JP2002003996A - 耐衝撃性に優れた高張力鋼板と製造方法 - Google Patents

耐衝撃性に優れた高張力鋼板と製造方法

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JP2002003996A JP2000192593A JP2000192593A JP2002003996A JP 2002003996 A JP2002003996 A JP 2002003996A JP 2000192593 A JP2000192593 A JP 2000192593A JP 2000192593 A JP2000192593 A JP 2000192593A JP 2002003996 A JP2002003996 A JP 2002003996A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】製造の容易な非複合組織鋼板にて、優れた強度
−延性のバランスを有しかつ、優れた衝撃吸収特性を持
つ高張力鋼板とその溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造
方法の提供。 【解決手段】鋼の化学組成を次の通り調整する。C:0.0
5〜0.20%、Si:0〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0〜0.0
3%、S:0〜0.015%、Ti:0.010〜0.100%、Nb:0.005
〜0.050%、sol.Al:0.01〜0.08%、N:0.002〜0.010
%、かつ、Ti、Nb、C、Nの含有量が(C+N/14×12)
/(Ti/48×12+Nb/93×12)≧5、0.4≦Ti/Nb≦6、を満
足し、さらに、V:0〜0.1%、Cr:0〜0.5%、Mo:0〜0.
5%、Cu:0〜1.0%、およびB:0〜0.005%のうち1種以
上を含有し、残部がF。製造に際しては、熱間圧延を行
い、400〜700℃で巻き取った後、酸洗処理を施し、50〜
90%の圧下率で冷間圧延を行い、次いで750〜900℃で再
結晶焼鈍を施した後、710℃以下までを15℃/s以下の冷
却速度で冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として自動車
用部品に用いられ、高強度が必要とされ、さらに自動車
が衝突した場合に優れた衝撃吸収特性が必要とされる用
途に好適な高張力鋼板と溶融亜鉛めっき鋼板およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護のため、自動車の燃
費向上が求められており、自動車用鋼板においては、車
体を軽量化するため、高強度鋼板へのニーズが高い。さ
らに、安全性の観点から、静的な強度だけでなく、自動
車が衝突した場合のような高歪み速度で変形する場合に
あっても高い強度を示す、すなわち動的な強度が高い鋼
板が求められている。
【0003】ここで、静的な強度というのは通常の引張
試験のときの歪み速度である0.004(1/s) での強度であ
り、動的な強度とは1000(l/s) 程度の歪み速度で引張試
験を行ったときの強度である。また、防錆性が必要とさ
れる部品に関しては動的強度が高く、かつ溶融亜鉛めっ
きを施した鋼板が強く求められている。
【0004】鋼板を高強度化する方法の一つとして、鋼
板の組織を軟質のフェライト相の中にマルテンサイト等
の硬質相を分散させた複合組織とする方法が知られてい
る。この方法によると強度・延性のバランスに優れる鋼
板が得られ、プレス成形性が向上する。
【0005】また、残留オーステナイトやベイナイトを
含む複合組織鋼板とすることによって、延性に優れる鋼
板が得られる。すでに従来にあっても、このような複合
組織鋼板については、組織を制御することにより、衝撃
吸収特性を向上させる手法が数多く開示されている (例
えば、特開平7−90482 号、特開平7−188833号、特開
平8−3677号、特開平8−176723号、特開平9−111396
号、特開平7−18372 号、特開平9−287050号、特開平
9−296247号、特開平11−71635 号、特開平11−100635
号の各公報参照) 。
【0006】しかし、そのように規定された組織を得る
ためには所定の冷却速度で処理しなくてはならず、容易
に製造できるとは言いがたい。また、残留オーステナイ
トを形成させるにはSi等の多量添加が必要となり、溶融
亜鉛めっきを施した場合、不めっき等が発生し、めっき
品質が劣化する。
【0007】一方、マルテンサイト、ベイナイト、残留
オーステナイトの生成を要しない非複合組織鋼板とし
て、特開平10−273754号公報には、高強度高降伏比型の
溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法に関する技術が開示
されている。しかしながら、この場合には、衝撃吸収特
性に関しては考慮されていない。
【0008】耐衝撃性に優れた非複合組織型鋼板とし
て、特開平7−54098 号公報にTiとNbの関係式を規定す
ることにより、耐衝撃性を改善した鋼板が開示されてい
る。しかしながら、この技術ではTiとNbをCよりも過剰
に添加しており、延性の劣化はさけられず、プレス成形
性が劣化する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにマルテン
サイト、ベイナイト、残留オーステナイトおよびこれら
の組み合わせによる鋼板は、加工性に優れかつ衝撃吸収
に優れるが、所定の性能を得るためには厳密な熱処理が
必要であり、安定して所定の組織を得ることは困難であ
る。一方、製造の容易な非複合組織鋼板の場合、耐衝撃
特性と良好な加工性を合わせ持つ鋼板はまだ得られてい
ない。
【0010】この発明の課題は、製造の容易な非複合組
織鋼板にて、引張強度490N/mm2以上と優れた強度−延性
のバランスを有しかつ、優れた衝撃吸収特性を持つ高張
力鋼板とその溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を
提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、少量の合
金添加で強度が得られる析出系に着目し、析出系におい
て延性と耐衝撃特性を向上させる手法を鋭意研究した結
果、以下の事実を見出した。
【0012】CはTi、Nbと結合して、炭窒化物として鋼
中に析出することにより、鋼板に所定の強度を付与する
ために添加する元素であるが、炭窒化物を形成させる必
要量以上に添加すると、セメンタイトとして析出する。
このとき、球状セメンタイトを形成させ、パーライトを
減少させれば延性の劣化が少なく、プレス成形性に優れ
る鋼板が得られる。
【0013】これらの点について、冶金学的により具体
的に補足すると次の通りである。まず、鋼板をAc1 変態
点以上、Ac3 変態点以下の温度にて均熱すると、フェラ
イトとオーステナイトの2相組織となる。このとき、T
i、Nbが添加されていると微細な炭化物、窒化物、炭窒
化物が形成されるため、均熱中に組織は非常に微細にな
り、強度上昇に寄与する。
【0014】さらに、Cを炭窒化物の形成量以上に添加
すると、炭素は微細なオーステナイト中に固溶する。引
き続いて冷却されるときに、冷却速度を15℃/s 以下に
すると、オーステナイトが微細なため、球状セメンタイ
トが形成される (一部はパーライトとなる)。そのた
め、延性の劣化をまねくパーライトを減少させることが
できたものと考えられる。
【0015】さらに、このようにTi、Nbを添加した析出
系においては、動的な強度 [歪み速度1000(l/s) におけ
る強度] の静的な強度 [歪み速度0.004(l/s)における強
度]に対する比率、いわゆる静動比を種々測定した結
果、静動比が1.2 程度のグループと、1.4 以上のグルー
プとに分かれることが判明した。
【0016】そこで、高い静動比が得られる条件につい
てさらに調査を進めた。その結果、NbとTiの比率を一定
範囲内に制御すれば、高い静動比が得られることが判明
し、本発明を完成させた。
【0017】また、本発明をマルテンサイト、ベイナイ
ト、残留オーステナイトおよびこれらの組み合わせによ
る鋼板に対して適用しても同様な効果が得られる。すな
わち、この発明は次の通りである。
【0018】(1) 質量%で、 C:0.05〜0.20%、 Mn:0.5 〜3.0 %、 P:0.03%以下、 S:0.015 %以下、 Ti:0.010 〜0.100 、Nb:0.005 〜0.050 %、 sol.Al:0.01〜0.08%、N:0.002 〜0.010 % かつ、Ti、Nb、C、Nの含有量が下記(1) 、(2) 式を満
足し、残部がFeおよび不可避的不純物から成る化学組成
を有する高張力鋼板。
【0019】 (C+N/14 ×12) /(Ti/48×12+Nb/93 ×12) ≧5 ・・・・(1) 0.4 ≦Ti/Nb ≦6 ・・・・(2) (2) さらに前記化学組成が、質量%で、Si: 2.0 %以下
含有する上記(1) 記載の高張力鋼板。
【0020】(3) さらに前記化学組成が、質量%で、B
:0.005 %以下含有する上記(1) または(2) 記載の高
張力鋼板。 (4) さらに前記化学組成が、質量%で、Cu:1.0 %以下
含有する上記(1) 〜(3) のいずれか記載の高張力鋼板。
【0021】(5) さらに前記化学組成が、質量%で、V
:0.1 %以下、Cr:0.5 %以下、およびMo:0.5 %以
下のうちの1種または2種以上を含有する上記(1) ない
し(4)のいずれかに記載の高張力鋼板。
【0022】(6) 上記(1) ないし(5) のいずれかに記載
の化学組成を有する鋼片に熱間圧延を行い、400 〜700
℃で巻き取った後、酸洗処理を施し、40〜90%の圧下率
で冷間圧延を行い、次いで750 〜900 ℃で再結晶焼鈍を
施した後、710 ℃以下までを15℃/s以下の冷却速度で冷
却することを特徴とする高張力鋼板の製造方法。
【0023】(7) 上記(1) ないし(5) のいずれかに記載
の化学組成であって、Siが含有される場合は、Si:0.6%
以下である化学組成を有し、さらに表面が亜鉛めっきで
被覆されていることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
【0024】(8) 上記(7) に記載の化学組成を有する鋼
片に熱間圧延を行い、400 〜700 ℃で巻き取った後、酸
洗処理を施し、40〜90%の圧下率で冷間圧延を行い、次
いで750 〜900 ℃で再結晶焼鈍を施した後、710 ℃以下
までを15℃/s以下の冷却速度で冷却した後、溶融亜鉛め
っきを施すことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の内容を具体的に説
明する。なお、鋼板の化学組成を規定する「%」は質量
%で表示する。 (1) 鋼板の化学組成 C:CはTi、Nb、V 等と結合して、炭窒化物として鋼中
に析出することにより、鋼板に所定の強度を付与するた
めに添加する元素であるが、本発明では、炭窒化物を形
成させる必要量以上に添加することに特徴がある。
【0026】炭窒化物の形成量以上の炭素は、連続焼鈍
もしくは溶融めっき設備における均熱時に形成されるオ
ーステナイト中に固溶する。引き続いて、冷却されると
きに、球状セメンタイトが形成され、さらなる強度上昇
に寄与する。
【0027】C含有量が0.05%に満たないときは、その
効果が不充分であり、0.20%を越えると冷却時に球状化
セメンタイトが生成せず、パーライト主体となるため、
成形性が悪くなるのみならず、溶接性が劣化するので、
0.05〜0.20%とした。好ましくは0.17%以下、0.07%以
上である。
【0028】Si:Siは所望添加成分であるが、強化元素
として極めて有効であり、しかも延性の劣化は少ないた
め、機械的性質の面からは多量に添加したい元素であ
る。しかし過度に添加すると溶接性が劣化するので、冷
延鋼板の場合、添加するときは2.0 %以下とする。溶融
亜鉛めっき鋼板の場合、めっき性を著しく阻害するた
め、0.6 %以下とする。 Mn:Mnは強化元素として有効な元素であり、0.5 %以上
添加する。一方、3.0 %以上の添加はコスト増となり、
加工性を害するので、本発明ではMn含有量の範囲は0.5
〜3.0 %とする。好ましくは0.5 〜2.2 %である。
【0029】P :P は強化元素として有効な元素である
が、溶接特性、めっき性に対しては有害である。そこ
で、本発明では、P の含有量の範囲を0.03%以下とす
る。 S:Sは原料から不可避的に侵入する不純物である。そ
の含有量が0.015 %を越えると鋼板の加工性を損ねるの
で、0.015 %以下とした。
【0030】sol.Al:溶鋼脱酸の結果として含有され
る。そのため、0.01%以上含有される。また、Alは鋼中
のNと結合し、AlN の析出物を形成する。この発明の場
合、Ti、Nbの炭窒化物を形成させる必要があるので、過
度のsol.Alの添加はTi、Nbの炭窒化物形成を妨げる。そ
のため、sol.Alを0.08%以下に限定する必要がある。望
ましくは0.05%以下である。
【0031】N:NはTi、Nbと炭窒化物を形成して焼鈍
時のオーステナイト結晶の粒成長を抑制するために0.00
2 %以上必要である。しかし、添加しすぎると延性が損
なわれるので、上限を0.010 %とする。好ましい上限は
0.008%、下限は 0.003%である。
【0032】Ti、Nbは炭窒化物を形成し、強度上昇に寄
与するとともに、再結晶組織および、均熱中の2相組織
の粗大化を抑止する効果がある。ただし強度に含有する
と再結晶温度を上昇させ、良好な延性が得られないた
め、添加量は下記の範囲とする。
【0033】Ti:0.010 %〜0.100 % Nb:0.005 %〜0.050 % B:Bは含有しなくともよい。しかしB はオーステナイ
ト中の炭化物 (FeとBの炭化物) を安定化させ、冷却時
にその炭化物を核としてセメンタイトを球状に析出させ
るため、粗大パーライトの析出を抑制する効果を有す
る。従って、B を添加すると、延性の劣化をより効果的
に抑制できる。
【0034】Bを含有させる場合には0.0005%以上含有
させるのが望ましい。しかし、0.005 %を超えると効果
が飽和する。そこで、B の含有量は0.005 %以下、好ま
しくは0.0005〜0.005 %とする。
【0035】V、Cr、Moは含有しなくともよいが、強度
調整のため、下記範囲で少なくとも1種添加しても良
い。 V:0.1 %以下、Cr:0.5 %以下、Mo:0.5 %以下 Cu:Cuは添加しなくともよいが、冷延鋼板に防錆性を兼
備させる必要がある場合には、1.0 %以下の範囲で含有
させてもよい。
【0036】前述の(1) 、(2) 式の限定理由は次の通り
である。 (C+N/14×12) /(Ti/48×12+Nb/93×12) ≧5・・・(1) Ti、Nbを添加した析出強化型鋼板において、良好な強度
延性バランスを得るためには、Ti、Nbの炭化物、窒化
物、炭窒化物を形成させるのに必要以上にCを添加する
必要がある。(1) 式はそれを表した式である。
【0037】0.4 ≦Ti/Nb ≦6 ・・・(2) Ti、Nbを添加した析出強化型鋼板において、優れた衝撃
吸収性を得るには、(2) 式のようにTiとNbの比を限定す
る必要がある。
【0038】次に、この発明にかかる鋼板の製造条件に
ついて述べる。この発明において、溶製から熱間圧延ま
では特に制限する必要がなく、通常行われている方法で
よいが、コイル全長にわたって炭窒化物を均一に析出さ
せるために、粗圧延後、粗バー温度を保持または加熱し
て、板内温度変動を140 ℃以内とすると、均一な特性が
得られる。
【0039】また、巻取り温度についても特に制限する
必要はないが、熱延組織を微細化するため、700 ℃以下
とすることが望ましく、400 ℃未満とすると、硬質変態
組織が生成し、冷間圧延性が悪くなるので、400 ℃以上
が望ましい。
【0040】冷間圧延についても通常行われている方法
でよいが、再結晶焼鈍後の組織を微細化するために圧下
率は高いほうが望ましい。冷間圧延率が40%未満だと十
分に再結晶せず、90%超だと冷間圧延時の荷重が高くな
り、破断等のトラブルが発生するため、40〜90%とし
た。好ましくは下限は50%、上限は80%である。
【0041】冷延鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板製造に
おいては、加熱時に十分に再結晶化させ、かつ2相組織
とするために、加熱温度を750 ℃以上とする必要があ
る。また、900 ℃超とすると組織が粗大化するため、加
熱温度は750 〜900 ℃とした。
【0042】次に、均熱後の冷却時にセメンタイトを球
状に析出させる必要がある。そのために均熱後の冷却速
度を15℃/s以下とする必要がある。望ましくは10℃/s以
下である。またその徐冷終点温度は710 ℃以下とすれ
ば、十分に球状セメンタイトを析出させることができ
る。終点温度が710 ℃より高い場合、パーライトが多く
なるため、延性が劣化する。
【0043】溶融亜鉛めっきを施す場合は、710 ℃まで
の冷却速度を15℃/s以下とした後、通常の溶融亜鉛めっ
き処理を施せばよい。この発明の場合、合金化処理の有
無による機械的性質の変化は小さく、合金化処理につい
てはその有無を問わない。
【0044】かくして、この発明にかかる高張力鋼板の
組織は、フェライト+球状セメンタイトであり、あるい
は、フェライト+球状セメンタイト+パーライトであ
り、いずれの場合にあっても、この発明では、TiとNbの
微細な炭化物、窒化物、炭窒化物が析出している。
【0045】
【実施例】[実施例1]化学組成がこの発明で規定する範
囲内の12種類の鋼 (本発明例) と、この発明で規定する
条件から外れる21種類の鋼 (比較例) とを溶製してスラ
ブとした。表1にこれらのスラブの化学組成を示す。
【0046】
【表1】 これらのスラブを、1200℃で30分間加熱し、850 ℃で仕
上げた後、550 ℃で巻き取り、板厚3.2mm の熱延鋼板を
得た。これらの熱延鋼板を酸洗した後、1.4mmまで冷間
圧延次いで、連続焼鈍炉にて再結晶焼鈍を行った。その
際、840 ℃で45秒均熱した後、700 ℃までを7℃/sで冷
却した。
【0047】得られた冷延鋼板に対して、静的および動
的な引張試験を行った。静的な引張試験はJIS Z2201 の
5号試験片を用い、JIS Z2241 の方法で試験を行った。
歪み速度は0.004(l/s)で行った。動的な強度はワンバー
式高速引張試験にて行い、歪み速度を1000(l/s) にて行
った。試験片形状は平行部を10w×20L(mm)とし、動的
歪み速度は弾丸速度÷ゲージレングス(20mm)により求め
た。
【0048】得られた静的な機械的性質、動的強度およ
び静動比 (動的強度/静的強度) を調べた。TS×El≧15
000 、静動比≧1.3 を目標とした。これらの結果を表2
および図1、図2に記した。
【0049】また、得られた鋼板に対して、電極径6mm
丸、加圧力3kN、通電時間を14cycとして、スポット溶
接を行った。試験片はJIS Z3136 に示す試験片を用い、
2枚重ねで溶接を行い、断面ナゲット径が4.5 ×(t)^
0.5 となるように、電流を調整し、せん断引張試験を行
った。その結果、プラグ内破断が発生した場合を溶接不
良とし、表2中に×で表示した。母材破断した場合、溶
接OKとし、同様に表中に○で記した。
【0050】表2に示すように、化学成分および(1) 、
(2) 式を満足する本発明鋼は優れた強度・延性のバラン
スを示した。図1から分かるように、 (1)式がこの発明
を外れる鋼は強度延性バランスが悪く、また図2から分
かるように、(2) 式がこの発明を外れる鋼は静動比が低
かった (図2) 。
【0051】C、Mnが下限を外れる鋼はTSが490N/mm2
下で目標以下だった。また、C、Mn、P、S、Ti、Nb、
の上限が外れた材料は、強度・延性のバランスが悪かっ
た。
【0052】
【表2】 鋼No.13 〜17は(2) 式がこの発明の範囲外なため、静動
比不足。
【0053】鋼No.18 〜20は(1) 式がこの発明の範囲外
なため、TS×El不足。鋼No.21 はCが下限外れなため、
鋼No.24 はMnが下限外れなため、強度不足。鋼No.22 は
Cが上限外れなため、鋼No.25 はMnが上限外れなため、
TS×El不足。
【0054】鋼No.23 はSi上限外れ、鋼No.26 はPが上
限外れなため溶接不良。鋼No.27 、28、29はそれぞれ
S、Ti、Nbが上限外れなためTS×El不足。鋼No.30 、31
はそれぞれAlの下限、上限外れなため、TS×El不足。
【0055】鋼No.32 、33はそれぞれNの下限、上限外
れなため、TS×El不足。 [実施例2]表1のうち、鋼No.1〜3のスラブを用い、12
00℃で30分間加熱し、850 ℃で仕上げた後、550 ℃で巻
き取り、板厚3.2mm の熱延鋼板を得た。これらの熱延鋼
板を酸洗した後、1.4mm まで冷間圧延次いで、連続焼鈍
炉にて再結晶焼鈍を行った。その際、840 ℃で45秒均熱
した後、700 ℃までの冷却速度を1〜40℃/sとした。得
られた冷延鋼板に対して、実施例1と同様に、静的引張
試験と動的引張試験および溶接試験を行った。
【0056】その結果を表3および図3に示す。表3に
示すように、冷却速度がこの発明の範囲を満足する鋼は
優れた強度延性バランスを示した。
【0057】図3に示すように、冷却速度がこの発明の
範囲を外れる鋼は強度延性バランスが悪かった (図3)
【0058】
【表3】 [実施例3]表1のうち、鋼No.1〜12のスラブを用い、12
00℃で30分間加熱し、850 ℃で仕上げた後、500 ℃で巻
き取り、板厚3.2mm の熱延鋼板を得た。これらの熱延鋼
板を酸洗した後、1.4mm まで冷間圧延を行い、次いで、
連続溶融亜鉛めっき炉にて再結晶焼鈍およびめっき処理
を行った。その際、780 ℃で18秒均熱した後、690℃ま
での冷却速度を7℃/sとした。その後、目付量が表、裏
ともに45g/m2となるように溶融亜鉛めっきを施した。一
部は皮膜中のFe濃度を8.5 〜12%となるように合金化処
理を行った。合金化処理を行ったものは表4中にFe%を
示した。
【0059】得られた溶融亜鉛めっき鋼板に対して、実
施例1と同様に静的および動的引張試験と溶接試験を行
い、結果を表4に示す。表4に示すように、いずれも優
れた強度延性バランスおよび静動比を示したが、Si量が
0.6 %を超える鋼No.4と11には不めっきが発生した。
【0060】
【表4】 [実施例4]表1のうち、鋼No.2のスラブを用い、1200℃
で30分間加熱し、850 ℃で仕上げた後、表5に示す温度
で巻き取り、熱延鋼板を得た。これらの熱延鋼板を酸洗
した後、表5に示す冷間圧延次いで、連続溶融亜鉛めっ
き炉にて再結晶焼鈍を行った後、めっき処理を行った。
再結晶焼鈍の均熱時間は18秒で行い、その後の700℃ま
での冷却速度を6℃/sとした。めっき付着量、皮膜中の
Fe濃度を表中に示した。
【0061】得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対し
て、実施例1と同様に静的および動的引張試験と溶接試
験を行い、結果を表5に示す。表5に示すように、巻取
り温度、冷延圧下率、焼鈍温度が本発明範囲から外れる
ものは強度延性バランスが悪かった。
【0062】
【表5】
【0063】
【発明の効果】本発明の方法により、強度延性バランス
に優れ、かつ耐衝撃性に優れる冷延鋼板および、溶融亜
鉛めっき鋼板が容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TS×Elと(1) 式の関係を示すグラフである。
【図2】静動比と(2) 式の関係を示すグラフである。
【図3】TS×Elと均熱後から700 ℃までの冷却速度の関
係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 2/06 C23C 2/06 2/40 2/40 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA05 AA23 AB02 AB28 AB42 AC12 AC73 AE23 AE27 4K037 EA01 EA02 EA05 EA06 EA11 EA13 EA15 EA16 EA17 EA18 EA19 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA32 EB05 EB07 EB08 EB09 FA02 FB00 FE01 FE02 FE03 FG01 FH01 FJ05 FJ06 FK03 GA05 JA02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C:0.05〜0.20%、 Mn:0.5 〜3.0 %、 P:0.03%以下、 S:0.015 %以下、 Ti:0.010 〜0.100 、Nb:0.005 〜0.050 %、 sol.Al:0.01〜0.08%、N:0.002 〜0.010 % かつ、Ti、Nb、C、Nの含有量が下記(1) 、(2) 式を満
    足し、 残部がFeおよび不可避的不純物から成る化学組成を有す
    る高張力鋼板。 (C+N/14 ×12) /(Ti/48×12+Nb/93 ×12) ≧5 ・・・・(1) 0.4 ≦Ti/Nb ≦6 ・・・・(2)
  2. 【請求項2】 さらに前記化学組成が、質量%で、Si:
    2.0 %以下含有する請求項1記載の高張力鋼板。
  3. 【請求項3】 さらに前記化学組成が、質量%で、B :
    0.005 %以下含有する請求項1または2記載の高張力鋼
    板。
  4. 【請求項4】 さらに前記化学組成が、質量%で、Cu:
    1.0 %以下含有する請求項1〜3のいずれか記載の高張
    力鋼板。
  5. 【請求項5】 さらに前記化学組成が、質量%で、V :
    0.1 %以下、Cr:0.5 %以下、およびMo:0.5 %以下の
    うちの1種または2種以上を含有する請求項1ないし4
    のいずれかに記載の高張力鋼板。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の化
    学組成を有する鋼片に熱間圧延を行い、400 〜700 ℃で
    巻き取った後、酸洗処理を施し、40〜90%の圧下率で冷
    間圧延を行い、次いで750 〜900 ℃で再結晶焼鈍を施し
    た後、710 ℃以下までを15℃/s以下の冷却速度で冷却す
    ることを特徴とする高張力鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかに記載の化
    学組成であって、Siが含有される場合は、Si:0.6%以下
    である化学組成を有し、さらに表面が亜鉛めっきで被覆
    されていることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の化学組成を有する鋼片
    に熱間圧延を行い、400 〜700 ℃で巻き取った後、酸洗
    処理を施し、40〜90%の圧下率で冷間圧延を行い、次い
    で750 〜900 ℃で再結晶焼鈍を施した後、710 ℃以下ま
    でを15℃/s以下の冷却速度で冷却した後、溶融亜鉛めっ
    きを施すことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。
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JP2005240126A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Toyo Kohan Co Ltd 高強度極薄冷延鋼板、その製造方法、それを用いたガスケット用材料およびそれを用いたガスケット材
WO2006109522A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 溶融亜鉛めっき鋼板、および合金化溶融亜鉛めっき鋼板
CN117165845A (zh) * 2023-04-28 2023-12-05 鞍钢股份有限公司 新能源汽车用340MPa级合金化热镀锌板及其制备方法

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