JP2002138156A - 撥水性及び親水性を有する被覆物及びその製造方法 - Google Patents

撥水性及び親水性を有する被覆物及びその製造方法

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JP2002138156A
JP2002138156A JP2000334324A JP2000334324A JP2002138156A JP 2002138156 A JP2002138156 A JP 2002138156A JP 2000334324 A JP2000334324 A JP 2000334324A JP 2000334324 A JP2000334324 A JP 2000334324A JP 2002138156 A JP2002138156 A JP 2002138156A
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water
petal
transparent alumina
coating
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Tsutomu Minami
努 南
Seiji Tadanaga
清治 忠永
Atsunori Matsuda
厚範 松田
Katsumi Yasui
勝美 安井
Shintaro Itakura
信太郎 板倉
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Sekisui Jushi Corp
Original Assignee
Sekisui Jushi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】容易に製作でき、且つ優れた撥水性及び親水性
が併存された被覆物及びその製造方法を提供する。 【解決手段】基体上に、花弁状透明アルミナ膜を形成
し、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理ある
いはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分や
不純物を除去すると共に表面を活性化状態にし、その活
性化によって花弁状透明アルミナ膜の表面に親水性を発
現させる。しかる後に、その花弁状透明アルミナ膜の一
部に撥水膜を被覆して撥水性を具備させ、その他の部分
は活性化された花弁状透明アルミナ膜を露出させたまま
とし、又はその上に親水膜を被覆することにより親水性
を具備させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴーグル、ヘルメ
ットバイザー(シールド板)、メガネレンズ、サングラ
ス、住宅や乗物の窓等の撥水性及び親水性が要求される
透光性製品、その他建築用、構築用材料等に広く適用さ
れる撥水性及び親水性を有する被覆物及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、スキーのゴーグル、自動二輪車
のヘルメットバイザー(シールド板)、メガネレンズ、
サングラス、住宅や乗物の窓等は、寒冷時や雨天時に曇
り等が発生し、可視性が損なわれることがある。そして
この曇り等を防止する手段として、従来、それらの表面
に撥水性や親水性を具備させている。撥水性を具備させ
ると、表面に付着した水滴が相互に接触して大きな水滴
となつて流れ落ち、又親水性を具備させると、表面に付
着した水滴が水膜となって広がるため、可視性が保たれ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、親水性
を具備させた場合は、寒冷条件下では雪が付着したり、
表面に付着して広がった水滴が氷結して視界が全く確保
できない状態になることがある。又撥水性を具備させた
場合は、水蒸気等の細かい水滴の場合は、凝結による曇
りが発生し、視界が全く確保できない状態になることが
ある。
【0004】従って、スキーのゴーグル、自動二輪車の
ヘルメットバイザー(シールド板)、メガネレンズ、サ
ングラス、住宅や乗物の窓等については、外気に晒され
る外側に位置する部分は、雪の付着や氷結を避けるため
に、撥水性を具備させるのが好ましく、逆に外気に晒さ
れない内側に位置する部分は、親水性を具備させるのが
好ましい。
【0005】そして前記の如き撥水性を付与するには、
基材の表面にフッ素系やシリコーン系等の撥水被膜を直
接形成する方法が知られている。しかしながら、基材の
表面に単に撥水被膜を形成しただけのものは、得られる
撥水性能に限度があり、いわゆる超撥水性と称される水
との接触角が150度以上のものは得難く、せいぜい初
期の接触角は120度以下であり、又基材と撥水被膜と
の付着性にも問題がある。
【0006】他方、撥水性は表面状態によっても大きく
影響され、表面を微細な凹凸形状にして実際の表面積を
見かけの表面積より大きくし、その上に撥水被膜を形成
すれば、撥水性を一層向上させることができることが知
られている。そこで、この凹凸の形成として、例えば基
材が金属の場合は浸漬法や電解法によるエッチング等を
利用したり、又ガラスの場合は、フォトリソグラフィー
等を利用することができるが、これらは類雑で大がかり
な装置を必要とし、コスト高になるのを避け得なかっ
た。
【0007】又、親水性を付与するには、表面に無機酸
化物による微細な凹凸を形成することにより、親水性が
飛躍的に向上することが知られている。例えば、ガラス
の場合は、シリカやチタニア等の無機酸化物による微細
な凹凸を有する薄膜を形成したり、又例えば金属酸化物
のIn、SnO、Sb、Si
粉を含有した微細な凹凸を有する透明膜を表面に
被覆したり、基材が金属の場合は、スパッタリング法、
CDV法等でSiO、Al、Ti
、ZnO、Ta、ZrO等の微細
な凹凸を有する金属酸化物層を表面に形成する方法があ
る。しかしながら、これらの方法は、複雑で大がかりな
装置を必要とし、コスト高になり、又基材が高分子の場
合は、基材自体を破壊したり、強度低下を起こすおそれ
がある。
【0008】かように、親水性や撥水性を付与するに
は、表面を微細な凹凸にするのが効果的であるが、従来
の微細な凹凸を形成する方法は、前記の如く、類雑で大
がかりな装置を必要とし、コスト高になると共に、高分
子基材に対しては、基材自体をを破壊したり、強度低下
を起こすおそれがある等の問題があり、又得られる撥水
性や親水性についても限界があった。さらにこれら撥水
性を呈する部分と親水性を呈する部分とを併存させよう
とすると、それ以上の複雑な工程を経て製作する必要が
あった。
【0009】そこで本発明は、上記の如き問題点を解消
し、容易に且つ基材が高分子の場合においても基材自体
を破壊したり、強度低下を起こすことなく、撥水性を呈
する部分と親水性を呈する部分とを併存して形成するこ
とができ、しかも形成された撥水性及び親水性は、優れ
た撥水性及び親水性を呈する撥水性及び親水性を有する
被覆物及びその製造方法を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、微細な凹凸形状を
有する花弁状の透明アルミナ膜に注目した。この花弁状
の透明アルミナ膜は、例えば特開平9−202650号
公報に記載される如く、表面が花弁状の微細な凸部と、
そうでない部分の孔状の微細な凹部とがランダムに集合
体化した、特異な形状となされているものであって、ア
ルミニウムアルコキシドと安定化剤とを含む塗布液によ
るゾルゲル法等により、例えば高分子基体であっても、
破壊や強度低下等の悪影響を与えることなく容易に形成
することができ、又透明アルミナ膜であるので、このア
ルミナ膜によって透明性が損なわれることがない等のメ
リットを有しているものである。
【0011】そして本発明者は、この花弁状の透明アル
ミナ膜に、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理を試み
た。このコロナ放電処理あるいはプラズマ処理により、
花弁状透明アルミナ膜表層の結晶性ベーマイトに吸着し
ている水分あるいは不純物が除去され、且つ花弁状透明
アルミナ膜表面の結合が切断されて、反応性の高い遊離
ラジカルとなり、それが空気中の酸素により酸化される
と、高密度に極性基(−C=O、−COOH、−OH
等)が生成されることが分かった。
【0012】従って、花弁状透明アルミナ膜表面は、コ
ロナ放電処理あるいはプラズマ処理をすることにより、
前記の如き極性基の生成により極めて高い親水性が発現
されることとなる。
【0013】又その上に撥水膜や親水膜を被覆した場合
は、被覆する撥水膜や親水膜のミクロ的な高密度化と、
ミクロ的な密着性を向上させることができる。そして撥
水膜を被覆した場合は、撥水性のみならず滑水性をも向
上することも分かった。
【0014】一般に、花弁状透明アルミナ膜の表層は結
晶性ベーマイト(AlOOH)であるため、末端のOH
基が空気中に配向している。そのため空気中の水分や不
純物を必然的に吸着してしまい、従って、例えばその上
に撥水膜用の撥水剤を被覆した場合、その部分に撥水剤
が被覆されずにミクロ的に未撥水部分が残存してしま
い、滑水性(表面に付着した水滴が僅かな傾斜によって
滑り落ちる性質)に大きく影響を及ぼすことがある。
【0015】すなわち、一般的には、撥水性能が良好で
あれば水滴もその性能と同様にすぐに滑落すると、同一
的な性能で考えられているが、本発明者らの研究では、
撥水性と滑水性は、異なる性能であると考えられる。撥
水のメカニズムとしては、水分子と物体表面に位置する
原子との水素結合や、ファンデルワールス力、及び水分
子と接する物体表面による水分子の構造変化等が考えら
れるが、水滴が対象となるマクロ的な効果である撥水性
能では、接する物体表面と接する水滴の界面の水滴外周
部分が重要であり、例えばミクロ的に未撥水部分が点在
していても水の表面張力により殆ど撥水性能には影響が
ない。しかし静的な性能である撥水性に対して、滑水性
は静から動に移行する性能であり、その性能発現は水滴
と接する物体表面全体に関係する。したがってミクロ的
に未撥水部分が点在していると、撥水部分と水分子と物
体表面に位置する原子との水素結合や、ファンデルワー
ルス力、及び水分子と接する物体表面による水分子の構
造変化等が異なるため、付着性に差異が発生し、滑水性
が低下する。そして、この滑水性を向上させるために
は、撥水膜の含浸性、担持性、そして特に単位面積あた
りの撥水物質の高密度化および均一性が重要である。
【0016】そこで、この特異な凹凸形状を有する花弁
状透明アルミナ膜にコロナ放電処理あるいはプラズマ処
理を行い、花弁状透明アルミナ膜に付着されている水分
或いは不純物の除去を行い、且つ花弁状透明アルミナ膜
の表面を十分に活性化させ、しかる後、その花弁状透明
アルミナ膜上に撥水膜を形成することにより、前記特異
な凹凸形状との相乗効果により、花弁状透明アルミナ膜
上に被覆される撥水膜の含浸性、担持性、そして特に滑
水性に最も寄与する単位面積あたりの撥水物質の高密度
化および均一性の格段の向上を同時に図ることができ、
滑水性を極めて向上させることができる。
【0017】すなわち、花弁状透明アルミナ膜にコロナ
放電処理あるいはプラズマ処理を行うことにより、親水
性が発現されると共に、又その上に撥水膜を被覆すれば
極めて優れた撥水性が発現されることとなる。
【0018】本発明は、前記の如き研究の結果、完成し
たものである。すなわち、請求項1に記載の本発明(以
下、第1の発明とする)に係る撥水性及び親水性を有す
る被覆物は、基体上に、花弁状透明アルミナ膜が形成さ
れ、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理ある
いはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分や
不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、しか
る後に、その花弁状透明アルミナ膜の一部に撥水膜が被
覆され、その他の部分は花弁状透明アルミナ膜が露出さ
れ、撥水膜が被覆されて撥水性を呈する部分と、花弁状
透明アルミナ膜が露出されて親水性を呈する部分とが併
存されていることを特徴とするものである。
【0019】又、請求項2に記載の本発明(以下、第2
の発明とする)に係る撥水性及び親水性を有する被覆物
は、基体上に、花弁状透明アルミナ膜が形成され、その
花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理あるいはプラ
ズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分や不純物を
除去すると共に表面を活性化状態にさせ、しかる後に、
その花弁状透明アルミナ膜の一部に撥水膜が被覆され、
その他の部分は親水膜が被覆され、撥水膜が被覆されて
撥水性を呈する部分と、親水膜が被覆されて親水性を呈
する部分とが併存されていることを特徴とするものであ
る。
【0020】又、請求項5に記載の本発明(以下、第3
の発明とする)に係る撥水性及び親水性を有する被覆物
の製造方法は、基体上に、花弁状透明アルミナ膜を形成
し、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理ある
いはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分や
不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、しか
る後に、その花弁状透明アルミナ膜の一部に撥水膜を被
覆し、その他の部分は花弁状透明アルミナ膜を露出さ
せ、撥水膜が被覆されて撥水性を呈する部分と、花弁状
透明アルミナ膜が露出されて親水性を呈する部分とを併
存させることを特徴とするものである。
【0021】さらに又、請求項6に記載の本発明(以
下、第4の発明とする)に係る撥水性及び親水性を有す
る被覆物の製造方法は、基体上に、花弁状透明アルミナ
膜を形成し、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電
処理あるいはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸
着水分や不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさ
せ、しかる後に、その花弁状透明アルミナ膜の一部に撥
水膜を被覆し、その他の部分に親水膜を被覆し、撥水膜
が被覆されて撥水性を呈する部分と、親水膜が被覆され
て親水性を呈する部分とを併存させることを特徴とする
ものである。
【0022】前記第1及び3の発明によれば、基体上に
形成した花弁状透明アルミナ膜にコロナ放電処理あるい
はプラズマ処理が行われ、その花弁状透明アルミナ膜の
一部に撥水膜を被覆し、その他の部分は花弁状透明アル
ミナ膜を露出した状態のままとすることにより、撥水膜
が被覆されて撥水性を呈する部分と、花弁状透明アルミ
ナ膜が露出されて親水性を呈する部分とを形成するの
で、極めて容易に撥水性を呈する部分と親水性を呈する
部分とを併存して形成させることができ、親水性は、水
との接触角が10度以下という優れた親水性を得ること
ができる。
【0023】しかも撥水性を呈する撥水膜は、コロナ放
電処理あるいはプラズマ処理が行われて、付着された水
分や不純物が除去されると共に表面が十分に活性化され
た花弁状透明アルミナ膜上に形成されているので、前記
花弁状透明アルミナ膜の特異な凹凸形状との相乗効果に
より、撥水膜の含浸性、担持性との相乗効果によって、
水の接触角が140度以上、好ましくは150度以上、
さらに好ましくは160度以上の優れた超撥水性が発現
されると共に、特に滑水性に最も寄与する単位面積あた
りの撥水物質の高密度化および均一性の格段の向上を同
時に図ることができる。さらに、透明アルミナ膜である
ので、このアルミナ膜によって透明性が損なわれること
がない。
【0024】又、第2及び4の発明は、前記第1及び3
の発明が、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理が行わ
れた花弁状透明アルミナ膜の一部を露出させ、その露出
された部分を親水性を呈する部分とするのに対して、こ
の上にさらに親水膜を被覆したものであって、第1及び
3の発明の如く、花弁状透明アルミナ膜の一部を露出さ
せた状態では不安定であるが、この親水膜によって親水
性を呈する部分の親水性が安定よく維持され、又前記撥
水膜と同様に、前記花弁状透明アルミナ膜の特異な凹凸
形状との相乗効果により、親水膜の含浸性、担持性との
相乗効果によって、水との接触角が10度以下の優れた
親水性を得ることができる。又、撥水性及び滑水性を向
上させることができることについては、前記第1及び3
の発明と同様である。
【0025】本発明において、基体が板状体の場合は、
その外面か内面のいずれか一方の面のみに花弁状透明ア
ルミナ膜を形成し、そしてその面に撥水性を呈する部分
と親水性を呈する部分とが分散するようにして形成され
ていてもよいが、基体の外面及び内面の両面に花弁状透
明アルミナ膜を形成し、外気にさらされる外面に撥水性
を呈する部分を形成し、内面に撥水性を呈する部分を形
成してもよい。
【0026】本発明における花弁状透明アルミナ膜は、
透明アルミナ膜の表面が、花弁状の微細な凸部と、そう
でない部分の孔状の微細な凹部とがランダムに集合体化
した、特異な形状となされているものであって、その形
成方法は、特に限定されるものではないが、アルミニウ
ムアルコキシドと安定化剤とを含む塗布液によるゾルゲ
ル法により、例えば高分子基体であっても、破壊や強度
低下等の悪影響を与えることなく容易に形成することが
できる。
【0027】尚、塗布液の塗布方法としては、例えば、
ディッピング法、スピンコート法、ノズルフローコート
法、スプレー法、フローコート法、ならびにこれらの併
用法等、適宜公知の塗布方法が採用できる。なおこれら
塗布方法の中でも、ディッピング法は、膜の均一性、膜
厚の制御等が容易であり、透明な本発明の塗布液を塗布
する場合は適切である。
【0028】前記アルミニウムアルコキシドとしては、
例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプ
ロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニ
ウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−
ブトキシド、アルミニウムアセチルアセテート等が用い
られる。
【0029】また安定剤としては、例えば、アセチルア
セトンやアセト酢酸エチル等のβ―ジケトン類、モノエ
タノールアミンやジエタノールアミンやトリエタノール
アミン等のアルカノールアミン類、さらに一般的な金属
アルコキシドの安定化剤等が用いられる。
【0030】また希釈溶媒としては、例えばメチルアル
コール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチ
ルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、
さらに一般的なゾルゲル法に用いられる希釈溶媒などが
用いられる。
【0031】得られた花弁状透明アルミナ膜の評価法と
しては、走査型電子顕微鏡(SEM)による5万倍での
表層観察と、5万倍での断面観察、ならびに原子間力顕
微鏡により中心線平均粗さRaを面拡張した平均面粗さ
Ra′値と比表面積SRによって行うことができる。
【0032】本発明においては、例えば、空隙の大きさ
が約50〜100nm程度で花弁状物が約20〜50n
m程度が好ましく、又平均面粗さRa′値が約17nm
程度以上、且つ比表面積SRが1.5程度以上で良好で
あり、好ましくは、Ra′値が約20nm程度以上、表
面積SRを1.7程度以上が良く、両者の値が極端に大
きいと濁度、透過率等が問題となることは当然である。
【0033】花弁状透明アルミナ膜に行われるコロナ放
電処理あるいはプラズマ処理は、プラスチック、金属又
はそれらの複合材等に汎用的に使用されているものと同
様であって、そのコロナ放電処理あるいはプラズマ処理
の処理時間は、花弁状透明アルミナ膜の表面状態及びそ
の後に被覆する撥水剤や親水剤にもよるが、例えばコロ
ナ放電処理では、出力20KW、ギャップが10mm、
発振周波数30KHzで、処理時間が約0.1〜5秒、
好ましくは約0.5〜2秒、また花弁状透明アルミナ膜
表面の水に対する濡れ性が約10度以下前後になる程度
で良く、好ましくは約5度以下前後である。
【0034】前記コロナ放電処理あるいはプラズマ処理
の行われた花弁状透明アルミナ膜上に形成される撥水膜
は、任意の撥水剤により形成されるが、基体が高分子か
らなる場合は、高分子基体に悪影響を与えない100℃
以下の低温下で成膜できる撥水剤を用いるのが好まし
い。
【0035】例えば、撥水剤として、フッ化ピッチ、或
いはフッ素樹脂、具体的にはポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラエチレン- ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、エチレン- テトラフルオロエチレン共重合体、テト
ラフルオロエチレン- パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリフッ
化ビニル等、それらをベースとしたフッ素樹脂コーティ
ング剤などが、フルオロカーボン基を有するフッ素含有
化合物、またはそれらをベースとしたフッ素樹脂コーテ
イング剤を用いることができる。
【0036】また例えば、フルオロカーボン基を有する
フッ素含有シラン化合物を用いることができる。さらに
例えば、メチル基を有するフッ素非含有シラン化合物を
用いることができる。
【0037】前記の如き撥水剤からなる塗布液の塗布方
法としては、例えば、ディッピング法、スピンコート
法、ノズルフローコート法、スプレー法、フローコート
法、ならびにそれらの併用法、既知の塗布手段により被
覆して得ることができる。
【0038】又、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理
の行われた花弁状透明アルミナ膜上に親水膜を形成する
場合、その親水膜は、任意の親水剤により形成される
が、基体が高分子からなる場合は、前記撥水層と同様
に、高分子基体に悪影響を与えない100℃以下の低温
下で成膜できる親水剤を用いるのが好ましい。
【0039】親水剤は、特に限定されるものではない
が、酸化チタンに代表される光触媒によって親水膜を形
成してもよい。この光触媒として用いられる物質として
は、ZnO、SnO、SrTiO、WO
BiO、FeO等がある。又シラン化合物をベ
ースとしたシリコーンコーテイング剤を塗布して得られ
るシリカ系薄膜であってもよい。
【0040】得られた撥水膜及び親水膜の撥水性能及び
親水性能の評価法としては、接触角計を用いて、該膜の
大気中での水滴に対する接触角を測定することで行うこ
とができる。本発明においては、撥水膜は、接触角は約
140度以上、好ましくは150度以上、さらに好まし
くは160度以上の超撥水性能を具備させることができ
る。又親水膜については、約15度以下、好ましくは約
10度以下の超親水性能を具備させることができる。
【0041】また、撥水膜における滑水性能の評価法と
して、得られた被覆物上に水滴を落とし、水滴を静止さ
せた後に被覆物を徐々に傾斜させ、水滴が滑落する被覆
物の傾斜角度により滑水性を測定することができる。本
発明においては、滑水性は約10度以下、好ましくは約
1〜5度程度の超滑水性能を具備させることができる。
【0042】本発明における基体の材質は特に限定され
るものではない。基体が高分子基体である場合は、ポリ
カーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンナフ
タレート、ポリフエニレンサルフアイド、ポリアミド、
ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等から選ばれた有機樹脂か
らなり、又はそれらの有機樹脂が2種以上混合又は積層
されてなる高分子基体を用いることができる。これらの
高分子基体に花弁状透明アルミナ膜を直接形成してもよ
いが、予め高分子基体の表面にシリコーン系ベース膜を
形成し、その表面をコロナ放電処理やプラズマ処理等を
行い、高分子基体に付着されている水分や不純物の除
去、及び高分子基体の表面に水酸基等を発現させること
により充分に活性化させ、しかる後、その上に花弁状透
明アルミナ膜を形成すれば、その花弁状透明アルミナ膜
の付着性を高めることができるので好ましい。
【0043】かようにして、高分子基体上に花弁状透明
アルミナ膜を形成し、さらにこの花弁状透明アルミナ膜
にコロナ放電処理あるいはプラズマ処理を行うことによ
り、花弁状透明アルミナ膜の特異な凹凸形状とコロナ放
電処理あるいはプラズマ処理とが相まって、その上に形
成される撥水性を呈する部分については超撥水性のみな
らず超滑水性をも具備させることができると共に、親水
性を呈する部分は超親水性を具備させることができ、且
つそれら撥水性を呈する部分及び親水性を呈する部分を
容易に併存させて製作することができる。しかも得られ
た被覆物は光学特性を損なうことがなく、且つ高分子基
体であっても基体の性状も損なうことなく、耐候性にも
優れたものとなる。従って、ゴーグル、ヘルメットバイ
ザー(シールド板)、メガネレンズ、サングラス、住宅
や乗物の窓ガラス等の撥水性及び親水性が要求される透
光性製品に好適に用いられるばかりでなく、その他、高
分子や金属、ガラス等からなる各種の建築物、構築物等
の資材全般、例えば建材、建築外装材、看板、交通標
識、道路用や鉄道用の透光性遮音板、防音板、ガードレ
ール、照明カバー、橋梁、柵、高欄、視線誘導標やそれ
らに用いられる反射板、カーブミラー、浴室用ミラー
等、撥水性及び親水性が要求されるあらゆる用途に有用
な被覆物を得ることができる。
【0044】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、以下の実施例により具体的に説明する。但し、本発
明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
【実施例】(実施例1)先ず、ポリカーボネート基板両
面に、シリコーン系ベース膜を形成し、そのシリコーン
系ベース膜にコロナ放電処理あるいはプラズマ処理を行
い、表面に吸着された吸着水分や不純物を除去すると共
に表面を活性化状態にし、そしてその上にアルミニウム
−sec−ブトキシドからなるアルミニウムアルコキシ
ドを用いたアルミナゾル液であるアルミナ膜形成用の塗
布液を塗布し、花弁状透明アルミナ薄膜が両面に形成さ
れたポリカーボネート板を得た。
【0046】そして、前記花弁状透明アルミナ薄膜が形
成されたポリカーボネート板の両面を十分に活性化する
までコロナ放電処理を行い、その活性化された一方の面
にフッ素シリコーンコーティング剤を主成分とする撥水
膜用塗布液からなる撥水膜を形成し、他方の面は、活性
化された花弁状透明アルミナ薄膜を露出させた状態のま
まとすることにより、撥水膜が被覆された撥水性を呈す
る部分と、活性化された花弁状透明アルミナ膜が露出さ
れた親水性を呈する部分とを併存させた実施例1の本発
明に係る被覆物を得た。
【0047】(実施例2)実施例1と異なり、撥水膜用
塗布液として、ペプタデカフロロデシルトリクロロシラ
ンを主成分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜
上に撥水膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、
実施例2の本発明に係る被覆物を得た。
【0048】(実施例3)次に前記と異なり、撥水膜用
塗布液として、オクタデシルトリエトキシシランを主成
分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜上に撥水
膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3
の本発明に係る被覆物を得た。
【0049】(実施例4)さらに前記と異なり、撥水膜
用塗布液として、フッ化ピッチに、1,1,2−トリク
ロロ−1,1,2−トリフルオロエタンを加えたものを
主成分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜上に
撥水膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施
例4の本発明に係る被覆物を得た。
【0050】(実施例5)次に、花弁状透明アルミナ膜
が両面に形成され、且つその花弁状透明アルミナ膜がコ
ロナ放電処理により活性化されたポリカーボネート板
の、一方の面にフッ素シリコーンコーティング剤を主成
分とする撥水膜用塗布液からなる撥水膜を形成し、他方
の面にテトラエトキシシランを主成分とする親水膜用塗
布液からなる親水膜を形成し、撥水膜が被覆されて撥水
性を呈する部分と、親水膜が被覆されて親水性を呈する
部分とを併存させた以外は、実施例1と同様にして、実
施例5の本発明に係る被覆物を得た。
【0051】(実施例6)実施例5と異なり、撥水膜用
塗布液として、ペプタデカフロロデシルトリクロロシラ
ンを主成分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜
上に撥水膜を形成した以外は、実施例5と同様にして、
実施例6の本発明に係る被覆物を得た。
【0052】(実施例7)次に前記と異なり、撥水膜用
塗布液として、オクタデシルトリエトキシシランを主成
分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜上に撥水
膜を形成した以外は、実施例5と同様にして、実施例7
の本発明に係る被覆物を得た。
【0053】(実施例8)さらに前記と異なり、撥水膜
用塗布液として、フッ化ピッチに、1,1,2−トリク
ロロ−1,1,2−トリフルオロエタンを加えたものを
主成分とする塗布液を用いて花弁状透明アルミナ膜上に
撥水膜を形成した以外は、実施例5と同様にして、実施
例8の本発明に係る被覆物を得た。
【0054】(比較例1〜4)ポリカーボネート板の両
面に形成した花弁状透明アルミナ薄膜のいずれについて
もコロナ放電処理をせず、そしてその一方の面に撥水膜
を形成し、他方の面は花弁状透明アルミナ薄膜を露出さ
せた状態のままとした以外は、前記実施例1〜4とそれ
ぞれ同様にして、比較例1〜4の被覆物を得た。
【0055】(比較例5〜8)ポリカーボネート板の両
面に形成した花弁状透明アルミナ薄膜のいずれについて
もコロナ放電処理をせず、そしてその一方の面に撥水膜
を形成し、他方の面に親水膜を形成以外は、前記実施例
5〜8とそれぞれ同様にして、比較例5〜8の被覆物を
得た。
【0056】前記にて得られた実施例1〜8及び比較例
1〜8のそれぞれについて、撥水性、滑水性、親水性を
測定した。撥水性及び親水性は、接触角計を用いて、各
被覆物の大気中での水滴に対する接触角θを測定するこ
とで行った。また撥水膜における滑水性の測定は、各被
覆物に水滴を落とし、水滴を静止させた後に該被覆物を
徐々に傾斜させ、その被覆物の傾斜角度より滑落角θを
測定することで行った。
【0057】その結果、実施例1〜8ついての撥水性を
呈する面の水に対する接触角θは、いずれも160〜1
65度であり、又滑落角は1〜4度であった。これに対
して、比較例1〜8ついての撥水性を呈する面の水に対
する接触角θは、いずれも140〜150度であり、又
滑落角は20〜50度であった。
【0058】この結果より、実施例1〜8の如く花弁状
透明アルミナ薄膜を十分に表面が活性化するまでコロナ
放電処理を行った後に撥水膜を形成することにより、撥
水性及び滑水性が極めて向上することが判る。
【0059】又、実施例1〜8ついての親水性を呈する
面の水に対する接触角θは、いずれも0〜8度であり、
これに対して、比較例1〜8ついてのコロナ放電処理を
していない花弁状透明アルミナ薄膜が露出された面及び
親水膜を形成した面の水に対する接触角θは、いずれも
20〜30度であった。このことから、花弁状透明アル
ミナ薄膜を十分に表面が活性化するまでコロナ放電処理
を行うこと、又その上に親水膜を形成することにより、
親水性が極めて向上することが判る。
【0060】
【発明の効果】本発明に係る第1及び3の発明によれ
ば、基体上に形成した花弁状透明アルミナ膜にコロナ放
電処理あるいはプラズマ処理が行われ、その花弁状透明
アルミナ膜の一部に撥水膜を被覆し、その他の部分は花
弁状透明アルミナ膜を露出した状態のままとすることに
より、撥水膜が被覆されて撥水性を呈する部分と、花弁
状透明アルミナ膜が露出されて親水性を呈する部分とを
形成するので、極めて容易に撥水性を呈する部分と親水
性を呈する部分とを併存して形成させることができ、親
水性は、水との接触角が10度以下という優れた親水性
を得ることができる。
【0061】しかも撥水性を呈する撥水膜は、コロナ放
電処理あるいはプラズマ処理が行われて、付着された水
分や不純物が除去されると共に表面が十分に活性化され
た花弁状透明アルミナ膜上に形成されているので、前記
花弁状透明アルミナ膜の特異な凹凸形状との相乗効果に
より、撥水膜の含浸性、担持性との相乗効果によって、
水の接触角が140度以上、好ましくは150度以上、
さらに好ましくは160度以上の優れた超撥水性が発現
されると共に、特に滑水性に最も寄与する単位面積あた
りの撥水物質の高密度化および均一性の格段の向上を同
時に図ることができる。さらに、透明アルミナ膜である
ので、このアルミナ膜によって透明性が損なわれること
がない。
【0062】又、第2及び4の発明によれば、前記第1
及び3の発明が、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理
が行われた花弁状透明アルミナ膜の一部を露出させ、そ
の露出された部分を親水性を呈する部分とするのに対し
て、この上にさらに親水膜を被覆したものであって、第
1及び3の発明の如く、花弁状透明アルミナ膜の一部を
露出させた状態では不安定であるが、この親水膜によっ
て親水性を呈する部分の親水性が安定よく維持され、又
前記撥水膜と同様に、前記花弁状透明アルミナ膜の特異
な凹凸形状との相乗効果により、親水膜の含浸性、担持
性との相乗効果によって、水との接触角が10度以下の
優れた親水性を得ることができる。又、撥水性及び滑水
性を向上させることができることについては、前記第1
及び3の発明と同様である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 C08L 101:00 // C08L 101:00 G02B 1/10 Z (72)発明者 松田 厚範 大阪府河内長野市緑ケ丘中町12−5 (72)発明者 安井 勝美 滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内 (72)発明者 板倉 信太郎 滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内 Fターム(参考) 2K009 BB11 CC12 CC26 CC42 DD02 DD17 EE00 4F006 AA12 AA17 AA22 AA35 AA36 AA37 AA38 AA40 AB67 AB73 AB74 AB76 BA10 CA04 CA05 DA01 EA03 4F073 AA01 AA23 BA07 BA08 BA13 BA18 BA19 BA23 BA24 BA26 BA28 BA29 BA32 BA33 BA34 CA01 CA21 FA08 4F100 AA19B AK04A AK17 AK17J AK42A AK45A AK52 AK52D AK52J AK57A AL01 AL05A AR00C AT00A BA03 BA04 BA07 BA44C CC00B EG002 EH462 EJ552 EJ612 EJ852 GB07 GB32 GB76 HB00B JB05 JB06C JM01 JM02C JM02D JN01B 4H020 BA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に、花弁状透明アルミナ膜が形成
    され、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理あ
    るいはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分
    や不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、し
    かる後に、その花弁状透明アルミナ膜の一部に撥水膜が
    被覆され、その他の部分は花弁状透明アルミナ膜が露出
    され、撥水膜が被覆されて撥水性を呈する部分と、花弁
    状透明アルミナ膜が露出されて親水性を呈する部分とが
    併存されていることを特徴とする撥水性及び親水性を有
    する被覆物。
  2. 【請求項2】 基体上に、花弁状透明アルミナ膜が形成
    され、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理あ
    るいはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分
    や不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、し
    かる後に、その花弁状透明アルミナ膜の一部に撥水膜が
    被覆され、その他の部分は親水膜が被覆され、撥水膜が
    被覆されて撥水性を呈する部分と、親水膜が被覆されて
    親水性を呈する部分とが併存されていることを特徴とす
    る撥水性及び親水性を有する被覆物。
  3. 【請求項3】 基体は、ポリカーボネート、ポリエチレ
    ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
    エチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリフエニレン
    サルフアイド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリメタク
    リレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹
    脂等から選ばれた有機樹脂からなり、又はそれらの有機
    樹脂が2種以上混合又は積層されてなる高分子基体であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水性及び
    親水性を有する被覆物。
  4. 【請求項4】 高分子基体上に、シリコーン系ベース膜
    が形成されると共にシリコーン系ベース膜にコロナ放電
    処理あるいはプラズマ処理を行い、しかる後に、その上
    に花弁状透明アルミナ膜が形成されたことを特徴とする
    請求項3に記載の撥水性及び親水性を有する被覆物。
  5. 【請求項5】 基体上に、花弁状透明アルミナ膜を形成
    し、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理ある
    いはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分や
    不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、しか
    る後に、その花弁状透明アルミナ膜の一部に撥水膜を被
    覆し、その他の部分は花弁状透明アルミナ膜を露出さ
    せ、撥水膜が被覆されて撥水性を呈する部分と、花弁状
    透明アルミナ膜が露出されて親水性を呈する部分とを併
    存させることを特徴とする撥水性及び親水性を有する被
    覆物の製造方法。
  6. 【請求項6】 基体上に、花弁状透明アルミナ膜を形成
    し、その花弁状の透明アルミナ膜にコロナ放電処理ある
    いはプラズマ処理を行い、表面に吸着された吸着水分や
    不純物を除去すると共に表面を活性化状態にさせ、しか
    る後に、その花弁状透明アルミナ膜の一部に撥水膜を被
    覆し、その他の部分に親水膜を被覆し、撥水膜が被覆さ
    れて撥水性を呈する部分と、親水膜が被覆されて親水性
    を呈する部分とを併存させることを特徴とする撥水性及
    び親水性を有する被覆物の製造方法。
  7. 【請求項7】 基体は、ポリカーボネート、ポリエチレ
    ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
    エチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリフエニレン
    サルフアイド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリメタク
    リレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹
    脂等から選ばれた有機樹脂からなり、又はそれらの有機
    樹脂が2種以上混合又は積層されてなる高分子基体であ
    ることを特徴とする請求項5又は6に記載の撥水性及び
    親水性を有する被覆物の製造方法。
  8. 【請求項8】 高分子基体上に、シリコーン系ベース膜
    を形成すると共にシリコーン系ベース膜にコロナ放電処
    理あるいはプラズマ処理を行い、しかる後に、その上に
    花弁状透明アルミナ膜を形成することを特徴とする請求
    項7に記載の撥水性及び親水性を有する被覆物の製造方
    法。
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