JP2002022220A - 住宅の空気流シミュレーション方法 - Google Patents

住宅の空気流シミュレーション方法

Info

Publication number
JP2002022220A
JP2002022220A JP2000208691A JP2000208691A JP2002022220A JP 2002022220 A JP2002022220 A JP 2002022220A JP 2000208691 A JP2000208691 A JP 2000208691A JP 2000208691 A JP2000208691 A JP 2000208691A JP 2002022220 A JP2002022220 A JP 2002022220A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
building
wind
room
airflow
size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000208691A
Other languages
English (en)
Inventor
Yousuke Chiba
陽輔 千葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2000208691A priority Critical patent/JP2002022220A/ja
Publication of JP2002022220A publication Critical patent/JP2002022220A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ventilation (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】外気風を利用して複数の部屋の通風状態を三次
元的に予測する。 【解決手段】シミュレーション方法は、複数の部屋11〜
14,21〜26を有する住宅に於ける風のシミュレーション
を行なうに当たり、建物Aの内部及び該建物の外周部位
で所定の範囲を予め設定された寸法を持った立方体で区
切り、且つ建物の外周部位で前記所定の範囲よりも更に
外側の所定範囲を前記立方体の寸法よりも大きい寸法を
持った立方体で区切る。個々の立方体毎に、該立方体の
各面に作用する圧力から気流の速度(風速)を計算し、
この計算された風速を持った立方体を連続させることで
シミュレーションし、これにより、建物の内部に於ける
各部屋の気流の方向と風速を予測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅を構成する複
数の部屋に対する空気流の流通状態を合理的に認識し得
るシミュレーション方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数の部屋を有する住宅に於ける通風を
確保する場合、感覚的に判断して適当な位置に開口部を
設けるのが一般的である。しかし、この方法では充分な
通風を確保し得るか否かは保証されないため、一部で
は、各部屋の中心を代表値として計算する換気回路網と
いう考え方が実行されている。
【0003】換気回路網は、図12に示すように、部屋或
いは仕切られた空間等の部屋51〜56の中心、及び風が入
る開口部の風圧係数を設定し、この圧力のバランスと開
口部の面積等を勘案して通風量を算出するものであり、
風の動線を正確に示すものではない。例えば、部屋51に
ついて説明すると、この部屋51には開口部51a〜51eが
形成されており、開口部51aから風が入るとした場合、
該部屋51に形成された各開口部51a〜51eを介して隣接
する部屋53,56に於ける中心部の圧力と、各開口部51a
〜51eの面積とから出入りする風量が算出され、これに
伴って、風の出入り方向が矢印で設定される。
【0004】従って、換気回路網では、入ってきた風の
量と、出ていくときの風の量が算出され、これに伴って
住宅の内部に於けるおおよその流れが平面的に想定され
ることになる。尚、図に於いて、矢印に添って記載され
た数値は風量を示し、四角で囲まれた数値は1時間当た
りの換気回数を示している。
【0005】一方、空調機器を利用することを前提とし
た場合、1個の閉鎖空間としての部屋を想定して、該空
間内に於ける空気流を計算することがある。この方法で
は、隣接する他の空間との間の空気流は考慮ず、1個の
閉鎖空間内で完結する気流が取り扱われる。風の条件を
整えつつ前記手法を拡張することで、複数の部屋に流通
する気流を計算することが出来るが、この場合、詳細な
設計と計算を行なうことが必要である。
【0006】また建物の模型を使用して風洞実験して該
建物の内部の空気流を観測することも行なわれている
(「風洞実験及びCFDを併用した通風時の開口条件や
主風向が異なる場合における建物内外の気流正常に関す
る研究」(日本建築学会計画系論文集、第520号、47−5
4)。この実験であっても、対象となる建物は内部が一
つの空間として想定されており、複数の部屋に分割され
た住宅を想定したものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、現状で
は、住宅に外部の風を取り入れたとき、屋内の複数の部
屋を気流がどのように流通するか、を簡単に検討し得る
ような技術は確立していない。このため、部屋の内部に
於ける風の通りを予測することが困難であるという問題
がある。
【0008】特に環境共生型住宅のように、中間期や夏
期の居住性を空調機器を利用することなく通風によって
向上させるような住宅を設計する場合、住宅の内部に配
置された部屋の間の空気流、及び室内の空気流を三次元
的に予測することが好ましいが、この予測のために詳細
な設計計算を行なう必要が生じ、多大な時間と費用を必
要とするという問題がある。
【0009】本発明の目的は、外気風を利用して複数の
部屋の通風状態を三次元的に予測するためのシミュレー
ション方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係る住宅の空気流シミュレーション方法は、
複数の部屋を有する住宅に於ける空気流のシミュレーシ
ョンを行なうに当たり、建物の内部及び該建物の外周部
位で所定の範囲を予め設定された寸法を持った直方体で
仕切り、且つ建物の外周部位で前記所定の範囲よりも更
に外側の所定範囲を前記直方体の寸法よりも大きい寸法
を持った直方体で仕切ることを特徴とするものである。
【0011】上記シミュレーション方法では、建物の内
部と外周の所定の範囲を予め設定された寸法を持つ直方
体で仕切り、建物の外周であって前記所定の範囲よりも
更に外側の所定範囲を前記直方体よりも大きい寸法を持
つ直方体で仕切り、個々の直方体毎に、該直方体の各面
に作用する圧力から気流の速度(風速)を計算し、この
計算された風速を持った直方体を連続させることでシミ
ュレーションし、これにより、建物の内部に於ける各部
屋の気流の方向と風速を予測することが出来る。
【0012】建物の外部を吹く風の風向,風速は一義的
に設定し得るものではない。しかし、一定の条件を与え
ることによって、設計上合理的な風を定義することは出
来る。例えば、夏期であっても冷房を利用することな
く、通風によって居住性を確保するような場合、夏期に
限定することによって主たる風向を南とし、人が気流に
接したときの感触から風速を適当な値に設定することが
出来る。
【0013】目的の敷地に住宅を建築したとき、建物に
吹き付ける風は周囲の住宅や立木等の環境に影響を受け
る。このため、目的の建物を中心として所定範囲を比較
的大きな寸法を持つ直方体に仕切り、予め風向,風速等
の条件が設定された風が吹いたとして各仕切毎に風速を
計算することによって、周囲の環境の影響を受けた風が
建物に吹き付ける際の風向や風速等の状態を予測するこ
とが出来る。
【0014】また建物の内部と該建物の外周の所定の範
囲を比較的小さい寸法を持つ直方体に仕切り、上記風が
建物に吹き付けるものとして各仕切毎に風速を計算する
ことによって、建物の外壁による影響や、開口部を通し
て屋内に入り込んだ風の方向,風速を予測することが出
来る。
【0015】上記の如く、目的の建物の内外を夫々直方
体に仕切り、個々の仕切毎に、該仕切に存在する壁や家
具等の障害物による風への影響を考慮した風向,風速が
計算されるため、各直方体を連続させて住宅を復元する
ことで、目的の建物の内部と外部の気流を予測すること
が出来る。
【0016】また複数の部屋を有する住宅に於ける空気
流のシミュレーションを行なうに当たり、建物の内部及
び該建物の外周部位で所定の範囲を建物に設定された水
平モジュール寸法の1/2〜1/4の寸法を持った直方
体で仕切ることが好ましい。
【0017】更に、高さについては、水平モジュールの
1/2〜1/4の範囲であれば良く、直方体,立方体で
良い。
【0018】上記シミュレーション方法では、建物の内
部と外周所定の範囲を仕切る際の寸法を、建物に設定さ
れた水平モジュール寸法の1/2〜1/4とすることに
よって、屋内に配置された家具や備品の影響を考慮して
正確なシミュレーションを行なうことが出来、精度の高
い風向,風速を予測することが出来る。
【0019】建物の内部を水平モジュール寸法の1/2
よりも大きい寸法になるように仕切った場合、特に、家
具に代表される備品が置かれた場合に精度が低下するこ
とになる。また1/4よりも小さい寸法になるように仕
切った場合、多少の精度は得られるものの、計算に膨大
な負担がかかり、且つ内部に人が存在した場合に生じる
気流の乱れを考慮すると実用的ではない。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、上記住宅の空気流シミュレ
ーション方法の好ましい実施形態について図を用いて説
明する。図1は対象となる住宅の間取りを説明する図で
ある。図2は1階の気流の状態を説明する図である。図
3は2階の気流の状態を説明する図である。図4は3階
の気流の状態を説明する図である。図5はX1軸に一致
した断面の気流の状態を説明する図である。図6はX2
軸に一致した断面の気流の状態を説明する図である。図
7はX3軸に一致した断面の気流の状態を説明する図で
ある。図8はX4軸に一致した断面の気流の状態を説明
する図である。図9はX5軸に一致した断面の気流の状
態を説明する図である。図10は間仕切りを閉鎖したとき
の1階の気流の状態を説明する図である。図11は間仕切
りを閉鎖したときの2階の気流の状態を説明する図であ
る。
【0021】本発明に係るシミュレーション方法は、敷
地に目的の住宅が建築され、この周辺に予め想定された
風が吹いたと仮定したとき、この敷地に隣接する他の建
物や木立等の影響を受けた風が建築された建物に吹き付
ける際の風向,風速を予測すると共に、この風が建物の
影響を受けて該建物に沿った外周部を流れる際の挙動
や、建物に形成された開口部から屋内に入り込んで他の
開口部から出て行くまでの挙動を立体的に予測するため
のものである。
【0022】このため、建物の内部と外周部の所定の範
囲では比較的小さい寸法を持った多数の直方体に仕切
り、建物の外周部から前記範囲の外側に設定された所定
範囲では比較的大きい寸法を持った多数の直方体に仕切
り、夫々の直方体毎に風向,風速を予測してゆくこと
で、全体としての気流を認識し得るように構成したもの
である。
【0023】特に、建物の内部及び外周の所定の範囲を
仕切る際の寸法を建物に設定された水平モジュール寸法
の1/2〜1/4に設定することによって、各部屋に配
置された家具や設備類或いは照明器具等の影響を考慮し
て風向,風速を予測することが可能であり、風の流れに
対し合理的な家具の配置等を検討することが可能であ
る。また建物の外周であって上記範囲よりも外側の範囲
を仕切る場合、上記寸法範囲よりも大きく設定すること
によって、大気空間を適度な粗さで仕切り、精度の高い
風向,風速を予測することが可能である。
【0024】水平面の仕切は水平モジュールの1/2,
1/3,1/4等の整数分の1(例えば、水平モジュー
ルが900mmの場合、1/3の300mm)とし、また垂直面の
仕切は天井や出入口等の高さの整数分の1(例えば、天
井高さ2560mmの場合、1/8の320mm)とすることが好
ましい。更に、傾斜した屋根や特殊な寸法を持つ場所が
あれば、この部分では三角柱や偏平な直方体に仕切るこ
とが好ましい。
【0025】各仕切毎の風速を計算する場合、特に計算
手法を限定するものではないが、CFD(computationa
l fluid dynamics 数値流体力学)の手法を採用するこ
とが好ましい。
【0026】以下、本実施例について図1〜図11により
具体的に説明する。特に、図1は住宅の間取りの例を示
すものであり、同図(a)は複数の部屋を有する建物A
の1階の間取りを示し、同図(b)は2階の間取りを示
している。また図の真上が北を示し、明日が南を示して
いる。また図2〜図11は建物Aの内部及び外周部の風向
と風速を矢印41〜43によって示したものである。
【0027】本実施例に係る建物Aは、多くの住宅を代
表する例であって本発明の住宅がこの構成に限定される
べきでないことは当然である。
【0028】図に於いて、各階には廊下やホール等の空
間を含む複数の部屋11〜14,21〜26が形成されており、
各部屋11〜14,21〜26は風を通過させることのない例え
ば外壁や内壁等の壁或いは家具等の非通風部(壁部
1)、及び開閉可能な襖等の間仕切部2によって区画さ
れている。
【0029】特に、1階の部屋11は図1(b)に11で示
す吹抜部を有する吹抜部屋として構成(図7〜図9参
照)されており、この部屋11に階段3が設置されてい
る。1階の北側には車庫としての機能を持つ空間4が設
けられている。また2階の部屋26の南側で部屋26の東側
には上部が開放されたベランダ27が形成されており、こ
のベランダ27には腰壁28が設けられている(図6参
照)。更に、2階の部屋21と吹抜部屋11との境界にも手
摺り29が形成されている。
【0030】各部屋11〜14,21〜26には、夫々複数の開
閉可能な開口部5が設けられている。これらの開口部5
は、サイズの異なる窓や引き違い窓やすべり出し窓のよ
うに開閉機構の異なる窓等、或いは通風口,扉等によっ
て構成されている。
【0031】建物Aの屋根6は南側から北側にかけて上
昇するように傾斜しており、屋内側も屋根6の傾斜と平
行な天井が形成されている(図5〜図9参照)。2階の
上部には屋上31が構成され、屋根6の北側の端部は屋上
31の上方に位置しており、該屋上31側の壁1に開口部5
が形成されている(3階部分の平面図であり、図7〜図
9の立面図に於ける3階部分に対応する図4参照)。ま
た屋上31の周囲には手摺り32が設けられている。
【0032】尚、図1(a),(b)に於けるX1〜X
5は、図5〜図9の立面図に対応する位置である。
【0033】本実施例に於いて、上記建物Aはモジュー
ル寸法が600mmに設定されており、該建物Aの内部、及
び外周の所定の範囲はモジュール寸法の1/2である一
辺の長さが300mmの寸法を持つ多数の直方体によって仕
切られ(図1には図示せず)ている。
【0034】上記寸法は小形の家具の寸法が300mmを基
準として構成されるものが多いことから合理的な寸法と
いえる。しかし、より精度の高い気流の詳細を予測する
ためには、モジュール寸法の1/4である150mmで仕切
るようにすると良い。
【0035】建物Aの内部及び外周の所定の範囲を上記
寸法よりも小さい寸法で仕切った場合、仕切の中に小さ
い設備部品(例えば扉の把手や花瓶等の什器類)を考慮
することが必要となり、計算が煩雑になる。また仕切の
寸法がモジュール寸法の1/2よりも大きくなった場
合、寸法の極めて小さい換気口のような通風に影響を与
える機能成分を度外視したり、仕切の寸法がモジュール
寸法に接近するため、壁1や間仕切壁2或いは窓5から
の影響を粗雑に反映するようになる虞がある。
【0036】何れにしても、モジュール寸法に対する仕
切寸法の比率を1/2〜1/4の範囲内で適宜設定する
ことで、良好な状態で気流の方向や風速を予測すること
が可能である。
【0037】上記寸法による仕切範囲は、建物Aの内部
及び外周部の所定の範囲である。この所定の範囲は、外
部を流れる風が建物Aの外壁1に衝突したときの挙動を
予測し得る寸法であれば良く、建物Aの大きさによって
1m〜10mの範囲で適宜設定される。本実施例では、建
物Aは東西方向に約13m、南北方向に約10mの寸法を有
しており、前記所定の範囲は建物Aの外周から1.5mに
設定されている。
【0038】また建物Aの外周から1.5mの範囲よりも
外側に設定された所定範囲は、上記モジュール寸法との
比率で設定された仕切寸法よりも大きい寸法で仕切られ
ている。前記所定範囲とは、窓を介して建物Aに吹き込
む風の風向,風速に多大な影響を及ぼす範囲であり、建
物Aの外形寸法に対応して設定される。
【0039】本実施例では、建物Aを中心として東西方
向及び南北方向に夫々一辺が100m、高さ方向に50mの
範囲を設定している(図示せず)。そして前記範囲を、
一辺が 600mm〜1200mmで且つ建物Aの内部に設定された
仕切の寸法よりも大きい寸法となる多数の仕切を設定し
ている。
【0040】上記の如くして建物Aを中心として設定さ
れた範囲に、夫々異なる寸法を持った2種類の仕切を設
定し、個々の仕切毎に風速を計算し風向を設定する。こ
のとき、大気を吹きわたる風の向きと風速等の条件は予
め設定しておく。
【0041】本実施例では、中間期及び夏期に於ける建
物A内の居住性を自然通風によって得ることを目的とし
ており、この目的を実現するために、風向を南とし、風
速を人が爽快感を得る値である4.2m/sとして設定し
ている。しかし、前記設定条件が絶対的なものでないこ
とは当然であり、建物Aを建築する際の立地条件や季節
条件等から最適な値を設定することが好ましい。
【0042】次に、上記の如く設定された建物Aと、こ
の建物Aの内外に設定された多数の仕切、及び風の条件
に基づいて計算された風向及び風速について図2〜図11
により説明する。各図に於いて、矢印は風向を示し濃淡
は風速の大小(濃い矢印41が風速が速い部位を示し、薄
い矢印42が風速が遅い部位を示す)を示している。また
個々の矢印或いは点43が夫々一つの仕切に対応してい
る。
【0043】図2〜図9は、建物Aの各階に設けた開閉
可能な間仕切部2を全て開放した状態で、該建物Aに前
述した条件の風が吹き付けた場合の風向と風速を平面及
び立面で示したものであり、図10,図11は間仕切部2を
全て閉鎖した状態で前述した条件の風が吹き付けた場合
の風向と風速を示している。従って、図2〜図9を組み
合わせることで、屋内の気流を三次元的に認識すること
が可能である。
【0044】先ず、図2と図10、図3と図11を比較して
間仕切部2の開閉が建物Aの屋内の気流に与える影響に
ついて調べる。建物Aの外周部位に於ける於ける風向,
風速は略同一である。しかし、建物Aの屋内に於ける間
仕切部2を有する部屋12,13,21,22,24,25の風向,
風速は、間仕切部2が開放されているか否かに応じて大
きく異なることが明らかである。
【0045】また1階の部屋11に着目した場合、間仕切
部2が開放された状態では、南側の下方に設けた開口部
5から流入した風は略真っ直ぐに北に向かい、一部が部
屋12に別れて北側の開口部5から外部に吹き出す。また
間仕切部2が閉鎖された状態では、南側の可能に設けた
開口部5から流入した風は真っ直ぐに北側の開口部5に
向かい、この開口部5から外部に吹き出すが、階段3の
北側にある壁部1に沿った気流の風速が増加する傾向が
あることが判明する。
【0046】2階に着目した場合、間仕切部2が開放さ
れた状態では、部屋21〜23を通過して北側の開口部5か
ら吹き出す。この風は、南側上方に設けた開口部5から
流入した風ではなく、南側の下方の開口部から流入した
ものが多い。また間仕切部2が閉鎖された状態では部屋
23を通って北側の開口部5から外部に吹き出す。
【0047】次に、図2〜図9を組み合わせて建物Aの
屋内の気流の状態を三次元的に調べる。
【0048】X1軸に沿った方向では、図5に示すよう
に、1階部分では吹き付ける風は部屋14の南面に形成さ
れたポケット部分で巻き込みが生じていることが判明
し、この部屋14の南側の開口部5から流入した風が部屋
12の方向に流れていることが判明する。また2階の部屋
25の南側が壁部1として形成されるため、外部の風は壁
部1と衝突して乱れるものの屋内への流入がないことが
判明し、部屋24の北側の開口部5から吹き出す風が他の
部屋から流入したものであることが判明する。そして各
部屋12,14,24,25を吹き抜ける風は矢印42の向きと大
きさとによって、風向と風速が判明する。
【0049】X2軸に沿った方向では、図6に示すよう
に、外部の風は南側の壁部1とベランダ27に設けた腰壁
28に衝突して風向が変化することが判明し、1階部分で
は部屋13の南側の開口部5から流入した風は、該部屋13
を通過して部屋12から北側の開口部5を通って吹き出す
ことが判明する。また2階では部屋26と腰壁28とによっ
て形成されたベランド27上の空間に巻き込みが生じるこ
と、部屋26に流入した風は略全部が部屋24に入り、該部
屋24の北側に設けた開口部5から吹き出すことが判明す
る。また各部屋13,24,26を吹き抜ける風は矢印42の向
きと大きさとによって、風向と風速が判明する。
【0050】X3軸に沿った方向では、図7に示すよう
に、外部の風は一部が南側の壁部1に衝突して風向が変
化し、他の一部が部屋11の南側上部に設けた開口部5か
ら屋内に流入し、更に、体部分は屋根6の傾斜面に沿っ
て矢印41として流れる。屋根6に沿った気流は、該屋根
6の北側の端部である頂部で最も強くなり、慣性によっ
て端部から屋根6の傾斜方向に流れ、更に、この流れに
伴って屋上31の上部には反対方向の気流が発生すること
が判明する。
【0051】1階部分に於いて、部屋11の南側上部の開
口部5から流入した風は、該開口部5を構成する窓の開
閉状態に応じて風向が制御され、大部分が部屋11の上方
を天井面に向かって流れると共に該天井に沿って屋上31
の北側に設けた開口部5から外部に吹き出し、一部が2
階の部屋26を通って北側の開口部5から吹き出すことが
判明する。また各部屋11,26を吹き抜ける風は矢印42の
向きと大きさとによって、風向と風速が判明する。
【0052】X4軸に沿った方向では、図8に示すよう
に、外部の風は部屋11の南側の下部に設けた開口部5と
上方に設けた開口部5とから流入する。上方の開口部5
から流入した風は前述したX3軸の場合と同様に、天井
に沿って流れて屋上31に設けた開口部5から吹き出す。
また部屋11の下部に設けた開口部5から流入した風は、
部屋11を通って正面の壁部1と衝突して別れ、一部は部
屋11の北側の開口部5から、一部は部屋12を通って該部
屋12の北側の開口部5から外部に吹き出し、更に他の一
部は1階の天井(2階の床)に衝突して風向が変化し、
2階の部屋26の上部を通って外部に吹き出すことが判明
する。また各部屋11,26を吹き抜ける風は矢印42の向き
と大きさとによって、風向と風速が判明する。
【0053】X5軸に沿った方向では、図9に示すよう
に、外部の風は部屋11の南側の下部に設けた開口部5と
上方に設けた開口部5とから流入する。夫々の開口部5
から流入した風は前述したX4軸の場合と同様に、一部
が天井に沿って流れて屋上31に設けた開口部5から吹き
出す。また部屋11の下部に設けた開口部5から流入した
風は、該部屋11の北側の開口部5から外部に吹き出し、
他の一部は2階に設けた手摺り28に衝突して略直角に風
向が変化し、2階の部屋21に流入し、その後部屋22を通
って外部に吹き出すことが判明する。また各部屋11,2
1,22を吹き抜ける風は矢印42の向きと大きさとによっ
て、風向と風速が判明する。
【0054】上記の如く、建物Aの内部と外周の所定の
範囲をモジュール寸法の1/2〜1/4の範囲の寸法を
持った立法体で仕切り、個々の仕切毎に風向,風速を計
算することで、該建物Aの内外部位に於ける風の通り方
を正確にシミュレーションすることが可能となり、目的
の建物Aの内部及び外周部の所定の範囲に於ける風向,
風速を予測することが可能である。
【0055】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明に係る
住宅の空気流シミュレーション方法では、建物の内部及
び外周部の所定の範囲を比較的小さい寸法を持った直方
体で仕切り、且つ前記所定の範囲よりも外側所定範囲を
比較的大きい寸法で仕切り、夫々の仕切毎に風向,風速
を計算することで、建物の外周に於ける風の挙動及び建
物の内部に於ける風の挙動を正確に予測することが出来
る。
【0056】このため、風の挙動の予測に基づいて、開
閉可能な間仕切りの再検討や家具の再配置、或いは開口
部の再配置を行なうことが可能となり、中間期や夏期に
於ける居住性を通風によって向上させ得るようにするこ
とが出来る。
【0057】特に、建物の内部及び外周部の所定の範囲
を仕切る際の寸法を、建物に設定されたモジュール寸法
の1/2〜1/4の範囲の寸法に設定することで、目的
の建物に対し最適な寸法で空気流シミュレーションを行
なうことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】対象となる住宅の間取りを説明する図である。
【図2】1階の気流の状態を説明する図である。
【図3】2階の気流の状態を説明する図である。
【図4】3階の気流の状態を説明する図である。
【図5】X1軸に一致した断面の気流の状態を説明する
図である。
【図6】X2軸に一致した断面の気流の状態を説明する
図である。
【図7】X3軸に一致した断面の気流の状態を説明する
図である。
【図8】X4軸に一致した断面の気流の状態を説明する
図である。
【図9】X5軸に一致した断面の気流の状態を説明する
図である。
【図10】間仕切りを閉鎖したときの1階の気流の状態を
説明する図である。
【図11】間仕切りを閉鎖したときの2階の気流の状態を
説明する図である。
【図12】従来の換気回路網を説明する図である。
【符号の説明】
A 建物 X1〜X5 軸 1 壁部 2 間仕切部 3 階段 4 空間 5 開口部 6 屋根 11〜14,21〜26 部屋 27 ベランダ 28 腰壁 29,32 手摺り 31 屋上 41,42 矢印 43 点

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の部屋を有する住宅に於ける空気流
    のシミュレーションを行なうに当たり、建物の内部及び
    該建物の外周部位で所定の範囲を予め設定された寸法を
    持った直方体で仕切り、且つ建物の外周部位で前記所定
    の範囲よりも更に外側の所定範囲を前記直方体の寸法よ
    りも大きい寸法を持った直方体で仕切ることを特徴とす
    る住宅の空気流シミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 複数の部屋を有する住宅に於ける空気流
    のシミュレーションを行なうに当たり、建物の内部及び
    該建物の外周部位で所定の範囲を建物に設定された水平
    モジュール寸法の1/2〜1/4の寸法を持った直方体
    で仕切ることを特徴とする住宅の空気流シミュレーショ
    ン方法。
JP2000208691A 2000-07-10 2000-07-10 住宅の空気流シミュレーション方法 Pending JP2002022220A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000208691A JP2002022220A (ja) 2000-07-10 2000-07-10 住宅の空気流シミュレーション方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000208691A JP2002022220A (ja) 2000-07-10 2000-07-10 住宅の空気流シミュレーション方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010239200A Division JP5006437B2 (ja) 2010-10-26 2010-10-26 建物の空気流シミュレーション方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002022220A true JP2002022220A (ja) 2002-01-23

Family

ID=18705229

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000208691A Pending JP2002022220A (ja) 2000-07-10 2000-07-10 住宅の空気流シミュレーション方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002022220A (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006274800A (ja) * 2006-07-18 2006-10-12 Misawa Homes Co Ltd 微気候デザイン建物
JP2006274799A (ja) * 2006-07-18 2006-10-12 Misawa Homes Co Ltd 微気候デザイン建物
JP2006299803A (ja) * 2006-07-18 2006-11-02 Misawa Homes Co Ltd 微気候デザイン建物
JP2006312872A (ja) * 2006-07-18 2006-11-16 Misawa Homes Co Ltd 微気候デザイン建物
JP2010262497A (ja) * 2009-05-08 2010-11-18 Taisei Corp 配置計画支援装置
JP2010276271A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Tostem Corp 室内環境評価システム、及び、室内環境評価方法
JP2011052862A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Takasago Thermal Eng Co Ltd 気流状態算出方法、プログラムおよび装置
JP2013003698A (ja) * 2011-06-14 2013-01-07 Lixil Corp 開口部装置の開閉設定のシミュレーションシステム
JP2016076157A (ja) * 2014-10-08 2016-05-12 旭化成ホームズ株式会社 環境診断装置及び環境診断方法
JP2017010495A (ja) * 2015-06-26 2017-01-12 旭化成ホームズ株式会社 シミュレーションシステムおよびシミュレーション方法
JP2017015372A (ja) * 2015-07-07 2017-01-19 旭化成ホームズ株式会社 気流表示装置及び気流表示方法
CN111637576A (zh) * 2020-06-11 2020-09-08 苏州苏净安发空调有限公司 一种组合式循环风空调机组
CN111706951A (zh) * 2020-07-03 2020-09-25 湖南大学 一种有限空间空气稳定性的热舒适通风与污染物控制方法
CN113864225A (zh) * 2021-12-03 2021-12-31 四川省畜牧科学研究院 基于多项独立控制参数的复杂风场模型构建方法
US11250175B2 (en) 2015-09-15 2022-02-15 Kabushiki Kaisha Toshiba Spatial-information generation apparatus, spatial-information generation method, and non-transitory computer readable medium
JP7142974B1 (ja) * 2021-10-07 2022-09-28 株式会社 Sai 空調気流予測装置及び空調気流予測方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08221386A (ja) * 1995-02-17 1996-08-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 流れ解析装置
JPH10103723A (ja) * 1996-09-26 1998-04-21 Hitachi Metals Ltd 工場建屋内の粉塵挙動の予測方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08221386A (ja) * 1995-02-17 1996-08-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 流れ解析装置
JPH10103723A (ja) * 1996-09-26 1998-04-21 Hitachi Metals Ltd 工場建屋内の粉塵挙動の予測方法

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006274800A (ja) * 2006-07-18 2006-10-12 Misawa Homes Co Ltd 微気候デザイン建物
JP2006274799A (ja) * 2006-07-18 2006-10-12 Misawa Homes Co Ltd 微気候デザイン建物
JP2006299803A (ja) * 2006-07-18 2006-11-02 Misawa Homes Co Ltd 微気候デザイン建物
JP2006312872A (ja) * 2006-07-18 2006-11-16 Misawa Homes Co Ltd 微気候デザイン建物
JP2010262497A (ja) * 2009-05-08 2010-11-18 Taisei Corp 配置計画支援装置
JP2010276271A (ja) * 2009-05-28 2010-12-09 Tostem Corp 室内環境評価システム、及び、室内環境評価方法
JP2011052862A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Takasago Thermal Eng Co Ltd 気流状態算出方法、プログラムおよび装置
JP2013003698A (ja) * 2011-06-14 2013-01-07 Lixil Corp 開口部装置の開閉設定のシミュレーションシステム
JP2016076157A (ja) * 2014-10-08 2016-05-12 旭化成ホームズ株式会社 環境診断装置及び環境診断方法
JP2017010495A (ja) * 2015-06-26 2017-01-12 旭化成ホームズ株式会社 シミュレーションシステムおよびシミュレーション方法
JP2017015372A (ja) * 2015-07-07 2017-01-19 旭化成ホームズ株式会社 気流表示装置及び気流表示方法
US11250175B2 (en) 2015-09-15 2022-02-15 Kabushiki Kaisha Toshiba Spatial-information generation apparatus, spatial-information generation method, and non-transitory computer readable medium
CN111637576A (zh) * 2020-06-11 2020-09-08 苏州苏净安发空调有限公司 一种组合式循环风空调机组
CN111706951A (zh) * 2020-07-03 2020-09-25 湖南大学 一种有限空间空气稳定性的热舒适通风与污染物控制方法
WO2022000965A1 (zh) * 2020-07-03 2022-01-06 湖南大学 一种有限空间空气稳定性的热舒适通风与污染物控制方法
JP7142974B1 (ja) * 2021-10-07 2022-09-28 株式会社 Sai 空調気流予測装置及び空調気流予測方法
WO2023058682A1 (ja) * 2021-10-07 2023-04-13 株式会社 Sai 空調気流予測装置及び空調気流予測方法
CN113864225A (zh) * 2021-12-03 2021-12-31 四川省畜牧科学研究院 基于多项独立控制参数的复杂风场模型构建方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002022220A (ja) 住宅の空気流シミュレーション方法
Jomehzadeh et al. Natural ventilation by windcatcher (Badgir): A review on the impacts of geometry, microclimate and macroclimate
Sha et al. A review of high-rise ventilation for energy efficiency and safety
CN104281881B (zh) 一种新建变电站的噪声优化控制方法
Saroglou et al. A study of different envelope scenarios towards low carbon high-rise buildings in the Mediterranean climate-can DSF be part of the solution?
Gao et al. Evaluating the influence of window types on the natural ventilation performance of residential buildings in Hong Kong
Jokisalo et al. A comparison of measured and simulated air pressure conditions of a detached house in a cold climate
Hamdy et al. Optimizing hybrid ventilation control strategies toward zero-cooling energy building
Haves et al. Use of simulation in the design of a large, naturally ventilated office building
Anis The impact of airtightness on system design
JP5006437B2 (ja) 建物の空気流シミュレーション方法
US2961940A (en) Building module
Hanam Development of an open source hourly building energy modeling software tool
Almeida et al. The design of optimal openings
Nabilah et al. Energy efficiency in church building based on sefaira energy use intensity standard
Khatami The wind-catcher: a traditional solution for a modern problem
Yazarlou et al. CFD analysis of cross-ventilation in buildings with external louvers: Impact of slat angles
JP5799477B2 (ja) ドーム状構造物
Joe et al. Simulation case study of stack pressure impact on thermal load in high-rise buildings
JP7031916B1 (ja) 空調装置用中空構造体
JP4949697B2 (ja) 建物
Cook et al. Natural Ventilation of Auditoria: Three Case Studies
JP3752658B2 (ja) 建物
JP2002194825A (ja) 遮音型換気口構造および建物の換気システム
Jafari et al. Performance Assessment of Double Skin Façade in Optimizing Building Energy Consumption (Case Study in Shiraz)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070604

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100408

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100420

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100618

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100831

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101228