JP2002055194A - 放射線、電磁波遮蔽シートおよびその製造方法 - Google Patents
放射線、電磁波遮蔽シートおよびその製造方法Info
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Abstract
性をもち、固定的設置の場合にも設置を手軽に行うこと
ができる、放射線、電磁波遮蔽手段としての遮蔽シート
を得ること。 【解決手段】 放射線、電磁波遮蔽シート(S)は、織
布、不織布、編布等の可撓性基布(F)の片側または両
側の全面にわたって鉛の層(F)を均一に溶着して構成
される。放射線、電磁波遮蔽シート(S)を製造するに
は、可撓性の基布(F)を用意し、この基布の表面に鉛
を溶射により塗布する。
Description
廃棄物処理所、X線を使用する病院等における放射線の
遮蔽用や、電気機器等から発せられる電磁波の遮蔽用に
用いられる、放射線、電磁波遮蔽シートおよびその製造
方法に関する。
板、コンクリート壁、鉛板等が用いられている。これら
の放射線、電磁波遮蔽手段は、いずれも剛体の板または
壁であり、必要個所に固定して設置されるのが一般的で
ある。
射線、電磁波遮蔽手段は固定状態で設置されるものであ
るから、作業員等が身に付けて放射線、電磁波遮蔽のた
めに使用することができず、仮に身に付けて使用するに
しても、小寸法の板片の形で人体を局部的に覆うように
体に吊り下げるしかない。ところが、このような小寸法
の板片を人体に付けて作業等を行うことは、遮蔽手段自
体が重いのに加えて形状的に人体に馴染まないために実
際上不可能であり、現実に行われてはいない。また、従
来の放射線、電磁波遮蔽手段は、人体に付けずに固定的
に設置するにしても、剛体であって重量があるため、設
置作業に手数を要する欠点がある。
られる特性をもち、固定的に設置するにしても設置を手
軽に行うことができる、放射線、電磁波遮蔽手段として
の遮蔽シートを得ることを目的とする。
に、本発明によれば、可撓性基布と、この基布の少なく
とも片側の全面にわたって均一に溶着された鉛の層とか
らなる放射線、電磁波遮蔽シートが提供される。可撓性
基布は織布または不織布で構成することができる。
意し、この基布の表面に鉛を溶射により塗布することか
らなる放射線、電磁波遮蔽シートの製造方法が提供され
る。
態につき説明する。
線、電磁波遮蔽シートであって、基布Fと、この基布F
の少なくとも片側の全面にわたって均一に溶着された鉛
の層Pとから構成されている。基布Fは可撓性の布状物
で、織布、不織布、編布等により構成されている。鉛層
Pは、典型的には後述のように溶射により基布Fの面に
施されるものであって、基布Fが織布や編布である場合
には、溶射により基布Fの面に施された鉛は織布や編布
の面に層Pを形成するとともに、織目や編目の内部に目
を潰すように入り込み、その繊維と一体化する。不織布
の場合にも、鉛は不織布の繊維の間に入り込む。このよ
うに鉛層Pを形成した放射線、電磁波遮蔽シートSは、
その鉛層Pの側から見ると基布Fの組織を認識できない
程度の厚さで均一に施される。
イロン、テトロン(商標名)等の合成繊維のいずれでも
良い。また、鉛の溶射は、図1に示すように基布Fの一
面のみに施しても良いが、必要によって基布Fの両面に
施すこともできる。さらに、基布Fと鉛層Pからなる遮
蔽シートSには、塗布等により適当な着色を施すことも
できる。さらに、鉛層Pの表面に他の層、例えばアルミ
ニウム層を形成することもできる。なお、以上のように
鉛層Pを形成した後でも、遮蔽シートSは全体として可
撓性を保有するようにする。
るために、基布Fに鉛を低温溶射する方法を示してい
る。同図において、2は複数の筒状ガイドであって、各
ガイド2には鉛の線材3が挿通される。鉛の線材3の径
は1mm程度から1.5mm程度のものを用いる。ガイ
ド2はそれに挿通される線材3の先端が図示のように交
差するように互いに角度をなして設置される。ガイド2
は直流電源4に接続され、電源4からの電流によりガイ
ド2、2を介して線材3、3に電流を流し、線材3、3
の交差部にスパークを生じさせる。線材3の先端が交差
している点に向け複数のノズル5の噴射孔6から圧縮空
気を噴射させ、スパーク部9を減圧し真空状態にする。
これによって、冷却効果が倍増され、基布Fの被溶射面
は55℃以下の温度に抑えられる。かくして、低温下
で、線材3を構成する鉛を微細な粒子として基布Fの面
に向かって塗着させる。
基布Fの面の間で符号7により示すように空気中を飛行
するので、その間にも冷却されて基布Fの面に到達す
る。したがって、基布Fが焼損されることはない。鉛の
微細粒子の飛行距離(バーナ5の噴射孔6から基布Fの
面迄の距離)は5mm程度から20mm程度とするのが
適当である。このようにして形成される鉛層Pは、最大
数ミリメートル程度の厚さに調整することができるが、
放射線、電磁波遮蔽能力を遮蔽シートSに与えるために
は、基布Fの単位面積(cm2)当りの鉛層Pの量は次
のように決めるのが望ましい。すなわち、ガンマー線の
場合には、鉛層Pの量は676mg/cm 2以上、X線
の場合には85mg/cm2以上、電気製品から出る電
磁波の場合には10mg/cm2以上が望ましい。これ
らの量未満の鉛層では、遮蔽効果が不十分になることが
判明した。
遮蔽シートSの幾つかの実施例を以下に記載する。
6−Ra)ガンマー線に対する遮蔽効果]ポリプロピレ
ン繊維不織布からなる基布(36.0cm×29.5c
m)を用意し、この基布に常温金属溶射法にて鉛17
9.3gを溶射した。上記基布への179.3gの鉛の
溶射によって、基布の単位面積(cm2)当り169m
gの鉛が付着した遮蔽シートが得られた。この遮蔽シー
トの遮蔽効果を図3に示すようにして測定した。図3に
おいて、基台10の上面に鉛板11を載置し、その上に
アクリル樹脂板12を置き、さらにその上に226−R
aチエッキングソース13(BG+13μSv/h)を
置き、その上を覆うように上述のようにして作成した1
枚ないし4枚の遮蔽シートSを置き、その上方から、N
aI(Ti)シンチレーションサーベイメータ14(A
LOKA製 TCS−161)によって、226−Ra
チエッキングソース13から遮蔽シートSを透過してく
るガンマー線を測定した。
グラフにおいて、横軸は遮蔽シートSの枚数を、縦軸は
計数率(μSv/h)を示す。このグラフから分かるよ
うに、遮蔽シートSがない場合の12.77の計数率
が、1枚の遮蔽シートSを介在させることによって1
1.64に、2枚の遮蔽シートSを介在させることによ
って10.4に、また4枚の遮蔽シートSを介在させる
ことによって8に低下した。計数率の上記値は5回の測
定の平均値である。図4の結果は、1枚の遮蔽シートS
によって約9%程度のガンマー線減衰効果が得られるこ
とを示している。ガンマー線に対するこの減衰効果は高
いものとはいえないが、遮蔽シートSの枚数を増やすこ
とによって減衰効果は比例的に増加し、実用に供し得る
と考えられる。
V)に対する遮蔽効果]実施例1で用いたと同じ遮蔽シ
ートを用いた。この遮蔽シートの遮蔽効果を図5に示す
ようにして測定した。図5において、基台20上に鉛板
21を載置し、その上にアクリル樹脂板22を載せ、そ
の上にさらに鉛ブロック23を置き、その上に遮蔽シー
トSを載置した。遮蔽シートSの中央部から水平距離L
をおいて、X線放射管球24(630mA,100V)
を、その下面の基台20の上面からの高さがHとなるよ
うに設置して、基台20の面に向かってX線を照射し
た。なお、25はX線の照射野を示し、前記水平距離L
は、X線照射野の中心軸から遮蔽シートSの中央部への
距離である。また、鉛ブロック23の前記照射野と反対
の側で、鉛板21の上には、電離箱式サーベイメータ2
7(ALOKA製 ICS−311)を設置した。上記
水平距離Lは21cmとし、上記高さHは90cmに設
定した。このような配置によって、遮蔽シートSにはそ
の側方から散乱X線が照射されることになる。
図6のグラフに示す。このグラフから分かるように、遮
蔽シートSがない場合の9.4の計数率が、1枚の遮蔽
シートSを介在させることによって3.43に、2枚の
遮蔽シートSを介在させることによって1.65に、ま
た4枚の遮蔽シートSを介在させることによって0.7
2に低下した。計数率の上記値は3回の測定の平均値で
ある。この測定結果は、1枚の遮蔽シートSによって約
36%程度にX線が減衰したことを示している。この例
では、遮蔽シートSの2枚目以降の遮蔽効果は、遮蔽シ
ートの枚数に比例していない。その理由は、散乱X線に
は遮蔽され易い低エネルギーX線が含まれていて、2枚
目以降では低エネルギーX線の割合が低下するので遮蔽
シートの枚数の割に遮蔽効果が低くなることにあると考
えられる。
V)に対する遮蔽効果]実施例1で用いたと同じ遮蔽シ
ートを用いた。この遮蔽シートの遮蔽効果を図5に示す
ようにして測定した。ただし、X線放射管球24(63
0mA,50V)を用い、水平距離Lは実施例2の場合
より短い19cmとし、上記高さHは90cmに設定し
た。なお、電離箱式サーベイメータ27(ALOKA製
ICS−311)は実施例2の場合と同じである。こ
の実施例3でも、遮蔽シートSにはその側方から散乱X
線が照射されることになる。
図7のグラフに示す。このグラフから分かるように、遮
蔽シートSがない場合の7.6の計数率が、1枚の遮蔽
シートSを介在させることによって0.75に急激に低
下し、2枚の遮蔽シートSを介在させることによって
0.17に低下した。計数率の上記値は3回の測定の平
均値である。この測定結果は、1枚の遮蔽シートSによ
って約0.1%程度にX線が大きく減衰したことを示し
ている。このX線減衰効果は実用上十分なものである。
この実施例3においては、X線放射管球24への印加電
圧が実施例2の場合より低くなっているため、X線中に
おける、遮蔽され易い低エネルギーX線の割合が増加
し、そのために遮蔽シート1枚で実施例2の場合より高
いX線減衰効果が得られたと考えられる。
V)に対する遮蔽効果]実施例1で用いたと同じ遮蔽シ
ートを用いた。この遮蔽シートの遮蔽効果を図5に示す
ようにして測定した。ただし、X線放射管球24(63
0mA,40V)を用い、水平距離Lは実施例3の場合
よりさらに短い18cmとし、上記高さHは90cmに
設定した。なお、電離箱式サーベイメータ27(ALO
KA製ICS−311)は実施例2および3の場合と同
じである。この実施例4でも、遮蔽シートSにはその側
方から散乱X線が照射されることになる。
図8のグラフに示す。このグラフから分かるように、遮
蔽シートSがない場合の8.1の計数率が、1枚の遮蔽
シートSを介在させることによって0.71に急激に低
下し、2枚の遮蔽シートSを介在させることによって
0.00に低下した。計数率の上記値は3回の測定の平
均値である。この測定結果は、1枚の遮蔽シートSによ
って約0.088%程度にX線が大きく減衰したことを
示している。このX線減衰効果は実用上十分なものであ
る。この実施例4においては、X線放射管球24への印
加電圧が実施例3の場合よりさらに低くなっているた
め、X線中における、遮蔽され易い低エネルギーX線の
割合が一層増加し、そのために遮蔽シート1枚で実施例
3の場合より高いX線減衰効果が得られたと考えられ
る。
レクトビーム)に対する遮蔽効果については、X線量が
高すぎて計測困難であったため、測定はしていない。
は、次のような形態で使用することができる。
(2)エプロン、(3)部屋のカーテン、(4)部屋の
固定仕切壁への貼付シート、(5)被服の内側や外側に
着脱可能に添着するか、被服に埋め込まれる局部的防護
シート(例えば、電磁波に対する心臓ペースメーカの防
護)、(6)手袋、頭巾、靴下等の手足、頭部の防護
用、
射線、電磁波遮蔽シートは、放射線や電磁波が存在する
環境で、人間の体全体または一部を放射線や電磁波から
防護するために、防護服の形で、または体の必要部分を
覆う形で用いることができる。そして、この放射線、電
磁波遮蔽シートは、可撓性を持ち、かつ比較的軽いシー
ト状をなしているので、人間の体に適合するように縫製
して、腕、脚等の屈折に合わせて撓ませることができ、
また人間の体の防護すべき部分に装着するために当該部
分に合わせて任意に裁断することができる。しかも、そ
れを身に着けた人には重さや動きの自由度の点で制約を
与えることがない。特に、本発明の放射線、電磁波遮蔽
シートは、前記実施例から明らかなように、散乱放射線
(X線等)の減衰に関しては十分な遮蔽効果を発揮す
る。
は、建築物の内部等で仕切壁の貼紙やカーテンとしても
用いることができ、それにより、手軽に放射線や電磁波
に対する防護を可能にする。
する放射線、電磁波遮蔽シートを効率よく確実に製造す
ることができる。
鉛溶射方法を説明する原理図。
を測定する方法を説明する図。
認のために、図3の方法で測定された結果を示すグラ
フ。
を測定する他の方法を説明する図。
認のために、図5の方法で測定した結果を示すグラフ。
認のために、図5の方法で条件を変えて測定した結果を
示すグラフ。
認のために、図5の方法でさらに条件を変えて測定した
結果を示すグラフ。
Claims (4)
- 【請求項1】可撓性基布と、この基布の少なくとも片側
の全面にわたって均一に溶着された鉛の層とからなる放
射線、電磁波遮蔽シート。 - 【請求項2】前記可撓性基布が織布である請求項1記載
の放射線、電磁波遮蔽シート。 - 【請求項3】前記可撓性基布が不織布である請求項1記
載の放射線、電磁波遮蔽シート。 - 【請求項4】可撓性の基布を用意し、この基布の表面に
鉛を溶射により塗布することからなる放射線、電磁波遮
蔽シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000244806A JP2002055194A (ja) | 2000-08-11 | 2000-08-11 | 放射線、電磁波遮蔽シートおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000244806A JP2002055194A (ja) | 2000-08-11 | 2000-08-11 | 放射線、電磁波遮蔽シートおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=18735440
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000244806A Pending JP2002055194A (ja) | 2000-08-11 | 2000-08-11 | 放射線、電磁波遮蔽シートおよびその製造方法 |
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JP (1) | JP2002055194A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005538356A (ja) * | 2002-09-09 | 2005-12-15 | メリディアン リサーチ アンド ディベロップメント | 複数種の危険に対して防護する物品およびそれらを作製するための方法 |
JP2013174458A (ja) * | 2012-02-23 | 2013-09-05 | Toppan Printing Co Ltd | 放射線遮断シート |
CN104146408A (zh) * | 2014-07-28 | 2014-11-19 | 江苏云蝠服饰股份有限公司 | 穿着舒适防辐射防电弧服 |
JP5865541B1 (ja) * | 2015-07-16 | 2016-02-17 | 茶久染色株式会社 | 放射線遮蔽織物および放射線遮蔽用品 |
WO2022050743A1 (ko) * | 2020-09-03 | 2022-03-10 | 계명대학교 산학협력단 | 곡면반사대를 이용한 공기 가압식 텅스텐 분말 충전 공정기술의 박막 차폐필름 제작 장치 및 방법 |
-
2000
- 2000-08-11 JP JP2000244806A patent/JP2002055194A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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