JP2002128674A - 腸損傷抑制剤 - Google Patents

腸損傷抑制剤

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JP2002128674A
JP2002128674A JP2000318660A JP2000318660A JP2002128674A JP 2002128674 A JP2002128674 A JP 2002128674A JP 2000318660 A JP2000318660 A JP 2000318660A JP 2000318660 A JP2000318660 A JP 2000318660A JP 2002128674 A JP2002128674 A JP 2002128674A
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damage
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JP2000318660A
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Hideo Kato
日出男 加藤
Koji Takeuchi
孝治 竹内
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Abbott Japan Co Ltd
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Hokuriku Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非ステロイド系抗炎症剤が引き起こす腸損傷に
対する抑制剤を提供する。 【解決手段】ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフ
ェンナトリウム、インドメタシン、ピロキシカム、ケト
プロフェン、イブプロフェン、ザルトプロフェン、アン
ピロキシカムなどの非ステロイド系抗炎症剤が引き起こ
す腸損傷に対する抑制剤であって、臭化チキジウムを有
効成分として含む抑制剤。本発明の抑制剤は腸粘膜ミエ
ロパーオキシダーゼ活性の亢進、及び/又は、腸粘膜カ
ルシウムイオン(Ca 2+)非依存性一酸化窒素合成酵素
活性の亢進などによる腸損傷に対し、優れた抑制作用を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非ステロイド系抗
炎症剤が引き起こす腸損傷に対する抑制剤に関し、特に
腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性の亢進に
対して優れた抑制作用を有する、及び/又は、腸粘膜カ
ルシウムイオン非依存性一酸化窒素合成酵素(iNO
S)活性の亢進に対して優れた抑制作用を有する、臭化
チキジウムを有効成分として含む抑制剤を提供すること
にある。
【0002】
【従来の技術】非ステロイド系抗炎症剤は、慢性関節リ
ウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕
症候群などにおける消炎・鎮痛剤として汎用されている
一方、その副作用についても問題視されている。副作用
の中でも胃への副作用はよく知られており、非ステロイ
ド系抗炎症剤の臨床使用及び/又は新薬開発に当たって
は、制酸剤、抗潰瘍剤等との併用などの対応、製剤的に
胃損傷が軽減された薬剤の探索などが行われているが、
更に非ステロイド系抗炎症剤の長期連用による弊害も憂
慮されており、臨床上より適切な薬剤が求められてい
る。
【0003】又、非ステロイド系抗炎症剤の副作用とし
て、胃への副作用と同様に、小腸などの腸に対しても損
傷を示すことが知られており、胃粘膜に損傷を惹起しな
い低用量の非ステロイド系抗炎症剤でも小腸などに重篤
な損傷を惹起する可能性が示唆される報告(ダイジェシ
ョン(Digestion),61, p.39,2000)が知られている。
【0004】本発明の抑制剤である臭化チキジウムは、
消化性潰瘍治療剤としての有効性が示されており(日薬
理誌(Folia Pharmacol. Japon.), 90, p.273, 198
7)、インドメタシン誘発損傷に対して抑制作用を示す
ことが明らかにされている。又、その消化管運動亢進抑
制作用については特開2000−26313号公報にお
いて開示されているが、該公報において消化管として
は、具体的に「胃」に対する作用を開示しているに過ぎ
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ジク
ロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、
インドメタシン、ピロキシカム、ケトプロフェン、イブ
プロフェン、ザルトプロフェン、アンピロキシカムなど
に代表される非ステロイド系抗炎症剤が引き起こす腸損
傷に対する抑制剤を提供することにあり、特に、腸粘膜
MPO活性の亢進に対し優れた抑制作用を有する、及び
/又は、腸粘膜iNOS活性の亢進に対して優れた抑制
作用を有する医薬を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、臭化チキジウム
が、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナト
リウム、インドメタシン、ピロキシカム、ケトプロフェ
ン、イブプロフェン、ザルトプロフェン、アンピロキシ
カムなどに代表される非ステロイド系抗炎症剤が引き起
こす腸損傷の抑制、特に、腸粘膜MPO活性の亢進、及
び/又は、腸粘膜iNOS活性の亢進に対して優れた抑
制作用を有することを見出した。又、非ステロイド系抗
炎症剤と臭化チキジウムとを組み合せることによって、
腸損傷が著しく軽減された抗炎症性の医薬組成物を提供
できることを見出した。本発明はこれらの知見を基にし
て完成されたものである。
【0007】即ち、本発明は非ステロイド系抗炎症剤が
引き起こす腸損傷に対する抑制剤であって、臭化チキジ
ウムを有効成分として含む抑制剤を提供するものであ
る。本発明の第二の態様によれば、非ステロイド系抗炎
症剤の投与に起因する腸粘膜MPO活性の亢進、及び/
又は、腸粘膜iNOS活性の亢進等の腸損傷に対する抑
制剤であって、臭化チキジウムを有効成分として含む抑
制剤が提供される。更に、本発明の好ましい態様によれ
ば、非ステロイド系抗炎症剤がジクロフェナクナトリウ
ム、ロキソプロフェンナトリウム、インドメタシン、ピ
ロキシカム、ケトプロフェン、イブプロフェン、ザルト
プロフェン、又はアンピロキシカムである上記抑制剤が
提供される。
【0008】又、本発明の別の観点からは、非ステロイ
ド系抗炎症剤と臭化チキジウムとを含む医薬組成物が提
供される。本発明の好ましい態様によれば、非ステロイ
ド系抗炎症剤がジクロフェナクナトリウム、ロキソプロ
フェンナトリウム、インドメタシン、ピロキシカム、ケ
トプロフェン、イブプロフェン、ザルトプロフェン又は
アンピロキシカムである上記医薬組成物が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の抑制剤は、非ステロイド
系抗炎症剤が引き起こす腸損傷、特に、腸粘膜MPO活
性の亢進、及び/又は、腸粘膜iNOS活性の亢進に対
する抑制剤であって、臭化チキジウムを有効成分として
含むことを特徴としている。本明細書において用いられ
る「腸」という用語は、十二指腸、小腸及び大腸を含め
てもっとも広義に解釈する必要がある。
【0010】本明細書において用いられる「腸損傷」と
いう用語は腸粘膜損傷の他、腸の運動亢進、腸粘液分泌
の抑制、腸内細菌の腸粘膜内浸潤、腸粘膜における潰瘍
形成などを含めてもっとも広義に解釈する必要がある。
又、本明細書において用いられる「非ステロイド系抗炎
症剤が引き起こす腸粘膜MPO活性の亢進」という用語
は、腸内細菌の腸粘膜内浸潤によって引き起こされる好
中球の活性化に伴う酸素ラジカルの放出による腸損傷を
意味し、又、「非ステロイド系抗炎症剤が引き起こす腸
粘膜iNOS活性の亢進」という用語は、腸粘膜iNO
S発現によって引き起こされる多量の一酸化窒素(N
O)産生による腸損傷を意味する。
【0011】本発明の抑制剤の投与経路は特に限定され
ず、経口投与用の製剤としては、例えば、錠剤、カプセ
ル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、液剤などを
挙げることができ、非経口投与用の製剤としては、例え
ば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤などを
挙げることができるが、本発明の抑制剤の製剤形態はこ
れらに限定されることはない。これら製剤の製造には、
当業界で利用可能な任意の製剤用添加物を1種又は2種
以上使用することができる。好ましい製剤としては、経
口投与用の製剤が挙げられる。
【0012】本発明の抑制剤の適用対象となる非ステロ
イド系抗炎症剤の種類は特に限定されないが、例えば、
メフェナム酸、フルフェナム酸、フルフェナム酸アルミ
ニウム、トルフェナム酸、アセトアミノフェン、インド
メタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシ
ン、マレイン酸プログルメタシン、アルクロフェナク、
ジクロフェナクナトリウム、アンフェナクナトリウム、
フェンブフェン、アスピリン、ケトプロフェン、イブプ
ロフェン、エトドラク、モフェゾラク、ザルトプロフェ
ン、ジフルニサル、スリンダク、チアプロフェン酸、ナ
プロキセン、フェノプロフェンカルシウム、プラノプロ
フェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェンナトリ
ウム、ケトフェニルブタゾン、フェニルブタゾン、スル
ピリン、エピリゾール、エモルファゾン、塩酸チアラミ
ド、塩酸チノリジン、塩酸ペンタゾシン、アクタリッ
ト、アルミノプロフェン、アンピロキシカム、テノキシ
カム、ピロキシカム、塩酸レフェタミン、オキサプロジ
ン、トルメチンナトリウム、ナブメトン、ブコローム、
フロクタフェニン、メシル酸ジメトチアジン、メチアジ
ン酸、ロベンザリット二ナトリウムなどを挙げることが
できる。これらのうち、ジクロフェナクナトリウム、ロ
キソプロフェンナトリウム、インドメタシン、ピロキシ
カム、ケトプロフェン、イブプロフェン、ザルトプロフ
ェン、アンピロキシカムなどが好ましい対象である。
【0013】本発明の抑制剤は、非ステロイド系抗炎症
剤の投与期間前、投与期間中、及び/又は投与期間後の
任意の時又は期間に投与することが可能であるが、好ま
しくは非ステロイド系抗炎症剤の投与期間に合わせて投
与することができる。本発明の抑制剤の投与量は、非ス
テロイド系抗炎症剤の種類やその投与量、疾患の種類や
部位、患者の年齢や体重などの条件に応じて適宜選択可
能であるが、例えば、ジクロフェナクナトリウムを成人
1日あたり25〜300mg程度経口投与する場合には、
通常、成人1日あたり臭化チキジウムを5〜50mg程度
経口投与することができる。上記の投与量は1日数回に
分けて投与することもできる。尚、本明細書の実施例に
は、非ステロイド系抗炎症剤であるインドメタシンの腸
粘膜MPO活性の亢進に対する抑制作用の評価方法、及
び、インドメタシンの腸粘膜iNOS活性の亢進による
腸損傷に対する抑制作用の評価方法が具体的に示されて
いるので、投与量を決定するにあたり、当業者はこの例
を参考にすることができる。
【0014】又、別の観点から提供される本発明の医薬
組成物は、非ステロイド系抗炎症剤と臭化チキジウムを
含むことを特徴としている。本発明の医薬組成物は、腸
損傷が軽減ないし排除された組成物であり、腸粘膜MP
O活性の亢進、腸粘膜iNOS活性の亢進などによる腸
損傷が抑制された安全な抗炎症性組成物として用いるこ
とができる。非ステロイド系抗炎症剤の種類及び数は特
に限定されないが、上記に説明したものを好適に用いる
ことができる。
【0015】本発明の医薬組成物に含まれる非ステロイ
ド系抗炎症剤と臭化チキジウムの配合量はそれぞれの有
効成分の種類及び/又は数に応じて適宜選択することが
できる。例えば、本明細書の実施例には、非ステロイド
系抗炎症剤であるインドメタシンの腸粘膜MPO活性の
亢進による腸損傷に対する臭化チキジウムの抑制作用、
及び、インドメタシンの腸粘膜iNOS活性の亢進によ
る腸損傷に対する臭化チキジウムの抑制作用の一例が具
体的に示されているので、本発明の組成物における上記
有効成分の配合量を決定するにあたり、当業者はこの例
を参考にすることができる。
【0016】本発明の医薬組成物の投与経路は特に限定
されず、経口投与用の製剤としては、例えば、錠剤、カ
プセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、液剤な
どを挙げることができ、非経口投与用の製剤としては、
例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤な
どを挙げることができるが、本発明の医薬組成物の製剤
形態はこれらに限定されることはない。本発明の医薬組
成物の製造には、当業界で利用可能な任意の製剤用添加
物を1種又は2種以上使用することができるが、所望の
製剤を製造するための製剤用添加物が当業者に適宜選択
可能であることはいうまでもない。薬理学的及び製剤学
的に許容しうる製剤用添加物の例としては、例えば、賦
形剤、崩壊剤、崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティ
ング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤、溶解補助剤、等
張化剤、pH調節剤、安定化剤、粘着剤などを挙げるこ
とができるが、これらに限定されることはない。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるこ
とはない。実施例では、本発明の抑制剤の優れた作用の
一例として、非ステロイド系抗炎症剤であるインドメタ
シンの腸粘膜MPO活性の亢進による腸損傷、並びに、
腸粘膜iNOS活性の亢進による腸損傷に対する臭化チ
キジウムの抑制作用の一例を具体的に示した。
【0018】1.使用動物:正常飼育した雄性Sprague-
Dawley系ラット(体重230〜250g,日本チャール
ズリバー)を使用した。実験は特に記載のない限り、非
絶食覚醒下で行い、1群あたり5〜6匹のラットを使用
した。
【0019】2.使用薬物:臭化チキジウム(北陸製薬
製)は0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム
(ナカライテスク製)で懸濁した。インドメタシン(シ
グマ製)は少量のTween80(和光純薬製)と混和した
後、生理食塩水で懸濁した。エバンスブルー(メルク
製)及びウレタン(東京化成製)は、生理食塩水に溶解
した。
【0020】3.統計学的処理:データはすべて、1群
5〜6匹より得られた値の平均値±標準誤差として表示
した。統計学的有意性は、スチューデントのt検定ある
いはダネットの多重比較検定法に準じて行い、危険率p
<0.05の場合に有意差ありと判断した。
【0021】例1.小腸粘膜MPO活性の変化に対する
効果 小腸粘膜におけるMPO活性は、Krawiszらの方法(ガ
ストロエンテロロジー(Gastroenterology),87,p.13
44,1984)を改変し、以下の手順によって測定した。即
ち、インドメタシン処置(10mg/kg,皮下投与)24
時間後にラットをエーテル麻酔下に心臓から生理食塩水
を全身に灌流させることにより致死させ、小腸(盲腸か
ら十二指腸側20cmを除去し、さらに十二指腸側5cmの
領域)を摘出し、腸を腸間膜沿いに切開後、腸粘膜を冷
却生理食塩水で洗浄し、湿重量にして約50mgの粘膜を
採取した。抽出用緩衝液[pH6.0,50mMリン酸+
0.5%臭化セチルトリメチルアンモニウム(HTAB:和
光純薬製)]を粘膜重量50mgあたり1mlの割合で加え
た後、ガラスホモジナイザー(Iuchi, Japan製)を使用
して均質化した。均質化した検体を、アセトン−ドライ
アイスを使用して凍結−融解を3回繰り返し、冷却下
(0〜4℃)、2,000rpmで10分間遠心分離し、その上
清を検体として使用した。3.0〜4.0mlのキュベット
にリン酸緩衝液(pH6.0,10mMリン酸)1.9ml
及び検体0.1mlを加え十分に混和し、過酸化水素・ジ
アニシジン反応液[0.88mM過酸化水素(三徳化学
製):20mM O−ジアニシジン(シグマ製)=1:2
00]を1ml加えた後、測定を開始した。波長450nm
での吸光度変化を分光光度計(日立製:Spectrophotome
ter,U-2001)に連動した記録用紙上(1cm/min)に記録
した。各検体の蛋白量はBCA蛋白質分析キット(ピアー
ス製)を用いて測定した。標準曲線は、5μg/mlペルオ
キシターゼ標準液(シグマ製)0.1mlに各濃度の過酸
化水素・ジアニシジン反応液(0.88mM過酸化水素:
20mM O−ジアニシジン=1:100,1:200,
1:400,1:800,1:1600)各1mlを加え
ることにより作製した。次式より反応曲線の傾きを求
め、MPO活性とした;[Specific Activity (μmol
22/min/mg 蛋白質)=[optical density(OD)/mi
n]/(OD/μmol H22×mg 蛋白質)]。臭化チキジ
ウム(10mg/kg)はインドメタシン処置30分前及び
8時間後に皮下投与した。その結果、正常ラットにおけ
る小腸粘膜MPO活性は0.005±0.001μmol
22/min/mg 蛋白質であった。インドメタシン(10
mg/kg)の投与は腸粘膜MPO活性を著明に上昇させ、
24時間後には正常値と比較して約7倍にまで達し、値
は0.344±0.032μmolH22/min/mg 蛋白質
であった。臭化チキジウム(10mg/kg)はインドメタ
シンによるMPO活性の増大を有意に抑制し、抑制率は
94.2%であった。
【0022】例2.小腸粘膜iNOS活性に対する効果 小腸粘膜におけるNOS活性はBoughton-Smithらの方法
(ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジ
ー(Br.J.Pharmacol.),110,p.1189,1993)を改変
し、トリチウム([3H])でラベルしたL−アルギニ
ン([3H−L-Arg:NET-361 Arginine]から変換され
た[3H]−L−シトルリンの量として測定した。即
ち、インドメタシン処置(10mg/kg,皮下投与)24
時間後にラットをエーテル麻酔下に心臓から生理食塩水
を全身に灌流させることにより致死させ、小腸(盲腸か
ら十二指腸側20cmの部位から十二指腸側へ5cmの領
域)を摘出し、腸間膜沿いに切開後、腸粘膜を冷却生理
食塩水で洗浄し、湿重量にして約100mgの粘膜を採取
した。抽出用緩衝液[pH7.4,50mMトリス塩酸
(ナカライテスク製)、32mMスクロース(ナカライテ
スク製)、0.5mMエチレングリコールビス(β−アミ
ノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−4酢酸(EG
TA:ナカライテスク製)、0.15mg/mlジチオスレイ
トール(DTT:ナカライテスク製)、100μg/mlペフ
ァブロック(メルク製)、10μg/mlソイビーン・トリ
プシンインヒビター(ナカライテスク製)、2μg/mlア
プロチニン(シグマ製)、10μg/mlロイペプチン(ベ
ーリンガー・マンハイム製)及び10μg/mlアンチパイ
ン(ベーリンガー・マンハイム製)を蒸留水で調整]を
粘膜重量100mgあたり1mlの割合で加えた後、ポリト
ロンホモジナイザーを使用して均質化した。均質化した
検体を、アセトン−ドライアイスを使用して、凍結−融
解を3回繰り返した後、冷却下(0〜4℃)、15,000rp
mで60分間遠心分離した。その上清50μlにEGTA含有
測定用緩衝液[pH7.4,50mMトリス(ヒドロキシ
ルメチル)アミノメタン(Tris:ナカライテスク製)、
1mM EGTA、1mM MgCl2(ナカライテスク製)、1
2.5mM L−バリン(ナカライテスク製)、アルブミ
ン・ボビン(BSA:シグマ製)、10μM L−アルギニ
ン(L−Arg:和光純薬製)、1mM ジチオスレイトー
ル、100μM β−ニコチンアミド・アデニン・ジヌク
レオチド・リン酸4ナトリウム塩(NADPH:ナカライテ
スク製)、10μM フラビン・アデニン・ジヌクレオチ
ド2ナトリウム(FAD:ナカライテスク製)、及び10
μM(6R)−5,6,7,8,テトラハイドロ−L−
バイオプテリン(BH4:和光純薬製)を蒸留水で調整]
100μl及び0.5μCi/ml[3H]−L−Arg 50μl
を加えて全量200μlとし、37℃で60分間インキ
ュベートした。反応産物にイオン交換樹脂(Dowex AG-5
0W(室町化学製)を50%の割合で蒸留水に懸濁)50
0μlを加え、3,000rpmで10分間遠心分離することに
より基質であるL−Argを除去した後、上清のラベルさ
れた反応産物量([3H]−L−シトルリン)を液体シ
ンチレーションカウンターにより測定した。又、各検体
の蛋白量はBCA 蛋白質分析キットを用いて測定した。EG
TAに50mM NG−ニトロ−L−アルギニンメチルエステ
ル(L-NAME)を加えた測定用緩衝液(EGTA+L-NAME緩衝
液)を用いて同様の実験を行い、EGTA測定用緩衝液のN
OS活性からEGTA+L-NAME緩衝液のNOS活性を差し引
いたものをiNOS活性(pmol/min/mg 蛋白質)とし
た。臭化チキジウム(10mg/kg)はインドメタシン処
置30分前及び8時間後に皮下投与した。その結果、正
常ラットにおける小腸粘膜iNOS活性は0.697±
0.440pmol/min/mg 蛋白質であったが、インドメタ
シン(10mg/kg)の投与により24時間後には正常値
と比較して約8倍にまで上昇した(5.740±0.1
65 pmol/min/mg 蛋白質)。臭化チキジウム(10mg/
kg)はインドメタシンによるiNOS活性の増大を有意
に抑制し、抑制率は65.2%であった。
【0023】 例3.本発明の抗炎症性組成物の製剤例 (1)錠剤 ロキソプロフェンナトリウム 60 mg 臭化チキジウム 10 mg D−マンニトール 適量 クロスポビドン 4.5mg ヒドロキシプロピルセルロース 2 mg ステアリン酸マグネシウム 1.5mg ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4 mg マクロゴール6000 0.5mg 酸化チタン 1.5mg カルナウバロウ 微量 計 156 mg
【0024】 (2)錠剤 ジクロフェナクナトリウム 25 mg 臭化チキジウム 10 mg 乳糖 適量 クロスカルメロースナトリウム 4.5mg ポリビニルピロリドン 2.5mg ステアリン酸マグネシウム 1 mg ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4 mg マクロゴール6000 0.5mg 酸化チタン 0.5mg カルナウバロウ 微量 計 130 mg
【0025】 (3)カプセル剤 インドメタシン 25 mg 臭化チキジウム 10 mg 乳糖 適量 クロスポビドン 4.5mg ポリビニルピロリドン 2.5mg ステアリン酸マグネシウム 1 mg 計 120 mg
【0026】
【発明の効果】本発明の抑制剤は非ステロイド系抗炎症
剤が引き起こす腸損傷、特に腸粘膜MPO活性の亢進、
及び/又は、腸粘膜iNOS活性の亢進による腸損傷を
抑制、軽減あるいは排除する作用を有しており、非ステ
ロイド系抗炎症剤の投与に起因する腸損傷の治療及び/
又は予防に有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非ステロイド系抗炎症剤が引き起こす腸損
    傷に対する抑制剤であって、臭化チキジウムを有効成分
    として含む抑制剤。
  2. 【請求項2】腸損傷が、腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ
    活性の亢進及び/又は腸粘膜カルシウムイオン(C
    2+)非依存性一酸化窒素合成酵素活性の亢進である請
    求項1に記載の抑制剤。
  3. 【請求項3】腸損傷が、腸粘膜ミエロパーオキシダーゼ
    活性の亢進である請求項1又は2に記載の抑制剤。
  4. 【請求項4】腸損傷が、腸粘膜カルシウムイオン非依存
    性一酸化窒素合成酵素活性の亢進である請求項1又は2
    に記載の抑制剤。
  5. 【請求項5】非ステロイド系抗炎症剤がジクロフェナク
    ナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、インドメタ
    シン、ピロキシカム、ケトプロフェン、イブプロフェ
    ン、ザルトプロフェン、又はアンピロキシカムである請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の抑制剤。
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