JP2002098683A - 薬物の消化管吸収性測定法およびそれに用いる装置 - Google Patents

薬物の消化管吸収性測定法およびそれに用いる装置

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JP2002098683A JP2000290228A JP2000290228A JP2002098683A JP 2002098683 A JP2002098683 A JP 2002098683A JP 2000290228 A JP2000290228 A JP 2000290228A JP 2000290228 A JP2000290228 A JP 2000290228A JP 2002098683 A JP2002098683 A JP 2002098683A
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伸二 山下
Katsumi Oishi
勝美 大石
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生細胞や動物腸管膜を用いないで、迅速且つ簡
便な方法で測定でき、薬物の消化管吸収性を的確に予測
できる方法の提供。 【解決手段】薬物溶液とリポソーム接触させて薬液の一
部をリポソーム内に移行させ、リポソーム外に存在して
いる薬物を洗浄除去した後、リポソームを低張液と接触
させてリポソームを浸透圧崩壊させ、漏出した薬物を定
量するという方法により前記の目的を達成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薬物の消化管吸収性
測定法並びに該測定に用いる容器に関する。さらに詳し
くは、本発明は、リポソームを形成する脂質膜を透過し
リポソーム内水相中へ移行した薬物のみをリポソームの
浸透圧崩壊によってリポソーム外に漏出させ、漏出した
薬物を定量することによって薬物の消化管吸収性を測定
する方法並びにその方法を迅速かつ簡便に測定できる該
測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、薬物の消化管吸収とは、薬物が
消化管粘膜を通過して血管に移行して血中濃度として反
映されることを言う。薬物が経口投与され、消化管から
吸収される原理は大きく分けると受動輸送と能動輸送に
分けられる。薬物のほとんどは薬物の油水分配係数(油
への溶け易すさ)に依存して受動的に輸送され消化管吸
収されるが、薬物の油水分配係数とは関係なく特殊な担
体を介して能動的に輸送され消化管吸収される薬物もい
くつかは認められている(経口投与製剤の設計と評価、
31〜45頁(1995)、薬業時報社)。受動輸送の
場合でも、油水分配係数(P)が1000(LogPが
3)以上の薬物は消化管粘膜に分配されやすいにもかか
わらず、消化管吸収性が高くない場合があるが、その理
由としては、高い油水分配係数を持つ薬物でも消化管粘
膜に分配、吸着するのみで血管への移行が悪いことが考
えられる(Journal of Pharmacology and Experimental
Therapeutics, Vol.269, pp654-658 ,(1994))。そこ
で、従来、薬物の消化管吸収性を測定する方法として
は、実験動物に薬物を経口投与し、経時的に血液を採取
し、血液中の薬物を同定するというイン-ビボでの方法
が主として用いられてきた。この方法は、血液サンプル
の煩雑な抽出、分析を行ってはじめて薬物濃度の測定が
可能となる。最近、分析技術の発達により、血中の極微
量薬物濃度(数ng/ml以下)の測定も可能となって
はきたが、そのためには高価で特殊な試薬や機器が必要
である。
【0003】また、前記のような実験動物を使わずに消
化管吸収性を測定でき、簡便に多数の薬物の吸収性測定
できる方法として、動物から摘出した腸管を用いて試験
管内で薬物の透過性を測る方法や、炭酸−酸素混合ガス
と栄養成分を調整した培養液を用い、3週間ほどかけて
培地で培養した人大腸癌細胞(Caco−2、HT−2
9、T−28)やイヌ腎細胞(MDCK)を使った透過
性測定法も最近報告されている(経口投与製剤の設計と
評価、150〜165頁(1995)、薬業時報社)。
【0004】さらに、動物や細胞のかわりに細胞の膜と
似た性質を持った脂質膜を人工的に作成し、これを用い
て消化管吸収性を測定する方法も報告されている。すな
わち、細孔を有するフイルターに主要構成成分である脂
質やリン脂質を塗布した人工脂質膜、または脂質によっ
て構成された小胞体であるリポソームと薬物を接触させ
ることによって、薬物の分配係数の大小に相関して人工
脂質膜またはリポソームへの分配が変化することを利用
して、消化管吸収性との相関性を検討した報告もされて
きた(医化学雑誌(Journal of Medicinal Chemistry)
(2000) Vol.43No.11 pp2083-2086)。また、国際特許
出願公開公報WO99/63343には、薬物がリポソームの脂質
に分配し、脂質の流動性を変化させ、リポソーム内に封
入したイオンの流出量をみることによって、薬物の細胞
膜への毒性作用を評価するという方法が記載されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の実験動物を用い
た消化管吸収性測定法は、肝臓、小腸などの代謝臓器の
寄与が明白でない開発初期段階においては絶対的な消化
管吸収性は測定できないうえに、操作が煩雑であるため
に短時間に多数の薬物を評価することはできない。ま
た、摘出腸管を用いた消化管吸収測定法は、血管の存在
しない小腸の基底膜や筋肉層が薬物の吸収性を妨害し、
薬物の消化管透過性を小評価する傾向にある上に、摘出
腸管の細胞学的機能、組織学的形態の急速な変化が問題
となる。
【0006】大腸癌細胞やイヌ腎細胞を用いた消化管吸
収性の測定法は、培養プロセスに多大な時間(約3週
間)、費用と労働力がかかる上に、実験に用いる膜の透
過性のばらつきが常に存在し、特異的に薬物を透過させ
る担体も不均一に発現し、さらに細胞間隙の透過性も実
際の消化管粘膜とは異なる(国際薬剤学雑誌(Internat
ional Journal of Pharmaceutics) Vol.127 pp103-107
(1996))などの理由から、化合物の消化管吸収性を適正
に評価するには限界がある。
【0007】人工脂質膜を用いる方法は、これまで用い
られてきた人工脂質膜が細胞膜特有の脂質二重膜構造に
なっていないために、その透過性と消化管吸収性の間に
は大きな違いが存在していた。また、脂質などを使用し
た二重膜構造を有する人工膜では、Caco2細胞の単層膜
のような一定の面積を有する安定な平面構造膜を構成さ
せることは難しく、試験管内での薬物の消化管吸収性を
測定するには問題があった。
【0008】細胞膜と同様な成分の脂質で構成されたリ
ポソームを用いた薬物の消化管吸収性測定法は、リポソ
ームとの分配、吸着強度を測定しているだけで、薬物が
消化管吸収される過程である血管への移行を反映した測
定法とは言い難い。したがって、細胞を用いないで迅速
かつ簡便であり、実用的な薬物の消化管吸収性測定法の
開発が強く望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記状況に鑑み、本発明
者らは、動物や細胞を使わないで消化管吸収性と相関し
た迅速かつ簡単に測定できる方法を求めて鋭意検討した
結果、リポソームが、リポソーム内外の浸透圧差(内が
高く、外が低い)で浸透圧崩壊(バースト)し、リポソ
ーム内容物が漏出することに着目して、まず薬物溶液と
リポソームを接触させて薬物の一部をリポソーム内に取
り込ませ、リポソーム外に存在している薬物を洗浄した
後、浸透圧崩壊によってリポソームをバーストさせ、リ
ポソーム内水相へ移行した薬物量を正確に定量すること
により、インビボの薬物の消化管吸収性を的確に把握す
ることができるという知見を得て本発明を完成した。
【0010】さらに、迅速かつ簡便に薬物の消化管吸収
性を測定するための装置についても検討した結果、リポ
ソームを高張液中に懸濁させたものまたはその凍結乾燥
品を簡易型容器(デスポーザルシリンジなど)に充填
し、リポソームを通過させないフイルターで固定した装
置も完成した。すなわち、本発明は、 (1)次の工程を含んでなるリポソームを用いた薬物の
消化管吸収性測定法。 (i)被験薬物を内包しないリポソームの懸濁液にリポ
ソーム内水相と実質的に等張に調整された被験薬物水溶
液を接触させ、被験薬物をリポソーム内に取り込ませる
工程、(ii)懸濁液のリポソーム外液中に残存する被験
薬物を除去する工程、(iii)被験薬物を取り込んだリ
ポソームを、その内水相より低張な液と接触させてリポ
ソームを浸透圧崩壊させる工程、および(iv)液中に漏
出した被験薬物を定量する工程。 (2)リポソームがLUV、GUVまたはMLVである
(1)の測定法、 (3)リポソームが平均粒子径0.1〜10μmのもの
である(1)または(2)記載の測定法、 (4)リポソーム外液中に残存する被験薬物の除去を、
リポソームを通過させないフィルター上で、リポソーム
内水相と実質的に等張に調整された水溶液を用いて洗浄
を行う(1)記載の測定法、 (5)リポソームを浸透圧崩壊させるために用いる低張
な液と、リポソーム内相液の浸透圧の差が3倍以上であ
る(1)記載の測定法、および (6)容器1.の上部に液注入口5.および下部に液取
出口6.をそれぞれ密閉可能に設け、容器中部に液収容
部3.、液収容部3.と液取出口6.の間にリポソーム
を通過させないフィルター2.を備えた(1)の測定法
に用いるための装置、 である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用し得るリポソーム
は、リン脂質の二重膜により構成されている。そのリン
脂質としては、たとえば、ホスフアチジルコリン、ホス
フアチジルエタノールアミン、ホスフアチジン酸、ホス
フアチジルセリン、ホスフアチジルイノシトール、ホス
フアチジルグリセロール、スフインゴミエリン等の卵
黄、大豆やその他の動植物組織に由来するもの、または
これらの混合物である卵黄リン脂質、大豆リン脂質や、
それらの水素添加物、あるいはジパルミトイルホスフア
チジルコリン、ジステアロイルホスフアチジルコリンな
どの合成により得られるものが挙げられる。これらは1
種でもよく2種以上を混合して用いてもよい。また、リ
ポソームの安定化などを目的として、たとえばコレステ
ロール、α−トコフエロール、ジセチルフオスフエー
ト、ステアリルアミンなどを加えても良い。それらの中
でも細胞膜主要成分脂質であるホスフアチジルコリンと
コレステロールを混合して調製されたリポソームが好ま
しい。
【0012】本発明に使用できるリポソームは、自体公
知の適宜の調製法により製造することができる。たとえ
ば、リン脂質を有機溶媒に溶解後、ナス型フラスコに入
れ、溶媒を留去し、緩衝剤水溶液を入れ再分散させる薄
膜水和法により、光遮断法を応用した粒子径測定装置
(アキュサイザー(パーティクル サイジングシステム
社製))により測定した平均粒子径0.2〜5μmの多
重層リポソーム(MLV)を調製することができる。こ
の多重層リポソームを超音波処理をして調製する超音波
処理法や脂質のエタノール溶液を相転移温度以上で緩衝
剤水溶液に注入するエタノール注入法などにより、粒子
径が0.02〜0.1μmの小さな一枚膜リポソーム
(SUV)を調製することができる。また、MLVやS
UVをコール酸などの界面活性剤で融合したり、超音波
処理したリポソーム溶液を液体窒素で凍結させ、室温で
融解させて調製する凍結融解法やリン脂質のエーテル溶
液に水を加え、超音波処理後W/Oエマルジョンからエ
ーテルを留去する逆相蒸発法などにより、粒子径0.0
3〜1.0μmの大きな一枚膜リポソーム(LUV)を
調製することができる。さらに、メチルグルコシドと脂
質のエタノール溶液を多量の緩衝液に入れることによ
り、粒子径1μm以上の巨大一枚膜リポソーム(GU
V)を調製することができる。それらの中では、簡便な
凍結融解法がより好ましい。それらの製造法について
は、例えば細胞工学Vol.2、Vol.9、第1136〜11
50頁(1983)に紹介されている。
【0013】本発明で用いられるリポソームとしては、
内水相容量の大きいLUV、GUV、MLVが好まし
い。リポソームの平均粒子径としては0.1〜10μm
が好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。
【0014】次に、リポソームの調製時、内水相の浸透
圧を調整するため、適当な水溶性物質を溶解した水溶液
が用いられる。水溶性物質としては、リポソーム内水相
を高浸透圧状態に保持するために、それ自体のリポソー
ム脂質膜に対する透過性が低いものであればよい。ま
た、対象となる薬物のリポソームへの透過性や定量を妨
害しない水溶性物質であればよく、たとえば種々の緩衝
液(例、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液)、各種塩類
(例、塩化カリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウ
ム、リン酸二ナトリウム)、糖類(例、グルコース、ガ
ラクトース、マルトース、マルトトリオース、マンノー
ス、ソルビトール、スクロース、ラクトース、トレハロ
ース)、アミノ酸類(例,グリシン、トリプトフアン)
などを単独または混合して用いることが出来る。必要に
応じて保存剤(例、パラベン)などを加えることができ
る。水溶性物質の溶解量は、一般に、リポソーム調製時
における溶液の浸透圧を、薬物を保持した後の洗浄液よ
りも高くする必要がある以外は適宜調整される。また、
リポソーム内水相中に取り込まれた被験薬物をリポソー
ム内に安定に保持することを目的として、リポソームの
調製時に使用される水溶液に蛋白質を添加することも出
来る。添加する蛋白質としては、水溶性のものであれば
何でも良く、好ましくはアルブミン、α酸性糖蛋白質、
グロブリンなどの血漿蛋白質が望ましい。より好ましく
はアルブミンが望ましい。
【0015】本発明のリポソームを安定に保存するため
にリポソームを凍結乾燥することができる。すなわち、
リポソーム懸濁液や溶液を共晶点以下の温度で凍結し、
真空乾燥し、固体として密封状態で長期保存することが
できる。測定に供する時は調製時溶媒で再分散させれば
よい。
【0016】本発明の測定法は、親水性薬物から親油性
薬物まですべての薬物、医薬品候補薬物(例、臨床化合
物、前臨床化合物)を評価対象とすることができ、消化
管吸収性の正確な順位付けが可能である。親水性薬物の
例としては、各種消炎鎮痛剤、抗がん剤、生理活性ペプ
チド剤、遺伝子、抗生物質、抗アレルギー剤などがあげ
られる。具体的にはマンニトール、サリチル酸ナトリウ
ム、マイトマイシン、インスリン、カルシトニン、塩酸
シプロヘプタジンなどが挙げられる。親油性薬物の例と
しては、副腎皮質ホルモン剤、βブロッカー剤、抗精神
薬などがあげられる。具体的にはデキサメタゾン、アテ
ノロール、塩酸イミプラミンなどが挙げられる。
【0017】次に、本発明を構成する各工程について説
明する。(i)の工程は、被験薬を内包しないリポソー
ムの懸濁液にリポソーム内水相と実質的に等張に調整さ
れた被験薬物水溶液を接触させ、被験薬物をリポソーム
内に取り込ませる工程である。調製したリポソームの内
水相中に薬物を取り込ませる方法としては、通常、適宜
の濃度に調整したリポソームの懸濁溶液に、適宜の濃度
の被験薬物を含む溶液を加え、放置するという方法を用
いる。リポソーム懸濁液中のリポソーム濃度としては、
用いるリポソームのサイズ、種類によって適宜選択して
用いることができるが、脂質濃度として、10mMから
1000mMの範囲の濃度が望ましい。より望ましく
は、50mMから200mMの範囲の濃度である。ま
た、被験薬物溶液の薬物濃度としては、被験薬物の水溶
解性、定量感度に応じて適宜選択して用いることができ
るが、10μMから1000μMの範囲の濃度が望まし
い。より望ましくは、10μMから200μMの範囲の
濃度である。また、被験薬物溶液の浸透圧はリポソーム
内水相の浸透圧と実質的に等張になる様に調整するた
め、適宜水溶性物質を溶解した水溶液を用いる。水溶性
物質としては、対象となる薬物のリポソームへの透過性
や定量を妨害しない水溶性物質であればよく、たとえば
種々の緩衝液(例、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液)、
各種塩類(例、塩化カリウム、塩化ナトリウム、リン酸
ナトリウム、リン酸二ナトリウム)、糖類(例、グルコ
ース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオース、
マンノース、ソルビトール、スクロース、ラクトース、
トレハロース)、アミノ酸類(例、グリシン、トリプト
フアン)などを単独または混合して用いることが出来
る。また、被験薬物溶液のpHは、通常、生理的pHに
調整することが望ましく、pH5.0からpH9.0の
範囲に調整することが望ましい。pH5.5からpH
7,4の範囲に調整することがさらに望ましい。また、
混合液の放置時間は被験薬物のリポソーム膜透過性によ
って適宜調整することが可能である。放置時間は、通
常、0.5分〜2時間、好ましくは、1分〜1時間、より
好ましくは、5分から30分である。また、混合液の放
置を行う温度としては、リポソームを構成する脂質の相
転移温度以下であればよく、好ましくは10℃から37
℃、より好ましくは20〜37℃である。
【0018】(ii)の工程は、懸濁液のリポソーム外液
中に残存する被験薬物を除去する工程である。この工程
は、通常、リポソームを通過させない孔径を有するフィ
ルター上で、混合液と実質的に等張の緩衝液によってリ
ポソーム外液の洗浄を行う。リポソームを通過させな
い、すなわち保持できるフィルターとしては、通常、親
水性および疎水性メンブランフィルターを用いるが、親
水性のものがよい。その中でも、セルロース混合エステ
ル、ポリカーボネイト、ナイロン、ポリプロピレン、塩
化ポリビニル、硫酸ポリエーテル、ポリビニリデンフロ
ライド、ポリエーテルスルホンからなるフィルターが望
ましい。より好ましくは、セルロース混合エステル、ポ
リビニリデンフロライドからなるフィルターである。ま
た、フィルターの孔径は、用いるリポソームの粒子径に
よって適宜選択して用いる。通常、0.025μmから
3.0μmの孔径を有するフィルターを用いる。好まし
くは、0.1μmから1.0μmの孔径を有するフィル
ターであり、より好ましくは、0.22μmから0.4
5μmの孔径を有するフィルターである。
【0019】リポソーム外液から薬物を除去するのに用
いられる洗浄液としては、リポソーム内液と実質的に等
張の緩衝液が用いられるが、通常適当な水溶性物質を溶
解した水溶液が用いられる。水溶性物質としては、対象
となる薬物のリポソームへの透過性や定量を妨害しない
水溶性物質であればよく、たとえば種々の緩衝液(例、
リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液)、各種塩類(例、塩化
カリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸
二ナトリウム)、糖類(例、グルコース、ガラクトー
ス、マルトース、マルトトリオース、マンノース、ソル
ビトール、スクロース、ラクトース、トレハロース)、
アミノ酸類(例、グリシン、トリプトフアン)などを単
独または混合して用いることが出来る。また、洗浄液の
pHとしては用いた被験薬物溶液のpHによって適宜選
択して用いることができるが、通常、生理的pHに調整
することが望ましい。pH5.0からpH9.0の範囲
に調整することが望ましく、pH5.5からpH7,4
の範囲に調整することがさらに望ましい。また、洗浄液
の温度は、洗浄中にリポソーム内に取り込まれた薬物が
漏出するのを防ぐため、リポソームを構成する脂質の相
転移温度以下とすることが望ましい。好ましくは、0℃
から15℃の範囲であり、より好ましくは、4℃から1
0℃の範囲である。
【0020】リポソーム外液の洗浄に用いる洗浄液の量
は、残存する薬物を出来るだけ効率的に洗い流せるよ
う、リポソームと被験薬物溶液の混合液量によって適宜
決定することが望ましい。その液量は懸濁液1mlに対
し、0.2mlから10ml、好ましくは、0.5ml
から5mlである。
【0021】(iii)の工程は、被験薬物を取り込んだ
リポソームを、その内水相より低張な液と接触させて、
リポソームを浸透圧崩壊させる工程である。すなわち
(ii)の工程でリポソーム外液の洗浄を行った後、リポ
ソーム内水相中に取り込まれた被験薬物を漏出させるこ
とを目的として、リポソームをリポソーム内水相より低
張の液を接触させることによってリポソームを浸透圧崩
壊(バースト)させ、溶液中に漏出した被験薬物を定量
する。浸透圧崩壊のための低張液は、リポソーム内水相
液よりも低張な液であればよいが、通常、リポソーム内
外の浸透圧差は低張溶液の1に対し内水相液が3倍以
上、好ましくは10倍以上となるよう調整する。用いる
低張液の量は、被験薬物を取り込ませたリポソームの量
(脂質濃度)によって適宜、選択することができる。通
常リポソーム含有液1mlに対し0.2mlから10m
l、好ましくは、0.5mlから5ml用いる。浸透圧
崩壊に必要なリポソームと低張液との接触時間は、用い
るリポソームの脂質組成、サイズ、種類によって適宜、
選択することができる。通常、0.5分から10分程度
の時間の接触時間で充分である。リポソームとしてML
VあるいはLUVを用いる場合には0.5分から5分程
度の接触時間が望ましい。中でも1分から3分程度の接
触時間が特に望ましい。
【0022】上記の様な方法を用いて、迅速かつ簡便な
薬物の消化管吸収性を測定する方法として、〔図1〕に
示したようにリポソームを高張液中に懸濁させたものま
たはその凍結乾燥品を容器1.の液収容部3.に充填
し、液収容部3.の下にフイルター2.を固定した装置
を用いることができる。容器の形状は円筒型で、底部に
設置したフィルター上にリポソームを高張液中に懸濁さ
せたものまたはその凍結乾燥品を充填して用いる。リポ
ソーム充填後、容器を保存する場合には、液注入口
5.、液取出口6.の密閉用ふた4.を用いて密閉し、
使用時にこれを取り外して用いる。容器の素材として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、プラスチック、ガ
ラス、ゴム、シリコンなどを用いることができる。デス
ポーザル注射筒として汎用されているポリプロピレン製
の注射筒が好ましい。容器の内容積は、充填するリポソ
ームの量によって適宜決定することが出来る。好ましく
は、0.5から10mlの範囲の容積であり、より好ま
しくは、1mlから3mlの範囲の容積である。容器の
内径は、用いるフィルターの直径により適宜決定するこ
とが出来るが、5mmから50mmの範囲であることが
望ましく、13mmもしくは25mmの内径であること
がより望ましい。本測定装置に用いるフイルターとして
は、前述したのものを適宜選択して用いることができ
る。
【0023】前記のような測定装置を用いて薬物の消化
管吸収性を測定する方法としては、上部液注入口5.か
ら前述した量の被験薬物溶液を注入した後、前述した操
作を順に行う。ただし、リポソームを凍結乾燥品として
容器に充填した場合には、被験薬物溶液を注入する前に
一定量の高張液を適宜の量を加えて、リポソームを再水
和させることによって、凍結乾燥前の状態(懸濁液状
態)とすることが望ましい。〔図1〕に示した本測定装
置への被験薬物溶液、洗浄液、溶出液の注入は容器1の
液注入口5.からホールピペット、メスピペット、ピペ
ッター、注射器などを用いて行うことが出来る。好まし
くはピペッターまたは注射器を用いて行う。また、これ
ら溶液の排出は、容器1.の上部の液注入口5.から空
気または窒素による圧力をかけることによって下部の液
取出口6.から溶液を排出させる方法、液取出口6.か
ら吸引することによって溶液を排出させる方法、あるい
は容器を遠心することによって液取出口6.から溶液を
排出させる方法などのいずれかの方法を用いて行うこと
ができる。液注入口5.から圧力をかける方法として
は、注射筒を上部開口部にセットして空気を送り込む方
法、あるいは空気、窒素を充填したボンベと上部開口部
に減圧器を介してつなぎ、ボンベの圧力を利用する方法
がある。液取出口6.らか吸引する方法としては、液取
出口6.をアスピレーターあるいは真空ポンプにつなぐ
ことによって吸引する方法がある。容器1.を遠心する
方法としては、装置をそのまま、あるいは所定の容器に
セットした後、これを遠心器にかけ遠心することによっ
て液取出口6.から溶液を排出させる方法を用いること
ができる。この時、遠心を行う条件は、本装置に装着し
たフィルターの水の流量(一定圧力下でのろ過面積1c
あたりの毎分の水のろ過量(通常(ml/min/
cm)の単位で表される)によって適宜決定すること
が出来る。好ましくは、1000〜3000回転/分で
5から10分程度遠心を行うことが望ましい。
【0024】(iv)の工程は、(iii)の工程により液
中に漏出した被験薬物を定量する工程である。この工程
は、被験薬物自体のそれぞれ公知の方法に従って回収し
た溶出液をそのまま測定することにより、リポソーム内
水相に取り込まれていた被験薬物の量を求めることがで
きる。この被験薬物の量は、インビボによる被験薬物の
消化管吸収性をよく反映しており、薬物間の消化管収順
位を正確に知ることができる。
【0025】
【実施例】以下、製造例、実験例および実施例によって
本発明を詳述するが、これらにより本発明が限定される
ものではない。
【0026】製造例1:多重層リポソーム(MLV)の
製造 0.4mmolの脂質(卵黄フオスフアチジルコリン:
コレステロール=1:1)と0.05μmolのHマ
ンニトールを5mlの2M塩化カリウム水溶液と混合し
た。この混合物を液体窒素を用いて−80℃で凍結し、
室温で融解するという操作を3回行い、MLVの懸濁液
を調製した。このMLVの平均粒子径は約2μmであっ
た。この懸濁液のうちの10μlを0.22μmの孔径
を有するフイルターを装着した内容積3mlのポリプロ
ピレン製の容器〔図1〕に充填した。
【0027】製造例2:小さな一枚膜リポソーム(SU
V)から大きな一枚膜リポソーム(LUV)の製造 製造例1で調製したMLVの懸濁液を、プローブ型超音
波発生器を用い100ワットの出力(50%パルス)で
10分間超音波処理を行い、SUVの懸濁液を得た。こ
のSUVの平均粒子径は約0.055μmであった。こ
のSUV懸濁液を、液体窒素を用いて−80℃で凍結
し、室温で融解するという操作を3回繰り返し、LUV
の懸濁液を調製した。このLUVの平均粒子径は約0.
5μmであった。この懸濁液10μlを0.1μm、
0.22μmあるいは0.45μmの孔径のフイルター
を装着した3ml容のポリプロピレン製の容器(図1〕
に充填した。
【0028】製造例3:脂質組成の異なるLUVの調製 0.4mmolの脂質(卵黄フオスフアチジルコリン:
コレステロール=2:1)と0.05μmolのHマ
ンニトールを5mlの1Mスクロース水溶液と混合し
た。この混合物を液体窒素を用いて−80℃で凍結し、
室温で融解するという操作を3回行い、LUVの懸濁液
10μlを調製した。このLUVの平均粒子径は約0.
6μmであった。この懸濁液10μlを0.22μmの
孔径を有するフイルターを装着した3ml容のポリプロ
ピレン製の容器(図1)に充填した。
【0029】製造例4:脂質組成の異なるLUVの調製 0.4mmolの脂質(卵黄フオスフアチジルコリン:
コレステロール=3:1)と0.05μmolのHマ
ンニトールを5mlの1Mスクロース水溶液と混合し
た。混合物を液体窒素を用い−80℃て凍結し、室温で
融解するという操作を3回行い、LUVの懸濁液を調製
した。このLUVの平均粒子径は約0.5μmであっ
た。この懸濁液10μlを0.22μmの孔径を有する
フイルターを装着した3ml容のポリプロピレン製の容
器(図1)に充填した。
【0030】製造例5:脂質組成異なるのLUVの調製 60μmolの脂質(ホスフアチジルグリセロール:卵
黄フオスフアチジルコリン:コレステロール=1:4:
5)と0.05μmolのHマンニトールを50ml
のナス型フラスコに入れ、クロロホルム中に混合溶解し
た。クロロホルムを留去し、薄膜を作る直前にエーテル
3mlを加え、脂質を溶解し、5mlの1Mのスクロー
スを加え、窒素ガス気流下、浴槽型ソニケーターで20
℃5分間超音波処理した。この懸濁液中エーテルを留去
し、LUVの懸濁液を調製した。このLUVの平均粒子
径は約1.0μmであった。この懸濁液10μlを0.
22μmの孔径を有するフイルターを装着した3ml容
のポリプロピレン製の容器(図1)に充填した。
【0031】製造例6:Hマンニトールの代りに0.
05μmolの14Cコレステロールを入れ、製造例1
の脂質組成と製造法に準じて、MLVの懸濁液を調製し
た。このMLVの平均粒子径は約2μmであった。この
懸濁液10μlを0.22μmの孔径を有するフイルタ
ーを装着した3ml容のポリプロピレン製の容器(図
1)に充填した。
【0032】製造例7:リポソーム懸濁液の凍結乾燥品
の調製および容器への充填 製造例3のLUV懸濁液を通常の凍結乾燥機で凍結乾燥
し、得られた粉末を脂質量として約0.1mmol量、
図1の0.22μmの孔径を有するフイルターを装着し
た3ml容のポリプロピレン製容器に充填した。
【0033】実験例1 0.22μmの孔径を有するフイルターを装着した製造
例1のリポソーム収容容器に、約5℃に冷水した2Mの
塩化ナトリウム溶液1mlを入れ、注入口に3mlの注
射筒をとりつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押し出し洗
浄し、リポソーム外液中のHマンニトールを除外し
た。次に、リポソーム内水相と等張の2Mのリン酸緩衝
水溶液(pH7.4に調整)を1.5ml入れた後、約
37℃で1分間あるいは3分間放置した後、注入口に3
mlの注射筒を取りつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押
し出し、溶出してきたHマンニトールを定量し、添加
量に対する回収率はいずれの場合も19%であった。
【0034】実験例2 0.22μmの孔径を有するフイルターを装着した製造
例1のリポソーム収容容器に、約5℃に冷水した2Mの
塩化ナトリウム溶液1mlを入れ、注入口に3mlの注
射筒をとりつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押し出し洗
浄し、リポソーム外液中のHマンニトールを除外し
た。次に、リポソーム内水相の浸透圧に対して1/3の
浸透圧を有する低張の0.4Mのリン酸緩衝剤水溶液
(pH7.4に調整)を1.5ml入れた後、約37℃
で1分間あるいは3分間放置した後、注入口に3mlの
注射筒を取りつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押し出
し、溶出してきたHマンニトールを定量し、添加量に
対する回収率はいずれの場合も74%であった。
【0035】実験例3 0.22μmの孔径を有するフイルターを装着した製造
例1のリポソーム収容容器に、約5℃に冷水した2Mの
塩化ナトリウム溶液1mlを入れ、注入口に3mlの注
射筒をとりつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押し出し洗
浄し、リポソーム外液中のHマンニトールを除外し
た。次に、リポソーム内水相に対して1/10の浸透圧
を有する低張の0.2Mのリン酸緩衝剤水溶液(pH
7.4に調整)を1.5ml入れた後、約37℃で1分
間あるいは3分間放置した後、注入口に3mlの注射筒
を取りつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押し出し、溶出
してきたHマンニトールを定量し、添加量に対する回
収率はいずれの場合も82%であった。
【0036】実験例4 0.22μmの孔径を有するフイルターを装着した製造
例1のリポソーム収容容器に、約5℃に冷水した2Mの
塩化ナトリウム溶液1mlを入れ、注入口に3mlの注
射筒をとりつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押し出し洗
浄し、リポソーム外液中のHマンニトールを除外し
た。次に、リポソーム内水相に対して1/50の浸透圧
を有する低張の40mMのリン酸緩衝剤水溶液(pH
7.4に調整)を1.5ml入れた後、約37℃で1分
間あるいは3分間放置した後、注入口に3mlの注射筒
を取りつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押し出し、溶出
してきたHマンニトールを定量し、添加量に対する回
収率はいずれの場合も90%であった。
【0037】実験例5 0.22μmの孔径を有するフイルターを装着した製造
例2のリポソーム収容容器を用い、実験例3と同様の操
作を行い、溶出してきたHマンニトールを定量した。
添加量に対する回収率は、1分間放置と3分間放置いず
れの場合も92%であった。比較のため、同じ容器を用
い実験例1と同様な操作を行い、溶出してきたHマン
ニトールを定量したところ、回収率はいずれ場合も17
%であった。
【0038】実験例6 0.22μmの孔径を有するフイルターを装着した製造
例3、4および5のリポソーム収容容器に約5℃に氷冷
した1Mのスクロース溶液1mlを入れ、注入口に3m
lの注射筒を取りつけて空気圧ですべての溶媒を軽く押
し出し洗浄し、リポソーム外液中のHマンニトールを
除外した。次に、リポソーム内水相に対して1/50の
浸透圧を有する低張の20mMのリン酸緩衝剤水溶液
(pH7.4に調整)を1.5ml入れた後、約37℃
で1分間あるいは3分間放置した後、注入口に3mlの
注射筒を取りつけ空気圧ですべての溶媒を軽く押し出
し、溶出してきたHマンニトールを定量した。添加量
に対する回収率は、いずれの容器の場合も1分間放置と
3分間放置で85から90%であった。
【0039】実験例7 0.22μmの孔径を有するフイルターを装着した製造
例6のリポソーム収容容器を用い、実験例3と同様の操
作を行って、溶出してきた14Cコレステロール量を定
量した。比較のため、実験例1と同様な操作を行い、溶
出してきた、 Cコレステロール量を定量した。いず
れも溶出液中に検出された14Cコレステロールは、添
加量に対する回収率は0.1%以下であった。以上のこ
とからリポソームの脂質膜のみに組み込まれる14Cコ
レステロールが、リポソームのバースト後溶出液中に現
れなかったことから、本測定法はリポソーム内水相に移
行した薬物のみを測定できることが判明した。
【0040】実験例8 製造例7のリポソーム収容容器に予め製造時と同じ1M
のスクロースを20μl入れることによってリポソーム
を再水和させ、リポソームの懸濁液を充填した製造例3
と同じ状態とした。その後実験例3と同じ操作を行った
ところ、添加量に対するHマンニトール回収率は89
%であり、リポソーム懸濁液を充填した容器を用いた実
験例3の結果と有意な差は認められなかった。
【0041】実験例9 製造例2で調製した3種の孔径(0.1μm、0.22
μmあるいは0.45μm)有するフィルターを装着し
た容器を用い、実験例3と同様な操作を行った結果、添
加量に対するHマンニトール回収率は、いずれのフィ
ルタを用いた場合も88%〜95%の範囲であった。
【0042】以上の実験結果から、本発明のリポソーム
に内包された水溶性化合物であるマンニトールが、低張
液でリポソームを破裂させることにより、高率で回収で
きたことから、低張液によって高浸透圧下に調製したリ
ポソームが破裂し、リポソームに内包されている薬物を
分離定量できることが初めてわかった。この時、リポソ
ームの脂質膜にのみ組み込まれるコレステロールはほと
んど溶出してこなかったことから、リポソームの内水相
中に内封された薬物のみを回収できることがわかった。
また、マルチラメラーリポソーム(MLV))とラージ
ユニラメラーリポソーム(LUV)の間でマンニトール
の回収率に有意な差は検出されなかったことから、いず
れのリポソームも本発明に有利に用いられることがわか
った。リポソームを凍結乾燥とした場合にも同様な結果
が得られた。用いるフィルターの孔径としては0.1μ
m〜0.45μmの範囲のものが特に適当である。
【0043】実施例1 脂質のみを製造例1の製造法に準じて製造した容器
(0.22μmのフィルター)に、Hマンニトール、
14Cサリチル酸及び3Hデキサメタゾンをそれぞれ10
μMを含む2Mの塩化カリウム水溶液90μlを注入口
からビベッターで添加し、約37℃で10分間接触、保
持させた。次にリポソーム外液に残った薬物を取り除く
ために、約5℃に氷冷した1mlの2Mの塩化カリウム
水溶液を注入口から入れ軽く混合後、注入口に3mlの
注射筒を取りつけ空気圧ですべての溶媒をかるく押し出
した。次にリポソームをバーストさせるために、0.5
mlの40mMリン酸緩衝液(pH7.4に調整)を注
入口から入れ、軽く混合し、約37℃で3分間保持した
後、注入口に3mlの注射筒を取りつけ約1mlの空気
ですべての溶媒を軽く押し出し、回収した。この回収液
中薬物を放射能カウンター測定器で定量し、薬物添加量
に対しての回収率を求めた。その結果を〔表1〕に示
す。
【0044】実施例2 脂質のみを製造例2の製造法に準じて製造した容器
(0.22μmのフィルター)に、Hマンニトール、
14Cサリチル酸及び3Hデキサメタゾンをそれぞれ10
μMを含む2Mの塩化カリウム水溶液90μlを注入口
からビベッターで添加し、約37℃で10分間接触、保
持させた。次にリポソーム外液に残った薬物を取り除く
ために、約5℃に氷冷した1mlの2Mの塩化カリウム
水溶液を注入口から入れ軽く混合後、注入口に3mlの
注射筒を取りつけ空気圧ですべての溶媒をかるく押し出
した。次にリポソームをバーストさせるために、0.5
mlの40mMリン酸緩衝液(pH7.4に調整)を注
入口から入れ、軽く混合し、約37℃で3分間保持した
後、注入口に3mlの注射筒を取りつけ約1mlの空気
ですべての溶媒を軽く押し出し、回収した。この回収液
中薬物を放射能カウンター測定器で定量し、薬物添加量
に対しての回収率を求めた。その結果を〔表1〕に示
す。
【0045】実施例3 脂質のみを製造例4の製造法に準じて製造した容器
(0.22μmのフィルター)に、Hマンニトール、
14Cサリチル酸及び3Hデキサメタゾンをそれぞれ10
μMを含む2Mの塩化カリウム水溶液90μlを注入口
からビベッターで添加し、約37℃で10分間接触、保
持させた。次にリポソーム外液に残った薬物を取り除く
ために、約5℃に氷冷した1mlの2Mの塩化カリウム
水溶液を注入口から入れ軽く混合後、注入口に3mlの
注射筒を取りつけ空気圧ですべての溶媒をかるく押し出
した。次にリポソームをバーストさせるために、0.5
mlの40mMリン酸緩衝液(pH7.4に調整)を注
入口から入れ、軽く混合し、約37℃で3分間保持した
後、注入口に3mlの注射筒を取りつけ約1mlの空気
ですべての溶媒を軽く押し出し、回収した。この回収液
中薬物を放射能カウンター測定器で定量し、薬物添加量
に対しての回収率を求めた。その結果を〔表1〕に示
す。
【0046】実施例4 脂質のみを製造例7の製造法に準じて製造した容器
(0.22μmのフィルター)に、20μlの1Mスク
ロース水溶液を入れ、数分間静置して懸濁液を調製し
た。その懸濁液に、Hマンニトール、14Cサリチル
酸及びHデキサメタゾンをそれぞれ10μMを含む1
Mスクロース水溶液90μlを注入口からビベッターで
添加し、約37℃で10分間接触、保持させた。次にリ
ポソーム外液に残った薬物を取り除くために、約5℃に
氷冷した1mlの1Mスクロース水溶液を注入口から入
れ軽く混合後、注入口に3mlの注射筒を取りつけ空気
圧ですべての溶媒をかるく押し出した。次にリポソーム
をバーストさせるために、0.5mlの40mMリン酸
緩衝液(pH7.4に調整)を注入口から入れ、軽く混
合し、約37℃で3分間保持した後、注入口に3mlの
注射筒を取りつけ約1mlの空気ですべての溶媒を軽く
押し出し、回収した。この回収液中薬物を放射能カウン
ター測定器で定量し、薬物添加量に対しての回収率を求
めた。その結果を〔表1〕に示す。
【0047】実施例5 脂質のみを製造例3の製造法に準じて製造した容器
(0.22μmのフィルター)に、サリチル酸ナトリウ
ム100μMを含む1Mスクロース水溶液90μlを注
入口からビベッターで添加し、約37℃で10分間接
触、保持させた。次にリポソーム外液に残った薬物を取
り除くために、約5℃に氷冷した1mlの1Mスクロー
ス水溶液を注入口から入れ軽く混合後、注入口に3ml
の注射筒を取りつけ空気圧ですべての溶媒をかるく押し
出した。次にリポソームをバーストさせるために、0.
5mlの40mMリン酸緩衝液(pH7.4に調整)を
注入口から入れ、軽く混合し、約37℃で3分間保持し
た後、注入口に3mlの注射筒を取りつけ約1mlの空
気ですべての溶媒を軽く押し出し、回収した。この回収
液中サリチル酸ナトリウムを通常の高速逆相液体クロマ
トグラフ法(移動相:20mMリン酸緩衝液/アセトニ
トリル=4/6、カラム:イナートシル(Inerto
sil)ODS−3(4x100mm)、波長:254
nm、流速:1ml/min)で定量し、薬物添加量に
対しての回収率を求めた。その結果を〔表1〕に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明は、次に記載されるような効果を
奏する。 1.リポソーム内水相への薬物の移行量を本発明の方法
で測定することによって、インビボ経口投与時の薬物の
消化管吸収性を的確に予測することができる。 2.本発明の装置によって、薬物の消化管吸収性を迅速
かつ簡便に測定できるので、多数の候補化合物から経口
投与用に適した薬物を高速にスクリーニングできる。 3.従来行われていた消化管吸収試験に供される動物の
数を減らすことができ、動物愛護、経費および時間の面
からの有用性も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置の縦断面図
【符号の説明】
1 容器 2 フイルター 3 液収容部 4 密閉用ふた 5 液注入口 6 液取出口

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程を含んでなるリポソームを用いた
    薬物の消化管吸収性測定法。 (i)被験薬物を内包しないリポソームの懸濁液にリポ
    ソーム内水相と実質的に等張に調整された被験薬物水溶
    液を接触させ、被験薬物をリポソーム内に取り込ませる
    工程、(ii)懸濁液のリポソーム外液中に残存する被験
    薬物を除去する工程、(iii)被験薬物を取り込んだリ
    ポソームを、その内水相より低張な液と接触させてリポ
    ソームを浸透圧崩壊させる工程、および(iv)液中に漏
    出した被験薬物を定量する工程。
  2. 【請求項2】リポソームがLUV、GUVまたはMLV
    である請求項1記載の測定法。
  3. 【請求項3】リポソームが平均粒子径0.1〜10μm
    のものである請求項1または2記載の測定法。
  4. 【請求項4】リポソーム外液中に残存する被験薬物の除
    去を、リポソームを通過させないフィルター上で、リポ
    ソーム内水相と実質的に等張に調整された水溶液を用い
    て洗浄を行う請求項1記載の測定法。
  5. 【請求項5】リポソームを浸透圧崩壊させるために用い
    る低張な液と、リポソーム内相液の浸透圧の差が3倍以
    上である請求項1記載の測定法。
  6. 【請求項6】容器1.の上部に液注入口5.および下部
    に液取出口6.をそれぞれ密閉可能に設け、容器中部に
    リポソーム懸濁液収容部3.、液収容部3.と液取出口
    6.の間にリポソームを通過させないフィルター2.を
    備えた請求項1の測定法に用いるための装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008014746A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Sumika Chemical Analysis Service Ltd 細胞に取り込まれた被験化合物の定量方法

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