構成された通水路の断面形状が通水路の内壁面
近傍での壁面と鉛直方向の水の温度分布の傾きを急峻化
するように断面形状を設計した通水路を内設固定した熱
交換手段と、該熱交換手段に当接する加熱手段と、該加
熱手段の加熱量を制御する加熱量制御手段と、を有する
温水手段を提供する。
【0059】本発明によれば、加熱手段の熱エネルギー
を効率よく熱伝達でき、迅速に所定温度の温水を生成で
き、温水装置全体を小型化することができる。しかも、
温水装置の使用開始とともに直ちに適温の温水を供給で
きる。
【0060】また、本発明に係る構成要件と、前記各発
明に係る構成要件とを適宜組み合わせることにより、そ
れらの効果を併せ持った温水手段を提供することもでき
る。
【0061】第18の発明では、第1の発明乃至第17
の発明のいずれかに記載の温水手段を備えた局部洗浄装
置を提供する。
【0062】これによれば、コンパクトが要求されるト
イレ空間の、しかも便座に組み込まれた温水洗浄便座に
おいては好適である。
【0063】また、近年洗浄水の節水化、高機能化、た
とえばマッサージ機能などは、水流を間欠状に供給する
ことで局部近辺を刺激し便意促進効果をもたらす。局部
は、温度に対して他の部位に比べて鋭敏な感覚を持ち、
安定した温水温度の維持が必要で、水流が間欠状など急
激に変化し温水温度を安定に制御するには高度な制御が
不可欠であった。そのため、高価な電子制御手段を搭載
した高価な装置となっていた。本発明によれば、熱交換
器温度と出湯温度を略同一とすることも可能で簡便でロ
ーコストな制御で安定した水温が供給できる利点があ
る。
【0064】また、本発明に係る構成要件と、前記各発
明に係る構成要件とを適宜組み合わせることにより、そ
れらの効果を併せ持った温水手段を備えた局部洗浄装置
を提供することもできる。
【0065】その他、本発明を利用した温水装置として
は、これに限らず大便器、小便器の洗浄、各種人体洗浄
用、食器洗浄機などに好適に使用できる。また、本装置
の構成の加熱手段を冷却手段とすれば、逆に効率のよい
冷水装置ともできる。冷水と温水を交互に使用して血行
促進などに好適に使用できる。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、本発明の局部洗浄装置用の
温水装置について説明する。なお、局部洗浄装置の構成
は従来より周知であるため、図示および詳細は省略す
る。
【0067】(温水装置の第一実施例)図1、2に本発
明の局部洗浄装置用の温水装置の概要を示す。
【0068】図1は、温水装置の外観図で入水口2より
水が供給され、筒状の熱交換手段4中に多数並列に配設
された通水路6に分流して流れ、多数並列に配設された
通水路6より出たあと集流され、出湯口3より温水とし
て取り出せる。その過程で平板状PTCヒーター1が熱
交換器4の両面に熱結合されている。熱結合の方法は、
伝熱グリースや伝熱接着材で固着させてもよい。また、
ハンダなどで接合してもよい。本構成では、PTCヒー
ターを人体に危険でない温度で使用するので、有機質の
材料が利用できる。
【0069】図2は、熱交換器内部を示す構成部品図
で、筒状の熱交換器を構成する部材5、7間に通水路を
形成する波板6が挿入されている。これら部材5、6、
7は、たとえば銅製でロー付け法で強固に固定されてい
る。また、銅製にかぎらずSUSでも利用できる。ま
た、セラミックヒータなど電気絶縁性の材料を使った物
では、直接水と接する構造をとっても良い。また、本実
施例では入水口を下面に、出湯口を上面の例を示した
が、適宜設計すればよく、たとえば、両方とも上面、両
方とも下面、あるいは、入水口2を上面、出湯口3を下
面でもよい。また、入水口2、出湯口3の位置も熱交換
器本体4の横幅方向(水の流れと直角方向)の略中央で
ある必要はなく、どちらか側に寄っていてもよい。特
に、熱交換器本体4を横向きに配設した場合など、側面
側にあると水抜き時に好適に設計できる。
【0070】図3、4は、本発明の熱交換手段内部の通
水路の断面形状を示す。
【0071】図3は、熱交換器本体4内の通水路の一部
を示している。図中、上面、下面から加熱手段にて熱エ
ネルギーを伝え、通水路の断面形状は略矩形で上下方向
に扁平となっている。
【0072】図4は、長辺、短辺の定義について例示し
たもので、通水路断面形状は図3における上下方向に扁
平でも、左右に扁平でもよい。
【0073】図5は、図2における通水路断面を形成す
る構成部品6のその他の例を示したものである。本例で
は、略三角形とし三角形において一般的にいわれる底辺
を短辺、高さを長辺とした。逆に、底辺を長辺、高さを
短辺としてもよい。
【0074】図6は、図2における通水路断面を形成す
る構成部品6の波板の例を示したものである。波板の最
大幅を短辺、高さを長辺とした例を示す。また、逆でも
良い。
【0075】図7は、その他の例として通水路1本の断
面形状が略台形の場合の熱交換器本体の一部をカット図
として例示した。略台形の断面形状が正置、逆転を交互
に繰り返す構造となっている。ここでは、下底を短辺、
高さを長辺とした例を示した。台形の場合、上底は下底
より短いとして取り扱った。また、上底をゼロにすると
略三角形となる。
【0076】図8は、通水路1本の断面形状が略台形の
その他の例を示した。下底を長辺、高さを短辺とした台
形が正置、逆転を交互に繰り返す構造の例を示した熱交
換器本体の一部をカット図として例示した。通水路の長
さが一定の時、Cuなどの熱伝導率の良好な材料を熱交
換器に利用した場合においては、通水路の縦/横比が大
の方が出口水温高くなる。SUSにおいては、逆に通水
路の縦/横比が大の方が出口水温低くなる。これは、通
水路の開口高さが大きいほど接触面積は増えるが、SU
Sにおいては壁部の熱伝導が不十分でヒータから遠ざか
る程壁部の温度が低下し、水を加熱し得なくなったと考
えられる。この点、図8の構造では通水路の断面構造が
扁平で熱伝達効率が高いだけでなく、加熱手段間の距離
が小さいため熱エネルギーを十分通水路内に伝えられ
る。
【0077】図9は、図8の台形が上下に積層され略扁
平六角形と台形が組み合わされた構造となっている。通
水方法は、全通水路に並列に水を流す構造でもよいし、
たとえば、図中、六角形部分から入水し、入水方向と反
対側で折り返して、台形状の断面を通水して出湯する構
造としてもよい。
【0078】図10は、略楕円の例を示した。この場
合、幅を短辺、高さを長辺とした例示である。図2にお
ける熱交換器の筒状を形成する構成部品7、8に相当す
る上下の平板と楕円との間に略三角形ができるが、通水
路として利用しても良いし、平板の一部として略三角形
部分が平板と同様な材質で埋まっていて、熱伝導がよい
ように利用しても良い。
【0079】また、請求項では通水路の断面形状を略矩
形と便宜上記述したが、上記の断面形状である台形、三
角形、楕円状、円弧状なども含む趣旨である。あるい
は、これらの形状が組み合わされた形状でもよい。
【0080】また、三次元網目構造のように通水路が幾
重にも屈曲する複雑形状をしていても好適である。三次
元網目構造においては、屈曲した小径の中を水は通過し
ていくので、熱交換器の容積の割に通水路長の総和は大
きくコンパクトな熱交換器となりうる。
【0081】また、通水路断面積/通水路断面の外周囲
の長さの比が略1/4以下であると、断面積のわりに熱
交換可能な伝熱面積が増加し、熱交換効率を向上でき好
適である。
【0082】なお、本例の通水路は、水の進行方向に向
かってストレートに流れる構造でも良いし、あるいは、
水の進行方向に向かって蛇行しながら進んだり、旋回し
ながら進む構造でもよい。たとえば、矩形の断面形状が
水の進行方向に向かって、次第によじれる構造であれば
容易に旋回流とできる。また、入水口と出湯口が同一側
にあるように内部で折り返す通水路構造をとっても良
い。さらに、本例では熱交換手段4の両面に加熱手段を
配設したが、加熱手段は片面だけでもよいし、逆に加熱
手段1の両面に熱交換手段4を配設する構造をとっても
よい。
【0083】図11は、所望の温水温度と熱交換手段の
温度が略同一を説明する概念図である。図において、横
軸が通水路長の総和を、縦軸が温水温度を示しており、
通水路長が長くなるほど温水温度が上昇し、熱交換手段
の壁面温度に近づいていく。通水路長の総和をある程度
長く設計することで、通水路壁温を所望の温水温度と略
同一とできる。これによって、熱交換手段内の最大温度
が所望の温水温度と略同一なことから本質的に安全な温
水装置とできる。また、通水路長の総和を適宜設計する
ことで、熱交換手段内の通水路壁温と所望の温水温度と
がある程度の温度差を保持してなるようにも設計でき
る。
【0084】(温水装置の第二実施例)図12、13
は、本発明にかかる温水装置の第二実施例を示すグラフ
である。本グラフにおいて、熱交換手段を構成する部品
は銅製で平面部7、8の肉厚1mm、これら上下面間に
通水路断面の高さ(長辺)5mmで、横幅(短辺)を各
々長辺/短辺比として変化させた、長さ120mmの通
水路を並列に多数個形成した。各通水路間は0.1mm
の肉厚とした。この熱交換器の上面のみにヒータを配設
し、加熱量制御として、投入電力量はヒータ及び/又は
熱交換器本体の上面が40℃一定になるように1200
Wの範囲内で温度制御した。入水温度15℃、入水流量
0.7L/分、通水路の本数をそれぞれ設定した時の出
湯温度を評価した。
【0085】評価結果を図12、13に示す。図12に
は、通水路断面の長辺/短辺比を各々変化させた時の出
湯温度を通水路長の総和をパラメータとして、評価した
結果を示している。通水路長の総和L=156cm〜2
400cmとの記載は、長さ120mmの細い略扁平の
断面を持つ通水路を並列に多数個形成した時の一本の通
水路長に並列に多数形成された通水路の個数を乗じた通
水路長の総和を表している。結果からわかるように通水
路の長さが一定の時、通水路の断面形状の長辺/短辺比
が略1より大きいほど、出湯口3よりの湯温が上昇し、
効率よく熱交換できることがわかる。グラフに記載の範
囲より、さらに長辺/短辺比が大きければ熱交換器の上
面8の温度に近づく。
【0086】図13には、同データを長辺/短辺比をパ
ラメータに出湯温度と通水路長の総和をグラフ化したも
のである。通水路の総和が長くなるにつれて、出湯温度
が上昇していることがわかる。通水路長の総和において
も、グラフに記載の範囲より、さらに通水路長の総和が
大きければ熱交換器の上面1、8の温度に近づく。
【0087】(温水装置の第三実施例)図14、15、
16は、本発明にかかる温水装置の第三実施例を示すグ
ラフである。本グラフにおいて、熱交換手段を構成する
部品は銅製で平面部7、8の肉厚1mm、これら上下面
間に通水路断面の横幅(長辺)50mmとし、高さ(短
辺)を各々長辺/短辺比として変化させた、長さ120
mmの通水路を並列に形成した。この熱交換器の上下面
にヒータ1を配設し、加熱量制御として、投入電力量は
ヒータ及び/又は熱交換器本体の上面がそれぞれ40、
45、50℃一定になるように1200Wの範囲内で温
度制御した。入水温度15℃、入水流量0.7L/分、
通水路の本数をそれぞれ設定した時の出湯温度を評価し
た。
【0088】評価結果を図14、15、16に示す。図
14では、通水路断面の横幅(長辺)50mm、高さ
(短辺)0.5mmで、長辺/短辺比が略100とな
る。ヒータ及び/又は熱交換器の温度を略40、45、
50℃となるように制御した場合の吐水温水温度を評価
した。通水路長の総和(通水路長)L=0〜60cmと
の記載は、長さ120mmの略扁平な通水路を並列に多
数個形成した時の一本の通水路長に並列に多数形成され
た通水路の個数を乗じた通水路長の総和を表している。
結果からわかるように、通水路の長さが長くなるほど所
望の温水温度略35〜40℃に近づくことがわかる。ま
た、通水路長が一定の時、ヒータ及び/または、熱交換
器の温度が高い方が短い通水路長でも所望の温水温度に
近づくことがわかる。これらは、適宜設計すればよい。
【0089】図15では、同様に通水路断面の横幅(長
辺)50mm、高さ(短辺)0.1mm、長さ40mm
で、長辺/短辺比が略500となる。ヒータ及び/又は
熱交換器の温度を略40、45℃となるように制御した
場合の吐水温水温度を評価した。結果からわかるよう
に、図14の長辺/短辺比100に対して500と大き
いので、図15の場合の方が通水路の長さが長くなるほ
ど結果は良好だが、図14の場合より短くても所望の温
水温度略35〜40℃に近づくことがわかる。また、通
水路長が一定の時、ヒータ及び/または、熱交換器の温
度が高い方が短い通水路長でも所望の温水温度に近づく
ことがわかる。
【0090】図16では、同様に通水路断面の横幅(長
辺)50mm、高さ(短辺)0.04mm、長さ10m
mで、長辺/短辺比が略1250となる。ヒータ及び/
又は熱交換器の温度を略40、45、50℃となるよう
に制御した場合の吐水温水温度を評価した。結果からわ
かるように、図14、15の長辺/短辺比100、50
0に対して1250と大きいので、図16の場合の方が
通水路の長さが長くなるほど結果は良好だが、図14、
15の場合より短くても所望の温水温度略35〜40℃
に近づくことがわかる。また、通水路長が一定の時、ヒ
ータ及び/または、熱交換器の温度が高い方が短い通水
路長でも所望の温水温度に近づくことがわかる。なお、
本実施例のように、ヒータ間距離が小さい場合には、熱
交換器の材質として、銅系より熱伝導率が小さいが耐食
性に優れたSUS系を用いても好適に利用できる。さら
に、熱交換器内の水と接する近傍をフッ素系やシリコー
ン系によりコーティングすることで、水アカなどのスケ
ール付着を防げ、長期間利用した場合の熱交換効率が低
下を未然に防げる。また、水と接する最表層をさらに耐
食性の良い材料とするために、チタンやニッケルの薄い
箔をステンレス系や銅系の材料表面に熱間圧延でクラッ
ド化したものを用いてもよい。あるいは、銅系の表面に
溶融スズメッキを施してもよい。これによれば、スズの
平滑性により、スケールが付きにくくできる。
【0091】(温水装置の第四実施例)図17は、本発
明にかかる温水装置の第四実施例を示す。図中左側の図
において、熱交換器本体4内の通水路を形成する構成部
品6を入水口2側から出湯口3側にかけて不連続に通水
路が水の流れ方向と直角方向にシフト分割配置した。こ
れにより、不連続な端部によって、流れがかき乱され略
乱流の状態となり、伝熱効率の向上に寄与する。図17
の右側に、水の流れを例示した。通水路が不連続に形成
されているので、流れる水は個々分岐して流れる。ま
た、その端部にバリ状の突起を有していると、バリ様突
起により水の流れが乱され、略乱流の様態となり、該部
位より水の流れの下流における通水路の水と接する略近
傍をかき乱し、伝熱効率が向上する。バリ様突起は、端
部のみならず、通水路内に多数あってもよい。また、通
水路の壁が、その隣り合わせた通水路との間で貫通する
構造でもよい。この場合、貫通部分の面積が通水路内の
通水を遮る邪魔板として作用すれば、伝熱面積を確保し
たまま通水がさらにかき乱され乱流促進して効果的であ
る。
【0092】(温水装置の第五実施例)図18は、温水
手段のその他の例を示す。入水口2より入水した水は、
熱交換手段本体4内に配設された通水路内を流れる。自
己温度制御手段11の発熱による熱エネルギーが、均熱
手段10により均熱化され、熱交換手段4に伝わる。こ
の熱エネルギーが通水路の壁面で水と接し、温水を生成
する。均熱手段により、熱交換手段の温度は略同一とで
きる。とくに、セラミック製加熱手段などでは大きなサ
イズとなると組み合わせる熱交換手段との熱膨張差でセ
ラミックが割れてしまう問題や両者の表面は微妙にうね
り完全に接触しない場合が多く、熱がうまく熱交換手段
に伝わらないだけでなくヒートスポットができその箇所
だけ異常加熱する場合がある。これらの対策として好適
に利用できる。
【0093】均熱手段としては、熱伝導率の良い銅、グ
ラファイト、アルミやBN、ALN、SiC、フッ化グ
ラファイトなど電気絶縁性と熱良導性を兼ね備えた材料
も用いてもよいし、ヒートパイプのようにさらに熱伝
導、熱輸送性の高い手段を用いれば好適である。特に、
ループ式のような平板状にでき均熱輸送ができるものが
好適である。
【0094】(温水装置の第六実施例)図19は、本発
明のその他の例で蓄熱手段と組み合わせた例である。加
熱手段1に熱結合された熱交換手段4上にさらに蓄熱槽
13が熱結合されている。さらに、蓄熱槽13内は均熱
手段12が配設され、加熱手段1に熱結合された熱交換
手段4からの熱エネルギーを均熱手段12が、蓄熱槽1
3内の蓄熱材に速やかに熱を伝える役割を担っている。
蓄熱槽13が小容量の場合には、この均熱手段12は省
略もできるが、大容量になるほどその効果は大きくな
る。局部洗浄装置以外の温水装置にも利用可能である。
【0095】
【発明の効果】以上説明したような構成により、本発明
は、入水口と出湯口とが連通した筒状の熱交換手段の内
部に水を通して温水を生成する温水手段において、熱交
換手段内の実質的に伝熱可能な伝熱面により構成された
通水路の水と接する内壁面近傍での壁面と鉛直方向の水
の温度分布の傾きを急峻化するように、断面形状を設計
した通水路を内設固定したことなどによりローコストで
安全性、信頼性の高い局部洗浄装置用の温水装置を提供
することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一態様の例を示す外観図である。
【図2】 本発明の一態様の例を示す分解図である。
【図3】 本発明の一態様の通水路の例を示す。
【図4】 図3の通水路の部分拡大説明図である。
【図5】 本発明の一態様の通水路のその他の例を示
す。
【図6】 本発明の一態様の通水路のその他の例を示
す。
【図7】 本発明の一態様の通水路のその他の例を示
す。
【図8】 本発明の一態様の通水路のその他の例を示
す。
【図9】 本発明の一態様の通水路のその他の例を示
す。
【図10】 本発明の一態様の通水路のその他の例を示
す。
【図11】 所望の温水温度と熱交換手段の温度が略同
一を説明する概念図である。
【図12】 本発明の一態様の評価結果を示すグラフで
ある。
【図13】 本発明の一態様の評価結果を示すグラフで
ある。
【図14】 本発明の一態様の評価結果を示すグラフで
ある。
【図15】 本発明の一態様の評価結果を示すグラフで
ある。
【図16】 本発明の一態様の評価結果を示すグラフで
ある。
【図17】 本発明の一態様の通水路のその他の例を示
す。
【図18】 本発明のその他の一態様を示す均熱手段を
備えた例を示す。
【図19】 本発明のその他の一態様を示す蓄熱と組み
合わせたカット図である。
【符号の説明】
1…自己温度制御機能を有する平板状の加熱手段 2…入水口 3…出湯口 4…熱交換器本体 5…加熱手段への給電端子 6…熱交換器の通水路を形成する構成部品 7…熱交換器の筒状を形成する構成部品 8…熱交換器の筒状を形成する構成部品 9…熱交換器内部の通水路の例 10…均熱手段 11…自己温度制御加熱手段 12…均熱手段 13…蓄熱槽

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入水口と出湯口とが連通した筒状の熱交
    換手段の内部に水を通して温水を生成する温水手段にお
    いて、熱交換手段内の実質的に伝熱可能な伝熱面により
    構成された通水路の水と接する内壁面近傍での壁面と鉛
    直方向の水の温度分布の傾きを急峻化するように、断面
    形状を設計した通水路を内設固定したことを特徴とする
    温水手段。
  2. 【請求項2】 前記通水路の断面形状が略扁平となるよ
    うに設計したことを特徴とする請求項1に記載の温水手
    段。
  3. 【請求項3】 前記通水路の断面形状が略矩形で長辺/
    短辺のアスペクト比が略1より大きく設計したことを特
    徴とする請求項1〜2に記載の温水手段。
  4. 【請求項4】 前記熱交換手段の通水路断面の少なくと
    も一対の略対向した平均的な壁面間隔が0mmより大き
    く、2mmより小さい範囲にあることを特徴とする請求
    項1〜3に記載の温水手段。
  5. 【請求項5】 前記熱交換手段の通水路長の総和が略
    0.01m〜100m、より好ましくは略0.08〜2
    5mであることを特徴とする請求項1〜4に記載の温水
    手段。
  6. 【請求項6】 前記通水路が多数並列に形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜5に記載の温水手段。
  7. 【請求項7】 前記熱交換手段が熱伝導材料で形成され
    たことを特徴とする請求項1〜6に記載の温水手段。
  8. 【請求項8】 前記熱交換手段の少なくとも水と接する
    最表面が耐食材料で形成されたことを特徴とする請求項
    1〜7に記載の温水手段。
  9. 【請求項9】 前記熱交換手段が少なくとも水と接する
    表面が電気絶縁材料で形成されたことを特徴とする請求
    項1〜8に記載の温水手段。
  10. 【請求項10】 前記熱交換手段の水と接する面の少な
    くとも最表面にSi酸化物や炭酸Caなどで構成された
    水アカに対して難付着性あるいは易剥離性の層が形成さ
    れたことを特徴とする請求項1〜9に記載の温水手段。
  11. 【請求項11】 前記加熱手段がPTCヒータなど熱量
    制御機能あるいは手段を併せ持ったことを特徴とする請
    求項1〜10に記載の温水手段。
  12. 【請求項12】 前記熱交換手段温度と温水吐出温度と
    を略同一、あるいは、ある温度差の中で保持してなるよ
    うに設計したことを特徴とする請求項1〜11に記載の
    温水手段。
  13. 【請求項13】 前記加熱手段と熱交換手段とは均熱手
    段を介して熱的に結合されていることを特徴とする請求
    項1〜12に記載の温水手段。
  14. 【請求項14】 前記熱交換手段あるいは加熱手段の任
    意の近傍に熱暴走防止手段を配設したことを特徴とする
    請求項1〜13に記載の温水手段。
  15. 【請求項15】 前記加熱手段と熱交換手段に蓄熱手段
    が熱結合されたことを特徴とする請求項1〜14に記載
    の温水手段。
  16. 【請求項16】 前記温水手段の前段にプレフィルタを
    配設したことを特徴とする請求項1〜15に記載の温水
    装置。
  17. 【請求項17】 入水口から出湯口に至る通水路がその
    途上において複数の通水路に分岐され、その分岐された
    熱交換手段内の実質的に伝熱可能な伝熱面により構成さ
    れた通水路の断面形状が通水路の内壁面近傍での壁面と
    鉛直方向の水の温度分布の傾きを急峻化するように断面
    形状を設計した通水路を内設固定した熱交換手段と、 該熱交換手段に当接する加熱手段と、 該加熱手段の加熱量を制御する加熱量制御手段と、 を有する温水手段。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17に記載の温水手段を備
    えた局部洗浄装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104179231A (zh) * 2013-05-27 2014-12-03 爱信精机株式会社 热交换单元和人体局部清洗装置

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