JP2002141198A - 電子ビームの軌道補正装置及び軌道補正方法 - Google Patents

電子ビームの軌道補正装置及び軌道補正方法

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JP2002141198A
JP2002141198A JP2000334833A JP2000334833A JP2002141198A JP 2002141198 A JP2002141198 A JP 2002141198A JP 2000334833 A JP2000334833 A JP 2000334833A JP 2000334833 A JP2000334833 A JP 2000334833A JP 2002141198 A JP2002141198 A JP 2002141198A
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steering
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electromagnet
quadrupole
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Daizo Amano
大三 天野
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステアリング電磁石と四重極電磁石との数の
制約を受けずに、簡単かつ適切な励磁電流量を算出でき
る演算装置を備えた電子ビームの軌道補正装置及び軌道
補正方法を提供する。 【解決手段】 n個の四重極電磁石70A1〜70An
を備たえた電子蓄積リングの電子ビームの軌道補正装置
10において、m個のステアリング電磁石60A1〜6
0Amと、各ステアリング電磁石60A1〜60Amに
励磁電流を供給するステアリング電磁石用電源62A1
〜62Amと、各ステアリング電磁石60A1〜60A
mの励磁電流を制御するステアリング電流制御装置64
A1〜64Amと、四重極電磁石用電源72と、分流器
74と、ビームポジションモニタ92と、電子ビームが
各四重極電磁石70A1〜70Anの中心を通るような
偏向角となるための各ステアリング電磁石60A1〜6
0Amの励磁電流を、特異値分解法で算出する演算装置
12とを備えた構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ビームを閉軌
道内に所望のエネルギーで蓄積し、主としてシンクロト
ロン放射光を発生させることを目的とした電子蓄積リン
グに係り、特に、蓄積した電子ビームの軌道を補正する
ための軌道補正装置及び、その軌道補正装置を用いた電
子ビームの軌道補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子蓄積リングの特徴及び各装置につい
ては、特願平11−151339号、特願平11−22
7051号に比較的詳細に説明されているので、以下、
簡単に電子蓄積リングの各構成について説明する。ま
た、本発明の電子ビームの軌道補正装置及び軌道補正方
法の理解の便を図るために、その主要構成となるステア
リング電磁石、及び、ビームポジションモニタについて
補足説明する。その次に、従来の電子ビームの軌道補正
装置及び軌道補正方法の要点について説明するものとす
る。
【0003】先ず、図3を用いて、電子蓄積リングの主
要構成を簡単に説明する。図3に電子蓄積リングの一例
として、レーストラック型の電子蓄積リング100の平
面図を示す。このタイプの電子蓄積リング100では、
図3に示すように180度偏向型の偏向電磁石90A、
90Bを対向配置して、図示しない真空ポンプにより高
真空(〜1×10-9Torr)に保たれたレーストラッ
ク型のビームダクト80内の周回軌道に、磁場の偏向作
用を利用して電子ビームを蓄積する。
【0004】また、図3において、70A1、70A2
は、四重極電磁石である。この四重極電磁石70A1、
70A2について補足説明すると、中心の磁場強度をゼ
ロとし、中心から距離に比例して増加する磁場分布とな
るような四重極磁場を励磁し、光学上の集光レンズが光
を集光するのと同様に、電子ビームを集束する役割を担
うものである。これらの四重極電磁石70A1、70A
2により電子ビームはビームダクト80内で高真空に保
たれた閉軌道内から発散することなく、安定な状態で電
子蓄積リング100に蓄積されることになる。
【0005】また、電子蓄積リング100は、他の構成
として、電子ビームの位置測定に用いるビームポジショ
ンモニタ92、電子ビームを所望の角度で偏向して、設
計軌道を周回するように補正するステアリング電磁石6
0A1、60A2(以下、総括的に符号を「60」とす
る場合がある。)、高周波加速空胴50を備えている。
【0006】次に、図4を用いて、電子蓄積リング10
0の電子ビームの位置測定に用いるビームポジションモ
ニタ92について補足説明をする。図4は、このビーム
ポジションモニタ92の概略構造を示す縦断側面図であ
る。
【0007】図4に示す電子蓄積リング100に用いる
ビームポジションモニタ92は、通常は、ボタン型ビー
ム位置モニタといわれ、このような電子蓄積リングに用
いられる典型的なモニタである。
【0008】ビームポジションモニタ92は、図4にそ
の縦断面図を示すように、真空チャンバ94に同軸コネ
クタ96A〜96Dを介して、4つのボタン電極98A
〜98Dが固定されている構造である。
【0009】電子ビームが、図面に垂直な方向で、真空
チャンバ内94を通過するときに4つのボタン電極98
A〜98Dにそれぞれ誘起された電荷を信号として検出
し、電子ビームの位置を電子ビームの進行を妨げること
なく、水平及び垂直方向のそれぞれで検出することがで
きる。
【0010】図3に示す電子蓄積リング100の場合、
電子ビームのスポット径は(Φ〜0.6mm)程度であ
り、このボタン型ビーム位置モニタ型のビームポジショ
ンモニタ92を用いれば、10〜20μm程度の測定誤
差で、電子ビームの位置を計測することができる。
【0011】ところで、電子蓄積リングでは、電子ビー
ムを蓄積する場合、電子ビームが丁度設計した周回軌道
上に蓄積されるようにすること、及び、その設計された
軌道が安定であることは、その高品位を担保する観点か
ら重要である。この丁度設計した周回軌道は、例えば、
四重極電磁石の場合は、この四重極電磁石の中心を通る
ように設定されるが、四重極電磁石の設置誤差等のため
に、電子ビームは設計軌道に蓄積されるとは限らない。
【0012】電子ビームが四重極電磁石の中心を通過し
ないと、四重極電磁石の励磁電流を変化させ、磁場強度
を変更して、四重極電磁石の電子ビームを集束する集束
力を変化させたときに、電子ビームの周回軌道位置がず
れて、例えば、X線リソグラフィー用の光源としての光
の発生位置が変化するなどして、電子蓄積リングの品質
が劣化してしまうという問題が生じる。
【0013】そこで、従来より、ステアリング電磁石6
0により、設計軌道を外れた電子ビームを所望の角度で
偏向して、設計軌道を周回するように補正する方法が採
られている。このステアリング電磁石60の構造及び、
このステアリング電磁石により、電子ビーム軌道を補正
する方法について、図5及び図6を用いて簡単に説明す
る。
【0014】図5は、ステアリング電磁石60の縦断面
図、図6は、ステアリング電磁石60の側面図である。
図5及び図6に示すように、ステアリング電磁石60
は、鉄心64と、この鉄心に巻回される励磁用コイル6
2A〜62Dを備えた構成である。
【0015】図示しない電源からステアリング電磁石6
0の励磁用コイル62A〜62Dに励磁用電流を流し、
電子ビームが通過する領域に磁場を発生させて、この磁
場の作用により電子ビームを水平方向及び垂直方向のそ
れぞれで、所望の角度、偏向させてビームの位置を補正
するようにしている。
【0016】次に、高周波加速空胴50について補足説
明する。高周波加速空胴50とは、高周波電力を投入
し、電子が高周波加速空胴50の加速ギャップに差し掛
かった際に、丁度加速されるように高周波加速空胴50
に発生する高周波電圧の位相と電子の位置とをうまく同
期させて、蓄積電子にエネルギーを供給するようにした
装置である。
【0017】従って、高周波加速空胴50の主要な役割
は、蓄積電子にエネルギーを供給することであるが、一
方で、高周波の周波数を変化させることで、それに同期
して蓄積電子の周回周波数が変化し、これによって電子
ビームの周回軌道が変わるので、ステアリング電磁石6
0と同様に、電子ビームの軌道補正に用いられることが
ある。
【0018】次に、特願平11−151339号に開示
した従来の電子ビームの軌道補正装置及び軌道補正方法
について説明する。ところで、従来技術の詳細は当該文
献に示されているので、ここでは図3を参照してその要
点のみを説明する。この方法は、例えば、四重極電磁石
の磁場中心位置とビームポジションモニタの中心位置を
厳格に一致させるのは困難であることを考慮してなされ
たものである。
【0019】先ず、この従来の電子ビームの軌道補正装
置は、図3に示すように、m(図示のものでは2)個の
ステアリング電磁石60A1、60A2と、このステア
リング電磁石60A1、60A2に励磁電流を供給する
ステアリング電磁石用電源(図示せず)と、このステア
リング電磁石用電源からステアリング電磁石60A1、
60A2に供給される励磁電流を制御するステアリング
電磁石電流制御装置(図示せず)とを備えている。
【0020】また、従来の電子ビームの軌道補正装置
は、図3に示すように、n(図示のものでは2)個の四
重極電磁石70A1、70A2に対する四重極電磁石用
電源(図示せず)と、この電源からの電流をそれぞれ個
別に変化させることができる分流器(図示せず)とを備
えている。また、それ以外の構成要素としては、図3に
示すように、電子ビームの位置を検出するビームポジシ
ョンモニタ92と、ステアリング電磁石60A1、60
A2に通電すべき励磁電流量を算出する演算装置(図示
せず)とを備えている。なお、以下の説明では、図示の
関係上、m=n=2の場合で説明するが、m、nが多数
ある一般の場合でも同様の方法で電子ビームが軌道補正
される。
【0021】以上の構成において、従来の電子ビームの
軌道補正装置の基本動作及び軌道補正方法について説明
する。先ず、第1に、総てのステアリング電磁石60A
1、60A2を励磁させない状態で、第pの四重極電磁
石70Apの励磁電流量を単独で所定量変化させた場合
のビームポジションモニタ92における電子ビームの変
位を検出し、整数pを1からnまで順次変化させること
により、第1乃至第nの四重極電磁石70A1、70A
2の変位を求める。
【0022】第2に、第qのステアリング電磁石60A
qに単独で励磁電流を所定量供給した状態で、第pの四
重極電磁石70Apの励磁電流量を単独で所定量変化さ
せた場合のビームポジションモニタにおける電子ビーム
の変位を検出し、整数qを1からmまで順次変化させる
ことにより、第qのステアリング電磁石60Aqに単独
で励磁電流を所定量供給した第pの四重極電磁石70A
pの励磁電流を所定量変化させた場合におけるビームポ
ジションモニタでの変位を求める。
【0023】第3に、第pの四重極電磁石70Apにつ
いて、第pの四重極電磁石70Apの励磁電流量を所定
量変化させても、ビームポジションモニタ92における
電子ビームの位置が変化しないという条件を基にして、
第qのステアリング電磁石60Aqのそれぞれの励磁電
流量を変数とする第pの方程式を作成し、pを1からn
まで順次変化させることにより、n個の方程式を演算装
置において作成する。
【0024】第4に、上記第3で作成したn個の方程式
を連立方程式として、第1乃至第mのステアリング電磁
石60A1、60A2の励磁電流量の解を算出する。第
5に、第4で算出した第1乃至第mのステアリング電磁
石60A1、60A2の励磁電流量に基づいて、第1乃
至第mのステアリング電磁石60A1、60A2の励磁
電流量を制御し、電子ビームの軌道を四重極電磁石70
A1、70A2の磁場中心を通過するように電子ビーム
の軌道を補正する。
【0025】これにより、従来の軌道補正装置を用いる
と、簡易に電子ビームの軌道を四重極電磁石70A1、
70A2の磁場中心を通過するように電子ビームの軌道
を補正することができ高品位の電子蓄積リング100と
することが可能になる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の電子
ビームの軌道補正方法では、上述したように、四重極電
磁石の数nに等しい数の連立方程式を、周知のアルゴリ
ズムで解いて、各ステアリング電磁石の励磁電流を算出
する方法を用いていた。この従来の方法では、四重極電
磁石の数nとステアリング電磁石の数mが同数の場合、
即ち、連立方程式の数と変数の数が同数の場合は、周知
の通り、各変数の解が一意に求められる。
【0027】また、四重極電磁石の数nが、ステアリン
グ電磁石の数mよりも大きい場合、即ち、連立方程式の
数が、変数の数よりも多い場合は、最小自乗法により解
を最適値化して算出するようにしていた。
【0028】一方、四重極電磁石の数nが、ステアリン
グ電磁石の数mよりも小さい場合、即ち、連立方程式の
数が変数の数よりも少ない場合は、良く知られている通
り、各変数の解は不定となり、この場合は、各ステアリ
ング電磁石の励磁電流量を計算できず、電子ビームの軌
道を補正することができなかった。
【0029】しかし、ステアリング電磁石の数を四重極
電磁石の数より多くすることができなければ、小型電子
蓄積リングのように電子蓄積リングに設置する四重極電
磁石が少ない場合、それに連動してステアリング電磁石
の数が少なくなり、電子ビームの軌道補正が困難にな
る。また、1つ当たりのステアリング電磁石に過大な電
流を流す必要がある場合が考えられる。更には、算出結
果が許容電流量を超えてしまい、電子ビームの軌道補正
自体が不可能となるケースも想定し得る。
【0030】また、従来の連立方程式を解く方法では、
ステアリング電磁石同士が接近していたり、ビームポジ
ションモニタにおける軌道の変位量が同じようなステア
リング電磁石が存在する場合には、解が機械的に算出さ
れるため、求められたステアリング電磁石の励磁電流量
が極めて大きな値となり、この結果に基づいて軌道ム補
正を行うと、電子ビームの軌道が不安定になるという問
題も備えていた。
【0031】本発明は、上記課題(問題点)を解決し、
ステアリング電磁石と四重極電磁石との数の制約を受け
ずに、簡単かつ適切な励磁電流量を算出できる演算装置
を備えた電子ビームの軌道補正装置及び軌道補正方法を
提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明の電子ビームの軌
道補正装置は、請求項1に記載のものでは、複数の偏向
電磁石と、第1乃至第nのn個の四重極電磁石とを備
え、電子(陽電子を含む)ビームを閉軌道内に所望のエ
ネルギーで蓄積するようにした電子蓄積リングの電子ビ
ームの軌道補正装置において、電子ビームを垂直方向、
及び水平方向に偏向させる第1乃至第mのm個のステア
リング電磁石と、前記各ステアリング電磁石に励磁電流
を供給するステアリング電磁石用電源と、前記各ステア
リング電磁石の励磁電流を制御するステアリング電流制
御装置と、前記各四重極電磁石の励磁用の四重極電磁石
用電源と、前記各四重極電磁石へ流す電流を制御する四
重極電磁石電流制御装置と、電子ビームの位置を検出す
るビームポジションモニタと、電子ビームが各四重極電
磁石の中心を通るような偏向角となるための各ステアリ
ング電磁石の励磁電流を、特異値分解法で算出する演算
装置とを備えた構成とした。但し、n、mは共に自然数
である。
【0033】このように構成すると、ステアリング電磁
石と四重極電磁石との数の制約を受けずに、ステアリン
グ電磁石の励磁電流が算出でき、四重極電磁石の個数に
関わらず、ステアリング電磁石の数を増やすことができ
るので、多くのステアリング電磁石を使用して電子ビー
ムの軌道補正精度を向上させることが可能になり、蓄積
電子のビームクォリティが向上する。特に、小型電子蓄
積リングのように、四重極電磁石の設置スペースが限ら
れている場合に、四重極電磁石の数に制限されずにステ
アリング電磁石を増やすことができるので、効果的にス
テアリング電磁石を使用して、電子ビームの軌道補正精
度を向上させることが可能である。また、1つ当たりの
ステアリング電磁石に過大な電流を流す必要があるケー
スや、電子ビームの軌道補正自体が不可能となるケース
を回避できる。
【0034】請求項2に記載の電子ビームの軌道補正装
置は、請求項1に記載の電子ビームの軌道補正装置にお
いて、ステアリング電磁石の数mと、四重極電磁石の数
nとの関係を、m>nとした構成とした。
【0035】本発明の電子ビームの軌道補正装置では、
このように、四重極電磁石の数がステアリング電磁石よ
りも少なく、従来の電子ビームの軌道補正装置ではステ
アリング電磁石の励磁電流量を算出できなかった場合
に、特に効果的である。
【0036】請求項3に記載の電子ビームの軌道補正装
置は、請求項1又は2に記載の電子ビームの軌道補正装
置において、上記電子ビームの軌道補正装置が、上記電
子蓄積リングに適宜配置された1又は2以上の高周波加
速空胴を備えるようにした構成とした。
【0037】このように構成すると、高周波加速空胴の
軌道補正機能も活用できるので、電子ビームの軌道補正
の方法が多様化し、軌道補正の精度が向上する。
【0038】請求項4に記載の電子ビームの軌道補正装
置は、請求項1乃至3に記載の電子ビームの軌道補正装
置において、上記演算装置として、所定の特異値よりも
小さい特異値を無視して各ステアリング電磁石の励磁電
流を算出する演算装置を用いるように構成した。
【0039】このように構成すると、ステアリング電磁
石同士が接近していたり、各ビームポジションモニタに
おける軌道の変位量が同じようなステアリング電磁石が
存在する場合でも、適切なステアリング電磁石の励磁電
流量を算出できる電子ビームの軌道補正装置とすること
ができる。
【0040】請求項5に記載の電子ビームの軌道補正方
法は、請求項1乃至3に記載の電子ビームの軌道補正装
置を備えた電子蓄積リングの電子ビームの軌道補正方法
において、第1に、総てのステアリング電磁石を励磁さ
せない状態で、第pの四重極電磁石の励磁電流量を単独
で所定量変化させた場合のビームポジションモニタにお
ける電子ビームの変位を検出し、第2に、第qのステア
リング電磁石に単独で励磁電流を所定量供給した状態
で、第pの四重極電磁石の励磁電流量を単独で所定量変
化させた場合のビームポジションモニタにおける電子ビ
ームの変位を検出し、第3に、第pの四重極電磁石につ
いて、第pの四重極電磁石の励磁電流量を所定量変化さ
せても、ビームポジションモニタにおける電子ビームの
位置が変化しないという条件を基にして、第qのステア
リング電磁石のそれぞれの励磁電流量を変数とする第p
の方程式を作成し、第4に、上記第3で作成したn個の
方程式を連立方程式として、第1乃至第mのステアリン
グ電磁石の励磁電流量の解を、特異値分解法により算出
し、第5に、この算出したステアリング電磁石の励磁電
流量に基づいて、第1乃至第mのステアリング電磁石の
励磁電流量を制御し、電子ビームが第1乃至第nの各四
重極電磁石の中心を通るように補正するようにした。但
し、p、qは、1≦p≦n、1≦q≦mの整数であり、
pは1からnまで、qは1からmまで順次変動するもの
とする。
【0041】このようにすると、ステアリング電磁石と
四重極電磁石との数の制約を受けずに、ステアリング電
磁石の励磁電流が算出でき、四重極電磁石の個数に関わ
らず、電子蓄積リングの運転状況によりステアリング電
磁石の数を増やすことができるので、多くのステアリン
グ電磁石を使用して電子ビームの軌道補正が可能にな
り、蓄積電子のビームクォリティが向上する補正方法と
することができる。また、1つ当たりのステアリング電
磁石に過大な電流を流す必要があるケースや、電子ビー
ムの軌道補正自体が不可能となるケースを回避できる。
【0042】請求項6に記載の電子ビームの軌道補正方
法は、請求項4に記載の電子ビームの軌道補正装置を備
えた電子蓄積リングの電子ビームの軌道補正方法におい
て、第1に、総てのステアリング電磁石を励磁させない
状態で、第pの四重極電磁石の励磁電流量を単独で所定
量変化させた場合のビームポジションモニタにおける電
子ビームの変位を検出し、第2に、第qのステアリング
電磁石に単独で励磁電流を所定量供給した状態で、第p
の四重極電磁石の励磁電流量を単独で所定量変化させた
場合のビームポジションモニタにおける電子ビームの変
位を検出し、第3に、第pの四重極電磁石について、第
pの四重極電磁石の励磁電流量を所定量変化させても、
ビームポジションモニタにおける電子ビームの位置が変
化しないという条件を基にして、第qのステアリング電
磁石のそれぞれの励磁電流量を変数とする第pの方程式
を作成し、第4に、上記第3で作成したn個の方程式を
連立方程式として、第1乃至第mのステアリング電磁石
の励磁電流量の解を、特異値分解法により解き、かつ、
所定の特異値よりも小さい特異値を無視して算出し、第
5に、この算出したステアリング電磁石の励磁電流量に
基づいて、第1乃至第mのステアリング電磁石の励磁電
流量を制御し、電子ビームが第1乃至第nの各四重極電
磁石の中心を通るように補正するようにした。但し、
p、qは、1≦p≦n、1≦q≦mの整数であり、pは
1からnまで、qは1からmまで順次変動するものとす
る。
【0043】このように構成すると、ステアリング電磁
石同士が接近していたり、各ビームポジションモニタに
おける軌道の変位量が同じようなステアリング電磁石が
存在する場合でも、適切なステアリング電磁石の励磁電
流量を算出できる電子ビームの軌道補正方法とすること
ができる。
【0044】請求項7に記載の電子ビームの軌道補正装
置又は軌道補正方法は、上記ビームポジションモニタを
複数とし、このビームポジションモニタを上記電子蓄積
リングの適切な位置に配置するようにした。
【0045】このようにすると、前述した効果の外に、
更に、電子ビームの軌道補正が一層精密に行え、超高精
密を要求される電子蓄積リングに対応することが可能と
なる。
【0046】
【発明の実施の形態】本発明の電子ビームの軌道補正装
置及び補正方法の一実施の形態を図1及び図2を用いて
説明する。図1は、本発明の電子ビームの軌道補正装置
の一実施の形態の構成を示すブロック図である。また、
図2は、本発明の補正装置に用いるステアリング電磁
石、ビームポジションモニタの設置個所の一例を示す電
子蓄積リングの平面図である。
【0047】本実施の形態における軌道補正装置10
は、図1に示すように、先ず、m(但し図2では4)個
のステアリング電磁石60A1〜60Amと、このステ
アリング電磁石60A1〜60Amに励磁電流を供給す
るステアリング電磁石用電源62A1〜62Amと、こ
のステアリング電磁石用電源62A1〜62Amからス
テアリング電磁石60A1〜60Amに供給される励磁
電流を制御するステアリング電磁石電流制御装置64A
1〜64Amとを備えている。
【0048】また、本実施の形態における軌道補正装置
10は、n(但し図2では2)個の四重極電磁石70A
1〜70Anに対してその励磁用電源となる四重極電磁
石用電源72と、この電源72からの電流をそれぞれ個
別に変化させることができる分流器(四重極電磁石電流
制御装置)74とを備えている。また、それ以外の構成
要素としては、従来の補正装置同様、電子ビームの位置
を検出するビームポジションモニタ92と、ステアリン
グ電磁石60A1〜60Amに通電すべき励磁電流量を
算出する演算装置12とを備えている。なお、本実施の
形態の電子ビームの軌道補正装置10では、ビームポジ
ションモニタ92を単数用いた場合で説明する。
【0049】一方、本発明の電子ビームの軌道補正装置
10では、従来の補正装置とは異なり、各ステアリング
電磁石60A1〜60Amの励磁電流を算出する演算装
置12は、従来の補正装置の説明で言及した連立方程式
を解く際に、後述する特異値分解法で各励磁電流量を算
出する演算機能を備えている。
【0050】以上の構成において、本実施の形態の電子
ビームの軌道補正装置10の基本動作及び軌道補正方法
について、図1及び図2を用いて説明する。なお、電子
ビームの軌道補正は、その進行方向に対して垂直な平面
内において、水平方向及び垂直方向の双方で行うが、水
平方向、垂直方向の補正の方法はほぼ同様の手順となる
ので、以下、特に区別することなく説明するものとす
る。
【0051】先ず、従来の電子ビームの軌道補正装置同
様に、第1に、総てのステアリング電磁石を励磁させな
い状態で、第pの四重極電磁石の励磁電流量を単独で所
定量IQp変化させた場合のビームポジションモニタにお
ける電子ビームの変位を検出し、この変位をZp0とす
る。ここでは勿論、pは1≦p≦nの整数である。整数
pを1からnまで順次変化させることにより、第1乃至
第nの四重極電磁石70A1〜70Anの変位が、それ
ぞれZ10〜Zn0と求めることができる。
【0052】第2に、第qのステアリング電磁石60A
qに単独で励磁電流を所定量Istq供給した状態で、第
pの四重極電磁石70Apの励磁電流量を単独で所定量
Qp変化させた場合のビームポジションモニタにおける
電子ビームの変位を検出し、この変位をZpqとする。こ
こでは勿論、qは1≦q≦mの整数である。
【0053】ここで、整数qを1からmまで順次変化さ
せることにより、第qのステアリング電磁石60Aqに
単独で励磁電流を所定量Istq供給した第pの四重極電
磁石7IQp0Apの励磁電流を所定量変化させた場合に
おけるビームポジションモニタでの変位が、それぞれZ
p1〜Zpmと求めることができる。
【0054】更に、この手順を、整数pを1からnまで
順次変化させながら繰り返すことにより、第1乃至第n
の四重極電磁石70A1〜70Anの変位が、それぞれ
11〜Znmとなり、m・n通りの変位を算出できる。
【0055】第3に、第pの四重極電磁石70Apにつ
いて、第pの四重極電磁石70Apの励磁電流量を所定
量IQp変化させても、ビームポジションモニタにおける
電子ビームの位置が変化しないという条件を基にして、
第qのステアリング電磁石60Apのそれぞれの励磁電
流量を変数xqとする第pの方程式を作成する。pを1
からnまで順次変化させることにより、n個の方程式を
演算装置12において作成できる。
【0056】このn個の方程式は次式で与えられる。
【数1】
【0057】ところで、従来の補正装置では、第4に、
上記第3で作成した上記式(1)で表されるn個の方程
式を連立方程式として、第1乃至第mのステアリング電
磁石60A1〜60Amの励磁電流量の解を算出してい
た。このため、ステアリング電磁石60A1〜60Am
の数がm(図2では4)個、四重極電磁石70A1〜7
0Anの数がn(図2では2)個である本実施の形態の
ように、n<mの場合は、連立方程式の解は不定となる
ので、このケースでは、電子ビームの軌道補正ができな
いという制約があった。そこで、本実施の形態では、後
述する特異値分解法によりこの連立方程式を解くものと
する。
【0058】特異値分解法によりこの連立方程式を解い
て、ステアリング電磁石60A1〜60Amの励磁電流
量を算出した後は、従来の電子ビームの軌道補正方法同
様に、第5に、この算出したステアリング電磁石60A
1〜60Amの励磁電流量に基づいて、第1乃至第mの
ステアリング電磁石の励磁電流量を制御し、電子ビーム
の軌道を四重極電磁石70A1、70A2の磁場中心を
通過するように電子ビームの軌道を補正する。
【0059】次に、特異値分解法について説明する。一
般に、式(1)の連立方程式は、次式(2)の行列形式
に表現できる。 Ax=b (2) ここで、Aはn行m列の行列、xは第qのステアリング
電磁石60Aqの励磁電流量を、xqstqと表記した場
合のxqで、各ステアリング電磁石60A1〜60Am
では、xは、x1〜xmである。また、bは、総てのステ
アリング電磁石60A1〜60Amを励磁させない状態
で、第1乃至第nの各四重極電磁石70A1〜70An
の励磁電流量を単独で所定量変化させた場合のビームポ
ジションモニタ92における電子ビームの変位Z10〜Z
n0に対応するものである。
【0060】従来の補正方法では、式(2)から周知の
アルゴリズムを用いて、各ステアリング電磁石60A1
〜60Amの励磁電流量xを求めていたが、本実施の形
態における補正方法では、行列Aを周知のアルゴリズム
により、次式(3)の通り分解する。 A=U´D´Vt´ (3) ここで、U´、V´は、それぞれn行n列、m行m列の
直交行列で、Vt´はこのV´の転置行列、D´は、各
要素σiが、σi≧0を満たすn行m列の対角行列で、σ
1>σ2>、、、>σlである。ここで、iは、自然数
で、l≧i≧1で、lは、m、nのいずれか小さい方で
ある。このように、行列Aを式(3)のように分解する
ことを特異値分解といい、対角行列Dの各要素σiを行
列Aの特異値という。
【0061】ここで、D´が対角行列であることに注目
すると、n行m列の対角行列D´の左側から掛け合わせ
る行列U´の場合、行列U´のn行m列だけが有効であ
り、他の要素は計算結果に何の影響も与えていない。ま
た、同様に、n行m列の対角行列D´の右側から掛け合
わせる行列V´の場合、行列V´のm行m列だけが有効
であり、他の要素は計算結果に何の影響も与えていな
い。
【0062】以上の事柄を踏まえると、実用的な特異値
分解は、不要な領域を持たず、不要な計算を行わないた
めに、次式(4)のように変形できる。 A=UDVt (4) ここで、U、Vは、それぞれn行l列、m行l列の直交
行列で、VtはこのVの転置行列、Dは、各成分σiが、
σi≧0を満たすl次の対角行列である。ここでlは、
上述したとおり、m、nのいずれか小さい方である。
【0063】このとき、式(2)の解は、次式(5)の
ように求めることができる。 x=VD+tb (5) ここで、UtはUの転置行列、D+は、各成分diが、di
=σi -1を満たすl次の対角行列である。
【0064】また、lはm、nのいずれか小さい方であ
ることに注目すると、本実施の形態の特異値分解法を用
いる補正方法では、上記従来の補正方法とは異なり、四
重極電磁石70A1〜70Anの数nが、ステアリング
電磁石60A1〜60Amの数mよりも小さい場合で
も、各ステアリング電磁石60A1〜60Amの励磁電
流量を算出できることを示している。
【0065】勿論、逆に、四重極電磁石70A1〜70
Anの数nが、ステアリング電磁石60A1〜60Am
の数mよりも大きい場合でも、従来の方法同様に、何の
支障もなく、各ステアリング電磁石60A1〜60Am
の励磁電流量を算出できる即ち、本実施の形態の補正方
法によれば、四重極電磁石70A1〜70Anの数n、
ステアリング電磁石60A1〜60Amの数mに制約さ
れず、ステアリング電磁石60A1〜60Amの励磁電
流量を算出でき、電子ビームの軌道を設計軌道に修正で
きる。
【0066】また、特異値が、σ1>σ2>、、、>σl
という性質を有していることから、実用上の計算におい
て、ある特異値σpよりも小さい特異値を無視すれば、
励磁電流量の近似的最小自乗解x´pは次式(6)によ
り求めることができる。なお、pは、1≦p≦lの自然
数である。 x´p=VDp´+tb (6) ここで、Dp´+は、各成分diが、di=σi -1(i≦
p)、di=0(i>p)を満たすl次の対角行列であ
る。
【0067】このように、実用上の計算において、ある
特異値σpよりも小さい特異値を無視すれば、従来の補
正方法のように解xの値が大きくなり、電子ビームが不
安定になるという問題を解消することができる。従っ
て、ステアリング電磁石同士が接近していたり、ビーム
ポジションモニタ92における軌道の変位量が同じよう
なステアリング電磁石60A1〜60Amが存在する場
合でも、適切なステアリング電磁石60A1〜60Am
の励磁電流量を算出できる補正装置10とすることがで
きる。
【0068】なお、上記説明及び請求の範囲において、
第1、第2で示した、総てのステアリング電磁石を励磁
させない状態で、各四重極電磁石の励磁電流量を単独で
所定量変化させた場合のビームポジションモニタにおけ
る電子ビームの変位の検出と、各ステアリング電磁石に
単独で励磁電流を所定量供給した状態で、各四重極電磁
石の励磁電流量を単独で所定量変化させた場合のビーム
ポジションモニタにおける電子ビームの変位の検出と
は、必ずしもこの順番で行わなければならないものでは
なく、この逆の手順としても、何ら差し支えないことを
付記しておく。
【0069】また、本発明の電子ビームの軌道補正装置
の他の実施の形態としては、構成要件として高周波加速
空胴を付加したものを用いるようにしても良い。このよ
うにすると、高周波加速空胴の軌道補正機能も活用でき
るので、電子ビームの軌道補正の方法が多様化し、軌道
補正の精度が向上する。
【0070】本発明の電子ビームの軌道補正装置及び軌
道補正方法は上記実施の形態に限定されず、種々の変更
が可能である。先ず、本発明は、四重極電磁石の数がス
テアリング電磁石の数よりも少ない場合に、特に威力を
発揮するが、本発明の特徴は、演算装置において、特異
値分解法により、各ステアリング電磁石の励磁電流量を
算出することであり、この条件に限定されるものではな
い。更に、従来技術及び上記実施の形態では、小型のレ
ーストラック型の電子蓄積リングで説明したが、本発明
は他の形態、例えば、大型の電子蓄積リングにも適用可
能である。
【0071】また、本発明の電子ビームの軌道補正装置
及び軌道補正方法の特徴は、第1に、各ステアリング電
磁石の励磁電流量を算出する過程において、特異値分解
法を用いること、第2に、適切な各ステアリング電磁石
の励磁電流量を算出するために、所定の特異値よりも小
さな特異値を無視する場合があることであり、上記実施
の形態では、この双方の特徴を用いた例で説明した。し
かし、勿論、特異値分解法のみを用いて各ステアリング
電磁石の励磁電流量を算出する方法も本発明に含まれる
のは言うまでもないことである。
【0072】また、上記各実施の形態では、ビームポジ
ションモニタを1つだけ用いた場合で説明したが、ビー
ムポジションモニタを複数個用い、これを電子蓄積リン
グの適当な位置に配置して、電子ビームの位置を補正す
るように構成しても良い。
【0073】この場合は、各ビームポジションモニタに
基づいてそれぞれ連立方程式を求めて、上述した電子ビ
ームの軌道補正を行うことになるが、これにより、より
精度の高い電子ビームの軌道補正が可能になり、超高精
度を要求される電子蓄積リングに対応することが可能と
なる。
【0074】
【発明の効果】本発明の電子ビームの軌道補正装置及び
軌道補正方法は、上述のように構成したために、以下の
ような優れた効果を有する。 (1)本発明の電子ビームの軌道補正装置は、請求項1
に記載したように構成したために、ステアリング電磁石
と四重極電磁石との数の制約を受けずに、ステアリング
電磁石の励磁電流が算出でき、四重極電磁石の個数に関
わらず、ステアリング電磁石の数を増やすことができる
ので、多くのステアリング電磁石を使用して電子ビーム
の軌道補正精度を向上させることが可能になり、蓄積電
子のビームクォリティが向上する。 (2)特に、小型電子蓄積リングのように、四重極電磁
石の設置スペースが限られている場合に、四重極電磁石
の数に制限されずにステアリング電磁石を増やすことが
できるので、効果的にステアリング電磁石を使用して、
電子ビームの軌道補正精度を向上させることが可能であ
る。 (3)また、1つ当たりのステアリング電磁石に過大な
電流を流す必要があるケースや、電子ビームの軌道補正
自体が不可能となるケースを回避できる。
【0075】(4)請求項2に記載の電子ビームの軌道
補正装置は、ステアリング電磁石の数mと、四重極電磁
石の数nとの関係を、m>nとしたために、四重極電磁
石の数がステアリング電磁石よりも少なく、従来の電子
ビームの軌道補正装置ではステアリング電磁石の励磁電
流量を算出できなかった場合に、特に効果的である。
【0076】(5)請求項3に記載の電子ビームの軌道
補正装置は、電子ビームの軌道補正装置が、電子蓄積リ
ングに適宜配置された1又は2以上の高周波加速空胴を
備えるようにしたために、高周波加速空胴の軌道補正機
能も活用できるので、電子ビームの軌道補正の方法が多
様化し、軌道補正の精度が向上する。
【0077】(6)請求項4に記載の電子ビームの軌道
補正装置は、演算装置として、所定の特異値よりも小さ
い特異値を無視して各ステアリング電磁石の励磁電流を
算出する演算装置を用いるようにしたために、ステアリ
ング電磁石同士が接近していたり、各ビームポジション
モニタにおける軌道の変位量が同じようなステアリング
電磁石が存在する場合でも、適切なステアリング電磁石
の励磁電流量を算出できる電子ビームの軌道補正装置と
することができる。
【0078】(7)本発明の電子ビームの軌道補正方法
は、請求項5に記載したように構成したため、ステアリ
ング電磁石と四重極電磁石との数の制約を受けずに、ス
テアリング電磁石の励磁電流が算出でき、四重極電磁石
の個数に関わらず、電子蓄積リングの運転状況によりス
テアリング電磁石の数を増やすことができるので、多く
のステアリング電磁石を使用して電子ビームの軌道補正
が可能になり、蓄積電子のビームクォリティが向上する
補正方法とすることができる。 (8)また、1つ当たりのステアリング電磁石に過大な
電流を流す必要があるケースや、電子ビームの軌道補正
自体が不可能となるケースを回避できる。
【0079】(9)また、請求項6に記載の電子ビーム
の軌道補正方法とすると、ステアリング電磁石同士が接
近していたり、各ビームポジションモニタにおける軌道
の変位量が同じようなステアリング電磁石が存在する場
合でも、適切なステアリング電磁石の励磁電流量を算出
できる電子ビームの軌道補正方法とすることができる。
【0080】(10)請求項7に記載の電子ビームの軌
道補正装置又は軌道補正方法は、ビームポジションモニ
タを複数とし、このビームポジションモニタを上記電子
蓄積リングの適切な位置に配置するようにしたため、前
述した効果の外に、更に、電子ビームの軌道補正が一層
精密に行え、超高精密を要求される電子蓄積リングに対
応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子ビームの軌道補正装置の一実施の
形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の電子ビームの軌道補正装置の一実施の
形態に用いる主要構成の配置を示す電子蓄積リングの平
面図である。
【図3】電子蓄積リングの基本構成を説明するための平
面図である。
【図4】電子蓄積リングに用いるビームポジションモニ
タの構成を示す縦断面図である。
【図5】ステアリング電磁石の構成を示す縦断面図であ
る。
【図6】ステアリング電磁石の構成を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
10:電子ビームの軌道補正装置 12:演算装置 50:高周波加速空胴 60A1〜60Am、60:ステアリング電磁石 60A1〜60Am:ステアリング電磁石用電源 60A1〜60Am:ステアリング電流制御装置 70A1〜70An:四重極電磁石 72:四重極電磁石用電源 74:分流器(四重極電磁石電流制御装置) 90A、90B:偏向電磁石 92:ビームポジションモニタ 100:電子蓄積リング

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の偏向電磁石と、第1乃至第nのn
    個の四重極電磁石とを備え、電子(陽電子を含む)ビー
    ムを閉軌道内に所望のエネルギーで蓄積するようにした
    電子蓄積リングの電子ビームの軌道補正装置において、 電子ビームを垂直方向、及び水平方向に偏向させる第1
    乃至第mのm個のステアリング電磁石と、 前記各ステアリング電磁石に励磁電流を供給するステア
    リング電磁石用電源と、 前記各ステアリング電磁石の励磁電流を制御するステア
    リング電流制御装置と、 前記各四重極電磁石の励磁用の四重極電磁石用電源と、 前記各四重極電磁石へ流す電流を制御する四重極電磁石
    電流制御装置と、 電子ビームの位置を検出するビームポジションモニタ
    と、 電子ビームが各四重極電磁石の中心を通るような偏向角
    となるための各ステアリング電磁石の励磁電流を、特異
    値分解法で算出する演算装置とを備えたことを特徴とす
    る電子ビームの軌道補正装置。但し、n、mは共に自然
    数である。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子ビームの軌道補正
    装置において、 ステアリング電磁石の数mと、四重極電磁石の数nとの
    関係を、 m>nとしたことを特徴とする電子ビームの軌道補正装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の電子ビームの軌
    道補正装置において、 上記電子ビームの軌道補正装置が、上記電子蓄積リング
    に適宜配置された1又は2以上の高周波加速空胴を備え
    るようにしたことを特徴とする電子ビームの軌道補正装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の電子
    ビームの軌道補正装置において、 上記演算装置として、所定の特異値よりも小さい特異値
    を無視して各ステアリング電磁石の励磁電流量を算出す
    る演算装置を用いたことを特徴とする電子ビームの軌道
    補正装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載の電子
    ビームの軌道補正装置を備えた電子蓄積リングの電子ビ
    ームの軌道補正方法において、 第1に、総てのステアリング電磁石を励磁させない状態
    で、第pの四重極電磁石の励磁電流量を単独で所定量変
    化させた場合のビームポジションモニタにおける電子ビ
    ームの変位を検出し、 第2に、第qのステアリング電磁石に単独で励磁電流を
    所定量供給した状態で、第pの四重極電磁石の励磁電流
    量を単独で所定量変化させた場合のビームポジションモ
    ニタにおける電子ビームの変位を検出し、 第3に、第pの四重極電磁石について、第pの四重極電
    磁石の励磁電流量を所定量変化させても、ビームポジシ
    ョンモニタにおける電子ビームの位置が変化しないとい
    う条件を基にして、第qのステアリング電磁石のそれぞ
    れの励磁電流量を変数とする第pの方程式を作成し、 第4に、上記第3で作成したn個の方程式を連立方程式
    として、第1乃至第mのステアリング電磁石の励磁電流
    量の解を、特異値分解法により算出し、 第5に、この算出したステアリング電磁石の励磁電流量
    に基づいて、第1乃至第mのステアリング電磁石の励磁
    電流量を制御し、 電子ビームが第1乃至第nの各四重極電磁石の中心を通
    るように補正するようにしたことを特徴とする電子ビー
    ムの軌道補正方法。但し、p、qは、1≦p≦n、1≦
    q≦mの整数であり、pは1からnまで、qは1からm
    まで順次変動するものとする。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の電子ビームの軌道補正
    装置を備えた電子蓄積リングの電子ビームの軌道補正方
    法において、 第1に、総てのステアリング電磁石を励磁させない状態
    で、第pの四重極電磁石の励磁電流量を単独で所定量変
    化させた場合のビームポジションモニタにおける電子ビ
    ームの変位を検出し、 第2に、第qのステアリング電磁石に単独で励磁電流を
    所定量供給した状態で、第pの四重極電磁石の励磁電流
    量を単独で所定量変化させた場合のビームポジションモ
    ニタにおける電子ビームの変位を検出し、 第3に、第pの四重極電磁石について、第pの四重極電
    磁石の励磁電流量を所定量変化させても、ビームポジシ
    ョンモニタにおける電子ビームの位置が変化しないとい
    う条件を基にして、第qのステアリング電磁石のそれぞ
    れの励磁電流量を変数とする第pの方程式を作成し、 第4に、上記第3で作成したn個の方程式を連立方程式
    として、第1乃至第mのステアリング電磁石の励磁電流
    量の解を、特異値分解法により解き、かつ、所定の特異
    値よりも小さい特異値を無視して算出し、 第5に、この算出したステアリング電磁石の励磁電流量
    に基づいて、第1乃至第mのステアリング電磁石の励磁
    電流量を制御し、 電子ビームが第1乃至第nの各四重極電磁石の中心を通
    るように補正するようにしたことを特徴とする電子ビー
    ムの軌道補正方法。但し、p、qは、1≦p≦n、1≦
    q≦mの整数であり、pは1からnまで、qは1からm
    まで順次変動するものとする。
  7. 【請求項7】 上記ビームポジションモニタを複数と
    し、このビームポジションモニタを上記電子蓄積リング
    の適切な位置に配置するようにしたことを特徴とする請
    求項1乃至6のいずれかに記載の電子ビームの軌道補正
    装置又は電子ビームの軌道補正方法。
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