JP2002090291A - イオン濃度の測定方法 - Google Patents

イオン濃度の測定方法

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JP2002090291A
JP2002090291A JP2000276137A JP2000276137A JP2002090291A JP 2002090291 A JP2002090291 A JP 2002090291A JP 2000276137 A JP2000276137 A JP 2000276137A JP 2000276137 A JP2000276137 A JP 2000276137A JP 2002090291 A JP2002090291 A JP 2002090291A
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Koji Suzuki
鈴木  孝治
Kazuyoshi Kurihara
一嘉 栗原
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Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Kanagawa Academy of Science and Technology
Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、イオンなどの低分子物質を直接、検
出及び定量することのできる表面プラズモン共鳴(SP
R)センサー、そのための処理がなされたSPRセンサ
ー用のセンサーチップを提供するものである。 【解決手段】本発明は、表面プラズモン共鳴(SPR)
センサーにおける金属薄膜の表面に、ナトリウムイオン
や水素イオンなどのような低分子物質を補足することに
より光吸収特性が変化する物質、例えばオプトードのよ
うな材料を含有してなるセンシング層を設けたSPRセ
ンサー測定用センサーチップを用いて、SPRセンサー
により低分子物質を測定する方法に関する。また、本発
明は、SPRセンサーにおける金属薄膜の表面に低分子
物質を補足することにより光吸収特性が変化する物質を
含有してなるセンシング層を設けたことを特徴とするS
PRセンサーによる低分子物質の測定用センサーチップ
に関する。さらに、本発明は、前記した低分子物質の測
定用センサーチップを設けてなる低分子物質の測定用の
SPRセンサー装置に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオンなどの低分
子物質の測定ができる表面プラズモン共鳴(SPR)セ
ンサーに関する。より詳細には、本発明は、表面プラズ
モン共鳴センサーにおける金属薄膜の表面に低分子物質
を補足することにより光吸収特性が変化する物質を含有
してなるセンシング層を設けた表面プラズモン共鳴セン
サー測定用センサーチップを用いて、表面プラズモン共
鳴センサーにより低分子物質を測定する方法、それに用
いるセンサーチップ、及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】表面プラズモン共鳴(SPR)センサー
は、金属表面の測定面から数百ナノメートル範囲の屈折
率変化を、表面プラズモンの光共鳴現象を利用して当該
金属表面の反対側から測定するものである。金属表面に
固定化した物質(リガンド)を測定面に固定化し、被検
体物質(アナライト)を外部より供給し、リガンドとア
ナライトとの間の分子間相互作用を金属表面上で起こ
す。その結果起こる屈折率変化を表面プラズモン共鳴
(以下、単にSPRとも言う。)現象を使って検出す
る。表面プラズモンは、金属中の自由電子によるプラズ
マ振動と結合した光であるため、屈折率変化に敏感に応
答を示し、また金属表面を伝播する波であるために、測
定面上の数百ナノメートルという狭い範囲の屈折率変化
に応答を示す。
【0003】現在の表面プラズモン共鳴(SPR)セン
サーは、特に生体物質についてのバイオセンサーとして
の応用が主流である。これは、SPRセンサーがリアル
タイムの測定が可能で、かつ従来のバイオセンサーのよ
うなラベル化が不要である、という大きなメリットを持
っているためである。したがって、金属表面への被検体
物質(アナライト)の結合量を測定するような単なる定
量だけでなく、反応速度論的解析やアフィニティーセン
サーといった生体分子間相互作用を測定するのに非常に
有用とされている。しかし、この方法ではアナライトが
高分子量であることが求められ、低分子物質の検出は一
般的に困難とされている。低分子物質を測定しようとす
る場合には高分子量の物質との競争反応などを利用して
間接的に測定する方法が必要になってくる。
【0004】このように通常はSPRによる直接的な測
定を行うにはアナライトの分子量が数万程度でなくては
ならず、Naのような分子量の小さな物質を直接的に
検出することは不可能である。しかし、目的物質濃度に
応じて誘電率が劇的に変化するようなセンシング層を金
属表面に構築すれば、誘電率変化に依存したSPRシグ
ナル変化が得られる可能性がある。このような光学特性
を利用したSPRセンサーとしては、バルク溶液に色素
を一定量溶解させておき、ショ糖濃度を測定している例
(Hanning,A., et al., Sensors and Actuators B, 199
9, 25-36)や、銀薄膜上にべタイン色素のLangmuir-Blo
dgett単分子膜を形成させ、アンモニアガスを測定した
例(Ashwell,G.J., et al., Collids and Surfaces A,
1999, 155, 43-46)などが報告されている。前者ではフ
ァイバー型SPRプローブを用いており、反射光はスペ
クトルとして検出されるが、色素をバルクに溶解させて
おくと、色素の屈折率の波長依存性のためにSPRスペ
クトル変化が増幅され、感度の向上に成功している。バ
ルクの屈折率変化については約4倍、表面へのタンパク
質の結合については通常の約2倍の感度が得られてい
る。しかしこの場合、サンプルに色素を加えるという前
処理が必要になるとともに、サンプル自身が着色してい
た場合に問題が生じる可能性も考えられる。また後者で
は、ベタイン色素がプロトン脱着するときの光吸収特性
変化により、SPRシグナルの反射率が変化することを
利用し、アンモニアガスの検出を行っている。しかしこ
の例ではアンモニアの定量を行うまでには至っていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イオンなど
の低分子物質を直接、検出及び定量することのできるS
PRセンサー、そのための処理がなされたSPRセンサ
ー用のセンサーチップを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面プラズモ
ン共鳴センサーにおける金属薄膜の表面に低分子物質を
補足することにより光吸収特性が変化する物質を含有し
てなるセンシング層を設けた表面プラズモン共鳴センサ
ー測定用センサーチップを用いて、表面プラズモン共鳴
センサーにより低分子物質を測定する方法に関する。ま
た、本発明は、表面プラズモン共鳴センサーにおける金
属薄膜の表面に低分子物質を補足することにより光吸収
特性が変化する物質を含有してなるセンシング層を設け
たことを特徴とする表面プラズモン共鳴センサーによる
低分子物質の測定用のセンサーチップに関する。さら
に、本発明は、前記した低分子物質の測定用センサーチ
ップを設けてなる低分子物質の測定用の表面プラズモン
共鳴センサー装置に関する。
【0007】SPRセンサーは、リアルタイムの測定が
可能で、かつ測定にあたって試料のラベル化が不要であ
るという大きなメリットを持っているが、SPRセンサ
ーはアナライトが高分子量であることが必要であり、低
分子物質の検出は一般的に困難とされていた。そこで本
発明者らは、SPRセンサーによる低分子物質の測定方
法を開発するために、低分子物質としてNaイオンの
SPRセンサーによる検出を試みたところ、ナトリウム
イオンの検出のために、ナトリウムイオンを選択的に取
り込むことができる中性イオノフォアとカチオン性色素
に基づくポリ塩化ビニル(PVC)オプトード膜をセン
ジング層としてSPRに応用すると、SPRセンサーに
よりNaイオンの検出ができることを見出した。この
結果、低分子物質を補足することにより光吸収特性が変
化する物質を含有してなるセンシング層を設けることに
より、SPRセンサーで低分子物質を測定することがで
きることがわかった。
【0008】PVCオプトード膜などのセンシング層を
SPRセンサーの金属膜に設けることにより、試料溶液
はエバネッセント波のしみこみ深さ以上に金属表面から
離れたところで金属膜に接しているため、バルクに着色
成分などの不純物が含まれていたとしてもその影響を受
けることはない。この点は従来のSPRセンサーと比較
して優れているばかりでなく、吸光光度測定などの透過
光測定と比較しても大きな利点であると言える。またこ
のような原理のセンサーにおいては、ホスト分子さえ変
えてやれば他の様々な化学種についても応用可能である
ため、SPRの測定対象を大幅に広げることができる。
【0009】次に、本発明のSPRセンサーによる低分
子物質の測定方法を、低分子物質としてナトリウムイオ
ンを例にして、イオン抽出にともなうSPRシグナルの
変化の実験結果とシミュレーションとの比較、光源の波
長による影響等についてより具体的に説明する。以下の
実験においては、SPR装置として、DKK(電気化学
計器)社製SPR−20を用いた。実験に用いたSPR
センサー装置の概要を図1に示し、その試料部の拡大図
を図2に示す。LED21から光を発射し、レンズ22
で集光して、プリズム23に入射させ、センサーチップ
の金チップ24で反射させる。金チップ24の裏面には
試料セル25が設けられている。金チップ24で反射し
た光は、レンズを通り偏光板26で偏光させた後、CC
Dカメラ27で観測される。金チップ24での反射角θ
を計測するために、入射光側の筒は反射面を中心にして
可動自在になっている。図2は試料セル25部分を拡大
したものである。図2の上部発明試料セル部分の概要を
示したものであり、図2の下部は試料セルを装着したと
きの断面図を示している。プリズム23にガラス基板2
8に金チップ24を蒸着させた金属膜をマッチングオイ
ル30を塗布して密着させる。金チップ24にスペーサ
ー29を挟んで試料セル25を固着する。試料は試料セ
ル25の一方から流入し、スペーサー29を介して金チ
ップ28に接触した後、スペーサー29の他方の口から
流出し、試料セル25の他方の口から排出される。
【0010】このセンサーの光源部には660nmのL
ED21(発光ダイオード)、受光部にはCCDカメラ
27を用いている。また、入射光はレンズにより10°
の角度幅でプリズムに入射するため、可動ステージ(入
射光側の筒)の角度を決めれば、常に10°の角度範囲
内での光の強度分布2チャンネル同時にをモニターする
ことができる。可動ステージとプリズムテーブルは連動
して動くようになっており、さまざまな入射角度が得ら
れるので、測定対象の選択の幅が広いという特徴を持っ
ている。さらにこの装置は比較的サイズが大きいため、
角度分解能にすぐれている。本実験では屈折率の高いP
VC膜を測定するため、高屈折率プリズム(n=1.7
9)とn=1.79のマッチングオイルを用いた。ま
た、光源の波長による感度の違いなどを調べる際には、
630nmのLEDを光源部にとりつけて測定を行っ
た。金チップは、高屈折率ガラスの基盤上にCrを5n
m及びAuを45nmを蒸着したものを用いた。
【0011】本発明の特徴は、従来のSPRセンサーの
ように金チップをそのまま使用するのではなく、金チッ
プの表面に低分子物質を補足することにより光吸収特性
が変化する物質を含有してなるセンシング層を設けたこ
とにより、低分子物質を測定することができるSPRセ
ンサーを提供することである。このような本発明の特徴
を例示するために、ナトリウムイオンの検出を例にして
本発明のシステムの概要を図3に示す。図3はSPRセ
ンサーの試料部分を示すもので、LEDから発射された
光はプリズム1に入射光5として入射し、プリズム1に
接する金属膜2で反射して反射光6としてSPRセンサ
ーの受光装置に達する。本発明のセンサーチップは金属
膜2とセンシング層3とからなるものであり、センシン
グ層3は試料4と接している。試料4中のナトリウムイ
オンがセンシング層3に抽出され、センシング層3に存
在するイオノフォア(図3中では丸い形で示されてい
る。)に取り込まれ、そしてその結果、センシング層3
中に存在しているカチオン性色素の脱プロトン化が起こ
り、センシング層3における光吸収特性の変化が発生
し、SPRセンサーによりこの変化が測定されることに
なる。
【0012】この実験で用いたナトリウムイオノフォア
のDD16C5は、立体的にかさ高く堅い環構造を保持
することのできるダブルデカリノ基を16−Crown
−5に導入しており、Kのようなイオン径の大きいイ
オンとのサンドイッチ錯体や、リチウムのような小さい
イオンとのラッピング錯体の形成が効果的に抑制され、
ナトリウムイオンが選択的に取り込むことができる。ま
た、カチオン性色素のKD−M11はベタイン型色素で
あるが、ここではH付加型でプラスの電荷を持つ脂溶
性カチオン性色素として用いた。この色素はH付加型
で420nmに吸収極大を持ち、H脱離型で640n
mの吸収極大が現れ黄色から青色へ変色する。また、色
素として前記のKD−M11に代えてETH5294を
用いて同様な実験を行った。このようなカチオン性色素
を用いる場合には膜のチャージバランスを保つためにア
ニオン添加剤を加える必要がある。このようなバルクオ
プトードの応答についてはこれまでに理論が確立されて
いる。この実験に用いた脂溶性カチオン性色素KD−M
11及びETH5294、ナトリウムイオノフォアDD
16C5、アニオン添加剤テトラモス[3,5−ビス
(トリフルオロメチル)−フェニル]ボレイト,ナトリ
ウム塩,2水和物(TFPB)、並びに膜溶媒2−ニト
ロフェニルオクチルエーテル(NPOE)の構造式を次
に示す。
【0013】
【化1】
【0014】この例のようにナトリウムイオンの検出の
ために用いたセンシング層としてのPVCオプトード膜
では、目的イオンが膜中へ抽出されると同時に色素が脱
ブロトン化し、このとき吸収スペクトル変化が起こり、
このセンシング層の光吸収特性は誘電率(あるいは屈折
率)と密接な関係があるため、イオン濃度に応じたシグ
ナル変化をSPRセンサーにより測定することができる
ものと考えられる。
【0015】ここで、SPRセンサーによる測定の理論
を簡単に説明しておく。SPRセンサー自体の理論的な
説明は非常に複雑であるが、ここでは、金チップ、セン
シング層、及びプリズムから成るクレッチマン(Kretch
mann)配置のSPRセンサーの3層モデル、およびこれ
に試料層を加えた4層モデルに基づく理論を簡単に説明
する。表面プラズモン波は表面に垂直な振動電界成分を
持つ波であり、この方向(z方向とする)の振動電界成
分をもつp偏光の光によってのみ励起され、表面に平行
なs偏光(x方向)とは結合できない。入射光のp偏光
成分の一部は、金チップ、センシング層にも透過して表
面プラズモンの励起のために吸収され、残りが反射され
るが、このときの反射光強度は振幅の2乗であるため、
反射率Rは次式(4−1)で表される。
【0016】
【数1】
【0017】ここでγ31はガラスから金属へ光が入射
する際の電場の反射率、γ12は金属からセンシング層
へ入射する際の反射率であり、dは金属薄膜の厚さであ
る。γ31、γ12はp偏光に関するフレネルの反射の
式より次式(4−2)及び(4−3)
【0018】
【数2】
【0019】と表される。ここでε、ε、εは各
媒質の誘電率である。k1z、k2z、k3zは各媒質
中の波数の垂直成分であるので、cを光速、ωを周波数
とすると入射光の波数の水平成分kを除いた成分とし
て次式(4−4)、(4−5)及び(4−6)で表され
る。
【0020】
【数3】
【0021】ωは入射光の波長λを用いて ω=2πc/λ と表される。また、プリズムの屈折率nを、入射角をθ
とするとkは次の式(4−8)
【0022】
【数4】
【0023】金属の誘電率は通常波長依存性を持ってお
り、金の場合は次の(4−9)式のようになる。
【0024】
【数5】
【0025】プリズムの誘電率は波長依存性、吸収とも
に無視できるとし、 ε=n PVC膜の誘電率は、半導体や絶縁体の誘電関数と良く
一致するとされるローレンツモデルにより、次式(4−
11)で記述される。
【0026】
【数6】
【0027】ここで、入射光のエネルギーを吸収するセ
ンシング層中の物質、例えば脱プロトン型色素分子(λ
max=642nm)内で、電子励起に関与する電子を調
和振動子と見立てと、単位体積中の調和振動子数Nは、
センシング層中の物質(例えば、脱プロトン型色素分
子)の数としてセンシング層中の全物質濃度C
tot(mol/1)およびオプトードの理論応答式か
ら算出され、次式(4−12)のように表される。
【0028】
【数7】
【0029】ここでNはアボガドロ数、αは脱プロト
ン化度、mは電子の質量、eは電子の電気量、ε
真空中の誘電率である。また、
【0030】
【数8】
【0031】Γ(ガンマ)は減衰定数と呼ばれ、吸収ス
ペクトルの半幅値Δωで与えられる。ω=2πc/λで
あるため、これを両辺を微分することにより、
【0032】
【数9】
【0033】センシング層としてポリ塩化ビニル(PV
C)膜を用いた場合には、センシング層の主成分はポリ
塩化ビニル(PVC)およびその溶剤(可塑剤)の2−
ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)であり、
それぞれの単一成分の屈折率は1.54および1.50
8であるから、物質の屈折率はその密度と非常に密接な
関係があり、混合物の屈折率は次式(4−15)のよう
になる。
【0034】
【数10】
【0035】ここでa、bは各成分、pは各物質の密
度、cは物質bの重量分率を示している。PVC膜の屈
折率はこの式によりn=1.48と計算された。この
ようにして(4‐1)式の反射率を求めることにより、
反射光のディップ(dip)の形状や位置を調べること
ができる。また、実験で用いたLED光源は完全な単色
光ではなく、波長幅を持っている。この効果を考慮に入
れるため、光源の強度分布をローレンツモデルとして近
似し、反射率に各波長での強度をかけてλ±50δの波
長範囲で積分したのち、光源のスペクトルの総面積によ
り正規化するという方法をとる。ここでδは光源のスペ
クトルの半値半幅であり、各パラメーターは次の式(4
−16)、(4−17)及び(4−18)で表されるこ
とになる。
【0036】
【数11】
【0037】これらの理論計算式に基づいて、光源の波
長が660nm、630nmの場合のSPRセンサーの
シグナルの変化のシミュレーションを行った。ここでP
CV膜中の全色素濃度は、スピンキャストせずに乾燥さ
せた可塑化PVCの体積を測定することで求めた。一
方、オプトードの理論応答式は次式(2‐36)
【0038】
【数12】
【0039】で示されることから、この式(2−36)
に次の
【0040】
【数13】
【0041】の値を代入して各Na濃度におけるαを
求め、全色素濃度Ctotとαより膜中の脱プロトン型
色素分子濃度を算出してシミュレーションに用いた。K
exc Naの値は吸光スペクトル測定の結果より求め
た。また、シミュレーションは、マセマチカ(Mathemat
ica)によりシミュレーションの計算プログラムを作成
した。
【0042】この実験においては、前述した脂溶性カチ
オン性色素KD−M11、ナトリウムイオノフォアDD
16C5、及びアニオン添加剤TFPBを、次の表1に
示す各種の濃度にしたポリ塩化ビニル(PCV)膜を用
いた。
【0043】
【表1】
【0044】組成(1)は3.74重量%の濃度であ
り、組成(2)は2.52重量%の濃度であり、組成
(3)は1.90重量%の濃度であり、組成(4)は
1.27重量%の濃度である。色素としてETH529
4を用いた場合には、膜溶媒(可塑剤)としてセバシン
酸ジ(2−エチルヘキシル)エステル(DOS)を使用
した。ETH5294を4.06μモル、PCVを40
mg、DOSを80mg、これにイオノフォアDD16
C5、及びアニオン添加剤TFPBを加えて組成(5)
のPCV膜を作成した。また、比較のため、色素を含ま
ずDD165C(1.83mg)、TEPB(3.74
mg)、NPOE(40mg)、及びPVC(20m
g)のみから構成されるPCV膜を同様に作製した。こ
れらのPCV膜組成を無水THFに溶解して、金チップ
上にスピンコーティングした。
【0045】スピンコーティングされたPCV膜の膜厚
は、金チップを白いテフロン(登録商標)板上に置いて
この部分の反射スペクトルをカラートロン(Colortro
n)により、膜厚をdとすれば光路長(1+21/2
dの透過光として測定し、640nmの反射率からA=
−logRの関係による吸光度を求め、これをランベル
ト−ベールの法則(Lambert-Beer's law)より算出し
た。
【0046】金チップ上にコーティングされたPCV膜
は、オプトードの応答特性のメカニズムに基づき、測定
に先だって0.1M HClに浸してアニオン添加剤の
カウンターカチオン(Na)を膜から追い出すと同時
に、色素を完全にプロトン化させた。さらに、試料溶液
成分の膜内への浸透により測定中に膜の屈折率が変化す
るのを避けるため、0.02M HEPES/TMAO
H バッファー(pH7.0)に5時間浸してコンディ
ショニングを行った。図2に示すように、この金チップ
の裏面にマッチングオイル30を塗布してプリズムに密
着させ、PVC膜をコーティングした面にはスペーサー
29をはさんでフローセル25をとりつけた。フローセ
ル25への試料溶液の導入はポンプを用いて0.2ml
/minで行い、バッファー溶液は同じくpH7 HE
PES バッファーを用いた。測定の際には試料溶液を
8分間インジェクトしてSPRシグナルの応答がほぼ平
衡に達したところでp偏光の反射光強度を測定し、その
後バッファー溶液を数分間流して応答前の状態に戻し
た。同様の手順で低濃度のサンプルから順次インジェク
トして測定を行い、光源の強度分布を考慮してp偏光で
の反射光強度をs偏光での強度で割って反射率を得た。
また一連の測定中において、反射率の極小点の角度変化
をセンサーグラム(Sensorgram)として測定した。光源
は膜組成として表1の(3)を用いた実験以外では66
0nmのLEDを用いた。
【0047】また、測定にあたって、まず、色素を含ま
ない膜のSPR測定を行ったところ、角度および反射率
ともに全く変化が見られず、SPRシグナルがバルクに
よる影響を受けないことを確かめた。
【0048】次に、表1の(3)の組成の膜を用い、光
源の波長が660nmおよび630nmのときについ
て、各種のNa濃度の試料溶液に対する応答を調べ
た。光源の波長が660nm、630nmの場合の、S
PR吸収変化(反射率のdip)のようすをそれぞれ図
4及び図5に、660nmのときのセンサーグラムの例
を図6に示した。図4及び図5における横軸は、反射角
度(゜)を示し、縦軸は反射率を示す。Naの濃度
は、各図の右端の上からそれぞれ、10−1M、10
−2M、10−3M、10−4M、6×10−5M、3
×10−5M、10−5M、6×10−6M、10−6
Mであり、その下は緩衝液、塩酸(HCl)溶液であ
る。図6の横軸は時間(秒)を示し、縦軸は反射角度
(゜)を示す。Naの濃度は、図6の右から10−1
M、10−2M、10−3M、10−4M、6×10
−5M、3×10−5M、10−5M、6×10
−6M、10−6Mである。
【0049】この反射率の極小点における反射率および
反射角度をlogCNa+に対してプロットした応答曲
線を図7及び図8に示した。図7の横軸はNaの濃度
の対数値(logCNa+)であり、縦軸は反射率を示
す。図8の横軸は同じくNa の濃度の対数値(log
Na+)であり、縦軸は反射角度(゜)を示す。図7
及び図8における黒四角印(■)は波長が660nmの
場合を示し、黒丸印(●)は波長が630nmの場合を
示す。また、前述した理論式に基づいてシュミュレーシ
ョンした場合の同様のグラフを図9〜図12に示す。図
9は図4に対応するシュミュレーションの結果であり、
図10は図5に対応するシュミュレーションの結果であ
り、図11は図7に対応するシュミュレーションの結果
であり、図12は図8に対応するシュミュレーションの
結果である。さらに、これらの結果と吸収スペクトルと
の相関を調べるため、表1の組成(1)の膜をOHPシ
ート上にスピンキャストし、Naに対する吸光スペク
トル変化を測定したものを図13に、その応答曲線を図
14に示す。図13の横軸は波長(nm)を示し、縦軸
は吸収を示す。図13のNaの濃度は、図の上からそ
れぞれ、10−1M、10−2M、10−3M、10
−4M、10−5M、10−6Mであり、その下は緩衝
液、塩酸(HCl)溶液である。図14の横軸はNa
の濃度の対数値(logCNa+)であり、縦軸は正規
化された吸収率を示す。
【0050】図4及び図5から明らかなように、Na
濃度の増加にともない、630nm、660nmいずれ
の光源においてもディップ(dip)がブロードとな
り、その結果反射率が増加している。この時の応答曲線
は、吸光度についての応答曲線と同様にS字カーブとな
った(図7参照)。また両者の反射率変化を比較する
と、630nmにおける感度が660nmの場合の1.
2倍と優れていることがわかった。一方、反射角度変化
については660nmでトータル0.877°もの大き
な角度変化が見られたのに対し、630nmではほとん
ど角度変化が起こっていない。これらの傾向はシミュレ
ーションで得られた結果とほぼ一致している。角度や反
射角の変化量については実測値と異なっている場合もあ
るが、これはPVC膜の体積の測定誤差が原因と考えら
れる。しかしながら、この一致は、本発明の方法が理論
的にも正しいものであることを物語っている。
【0051】このような傾向の定性的な説明を得るため
に、PVC膜の屈折率変化をクラメルズ−クローニッヒ
(Kramers-kronig)の関係式を用いて吸光スペクトルデ
ータより算出した。クラマース−クローニッヒ(Kramer
s-Kronig)の関係式は、誘電率の虚部(光吸収)の波長
依存性と誘電率の実部(屈折率)の波長依存性を結びつ
ける関係式であり、どちらか一方がわかっていれば他方
を計算により求めることができる。通常はエネルギーの
関数として表されるが、これを波長について書き直すと
次式(4−19)のようになる。
【0052】
【数14】
【0053】ここで、Δn、ΔAはそれぞれ色素を含む
膜と含まない膜の屈折率差、および吸光度差であり、λ
は光路長(膜厚)である。ある波長λにおけるΔnは全
波長領域におけるΔAのデータから算出される。一般的
には0〜∞の波長範囲について記述された式であるが、
ここでは可視領域以外は無視し、図13のデータと色素
を含まない膜の吸光スペクトルデータから、350〜8
00nmの範囲で計算を行った。計算された屈折率の波
長依存性を図15に示した。図15の横軸は波長(n
m)であり、縦軸は屈折率(Δn)である。図15の波
長688nmの箇所の上から、Naの濃度が、10
−1Mから10−6Mに変化させた場合であり、その下
は塩酸(HCl)溶液の場合である。
【0054】図13の結果からこのPVC膜の最大吸収
波長は642nmであり、また図15の結果から屈折率
変化が最大になるのは688nm、変化の起こらない等
吸収点に相当するのが637nmであることがわかっ
た。膜の屈折率変化は表面プラズモン共鳴の起こる反射
角のシフトを引き起こすため、660nmのLEDの場
合にはNa濃度の増加にともなう屈折率変化により角
度がシフトしたが、630nmのLEDではちょうど屈
折率変化の起こらない波長であったために角度シフトが
見られなかったものと考えられる。なお、図13と図1
5を比較すると、屈折率の極大点・極小点は吸光スペク
トルの変曲点とほぼ一致しており、また吸光スペクトル
の極大点と屈折率の変曲点(ここでは等吸収点のように
なっている点)が一致している。このような特性は、絶
縁体の誘電関数を記述するローレンツモデルにもみられ
ることであり、このような吸収変化に伴う屈折率変化を
利用した光センサーの開発例も報告されている。この方
法は、バルクオプトード型のPVC膜とウエイブガイド
(waveguide)を組み合わせてCa2+濃度を屈折率変
化により測定するというものである(Freiner, D., et
al., Sensors and Actuators B, 1995, 277-285)。
【0055】本発明の方法における前記してきた実験に
おいて、ナトリウムイオンのような低分子物質において
も660nmでトータル0.877°もの大きな角度変
化が見られたということは驚くべきことである。そし
て、この角度変化が、センシング層における色素の吸光
度変化に関係する屈折率変化により引き起こされている
ことが初めて見出され、SPRセンサーによる低分子物
質の測定の可能性を示したものである。このような角度
変化がいかに大きなものであるかということは、分子量
150,000のアビジンを従来のSPRバイオセンサ
ーで測定した場合と比較することによりよくわかる。例
えば、金属表面にビオチンを有するモノレイヤーを形成
させ、仮にこの表面にアビジンが隙間なく単層で結合し
たとすると、アビジン一分子あたりの占める面積が約2
500平方オングストロームであるから、約10ng/
mmのアビジンが結合することになる。これはn=
1.5の低屈折率プリズムを用いた場合に1.0°の角
度変化に相当するものである。したがって、プリズムの
違いによる感度の差を考慮に入れたとしても、この実験
で得られた0.877°(10−6〜10−lM Na
)という角度変化は、非常に大きなものであり、従来
の高分子物質の測定で得られていたとほぼ同じ程度の角
度変化を本発明の方法により得ることができることを示
している。
【0056】従来のSPRセンサーのように、誘電率の
虚部が一定で実部(屈折率)のみが変化するような場
合、SPRセンサーのディップ(dip)は角度のみが
シフトし、反射率には変化が現れない。しかし、この実
験においてはNa濃度の増加につれて反射率の増加が
観測されており、これは明らかに誘電率の虚部(光吸
収)の変化によるものである。誘電率の虚部は物質中を
透過する電磁波の減衰を表すものであるが、Naの抽
出によって色素が脱プロトン化し、電磁波の減衰に寄与
する調和振動子数が多くなると、表面プラズモンの波数
が不確定になり、センシング層にしみ出たエバネッセン
ト波の波数と一致しなくなり、表面プラズモンを励起で
きなくなる。表面プラズモンを励起できないということ
はすなわちSPRセンサーによる吸収ディップ(di
p)が消失するのであるから、そのために反射率が増大
したと考えられる。また、このメカニズムでは、光源の
波長と色素の吸収波長が近いほどエバネッセント波の減
衰も起こりやすくなり、反射率の変化が大きいと考えら
れる。このために630nmの光源を用いた場合に感度
が向上したものと思われる。シミュレーションの結果で
は、630nmでの感度は660nmの1.18倍であ
った。
【0057】図4及び図5に示される色素KD−M11
を用いたSPRセンサーによる測定結果から、色素KD
−M11を用いた場合には、イオンの濃度が高くなるに
つれて、ディップ(dip)が浅くなり、同時に反射角
度が大きいほうへシフトすることがわかる。また、入射
光の波長により反射角度が大きくシフトすることがわか
る。このような反射角度のシフトや反射率の変化を利用
することにより、試料中のイオン濃度をSPRセンサー
により定量することができることがこれらの実験から示
された。
【0058】同様の実験を色素ETH5294を含有す
る組成(5)のPCV膜からなるセンシング層を用いて
行った。前記の色素KD−M11の場合と同様にして、
組成(5)の膜のNaに対する吸光スペクトル変化を
測定したものを図16に、その応答曲線を図17に示
す。図16の横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸収を
示す。図16のNaの濃度は、図の下からそれぞれ、
1M、10−1M、10−2M、10−3M、10 −4
M、10−5M、10−6Mであり、その上は緩衝液、
塩酸(HCl)溶液である。図17の横軸はNaの濃
度の対数値(logC)であり、縦軸は正規化された吸
収率を示す。このことから、KD−M11を含む膜では
ブロトン脱離により630nmの吸収が増加するのに対
して、ETH5294ではプロトン脱離により660n
mの吸収が減少していることがわかる。そして、620
〜630nmの吸収が多くなればなるほどSPRシグナ
ルの深さは浅くなるので、KD−M11を含む膜ではN
濃度が高くなるほどディップは浅くなり、逆にET
H5294を含む膜では深くなっていくのではないかと
予想された。
【0059】そこで、組成(5)の膜を用いたSPRセ
ンサーによる測定を行った。その結果を図18に示す。
図18における横軸は、反射角度(゜)を示し、縦軸は
反射率を示す。Naの濃度は、図18の反射角度61
゜付近の下から、10−1Mから10−6Mへと薄い場
合を示している。この結果は、予想どうりNa濃度が
高くなるにつれてディッブが深くなっていくことを示し
た。また、色素としてETH5294を用いた場合に
は、Na濃度の変化による反射角度の変化はほとんど
見られず、ディップの深さのみが変化していることがわ
かる。反射角度の変化が起こらずに反射率変化のみでの
測定が行えるということは、入射角を固定したままでイ
オンの濃度測定が可能であるということであり、イオン
ノウドを定量するための装置が簡単になるということの
ほか、色素の最大吸収波長と重なっているため、色素に
よる吸収の効果が大きく、感度をあげることができると
いう利点である。
【0060】次に、センシング層の膜厚について検討し
た。表1の(3)の膜組成で、膜溶液の希釈度とスピン
キャスト時の回転速度、時間の異なる膜を3種類作成し
た。これらの膜について膜厚測定を行った結果それぞれ
0.77、1.25、1.48μmであった。これらの
Naに対する応答を調べた。このときのNaに対す
る反射率変化を図19に示す。図19の横軸はNa
濃度の対数値(logCNa+)であり、縦軸は反射率
を示す。図19における黒四角印(■)は膜厚が1.4
8μmの場合を示し、黒三角印(▲)は膜厚が1.25
μmの場合を示し、黒丸印(●)は膜厚が0.77μm
の場合を示す。この結果、Naの濃度が10−6〜l
−1Mにわたる反射率変化はそれぞれ0.133、
0.128、0.119となり、膜厚による大きな差は
この実験では見られなかった。
【0061】そこで、膜厚が、0.1、0.2、0.
5、0.77、1.25、1.48μmの6種類の場合
についてSPRシグナル変化のシミュレーンョンを行っ
たところ、0.1μm、0.2μmのような薄い膜では
膜厚が厚くなるにつれてディップ(dip)が広角度側
へシフトし、またシグナル変化も大きくなっていった。
しかし、膜厚が0.2μmを越えるとほとんど膜厚によ
る違いは見られなくなった。これは、エバネッセント波
のしみこみ深さはおよそ0.2μmであることが知られ
ており、膜厚が0.2μm以上では全てのエバネッセン
ト波が膜の中に有り膜厚の影響を無視することができる
からである。一方、0.2μm未満の薄い膜では、エバ
ネッセント波は膜を越えてしまうのでエバネッセント波
の電場をすべて活用することができないので、感度が低
下し、また、この場合にはエバネッセント波がバルクま
で到達してしまうため、バルクの影響が現れることにな
る。前記の実験ではいずれも0.2μm以上の膜を使用
したために、膜厚による大きな差を観察することができ
なったのである。これらの結果より、センシング層があ
る膜厚以上であれば、SPRセンサーにより常に一定の
感度が得られ、かつ試料の影響も受けないことがわかっ
た。そのため、試料として血液のような着色成分多量に
含有するものや、測定対象外の成分を多量に含有するも
のを使用したとしても、本発明の方法によるSPRセン
サーでの測定が可能でることがわかった。
【0062】次に、センシング層における色素の濃度に
ついて検討した。表1に示した組成(1)、組成
(2)、及び組成(4)の各色素含有量の膜についてN
に対する応答を調べ、感度の比較を行った。この結
果の応答曲線を図20に示す。図20の横軸はNa
濃度の対数値(logCNa+)であり、縦軸は反射率
を示す。図20における黒三角印(▲)は色素濃度が
1.27重量%の場合を示し、黒丸印(●)は色素濃度
が2.52重量%の場合を示し、黒四角印(■)は色素
濃度が3.74重量%の場合を示す。この結果、色素濃
度が増加すると反射率は大きくなり、特に10−5〜1
M付近の低濃度における感度が著しく向上するこ
とがわかった。このことからも、反射率変化が誘電率の
虚部の変化を反映しているものであることがわかる。
3.74wt%よりも濃度を高くした場合、さらに感度
の向上は期待できるが、濃度が高すぎる場合には色素の
会合が起こる可能性があり、また反射率変化が飽和に達
するのも早くなると考えられるので、充分な感度が得ら
れれば必要以上に濃度を高くすることはない。
【0063】次に、試料中のイオンの選択性について検
討した。表1の組成(3)の膜を用いてNa以外のイ
オンであるK及びBaに対する応答を調べ、ナトリ
ウムイオンの選択性について検討した。K及びBa
に対するSPRシグナル変化を、前記してきたNa
場合と同様の方法で測定し、この結果に基づいてN
、K、及びBaについての角度変化の応答曲線
を図21示す。図21の横軸は各イオンの濃度の対数値
(logC)であり、縦軸は反射角度の変化(Δ゜)を
示す。図21における黒三角印(▲)はBaイオンの
場合を示し、黒四角印(■)はKイオンの場合を示
し、黒菱形印(◆)はNaイオンの場合を示す。IS
Eのデータによると、PVC、NPOE、TEHPを用
いた場合のイオノフォアDD16C5のNaの選択係
数は、Kに対して約160倍、Baに対して約10
000倍である。仮にオプトードの応答曲線の距離に基
づいて、SPRセンサーの応答曲線を予測できるとすれ
ば、前記の選択係数による応答曲線が得られることにな
る。図21に示される実験結果からは、Baについて
は10−2Mまで応答せず、Kに対しては10−2
の時点で約1000倍の応答を示した。このことから
KD−M11、DD16C5を含むポリマー混合膜はナ
トリウムに対して優れた選択性を示すことがわかった。
【0064】さらに、表1の組成(3)の膜を用いてp
H7の緩衝液と10−5M Na溶液を6分ずつ交互
に接触させ、センサーグラムによる5回の測定の再現性
を調べた。緩衝液と10−5M Na溶液を交互に流
したときのセンサーグラム(Sensorgram)を図22に示
す。反射角度について緩衝液と10−5MNa溶液の
間の平均の変化量に対する標準偏差の割合を求めると、
緩衝液、10−5MNa溶液ではそれぞれ11.0
%、12.4%であった。反射率について同様に変化量
に対する標準偏差の割合を求めると、10.0%、8.
2%となった。この結果、いずれの場合についても良好
な再現性が得られた。また、緩衝液、10−5MNa
溶液のいずれの場合もほぼ3分程度で応答が安定した。
【0065】以上の実験においては、ナトリウムイオン
の測定の例であったが、次に同様な方法により水素イオ
ン濃度(pH)のSPRセンサーによる測定の例を説明
する。分子内に共役系を介してN基とO基を有する
メロシアニン骨格のベタイン型色素は、pH指示薬と同
様なプロトン脱着にともなう吸光度変化だけでなく、周
囲の極性変化にともない最大吸収波長がシフトするソル
バトクロミズムも示すため、pHセンシング、イオンセ
ンシング、有機溶媒中の水分測定などさまざまな応用が
試みられてきた。これらは脂溶性ポリマー膜に包括させ
るための脂溶性側鎖を導入したものと、モノマーとの共
重合によりポリマーに固定化する目的でオレフィン部位
を導入したものの2つのタイプがあり、またベンゼン環
に電子吸引性、供与性の置換基を系統的に導入すること
によって、pKaやソルバトクロミック特性を制御する
ことができる。これらの色素KD−M1〜KD−M16
及びKD−M24の構造式を次に示す。
【0066】
【化2】
【0067】これらの色素のうちオレフィン部位を導入
した色素分子については、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチルエステル(HEMA(2-Hydroxyethyl methacryl
ate))やメタクリル酸ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテルエステル(DEGMMA(diethylene glyco
l monomethyl ether methacrylate))と共に光共重合
させて塊状重合膜を作製し、pHセンサーや各種溶媒測
定、水分測定に応用されている。イオン選択性バルクオ
プトードでは、イオン交換反応あるいは共抽出によって
色素のプロトン脱着に基づく吸光度変化が起こるという
メカニズムであるが、pHオプトードの場合、Hはも
っとも表面電荷密度が高いためにイオン交換反応では抽
出されず、また脂溶性ポリマー膜に固定化されてしまう
とHが単独では膜中へ浸透して行けない。そのため、
不溶化した親水性ポリマーに色素を共重合により固定化
する方法が一般的である。HEMAの塊状重合膜はOH
基どうしの水素結合によるゲル化が進んでいるために水
に不溶であり、耐久性にすぐれるが、重合後に成形を行
うことはできない。そこで本実験では、HEMAとオレ
フィン側鎖をもつ前記のKD系の色素を溶液重合により
共重合させ、ポリマー溶液を金チップ上にスピンキャス
トすることでSPRセンサーへの応用を試みた。
【0068】まず、色素を加えずHEMAのみで重合さ
せたポリマーからセンシング層を作製し、pH7〜12
でのSPRセンサーの測定を行ったところ、ほぼ一定の
角度となっており、pH応答は示さなかった。次にKD
−M3とHEMAとの共重合体から薄膜(KD−M3/
HEMA共重合膜)を作成しこれをセンシング層とした
SPR応答を調べた。
【0069】まず、光共重合により作製した塊状重合膜
KD−M3/HEMA膜の吸光光度測定を行い、pHに
対する応答曲線を得た。KD−M3/HEMAのpHに
対する吸光スペクトル変化、およびスペクトルデータか
らクラマース−クロニッヒ(Kramers-Kronig)の式より
算出した屈折率変化を、それぞれ図23、図24に示
す。図23の横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸収を
示す。図23の波長570nmの箇所における上からp
H12.1、pH11.0、pH10.0、pH8.
9、及びpH2.5〜8の場合がそれぞれ示されてい
る。図24の横軸は波長(nm)を示し、縦軸は屈折率
変化(Δ゜)を示す。図24の波長620nmの箇所に
おける上からpH12、pH11、pH10、pH8.
9、及びpH8の場合がそれぞれ示されている。最大吸
収波長は570nm、また屈折率変化は620nmで最
大となるため、630nmの光源を用いた場合に共鳴
角、反射率の極小値がともにpHに応じて変化すると予
想された。
【0070】実際に630nmの光源でのSPRシグナ
ル変化を測定した結果を図25に、比較のため660n
mでのシグナル変化を図26に示す。図25及び図26
の横軸は反射角度を示し、縦軸は反射率を示す。図25
及び図26の反射角度60゜付近の箇所における上から
pH12、pH11、pH10、pH9.5、pH9、
pH8、及びpH7の場合がそれぞれ示されている。ま
た、両者の共鳴角変化、および反射率変化についての応
答曲線をそれぞれ図27、図28に示す。図27の横軸
はpHを示し、縦軸は反射角度を示す。図28の横軸は
pHを示し、縦軸は反射率を示す。図27及び図28に
おける黒四角印(■)は波長660nmの場合を示し、
黒丸印(●)は波長630nmの場合を示す。この測定
の結果、吸光スペクトルと屈折率変化から予想された通
り、反射率、共鳴角ともに630nmの光源の場合に6
60nmよりも良好な感度が得られた。図25に示され
る測定結果より、pHが上がるにつれて、反射角度が増
加の方向にシフトし、またディップが浅くなるなどの応
答がみられることがわかる。pH7〜pH12までにお
ける角度の変化は1.42゜と極めて大きな値を示し
た。したがって、PVC膜を利用したSPRセンサーと
同様、色素の光吸収特性を利用することで、Hの検
出、すなわちpHセンシングが、本発明の方法によるS
PRセンサーにより測定可能であることがわかった。
【0071】以上の実験の結果から、色素とイオノフォ
アに基づくオプトード膜をSPRに応用することによ
り、目的イオン濃度に対するSPRシグナルの応答が得
られ、これまで困難とされてきたSPRによる低分子
(イオン)の検出が可能となった。この場合、イオン抽
出にともなう色素の光吸収特性の変化が膜の誘電率の実
部(屈折率)および虚部(光吸収)の変化を引き起こ
し、これらはそれぞれSPR共鳴角および反射率の変化
として反映される。この変化は従来のSPRバイオセン
サーにおける、金属表面へのタンパク質の吸着に起因す
るシグナル変化と同等、あるいはそれを上回るほどドラ
スティックなものであり、色素の吸収を利用した信号増
幅が非常に有効であることが示された。また、光源の波
長あるいは適当な吸収波長の色素を選択することによ
り、感度の最適化や共鳴角・反射率の両方向からのセン
シングが可能となる。このようなSPRセンシングの手
法においてはセンシング膜の作製が容易であり、Na
や水素イオンの外の多くの低分子物質に適用することが
可能となる。
【0072】
【発明の実施の形態】以上の実験においてはナトリウム
イオンや水素イオンを例にして説明してきたが、本発明
はこれらの例示に限定されるものではなく、SPRセン
サーの金属膜部分に低分子物質を補足することにより光
吸収特性が変化する物質を含有してなるセンシング層を
設けることにより、従来測定が困難とされていたSPR
センサーによる低分子物質の測定を可能としたことを特
徴とするものである。したがって、本発明は、前記セン
シング層を設けたセンサーチップを用いるSPRセンサ
ーによる測定方法及びその装置を広く包含するものであ
る。本発明の測定方法は、試料中の目的物質を検出、同
定及び/又は定量するいずれの方法をも包含している。
本発明の測定方法は、SPRセンサーにおける実部の測
定、虚部の測定、及びこれらの両方の測定のいずれの方
法によることもできる。これらの測定はSPRセンサー
の反射角度の測定や反射率などの測定を包含している。
【0073】本発明のセンシング層としては、前記の実
験で使用されたポリ塩化ビニル(PCV)、メタクリル
酸2−ヒドロキシエチルエステル(HEMA)、メタク
リル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテルエステ
ル(DEGMMA)に限定されるものではなく、ポリ塩
化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、
ポリエーテルなどのポリマーからなる薄膜や、可塑剤と
しての性質を示すエステル体及びエーテル体、又はこれ
らの誘導体を含有してなる脂溶性液膜などの液膜を薄膜
などが挙げられる。さらに、これらのポリマーからなる
薄膜や液膜に限定されるものではなくSPRセンサーの
金属膜に固着することができ、測定時に安定した性質を
維持できるものであればよい。好ましくは、測定の対象
となる低分子物質との親和性が良い樹脂材料がよい。本
発明はSPRセンサーにおけるセンサーチップとして金
属膜に前記したセンシング層を設けることにより、そし
て好ましくは当該センシング層における光吸収特性の変
化を利用して、SPRセンサーの測定対象物の範囲を拡
大できることを特徴のひとつとするものであり、係る特
徴を利用をするものは全て本発明に包含されるものであ
る。本発明のセンシング層の膜厚としては、特に制限は
無いが、好ましくはエバネッセント波のしみこみの深さ
以上の膜厚さを有するものがよい。より詳細には0.1
μm以上、又は0.2μm以上の膜厚を有するのが好ま
しい。通常のスピンコーティングなどの方法により形成
される膜厚を有するもので充分であり、余り厚くなると
感度の低下となるので50μm以下、又は10μm以下
のものが好ましい。
【0074】本発明のセンシング層に含有される「低分
子物質を補足することにより光吸収特性が変化する物
質」としては、測定対象となる低分子物質に応じて種々
の物質を使用することができる。測定対象となる低分子
物質を補足することにより、誘電率や屈折率などのSP
Rセンサーで測定することのできるに光吸収特性が変化
する物質であれば本発明の「低分子物質を補足すること
により光吸収特性が変化する物質」として使用すること
ができる。このような物質としては、単一の物質であっ
てもよいが、2種以上の物質を組み合わせて光吸収特性
を変化させる物質として使用することもできる。例え
ば、前記した例のように目的のイオンを取り込む物質と
目的のイオンを取り込むことにより光吸収特性が変化す
る物質とを組み合わせて使用することもできる。また、
低分子物質を補足又は取り込む際に、目的の低分子物質
に対する選択性の高い物質を使用するのが好ましい。前
記の実験例では、DD16C5というナトリウムイオン
に対する選択性の高いイオノフォアを用いたことによ
り、ナトリウムイオンを選択的に測定することができ
る。このような選択性は低分子物質を補足又は取り込む
物質だけによってもよいが、センシング層の材質や他の
物質との組み合わせによりこのような選択性を発現させ
てもよい。
【0075】本発明の「低分子物質を補足することによ
り光吸収特性が変化する物質」として、前記の実験に使
用してきたようにオプトードを用いるのが好ましいひと
つの態様である。オプトードは、測定対象となる物質の
存在により光特性が主として可視領域において変化する
ものであり、通常のSPRセンサーの光源の領域にも近
く、またセンシング層に含有させることも容易である。
本発明における「低分子物質を補足することにより光吸
収特性が変化する物質」をセンシング層に含有させる方
法としては、センシング層の材料に物理的に混合しても
良いし、前記した例のように共重合体として重合体の骨
格に組み込ませてもよい。いずれの方法によっても、セ
ンシング層の中で所期の機能を発揮できる状態で存在す
ることができれば、本発明でいうセンシング層に含有さ
れた状態である。
【0076】本発明の測定対象となる低分子物質として
は、オプトードに対する感受性を有するイオン性の物質
が好ましいが、これに限定されるものではない。非イオ
ン性の物質であっても、本発明の「低分子物質を補足す
ることにより光吸収特性が変化する物質」との組み合わ
せにより、センシング層での光吸収特性を変化させるこ
とができれば、本発明の方法に包含されるものである。
また、イオン性の物質としては、ナトリウムイオンや水
素イオンのような無機性のイオンのみならず、カルボン
酸塩やアミン塩のような有機性のイオンであってもよ
い。本発明の方法においては、イオノフォアの使用は必
須ではないが、イオンをセンシング層に取り込む効率を
上げたり、また取り込みの選択性を向上させるためにイ
オノフォアを使用することも本発明の好ましい態様のひ
とつである。使用できるイオノフォアとしては、DD1
6C5のようなクラウンエーテル類又はその誘導体が挙
げられるが、これに限定されるものではない。
【0077】前述してきたように、本発明はSPRセン
サーの金属膜部分に低分子物質を補足することにより光
吸収特性が変化する物質を含有してなるセンシング層を
設けることにより、従来測定が困難とされていたSPR
センサーによる低分子物質の測定を可能としたことを特
徴とするものであり、したがって本発明は、表面プラズ
モン共鳴センサーにおける金属薄膜の表面に低分子物質
を補足することにより光吸収特性が変化する物質を含有
してなるセンシング層を設けたことを特徴とする表面プ
ラズモン共鳴センサーによる低分子物質の測定用センサ
ーチップを提供するものである。本発明のセンサーチッ
プは、従来のSPRセンサーの金属膜の表面に前記した
本発明のセンシング層を設けたものである。本発明のセ
ンサーチップは、従来の金属膜にセンシング層をそのま
ま又はその溶液を、塗布、スピンコーティング法などに
より固着又は密着させることにより製造することができ
る。本発明のセンサーチップはこれを単独でSPRセン
サー用の部品とすることもできるが、試料セルやスペー
サーと共にして試料キットとしてSPRセンサー用の部
品とすることもできる。
【0078】また、本発明は、前記した本発明のセンサ
ーチップを設けてなる低分子物質の測定用の表面プラズ
モン共鳴センサー装置を提供するものである。本発明の
SPRセンサー装置は、前記した本発明のセンサーチッ
プを装着していることを特徴とするものである。本発明
のSPRセンサー装置としては、従来のSPRセンサー
装置に本発明のセンサーチップを装着することにより製
造することができる。本発明のSPRセンサー装置とし
ては、種々の従来のSPRセンサー装置を用いることが
できるが、好ましくはクレッチマン配置のSPRセンサ
ー装置が挙げられる。また、本発明のSPRセンサー装
置は、光吸収に関する虚数部の測定を行うことができる
ものも好ましい。
【0079】
【実施例】次に実施例により本発明をより詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0080】実施例1 PCV膜の製造 脂溶性カチオン性色素KD−M11、ナトリウムイオノ
フォアダブルデカリノ−16−クラウン−5(DD16
C5)(同仁化学社製)、アニオン添加剤テトラモス
[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]ボ
レイト,ナトリウム塩,2水和物(TFPB)(同仁化
学社製)を、前記「表1」に記載した組成になるように
調製し、これを無水THFに溶解させ、全量を膜構成成
分の全量の6倍となるようにした。次にスピンコーター
に高屈折率ガラスの基盤上にCrを5nm及びAuを4
5nmを蒸着した金チップを固定し、得られたTHF溶
液を約0.2mlを滴下し、4000rpmで5秒間回
転させて薄膜を作製した。これを約1時間真空乾燥さ
せ、冷凍庫内にて保存した。また比較のため、色素を含
まずDD165C(1.83mg)、TEPB(3.7
4mg)、NPOE(40mg)、PVC(20mg)
のみから構成される膜を同様に作製した。
【0081】実施例2 SPRセンサーによる測定 (1)SPRセンサー装置 SPR装置として、DKK(電気化学計器)社製SPR
−20を用いた。装置の概要を図2及び図3に示す。こ
のSPRセンサーの光源部には660nmのLED21
(発光ダイオード)、受光部にはCCD27カメラを用
いている。また、入射光はレンズにより10°の角度幅
でプリズムに入射するため、一度可動ステージの角度を
決めれば、常に10°の角度範囲内での光の強度分布2
チャンネル同時にをモニターすることができる。可動ス
テージとプリズムテーブルは連動して動くようになって
おり、さまざまな入射角度が得られるので、測定対象の
選択の幅が広いという特徴を持っている。さらにこの装
置は比較的サイズが大きいため、角度分解能にすぐれて
いる。本実験では屈折率の高いPVC膜を測定するた
め、高屈折率プリズム(n=1.79)とn=1.79
のマッチングオイルを用いた。また、光源の波長による
感度の違いなどを調べる際には、630nmのLEDを
光源部にとりつけて測定を行った。金チップは、高屈折
率ガラスの基盤上にCrを5nm及びAuを45nmを
蒸着したものを用いた。
【0082】(2)センシング層の前処理 測定に先だって、オプトードの応答特性のメカニズムに
基づき、PVC膜を0.1M HClに浸してアニオン
添加剤のカウンターカチオン(Na)を膜から追い出
すと同時に、色素を完全にプロトン化した。つづいて、
試料溶液成分の膜内への浸透により測定中に膜の屈折率
が変化するのを避けるため、0.02MHEPES/T
MAOH バッファー(pH7.0)に5時間浸してコ
ンディショニングを行った。図3に示すように、この金
チップの裏面にマッチングオイル30を塗布してプリズ
ムに密着させ、PVC膜をコーティングした面にはスペ
ーサー29をはさんでフローセル25をとりつけた。フ
ローセル25への試料溶液の導入はポンプを用いて0.
2ml/minで行い、バッファー溶液は同じくpH7
HEPES バッファーを用いた。測定の際には試料
溶液を8分間インジェクトしてSPRシグナルの応答が
ほぼ平衡に達したところでp偏光の反射光強度を測定
し、その後バッファー溶液を数分間流して応答前の状態
に戻した。同様の手順で低濃度のサンプルから順次イン
ジェクトして測定を行い、光源の強度分布を考慮してp
偏光での反射光強度をs偏光での強度で割って反射率を
得た。また一連の測定中において、反射率の極小点の角
度変化をセンサーグラム(Sensorgram)として測定し
た。光源は膜組成として表1の(3)を用いた実験以外
では660nmのLEDを用いた。
【0083】(3)試料の測定 表1の(3)の組成の膜を用い、光源の波長が660n
mおよび630nmのときについて、各種Na濃度の
試料溶液に対する応答を調べた。結果を図4及び図5に
示す。表1の(3)の膜組成で、膜溶液の希釈度とスピ
ンキャスト時の回転速度、時間の異なる膜を3種類用意
した。これらの膜についてそれぞれ膜厚測定を行い、N
に対する応答を調べた。結果を図19に示す。表1
に示した(1)、(2)、(4)の各色素含有量の膜に
ついてNaに対する応答を調べ、感度の比較を行っ
た。結果を図20に示す。また、表1の組成(3)の膜
を用いてK、Baに対する応答を調べ、ナトリウム
イオンの選択性について検討した。結果を図21に示
す。さらに、表1の組成(3)の膜を用いてpH7の緩
衝液と10−5M Na溶液を6分ずつ交互に接触さ
せ、センサーグラムにより5回の測定の再現性を調べ
た。結果を図22に示す。
【0084】実施例3 センシング層の膜厚の測定 膜の吸光度とLambert-Beer則より、PVC膜の膜厚を見
積もった。金チップに膜をコーティングする際に、金薄
膜の蒸着されていない部分のガラス基盤にも膜がキャス
トされるので、金チップを白いテフロン板上に置いてこ
の部分の反射スペクトルをカラートロン(Colortron)
により測定した。カラートロン(Colortron)の内部光
源からの光が45°方向から膜を透過してテフロン板で
反射され、再び膜を垂直方向に透過したのち検出される
ため、膜厚をdとすれば光路長(1+21/2)dの透
過光測定とみなすことができる。したがって640nm
の反射率からA=−logRの関係により吸光度を求
め、さらにランベルト−ベールの法則(Lambert-Beer's
law)より膜厚を算出した。
【0085】実施例4 色素ETH5294を含有する
PCV膜の製造 ETH5294(λmax=660nm)を4.06μ
モル、PCVを40mg、DOSを80mg、これにイ
オノフォアDD16C5、及びアニオン添加剤TFPB
を加えて組成(5)とし、実施例1と同様の方法により
PCV膜を作成した。得られたセンサーチップを用いて
実施例2と同様な方法によりSPRセンサーによる測定
を行った。結果を図18に示す。
【0086】実施例5 HEMA−色素共重合ポリマー
の合成 100mlの2つ口フラスコにジムロート、窒素導入
管、ポンプをとりつけ、窒素置換を行った。HEMA
1.56g(12.0mmol)とKD−M30.06
24g(0.16mmol)を乾燥DMF3.6mlに
溶解させたものをフラスコに投入し、窒素雰囲気下にお
いて70℃で1時間撹拝した。次にAIBN 5.9m
g(0.036mmol)をDMF 0.4mlに溶解
させたものを加え、窒素雰囲気下において反応液を22
0rpmで撹拝しながら70℃で7時間反応させた。重
合反応終了後、反応液を氷冷した蒸留水50ml中に注
いでポリマーを析出させ、減圧ろ過、洗浄を行った。次
にこのポリマーの精製を行うため、ポリマーをTHF2
5mlに溶解させ、ヘキサン/エーテル=3/1の混合
溶媒100ml中に注いで再びポリマーを析出させた。
これを減圧ろ過、洗浄し、同じ精製の操作を再び行っ
た。精製後、デシケータで真空乾燥させ、共重合ポリマ
ーを得た。KD−M24とHEMAの共重合ポリマーに
ついても同様に合成を行った。
【0087】実施例6 HEMA膜の製造 実施例5で製造したポリマー70mgをメタノールに溶
解させ、全量を0.427gとした。これをスピンコー
ター上に固定した金チップ上に約0.2ml滴下し、4
000rpmで5秒間回転させてセンサーチップを製造
した。
【0088】実施例7 SPRセンサーによる測定 金チップの裏面にマッチングオイルを塗布して高屈折率
プリズム(n=1.79)に密着させ、HEMA膜にセ
ルロースの透析膜を平らにはりつけ、この上にフローセ
ルをとりつけた。フローセルへの試料溶液の導入はポン
プを用いて0.2ml/minで行い、緩衝液はKD−
M3/HEMA膜についてはpH7の緩衝液を用いた。
各種pH溶液のインジェクトは10分間行い、実施例2
と同様な方法により測定を行った。結果を図25〜図2
8に示す。
【0089】
【発明の効果】本発明は従来SPRセンサーによる測定
方法では困難とされていた低分子物質の測定を、簡便な
方法で行えることを開示するものである。本発明の方法
によりナトリウムイオンなどの低分子物質をSPRセン
サーにより簡便に検出、同定又は定量することができ
る。本発明は、従来のSPRセンサー用の金属膜の表面
に低分子物質を補足することにより光吸収特性が変化す
る物質を含有してなるセンシング層を設けるという簡便
な手段により、低分子物質を測定することができるSP
Rセンサー用のセンサーチップ、及びそれを用いたSP
Rセンサー装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例において使用したSP
Rセンサー装置の概要を示す。し、その試料部の拡大図
を図2に示す。
【図2】図2は、本発明の実施例において使用したSP
Rセンサー装置の試料部の拡大図を示す。図2の上部発
明試料セル部分の概要を示したものであり、図2の下部
は試料セルを装着したときの断面図を示している。
【図3】図3は、本発明のセンサーチップの構造と作用
とを例示するために、ナトリウムイオンの測定を例にし
て本発明のシステムの概要を示す。
【図4】図4は、表1の(3)の組成の膜を用い、光源
の波長が660nmのときについて、各種のNa濃度
の試料溶液に対する応答を調べた結果を示すSPRセン
サーのチャートである。図4における横軸は反射角度
(゜)を示し、縦軸は反射率を示す。Naの濃度は、
図の右端の上からそれぞれ、10−1M、10−2M、
10−3M、10−4M、6×10−5M、3×10
−5M、10−5M、6×10−6M、10−6Mであ
り、その下は緩衝液、塩酸(HCl)溶液である。
【図5】図5は、表1の(3)の組成の膜を用い、光源
の波長が630nmのときについて、各種のNa濃度
の試料溶液に対する応答を調べた結果を示すSPRセン
サーのチャートである。図5における横軸は反射角度
(゜)を示し、縦軸は反射率を示す。Naの濃度は、
図の右端の上からそれぞれ、10−1M、10−2M、
10−3M、10−4M、6×10−5M、3×10
−5M、10−5M、6×10−6M、10−6Mであ
り、その下は緩衝液、塩酸(HCl)溶液である。
【図6】図6は、表1の(3)の組成の膜を用い、光源
の波長が660nmのときについて、各種のNa濃度
の試料溶液に対する応答を調べた結果を示すセンサーグ
ラムである。図6の横軸は時間(秒)を示し、縦軸は反
射角度(゜)を示す。Naの濃度は、図6の右から1
−1M、10−2M、10−3M、10−4M、6×
10−5M、3×10−5M、10−5M、6×10
−6M、10−6Mである。
【図7】図7は、表1の(3)の組成の膜を用い、各種
のNa濃度の試料溶液に対する反射率をlogC
Na+に対してプロットした応答曲線を示す。図7の横
軸はNaの濃度の対数値(logCNa+)であり、
縦軸は反射率を示す。図7における黒四角印(■)は波
長が660nmの場合を示し、黒丸印(●)は波長が6
30nmの場合を示す。
【図8】図8は、表1の(3)の組成の膜を用い、各種
のNa濃度の試料溶液に対する反射角度をlogC
Na+に対してプロットした応答曲線を示す。図8の横
軸はNaの濃度の対数値(logCNa+)であり、
縦軸は反射角度(゜)を示す。図8における黒四角印
(■)は波長が660nmの場合を示し、黒丸印(●)
は波長が630nmの場合を示す。
【図9】図9は、理論式に基づいてシュミュレーション
した場合の図4に対応するグラフを示す。
【図10】図10は、理論式に基づいてシュミュレーシ
ョンした場合の図5に対応するグラフを示す。
【図11】図11は、理論式に基づいてシュミュレーシ
ョンした場合の図7に対応するグラフを示す。
【図12】図12は、理論式に基づいてシュミュレーシ
ョンした場合の図8に対応するグラフを示す。
【図13】図13は、表1の組成(1)の膜を用いて、
Naに対する吸光スペクトル変化を測定した結果を示
すものである。図13の横軸は波長(nm)を示し、縦
軸は吸収を示す。図13のNaの濃度は、図の上から
それぞれ、10−1M、10−2M、10−3M、10
−4M、10−5M、10−6Mであり、その下は緩衝
液、塩酸(HCl)溶液である。
【図14】図14は、表1の組成(1)の膜を用いて、
Naに対する吸光スペクトル変化を測定した結果に基
づいて作成した応答曲線を示す。図14の横軸はNa
の濃度の対数値(logCNa+)であり、縦軸は正規
化された吸収率を示す。
【図15】図15は、表1の(3)の組成の膜における
計算された屈折率の波長依存性を示したものである。図
15の横軸は波長(nm)であり、縦軸は屈折率(Δ
n)である。図15の波長688nmの箇所の上から、
Naの濃度が、10−1Mから10−6Mに変化させ
た場合であり、その下は塩酸(HCl)溶液の場合であ
る。
【図16】図16は、色素ETH5294を含有するP
CV膜からなるセンシング層を用いた場合の吸光スペク
トル変化を測定した結果を示すものである。図16の横
軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸収を示す。図16の
Naの濃度は、図の下からそれぞれ、1M、10−1
M、10−2M、10−3M、10−4M、10
M、10−6Mであり、その上は緩衝液、塩酸(H
Cl)溶液である。
【図17】図17は、色素ETH5294を含有するP
CV膜からなるセンシング層を用いた場合の応答曲線を
示す。図17の横軸はNaの濃度の対数値(log
C)であり、縦軸は正規化された吸収率を示す。
【図18】図18は、色素ETH5294を含有する組
成(5)の膜を用いたSPRセンサーによる測定の結果
を示す。図18における横軸は、反射角度(゜)を示
し、縦軸は反射率を示す。Naの濃度は、図18の反
射角度61゜付近の下から、10−1Mから10−6
へと薄い場合を示している。
【図19】図19は、表1の(3)の膜組成をもちい
て、膜厚の異なるセンシング層によるNaに対する反
射率変化を示す。図19の横軸はNaの濃度の対数値
(logCNa+)であり、縦軸は反射率を示す。図1
9における黒四角印(■)は膜厚が1.48μmの場合
を示し、黒三角印(▲)は膜厚が1.25μmの場合を
示し、黒丸印(●)は膜厚が0.77μmの場合を示
す。
【図20】図20は、表1に示した組成(1)、組成
(2)、及び組成(4)の各色素含有量の膜についてN
に対する感度の比較を行った結果の応答曲線を示
す。図20の横軸はNaの濃度の対数値(logC
Na+)であり、縦軸は反射率を示す。図20における
黒三角印(▲)は色素濃度が1.27重量%の場合を示
し、黒丸印(●)は色素濃度が2.52重量%の場合を
示し、黒四角印(■)は色素濃度が3.74重量%の場
合を示す。
【図21】図21は、K及びBaに対するSPRシ
グナル変化を、Naの場合と同様の方法で測定した結
果に基づく各イオンの角度変化の応答曲線を示す。図2
1の横軸は各イオンの濃度の対数値(logC)であ
り、縦軸は反射角度の変化(Δ゜)を示す。図21にお
ける黒三角印(▲)はBaイオンの場合を示し、黒四
角印(■)はKイオンの場合を示し、黒菱形印(◆)
はNaイオンの場合を示す。
【図22】図22は、表1の組成(3)の膜を用いてp
H7の緩衝液と10−5M Na 溶液を6分ずつ交互
に接触させたときのセンサーグラム(Sensorgram)を示
す。
【図23】図23は、KD−M3/HEMAのpHに対
する吸光スペクトル変化を示す。図23の横軸は波長
(nm)を示し、縦軸は吸収を示す。図23の波長57
0nmの箇所における上からpH12.1、pH11.
0、pH10.0、pH8.9、及びpH2.5〜8の
場合がそれぞれ示されている。
【図24】図24は、KD−M3/HEMAのpHに対
する吸光スペクトル変化のデータから算出した屈折率変
化を示す。図24の横軸は波長(nm)を示し、縦軸は
屈折率変化(Δ゜)を示す。図24の波長620nmの
箇所における上からpH12、pH11、pH10、p
H8.9、及びpH8の場合がそれぞれ示されている。
【図25】図25は、KD−M3/HEMAを用い、6
30nmの光源でのSPRシグナル変化を測定した結果
を示す。図25の横軸は反射角度を示し、縦軸は反射率
を示す。図25の反射角度60゜付近の箇所における上
からpH12、pH11、pH10、pH9.5、pH
9、pH8、及びpH7の場合がそれぞれ示されてい
る。
【図26】図26、KD−M3/HEMAを用い、66
0nmの光源でのSPRシグナル変化を測定した結果を
示す。図25の横軸は反射角度を示し、縦軸は反射率を
示す。図25の反射角度60゜付近の箇所における上か
らpH12、pH11、pH10、pH9.5、pH
9、pH8、及びpH7の場合がそれぞれ示されてい
る。
【図27】図27は、KD−M3/HEMAを用いた場
合の共鳴角変化を示す。図27の横軸はpHを示し、縦
軸は反射角度を示す。図27における黒四角印(■)は
波長660nmの場合を示し、黒丸印(●)は波長63
0nmの場合を示す。
【図28】図28は、KD−M3/HEMAを用いた場
合の応答曲線を示す。図28の横軸はpHを示し、縦軸
は反射率を示す。図28における黒四角印(■)は波長
660nmの場合を示し、黒丸印(●)は波長630n
mの場合を示す。
【符号の説明】
1 プリズム 2 金属膜 3 センシング層 4 試料 5 入射光 6 反射光 21 LED 22 レンズ 23 プリズム 24 金チップ 25 試料セル 26 偏光板 27 CCDカメラ 28 ガラス基板 29 スペーサー 30 マッチングオイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 一嘉 神奈川県川崎市中原区井田杉山町13−22 みやこ荘202 Fターム(参考) 2G057 AA20 AB01 AC01 BA05 DC07 HA03 2G059 AA01 CC02 DD12 DD13 EE04 FF03 GG02 HH02 JJ11 JJ12 JJ19 KK04 MM01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面プラズモン共鳴センサーにおける金
    属薄膜の表面に低分子物質を補足することにより光吸収
    特性が変化する物質を含有してなるセンシング層を設け
    た表面プラズモン共鳴センサー測定用センサーチップを
    用いて、表面プラズモン共鳴センサーにより低分子物質
    を測定する方法。
  2. 【請求項2】 低分子物質を補足することにより光吸収
    特性が変化する物質がオプトードである請求項1に記載
    の測定方法。
  3. 【請求項3】 低分子物質がイオンである請求項1又は
    2に記載の測定方法。
  4. 【請求項4】 センシング層がさらにイオノフォアを含
    有してなる請求項3に記載の測定方法。
  5. 【請求項5】 センシング層が、ポリマー又は脂溶性液
    膜からなる薄膜である請求項1〜4のいずれかに記載の
    測定方法。
  6. 【請求項6】 センシング層の膜厚が、エバネッセント
    波のしみこみの深さ以上である請求項1〜5のいずれか
    に記載の測定方法。
  7. 【請求項7】 センシング層がオプトード膜である請求
    項1〜6のいずれかに記載の測定方法。
  8. 【請求項8】 光吸収に関する虚数部を測定する請求項
    1〜7のいずれかに記載の測定方法。
  9. 【請求項9】 表面プラズモン共鳴センサーにおける金
    属薄膜の表面に低分子物質を補足することにより光吸収
    特性が変化する物質を含有してなるセンシング層を設け
    たことを特徴とする表面プラズモン共鳴センサーによる
    低分子物質のセンサーチップ。
  10. 【請求項10】 低分子物質がイオンである請求項9に
    記載のセンサーチップ。
  11. 【請求項11】 センシング層がさらにイオノフォアを
    含有してなる請求項9又は10に記載のセンサーチッ
    プ。
  12. 【請求項12】 センシング層が、ポリマー(ポリ塩化
    ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポ
    リエーテル)、又は、脂溶性液膜(可塑剤としての性質
    を示すエステル体及びエーテル体)からなる薄膜である
    請求項9〜11のいずれかに記載のセンサーチップ。
  13. 【請求項13】 請求項9〜12のいずれかに記載のセ
    ンサーチップを設けてなる低分子物質の測定用の表面プ
    ラズモン共鳴センサー装置。
  14. 【請求項14】 光吸収に関する虚数部の測定を行うこ
    とができる請求項13に記載の表面プラズモン共鳴セン
    サー装置。
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