JP2002031413A - 融雪機能を備えるソーラー集熱装置およびその装置の日照時,降雪時の運転方法 - Google Patents

融雪機能を備えるソーラー集熱装置およびその装置の日照時,降雪時の運転方法

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JP2002031413A
JP2002031413A JP2000213716A JP2000213716A JP2002031413A JP 2002031413 A JP2002031413 A JP 2002031413A JP 2000213716 A JP2000213716 A JP 2000213716A JP 2000213716 A JP2000213716 A JP 2000213716A JP 2002031413 A JP2002031413 A JP 2002031413A
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    • Y02E10/40Solar thermal energy, e.g. solar towers

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  • Central Heating Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】太陽熱を利用するソーラーパネルを用いて、経
済的にしかもエネルギーの利用効率においても優れた方
法で、稼働率の高い屋根融雪装置およびその運転方法を
提供する。 【解決手段】屋根に配設したソーラーパネルを集熱系と
放熱系に分けて配管接続し、各系のそれぞれの供給管中
にはポンプを配設すると共に、集熱系の屋根と放熱系の
屋根にはセンサーをそれぞれ配設し、これらのセンサー
の出力に応じて前記集熱系、放熱系にあるソーラーパネ
ルへの温水供給を制御する制御器ならびにその制御器の
出力によって起動するボイラーを設けることにより、冬
期でもソーラー集熱温水により融雪を図ると同時に、生
活用水を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冬期の寒冷地にお
いても有効に用いられる融雪機能を具えるソーラー集熱
装置およびその装置の日照時,降雪時等の運転方法に関
し、特に、降雪時に屋根に敷設したソーラーパネルを有
効に利用することにより、雪降ろしの負担を軽減するの
に有効な融雪と生活用水に利用する集熱装置およびそれ
の運転方法について提案する。
【0002】
【従来の技術】従来、屋根融雪を行う方法としては、例
えば電気、ガス、石油等を用いてボイラー等で温水(5
0〜70℃)を発生させ、この温水を屋根に敷設した温
水パイプに供給し循環させることにより行う方法が代表
的なものである。しかし、この方法は、融雪のためのエ
ネルギー、即ち温水をボイラー等を稼働させることによ
り得ているが、電気や化石燃料を使うためコスト高にな
る。また、屋根の融雪には、必ずしもボイラーで発生さ
せるような高温水は必要でなく、エネルギーを無駄に消
費することになっているのが実情である。また、融雪を
必要としないために、ボイラーを運転しないような場合
においては、敷設パイプ内の水が氷結してパイプが破損
するというような問題もあった。
【0003】一方、太陽熱を利用するソーラーパネル
は、屋根上に置かれた集熱部にて、温められた温水を一
旦蓄熱槽に導いて貯水したのち、生活用水や風呂水等に
利用するための設備である。しかし、この設備は雪の多
い地域で使う場合、冬期の降雪時期は、屋根に雪が堆積
していることが多く、この場合、太陽からの集熱が困難
になるので、ソーラー温水システムを生活用水として使
用することが事実上できないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在、積雪地における
急務の問題は、積雪除去作業(雪下ろし作業)の簡素化
である。この雪下ろし作業は重労働であり、とくに老齢
化の進んだ家庭においては、人手も足りず辛い作業であ
るから、人手によらない屋根融雪を経済的に行うシステ
ムの確立が求められている。また、太陽熱ソーラーパネ
ルを利用して融雪を図る従来技術の場合、積雪のために
集熱システムの稼働率が低く、肝心な冬期に実質上役に
立たないという問題があった。このような問題を解決す
べく提案されている既知の技術は、例えばボイラー等の
熱源を用いた温水循環による屋根融雪方式が広く一般に
普及しているが、エネルギー使用量が多く経済的に問題
がある上、環境汚染を招くという点で改善が望まれてい
る。
【0005】さらには、寒冷地における主として冬期に
おいて、集熱システムの稼動率が低下することに伴い、
ソーラー集熱温水の不足が生じ、そのために、生活用水
へのソーラー集熱温水の供給が慢性的に不足するという
問題があった。この問題に対しての有効な解決方法は、
従来、具体的な提案がないのが実情である。
【0006】本発明の主たる目的は、太陽熱を利用する
ソーラーシステムを採用してエネルギーコストの低廉な
屋根融雪を実現することと、寒冷地冬期においてもなお
ソーラー集熱温水の貯蔵を図ることができるソーラーシ
ステムを提案することにある。本発明の他の目的は、融
雪機能つきソーラーシステムを経済的に、しかも高いエ
ネルギー効率の下に運転することができると同時に、寒
冷地の冬期でもソーラー集熱温水で屋根融雪を行うこと
ができると共に、生活用水として利用可能なソーラー集
熱温水を貯蔵できるソーラー集熱装置およびそれの運転
方法を提案することにある。本発明のさらに他の目的
は、環境にやさしい屋根融雪とソーラー集熱温水の貯蔵
を行うことのできるソーラー集熱装置およびそれの運転
方法を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、主として集
熱の目的で運転されているソーラーパネルを集熱だけで
なく放熱パネルとしても機能させると、融雪装置として
利用できることに着目して本発明を開発した。即ち、本
発明は、寒冷地域の降雪時期であっても、太陽が出てい
る時は、パネル上に積雪がなければ該ソーラーパネルか
ら常に集熱ができることから、また、そのようなシステ
ム構成にすることにより、冬期の降雪時にあっても、高
価な燃料の使用を最小限に抑えて、効率的にしかも環境
を汚染することなく屋根等の融雪ができ、しかも、生活
用水を集熱貯蔵することができるようにした装と、その
運転方法を提案する。
【0008】このような考え方の下に開発した本発明の
基本的な構成は、屋根に配設したソーラーパネルを、連
繋の可能な別個の循環系を構成する集熱系パネルと放熱
系ソーラーパネルとに画成し、それぞれの集・放熱系パ
ネルにつながる前記各循環系を、ヘッダー管、開閉弁、
循環ポンプならびに制御器を介して温水ボイラーおよび
熱交換式蓄熱槽にそれぞれ配管接続し、集熱側屋根およ
び放熱側屋根には降雪センサーもしくは積雪センサーを
それぞれ配設すると共に、集熱系パネルには高温側セン
サーを、そして蓄熱槽には低温側センサーをそれぞれ配
設してなるものであって、これらのセンサーの出力に応
じて前記制御器を作動させることにより、前記集熱系ソ
ーラーパネル、放熱系ソーラーパネルへの一方もしくは
両方に供給する温水を、ボイラーを作動させることによ
り得られるボイラー加熱温水から直接に供給し、もしく
は集熱系ソーラーパネルから集熱した温水を蓄熱槽へ環
流させて熱交換することにより蓄熱槽への蓄熱を行った
後に循環させるように構成したことを特徴とする、融雪
機能を備えるソーラー集熱装置である。
【0009】なお、本発明においては、集熱系ソーラー
パネルにつながるヘッダー管と温水ボイラーおよび蓄熱
槽との間の配管中に、1個の循環ポンプと三方切換弁と
を配設し、集熱系ソーラーパネルに取付けた高温側セン
サーと蓄熱槽に取付けた低温側センサーとの温度差に応
じて、前記三方切換弁を切換えることによって、温水ボ
イラーの加熱温水もしくはソーラー集熱温水を蓄熱槽で
熱交換した後の温水のいずれかを、該集,放熱系の各ソ
ーラーパネルに循環させるようにしたものであってもよ
い。
【0010】また、本発明においては、屋根の軒先部分
に独立した放熱系ソーラーパネルを配設することが好ま
しい。
【0011】次に、本発明に係る日照時、降雪時の運転
方法の基本的な考え方は、降雪時期において、屋根に配
設したソーラーパネルのうち集熱系パネルから得られる
ソーラー集熱温水を、熱交換式蓄熱槽を経由させること
により、槽内貯留水を昇温させると同時に、その熱交換
後の循環水をさらに集熱不能となる側の放熱系ソーラー
パネルに供給する温水として利用することにより、ま
た、ソーラーパネルによる集熱ができないときは、ボイ
ラーを作動させることにより、放熱側パネルる集熱側パ
ネルの一方もしくは両方にボイラー加熱温水を循環させ
ることにより、融雪のための効率運転を行うと同時に、
生活用温水の低コスト貯蔵を実現することにある。
【0012】また、本発明では、屋根上ソーラーパネル
の一部もしくは全部が無雪状態でソーラー集熱が可能で
融雪が不要なときには、ソーラー集熱エネルギー (温
水) を熱交換式の蓄熱槽に導いて、槽内貯留水を昇温し
て貯蔵し、その高温貯留温水を、生活用水のための温水
として利用するという運転を行う方法を提案することに
ある。
【0013】即ち、本発明に係る方法は、上掲の装置を
使うことにより、屋根融雪もしくは温水の蓄熱槽への貯
蔵を行うに当たり、 (a) 通常降雪時において; 集熱側屋根に降雪を感知す
るときには、ボイラーを作動させて集熱系ソーラーパネ
ルにボイラー加熱温水を循環供給することにより集熱側
屋根の融雪を行うことにより、集熱側屋根からソーラー
集熱ができるようにし、 (b) 部分少量積雪時において; 放熱側屋根にのみ少量
の積雪があり、かつ集熱側屋根からは集熱が可能なとき
は、その集熱側屋根の集熱系ソーラーパネルから蓄熱槽
内液温よりも高い集熱温水が得られるときは、そのソー
ラー集熱温水を放熱側屋根の放熱系ソーラーパネルから
の戻り循環水と合流させたのち、蓄熱槽に還流させて熱
交換を行ってから、再び前記集熱系ソーラーパネルに循
環させて昇温を図るようにし、 (c) 全面無雪時において; 集熱側および放熱側屋根の
両方とも全く積雪がなく、そのために集熱系ソーラーパ
ネルおよび放熱系ソーラーパネルの両方においてソーラ
ー集熱が可能で屋根融雪が不必要になるときは、ソーラ
ー集熱温水の全てを蓄熱槽に還流させることにより、槽
内液温度を熱交換によって昇温し、生活用水のための温
水を該蓄熱槽に貯蔵したのち、再び前記集熱側の両ソー
ラーパネルに循環させるようにし、 (d) 強度降雪時において; 集熱側ならびに放熱側屋根
の両方に降雪,積雪を感知し、または該放熱側屋根に所
定量以上の多量の積雪を感知するときは、ボイラーを作
動させて集熱系および/または放熱系の各系統のソーラ
ーパネルにボイラー加熱温水を供給して屋根全面の融雪
を図ると共に、それぞれの循環水を再びボイラーに還流
させることにより、集熱側屋根で集熱が可能になるよう
にし、 (e) 部分多量残雪時において: 放熱側屋根でのみ所定
量以上の積雪を感知すると同時に、曇天時などのように
集熱系ソーラーパネルからもソーラー集熱ができないと
きは、ボイラー加熱温水を放熱系ソーラーパネルに供給
して所定量以下の積雪量になるまで放熱側屋根の融雪を
行って減尺を図ると共に、その循環水を再びボイラーに
還流させる、ようにすることを特徴とするソーラー集熱
装置の日照時,降雪時の運転方法である。
【0014】本発明方法においては、放熱側屋根が北面
側の屋根で、集熱側屋根が南面側屋根であることが好ま
しい実施の態様となる。また、本発明方法においては、
ボイラー加熱温水ならびにソーラー集熱温水を、軒先部
分のソーラーパネルに集中して供給することが好ましい
実施の態様である。 なお、本発明においては、放熱側
屋根に配設した積雪センサーの設定レベル(L)、即ち
ボイラー温水を供給するか否かの限界量となる所定量の
積雪量とは、雪下ろし作業負担(大体30〜50cm)の限界
を指し、その設定値は自由に変更できるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、屋根に配設したソーラ
ー集熱温水を用いて環境にやさしい省エネルギー融雪を
実現すると同時に、生活用水のための温水を寒冷時の降
雪時期においてさえなお貯蔵することを可能にするため
の技術であり、そのための方法として、ソーラーパネル
を、たとえば温水ボイラーと熱交換式の蓄熱槽を介して
集熱系と放熱系とに分けた循環系として配管接続し、こ
れらの循環系を個別にもしくは協同 (連繋) して運転で
きるようにし、天候、とくに降雪、積雪,日照,曇天等
の気象条件に合わせて、運転方法を適宜に変更できるよ
うにした点に特徴がある。
【0016】本発明の好適実施形態では、屋根の野地板
上部に、図1に示すような複数のソーラーパネルPを敷
設する。このソーラーパネルPの代表的な構造は、断熱
材1の上面に接着したアルミニウム板の如きフィンプレ
ート2と、このフィンプレート2の中央部窪み内に配設
したパイプ3からなるものである。そして、これらのソ
ーラーパネルPは、配管によって互いに順次接続され、
さらには温水ボイラーBおよび熱交換式の蓄熱槽STに
接続される。
【0017】しかも、本発明においては、上記ソーラー
パネルPを、たとえば南面の屋根上に配設されることが
好ましい集熱系と、北面の屋根上に配設されることが好
ましい放熱系とに分けて配管接続する (なお、図示例
は、いずれもが南面の屋根に配設した例を示す) 。な
お、各パネルPの数、接地の範囲は適宜に変更できるよ
うにする。そして、これらの集熱系ソーラーパネルにつ
ながる循環系および放熱系ソーラーパネルにつながる循
環系の中には、温水ボイラーおよび蓄熱槽を配設し、こ
れらの接続管魯においてなお、それぞれ独立して循環さ
せることができる配管構成とする。即ち、放熱系,集熱
系をそれぞれ1〜複数の系統として構成し、これらは、
全自動を基本として手動でも運転できるようにする。な
お、集熱系循環路および放熱系循環路ともそれぞれに必
要な数のポンプP、Pを配設して、不凍液などを循環
させるが、図3に示すように、三方切換弁V で代替し
ても上記と同様の運転が可能である。
【0018】本発明においては、集熱側屋根には、降雪
センサーSを、そして放熱側屋根には積雪センサーS
をそれぞれ配設し、これらは後述する制御器C、C
出力して、集熱系ヘッダー管Hgと集熱系ソーラーパネル
Gpとの間に配設した開閉弁Vまたは放熱系ソーラーパ
ネルEpとの間に配設した開閉弁Vを作動させて、後述
する必要な循環経路を構成する。ここで、それぞれの系
に属する上記センサーS、Sは、それぞれの役割に応
じたのもが配設される。例えば、放熱側屋根に配設され
るセンサーSは、この屋根に、所定量の積雪量
(L)、即ち雪下ろしの負担が大きくなる30〜50cm程度
の積雪を感知するものを用いる。例えば、上記の設定値
(L)として30cmを設定した場合、もし積雪量が30cmを
超えたときは、常に温水ボイラーを作動させるように作
用し、一方、積雪が30cm以下のときは、燃料節約のため
にボイラーを作動させないこととし、もし、集熱系ソー
ラーパネルGpからの太陽熱の集熱が可能であればそのソ
ーラー集熱温水を使って融雪する。
【0019】また、前記集熱系ソーラーパネルGpには高
温センサーSを取付ける一方、蓄熱槽STには低温セン
サーSを取り付ける。そして、これら各センサーS
Sの温度差に基づいて、制御器Cを介して上記開閉弁
V、Vもしくは三方切換弁Vを介して温水ボイラー
Bまたは蓄熱槽STの作動を制御する。即ち、各温度セ
ンサーS、Sの温度差が例えば5℃以上と大きいとき
(S>S)は、放熱側屋根に積雪がありその放熱系ソ
ーラーパネルEpに対し集熱側ソーラーパネルGpで発生し
た太陽集熱温水を供給することが可能であることを意味
する。従って、この場合、前記蓄熱槽ST側の逆止弁つ
き循環ポンプPを作動させるか、三方切換弁Vを切り
換えて、集熱系ソーラーパネルGpで集熱した集熱温水
を、一旦蓄熱槽STに導いてここで熱交換 (槽内貯留水を
昇温させる) したのちに、ヘッダーHgに付設した上記開
閉弁Vを介して放熱系ソーラーパネルEpに循環供給す
れば融雪ができることを意味している。一方、もし上記
の温度が小さい (S−S=−5℃) 場合、集熱系ソー
ラーパネルGpでは必要な集熱ができないことを示してい
るから、この場合、積雪量が所定量(L)を超えていれ
ば温水ボイラーBおよび温水ポンプPを作動させるこ
とが必要になる。ただし、両センサーS、Sの温度差
が小さいとき(−5℃)でも、屋根融雪が不要の場合
(積雪が零のとき)もあるから、この場合はボイラーB
の作動は不要である。
【0020】なお、上記循環系の各配管(パイプ)の内
部には、不凍液を循環させることが好ましい。というの
は、水等を用いると、冬期、内部液を循環させていない
ときに、内部で氷結して、パイプの破損の原因になるか
らである。
【0021】次に、本発明の融雪装置の具体的な運転方
法を図2を用いて説明する。 (a) 通常降雪時 (ボイラーによる部分融雪) ;図2
(a)は、通常降雪時における放熱側屋根融雪の例を示
す。この場合、降り始めないし、小降りの状態であっ
て、放熱側のみならず集熱側にも屋根には容易に融雪で
きる程度の積雪がある。たとえば、放熱側屋根で積雪セ
ンサーSにて所定量、即ち設定値以下(たとえば30cm
未満)の積雪を感知しており、一方、集熱側屋根でも降
雪センサーSにて降雪を感知している状態では、制御
器Cの作動により開閉弁Vが開き、温水ボイラーBお
よびその経路にある循環ポンプP が作動し、ボイラー
にて所定の温度に加熱された加熱温水 (不凍液) が集熱
系ソーラーパネルGp内に供給され、この集熱側屋根の融
雪を行う。この場合、循環水は温水ボイラーB,ヘッダ
ーHgと集熱系ソーラーパネルGp,ヘッダーHeの間を循環
することになる。
【0022】なお、このケース(a) においては、集熱側
屋根の温度上昇により、このことを集熱側ソーラーパネ
ルGp内にある高温センサーSが感知し、ひいては制御
器Cが作動する可能性がある。この場合、その誤動作
を防止するため、本発明では、制御器Cを制御器C
優先して制御するようにしておく。その結果、集熱側屋
根を無雪状態とすることができるから、降雪が止むと、
制御器Cのコントロールで残雪処理のための遅延タイ
マーの利用等で一定の時間経過後、開閉弁Vが閉とな
り、循環ポンプP、温水ボイラーBが停止する。
【0023】このケース(a) の運転については、この状
態から次のケース(b) へ移行する場合と、さらに降雪が
続きケース(a) を繰り返しながらケース(d) に移行する
場合がある。即ち、このケースでは、集熱系ソーラーパ
ネルGpにのみボイラー加熱温水を供給し、取り敢えず集
熱側屋根のみの融雪を図るが、この段階では放熱側屋根
の融雪は行わない。しかし、その放熱側屋根の積雪量が
設定値(L)を超えるときは、ボイラー加熱温水を屋根
全面に供給することが必要である。この場合、もし集熱
系ソーラーパネルGpによる太陽熱の集熱が可能であれ
ば、そのソーラー集熱温水を蓄熱槽STに送って熱交換し
てから放熱系ソーラーパネルEpに供給して融雪を図るこ
とも可能である。
【0024】(b) 部分少量積雪時 (ソーラーによる融雪
+集熱) ;図2(b)は、日照時の部分無雪状態の場合
で、放熱側屋根にのみ設定値以下(少量) の積雪があ
り、集熱側屋根においては、太陽光や気温の上昇によ
り、集熱系ソーラーパネルGpにより集熱が可能な時であ
る。すなわち、この場合、集熱側屋根に設置した降雪セ
ンサーSでは降雪を感知せず、放熱側屋根に設置した
積雪センサーSで設定値(L)以下の少量の積雪を感
知する時である。このケースでは、集熱側屋根に取り付
けた高温センサーSの温度(X℃)と蓄熱槽ST内に
取り付けた低温センサーSの温度(Y℃)との温度
差、即ち、X−Yの値はプラスの大きい値(25℃)とな
る。この場合は、高温センサーSおよび低温センサーS
の間に設置した制御器C (一定の温度以上で作動
し、一定の温度未満で停止する制御機能を有する示温サ
ーモスタット) によって、温水ボイラー4の作動を止め
ると同時に、上記開閉弁V,Vを開き、かつ蓄熱槽側
循環ポンプPが作動する。即ち、集熱系ソーラーパネ
ルGpで集熱した温水はヘッダーHeを経由して放熱系ソー
ラーパネルEpの戻り循環水と合流したのち、ボイラー4
の循環系を経由することなく蓄熱槽STに達し、槽内貯留
水との熱交換によってその貯留水の昇温を図ったのち、
ポンプP を介し、ヘッダーHgを経由して放熱系ソーラ
ーパネルEpと集熱系ソーラーパネルGpの両方に循環して
いく。このことにより、放熱側屋根の融雪を、蓄熱槽ST
介在の下で集熱系ソーラーパネルGpにて集熱した太陽熱
集熱温水のみにて行うことができる。
【0025】即ち、このケース(b) の運転は、集熱系ソ
ーラーパネルGpで温まった循環水 (不凍液) が、放熱系
ソーラーパネルEp内で積雪面に触れた冷たい循環水と合
流した上で、蓄熱槽STに還流し、この蓄熱槽ST内のコイ
ルC内を通過する際に槽内貯留水 (生活用水) と熱交換
したのち、再び集熱側,放熱側ソーラーパネルGp, Epへ
と循環を続ける。そして、このような循環の中で、集熱
側ソーラーパネルGpにて集熱した温水が、結果的に蓄熱
槽ST内の液温を次第に上昇させることになると同時に、
放熱系ソーラーパネルEpも温め、この部分の融雪を実現
する。なお、もし太陽光等が無くなり、高温センサーS
と低温センサーSが所定の差温以内になると、制御
器Cの作動により循環ポンプPが停止し、開閉弁
V,Vが共に閉となり、ケース(a) 、ケース(b) の機
会を待つ場合と、放熱側屋根の雪が無くなったケース
(c) へと移行する。
【0026】(c) 全面無雪時;図2 (c)は、集熱
側、放熱側ともに屋根上に積雪が全く無い状態であっ
て、通常、春、夏、秋と、冬季の降雪のない時期、また
は、ケース(b)の運転時において、放熱側屋根に雪が無
くなった場合である。このケースでは、太陽光や気温の
上昇等で集熱側ソーラーパネルGpの温度が上昇し、高温
センサーSが低温センサーSとの所定の温度差以上に
なった時、制御器Cが作動して、開閉弁V,Vが開
き、蓄熱槽ST側の循環ポンプPを作動させることで、
集熱側、放熱側ソーラーパネルGp、Epならびに蓄熱槽ST
内のコイル内を循環する。この時、集熱系ソーラーパネ
ルGp、放熱系ソーラーパネルEpで集熱され温まった循環
水は、蓄熱槽ST内の貯留水を昇温する。この場合、蓄熱
槽ST内の温度は、通常、上記ケース(b) の場合よりも高
温となり、槽内の水温を高温の多量の温水にすることが
可能である。そして、高温センサーSと低温センサーS
とが所定の温度差以内になった場合、制御器Cを介
して循環ポンプPが停止し、かつ開閉弁V,Vが共
に閉となり次のケースに移行する。
【0027】(d) 強度降雪時 (ボイラーによる全面融
雪) ;図2(d)は、大降り降雪時の場合であって、集
熱側ならびに放熱側屋根の両方にかなりの積雪がある状
態、つまり、集熱側の降雪センサーSにて、降雪およ
び積雪を感知し、放熱側積雪センサーSでも設定値L
以上の積雪量を感知するときには、温水ボイラーBを作
動させて少なくとも放熱系、もしくは集熱系と放熱系の
両系統のソーラーパネルGp、Epにボイラー加熱温水を蓄
熱槽STを介在させることなく循環供給して、屋根全面
の融雪を図る。即ち、降雪が続き(a) の動作中に放熱側
屋根の積雪が積雪センサーSの感知レベルに達した時
(設定値L以上) 、または必要に応じて手動により制御
器Cを作動させ、開閉弁Vを開とし、ボイラー側循環
ポンプPおよび温水ボイラーBを作動させ (但し、ケ
ース(a) の動作で運転中の場合あり) 、ボイラー加熱温
水が放熱系ソーラーパネルEpに循環供給し、ここの融雪
を行う。そして、所定の位置まで積雪量が減少したら、
前記積雪センサーSの信号出力により、さらに制御器C
内に組み込んだ遅延タイマーなどにより、希望の積雪
量に減少させ、指定時間経過後、該制御器Cの出力に
より、あるいは手動により停止する。
【0028】なお、この(d) の状態で降雪が止み、放熱
側屋根の部分の運転のみが続いている場合、曇りや夜間
などは制御器Cの支持に従って動く。但し、放熱側屋
根の融雪中に太陽光等で制御器Cが作動し、集熱側に
もボイラーの熱が回り大気中に放熱する場合があるの
で、これを防止するには制御器C を制御器Cに優先さ
せる。また、逆に太陽熱融雪を積極的に利用する場合
は、制御器Cを制御器Cに優先させることで、循環ポ
ンプP、ボイラーBが止まり、ケース(b) の運転状態
にすることも可能である。また、この状態で曇りや夜間
と日照が繰り返される場合で積雪センサーSの設定値
L以下にまで減少して少量残雪状態になったら、制御器
Cの指示で多量残雪時の運動を終了する。
【0029】(e) 部分多量残雪時 (ボイラーによる融
雪) ;図2(e)は、曇天時または雪、雨の/小降り状
態の場合であって、しかも放熱側屋根にのみ設定値L以
上の多量の残雪があり、そして集熱側屋根にある集熱系
ソーラーパネルGpからも十分な太陽熱集熱ができない時
の運転である。この場合は、制御器Cにより、温水ボ
イラー4を作動させて、ボイラー加熱温水を放熱側屋根
にある放熱系ソーラーパネルEpにのみ強制的に循環供給
して、放熱側屋根の融雪を図る。
【0030】また、本発明の屋根融雪用のソーラー集熱
装置のボイラー温水ならびにソーラー集熱温水を、屋根
軒先部分のソーラーパネルに集中して供給できるように
配管することにより、庇雪を防止し、徐々に屋根全体の
融雪を図ることも可能である。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、冬
期であってもソーラー集熱温水によって屋根の融雪が可
能になると同時に、生活用水のための温水を得ることが
できる。しかも、本発明によれば、天候、降雪の強さ、
降・積雪量に応じて融雪方法を自在に選択することがで
きると共に、これらを自動的に制御することができる。
これにより、電気、ガス、石油等のエネルギー資源を無
駄に消費することなしに、主に太陽熱を利用したソーラ
ーパネルを用いて、経済的にしかも安全な屋根融雪がで
きる他、生活用水のための温水を得ることができると共
に、これらの運転を、環境に悪影響を与えることなく実
行することができ、極めて実用的である。なお、本発明
は、屋根融雪のみならず、道路、駐車場、玄関前、階段
等の屋外の融雪にも利用できる。さらに、本発明によれ
ば、常法に従う方法で、ソーラーパネルで集熱した温水
を蓄熱槽に貯め、風呂水や生活用上水として使用するこ
ともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の屋根融雪機能つきソーラー集
熱装置を示す図である。
【図2】図2は、本発明の、日照時、降雪時における具
体的なソーラー集熱装置の運転状態を示す図である。
【図3】図3は、本発明装置の他の実施形態の例を示す
図である。
【符号の説明】 P、P 循環ポンプ S 降雪センサー S 積雪センサー S 高温センサー S 低温センサー Gp 集熱系ソーラーパネル Ep 放熱系ソーラーパネル Hg 集熱系ヘッダー管 He 放熱系ヘッダー管 B 温水ボイラー ST 蓄熱槽 C、C、C 制御器 V 三方弁 1 断熱材 2 フィンプレート 3 鋼パイプ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋根に配設したソーラーパネルを、連繋
    の可能な別個の循環系を構成する集熱系パネルと放熱系
    ソーラーパネルとに画成し、それぞれの集・放熱系パネ
    ルにつながる前記各循環系を、ヘッダー管、開閉弁、循
    環ポンプならびに制御器を介して温水ボイラーおよび熱
    交換式蓄熱槽にそれぞれ配管接続し、集熱側屋根および
    放熱側屋根には降雪センサーもしくは積雪センサーをそ
    れぞれ配設すると共に、集熱系パネルには高温側センサ
    ーを、そして蓄熱槽には低温側センサーをそれぞれ配設
    してなるものであって、これらのセンサーの出力に応じ
    て前記制御器を作動させることにより、前記集熱系ソー
    ラーパネル、放熱系ソーラーパネルへの一方もしくは両
    方に供給する温水を、ボイラーを作動させることにより
    得られるボイラー加熱温水から直接に供給し、もしくは
    集熱系ソーラーパネルから集熱した温水を蓄熱槽へ環流
    させて熱交換することにより蓄熱槽への蓄熱を行った後
    に循環させるように構成したことを特徴とする、融雪機
    能を備えるソーラー集熱装置。
  2. 【請求項2】 集熱系ソーラーパネルにつながるヘッダ
    ー管と温水ボイラーおよび蓄熱槽との間の配管中に、1
    個の循環ポンプと三方切換弁とを配設し、集熱系ソーラ
    ーパネルに取付けた高温側センサーと蓄熱槽に取付けた
    低温側センサーとの温度差に応じて、前記三方切換弁を
    切換えることによって、温水ボイラーの加熱温水もしく
    はソーラー集熱温水を蓄熱槽で熱交換した後の温水のい
    ずれかを、該集,放熱系の各ソーラーパネルに循環させ
    るようにしたことを特徴とする、請求項1に記載のソー
    ラー集熱装置。
  3. 【請求項3】 屋根の軒先部分に、独立した放熱系ソー
    ラーパネルを配設したことを特徴とする請求項1または
    2に記載のソーラー集熱装置。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3に記載のソーラー
    集熱装置を使って屋根融雪もしくは温水の蓄熱槽への貯
    蔵を行うに当たり、 (a) 通常降雪時において; 集熱側屋根に降雪を感知す
    るときには、ボイラーを作動させて集熱系ソーラーパネ
    ルにボイラー加熱温水を循環供給することにより集熱側
    屋根の融雪を行うことにより、集熱側屋根からソーラー
    集熱ができるようにし、 (b) 部分少量積雪時において; 放熱側屋根にのみ少量
    の積雪があり、かつ集熱側屋根からは集熱が可能なとき
    は、その集熱側屋根の集熱系ソーラーパネルから蓄熱槽
    内液温よりも高い集熱温水が得られるときは、そのソー
    ラー集熱温水を放熱側屋根の放熱系ソーラーパネルから
    の戻り循環水と合流させたのち、蓄熱槽に還流させて熱
    交換を行ってから、再び前記集熱系ソーラーパネルに循
    環させて昇温を図るようにし、 (c) 全面無雪時において; 集熱側および放熱側屋根の
    両方とも全く積雪がなく、そのために集熱系ソーラーパ
    ネルおよび放熱系ソーラーパネルの両方においてソーラ
    ー集熱が可能で屋根融雪が不必要になるときは、ソーラ
    ー集熱温水の全てを蓄熱槽に還流させることにより、槽
    内液温度を熱交換によって昇温し、生活用水のための温
    水を該蓄熱槽に貯蔵したのち、再び前記集熱側の両ソー
    ラーパネルに循環させるようにし、 (d) 強度降雪時において; 集熱側ならびに放熱側屋根
    の両方に降雪,積雪を感知し、または該放熱側屋根に所
    定量以上の多量の積雪を感知するときは、ボイラーを作
    動させて集熱系および/または放熱系の各系統のソーラ
    ーパネルにボイラー加熱温水を供給して屋根全面の融雪
    を図ると共に、それぞれの循環水を再びボイラーに還流
    させることにより、集熱側屋根で集熱が可能になるよう
    にし、 (e) 部分多量残雪時において: 放熱側屋根でのみ所定
    量以上の積雪を感知すると同時に、曇天時などのように
    集熱系ソーラーパネルからもソーラー集熱ができないと
    きは、ボイラー加熱温水を放熱系ソーラーパネルに供給
    して所定量以下の積雪量になるまで放熱側屋根の融雪を
    行って減尺を図ると共に、その循環水を再びボイラーに
    還流させる、ようにすることを特徴とするソーラー集熱
    装置の日照時,降雪時の運転方法。
  5. 【請求項5】ボイラー温水を、軒先部分のソーラーパネ
    ルに集中的に供給して、該軒先部分の融雪を図ることを
    特徴とする請求項4に記載の運転方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112710020A (zh) * 2020-12-30 2021-04-27 真木农业设备(安徽)有限公司 一种新型太阳能采暖系统
CN113587460A (zh) * 2021-07-08 2021-11-02 淮安瑞鑫光伏科技有限公司 一种恶劣天气下的太阳能板安全保护方法

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