JP2001524831A - 親和性の変化したレトロウイルスベクターの産生法 - Google Patents

親和性の変化したレトロウイルスベクターの産生法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は分子生物学およびウイルス学の分野に関する。本発明は特に遺伝子工学技術の分野に関し、かつこれらの技術を、特に遺伝子治療の分野で、新規な薬剤の調製に使用すること、および新規なレトロウイルスベクターの産生法に関しており、これらのベクターおよび組換えウイルスがこの方法により取得可能である。本発明はレトロウイルスまたはそれらに由来する変化した親和性を有する組換えウイルスを産生する方法であって、それによりウイルスゲノムが修飾され、その翻訳開始部位の少なくとも一つが、少なくとも部分的に機能的に阻害されるようにする方法を提供する。本発明はまた、修飾された親和性を有する組換えレトロウイルスをエンコードしている組換えベクターを産生する方法であって、前記レトロウイルスを、導入された阻害をウイルスが回避するべく宿主細胞内で培養することと、前記阻害を回避するべく突然変異した配列を同定すること、および前記突然変異を、レトロウイルスまたはレトロウイルスのプロウイルスを主成分とする別のベクターに導入することを含む方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 親和性の変化したレトロウイルスベクターの産生法 本発明は分子生物学およびウイルス学の分野に関する。本発明は特に遺伝子工 学技術の分野に関し、かつこれらの技術を、特に遺伝子治療の分野で、新規な薬 剤の調製に使用することに関する。本発明はまた、新規な薬剤を作成するための 道具を提供する方法にも関する。 特に本発明はレトロウイルスの分野に関し、また特にHIV(ヒト免疫不全症 候群ウイルス)およびSIV(サル免疫不全症候群ウイルス)のような免疫不全 症候群ウイルスに関する。 現在、世界中で膨大な研究努力が、HIVのライフサイクル、どのようにして 細胞に感染するか、どのような細胞型に感染可能か、どのようにして複製するか 等を解明するべく行なわれている。本発明は、HIVのmRNAの翻訳開始の解 明に向けて行なわれた研究の中で作られたものである。 この研究の中で、いくぶん異なる分野において遭遇する問題、すなわち、特に 遺伝子治療用プロトコールにおける宿主細胞への核酸分子のデリバリーの問題に 対し、一つの解答が与えられた。 宿主細胞へ核酸をデリバーする試みの中で、特に遺伝子治療用の装置の中でし ばしば生じる問題は、所望の核酸を標的宿主細胞の内部へデリバーすることの可 能なデリバリー媒体がないことである。多くの場合、エレクトロポレーションな らびに他の形質導入手段のような研究手技は、これらの装置には利用できず、ト ランスフェクションを介するデリバリーが最良の方法であると考えられている。 しかしながら、宿主細胞にトランスフェクションし、さらに関心対象の核酸を 前記宿主細胞にデリバーするために用いられるウイルスは、通常どんな細胞にも トランスフェクションすることができるか、またはある細胞集団の中のごく限ら れたサブセットにのみ感染することができるかのいずれかである。従ってこの選 択は、非常に多くの非標的細胞を遺伝子デリバリー媒体(本文中では、組換えウ イルス粒子またはかかる粒子中の核酸か、あるいはベクター自身をさす用語とし て用いられており、かかるベクターは標的細胞へデリバリーされる核酸を含み、 さらにかかるベクターは前記細胞に侵入するための手段を有しており、かかる手 段はたとえばウイルスキャプシドであってもよい)で感染させるか、または関心 対象の核酸を所望の標的細胞へデリバーすることができないかのどちらかである 。 この問題を克服するためには、その表面上に標的細胞の表面上の分子を認識す る分子をもつ遺伝子デリバリー媒体を、その媒体がインターナライズされること を期待して提供することが提案されてきた。しかしながら、癌イメージングおよ び腫瘍療法の分野からは、細胞に結合している標的を認識する分子はほとんど標 的細胞に特異的でないことが知られている。従って、このアプローチはその適応 性にかなりの限界があると考えられる。 我々の、ある種のレトロウイルス、特にSIVおよび/またはHIVの翻訳開 始機構についての研究の中で、我々は親和性(ウイルスによる感染が可能な標的 細胞の範囲を意味する)を操作することのできるレトロウイルスの産生法を発見 した。以下に、翻訳開始機構についてレトロウイルスで行なわれた研究の一部を 述べる。この部分は、本発明の基盤にどのような発見があるのかを説明すること を意図している。 ヒトおよびサル免疫不全症候群ウイルス(HIVおよびSIV)のRNAゲノ ムの非翻訳リーダー領域は、ウイルスの複製に重要な多数の配列エレメントをコ ードしている(参考文献5参照;以下、文献番号のみ記載)。約300〜400 ヌクレオチド長のリーダーは、プロウイルス(トランス作用反応(TAR)エレ メント)の転写、一次転写物(たとえば主要スプライス供与部位[SD])のプ ロセシング、およびゲノムRNAの二量化ならびにパッケージングに関係するエ レメントを含む。さらに、逆転写に関係する配列(たとえばプライマー結合部位 、反復領域)は、リーダーRNAにエンコードされている。これらの複製シグナ ルのいくつかは、特異なRNAの二次構造を採っている。たとえば、TARは伸 びたステムループ構造に折り畳まれ、類似したヘアピンモチーフがウイルスRN Aのパッケージングおよび二量化を仲介することが報告されている。HIV−1 の リーダーはこのように強固な二次構造を含む複雑なエレメントであるため、HI V−1のmRNAの翻訳に通常のスキャニング機構が作動しているかどうかは疑 わしい。 真核生物のmRNAの翻訳は、現在スキャニング機構によって最もよく説明さ れている(34)。リボソームの40SサブユニットがmRNAの5’のキャッ プ構造に結合し、適切な配列状況にあるAUG開始コドンに出会うまでスキャン する。有効な翻訳開始のためのコンセンサス配列CC(A/G)CCAUGGが 想定されている(31)。 RNAに沿ったリボソームのスキャニングは、安定な二次構造により阻害され 得る(32、33)。HIV−1リーダ−RNAは、5’末端に二つの比較的安 定なステムループ構造(TARおよびポリAのヘアピン)を有しており、当該二 つのヘアピンが隣り合っているため、二つのステムの同軸の積み重ねによりこの 構造はさらに安定化する可能性がある(5)。リポータータンパクのmRNAの 5末端にHIV−1リーダー配列を導入すると、インヴィトロの翻訳抽出物およ びアフリカツメガエルの卵母細胞における翻訳が阻害されることが発見された( 20、24、39、41)。TARヘアピンは5’をキャップしたヌクレオチド を含み、開始因子eIF−4Bに対するキャップ構造の近づきやすさを減じるの かもしれない(39)。さらに、レトロウイルスRNAの二量化が当該リーダー 領域内で起こり、ラウス肉腫ウイルスについて先に述べられたように、翻訳効率 を下げるのかもしれない(12)。これらの組み合わされた議論は、修飾された スキャニング機構または無関係な翻訳機構がHIV−1について作動してもよい ことを示唆する。 リーダーRNAの強固な構造を回避するための翻訳についての別の戦略が、他 のレトロエレメントについて記述されている。第一に、「リボソームシャント(r ibosome shunt、リボソーム回避)」と名付けられた方法が、カリフラワーモザイ クウイルスについて提案されている(23)。この方法によれば、リボソームは キャップ部位に侵入しスキャニングを開始するが、どうにかしてそれらはリーダ ーの3末端の領域に転移される。この非線形のスキャニング機構が、リー ダーの中央部にある安定なRNA構造を回避させる。第二に、モロニーのマウス 白血病ウイルスおよびハーヴィのマウス肉腫ウイルスを含むいくつかのレトロウ イルスの極めて長いリーダーが、当該リーダーの3’末端にあるモチーフへの、 キャップに依存しないリボソームの結合を、それに続く最初のAUGコドンまで のスキャニングと共に促進することが証明された(10、11、14)。この機 構はいわゆるインターナルリボソームエントリーサイト(IRES、内部リボソ ーム侵入部位)を使用しており、C型肝炎ウイルスと、ポリオウイルス、口蹄疫 ウイルス、およびA型肝炎ウイルスを含むいくつかのピコルナウイルスとについ ても記述されている(3、27)。 HIV−1mRNAの翻訳の機構を研究するため、我々はウイルスRNAのリ ーダー領域に、最適翻訳開始部位を導入した。この突然変異は主要なスプライス 供与部位の上流に位置しており、スプライスされていない型およびスプライスさ れた型の両ウイルスRNAに、短いオープンリーディングフレームをオープンし た。線形スキャニングモデルに従えば、この新しい開始コドンはほとんどのスキ ャニングしているリボソームを奪うであろう。上流のオープンリーディングフレ ームが翻訳されると、リボソームは翻訳を終結してmRNAから解離するため、 下流のウイルス遺伝子は全て発現が減じられることになる。スキャニング機構に 従い、この上流のAUGの突然変異はタンパク合成およびウイルス複製のレベル を厳しく減少させた。この突然変異体ウイルスを長期間培養すると、複製能の増 加とともに表現型復帰変異体が得られた。驚いたことに、三つの独立した実験に おいて得られた復帰変異体は、導入された開始コドンを不活性化していなかった 。これらの復帰変異体ゲノムの一つの詳細な分析により、ウイルスエンベロープ (Env)タンパクの二つのアミノ酸の置換が複製増加の原因であることが示さ れた。 しかしながら、これらの表現型復帰変異体においてさらに観察された現象は、 復帰させるのに十分な期間その中でウイルスを培養した細胞型以外の細胞内に感 染する能力が有意に減少するということである。明らかにウイルスはこの宿主細 胞における複製能を増加させるが、しかし同時に他の細胞に感染する能力を犠牲 にする。したがってAUGコドン(または他の容易には解けない突然変異)を含 んでいる上流の効果的な翻訳開始部位を導入することで、レトロウイルスを介す る遺伝子デリバリーのための標的として所望される細胞型の中でウイルスを培養 することにより、ウイルスの宿主域の特異性の操作が可能になる。もちろん前記 細胞中での複製能力はごくわずかにちがいない。一旦翻訳開始部位の阻害を回避 する突然変異が起こり、かつ表現型復帰の原因となる突然変異が同定されれば、 この突然変異を、たとえば上流のAUG突然変異を有していないウイルスまたは ウイルスベクター内に供給することが可能である。したがって、これらのベクタ ーの親和性もまた操作することができる。 本発明は一つの態様において、レトロウイルスまたはそれらに由来する変化し た親和性を有する組換えウイルスの産生法であって、当該ウイルスのゲノムが修 飾され、その翻訳開始部位の少なくとも一つが、少なくとも部分的に機能的に阻 害されるようにする方法を提供する。 前文に説明したように、レトロウイルス特にSIVおよび/またはHIVのリ ーダー領域か、またはこれらのウイルスを主成分とするウイルスベクターのリー ダー領域を修飾することにより、ある程度複製能力の少ない突然変異体が作られ る。宿主細胞中で長期間培養すると表現型復帰が起こり、その特定の宿主細胞に おいては複製能が増加するが、他の宿主細胞に感染する能力は減少するという意 味で、ウイルスまたはベクターの親和性は変化する。この機構は、翻訳開始の機 構がいわゆるスキャニング機構である少なくともレトロウイルスにおいては、作 動していることが判明している。しかしながら他のレトロウイルスで、同様の表 現型復帰が、当該ウイルスが元にもどすことができずかつ複製能力に影響をおよ ぼす突然変異の導入に際して見られてもよい。いずれにしても、SIVおよびH IVでは本文において開示したように、スキャニング機構がおそらく作動してお り、これらのウイルス、またはこれらのウイルスを主成分とするベクターを本発 明に用いることが好ましい。 ウイルスにより解かれないことが示されているが、しかし回避されるべきリー ダー領域の修飾は、通常の翻訳開始スタート部位の上流に、翻訳開始スタート部 位を導入することである。 この修飾はしたがって、親和性の変化を伴う表現型復帰変異体に確実に導くと いう理由から好ましい。 好ましくは修飾は、スタートコドンAUGきっかりよりも少し多くを含む。そ れには短いオープンリーディングフレームが続くはずであり、かつスキャニング しているリボソームがこの修飾された配列を開始部位であると認識することを確 実にするべく、非常に効率のよい翻訳開始部位であるべきである。導入される最 適な開始部位を本文に開示する。本発明はさらに、修飾したウイルスで宿主細胞 を感染することと、修飾されたウイルスが修飾により導入された阻害を回避する べく、十分な時間をかけて前記感染した細胞を培養し、それによりその親和性を 変えることとを含む方法を提供する。好ましくは親和性の変化は、宿主細胞の範 囲を狭めるものであり、宿主細胞のあるサブセットに対する修飾されたウイルス の感染性の増加を伴う。 本発明はさらに、前文に開示した態様の方法により取得可能な修飾されたレト ロウイルスまたは、それらに由来するウイルスベクターを提供する。好ましくは ウイルスはさらに開発され、そのゲノム内に遺伝子治療のアプローチに使用する ことができる核酸配列を含んでいるベクターに仕立てられる。好ましくは、前記 ベクターがパッケージング細胞系においてパッケージされるべく改造される段階 がさらに開発され、ウイルスの構造タンパクがパッケージング細胞によってエン コードされ、もはやウイルスによりエンコードされないようにする。この安全プ ロトコールは、複製に欠陥のあるウイルスの産生を可能にすることになり、適切 な標的細胞の単回の感染(形質導入)に使用することができる。 レトロウイルスの感染は、無細胞ウイルスとしてか、または細胞間接触を介す るという二つの機構を介して起こすことが可能である。どちらの機構もウイルス Env分子を用いるという点で関連しているが、分子レベルでは違いが予想され る。HIVは組織培養においては主として細胞間伝染により広がるのに対し、レ トロウイルスの遺伝子治療ベクターはもっぱら無細胞経路を用いることになるで あろう。HIVを主成分とするベクターを改良するため、我々は改良された「無 細胞感染能」をもつ変異体を選択するべく、HIV−1適応実験を含めた。 この選択は、特定の標的細胞型の上でウイルスの無細胞継代を繰返すことによ り実行することができる。通常、遺伝子治療に用いられる核酸配列は、治療上関 心対象となる異種の核酸配列であろう。 かかる配列は好ましくは、タンパクまたは活性のある核酸分子をエンコードし ている。かかるタンパクは、遺伝的欠陥を回復させるための野性型のヒトタンパ ク、突然変異体、感染症を治療するためのトランスドミナント型の微生物タンパ ク、または癌の発生を妨げるための癌抑制タンパクの添加を含むがこれに制限さ れない。 治療用核酸は、センス転写物(デコイ)、アンチセンス転写物、およびリボザ イムを含み、種々の疾患、特に感染症を治療するために使用することができる。 レトロウイルスはRNAウイルスであり、また遺伝子工学技術は通常、DNA を用いて行なわれるため、本発明はまた、本発明による修飾されたウイルスを調 製するための組換えベクターであって、元のレトロウイルスゲノムの少なくとも 一つの翻訳開始部位の少なくとも部分的な阻害という結果をもたらす修飾を有す るプロウイルスDNA配列を含んでいる組換えベクターを提供する。 前文に開示したベクターについて発現された嗜好性も本文において出願する。 修飾されたウイルスはレトロウイルス、特にHIVに関する適合研究に使用す ることができるが、本発明では当該ウイルスまたはこれらのウイルスを主成分と するベクターを、関心対象の核酸を宿主細胞へデリバーするための媒体として使 用することが好ましい。本発明によって提供されるウイルスおよびベクターを遺 伝子治療に使用することは特に好ましい。 上文に簡単に述べたように、前文に開示した方法を用いて、修飾されたウイル スを産生することも可能であるが、前記方法から直接に結果として得られるウイ ルスではなく(表現型復帰変異体ウイルス)、むしろどのような突然変異が表現 型復帰変異体に起こったのかを同定し、かつ前記突然変異を別のレトロウイルス 、プロウイルス、またはレトロウイルスベクターに導入して、宿主細胞の範囲の 修飾も含め、表現型復帰変異体の複製効率が他のウイルスに提供されるようにす る ことが可能である。 したがって本発明はさらなる態様において、修飾された親和性を有する組換え レトロウイルスをエンコードしている組換えベクターの産生法であって、レトロ ウイルスを前文に開示した方法に従わせることとを含み、前記レトロウイルスを 宿主細胞内で培養して当該ウイルスが導入された阻害を回避するようにすること 、前記阻害を回避するべく突然変異した配列を同定すること、および前記突然変 異をレトロウイルスを主成分とする別のベクターかまたはレトロウイルスのプロ ウイルスに導入することを含む方法を提供する。 表現型復帰変異体の変化した親和性を供給された他のレトロウイルスは、少な くとも表現型復帰変異体の突然変異が与えられる前でなければ、本発明の親和性 変更法を受けないことが好ましい。前記突然変異を与えられた後では、得られた ウイルスに第2ラウンドの本発明の方法による長期間の培養を施すことが有利で あろう。 もちろん変異を与えられたウイルスまたはベクターあるいはプロウイルスは、 再び好ましくは異種の配列、特にタンパクをコードしているかまたはアンチセン ス核酸である配列、好ましくは遺伝子治療に有用なものを含み、 好ましくは当該ウイルスまたはベクターあるいはプロウイルスは、再びパッケー ジング細胞に依存する。 本発明を以下の実験部分においてさらに詳細に説明する。 実験 材料および方法 細胞およびウイルス SupT1 T細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)を含んでいるRPMI 1640培地中で、37℃および5%CO2にて増殖させた。細胞をエレクト ロポレーションによりHIV−1分子クローンでトランスフェクションした。簡 単に言えば、5×106個の細胞を20%FCSを含むRPMIにて洗浄し、0 .4cmのキュベット中で1〜5μgのDNAと混合し、250ボルトおよび9 60uFでエレクトロポレートし、次いで10%FCSを含むRPMIに再懸濁 し た。細胞は週2回1対10に分けた。復帰変異体ウイルスの選択には、SupT 1細胞を5μgのDNAでトランスフェクションし、培養物を110日まで維持 した。HIVに誘導された細胞変性効果が明らかである場合には、無細胞の培養 上清を未感染のSupTi細胞上に継代することによって高レベルのウイルス複 製を維持した。我々は最初、50μlを用いて10mlのSupTi細胞を感染 させたが、継代あたり徐々により少量の培養上清を用いた(最少0.1μl)。 細胞および上清試料を継代ごとに採取し、−70℃に保存した。 C33A子宮頚癌(AICC HTB31)(2)を、10%FCSおよびM EM非必須アミノ酸を補足したダルベッコ変法イイグル培地(DMEM)中で3 7℃および5%CO2中にて単層として増殖させた。C33A細胞をリン酸カル シウム法によりトランスフェクションした。細胞は75cm2フラスコにおいて 、20mlの培養液中で60%の集密度まで増殖させた。水880μl中の40 μlのDNAを1mlの50mM HEPES(pH7.1)、250mM N aCl、1.5mM Na2HPO、および120μlの2M CaCl2と混合 し、室温にて20分間インキュベートし、続いて当該培養液に添加した。当該倍 溶液は16時間後に交換した。 HIV−1ゲノムの突然変異 完全長分子のHIV−1クローンpLAI(40)を用いて野性型および突然 変異体ウイルスを産生した。他に断わらない限り、ヌクレオチド番号はpLAI のプロウイルスDNAにおける位置をさし、位置1は5’の末端反復配列(LT R)の最も5’のヌクレオチドであり、転写のスタートは455の位置である。 LAIゲノムRNA配列(GeneBank Databaseに公表、受入れ番号KO2013)との 比較には、この位置番号から454を差引くべきである。我々が使用したpLA I分子クローンと当該公表された配列との間には、7868〜7869の位置に 配列の差異(報告された配列CGの代りにGC)が見つかり、アミノ酸538が アルギニン(R)からアラニン(A)に代っている。pLAIのこの位置のヌク レオチド配列およびアミノ酸配列はどちらも、現在HIV−1タイプBのコンセ ンサス配列に一致している(38)。 リーダー領域の突然変異用には、完全な5’LTR、非翻訳リーダーおよびg ag遺伝子の5’部分(ヌクレオチド1〜830)を含むXbaI−ClaIフ ラグメントを、先に述べたようにpbluescript II KS+(Strat agene)にクローン化した(Blue-5 LTR)(6)。当該リーダー配列は、オリゴ ヌクレオチド指向性のインヴィトロの突然変異誘発(35)により、ミュータジ ーンインヴィトロミュータジェネシスキット(Muta-Gene In Vitro Mutagenesis Kit)(Bio-Rad))、1本鎖(マイナス鎖)DNA、およびプラス鎖突然変異誘 発性オリゴヌクレオチド:GGAGCTCTCTCCCACCAGGACTC GGCTT(太字および下線の不適正ヌクレオチド、太字および二重下線の挿入 ヌクレオチド)を用いて修飾した。このUAUG突然変異を、配列分析によって 確かめた。続いて突然変異体XbaI−ClaIフラグメントをpLAIの5’ LTR領域に導入してuAUG分子クローンを産生した(図1)。プロウイルス DNA分析およびHIV−1プロウイルスクローンにおける復帰変異体配列のク ローニング HIV−1感染細胞(約1×106個)を4000rpm4分間の遠心分離に てペレット化し、リン酸緩衝生理食塩水(10mMリン酸ナトリウムpH7.4 、150mM NaCl)を用いて洗浄した。細胞を10mMトリスHCl(p H8.0)、1mM EDTA、0.5%ツイーン20で溶解し、1ml当り2 00μgのプロテアーゼKとともに56℃にて30分間インキュベートし、さら に95℃にて10分間熱不活性化した。可溶化した細胞DNAからプロウイルス DNA配列を、Pfuポリメラーゼ(Stratagene)を用いてPCR増幅した。5 つのプライマーのセットを用いてHIV−1ゲノムの異なる部分を増幅した:フ ラグメントI、5’U3領域プライマーLA15’X(位置1〜20)および3 ’gagプライマーAD−GAG(896〜917);フラグメントII、5’ gagプライマーGAGI(796〜818)および3’polプライマー18 4PMA−V(3138〜3159);フラグメントIII、5’polプライ マーRTout5’(2413〜2443)および3’tat/revプライマ ーWK533(6048〜6074);フラグメントIV、5’vprプライマ ー 5’env−N(5708〜5736)および3’env/revプライマー4 TRN(8608〜8628);フラグメントV、5’envプライマーL3( 7841〜7861)および3’U5領域プライマーLAI3’A(9746〜 9767)。PCRフラグメントを制限酵素(フラグメントI、XbaIおよび ClaI;フラグメントII、ClaIおよびBclI、;フラグメントIII 、BclIおよびSalI;フラグメントIV、SalIおよびBamHI;フ ラグメントV、BamHIおよびAatlI;これらの部位の位置については図 4参照)を用いて消化し、uAUGプロウイルスクローンにおいてクローン化し た。復帰変異体クローンuAUG−1VbのSalI−BamHIフラグメント IVを野性型LAIクローン(結果としてクローンLAI(env)になる)、TA R突然変異Xho+10クローン(Xho+10(env)、29)、およびポリA ヘアピン突然変異体BおよびB200(B(env)およびB200(env)、15)に 導入した。 復帰変異体クローンuAUG−1VbのSalI−BamHIフラグメントI VをpBluescriptにサブクローン化し、配列決定した。5つのサブフ ラグメントを得た(フラグメントA、SalIおよびNdeI;B、NdeIお よびNheI;C、NheIおよびMfeI;D、MfeIおよびHindII I;E、HindIIIおよびBamHI;これらの部位の位置については図5 参照)。これらのサブフラグメントを用いて野性型のフラグメントIVの対応す る配列を置換した。結果として得られたSalI−BamHIフラグメントを用 いてuAUGプロウイルスクローンの対応する配列を置換した。 uAUG突然変異体の2つの付加的な培養物を長期間維持して復帰変異体ウイ ルス(M15AおよびM15B)を選択した。これらの復帰変異体のenv遺伝 子の配列決定のため、さらにすべての復帰変異体の5’LTRリーダー領域の配 列決定のため、AmpliTaq(Perkin Elmwe)を用いて全細胞DNAからプ ロウイルスDNA配列をPCR増幅した。PCRフラグメントをTAクローニン グベクターpCRII(Invirogen)に直接クローン化した。すべての配列分析 をアプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)373DNAシーケンサ ーで、タグダイデオキシターミネーターサイクルシーケンシングプロトコール( Tag DyeDeoxy Terminator cycle sequencing protocol)(Applied Biosy stems)を用いて行なった。 ウェスタンブロット分析法。C33A細胞を当該プロウイルスクローンを用い てトランスフェクションした。トランスフェクションから3日後に、細胞をトリ プシン処理し、低速遠心分離(1500rpm、10分間)により集めた。ペレ ット化した細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、還元SDS試料用緩衝液(5 0mMトリス−HCl pH7.0、2%SDS、10%β−メルカプトエタノ ール、5%グリセロール)に再懸濁した。タンパクを10%SDS−ポリアクリ ルアミドゲル中にて分解し、イモビロン(Immobilon)−Pに移し(1 6時間、60V)、続いて5%脱脂粉乳、3%BSAおよび0.05%ツイーン 20を含んでいるリン酸緩衝生理食塩水を用いてブロックした。フィルターをH IV−1に感染した個体(患者H)の血清とともに室温にて1時間インキュベー トし、洗浄し、ヤギ抗ヒトIgG−アルカリ性ホスファターゼコンジュゲート( Bio-Rad)とともにインキュベートし、さらに5−ブロモ−4−クロロ−3イン ドリルホスフェイト/ニトロブルーテトラゾリウムプロトコール(Sigma)を用 いて現像した。 CA−p24ELISA、および逆転写酵素(RT)、活性分析 CA−p24のレベルをELISA(Abbott)により測定した。RT分析は先に 述べたように行なった(45)。各反応には10μlのウイルス試料と、0.2 5μgのポリAと8ngのオリゴ(dT)18プライマーとを追加した50μlの RT緩衝液(6OmMトリス−HCl pH8.0、75mM KCl、5mM MgCl2、0.1%ノニデット(Nonidet)−P40、1mM EDTA、4m M DTT)、および0.1μlの[α−32P]dTTP(3000Ci/mm ol、10mCi/ml)が含まれていた。37℃にて2時間後、10plをD −E81ペーパー(Whatman)上にスポットし、5%Na2HPO4中で3回、エ タノール中で2回洗浄し、風乾した。RT活性を当該分析法の直線範囲内で測定 し、放射活性のあるスポットをモレキュラーダイナミクスホスフオールイメージ ャー(Molecular Dynamics Phosphor Imager)で定量化した。 結果 上流の翻訳スタート部位による遺伝子発現の抑制およびHIV−1ウイルスの複 製 リボソームのスキャニングによるmRNAの翻訳は、正常な翻訳スタート部位 の上流へのオーブンリーディングフレームの導入に対し感受性がある。HIV− 1のmRNAの翻訳機構を研究するため、我々はHIV−1のLAIゲノムのリ ーダー領域に、付加的なスタートコドンを導入した(図1)。uAUG(upstre am(上流の)AUG)と名付けたこの突然変異体は、ヌクレオチドの変化を最少 にしてHIV−1リーダーの+239の位置に最適な配列関係をもつスタートコ ドン(CCACCAUGG、31)を創るべく設計された。当該上流のAUGに よってオープンされるリーディングフレームは、12ヌクレオチド下流のUGA 終止コドンで終結する。uUAG突然変異は主要なスプライス供与部位(+29 4の位置のSD、図1)の上流に位置しているため、各々のHIV−1のサブゲ ノムmRNA種はこの付加的なオープンリーディングフレームを含むことになる 。したがって、すべてのHIV−1タンパクの翻訳は、もしリボソームがスキャ ニング機構を使うのであれば影響されることが期待される。 HIV−1のタンパクの発現に対するリーダー突然変異の影響を調べるため、 我々はヒト子宮頚癌細胞系C33Aを、野性型(pLAI)および突然変異体( uAUG)のプロウイルス構築物を用いて一過性にトランシフェクトした。トラ ンスフェクションの3日後に、細胞内のタンパクレベルをウェスタンブロット法 により分析した。ウイルスタンパクの産生は、uAUG突然変異については激し く減少していた(図2、レーン1と3を比較)。ウイルス産生を分析するため我 々は、培養上清中のCA−p24タンパクおよびRTの酵素活性を測定した(表 1)。これらのレベルは野性型の対照の11%および18%に減少していた。し たがって、上流のオープンリーディングフレームの導入は、HIV−1遺伝子の 発現を強く阻害し、mRNA翻訳のスキャニング機構と合致する。 野性型(pLAI)および突然変異体(uAUG)ウイルスの複製能を、Su pT1細胞への分子クローンのトランスフェクションについて調べた。これらの T細胞はCD4リセプターを発現し、ウイルス複製に対し完全に感受性である。 ウイルスの産生は、トランスフェクション後のいくつかの時点において、培養液 中のCA−p24のレベルを測定することによって監視した。1μgのプロウイ ルスDNAのトランスフェクションでは、1週間以内に野性型のウイルスの複製 が観察された(図3、左パネル)。対照的に、uAUG突然変異体については、 検出可能なレベルのウイルス産生は観察されなかった。5μgのプロウイルスD NAのトランスフェクションでは、1日および2日後に観察されたウイルス産生 は、主としてトランスフェクションしたプロウイルスDNAの転写および翻訳に 起因するが、それより後日のウイルス濃度のさらなる増加はウイルスの複製に起 因する。一過性のウイルス産生およびウイルス複製はいすれも、野性型ウイルス に比べuAUG突然変異体では減少することが判った。したがって、HIV−1 遺伝子発現もウイルス複製も、uAUG突然変異により有意に減少する。 env遺伝子内の第2の部位の突然変異の獲得によるUAUG突然変異体の複製 増加 弱く複製しているuAUG突然変異体を110日まで培養し、ウイルスおよび 細胞の試料をいくつかの時点で採取した。これらのウイルス試料の複製能を、新 鮮なSupT1細胞の感染により分析した(図3、右パネル)。トランスフェク ションの21日後に存在するウイルスは、複製無能のuAUG突然変異体と比較 して、増進された複製のカイネティックスを示した。培養が長くなると、これら の突然変異体の複製能はほぼ野性型のレベルにまでさらに増加した。 我々がリーダー領域に導入しておいたスタートコドンの不活性化によって、表 現型復帰が引き起こされたことが予想された。これらの表現型復帰変異体のリー ダー領域の配列を決定するため、全細胞DNAを、長期間の培養の異なる時点で 試料採取した感染細胞から単離した。プロウイルスDNAの完全な5’LTRリ ーダー領域をPCR増幅し、クローン化し、続いて各々の試料について多数のク ローンのシーケンシングを行なった。驚くべきことに、我々は当該リーダー領域 内の短いオープンリーディングフレームの中または付近にヌクレオチドの変化を 観察しなかった。そこで我々は、uAUG突然変異体を190および151日ま で培養した2つの付加的な復帰実験(各々培養物M15AおよびM15B)を行 なった。この期間の間に、新鮮なSupT1細胞を感染させるのに必要なウイル スの量は徐々に減少し、ウイルス複製能の改善が示された。最初の実験で得られ た結果と合致して、我々はこれらの復帰変異体ウイルスの上流のオープンリーデ ィングフレームの中または付近に配列の変化を検出しなかった。 この結果は、HIV−1ゲノムのどこかの配列の変化がuAUG復帰変異体の 増加した複製能の原因であることを示している。これらの第2部位突然変異を同 定するため、我々は最初の復帰実験(図3)の110日目の試料について、5つ のプロウイルスDNAフラグメントをPCR増幅した(図4、フラグメントI〜 V).これらのPCRフラグメントを用いて元のuAUGクローンの対応する配 列を置換した。次いで、当該uAUG復帰変異体クローンの複製能をSupT1 細胞のトランスフェクションにより分析した。1μgのDNAのトランスフェク ションでは、復帰変異体クローンuAUG−IVbのみが効率よい複製を示し、 一方uAUG突然変異体および他のすべてのuAUG復帰変異体クローンは検出 可能な量のウイルスを産生しなかった(図4、下パネル)。クローンuAUG− IVbでは、5821〜8522位までの位置のヌクレオチドが、PCR増幅し たプロウイルス配列で置換されていた。同様なSalI−BamHIフラグメン トが復帰変異体クローンuAUG−Ivaにおいて置換されていたが、この組換 えウイルスは改善された複製を示さなかった。このことは、2.7kbの復帰変 異体配列のPCR増幅の間に、有害な突然変異が導入されたことによって生じた のかもしれない。我々は、pol遺伝子のほとんどをエンコードしているフラグ メントIIIをクローン化および検査することができず、uAUGウイルスの複 製能を改善したフラグメントIVbに焦点を合わせることにした。 復帰変異体uAUG−IVbにおいて交換されたフラグメントは、envの1 部、vprとrevとのオープンリーディングフレーム、および完全なtatお よびvpu遺伝子を含む。このフラグメントの配列決定により、env領域に3 つのサイレント、および4つの非サイレントのヌクレオチド変化が示された(図 5)。Envに124Tの置換を生じる最も5’の突然変異は、重複しているv puのオープンリーディングフレーム内にサイレント突然変異をエンコードして いる。培養物M15AおよびM15Bにおける復帰変異体ウイルスのenv領域 の配列決定もまた、いくつかの配列の変化を示した(図5)。M15Aウイルス においては、4つの非サイレント突然変異が5’env領域に局在していたが、 一方M15Bウイルスでは,2つの非サイレント、および2つのサイレントの突 然変異がenv遺伝子の中央部に見出された。Env C4ドメインにおけるグ リシン436が2つの培養物(IVbのG436RおよびM15BのG436E )において置換されていたことを除けば、3つの独立した復帰実験の中では同一 のアミノ酸の置換は観察されなかった。 エンベロープ突然変異はuAUG突然変異体の遺伝子発現の欠陥を特異的に克服 しないが、しかしウイルスの複製は改善する。 前文に述べたように、uAUG突然変異はトランスフェクションした細胞にお けるウイルスタンパクの産生を減少させた。そこで我々は、復帰変異体IVbの env配列がuAUG突然変異体のタンパク発現を復活させることができるかど うかを調べた。我々はこのuAUGIVb構築物をuAUG(env)と呼ぶことと する。C33A細胞の一過性のトランスフェクションでは、uAUGおよびuA UG(env)クローンについて、同様なウイルスタンパク(図2)およびウイルス (表1)の産生が観察された。したがって、env突然変異の導入はuAUG突 然変異体のタンパク発現の欠陥を修復しなかった。同様の結果が、5μgのプロ ウイルスクローンをSupT1細胞にトランスフェクションすることにより観察 された。トランスフェクションの2日後に測定したウイルス濃度は、主としてト ランスフェクションしたDNAの転写および翻訳に起因し、env突然変異によ って増加しなかった(図6のuAUGとuAUG(env)とを比較)。長期間の培 養では、uAUG(env)ウイルスの、より効果的な複製が観察された。したがっ て、env突然変異はuAUG突然変異体の遺伝子発現の欠陥を直接克服するこ とはないが、ウイルスの複製サイクルにおける他の何らかの段階を改良する。 復帰変異体のenv配列もまた、野性型HIV−1分子クローンLAIに導入 し、LAI(env)を産生した。復帰変異体のenv配列は、C33A細胞におけ る野性型ウイルスのタンパクおよびウイルス産生に影響しなかった(図2および 表1、LAIとLAI(env)とを比較)。さらにenv突然変異は、SupT1 細胞における野性型ウイルス(LAI)のウイルス産生および複製を改善しなか った(図6)。明らかに、野性型LAIウイルスの複製はこれらの細胞内では最 適であり、修飾されたenvタンパクの導入によって改善することは不可能であ る。 envの適応がUAUG突然変異体の特異的な欠陥を克服しなかったため、修 飾されたEnvタンパクが複製に欠陥のある他のHIV−1突然変異体の複製を も改善することが可能である。この理由から、uAUG(env)のSaI1−Ba mHIフラグメントを、TARヘアピン(突然変異体Xho+10、29)また はポリAヘアピンモーフ(突然変異体BおよびB200、15)のいずれかが変 化した突然変異体HIV−1クローンに導入した。これらの突然変異体は、各々 転写およびRNAパッケージングに欠陥がある(15、29)。図7に示したよ うに、すべての突然変異体の複製は、復帰変異体のenv配列により有意に増加 した(BとB(env)、B200とB200(env)、およびXho+10とXho+ 10(env)を比較)。したがって、envフラグメントの複製増強効果はuAU G突然変異体に限らず、他の複製に欠損のあるウイルスにも適用される。 増強された複製はEnvタンパクの異なるドメインにおける突然変異により仲介 される。 uAUG突然変異体の復帰の原因となるenv遺伝子は、3つのサイレントお よび4つの非サイレントのヌクレオチド変化を含む(図5)。どのEnv突然変 異が増大した複製能の原因であるのかを決定するため、我々は5つのサブフラグ メントをクローン化した(図5、フラグメントA−E)。これらのフラグメント を用いて元のUAUG突然変異体の対応する配列を置換した。これらのクローン (uAUG(envA)〜uAUG(envE)の複製を、SupT1細胞のトランスフェク ションにより分析した(図8)。2つのenvフラグメントがuAUG突然変異 体の複製を押上げることができた。フラグメントCは、サイレントおよび非 サイレント(G436R)突然変異を含み、SupT1細胞におけるuAUG突 然変異体の複製能を劇的に活性化した。A70T突然変異をもつフラグメントB もウイルスの複製を改善したが、程度はより低かった。サブフラグメントA、D 、またはEを含む他の突然変異体は複製せず、対応する突然変異がuAUG突然 変異体の複製を救うには十分でないことが証明される。これらの結果は、いくつ かのEnvエピトープの修飾が、SupT1細胞におけるHIV−1の複製能を 増加させたことを示している。 考察 HIV−1の翻訳機構を研究するために、我々は、ウイルスRNAのリーダー 領域に翻訳開始部位を挿入し、短いリーディング・フレームを開いた。この突然 変異によって、ウイルスの遺伝子発現が阻害され、それに付随してウイルスの複 製における減少が示された。複製が低下したこのウィルスを、SupT1 T細 胞において、長く培養し、複製能力が非常に増大した表現型復帰変異体を得た。 驚くべきことに、我々は、付加したオープン・リーディング・フレームが、復帰 変異体ウイルスにおいて維持されていることを発見した。さらなる分析によって 、Envにおける多様な配列の変異が、表現型復帰の原因であることが分かった 。これらの第2部位突然変異は、uAUG突然変異体の複製のみならず、複製が 低下した他のHIV−1突然変異体の複製も向上させていた。したがって、En v適応は、uAUG特異的遺伝子の発現の欠陥を直接克服するものではなく、む しろウイルスの複製を総体的により最適にするものである。 HIV−1のシストロンの上流の短いオープン・リーディング・フレームの導 入によって、遺伝子発現は、野生型のレベルの6〜18%に減少した。この結果 は、翻訳の直鎖スキャニング機構と全く一致する。ウイルスタンパクの残余の産 生は、上流の開始部位を迂回するリボソーム(漏出スキャニング)、または上流 のオープン・リーディング・フレームの翻訳後に再びスキャニングを始めるリボ ソーム(再開始)のどちらかに起因する可能性がある。結論として、多様なRN A構造物が存在するにもかかわらず、HIV−1のリーダーRNA上のリボソー ムのスキャニングが可能である。この発見に一致していることであるが、我々は 、 以前にHIV−1のRNAのリーダーにおけるいくつかのヘアピンモチーフが、 一定の熱力学的安定性を越えていないことを示唆した(4、8、15)。さらに 、2つの主張によって、このスキャニング機構は支持される。第1に、2つのシ ストロニック・リポーター遺伝子による最近の研究によって、HIV−1のリー ダー領域が、IRESとして機能しないことが分かった(36)。第2に、上流 のAUGコドンが、自然のHIV−SIV分離株のリーダー領域において強く表 された状態下にあることが明らかである。60個の自然分離株のリーダーRNA の調査によって、4個のAUGだけが明らかになった(38)。 未だ明らかになつていない一つの興味深い点は、向上した複製能力を有するウ イルスの復帰変異体における、導入したuAUG突然変異の永続性である。我々 は、リーダーRNAモチーフにおいて改変を有した、欠陥のある他の多くのHI V−1突然変異体を分析したが、復帰変異体は一貫して、突然変異したモチーフ 内の第1部位または第2部位突然変異によって生じていた(9、14、15、2 9)。我々は、uAUG突然変異体の3つの独立した復帰の結果を研究してきた が、上流のリーディング・フレームは、全ての場合において維持されていた。こ のことは、新規のAUGコドンを不活化することは比較的単純であることから、 特に注目すべき点である。したがって、uAUG突然変異体が、強制適応の研究 に唯一適していることがわかる。長期の培養において、複製能力が向上した自然 に突然変異したウイルスは、当初のウイルス以上のものになり、この成長に必要 な時間は、複製率の相対的増加に依存する。しかしながら、野生型のLAIのウ イルスは、多くの細胞型において効率的に複製し、自然な突然変異が、その複製 能力を向上させる可能性があるが、ウイルス適応性の増加は、比較的小さく、新 規の変異株の成長は遅くなるであろう。それに対して、そのような自然の配列変 異は、複製の低下したuAUG突然変異体の適応性を、比較的大きく増大させ、 適応したHIV−1変異株が急速に現れることになる。uAUG突然変異は、安 定ではあるが、重度の複製欠陥を示すので、このウイルスは、他の進化のプロト コール、たとえば、異なる宿主細胞型における複製のために、Envタンパクを 最適化するプロトコールに有用である。 T細胞系での複製のためにHIV−1を適用することは、前に述べている。た とえば、ELIクローンは、PBMCにおいて効率的に複製するが、CEMおよ びH9 T細胞系においては不十分にしか複製せず、SupT1およびU937 においては全く複製しない。H9細胞において長く培養して得られた復帰変異体 ウイルスは、全ての細胞型で効率的に複製した(40)。この拡大した宿主範囲 と、増大した複製能力とは、gp120(G427R、LAI E434におけ る共通の位置)における1つのアミノ酸変異、およびgp41(M7V、E49 G)における2つの突然変異によって与えられた(22)。同様に、マクロファ ージ親和性の、HIV−1クローンSF162を誘導する非シンシチウムは、マ クロファージにおいて効率的に複製するが、T細胞系では複製しない。HUT7 8 T細胞においてこのウイルスを長く培養すると、T細胞系親和性のシンシチ ウム誘導ウイルスが得られ、それはいくつかのT細胞系において効率的に複製し たが、マクロファージにおいては複製しなかった(26)。この変化した宿主範 囲は、エンベロープのV3ループにおける2つのアミノ酸の置換によって介在さ れた。 我々の研究においては、保存されたC1およびC4ドメイン(A70Tおよび G436R)における2つの置換が、SupT1細胞におけるHIV−1の複製 を向上させている。HIV−1 LAIがSupT1細胞系に適応する間の「不 変の」Envドメインの進化は、我々が自然のウイルスの分離株におけるこれら の2つのアミノ酸残基のほとんど完全な保存を考慮するならば、注目に値するも のである。C1ドメインのA70T突然変異は、184個の自然のHIV−1分 離株には存在せず(38)、3つの置換だけが、この位置(181×A、1×D 、1×E、および1×P)に観察される。233個の自然の分離株によって、こ の残基(232×G)1×E)のほとんど完全な保存が明らかであることから、 C4ドメインにおけるG436R突然変異は、さらに顕著でさえある。 我々は、修飾されたEnvタンパクが、SupT1細胞系において複製を向上 させるレベルを現在試験しているところである。第1に、Env突然変異がEn vのgp160前駆体タンパクのプロセッシングを向上させることが可能である (30、42)。第2に、ウイルスエントリーは、HIVIのEnvタンパクが ケモカイン受容体ファミリーのSupT1発現共レセプターに適応することによ って、刺激される可能性がある(1、13、17〜19、21)。この考えに一 致して、予備実験によって、選択されたEnvタンパクが他の細胞でウイルス複 製を支持していないことがわかった(未掲載)。明らかに、そのような分化した Envの一部は、遺伝子治療アプローチにおける特定の細胞型を標的とする新規 のレトロウイルスベクターの設計に有用である。 強制した進化方法は、Envタンパク以外のウイルスの機能の向上に関する選 択にも使用可能である(実験未掲載)。特に、ウイルスのLTRの転写プロモー ターの種々の形状は、この方法で発生させることができる。たとえば、転写に欠 陥のあるHIV−1で始めると、我々は、ウイルスの遺伝子発現を調節するプロ モーターおよびエンハンサーの数の変化した変異株について選抜可能であった。 おそらく、もっと興味深いことに、我々は、また、既存のDNAモチーフを、新 規の転写要素の結合部位に変換することを証明した。調節LTRのそのような変 化によって、細胞型特異的遺伝子の発現に有用な、異なった特徴を有するウイル スベクターを産出可能であることが明らかである。完全に異なる選択圧力を、ウ イルスに適応を強制するために使用することも可能である。たとえば、我々は、 低下した温度で最適に増殖することが可能なHIV−1変異株について、選択に 成功した。最後に、進化のプロトコールの効果は、当初の野生型のウイルスがエ ンコードする機能よりもよいウイルス機能を選択可能であるという発見によって 、適切に実証されている。ウイルスの優れたタンパクおよび酵素の選択を、2つ のシステムにおいて証明した。 第1に、必須のウイルスの転写活性化因子であるTatタンパクが変異したウ イルス変異株で着手し、我々は、突然変異を付加したTat復帰変異体について 選択した。これらの付加した変異は、突然変異体のTatの機能を修復するだけ ではなく、野生型のタンパクに導入したときに活性の増加も示した。 第2に、類似した結果が、逆転写酵素の機能的に低下した形状を用いた選抜実 験で得られた。これらの結果は、ウイルスの酵素およびタンパクの適応性を強調 するだけでなく、強制した進化方法の並外れた能力を強調するものである。 図の説明 図1 HIV−1のRNAのリーダーにおける翻訳開始部位の導入。HIV− 1のウイルスRNAの概略図および導入した配列の変異を示している。共通翻訳 開始部位に関しては、AUGトリプレットをリーダーの位置+239に導入した (突然変異体 uAUG)。この突然変異は、主要なスプライス供与部位(位置 +294のSD)の上流に位置づけられ、全てのHIV−1のRNAは、この付 加したAUGを含む。ヌクレオチド数は、ゲノムRNAの転写位置に関係し、+ 1は、キャップされたG残基であり、gag遺伝子のAUG開始コドンは、位置 +336にある。 図2 一時的に産生されたウイルスタンパクおよびウイルスのウエスタンブロ ット分析。C33A細胞を、野生型(LAI)とuAUG変異の(uAUG)プ ロウイルス構築物とでトランスフェクションした。LAI(env)およびuAUG( env) において、envコード領域を、クローンuAUGIVbの復帰変異体のe nvフラグメントによって置換した(図5参照)。トランスフェクションから3 日後に、細胞抽出物全てを調製し分析した。ウイルスタンパクは、個々に感染さ せたHIV−1の血清で同定された。HIV−1のGag p55前駆体タンパ クと、MA−CA p41プロセシング中間体と、CA p24成熟タンパクの 位置を左側に示す。分子量マーカータンパクの位置(キロダルトン)を右側に示 す。レーン1は、野生型の構築物のトランスフェクション、レーン2〜4は、突 然変異体の構築物のトランスフェクション(パネルの上に示す)、レーン5は、 モックトランスフェクション細胞である。 図3 野生型およびuAUG突然変異体HIV−1ウイルスの複製。左側パネ ル:SupT1細胞を、野生型(LAI)および突然変異体(uAUG)プロウ イルス構築物でトランスフェクションした(1μgおよび5μgDNA)。CA −p24産生物を、数回、培養上清で測定した。uAUG突然変異体および野生 型ウイルスのウイルスストックを、それぞれ、5μgのDNAのトランスフェク ションから6日後と4日後に調製した。右側パネル:UAUG突然変異体を11 0日まで培養し、ウイルスサンプルをいくつかの時点で採取した(サンプリング の日を示す)。uAUG突然変異体および野生型ウイルスは、左側パネルに示し たトランスフェクションから誘導された。同量のウイルス(CA−p24レベル によって標準化した)を使用して、新鮮なSupT1細胞に感染させた。 図4 第2部位突然変異によるuAUG突然変異体の復帰。上部パネル:HI V−1プロウイルスゲノムの図。uAUG突然変異体の復帰を仲介する突然変異 を同定するために、トランスフェクションから110日後に存在しているプロウ イルスDNA(図3)を、5個のセグメント(フラグメントI〜V)についてP CR増幅した。これらのPCRフラグメントを用いて、当初のuAUGクローン の対応する配列を置換えた。使用した制限部位とプロウイルスゲノム上のそれら の位置を示す。フラグメントIの増幅に使用した5’プライマーは、XbaI部 位を含み、フラグメントVの増幅に使用した3’プライマーは、AatII部位 を含んでいた。下部パネル:uAUG復帰変異体クローンの複製能力を、Sup T1細胞のトランスフェクションによって分析した。フラグメントI、IV、お よびVについて、2つの復帰変異体クローンの試験を行い、フラグメントIII については試験を行わなかった。 図5 uAUGウイルスの復帰変異体におけるEnvタンパク突然変異。完全 なenvコード領域を、gp120の保存された領域(C)および可変領域(V )、ならびにgp41のトランスメンブレン・ドメイン(TM)とともに示す。 復帰変異体クローンuAUG−IVbのSalI−BamHIフラグメントおよ び2つの追加した復帰変異体(M15AおよびM15Bを培養)の配列決定を行 った。サイレント突然変異(白丸)および非サイレント突然変異(黒丸)を示す 。該突然変異を、LAIのEnvタンパクに存在するアミノ酸(1文字略号)と 、残基数と、この位置の復帰変異体に存在するアミノ酸とを挙げて表記した。I Vbにおける対応するヌクレオチド変異は、I24T、ヌクレオチド位置632 7のT−C(vpu遺伝子のサイレント突然変異);A70T、6464のG− A:Y389Y、7423のC−T;G436R、7562のG−A;A538 A、7870のG―A;Q557Q、7927のG−A;A705V、8370 のC−Tである。M15Aにおいては、E32K、6350のG−A;A 55V、6420のC−T;V1011、6557のG−A;P188S、68 18のC−Tである。M15Bにおいては、G385E、7410のG−A;G 436E、7563のG−A;S470S、7666のC−T;K507K、7 777のG−Aである。HIV突然変異の研究におけるG−AおよびC−T変換 (合計15個の突然変異のうち9個および5個)について好ましいものは既に報 告されている(28)。104nt欠失を、nefコード領域の一部を除去した 復帰変異体M15AのLTRのU3領域(プロウイルス位置76〜179位)に 観察した。nef配列の欠失は、以前に観察されており(7)、T細胞系におけ るHIV−1の複製には影響を与えない(16、25、37、43)。他の復帰 変異体においては、この領域を変異させていなかったので、このU3欠失が、M 15A復帰変異体の複製の向上に介在したとは考えられない。 図6 Env突然変異は、UAUGウイルスの複製を救助する。野生型env 遺伝子(uAUGおよびLAI)またはフラグメントIVbの復帰変異体env 遺伝子(uAUG(env)およびLAI(env))を有するプロウイルスクローン(5 μg)を、SupT1細胞にトランスフェクションした。CA−p24レベルを 、トランスフェクション後、数回、培養上清で測定した。 図7 修飾されたEnvタンパクは、欠陥のある他のHIV−1突然変異体の 複製を向上させる。フラグメントIVbの復帰変異体のenv配列を、TARヘ アピンモチーフ(突然変異体Xho+10;29)またはポリAへアピンモチー フ(突然変異体BおよびB200;15)のどちらかにおいて突然変異した、複 製に欠陥のあるHIV−1クローンに導入した。これらのクローンを、それぞれ 、Xho+10(env)、B(env)およびB200(env)と呼ぶ。SupT1細胞を 0.5μgのB、B200、およびXho+10プロウイルスクローンと(左側 パネル)、5μgのXho+10クローンでトランスフェクションした(右側パ ネル)。CA−p24産生物をいくつかの時点で培養上清で測定した。 図8 修飾されたEnvタンパクの異なるドメインは、ウイルス複製を刺激す る。フラグメントIVbを、当初のuAUG突然変異体において対応する配列を 置換えるために使用した5つのサブフラグメントに分けた(図5、フラグメント A〜E)。これらのクローン(uAUG(envA)〜uAUG(envE))、および野生 型env遺伝子を有するuAUG突然変異プロウイルスクローン(uAUG)ま たはフラグメントIVbの完全な復帰変異体env遺伝子を有するuAUG突然 変異プロウイルスクローン(uAUG(env))を、SupT1細胞にトランスフ ェクションした(1μgのDNA)。CA−p24レベルを、トランスフェクシ ョン後、数日毎に培養上清で測定した。 表1 C33A細胞におけるウィルスの産生 − CA−p24濃度およびRT活性をトランスフェクションから3日後に、培 養上清で測定した。 − uAUG(env)およびLAI(env)においては、envコード領域 をクローンuAUG−IVbの復帰変異体のenvフラグメントによって置換し た(図5参照)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.レトロウイルスまたはそれに由来する、変化した親和性を有する組換えウ イルスを産生する方法であって、それによりウイルスのゲノムを修飾して翻訳開 始部位の少なくとも一つが少なくとも部分的に機能的に阻害されるようにする方 法。 2.前記レトロウイルスが免疫不全症候群ウイルスである、請求項1に記載の 方法。 3.前記免疫不全症候群ウイルスが、ヒトまたはサルの免疫不全症候群ウイル スである、請求項2に記載の方法。 4.前記機能的な阻害が、野性型ウイルスの翻訳開始部位の上流に、翻訳開始 部位を導入することにより達成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方 法。 5.前記導入された翻訳開始部位に、短いオープンリーディングフレームが続 く、請求項4に記載の方法。 6.修飾したウイルスで宿主細胞を感染させることと、前記感染した細胞を、 前記修飾されたウイルスが前記修飾により導入された阻害を回避しかつそれによ りその親和性を変えるのに十分な時間培養することとを含む、前述の請求項のい ずれか1項に記載の方法。 7.前記親和性の変化が宿主細胞の範囲を狭めることである、請求項6に記載 の方法。 8.前記親和性の変化が、宿主細胞のあるサブセットに対する前記修飾された ウイルスの感染性の増進を含む、請求項6または7に記載の方法。 9.前述の請求項のいずれか1項に記載の方法により取得可能な、修飾された レトロウイルスまたはそれに由来する組換えウイルスベクター。 10.異種の核酸配列をそのゲノム中に含む請求項9に記載の修飾されたレトロ ウイルス。 11.前記異種の核酸配列が治療上関心のある核酸配列である、請求項10に記 載の修飾されたレトロウイルス。 12.前記異種の核酸配列がタンパクまたはアンチセンス核酸分子をエンコード する、請求項10または11に記載の修飾されたレトロウイルス。 13.請求項10〜12に記載の修飾されたウイルスを調製するための組換えベ クターであって、元のレトロウイルスゲノムの少なくとも一つの翻訳開始部位を 、機能上少なくとも部分的に阻害する結果となる修飾を有するプロウイルスDN Aを含む組換えベクター。 14.前記修飾が元の翻訳開始部位の上流に付加的な翻訳開始部位を含む、請求 項13に記載の組換えベクター。 15.前記付加的な翻訳開始部位に、短いオープンリーディングフレームが続く 、請求項14に記載の組換えベクター。 16.前記プロウイルス配列内に、異種のDNA配列が存在する、請求項13〜 15のいずれか1項に記載の組換えベクター。 17.前記異種の配列が、タンパクまたはアンチセンス分子をエンコードする、 請求項16に記載の組換えベクター。 18.薬剤として使用するための、請求項9〜12のいずれか1項に記載の修飾 されたレトロウイルスまたは請求項13〜17のいずれか1項に記載の組換えベ クター。 19.遺伝子治療用の薬剤の調製に使用するための、請求項9〜12のいずれか 1項に記載の修飾されたレトロウイルスまたは請求項13〜17のいずれか1項 に記載の組換えベクター。 20.修飾された親和性を有する組換えレトロウイルスをエンコードする組換え ベクターを産生する方法であって、レトロウイルスを請求項1〜8のいずれか1 項に記載の方法に従わせることと、前記ウイルスに前記導入された阻害を回避さ せるべく前記レトロウイルスを宿主細胞内で培養することと、前記阻害を回避す るべく突然変異した配列を同定することと、前記突然変異をレトロウイルスまた はレトロウイルスのプロウイルスを主成分とする別のベクターに導入することと を含む方法。 21.他のレトロウイルスは請求項1〜8に記載の方法に従わせない、請求項2 0に記載の方法。 22.他のウイルスが、異種の核酸配列を含む組換えウイルスである、請求項2 0または21に記載の方法。 23.請求項20〜22に記載の方法により取得可能なレトロウイルスまたはプ ロウイルス。 24.薬剤として使用するための、請求項23に記載のレトロウイルスまたはプ ロウイルス。 25.遺伝子治療用の薬剤の調製に使用するための、請求項23に記載のレトロ ウイルスまたはプロウイルス。
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