JP2002041232A - 音響的接触検出装置 - Google Patents

音響的接触検出装置

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JP2002041232A
JP2002041232A JP2000220309A JP2000220309A JP2002041232A JP 2002041232 A JP2002041232 A JP 2002041232A JP 2000220309 A JP2000220309 A JP 2000220309A JP 2000220309 A JP2000220309 A JP 2000220309A JP 2002041232 A JP2002041232 A JP 2002041232A
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acoustic wave
piezoelectric
electrode
transducer
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JP2000220309A
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Inventor
Masao Takeuchi
正男 竹内
Hiroshi Kaneda
宏 金田
Shigeki Kanbara
茂樹 蒲原
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さなスペースに配設でき、かつ基板の表面
に高い効率で音響波を生成できる薄型のトランスデュー
サを備えた音響的接触位置検出装置を提供する。 【解決手段】 音響的接触検出装置は、音響波(表面弾
性波)が伝播可能な基板1と、この基板の送信領域に配
設され、かつ音響波をX,Y軸方向に送信するための送
信素子2と、この送信素子からの音響波をY,X軸方向
に分散させて、タッチ域の全域を伝播させるための反射
アレイ3と、タッチ域を伝播した音響波をX,Y軸方向
に収束させ、受信域に導くための反射アレイ4と、受信
域に配設され、かつ音響波エネルギーの摂動を検出する
ための受信素子5とを備えている。前記送信素子2及び
受信素子5は、音響波を一方向に送信又は受信するた
め、圧電基板の表面に簾状電極が形成され、かつ圧電基
板の厚み方向に対して、前記圧電基板の分極軸が内角2
5〜45°程度で傾いた圧電振動子で構成されている。
そのため、基板と外枠との間の空間が小さくても圧電振
動子を配設できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波などの音響
波を利用してタッチ位置を検出するのに有用な音響的接
触位置検出装置(タッチ位置センサー又はタッチパネ
ル)に関する。
【0002】
【従来の技術】対話型コンピュータシステムのための入
力装置として音響方式タッチパネルが知られている。こ
のタッチパネルには、超音波トランスデューサ、特にウ
ェッジトランスデューサが使用されている。典型的なウ
ェッジトランスデューサは、断面3角形状のくさびと、
このくさびの側面に貼り付けられ、かつ電極を備えた圧
電振動子とを有する圧電方式ウェッジトランスデューサ
で形成されており、ガラスなどのパネル表面にトランス
デューサの斜辺を配置することによって、基板表面と音
響的に結合している。また、圧電振動子への電力供給及
び圧電振動子から発振された電力の受信はパネル周囲に
配線されたケーブルを用いて行われる。
【0003】ウェッジトランスデューサは、表面波や板
波を基板に励起する。そのため、ウェッジトランスデュ
ーサは、表面弾性波(レーリーRayleigh波やラブLove
波)、板波(ラムLamb波など)の送信、受信、および双
方に利用できる。
【0004】このようなウェッジトランスデューサをパ
ネル面上に配設すると、ウェッジトランスデューサはパ
ネルの表面から必然的に突出する。また、ディスプレイ
が一般の陰極線管のような曲面パネルで構成されている
とき、ウェッジトランスデューサが位置することの出来
るスペースは、曲面パネルと、この曲面パネルの周囲を
覆っている外枠との間に存在している。しかし、ディス
プレイが、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイな
どのフラットパネルで構成されているとき、外枠で覆わ
れたパネル表面の周囲において、パネルと外枠との間に
は隙間がないため、ウェッジトランスデューサを配置す
るための空間がない。そのため、ウェッジトランスデュ
ーサを使用した超音波方式タッチパネルを、フラットパ
ネルに適応させることができない。さらに、適用可能な
ディスプレイおよび外枠の構成が大きく限定される。
【0005】ウェッジトランスデューサを、タッチ領域
に隣接する傾斜部に取り付けることが提案されている。
この方法は、タッチパネル基板の前面よりもウェッジト
ランスデューサの高さを低くできるが、音響損失を招
く。また、液晶ディスプレイ(LCD)設計で必要とさ
れていることとは反対に、前記傾斜部を設けることによ
り、パネル外縁部の幅を広くする必要がある。
【0006】上記のように、ウェッジトランスデューサ
は液晶ディスプレイ(LCD)には不向きである。特開
平10−240443号公報には、ガラス基板の裏面、
または端面と裏面との間の第3面に圧電振動子を直接貼
り付けることにより、ガラス基板内部にバルク波を励起
させ、生成したバルク波を基板表面に設けた回折格子に
よってモード変換させ、弾性表面波を励起するグレーテ
ィングトランスデューサが提案されている。このトラン
スデューサはウェッジを必要としないため、表面の凹凸
をほぼゼロ“0”に出来る。
【0007】しかし、このグレーティングトランスデュ
ーサは、前述のように、圧電振動子を直接ガラス基板の
裏面または第3面に配置するため、基板の裏面に圧電振
動子や圧電振動子に電力を供給するケーブルなどの空間
を設けることができない場合には、この方式を採用でき
ない。また、物理的に可能な場合でも、タッチパネル表
面に反射防止加工が施されている場合には、ディスプレ
イとパネルとの空間が広がると画面の解像度が減少する
ため、あまり空間を設けることはできない。
【0008】ウェッジトランスデューサのもう一つの問
題は衝撃に対する脆さである。ウェッジトランスデュー
サにおける圧電振動子は、原理的にパネル表面上から突
出して存在する。そのため、ディスプレイとの接触によ
る破損の可能性がある。この問題を解決する方法とし
て、前記圧電振動子を直接基板に貼り付けたエッジトラ
ンスデューサ方式のタッチパネルが考えられる。しか
し、このエッジトランスデューサは、実用化するにはそ
の変換効率が低すぎる。
【0009】弾性表面波の送受信手段として、線状電極
部が隣接して交互に形成された簾状電極構造(櫛歯状電
極構造又は交差指型電極構造)を有する弾性表面波素子
(圧電振動子)も知られている。前記簾状電極によって
非圧電体基板に音響波を励起する場合、圧電振動子表面
に、励起または受信のための弾性波の波長と同じ周期で
電極構造を形成し、電極面をパネル基板に接着させるこ
とにより、パネル基板に弾性表面波を直接励起できる。
【0010】簾状電極を備えた圧電振動子(又はトラン
スデューサ)として、図4に示されるように、圧電基板
22と、この圧電基板の表面に形成された簾電極23とで構
成された圧電振動子21が知られており、前記簾電極23
は、圧電基板22の両側部に対向して形成された対向電極
部24a,24bと、これらの電極部から交互に隣接して内方
に延出する線状電極部25a,25bとで構成されている。ま
た、弾性表面波の波長をλとするとき、前記線状電極部
25a,25bの幅をλ/4とし、隣接する線状電極部25a,2
5bのスペース間隔もλ/4に形成されている。すなわ
ち、対向電極部24a,24bから延出する線状電極部25a,2
5bを、λ/2周期又はピッチで形成している。そして、
圧電体の分極方向は、通常、圧電基板22の表面に対して
垂直方向(圧電基板の厚み方向)に設定されている。
【0011】このようなトランスデューサでは、圧電振
動子および電極構造が左右対称であるため、励起される
弾性波も圧電基板22の長手方向の両方向(左右方向)に
進行する。そして、2つの進行波のうち一方の進行波し
か使用しないため、信号強度は1/2となり非効率的であ
る。そのため、数種類の一方向性の簾状電極型トランス
デューサが提案されている。
【0012】例えば、図5に示されるように、(1)質量
負荷を利用した一方向性トランスデューサでは、スプリ
ット状電極部(ダブル電極部)35a,35b,36a,36bの一
方の電極部35b,36bに質量を負荷して大きな反射係数を
得ることにより、励進波と反射波との位相差(λ/8)
を前進方向では同位相とするのに対して、反対方向では
逆位相とし、1方向性トランスデューサを形成してい
る。しかし、この場合、負荷質量を必要とするため、電
極形成において、多重製膜プロセスと精密な位置合わせ
とが必要となり、生産性の低下とコストアップとにつな
がる。
【0013】(2)反射器を利用した一方向性トランスデ
ューサは、図6に示されるように、簾状電極型トランス
デューサの後方において、圧電基板22上に幅λ/4の反
射電極部41を間隔λ/4で形成した構造を有している。
このタイプのトランスデューサは、簾状電極23とともに
反射電極部41を形成できるため、製造が容易であるが、
帯域幅が狭くなる。
【0014】(3)電気機械結合係数K2の差による反射を
利用した一方向性トランスデューサは、図7に示される
ように、圧電基板52上に形成された負荷質量電極部53
と、この質量電極部を含めて圧電基板52の表面を被覆す
るSiO2などの誘電体層54と、この誘電体層上に形成
された簾状電極部55とで構成されている。負荷質量電極
部53と簾状電極部55とは互いに位置をずらして形成され
ている。このような圧電振動子では、圧電体基板52上と
誘電体基板54上とで、電極の電気機械結合係数K 2がそ
れぞれ異なるため、反射の大きさも異なる。このため、
励進波と反射波との位相差(λ/8)が前進方向では同
位相となるのに対して、反対方向では逆位相となるた
め、一方向性トランスデューサが得られる。しかし、こ
の種の圧電振動子(トランスデューサ)も構造が複雑で
ある。
【0015】(4)ナチュラル単相型一方向性トランスデ
ューサでは、圧電体単結晶の異方性を利用して、通常の
簾状電極構造でありながら励起中心と反射中心との位相
差をλ/8ずらすことが可能となり、前進方向では同位相
となるのに対して反対方向では逆位相となるため、一方
向性トランスデューサが得られる。しかし、このトラン
スデューサでは高価な単結晶を用いる必要があることに
加えて、加工が困難である。
【0016】このように、従来の圧電振動子(トランス
デューサ)では、製造が容易で安価であるとともに、広
帯域の一方向性簾状電極型トランスデューサを得ること
が困難である。そのため、音響的に接触位置を検出する
ための装置において、パネルと外枠との間の空間が小さ
くてもパネル表面に配設でき、高い効率で弾性波を生成
できるトランスデューサが望まれている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、設置スペースが小さな薄型のトランスデューサを備
えた音響的接触位置検出装置(タッチパネル)を提供す
ることにある。
【0018】本発明の目的は、パネル(又は基板)と外
枠との間の空間が小さくてもパネル(又は基板)表面に
配設でき、高い効率で音響波を生成できる薄型のトラン
スデューサを備えた音響的接触位置検出装置(タッチパ
ネル)を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、厚み方向に対して斜
め方向に分極された圧電基板と、この圧電基板に成形さ
れた簾状電極とで圧電振動子を構成し、圧電基板の分極
軸を表面弾性波の伝播(又は送信)方向又は受容方向に
傾けると、表面音響波を効率よく生成又は受信できるこ
とを見いだし、本発明を完成した。
【0020】すなわち、本発明の音響的接触検出装置
は、音響波が伝播可能な基板と、この基板に配設され、
かつ音響波を送信および受信可能な圧電振動子と、音響
波エネルギーの摂動を検出するための手段とを備えてい
る。特に、前記圧電振動子は、圧電体の表面に形成され
た簾状電極を有しており、圧電体の厚み方向に対して、
前記圧電体の分極軸が傾いている。換言すれば、簾状電
極が形成された圧電基板の面方向(簾電極を構成する複
数の電極部が隣接する方向、又は音響波の発信又は受容
方向)に圧電基板の分極軸が傾斜しており、音響波は、
圧電基板の表面に対する分極軸の傾斜角のうち広角側の
圧電基板表面に沿って進行する。
【0021】圧電体の表裏面(厚み方向)に対する圧電
体の分極軸の角度は、簾状電極の電極部の幅や周期など
に応じて選択でき、通常、内角θ=25〜45°程度で
ある。圧電体の分極軸の角度は、表面弾性波を一方向に
励起可能な角度であればよい。また、通常、圧電体の分
極軸は素子のサジタル面内にある。なお、サジタル面と
は、弾性波の進行方向を含む軸と、素子の表面に垂直な
軸とを含む面を意味する。前記圧電振動子では、前記基
板表面に弾性表面波を励起させる周期で、圧電体の表面
に簾状電極の電極部が形成されている。さらに、基板の
座標軸は、通常、前記素子のサジタル面に含まれる。
【0022】前述のように、通常の簾状電極トランスデ
ューサでは、圧電基板の分極方向は基板表面に対して法
線方向である。それに対して、圧電基板12と簾状電極13
とで構成された圧電振動子(簾状電極トランスデュー
サ)では、図2に示されるように、弾性波の進行方向を
含む面内(側面内又はサジタル面内)において圧電基板
12の分極軸が傾斜している。そのため、通常の簾状電極
型トランスデューサとは異なり、励起中心と反射中心と
が一致しない。このことは、励起が圧電体の分極方向に
依存するのに対して、反射中心は電極構造に依存するた
めである。そのため、励進波Tと反射波との位相が異な
る。
【0023】そして、分極角度を適当な角度に設定する
と、励起中心と反射中心との距離がλ/8となる。電極
間距離はλ/2であるので、図3に示されるように、励
起中心Tcから後方の反射中心Rcへと向かう距離LBA
と、励起中心Tcから前方の反射中心Rcへと向かう距
離LACとは下記式で表される。
【0024】 LBA=3λ/8+nλ/2 LAC=λ/8+nλ/2 このとき、逆方向に励起された波は、後方の反射中心に
よって反射され、順方向に進行する。この反射に伴って
位相がλ/4進むので、順方向に励起された波と、逆方
向に励起され、かつ後方の反射中心によって反射されて
順方向に進行する波との位相差は下記式で表される。
【0025】(3λ/8)×2+λ/4=λ また、同じ理由で、励起中心において逆方向に励起され
た波と、順方向に励起され、かつ前方の反射中心によっ
て反射されて逆方向に進行する波との位相差は、下記式
で表される。
【0026】(λ/8)×2+λ/4=λ/2 従って、順方向に進行する前進波Tでは同位相であるの
に対して、反対方向では逆位相となり、一方向性簾電極
トランスデューサが実現可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照しつつ本
発明をより詳細に説明する。図1は音響的接触検出装置
(タッチパネル)の一例を示す概略図であり、図2は図
1に示すトランスデューサの一例を示す概略斜視図であ
る。
【0028】図1に示されるように、接触位置を検出す
るための装置又はシステムは、タッチ可能な表示領域
(タッチ域)が形成され、かつ音響波又は弾性波が伝播
可能な表面を有する平面四角形状のガラス基板(伝播媒
体)1と、このガラス基板のX軸およびY軸の発信領域
(起点域)にそれぞれ配設され、かつガラス基板のX軸
方向とY軸方向にそれぞれ音響波又は弾性波を生成させ
るための送信素子(トランスデューサ)2(2x,2
y)と、前記ガラス基板1のX軸及びY軸方向にそれぞ
れ形成され、かつ前記送信素子2(2x,2y)からそ
れぞれX軸およびY軸方向に伝播する音響波又は弾性波
をY軸方向およびX軸方向にそれぞれ反射又は指向さ
せ、ガラス基板1の表面のタッチ域の全域に亘って分散
させるための第1の反射アレイ3(3x,3y)と、こ
れらの第1の反射アレイと対向してガラス基板1に形成
され、かつ前記タッチ域をY軸方向及びX軸方向に伝播
した音響波又は弾性波を−X軸および−Y軸方向に反射
又は指向させて集束して受信領域(終点域)に導くため
の第2の反射アレイ4(4x,4y)と、前記受信領域
に配設され、伝播した音響波を受信するための受信素子
(トランスデューサ)5(5x,5y)とを備えてい
る。
【0029】なお、前記第1及び第2の反射アレイは、
音響波又は弾性波の進行方向を制御する。すなわち、第
1の反射アレイは、音響分散器の役割を果たす反射要素
として機能し、第2の反射アレイは、音響波を受信領域
に収束させるための収束手段として機能する。さらに、
受信素子(トランスデューサ)は、音響波エネルギーの
摂動を検出するための手段として機能する。
【0030】前記送信素子2(2x,2y)にはそれぞ
れ送信信号ケーブル6(6x,6y)が接続され、前記
受信素子5(5x,5y)にはそれぞれ受信信号ケーブ
ル7(7x,7y)が接続されている。
【0031】このような装置(タッチパネル)におい
て、送信素子2は、所定のピーク強度を有するバースト
形のパルス信号(超音波の波動信号)を励起して送信
し、第1の反射アレイ3は、タッチ域の表面全体に送信
信号(音響波又は弾性波)を分散する。タッチ座標(タ
ッチ位置の座標情報)を検出するため、時間軸に沿って
受信信号を分析する音響波圧縮器として機能する第2の
反射アレイ4を通して、ガラス基板1の表面を伝播した
信号(音響波又は弾性波)は、受信素子5で受信され
る。受信された信号は、信号ケーブル7を介して、信号
処理コントローラに与えられ、タッチに応答して生じる
X軸及びY軸方向の乱れ(摂動)を含む受信信号が認識
されるとともに、受信信号の強度が検出される。表示装
置は、検出信号に応答して所定のデータを表示する。す
なわち、タッチに伴って生成する摂動を利用してタッチ
位置座標を検出する。タッチ位置座標は、アナログ式に
検出してもよく、ディジタル式に検出してもよい。
【0032】そして、図2に示されるように、小さなス
ペースでも送信素子及び受信素子を配設可能とするた
め、送信素子及び受信素子2,5は、それぞれ、圧電体
(圧電基板)12と、この圧電体の表面に形成された簾状
電極(又は交差指型電極)13とを備えた圧電振動子(音
響波トランスデューサ)11で構成されており、音響波の
波動と電気信号とを相互に変換可能である。
【0033】圧電体12の表面に形成された簾状電極(又
は交差指型電極)13は、互いに対向する一対の対向電極
部14a,14bと、一方の対向電極部から他方の対向電極部
に向かって交互に隣接して延びる線状電極部15a,15bと
で構成されている。すなわち、簾状電極13は、一方の対
向電極部14aから延びる櫛歯状電極部15aが、他方の対向
電極部14bから延びる櫛歯状電極部15bに対して非接触状
態で交差しており、交差指状の電極構造を有している。
なお、圧電体12の表面の簾状電極13を構成する電極部15
a,15bは、通常、基板表面に弾性表面波を励起させる周
期で形成されている。
【0034】さらに、前記圧電振動子11は、圧電体12の
分極軸を傾け、かつ簾状電極13を基板1の表面に向け
て、基板1の送信領域及び受信領域に接着により取り付
けられている。より詳細には、圧電体12の分極軸は、圧
電体12の厚み方向に対して傾斜している。すなわち、簾
状電極13の線状電極部14a,14bが隣接する方向(又は音
響波の伝播又は受容方向)に向かって、前記圧電体12の
分極軸が傾いている。前記圧電体の分極軸は素子のサジ
タル面内にあり、分極軸とサジタル面とが同一面に位置
する。また、基板の座標面は、前記圧電振動子のサジタ
ル面と直交している(ガラス基板の座標軸と簾状電極に
垂直な軸とが同軸に位置している)。特に、圧電体の分
極軸は、圧電体の非電極面(表面)から簾状電極(裏
面)に向かって、音響波の励起では音響波の前進方向、
音響波の受信では受入方向(前方方向)に傾斜してい
る。また、圧電体が板状基板である場合、通常、圧電基
板の非電極面(表面)から簾状電極面(裏面)に向かっ
て、分極軸が傾斜している。
【0035】このような装置(タッチパネル)では、基
板表面と外枠との必要な距離は圧電振動子11(送信素子
2及び受信素子5)の厚さだけであり、タッチパネルの
コンパクト化に有利である。また、圧電振動子11(送信
素子2及び受信素子5)がパネル基板1に直接接着して
おり、グレーティングトランスデューサのように、パネ
ルの裏面に空間を必要としないため、画面の解像度の低
下が少ない。さらに、一方向性を有する簾状電極型トラ
ンスデューサは、その電極構造が通常の2方向性の簾状
電極と同一であり、単純で製造が容易である。さらに、
単結晶ではなく多結晶圧電振動子で製造できるため、低
コストである。
【0036】圧電体12としては、有機又は無機の圧電材
料、例えば、有機高分子(例えば、ポリフッ化ビニリデ
ン、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンなどのフ
ッ素樹脂など)、セラミックス(ニオブ酸リチウム、タ
ンタル酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジ
ルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛PZT、ニオブ酸鉛
などの誘電体)、複合圧電材料などが例示でき、セラミ
ックスは単結晶であってもよく多結晶であってもよい。
また、セラミックスの結晶構造は特に制限されずペロブ
スカイト構造、タングステンブロンズ構造などであって
もよい。
【0037】圧電体12の形状は、特に制限されず、棒
状、板状、円形状などであってもよく、通常、基板とし
て利用するためプレート又は板状(例えば、長方形状)
である。
【0038】前記線状電極部15a,15bの幅、線状電極部
15a,15b間の周期又はピッチなどは所望する表面弾性波
の波長(励起波長)に応じて選択でき、例えば、線状電
極部の幅およびピッチは、それぞれ、励起波長λに対し
てλ/4程度である。
【0039】上記の圧電振動子11を用いて音響波伝播媒
体としての基板の表面に音響波を励起させる場合、圧電
体の表面に簾状電極の電極部は、基板表面に弾性表面波
を励起させる周期で形成すればよい。簾状電極におい
て、電極対の数は、例えば、10〜100対、好ましく
は20〜80対、さらに好ましくは20〜60対程度で
ある。また、簾状電極において、電極の厚みは、例え
ば、励起波長の1〜20%、好ましくは3〜10%程度
の範囲から選択でき、結合長も、電極の厚みに応じて適
当に選択できる。
【0040】圧電体12の分極軸の角度は、簾状電極の電
極構造、電極間隔などに応じて選択でき、例えば、電極
が形成された圧電基板表面に対する傾斜角度のうち内角
θ=10〜60°(又は広角30〜80°)、好ましく
は内角θ=25〜45°(又は広角45〜65°)程度
である。なお、基板表面に弾性波を励起したり、基板表
面を伝播する弾性波を受信する場合、圧電体の分極軸の
角度は、音響波伝播媒体としての基板との関係におい
て、表面弾性波を一方向に励起又は受信可能な角度に設
定できる。
【0041】圧電振動子において、弾性変形と電気信号
との関係を示す電気機械結合係数kの値は、振動モード
(変形様式)に応じて選択でき、励起される音響波又は
弾性波としては、超音波弾性表面波を含む表面弾性波
(例えば、レイリー波、ラブ波など)、プレート波(ラ
ム波、水平偏波横波(horizontally polarized shear w
aves)などのSH波(shear horizontal wave)など)
などが例示できる。
【0042】なお、圧電振動子を構成する圧電体は、電
界Eと電束密度Dとの関係式D=εEを利用して、圧電
体に電場(又は電界)を作用させて分極させることによ
り圧電定数をコントロールし、分極軸に対して斜め方向
に圧電体をカッティングすることにより調製できる。ま
た、簾状電極は、慣用の方法、例えば、リソグラフィー
技術、スクリーン印刷法などを利用して容易に形成でき
る。
【0043】なお、音響的接触検出装置において、X軸
データとY軸データとで接触位置を検出するため、圧電
振動子は、基板のX軸およびY軸のうち少なくとも一方
の軸の送信領域(基点域)及び/又は受信領域(終点
域)に取り付ければよい。
【0044】伝播媒体としての基板には、音響波を伝播
可能な種々の基板、例えば、ガラス、セラミックス、金
属、プラスチックスが使用でき、通常、ガラスを用いる
場合が多い。基板の形状は、フラットであってもよく、
曲面であってもよい。
【0045】ガラス基板としては、位置検出方式に応じ
て種々のガラスが使用でき、例えば、ソーダガラス、ホ
ウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラ
ス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、特
開平11−65765号公報に開示されているガラス
(5.53MHzのレイリー波を用いたとき減衰係数が
0.25dB/cm以下のガラス)などが使用できる。
ガラスは強化可能なガラスであってもよく、ガラス基板
は複数のガラス層を積層した安全ガラスで構成してもよ
い。また、基板の厚みも位置検出方式に応じて、例え
ば、0.1〜5mm(好ましくは0.3〜5mm)程度
の範囲から選択できる。
【0046】反射アレイは、例えば、低融点ガラス、高
分子又は樹脂中にフィラーを充填した樹脂組成物などを
用いて、スクリーン印刷法などによりパターンを形成
し、加熱(又は焼き付け)し、必要により硬化させるこ
とにより形成できる。
【0047】なお、基板上には、種々の機能層、例え
ば、無機質層、反射防止層、防眩層(ノングレア層)、
耐擦傷性層、滑り性改善層、撥水層、防汚層、抗菌層な
どの機能を備えていてもよい。
【0048】タッチパネル(座標入力装置)には、基板
へのタッチに応答して、音声を発する音声生成手段や報
知手段、タッチ位置を表示するための表示手段、タッチ
位置に応答して表示領域の画像をコントロールするため
の制御手段、他の駆動装置の制御手段などを接続しても
よい。
【0049】
【発明の効果】本発明の音響的接触位置検出装置(タッ
チパネル)では、特定の分極軸を有する簾電極型圧電振
動子を音響波トランスデューサとして利用するので、薄
型のトランスデューサを形成でき、パネル(又は基板)
とフレームとのスペースが小さくてもトランスデューサ
を配設できる。また、圧電振動子が特定の分極軸を有す
るので、基板に直接接着することにより、高い効率で音
響波を生成できるとともに、グレーティングトランスデ
ューサとは異なりパネルの裏面に空間を必要としないた
め、画面の解像度を向上できる。さらに、圧電振動子の
電極構造が、2方向性の簾状電極と同一であっても一方
向性トランスデューサを構成できるので、構造が簡単で
あり、生産性が高いだけでなく、多結晶圧電体でも圧電
振動子を形成できるので、コストを低減できる。
【0050】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0051】圧電体としてのPZTの上面と下面とに分
極用電極をスクリーン印刷によって形成し、この電極に
直流電圧を印加し、分極させた。その後、分極用電極を
剥離し、分極したPZTをカッティングした。PZTの
カッティング角度は、カット表面への分極軸の射影と、
その分極軸との角度が30゜となるように設定した。
【0052】圧電基板12の表面に、銀ペーストをスクリ
ーン印刷によって印刷した後、乾燥および焼成すること
により、簾状電極13を形成することにより図8に示す構
造のトランスデューサ11を得た。図9に簾状電極13の電
極構造を示す。図8及び図9にも示されているように、
上記電極構造は通常の簾状電極型トランスデューサと同
一である。電極の厚みを測定したところ17μmであ
り、電極対の数は40対であった。また、図8に示され
るように、結合長は5mm,トランスデューサの開口端
の幅は13.3mmである。
【0053】得られたトランスデューサの電極側をガラ
ス基板に向けて、図1において基板の送信領域及び受信
領域に接着した。トランスデューサのサジタル面を反射
アレイの中心線と一致させた。また、トランスデューサ
電極に対する分極軸の角度が鋭角となる側が、弾性表面
波が励起される方向である。そのため、トランスデュー
サは、弾性表面波の励起方向を反射アレイに向けて配置
した。
【0054】図10に、超音波方式タッチパネルの受信
信号波形を示す。座標信号が時系列の信号へと変換され
ており、タッチパネルとして駆動することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は音響的接触検出装置(タッチパネル)の
一例を示す概略図である。
【図2】図2は図1に示すトランスデューサの一例を示
す概略斜視図である。
【図3】図3は本発明の圧電振動子の動作原理を説明す
るための模式図である。
【図4】図4は従来の簾状電極を備えた圧電振動子(又
はトランスデューサ)を示す概略斜視図である。
【図5】図5は質量負荷を利用した一方向性トランスデ
ューサを示す概略図である。
【図6】図6は反射器を利用した一方向性トランスデュ
ーサを示す概略斜視図である。
【図7】図7は電気機械結合係数K2の差による反射を
利用した一方向性トランスデューサを示す概略斜視図で
ある。
【図8】図8は実施例で用いた圧電振動子を示す概略斜
視図である。
【図9】図9は実施例で用いた圧電振動子の電極構造を
示す概略平面図である。
【図10】図10は実施例で得られた受信信号を示す波
形図である。
【符号の説明】
1…基板 2,2x,2y…送信素子 3,3x,3y…第1の反射アレイ 4,4x,4y…第2の反射アレイ 5,5x,5y…受信素子 11…圧電振動子(トランスデューサ) 12…圧電体(圧電基板) 13…簾状電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音響波が伝播可能な基板と、この基板に
    配設され、かつ音響波を送信および受信可能な圧電振動
    子と、音響波エネルギーの摂動を検出するための手段と
    を備えた装置であって、前記圧電振動子が、圧電体の表
    面に形成された簾状電極を有しており、圧電体の厚み方
    向に対して、前記圧電体の分極軸が傾いている音響的接
    触検出装置。
  2. 【請求項2】 圧電体の分極軸の角度が、表面弾性波を
    一方向に励起可能な角度である請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 圧電体の分極軸が素子のサジタル面内に
    ある請求項1記載の装置。
  4. 【請求項4】 基板の座標軸が、請求項3記載の素子の
    サジタル面に含まれる請求項1記載の装置。
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