JP2002012589A - スルフィドアミドカルボン酸、その製法およびその用途 - Google Patents

スルフィドアミドカルボン酸、その製法およびその用途

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JP2002012589A JP2000380868A JP2000380868A JP2002012589A JP 2002012589 A JP2002012589 A JP 2002012589A JP 2000380868 A JP2000380868 A JP 2000380868A JP 2000380868 A JP2000380868 A JP 2000380868A JP 2002012589 A JP2002012589 A JP 2002012589A
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Yoshihisa Oda
喜久 織田
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Nippon Shokubai Co Ltd
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    • C23F11/165Heterocyclic compounds containing sulfur as hetero atom

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なスルフィドアミドカルボン酸(塩)、
その製造方法、その用途を提供する 【解決手段】 ジメチルチアゾリジン残基やメチルチア
ゾリジン残基やチアゾリジン残基などのチアゾリジン類
残基とジカルボン酸(塩)残基あるいはトリカルボン酸
(塩)残基あるいはテトラカルボン酸(塩)残基などの
ポリカルボン酸(塩)残基を持つスルフィドアミドカル
ボン酸(塩)、その製造方法、その金属腐食防止剤とし
ての用途。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スルフィドアミド
カルボン酸、その製法およびその用途に関する。さらに
詳細には、本発明はスルフィドアミドカルボン酸、その
製法、金属腐食防止剤、スルフィドアミドカルボン酸と
ポリアミンとを含む組成物、スルフィドアミドカルボン
酸とポリアミンとを反応させてなる塩、該組成物および
/または該塩を含有する金属腐食防止剤組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】水を作業媒体として使用する場合、水は
金属にさまざまな影響を与える。例えば、金属の腐食で
ある。金属の腐食は、水性媒体を扱う諸設備や装置の維
持管理において、重要な問題である。この問題に対し、
通常、金属腐食防止剤が用いられている。
【0003】金属腐食防止剤としては、クロム酸塩類や
燐酸塩類などの無機物や、アルキルアミン類やアルキル
アンモニウム類などの有機物など多種類のものが知られ
ていて、特定条件においては有用である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】金属腐食防止剤の使用
形態については閉鎖系と開放系があるが、開放系での使
用は環境保全と直接関係するので特に重要である。安全
性の点ではクロム酸類が、また、水系環境の富栄養化の
点では燐酸塩類は問題がある場合がある。アルキルアミ
ン類やアルキルアンモニウム類などは比較的毒性の高い
ものが多い。環境保護の点からは、低毒性であることな
ど安全性が高く、環境に対する負荷性が低く、しかも効
力が高い金属腐食防止剤の開発は重要である。
【0005】本発明者はジメチルチアゾリジンなど低分
子のスルフィドアミンやメルカプトアミンが金属の腐食
を抑制する効果をもつことを見出した。これらについて
は気化性が必要とされない場合は臭気が強いので使用が
制限されるという問題があった。
【0006】また、従来から多用されている金属腐食防
止剤としてはクロム酸類や燐酸塩類、アルキルアミン類
やアルキルアンモニウム類などが挙げられる。安全性の
点ではクロム酸類が、また、水系環境の富栄養化の点で
は燐酸塩類は問題がある。アルキルアミン類やアルキル
アンモニウム類などは比較的毒性の高いものが多い。
【0007】毒性の問題がなければ、自然環境中で比較
的分解しやすい有機系の金属腐食防止剤は魅力的であ
る。アルキルアミン類やアルキルアンモニウム類は毒性
を示すが、その原因の一つとして逆性石鹸としての性質
をもつことが考えられる。すなわち、同じ程度の大きさ
の炭化水素基をもつ脂肪酸(塩)は通常低毒性であるか
らである。ただし、脂肪酸(塩)は界面活性剤であるの
で、金属腐食防止剤の成分として利用されるが、通常そ
れ自体では金属腐食防止剤としては用いられないようで
ある。
【0008】脂肪酸(塩)の多くは対応するアミンやア
ンモニウムなどに比べて一般に毒性が低い。したがっ
て、脂肪酸(塩)の分子構造やその塩の構成などを改変
し金属腐食防止効果を上昇させることや効果の発現速度
を上昇させることは低毒性が期待される金属腐食防止剤
として重要な開発課題である。それだけではなく、金属
腐食防止効果をより高くするという課題は使用量を少な
くすることにつながるので環境負荷性の低減化としても
重要な意味をもつ。
【0009】
【課題を解決するための手段】脂肪酸(塩)の分子構造
を改変し、金属腐食防止効果を上昇させることができれ
ば、低毒性の金属腐食防止剤になる可能性が高いと考え
られる。それだけでなく、分子構造に酵素による分解を
受けやすい部分構造が導入できれば、高い生分解性が期
待できる。
【0010】この考えのもとに本発明者は、分子構造に
アミド結合を持つカルボン酸(塩)について注目した。
分子構造にアミド結合を持つカルボン酸は、微生物のア
ミダーゼによる加水分解を受けることが期待できる。
【0011】本発明者はスルフィドアミドカルボン酸
(塩)について検討を行い、ジメチルチアゾリジンの誘
導体に相当するスルフィドアミドカルボン酸(塩)など
が良好な金属腐食防止効果を示すことを見出した。それ
だけでなく、一般にジメチルチアゾリジン(DMT)など
低分子スルフィドアミン類は臭気が強いという問題があ
るが、スルフィドアミドカルボン酸(塩)は臭気が弱
い。これらの検討により、スルフィドアミドカルボン酸
(塩)は金属腐食防止剤として有用であることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0012】本発明の目的は、新規なスルフィドアミド
カルボン酸(塩)、その製造方法、その用途を提供する
ことにある。
【0013】本発明は、構造式Iで表されるスルフィド
アミドカルボン酸に関する:
【0014】
【化5】
【0015】(ただし、式中、CnHm、Cn’Hm’
はそれぞれ独立に炭化水素であり、CiHjは炭化水素
鎖を意味し、nは1以上12以下の整数、mは2以上2
n以下の整数、n’は1以上15以下の整数、m’は2
以上2n’以下の整数、iは2以上20以下の整数、j
は0以上2i+2−k−z以下の整数、kは1以上5以
下の整数、zは1以上5以下の整数、Mは水素原子また
は金属原子またはアンモニウム類すなわちNH4やアミ
ン由来のアンモニウムを示す)。
【0016】また、本発明は、酸無水物とスルフィドア
ミンを反応することを特徴とする下記構造式(I)で示
されるスルフィドアミドカルボン酸(塩)の製造方法:
【0017】
【化6】
【0018】(ただし、式中、CnHm、Cn’Hm’
はそれぞれ独立に炭化水素であり、CiHjは炭化水素
鎖を意味し、nは1以上12以下の整数、mは2以上2
n以下の整数、n’は1以上15以下の整数、m’は2
以上2n’以下の整数、iは2以上20以下の整数、j
は0以上2i+2−k−z以下の整数、kは1以上5以
下の整数、zは1以上5以下の整数、Mは水素原子また
は金属原子またはアンモニウム類すなわちNH4やアミ
ン由来のアンモニウムを示す)に関する。
【0019】さらに、本発明は、上記スルフィドアミド
カルボン酸(塩)を含んでなる金属腐食防止剤に関す
る。
【0020】以下の記述において、構造式(I)で示さ
れる化合物群をスルフィドアミドカルボン酸(塩)と称
する。
【0021】ポリエチレンイミンは金属の酸洗浄浴にお
いては金属腐食防止剤として効果的に機能する(特開平
10−140379)ので、本発明者はその作用につい
てさらに詳しく調べた。その結果、少なくとも、二酸化
炭素を含む中性ないし弱酸性の水溶液においては低濃度
の使用によりスルフィドアミドカルボン酸(塩)の金属
腐食防止効果を促進すること,すなわち金属腐食防止協
力剤としての効果もつことを見出した。
【0022】スルフィドアミドカルボン酸(塩)は低濃
度でも金属腐食防止効果は高いが、効果の発現速度は非
常に速いという程度ではない。従って、スルフィドアミ
ドカルボン酸(塩)に見られる高い金属腐食防止効果を
保ちながら、金属腐食防止効果の発現速度を高くするこ
とは望ましいことであった。
【0023】本発明者はスルフィドアミドカルボン酸
(塩)の使用法について鋭意検討したが、ポリエチレン
イミンなどポリアミンと併用することにより腐食防止効
果の発現速度を大きく上昇させることができることを見
出し、本発明を完成するに至った。ポリアミンとスルフ
ィドアミドカルボン酸(塩)が独立に作用するのであれ
ば、両者が共存する場合はそれぞれの特性の和となると
考えられた。従って、それぞれの特性からは両者の共存
により金属腐食防止効果の発現速度が大きく増加すると
いう本発明の要点である効果を推測することは不可能で
あった。
【0024】本発明は新規な金属腐食防止剤組成物を提
供することにある。本発明は以下の組成物に関するもの
である。
【0025】[1]ポリアミン(塩)と下記構造式
(I)で示されるスルフィドアミドカルボン酸(塩)を
含んでなる組成物:
【0026】
【化7】
【0027】(ただし、式中、CnHm、Cn’Hm’
はそれぞれ独立に炭化水素であり、CiHjは炭化水素
鎖を意味し、nは1以上12以下の整数、mは2以上2
n以下の整数、n’は1以上15以下の整数、m’は2
以上2n’以下の整数、iは2以上20以下の整数、j
は0以上2i+2−k−z以下の整数、kは1以上5以
下の整数、zは1以上5以下の整数、Mは水素原子また
は金属原子またはアンモニウム類すなわちNH4やアミ
ン由来のアンモニウムを示す)。
【0028】[2]ポリアミン(塩)と下記構造式
(1)で示されるスルフィドアミドカルボン酸(塩)を
反応させて得られる塩:
【0029】
【化8】
【0030】(ただし、式中、CnHm、Cn’Hm’
はそれぞれ独立に炭化水素であり、CiHjは炭化水素
鎖を意味し、nは1以上12以下の整数、mは2以上2
n以下の整数、n’は1以上15以下の整数、m’は2
以上2n’以下の整数、iは2以上20以下の整数、j
は0以上2i+2−k−z以下の整数、kは1以上5以
下の整数、zは1以上5以下の整数、Mは水素原子また
は金属原子またはアンモニウム類すなわちNH4やアミ
ン由来のアンモニウムを示す)。
【0031】[3]上記[1]に記載の組成物および/
または上記[2]に記載の塩を含有してなる金属腐食防
止剤組成物。なお、ここに示した[1]から[3]の変
法としてポリエチレンイミンとスルフィドアミドカルボ
ン酸(塩)を同時に存在させること、すなわち適用場所
において両者を混合または反応させることを特徴とする
金属の腐食防止方法も可能である。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明に用いるスルフィドアミド
カルボン酸(塩)は一般的には下記構造式Iで示される
ものである。
【0033】
【化9】
【0034】構造式 Iにおいては、CnHm、Cn’
Hm’は炭化水素鎖であり、CiHjは炭化水素鎖を意
味する。スルフィドアミドカルボン酸は通常低濃度で効
果を示すが、水溶性を考慮すると炭素原子数nは1以上
12以下の整数、炭素原子数n’は1以上15以下の整
数、炭素原子数iは2以上20以下の整数とすることは
妥当性が高い。水素原子数の範囲mは2以上2n以下の
整数、m’は2以上2n’以下の整数、jは0以上2i
+2−k−z以下の整数であるがそれぞれ炭素原子数
n、n’、iに対応するものである。なお、通常kは1
以上5以下の整数、zは1以上5以下の整数であるが、
k=1、z=1やk=2、z=1やk=2、z=2など
は好ましい選択例であり、特にk=1、z=1は多用さ
れる。Mは水素原子または金属原子またはアンモニウム
類すなわちNH4やアミン由来のアンモニウムを意味す
る。従ってスルフィドアミドカルボン酸塩の場合はポリ
エチレンイミン由来のアンモニウムもMの範疇に含まれ
る。遊離のスルフィドアミドカルボン酸の場合はMは水
素となる。
【0035】構造式Iで示されるスルフィドアミドカル
ボン酸の例としてはDMT−スクシンアミド酸(無水コハ
ク酸とDMT(ジメチルチアゾリジン)の反応によるアミ
ド酸)、 DMT−マレアミド酸(無水マレイン酸とDMTの
反応によるアミド酸)、 DMT−フタルアミド酸(無水フ
タル酸とDMTの反応によるアミド酸)、 DMT−トリメリ
ットアミド酸(無水トリメリット酸とDMTの反応による
アミド酸)、 DMT−ピロメリットアミド酸(無水ピロメ
リット酸とDMTの反応によるアミド酸)、 DMT−メリト
アミド酸(無水メリト酸とDMTの反応によるアミド
酸)、DMT−ヘキサヒドロフタルアミド酸(無水ヘキサ
ヒドロフタル酸とDMTの反応によるアミド酸)、 DMT−
シトラコンアミド酸(無水シトラコン酸とDMTの反応に
よるアミド酸)、 DMT−イタコンアミド酸(無水イタコ
ン酸とDMTの反応によるアミド酸)、 DMT−ナフタレン
ジカルボンアミド酸(ナフタレンジカルボン酸無水物と
DMTの反応によるアミド酸)、マレイン化メチルシクロ
ヘキセン四塩基酸無水物とDMTの反応によるアミド酸、
DMT−エンドメチレンテトラヒドロフタルアミド酸(無
水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸とDMTの反応に
よるアミド酸)、 DMT−クロレンドアミド酸(無水クロ
レンド酸とDMTの反応によるアミド酸)、 DMT−メチル
エンドメチレンテトラヒドロフタルアミド酸(メチルエ
ンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物とDMTの反応
によるアミド酸)、 DMT−メチルテトラヒドロフタルア
ミド酸(メチルテトラヒドロフタル酸無水物とDMTの反
応によるアミド酸)、メチルノルボルネン−2,3−ジ
カルボン無水物とDMTの反応によるアミド酸、 DMT−テ
トラヒドロフタルアミド酸(テトラヒドロフタル酸無水
物とDMTの反応によるアミド酸)、シクロペンタンテト
ラカルボン酸無水物とDMTの反応によるアミド酸、グル
タル酸無水物とDMTの反応によるアミド酸、DMT−ドデセ
ニルスクシンアミド酸(ドデセニルコハク酸無水物とDM
Tの反応によるアミド酸)、 DMT−ヘキサヒドロメチル
フタルアミド酸(ヘキサヒドロメチルフタル酸無水物と
DMTの反応によるアミド酸)などジメチルチアゾリジン
由来のDMT-アミド酸、MT−スクシンアミド酸(無水コハ
ク酸とMT(メチルチアゾリジン)の反応によるアミド
酸)、 MT−マレアミド酸(無水マレイン酸とMTの反応
によるアミド酸)、 MT−フタルアミド酸(無水フタル
酸とMTの反応によるアミド酸)、 MT−トリメリットア
ミド酸(無水トリメリット酸とMTの反応によるアミド
酸)、 MT−ピロメリットアミド酸(無水ピロメリット
酸とMTの反応によるアミド酸)、 MT−メリトアミド酸
(無水メリト酸とMTの反応によるアミド酸)、MT−ヘキ
サヒドロフタルアミド酸(無水ヘキサヒドロフタル酸と
MTの反応によるアミド酸)、 MT−シトラコンアミド酸
(無水シトラコン酸とMTの反応によるアミド酸)、 MT
−イタコンアミド酸(無水イタコン酸とMTの反応による
アミド酸)、 MT−ナフタレンジカルボンアミド酸(ナ
フタレンジカルボン酸無水物とMTの反応によるアミド
酸)、マレイン化メチルシクロヘキセン四塩基酸無水物
とMTの反応によるアミド酸、 MT−エンドメチレンテト
ラヒドロフタルアミド酸(無水エンドメチレンテトラヒ
ドロフタル酸とMTの反応によるアミド酸)、 MT−クロ
レンドアミド酸(無水クロレンド酸とMTの反応によるア
ミド酸)、 MT−メチルエンドメチレンテトラヒドロフ
タルアミド酸(メチルエンドメチレンテトラヒドロフタ
ル酸無水物とMTの反応によるアミド酸)、 MT−メチル
テトラヒドロフタルアミド酸(メチルテトラヒドロフタ
ル酸無水物とMTの反応によるアミド酸)、メチルノルボ
ルネン−2,3−ジカルボン無水物とMTの反応によるア
ミド酸、 MT−テトラヒドロフタルアミド酸(テトラヒ
ドロフタル酸無水物とMTの反応によるアミド酸)、シク
ロペンタンテトラカルボン酸無水物とMTの反応によるア
ミド酸、グルタル酸無水物とMTの反応によるアミド酸、
MT−ドデセニルスクシンアミド酸(ドデセニルコハク酸
無水物とMTの反応によるアミド酸)、MT−ヘキサヒドロ
メチルフタルアミド酸(ヘキサヒドロメチルフタル酸無
水物とDMTの反応によるアミド酸)などメチルチアゾリ
ジン由来のMT-アミド酸、T−スクシンアミド酸(無水コ
ハク酸とT(チアゾリジン)の反応によるアミド酸)、
T−マレアミド酸(無水マレイン酸とTの反応によるアミ
ド酸)、 T−フタルアミド酸(無水フタル酸とTの反応
によるアミド酸)、 T−トリメリットアミド酸(無水ト
リメリット酸とTの反応によるアミド酸)、 T−ピロメ
リットアミド酸(無水ピロメリット酸とTの反応による
アミド酸)、 T−メリトアミド酸(無水メリト酸とTの
反応によるアミド酸)、T−ヘキサヒドロフタルアミド
酸(無水ヘキサヒドロフタル酸とTの反応によるアミド
酸)、 T−シトラコンアミド酸(無水シトラコン酸とT
の反応によるアミド酸)、 T−イタコンアミド酸(無水
イタコン酸とTの反応によるアミド酸)、 T−ナフタレ
ンジカルボンアミド酸(ナフタレンジカルボン酸無水物
とTの反応によるアミド酸)、マレイン化メチルシクロ
ヘキセン四塩基酸無水物とTの反応によるアミド酸、 T
−エンドメチレンテトラヒドロフタルアミド酸(無水エ
ンドメチレンテトラヒドロフタル酸とTの反応によるア
ミド酸)、 T−クロレンドアミド酸(無水クロレンド酸
とTの反応によるアミド酸)、 T−メチルエンドメチレ
ンテトラヒドロフタルアミド酸(メチルエンドメチレン
テトラヒドロフタル酸無水物とTの反応によるアミド
酸)、 T−メチルテトラヒドロフタルアミド酸(メチル
テトラヒドロフタル酸無水物とTの反応によるアミド
酸)、メチルノルボルネン−2,3−ジカルボン無水物
とTの反応によるアミド酸、 T−テトラヒドロフタルア
ミド酸(テトラヒドロフタル酸無水物とTの反応による
アミド酸)、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物と
Tの反応によるアミド酸、グルタル酸無水物とTの反応に
よるアミド酸、T−ドデセニルスクシンアミド酸(ドデ
セニルコハク酸無水物とTの反応によるアミド酸)、 T
−ヘキサヒドロメチルフタルアミド酸(ヘキサヒドロメ
チルフタル酸無水物とTの反応によるアミド酸)などチ
アゾリジン由来のT-アミド酸がある。
【0036】なかでもDMT−スクシンアミド酸、 DMT−
マレアミド酸、 DMT−フタルアミド酸、 DMT−トリメリ
ットアミド酸、 DMT−ヘキサヒドロフタルアミド酸、 D
MT-ドデセニルスクシンアミド酸などはより好ましい例
である。
【0037】本発明のスルフィドアミドカルボン酸
(塩)は、分子内に2個以上のカルボキシル基を持つ脂
肪族または芳香族のカルボン酸(本発明においてはポリ
カルボン酸と称する)をスルフィドアミンで部分的にア
ミド化した化合物に相当する。したがって、本発明のス
ルフィドアミドカルボン酸(塩)は、ポリカルボン酸と
スルフィドアミンを脱水縮合させる方法や、ポリカルボ
ン酸の塩化物またはポリカルボン酸のエステルまたはポ
リカルボン酸の無水物などにスルフィドアミンを反応さ
せる方法などで合成される。
【0038】これらの方法の中で、ポリカルボン酸の分
子内無水物(−CO−O−CO−が存在する環状構造を
分子内にもつ)にスルフィドアミンを反応させる方法が
好ましい。これは、反応に伴って副生成物が発生しにく
いだけでなく、反応温度を制御することにより無溶媒で
反応させることが可能だからである。
【0039】スルフィドアミドカルボン酸(塩)の原料
となる酸無水物は、次の化合物を例示できる:無水コハ
ク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリッ
ト酸、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水シクロ
ヘキサンジカルボン酸、無水シトラコン酸、無水イタコ
ン酸、ナフタレンジカルボン酸無水物、マレイン化メチ
ルシクロヘキセン四塩基酸無水物、無水エンドメチレン
テトラヒドロフタル酸(ノルボルネン−endo−2,
3−ジカルボン酸無水物)、無水クロレンド酸、メチル
エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテ
トラヒドロ無水フタル酸、メチルノルボルネン−2,3
−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、
シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、グルタル酸無
水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサヒドロメチル
フタル酸無水物など。なかでも、無水フタル酸、無水ト
リメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタレンジカル
ボン酸無水物、無水シクロヘキサンジカルボン酸、無水
コハク酸、無水マレイン酸、ドデセニルコハク酸無水物
が好ましく、特に無水コハク酸、無水マレイン酸、無水
フタル酸、無水トリメリット酸などは酸無水物が容易に
得られる点で好ましい。これをスルフィドアミンと反応
させることにより、対応するコハク酸のスルフィドアミ
ドカルボン酸、マレイン酸のスルフィドアミドカルボン
酸、フタル酸のスルフィドアミドカルボン酸、トリメリ
ット酸のスルフィドアミドカルボン酸などがそれぞれ合
成できる。
【0040】ここで用いる酸無水物の炭素原子数が大き
すぎれば、通常は得られるスルフィドアミドカルボン酸
(塩)の溶解性が悪くなるので好ましくない。水溶性あ
るいは水中でのスルフィドアミドカルボン酸の分散性を
考慮すると、ポリカルボン酸残基の炭素原子数は22程
度が上限であると考えられる。下限は炭素原子数2まで
可能なはずであるが、現実の合成操作を考慮すると炭素
原子数4以上である。コハク酸のスルフィドアミドカル
ボン酸(塩)に比べて、シクロヘキサンジカルボン酸の
スルフィドアミドカルボン酸(塩)の方が金属腐食防止
能が高い。この結果は炭素原子数はある程度以上多い方
が好ましいことを示し、本発明においては炭素原子数5
以上が好ましい。ここに示した好適な炭素原子数につい
ては主として飽和脂肪族ポリカルボン酸残基についての
ことであり、不飽和脂肪族ポリカルボン酸残基であるマ
レイン酸残基などの好ましい例外も存在する。したがっ
て、構造式Iで示される本発明の金属腐食防止剤は、先
に記述したように、iは2以上20以下の整数、好まし
くは3以上14以下の整数、jは0以上2i+2−k−
z以下の整数、kは1以上5以下の整数、zは1以上5
以下の整数、Mは水素原子または金属原子またはアンモ
ニウム類とすることは妥当性が高い。ここで、金属と
は、アルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられるが、
アルカリ金属が好ましく、特にリチウム、ナトリウムま
たはカリウムが好ましい。
【0041】本発明のスルフィドアミドカルボン酸
(塩)に存在する炭化水素鎖−CnHm−、−Cn’H
m’−は、通常脂肪族炭化水素鎖であり、直鎖構造や分
岐構造をもつ。芳香環や芳香環構造を含む炭化水素鎖も
目的によっては使用できる。炭化水素鎖−CnHm−、
−Cn’Hm’−が大きすぎると、スルフィドアミドカ
ルボン酸(塩)の水溶性あるいは水中での分散性が悪く
なるので好ましくない。スルフィドアミドカルボン酸
(塩)の安定性を考慮すると、炭化水素鎖−CnHm
−、−Cn’Hm’−の最小のものはn、n’ともに1
まで合成できる可能性がある。したがって、炭化水素鎖
−CnHm−、−Cn’Hm’−に関して、nは1以上
12以下の整数、mは2以上2n以下の整数、n’は1
以上15以下の整数、m’は2以上2n’以下の整数と
することが好ましい。
【0042】本発明のスルフィドアミドカルボン酸
(塩)としては、ジメチルチアゾリジン残基やメチルチ
アゾリジン残基やチアゾリジン残基などのチアゾリジン
類残基とジカルボン酸(塩)残基あるいはトリカルボン
酸(塩)残基あるいはテトラカルボン酸(塩)残基など
のポリカルボン酸(塩)残基をもつものをすでに例示し
た。
【0043】これらのスルフィドアミドカルボン酸の合
成原料として、チアゾリジン類が好んで用いられる。
【0044】チアゾリジン類やチアゾリジン類残基は窒
素原子とイオウ原子を含む5員環構造をもつ。この場
合、最小のn、n’は2、1となる。この場合も、nは
1以上12以下の整数、mは2以上2n以下の整数、
n’は1以上15以下の整数、m’は2以上2n’以下
の整数の範囲という条件にはいるものであり、より好ま
しくはn’は1以上13以下の整数である。本発明で特
に好んで用いられる2,2−ジメチルチアゾリジンは、
CnHmがC24、Cn’Hm’がC36となるもので
ある。
【0045】チアゾリジンの類縁化合物については−C
n’Hm’−を−CRR’−と記述できる(下記構造式
II)。この場合は、基R、R’はそれぞれ独立に水素
原子または炭化水素基を意味するが、大きさとしては炭
素原子数12程度以下が好ましく、より好ましくは炭化
水素基R、R’の両者の炭素原子数の合計が12以下で
ある。
【0046】
【化10】
【0047】特に好ましいスルフィドアミン残基として
はジメチルチアゾリジン残基(R,R'=CH3, DMT−と略す
る)、メチルチアゾリジン残基(R=CH3, R'=H, MT-と略
する)、チアゾリジン残基(R,R'=H, T-と略する)など
が例示できる。
【0048】その他のスルフィドアミン残基としてはチ
オモルホリンやチオモルホリン類に由来する構造をもつ
チオモルホリン残基、チオモルホリン類残基も有望であ
る。
【0049】スルフィドアミン残基数は合成に用いられ
る酸無水物などに応じて決定される。ただし、実用性す
なわち工業的に利用しやすい酸無水物を考慮すると1〜
5が好ましい。この点で、スルフィドアミドカルボン酸
(塩)についてzは1以上5以下の範囲が好ましい。
【0050】酸無水物とスルフィドアミンを反応させる
場合の使用量は、通常、酸無水物中の部分構造−CO−
O−CO−とスルフィドアミンの当量比は、通常、1〜
3:3〜1、さらに好ましくは1〜1.5:1.5〜1
の範囲、特に好ましくは1:1の比率である。ここで、
当量比1:1とは、無水コハク酸、無水マレイン酸、無
水フタル酸、無水トリメリト酸などの一無水物とチアゾ
リジン、メチルチアゾリジンまたはジメチルチアゾリジ
ンを反応させる場合には1:1(モル比)、酸無水物が
ピロメリト酸二無水物などの二無水物の場合には1:2
(モル比)、酸無水物がメリト酸無水物などの三無水物
の場合には1:3(モル比)を意味する。
【0051】本発明においては、酸無水物として無水コ
ハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリ
ット酸を、また、スルフィドアミンとしてはジメチルチ
アゾリジン((株)日本触媒製)を用いることが好適で
ある。これらを用いる場合には、反応が円滑に進行する
ことから、当量比で1:1で反応させることが特に好ま
しい。酸無水物とスルフィドアミンの反応(アミド結合
形成反応)が円滑に進行する場合は、生成物は特に精製
することなく、スルフィドアミドカルボン酸として扱う
ことができる。したがって、本発明の用途である金属腐
食防止剤としては生成物はそのまま、または精製して用
いる。
【0052】酸無水物とスルフィドアミンを反応する際
の温度は、酸無水物とスルフィドアミンなどの反応が生
ずれば特に制限はないが、例えば、氷冷下〜120℃、
好ましくは15〜120℃の範囲である。
【0053】酸無水物とスルフィドアミンの反応時間
は、反応熱の発生が認められなくなった時が反応の終了
であるが、通常2分以上、好ましくは2〜60分程度の
範囲である。
【0054】酸無水物とスルフィドアミンの反応は無溶
媒または溶媒の存在下で行う。使用される溶媒として
は、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジ
エチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル類;
ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン化溶媒;ヘ
キサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの炭化水素などの種々の有機溶媒が挙
げられる。溶媒を用いる場合にはケトン類が好ましく、
特にアセトンが好ましい。溶媒の使用量は、特に制限は
ないが、通常、原料総質量に対して、0〜10倍量、好
ましくは0〜2倍量(零を含まない)が望ましい。
【0055】反応は通常窒素やアルゴンなどの不活性ガ
ス雰囲気中で行うことができる。アセトンなどの溶媒を
用いる場合、溶媒量が原料の1倍程度以上であると、1
気圧程度では加熱温度によっては溶媒蒸気で反応物表面
を覆うことが可能であり、空気雰囲気下で行うことがで
きる。溶媒を用いない場合でも操作条件によっては、空
気雰囲気下で反応させることできる。また、反応圧は特
に制限はされないが、例えば1気圧である。
【0056】酸無水物とスルフィドアミンの反応で生成
するスルフィドアミドカルボン酸は、使用目的に応じ
て、無機塩基や有機塩基で中和して塩とすることができ
る。ここで、無機塩基には無機塩基類似物質が含まれ、
有機塩基には有機塩基類似物質が含まれる。無機塩基、
無機塩基類似物質の具体例として、水酸化リチウム、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、炭酸ア
ンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
金属腐食防止剤の使用状況によっては、マグネシウム、
カルシウム、ストロンチウムなどの水酸化物、炭酸塩ま
たは炭酸水素塩を用いてもよい。有機塩基、有機塩基類
似物質の具体例として、エタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、アリルアミンやジア
リルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチ
ルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミンなどのアルキルアミンやジアルキルアミンやトリ
アルキルアミンなどが挙げられ、通常は炭素原子数20
程度以下が好ましい。目的によっては、有機塩基とし
て、ジメチルチアゾリジン、メチルチアゾリジン、チア
ゾリジン、システアミン、後に述べるポリアミン類を用
いることもできる。アンモニウム類とは、これらのアミ
ン類に水素イオンが結合したものやアンモニウム(NH
4)を意味する。
【0057】ポリアミン(塩)とスルフィドアミドカル
ボン酸との組成物および反応させて得られる塩 まず、本発明に用いる物質について説明する。
【0058】本発明においては種々のポリアミンが使用
可能である。ここでいうポリアミンとは「2個以上のア
ミノ基をもつ有機化合物」を意味する。好ましくは、
「平均値で10個以上のアミノ基を一分子中にもつ有機
化合物」を意味する。ただし、ここで、アミノ基とはア
ミドを形成していない−NH2、−NH−、N(一価の
結合手を3個有する)を意味する。その例としてはポリ
エチレンイミンが挙げられるが、ポリエチレンイミンは
(−CH2−CH2−NH−)をモノマー単位とするポリ
アミン系ポリマーである。高分子の側鎖部分に窒素原子
をもつものとしてはポリビニルアミン(モノマー単位は
−CH2−CH(NH2)−)やポリアリルアミン(モノ
マー単位は−CH2−CH(CH2NH2)−)などが例
示できる。その他H2N−(CH2CH2O)x−NH
2(分子量600程度の場合x=13)、H2N−{CH
2CH(CH3)O}x−NH2(分子量600程度の場
合x=10)などのジアミンを例示できる。
【0059】本発明の実施例においてはポリアミンとし
てポリエチレンイミン((株)日本触媒製、平均分子量
70000)を好んで用いた。後に考察したポリエチレンイ
ミンの作用から推測するとポリビニルアミンやポリアリ
ルアミンを用いてもポリエチレンイミンと同様の作用
(効果)が期待できる。
【0060】ポリアミンの分子量の下限や上限について
は本来は特に制限はない。ただし、分子量が非常に小さ
くなり例えばエチレンジアミンやジエチレントリアミン
などに近づくと毒性の問題が出てくると考えられるの
で、分子量の下限は細胞膜を通過しにくくなるとされる
分子量が目安となる。一般の低分子の場合、分子量600
程度以上になると細胞膜を通過しにくくなるとされる。
従ってポリアミンの分子量の下限として600を目安とす
ることが可能である。水溶性や有機溶媒に対する溶解性
があれば分子量の上限値は本来制限がない。ただし、工
業的に得られるポリアミンの例であるポリエチレンイミ
ンの分子量が70,000程度、またポリアリルアミンの分子
量が約10,000〜100,000である。従って、例えば好適な
分子量を考慮する場合、分子量70,000を中心としてその
0.01倍〜100倍の範囲、より好ましくはその0.1倍〜10倍
の範囲などとすることは差し支えない。
【0061】本発明に用いるポリアミンとスルフィドア
ミドカルボン酸の塩は好ましくはポリアミンとスルフィ
ドアミドカルボン酸を反応させることにより得ることが
できる。この反応は単純な塩基と酸の中和反応であり、
混合することにより起こる。反応は無溶媒または水また
は水性溶媒または有機溶媒を用いて行うことができる。
反応温度はポリアミンやスルフィドアミドカルボン酸が
分解しない範囲であればどのような温度でも可能であ
る。実用的な反応温度は0から100℃程度までであ
り、0から50℃程度が好ましく、より好ましくは10
から40℃程度である。ポリアミンとスルフィドアミド
カルボン酸の反応量比は正塩を形成させる場合は当量比
で1:1が基本であるが、塩基性塩を作る場合は当量比
で1:1からモル比で1:1までの範囲で可能である。
【0062】ポリアミンは通常は単一物質として扱われ
るが、分子レベルで見れば大きさが異なる(高)分子の
集合物であるだけでなく、存在するアミノ基の反応性も
一様ではない。従って、ポリアミンとスルフィドアミド
カルボン酸の塩を合成する場合、反応混合物の一部をと
り、水溶液とし、pH試験紙やpH計で水素イオン濃度を
確認しながらポリアミンとスルフィドアミドカルボン酸
の一方を他方に添加して反応させることは現実的な選択
の一つである。この方法では水中において酸性から塩基
性を示す種々の塩あるいは塩を含む混合物が合成でき、
使用目的に応じて酸性度あるいは塩基性度を選択でき
る。
【0063】本発明においてはポリアミンとスルフィド
アミドカルボン酸の混合物も用いることができること
や、ポリアミンとスルフィドアミドカルボン酸から形成
された塩は水中で解離することを考慮すると、ポリアミ
ンとスルフィドアミドカルボン酸の使用量の比を質量比
で10:1から1:10さらには状況に応じて300:
1から1:100としても差し支えない。
【0064】ポリアミンとスルフィドアミドカルボン酸
の塩を形成させる場合は、スルフィドアミドカルボン酸
以外に、スルフィドアミドカルボン酸塩を用いることが
できる。例えばスルフィドアミドカルボン酸アンモニウ
ムは、ポリアミンと反応してアンモニアが遊離しポリア
ミンの塩を形成すると考えられる。あるいは塩類の複分
解を起させてもよく、スルフィドアミドカルボン酸ナト
リウムなどのスルフィドアミドカルボン酸金属塩とポリ
アミンの塩、例えば塩酸塩や硫酸塩とを反応させてもよ
い。
【0065】本発明に用いるポリアミン(塩)とスルフ
ィドアミドカルボン酸(塩)の混合物の調製は無溶媒ま
たは水または水性溶媒または有機溶媒の存在下に両者を
混合することにより可能である。両者の混合比は質量比
で3:1から1:3の範囲内で選択することが好ましい
が、混合比10:1から1:10の範囲で選択してもよ
く、状況に応じて混合比300:1から1:100の範
囲で選択しても差し支えない。
【0066】ポリアミン(塩)とスルフィドアミドカル
ボン酸(塩)は水中あるいは有機溶媒中で容易に混合ま
たは反応させることができる。従って、本発明の利用法
としてはポリアミン(塩)とスルフィドアミドカルボン
酸(塩)を同時に投入して存在させること、すなわち適
用場所において両者を混合または反応させることを特徴
とする金属の腐食防止方法も可能である。この場合は通
常希薄な溶液になるとはいえ、ポリアミン(塩)とスル
フィドアミドカルボン酸(塩)の組成物またはポリアミ
ンとスルフィドアミドカルボン酸の塩を形成させること
になるからである。
【0067】本発明の金属腐食防止剤および金属腐食防
止剤組成物は、分極抵抗を増加させて腐食防止を行うも
のである。従って、鉄、炭素鋼、ステンレス鋼などの鉄
や鉄合金などの鉄系金属以外にも分極抵抗の増加作用が
期待できる金属一般に対して適用できる。適用対象とし
ては、上記の鉄系金属以外にも、例えば、銅や黄銅、白
銅などの銅合金、亜鉛や亜鉛合金、マグネシウムやマグ
ネシウム合金、アルミニウムやアルミニウム合金、ニッ
ケルやニッケル合金、クロムやクロム合金、その他鉛、
錫、マンガン、コバルト、モリブデン、タングステン、
バナジウム、カドミウムなどやそれらの合金などが挙げ
られる。
【0068】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0069】(実施例1)乳鉢を用いて粉砕したフタル
酸無水物14.8g(100mmole)とジメチルチ
アゾリジン11.7g(100mmole)((株)日
本触媒製)を室温で混合し、その後100℃で10分間
加熱し、溶融して反応させた。26.4g(収量100
%)の反応物生成物が得られた。反応生成物のH−NM
Rスペクトル(重クロロホルム中、200MHz)はδ
(ppm)1.97(s、6H、C(CH32)、2.
88(t、2H、J=6.0Hz、−CH2−S−)、
3.56(t、2H、J=6.0Hz、−CH2−N
−)、7.28(d、1H、J=7.5Hz)、7.4
3(t、1H、J=7.5Hz)、7.59(t、1
H、J=7.5Hz)、8.06(d、1H、J=7.
5Hz)、10.52(bs、1H、−COOH)であ
り、7.28〜8.06ppmのシグナルはベンゼン環
に結合した水素であると帰属できた。したがって、反応
生成物は下記式(III)(ただし、式中、Mは水素を示
す)で表されるN−(2−カルボキシベンゾイル)−
2,2−ジメチルチアゾリジン、すなわちDMT-フタルア
ミド酸であると同定された。
【0070】
【化11】
【0071】反応物は等モルの水酸化ナトリウムと反応
させてナトリウム塩とした。
【0072】腐食防止能の評価法により、フタル酸のス
ルフィドアミド誘導体のナトリウム塩の効果を調べた。
鉄電極を用いたが、無添加の場合にRpは110Ω、添
加の場合は20分後に210Ω(腐食防止能47.6
%)、15時間後に3000Ω(腐食防止能96.3
%)を示し、その後最高値7100Ω(腐食防止能9
8.5%)程度を示した。
【0073】(実施例2)マレイン酸無水物9.8g
(100mmole)とジメチルチアゾリジン11.7
3g(100mmole)にアセトン11.7mlを加
え、室温で混合し、反応させた。発熱が起きなくなった
後に、実施例1と同様に反応生成物を分析したところ、
次の化学式(IV)(ただし、式中、Mは水素を示す)で
表されるN−(2−カルボキシルビニルカルボニル)−
2,2−ジメチルチアゾリジンであることが認められ
た。
【0074】
【化12】
【0075】反応物は精製することなく水酸化ナトリウ
ム水溶液10ml(4.0g、100mmoleのNa
OHを含む)を加えて混合し、マレイン酸のスルフィド
アミド誘導体のナトリウム塩水溶液とした。
【0076】腐食防止能の評価法により、マレイン酸の
スルフィドアミド誘導体のナトリウム塩の効果を調べ
た。鉄電極を用いたが、無添加の場合にRpは90Ω、
添加の場合は20分後に200Ω(腐食防止能55.0
%)、15時間後に2000Ω(腐食防止能95.5
%)を示し、その後最高値4800Ω(腐食防止能9
8.1%)程度を示した。
【0077】(実施例3)コハク酸無水物10.0g
(100mmole)とジメチルチアゾリジン11.7
3g(100mmole)にアセトン11.7mlを加
え、室温で混合し、反応させた。発熱が起きなくなった
後に、実施例1と同様に反応生成物を分析したところ、
次の化学式(V)(ただし、式中、Mは水素を示す)で
表されるN−(2−カルボキシルエチルカルボニル)−
2,2−ジメチルチアゾリジンであることが認められ
た。
【0078】
【化13】
【0079】反応物は精製することなく水酸化ナトリウ
ム水溶液10ml(4.0gのNaOHを含む)を加え
て混合し、コハク酸のスルフィドアミド誘導体のナトリ
ウム塩水溶液とした。
【0080】腐食防止能の評価法により、コハク酸のス
ルフィドアミド誘導体のナトリウム塩の効果を調べた。
鉄電極を用いたが、無添加の場合にRpは80Ω、添加
の場合は25分後に280Ω(腐食防止能71.4
%)、15時間後に3600Ω(腐食防止能97.8
%)を示し、その後最高値4160Ω(腐食防止能9
8.1%)程度を示した。
【0081】(実施例4)シクロヘキサンジカルボン酸
無水物7.71g(50mmole)とジメチルチアゾ
リジン5.87g(50mmole)((株)日本触媒
製)にアセトン5.9mlを加え、室温で混合し、その
後110℃で30分間加熱し、融解して反応させた。実
施例1と同様に反応生成物を分析したところ、次の化学
式(VI)(ただし、式中、Mは水素を示す)で表される
N−(2−カルボキシルシクロヘキシルカルボニル)−
2,2−ジメチルチアゾリジンであることが認められ
た。
【0082】
【化14】
【0083】反応物は、冷却後、精製することなく水酸
化ナトリウム水溶液10ml(2.0g、50mmol
eのNaOHを含む)を加えて混合し、シクロヘキサン
ジカルボン酸のスルフィドアミド誘導体のナトリウム塩
水溶液とした。
【0084】腐食防止能の評価法により、シクロヘキサ
ンジカルボン酸のスルフィドアミド誘導体のナトリウム
塩の効果を調べた。鉄電極を用いたが、無添加の場合に
Rpは90Ω、添加の場合は20分後に640Ω(腐食
防止能85.9%)、15時間後に5300Ω(腐食防
止能98.3%)を示し、その後最高値7450Ω(腐
食防止能98.8%)程度を示した。
【0085】(実施例5)トリメリト酸無水物19.2
1g(100mmole)とジメチルチアゾリジン1
1.73g(100mmole)にアセトン11.7m
lを加え、室温で混合し、その後110℃で30分間加
熱し、融解して反応させた。実施例1と同様に反応生成
物を分析したところ、次の化学式(VII)(ただし、式
中、Mは水素を示す)で表される化合物であることが認
められた。
【0086】
【化15】
【0087】反応物は、冷却後、精製することなく水酸
化ナトリウム水溶液20ml(8.0gのNaOHを含
む)を加えて混合し、トリメリト酸のスルフィドアミド
誘導体のナトリウム塩水溶液とした。
【0088】腐食防止能の評価法により、トリメリト酸
のスルフィドアミド誘導体のナトリウム塩の効果を調べ
た。鉄電極を用いたが、無添加の場合にRpは120
Ω、添加の場合は20分後に380Ω(腐食防止能6
8.4%)、25時間後に3020Ω(腐食防止能9
6.7%)を示し、その後最高値4020Ω(腐食防止
能97.5%)程度を示した。
【0089】(実施例6)ピロメリト酸無水物5.45
g(25mmole)とジメチルチアゾリジン5.87
g(50mmole)にアセトン5.9mlを加え、室
温で混合し、その後110℃で10分間加熱し、融解し
て反応させた。実施例1と同様に反応生成物を分析した
ところ、次の化学式(VIII)(ただし、式中、Mは水素
を示す)で表される化合物であることが認められた。
【0090】
【化16】
【0091】反応物は、冷却後、精製することなく水酸
化ナトリウム水溶液10ml(2.0gのNaOHを含
む)を加えて混合し、ピロメリト酸のスルフィドアミド
誘導体のナトリウム塩水溶液とした。
【0092】腐食防止能の評価法により、ピロメリト酸
のスルフィドアミド誘導体のナトリウム塩の効果を調べ
た。鉄電極を用いたが、無添加の場合にRpは90Ω、
添加の場合は20分後に490Ω(腐食防止能81.6
%)、15時間後に2230Ω(腐食防止能96.0
%)を示し、その後最高値2620Ω(腐食防止能9
6.6%)程度を示した。
【0093】以下の実施例においては、スルフィドアミ
ドカルボン酸としてDMT-フタルアミド酸(DMT− Pht と
略称する)とDMT-スクシンアミド酸(DMT− Scc と略称
する)を用いたが、これらの化学構造は下記の通りであ
り、DMT−は3,3−ジメチルチアゾリジン残基、Phtは
フタル酸残基、 Sccはコハク酸残基を意味する。 な
お、実施例、比較例、参考例においてはポリアミンとし
てポリエチレンイミンを用いたがPEIと略記した。 DMT−Pht:
【0094】
【化17】
【0095】(−C64−: o−フェニレン鎖) DMT−Scc:
【0096】
【化18】
【0097】(実施例7)PEI水溶液(1%)にDMT− P
htを少量ずつ添加して溶解させ反応させた。この時のp
HをpH試験紙で測定した。 PEI水溶液のpHは11(以
上)であったがDMT− Phtを添加するに従い、pHは下が
った。pHが7になった時点でDMT− Phtの添加を停止
し、DMT− PhtのPEI塩(水溶液)を得た。 DMT− Phtの
PEI塩の水溶液は濃縮・乾固させることができ、固形物
が得られた。
【0098】(実施例8)参考例に記述した測定法によ
りPEIとDMT− Phtの併用時の鉄腐食防止効果を調べた。
結果を表1、2に示す。
【0099】(実施例9)参考例に記述した測定法によ
りPEIとDMT− Phtの併用時の低炭素鋼腐食防止効果を調
べた。結果を表1、2に示す。
【0100】(実施例10)参考例に記述した測定法に
よりPEIとDMT− Sccの併用時の鉄腐食防止効果を調べ
た。結果を表1、2に示す。
【0101】(実施例11)この実験は酸−塩基反応が
生じることを確認するために行った。
【0102】PEI(日本触媒製、SP200、無水
品、分子量10,000)22mgをメタノール約5m
lに溶解したDMT−Pht133.5mgに加えて反
応させた。窒素気流下でメタノールを蒸発・乾固させ
て、透明樹脂状の固形物160.3mgを得た。
【0103】PEIとDMT−Pht反応物のNMRス
ペクトル(重クロロホルム中、200MHz、δ pp
m)は1.90(bs、6H)、2.83(bs、2〜
3H)、3.53(bs、2H)と7.1〜8.0に複
雑な幅の広いシグナル(6H)を示した。なお、ここに
示した反応物スペクトルの水素原子数は、シグナルの幅
が広く、複雑であったのでσ1.90 ppmのシグナ
ルをC(CH32由来と仮定して積分曲線から求めたお
およその値である。
【0104】なお、DMT−PhtのNMRスペクトル
は実施例1に記載した通りであり、ポリエチレンイミン
のNMRスペクトル(重クロロホルム中、200MH
z、δppm)においては1.99(bs、1H、N
H)、と2.5〜2.8(4H、CH2)にシグナルが
見られた。したがって、化学反応により塩が形成された
ことが認められた。
【0105】この固形物はNMRスペクトルにより4.
3mg程度のメタノールが存在していることが確認され
た。反応生成物は少量のメタノールを含むが、理論的な
収量を計算すると159.8mgである。測定誤差を考
慮すると、実測収量160.3mgと理論的な収量15
9.8mgは一致していると考えてよい。
【0106】NMRスペクトルは、PEIとDMT−P
htとが反応したことを示すものであった。反応混合物
の組み合わせとしては、酸−塩基反応のほかにアミド結
合形成反応の可能性もあり得ないことではないが、通
常、カルボン酸とアミンとを混合してもアミド化反応は
室温では事実上おきないこと、アミド化反応が起きれば
生成した水は除去されて質量減少分は9.0mgにも達
すると考えられる。したがって、アミド化反応は事実上
起きていないと考えられた。本反応操作によって、PE
IとDMT−Phtから塩が形成されることが確認され
た。
【0107】(比較例1)参考例に記述した測定法によ
りDMT− Phtの鉄腐食防止効果を調べた。結果を表1、
2に示す。
【0108】(比較例2)参考例に記述した測定法によ
りDMT− Phtの低炭素鋼腐食防止効果を調べた。結果を
表1、2に示す。
【0109】(比較例3)参考例に記述した測定法によ
りDMT− Sccの鉄腐食防止効果を調べた。結果を表1、
2に示す。
【0110】(比較例4)参考例に記述した測定法によ
りPEIの鉄腐食防止効果を調べた。結果を表1、2に示
す。
【0111】(比較例5)参考例に記述した測定法によ
りPEIの低炭素鋼腐食防止効果を調べた。結果を表1、
2に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】(参考例)腐食防止能の評価は、直径9.
5mm長さ12.1mmの円柱状のほぼ鏡面に研磨した
鉄電極または上下面をテフロン(登録商標)で覆った直
径10.0mm長さ10.0mmの円柱状のほぼ鏡面に
研磨した低炭素鋼(材質X65)電極の分極抵抗(ファ
ラデー抵抗,Rp)に与える影響を測定することで行っ
た。測定セルの構成は鉄電極2本を300mlの電解液
に浸漬したものであった。電解液は窒素により除酸素し
たNa+を822.5mM、K+を12.78mM、Mg
2+を10.29mM、Ca2+を33.66mM、Sr2+
を1.39mM、Ba2+を3.20mM、Cl-を93
2.4mM、HCO3-を20mM、を含むもの(pH
5.9)であった。電解液は、炭酸−炭酸水素塩の緩衝
系になっているのでpHの安定度が高いものである。測
定用試料は1−2%水溶液とし、S基の濃度が14.2
μM(通常、試料濃度は2〜5ppm、DMT−Pht
のナトリウム塩は4.1ppm、DMT−Sccのナト
リウム塩は3.4ppm)になるように攪拌しながら添
加した。PEI添加の場合はPEI濃度を10ppmと
した。
【0115】分極抵抗の測定は電極間に50nAの電流
を流したときに見られる電圧変化をもとにオームの法則
に従って計算し求めた。腐食速度は、分極抵抗に反比例
するので腐食防止能は式(1)に従って計算した。
【0116】 腐食防止能 = (Rp sample − Rp cont) / Rp sample 式(1) ここで、Rp contは腐食防止剤を添加する前のRp
(Ω)、Rp sampleは腐食防止剤を添加した後のRp
(Ω)である。なお、発明の実施例及び比較例などにお
いては、式(1)の数値を100倍してパーセント表示で
腐食防止能を示した。
【0117】実施例1〜6はスルフィドアミドカルボン
酸単独の効果を測定したものである。表1,表2はポリ
アミンの効果をよりわかりやすくするためにまとめたも
のである。実施例8、9、10はポリアミンとスルフィ
ドアミドカルボン酸を併用した場合であるが結果として
はポリアミンとスルフィドアミドカルボン酸の塩を添加
したことになるものである。比較例1、2、3はスルフ
ィドアミドカルボン酸のみを用いた場合、比較例4、5
はポリアミンのみを用いた場合である。ポリアミンとス
ルフィドアミドカルボン酸(塩)を併用した場合は金属
腐食防止効果の顕著な促進が見られ、例えば実施例8と
比較例1、比較例4の比較では初期の発現速度が2.4
倍程度に上昇したと見積もられる。実施例9や10にお
いても1.2から1.6倍程度(いずれも比較例のポリ
アミン、スルフィドアミドカルボン酸(塩)添加による
初期の分極抵抗上昇の和をもとに見積もった)となっ
た。したがって、ポリアミンとスルフィドアミドカルボ
ン酸の塩の金属腐食防止効果の発現速度はそれぞれ単独
の場合に比べて速いことは明らかである。
【0118】
【発明の効果】本発明によれば、スルフィドアミドカル
ボン酸またはその塩を提供できる。
【0119】また、本発明によれば、酸無水物とスルフ
ィドアミンを反応させることによりスルフィドアミドカ
ルボン酸(塩)を製造する方法を提供できる。
【0120】ジメチルチアゾリジン残基やメチルチアゾ
リジン残基やチアゾリジン残基などのチアゾリジン類残
基を持つスルフィドアミドカルボン酸(塩)により、金
属の腐食防止ができる。
【0121】ポリアミンをスルフィドアミドカルボン酸
に加えることにより、金属腐食防止の効果発現を促進す
ることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造式(I)で示されるスルフィド
    アミドカルボン酸(塩): 【化1】 (ただし、式中、CnHm、Cn’Hm’はそれぞれ独
    立に炭化水素であり、CiHjは炭化水素鎖を意味し、
    nは1以上12以下の整数、mは2以上2n以下の整
    数、n’は1以上15以下の整数、m’は2以上2n’
    以下の整数、iは2以上20以下の整数、jは0以上2
    i+2−k−z以下の整数、kは1以上5以下の整数、
    zは1以上5以下の整数、Mは水素原子または金属原子
    またはアンモニウム類を示す)。
  2. 【請求項2】 部分構造Cn’Hm’がCRR’(ただ
    し、式中、R、R’はそれぞれ独立に水素原子または炭
    素原子数12以下の炭化水素基を意味するが、R、R’
    の炭素原子数の合計が12以下である。)であることを
    特徴とする請求項1記載のスルフィドアミドカルボン酸
    (塩)。
  3. 【請求項3】 酸無水物とスルフィドアミンを反応する
    ことを特徴とする下記構造式(I)で示されるスルフィ
    ドアミドカルボン酸(塩)の製造方法: 【化2】 (ただし、式中、CnHm、Cn’Hm’はそれぞれ独
    立に炭化水素であり、CiHjは炭化水素鎖を意味し、
    nは1以上12以下の整数、mは2以上2n以下の整
    数、n’は1以上15以下の整数、m’は2以上2n’
    以下の整数、iは2以上20以下の整数、jは0以上2
    i+2−k−z以下の整数、kは1以上5以下の整数、
    zは1以上5以下の整数、Mは水素原子または金属原子
    またはアンモニウム類を示す)。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載のスルフ
    ィドアミドカルボン酸(塩)を含んでなる金属腐食防止
    剤。
  5. 【請求項5】 ポリアミン(塩)と下記構造式(1)で
    示されるスルフィドアミドカルボン酸(塩)を含んでな
    る組成物: 【化3】 (ただし、式中、CnHm、Cn’Hm’はそれぞれ独
    立に炭化水素であり、CiHjは炭化水素鎖を意味し、
    nは1以上12以下の整数、mは2以上2n以下の整
    数、n’は1以上15以下の整数、m’は2以上2n’
    以下の整数、iは2以上20以下の整数、jは0以上2
    i+2−k−z以下の整数、kは1以上5以下の整数、
    zは1以上5以下の整数、Mは水素原子または金属原子
    またはアンモニウム類を示す)。
  6. 【請求項6】 ポリアミン(塩)と下記構造式(1)で
    示されるスルフィドアミドカルボン酸(塩)を反応させ
    て得られる塩: 【化4】 (ただし、式中、CnHm、Cn’Hm’はそれぞれ独
    立に炭化水素であり、CiHjは炭化水素鎖を意味し、
    nは1以上12以下の整数、mは2以上2n以下の整
    数、n’は1以上15以下の整数、m’は2以上2n’
    以下の整数、iは2以上20以下の整数、jは0以上2
    i+2−k−z以下の整数、kは1以上5以下の整数、
    zは1以上5以下の整数、Mは水素原子または金属原子
    またはアンモニウム類を示す)。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の組成物および/または
    請求項6に記載の塩を含有してなる金属腐食防止剤組成
    物。
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