JP2001520236A - スペーサーペプチドとそれを含有する膜 - Google Patents

スペーサーペプチドとそれを含有する膜

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JP2001520236A
JP2001520236A JP2000516989A JP2000516989A JP2001520236A JP 2001520236 A JP2001520236 A JP 2001520236A JP 2000516989 A JP2000516989 A JP 2000516989A JP 2000516989 A JP2000516989 A JP 2000516989A JP 2001520236 A JP2001520236 A JP 2001520236A
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アルフレッド ヨンツィク,
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Abstract

(57)【要約】 貴金属支持体に結合し、式(I)で表されるスペーサーペプチドを含む合成細胞膜を開示する。該膜には膜タンパクを導入することができ、バイオセンシングデバイスとして使用できる。式(I)X−LN−AN−B−AC−LC−Yで表されるペプチドまたはペプチド類縁化合物を開示し、好ましい実施例は以下の意味を有する。すなわち、a)X群は少なくとも1つのイオウ原子を含み、例えばLip基または置換基HS−(CH−COであり;AN及びLNはいずれも単結合であり;AC群はProXaaXaaであり;LC群は単結合であるかまたは6−アミノカプロン酸のような中程度の長さのω−アミノ酸のオリゴマー(2〜4のモノマーからなる)であり;YはLys(Myr)−Lys(Myr)であり、ここでMyrはLysの側鎖アミノ酸基に結合したミリストイル残基カルボキシル基を表すか、もしくはb)X群はMyr−Lys(Myr)であり、ここでMyrはLysの側鎖アミノ酸基に結合したミリストイル残基を表し;LN群は単結合であるかまたは6−アミノカプロン酸のような中程度の長さのω−アミノ酸のオリゴマー(2〜4のモノマーからなる)であり;AN群はProXaa Xaaであり;AC群及びLC群は単結合であり;Y群は少なくとも1つのイオウ原子を含み、例えばCys−amideまたは−NH−(CH−SHである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は結合分子またはスペーサー分子としてのチオペプチドによる強固な支
持体に結合した脂質膜に関する。当該脂質二重層にはイオンチャンネル、イオノ
フォア、及びイオンポンプやリセプターのような内在性膜タンパクなどの大部分
の膜タンパクを導入可能であり、アゴニスト、アンタゴニスト、薬物、基質、及
びリガンドによってイオン流量が調節できる際にはバイオセンシングデバイスと
して使用可能である。このようなシステムは薬理活性を有する化合物のスクリー
ニング試験に有用である。
【0002】 このような薄膜を作るには、Au−S−基を介して金支持体に同様に結合した
ポリオキシエチレンスペーサー(US5,401,378またはWO92/17
788)のような重合体スペーサーが使われてきた。しかし、このようなスペ
ーサーはヘリックスのような2次構造を形成するように考案されたものではなか
ったため、ペプチドより強固さにお取りまた壊れやすい(層の厚さは未報告)。
そのため、ポリオキシエチレンスペーサーを有する脂質薄膜はアラメチシン、グ
ラミシジン、バリノマイシンのようなイオンチャンネルやイオノフォアを導入す
るのに用いられた。これらのチャンネルを介してのイオン輸送はインピーダンス
分光法によって測定された。しかし、リセプターやイオンポンプのような水相に
広がる大領域を有する膜拡張性タンパクが導入されることは希であり、しかもこ
れらの機能は保持し得なかった。
【0003】 −S−S−または−S−H−基を介して金支持体に結合したペプチドスペーサ
ーはWO96/18 645とDE44 44 893.7において公開された
。これらは原位置のまま脂質(DMPE)に共有結合し、ペプチドをスペーサー
とする脂質単層を形成することが示された。この脂質単層は脂質小胞浮遊体に接
触させると自然にペプチド支持性脂質二重層を形成する。再構成した膜タンパク
を含む小胞の融合が膜タンパクを導入する一つの方法であることが既に示されて
おり、その際膜タンパクの機能は保持されていた。したがって、ペプチドスペー
サーが内在性タンパクと共存し得ることが明らかになった。 WO96/18 645とDE44 44893.7において公開されたチオペ
プチドは難溶性であったため、チオペプチド−脂質付加物のバルクにおける合成
は不可能であった。したがって、その合成は金支持体存在下において場所を変え
ずに行われていた。システムの電気的性能も満足できるものではなかった。
【0004】 これらの欠点を解消するために、システムに以下の点に関する改善を行った: -ペプチドの配列 -ペプチド−脂質付加物の製法の手順(原位置でのものと場所を移すもの); -電気化学的測定と光学的測定の実験的立ち上げ; -チオペプチドとペプチド脂質単層の製法; -バルクにおけるペプチド脂質付加物の(場所を移す)製法; -金支持体存在下でペプチド脂質付加物が自己集合して安定な単層を形成する ことの実証 -それぞれ二重層を形成するリポゾームのチオペプチド脂質付加物への融合 -他の膜拡張性タンパクの導入 -前記タンパクの結合特性及び結合活性の解明と測定 -インピーダンス分光法、表面プラスモン蛍光分光法のような、適切な測定方 法の実証
【0005】 すなわち本発明はペプチド類縁体、ペプチド−脂質層、または細胞膜あるい はこれらの膜を含むデバイスのような改善された機能を使用して優れた化合物を
見出すという目的に基づくものである。
【0006】 本発明はチオペプチドを結合物質またはスペーサーとして用いた強固な支持 体に結合した脂質膜に関する。図1に示したように、これらの薄膜は以下に示す
ように一端においてAu−S−結合を介して金支持体に共有的に結合し、他端に
おいてはCO−NH結合を介してリン脂質(DMPE)に結合し、チオペプチド
−脂質単層を形成するチオペプチドから形成される。リポゾーム浮遊体に接触さ
せるとチオペプチド−脂質単層は水相によって支持体から分離したそれぞれの脂
質二重層を自然に形成する。脂質二重層にはイオンチャンネル、イオノフォア、
及びイオンポンプやリセプターのような内在性膜タンパクなどの大部分の膜タン
パクを導入可能である。これらの分子を通るイオン流量は測定することが可能で
あり、このことはこれらのタンパクの特徴的な機能である。このように、これら
の被支持性脂質二重層は生物学的膜のモデル系として興味深い。
【0007】 この脂質二重層は脂質薄層に膜拡張性タンパクが取り込まれた時に特に有用で
ある。そのような場合、アゴニスト、アンタゴニスト、薬物、基質、リガンドに
よってイオン流量が調節でれば脂質二重層はバイオセンサーやバイオアッセイ系
として使用可能である。抗体やリガンドに対する膜タンパクの結合能はイオン流
量と同時にアッセイすることができる。脂質の環境のため非特異的結合は減少し
ている。このような系は薬理活性を有する化合物のスクリーニングに使用できる
であろう。
【0008】 本発明は式Iで表されるペプチドまたはペプチド類縁体に関し、 X−LN−AN−B−AC−LC−Y I 式中、 Xは炭素数1〜22のアシル基による1回または2回のアシル化が可能なジア
ミノ酸であるか または1,2−ジチオラン−3−ペンタノイル(リポイル)残基またはHS−ア
ルキル−CO−またはHS−アルキル−CO−NH−アルキル'−CO−またはT rt−S−アルキル−CO−またはTrt−S−アルキル−CO−NH−アルキ
ル'−CO−またはCysのようなイオウ含有残基であって、2〜22のC−原 子を含むアシル基による1回のアシル化が可能な、前記イオウ含有残基であるか
またはHであり; LNは単結合であるか またはペプチド結合によって結合され、3〜10のC原子を含む1〜5ω−アミ
ノ酸基であり; ANは単結合であるか またはXaaXaaProであり BはXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaであり ACは単結合であるか またはProXaaXaaであり; LCは単結合であるか またはペプチド結合によって結合され、3〜10のC原子を含む1〜5ω−アミ
ノ酸基であり; YはCysのようなイオウ含有残基であって、そのカルボキシル基は−OAl
k、−NH、−NHAlkまたは−NAlkまたはn=2〜11である−H
N−(CH−SH−によって置換されていてもいい前記イオウ含有残基で
あるか またはLys、Orn、DprまたはDbuのようなジアミノ酸であって、その
側鎖アミノ基は2〜22のC−原子を含むアシル基によって任意にアシル化され
ていてもいい前記ジアミノ酸であるか、 またはLys、Orn、DprまたはDbuのような2つのジアミノ酸を含むジ
ペプチドであって、その一方または両方の側鎖アミノ基は2〜22のC−原子を
含むアシル基によってアシル化されていてもいい前記ジペプチドであるか、 またはOHであり; AlkとAlk'は互いに独立して、 炭素数1〜11の直鎖または分枝アルキルであり、 Proは3Hypまたは4Hypであってもよく; Xaaは例えばSer、Thr、アロ−Thr、ホモ−Serのような3〜4
のC−原子を含むヒドロキシアミノカルボン酸であり; XaaはAla、Abu、Val、Ile、またはLeuのようなC−C アルキル(直鎖または分枝)を有する2−アルキルグリシンであり; ここでXまたはYは少なくとも1つのイオウ原子を含み、 ANまたはAC残基の1つのみが単結合でもよい。
【0009】 これらとは別の2つの構造が本発明の好ましい実施例である: a)X群はLip基または置換基HS−(CH−CO−のように、少な
くとも1つのイオウ原子を含み; ANとLN群は共に単結合であり; AC群はPro XaaXaaであり; LC群は単結合または6−アミノカプロン酸のような中程度の長さのω−アミノ 酸オリゴマー(モノマーの数は2〜4)であり; Y群はLys(Myr)−Lys(Myr)であり、ここでMyrはLysの側
鎖アミノ酸基に結合したミリストイル残基を表すか、または b)X群はMyr−Lys(Myr)であり、ここでMyrはLysのアミノ
酸基に結合したミリストイル残基を表し; LN群は単結合または6−アミノカプロン酸のような中程度の長さのω−アミノ 酸オリゴマー(モノマーの数は2〜4)であり; AN群はPro XaaXaaであり; ACとLC群は共に単結合であり; Y群はCys−アミドや置換基−HN−(CH−SHのように、少なくと
も1つのイオウ原子を含む。 これらの構造において、Lysは上で述べたようなジアミノ酸で置換可能であ
り、Myrは本開示において後に述べるような2〜22のC原子を含む他のアシ
ル基で置換可能である。
【0010】 いずれの代替例も同一の基本原理に則っている。すなわち、イオウを含む最初
の末端基はペプチドを貴金属表面につなぎ止めるのに用いられる。核となるスペ
ーサーBが自己構成領域を形成し、中間基のAC及び/またはANは構造全体に柔
軟性を与えている。他端基は親油性であり、膜構造に入り込んでいる。このよう
な構造によって貴金属表面に共有結合した安定膜構造が得られる。上に述べた代
替例はペプチド結合の極性によって可能になるものである。 ジアミノ酸がアシル化されていない代替化合物は以下の説明で述べるアシル化合
物合成の中間体として使用することができる。
【0011】 本発明は当該合成細胞膜中の膜タンパクを含む合成細胞膜及び複合体だけでな
く、さらに式Iで表されるペプチドの製法、並びに一方の末端部のイオウ架橋を
介して貴金属表面に共有結合しているペプチド層に関する。さらに、本発明はこ
れらの複合体を含むバイオセンシング性デバイス及びリセプターバインディング
アッセイ並びに医薬品及び作物保護物質の探索への使用にも関する。
【0012】 本発明は、自己集合による安定チオペプチド−脂質単層の、貴金属表面最上部
における形成にも関していて、該チオペプチド−脂質単層は電子チップのような
形でこれまでより長期の保存が可能であり、かつリポゾームとの融合、または脂
質溶液を水相に添加後含水バッファーで希釈することによって、それぞれの脂質
二重層を構築するのに常時使用することができる。それとは別に、当該脂質二重
層は含水条件下において使用するために、好ましくはトレハロースまたはグリセ
リンを溶液に加えて安定化させて保存することもできる。
【0013】 このようなデバイスの好ましい実施例としてアドレスをそれぞれの電極個々に
割り当てることができ、該電極のシグナルを逐次的にまたは多重通信装置によっ
て測定が可能な多電極チップまたはチップアレーが考えられる。該チップはテフ
ロンシートまたは好ましくはテフロン性保護具によって覆われている多くの金電
極を含む。テフロンシートを用いるのは脂質源を確保すると同時に、脂質二重層
を一定範囲内に抑えると共に安定化させる水溶液を含むためである。
【0014】 図1はチオペプチドを介して貴金属基質(金のような)に結合している脂質単
層をリポゾームと反応させることによる二重層形成の概念図である。 図2は電気化学セルを、図3は電気化学的にも光学的にも測定可能なセルを表
している。 図4〜図6は脂質単層及び二重層形成におけるSPSスペクトルを示し、チト
クロームc酸化酵素及びアセチルコリンリセプターを導入した際のものはそれぞ
れ図4及び図5に示されている。チトクロームcのチトクロームc酸化酵素への
結合に関しては図6を参照されたい。 図7は表面プラスモン蛍光分光法(SPFS)測定デバイスの概念図である。
図8、9及び11は測定結果を示している。 図10は1次及び2次抗体の使用を模式的に表したものである。詳細は以下及
び例中に示されている。
【0015】 脂質とタンパクは生体膜の主要構成成分である。脂質二重層は細胞膜のモデル
として見なすことができる。ペプチドまたはタンパクは、脂質二重層の表面に直
交するように挿入することによって、二重層を貫通して広がるように導入するこ
とができる(J.C.Huscilt et al. BBA 979,139
−141(1989))。タンパク二重層集合体のコンフォーメーションは部分
的にペプチドの配列によって決定され、例えば膜タンパクの導入はペプチドの表
面電荷に依存する。膜内のスペーサーとして有用なペプチドは他の補足的技術的
な背景と共にWO96/18 645とDE44 44893.7において公開
された。WO96/18 645とDE44 44893.7において公開され
た脂質成分は、典型的にはアミノ酸C末端のエステル結合を介して結合している
。このような構造とに加えて、本発明における脂質成分はアミノ酸配列に組み入
れることが可能である。
【0016】 好ましい別の実施例は多電極チップであって、該チップはリポゾームまたは膜
タンパクを溶解状態で添加した後に臨界ミセル濃度(cmc)未満に希釈するこ
とによって導入可能な、前もって生成した脂質二重層との融合によって脂質二重
層−タンパク集合体を形成するためのチップである。 また、イオンチャンネルを含む相互作用タンパクを有する二重層タンパク集合体
も好ましい別の実施例である。
【0017】 導入した膜タンパクの基質に可逆的に反応するため、上に述べた実施例はバイ
オセンシングデバイスとして用いることができる。それとは別に、上に述べた実
施例は薬理活性を有する化合物のスクリーニング試験に用いることができる。本
発明に基づく膜タンパクは従来の微量プレートによるスクリーニング試験に用い
る膜タンパクとは異なり、自然な状態に極めて近い環境に配置することができる
。したがって、その膜タンパクを活性状態に保つことができる。結合作用研究を
従来より遙かに特異的に行うことが可能であり、しかもリアルタイムで実施でき
る。アゴニスト及びアンタゴニストの電気的及び光学的性質、またはいずれか一
方の性質も同時に調べることができる。
【0018】 本開示において、電極の電流伝導物質として金を例示している。しかし、他の
貴金属、例えば白金、銀、パラジウム、または銅のような半貴金属やこれらの貴
金属または半貴金属を含む合金も同様な目的に供試することができる。したがっ
て、金が電極に用いる物質であるとする記述は、限定ではなく例示であると解釈
するべきである。同様に、本開示において用いられている貴金属という表現も貴
金属、半貴金属並びに貴金属及び/または半貴金属を含む合金であると解釈すべ
きである。
【0019】 式Iで表される化合物のメルカプトアルキルカルボキシ−ペプチドは金表面に
結合すること、及び自然に密な層を形成し、しかも該ペプチドは性能が改善され
、その改善度合いは以下に述べる改良法を用いると特に顕著であるということが
明らかになった。脂質(例えばジミリストイル−ホスファチジルオキシエチルア
ミン、DMPE)は原位置のままぺプチジル−金相に共有的に結合する。脂質ま
たは親油性残基はペプチドが金表面に結合する前に場所を移して共有結合させる
ことができる。この方法によって結合性脂質膜生成をより単純に行うことができ
る。
【0020】 上に述べた方法によって、ペプチドスペーサー群を介して金表面に共有結合し
た単分子脂質相を生成することができる。これとは別に、脂質層はLangmu
ir−Blodgett法を用いて脂質層をペプチド層に取り込むことができる
。この方法は例えばG.Puu,I.Gustavson,P.A.Ohlss
on,A.Sellstro m in Membrane Biotechno
logie page 279 et seq.(1991),Birkhau ser Verlag,Basel(Eds.Fernandez/Chapm
an/Packer)に記載されている。
【0021】 ペプチドスペーサーの作用によって、疎水脂質層と金電極との間に親水層が形
成される。他の柔軟性に富んだ部分は脂質層を安定化する。このように形成され
た脂質単層から、例えばLangmuir−Blodgett法を用いるリポゾ
ームの融合または脂質溶液を非水性溶媒(色づけされた膜)で希釈するすること
によって第2の脂質層を形成することが可能であり、その結果両側面共に水相に
接する生体膜モデルとなり得る特定の脂質二重層を形成する。電極に接する水相
には通常ペプチド層がある。該ペプチド層はヘリックス構造の分子相当の厚みを
有することが明らかになっている(N.Bunjes et al.,Lang
muir(1997))。
【0022】 膜タンパクとも共存し得る比較的強固なスペーサーであるという要求はこのよ
うに満足される(ペプチドスペーサーの拡張範囲は1〜10nmであることが望
ましい)。膜タンパクによるイオン輸送は水相の範囲に制限されないと考えられ
る電流として解釈されかつ測定されるため、水相に接する層はイオン源としても
機能する。したがって、このように形成された脂質二重層はHATPase,N
aKATPase,チトクロームc酸化酵素及びアセチルコリンリセプターのよ
うな膜タンパクを取り込めること、及びこのようにそれらの膜タンパクの電気的
、構造的及び結合的性質を調べることが可能であることが示される。
【0023】 したがって、脂質−タンパク−金構造は二重層を形成しタンパクを取り込むこ
とができる。層の構造と配列(定常状態)はサイクル電解電流法、インピーダン
ス分光法及び表面プラスモン共鳴分光法(SPS)によって測定可能である。抗
体、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、基質、薬物のような導入された膜
タンパクに対する結合過程はSPSによってリアルタイムでの測定が可能であり
、また、より効率的には表面プラスモン蛍光分光法(SPFS)及び蛍光分光法
によって測定可能である。
【0024】 結合定数及び反応速度データーはこれらを既知の方法で測定することにより得
られる。同時に、イオンチャンネル、リセプター、及びイオンポンプのようなタ
ンパクを通るイオン流量の電気的性質はインピーダンス分光法によって測定可能
である。タンパクと電極間の直接の電子交換は他の電気化学的手法によって測定
可能である。
【0025】 基本的にSPSはバイオセンサーとして知られ、使用されている(EP 0
442 922)。プラスモン表面ポラリトン(表面プラスモンと略記される)
は金属−絶縁体境界に沿って励起される。場の振幅は境界において最大であり、
境界に沿ってまた絶縁体内においては指数関数的に減衰する。 本実験にはKretschman装置を用いている。この系においてはプリズ
ムnpの屈折率及び投射角によって励起光子の運動量のx成分が決定され、SP
Sを用いた実験において投射角は変化し、反射強度はフォトダイオードによって
検出される。被支持膜のような金属薄層を絶縁体で薄く被覆すると、共鳴カップ
リングの表面プラスモンに対する角度の様態が増大する方向に変化する。この角
度の変化は層の厚さd、及びその周辺の条件に対する光学的性質、すなわちそれ
ぞれの屈折率の違いに依存する。
【0026】 脂質単層及び二重層形成におけるSPSスペクトルの例及びチトクロームc酸
化酵素及びアセチルコリンリセプターの導入におけるSPSスペクトルの例はそ
れぞれ図4及び図5に示す。チトクロームcのチトクロームc酸化酵素に対する
結合の場合に関しては図6を参照されたい。
【0027】 表面プラスモン蛍光を簡潔に説明すると次のようになる。プラスモン表面ポラ
リトン、すなわち表面プラスモンは金属−絶縁体境界に沿って伝播するジグザク
状電磁波であり、場の振幅が境界に垂直に減衰するため表面感応プローブ法が適
用できる。前記金属は前記境界に衝突する電磁波によって駆動する振動子として
作用する(Kretschmann装置 図7)。そのためonreが扱うのは
プラズマ共振と光子間における共役状態の共鳴励起、すなわち"プラスモン表面 ポラリトン"である。この共鳴現象は低減された総反射において顕著に見られる (図8)。すなわち、投射角θがある値を下回ると反射率は極めて高くなる。な
ぜなら、金属薄層が透過を抑える鏡として作用するからである。内的総反射のθ
を越えた場合の投射角θにおける反射曲線の比較的急な降下が金属-絶縁体境界 におけるPSP波の共鳴励起を示している。
【0028】 表面プラスモンは既知の分散関係に従う完全に特徴づけられた状態である。し
たがって、与えられたエネルギーそれぞれの光子によって正確に1つのPSPモ
ードの励起が起こる。薄層絶縁体被覆によって分散関係は高運動量へ変換され、
反射曲線の角度は大きくなる。Fresnel方式を用いてこの変位を多層絶縁
構造についてシミュレートすると絶縁薄層の厚さを決定することができる。 低減された総反射における共鳴の低下とは別に、それに対応する金属-絶縁体境 界における共鳴電磁場の増大が起こる。表面プラスモンの共鳴状態が成立すると
すぐに電磁場における共鳴の増大が起こる。この表面における場の強度は屈折強
度を10倍(金)〜100倍(銀)上回る。この強度の増大を使用して、増大さ
れた電磁場によって励起された表面に結合した染色分子の蛍光放射を増加させる
ことができる。Foerster輸送による蛍光のロスを避けるために、染色分
子と金属との間に少なくとも5〜10nmの間隙を与えるスペーサーが必要であ
る。
【0029】 図7に示した実験的検出装置によって反射率と蛍光度を同時に測定することが
できる。Kretschmann装置におけるHeNeレーザーによって金属−
絶縁体境界における表面プラスモンを励起させることができる。選択したレーザ
ーによって選択された染色分子(CY5)の励起波長に適する条件になり、表面
プラスモンによる蛍光放射が増大する。温度を制御されるサンプルはtheta
/2 theta配置の回転テーブルに設置する。反射率はフォトダイオードに
よって検出され、増幅器のロックによってモニターされる。妨害フィルターによ
ってブロックされた放出蛍光の測定はサンプル背部に設置された光子計数モード
の光倍率器によって行う。光倍率器のシグナル出力を計数するにはカウンターを
用いる。実験装置の駆動にはPC用い、これによって反射率及び蛍光度のリアル
タイムでの同時測定が可能になる。
【0030】 チトクロームc酸化酵素及びアセチルコリンリセプターへの1次及び2次抗体
の結合時のSPSとSPFSスペクトルの同時記録の例に関しては図8,9及び
11を参照されたい。2次抗体はCY5によって蛍光ラベルしている。 上に述べた電気的及び光学的パラメーターの測定に適したセルの基本構造は自体
公知である。インピーダンス分光(IS)測定のためのセルの例はZ.Sala
mon,G.Tollin,Photochem.Photobiol,58
1993,p.730−736に示されている。
【0031】 電気化学的セルの類似バージョンの例は図2に描かれている。このセルは以下
の部分から構成される。Plexiglas体(1)、テフロンスペーサー(3
)で覆われた担体(2)、さらに金支持体の範囲を制限し作用電極となる封印弁
(4)、膜タンパクを導入可能な膜を携える金支持体、該支持体の下に位置する
温度制御可動型チャンバー(図示せず)、白金カウンター電極(5)及び銀/塩
化銀、塩化カリウム飽和対照電極(6)である。セルには線状視筒(7)及び挿
入口(8)、排出口(9)があり、セルを充満させたり空洞化させることができ
る。計測前にはテフロンスペーサーを取り外して卵ホスファチジルコリン0.5
%ヘキサン溶液を10μlを挿入する。続いて金支持体をスペーサー及び金接触
部に温度制御チャンバーを通して装着する。組立後のセルの容量は通常800μ
lである。
【0032】 図3にはSPS/SPFS/ISを同時に計測できる改良型セルを示した。セ
ル本体(11)はテフロン製である。封印弁(12)によって可動電極として駆
動する金支持体(13)の範囲を制限し、金支持体は膜タンパクを導入可能な膜
を運搬する。封印弁の直径は通常4mmである。チャンバー(14)の内部は直
径4〜20mmの円錐を形成する。可動型ガラススライド(15)はチャンバー
の背部を覆うように位置する。温度制御型チャンバー(図示せず)も加えること
ができる。白金カウンター電極(5)及び銀/塩化銀、塩化カリウム飽和対照電
極を2本の管(16及び17)を介してチャンバーに挿入する。
【0033】 SPFS測定デバイスの概念図を図7に示した。SPSによる測定と比較する
と、SPFSによる測定は感度が向上している。蛍光クロムでラベルした2次抗
体を用いることにより感度をさらに向上させることが可能である。1次抗体でラ
ベルした膜タンパク、及び該1次抗体に2次抗体への結合の概念図を図10に示し
た。2次抗体は蛍光クロムでラベルしてある。
【0034】 式Iで表される化合物は合成ペプチド層または生体膜、特に細胞膜の構成要素
として使用可能である。当該化合物は貴金属支持体に結合させることができる。
そのような結合性膜への膜タンパクの取り込みは、自体公知の方法によって行う
ことができる。その結果生成される結合性膜と膜タンパクとの複合体は分解物の
定量(バイオセンサー)及び薬物のスクリーニング試験のバイオアッセイのよう
な膜タンパクと溶液中感応物との相互作用を測定するバイオセンシングデバイス
中において使用することができる。
【0035】 膜内に取り込むことができる膜タンパクの例は次の通りである。チトクローム
c酸化酵素(COX)、異なる由来のATPase(例えば植物のクロロプラス
ト由来のH−ATPaseまたはサメ由来のNa/K−ATPase、Tor
pedo californica由来のアセチルコリンリセプター)、及びα βIIIインテグリンのようなインテグリンである。他の膜タンパクは自体公
知である。これらの複合体は抗体の特異的バインディングアッセイ及び生物学的
相互作用を定量するための他の電気化学的及び光学的測定に用いることができる
【0036】 本稿において上文及び以下に用いたアミノ酸残基の省略記号は以下のアミノ酸
の残基を表す。 Abu 2−アミノ酪酸 Acp 6−アミノカプロイン酸 Ala アラニン Arg アルギニン Asp アスパルギン酸 Cys システイン Dbu 2,4−ジアミノ酪酸 Dpr 2,4−ジアミノプロピオン酸 Gly グリシン Hcy ホモシステイン Hse ホモセリン 3Hyp 3−水酸化プロリン 4Hyp 4−水酸化プロリン Leu ロイシン Ile イソロイシン Lys リジン Orn オルニチン Pro プロリン Ser セリン Val バリン Thr スレオニン Xaaセリン、スレオニン、アロスレオニン、ホモセリンのような3
〜4のC原子を有する水酸化アミノカルボン酸 Xaa Ala、Abu、Val、Ile、またはLeuのようなアルキ ル基が1〜5のC原子を有する2−アルキルグリシン
【0037】 さらに、以降において用いる記号の意味は以下の通りである。 alkyl C〜C11のアルキルまたはアルキレン(直鎖または分枝) BOC Tert−ブトキシカルボニル CBZ ベンジルオキシカルボニル DCCI ジシクロヘキシルカルボジイミド DIC ジイソプロピルカルボジイミド DMF ジメチルフォルムアミド DMPE ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン EDCl N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイ ミド ヒドロクロライド Et エチル Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt 1−水酸化ベンゾトリアゾール Lau ラウロイル Lip 1,2−ジチアラン−3−ペンタノイル(リポイル) Me メチル MBHA 4−メチルベンズヒドリルアミン Mtr 4−メトキシ−2,3,6−トリメチルフェニルスルホニル OBut Tert−ブチルエステル OMe メチルエステル POA フェノキシアセチル TFA トリフルオロ酢酸 Trt トリチル(トリフェニルメチル)
【0038】 LN及びLC部を構成するω−アミノ酸部は3〜10の炭素原子を含む。好まし
いω−アミノ酸の例はβ−アラニン、4−アミノ酪酸、及び6−アミノカプロン
酸である。 2〜22のC原子を有するアシル残基の例はアセチル、プロパノイル、ブチリ
ル、カプロイルであり、好ましい実施例はミリストイル、ラウリル、パルミトイ
ル、及びステアロイル並びにそれらの不飽和物である。 上記アミノ酸またはそのアミノ基が幾つかのエナンチオマーを取り得る場合、該
エナンチオマーの全て及びその混合物(例えばDL体)は、式Iで表される化合
物のような化合物の構成要素に上文及び以下において含まれる。さらに、アミノ
酸またはアミノ基は本来既知の形で誘導され得る。
【0039】 本発明はさらに、式Iで表される化合物またはそれらの塩の1つの生成法にも
関連しており、加溶媒分解剤または加水素分解剤処理を行えばこの生成法よって
機能的誘導体の1つを遊離させることができる。そのような官能誘導体はWO
96/18 645及びDE 44 44 893.7に開示された同様な方法
で得られる。 Xがイオウを含む場合、Trt−S−アルキル−CO、HS−アルキル−CO
−、Trt−S−アルキル−CO−NH−アルキル’−CO−、HS−アルキル
−CO−NH−アルキル’−CO−、1,2−ジチアラン−3−ペンタノイル−
(リポイル−)、N−アセチルシステインまたはN−アセチルホモシステインで
あることが好ましい。これらの式において、アルキル及びアルキル’は互いに独
立に−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−
(CH−、−(CH−、−(CH10−、または−(CH 11 −であることが好ましい。Xがジアシル化ジアミノ酸に関連している場合、
N,N’−ジミリストイルリジン、N,N’−ジラウロイルリジンもしくはN,
N’−ジパルミトイルリジン、またはN,N’−ジミリストイルオルニチン、N
,N’−ジラウロイルオルニチンもしくはN,N’−ジパルミトイルオルニチン
、または、上記ジアミノ酸のN,N’−ジミリストイル、N,N’−ジラウロイ
ルもしくはN,N’−ジパルミトイル誘導体であることが好ましい。Yがアシル
化ジアミノ酸に関連している場合、N’−ミリストイルリジン、N’−ラウロイ
ルリジンもしくはN’−パルミトイルリジン、またはN’−ミリストイルオルニ
チン、N’−ラウロイルオルニチンもしくはN’−パルミトイルオルニチン、ま
たは、上記ジアミノ酸のN’−ミリストイル、N’−ラウロイルもしくはN’−
パルミトイル誘導体であることが好ましい。
【0040】 式Iにおける特に好適な化合物は以下の通りである。すなわち、
【化1】 及び利用可能な場合、これらの塩である。
【0041】 さらに詳述を加えなくても上記説明によって、本技術分野の熟練者は本発明を
充分に使用できると思われる。したがって、特定の好ましい実施例は本開示にお
いて限定的なものではなく単なる例証として解釈されたい。 以上及び以下に引用する出願、特許及び公開、並びに対応する1997年10月
22日に出願された欧州出願EP 97118326.4の全ての開示は引用文
献として組み入れられている。
【0042】 例 別な記述がない限り、試薬(試薬グレード)はMerck KGaAから購入
した。ペプチドはゲルろ過またはHPLCまたはそれらの一方で適宜精製した。 表面プラスモン共鳴分光法(SPS)に用いる金基質は屈折指示ガラスLaS
FN9(Berliner Glas製)基質(2.50.2cm)に、
電熱的蒸留により50nmの厚さに直接蒸着した。 別な記述がない限り、SPSは全てT=30℃において脂質層が液状である条
件下で行った。研磨した(漏洩を防ぐため)表面と2本の管が半球状の空間を形
成する、4×4×0.5cmの結晶ガラスを測定セルとして用いた。該セルには
Hellmanex、エタノール及びMQ水を用いて超音波洗浄を行った。
【0043】 電気化学的及びFTIR測定に用いる金基質は以下のように準備した。すなわ
ち、ELKA顕微鏡用スライドガラス(7622mm)を洗浄した後、続いて
金を30nmのクロミウム補助層上に500nm厚に、スプーン形のパターンを
描くようにスライドガラス1枚あたり8個の電極を形成するように蒸着した。ク
ロミウム及び金はLeybold−Heraeus L 650蒸気滴下装置を
用い、300℃、10−5及び10−6 mbarにおいて電熱的蒸留によって
蒸着した。汚濁を防ぐため、金基質は蒸気化後にチオペプチドで直接被覆した。
【0044】 例1: チオペプチド HS−(CH−CO−Ala−Ser−Ser−
Ala−Ala−Ser−Ala−Pro Ser−Ser−OHの調製 HS−(CH−CO−Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Se
r−Ala−Pro Ser−Ser−OHは連続流動合成装置において、酸不
安定性Wang樹脂上で酸に対して不安定な側鎖を保護しながら、Fmoc(9
−フルオレニル−メトキシカルボニル)法を用いる固相ペプチド合成によって合
成する。洗浄はDMA(ジメチルアミノアセタミド)で行い、Fmoc保護基の
解離にはDMF中の20%ピペリジン溶液によって良好に行われる。20分間の
DIC/HOBt(ジイソプロピルカルボジイミド/N−ヒドロキソベンゾトリ
アゾール)との1.3等量ずつの3回の結合の後、AcO/ピリジン/DMF
2/3/15(vol.)による10分間のキャッピングを行う。合成は31
0nmにおけるUV−分光法によって連続的にモニターする。樹脂に結合する出
発物質のアミノ酸とペプチドのローディングはFmoc測定法によって定量する
。Fmoc基を除去した後、通常のカップリング法を用いトリチルメルカプトプ
ロピオン酸によって、樹脂上のペプチドのN末端を修飾する。トリチルメルカプ
トプロピオン酸はトリフェニルメタノールとTFA触媒を含むジクロロメタン中
におけるメルカプトプロピオン酸のトリチル化を室温で2〜4時間行うことによ
り生成する。ペプチドを樹脂から除去し、側鎖の保護基をTFA/CHCl /アニソール 60/40/1(20ml/g樹脂)を処理して解離する。トリ
チル基の除去にはTFA/CHCl/チオフェノール 70/20/10を
代用する。濾液を濃縮し、ペプチドをエーテルによって沈殿させる。精製はイソ
プロパノール/水/ 80/20に0.05% TFAを加えたものとSeph adex G10によるゲルろ過及び0.3% TFAと0〜80%の2−プロ
パノールの勾配とLichrosorb RPによるHPLCで行う。純度はH
PLCで求め、通常95%を上回り、生成物が所望のものであることの特定はF
AB−MS(高速原子衝撃マス分光法)によって行う。
【0045】 例2: チオペプチド Myr−Lys(Myr)−Ser−Ser−Pro−
Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Ser−Ala−Cys−NH
生成 ペプチド配列Ser−Ser−Pro−Ala−Ser−Ser−Ala−A
la−Ser−Ala−Cys−NHの合成は連続流動合成装置において、酸
不安定性キサンテニル樹脂(Novabiochemから入手)上で酸に対して
不安定な側鎖を保護しながら、Fmoc(9−フルオレニル−メトキシカルボニ
ル)法を用いる固相ペプチド合成によって合成する。Ser(But)及びCy
s(Trt)誘導体を用いる。洗浄はDMA(ジメチルアミノアセタミド)で行
う。Fmoc保護基の解離はDMF中の20%ピペリジン溶液によって良好に行
われる。20分間のDIC/HOBt(ジイソプロピルカルボジイミド/N−ヒ
ドロキソベンゾトリアゾール)との1.3等量ずつの3回の結合の後、Ac
/ピリジン/DMF 2/3/15(vol.)による10分間のキャッピング
を行う。合成は310nmにおけるUV−分光法によって連続的にモニターする
。樹脂に結合する出発物質のアミノ酸とペプチドのローディングはFmoc測定
法によって定量する。Fmoc基を除去した後、通常のカップリング法を用いF
moc−Lys(Fmoc)−OHによって、樹脂上のペプチドのN末端を修飾
する。Fmoc基を再度除去し、ミリストイン酸クロライドを酢酸無水物の代わ
りに用いてキャッピングを行い、N末端リジンの両方のアミノ基を修飾する。ペ
プチドを樹脂から除去し、側鎖の保護基をTFA/CHCl/アニソール
60/40/1(20ml/g樹脂)を室温で2〜4時間処理して解離する。ト
リチル基の除去にはTFA/CHCl/チオフェノール 70/20/10
を代わりに用いる。濾液を濃縮し、ペプチドMyr−Lys(Myr)−Ser
−Ser−Pro−Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Ser−Ala
−Cys−NHをエーテルによって沈殿させる。精製はイソプロパノール/水
/ 80/20に0.05% TFAを加えたものとSephadex G10 によるゲルろ過で行う。ペプチドの純度はHPLCで求め、通常95%を上回る
。生成物が所望のものであることの特定はFAB−MS(高速原子衝撃マス分光
法)によって行う。
【0046】 例3: チオペプチド Myr−Orn(Myr)−Ala−Ser−Ser− Ala−Ala−Ser−Ala−Pro−Ser−Ser−NH−Et−SH
の生成 ペプチド配列Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Ser−Ala−P
ro−Ser−Ser−NH−Et−SHの合成は連続流動合成装置において、
酸不安定性システアミン2−クロロトリチル樹脂(Novabiochemから
入手)上で酸に対して不安定な側鎖を保護しながら、Fmoc(9−フルオレニ
ル−メトキシカルボニル)法を用いる固相ペプチド合成によって合成する。Se
r(But)誘導体を用いる。洗浄はDMA(ジメチルアミノアセタミド)で行
い、Fmoc保護基の解離はDMF中の20%ピペリジン溶液によって良好に行
われる。20分間のDIC/HOBt(ジイソプロピルカルボジイミド/N−ヒ
ドロキソベンゾトリアゾール)との1.3等量ずつの3回の結合の後、Ac
/ピリジン/DMF 2/3/15(vol.)による10分間のキャッピング
を行う。合成は310nmにおけるUV−分光法によって連続的にモニターする
。樹脂に結合する出発物質のアミノ酸とペプチドのローディングはFmoc測定
法によって定量する。Fmoc基を除去した後、通常のカップリング法を用いF
moc−Orn(Fmoc)−OHによって、樹脂上のペプチドのN末端を修飾
する。Fmoc基を再度除去し、ミリストイン酸クロライドを酢酸無水物の代わ
りに用いてキャッピングを行い、N末端オルニチンの両方のアミノ基を修飾する
。ペプチドを樹脂から除去し、側鎖の保護基をTFA/CHCl/チオフェ
ノールを処理して解離する。トリチル基の除去にはTFA/CHCl/チオ
フェノール 70/20/10を代わりに用いる。濾液を濃縮し、ペプチドMy
r−Orn(Myr)−Ser−Ser−Pro−Ala−Ser−Ser−A
la−Ala−Ser−Ala−NH−Et−SHをエーテルによって沈殿させ
る。精製はイソプロパノール/水/ 80/20に0.05% TFAを加えた ものとSephadex G10によるゲルろ過で行う。ペプチドの純度はHP
LCで求め、通常95%を上回る。生成物が所望のものであることの特定はFA
B−MS(高速原子衝撃マス分光法)によって行う。
【0047】 例4: 原位置でのチオペプチド−脂質単層の生成 LiClを8mg/ml含む例1で生成しDMFに溶解したチオペプチド溶液
(0.4mg/ml)中で金基質を5時間インキュベートする。次に金基質をD
MF、水及びエタノールですすぐ。スライドガラスを窒素流で乾燥させ、CHC
及び2−プロパノールの混合物(4:1;v:v)に0.25mg/mlの
HOBtを添加したものに溶かしたDMPE(SIGMA)1mg/ml溶液中
に入れる。ペプチドの末端カルボン酸基をDIC(20μl/ml;SIGMA
製)と反応させて活性化し、さらにN−エチルジイソプロピルアミン(10μl
/ml)とインキュベートしてカップリングさせる。活性化及びカップリングは
新しい試薬を用いて再度繰り返す。次に基質をCHCl及び水ですすぎ、窒素
流で乾燥させる。 以上から得られる脂質単層を含むスライドガラスを1電極ずつに切り分ける。
【0048】 例5: チオペプチド脂質付加生成物からのチオペプチド二重層の生成 例2に記載の方法で得られたチオペプチド(MyrLys(Myr)−Ser
−Ser−Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Ala−Cys−アミド
)の(0.5mg/ml)TFA溶液中において基質を12時間インキュベート
する。次にTFA、水及びエタノールですすぎ、窒素流で乾燥させる。
【0049】 当該チオペプチドのTFA被覆溶液にチオエタノールもしくはチオ酢酸の−S
−S−ダイマー及び遊離リン脂質またはいずれか一方を共有結合したチオリピド
配列中の遊離脂質を調節する親水性基を供給するために加えてもいい。これはチ
オペプチド支持二重層の配置と流動性を改善するために、テフロンスペーサーの
遊離リン脂質との取り込みに関する補足的または別の方法である。
【0050】 リポゾームは卵黄由来ホスファチジルコリン(リポイド E PC; 8mg
/ml)の透析、及び必要に応じてコレステロール(30%)から得る。小胞の
直径は平均150nmである。この小胞は大きな単一薄層小胞(LUVs)であ
ること、すなわち浸透圧に関して平衡状態にあることが望ましい。 上記のように生成された基質を、上記のように生成されたリポゾームの懸濁液
(0.8mg/ml)中において脂質単層と共に30℃で一晩インキュベートす
る。次に基質をすすぎ新しいバッファー(100mM K−HEPES、pH7
.4、40mM KCl、ろ過によって殺菌する)に入れる。
【0051】 例6: ウマ心臓由来チトクロームc酸化酵素の導入及び活性測定 チトクロームc酸化酵素は、Myr−Lys(Myr)−Ser−Ser−P
ro−Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Ser−Ala−Cys−N
チオペプチドの脂質二重層において、溶解型(コレイン酸に結合したもの、
Kadenbach et al. Methods Enzymol.(19
86) 126,32)であれば臨界ミセル濃度未満に希釈すると前もって準備
した脂質二重層に自然に入り込んでいく。図4に示すように、この過程はSPS
によって追跡する。二重層の厚さは約6nmから12nmに増加する。活性はI
Sで測定した。チトクロームc酸化酵素導入二重層の電気抵抗は、8μmol/
Lの濃度でチトクロームcを基質として添加すると200kオームから17kオ
ームに低下する。図12に示すように、チトクロームcの除去(すすぎによって
)または阻害剤であるシアン化合物の添加によって電気抵抗は元の値に復帰した
。単一IS測定の結果は表1に示してある。
【0052】
【表1】 表1 Re(Z)/ωプロットから得た電気的パラメーター 導入とタンパク機能の適応が成功していることがSPFSによって証明された
。チトクロームc酸化酵素のサブグループIVに対する1次モノクローナル抗体
を系に加え、該モノクローナル抗体を蛍光ラベルした2次ポリクローナル抗体で
検出した。その結果生じた蛍光シグナルをSPFS装置によって測定した。図7
を参照されたい。
【0053】 例7: Torpedo Californica由来アセチルコリンリセプタ
ーの導入及び活性測定 AchRはTFA中において、導入リセプターを含んでいるリポゾームの融合
によって脂質薄層(例2に従ってチオペプチド脂質(MyrLys(Myr)−
Ser−Ser−Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Ala−Cys−
amide)から生成)に導入した(図5)。
【0054】 小胞の生成:180mgのAv20及び20mgのコレステロールをクロロホ
ルムにて希釈した。クロロホルムを回転式エバポレーターによって除去した後1
2時間凍結乾燥する。10mlのバッファー(500mM NaCl、10mM
HEPES pH7.4、2mM CaCl、0.02% NaN)を加
える。1分間の超音波粉砕と5回の凍結/解凍のサイクルの後、小胞を400n
mポリカーボネートフィルターにて(11回)濾過し、液体窒素で凍結して−7
0℃に保存した。
【0055】 チオペプチド脂質層に小胞を加え、融合方式をSPSによって測定した。図5
を参照されたい。単層の厚さは約4nmから9nmに増加した。図13に示すよ
うに、活性をISによってモニターした。1μmol/Lの濃度でアセチルコリ
ンを基質として加えると抵抗は300kオームから10kオームに低下した。導
入とタンパク機能の適応が成功していることがSPFSによって証明された。リ
セプターに対する1次モノクローナル抗体を系に加え、そのモノクローナルを抗
体蛍光ラベルによって2次ポリクローナル抗体で検出した。その結果生じた蛍光
シグナルをSPFS装置によって測定した。図7を参照されたい。
【0056】 例8: サメ由来NaATPaseの導入及び活性測定 例2に従ってTFA中のMyrLys(Myr)−Ser−Ser−Pro−
Ala−Ser−Ala−Ser−Ala−Cys−amideから予め生成し
ておいたチオペプチド脂質二重層に、ATPaseは自然に取り込まれる。溶解
型のタンパクの濃度を臨界ミセル濃度未満に希釈した(E18中にて溶解)
。活性はISによってモニターし、抵抗は200kオームから20kオームに低
下した。図14を参照されたい。
【0057】
【表2】 表2 SPSによって計測したチオペプチド支持脂質単層及び二重層の厚さの分
子モデル計算による水平面積との比較
【図面の簡単な説明】
【図1】チオペプチドを介して金に結合している脂質単層をリポゾームと反 応させることによる二重層の形成を概念図である。
【図2】電気化学セルの概念図である。
【図3】電気化学的にも光学的にも測定可能なセルの概念図である。
【図4】チトクロームc酸化酵素を導入した際の脂質単層及び二重層形成に おけるSPSスペクトルを示したグラフである。
【図5】アセチルコリンレセプターを導入した際の脂質単層及び二重層形成 におけるSPSスペクトルを示したグラフである。
【図6】チトクロームcをチトクロームc酸化酵素に結合させた際の脂質単 層及び二重層形成におけるSPSスペクトルを示したグラフである。
【図7】表面プラスモン蛍光分光法(SPFS)測定デバイスの概念図であ る。
【図8】チトクロームc酸化酵素への1次及び2次抗体結合時のSPSとS PFSスペクトルの同時記録の例である。
【図9】アセチルコリンリセプターへの1次及び2次抗体が非結合時のSP SとSPFSスペクトルの同時記録を表すグラフである。
【図10】2次抗体が結合した1次抗体でラベルした膜タンパクの概念図であ
る。
【図11】アセチルコリンリセプターへの1次及び2次抗体の結合時のSPS
とSPFSスペクトルの同時記録を表すグラフである。
【図12】チトクロームcの除去(すすぎによって)または阻害剤であるシア
ン化合物の添加によって電気抵抗が元の値に復帰したことを表すグラフである。
【図13】アセチルコリンリセプターの脂質膜への導入時の活性測定結果を表
すグラフである。
【図14】NaATPaseの脂質膜への導入時の活性測定結果を表す
グラフである。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年4月21日(2000.4.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】 式Iにおける特に好適な化合物は以下の通りである。すなわち、
【化1】 及び利用可能な場合、これらの塩である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】 例1: チオペプチド HS−(CH−CO−Ala−Ser−Ser
−Ala−Ala−Ser−Ala−Pro Ser−Ser−OH[SEQ ID NO
:1]の調製 HS−(CH−CO−Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Se
r−Ala−Pro Ser−Ser−OH[SEQ ID NO:1]は連続流動合成装置 において、酸不安定性Wang樹脂上で酸に対して不安定な側鎖を保護しながら
、Fmoc(9−フルオレニル−メトキシカルボニル)法を用いる固相ペプチド
合成によって合成する。洗浄はDMA(ジメチルアミノアセタミド)で行い、F
moc保護基の解離にはDMF中の20%ピペリジン溶液によって良好に行われ
る。20分間のDIC/HOBt(ジイソプロピルカルボジイミド/N−ヒドロ
キソベンゾトリアゾール)との1.3等量ずつの3回の結合の後、AcO/ピ
リジン/DMF 2/3/15(vol.)による10分間のキャッピングを行
う。合成は310nmにおけるUV−分光法によって連続的にモニターする。樹
脂に結合する出発物質のアミノ酸とペプチドのローディングはFmoc測定法に
よって定量する。Fmoc基を除去した後、通常のカップリング法を用いトリチ
ルメルカプトプロピオン酸によって、樹脂上のペプチドのN末端を修飾する。ト
リチルメルカプトプロピオン酸はトリフェニルメタノールとTFA触媒を含むジ
クロロメタン中におけるメルカプトプロピオン酸のトリチル化を室温で2〜4時
間行うことにより生成する。ペプチドを樹脂から除去し、側鎖の保護基をTFA
/CHCl/アニソール 60/40/1(20ml/g樹脂)を処理して
解離する。トリチル基の除去にはTFA/CHCl/チオフェノール 70
/20/10を代用する。濾液を濃縮し、ペプチドをエーテルによって沈殿させ
る。精製はイソプロパノール/水/ 80/20に0.05% TFAを加えた ものとSephadex G10によるゲルろ過及び0.3% TFAと0〜8
0%の2−プロパノールの勾配とLichrosorb RPによるHPLCで
行う。純度はHPLCで求め、通常95%を上回り、生成物が所望のものである
ことの特定はFAB−MS(高速原子衝撃マス分光法)によって行う。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】 例2: チオペプチド Myr−Lys(Myr)−Ser−Ser−Pro−
Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Ser−Ala−Cys−NH[S
EQ ID NO:11]の生成 ペプチド配列Ser−Ser−Pro−Ala−Ser−Ser−Ala−A
la−Ser−Ala−Cys−NH[SEQ ID NO:3]の合成は連続流動合成装 置において、酸不安定性キサンテニル樹脂(Novabiochemから入手)
上で酸に対して不安定な側鎖を保護しながら、Fmoc(9−フルオレニル−メ
トキシカルボニル)法を用いる固相ペプチド合成によって合成する。Ser(B
ut)及びCys(Trt)誘導体を用いる。洗浄はDMA(ジメチルアミノア
セタミド)で行う。Fmoc保護基の解離はDMF中の20%ピペリジン溶液に
よって良好に行われる。20分間のDIC/HOBt(ジイソプロピルカルボジ
イミド/N−ヒドロキソベンゾトリアゾール)との1.3等量ずつの3回の結合
の後、AcO/ピリジン/DMF 2/3/15(vol.)による10分間
のキャッピングを行う。合成は310nmにおけるUV−分光法によって連続的
にモニターする。樹脂に結合する出発物質のアミノ酸とペプチドのローディング
はFmoc測定法によって定量する。Fmoc基を除去した後、通常のカップリ
ング法を用いFmoc−Lys(Fmoc)−OHによって、樹脂上のペプチド
のN末端を修飾する。Fmoc基を再度除去し、ミリストイン酸クロライドを酢
酸無水物の代わりに用いてキャッピングを行い、N末端リジンの両方のアミノ基
を修飾する。ペプチドを樹脂から除去し、側鎖の保護基をTFA/CHCl /アニソール 60/40/1(20ml/g樹脂)を室温で2〜4時間処理し
て解離する。トリチル基の除去にはTFA/CHCl/チオフェノール 7
0/20/10を代わりに用いる。濾液を濃縮し、ペプチドMyr−Lys(M
yr)−Ser−Ser−Pro−Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−
Ser−Ala−Cys−NH[SEQ ID NO:11]をエーテルによって沈殿させる
。精製はイソプロパノール/水/ 80/20に0.05% TFAを加えたも のとSephadex G10によるゲルろ過で行う。ペプチドの純度はHPL
Cで求め、通常95%を上回る。生成物が所望のものであることの特定はFAB
−MS(高速原子衝撃マス分光法)によって行う。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】 例3: チオペプチド Myr−Orn(Myr)−Ala−Ser−Ser− Ala−Ala−Ser−Ala−Pro−Ser−Ser−NH−Et−SH
[SEQ ID NO:19]の生成 ペプチド配列Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Ser−Ala−P
ro−Ser−Ser−NH−Et−SH[SEQ ID NO:7]の合成は連続流動合成 装置において、酸不安定性システアミン2−クロロトリチル樹脂(Novabi
ochemから入手)上で酸に対して不安定な側鎖を保護しながら、Fmoc(
9−フルオレニル−メトキシカルボニル)法を用いる固相ペプチド合成によって
合成する。Ser(But)誘導体を用いる。洗浄はDMA(ジメチルアミノアセ
タミド)で行い、Fmoc保護基の解離はDMF中の20%ピペリジン溶液によ
って良好に行われる。20分間のDIC/HOBt(ジイソプロピルカルボジイ ミド/N−ヒドロキソベンゾトリアゾール)との1.3等量ずつの3回の結合の 後、AcO/ピリジン/DMF 2/3/15(vol.)による10分間のキ
ャッピングを行う。合成は310nmにおけるUV−分光法によって連続的にモ
ニターする。樹脂に結合する出発物質のアミノ酸とペプチドのローディングはF
moc測定法によって定量する。Fmoc基を除去した後、通常のカップリング
法を用いFmoc−Orn(Fmoc)−OHによって、樹脂上のペプチドのN末
端を修飾する。Fmoc基を再度除去し、ミリストイン酸クロライドを酢酸無水
物の代わりに用いてキャッピングを行い、N末端オルニチンの両方のアミノ基を
修飾する。ペプチドを樹脂から除去し、側鎖の保護基をTFA/CHCl
チオフェノールを処理して解離する。トリチル基の除去にはTFA/CHCl /チオフェノール 70/20/10を代わりに用いる。濾液を濃縮し、ペプ
チドMyr−Orn(Myr)−Ser−Ser−Pro−Ala−Ser−S
er−Ala−Ala−Ser−Ala−NH−Et−SH[SEQ ID NO:20]をエ
ーテルによって沈殿させる。精製はイソプロパノール/水/ 80/20に0.
05% TFAを加えたものとSephadex G10によるゲルろ過で行う 。ペプチドの純度はHPLCで求め、通常95%を上回る。生成物が所望のもの
であることの特定はFAB−MS(高速原子衝撃マス分光法)によって行う。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】 例5: チオペプチド脂質付加生成物からのチオペプチド二重層の生成 例2に記載の方法で得られたチオペプチド(MyrLys(Myr)−Ser
−Ser−Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Ala−Cys−アミド
[SEQ ID NO:21])の(0.5mg/ml)TFA溶液中において基質を12時間
インキュベートする。次にTFA、水及びエタノールですすぎ、窒素流で乾燥さ
せる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】 例6: ウマ心臓由来チトクロームc酸化酵素の導入及び活性測定 チトクロームc酸化酵素は、Myr−Lys(Myr)−Ser−Ser−P
ro−Ala−Ser−Ser−Ala−Ala−Ser−Ala−Cys−N
[SEQ ID NO:11]チオペプチドの脂質二重層において、溶解型(コレイン酸に
結合したもの、Kadenbach et al. Methods Enzy
mol.(1986) 126,32)であれば臨界ミセル濃度未満に希釈する
と前もって準備した脂質二重層に自然に入り込んでいく。図4に示すように、こ
の過程はSPSによって追跡する。二重層の厚さは約6nmから12nmに増加
する。活性はISで測定した。チトクロームc酸化酵素導入二重層の電気抵抗は
、8μmol/Lの濃度でチトクロームcを基質として添加すると200kオー
ムから17kオームに低下する。図12に示すように、チトクロームcの除去(
すすぎによって)または阻害剤であるシアン化合物の添加によって電気抵抗は元
の値に復帰した。単一IS測定の結果は表1に示してある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】 例7: Torpedo Californica由来アセチルコリンリセプタ
ーの導入及び活性測定 AchRはTFA中において、導入リセプターを含んでいるリポゾームの融合
によって脂質薄層(例2に従ってチオペプチド脂質(MyrLys(Myr)−
Ser−Ser−Pro−Ala−Ser−Ala−Ser−Ala−Cys−
amide[SEQ ID NO:21])から生成)に導入した(図5)。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】 例8: サメ由来NaATPaseの導入及び活性測定 例2に従ってTFA中のMyrLys(Myr)−Ser−Ser−Pro−
Ala−Ser−Ala−Ser−Ala−Cys−amide[SEQ ID NO:21]
から予め生成しておいたチオペプチド脂質二重層に、ATPaseは自然に取り
込まれる。溶解型のタンパクの濃度を臨界ミセル濃度未満に希釈した(E 中にて溶解)。活性はISによってモニターし、抵抗は200kオームから2
0kオームに低下した。図14を参照されたい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】
【表2】 表2 SPSによって計測したチオペプチド支持脂質単層及び二重層の厚さの分
子モデル計算による水平面積との比較
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年4月21日(2000.4.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】
【表2】 表2 SPSによって計測したチオペプチド支持脂質単層及び二重層の厚さの分
子モデル計算による水平面積との比較
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Merck Patent GmbH <120> Spacer Peptides and Membranes Containing Same <130> P 00 97 426 <140> PCT/EP98/06344 <141> 1998-10-06 <150> EP 97118326.4 <151> 1997-10-22 <160> 25 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> SITE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <400> 1 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser 1 5 10 <210> 2 <211> 9 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <400> 2 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Lys Lys 1 5 <210> 3 <211> 11 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (11) <223> NH2 <400> 3 Ser Ser Pro Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Cys 1 5 10 <210> 4 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr <220> <221> PEPTIDE <222> (12) <223> NH2 <400> 4 Lys Ser Ser Pro Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Cys 1 5 10 <210> 5 <211> 9 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <220> <221> PEPTIDE <222> (8)..(9) <223> N´-Myr <400> 5 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Lys Lys 1 5 <210> 6 <211> 11 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (11) <223> NH2 <400> 6 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser Cys 1 5 10 <210> 7 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (10) <223> -NH-(CH2)2-SH <400> 7 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser 1 5 10 <210> 8 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr- <220> <221> PEPTIDE <222> (12) <223> -NH2 <400> 8 Lys Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser Cys 1 5 10 <210> 9 <211> 11 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr- <220> <221> PEPTIDE <222> (11) <223> -NH-(CH2)2-SH <400> 9 Lys Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser 1 5 10 <210> 10 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (10) <223> -NH-(CH2)2-SH <400> 10 Ser Ser Pro Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala 1 5 10 <210> 11 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr- <220> <221> PEPTIDE <222> (12) <223> -NH2 <400> 11 Lys Ser Ser Pro Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Cys 1 5 10 <210> 12 <211> 11 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr- <220> <221> PEPTIDE <222> (11) <223> -NH-(CH2)2-SH <400> 12 Lys Ser Ser Pro Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala 1 5 10 <210> 13 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> Lip- <400> 13 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser 1 5 10 <210> 14 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> Lip- <400> 14 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser Lys Lys 1 5 10 <210> 15 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> Lip- <220> <221> PEPTIDE <222> (11)..(12) <223> N´-Myr- <400> 15 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser Lys Lys 1 5 10 <210> 16 <211> 15 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <220> <221> PEPTIDE <222> (11)..(13) <223> Acp <400> 16 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser Xaa Xaa Xaa Lys Lys 1 5 10 15 <210> 17 <211> 15 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <220> <221> PEPTIDE <222> (11)..(13) <223> Acp <220> <221> PEPTIDE <222> (14)..(15) <223> N´-Myr- <400> 17 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser Xaa Xaa Xaa Lys Lys 1 5 10 15 <210> 18 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <220> <221> PEPTIDE <222> (11)..(12) <223> N´-Myr- <400> 18 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser Lys Lys 1 5 10 <210> 19 <211> 11 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr-Orn <220> <221> PEPTIDE <222> (11) <223> -NH-(CH2)2-SH <400> 19 Xaa Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser 1 5 10 <210> 20 <211> 11 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr-Orn <220> <221> PEPTIDE <222> (11) <223> -NH-(CH2)2-SH <400> 20 Xaa Ser Ser Pro Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala 1 5 10 <210> 21 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr- <220> <221> PEPTIDE <222> (10) <223> -NH2 <400> 21 Lys Ser Ser Pro Ala Ser Ala Ser Ala Cys 1 5 10 <210> 22 <211> 7 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <400> 22 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala 1 5 <210> 23 <211> 9 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <400> 23 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Lys Lys 1 5 <210> 24 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> HS-(CH2)2-CO- <400> 24 Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Pro Ser Ser 1 5 10 <210> 25 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Peptide <220> <221> PEPTIDE <222> (1) <223> N-Myr,N´-Myr- <220> <221> PEPTIDE <222> (12) <223> -NH2 <400> 25 Lys Ser Ser Pro Ala Ser Ser Ala Ala Ser Ala Cys 1 5 10
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/68 G01N 33/68 (71)出願人 Frankfurter Str. 250, D−64293 Darmstadt,Fed eral Republic of Ge rmany (72)発明者 ヨンツィク, アルフレッド ドイツ連邦共和国 D−64295 ダルムシ ュタット、シェップ−アレー 57 (72)発明者 シュミット, エヴァ−キャスリン ドイツ連邦共和国 D−64319 プフング シュタット、オーデンヴァルトシュトラー セ 51

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式Iで表されるペプチドまたはペプチド類縁体、 X−LN−AN−B−AC−LC−Y I 式中、 Xは炭素数1〜22のアシル基による1回または2回のアシル化が可能なジア
    ミノ酸であるか または1,2−ジチオラン−3−ペンタノイル(リポイル)残基またはHS−ア
    ルキル−CO−またはHS−アルキル−CO−NH−アルキル'−CO−またはT rt−S−アルキル−CO−またはTrt−S−アルキル−CO−NH−アルキ
    ル'−CO−またはCysのようなイオウ含有残基であって、2〜22のC−原 子を含むアシル基による1回のアシル化が可能な、前記イオウ含有残基であるか
    またはHであり; LNは単結合であるか またはペプチド結合によって結合され、3〜10のC原子を含む1〜5ω−アミ
    ノ酸基であり; ANは単結合であるか またはXaaXaaProであり BはXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaであり ACは単結合であるか またはProXaaXaaであり; LCは単結合であるか またはペプチド結合によって結合され、3〜10のC原子を含む1〜5ω−アミ
    ノ酸基であり; YはCysのようなイオウ含有残基であって、そのカルボキシル基は−OAl
    k、−NH、−NHAlkまたは−NAlkまたはn=2〜11である−H
    N−(CH−SH−によって置換されていてもよい前記イオウ含有残基で
    あるか またはLys、Orn、DprまたはDbuのようなジアミノ酸であって、その
    側鎖アミノ基は2〜22のC−原子を含むアシル基によって任意にアシル化され
    ていてもよい前記ジアミノ酸であるか、 またはLys、Orn、DprまたはDbuのような2つのジアミノ酸を含むジ
    ペプチドであって、その一方または両方の側鎖アミノ基は2〜22のC−原子を
    含むアシル基によってアシル化されていてもよい前記ジペプチドであるか、 またはOHであり; AlkとAlk'は互いに独立して、 炭素数1〜11の直鎖または分枝アルキルであり、 Proは3Hypまたは4Hypであってもよく; Xaaは例えばSer、Thr、アロ−Thr、ホモ−Serのような3〜
    4のC−原子を含むヒドロキシアミノカルボン酸であり; XaaはAla、Abu、Val、Ile、またはLeuのようなC−C アルキル(直鎖または分枝)を有する2−アルキルグリシンであり; ここでXまたはYは少なくとも1つのイオウ原子を含み、 ANまたはAC残基の1つのみが単結合でもよい。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の式Iで表される化合物を製造する方法であっ て、構成要素が所定の配列を形成するのに自体公知の手順で反応される、前記方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の式Iで表される1または複数のペプチドから なる合成ペプチド層であって、末端残基の1つのイオウ架橋によって貴金属の表
    面に共有結合した、前記合成ペプチド層。
  4. 【請求項4】ペプチドの末端残基のうちの一方によって形成されるイオウ架 橋によって、請求項1に記載の式Iで表されるペプチドに共有結合している貴金
    属の支持体からなることを特徴とする合成細胞膜であって、該ペプチドの他方の
    末端が、リポゾーム存在下においてはリポゾームと共に膜類似の脂質二重層を順
    次形成する脂質残基に結合していることを特徴とする、前記合成細胞膜。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の合成細胞膜に挿入された少なくとも一つの膜 タンパクを含む複合体。
  6. 【請求項6】以下の工程からなる請求項5に記載の複合体を製造する方法: a)脂質成分を含む請求項1に記載の式Iで表されるペプチドまたはペプチ
    ド類縁化合物の溶液へ貴金属で被覆された基質を注入すること; b)例えばリポゾームを加えることによって脂質二重層を形成すること; c)前工程の脂質二重層に膜タンパクを一体化すること。
  7. 【請求項7】電気的及び/または光学的方法測定手段と請求項5に記載の複
    合体とを含むバイオセンシングデバイス。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のバイオセンシングデバイスのリセプターバイ ンディングアッセイへの使用。
  9. 【請求項9】請求項7に記載のバイオセンシングデバイスの医薬品及び作物 保護薬物探索への使用。
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