JP2002022207A - 空気調和機の防食方法及び判定装置 - Google Patents

空気調和機の防食方法及び判定装置

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JP2002022207A
JP2002022207A JP2000205433A JP2000205433A JP2002022207A JP 2002022207 A JP2002022207 A JP 2002022207A JP 2000205433 A JP2000205433 A JP 2000205433A JP 2000205433 A JP2000205433 A JP 2000205433A JP 2002022207 A JP2002022207 A JP 2002022207A
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英明 袖山
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】アンモニア等の腐食性物質に晒される環境下に
設置される空気調和機の構成部材の防食方法と、その防
食方法の適用是否判定装置を提供する。 【解決手段】空気調和機を構成する冷媒配管、熱交換
器、圧縮機、膨張弁等の鋼製部材を、耐アンモニア性熱
硬化性樹脂であるエポキシ樹脂で被覆する。判定装置
は、エリミネータを有する空気出口管13と、送気ポン
プ11に連結する送気管12とを設けたガス採取容器9
からなり、この容器と水と共にテストピース15を収容
し、送気管12が水没する部位に泡出器10を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機の防食
方法及び判定装置に関し、さらに詳しくは、アンモニア
蒸気やアンモニア水(以下、合わせて単にアンモニアと
いうことがある)等の腐食性物質に晒される環境下に設
置される空気調和機、特に、空気調和機を構成する銅製
冷媒配管、熱交換器、圧縮機、膨張弁、キャピラリーチ
ューブ、アキュームレーター、その他の部材の優れた防
食方法及びこの防食方法の適用の是否を決定するための
判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アンモニアが比較的多量に存在する環境
下、例えば、下水処理場、動物舎、納豆工場や倉庫、ア
ミノ酸醗酵工場や倉庫、汚水槽、便所等に近接するビル
等の機械室に設置される空気調和機は、その寿命が著し
く短い。その原因は、主として、集積された物質や資材
から発生するアンモニア性蒸気が、空気調和機の熱交換
器に吸入され冷却されて、その空気が露点温度以下に達
したとき液化して、空気中の水分と共に液体ドレン状と
なって、ごく薄いアンモニア性水溶液となり、その水溶
液が空気調和機を構成する銅製冷媒配管、その他の部材
を腐食させるものと考えられる。パッケージ空気調和機
(パッケージエアコン)を構成する部材は、大部分が銅
製、アルミニウム製、真鍮製、鋼製又はプラスチック製
であり、中でも銅製部材は、アンモニア水溶液に侵食さ
れやすい性質を有している。
【0003】空気調和機の防食方法として、これまで
は、室外機にあっては、特に海に近く潮風を受ける場所
において、アルミニウムフィン、外板、ビス類のみの塩
害対策が実施されており、アルミニウムフィンにはポリ
アクリル系樹脂を、外板にはポリエステル系樹脂を、所
定の厚さに吹付又はブラシ等によって塗布する等の方法
が採用されている。銅製部材に対しては全く対策がなさ
れていないのが実情である。因みに、本発明者は、銅製
部材について上記方法を適用して対策を試みたが、アン
モニア性水溶液に対しては、なんら効果がないことが判
明した。また、室内機にあっては、有効な防食対策は採
られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、アンモニア等の腐食性物質に晒される環境
下に設置される空気調和機、特に、空気調和機を構成す
る銅製冷媒配管、熱交換器、圧縮機、膨張弁、キャピラ
リーチューブ、アキュームレーター、その他の部材の優
れた防食方法及びこの防食方法の適用の是否を決定する
ための判定装置を提供することをその課題とするもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、防食に用いる樹脂に着目して鋭意検討
を重ねた結果、熱硬化性樹脂を用いることによって、ア
ンモニアに晒される環境下に設置される空気調和機の優
れた防食方法となるということを及びこの防食方法の適
用の是否を決定するための判定装置を見出し、この知見
に基づいて本発明を完成するに到った。
【0006】すなわち、本発明によれば、空気調和機を
構成する部材を、熱硬化性樹脂により被覆することを特
徴とする空気調和機の防食方法及びこの防食方法の適用
の是否を決定するための判定装置が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】空気調和機設備の冷媒循環経路に
は、冷媒ガスの種類により異なるが、代表的な冷媒HC
FC−22の場合、冷媒の圧力が最大0.28Psがか
かり、また、冷媒配管の肉厚は0.8〜1.2mm程度
であるため、銅製部材の僅かな腐食によっても、内部の
冷媒ガスは外部に漏洩してしまうものである。
【0008】図1は、冷媒サイクルの一例を示す図であ
る。水冷式の場合は、凝縮器1は、水冷却による冷媒の
凝縮器に変わり、全部が室内機となる。Aの部分は、完
全にパッケージされた装置となっていて、Bの部分は、
パッケージされた室外機となっている。図1のうち、圧
縮機がBの部分に入り、室外機となる場合もある。A、
B部分は、室外機となっている場合もあれば、室内機と
なっている場合もある空冷ヒートポンプ空気調和機のよ
うに、季節毎に吸熱、放熱の機器に変化させる場合もあ
る。
【0009】空気調和機にあっては、鉄と銅管、真鍮と
銅管、銅管と銅管との接続は、銀ロウにフラックスを付
けて火気により溶接することによってなされる。また、
銅管と銅管の場合は、リン銅ロウを溶接機を用いて火気
により溶接することが一般的である。この場合、高熱の
ため、銅部分が強酸化されて銅管の肉厚部が燃焼してさ
らに薄くなり、冷媒ガスの圧力に耐えられなくなり、冷
媒ガスが漏洩することとなるのである。これは、配管を
構成する部材として用いる銅がアンモニア水により、銅
アンモニア錯塩を形成し、銅部材を溶解させ、銅管の肉
厚を薄くさせたり、溶接部のロウ分を溶解させ、溶接形
態を不完全にすることに起因するものである。
【0010】本発明の防食方法は、このような状況下に
ある空気調和機に有効に適用されるものである。なお、
本発明においては、主としてアンモニア冷媒を用いた場
合について説明するが、アンモニア冷媒以外の他の冷媒
を用いた場合においても、本発明の防食方法は有効に適
用され、冷媒の種類によって左右されるものではない。
以下に、本発明に係る防食方法の手順を説明する。 〔空気調和機が既設の場合〕冷媒ガスの漏洩があるとき
は、冷凍機油が冷媒ガスと共に噴出し、配管及びその周
囲が油分で汚染され、さらには塵埃等が付着して汚染が
著しくなっている。また、圧縮機の出入口付近の銅管
は、圧縮機の圧縮熱及びモーターの発熱により焼けて黒
く変色している。
【0011】このような状況において、本発明の防食方
法は、例えば、次の手順をとるものであるが、この手順
や部材に限定されるものではない。 1.冷媒ガスの漏洩箇所を探知、特定する。 2.ポンプダウンして、冷媒ガスを凝縮器に収集する。
収集できないものは、下記3に移る。 3.残留ガスは、ガス回収機により抜き取り、内圧を大
気圧と等しくする。 4.漏洩箇所にロウ材を用い、火気により溶接処理を施
す。 5.窒素ガス等により内圧をかけて、漏洩がないことを
確認する。 6.機器、配管等に付着した油分、塵埃を、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等を水で希釈したアルカリ性水
溶液を用いて洗浄、脱脂する。 7.弱酸性水溶液を用いて中和処理する。 8.水洗を繰り返し、アルカリ、酸を除去する。 9.乾燥する。この乾燥は、自然放置、自有ファン、別
途用意した熱風乾燥機を用いる等のいずれの方法であっ
てもよい。 10.すでに侵食されている部分は、紙ヤスリ等により被
覆部を磨き、付着した錯塩を除去する。摩擦粉は圧縮空
気等により離散させる。 11.アルカリ、酸洗浄ができない場合又は洗浄不十分な
場合は、塩素系有機溶剤を用いて、ブラシ、ウェス等に
より油分や塵埃を拭き取る。 12.乾燥後、熱硬化性樹脂を銅部材に筆、刷毛、ブラシ
等で塗布し、乾燥することによって銅部材を被覆する。
【0012】熱硬化性樹脂は、耐アンモニア性であっ
て、空気調和機構成部材を侵すことのないものが好まし
い。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン
樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる
が、中でもエポキシ樹脂(以下、単に樹脂ということが
ある)が好適である。本発明に用いるエポキシ樹脂は、
多官能性エポキシ化合物と硬化剤の反応で形成される3
次元網状構造体である。液状高分子材料としては硬化収
縮が小さく、硬化体としては接着性、耐熱性、耐薬品性
及び電気的性質に優れている。高分子前駆体としてのエ
ポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のオキシラン環をも
ち、適当な試薬の存在で3次元網状構造を与える化合物
の総称であり、数多くの種類が存在する。数多くある種
類のうち、最も一般的に使用されているのは、ビスフェ
ノールAとエピクロルヒドリンの反応で製造されるビス
フェノールAジグリシジルエーテルである。平均分子量
によって室温における状態は異なり、分子量で約700
以下では、粘度が10,000cps以上の粘稠な液体
である。エポキシ樹脂と反応して3次元網状構造を形成
する硬化剤は、それ自身が網状構造の一部に組み込まれ
る重付加型と、開始剤的に働いてエポキシ樹脂を付加重
合させる触媒型に分けられる。硬化剤には多くの種類が
あるが、圧倒的多数が前者に属する。この重付加型硬化
剤には、多官能的に活性水素基、アミノ基、水酸基、メ
ルカプト基及びカルボキシル基を有する化合物が挙げら
れる。本発明に用いるエポキシ樹脂はこのようなものが
好ましいが、上記のものに限定されるものではない。 13.銅材が空気中の酸素により酸化物となり、淡い黒色
を帯びているものは、油分や塵埃のみを除去し、強い
て、無理な研磨はしないものとする。酸化銅がエポキシ
樹脂の密着をより強固にする特性があるからである。樹
脂の塗布厚さとしては、150〜250μm程度が適当
であるが、部材の種類や大きさによって、必ずしも一律
ではない。また、乾燥に当たっては、100℃以上に加
熱できるプラスチック加工用ホットジェットノズルを用
い、塗布面を拡大し細部に熱風圧力により吹き付けなが
ら乾燥する。裏側等、刷毛やブラシ等が届かない場所に
も拡大することができる。 14.そのまま、所定時間、放置する。乾燥固着時間は、
周囲温度にもよるが、6〜24時間を要する。 15.樹脂を十分に硬化させる。 16.硬化させた後、再度、窒素ガス等により漏洩試験を
実施する。 17.加圧ガスを放出し、真空ポンプにより、内部を真空
乾燥させ、冷媒ガスを所定量充填する。 18.空冷ヒートポンプの場合は、外機が冬期には蒸発器
となるため、内機と同様のことを実施する。 19.工事冷媒配管は、断熱を確実に実施した場合は結露
しないので、通常の施工でよい。断熱が不十分な場合
は、アンモニア水により侵食される。 20.水冷式パッケージエアコン、空冷式、水冷式チラー
の場合も同様である。
【0013】本発明の防食方法を適用するに際し、空気
調和機を新設する場合の手順の概略は、次のとおりであ
る。 〔空気調和機を新設する場合−設置後の場合〕 1.配管の油分を有機溶剤により脱脂した後、既設の場
合と同様に実施する。 2.この場合、冷媒ガスの漏洩はないので、ガス抜き工
程は不要となる。
【0014】〔空気調和機を新設する場合−設置前の場
合〕 1.内外機を所用箇所に仮り置きし、上記と同様に実施
する。 2.工事配管との接続部は、200mm程度、樹脂を塗
布しないで、工事実施後、樹脂の塗布を行う。 3.工場で実施する場合も同様である。
【0015】ここに、図1において、A部分が室内にあ
る場合について説明するが、アンモニア性蒸気等の腐食
性ガスは、室外に存在することも多く、冷却部分が室外
にある場合もあるので、本発明は、室外の部材にも適用
されるものである。凝縮器1、膨張弁又はキャピラリー
チューブ2、蒸発器3及び結露する部分(膨張弁又はキ
ャピラリーチューブ2と蒸発器3とを繋ぐ配管、蒸発器
3とアキュームレーター4とを繋ぐ配管、アキュームレ
ーター4と圧縮機2とを繋ぐ配管、凝縮器1と膨張弁又
はキャピラリーチューブ2とを繋ぐ配管)を通過する空
気はアンモニア性蒸気を含んでおり、冷却体に接触し、
露点温度以下となって液化アンモニアとなり結露する。
5は圧縮機、6はファンである。このアンモニア水が部
材の銅と反応して銅アンモニア錯塩を形成し、銅材を侵
食するもので、結露水は表面張力により水滴となって僅
かながら留まるが、短時間のうちに結露水は連続的に供
されることとなる。すなわち、冷却体である限り、反応
は連続的に起こり、腐食は連続的に進行するのである。
【0016】蒸発器を構成するフィン部材は、ほとんど
がアルミニウム製であるため、アンモニア性水溶液に対
しては、高い耐性を有している。図2は、アルミニウム
フィンプレートと冷媒管の構成を示す図である。E部位
で、アルミニウムフィンプレート8が冷媒銅管7に密着
嵌合接続(C、D)されているため、冷媒銅管7はアン
モニア水による腐食から防護され、厳密には上記反応は
進行するが、熱伝導率の確保のため、それぞれ別々には
樹脂を塗布することができない。また、薄く樹脂を塗布
したとしたら、アンモニア侵食は受けるものの、フィン
プレートを貫通している銅管は、ほとんどが熱処理(焼
なまし処理)を施していない銅管であるため、熱処理を
施した銅管とは応力による強度が異なり、熱処理を施し
た銅部材より強度が優れている。このため、アンモニア
に侵食されても他の部位の銅材に比して耐久性に優れた
ものとなる。したがって、全体的には影響は軽微である
といえる。また、塩害対策のために施工されたアルミニ
ウムフィンを用いた熱交換器と併用することもできる。
【0017】一方、U字加工による銅管の伸縮、ストレ
ス、厚さの変化、高温溶接による燃焼酸化に起因する薄
肉化等と、接合材に用いられる銀ロウ、リン銅ロウはい
ずれも銅合金であることから、放熱アルミニウムフィン
を貫通している直管部を除くU字形冷媒銅管7及びその
溶接部(E)の腐食は激しいものとなる。したがって、
これらの部分を樹脂被覆する。また、密着嵌合接続され
た銅管及びアルミニウムフィンを樹脂被覆してもよい
が、熱伝導率は極めて小さいものとなる。
【0018】空気調和機が設備されている環境下の空気
中のガスの存在又は空気調和機の腐食状態の判定には、 1.空気調和機ドレン水の採取と分析 2.環境下の空気の採取と分析 3.テストピース(下記参照)又は空気調和機現物の腐
食視認判定 4.空気調和機現物の組成分析 5.嗅覚判定 等が挙げられるが、季節的な制限、コスト的な制約又は
分析、判定方法の適否等があるので、その都度、適宜、
選択すればよい。
【0019】便宜的な判定を実施するためには、例え
ば、図3に示す判定装置を用いることができる。本発明
はまた、この判定装置をも提供するものである。ガス採
取びん9に蒸留水又はイオン交換水(以下、純水とい
う)を所定量を採取し、その底部に泡出器10を据置し
て、シリコーンホース等によりガス採取びん8の蓋を貫
通させて、送気ポンプ11に接続する。12は送気管で
ある。この送気ポンプ11は、観賞魚水槽用送気ポンプ
が利用できる。蓋には、空気出口管13を設け、この空
気出口管13には、空気と飛沫同伴してくる水分を捕捉
するためのエリミネーター14として、乾燥管球にアン
モニアに侵食されない部材により、空気通路に充填物を
軽く詰めたものを設けておく。この充填物としては、例
えば、脱脂綿、ステンレスワイヤーメッシュ、ガラス繊
維、合成樹脂繊維等が挙げられる。送気ポンプ11は簡
易なもので足り、その送気量は1000〜1500リッ
トル/分程度であって、所定の送気量に固定できるもの
から選ばれる。採取時間の換算とその空気の相対湿度、
乾球温度、湿球温度から、空気線図等によってその空気
の絶対湿度を求め、全風量より水分の量を決定し、最初
の据置水分量との差異及び化学分析等から、環境下の空
気中の水分量、ガス量や成分を判定する。なお、このガ
ス採取びん9に銅片、管等のテストピース15を入れて
おくと、反応時間は長いが、これにより判定してもよ
い。また、ネスラー試薬やアンモニア測定メーター等を
用いれば、即時に判定することができる。図7は、ネス
ラー試薬を用いた場合のアンモニア濃度と呈色度合との
関係を示す図である。なお、このガス採取びん9を用い
れば、間欠的に排ガスを発生させる洗浄ブース、塗装ブ
ース等の大気に対する排ガスを連続的に又は長期にわた
り補集することができるという利点があり、低コストと
もなり、しかも信頼性が高いものとなる。つまり、バッ
チ式測定時間と発生源とのタイムラグを埋めることがで
き、総排出量も容易に計算可能となる。テストピース及
び水は、黒ずみ、青色化し、水の青色化によって判定で
きる。このようにして、電源さえあれば、季節的な制
限、コスト的な制約又は分析、判定方法の適否等に拘束
されることなく、判定が可能となる。なお、厳密な判定
を得るためには、上記乾燥管球に代えて、リービッヒ冷
却管等の冷却装置を用い、排出気体を露点温度以下に冷
却し、還流させることが好ましい。この場合、エリミネ
ーター14としての乾燥管球は、冷却装置の上部に装備
し、ガス採取びん9には、その空間に十分、余裕をもた
せておくことが望ましい。テストピース等は用いない
で、所定時間、採取し、化学分析により、判定してもよ
い。
【0020】空気調和機の冷媒管の寿命モデルの一例を
図4に示す。また、この寿命の減衰率とアンモニア濃度
との関係(経済的予測曲線)の一例を図5に示す。実験
によると、ドレン水が僅か2mg/lであっても、5年
でアンモニア侵食を受け、ガス漏洩が生じることが判明
している。本発明の防食方法を適用すれば、下記式
(1)〜(5)に示す化学反応を起こす環境下の空気中
のガスの存在に対しても有効である。 NO2+H2O →HNO3 (1) SO3+H2O →H2SO4 (2) NH3+H2O →NH4OH (3) H2S+2O2 →H2SO4 (4) H2S+4H2O→H2SO4+2H2 (5) これら化学反応の中でも、式(3)の反応は、最も激し
い銅部材の侵食を招くものである。すなわち、本発明の
防食方法は、アンモニア侵食に対する方法に限定される
ものではなく、広範な腐食性ガスに対しても有効な防食
方法となるものである。
【0021】樹脂の塗布厚さの測定は、マイクロメータ
ー又はノギス等により、予め裸管の直径を測定してお
き、樹脂を塗布、乾燥した後に同様に行う。すなわち、
裸管の横断面積(中空部を含めた面積をA0とし、樹脂
を塗布した管の横断面積(同上)をA1とし、樹脂の比
重をPとし、裸管の直径をlとし、樹脂の塗布厚さをG
としたとき、 G=〔(A1−A0)×l〕×P で表わされる。なお、直径の増加分D1−D0で表わして
もよい。ここで、D1は塗布後の直径であり、D0は裸管
の直径である。樹脂の塗布厚さは、アンモニア濃度と樹
脂の塗布厚さとの関係を示す図6によって算出する。樹
脂の塗布は、1回目塗布、乾燥、2回目塗布、乾燥、と
繰り返し、その後、冷媒ガス充填、運転という手順を採
ることとなる。このとき、樹脂の塗布は、重付加型等の
化学反応のため、反応を完全に終了した時点で2回目の
作業を行う。反応の終了は硬化状態で判断し、温度や湿
度によって異なるものとなる。樹脂の塗布回数に、特に
制限はない。
【0022】また、空気調和機の設置場所に対しては、
次のとおり対応する。すなわち、外板が壁、天井等に近
接して容易に着脱できない場合は、冷媒配管、ドレン配
管、電源線等をはずし、空気調和機本体を外板が着脱可
能な距離まで離す必要がある。蒸発器、凝縮器、その他
の付属品に容易に樹脂を塗布することが可能な位置に移
動して、本発明の防食方法を適用する。室内作業の場合
は、換気に十分、留意しなければならない。空気圧縮機
を用い、ガンにより塗布面を広げることも好ましい。有
機溶剤を用いる場合は、吸収缶を備えた防毒マスクを着
用して作業することが肝要である。その他、換気扇を持
ち込み、ダクトにより局所排気を行うこと、保護眼鏡、
ヘルメット、安全靴の着用等、安全作業の確保に努める
ことが重要である。
【0023】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳
しく説明するが、この実施例によって本発明はなんら限
定されるものではない。下水処理場における揚水電気制
御室に設置された空冷式の7.5馬力年間冷房形空気調
和機の蒸発器、冷媒配管、アキュームレーター、圧縮
機、ドレンパン及びキャピラリーチューブの表面に、エ
ポキシ樹脂〔二液性エポキシ配合樹脂中粘度20PaS
(20,000CP)、透明性の良好な本剤(ビスフェ
ノールAグリシジルエーテル)と可撓性、透明性の良好
な常温硬化系の硬化剤(ポリアミドアミン重付加型)〕
を用いて、200μm厚さになるように塗布し、そのま
ま乾燥、硬化させた。その後、11ヵ月、運転を継続し
ているが、上記各部材の変色もガス漏洩もなく、上部各
部部材の腐食も全く認められず、順調に稼動している。
なお、このときのドレン水のアンモニア性窒素の濃度
は、2.8mg/lであった。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、アンモニア蒸気やアン
モニア水等の腐食性物質に晒される環境下に設置される
空気調和機、特に、空気調和機を構成する銅製冷媒配
管、熱交換器、圧縮機、膨張弁、キャピラリーチュー
ブ、アキュームレーター、その他の部材の優れた防食方
法及びこの防食方法の適用の是否を決定するための判定
装置が提供され、空気調和機の設計、作製及び保全分野
に多大の寄与をなすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷媒サイクルの一例を示す図である。
【図2】アルミニウムフィンプレートと冷媒管の構成を
示す図である。
【図3】本発明の防食方法の適用の是否を決定するため
の判定装置を示す図である。
【図4】空気調和機の冷媒管の寿命モデルの一例を示す
図である。
【図5】空気調和機の寿命の減衰率の一例を示す図であ
る。
【図6】アンモニア濃度と樹脂の塗布厚さとの関係を示
す図である。
【図7】ネスラー試薬を用いた場合のアンモニア濃度と
呈色度合との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 凝縮器 2 膨張弁(又はキャピラリーチューブ) 3 蒸発器 4 アキュームレーター 5 圧縮機 6 ファン 7 冷媒銅管 8 アルミニウムフィンプレート 9 ガス採取びん(ペットボトル) 10 泡出器 11 送気ポンプ 12 送気管 13 空気出口管 14 エリミネーター(乾燥管球) 15 テストピース
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月11日(2000.7.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】本発明は、このような状況下にある空気調
和機に有効に適用される防食方法である。なお、本発明
においては、アンモニア冷媒以外の冷媒を用いた場合に
ついて説明するが、本発明の防食方法は、アンモニア冷
媒を除く他の冷媒を用いた場合においてその種類によっ
て左右されるものではなく、有効に適用されるものであ
る。以下に、本発明に係る防食方法の手順を説明する。 〔空気調和機が既設の場合〕冷媒ガスの漏洩があるとき
は、冷凍機油が冷媒ガスと共に噴出し、配管及びその周
囲が油分で汚染され、さらには塵埃等が付着して汚染が
著しくなっている。また、圧縮機の出入口付近の銅管
は、圧縮機の圧縮熱及びモーターの発熱により焼けて黒
く変色している。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月21日(2000.7.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【発明の実施の形態】空気調和機設備の冷媒循環経路に
は、冷媒ガスの種類により異なるが、代表的な冷媒HC
FC−22の場合、冷媒の圧力が最大2.75MPa
かかり、また、冷媒配管の肉厚は0.8〜1.2mm程
度であるため、銅製部材の僅かな腐食によっても、内部
の冷媒ガスは外部に漏洩してしまうものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】樹脂の塗布厚さの測定は、マイクロメータ
ー又はノギス等により、予め裸管の直径を測定してお
き、樹脂を塗布、乾燥した後に同様に行う。つまり、塗
布後の直径をD1とし、裸管の直径をD0としたとき、D
1−D0で表わされることになる。樹脂の塗布厚さは、ア
ンモニア濃度と樹脂の塗布厚さとの関係を示す図6によ
って算出する。樹脂の塗布は、1回目塗布、乾燥、2回
目塗布、乾燥、と繰り返し、その後、冷媒ガス充填、運
転という手順を採ることとなる。このとき、樹脂の塗布
は、重付加型等の化学反応のため、反応を完全に終了し
た時点で2回目の作業を行う。反応の終了は硬化状態で
判断し、温度や湿度によって異なるものとなる。樹脂の
塗布回数に、特に制限はない。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気調和機を構成する部材を、熱硬化性
    樹脂により被覆することを特徴とする空気調和機の防食
    方法。
  2. 【請求項2】 該空気調和機を構成する部材が、冷媒配
    管、熱交換器、圧縮機、膨張弁、キャピラリーチューブ
    又はアキュームレーターである請求項1に記載の空気調
    和機の防食方法。
  3. 【請求項3】 該空気調和機を構成する部材が、銅製で
    ある請求項1又は2に記載の空気調和機の防食方法。
  4. 【請求項4】 該熱硬化性樹脂が、耐アンモニア性樹脂
    である請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和機の防
    食方法。
  5. 【請求項5】 該耐アンモニア性樹脂が、エポキシ樹脂
    である請求項4に記載の空気調和機の防食方法。
  6. 【請求項6】 エリミネーターを有する空気出口管と、
    送気ポンプに連結する送気管とを設けたガス採取容器か
    らなり、該ガス採取容器に水と共にテストピースを収容
    し、該送気管が水没する部位に泡出器を備えたことを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気調和機の
    防食方法の適用の是否を決定するための判定装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004345941A (ja) * 2003-04-30 2004-12-09 Showa Denko Kk 高純度アンモニアガスの供給機器および供給方法
JP2010065855A (ja) * 2008-09-08 2010-03-25 Kobe Steel Ltd アンモニア冷凍装置
JP2018112350A (ja) * 2017-01-11 2018-07-19 ダイキン工業株式会社 空気調和装置及び室内ユニット

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