JP2002087883A - 複合摺動部材 - Google Patents

複合摺動部材

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JP2002087883A JP2000275592A JP2000275592A JP2002087883A JP 2002087883 A JP2002087883 A JP 2002087883A JP 2000275592 A JP2000275592 A JP 2000275592A JP 2000275592 A JP2000275592 A JP 2000275592A JP 2002087883 A JP2002087883 A JP 2002087883A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性と耐衝撃性を併せ有する複合摺動部
材、例えば、スライダー等のシームレス管製造ライン用
治具等として有用な複合摺動部材の提供。 【解決手段】 複合摺動部材の基材として、Siを含浸
させた炭素繊維強化炭素複合材料22を使用し、その一
部分に、靭性の高い無機材料23を配置させることによ
り上記課題を達成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、各種金属加工な
どの高度の耐摩耗性、耐衝撃性等が要求される製造ライ
ンで使用される治具、例えば、シームレス管製造ライン
で使用される受け治具、特にスライダーとして有用な複
合摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】 本発明者等は、平成11年10月21
日付出願に係る特願平11−299779号明細書にお
いて、シームレス管の延伸機による延圧工程において使
用するスライダーとして長時間使用可能な治具として、
1200℃における圧縮強度が少なくとも200MPa
で、また、動摩擦係数は0.05〜0.6と低く、か
つ、優れた耐摩耗性を有している、Siを含浸させた炭
素繊維強化炭素複合材料から製造したシームレス管製造
ライン用治具を提案し、従来材料よりも寿命が延びるこ
とを確認しているが、更なる寿命延長が望まれている。
一方、耐摩耗性と耐衝撃性とを併せ持つ複合摺動部材
が、金属加工の分野で強く熱望されているのが現状であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、耐摩耗性
と耐衝撃性を併せ有する複合摺動部材、例えば、スライ
ダー等のシームレス管製造ライン用治具等として有用な
複合摺動部材を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明者等は、上記の
様な現状に鑑みて種々検討した結果、複合摺動部材の基
材として、Siを含浸させた炭素繊維強化炭素複合材料
を使用し、その一部分に、靭性の高い材料を配置させる
ことにより、Siを含浸させた炭素繊維強化炭素複合材
料のみから製造したシームレス管製造ライン用治具と比
較して、偏在的に摩耗することが防止できることを見出
して、本発明を完成させたものである。すなわち、動摩
擦係数は0.05〜0.6と低く、かつ、優れた耐摩耗
性を有している、Siを含浸させた炭素繊維強化炭素複
合材料を基材として使用し、一部に靭性の高い無機材料
からなる材料を使用した複合摺動部材とすることによ
り、例えば、シームレス管製造ライン用治具として長時
間使用しても、部分的な摩耗の発生もなく、安定的に長
期間使用可能であることを見出して本発明を完成させた
ものである。
【0005】
【発明の実施の形態】 本発明においては、複合摺動部
材、例えば、シームレス管製造ライン用治具として、そ
の基材として、特定構造を有する炭素繊維にSiを含浸
させて得られた複合材料を使用し、一部に靭性の高い無
機材料からなる材料を使用することからなるものであ
る。基材として使用する上記の複合材料は、炭素繊維と
Siおよび/またはSiCとからなる複合材料であるの
で、圧縮強度において優れており、また、SiおよびS
iC層、あるいはSiC層が表面に形成されているの
で、耐摩耗性も高いという特性を有するものである。ま
た、動摩擦係数も低く、摺動性に優れているので、摺動
材として使用しても、他の材料、即ち、被摺動材料との
付着が起こりにくいという特徴を有する。
【0006】 本発明において複合摺動部材の基材とし
て使用する特定構造を有する炭素繊維にSiを含浸させ
て得られた複合材料としては、C/Cコンポジットを基
本骨格とし、その基本骨格を取り巻く状態で、Si−S
iC系材料からなるマトリックスが形成されているSi
−SiC系複合材料、およびSiC系材料からなるマト
リックスが形成されているSiC系複合材料が挙げられ
る。なお、両複合材料共に、1200℃における圧縮強
度は少なくとも200MPaであり、また、動摩擦係数
は、0.05〜0.6と低く、かつ、優れた耐摩耗性を
有している。従って、摺動部材として好適に使用でき
る。
【0007】 なお、本明細書において、C/Cコンポ
ジットとは、炭素繊維の束のマトリックスとして作用す
る粉末状のバインダーであって、焼成後には炭素繊維の
束に対して遊離炭素となるピッチ、コークス類を包含さ
せ、さらに必要に応じてフェノール樹脂粉末等を含有さ
せることによって、炭素繊維束を調製し、この炭素繊維
束の周囲に、熱可塑性樹脂等のプラスチックからなる柔
軟な被膜を形成し、柔軟性中間材としてのプリフォーム
ドヤーンを得る。このプリフォームドヤーンを、特開平
2−80639号公報に記載されている方法によりシー
ト状または織布状にし、必要量を積層した後、ホットプ
レスで成形し得られた成形体、または、この成形体を焼
成して得られる焼成体をいう。
【0008】 基本素材として使用するC/Cコンポジ
ットとしては、直径が10μm前後の炭素繊維を、通
常、数百本〜数万本束ねて繊維束(ヤーン)を形成し、
この繊維束を熱可塑性樹脂で被覆して調製した柔軟性糸
状中間材を得、これを特開平2−80639号公報に記
載されている方法によりシート状にし、このシート状と
したものを二次元または三次元方向に配列して一方向シ
ート(UDシート)や各種クロスとしたり、また上記シ
ートやクロスを積層したりすることにより、所定形状の
予備成形体(繊維プリフォーム)を形成し、該予備成形
体の繊維束の外周に形成されている有機物からなる熱可
塑性樹脂等の被膜を焼成し、上記の同被膜を炭化除去し
たものを使用すればよい。なお、本明細書に於いて、参
考のために特開平2−80639号公報の記載を引用す
る。本発明に於いて使用するC/Cコンポジットは、上
記ヤーン中の炭素繊維以外の炭素成分は、好ましくは炭
素粉末であり、特に好ましくは黒鉛化した炭素粉末であ
る。
【0009】 本発明において、Si−SiC系複合材
料とは、55重量%〜75重量%の炭素と、1重量%〜
10重量%の珪素と、10重量%〜50重量%の炭化珪
素とから構成され、少なくとも炭素繊維の束と炭素繊維
以外の炭素成分とを含有するヤーンが層方向に配向しつ
つ三次元的に組み合わされ、互いに分離しないように一
体化されているヤーン集合体と、このヤーン集合体中で
隣り合う前記ヤーンの間に充填されているSi−SiC
系材料からなるマトリックスとを備え、0.05〜0.
6の動摩擦係数と、0.5%〜10%に制御された気孔
率とを有する複合材料をいう。この材料は、平成10年
9月4日付の国際特許出願(PCT/JP98/045
23)に係る国際公開WO99/19273号公報に開
示された方法により製造することができる。従って、国
際公開WO99/19273号公報の内容をここに引用
する。
【0010】 なお、ここで、Si−SiC系材料と
は、未反応の状態で残存する珪素からなる珪素相からほ
ぼ純粋な炭化珪素に至るまでの、いくつかの相異なる相
を含む、典型的には珪素相と炭化珪素相からなるが、炭
化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的に変化しているS
iC共存相を含みうるものをいう。従って、Si−Si
C系材料とは、このようにSi−SiC系列において、
炭素の濃度として、0mol%から50mol%までの
範囲以内で含まれている材料の総称である。本発明に係
るSi−SiC系複合材料においては、マトリックス部
がSi−SiC系材料により形成されていることとな
る。
【0011】 また、このSi−SiC系複合材料は、
好ましくは、ヤーンの表面から離れるのに従って珪素の
含有比率が上昇する傾斜組成を有するマトリックスを有
している。また、このSi−SiC系複合材料において
は、好ましくは、炭素繊維からなるヤーン集合体は、複
数のヤーン配列体から構成されており、各ヤーン配列体
はそれぞれ特定本数の炭素繊維を束ねて構成したヤーン
をほぼ平行に二次元的に配列することによって形成され
ており、各ヤーン配列体が積層されることによってヤー
ン集合体が構成されている。これによって、Si−Si
C系複合材料は、複数層のヤーン配列体を特定方向に積
層した積層構造を有することになる。
【0012】 図1は、ヤーン集合体の概念を説明する
ための概略斜視図であり、図2(a)は図1のIIa−
IIa線断面図であり、図2(b)は図1のIIb−I
Ib線断面図である。Si−SiC系複合材料7の骨格
は、ヤーン集合体6によって構成されている。ヤーン集
合体6は、ヤーン配列体1A、1B、1C、1D、1
E、1Fを上下方向に積層してなる。各ヤーン配列体に
おいては、各ヤーン3が二次元的に配列されており、各
ヤーンの長手方向がほぼ平行である。上下方向に隣り合
う各ヤーン配列体における各ヤーンの長手方向は、直交
している。すなわち、各ヤーン配列体1A、1C、1E
の各ヤーン2Aの長手方向は、互いに平行であり、かつ
各ヤーン配列体1B、1D、1Fの各ヤーン2Bの長手
方向に対して直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、
炭素繊維以外の炭素成分とからなる繊維束3からなる。
ヤーン配列体が積層されることによって、三次元格子形
状のヤーン集合体6が構成される。各ヤーンは、後述す
るような加圧成形工程の間に押しつぶされ、略楕円形に
なっている。
【0013】 各ヤーン配列体1A、1C、1Eにおい
ては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリックス8A
が充填されており、各マトリックス8Aはヤーン2Aの
表面に沿ってそれと平行に延びている。各ヤーン配列体
1B、1D、1Fにおいては、隣り合う各ヤーンの間隙
には、マトリックス8Bが充填されており、各マトリッ
クス8Bは、ヤーン2Bの表面に沿ってそれと平行に延
びている。本例では、マトリックス8A、8Bは、それ
ぞれ、各ヤーンの表面を被覆する炭化珪素相4A、4B
と、炭化珪素相4A、4Bよりも炭素の含有割合が少な
いSi−SiC系材料相5A、5Bからなっている。炭
化珪素相中にも珪素を一部含有していてもよい。また、
本例では、上下方向に隣接するヤーン2Aと2Bとの間
にも、炭化珪素相4A、4Bが生成している。各マトリ
ックス8Aと8Bとは、それぞれヤーンの表面に沿って
細長く、好ましくは直線状に延びており、各マトリック
ス8Aと8Bとは互いに直交している。そして、ヤーン
配列体1A、1C、1Eにおけるマトリックス8Aと、
これに直交するヤーン配列体1B、1D、1Fにおける
マトリックス8Bとは、それぞれヤーン2Aと2Bとの
間隙部分で連続している。この結果、マトリックス8
A、8Bは、全体として、三次元格子を形成している。
【0014】 本発明において、SiC系複合材料と
は、炭化珪素と炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分とか
ら構成され、骨格部と骨格部の周囲に形成されマトリッ
クスとからなる構造を有するSi−SiC/Cコンポジ
ット複合材料であって、炭化珪素の少なくとも50%は
β型で、骨格部は、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分
により形成されており、その骨格部の一部分には炭化珪
素が存在していてもよく、マトリックスは、炭化珪素に
より形成され、前記マトリックスと前記骨格部とは一体
的に形成されており、かつ、前記複合材料は0.5%〜
5%の気孔率と二山型の平均気孔径の分布を有する複合
材料をいう。
【0015】 従って、このSiC系複合材料は、骨格
部として、各炭素繊維が炭素繊維束から構成されている
C/Cコンポジットを用いており、そのため、その一部
にSiCが形成されていても、各炭素繊維としては炭素
繊維としての構造が、破壊されることなく保持されてい
るために炭素繊維が炭化珪素化により短繊維化すること
がないので、原料であるC/Cコンポジットの有する機
械的強度がほぼ保持されるか、炭化珪素化により増大す
るという大きな特徴を有している。しかも、ヤーン集合
体中で隣り合うヤーンの間に、SiC系材料からなるマ
トリックスが形成された複合構造を有している。この点
で、上記のSi−SiC系複合材料とは異なる。なお、
この材料は、平成11年2月9日付の出願に係る特願平
11−31979号明細書に開示された方法により製造
することができる。従って、特願平11−31979号
明細書の内容をここに引用する。同明細書に開示されて
いる材料も、動摩擦係数は0.05〜0.6の範囲内に
ある。
【0016】 本発明において、SiC系材料とは、炭
素との結合度を異にする炭化珪素を含有する材料をい
い、このSiC系材料は以下のようにして製造されるも
のをいう。本発明では、C/Cコンポジットに対して、
金属珪素を含浸させるが、その際、金属珪素はコンポジ
ット内の炭素繊維を構成する炭素原子および/または炭
素繊維の表面に残存している遊離炭素原子と反応し、一
部が炭化されるために、C/Cコンポジットの最表面や
炭素繊維からなるヤーンとヤーンとの間には、一部炭化
された珪素が生成し、かくして上記のヤーンとヤーンと
の間には炭化珪素からなるマトリックスが形成される。
【0017】 このマトリックスにおいては、極微量の
珪素と炭素とが結合した炭化珪素質の相から、純粋な炭
化珪素結晶相に至るまで、いくつかの相異なる相を含み
うる。しかし、このマトリックスには、X線による検出
限界(0.3重量%)以下の金属珪素しか含まれない。
つまり、このマトリックスは、典型的には炭化珪素相か
らなるが、炭化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的に変
化しているSiC質相を含みうる。従って、SiC系材
料とは、このようなSiC系列において、炭素の濃度と
して、少なくとも0.01mol%以上から50mol
%までの範囲以内で含まれている材料の総称である。な
お、炭素濃度が、0.01mol%未満に制御するに
は、C/Cコンポジット中の遊離炭素の量との関係で、
添加する金属珪素の量の厳密な計量が要求されること
と、後述する最終工程での温度管理が複雑になるので実
質的でない。従って、理論的には、炭素濃度を0.00
1mol%程度まで制御することは可能である。
【0018】 このSi系複合材料について、図面を使
用してさらに説明することとする。このSiC系複合材
料の骨格部も、基本的には図1に示したものと同じであ
る。本発明に係るSiC系複合材料を、図1においての
IIa−IIa線で切断した場合の断面図は、図3
(a)、同じく図1においてのIIb−IIb線で切断
した場合の断面図は、図3(b)として示す。SiC系
複合材料17の骨格は、Si−SiC系複合材料7の骨
格と同様に、ヤーン集合体16によって構成されてい
る。ヤーン集合体16は、ヤーン配列体11A、11
B、11C、11D、11E、11Fを上下方向に積層
してなる。各ヤーン配列体においては、各ヤーン13が
二次元的に配列されており、各ヤーンの長手方向がほぼ
平行である。上下方向に隣り合う各ヤーン配列体におけ
る各ヤーンの長手方向は、直交している。すなわち、各
ヤーン配列体11A、11C、11Eの各ヤーン12A
の長手方向は、互いに平行であり、かつ各ヤーン配列体
11B、11D、11Fの各ヤーン12Bの長手方向に
対して直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、炭素繊
維以外の炭素成分とからなる繊維束13からなる。ヤー
ン配列体が積層されることによって、三次元格子形状の
ヤーン集合体16が構成される。各ヤーンは、後述する
ような加圧成形工程の間に押しつぶされ、やや楕円形に
なっている。
【0019】 各ヤーン配列体11A、11C、11E
においては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリック
ス18Aが充填されており、各マトリックス18Aはヤ
ーン12Aの表面に沿ってそれと平行に延びている。各
ヤーン配列体11B、11D、11Fにおいては、隣り
合う各ヤーンの間隙には、マトリックス18Bが充填さ
れており、各マトリックス18Bは、ヤーン12Bの表
面に沿ってそれと平行に延びている。図3(a)および
図3(b)に示したように、マトリックス18A、18
Bは、それぞれ、各ヤーンの表面を被覆する炭化珪素相
14からなっている。炭化珪素相の一部は、小突起部1
9として表面に突出するか、あるいは、複合部材の内部
においては、炭素繊維層に突出していてもよい。この様
な小突起部の内部には、中央値が約100μmの孔径を
有する気孔(空隙:15)が形成されている。なお、こ
の小突起部19は、殆どが原料のC/Cコンポジットの
炭素繊維以外の炭素成分からなるマトリックスの跡に沿
って形成されるので、ヤーンとヤーンとの間隔および/
またはヤーン配列体とヤーン配列体との間隔を適宜選択
することにより、単位面積当たりの小突起部19の密度
を調整することが可能である。隣接するヤーン12Aと
12Bとの間にも、炭化珪素相14が形成されていても
よい。
【0020】 各マトリックス18Aと18Bとは、そ
れぞれヤーンの表面に沿って細長く、好ましくは直線状
に延びており、各マトリックス18Aと18Bとは互い
に直交している。そして、ヤーン配列体11A、11
C、11Eにおけるマトリックス18Aと、これに直交
するヤーン配列体11B、11D、11Fにおけるマト
リックス18Bとは、それぞれヤーン12Aと12Bと
の間隙部分で連続している。この結果、マトリックス1
8A、18Bは、全体として、三次元格子を形成してい
る。
【0021】 本発明に係る複合摺動部材の材料として
使用する靭性の高い無機材料としては、炭化珪素、窒化
珪素、部分安定化ジルコニアなどの耐摩耗性に優れた材
料が好適に使用される。とくに、部分安定化ジルコニア
が靭性が高いので、衝撃が偏在して部分的に加わる条件
下で使用される複合摺動部材の補強材料として、好適で
ある。靭性の高い無機材料と基材としてのSiを含浸さ
せた炭素繊維強化炭素複合材料、即ち、C/Cコンポジ
ットを基本骨格とし、その基本骨格を取り巻く状態で、
Si−SiC系材料からなるマトリックスが形成されて
いるSi−SiC系複合材料またはSiC系材料からな
るマトリックスが形成されているSiC系複合材料との
複合化方法には特に制限が無く、例えば、予め、靭性の
高い無機材料を埋め込むための凹み部をC/Cコンポジ
ットからなる材料に形成させていてもよく、Siを含浸
させた炭素繊維強化炭素複合材料を加工して、靭性の高
い無機材料を埋め込むための凹み部を設けてもよい。勿
論、複合化できる方法であれば、埋め込み以外のいかな
る方法も採用可能であることは勿論である。
【0022】 靭性の高い無機材料と基材との複合化方
法としては、基材として使用するSiを含浸させた炭素
繊維強化炭素複合材料の偏在的な摩耗を防止できるよう
に構成できる方法であれば、特に制限はなく、いかなる
方法も使用可能である。通常は、図4に示したように、
一定の間隔で、耐摩耗性に優れた材料を使用して複合化
すればよい。靭性の高い無機材料の使用割合には特に制
限はないが、通常は、作業性などを考慮して、摺動面の
表面積の5%〜35%、好ましくは、10%〜20%を
占めるように配設すればよい。なお、靭性の高い無機材
料は、複合摺動部材に均等に分散して設けられているこ
とが好ましいがこれに限定されるものではない。
【0023】 靭性の高い無機材料の表面は、理想的に
は、基材の表面と実質的に同一高さとなることが好まし
いが、摺動性能に影響がない範囲内であれば、若干基材
表面より突き出ていてもよい。ただし、その程度は、被
摺動部材、即ち、本発明に係る複合摺動部材を使用し
て、その表面上を摺動しながら移動する材料、例えば、
シームレス管用のスライダー上を摺動しながら移動する
シームレス管等において要求される加工精度等を考慮し
て、定めればよい。
【0024】 本発明に係る複合摺動部材について、シ
ームレス管用のスライダーを例にして、さらに本発明を
説明することとする。シームレス管用のスライダーとし
て本発明に係る複合摺動部材を製造するに当たっては、
通常は樋型形状とすればよく、また靭性の高い無機材料
を図4(a)および(b)に示すように所定の個所に配
置してスライダー部分を作成し、このものを受け台21
の上にのせて製造する。図4(b)には、靭性の高い無
機材料23を、長手方向に対して、中心線を挟んで、双
方に等間隔で平行となるような位置に設けた例を示して
いる。勿論、スライダーとしての効果が発揮される限
り、どの様な位置に設けてもよい。
【0025】
【実施例】 以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明
するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるも
のではない。なお、圧縮強度、動摩擦係数、および摩耗
量の測定は、以下の条件により行った。
【0026】 (圧縮強さの評価方法)テストピース
(30mm×30mm×30mm)に圧縮荷重を加え、
下記の式により算出した。 圧縮強さ=P/A (式中、Pは最大荷重時の荷重、Aはテストピースの最
小断面積を表す。)
【0027】 (動摩擦係数の評価方法)テストピース
をジグにセットして100rpmで10分間回転させ、
相手材(SUJ、10mm球)を2kgの荷重Fp
(N)にてテストピースに押し付け、その際の摩擦力F
s(N)を測定した。動摩擦係数の値は下式により算出
した。 摩擦係数μ=Fs/Fp
【0028】 (磨耗量の評価方法)テストピースをジ
グにセットして100rpmで10分間回転させ、相手
材(SUJ、10mm球)を2kgの荷重Pでテストピ
ースに押し付け、試験前の重量Wa(mg)と試験後の
重量Wb(mg)を測定した。テストピースの密度ρ
(g/cm3)より、磨耗量V(mm3)を下式により算
出した。 V=(Wa−Wb)/ρ
【0029】 以下に、本発明に係るシームレス管製造
ライン用治具のスライダーの製造例を挙げて説明する
が、本発明はこの製造例により何ら限定されるものでは
ない。
【0030】 (スライダーの製造例)炭素繊維を一方
向に引き揃えたものにフェノール樹脂を含浸させ、直径
10μmの炭素長繊維を約1万本束ね、繊維束(ヤー
ン)を得、このヤーンを簾状にしたヤーン配列体(プレ
プリグシート)を作り、これを図1のように配列し、プ
リプレグシート積層体を得た。かくして得たプリプレグ
シート積層体を直径が25mmの円柱状の型に巻き付
け、この上から炭素系接着剤を塗布し、ヤーン同士を固
着した。固着後、型から固着体を離型し、離型した円筒
状のプリプレグシート積層体をオーブン中に入れ、含浸
させたフェノール樹脂を180℃、常圧で硬化させた
後、窒素雰囲気中で2000℃で焼成した。得られた焼
成体に、純度99.9%、平均粒径1mmのSi粉末を
添加し、このものを炉内温度1300℃、炉内圧1hP
aの焼成炉内に入れ、炉内に毎分アルゴンガスを20N
Lの割合で流しながら、4時間保持した。次いで、炉内
圧はそのままとし、炉内温度を1600℃に昇温させ
て、Siを含浸させた。かくして、Si、Si−C、炭
素繊維からなるSi−SiC系複合材料を得た。このも
のを切断、加工して、半径が約188mmで、厚み約2
0mm、長さが400mmの半円筒形状の摺動部材22
(スライダー)を製造した。
【0031】 この摺動部材22に、靭性の高い無機材
料23を埋め込むために、幅20mm、長さ200m
m、深さ15mmの大きさの凹み部を長手方向に対し
て、中心線を挟んで、双方に等間隔で平行に設け、この
凹み部に靭性の高い無機材料23として、所定の大きさ
を有する部分安定化ジルコニアからなる部材を埋め込ん
だ。図4(b)に示すように、受け台21の上に、かく
して調製した本発明に係る摺動部材を配置させて、目的
とするシームレス管製造ライン用治具としてのスライダ
ーを製造した。このものを通常のシームレス管製造ライ
ンと同様の条件下で試用したところ、10000本製造
後でも、特に偏在的に摩耗が発生することもなく、継続
して使用できた。一方、Si、Si−C、炭素繊維から
なるSi−SiC系複合材料から製造したスライダーで
は、6000本を超えたところで、摩耗が、摺動部材底
部に偏在して発生したため、それ以降は使用出来なくな
った。
【0032】
【発明の効果】 本発明に係る複合摺動部材は、例え
ば、スライダーとして使用した場合でも、圧縮強度も強
く、摩耗が偏在して発生することもなく、摺動部材とし
て好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシームレス管製造ライン用治具に使
用する複合材料の基本構造をなすヤーン集合体の構造を
模式的に示す斜視図である。
【図2】 (a)は、Si−SiC系複合材料を図1の
IIa−IIa線で切断した場合の断面図であり、
(b)は、同材料を図1のIIb−IIb線で切断した
場合の断面図である。
【図3】 (a)は、SiC系複合材料を図1のIIa
−IIa線で切断した場合の断面図であり、(b)は、
同材料を図1のIIb−IIb線で切断した場合の断面
図である。
【図4】 (a)は、本発明に係る複合摺動部材の一態
様であるスライダーの構成を模式的に示す部分断面図で
あり、(b)は、スライダーを構成する底部に設けられ
た補強材料の靭性の高い無機材料の配置状態を示す部分
平面図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D、1Eおよび1F…ヤーン配列
体、2A…ヤーン、2B…ヤーン、3…繊維束(ヤー
ン)、4A…炭化珪素相、4B…炭化珪素相、4C…炭
化珪素相、5A…Si−SiC系材料相、5B…Si−
SiC系材料相、5C…Si−SiC系材料相、6…ヤ
ーン集合体、7…繊維複合材料、8A…マトリックス、
8B…マトリックス、11A、11B、11C、11
D、11Eおよび11F…ヤーン配列体、12A…ヤー
ン、12B…ヤーン、13…繊維束(ヤーン)、14…
炭化珪素相、15…空隙、16…ヤーン集合体、17…
繊維複合材料、18A…マトリックス、18B…マトリ
ックス、19…小突起部、21…スライダーの受け台、
22…スライダー、23…スライダーの基材の一部に配
設された靭性の高い無機材料。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材としてのSiを含浸させた炭素繊維
    強化炭素複合材料と靭性の高い無機材料とからなる複合
    摺動部材。
  2. 【請求項2】 該Siを含浸させた炭素繊維強化炭素複
    合材料が、55重量%〜75重量%の炭素と、1重量%
    〜10重量%の珪素と、10重量%〜50重量%の炭化
    珪素とから構成され、少なくとも炭素繊維の束と炭素繊
    維以外の炭素成分とを含有するヤーンが層方向に配向し
    つつ三次元的に組み合わされ、互いに分離しないように
    一体化されているヤーン集合体と、このヤーン集合体中
    で隣り合う前記ヤーンの間に充填されているSi−Si
    C系材料からなるマトリックスとを備え、0.05〜
    0.6の動摩擦係数と、0.5%〜10%に制御された
    気孔率とを有する複合材料、または炭化珪素と炭素繊維
    と炭素繊維以外の炭素成分とから構成され、骨格部と骨
    格部の周囲に形成されマトリックスとからなる構造を有
    するSi−SiC/Cコンポジット複合材料であって、
    炭化珪素の少なくとも50%はβ型で、骨格部は、炭素
    繊維と炭素繊維以外の炭素成分により形成されており、
    その骨格部の一部分には炭化珪素が存在していてもよ
    く、マトリックスは、炭化珪素により形成され、前記マ
    トリックスと前記骨格部とは一体的に形成されており、
    かつ、前記複合材料は、0.05〜0.6の動摩擦係数
    と、0.5%〜5%の気孔率と二山型の平均気孔径の分
    布を有する複合材料である請求項1に記載の複合摺動部
    材。
  3. 【請求項3】 該靭性の高い無機材料が炭化珪素または
    部分安定化ジルコニアである請求項1または2に記載の
    複合摺動部材。
  4. 【請求項4】 該複合摺動部材がシームレス管製造ライ
    ン用スライダーである請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の複合摺動部材。
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