JP2002020404A - 多糖類の乾式架橋導入方法 - Google Patents

多糖類の乾式架橋導入方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、金属イオンを吸着し得る官能基を
有する多糖類を工業的なスケールで架橋するのに適した
方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、金属イオンを吸着し得る官能
基を有する多糖類に架橋を導入するための乾式架橋導入
方法であって、固体状の前記多糖類に架橋剤を接触せし
めて前記多糖類に架橋を導入する工程を備えた方法を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属イオンを吸着
し得る官能基を有する多糖類に架橋を導入するための乾
式架橋導入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、セルロースを始め、アルギン酸、
ペクチン酸およびキトサンなどの天然多糖類の使用が、
食品工業はもちろん、化学工業、医薬、農業分野などで
急増している。
【0003】キトサンは、一級アミンNHを有する塩
基性多糖類であり、ペクチン酸及びアルギン酸はカルボ
キシル基を有する酸性多糖類であるので、化学修飾せず
に、そのまま金属、タンパク質、アミノ酸および生理活
性物質などの吸着剤として応用することが考えられる。
しかしながら、これらはそのままでは酸、アルカリ溶液
に溶解するので架橋する必要があり、エピクロロヒドリ
ン、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジエポキ
シアルカン及びジエポキシアルケン等の多くの架橋剤を
用いて水溶液あるいは有機溶媒中で架橋し、酸、アルカ
リに安定な吸着剤を作成している。しかしながら、この
方法は、実験室規模では確実で優れた方法であるが、大
量に吸着剤を必要とする工業スケールに使用するには適
していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
存する上記課題を解決するためになされたものであり、
金属イオンを吸着し得る官能基を有する多糖類を工業的
なスケールで架橋するのに適した方法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、金属イオンを吸着し得る官能基を有する
多糖類に架橋を導入するための乾式架橋導入方法であっ
て、固体状の前記多糖類に架橋剤を接触せしめて前記多
糖類に架橋を導入する工程を備えた方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、金属イオンを吸着し得
る固体状の多糖類に架橋剤を接触させることにより架橋
を導入する方法を提供する。本方法は、固体状の多糖類
に架橋を導入する乾式法を採用した点で、多糖類を溶液
に溶解させた状態で架橋を導入する従来の湿式法とは全
く異なる。湿式法は、エピクロロヒドリン、グルタルア
ルデヒドなどの多くの架橋剤を用いて溶液中で架橋を行
うので、実験室スケールで多糖類に架橋を導入するのに
は適しているが、工業スケールでの利用には適していな
い。これに対して、乾式法を用いる本発明の方法は、工
業スケールでの利用に適するという大きな利点を有して
いる。
【0007】本発明は、金属イオンを吸着し得る官能基
を有する多糖類に、固体状態でアルデヒド等の架橋剤を
接触させても、前記官能基に影響を与えずに架橋を導入
することができるという本発明者らの発見に基づいてな
されたものである。アミノ基やカルボキシル基などの金
属イオンを吸着し得る官能基を反応性の高い架橋剤と接
触させると架橋剤と反応して金属イオンを吸着する能力
を喪失すると考えられていた。従って、このような官能
基に実質的に影響を与えずに架橋のみを導入することが
できるという前記発見は驚くべきものである。架橋導入
反応後にも前記官能基が残存していれば、金属の吸着能
が保持されるので、架橋が導入された前記多糖類は、酸
及びアルカリ溶液中でも安定な吸着剤として極めて有用
である。
【0008】以下、本発明の方法の具体的な操作につい
て説明する。
【0009】本方法では、金属イオンを吸着し得る官能
基を有する多糖類に架橋を導入させるために、固体状の
前記多糖類に架橋剤を接触せしめる。固体状の多糖類
は、架橋の形成を促進するために、例えば、粉末、球
体、膜等の形状であり得る。
【0010】本発明の方法により架橋を導入すべき多糖
類は、金属イオンを吸着し得る官能基を有する多糖類で
ある。なお、本明細書において、「多糖類」とは、単糖
がニ以上脱水縮合してなる糖を意味し、タンパク質、脂
質などの糖以外の物質で修飾されていてもよい。
【0011】前記金属イオンを吸着し得る好適な官能基
は、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、チオ尿
素、ピリジル基、チオエーテル基、オキシム基、リン酸
基、スルホン酸基等であり得るが、これらに限定されな
い。
【0012】本発明の方法を用いて架橋を導入すべき好
適な多糖類は、酸性多糖類、又は塩基性多糖類であり、
具体的には、アルギン酸、ペクチン酸、又はキトサンで
あるが、これらに限定されない。なお、「酸性多糖類」
とは、カルボキシル基、硫酸基等の酸性基を有する任意
の多糖類であり、「塩基性多糖類」とは、アミノ基等の
塩基性基を有する任意の多糖類である。シクロデキスト
リンも好適な多糖類であり得る。
【0013】架橋を導入すべき前記多糖類に接触させる
べき好適な架橋剤は、ホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒドであるが、ホ
ルムアルデヒドが好ましい。
【0014】糖は、複数の水酸基を有するポリオールな
ので、アルデヒドを接触させて、好ましくは加熱する
と、ヘミアセタールを経てアセタールが形成され、これ
により、ある水酸基と別の水酸基との間に架橋が導入さ
れる。6炭糖が重合してなる多糖類の場合、該架橋は、
2位、3位、及び6位の水酸基の間に形成され得る。
【0015】糖とアルデヒドとを反応させてアセタール
を形成させるためには、酸触媒の存在下で反応を進行さ
せることが望ましい。
【0016】アセタール形成反応が終了したら、アルカ
リを添加して触媒として用いた酸を中和し、さらに洗浄
操作を行うことが好ましいであろう。
【0017】以上のように、本発明の方法を用いれば、
極めて簡便な操作で金属イオンを吸着する官能基を有す
る多糖類に架橋を導入することができる。
【0018】このようにして架橋が導入された多糖類
は、架橋されていない多糖類とは異なり、酸及びアルカ
リに溶解しない。
【0019】本発明の方法によって調製した架橋された
多糖類は、金属イオンを吸着し得る官能基を保持してい
るので、金属イオンを吸着し得る吸着剤として使用でき
る。
【0020】従って、本発明は、金属イオンを吸着し得
る多糖類に架橋を導入するための上記操作を用いて、金
属イオンを吸着し得る吸着剤を製造する方法も提供す
る。
【0021】該吸着剤は、例えば、銀(I)、カドミウ
ム(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル
(II)、鉛(II)、亜鉛(II)、アルミニウム
(III)、鉄(III)、ガリウム(III)、イン
ジウム(III)等の金属イオンを吸着し得る。
【0022】前記吸着剤は、一般に、吸着すべき金属イ
オンを含む溶液のpHが高いほど、よく金属イオンを吸
着するが、pH2付近の低いpHでも十分吸着能を有す
る。
【0023】吸着剤に金属イオンを吸着させた後には、
通常、吸着剤から金属イオンを溶離させる操作を行うこ
とになるが、吸着剤から金属イオンを溶離させるには、
溶液に強酸(例えば、1.0Mの硝酸又は塩酸)を加え
ればよい。
【0024】本発明は、鉄(III)を吸着せしめた架
橋されたアルギン酸(以下鉄−CAAと称する)及び銅
(II)を吸着せしめた架橋されたアルギン酸(以下銅
−CAAと称する)を用いて、溶液中の砒素(III)
を回収する方法も提供する。
【0025】以下の実施例、及びで詳述されているよう
に、鉄−CAA及び銅−CAAが砒素(III)を吸着
する能力は、溶液のpHによって大きく影響を受ける。
従って、該方法を用いて、溶液中の砒素(III)を回
収するには、該溶液のpHを1以上3.5以下、又は6
以上に調整しなければならない。溶液が既に前記pH範
囲にあるときには、pHを調整する必要はない。砒素
(III)の回収率を向上させるためには、前記溶液の
pHを1以上2.5以下、又は6.5以上にすることが
好ましい。砒素(III)の回収率を向上させるために
は、前記溶液のpHは、1.25以上2以下、又は7以
上にすることが好ましい。
【0026】鉄(III)又は銅(II)を吸着せしめ
るべき架橋されたアルギン酸は、本発明の方法によって
調製されたものであり得る。
【0027】溶液のpHを調整した後に、該溶液に鉄−
CAA又は銅−CAAを添加すれば、溶液中の砒素(I
II)は鉄−CAA又は銅−CAAに吸着される。
【0028】続いて、吸着した砒素(III)を鉄−C
AA又は銅−CAAから溶離すれば、砒素(III)を
回収することができる。砒素(III)を溶離するため
には、吸着剤から金属イオンを溶離させるための上記操
作と同様の操作を行えばよい。
【0029】なお、溶液のpHを調整した工程は、鉄−
CAA又は銅−CAAを溶液に添加した後に行ってもよ
い。
【0030】本発明は、さらに、鉄−CAAを用いて、
溶液中の砒素(V)を回収する方法も提供する。
【0031】以下の実施例、及びで詳述されているよう
に、鉄−CAAが砒素(V)を吸着する能力も溶液のp
Hによって大きく影響を受ける。従って、該方法を用い
て、溶液中の砒素(V)を回収するには、該溶液のpH
を1以上7以下、好ましくは1.5以上6以下、より好
ましくは2以上4以下に調整しなければならない。溶液
が既に前記pH範囲にあるときには、pHを調整する必
要はない。
【0032】溶液のpHを調整した後の操作は、鉄−C
AA又は銅−CAAを用いて砒素(III)を回収する
前記方法について説明した操作と同様である。本方法に
おいても、溶液に鉄−CAAを添加した後に、pHを調
整してもよい。
【0033】加えて、本発明は、溶液中に含まれる砒素
(III)と砒素(V)を分離する方法も提供する。
【0034】溶液中に砒素(III)と砒素(V)がと
もに含まれている場合に、砒素(III)と砒素(V)
を分離するためには、溶液のpHを適切に調節すること
により鉄−CAAに砒素(III)又は砒素(V)の何
れかを特異的に吸着させた後に、溶液中に吸着せずに残
存している砒素(III)又は砒素(V)を回収すれば
よい。
【0035】溶液のpHが2.5以上5.5以下のとき
には、鉄−CAAは砒素(V)を特異的に吸着する。一
方、溶液のpHが7.5以上のときには、鉄−CAAは
砒素(III)のみを特異的に吸着する。従って、溶液
のpHを2.5以上5.5以下、又は7.5以上にした
後に、溶液に鉄−CAAを添加すれば、砒素(III)
又は砒素(V)のみを特異的に吸着させることが可能と
なる。
【0036】溶液に残存している砒素(III)又は砒
素(V)の何れかを回収すれば、砒素(III)と砒素
(V)を回収することができる。
【0037】なお、鉄−CAAを溶液に添加した後に、
溶液のpHを調整してもよい。
【0038】以下、実施例によって、本発明の方法をさ
らに詳細に説明する。
【0039】[実施例1]本実施例では、アルギン酸に
架橋を導入して架橋されたアルギン酸からなるアルギン
酸樹脂を合成する方法について説明する。
【0040】まず、アルギン酸5.0gを200mLビ
ーカーの中に入れ、ビュレットを用いて1:199の割
合の37%塩酸と37%ホルムアルデヒド混合液をゆっ
くり滴下させた。ガラス棒を用いて念入りに攪拌し、ホ
ルムアルデヒド混合液をアルギン酸に十分に浸透させた
後、2cm以下の厚さになるようにビーカー内にひろ
げ、一時間室温で静置した。次に、100℃の乾燥器中
で2時間過熱し、アセタール化反応を行い、乾燥器から
取り出したアルギン酸を室温まで冷却し、蒸留水に分散
させた。水酸化ナトリウムによりpH7に中和し、濾紙
を用いて濾過し、塩素イオンが消失するまで蒸留水で洗
浄した後、50℃の乾燥器中で24時間乾燥させた。ア
ルギン酸に架橋が導入されて樹脂が合成されたことは、
1mol/dmの水酸化ナトリウムに溶解しないこと
により確認した。
【0041】本実施例では、アルギン酸樹脂の合成を説
明したが、ペクチン酸、キトサンその他の多糖類も同様
な操作で容易に架橋することができる。キトサンの場合
には、酢酸溶液に溶解しないことにより、架橋の導入を
確認することができる。
【0042】[実施例2]本実施例では、本発明の方法に
よって作成した架橋アルギン酸(以下CAA)と架橋ペ
クチン酸(以下CAP)による金属イオンの吸着能につ
いて説明する。
【0043】実施例1の操作によって調製したCAAと
CAPを用いて、バッチ法で吸着実験を行った。水相
は、各金属イオン濃度の初濃度を1mmol/dm
し、硝酸とアンモニアを用いてpHを調整した。また、
イオン強度を一定とするために1mol/dmの硝酸
アンモニウムを用いた。その後、水相を15mLずつ三
角フラスコに取り、室温で24時間振とうした。振とう
後水相を分取し、各金属濃度は原子吸光光度計により求
めた。本実施例で使用した金属は、銀(I)、カドミウ
ム(II)、コバルト(II)、銅(II)、鉄(II
I)、ガリウム(III)、水銀(II)、ニッケル
(II)、鉛(II)、亜鉛(II)である。
【0044】吸着特性を評価するために、金属イオンの
吸着量q(mmol/g)、分配比D(cm/g)、
吸着率r(%)を以下のように定義し、下記の式より算
出した。
【0045】q=(Co−Ce)/w×(15/100
0) D=(q/Ce)×1000 r=(Co−Ce)/Co×100 (ここで、Co:金属イオンの初濃度(mmol/dm
3)、Ce:金属平衡濃度(mmol/dm3)、w:
樹脂の重量(g)である)。
【0046】図1(CAA)及び図2(CAP)に示さ
れているように、本発明の方法を用いて調製したCAA
及びCAPは、多くの金属に対して優れた吸着能を保持
していた。図1及び図2から、Pb(II)が最もよく
吸着されることが分かる。平衡pH(pHe)の増加に
伴い、logDが直線的に増加していることが分かる。
Hg(II)を除く2価の金属イオンの直線の傾きは1
であり、CAAおよびCAPのカルボキシル基1個に対
して金属イオンを1個吸着していることが明らかとなっ
た。一方、3価の金属イオンの直線の傾きは2であっ
た。
【0047】本実施例によって、本発明の方法を用いて
調製したCAA及びCAPは、多くの金属に対して優れ
た吸着能を有することが実証された。
【0048】[実施例3]本実施例では、本発明の方法
を用いて調製したCAA樹脂からの金属イオンを溶離す
る操作について説明する。
【0049】本実施例においては、金属を吸着させたC
AAを蒸留水で洗浄し、乾燥した後、1.0Mの硝酸ま
たは塩酸に加え、30℃の恒温槽中で24時間振とう
し、これを濾過することにより溶離を行った。結果を図
3に示す。
【0050】図3は、金属イオンの溶離率と金属イオン
を吸着させた際の平衡pHとの関係を示している。図か
ら明らかなように、CAAは、金属イオンを吸着させた
際のpH値にかかわらず、銅(II)、鉄(III)、
鉛(II)、およびカドミウム(II)の何れの金属イ
オンもほぼ100%の溶離率で溶離することができた。
【0051】本実施例によって、本発明の方法で調製し
たCAAに吸着した金属イオンは、吸着させた際のpH
値にかかわらず、極めて簡便な操作により確実に溶離さ
れ得ることが実証された。
【0052】[実施例4]本実施例では、金属イオンを
反復的に吸脱着したときのCAAおよびCAPの耐用性
について説明する。
【0053】実施例2及び実施例3に記載されている操
作を用いて、吸着と溶離を3回繰り返し、1,2、及び
3回目の吸着能を比較した。CAAを使用したときの結
果を図4に示す。
【0054】図から明らかなように、1回目(白抜き四
角)、2回目(黒菱形)、3回目(白丸)の吸着能は全
く変化しなかった。図には示していないが、CAPを使
用したときにも同じ結果が得られた。
【0055】本実施例によって、本発明の方法を用いて
調製したCAAおよびCAPは、繰り返し使用しても全
く吸着能が衰えないことが実証された。
【0056】[実施例5]本実施例では、鉄(III)
を吸着させたCAA(以下Fe−CAA)を用いて砒素
(III)及び砒素(V)を吸着させる方法、並びに銅
(II)を吸着させたCAA(以下Cu−CAA)を用
いて砒素(III)を吸着させる方法について説明す
る。合わせて、本実施例では、Fe−CAAを用いて、
砒素(III)と砒素(V)を分離する方法についても
説明する。
【0057】本実施例において使用した吸着剤は、CA
A、Cu−CAA、Fe−CAA、Fe−LEWATI
T(工業用吸着剤)、及びPTCC(キトサンをベース
とした吸着剤)であり、図5及び図6に示されているp
H範囲で砒素(III)(図5)又は砒素(V)(図
6)を吸着させた。
【0058】図5に示されているように、CAAとPT
CCは、全てのpH範囲にわたって、ほとんど砒素(I
II)を吸着しなかった。特に、PTCCは、共役の相
互作用により、砒素に親和性をい示すチオール基をもつ
構造を形成するので、砒素の吸着が期待されたが、砒素
(III)に対して親和性を示さなかった。また、鉄を
吸着させたFe−LEWATITも砒素(III)を吸
着できなかった。
【0059】これに対して、Fe−CAAは、最大75
%程度の砒素(III)を吸着した。Fe−CAAを用
いた場合、pH2.5〜6付近の低pH領域では、砒素
(III)の吸着率の低下がみられたが、これは、Fe
−CAAに吸着された金属イオンが溶離するpH領域と
一致しているためであると推測される。
【0060】Cu−CAAは、Fe−CAAよりも吸着
能が低かったが、pH2〜3の範囲で砒素(III)を
吸着した。
【0061】図6は、CAA、Cu−CAA、Fe−C
AA、PTCCのうち、Fe−CAAのみが砒素(V)
を吸着し得ることを示している。図6から明らかなよう
に、Fe−CAAは、pH2〜7の範囲で砒素(V)を
吸着することができる。
【0062】一方、前述のように、Fe−CAAは、こ
の範囲のpH2.5〜5.5では砒素(III)を殆ど
吸着できないので、砒素(III)と砒素(V)を含む
溶液のpHを2.5〜5.5にすれば、砒素(V)のみ
を特異的に吸着することができる。逆に、Fe−CAA
は、7.5を超えるpHでは、砒素(V)を殆ど吸着せ
ずに、砒素(III)を非常によく吸着する。
【0063】それ故、砒素(III)と砒素(V)を含
む溶液のpHが7.5を超えるように調整すれば、砒素
(III)のみを特異的に吸着することができる。この
ように、Fe−CAAは、低いpH値で砒素(V)を吸
着するのに対して、砒素(III)は高いpH値で吸着
するので、砒素(III)と砒素(V)の両者を含む溶
液のpHを低くするか、又は高くすれば砒素(III)
と砒素(V)を分離することが可能となる。
【0064】
【発明の効果】本発明の方法によれば、工業的なスケー
ルで金属イオンを吸着し得る官能基を有する多糖類に架
橋を導入することができる。
【0065】本発明の方法によれば、溶液中に含まれる
砒素(III)と砒素(V)を分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって架橋されたアルギン酸の
金属吸着能を示す図。
【図2】本発明の方法によって架橋されたペクチン酸の
金属吸着能を示す図。
【図3】本発明の方法によって架橋されたアルギン酸に
吸着した各種金属イオンの溶離率を示す図。
【図4】本発明の方法によって方法によって架橋された
アルギン酸を繰り返し使用した際の金属イオン吸着能の
変化を示す図。
【図5】鉄又は銅を吸着せしめた架橋されたアルギン酸
の砒素(III)の吸着能を示す図。
【図6】鉄を吸着せしめた架橋されたアルギン酸の砒素
(V)の吸着能を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08B 37/08 C08B 37/08 A 37/16 37/16 Fターム(参考) 4C090 AA05 BA10 BA47 BA50 BA72 CA35 DA06 4D024 AB17 BA19 BB01 BC04 CA06 DA03 DA07 4G066 AA02B AA47B AA50B AB05D AC01A AC01B AD01B AD08B AD10B AD15B AD20B AE10B CA46 FA09 FA11 GA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオンを吸着し得る官能基を有する
    多糖類に架橋を導入するための乾式架橋導入方法であっ
    て、固体状の前記多糖類に架橋剤を接触せしめて前記多
    糖類に架橋を導入する工程を備えた方法。
  2. 【請求項2】 金属イオンを吸着し得る吸着剤を製造す
    る方法であって、金属イオンを吸着し得る官能基を有す
    る固体状の多糖類に架橋剤を接触せしめて該多糖類に架
    橋を導入することにより、前記吸着剤を製造する工程を
    備えた方法。
  3. 【請求項3】 前記官能基が、カルボキシル基、アミノ
    基、チオール基、チオ尿素、ピリジル基、チオエーテル
    基、オキシム基、リン酸基、及びスルホン酸基からなる
    群から選択される少なくとも1つの基であることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記多糖類が、キトサン、アルギン酸、
    ペクチン酸、及びシクロデキストリンからなる群から選
    択されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記架橋剤がホルムアルデヒドであるこ
    とを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 溶液中の砒素(III)を回収する方法
    であって、 前記溶液のpHを1以上3.5以下、又は6以上に調整
    する工程と;前記溶液に鉄(III)及び/又は銅(I
    I)を吸着せしめた架橋されたアルギン酸を添加して、
    該アルギン酸に砒素(III)を吸着させる工程と;ア
    ルギン酸に吸着した砒素(III)を前記アルギン酸か
    ら溶離させる工程とを備えた方法。
  7. 【請求項7】 溶液中の砒素(V)を回収する方法であ
    って、 前記溶液のpHを1以上7以下に調整する工程と;前記
    溶液に鉄(III)を吸着せしめた架橋されたアルギン
    酸を添加して、該アルギン酸に砒素(V)を吸着させる
    工程と;前記アルギン酸に吸着した砒素(V)を前記ア
    ルギン酸から溶離させる工程とを備えた方法。
  8. 【請求項8】 溶液中に含まれる砒素(III)と砒素
    (V)を分離する方法であって、 前記溶液のpHを3以上5以下、又はpH7.5以上に
    調整する工程と;前記溶液に鉄(III)を吸着せしめ
    た架橋されたアルギン酸を添加して、該アルギン酸に砒
    素(III)又は砒素(V)の何れか一方を吸着させる
    工程と;前記アルギン酸に吸着していない砒素(II
    I)又は砒素(V)を回収することにより、前記溶液中
    の砒素(III)と砒素(V)を分離する工程とを備え
    た方法。
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