JP2002060631A - 樹脂系複合材料、樹脂系複合材料の製造方法及び樹脂系複合材料を用いた軸受装置 - Google Patents

樹脂系複合材料、樹脂系複合材料の製造方法及び樹脂系複合材料を用いた軸受装置

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JP2002060631A
JP2002060631A JP2000246347A JP2000246347A JP2002060631A JP 2002060631 A JP2002060631 A JP 2002060631A JP 2000246347 A JP2000246347 A JP 2000246347A JP 2000246347 A JP2000246347 A JP 2000246347A JP 2002060631 A JP2002060631 A JP 2002060631A
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JP2000246347A
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Atsushi Kimoto
淳志 木本
Toronron Tan
トロンロン タン
Satoshi Nanba
聡 南波
Shuetsu Uno
修悦 宇野
Masatoshi Ando
雅敏 安藤
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Toshiba Corp
Toshiba Industrial Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Industrial Technology Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充填材相互の直接接触を防ぐとともに、該樹
脂を介して充填材と樹脂マトリックスとを強固に密着さ
せて複合材料としての本来の特性を発揮できるようにし
た複合材料、その製造方法及び複合材料を用いた軸受装
置を提供すること。 【解決手段】 樹脂マトリックス中に強化成分として充
填材が分散されてなる樹脂系複合材料であって、充填材
の表面が樹脂マトリックスとは異なる樹脂で被覆されて
いる樹脂系複合材料及び樹脂系複合材料の厚さtに対す
る表面が樹脂で被覆された前記充填材料の長さlの比l
/tが1/1未満である軸受装置、充填材が樹脂被覆さ
れているので導電繊維を充填材として用いても電気絶縁
性が損なわれることがない。充填材を被覆する樹脂を選
択することにより充填材との親和性が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂系複合材料、
樹脂系複合材料の製造方法及び樹脂系複合材料を用いた
高荷重下での安定した潤滑特性の得られる軸受装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、工業技術の発展に伴って、単体材
料では実現が困難な複数の機能を兼備した材料、例え
ば、特性の異なる2種の材料を複合化した材料に対する
要求が高まっている。このような2種の材料を複合化す
る手法としては、ブレンド法が知られている。
【0003】複合材料に対する要求特性はより複雑化し
ており、例えば耐熱性に優れたポリエーテルエーテルケ
トンや耐熱性にも耐摩耗性にも優れたポリテトラフルオ
ロエチレン(四フッ化エチレン樹脂)からなる樹脂系材
料と機械的強度の優れた炭素繊維からなる強化材料とを
複合化するようなことも求められている。
【0004】しかしながら、このような組合わせの樹脂
系複合材料では、炭素繊維が導電性であるため、樹脂系
材料が有する絶縁特性が損なわれてしまうという問題が
あった。特に、軸受装置において、回転軸の周りに放射
状に配置されて、回転軸に取付られたスラストカラーの
下端面に配設された回転板を摺動可能に支持する複数の
静止板をこのような複合材料で構成するような場合に
は、静止板のすべり面が持つべき電気絶縁性が損なわれ
てしまう恐れがある。
【0005】さらに、炭素繊維に限らず、繊維状や粒子
状の充填材を樹脂マトリックス中に分散させて複合材料
とする場合には、必要な特性が得られるような樹脂と充
填材との組合わせが選択されるが、充填材の種類によっ
てはマトリックス樹脂との親和性に乏しいため、所望の
特性が発揮できないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、樹脂マ
トリックス中に充填材を分散させて得られる複合材料で
は、導電性の充填材を用いた場合には、樹脂系材料が有
する絶縁特性が損なわれてしまうという問題があり、特
に、回転軸の周りに放射状に配置されて、回転軸に取付
られたスラストカラーの下端面に配設された回転板を摺
動可能に支持する静止板にあっては、静止板のすべり面
が持つべき電気絶縁特性が損なわれてしまうという問題
があった。
【0007】また、使用する充填材によってはマトリッ
クス樹脂との親和性に乏しいため、所望の特性が得られ
ないという問題があった。
【0008】本発明は、かかる従来の問題を解決すべく
なされたもので、充填材の表面を予め樹脂マトリックス
とは異なる樹脂で被覆しておくことにより、充填材相互
の直接接触を防ぐとともに、該樹脂を介して充填材と樹
脂マトリックスとを強固に密着させて複合材料としての
所望の特性を発揮できるようにした複合材料、その製造
方法及び複合材料を用いた軸受装置を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の複合材料は、樹
脂マトリックス中に強化成分として充填材が分散されて
なる樹脂系複合材料であって、前記充填材の表面は前記
樹脂マトリックスとは異なる樹脂で被覆されていること
を特徴とする。
【0010】本発明に使用される樹脂マトリックスとし
ては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイ
ミド、ポリエーテルエーテルケトン、四フッ化エチレン
樹脂、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチ
レン樹脂、ポリフェニレンサルファイドのような耐熱性
に優れた熱可塑性樹脂が適している。また、硬化剤を配
合したエポキシ樹脂や液状シリコーン樹脂のように常温
又は加温下で硬化する液状樹脂も使用可能である。
【0011】本発明に使用される樹脂被覆が施される充
填材としては、ガラス、アルミナ、シリカ、ジルコニ
ア、ベリリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ボロン、
炭化チタン、炭素、グラファイトのような無機系材料及
び二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ボロン
のような固体潤滑材料から選ばれた少なくとも1種の繊
維状若しくは粒子状の充填材が例示される。繊維状若し
くは粒子状の充填材は、併用してもよい。
【0012】いずれの充填材も、平均直径が0.05μ
m〜100μmの範囲で複合材料の要求特性に応じて適
宜に設定されるものである。充填材の平均直径が0.0
5μm未満では、製造過程での歩留が低下し、材料コス
トが高くなる。また、平均直径が100μmを超えると
充填材の有効な分散状態が得られず、複合材料の材料特
性を十分に確保できない恐れがある。平均直径のより好
ましい範囲は0.1μm〜50μmであり、さらに好ま
しくは1μm〜10μmの範囲である。
【0013】また、繊維状の充填材は、アスペクト比が
1以上であり、特に、アスペクト比が3〜50で、繊維
長が3μm〜500μm程度のものが適している。
【0014】これらの充填材の樹脂マトリックスにおけ
る含有率は、1〜90体積%の範囲であり、複合材料の
要求特性に応じて適宜設定される。充填材の含有率が1
体積%未満では、充填材の効果を十分に得ることができ
ず、また90体積%を超えて充填材を含有させても、そ
れ以上の効果が期待できないうえに、複合材料自体の作
製が困難となるため好ましくない。充填材含有率のより
好ましい範囲は3〜50体積%であり、より好ましくは
5〜30体積%の範囲である。
【0015】本発明に用いられる充填材の表面を被覆す
る樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイ
ロン、エポキシ樹脂、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化
エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂、ポリ
エーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の電
気絶縁性に優れた熱可塑性樹脂が適しており、使用する
充填材と親和性の良好な樹脂が選択使用される。なお、
目的によっては硬化性の樹脂を用いることも可能であ
る。
【0016】充填材の表面を上記樹脂で被覆する方法と
しては、樹脂を溶剤に溶解させた溶液に充填材を添加し
て表面に樹脂溶液を付着させた後、溶剤を揮散させる方
法が最も一般的であるが、場合によっては溶融樹脂や硬
化性の樹脂を直接充填材に付着させる方法をとることも
可能である。
【0017】充填材を被覆する樹脂の膜厚は5μm以上
であることが望ましく、特に、10〜100μm程度で
あることが望ましく、厚さは充填材の直径よりも薄いこ
とが望ましい。また、樹脂は充填材の外周全体を覆って
いることが望ましいが一部だけ被覆していただけでも有
効である。さらに、樹脂は充填材の外周を膜状に被覆し
ていることが望ましいが、充填材の外周縁部に密に付着
している状態であってもよい。
【0018】本発明においては、かかる樹脂で被覆され
第1の充填材とともに、樹脂で被覆されていない第2の
充填材を1種又は2種以上併用することが可能である。
【0019】このような樹脂で被覆されていない第2の
充填材としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
エーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、四フッ
化エチレン、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂系材
料から選ばれた少なくとも1種の繊維状若しくは粒子状
の充填材が例示される。繊維状若しくは粒子状の充填材
は、併用してもよい。
【0020】樹脂で被覆されていない第2の充填材とし
ては、粒子状、繊維状の充填材が使用され、いずれも、
平均直径が0.05μm〜100μmの範囲で複合材料
の要求特性に応じて適宜に選択されるものである。第2
の充填材は、平均直径が0.05μm未満では、製造過
程での歩留が低下し、材料コストが高くなる。また、平
均直径が100μmを超えると充填材の有効な分散状態
が得られず、複合材料の材料特性を十分に確保できない
恐れがある。平均直径のより好ましい範囲は0.1μm
〜50μmであり、さらに好ましくは1μm〜10μm
の範囲である。
【0021】また、繊維状の第2の充填材は、アスペク
ト比が1以上であり、特に、アスペクト比が3〜50
で、繊維長が3μm〜500μm程度のものが適してい
る。
【0022】第2の充填材の平均直径が0.05μm未
満では、製造過程での歩留が低下し、材料コストが高く
なる。また、平均直径100μmを超えると充填材の有
効な分散状態が得られず、複合材料の材料特性を十分に
確保できない恐れがある。平均直径のより好ましい範囲
は0.1μm〜50μmであり、さらに好ましくは1μ
m〜10μmの範囲である。
【0023】第2の充填材の含有率は、1〜90体積%
の範囲で、複合材料の要求特性に応じて適宜に設定され
るものである。含有率1体積%未満では、充填材の効果
を十分に得ることができず、また90体積%を超えて充
填材を含有させても、それ以上の効果が期待できないと
ともに、複合材料自体の作製が困難となる。充填材含有
率のより好ましい範囲は3〜50体積%であり、さらに
好ましくは5〜30体積%の範囲が好ましい。
【0024】なお、第1の充填材と第2の充填材の総含
有率は、1〜90体積%の範囲であり、この内、第2の
充填材の含有率は、第1の充填材の100体積%あた
り、10〜1000体積%、好ましくは50〜200体
積%の範囲である。
【0025】本発明の複合材料は、樹脂マトリックスと
なる樹脂粉末と、表面が樹脂マトリックスとは異なる樹
脂で被覆された第1の充填材と、さらに必要に応じて前
述した第2の充填材とを混合して、得られた混合物を加
圧加熱して所定の形状に成形することにより得ることが
できる。
【0026】また、本発明の複合材料は、第1の充填材
と、必要に応じて第2の充填材とを混合し、加圧加熱し
て無数の連通孔を有する多孔質体を成形し、この多孔質
体に、前記充填材を被覆した樹脂とは異なる樹脂からな
る液状のマトリックス樹脂を含浸し硬化することによっ
ても得られる。なお、第1の充填材と、必要に応じて第
2の充填材とを混合する際に、ポリウレタンのように加
熱により分解して気化する物質からなる粒子状若しくは
繊維状の充填材を配合して加圧加熱して、多孔質体に無
数の連通孔を形成することにより液状の樹脂マトリック
スの含浸を容易にすることができる。液状のマトリック
ス樹脂としては、分解温度以下の温度で加熱して低粘度
とした熱可塑性樹脂や硬化性の液状樹脂が使用される。
【0027】いずれの樹脂系複合材料の製造方法におい
ても、樹脂を高温で加熱する必要がある場合には、樹脂
の劣化を防ぐため不活性ガス雰囲気中で加熱するように
してもよい。
【0028】本発明の軸受装置は、回転軸の周りに放射
状に配置され、前記回転軸に取付られたスラストカラー
の下端面に配設された回転板を摺動可能に支持する静止
板を具備する軸受装置であって、前記静止板のすべり面
が、請求項1又は2記載の樹脂系複合材料で構成され、
前記樹脂系複合材料の厚さtに対する表面が樹脂で被覆
された前記充填材料の長さlの比l/tが1/1未満で
あることを特徴とする。より好ましいl/tの値は1/
10以下である。
【0029】樹脂で被覆された前記充填材料の長さlの
比l/tを1/1未満とすることにより、充填材が樹脂
マトリックスを貫通することがなくなり、軸受装置の対
地電気絶縁性が確保される。
【0030】
【発明の実施形態】以下、本発明の一実施形態について
説明する。
【0031】図1は、本発明の樹脂系複合材料の一実施
形態の構成を模式的に示す断面図である。
【0032】同図において、本発明の樹脂系複合材料の
樹脂マトリックス1中には、樹脂マトリックス1とは異
なる種類の樹脂2で被覆された繊維状の充填材3が均一
に分散されている。
【0033】この樹脂系複合材料は、例えば次のように
して製造される。
【0034】まず、充填材3を被覆する樹脂2として絶
縁性に優れた熱可塑性樹脂を選択し、この樹脂2を高温
で加熱して溶融し液化するか、もしくは溶剤で溶解して
溶液とする。
【0035】この樹脂融液又は樹脂溶液を長尺の充填材
3の表面に塗布し乾燥して短繊維に切断するか、この樹
脂融液又は樹脂溶液中に充填材3を分散させて混合し相
互に接着しないようにして樹脂を硬化させ、表面が樹脂
で被覆された充填材を得る。このようにして得られた樹
脂2の被覆された充填材3と、樹脂マトリックス1にな
る耐熱性に優れた熱可塑性樹脂の粉末とを所定の比率で
混合し、加圧して成形した後、樹脂マトリックス1を加
熱溶融し充填材と樹脂粉末とを一体に融着させて図1の
複合材料を得る。
【0036】また、樹脂2の被覆された充填材3を所定
の形状に加圧成形して多孔質成形体を得、この多孔質成
形体に成形体に樹脂マトリックス1となる熱可塑性樹脂
を溶融して含浸させるか、硬化性の液状樹脂を含浸して
硬化させ図1の樹脂系複合材料を得る。
【0037】図2は、本発明の他の実施形態の構成を模
式的に示す断面図である。
【0038】同図において、本発明の樹脂系複合材料の
樹脂マトリックス1中には、樹脂2の被覆された充填材
3とともに樹脂の被覆されていない第2の充填材4が分
散されている。
【0039】第2の充填材4は樹脂2で被覆されていな
いが、樹脂2の被覆された充填材3単独を用いた場合よ
りも、さらに摩耗特性や機械的強度等の特性を改善する
硬化がある。
【0040】図3は複合材料を用いた軸受装置を概略的
に示したもので、同図に示すように、回転主軸5の周り
にはスラストカラー6が配置され、その下端面に設けた
回転板7の下端面は、複数の放射状に配置された扇形の
静止板8により摺動可能に支持されている。静止板8
は、図3及び図4に示したように、図1又は図2に模式
的に示した樹脂系複合材料からなるすべり板8aと、こ
の滑り板8aを支持する台金8bから構成されている。
滑り板8aを構成する樹脂系複合材料のマトリックス樹
脂としては、摩擦係数の小さい樹脂系複合材料が適して
いる。
【0041】なお、静止板8は、複数のばねからなる弾
性部材9を介して支持板10に支持されている。
【0042】このように構成された軸受装置では、樹脂
系複合材料が摩擦係数が小さく、かつ耐摩耗性、耐圧縮
荷重性にも優れており、かつ電気絶縁性を有しているの
で、例えば縦型回転電気等の軸受装置として好適してい
る。
【0043】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0044】実施例1 平均直径10μmの炭素繊維を、350℃で溶融したポ
リエーテルエーテルケトン中に通過させて炭素繊維の表
面にポリエーテルエーテルケトンを付着させた。次に、
表面にポリエーテルエーテルケトンが付着した炭素繊維
を冷却し、炭素繊維表面にポリエーテルエーテルケトン
のコーティング層を形成した。このコーティング層を形
成した炭素繊維をアスペクト比が20程度になるように
切断し、この炭素繊維10体積%に対して、四フッ化エ
チレン樹脂を90体積%混合し、この混合体を金型に充
填して、40MPaの圧力で大きさ10mm×120m
m×120mmの圧縮成形体を成形した。
【0045】次に、この圧縮成形体を375℃で1時間
加熱し、四フッ化エチレン樹脂粉末どうしの接触部を融
着結合させて、図1に示すような、ポリエーテルエーテ
ルケトンで被覆された炭素繊維と四フッ化エチレン樹脂
との複合材料を得た。
【0046】得られた複合材料は導電性を示す炭素繊維
を充填しているにもかかわらず、炭素繊維に樹脂被覆を
施すことにより非常に良い電気絶縁特性を示した。さら
に前記複合材料の機械的特性と摩擦、摩耗特性を測定し
た結果、引張強さは20MPa、圧縮弾性率は760M
Pa、動摩擦係数は0.30であり、コーティングを施
していない炭素繊維を充填した四フッ化エチレン樹脂と
同等であった。
【0047】実施例2 平均直径10μmのアスペクト比10程度の炭素繊維
を、有機溶剤で溶解したポリエーテルサルホン中に混合
し、120℃で有機溶剤を蒸発させて乾燥し、ポリエー
テルサルホンをコーティングした炭素繊維を得た。この
ポリエーテルサルホンのコーティングの施された炭素繊
維と平均直径30μmの四フッ化エチレン樹脂粉末と平
均直径10mmのウレタン発泡体を混合した後、この混
合体を金型充填し、40MPaの圧力で大きさ10mm
×120mm×120mmの圧縮成形体を成形した。
【0048】次に前記圧縮成形体を375℃、1時間加
熱し、ウレタン発泡体を蒸発させるとともにこの四フッ
化エチレン樹脂粉末どうしの接触部を融着結合させ、ポ
リエーテルサルホンのコーティングの施された炭素繊維
を含有する四フッ化エチレン樹脂の多孔質体を得た。
【0049】次に、この炭素繊維を含有した四フッ化樹
脂の多孔質体を金型に装置し、350℃に加熱し、溶融
したポリエーテルエーテルケトン樹脂を金型内に注入
し、50MPaの圧力で圧縮成形して、ポリエーテルサ
ルホンでコーティングの施された炭素繊維と四フッ化エ
チレン樹脂とポリエーテルエーテルケトン樹脂との複合
材料を得た。
【0050】得られたポリエーテルサルホンでコーティ
ングを施した炭素繊維15体積%と四フッ化エチレン樹
脂15体積%を含有したポリエーテルエーテルケトン樹
脂の複合材料は絶縁特性を測定した結果、電気抵抗は1
15Ωmと体積率30%の炭素繊維を含有したポリエー
テルエーテルケトン樹脂103 Ωmよりも非常に良い電
気絶縁特性を示した。
【0051】さらに、この複合材料の機械的特性と摩
擦、摩耗特性を測定した結果、引張強さは40MPaと
体積率10%の炭素繊維を含有した四フッ化エチレン樹
脂の引張強さ20MPaの2倍であり、、動摩擦係数は
0.25とポリエーテルエーテルケトン樹脂単体の動摩
擦係数0.35より小さく、摩耗減量はポリエーテルエ
ーテルケトン樹脂単体の約1/3とはるかに摩擦、摩耗
特性が向上した。
【0052】実施例3 図3に示すように、回転主軸5にスラストカラー6を取
付け、このスラストカラー6の下面に設けた回転板7を
摺動可能に支持する扇形の静止板8の台金8bの上部
に、実施例2で得たポリエーテルサルホンでコーティン
グを施した炭素繊維15体積%と四フッ化エチレン樹脂
15体積%を含有したポリエーテルエーテルケトン樹脂
の複合材料で形成した滑り板8aを接合した。
【0053】次に、この滑り板8aを用いた軸受装置の
検証試験を実施し、軸受の性能、信頼性及び寿命を評価
し、体積率30%の炭素繊維を含有したポリエーテルエ
ーテルケトン樹脂を滑り板に使用した場合と比較した。
【0054】本発明のポリエーテルサルホンでコーティ
ングを施した炭素繊維15体積%と四フッ化エチレン樹
脂15体積%を含有したポリエーテルエーテルケトン樹
脂の複合材料は絶縁特性が良好なので、この複合材料を
滑り板8aに用いた場合には台金8bと滑り板8aの間
に絶縁層を用いる必要がなく、製造コストが削減でき
た。さらに、摩擦係数が小さいので、軸受損失が小さ
く、摩耗減量が少なく、軸受寿命も長かった。さらに、
圧縮弾性率が高いので高面圧に耐えることができ、軸受
の小型化が可能になり、大幅に製造コストが削減でき
た。
【0055】一方、体積率30%の炭素繊維を含有した
ポリエーテルエーテルケトン樹脂を静止板の滑り板8a
に用いた場合には、電気絶縁性を確保するために台金8
bとの間に絶縁層を用いる必要があった。また、この滑
り板8aは圧縮弾性率が高く高面圧に十分耐えられた
が、摩擦係数が高いため、軸受損失が高く、静止板及び
摺動相手の回転板も激しく摩耗し、寿命も短かった。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の複合材料
によれば、充填材を介した通電を防止することができ、
なおかつ単体材料では得られない複数の機能を兼備した
樹脂系複合材料を容易に作製することができる。また、
本発明の樹脂系複合材料を用いた軸受装置は、軸受損失
が小さく、軸受の小型化、長寿命化ができるため、軸受
の性能、信頼性が飛躍的に向上し、製造コストを大幅に
削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂系複合材料の一実施形態の構成を
模式的に示す図である。
【図2】本発明の樹脂系複合材料の他の実施形態の構成
を模式的に示す図である。
【図3】本発明の樹脂系複合材料を用いた軸受装置を模
式的に示す断面図である。
【図4】図3の軸受装置に用いた静止板の滑り板の平面
図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1……樹脂マトリックス、2……樹脂、3……充填材、
4……第2の充填材、5……回転主軸、6……スラスト
カラー、7……回転板、8……扇形の静止板、 8a…
…滑り板、8b……台金、9……弾性部材、10……支
持板。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 107/32 C10M 107/32 107/38 107/38 107/44 107/44 107/46 107/46 125/02 125/02 125/08 125/08 125/10 125/10 125/20 125/20 125/26 125/26 125/28 125/28 143/02 143/02 143/04 143/04 145/20 145/20 145/24 145/24 147/00 147/00 149/18 149/18 151/04 151/04 169/04 169/04 F16C 17/04 F16C 17/04 Z 33/20 33/20 A // C08J 9/24 CEZ C08J 9/24 CEZ C10N 10:04 C10N 10:04 10:06 10:06 10:08 10:08 10:12 10:12 20:00 20:00 Z 20:06 20:06 A B Z 30:00 30:00 Z 40:02 40:02 50:08 50:08 (72)発明者 タン トロンロン 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 南波 聡 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 宇野 修悦 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 東芝アイテック株式会社内 (72)発明者 安藤 雅敏 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 東芝アイテック株式会社内 Fターム(参考) 3J011 AA06 BA14 DA01 QA05 SA05 SC01 SC05 SC20 4F071 AA27 AA60 AB03 AB18 AB28 AE12 AE17 AF28 EA02 EA05 4F074 AA39 AC02 AG01 BA29 CE15 CE26 CE50 CE65 CE87 DA56 4H104 AA04C AA12C AA13C AA19A AA21C AA23C AA26A AA26C CA02C CA03C CB12C CB14A CB14C CD02A CD02C CD04A CD04C CE13A CE13C CG03A CG03C EA08C EA09C EA10C EA13C FA02 FA03 FA04 FA06 LA20 PA01 QA11 QA21 4J002 BD151 BD152 BE041 BE042 CH091 CH092 CM041 CM042 CN011 CN012 DA016 DA026 DB016 DE146 DJ016 DK006 DL006 FA046 FB266 FD012 GM05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂マトリックス中に強化成分として充
    填材が分散されてなる樹脂系複合材料であって、 前記充填材の表面が前記樹脂マトリックスとは異なる樹
    脂で被覆されていることを特徴とする樹脂系複合材料。
  2. 【請求項2】 前記樹脂マトリックスは、耐熱性に優れ
    た熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1記載
    の樹脂系複合材料。
  3. 【請求項3】 前記充填材は、平均直径が0.05μm
    〜100μmでアスペクト比が1以上の繊維状充填材、
    又は平均直径が0.05μm〜100μmの粒子状充填
    材からなることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂
    系複合材料。
  4. 【請求項4】 前記充填材の含有率は、1〜90体積%
    であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項
    記載の樹脂系複合材料。
  5. 【請求項5】 前記充填材の表面を被覆する樹脂が、電
    気絶縁性に優れた熱可塑性樹脂であることを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれか1項記載の樹脂系複合材料。
  6. 【請求項6】 前記樹脂マトリックスは、樹脂で被覆さ
    れた前記充填材とは異なる第2の充填材を含有すること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の樹脂
    系複合材料。
  7. 【請求項7】 第2の充填材が、樹脂系材料、無機系材
    料及び固体潤滑材料から選ばれた少なくとも1種の繊維
    状若しくは粒子状の充填材からなることを特徴とする請
    求項1乃至6のいずれか1項記載の樹脂系複合材料。
  8. 【請求項8】 樹脂マトリックスとなる樹脂粉末と、表
    面が樹脂マトリックスとは異なる樹脂で被覆された充填
    材とを混合し、得られた混合物を加圧加熱して所定の形
    状に成形することを特徴とする樹脂系複合材料の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 表面が樹脂で被覆された充填材を加圧加
    熱して無数の連通孔を有する多孔質体を成形し、この多
    孔質体に、前記充填材を被覆した樹脂とは異なる樹脂か
    らなる液状のマトリックス樹脂を含浸し硬化することを
    特徴とする樹脂系複合材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 回転軸の周りに放射状に配置され、前
    記回転軸に取付けたスラストカラーの下端面に配設され
    た回転板を摺動可能に支持する複数の扇形の静止板を具
    備する軸受装置であって、前記回転板と摺接する静止板
    のすべり面が、請求項1又は2記載の樹脂系複合材料で
    形成され、前記樹脂系複合材料の厚さtに対する表面が
    樹脂で被覆された前記充填材料の長さlの比l/tが1
    /1未満であることを特徴とする軸受装置。
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