JP2002048649A - 測温計 - Google Patents

測温計

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JP2002048649A
JP2002048649A JP2000238744A JP2000238744A JP2002048649A JP 2002048649 A JP2002048649 A JP 2002048649A JP 2000238744 A JP2000238744 A JP 2000238744A JP 2000238744 A JP2000238744 A JP 2000238744A JP 2002048649 A JP2002048649 A JP 2002048649A
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茂美 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サーモパイル型を適用して小型化・低廉化を
図りつつ、最高温である熱源との相対位置関係が少しず
れても、温度測定の精度を維持できる測温計を提供す
る。 【解決手段】 熱源から放射される赤外線を受光するこ
とにより、前記熱源の温度についての測温値を得る測温
計であって、前記赤外線を受光する熱吸収体の温度に基
づいて電圧を発生する熱電堆を、同一の半導体基板の主
面上に受光位置が互いに異なる所定の配置で複数形成し
た赤外線検出手段と、前記複数の各熱電堆からの各出力
電圧に対応する複数の測温値候補のうちの最大値を、前
記測温値として決定する測温値決定手段と、を備えたこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耳式体温計などの
測温計に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、この種の測温計では、熱源か
ら放射される赤外線を検知(感知)して電気信号に変換
するいわゆる赤外線センサを備えている(検出または測
定した温度(測温値)を決定するまでの全体を「赤外線
センサ」と呼ぶこともあるが、以下では、主に、赤外線
を電気信号に変換するまでを指す)。この種の赤外線セ
ンサとしては、一般に、熱電対(サーモカップル)また
はそれを複数直列接続した熱電堆(サーモパイル)のゼ
ーベック効果を利用して、赤外線の放射吸収による温度
変化を熱起電力として検出(測定)するサーモパイル
型、セラミック等で構成された基材における赤外線の熱
エネルギーに応じた分極による浮遊電荷の変化を検出す
る(焦電効果を利用する)焦電型、および、金属その他
の薄膜や極細線で形成した感温抵抗体の熱による抵抗値
の変化を検出する(抵抗変化を利用する)ボロメータな
ど、が知られている。これらのうち、サーモパイル型で
は、焦電型等のように過渡的な現象を利用するものでは
無いので、安定した温度検出・測定が可能であるほか、
ボロメータ等のような測定電流等が不要であり、また、
半導体製造の工程(プロセス)を利用して小型化・低廉
化が可能なので、体温計などの小型・低価格の測温計等
に適している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えばサー
モパイル型の赤外線センサを備えた耳式体温計では、耳
孔の中で最も高い温度である鼓膜の温度を測定すること
を目的とする。このため、赤外線センサが熱源となる鼓
膜に正確に向いていないと、精度の良い測定はできな
い。言い換えれば、最高温である熱源(鼓膜)との相対
位置関係が少しずれても、正確に測定できず、温度(こ
こでは体温:鼓膜温度)の測定精度が低下する。すなわ
ち、赤外線センサのセンタ(光軸)が、熱源(鼓膜)が
放射する赤外線の少なくとも一部の光軸と一致しない
と、精度の良い測定はできない。しかし、耳式体温計の
赤外線受光検出部(いわゆるプローブの部分)を耳孔に
挿入したときに、鼓膜と赤外線センサとが正確に対向し
ているか否かは、確認することができない(図27参
照)。
【0004】本発明は、サーモパイル型を適用して小型
化・低廉化を図りつつ、最高温である熱源との相対位置
関係が少しずれても、温度測定の精度を維持できる測温
計を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の測温
計は、熱源から放射される赤外線を受光することによ
り、前記熱源の温度についての測温値を得る測温計であ
って、前記赤外線を受光する熱吸収体の温度に基づいて
電圧を発生する熱電堆を、同一の半導体基板の主面上に
受光位置が互いに異なる所定の配置で複数形成した赤外
線検出手段と、前記複数の各熱電堆からの各出力電圧に
対応する複数の測温値候補のうちの最大値を、前記測温
値として決定する測温値決定手段と、を備えたことを特
徴とする。
【0006】この測温計は、熱源から放射される赤外線
を受光することにより、熱源の温度についての測温値を
得る測温計であり、赤外線検出手段では、赤外線を受光
する熱吸収体の温度に基づいて電圧を発生する熱電堆
(サーモパイル)を複数有し、それらが同一の半導体基
板の主面上に受光位置が互いに異なる所定の配置で形成
されている。これにより、赤外線受光に応じた出力電圧
をその数分だけ得ることができ、なお且つ、その配置に
沿った複数の受光箇所で受光する赤外線に応じた出力電
圧を得ることができる。また、各熱電堆からの各出力電
圧に対応する複数の測温値候補のうちの最大値を測温値
として決定する。これは、熱吸収体の温度は熱源の温度
にほぼ一致するまで上昇することはあっても、それ以上
とはならないので、最大値が熱源温度に最も近い正確な
値となるためであり、この測温計では、最高温である熱
源との相対位置関係が少しずれても、温度測定の精度を
維持できる。なお、この場合の複数の熱電堆は、同一の
半導体基板の主面上に形成するので、半導体製造の工程
(プロセス)を利用して小型化・低廉化が図れる。
【0007】また、請求項1の測温計において、前記赤
外線を集光する赤外線レンズをさらに備えたことが好ま
しい。
【0008】この測温計では、赤外線を集光する赤外線
レンズをさらに備えているので、導波管(導光管)等を
使用する場合に比べて、外部の熱(誤差熱)による放射
赤外線の影響(干渉)を低減できるとともに、複数の各
熱電堆の熱吸収体で受光する赤外線の入射角を制限で
き、これにより、誤差要因を少なくして、測定精度を向
上できる。
【0009】また、請求項2の測温計において、前記赤
外線レンズは、バイナリレンズであることが好ましい。
【0010】この測温計では、赤外線レンズは、バイナ
リレンズであるため、多段構成のバイナリエレメントを
構成することにより形成できる。このため、通常の曲面
から成るレンズ等に比べて、レンズとしての同一の集光
精度を確保するための成形が容易であり、これにより、
低廉化が図れる。
【0011】また、請求項3の測温計において、前記赤
外線レンズは、各熱電堆の熱吸収体に前記赤外線を集光
する多段構成のバイナリエレメントを、前記複数の熱電
堆に対応して複数有することが好ましい。
【0012】この測温計では、赤外線レンズは、各熱電
堆の熱吸収体に赤外線を集光する多段構成のバイナリエ
レメントを、複数の熱電堆に対応して複数有する。この
ため、各熱吸収体(各熱電堆)に適したバイナリエレメ
ントとすることができる。すなわち、各バイナリエレメ
ントでは、各熱電堆に対応する熱源の方向を、相対位置
関係のずれとして想定(予想)可能な方向に対応して各
熱電堆毎に定めることができ、各熱吸収体で受光可能な
赤外線の方向(光軸の方向)や入射角などを、それぞれ
に適したように設計・製造等できる。したがって、最高
温である熱源との相対位置関係がずれても、想定(予
想)範囲内であれば、正確に測定でき、温度測定の精度
を維持できる。
【0013】また、請求項4の測温計において、前記複
数の各熱電堆に対応する各バイナリエレメントは、その
光学的中心と対応する各熱電堆の熱吸収体の中心とを結
ぶ線が、各熱電堆の熱吸収体に集光する集光対象の赤外
線の光軸と一致するように構成されたことが好ましい。
【0014】この測温計では、複数の各熱電堆に対応す
る各バイナリエレメントは、その光学的中心と対応する
各熱電堆の熱吸収体の中心とを結ぶ線が、各熱電堆の熱
吸収体に集光する集光対象の赤外線の光軸と一致するよ
うに構成されているので、集光対象の赤外線を適切に効
率よく集光できる。なお、各熱電堆に対応する(測温対
象とする)熱源の中心位置がその光軸上に存在するよう
に、各バイナリエレメントを設計・製造等することによ
り、このような構成にすることができる。
【0015】また、請求項5の測温計において、前記複
数の各熱電堆に対応する各バイナリエレメントは、前記
集光対象の赤外線の光軸が、前記半導体基板の主面から
その法線方向に所定距離離れた同一点を通過するように
構成されたことが好ましい。
【0016】この測温計では、複数の各熱電堆に対応す
る各バイナリエレメントは、集光対象の赤外線の光軸
が、半導体基板の主面からその法線方向に所定距離離れ
た同一点を通過するように構成されている。すなわち、
各光軸がいわば焦点とも呼べる同一点を通過する。この
場合、各熱電堆で測温(電圧で検出)する熱源として想
定される熱源の中心位置は、各光軸上にあるので、上記
の同一点(以下便宜的に「焦点」という)より遠方に遠
ざかるほど、各熱源の間隔は広がり、焦点に近ければ各
熱源の間隔は狭まる。逆に言えば、熱源との距離や相対
位置関係として想定される「ずれ」の度合いを考慮して
焦点を設定することにより、各バイナリエレメントを測
定の実状に合わせた構成にすることができる。
【0017】また、請求項2ないし6のいずれかの測温
計において、前記赤外線レンズは、半導体から成るレン
ズ基板をレンズとして加工形成したものであることが好
ましい。
【0018】この測温計では、赤外線レンズは、半導体
から成るレンズ基板をレンズとして加工形成されたもの
であり、このため、半導体製造の工程(プロセス)を利
用して小型化・低廉化が図れ、また、組成を工夫するこ
とにより、可視光を遮断する赤外線フィルタとしての機
能を兼備させることが可能である。
【0019】また、請求項7の測温計において、前記レ
ンズ基板は、シリコン基板であることが好ましい。
【0020】この測温計では、レンズ基板は、シリコン
基板なので、エッチング等によりレンズとして容易に加
工形成できる。
【0021】また、請求項2ないし8のいずれかの測温
計において、前記赤外線レンズが、前記半導体基板の主
面上に接合されたことが好ましい。
【0022】この測温計では、赤外線レンズが、複数の
熱電堆が形成された半導体基板の主面上に接合されてい
るので、熱電堆における基準温度とレンズ温度との温度
差による測定誤差をも減少できる。
【0023】また、請求項2ないし9のいずれかの測温
計において、前記赤外線レンズは、受光する赤外線の波
長を絞る赤外線コーティングが施されていることが好ま
しい。
【0024】この測温計では、赤外線レンズは、受光す
る赤外線の波長を絞る赤外線コーティングが施されてい
るので、受光する赤外線の波長を適切に絞る(限定(制
限)する)ことができる。
【0025】また、請求項2ないし10のいずれかの測
温計において、前記複数の熱電堆のうち、中心に立てた
法線が前記赤外線レンズの光学的中心を通る熱吸収体に
基づく熱電堆を主熱電堆とし、その他の熱電堆を副熱電
堆として、前記副熱電堆が前記主熱電堆の周辺に配置さ
れたことが好ましい。
【0026】この測温計では、複数の熱電堆のうち、中
心に立てた法線が赤外線レンズの光学的中心を通る熱吸
収体に基づく(その温度に基づいて電圧を発生する)熱
電堆を主熱電堆とし、その他の熱電堆を副熱電堆とし
て、副熱電堆が主熱電堆の周辺に配置されている。この
ため、熱源からの赤外線を主熱電堆で受光するように設
計・製造しておくことにより、主熱電堆(の熱吸収体)
で受光すべき赤外線が少しずれても、副熱電堆(の熱吸
収体)で受光でき、各熱電堆からの各出力電圧に対応す
るうちの最大値を測温値とするので、最高温である熱源
との相対位置関係が少しずれても、温度測定の精度を維
持できる。
【0027】また、請求項1ないし11のいずれかの測
温計において、前記複数の各熱電堆の電圧出力の2極の
うちの一方は、共通接続されていることが好ましい。
【0028】この測温計では、複数の各熱電堆の電圧出
力の2極のうちの一方は、共通接続されているので、共
通接続側を同一電位として、他方の電位を検出するだけ
で各出力電圧が得られる。このため、出力のための配線
パターンを少なくでき、小型化に適している。
【0029】また、請求項1ないし12のいずれかの測
温計において、前記半導体基板は、シリコン基板である
ことが好ましい。
【0030】この測温計では、半導体基板は、シリコン
基板なので、CVD(Chemical Vapor Deposition )法
(化学蒸着法)等により薄膜形成も容易であり、また、
熱電堆の冷接点のヒートシンクとしての機能を合わせ持
つことができる。すなわち、半導体製造における一般的
な製法により熱電堆などを形成しやすく、このため、小
型化・低廉化に適している。
【0031】また、請求項1ないし13のいずれかの測
温計において、前記測温値決定手段は、前記複数の各熱
電堆からの各出力電圧のうちの最大値を最大出力電圧と
して選択する最大出力電圧選択手段と、前記最大出力電
圧に基づいて前記測温値を算出する測温値算出手段と、
を有することが好ましい。
【0032】この測温計では、複数の各熱電堆からの各
出力電圧のうちの最大値を最大出力電圧として選択し、
最大出力電圧に基づいて測温値を算出することにより、
複数の各熱電堆からの各出力電圧に対応する複数の測温
値候補のうちの最大値を測温値として決定でき、これに
より、最高温である熱源との相対位置関係が少しずれて
も、温度測定の精度を維持できる。
【0033】また、請求項1ないし14のいずれかの測
温計において、前記複数の各熱電堆からの各出力電圧に
対応する測温値候補は、基準温度に前記各出力電圧に対
応する温度の差分を加えた温度を示すことが好ましい。
【0034】この測温計では、複数の各熱電値からの各
出力電圧に対応する測温値候補は、基準温度に各出力電
圧に対応する温度の差分を加えた温度を示すので、基準
温度と各熱電堆の出力電圧に基づいて測温値を決定でき
る。なお、この場合の基準温度として環境温度等を用い
ることができ、測定時に環境温度を測定して入力した
り、あるいは環境温度の検出手段を設けて検出して、そ
れらを基準温度とすることもできるし、所定のデフォル
トの環境温度等を基準温度とすることもできる。
【0035】また、請求項15の測温計において、前記
基準温度を検出する基準温度検出手段をさらに備えたこ
とが好ましい。
【0036】この測温計では、基準温度を検出するの
で、その基準温度と各熱電堆の出力電圧に基づいて測温
値を容易に決定できる。
【0037】また、請求項16の測温計において、前記
基準温度は、前記複数の熱電堆の冷接点の温度であるこ
とが好ましい。
【0038】サーモパイル型の測温計等における原理的
な基準温度は、熱電堆(サーモパイル)の冷接点の温度
である。この測温計では、基準温度は、複数の熱電堆の
冷接点の温度であり、原理的基準点の冷接点の温度を基
準温度として検出するので、高精度の温度測定が可能な
測温計となる。
【0039】また、請求項16または17の測温計にお
いて、前記基準温度検出手段の感温部が、前記複数の熱
電堆を形成した半導体構造内に一体形成されたことが好
ましい。
【0040】この測温計では、基準温度検出手段の感温
部が、複数の熱電堆を形成した半導体構造内に一体形成
されているので、各熱電堆との距離を短縮でき、これに
より、基準温度検出の測定誤差を小さくして測定精度を
向上でき、また、全体としてさらに小型化が図れ、大量
生産等に適しているので、さらに低廉化が図れる。
【0041】また、請求項16ないし18のいずれかの
測温計において、前記基準温度検出手段は、その感温部
として、入出力特性が前記基準温度の温度変化に応じて
変化する半導体素子を複数有し、前記複数の半導体素子
からの出力に基づいて、前記基準温度を検出することが
好ましい。
【0042】この測温計では、基準温度検出手段は、そ
の感温部として、入出力特性が前記基準温度の温度変化
に応じて変化する半導体素子を複数有し、複数の半導体
素子からの出力に基づいて、基準温度を検出する。この
場合、複数の半導体素子の出力に基づいて、それらの平
均値を求めたり、差分を求めたりすることができるの
で、半導体素子の配置位置の違い等による環境差、ある
いはそれらの特性差、理論値(設計値)とのズレ、雑音
その他の測定環境の変動など、測定誤差の誤差要因を相
殺可能となり、これにより、さらに測定精度を向上でき
る。
【0043】また、請求項16ないし19のいずれかの
測温計において、前記基準温度検出手段の感温部は、前
記半導体構造内においてダイオードとして機能するよう
に構成されたことが好ましい。
【0044】半導体素子は一般に、所定の温度特性を有
し、ダイオードの場合も同様である。この測温計では、
基準温度検出手段の感温部は、半導体構造内においてダ
イオードとして機能するように構成されているので、ダ
イオードとしての温度特性に基づいて基準温度を検出で
き、また、ダイオードなので、半導体構造内に容易に一
体形成でき、小型化・低廉化に適している。
【0045】また、請求項1ないし20のいずれかの測
温計において、前記熱源の温度が、人間の鼓膜温度であ
ることが好ましい。
【0046】この測温計では、熱源の温度が、人間の鼓
膜温度なので、耳式体温計に適用できる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
測温計を適用した耳式体温計について、添付図面を参照
しながら詳細に説明する。
【0048】図1および図2に示すように、この耳式体
温計1は、本体ケース11と、検体(耳)を熱源Sとし
てその熱源Sからの赤外線を受光して熱源Sの温度(体
温:鼓膜温度)に応じた電気信号(電圧)を取り出す赤
外線受光検出部2と、各種電子部品(回路)等を搭載し
て接続する回路基板3と、赤外線受光検出部2の出力電
圧に基づいて回路基板3に搭載された各種の電子部品4
Cにより熱源Sの温度(測温値:検温値:測定(検出)
した体温の値)を決定する測温値決定部4と、測温(検
温)値その他の表示を行うためのLCD部5と、各部に
電力を供給する電源部6と、を備えている。
【0049】電源部6は、図1に示すように、電源スイ
ッチSW6と、電源となるボタン電池61と、それを装
着して回路基板3の回路パターンに接続するための電池
端子金具62と、電池交換時に開閉するための電池ボッ
クスカバー63と、備えている。また、LCD部5は、
各種表示を行うためのLCDパネル51と、それを装着
して回路基板3(の回路パターン)に接続するためのコ
ネクタ52と、LCDパネル51を支持するパネル枠5
3と、LCDパネル51の表面を視認可能に保護する例
えばプラスチック製の透明カバー54と、を備えてい
る。
【0050】また、測温値決定部4は、測温スイッチS
W4と各種の電子部品4Cとを備えて構成される。温度
(体温)検出に直接関係するものとしては、図2に示す
ように、赤外線受光検出部2から出力される体温(鼓膜
温度)に応じた電圧信号を増幅するアンプ41と、その
出力をA/D変換するA/Dコンバータ42と、その出
力値を数値処理して測温値を決定し、LCD部5のLC
Dパネル51に表示させるCPU44と、CPU44に
おける各種処理の作業エリアとなるRAM43と、を備
えている。
【0051】また、耳式体温計1では、赤外線受光検出
部2内に後述の基準点感温素子73を備えていて、測温
値決定部4は、基準点感温素子73の出力を増幅するア
ンプ71と、その出力をA/D変換するA/Dコンバー
タ72と、をさらに備えている。論理的なブロックとし
ては、上記の基準点感温素子73と、アンプ71と、A
/Dコンバータ72と、により、基準温度検出部7が構
成される。CPU44は、基準温度検出部7によって検
出された温度を基準温度として入力し、それに基づいて
測温値を決定する。
【0052】具体的には、まず、電源スイッチSW6や
測温スイッチSW4は、CPU44の入力ポートに接続
され(図30参照)、電源オフの初期状態では、CPU
44はスタンバイ状態、他の回路は非通電状態となって
いる。この状態で、ユーザにより電源スイッチSW6が
押されると、CPU44は、そのレベル変化を割り込み
信号として検出して活性状態となり、他の回路は通電状
態となる。CPU44は、活性化すると、まず、LCD
パネル51に全点灯表示(初期表示)を行い、続いて、
各種フラグ等の初期化処理など、測定の準備を行い、準
備が終了すると、「測定準備OK」の旨を示す表示を行
う。
【0053】次に、この測定(準備OKの)状態で、ユ
ーザにより測温スイッチSW4が押されると、CPU4
4は、A/Dコンバータ42およびA/Dコンバータ7
2を活性化させ、赤外線受光検出部2からの出力電圧を
アンプ41およびA/Dコンバータ42を介してディジ
タル値として入力するとともに、基準点感温素子73か
らの出力をアンプ71およびA/Dコンバータ72を介
して入力し、各アンプのオフセット電圧等により補正し
つつ、A/Dコンバータ72の出力から基準温度を求
め、それに基づいて、A/Dコンバータ42の出力から
測温値(体温:ここでは鼓膜温度)を算出する。
【0054】測温値算出(測温値決定)が終了すると、
続いて、ビープ音等による報知とともに、その測温値を
測定結果としてLCDパネル51に表示し、A/Dコン
バータ42、72を不活性化させる。この状態で、電源
スイッチSW6を押すことにより、あるいはその後の一
定時間内に電源スイッチSW6や測温スイッチSW4の
操作がなければオートパワーオフにより、電源オフの初
期状態に戻す。
【0055】赤外線受光検出部2は、図1に示すよう
に、熱源Sの温度(体温:鼓膜温度)に対応する赤外線
を受光してそれに応じた電圧信号を出力する熱電堆(サ
ーモパイル)チップSPCとその受光部に赤外線を集光
させるバイナリレンズBLとを有する赤外線検出チップ
21(図5(b)参照)と、サーモパイルチップSPC
を回路基板3に接続するボンディングワイヤ26と、こ
れらを保護する例えばプラスチック製のカバー22と、
粉塵等の進入を防止する赤外線透過性のフィルム23
と、それを支持するためのフィルム押さえオーリング2
4と、検温時に耳穴に挿入するために赤外線受光検出部
2全体を覆うように取り付けられた赤外線透過性のプロ
ーブキャップ25と、を備えている。
【0056】上記の耳式体温計1を使用する場合、ユー
ザは、まず、電源スイッチSW6を押し、LCDパネル
51が初期表示から「測定準備OK」の旨の表示に変わ
るのを確認する。続いて、プローブキャップ25の部分
を耳穴に入れ、測温スイッチSW4を押すと、測定が開
始され、その後、数秒後には、報知音とともに測温値が
LCDパネル51に表示されるので、その値(体温)を
確認できる。そして、その後は、電源スイッチSW6を
押すことにより、あるいは放置してオートパワーオフに
より、電源オフとすることができる。
【0057】ところで、上述のように、赤外線受光検出
部2では、熱源Sの温度(体温:鼓膜温度)に対応する
赤外線をバイナリレンズBLにより集光し、サーモパイ
ルチップSPCにおいて受光する。すなわち、いわゆる
赤外線センサを利用し、そのなかでも特にサーモパイル
型を利用している。赤外線センサとしては、前述のよう
に、焦電効果を利用する焦電型センサや抵抗変化を利用
するボロメータなどがあるが、耳式体温計1では、小型
化・低廉化を図るため、サーモパイル型を利用してい
る。
【0058】これに対し、同じくサーモパイル型の赤外
線センサを利用した耳式体温計であっても、導波管(導
光路、導波路等)を利用して光を誘導するタイプがあ
る。例えば図3に示すように、このタイプの耳式体温計
100では、支持金具207により導波管206を支持
し、プローブキャップ25からの赤外線を導波管206
により赤外線検出チップ210に誘導する。なお、耳式
体温計100では、測温スイッチSW4が回路基板3に
リード線201により接続されていて、耳式体温計1で
は、直付けであるなど、他の部分にも相違があるが、本
質的な相違は、赤外線の誘導方法とその赤外線から温度
を検出する部分にあるので、以下では、それらについて
説明する。
【0059】まず、上述の耳式体温計100では、図
3、図4(a)および図5(a)に示すように、入光し
た赤外線を導波管206内に伝搬させ、赤外線検出チッ
プ210に誘導する。赤外線検出チップ210では、サ
ーモパイル型の赤外線センサ209と基準温度を検出す
るためのサーミスタ211とをパッケージ基材212上
に搭載し、パッケージケース213により全体を一体化
させ、赤外線を入光する窓には、可視光を遮断し赤外線
を透過するためのシリコン(Si)等から成るフィルタ
(赤外線フィルタ)208が設けられている。
【0060】一方、図1(本実施形態)の耳式体温計1
では、まず、図5(b)に示すように、上記の赤外線セ
ンサ209に対応するサーモパイルチップSPCの表面
に直接接触(接合)するようにバイナリレンズBLを設
けて、赤外線検出チップ21として一体化している。バ
イナリレンズBLは、シリコン(またはゲルマニウム:
SiまたはGe)基板BLaに対してエッチング等によ
り多段構成のバイナリエレメントBLb(誇張して図
示)を構成することにより、全体として赤外線を集光す
るバイナリレンズとして機能させたレンズ(用)基板で
あり、サーモパイルチップSPCの表面に直接接合して
いる。また、その組成から、上記の赤外線フィルタ20
8と同様に、可視光を遮断し赤外線を透過する赤外線フ
ィルタとしての機能も兼ね備えているが、さらに近赤外
線等を遮断するなど波長領域を絞るために、硫化亜鉛
(ZnS)やゲルマニュウム(Ge)の多層膜による赤
外線コーティングBLcを施している。
【0061】図4(a)に示すように(耳式体温計10
0のように)、導波管206を利用して赤外線を誘導す
る場合、赤外線フィルタ208の窓の面(検出面)から
見た視野角はほぼ180°あり、導波管206外からの
(赤外線等の)光も入射(入光)され、また、外部の熱
(誤差熱)Sdによって内部に放射される赤外線等の干
渉を受け、さらにはこれらにより内部で乱反射した光も
誘導されて検出面に入射されるので、測定誤差が大きく
なる。これに対し、原理的に同図(b)に示すように
(耳式体温計1のように)、バイナリレンズBLにより
集光することにより、入射角を限定(制限)することが
でき、これにより誤差要因を少なくして、測定精度を向
上できる。
【0062】また、サーモパイル型の赤外線センサを備
えた測温計(または赤外線検出素子)では、原理的に、
赤外線を受光する熱吸収体(いわゆる黒体)側の接点
(温接点)と基準温度側の接点(冷接点)との間で、黒
体の温度変化に応じて生じる起電力(出力電圧)を検出
し、その出力電圧に基づいて、温接点冷接点間の温度差
(接点間温度差)を求めるとともに、それとは別に他の
温度検出手段(感温素子等)により基準温度を測定し
て、その基準温度と上記の接点間温度差から熱源Sの温
度(測温値:体温計等では体温)を決定する。このた
め、測定(検出)した基準温度と冷接点の温度との間に
温度差があると、それも誤差要因となり、測定精度に影
響する。
【0063】この点について、図5(a)で前述のよう
に、耳式体温計100の赤外線検出チップ210では、
基準温度を検出するためのサーミスタ211をパッケー
ジ基材212上に搭載している。このため、パッケージ
外(チップ外)にサーミスタ等を設けるのに比べれば精
度が高くはなるものの、依然として、サーミスタ211
により測定する基準温度の測定点と赤外線センサ209
(の冷接点)との距離が大きく、本来測定すべき冷接点
の温度を正確な基準温度として測定することは困難にな
っている。
【0064】また、図4(b)では原理を説明するため
に、バイナリレンズBLを、サーモパイルチップSPC
と離して図示したので、同図(a)の導波管206をレ
ンズに置き換えただけの関係に見えるが、導波管206
をレンズに置き換えただけでは、そのレンズと赤外線セ
ンサ209(の冷接点)との距離が離れてしまい、レン
ズ自体の温度と赤外線センサ209(の冷接点)との間
で温度差が生じ、基準点の温度環境と異なる温度環境の
レンズを介した測定となるために、これも誤差要因とな
り、測定精度に影響する。
【0065】これらの点について、耳式体温計1では、
まず、図5(b)で前述のように、サーモパイルチップ
SPCの表面に直接接触(接合)するようにバイナリレ
ンズBLを設けて、赤外線検出チップ21として一体化
している。また、同図に示すように、このバイナリレン
ズBLとサーモパイルチップSPCの接合部の近傍で、
かつ、冷接点(原理上の基準点:原理的基準点)近傍
に、図2で前述の基準点感温素子73としてPNダイオ
ードPNDを形成している(図8参照)。
【0066】すなわち、基準温度の測定点を、冷接点
(原理的基準点)近傍に配置することにより、基準温度
と冷接点温度との間の温度差による測定誤差を減少さ
せ、バイナリレンズBLを一体化してその接合点近傍に
基準温度の測定点を配置することにより、基準温度の測
定点とレンズ温度との温度差による測定誤差を減少させ
ることができる。また、半導体製造工程にて一体形成し
やすいPNダイオードPNDを基準点感温素子73とす
ることで、小型化を推進させ、それによりさらに冷接点
やレンズ等との間の距離を短縮でき、一体形成により大
量生産等が可能になって、低価格化(低廉化)し易くな
る。
【0067】以下、上述の構成について、さらに詳述す
る。まず、図5(a)で上述の耳式体温計100の赤外
線センサ209等では、図6に示すように、下面(裏
面)中央をエッチング等により中空化(点線部分)した
(薄膜のみの部分の:メンブレン構造の)シリコン基板
80の上面(表面、主面)に、金(金黒:ゴールドブラ
ック)をスパッタ蒸着等することにより熱吸収体(金の
黒体)81を形成する。この場合、黒体81が吸収した
熱の周囲への逃げを防いで温度上昇を高めるために、黒
体81は、熱伝導の悪い酸化膜(SiO2 :以下適宜
「SiO2」や「SiO」と説明および図示する。)9
4、96、窒化膜(Si34:以下適宜「SiN」と略
して説明および図示する。)97などで構成される数ミ
クロン厚の薄膜層上に形成する(図8参照)。
【0068】また、高感度の熱電対82の温接点83を
黒体81の近隣に(上記の薄膜層等を介して近接するよ
うに)設け、冷接点84をメンブレン構造外のシリコン
基材80の基材部分が残っている周辺部に設ける。この
場合のシリコン基材80は、冷接点84のヒートシンク
としての機能を合わせ持つことになる。この状態で、熱
電対82では、温接点83と冷接点84との間に黒体8
1の温度上昇に応じた起電力(起電圧)を生じる。ただ
し、単一の熱電対82では起電圧が十分とは言えないの
で、これを複数直列接続して(例えば図14参照)、両
端を端子(例えば+端子)86および端子(例えば−端
子)87とし、両端子86、87間の電圧を出力電圧と
する熱電堆85を構成する。
【0069】図6で上述の構成までは、耳式体温計10
0の赤外線センサ209ばかりでなく、耳式体温計1の
サーモパイルチップSPCでも、図7に示すように、同
様の構成(黒体81や熱電堆85等)を備えている。な
お、熱電対82を構成する導電体の組合せとしては、ア
ルミ(Al)に対して、(リンドープされた)ポリシリ
コン(図示および説明では後述のPN接合の「P−」と
区別するため「Si−P」とする)、モリブデンシリサ
イト、窒化チタン、タングステンシリサイト等が考えら
れるが、以下では、主にポリシリコンとして説明する。
【0070】そして、上記の構成に加え、サーモパイル
チップSPCでは、図7、図8および図9に示すよう
に、冷接点(原理上の基準点:原理的基準点)の近傍
(ほぼ直下)に、図2で前述の基準点感温素子73とし
てPNダイオードPNDを形成している。なお、図8に
示すように、アクセプタ不純物のドープ量が多い「P
+」の領域(以下「P+領域」)DP1(またはDP
2)や、ドナー不純物のドープ量が多い「N+」の領域
(以下「N+領域」)DN1(またはDN2)は、実際
には熱電対82を構成するアルミ(Al)91やポリシ
リコン(Si−P)92より下層に形成されるが、図7
や図9では見やすさを重視して表面に図示している。ま
た、図8のN+領域DN1(またはDN2)に点線で図
示の部分93がダイオードとしてのPN接合領域とな
る。
【0071】また、サーモパイルチップSPCでは、図
7および図9に示すように、基準点感温素子73のPN
ダイオードPNDとして、実際には2つのダイオード
(図12で後述のダイオードD1およびD2)が形成さ
れている。具体的には、共通のアノード端子DAに接続
されて一方に延びるP+領域DP1および他方に延びる
P+領域DP2のそれぞれに対応して、カソード端子D
K1に接続されたN+領域DN1およびカソード端子D
K2に接続されたN+領域DN2が形成されている。
【0072】従来、例えば図6で前述の赤外線センサ2
09等では、まず、シリコン基板80の表面(主面)に
(例えばCVD(Chemical Vapor Deposition )法(化
学蒸着法)等により)酸化膜(SiO2)94等の薄膜
層を形成することから半導体製造工程が開始されるが、
サーモパイルチップSPCでは、その前に、まず、図8
に示す酸化膜(SiO2:例えばフィールド酸化膜)9
5をパターニングして形成し、P+領域DP1(および
DP2)やN+領域DN1(およびDN2)をドープに
より形成し(これにより相対的にP−基板80とな
る)、その後、改めて酸化膜(SiO2)94等の種々
の金属・半導体の層をパターニングして形成する。
【0073】すなわち、その後は、従来と同様に、図8
に示す各層を形成するように、薄膜形成、熱電対形成、
電極形成、黒体(金黒)形成の各工程を行い、裏面から
シリコン基板80をパターニングに従って酸化膜(Si
O2)94までエッチングしてメンブレン構造とし、ハ
ンドリング上の必要性に応じてスクウェイブ・ブレー
ク、単体検査(チップ検査)、アッセンブリ等(並行し
て製造したバイナリレンズBLの接合を含む)を行う。
【0074】なお、酸化膜(SiO2)94等は、上記
のメンブレン構造形成の際の裏面からのエッチング等に
対するストッパーとなっているので、図15以降で後述
のスリット98を形成する部分は、パターニングにより
ストッパーとなる薄膜層を削除しておくことにより、上
記のエッチングの工程において形成できる。また、図7
〜図9で上述の例では、P+領域を内側、N+領域を外
側に配置・形成したが、逆にすることもできる。また、
上述の例では、2つのダイオードのP+領域やN+領域
を相互に異なる方向に延ばして形成したが、例えば図1
0および図11に示すように、共通のP+領域DPを挟
むように、N+領域DN1およびN+領域DN2を形成
しても良い。これらは、ダイオードとしての温度特性や
チップとしての歩留まり、あるいは扱い安さ(ハンドリ
ング:各端子を一カ所に集めた方が便利か否かなど)等
を考慮して適宜選択すれば良い。
【0075】上述のダイオード素子は、図2で前述の基
準点感温素子73を構成するので、次に、その出力を入
力するアンプ71の構成例について説明する。
【0076】本例のアンプ71では、図12に示すよう
に、まず、図9または図10等で上述のアノード端子D
Aとカソード端子DK1との間に形成したダイオードを
ダイオードD1、アノード端子DAとカソード端子DK
2との間に形成したダイオードをダイオードD2とし、
トランジスタJ1と抵抗R1(例えば50kΩ)から成
る順方向電流IF1を流すための電流源と、トランジス
タJ2と抵抗R2(例えば100kΩ)から成る順方向
電流IF2を流すための電流源に、それぞれ接続するこ
とにより、ダイオードD1の内部抵抗に比例した順方向
電圧(アノード端子DAとカソード端子DK1との間の
電位差)VF1と、ダイオードD2の内部抵抗に比例し
た順方向電圧(アノード端子DAとカソード端子DK2
との間の電位差)VF2を取り出す。
【0077】また、順方向電圧VF1はオペアンプ(以
下単に「アンプ」)U6を介して(アンプU6により増
幅して)、順方向電圧VF2はアンプU7を介して(ア
ンプU7により増幅して)、差動アンプU8に入力する
ことにより、それらの電圧差Vout(以下「ΔVF」
(デルタVF)という。ただし、ΔVF=VF1−VF
2)を求める。この電圧差ΔVFが図2で前述のアンプ
71の出力となり、前述のように、A/Dコンバータ7
2を介して、ディジタル値としてCPU44の入力とな
る。
【0078】半導体素子は一般に、熱(温度)や光など
に対して所定の特性を有し、ダイオードの場合も、所定
の温度特性を有する。ダイオードの場合の順方向電流I
Fおよび順方向電圧VFの原理的な式(理論式)は、図
13(a)の(1)式および(2)式のようになる。こ
のため、原理的には、図12で上述の2組(ダイオード
D1+トランジスタJ1+抵抗R1の1組、ダイオード
D2+トランジスタJ2+抵抗R2の1組、の計2組)
の一方の1組のみでも、基準温度を検出できる。すなわ
ち、上述の式に従って、あるいは上述の式の温度と電圧
との関係を測定値等から求めてテーブル化して記憶して
おいてそれを参照することにより、CPU44では、検
出した順方向電圧VF(のディジタル値)に基づいて、
基準温度を求める(決定する)ことができる。
【0079】これに対し、耳式体温計1のサーモパイル
チップSPCでは、上述のように、2つのダイオードD
1、D2を使用(形成)している。また、この場合、順
方向電流IF1と順方向電流IF2とを相異なる値にし
ている。すなわち、同一構成のトランジスタJ1、J2
に対してそれぞれ接続する抵抗R1(例えば50k
Ω)、R2(例えば100kΩ)を異なる抵抗値とする
ことにより、一方の電流源(トランジスタJ1+抵抗R
1)による順方向電流IF1と、他方の電流源(トラン
ジスタJ2+抵抗R2)による順方向電流IF2とを、
互いに異なる値としている。
【0080】そして、この場合、順方向電流IF1によ
る順方向電圧VF1と、順方向電流IF2による順方向
電圧VF2との電圧差ΔVF=VF1−VF2の理論式
は、図13(b)の(3)式のようになる。ここで、同
一チップ内(同一半導体基板:同一シリコン基板80)
に同様に形成した2つのダイオードD1、D2では、ダ
イオードとしてほぼ同一の特性等を得られるので、例え
ばダイオードD1の逆方向飽和電流IS1とダイオード
D2の逆方向飽和電流IS2とは同一となり、この場
合、電圧差ΔVFの温度特性(ΔVf)の理論式は、同
図の(4)式のようになる。すなわち、形成したダイオ
ードの逆方向飽和電流等のダイオード特性がたとえ理論
値(設計値)と異なる値を示すものであっても、理論値
とのズレを相殺できる。
【0081】そして、これらの場合も、上述の式に従っ
て、あるいは電圧差と温度との関係を示すテーブル等を
参照することにより、CPU44では、検出した電圧差
ΔVF(のディジタル値)に基づいて、基準温度を求め
る(決定する)ことができる。なお、上述の例では、2
つのダイオードD1、D2の順方向電流IF1、IF2
を、意識的に異なる値として、それらの差分により基準
温度を求めたが、抵抗R1、R2も含めて同一の回路構
成としておき、検出された順方向電圧VF1と順方向電
圧VF2の平均値等を検出値として、基準温度を求める
ようにしても良い。この場合も、ダイオードの形成位置
の違い等による特性差や環境差、あるいは理論値(設計
値)とのズレなどを相殺し得る。
【0082】すなわち、耳式体温計1のサーモパイルチ
ップSPCでは、基準点感温素子73として、2つのダ
イオードD1、D2を形成(使用)しているので、上述
の逆方向飽和電流等のチップ毎に異なるダイオードの特
性差(特性の違い)による測定誤差、あるいはそのほか
にも、雑音や電位変動その他の測定環境の変動要素など
による測定誤差を相殺でき、測定精度を向上できる。な
お、上述の例では、ダイオード(感温素子)を2つとし
たが、さらに数を増やして精度を向上させることもでき
る。
【0083】上述のように、耳式体温計1のサーモパイ
ルチップ(赤外線検出素子)SPCでは、シリコン基板
(半導体基板)80と、その主面上に形成され、赤外線
を受光する黒体(熱吸収体)81の温度に基づいて電圧
を発生する熱電堆85と、熱電堆85の基準温度を検出
する基準温度検出部(基準温度検出手段)7と、を備え
ているので、いわゆるサーモパイル型の赤外線センサの
機能を有し、また、半導体製造の工程(プロセス)を利
用して小型化・低廉化が図れる。
【0084】そして、この場合、基準温度感温素子(基
準温度検出手段の感温部)73は、熱電堆85を形成し
た半導体構造内に一体形成されているので、熱電堆85
との距離を短縮でき、これにより、熱電堆85の基準温
度検出の測定誤差を小さくして測定精度を向上できると
ともに、全体としてさらに小型化が図れ、大量生産等に
適しているので、さらに低廉化が図れる。また、基準温
度感温素子(感温部)73は、ダイオードD1、D2と
して機能するように構成されているので、ダイオードと
しての温度特性に基づいて基準温度を検出でき、また、
ダイオードなので、半導体構造内に容易に一体形成で
き、小型化・低廉化に適している。
【0085】また、半導体基板はシリコン基板80なの
で、CVD法等の半導体製造における一般的な製法によ
り薄膜形成やエッチング等が容易なことから、熱電堆8
5や感温部となる半導体素子(感温素子:例えばダイオ
ード)を一体形成し易く、小型化・低廉化に適し、基準
温度の測定点を熱電堆の冷接点近くに配置しやすい。ま
た、熱電堆85の冷接点84のヒートシンクとしての機
能を合わせ持つことができる。また、具体的に、基準温
度検出の原理的基準点である冷接点の直下(近傍)にダ
イオードD1、D2(基準温度感温素子(感温部)7
3)が配置されているので、測定点と基準点との距離や
環境差に基づく測定誤差が小さく、さらに高精度の測定
精度が可能な赤外線検出素子となっている。
【0086】また、基準温度感温素子(感温部)73と
して、複数(例では2つ)のダイオードD1、D2(半
導体素子)を形成し、それらの出力に基づいて、平均値
を求めたり、差分を求めたりすることができるので、形
成する配置位置の違い等による環境差、あるいはそれら
の特性差、理論値(設計値)とのズレ、雑音その他の測
定環境の変動など、測定誤差の誤差要因を相殺可能とな
り、これにより、測定精度を向上できる。
【0087】なお、感温部として複数の半導体素子を有
することのみによる利点は、例えば図5(a)で前述の
耳式体温計100の赤外線検出チップ210において、
基準温度を検出するためのサーミスタ211をパッケー
ジ基材212上に複数(例えば2個)搭載することによ
っても得られる。すなわち、同一温度における同一の入
力値に対する出力値が、設計値として互いに同一の複数
(2個)の半導体素子を設置した場合、同一の入力を印
加しておくことにより、原理的には、同一の測定環境
(温度環境等)であれば、同一の出力が得られる。逆に
言えば、同一の入力値に対して異なる出力値となった場
合、その相違は、設置位置等による測定環境(温度環境
等)の相違、あるいは実際の物としての特性差(設計値
とのズレ等)、あるいは同一にしているはずの入力値が
実際には異なっているなどの設計値とのズレ等に起因す
るものと考えられる。
【0088】そして、これらの場合、例えば測定点から
等距離に2つの半導体素子(サーミスタやダイオード
等)を設置しておいて同一の入力値に対する出力を検出
して平均すれば、上述の各種の誤差要因を相殺し得る。
ただし、同様の方法(複数の平均を利用する方法)を採
用するにしても、上述した耳式体温計1の赤外線検出チ
ップ21では、同一のシリコン基板80に(すなわち同
一特性を得やすい環境の下に)複数(2つ)のダイオー
ドD1、D2を形成しているので、一体化との相乗作用
により測定誤差の誤差要因を相殺し易い。
【0089】また、前述のように、同一の温度変化に対
する出力の変化値が互いに異なる値となる2つの半導体
素子(サーミスタやダイオード等)を用いて、それらの
出力の差分に基づいて、温度検出をすることもできる。
この場合、雑音や電位変動その他の測定環境の変動要素
は、2つの半導体素子の出力に同様に影響することが多
いので、一つではそれらが測定誤差として大きく影響し
ても、差分を求めることにより、それらの影響を相殺し
得る。したがって、これにより、測定精度を向上でき
る。
【0090】この場合、上述の耳式体温計1の赤外線検
出チップ21の複数(2つ)のダイオードD1、D2の
ように、同一の温度変化に対する出力の変化値がそのと
きの入力値に対応して変化する半導体素子を用いた場
合、これらに対して異なる値の入力(例えば前述の異な
る値の順方向電流の印加等)をすることにより、その入
力値の違いにより、同一の温度変化に対する出力の変化
値が互いに異なる値となる2つの半導体素子となる。こ
のため、これらの出力の差分(例えば前述の順方向電圧
の差ΔVF等)に基づいて、温度検出ができ、また、雑
音や電位変動その他の測定環境の変動要素などによる測
定誤差を相殺でき、これにより、測定精度を向上でき
る。
【0091】そして、この場合、上述の複数(2つ)の
ダイオードD1、D2のように、2つの半導体素子を、
同一温度における同一の入力値に対する出力値が、設計
値として互いに同一の半導体素子とすることにより、上
述の各種の誤差要因の影響も同一に成りやすく、測定誤
差を相殺しやすい。また、同様の方法(複数の差分を利
用する方法)を採用するにしても、上述の赤外線検出チ
ップ21では、同一のシリコン基板80に(すなわち同
一特性を得やすい環境の下に)複数(2つ)のダイオー
ドD1、D2を形成しているので、一体化との相乗作用
により測定誤差の誤差要因を相殺し易い。また、複数
(2つ)でも同様に(例えば同一工程で)形成できるの
で、大量生産・低廉化に適している。なお、差分を求め
る測定方法と平均を求める測定方法とを切り換えて使用
することも可能になる。
【0092】また、上述の赤外線検出チップ21では、
バイナリレンズBLとサーモパイルチップSPCとを接
合して一体化しているため、導波管(導光管)等を使用
する場合に比べて、外部の熱(誤差熱)による放射赤外
線の影響(干渉)を低減でき、熱吸収体で受光する赤外
線の入射角を制限でき、これにより、誤差要因を少なく
して、測定精度を向上できる。また、一体化により基準
温度(測定点の温度)とレンズ温度との温度差による測
定誤差をも減少でき、また、この場合のダイオードD
1、D2の形成(配置)位置は、図5(b)でも前述の
ように、冷接点(原理的基準点)84の近傍であるとと
もに、バイナリレンズBLとサーモパイルチップSPC
の接合部の近傍でもあるため、基準温度を検出すると同
時にレンズ温度をも把握でき、レンズ特性(集光特性)
等の温度補正等も可能になるので、さらに測定精度を向
上できる。
【0093】そして、耳式体温計1(測温計)では、熱
源の温度が人間の鼓膜温度であり、赤外線検出部2に上
述のサーモパイルチップSPCを含む赤外線検出チップ
(赤外線検出素子)21を備え、ダイオードD1、D2
(感温部)の順方向電圧VF1、VF2の電圧差ΔVF
から基準温度を求め、熱電堆85の出力電圧と基準温度
に基づいて、熱源Sの温度(体温:人間の鼓膜温度)を
決定する測温値決定部(測温値決定手段)4をさらに備
えるので、体温を測定する体温計として機能する。ま
た、小型化・低廉化を図りつつ、温度検出の精度を向上
できる赤外線検出チップ(赤外線検出素子)21を利用
するので、測温計としても、小型化・低廉化を図りつつ
温度検出の精度を向上できる。
【0094】ところで、サーモパイル型の赤外線センサ
では、一般に、例えば上記の基準温度に対して500度
程度高い温度を検出・測定する場合でも、黒体の温度上
昇が1度以下とわずかであり、このことから、氷点下か
ら1000°C以上まで測っても、センサとしての劣化
が少ないという利点があり、安定した測定が可能であ
る。しかし、その反面、わずかな温度変化を迅速に検出
するためには、応答性(感度)を高める必要がある。特
に本実施形態のように、体温計等に使用する場合、実用
上(例えば乳児や幼児の体温を身動きを我慢できる時間
内に測定するなど)、迅速に測定する必要があり、それ
に対応できる感度が必要である。また、この感度を得る
ために、一つ一つの熱電対(サーモカップル)を長くし
たり、熱電堆(サーモパイル)としての直列接続の数を
増加させるのでは、全体が大きくかつ高価になってしま
い、小型化・低廉化を図れるという利点が薄れてしま
う。
【0095】そこで、耳式体温計1では、サーモパイル
型を適用して小型化・低廉化を図りつつ、温度測定の感
度を高める工夫を施している。以下、その点について説
明する。
【0096】まず、原理的に、サーモパイル型の赤外線
センサにおいて、感度を高めるためには、熱電堆(サー
モパイル)を構成する温接点の部分の温度を少しでも高
く、冷接点の部分の温度をできるだけ環境温度(室温
等)に近づけて、両接点間の温度差を確保し、各熱電対
の起電力(起電圧:両接点間電位差:出力電圧)を大き
くすることである。そして、このためには、熱吸収体に
よる赤外線の吸収を増加させ、それによる熱の冷接点側
への伝導を減らす必要がある。
【0097】耳式体温計1のサーモパイルチップSPC
(赤外線検出素子)にも適用可能な熱電堆85として
は、例えば図14に示す構成が考えられる。同図(およ
び図8または図11参照)に示すように、この熱電堆8
5の各熱電対82は、2種の導電体としてアルミ(A
l)91およびポリシリコン(Si−P)92を有して
構成され、黒体81に近い側(薄膜層のみのメンブレン
構造の部分の上面)に温接点83、遠い側(ヒートシン
クとなるシリコン基板80の周辺部の上面)に冷接点8
4が設けられている。
【0098】ここで、上記の構成を特性上から分割し、
温接点83の部分や黒体(熱吸収体)81を支持する温
接点支持領域と、冷接点84の部分を支持する冷接点支
持領域と、それらを連結する導電体91、92を支持す
る中間支持領域と、に分けて考える。この場合、前述の
ように、サーモパイルチップSPCの基板は、主面側が
温接点支持領域および中間支持領域となる板厚が薄い薄
板部と、主面側が冷接点支持領域となる板厚が厚い厚板
部と、薄板部と厚板部との板厚の差によって形成される
中空部(保温部:メンブレン構造の下部)KWと、を有
する(図5、図7、図8等参照)。
【0099】この場合、中空部KWは、何らかの熱伝導
媒体がある場合に比べて熱の伝導を低減するので、いわ
ゆる保温作用があり、これにより、温接点支持領域にあ
る黒体81や温接点83、および熱電対の導電体91、
92からの熱伝導を低減させ、温接点冷接点間の温度差
を確保して、各熱電対82の起電力(起電圧)を大きく
し、温度測定の感度(測定感度)を高めることができ
る。前述のように、熱伝導率の高いシリコン(Si)層
から成る第1基板層80の上に熱伝導率の低い酸化膜
(SiO)94や窒化膜(SiN)97等から成る第2
基板層を形成(元の半導体基板となる)した後、裏面側
から一般的な半導体製造工程であるエッチング工程にお
いて、中空部KWを容易に形成できる。
【0100】すなわち、シリコン基板(第1基板層)8
0の上に各種薄膜層(第2基板層)を形成することで元
の半導体基板を形成でき、その一つの(元の)半導体基
板に対して、中空部KWに相当する部分をエッチングに
より第2基板層に至るまで裏面側から削除することで、
中空部KWを形成できるので、半導体製造工程にて容易
に形成できるとともに、温接点支持領域および中間支持
領域となる薄板部は、熱伝導率の低い各種薄膜層(第2
基板層)のみとなるので、保温に適し、冷接点支持領域
となる厚板部には熱伝導率の高いシリコン基板(第1基
板層)80があるので、ヒートシンク機能を有して、冷
接点84を環境温度(室温等)に近づけて、温接点冷接
点間の温度差を確保し、各熱電対82の起電力を大きく
するのに適している。
【0101】そして、上述までの作用は、図14に示す
構造にて得られるが、耳式体温計1のサーモパイルチッ
プSPCでは、図15および図16に示すように(図1
6は図15の−において冷接点83側(図示右側)
から見た断面の構成例を示す)、上述の各熱電対82を
構成する導電体91、92を支持する中間支持領域にお
いて、導電体91、92のうちの一方の導電体(例えば
アルミ(Al)91)と隣接する熱電対82の他方の導
電体(例えばポリシリコン(Si−P)92)との間
に、主面から裏面側の中空部KWに連通するスリット
(中空連通路)98を設けている。このスリット98
も、前述のように、上記の中空部KWを形成するエッチ
ング工程にて形成できるので、改めて特殊な工程を経る
ことなく形成できる。なお、この例では、スリット(中
空連通路)98以外の構成は、スリット98を形成しな
い場合と同様の構成となっている。
【0102】この場合のスリット(中空連通路)98
は、上述の中空部KWと同様に、何らかの熱伝導媒体が
ある場合に比べて熱の伝導を低減する保温作用があり、
これにより、温接点83側と冷接点84側の相互間の熱
伝導を低減させ、両接点間の温度差を確保して、各熱電
対82の起電力(起電圧)を大きくし、測定感度を高め
ることができる。また、この場合、スリット98は、図
示のように、温接点83の部分と冷接点84の部分とを
接続する方向を長手方向とするので、その長手方向にお
ける保温作用(すなわち温接点冷接点間の温度差)を十
分に確保しつつ、それと直交する方向(図16の断面の
図示左右方向)の密度は高くすることができるので、小
型化に適している。
【0103】そして、耳式体温計1(測温計)では、熱
源の温度が人間の鼓膜温度であり、赤外線検出部2に上
述のサーモパイルチップSPCを含む赤外線検出チップ
(赤外線検出素子)21を備え、さらにダイオードD
1、D2(感温部)の順方向電圧VF1、VF2の電圧
差ΔVFから基準温度を求め、熱電堆85の出力電圧と
基準温度に基づいて、熱源Sの温度(体温:人間の鼓膜
温度)を決定する測温値決定部(測温値決定手段)4を
備えるので、体温を測定する体温計として機能する。ま
た、小型化・低廉化を図りつつ、温度検出の精度を向上
でき、また感度を高くできる赤外線検出チップ(赤外線
検出素子)21を利用するので、測温計としても、小型
化・低廉化を図りつつ温度検出の精度を向上でき、感度
を高めることができる。
【0104】なお、図15および図16で上述の例で
は、前述のように、スリット(中空連通路)98以外の
構成は、スリット98を形成しない場合と同様の構成と
なっている。言い換えれば、他の利点はそのまま維持し
つつ、さらにスリット98を形成することにより、温接
点冷接点間の熱伝導を低減させて温度差を確保し、起電
力を大きくして、測定感度を高めることができる。
【0105】また、例えば図17および図18に示すよ
うに(図18は図17の−において冷接点83側
(図示右側)から見た断面の構成例を示す)、中間支持
領域において、一方の導電体(例えばアルミ(Al))
91と、他方の導電体(例えばポリシリコン(Si−
P))92との間に、酸化膜(SiO)99等を設け
て、導電体91、92を上下に重ね、密度を高くしてさ
らに小型化を図ったり、図示のように、全体の表面積を
変えずにスリット98を大きくしてさらに測定感度を高
めても良い。
【0106】また、スリット98を一方または双方の導
電体の幅内に設けることもできる。例えば図19および
図20に示すように(図20は図19の−において
冷接点83側(図示右側)から見た断面の構成例を示
す)、中間支持領域において、一方の導電体(例えばポ
リシリコン(Si−P))92の表面からスリット98
につながる開口部が設けられている。すなわち、この開
口部はスリット98に直接つながるので、中間支持領域
における導電体の熱を中空連通路において保温し易くな
り、温接点冷接点間の温度差を十分に確保でき、また、
導電体間の密度は高くできるので、小型化に適してい
る。また、この場合、導電体の上側の表面から貫通する
開口部でなくても、その導電体の下側の表面につながる
開口部(凹部)を設けるようにしても良い。
【0107】なお、一般に、良い熱電材料は、抵抗率が
小さく、かつ、熱伝導率が小さいことが必要であり、こ
の意味で、抵抗率が小さくても熱伝導率が大きく成りや
すい金属より、抵抗率を小さく熱伝導率も小さい材料を
得やすい半導体が多く用いられている。言い換えれば、
単位温度差当たりの熱起電力を示す絶対熱起電能(いわ
ゆるゼーベック係数)が普通の金属より桁違いに大きい
半導体材料も得られる。このため、上述の熱電堆85に
おける一方の導電体であるポリシリコン(Si−P)
は、いわゆる5族元素のP(リン)をドナー不純物とし
てドープしたものであり、いわゆるn形半導体である
が、より抵抗率や熱伝導率が小さい半導体材料にも変更
できる。
【0108】また、例えばいわゆる3族元素等のアクセ
プタ不純物をドープしたp形半導体を導電体として使用
することもできる。また、上述の例では、他方の導電体
は金属のアルミ(Al)としたが、熱電対の一対の導電
体として、p形半導体とn形半導体の組合せを用いても
良い。この場合、p形半導体とn形半導体のゼーベック
係数は反対の極性なので、p形半導体とn形半導体とを
交互に直列接続した熱電堆とすることもできるし、それ
らの接続部(温接点や冷接点を担当する部分)にのみ、
さらに抵抗率の小さい金属を用いることもできる。
【0109】なお、一般に、いわゆるケルビンの関係式
やカルノーサイクルの効率式等に基づいて、熱電堆(ま
たは熱電発電器)としての効率(あるいはそれらの使用
する各種材質の性能係数、ペルチェ係数やトムソン係数
等)を考慮すれば、高い効率(あるいは感度)に到達で
きる。また、一方または双方の導電体として金属を使用
する場合でも、温接点冷接点間(すなわち中間支持領域
上)のみ熱伝導率の小さい金属や半導体により中継する
(中間導体として使用する)ことにより測定感度を向上
することもできる。
【0110】ところで、上述の実施形態の耳式体温計1
では、図5(b)で前述のように、サーモパイルチップ
SPCの表面に直接接触(接合)するようにバイナリレ
ンズBLを設けて、赤外線検出チップ21として一体化
し、このバイナリレンズBLとサーモパイルチップSP
Cの接合部の近傍で、かつ、冷接点(原理的基準点)近
傍にするため、具体的には、図2で前述の基準点感温素
子73としてPNダイオードPND(ダイオードD1、
D2)を冷接点84のほぼ直下に形成した(図8参
照)。
【0111】しかし、バイナリレンズBLとサーモパイ
ルチップSPCの接合部の近傍で、かつ、冷接点(原理
的基準点)近傍の条件を満たす位置であれば、PNダイ
オードPND(ダイオードD1、D2)を別の位置に形
成しても良いし、また、バイナリレンズBLやサーモパ
イルチップSPCとしても、別の構成が考えられる。以
下、これらの変形例について、説明する。
【0112】まず、PNダイオードPND(ダイオード
D1、D2)を、図5(b)で前述のバイナリレンズB
L側に形成することもできる。また、そのバイナリレン
ズBLを、図21に示すように、例えばバイナリレンズ
チップBLCとダイオードチップDDCに分割形成して
も良い。もちろん、PNダイオードPND(ダイオード
D1、D2)を形成しなくても、バイナリレンズBLを
複数に分割して形成できるが、以下では、効率的に説明
するため、上記の双方を採用し、バイナリレンズBL
を、バイナリレンズチップBLCとダイオードチップD
DCに分割形成し、かつ、PNダイオードPND(ダイ
オードD1、D2)を、ダイオードチップDDCに形成
する場合について説明する。
【0113】本例では、図21(a)および図22に示
すように、赤外線チップ12は、バイナリレンズチップ
BLC(ただし、図21(a)では図5(b)と同様に
バイナリエレメントBLbを誇張して図示)と、ダイオ
ードチップDDCと、サーモパイルチップSPC(ただ
し、PNダイオードPNDはダイオードチップDDC側
に形成するため除く)と、を備え、それらを接合して一
体化している。これらは全て、前述と同様に、所定のシ
リコン(またはゲルマニュウム)基板に対して、エッチ
ング等により形成した後に接合する。また、接合後に
は、ボンディングワイヤ26を片側(図示左側)からの
み引き出して、回路基板3に接続する。
【0114】まず、バイナリレンズBL(バイナリレン
ズチップBLC+ダイオードチップDDC)は、図5
(b)で前述のバイナリレンズBLと同様に、エッチン
グ(所定の半導体製造工程)により加工形成でき、組成
を工夫することにより、可視光を遮断する赤外線フィル
タとしての機能を兼備させることが可能であるが、さら
に波長領域を絞るための赤外線コーティングを施してい
る。これらの場合、バイナリレンズは、多段構成のバイ
ナリエレメントBLbを構成することにより形成できる
ので、通常の曲面から成るレンズ等に比べて、レンズと
しての同一の集光精度を確保するための成形が容易であ
り、これにより、低廉化が図れる。
【0115】また、本例では、ダイオードチップDDC
の下部(サーモパイルチップSPCとの接合部)には、
図21(b)および図22(b)に示すように、図2で
前述の基準点感温素子73のPNダイオードPNDとし
て、2つのダイオード(図12のダイオードD1および
D2)が形成されている。
【0116】具体的には、まず、カソード端子DKT1
に接続されたダイオードカソードパターンDKP1、そ
れに対応するN+領域DN1、カソード端子DKT2に
接続されたダイオードカソードパターンDKP2、それ
に対応するN+領域DN2、共通のアノード端子DAT
に接続されて2方向のうちの一方に延びるダイオードア
ノードパターンDAP1、それに対応するP+領域DP
1、上記アノード端子DATに接続されて2方向のうち
の他方に延びるダイオードアノードパターンDAP2、
それに対応するP+領域DP2が形成されている。
【0117】この場合、まず、ダイオードチップDDC
のシリコン基板180の表面(図示の下面側)に酸化膜
(SiO)105をパターニングして形成し、P+領域
DP1(およびDP2)やN+領域DN1(およびDN
2)をドープにより形成し、その後、改めて酸化膜(S
iO)106や窒化膜(SiN)107などの薄膜層
(半導体層)、あるいはアルミ(Al)から成るダイオ
ードアノードパターンDAP1(およびDAP2)やダ
イオードカソードパターンDKP1(およびDKP2)
などの金属層、その他の端子(アノード端子DAT等)
など、種々の金属・半導体の層をパターニングして形成
する。
【0118】この場合、できる限り、図21(b)およ
び(c)に示す関係に近いように(図22(b)(c)
も参照)、すなわち、熱電堆85の冷接点84のほぼ直
上部にダイオード領域103が形成されるように、上記
のP+領域DP1(およびDP2)やN+領域DN1
(およびDN2)を設ける。これにより、基準温度検出
の原理的基準点である冷接点84の直上部に感温部(ダ
イオードD1、D2)が配置されることになるので、測
定点と基準点との距離や環境差に基づく測定誤差をさら
に小さくでき、測定精度をさらに向上できる。
【0119】また、本例では、赤外線チップ12として
の端子となるDA、DK1、DK2(図7等で前述の例
と同じ)に、上述の感温部(ダイオードD1、D2)の
出力を接続するため、図22(c)に示すように、サー
モパイルチップSPC側に、接合用端子DAS、DKS
1、DKS2が設けられ、それぞれ同図(b)で上記の
ダイオードチップDDCの各端子DAT、DKT1、D
KT2に対応している。対応する端子は、図21(b)
および(c)で前述の部分より周辺部に、すなわち図2
2(b)および(c)に示す位置に設けられ、図23
(a)に示すように、相対する各端子を構成するアルミ
(Al)層を半田110により接続している(同図
(b)参照)。
【0120】また、前述のように、本例においては、上
記の赤外線チップ12としての各端子DA、DK1、D
K2から、図21(a)に示すように、ボンディングワ
イア26を引き出して、回路基板3に接続する。
【0121】そして、上述の例の場合も、耳式体温計1
(測温計)では、熱源の温度が人間の鼓膜温度であり、
赤外線検出部2に、上述のバイナリレンズチップBL
C、ダイオードチップDDC、サーモパイルチップSP
Cなどを含む赤外線検出チップ(赤外線検出素子)12
を備え、さらにダイオードD1、D2(感温部)を利用
して電圧差ΔVFから基準温度を求め、熱電堆85の出
力電圧と基準温度に基づいて、熱源Sの温度(体温:人
間の鼓膜温度)を決定する測温値決定部(測温値決定手
段)4を備えるので、体温を測定する体温計として機能
する。また、小型化・低廉化を図りつつ、温度検出の精
度を向上でき、また感度を高くできる赤外線検出チップ
(赤外線検出素子)12を利用するので、測温計として
も、小型化・低廉化を図りつつ温度検出の精度を向上で
き、感度を高めることができる。
【0122】なお、上述の例では、P+領域DP1(お
よびDP2)やN+領域DN1(およびDN2)の他
に、それと接触するように、ダイオードアノードパター
ンDAP1(およびDAP2)やダイオードカソードパ
ターンDKP1(およびDKP2)などを設けて、ダイ
オードとして同電位と成るべき箇所の電位差を無くすよ
うにして、より確実な動作を確保しているが、性能や動
作上の問題が無ければ、図7〜9等で前述したのと同様
に、P+領域DP1(およびDP2)やN+領域DN1
(およびDN2)から各端子DAT、DKT1、DKT
2に直接接続して、各パターンDAP1、DAP2、D
KP1、DKP2等を省略することもできる。また、必
要に応じて、周辺側に配置したP+領域DP1(および
DP2)と内側に配置したN+領域DN1(およびDN
2)との関係を逆にしても良い。
【0123】また、上述の例では、バイナリレンズチッ
プBLCとダイオードチップDDCとを水平面において
分割したが、バイナリレンズチップBLCの下面(サー
モパイルチップSPC側の面)の形状に合わせて接合し
やすいように、ダイオードチップDDCの形状を形成し
ても良い。また、このため、バイナリレンズチップBL
Cの一部はそのまま(ダイオードチップDDCを介さず
に)サーモパイルチップSPCに接合しても良い。
【0124】したがって、バイナリレンズBLを分割形
成する場合であっても、サーモパイルチップSPCに直
接接合する部分(接合部の一部)にPNダイオードPN
D(ダイオードD1、D2)を形成することもできる
(図5(b)で前述のバイナリレンズBL側に形成する
のと同様になる)。この場合、バイナリレンズチップB
LCも、例えばシリコン等の半導体から成るので、薄膜
形成やエッチング等が容易であり、感温部となる半導体
素子(感温素子:例えばダイオード)を一体形成し易
く、小型化・低廉化に適している。
【0125】すなわち、上述の例では、PNダイオード
PND(ダイオードD1、D2)を形成するために、
「ダイオードチップ」と呼んだが、本質的な意味は、バ
イナリレンズチップ(レンズ基板)BLCをサーモパイ
ルチップ(半導体基板)SPCに接合する接合部として
加工形成された半導体から成る接合基板であり、必要に
応じた形状に加工することにより、レンズとして加工形
成したバイナリレンズチップBLCをサーモパイルチッ
プSPCにピッタリと接合できる。もちろん、ダイオー
ドチップDDCも、例えばシリコン等の半導体から成る
ので、薄膜形成やエッチング等が容易であり、感温部と
なる半導体素子(感温素子:例えばダイオード)を一体
形成し易く、小型化・低廉化に適している。
【0126】また、上述の例では、ボンディングワイヤ
26を片側(図示左側)からのみ引き出す(回路基板3
に接続する)が、左右両側からでも良いし、周辺部全域
から取り出せるように、サーモパイルチップSPCをバ
イナリレンズBL(バイナリレンズチップBLC+ダイ
オードチップDDC)より一回り大きく形成することも
できる(この点、図5(b)で前述の例でも同様であ
る)。
【0127】また、サーモパイルチップSPC側にPN
ダイオードPND(ダイオードD1)を形成する場合、
図8や図11で前述の例では、冷接点84の近傍として
冷接点84の直下にダイオードを構成したが、図21〜
23で上述のバイナリレンズチップBLC側に形成する
場合と同様に、冷接点84の近傍としてその周囲に構成
しても良い(前述したが、図7や図9では見やすさを重
視して表面に図示しているので、ほぼ図7や図9で図示
する位置にダイオードを設ければ、冷接点84の周囲に
構成できる)。この場合、図21〜23で上述の例と同
様に(ただし上下逆の関係となるように)、例えば図2
4に示すように、ダイオードアノードパターンDAP1
(およびDAP2)やダイオードカソードパターンDK
P1(およびDKP2)などを設けて、ダイオードとし
て同電位と成るべき箇所の電位差を無くすようにして、
より確実な動作を確保するようにしても良い。
【0128】ところで、上述の各例では、図25(a)
に簡略化して示すように(図5(b)や図21(a)等
も参照)、酸化膜(SiO2)94等の薄膜層(以下、
図示および説明を簡略化して、まとめて1つの薄膜層と
する)SF上に、1組の黒体(熱吸収体)81(熱電堆
85)を備えている。なお、正確には黒体81の周辺部
の複数の熱電対82を直列接続したものが熱電堆85で
あるが、以下では、煩雑になるのを避けるため、適宜、
例えば黒体81(熱電堆85)等のように省略して図示
および説明する。
【0129】同図(a)の例の場合、熱源S1が放射す
る赤外線は受光しやすいが、それに比べて、図示の(相
対的に位置がずれた)熱源S2や熱源S3からの赤外線
は受光しにくい。すなわち、実際には赤外線は平行光線
ではないので、熱源S2や熱源S3からも赤外線の斜め
の成分(黒体81に向かう成分)の分は受光するが、黒
体81の表面に立てた法線上にある熱源S1からの赤外
線を受光する場合と比べて、その受光量は少なくなるの
で、黒体81の温度は、熱源S2や熱源S3の温度まで
上昇しにくく、これにより、熱電堆85の出力電圧も低
くなる。言い換えると、熱源との相対位置関係がずれる
と、十分な受光ができないので、測温値は小さくなり、
正確な温度測定が困難になる。
【0130】そこで、上記のような場合、例えば同図
(b)に示すように、熱源S1に対応する黒体81(熱
電堆85)を黒体811(熱電堆851:主熱電堆)と
し、少しずれた受光位置に、同様の構成の黒体812
(熱電堆852)や黒体813(熱電堆853)を形成
しておけば、熱源S1からの赤外線は黒体811によ
り、熱源S2からの赤外線は黒体812により、熱源S
3からの赤外線は黒体813により、十分に受光でき
る。また、この場合、それぞれ、熱源S1の温度は熱電
堆851の出力電圧として、熱源S2の温度は熱電堆8
52の出力電圧として、熱源S3の温度は熱電堆853
の出力電圧として、検出できる。
【0131】また、ここで、熱源Sが1つであって、上
記の熱源S1の位置にあるのか、熱源S2の位置にある
のか、熱源S3の位置にあるのか、などが不明の場合、
いずれの位置にあるにしても、熱電堆851、852、
853の出力電圧のうちの最大値を選択すれば、他の出
力電圧を選択するより、熱源Sの温度に対応する出力電
圧に最も近い値となる。言い換えると、最大値となる出
力電圧に基づいて求めた測温値は、他の出力電圧に基づ
いて求めた測温値より、熱源Sの温度に近い測温値とな
る。すなわち、原理的に、黒体(熱吸収体)の温度は熱
源Sの温度にほぼ一致するまで上昇することはあって
も、それ以上とはならないので、最大値が熱源温度に最
も近い正確な値(誤差が最も少ない値)となる。
【0132】以上は、赤外線を集光する赤外線レンズを
無視して説明したが、赤外線レンズがある場合も同様の
ことが言える。例えば図26に示すように、図4(b)
で説明した原理に合わせて、赤外線レンズ(バイナリレ
ンズ:図4(b)に合わせて一般的な凸レンズの形で図
示および説明する)BLによって、赤外線を集光する場
合を考える。
【0133】この例では、黒体811に立てた法線を光
軸L1として、その光軸L1(の延長)上に熱源Sがあ
れば、すなわち例えば図示の熱源S1の位置に熱源Sが
あれば、他の黒体812や黒体813における受光量よ
り、黒体811における受光量が多くなり、最も熱源S
(S1)の温度に近くなる。このため、その黒体811
の温度に基づいて電圧を発生する熱電堆851の出力電
圧は、黒体812の温度に基づく熱電堆852の出力電
圧や、黒体813の温度に基づく熱電堆852の出力電
圧より、大きくなる。すなわち、最大の出力電圧となる
熱電堆851の出力電圧に基づいて求めた測温値が、測
温値としても最大値となり、また、他から求められる測
温値より熱源Sの温度に近い、正確な(誤差の少ない)
測温値となる。
【0134】一方、例えば図示の熱源S2の位置(光軸
L2上)に熱源Sがあれば、黒体812における受光量
が最も多くなるので、黒体812の温度に基づく熱電堆
852の出力電圧が最大となり、それから求められる測
温値が、最大値、すなわち最も正確な測温値となる。同
様に、図示の熱源S3の位置(光軸L3上)に熱源Sが
あれば、黒体813における受光量が最も多くなり、熱
電堆853の出力電圧が最大となり、それから求められ
る測温値が、最大値、すなわち最も正確な測温値とな
る。
【0135】ここで、耳式体温計1の場合、耳孔の中で
最も高い温度である鼓膜の温度を測定することを目的と
するが、例えば図27に示すように、黒体811(熱電
堆851)で受光可能な赤外線の(例えば設計上の)光
軸L1上に熱源(鼓膜)Sがないと、黒体811(熱電
堆851)のみでは、精度の良い測定は困難となる。す
なわち、例えば図示のように、耳孔に挿入したときに、
外耳部分(外耳道)の一点である熱源S1の方向に向い
ている(光軸L1が熱源S1の方向に延びている)と、
測定対象の熱源(鼓膜)Sより温度の低い(熱源S1
の)部分の温度を測定してしまうことになる。
【0136】言い換えれば、最高温である熱源(鼓膜)
Sとその赤外線を受光すべき黒体811(熱電堆85
1)との相対位置関係がずれると、測定対象の熱源(鼓
膜)Sの温度を正確に測定できず、温度の測定精度が低
下する。しかし、耳式体温計1の赤外線受光検出部2
(正確にはプローブキャップ25)を耳孔に挿入したと
きに、赤外線センサとしてのセンサ部(感温部)となる
黒体811(熱電堆851)が測定対象の熱源(鼓膜)
Sに正確に対向しているか否かは、確認することができ
ない。
【0137】これに対して、図26で前述のように、黒
体811(熱電堆851)とは受光位置が異なる黒体8
12(熱電堆852)や黒体813(熱電堆853)な
どを備えている場合、例えば図27に図示のように、測
定対象の熱源(鼓膜)Sが前述の熱源S2の位置(光軸
L2上)にあれば、黒体811の代わりに、黒体812
によって、最高温である熱源(鼓膜)Sからの赤外線を
十分に受光できる。すなわち、図示の例では、黒体81
2における受光量が最も多くなるので、黒体812の温
度に基づく熱電堆852の出力電圧が最大となり、それ
から求められる測温値が最大値となり、最も正確な熱源
(鼓膜)Sの測温値となる。
【0138】また、上述の例のように、耳孔に挿入した
ときに、黒体811(熱電堆851)、黒体体812
(熱電堆852)、黒体813(熱電堆853)のうち
のどれが測定対象の熱源(鼓膜)Sに正確に対向してい
るか、を確認できなくても、熱電堆851、852、8
53の出力電圧のうちの最大値を選択すれば、他の出力
電圧を選択するより、熱源(鼓膜)Sの温度に対応する
出力電圧に最も近い値となる。言い換えると、最大値と
なる出力電圧に基づいて求めた測温値は、他の出力電圧
に基づいて求めた測温値より、最高温である熱源Sの温
度に近い測温値となる。
【0139】そこで、上述の原理を、前述の赤外線チッ
プ21(図5(b)参照)あるいは前述の赤外線チップ
12(図21(a))に応用した例について、以下に説
明する。例えば図28に示すように、この例における赤
外線チップ13も、基本的には、バイナリレンズBL
(ここでは、図21(a)と同様にバイナリレンズチッ
プBLC+ダイオードチップDDCとして図示するが、
図5(b)と同様に一体化も可)と、サーモパイルチッ
プSPCとを備え、それらを接合して一体化している。
これらは全て、所定のシリコン(またはゲルマニュウ
ム)基板に対して、エッチング等により形成した後に接
合し、接合後には、ボンディングワイヤ26を引き出し
て、回路基板3に接続する。
【0140】まず、サーモパイルチップSPCは、例え
ば図29に示すように、複数(ここでは5つ)の黒体
(熱吸収体)811〜815のそれぞれの温度に基づい
て電圧を発生する複数(5つ)の熱電堆851〜855
を有し、また、それらを同一のシリコン基板(半導体基
板)80の主面上(薄膜層SF上)に受光位置が互いに
異なる所定の配置で形成している。ここで、図示のC1
−C2における断面が図28のサーモパイルチップSP
Cの部分に相当する。また、図28の[ ]は、参考の
ため、C3−C4断面の場合を示したものである。
【0141】すなわち、図28および図29に示すよう
に、このサーモパイルチップSPCを備えた赤外線チッ
プ13では、5つの熱電堆851〜855を有すること
により、赤外線受光に応じた出力電圧をその数(5つ)
分だけ得ることができ、これらを受光位置が互いに異な
る所定の配置で形成しているので、その配置に沿った複
数(5つ)の受光箇所で受光する赤外線に応じた複数
(5つ)の出力電圧を得ることができる。
【0142】また、この例においても、前述の赤外線チ
ップ21(図5(b)参照)や赤外線チップ12(図2
1(a))と同様に、サーモパイルチップSPCの半導
体基板としてシリコン基板を使用しているので、CVD
(Chemical Vapor Deposition )法(化学蒸着法)等に
より薄膜形成も容易であり、また、熱電堆の冷接点のヒ
ートシンクとしての機能を合わせ持つことができる。す
なわち、半導体製造における一般的な製法により熱電堆
などを形成しやすく、このため、小型化・低廉化に適し
ている。
【0143】また、この例の場合、図29に示すよう
に、各熱電堆851〜855の電圧出力の2極のうちの
一方は、共通端子(例えば−端子あるいはグランド(G
ND)端子)87に共通接続されている。このため、例
えば前述の図2に相当する図30に示すように、赤外線
受光検出部2では、各熱電堆851〜855の共通接続
側(共通端子87側)を同一電位(ここではGND電
位)として、他方の端子861〜865側の電位を検出
するだけで各出力電圧が得られる。このため、出力のた
めの配線パターンを少なくでき、小型化に適している。
【0144】また、同図に示すように、この例の場合、
測温値決定部4は、アンプ41の前段(入力側)に最大
出力電圧選択部45を有している。この最大出力電圧選
択部45は、アナログスイッチASW1〜ASW5を有
し、CPU44からの指示により熱電堆851〜855
の出力861〜865のいずれかを択一的に選択する。
このため、選択された出力をアンプ41およびA/Dコ
ンバータ42を介してCPU44に入力でき、CPU4
4では、アナログスイッチASW1〜ASW5を順次択
一的に有効(オン)にして、各出力(電圧)値を得るこ
とにより、最大値(最大出力電圧値)を求める。また、
最終的には、その最大出力電圧値に基づいて測温値を決
定する。
【0145】ここで、原理的に、黒体(熱吸収体)81
1〜815の温度は熱源Sの温度にほぼ一致するまで上
昇することはあっても、それ以上とはならないので、黒
体811〜815の温度の最大値が熱源Sの温度に最も
近い正確な値となる。そして、この例の場合、最大出力
電圧値に基づいて求められた測温値は、複数(5つ)の
各熱電堆851〜855からの各出力電圧に対応する複
数(5つ)の測温値候補のうちの最大値に相当するの
で、最も正確な測温値となる。
【0146】すなわち、この例では、複数(5つ)の各
熱電堆851〜855からの各出力電圧のうちの最大値
を最大出力電圧として選択し、その最大出力電圧に基づ
いて測温値を算出することにより、複数の各熱電堆85
1〜855からの各出力電圧に対応する複数の測温値候
補のうちの最大値を測温値として決定できる。このた
め、最高温である熱源Sとの相対位置関係が少しずれて
も、温度測定の精度を維持できる。なお、各出力電圧の
うちの最大値を求める代わりに、各出力電圧に基づく各
測温値(候補)を求めてから、それらの測温値候補の最
大値を求めても同様の結果となることは言うまでもな
い。
【0147】次に、この例においては、図28で前述の
ように、図26で前述の赤外線レンズに相当するバイナ
リレンズBLを備えている。このため、図3〜図4等で
前述の導波管(導光管)等を使用する場合に比べて、外
部の熱(誤差熱)による放射赤外線の影響(干渉)を低
減できるとともに、複数の各熱電堆の熱吸収体で受光す
る赤外線の入射角を制限でき、これにより、誤差要因を
少なくして、測定精度を向上できる。また、バイナリレ
ンズなので、多段構成のバイナリエレメントを構成する
ことにより形成できる。このため、通常の曲面から成る
レンズ等に比べて、レンズとしての同一の集光精度を確
保するための成形が容易であり、これにより、低廉化が
図れる。
【0148】また、具体的には、図28に示すように、
この例のバイナリレンズ(赤外線レンズ)BLは、複数
(5つ)の各熱電堆851〜855に対応して、それら
の黒体811〜815に赤外線を集光するそれぞれ多段
構成のバイナリエレメントBLb1〜BLb5を有す
る。このため、各黒体(各熱電堆)811〜815(8
51〜855)に適したバイナリエレメントBLb1〜
BLb5とすることができる。
【0149】すなわち、各黒体811〜815で受光可
能な赤外線の方向(その光軸L1〜L5の方向)や入射
角などを、それぞれに適したように各バイナリエレメン
トBLb1〜BLb5を設計・製造等できるので、各熱
電堆に対応する熱源の方向を各熱電堆毎に定めることが
できる。したがって、熱源との相対位置関係のずれとし
て想定(予想)可能な熱源Sの方向に対応して各熱電堆
851〜855の各バイナリエレメントBLb1〜BL
b5を設計・製造等しておくことにより、最高温である
熱源Sとの相対位置関係がずれても、想定(予想)範囲
内であれば、正確に測定でき、温度測定の精度を維持で
きる。
【0150】また、同図に示すように、各バイナリエレ
メントBLb1〜BLb5は、その光学的中心と対応す
る各黒体(各熱電堆)811〜815(851〜85
5)の中心とを結ぶ線が、それぞれに集光する集光対象
の赤外線の光軸L1〜L5と一致するように構成されて
いるので、集光対象の赤外線を適切に効率よく集光でき
る。なお、各熱電堆851〜855に対応する(測温対
象とする)熱源の中心位置がその光軸L1〜L5上に存
在するように、各バイナリエレメントBLb1〜BLb
5を設計・製造等することにより、このような構成にす
ることができる。
【0151】また、この例の赤外線チップ13では、複
数(5つ)の各熱電堆851〜855に対応する各バイ
ナリエレメントBLb1〜BLb5は、集光対象の赤外
線の光軸L1〜L5が、シリコン基板(半導体基板)8
0の(薄膜SF上の)主面からその法線方向に所定距離
離れた同一点(交差点)LPを通過するように構成され
ている。すなわち、各光軸L1〜L5がいわば焦点とも
呼べる同一点(交差点)LPを通過する。
【0152】この場合、各熱電堆851〜855で測温
(電圧で検出)する熱源Sとして想定される熱源S1〜
S5の中心位置は、各光軸L1〜L5上にあるので、上
記の同一点(以下便宜的に「焦点」という)LPより遠
方に遠ざかるほど、各熱源S1〜S5の相互間の間隔は
広がり、焦点LPに近ければ各熱源S1〜S5の間隔は
狭まる。逆に言えば、熱源Sとの距離や相対位置関係と
して想定される「ずれ」の度合いを考慮して焦点LPを
設定すれば、測定の実状に適合した各バイナリエレメン
トBLb1〜BLb5となる。すなわち、実状に合わせ
た構成にすることができる。
【0153】なお、上記の焦点LPがなく、各熱電堆8
51〜855からの各光軸L1〜L5が平行な場合や各
熱電堆851〜855から光軸L1〜L5が直接広がっ
ている場合、受光する赤外線のための通路を確保するた
めに、熱電堆の形成部(薄膜SF:半導体基板の主面)
の近傍から開口しておく必要があり、また、そのため
に、各バイナリエレメントBLb1〜BLb5は、熱電
堆851〜855の形成部と同等の範囲またはそれより
外周に形成せざるを得ないので、バイナリレンズ全体と
して大型化する。これに対し、上記の構成では、熱電堆
851〜855の形成部から焦点LPまでは光軸L1〜
L5が集約(収束)される方向なので、赤外線の通路も
狭くて済み、各バイナリエレメントBLb1〜BLb5
も光軸L1〜L5に沿って集約して形成できるので、バ
イナリレンズ全体として小型化できる。
【0154】また、この例のバイナリレンズBLも、図
5(b)等で前述の赤外線チップ21や図21等で前述
の赤外線チップ12におけるバイナリレンズBLと同様
に、半導体(ここではシリコン)から成るレンズ基板を
レンズとして加工形成したものである。このため、エッ
チング等によりレンズとして容易に加工形成でき、半導
体製造の工程(プロセス)を利用して小型化・低廉化が
図れ、また、組成を工夫することにより、可視光を遮断
する赤外線フィルタとしての機能を兼備させることが可
能である。また、受光する赤外線の波長を絞る赤外線コ
ーティングを施すことにより、受光する赤外線の波長を
さらに適切に絞ることができる。
【0155】また、図28に示すように、この例の赤外
線チップ13では、複数(5つ)の熱電堆851〜85
5のうち、中心に立てた法線がバイナリレンズ(赤外線
チップ)BLの光学的中心を通る黒体811に基づく
(その温度に基づいて電圧を発生する)熱電堆851を
主熱電堆とし、その他の熱電堆852〜855を副熱電
堆として、副熱電堆852〜855が主熱電堆851の
周辺に配置されている。
【0156】このため、熱源S(ここでは熱源S1)か
らの赤外線を主熱電堆851で受光するように設計・製
造しておくことにより、主熱電堆(の黒体)851(8
11)で受光すべき赤外線が少しずれても、副熱電堆
(の黒体)852〜855(812〜815)で受光で
き、各熱電堆851〜855からの各出力電圧に対応す
るうちの最大値を測温値とするので、最高温である熱源
Sとの相対位置関係が少しずれても、温度測定の精度を
維持できる。
【0157】また、この例においても、バイナリレンズ
BLが、複数(5つ)の熱電堆851〜855が形成さ
れたシリコン基板(半導体基板)80の主面上に接合さ
れているので、熱電堆における基準温度とレンズ温度と
の温度差による測定誤差をも減少できる。
【0158】さて、その基準温度であるが、前述の複数
(5つ)の各熱電堆851〜855からの各出力電圧に
対応する測温値候補は、基準温度に各出力電圧に対応す
る温度の差分を加えた温度を示すので、基準温度と各熱
電堆851〜855の出力電圧に基づいて測温値を決定
できる。
【0159】なお、この場合の基準温度として環境温度
等を用いることができ、測定時に環境温度を測定して入
力したり、あるいは環境温度の検出手段を設けて検出し
て、それらを基準温度とすることもできるし、所定のデ
フォルトの環境温度等を基準温度とすることもできる。
ただし、本例においても、前述の各例と同様に、基準温
度を検出する基準温度検出部7をさらに備えて、基準温
度を検出し、その基準温度と各熱電堆の出力電圧851
〜855に基づいて測温値を容易に決定できるようにし
ている。
【0160】このため、この例の赤外線チップ13を利
用した耳式体温計(測温計)1においても、図30に点
線で示すように、図2で前述したのと同様の基準温度検
出部7を備えている。すなわち、CPU44は、基準温
度検出部7によって検出された温度を基準温度として入
力し、それに基づいて測温値を決定する。なお、前述の
ように、サーモパイル型の測温計等における原理的な基
準温度は、熱電堆(サーモパイル)の冷接点の温度であ
る。このため、この例の耳式体温計(測温計)1におい
ても、基準温度は、複数(5つ)の熱電堆851〜85
5の冷接点の温度であり、原理的基準点の冷接点の温度
を基準温度として検出するので、高精度の温度測定が可
能な測温計となる。
【0161】また、基準温度検出の感温部としては、図
7〜図11で前述と同様に、基準点感温素子73のPN
ダイオードPNDとして、実際には複数(ここでは前述
の各例と同様に2つとする)のダイオードD1、D2
が、シリコン基板80に一体形成されている。すなわ
ち、共通のアノード端子DAに接続されたP+領域DP
1、DP2、カソード端子DK1に接続されたN+領域
DN1、カソード端子DK2に接続されたN+領域DK
2等が形成されている(ただし、そのパターンとしては
前述と同様に種々考えられるので、図29では、単にア
ノード端子DA、カソード端子DK1、DK2(の配置
の一例)のみを図示している)。
【0162】上述のように、本例の耳式体温計1では、
基準温度検出の感温部である基準点感温素子73のPN
ダイオードPNDは、複数(5つ)の熱電堆851〜8
55を形成したシリコン基板(半導体構造)80内に一
体形成されているので、各熱電堆851〜855との距
離を短縮でき、これにより、基準温度検出の測定誤差を
小さくして測定精度を向上でき、また、全体としてさら
に小型化が図れ、大量生産等に適しているので、さらに
低廉化が図れる。
【0163】また、前述の各例と同様に、ダイオードな
ので、ダイオードとしての温度特性に基づいて基準温度
を検出でき、半導体構造内に容易に一体形成でき、小型
化・低廉化に適している。また、複数(例えば2つ)の
ダイオード(半導体素子)D1、D2等を有しているの
で、それらの出力に基づいて、それらの平均値を求めた
り、差分を求めることができ、例えば図12で前述のよ
うに、電圧差ΔVFの温度特性(ΔVf)を利用でき
る。すなわち、ダイオード(半導体素子)の配置位置の
違い等による環境差、あるいはそれらの特性差、理論値
(設計値)とのズレ、雑音その他の測定環境の変動な
ど、測定誤差の誤差要因を相殺可能となり、これによ
り、さらに測定精度を向上できる。
【0164】なお、上述の例では、熱電堆の数を5つと
したが、複数であれば同様の構成が可能である。例えば
図31に示すように、複数(ここでは4つ)の各熱電堆
851〜854からの各出力電圧のうちの最大値を最大
出力電圧として選択し、その最大出力電圧に基づいて測
温値を算出することにより、複数の各熱電堆851〜8
54からの各出力電圧に対応する複数の測温値候補のう
ちの最大値を測温値として決定できる。また、上述の例
と同様に5つとしても、その配置を、例えば図32に示
す(受光位置となる)ように配置することもできる。こ
れらの場合も、同様に、最高温である熱源Sとの相対位
置関係が少しずれても、温度測定の精度を維持できる。
【0165】また、基準温度検出のためのPNダイオー
ドPNDは、図8〜図11で前述のように冷接点直下に
配置(形成)しても良いし、図21で前述のようにバイ
ナリレンズBLとサーモパイルチップSPCとの接合部
に設けても良い。もちろん、バイナリレンズチップBL
CとダイオードチップDDCとの分割も水平面だけでな
く、バイナリレンズチップBLCの下面(サーモパイル
チップSPC側の面)の形状に合わせたり、バイナリレ
ンズチップBLCの一部はそのまま(ダイオードチップ
DDCを介さずに)サーモパイルチップSPCに接合し
ても良い。また、バイナリレンズBLを分割形成する場
合であっても、サーモパイルチップSPCに直接接合す
る部分(接合部の一部)にPNダイオードPND(ダイ
オードD1、D2)を形成することもできる。
【0166】また、上述の複数の熱電堆のそれぞれに、
図15〜図20で前述と同様のスリット(中空連通路)
98を適宜設けることもできる。主面から裏面側の中空
部KWに連通するスリット98を形成することにより、
温接点冷接点間の熱伝導を低減させて温度差を確保し、
起電力を大きくして、測定感度を高められる。また、上
述の例では、サーモパイルチップSPCをバイナリレン
ズBL(バイナリレンズチップBLC+ダイオードチッ
プDDC)より一回り大きく形成して(図28参照)、
ボンディングワイヤ26を周辺部全域から引き出せる
(回路基板3に接続できる)ようにしているが、各端子
861〜865、DA、DK1、DK2等までのパター
ンを工夫して、図22等で前述の例のように、ボンディ
ングワイヤ26を片側のみから引き出しても良いし、左
右両側のみから引き出せるようにしても良い。
【0167】なお、上記のボンディングワイア26など
は、回路基板3との接続を得るためのものであり、上述
の各例では、赤外線チップのサーモパイルチップSPC
とバイナリレンズBL(またはバイナリレンズチップB
LC+ダイオードチップDDC)との大きさの差やそれ
らの接合関係に依存するが、回路基板3との接合関係を
工夫することにより、さらに小型化することもできる。
以下、その一例(応用例)を説明する。
【0168】例えば図33〜図35に示す応用例では、
図示のように、図22で前述のダイオードチップDDC
の代わりに回路基板3を利用し、サーモパイルチップS
PCには、図7で前述のサーモパイルチップSPCと同
様の構成のものを利用している。すなわち、この例で
は、回路基板3の表裏2面の一方(図示では上面)にバ
イナリレンズチップ(赤外線レンズ)BLCを接合し、
他方(図示では下面)にサーモパイルチップ(半導体基
板)SPCを接合することにより、バイナリレンズチッ
プBLCとサーモパイルチップSPCとを回路基板3を
介して接合している。
【0169】ここで、例えば図5(b)で前述の例や図
21(a)で前述の例と同様に、この例においても、熱
源Sから放射された赤外線の熱を黒体(熱吸収体)81
で吸収し、熱電堆85では、その温度に基づいて電圧を
発生する。このため、黒体81に赤外線の熱を十分に吸
収させる必要があり、そのためには、熱源Sから放射さ
れた赤外線を、バイナリレンズチップBLCのバイナリ
エレメントBLbにより、黒体81に対して十分に集光
する必要があり、そのためには、バイナリエレメントB
Lbと黒体81との間に、赤外線の集光のための所定距
離(いわゆる焦点距離またはそれに近い距離)が必要と
なる。
【0170】図5(b)や図21(a)で前述の例等で
は、回路基板3の一面にサーモパイルチップSPCのシ
リコン基板(半導体基板)80が接合され(図1参
照)、それと同一面側に所定距離(焦点距離)分だけ離
してバイナリレンズBLやバイナリレンズチップBLC
のバイナリエレメント(赤外線レンズ)BLbがあるた
め、回路基板3からバイナリレンズBL等までの距離が
大きくなり、その分だけ全体としての厚み(赤外線の光
軸方向の厚み)が必要となる。
【0171】これに対して、図33〜図35に示すよう
に、この例では、回路基板3にバイナリレンズチップB
LCのバイナリエレメント(ただし、前述同様に誇張し
て図示)BLbからサーモパイルチップSPCのシリコ
ン基板(半導体基板)80(の薄膜層SF)への赤外線
を通過させるスルーホール190が設けられ、バイナリ
レンズチップBLCとサーモパイルチップSPCとを回
路基板3を介して接合しているので、回路基板3の厚み
(スルーホール190の長さ:例えば0.4mm〜2.
0mm程度:種々の条件により異なるがここでは例えば
0.6mm程度とする)分だけバイナリレンズチップB
LCとサーモパイルチップSPCとを離すことができ
る。
【0172】すなわち、この例では、十分な集光のため
に必要な所定距離(焦点距離)の一部または全部を回路
基板3の厚み(スルーホール190の長さ)分で代用で
きるので、その分だけ全体としての厚み(赤外線の光軸
方向の厚み)を小さくでき、小型化に適している(図1
に対応して図35参照)。
【0173】また、この例では、回路基板3には、サー
モパイルチップSPCの熱電堆85の出力電圧の各極の
端子86、87に対応して接合用端子196、197が
設けられ、基準温度測定のためのPNダイオードPND
の各極の端子DA、DK1、DK2に対応して、それぞ
れ点線で図示の回路パターンに接続された接合用端子1
9A、19K1、19K2が設けられ、図23で前述の
方法と同様に、相対する各端子間がそれぞれ半田110
により接続されている。
【0174】また、図示の回路パターンには、同じく回
路基板3上に搭載された図2等で前述の測温値決定部4
の各回路が接続され、これにより、熱電堆85の出力電
圧やPNダイオードPNDによる基準温度の検出がで
き、このため、ボンディングワイヤ26(あるいはこれ
の代用となるリード線等)などの接続が不要となるの
で、さらにその分だけ小型化・大量生産化に適し、接続
のためのコスト分だけ、低廉化が可能な構成になってい
る。
【0175】もちろん、この例においても、バイナリレ
ンズチップBLCのバイナリエレメントBLbにより赤
外線を集光するので、導波管(導光管)等を使用する場
合に比べて、外部の熱(誤差熱)による放射赤外線の影
響(干渉)を低減できるとともに、熱電堆85の黒体
(熱吸収体)81で受光する赤外線の入射角を制限で
き、これにより、誤差要因を少なくして、測定精度を向
上できる。また、この例の場合、例えば図34に示すよ
うに、回路基板3のバイナリレンズチップBLCとの接
合部に金や銅などの熱伝導率の高い金属メッキ31を施
すことにより、バイナリレンズチップBLCの熱を回路
基板3に放熱することができ、これにより、バイナリレ
ンズチップBLCの温度を環境温度に近づけ、誤差熱に
よる影響(干渉)を低減でき、誤差要因をさらに少なく
して、測定精度を向上できる。
【0176】また、この例における赤外線レンズもバイ
ナリレンズであるため、多段構成のバイナリエレメント
BLbを構成することにより形成でき、通常の曲面から
成るレンズ等に比べて、レンズとしての同一の集光精度
を確保するための成形が容易であり、これにより、低廉
化が図れる。また、シリコン(半導体)から成るレンズ
基板をレンズとして加工形成したものなので、エッチン
グ等によりレンズとして容易に加工形成でき、このた
め、半導体製造の工程(プロセス)を利用して小型化・
低廉化が図れ、また、組成を工夫することにより、可視
光を遮断する赤外線フィルタとしての機能を兼備させる
ことが可能である。また、受光する赤外線の波長を絞る
赤外線コーティングBLcが施されているので、受光す
る赤外線の波長をさらに適切に絞ることができる。
【0177】また、サーモパイルチップSPCは、例え
ば図36に示すように、(図示の上下を)逆向きに回路
基板3に接合することもできる。この場合、バイナリレ
ンズチップBLCからの赤外線は、中空部KWを通過し
薄膜SFを介して、黒体81(熱電堆85)の裏面に集
光されることになるが、薄膜SFのみなので、赤外線の
熱を吸収することができる。また、ボンディングワイヤ
26が必要とはなるが、回路基板3のサーモパイルチッ
プSPC(のシリコン基板80)との接合部に金属メッ
キ31と同様の金属メッキ32を施すことにより、サー
モパイルチップSPC(のシリコン基板80)の熱を回
路基板3に放熱することができ、これにより、バイナリ
レンズチップBLCの温度を環境温度に近づけることが
できる。前述のように、シリコン基板(半導体基板)8
0は、熱電堆85の冷接点84のヒートシンクの機能を
有するので、その熱をさらに回路基板3に放熱すること
により、全体としての熱容量を大きくして、ヒートシン
クとしての効率を高められ、それにより、ひいては、測
定精度を向上させることができる。
【0178】なお、前述のように、図33〜図34の例
では、サーモパイルチップSPCの熱電堆85の出力用
端子86、87に対応して回路基板3の接合用端子19
6、197が設けられ、PNダイオードPNDの出力用
端子DA、DK1、DK2に対応して接合用端子19
A、19K1、19K2が設けられているが、これらの
端子と絶縁性を保つ範囲で接合部に金属メッキ32を施
すことにより、同様に、サーモパイルチップSPCの
(シリコン基板80の:正確には熱電堆85の冷接点
の)熱を回路基板3に放熱することができ、これによ
り、全体としての熱容量を大きくして、シリコン基板8
0の温度を環境温度に近づけ、ヒートシンクとしての効
率を高め、ひいては、測定精度を向上させることができ
る。そして、この場合、ボンディングワイヤ26等の接
続無しで、回路基板3上の測温値決定部4の各回路が接
続され、熱電堆85の出力電圧やPNダイオードPND
による基準温度の検出ができる利点をも維持できる。
【0179】また、図7〜図13で前述のように、基準
点感温素子73のPNダイオードPNDとして、2つの
ダイオードD1、D2が、シリコン基板80に一体形成
されているので、ダイオードとしての温度特性に基づい
て基準温度を検出でき、熱電堆85との距離を短縮で
き、これにより、基準温度検出の測定誤差を小さくして
測定精度を向上でき、小型化が図れ、大量生産等に適
し、低廉化が図れる。また、複数(2つ)のダイオード
(半導体素子)D1、D2等を有しているので、平均値
を求めたり、差分を求めることができ、例えば図12で
前述のように、電圧差ΔVFの温度特性(ΔVf)を利
用でき、環境差、特性差、理論値(設計値)とのズレ、
雑音その他の測定環境の変動など、測定誤差の誤差要因
を相殺可能となり、さらに測定精度を向上できる。
【0180】そして、上述の例の場合も、耳式体温計1
(測温計)では、熱源の温度が人間の鼓膜温度であり、
赤外線検出部2に、上述のバイナリレンズチップBLC
やサーモパイルチップSPCを備え、さらにダイオード
D1、D2(感温部)を利用して電圧差ΔVFから基準
温度を求め、熱電堆85の出力電圧と基準温度に基づい
て、熱源Sの温度(体温:人間の鼓膜温度)を決定する
測温値決定部(測温値決定手段)4を備えるので、体温
を測定する体温計として機能する。また、小型化・低廉
化を図りつつ、温度検出の精度を向上でき、また感度を
高くできる赤外線検出の構成を採用するので、測温計と
しても、小型化・低廉化を図りつつ温度検出の精度を向
上でき、感度を高めることができる。
【0181】なお、上述の実施形態や各応用例等では、
導波管を用いず、赤外線レンズ(バイナリレンズ)を用
いる点について、主に測定精度の向上(誤差熱による測
定誤差を防止)の点から説明したが、赤外線レンズを備
えることにより導波管による赤外線の誘導が不要となり
導波管を省略できるため、例えば(図1に対応して)図
37、(図35に対応して)図38に示すように、内部
実装等の工夫により、耳式体温計1全体として(例えば
キーホルダーで携帯できる程度まで)の小型化が可能に
なる。なお、図1、図35、図37および図38の耳式
体温計1において、赤外線透過性のフィルム23とフィ
ルム押さえオーリング24も実状に合わせて省略でき、
(例えばプローブキャップ25を図示左側にさらに寄る
ように構成して)さらに小型化を図ることもできる。
【0182】また、上述の実施形態またはその応用例で
は、耳式体温計の例を挙げたが、最高温である熱源から
の赤外線の放射を利用してその熱源の温度を測定するも
のであれば、他のタイプの体温計はもちろんのこと、他
のタイプの測温計にも利用でき、また、測温値を表示等
するものでなくても、測定(検出)した温度を用いて各
種の制御を行う装置など、他の応用も可能である。ま
た、これらに利用する場合に、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲で、適宜変更も可能である。
【0183】
【発明の効果】上述のように、本発明の測温計によれ
ば、サーモパイル型を適用して小型化・低廉化を図りつ
つ、最高温である熱源との相対位置関係が少しずれて
も、温度測定の精度を維持できる、などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る測温計を適用した耳
式体温計の断面図である。
【図2】図1の耳式体温計の測温系のブロック図であ
る。
【図3】図1の耳式体温計に対応する従来の一例の断面
図である。
【図4】図3および図1の耳式体温計における赤外線誘
導の原理説明図である。
【図5】図3および図1の耳式体温計における赤外線検
出チップの概略断面を示す説明図である。
【図6】図3の耳式体温計における赤外線センサの斜視
図である。
【図7】図1の耳式体温計におけるサーモパイルチップ
の斜視図である。
【図8】図7のサーモパイルチップの半導体構造の一例
を示す原理説明図である。
【図9】図7に対応して上面から見たときの平面図であ
る。
【図10】別の一例を示す、図9と同様の平面図であ
る。
【図11】図10に対応する、図8と同様の説明図であ
る。
【図12】図2のアンプ71の一例を示す回路構成図で
ある。
【図13】図12の回路の作動を説明するための理論式
の例を示す図である。
【図14】熱電堆の構造の一例を示す説明図である。
【図15】スリットを設ける場合の一例を示す、図14
と同様の説明図である。
【図16】図15に対応する断面の一例を示す説明図で
ある。
【図17】別の一例を示す、図15と同様の説明図であ
る。
【図18】図17に対応する、図16と同様の説明図で
ある。
【図19】さらに別の一例を示す、図15と同様の説明
図である。
【図20】図19に対応する、図16と同様の説明図で
ある。
【図21】図1の耳式体温計における赤外線検出チップ
の別の一例を示す、図5および図8と同様の説明図であ
る。
【図22】図21の赤外線チップの構造およびその接合
方法の一例を示す説明図である。
【図23】図22の接合部分の断面の説明図である。
【図24】別の一例を示す、図8と同様の説明図であ
る。
【図25】複数の熱電堆を有する場合の赤外線受光の原
理説明図である。
【図26】赤外線レンズを考慮した場合の、図25と同
様の原理説明図である。
【図27】耳式体温計による体温(鼓膜温度)測定時の
熱源(鼓膜)と黒体(熱吸収体)との相対位置関係の一
例を示す原理説明図である。
【図28】別の一例として、複数の熱電堆を有する場合
の、図21(a)と同様の説明図である。
【図29】図28のサーモパイルチップに対応する、図
9と同様の平面図である。
【図30】図28の赤外線チップを利用する場合の、図
2と同様のブロック図である。
【図31】別の一例を示す、図29と同様の説明図であ
る。
【図32】さらに別の一例を示す、図29と同様の説明
図である。
【図33】別の一例として、回路基板を介してバイナリ
レンズチップとサーモパイルチップを接合する場合の、
図22と同様の説明図である。
【図34】図33に対応する、図28と同様の説明図で
ある。
【図35】図33に対応する、図1と同様の断面図であ
る。
【図36】別の一例を示す、図34と同様の説明図であ
る。
【図37】別の一例を示す、図1と同様の断面図であ
る。
【図38】別の一例を示す、図35と同様の断面図であ
る。
【符号の説明】 1 耳式体温計 2 赤外線受光検出部 3 回路基板 4 測温値決定部 5 LCD部 7 基準温度検出部 12、13、21 …… 赤外線検出チップ 26 ボンディングワイヤ 31、32 …… 金属メッキ 41 アンプ 42 A/Dコンバータ 43 RAM 44 CPU 45 最大出力電圧選択部 51 LCD 73 基準点感温素子 80 シリコン基板(半導体基板) 81、811、812、813、814、815 ……
黒体(熱吸収体) 82 熱電対 83 温接点 84 冷接点 85、851、852、853、854、855 ……
熱電堆 86、861、862、863、864、865 ……
端子(+端子、接続用端子、出力用端子) 87 端子(−端子、GND側端子、接続用端子、出
力用端子) 91、92 …… 導電体 98 スリット 110 半田 190 スルーホール 196、197、19A、19K1、19K2 ……
接合用端子 BL バイナリレンズ(赤外線レンズ) BLa レンズ基板(シリコン基板、半導体基板) BLb、BLb1、BLb2、BLb3 …… バイナ
リエレメント BLc 赤外線コーティング BLC バイナリレンズチップ(赤外線レンズ) D1、D2 …… ダイオード(感温部) DA アノード端子 DDC ダイオードチップ DK1、DK2 …… カソード端子 DN1、DN2 …… N+領域 DP1、DP2 …… P+領域 KW 中空部 L1、L2、L3 …… 光軸 LP 交差点 PND PNダイオード S、S1、S2、S3 …… 熱源 SPC サーモパイルチップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01J 5/08 G01J 5/08 F 5/16 5/16 Fターム(参考) 2G065 AB02 BA11 BB08 BB27 BC03 BC08 BC28 BC33 BC35 BD02 CA21 DA10 2G066 AC13 BA08 BA22 BA23 BB11 BC04 BC07 BC15 BC30 CA15

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱源から放射される赤外線を受光するこ
    とにより、前記熱源の温度についての測温値を得る測温
    計であって、 前記赤外線を受光する熱吸収体の温度に基づいて電圧を
    発生する熱電堆を、同一の半導体基板の主面上に受光位
    置が互いに異なる所定の配置で複数形成した赤外線検出
    手段と、 前記複数の各熱電堆からの各出力電圧に対応する複数の
    測温値候補のうちの最大値を、前記測温値として決定す
    る測温値決定手段と、を備えたことを特徴とする測温
    計。
  2. 【請求項2】 前記赤外線を集光する赤外線レンズをさ
    らに備えたことを特徴とする、請求項1に記載の測温
    計。
  3. 【請求項3】 前記赤外線レンズは、バイナリレンズで
    あることを特徴とする、請求項2に記載の測温計。
  4. 【請求項4】 前記赤外線レンズは、各熱電堆の熱吸収
    体に前記赤外線を集光する多段構成のバイナリエレメン
    トを、前記複数の熱電堆に対応して複数有することを特
    徴とする、請求項3に記載の測温計。
  5. 【請求項5】 前記複数の各熱電堆に対応する各バイナ
    リエレメントは、その光学的中心と対応する各熱電堆の
    熱吸収体の中心とを結ぶ線が、各熱電堆の熱吸収体に集
    光する集光対象の赤外線の光軸と一致するように構成さ
    れたことを特徴とする、請求項4に記載の測温計。
  6. 【請求項6】 前記複数の各熱電堆に対応する各バイナ
    リエレメントは、前記集光対象の赤外線の光軸が、前記
    半導体基板の主面からその法線方向に所定距離離れた同
    一点を通過するように構成されたことを特徴とする、請
    求項5に記載の測温計。
  7. 【請求項7】 前記赤外線レンズは、半導体から成るレ
    ンズ基板をレンズとして加工形成したものであることを
    特徴とする、請求項2ないし6のいずれかに記載の測温
    計。
  8. 【請求項8】 前記レンズ基板は、シリコン基板である
    ことを特徴とする、請求項7に記載の測温計。
  9. 【請求項9】 前記赤外線レンズが、前記半導体基板の
    主面上に接合されたことを特徴とする、請求項2ないし
    8のいずれかに記載の測温計。
  10. 【請求項10】 前記赤外線レンズは、受光する赤外線
    の波長を絞る赤外線コーティングが施されていることを
    特徴とする、請求項2ないし9のいずれかに記載の測温
    計。
  11. 【請求項11】 前記複数の熱電堆のうち、中心に立て
    た法線が前記赤外線レンズの光学的中心を通る熱吸収体
    に基づく熱電堆を主熱電堆とし、その他の熱電堆を副熱
    電堆として、前記副熱電堆が前記主熱電堆の周辺に配置
    されたことを特徴とする、請求項2ないし10のいずれ
    かに記載の測温計。
  12. 【請求項12】 前記複数の各熱電堆の電圧出力の2極
    のうちの一方は、共通接続されていることを特徴とす
    る、請求項1ないし11のいずれかに記載の測温計。
  13. 【請求項13】 前記半導体基板は、シリコン基板であ
    ることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれかに
    記載の測温計。
  14. 【請求項14】 前記測温値決定手段は、 前記複数の各熱電堆からの各出力電圧のうちの最大値を
    最大出力電圧として選択する最大出力電圧選択手段と、 前記最大出力電圧に基づいて前記測温値を算出する測温
    値算出手段と、を有することを特徴とする、請求項1な
    いし13のいずれかに記載の測温計。
  15. 【請求項15】 前記複数の各熱電堆からの各出力電圧
    に対応する測温値候補は、基準温度に前記各出力電圧に
    対応する温度の差分を加えた温度を示すことを特徴とす
    る、請求項1ないし14のいずれかに記載の測温計。
  16. 【請求項16】 前記基準温度を検出する基準温度検出
    手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項15に記
    載の測温計。
  17. 【請求項17】 前記基準温度は、前記複数の熱電堆の
    冷接点の温度であることを特徴とする、請求項16に記
    載の測温計。
  18. 【請求項18】 前記基準温度検出手段の感温部が、前
    記複数の熱電堆を形成した半導体構造内に一体形成され
    たことを特徴とする、請求項16または17に記載の測
    温計。
  19. 【請求項19】 前記基準温度検出手段は、その感温部
    として、入出力特性が前記基準温度の温度変化に応じて
    変化する半導体素子を複数有し、前記複数の半導体素子
    からの出力に基づいて、前記基準温度を検出することを
    特徴とする、請求項16ないし18のいずれかに記載の
    測温計。
  20. 【請求項20】 前記基準温度検出手段の感温部は、前
    記半導体構造内においてダイオードとして機能するよう
    に構成されたことを特徴とする、請求項16ないし19
    のいずれかに記載の測温計。
  21. 【請求項21】 前記熱源の温度が、人間の鼓膜温度で
    あることを特徴とする、請求項1ないし20のいずれか
    に記載の測温計。
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