JP2001516582A - サイクリン依存性キナーゼ阻害物質およびその使用 - Google Patents

サイクリン依存性キナーゼ阻害物質およびその使用

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Abstract

(57)【要約】 サイクリン依存性キナーゼ阻害物質をコードするDNA配列のほか、それを得るための方法が提供される。さらに、原核および/または真核宿主細胞における発現を可能とする調節要素と機能的に結合したDNA配列である前記DNA配列を含むベクターも提供する。これに加えて、前記DNA配列によってコードされる蛋白質、前記蛋白質に対する抗体、およびそれらの生産のための方法も提供される。さらに、上記のDNA配列の上流の発現を自然下で調節している調節配列も提供される。また、植物もしくはその一部において機能的である1つもしくは複数のサイクリン依存性キナーゼ阻害物質、および/またはこのような蛋白質をコードする1つもしくは複数のDNA配列の導入ならびに/または発現を含む、植物および/または植物細胞の成長特性を制御または変更するための方法も記載される。また、前記植物細胞がトランスジェニック植物の一部であるような、本発明によるDNA配列を用いてサイクリン依存性プロテインキナーゼの阻害剤の発現もしくは活性を妨げることによって植物細胞の分裂を停止させるための工程も提供される。さらに、前記のDNA配列、蛋白質、抗体および調節配列を含む診断的組成物も記載される。また、細胞周期を活性化または阻害しうる化合物を同定するための方法も記載される。さらに、上記のDNA配列およびベクターを含むトランスジェニック植物細胞、植物組織および植物体のほか、前記のDNA配列、ベクター、蛋白質、抗体、調節配列および/もしくは本発明の方法によって同定される化合物の、植物細胞および組織の培養、植物育種ならびに/または農業における使用も記載される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質(cyclin-dependent kinase in
hibitor)をコードするDNA配列のほか、それを得るための方法に関する。また、
本発明は、原核および/または真核宿主細胞における発現を可能とする調節性要
素と機能的に結合したDNA配列である前記DNA配列を含むベクターも提供する。こ
れに加えて、本発明は、前記DNA配列によってコードされる蛋白質、前記蛋白質 に対する抗体、およびそれらの生産のための方法にも関する。さらに本発明は、
上記のDNA配列の発現を自然下で調節している調節配列にも関する。また、本発 明は、植物もしくはその一部において機能的である1つもしくは複数のサイクリ ン依存性キナーゼ阻害物質、および/またはこのような蛋白質をコードする1つ もしくは複数のDNA配列の導入ならびに/または発現を含む、植物および/また は植物細胞の成長特性を制御または変更するための方法にも関する。また、前記
植物細胞がトランスジェニック植物の一部であるような、本発明によるDNA配列 を用いてサイクリン依存性プロテインキナーゼの基質の発現を妨げることによっ
て植物細胞の分裂を停止させるための工程も本発明によって提供される。本発明
はさらに、前記のDNA配列、蛋白質および抗体を含む診断的組成物にも関する。 また、本発明は、細胞周期を活性化または阻害しうる化合物を同定するための方
法にも関する。さらに本発明は、上記のDNA配列およびベクターを含むトランス ジェニック植物細胞、植物組織および植物体のほか、前記のDNA配列、ベクター 、蛋白質、抗体、調節配列および/または本発明の方法によって同定される化合
物の、植物細胞および組織の培養、植物育種ならびに/または農業における使用
にも関する。
【0002】 細胞分裂はヒト、動物および植物において成長のために必須である。母細胞は
分裂して2つの娘細胞を生じる前にDNAを複製する必要がある。細胞周期は伝統的
に以下の4つの異なる時期に分けられている: G1 :有糸分裂とDNA合成開始との合間、 S:DNA合成の時期、 G2:Sと有糸分裂との合間、 M:実際の細胞分裂に至る核分裂の過程である有糸分裂。
【0003】 これらの4つの時期の区別は、連続した分裂の間隔を分ける手段として好都合 である。これは大いに役立ってきたが、最近の数多くの実験結果――その大部分
は癌研究によるものである――により、細胞周期の「四季(four seasons)」の
より複雑な姿が明らかになってきた(Nasmyth、Science 274、1643〜1645、1996
;Nurse、Nature、344、503〜508、1990)。細胞周期制御系を司る基本的な機構
の研究がかなり詳細まで進んだのはごく最近のことである。植物を含むすべての
真核生物系において、この制御機構は、細胞分裂に不可欠な過程を調節する2つ の重要な蛋白質ファミリー、すなわちプロテインキナーゼ(サイクリン依存性キ
ナーゼ、言い換えればCDK)およびその活性化にかかわるサイクリンと呼ばれる サブユニットが基盤となる。これらの蛋白質複合体の活性は、細胞周期の特定の
時点でオンおよびオフに切り替えられる。G1/S移行期に活性化される特定のCDK
-サイクリン複合体はDNA複製開始の誘因となる。G2/M移行期には異なるCDK-サ イクリン複合体が活性化され、有糸分裂を誘導して細胞分裂に至る。それぞれの
CDK-サイクリン複合体は、複数の標的蛋白質の異なるセットを修飾することによ
って調節的役割を果たす。さらに、細胞分裂に影響を及ぼす多くの種類の発生お
よび環境シグナルの働きはすべてCDK活性の調節に集約される。このため、CDKは
細胞分裂を駆動する中心的エンジンとみなすことができる。
【0004】 動物系および酵母では、細胞周期の調節に関する知識は今では大きく前進して
いる。CDK-サイクリン複合体の活性は、(i)CDKおよびサイクリン遺伝子の転写
、(ii)特定のCDKと特異的なパートナーであるサイクリンとの会合、(iii)CD
Kおよびサイクリンのリン酸化/脱リン酸化、(iv)SUC1/CKS1相同体および細 胞周期キナーゼ阻害物質(CKI)などの他の調節蛋白質との相互作用、ならびに (v)サイクリンおよびCKIの細胞周期依存的破壊という5段階の調節を受ける。
【0005】 植物における細胞周期調節の研究は、動物および酵母に比べて遅れている。細
胞周期制御の基本的機構のいくつかは植物を含む真核生物の間で保存されている
ように思われる。植物もCDK、サイクリンおよびCKIを有することが示されている
。しかし、植物には、細胞周期制御の特徴に反映される独特な発生上の特色があ
る。これらには例えば、細胞が遊走しないこと、分裂組織と呼ばれる特殊化した
領域から寿命全体にわたって器官が形成されること、細胞壁を形成すること、お
よび非分裂細胞が細胞周期に再び入ることが含まれる。もう1つの特徴は、多く の植物細胞、特に貯蔵にかかわるもの(例えば胚乳など)は、有糸分裂を伴わず
にDNA合成を何度も行うため倍数体であることである。このいわゆる核内倍加は 細胞周期の制御と密接に関係している。
【0006】 これらの基本的な差異があるため、植物の細胞周期の複数の構成要素は酵母お
よび動物のものと比べて独特である。例えば、植物はアラビドプシス(Arabidop
sis)におけるCDC2bのように、構造的にも機能的にも動物および酵母のCDKとは 異なる特有のクラスのCDKを含む。植物における細胞周期の調節、ならびに他の 真核生物との差異および類似性をさらに解明することは大きな研究課題である。
特に比較を行う場合のために、酵母および動物系に関する重要な要素のいくつか
を以下でより詳細に説明する。
【0007】 上記の通り、真核生物における細胞周期の進行制御は主として2つの移行点で 作用する:1つはDNA合成前のG1後期であり、もう1つはG2/M境界である。これら
の制御ポイントを経ての進行はサイクリン依存性プロテインキナーゼ(CDK)複 合体によって媒介され、より詳細にいえば、これはCDK遺伝子によってコードさ れるほぼ34kDaの触媒ユニットを含む。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharom
yces cerevisiae)およびシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces p
ombe)はいずれも細胞周期の調節に単一のCDK遺伝子のみを用いる。それぞれSch
.ポンベおよびS.セレビシエにおけるそれらの遺伝子産物であるp34CDC2およびp3
4CDC28のキナーゼ活性は、サイクリンと呼ばれる調節蛋白質に依存する。異なる
細胞周期時期を経ての進行は、p34CDC2/CDC28の種々のサイクリンとの逐次的な 会合によって達成される。高等な真核生物でもこの制御機構は保存されているが
、細胞周期の異なる時期の調節のために多数のCDKを用いるように進化してきた ため、状況はより複雑である。哺乳動物では、CDK1からCDK7までと定義され、そ
れぞれがサイクリンの特定のサブユニットと結合する7種のCDKが記載されている
【0008】 動物系におけるCDK活性の調節には、サイクリンとの会合に加えて、刺激性お よび抑制性のリン酸化もかかわる。キナーゼ活性はアミノ酸160〜170の間(CDK 蛋白質の種類による)に位置するThr残基のリン酸化によって正の調節を受ける 。このリン酸化は、興味深いことにそれ自体がCDK/サイクリン複合体であるCDK
活性化キナーゼ(CAK)によって媒介される。抑制性リン酸化はATP結合部位(Ty
r15残基、高等真核生物ではThr14も加わる)で起こり、少なくとも2つのプロテ インキナーゼによって行われる。特異的ホスファターゼであるCDC25はこれらの 残基をG2/Mチェックポイントの時点で脱リン酸化し、これによってCDK活性を活
性化し、有糸分裂の開始をもたらす。CDK活性はさらに、サイクリン依存性キナ ーゼ阻害物質(CKI)と呼ばれる、低分子量蛋白質を主とするファミリーによる 負の調節も受ける。キナーゼ活性は、これらのCDKとCDK/サイクリン複合体との
強固な会合によって阻害される。CKIは発生過程においてそれ以上の細胞分裂を 阻止する必要のある時に産生される。哺乳動物では、CKIが細胞分裂および細胞 分化のさまざまな面に関与することが示されている。第1に、CKIの発現は、例え
ば、いずれもDNAを損傷させる恐れのある細胞照射または発癌物質の影響下とい ったストレス条件下で誘導されることが示されている。この分裂停止により、DN
A複製および有糸分裂の前にDNAを修復することが可能となる。第2に、CKIによる
CDKの阻害は、細胞分化、およびプログラム細胞死の阻害と相関することが示さ れている。第3に、マウスにおいてCKIファミリーの特定のメンバーをノックアウ
トすると、身体サイズの拡大および腫瘍形成が引き起こされる。
【0009】 植物における細胞周期の調節に関する最新の情報の概要を以下に示す。アラビ
ドプシスでこれまでに単離されたCDK遺伝子はCDC2aAtおよびCDC2bAtの2つのみで
あり、その遺伝子産物のアミノ酸の同一性は56%である。この2つのCDKはいくつ
かの特徴によって区別される。第1に、酵母p34CDC2/CDC28変異株を補完しうるの
はCDC2aAtのみである。第2に、CDC2aAtおよびCDC2bAtは異なるサイクリン結合モ
チーフを有し(それぞれPSTAIREおよびPPTALRE)、このことからそれらが異なる
種類のサイクリンと結合することが示唆される。第3に、CDC2aAtおよびCDC2bAt はいずれも同じ空間的発現パターンを呈するが、異なる細胞周期時期特異的な調
節が認められる。CDC2aAt遺伝子は細胞周期の全体を通じて構成的に発現される 。これに対して、CDC2bAt mRNAのレベルは周期的に変動し、SおよびG2期の間で 最も高い。ほかにもアラビドプシスからは多数のサイクリンが単離されている。
その大半には動物のAまたはB型クラスのサイクリンとの非常に高い配列類似性が
認められるが、D型サイクリンも同定されている。アラビドプシスのサイクリン の分類は主として配列類似性に基づくが、限られたデータからは、この系統化が
サイクリンの各クラスの種々の機能に対応することが示唆される。最近、シロイ
ヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において、哺乳動物のp27kip1キナーゼ阻害 物質と一定の類似性をもつCDK阻害物質(ICK1)が同定された(Wang、Nature 38
6(1997)、451〜452)。このCDK阻害物質は、シロイヌナズナCDC2aAt cDNAを有
する酵母ツーハイブリッド「おとり(bait)」作製物を用いてライブラリーをス
クリーニングした際に主として同定され、このことから植物には単一クラスのCD
K阻害物質のみが存在することが示唆された。しかし、植物におけるCDK阻害物質
の機能および発現については今後明らかにしていく必要がある。
【0010】 植物の成長、植物の構造および/または植物の疾患に関する問題を扱うために
は、植物細胞の分裂調節に関与する、より詳細には細胞周期の制御ならびに細胞
周期のSおよびM期の完了の要因となるCDKおよび/またはそれらと相互作用する 蛋白質をコードする、ならびにそれらと相互作用する、遺伝子および遺伝子産物
の同定、単離ならびに特徴分析を行うことが最も重要であると考えられている。
このような新規遺伝子および/または蛋白質が単離および分析されれば、植物全
体としての成長に影響を与えることが可能である。また、特定の組織または器官
の成長、およびそれ故に植物の構成を改変することもできる。
【0011】 このため、本発明の基礎にある技術的課題は、農業ならびに植物細胞および組
織の培養において特に有用な、細胞周期蛋白質(cell cycle protein)を調節す
るための手段および方法を提供することである。
【0012】 この技術的課題に対する解答は、請求の範囲において特徴が記載される態様を
提供することによって得られる。
【0013】 したがって、本発明は、 (a)配列番号:2、4または6に示されたアミノ酸配列を含む蛋白質をコードする
ヌクレオチド配列を含むDNA配列、 (b)配列番号:1、3または5に示されたヌクレオチド配列を含むDNA配列、 (c)配列番号:2のアミノ酸第75位から209位まで、もしくは配列番号:4のアミ
ノ酸第11位から216位までのアミノ酸配列を含む蛋白質をコードするヌクレオチ ド配列を含む、または配列番号:1のヌクレオチド第305位から932位までのヌク レオチド配列を含むDNA配列、 (d)(a)から(c)までのいずれか1つに定義されたDNA配列の相補鎖とハイブ リダイズするDNA配列、 (e)(a)から(c)までのいずれか1つのDNA配列によってコードされるアミノ 酸配列との同一性が少なくとも30%であるアミノ酸配列をコードするDNA配列、 (f)遺伝暗号の結果として、そのヌクレオチド配列が(a)から(e)までのい ずれか1つに定義されたDNA配列のヌクレオチド配列と縮重するようなDNA配列、 および (g)(a)から(f)までのいずれか1つのDNA配列によってコードされる蛋白質 の断片をコードするDNA配列 からなる群より選択される、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質をコードする、
またはこのような蛋白質の免疫活性および/もしくは機能的断片をコードするDN
A配列に関する。
【0014】 「サイクリン依存性キナーゼ阻害物質」という用語は、本明細書においてCDK 阻害物質、CKIまたはCDKIとも表現され、CDK/サイクリン活性を阻害するととも
に、発生過程においてそれ以上の細胞分裂を阻止する必要のある時に産生される
蛋白質を意味する。本発明のCDK阻害物質は、プロテインキナーゼ、特にサイク リン依存性キナーゼのキナーゼ活性を阻害または抑制する能力をもつ。プロテイ
ンキナーゼ活性を阻害または抑制する能力は、当技術分野で周知の方法に従って
判定することができ、これについては例えばワング(Wang)、前記および添付の
実施例を参照されたい。
【0015】 「細胞周期」という用語は、細胞増殖、特にDNA複製および有糸分裂の調節に 関連する周期的な生化学的および構造的イベントを意味する。この周期は、G0
ギャップ1(G1)、DNA合成(S)、ギャップ2(G2)および有糸分裂(M)と呼ば れる時期に分けられる。
【0016】 本明細書で用いられる「遺伝子」「ポリヌクレオチド」「核酸配列」「ヌクレ
オチド配列」「DNA配列」または「核酸分子」という用語は、リボヌクレオチド またはデオキシリボヌクレオチドである任意の長さの重合型のヌクレオチドを意
味する。この用語は、分子の一次構造のみに関して言及するものである。このた
め、この用語には2本鎖および1本鎖のDNA、ならびにRNAが含まれる。また、これ
には既知の種類の修飾、例えばメチル化、1つまたは複数の天然型ヌクレオチド の類似体による「キャプス(caps)」置換なども含まれる。好ましくは、本発明
のDNA配列は、上記に定義した細胞周期相互作用蛋白質(cell cycle interactin
g protein)をコードするコード配列を含む。
【0017】 「コード配列」とは、適切な調節配列の制御下におかれた時に、mRNAへの転写
および/またはポリペプチドへの翻訳がなされるヌクレオチド配列のことである
。コード配列の境界は、5'末端の翻訳開始コドンおよび3'末端の翻訳停止コドン
によって決定される。コード配列には、mRNA、CDK、組換えヌクレオチド配列ま たはゲノムDNAが非制限的に含まれ、特定の状況下ではイントロンが存在しても よい。
【0018】 本発明に従い、CDK阻害機能を有すると推定される新たな植物遺伝子産物がツ ーハイブリッドシステムを用いてスクリーニングされている(Fields、Nature 3
40(1989)、245〜246)。この目的のために、CDC2aAt蛋白質がおとり(bait) として用いられた。同一のおとりおよび3週齡のシロイヌナズナ栄養組織からのR
NAを用いて作製したcDNAライブラリーを用いた以前の試みはいずれも失敗してい
る(De Veylder、Febs Lett. 412(1997)、446〜452;De Veylder、J. Exp. Bo
t. 48(1997)、2113〜2114)。指数増殖期初期、指数増殖期、定常期初期およ び定常期という成長期の種々の時点で採取したシロイヌナズナ細胞懸濁液から得
たRNA混合物を用いて新たに作製したライブラリーを用いて、新たな試みを行っ た。このライブラリーには以前のものと比べて、細胞分裂開始時の細胞、分裂活
動中の細胞、細胞周期から再び離脱しつつある細胞、および細胞周期が進行して
いない細胞において発現される主たる遺伝子が含まれるという利点がある。驚く
べきことに、この特殊なライブラリーを用いることにより、CDK阻害機能をもつ と推定される蛋白質をコードするいくつかの陽性クローンが同定された。これら
のクローンはLDV39、LDV66およびLDV159と命名された。
【0019】 データベースの相同性検索により、それらの末尾の23アミノ酸には、ヒトCKI であるp21cip1およびp27kip1と著しい相同性が認められることが判明した。LDV3
9遺伝子は622bp長であり、423bpのコード領域および199bpの3' UTR(ポリA尾部 を除く)からなっていた。LDV66遺伝子は611bp長であり、379bpのコード領域お よび232bpの3' UTR(ポリA尾部を除く)からなっていた。LDV39およびLDV66クロ
ーンはアミノ末端部分を欠く蛋白質の一部をコードしているため、ABRC貯蔵セン
ターから入手した花cDNAライブラリー(ライブラリー貯蔵番号CD4-6)のスクリ ーニングを行った。陽性クローンはFL39およびFL66と命名されたが、これはそれ
ぞれLDV39およびLDV66のより長いクローンに相当する。
【0020】 FL39クローンは932bp長(配列番号:1)であり、209アミノ酸(配列番号:2)
からなる蛋白質をコードするORFを含み、分子量は24kDaと算出される。その3' U
TRにおいてポリアデニル化シグナルを認識しうる。FL39蛋白質のアミノ末端は11
アミノ酸(VRRRD/ExxxVEE)の反復モチーフを含む。このモチーフはデータベー
ス中の他の蛋白質には認められず、その意義は不明である。また、FL39蛋白質は
核局在化シグナルと推定されるもの(アミノ酸23〜26)およびPESTに富む領域(
アミノ酸71〜98、PESTFINDスコア+15.5)も含む。プロリン、グルタミン酸、セ リンおよびプロリンに富むこれらの配列は、不安性な蛋白質中に特徴的に存在す
る(Rogersら、1986、Science 234、364〜368)。
【0021】 FL66配列はインフレーム停止コドンを含んでおらず、このため完全長ではない
と思われる。FL66クローンは875bp長(配列番号:3)であり、24kDの蛋白質をコ
ードする216アミノ酸(配列番号:4)のORFを有する。核局在化シグナルおよびP
ESTドメインは存在しない。さらに、本発明に従ってツーハイブリッド・スクリ ーニングアッセイを用いてアルファルファからALFCDKIと命名されたCDK阻害物質
が同定されている。この遺伝子は1202ヌクレオチド(配列番号:5)を含み、224
アミノ酸(配列番号:6)からなる蛋白質をコードするヌクレオチド94位から760
位までのコード領域を有する。LDV159クローンはICK1(ワング(Wang)、Nature
386(1997)、p451〜452による発表の通り、ジェンバンク(GenBank)寄託番号
U94772)と同一であった。驚いたことに、他の3つのクローンは新規であり、ICK
1との類似が一部に過ぎない蛋白質をコードしていた(表1)。
【0022】
【表1】 さまざまな植物サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の間の配列類似度
および同一性。CrCKIはケノポジウム・ラブラム(Chenopodium rubrum)CKI(寄
託番号AJ00217)である。 さまざまなサイクリン依存性キナーゼ阻害物質の間の類似度(太字)および同一
性(イタリック体)を、GAPプログラム(GCG 9.1パッケージによる)を用い、ギ
ャップ荷重(Gap weight)=12および長さ荷重(Length weight)=4というパラ
メーターを用いて判定した。N.S.:有意差なし。
【0023】 さらに、FL39、FL66およびICK1クローンのゲノム構成を、DNAゲルブロット分 析によって検討した。実験結果からはほかにもFL66関連遺伝子が存在することが
示唆され、このため、シロイヌナズナには少なくとも4種の異なるCKI蛋白質があ
ると結論することができる。以上より、植物には複数のCDK阻害物質が存在する ことが明らかであり、このことから植物発生における機能および/または発現パ
ターンは異なると推定しうる。本発明に従って行われたさらなる検討により、CD
K阻害物質が植物培養細胞の培養中のさまざまな時点で発現することが明らかに なった;実施例8参照。さらに、本発明により、CDK阻害物質FL66がNaClによって
調節されることを示すことができた;実施例9参照。本発明のCDK阻害物質の阻害
機能を、FL66を例に挙げて示している;実施6参照。さらに、LDV39、LDV66およ びLDV159のcDNAに由来するアンチセンスプローブを用いるインサイチューハイブ
リダイゼーションにより、これらのCDK阻害物質のそれぞれが異なる発現パター ンを呈することが示された;実施例13参照。このように、本発明の所見から、植
物にはいくつかのCDK阻害物質が存在し、それらは異なる発現パターンのために 植物の発生過程において異なる機能を有する可能性があることが明らかになった
。アラビドプシスおよびアルファルファ以外のその他の植物種にもCDK阻害物質 をコードする同様の遺伝子ファミリーが存在すると予想しうる。これらのサイク
リン依存性阻害物質も本発明の範囲に含まれる。
【0024】 したがって、本発明は、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質をコードする限り
において、上記の核酸分子とハイブリダイズし、これらと比較して1つまたは複 数の位置に違いがある核酸分子にも関する。「ハイブリダイズする」とは、この
ような核酸が、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくは、例えばサム
ブルック(Sambrook)(分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Clon
ing:A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、
Cold Spring Harbor、NY(1989))によって記載されたものなどのストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズすることを意味する。好ましくは、実施例の項で
用いているハイブリダイゼーション条件を用いる。哺乳動物、特にヒトなどの他
の生物体に由来するサイクリン依存性キナーゼ阻害物質が、穏和なハイブリダイ
ゼーション条件下でサイクリン依存性キナーゼ阻害物質に関する配列とハイブリ
ダイズし、発現に際して細胞周期蛋白質と相互作用しうるペプチドをコードする
他のDNA配列によってコードされてもよい。このような非ストリンジェントなハ イブリダイゼーション条件の例は4×SSC、50℃、または30〜40%ホルムアミド、
42℃でのハイブリダイゼーションである。このような分子には、本発明の細胞周
期相互作用蛋白質の断片、類似体または誘導体であって、アミノ酸および/また
はヌクレオチドの欠失、挿入、置換、付加および/または組換え、もしくは当技
術分野で知られた任意のその他の改変が単独または組み合わせてなされている点
で上記のアミノ酸配列またはそれらの基礎となるヌクレオチド配列と異なるもの
が含まれる。本発明による核酸分子にこのような改変を導入するための方法は、
当業者には周知である。また、本発明は、遺伝暗号の縮重のために上記のいずれ
かの核酸分子のヌクレオチド配列とは異なる配列の核酸分子にも関する。本発明
の蛋白質のこのようなすべての断片、類似体および誘導体も、上に定義した通り
の本質的な特有の免疫的および/または生物的特性が本質的に変化しない限りに
おいて本発明の範囲に含まれ、すなわち、本発明の新規核酸分子には、上記の核
酸分子によってコードされることが可能であってサイクリン依存性キナーゼ、特
に植物のサイクリン依存性キナーゼの阻害に関して同等または同一の特徴を有す
るサイクリン依存性キナーゼ阻害物質に対する抗体と反応しうる1つまたは複数 のエピトープに関する一次構造コンフォメーションの少なくとも一部を有する蛋
白質またはペプチドをコードするすべてのヌクレオチド配列が含まれる。このた
め、本発明による核酸分子に含まれる核酸配列によってコードされるサイクリン
依存性キナーゼ阻害物質の少なくとも機能的部分を含むポリペプチドをコードす
る核酸分子も本発明の一部である。これに関する例は、本発明によるポリペプチ
ドまたはその断片が別のアミノ酸配列中に埋め込まれたものである。
【0025】 以下の実施例で示すように、本発明に従ってサイクリン依存性キナーゼ阻害物
質を同定するために適したツーハイブリッドアッセイが開発された。このため、
もう1つの面において、本発明は、おとりとしてCDC2a、捕獲対象(prey)として
細胞懸濁液のcDNAライブラリーを用いるツーハイブリッド・スクリーニングアッ
セイを含む、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の同定および入手のための方法
に関する。前記CDC2aはCDC2aAtであることが好ましい。しかし、他の植物や哺乳
動物などのその他の生物体由来のCDC2aも同じく用いうる。
【0026】 上記のアッセイにおいてCDC2aと相互作用することが同定された蛋白質または ペプチドをコードする核酸分子は、当技術分野で知られた方法によって容易に入
手および配列決定が可能であり、これについては添付の実施例も参照されたい。
したがって、本発明は、本発明の方法によって入手しうるサイクリン依存性キナ
ーゼ阻害物質をコードするDNA配列にも関する。好ましくは、本発明の方法によ って入手しうる前記蛋白質のアミノ酸配列は、配列番号:2、4または6のいずれ か1つのアミノ酸配列との同一性が少なくとも30%、より好ましくは40から60% 、最も好ましくは70%から90%である。
【0027】 1つの好ましい態様において、本発明による核酸分子は、RNAまたはDNA分子、 好ましくはcDNA、ゲノムDNAまたは合成的に合成されたDNAまたはRNA分子である 。好ましくは、本発明の核酸分子は植物、好ましくはシロイヌナズナに由来する
。上記で考察した通り、ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)でもサイクリン
依存性キナーゼ阻害物質を同定することが可能であった。このため、同様の特性
を示す対応する蛋白質は他の植物にも存在するはずである。本発明の核酸分子は
、例えば、上記の核酸分子と任意の源の核酸分子(の試料)とのハイブリダイゼ
ーションによって入手可能である。上記の核酸分子とハイブリダイズする核酸分
子の由来としては、一般に任意の生物体が可能であり、好ましくはこのような分
子を有する植物、好ましくは単子葉または双子葉植物、特に任意の生物体、好ま
しくは、イネ科植物などの穀物、ジャガイモ、キャッサバ、マメ科植物などのあ
らゆるデンプン産生植物、アブラナ、亜麻仁などの油産生植物、ポリペプチドを
貯蔵物質として用いるダイズなどの植物、ショ糖を貯蔵物質として用いるテンサ
イまたはサトウキビなどの植物、樹木、観賞植物などの農業、園芸または材木栽
培において関心がもたれる植物である。好ましくは、本発明による核酸分子はシ
ロイヌナズナに由来する。上記の核酸分子とハイブリダイズする核酸分子は、例
えば、当技術分野で周知の技法により、cDNAまたはゲノムライブラリーなどのラ
イブラリーから単離することができる。例えば、ハイブリダイズする核酸分子は
、標準的な技法に従って前記分子とハイブリダイズさせることによってライブラ
リーをスクリーニングするためのプローブとして、上記の核酸分子またはその断
片もしくはその相補物を用いて同定および単離が可能である。上記の核酸分子に
由来するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)を利用することによってこのような核酸分子を同定することも可能である 。
【0028】 上記のいずれかの核酸分子とハイブリダイズする核酸分子には、サイクリン依
存性キナーゼ阻害物質またはその免疫学的もしくは機能的断片をコードする上記
の核酸分子の断片、誘導体および対立遺伝子変異体も含まれる。断片とは、記載
される蛋白質または上記に定義した通りのその機能的または免疫学的活性断片を
コードするだけの十分な長さをもつ核酸分子の部分であると解釈される。好まし
くは、機能的断片はFL39蛋白質のアミノ末端部分に存在する11アミノ酸(VRRRD /ExxxVEE、配列番号:33)のモチーフを含む。このモチーフはデータベース中 のその他のすべての蛋白質には認められず、その意義は不明である。さらに、こ
の断片は核局在化シグナルと推定されるもの(配列番号:2のアミノ酸23〜26) および/またはPESTに富む領域(配列番号:2のアミノ酸71〜98、実施例3も参照
されたい)。
【0029】 本文脈における「誘導体」という用語は、これらの核酸分子のヌクレオチド配
列が、上記の核酸分子の配列とは1つまたは複数のヌクレオチド位置で異なり、 前記核酸分子と高度に相同的であることを意味する。相同性とは、配列同一性が
少なくとも30%であり、特にいえば同一性が少なくとも60%、好ましくは80%を
上回り、さらにより好ましくは90%を上回ることを指すと解釈される。「実質的
に相同な」という用語は、ORF(オープンリーディングフレーム)全体を比較し た際に参照物と配列の点で少なくとも50%同一である対象、例えば核酸を意味し
、配列同一性は好ましくは少なくとも70%であり、より好ましくは少なくとも80
%、さらにより好ましくは少なくとも85%、特により好ましくは90%を上回り、
最も好ましくは95%またはそれを上回り、特にいえば98%またはそれを上回る。
上記の核酸分子の配列との差は、例えば、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、挿
入および/または組換えの結果であってよい(前記参照)。
【0030】 相同性とはさらに、それぞれの核酸分子またはコードされる蛋白質が機能的お
よび/または機能的に等価であることを意味する。上記の核酸分子と相同な核酸
分子、および前記核酸分子の誘導体である核酸分子は、例えば、同じ生物機能を
有する改変、特に同一または実質的に同一な生物機能を備えた蛋白質をコードす
る改変を示す前記核酸分子の変異体である。それらは、他の植物の変種もしくは
種または変異に由来する配列などの、天然にみられる変異体でもよい。これらの
変異は天然にみられるものでも、変異誘発法によって得られるものでもよい。対
立遺伝子変異体は、天然にみられる対立遺伝子変異体でもよく、合成的に製造さ
れた、または遺伝的に操作された変異体でもよい;前記参照。
【0031】 上記の核酸分子の種々の誘導体および変異体によってコードされる蛋白質は、
生物活性、分子量、免疫反応性、コンフォメーション、さらに電気泳動移動度、
クロマトグラフィーでの挙動、沈降係数、最適pH、最適温度、安定性、溶解度、
分光特性などの物理的特性といった特定の共通した特徴を有する。
【0032】 本発明に係る核酸分子ならびにそれに由来する分子に関して考えられるさまざ
まな応用の例は、以下に詳細に説明する。
【0033】 このため、1つのさらなる態様において、本発明は、上記の核酸分子またはそ の相補鎖と特異的にハイブリダイズする、長さが少なくとも15ヌクレオチドの核
酸分子に関する。特異的ハイブリダイゼーションは好ましくはストリンジェント
な条件下で起こり、これは全くまたは実質的に異なる蛋白質をコードするヌクレ
オチド配列とのクロスハイブリダイゼーションが全くまたはほとんど生じないこ
とを意味する。このような核酸分子は、プローブとして、および/または遺伝子
発現の制御のために用いうる。核酸プローブ技術は当業者には周知であり、当業
者にはこのようなプローブの長さを変更しうることは容易に理解されると思われ
る。長さが16から35ヌクレオチドの核酸プローブが好ましい。当然ながら、長さ
が100ヌクレオチドおよびそれ以上の核酸分子を用いることも妥当と考えられる 。本発明の核酸プローブは種々の用途に有用である。一方において、それらは本
発明による核酸配列を増幅するためのPCRプライマーとして用いうる。前記プラ イマーの設計および用法は当業者には周知である。好ましくは、このような増幅
プライマーは、配列番号:1、3もしくは5に示されたヌクレオチド配列、または 配列番号:2、4もしくは6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と同一 または相補的な、少なくとも6ヌクレオチド、特にいえば13ヌクレオチド、好ま しくは15から25ヌクレオチドまたはそれ以上の連続配列を含む。もう1つの用途 は、ゲノムDNAまたはcDNAライブラリーの相同性スクリーニングによって本発明 の核酸分子とハイブリダイズする核酸分子を同定するためのハイブリダイゼーシ
ョンプローブとしての使用である。上記の核酸分子に対して相補的な本発明のこ
の好ましい態様による核酸分子を、例えばアンチセンスもしくは三重鎖ヘリック
ス効果によるCKIをコードする遺伝子の発現抑制のため、または本発明の核酸分 子またはその一部を含む遺伝子の(プレ)-mRNAを特異的に切断する適したリボ ザイム(例えば、欧州特許第A1 0 291 533号、欧州特許A1 0 321 201号、欧州特
許第A2 0 360 257号を参照のこと)の作製のために用いてもよい。適した標的部
位および対応するリボザイムの選択は、例えば、シュタイネッケ(Steinecke) 、Ribozymes、Methods in Cell Biology 50、ガルブレース(Galbraith)ら編、
Academic Press、Inc.(1995)、449〜460に記載された通りに行うことができる
。さらに当業者は、このような核酸プローブを、生物体、特に植物に由来する試
料中の本発明の核酸分子の存在を検出するといった特定の用途に適したマーカー
で標識することも可能なことを十分に認識している。
【0034】 上記の核酸分子は、DNAもしくはRNA、またはそれらのハイブリッド体のいずれ
でもよい。さらに前記の核酸分子は、例えば、オリゴヌクレオチドアンチセンス
法でよく用いられるチオエステル結合および/またはヌクレオチド類似体を含ん
でもよい。前記の修飾は、細胞内のエンドおよび/またはエキソヌクレアーゼに
対抗して核酸分子を安定化させるために有用と思われる。前記核酸分子は、細胞
内での前記核酸分子の転写を可能にするキメラ遺伝子を含む適切なベクターによ
って転写されてもよい。
【0035】 さらに、本発明の核酸分子の発現の検出または阻害のために、いわゆる「ペプ
チド核酸(peptide nucleic acid)」(PNA)法を用いることもできる。例えば 、PNAの相補的ならびに種々の1本鎖RNAおよびDNA核酸分子との結合は、熱変性お
よびビアコア表面相互作用法(BIAcore surface-interaction techniques)(Je
nsen、Biochemistry 36(1997)、5072〜5077)を用いて系統的に調べることが できる。さらに、上記の核酸分子ならびにそれに由来するPNAを、ビアコア(BIA
core)などの親和性センサーを用いて、試料から入手した核酸とのハイブリダイ
ゼーションによって点変異を検出するために用いることもでき、これについては
ゴトウ(Gotoh)、Rinsho Byori 45(1997)、224〜228を参照されたい。ペプチ
ド核酸(PNA)オリゴマーアレイ上でのハイブリダイゼーションに基づくDNAスク
リーニングは、例えばワイラー(Weiler)、Nucleic Acids Research 25(1997 )、2792〜2799などの先行技術において記載されている。PNAの合成は、例えば コッホ(Koch)、J. Pept. Res. 49(1997)、80〜88、フィン(Finn)、Nuclei
c Acids Research 24(1996)、3357〜3363に記載された通りの当技術分野で知 られた方法に従って行いうる。例えば制限酵素としての、または核酸オリゴヌク
レオチドの合成用のテンプレートなどとしての、このようなPNAに関して考えら れるさらなる用途も当業者には知られており、例えばベゼルコフ(Veselkov)、
Nature 379(1996)、214およびボーラー(Bohler)、Nature 376(1995)、578
〜581に記載されている。
【0036】 本発明は、本発明の核酸分子を含む、遺伝子工学において伝統的に用いられる
ベクター、特にプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージおよびそ
の他のベクターにも関する。種々のプラスミドおよびベクターの作製には当業者
に周知の方法を用いることができ、これについては例えば、サムブルック(Samb
rook)、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning A Laborato
ry Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory(1989)N.Y.およびアウスユーベ
ル(Ausubel)、分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in
Molecular Biology)、Green Publishing Associates and Wiley Interscience 、N.Y.(1989)に記載された技法を参照されたい。または、本発明の核酸分子お
よびベクターを、標的細胞への送達用のリポソーム中に再構成することもできる
【0037】 1つの好ましい態様において、ベクター中に存在する核酸分子は、原核および /または真核細胞における核酸分子の発現を可能にする調節配列(control sequ
ence)と連結している。
【0038】 「調節配列」という用語は、それと連結しているコード配列の発現を生じさせ
るために必要な調節性DNA配列を指す。このような調節配列の性質は宿主生物体 によって異なる。原核生物では、調節配列には一般にプロモーター、リボソーム
結合部位およびターミネーターが含まれる。真核生物では一般に調節配列にはプ
ロモーター、ターミネーターが含まれ、さらに場合によってはエンハンサー、ト
ランスアクチベーターまたは転写因子が含まれる。「調節配列」という用語は、
最低限、その存在が発現のために必要なすべての構成要素を含むものとし、ほか
の有利な構成要素も含みうる。
【0039】 「機能的に結合された」という用語は、記載される複数の構成要素がそれらの
意図する様式で機能することを許容する関係にあるような並び方を指す。コード
鎖と「機能的に結合された」調節配列は、コード鎖の発現が調節配列に適合した
条件下で達成されるような方式で連結される。調節配列がプロモーターである場
合には2本鎖核酸が用いられることは当業者には明らかである。
【0040】 したがって、本発明のベクターは好ましくは発現ベクターである。「発現ベク
ター」とは、選択された宿主細胞の形質転換のために用いることができ、選択さ
れた宿主においてコード配列の発現をもたらす作製物である。発現ベクターとし
ては、例えばクローニングベクター、バイナリーベクターまたは組込みベクター
が可能である。発現には、核酸分子の好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写が含ま
れる。原核および/または真核細胞における発現を実現させる調節性要素は当業
者には周知である。真核細胞の場合には、それらは転写開始を実現させるプロモ
ーターを通常含み、選択的には、転写終結および転写物の安定化を実現させるポ
リAシグナル、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)由来の35S RNAのも
のを含む。よく用いられるその他のプロモーターは、遍在的発現のためのポリユ
ビキチンプロモーターおよびアクチンプロモーターである。通常用いられる終結
シグナルは、ノパリンシンターゼ(Nopaline Synthase)プロモーター由来また はCAMV 35Sプロモーター由来である。しばしば用いられる植物性翻訳エンハンサ
ーはCAMVオメガ配列であり、イントロン(例えばトウモロコシShrunken遺伝子由
来のイントロン1)を含めることによって発現レベルが最大100倍に高まることが
示されている(Mait、Transgenic Research 6(1997)、143〜156;Ni、Plant J
ournal 7(1995)、661〜676)。このほかの調節性要素には転写ならびに翻訳エ
ンハンサーが含まれうる。原核宿主細胞における発現を可能とすると考えられる
調節性要素には、例えば大腸菌のPL、lac、trpまたはtacプロモーターが含まれ 、真核宿主細胞における発現を可能とする調節性要素の例には、酵母のAOX1もし
くはGAL1プロモーター、またはCMV、SV40 、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイ ルス)、CMVエンハンサー、SV40エンハンサー、または哺乳動物および他の動物 細胞におけるグロビンイントロンがある。この文脈において適した発現ベクター
は当技術分野で知られており、オカヤマ-バーグ(Okayama-Berg)cDNA発現ベク ターpcDVl(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(In-vitrogene) 、pSPORT1(GIBCO BRL)などがある。本発明の上記のベクターは、選択性および
/またはスコア化可能な(scorable)マーカーを含む。形質転換を受けた植物細
胞、カルス、植物組織および植物体を選択するために有用な選択マーカー遺伝子
は当業者に周知であり、これには例えば、メトトレキサートに対する耐性を付与
するdhfr(Reiss、Plant Physiol.(Life Sci. Adv.)13(1994)、143〜149) 、アミノ配糖体であるネオマイシン、カナマイシンおよびパロマイシンに対する
耐性を付与するnpt(Herrera-Estrella、EMBO J. 2(1983)、987〜995)ならび
にハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Marsh、Gene 32(1984)、4
81〜485)に関する選択の基盤としての代謝拮抗薬耐性が含まれる。そのほかの 選択遺伝子も記載されており、これには細胞がトリプトファンの代わりにインド
ールを利用しうるようにするtrpB(Hartman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85(
1988)、8047)、細胞がマンノースを利用しうるようにするマンノース-6-リン 酸イソメラーゼ(国際公開公報94/20627号)、およびオルニチンデカルボキシ ラーゼ阻害薬2-(ジフルオロメチル)-DL-オルニチンすなわちDFMOに対する耐性を
付与するODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(McConlogue、1987、分子生物 学における最新の情報(Current Communications in Molecular Biology)、Col
d Spring Harbor Laboratory編)、またはプラスチシジンSに対する耐性を付与 するアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のデアミナーゼ(T
amura、Biosci. Biotechnol. Biochem. 59(1995)、2336〜2338)がある。
【0041】 スコア化可能な有用なマーカーも当業者に知られており、市販されている。前
記マーカーとしては、ルシフェラーゼ(Giacomin、P1. Sci. 116(1996)、59〜
72;Scikantha、J. Bact. 178(1996)、121)、グリーン蛍光蛋白質(Gerdes、
FEBS Lett. 389(1996)、44〜47)またはL-グルクロニダーゼ(Jefferson、EMB
O J. 6(1987)、3901〜3907)をコードする遺伝子が有利である。本態様は、本
発明のベクターを含む細胞、組織および生物体の簡便および迅速なスクリーニン
グのために特に有用である。
【0042】 本発明はさらに、上記のベクターまたは宿主細胞にとって外来性である本発明
による核酸分子を含む宿主細胞に関する。
【0043】 「外来性である」とは、核酸分子が宿主細胞に対して異種である――これは異
なるゲノム背景を有する細胞または生物体に由来することを意味する――か、ま
たは宿主細胞に対して同種であるが前記核酸分子の天然型の相当物とは異なるゲ
ノム環境に位置することを意味する。このことは、核酸分子が宿主細胞に対して
同種であるならば、それは前記宿主細胞のゲノム中で天然の位置にはなく、特に
いえば異なる遺伝子に囲まれていることを意味する。この場合には、核酸分子は
それ自体の制御下にあっても異種プロモーターの制御下にあってもよい。宿主細
胞内に存在する本発明によるベクターまたは核酸分子は、宿主細胞のゲノム中に
組み込まれても、染色体外に何らかの形態で維持されてもよい。この点に関して
、本発明の核酸分子は、相同組換えを介して変異遺伝子を修復または作製するた
めにも用いうることが理解される必要がある(Paszkowski(編)、植物における
相同組換えおよび遺伝子サイレンシング(Homologous Recombination and Gene
Silencing in Plants)、Kluwer Academic Publishers(1994))。
【0044】 宿主細胞は、細菌、昆虫、真菌、植物または動物細胞などの任意の原核または
真核細胞でありうる。好ましい真菌細胞は、例えば、サッカロミセス属のもの、
特にS.セレビシエのものである。
【0045】 本発明のもう1つの主題は、本発明のベクターまたは核酸分子の存在により、 蛋白質の発現およびこのようにして産生された蛋白質の培養物からの回収を可能
とする条件下でこのような蛋白質を発現させうるような、本発明による宿主細胞
の培養を含む、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の調製のための方法である。
【0046】 「発現」という用語は、細胞内での蛋白質またはヌクレオチド配列の産生を意
味する。しかし、前記の用語には、無細胞系における蛋白質の発現も含まれる。
これには、その産物をコードするDNAからの、RNA産物への転写、転写後修飾およ
び/または蛋白質産物またはポリペプチドへの翻訳、さらに考えられるものとし
て翻訳後修飾が含まれる。用いる個々の作製物および条件に応じて、蛋白質は細
胞から回収してもよく、培地またはこの両方から回収してもよい。当業者には、
天然の蛋白質を発現させうるだけでなく、蛋白質を融合ポリペプチドとして発現
させること、または例えばペプチドの培地への分泌を実現させるというように蛋
白質を宿主細胞の特定の区画に向かわせるシグナル配列を付加することも可能で
あることはよく知られている。さらに、このような蛋白質またはその断片は、例
えば以下などに記載されている標準的方法に従って化学合成および/または改変
することができる。
【0047】 本明細書で用いられる「蛋白質」および「ポリペプチド」という用語は交換し
うる。「ポリペプチド」とはアミノ酸(アミノ酸配列)の重合体を指し、特定の
長さの分子を指すものではない。このため、ペプチドおよびオリゴペプチドはポ
リペプチドの定義に含まれる。また、この用語は、例えばグリコシル化、アセチ
ル化、リン酸化などのポリペプチドの翻訳後修飾も言及または包含する。例えば
、1つまたは複数のアミノ酸類似体(例えば、非天然型のアミノ酸など)を含む ポリペプチド、置換結合を有するポリペプチドに加えて、天然型および非天然型
の双方の当技術分野で知られたその他の修飾もこの定義に含まれる。
【0048】 本発明はさらに、本発明による核酸分子によってコードされる、または上記の
方法によって産生または入手されるCKI、ならびにこのようなサイクリン依存性 キナーゼ阻害物質の機能的および/または免疫活性断片に関する。本発明の蛋白
質およびポリペプチドは必ずしも設計された核酸配列から翻訳される必要はなく
、例えば化学合成、または組換え発現系の発現、または適したウイルス系からの
単離を含む、任意の様式で作製することができる。本ポリペプチドは、1つまた は複数のアミノ酸類似体、リン酸化アミノ酸または非天然型アミノ酸を含みうる
。アミノ酸類似体を配列中に挿入する方法は当技術分野で知られている。また、
本ポリペプチドは、当業者に知られた1つまたは複数の標識も含みうる。この文 脈において、本発明による蛋白質を当技術分野で知られた通常の方法によってさ
らに改変させうることも理解される。本発明による蛋白質を提供することにより
、例えばプロセシングを受けた成熟型などの生物活性を保持している断片を判定
することも可能である。これにより、その結合活性に必須である本発明の蛋白質
に由来するアミノ酸配列、およびGUSマーカー遺伝子(Jefferson、EMBO J. 6(1
987)、3901〜3907)などのその他の機能的アミノ酸配列を含むキメラ蛋白質お よびペプチドの作製が可能となる。その他の機能的アミノ酸配列を、例えば化学
的手段によって本発明の蛋白質と物理的に結合させてもよく、または当技術分野
で周知の組換えDNA法によって融合させてもよい。
【0049】 「配列の断片」または「配列の一部」という用語は、言及される本来の配列の
切断型配列を意味する。切断型配列(核酸または蛋白質の配列)の長さはさまざ
まであってよく、最小サイズは言及される本来の配列に少なくとも匹敵する機能
および/または活性を有する配列を提供するのに十分なサイズの配列であるが、
最大サイズは特に厳密ではない。用途によっては、最大サイズは通常、本来の配
列の望ましい活性および/または機能を提供するために必要なサイズを実質的に
上回ることはない。典型的には、切断型アミノ酸配列の長さは約5から約60アミ ノ酸である。しかし、より典型的には、配列の長さは最大で約50アミノ酸、好ま
しくは最大で約30アミノ酸である。通常は、少なくとも約10、12または15アミノ
酸、最大で約20または25アミノ酸の配列を選択することが望ましい。好ましくは
、上記のアミノ酸および/またはその断片を含む本発明によるポリペプチドの分
子量はほぼ20kDaである。
【0050】 さらに、適切なコンピュータプログラムを用いて、本発明の蛋白質の構造モチ
ーフのフォールディングシミュレーションおよびコンピュータ上での再設計を行
うことができる(Olszewski、Proteins 25(1996)、286〜299;Hoffman、Compu
t. Appl. Biosci. 11(1995)、675〜679)。蛋白質フォールディングのコンピ ュータモデル化は、詳細なペプチドおよび蛋白質モデルのコンフォメーションお
よびエネルギー解析のために用いうる(Monge、J. Mol. Biol. 247(1995)、99
5〜1012;Renouf、Adv. Exp. Med. Biol. 376(1995)、37〜45)。特に、相補 的ペプチドに関するコンピュータ検索によるCKIおよびサイクリン依存性キナー ゼの相互作用部位、そのリガンドまたは他の相互作用蛋白質の同定には適切なプ
ログラムを用いることが可能である(Fassina、Immunomethods 5(1994)、114 〜120)。蛋白質およびペプチドの設計に適したこれ以外のコンピュータシステ ムも、例えばベリー(Berry)、Biochem. Soc. Trans. 22(1994)、1033〜1036
、ウォダック(Wodak)、Ann. N. Y. Acad. Sci. 501(1987)、1〜13、パボ(P
abo)、Biochemistry 25(1986)、5987〜5991などの先行技術において記載され
ている。上記のコンピュータ解析によって得られた結果は、例えば本発明の蛋白
質またはその断片のペプチド模倣物(peptidomimetic)の調製のために用いるこ
とができる。蛋白質の天然のアミノ酸配列のこのようなペプチド模倣物は、親蛋
白質(parent protein)を極めて効率的に模倣しうる(Benkirane、J. Biol. Ch
em. 271(1996)、33218〜33224)。例えば、容易に入手しうる非キラルΩアミ ノ酸残基を本発明の蛋白質またはその断片に組み入れることにより、脂肪鎖のポ
リメチレン単位によるアミド結合の置換がもたらされ、これによってペプチド模
倣物の作製のための好都合な戦略が提供される(Banerjee、Biopolymers 39(19
96)、769〜777)。低分子ペプチドホルモンの極めて高活性のペプチド模倣類似
体が先行技術において記載されている(Zhang、Biochem. Biophys. Res. Commun
. 224(1996)、327〜331)。連続的なアミドアルキル化によるペプチド模倣物 コンビナトリアルライブラリーの合成、および結果として得られた化合物を、例
えばその結合性、キナーゼ阻害および/または免疫学的特性に関して検討するこ
とにより、本発明の蛋白質の適切なペプチド模倣物を同定することもできる。ペ
プチド模倣物のコンビナトリアルライブラリーの作製および使用のための方法は
、例えばオストレッシュ(Ostresh)、Methods in Enzymology 267(1996)、22
0〜234およびドーナー(Dorner)、Bioorg. Med. Chem. 4(1996)、709〜715な
どの先行技術に記載されている。
【0051】 さらに、本発明の蛋白質の三次元および/または結晶構造を、本発明の蛋白質
の生物活性に対するペプチド模倣阻害物質(peptidomimetic inhibitor)の設計
のために用いることができる(Rose、Biochemistry 35(1996)、12933〜12944 ;Rutenber、Bioorg. Med. Chem. 4(1996)、1545〜1558)。
【0052】 さらに本発明は、本発明によるサイクリン依存性キナーゼ阻害物質またはこの
ような蛋白質の一部、すなわち特異的エピトープもしくは断片を特異的に認識す
る抗体に関する。本発明の抗体は、任意の生物体、好ましくは植物における他の
サイクリン依存性キナーゼ阻害物質および遺伝子を同定および単離するために用
いることができる。これらの抗体は、モノクローン抗体、ポリクローン抗体また
は合成抗体、さらにはFab、FvもしくはscFv断片などの抗体の断片のいずれでも よい。モノクローン抗体は、例えば、マウス骨髄腫細胞と免疫化した哺乳動物由
来の脾細胞との融合を含む、ケーラー(Kohler)およびミルスタイン(Milstein
)、Nature 256(1975)、495ならびにガルフレ(Galfre)、Meth. Enzymol. 73
(1981)、3に最初に記載された技法によって調製することができる。さらに、 例えばハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)「抗体、実験室マニュアル(An
tibodies、A Laboratory Manual)」、CSH Press、Cold Spring Harbor、1988に
記載された方法を用いて、前記のペプチドに対する抗体またはその断片を入手し
うる。これらの抗体は、例えば、本発明による蛋白質の免疫沈降および免疫局在
決定のため、さらには例えば組換え生物体におけるこのような蛋白質の合成のモ
ニタリングのため、および本発明による蛋白質と相互作用する化合物の同定のた
めに用いうる。例えば、ファージ抗体の選択効率を高め、本発明の蛋白質のエピ
トープと結合する単一のファージ抗体ライブラリーで得られる親和性の増分を高
めるために、ビアコア(BIAcore)システムで用いている表面プラスモン共鳴を 用いることができる(Schier、ヒトAntibodies Hybridomas 7(1996)、97〜105
;Malmborg、J. Immunol. Methods 183(1995)、7〜13)。多くの場合、抗体の
抗原に対する結合現象は、他のリガンド/抗リガンド結合と等価である。
【0053】 植物細胞の分裂が影響を受ける様式としては、概念的には(i)細胞分裂の阻 害もしくは阻止、(ii)細胞分裂の維持、促進もしくは刺激、または(iii)DNA
合成の有糸分裂および細胞質分裂とのアンカップリングの3つが考えられる。本 発明によるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの発現調節は、
植物細胞の分裂特性に対して、特にG1/Sおよび/またはG2/M移行期に関与する
遺伝子の発現レベルまたは蛋白質の生物活性の破壊、ならびにその結果としての
当該植物またはその一部の全体的構成に対して、驚くほど有利な影響をもたらし
た。その一例は、サイクリン依存性プロテインキナーゼ複合体を不活性化または
阻害することにより、DNA合成、またはDNA複製の進行が負の影響を受けると思わ
れることである。
【0054】 「サイクリン依存性プロテインキナーゼ複合体」という用語は、好ましくは機
能的であるサイクリンが、好ましくは機能的であるサイクリン依存性キナーゼと
会合した際に形成される複合体を意味する。このような複合体は蛋白質をリン酸
化する活性をもつと考えられ、付加的な蛋白質分子種を含んでも含まなくてもよ
い。
【0055】 植物細胞におけるCDKの活性は、本発明による遺伝子の操作による影響を受け る。本発明の産業適用性を分析するために、本発明によるヌクレオチド配列を過
剰産生する形質転換植物を作製することができる。新規遺伝子、蛋白質またはそ
の不活性化変異体のこのような過剰発現は、細胞分裂に対して正または負のいず
れかに働くと考えられる。発現レベルおよび/または活性を調節するための方法
は当業者に知られており、これには例えば過剰発現、共抑制、リボザイムの使用
、センスおよびアンチセンス法、遺伝子サイレンシング法が含まれる。「センス
鎖」とは、そのmRNA転写物に対して相同である2本鎖DNA分子のストランドを指す
。「アンチセンス鎖」は、「センス鎖」の配列に対して相補的な逆配列を含む。
【0056】 このため、本発明に係る核酸分子は、植物の特質を調節すること、および好ま
しくは改良された、または有用な、改変された表現型を有する植物を得ることを
目的とした、植物細胞の遺伝子操作のために特に有用である。同様に、本発明を
、インビトロ培養下にある細胞、好ましくは植物細胞の細胞分裂および増殖を調
節するために用いることもできる。
【0057】 したがって、本発明は、トランスジェニック植物、植物細胞または植物組織を
作製するための方法であって、本発明の核酸分子およびベクターを前記植物、植
物細胞または植物組織のゲノム中に導入することを含む方法を提供する。
【0058】 センスまたはアンチセンス配向にある本発明に係る核酸分子を植物細胞内で発
現させるためには、この分子は植物細胞における発現を実現させる調節性要素の
制御下におかれる。これらの調節性要素は、発現させようとする核酸分子に対し
ても、同じく形質転換させようとする植物種に対しても、異種でも同種でもよい
。このような調節性要素は一般に、植物細胞内で活性を示すプロモーターを含む
。トランスジェニック植物の全組織において発現を得るためには、CaMVの35Sプ ロモーター(Odell、Nature 313(1985)、810〜812)またはトウモロコシのポ リユビキチン遺伝子のプロモーター(Christensen、Plant Mol. Biol. 18(1982
)、675〜689)などの構成性プロモーターを用いることが好ましい。さらに、本
発明の核酸分子の発現は、例えば前記ヌクレオチド配列またはその断片と隣接し
た高構成性の組織特異的、細胞種特異的プロモーターまたは誘導性プロモーター
の導入、遺伝子の多回反復、およびその他の同様の技法によって制御可能である
。例えば、線虫が根に感染した際に栄養補給細胞(feeding cell)を形成するこ
とができないトランスジェニック植物をこのようにして得ることができる。また
、ジェミニウイルス感染などの、ある種のウイルス感染に対する抵抗性をもつト
ランスジェニック植物を作製することも可能である。トランスジェニック植物の
特定の組織における発現を達成するためには、組織特異的プロモーターを用いる
ことができる(例えば、Stockhaus、EMBO J. 8(1989)、2245〜2251を参照)。
また、ジャガイモの塊茎内およびトウモロコシ、ソラマメ、コムギ、オオムギな
どのさまざまな植物種の種子内で特異的活性を示すプロモーターも知られている
。発現の厳密な制御を行えるように誘導性プロモーターを用いてもよい。誘導性
プロモーターの一例は、熱ショック蛋白質をコードする遺伝子のプロモーターで
ある。顆粒粉(microspore)に特異的な調節性要素およびその使用も記載されて
いる(国際公開公報第96/16182号)。さらに、化学的に誘導しうるTestシステ ム(Test-system)を用いてもよい(Gatz、Mol. Gen. Genet. 227(1991)、229
〜237)。これ以外の適したプロモーターも当業者には知られており、例えばワ ード(Ward)(Plant Mol. Biol. 22(1993)、361〜366)に記載されている。 調節性要素はさらに、植物細胞内で機能的である転写および/または翻訳エンハ
ンサーも含みうる。さらに調節性要素は、転写物にポリA尾部を付加してその安 定性を高めると思われるポリAシグナルなどの転写終結シグナルも含みうる。
【0059】 本発明に係る核酸分子がセンス配向において発現される場合には、蛋白質が植
物細胞の任意の望ましい区画内に位置するような方式でコード鎖を改変すること
が原則的に可能である。これらには、核、小胞体、液胞、ミトコンドリア、プラ
スチド、アポプラスト、細胞質などが含まれる。本発明の蛋白質のサイクリン依
存性キナーゼ相互作用性の構成要素は、細胞質および/または核において作用を
及ぼすため、本発明の蛋白質を同じ区画内に向かわせるためには対応するシグナ
ル配列が好ましい。望ましい区画における局在化を実現させるこの改変およびシ
グナル配列を実行するための方法は当業者には周知である。
【0060】 外来性DNAを植物に導入するための方法も当技術分野で周知である。これらに は、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaci
ens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を 用いてのT-DNAによる植物細胞または組織の形質転換、プロトプラストの融合、 直接的な遺伝子導入(例えば、欧州特許第A 164 575号を参照)、注入、電気穿 孔、微粒子射入などの遺伝子銃法(biolistic method)、花粉を介した形質転換
、植物RNAウイルスを介した形質転換、リポソームを介した形質転換、損傷もし くは酵素分解を加えた未成熟胚または損傷もしくは酵素分解を加えた胚形成性カ
ルスを用いての形質転換、および当技術分野で知られたその他の方法が含まれる
。本発明の方法に用いられるベクターはさらに、植物ゲノムへの安定的組込みを
可能とするアグロバクテリウムT-DNAの「左側境界」または「右側境界」配列を 含みうる。さらに、マーカーをもたない(marker free)トランスジェニック植 物、すなわち植物の発生および植物育種のある特定の時期に選択性またはスコア
化可能なマーカー遺伝子が失われるものの作製を可能とする方法およびベクター
も当業者には知られている。これは、例えば、同時形質転換(Lyznik、Plant Mo
l. Biol. 13(1989)、151〜161;Peng、Plant Mol. Biol. 27(1995)、91〜10
4)によって、および/または植物における相同組換えを促進しうる酵素を用い るシステムの使用(例えば、国際公開公報第97/08331号;Bayley、Plant Mol.
Biol. 18(1992)、353〜361);Lloyd、Mol. Gen. Genet. 242(1994)、653〜
657;Maeser、Mol. Gen. Genet. 230(1991)、170〜176;Onouchi、Nucl. Acid
s Res. 19(1991)、6373〜6378を参照)によって達成可能である。適切なベク ターを調製するための方法は、例えばサムブルック(Sambrook)(分子クローニ
ング:実験室マニュアル(Molecular Cloning;A Laboratory Manual)、第2版 (1989)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY) によって記載されている。
【0061】 適したアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens )の菌株およびベクター、さらにアグロバクテリウムの形質転換ならびに適切な
増殖および選択培地は当業者に周知であり、先行技術において記載されている(
GV3101(pMK90RK)、Koncz、Mol. Gen. Genet. 204(1986)、383〜396;CS8C1 (pGV 3850kan)、Deblaere、Nucl. Acid Res. 13(1985)、4777;Bevan、Nucl
eic. Acid Res. 12(1984)、8711;Koncz、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86(1
989)、8467〜8471;Koncz、Plant Mol. Biol. 20(1992)、963〜976;Koncz、
遺伝子タギングおよび発現試験のための特殊化ベクター(Specialized vectors forgene tagging and expression studies)、Plant Molecular Biology Manu
al、第2巻、GelvinおよびSchilperoort(編)、Dordrecht、The Netherlands:K
luwer Academic Publ.(1994)、1〜22;欧州特許第A-120 516号;Hoekema:バ イナリー植物ベクター系(Binary Plant Vector System)、Offsetdrukkerij Ka
nters B.V.、Alblasserdam(1985)、Chapter V、Fraley、Crit. Rev. Plant. S
ci.、4、1〜46;An、EMBO J. 4(1985)、277〜287)。本発明の方法にはアグロ
バクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いること が好ましいが、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)
などの他のアグロバクテリウム菌株も、例えば前記菌株によって付与される表現
型が望ましい場合などには用いうる。
【0062】 遺伝子銃法を用いる形質転換のための方法は当業者には周知であり、例えばワ
ン(Wan)、Plant Physiol. 104(1994)、37〜48、バシル(Vasil)、Bio/Tec
hnology 11(1993)、1553〜1558およびクリストウ(Christou)(1996)Trends
in Plant Science 1、423〜431を参照されたい。微量注入は、ポトリカス(Pot
rykus)およびスパンゲンベルグ(Spangenberg)(編)、植物に対する遺伝子導
入(Gene Transfer To Plants)、Springer Verlag、Berlin、NY(1995)に記載
された通りに行うことができる。ほとんどの双子葉植物の形質転換は上記の方法
によって行いうる。しかし、単子葉植物の形質転換に関してはいくつかの好首尾
な形質転換法が開発されている。これらには、上記のものなどの遺伝子銃法を用
いる形質転換のほか、プロトプラスト形質転換、ある程度の透過化処理を行った
細胞での電気穿孔、グラスファイバーを用いたDNAの導入などが含まれる。
【0063】 本明細書で用いられる「形質転換」という用語は、導入に用いられる方法とは
無関係に、外来性ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入を指す。ポリヌクレオチ
ドの宿主細胞への導入は一時的でも安定的でもよく、例えばプラスミドのように
組み込まれずに維持されても、または宿主ゲノム中に組み込まれてもよい。この
結果得られた形質転換植物細胞は、続いて、当業者に知られた様式で形質転換植
物を再生させるために用いることができる。
【0064】 一般に、本発明に従って改変することができて、本発明による蛋白質の過剰発
現またはこのような蛋白質の合成の低下のいずれかを呈する植物を、任意の望ま
しい植物種から得ることができる。それらは単子葉植物でも双子葉植物でもよい
が、穀物(例えば、トウモロコシ、イネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、カラス
ムギなど)、ジャガイモ、油産生植物(例えば、アブラナ、ヒマワリ、ラッカセ
イ、ダイズなど)、ワタ、テンサイ、サトウキビ、マメ科植物(例えば、インゲ
ンマメ類、エンドウ豆類など)、木材産生植物、好ましくは樹木などの、農業、
材木栽培または園芸において関心がもたれる植物種に属することが好ましい。
【0065】 したがって、本発明は、植物細胞における核酸分子の発現を可能にする調節性
要素と結合した形でゲノム中に安定的に組み込まれた本発明による核酸分子を含
み、その核酸分子がトランスジェニック植物細胞に対して外来性であるようなト
ランスジェニック植物細胞にも関する。外来性の意味については前記を参照され
たい。または、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質をコードする核酸分子をゲノ
ム中に有する植物細胞を、異種プロモーターおよび/またはエンハンサー要素の
制御下にあるこれらの核酸分子に対応する内因性遺伝子を前記植物細胞が発現す
るように使用および改変することも可能である。上記の蛋白質をコードする核酸
分子の発現を通常は制御することのない異種プロモーターおよび上記の要素を遺
伝子ターゲティングベクターを用いて導入することは、これについては前記およ
び例えばハヤシ(Hayashi)、Science 258(1992)、1350〜1353、フリッツェ(
Fritze)およびワルデン(Walden)、T-DNAタギングによる遺伝子活性化(Gene
activation by T-DNA tagging)、Methods in Molecular biology 44(Gartland
, K.M.A.およびDavey, M.R.編)、Totowa:Human Press(1995)、281〜294)な
どの標準的な方法、またはトランスポゾンタギング(Chandlee、Physiologia Pl
antarum 78(1990)、105〜115)によって行うことが可能である。適したプロモ
ーターおよびエンハンサーなどのその他の調節性要素には前記のものが含まれる
【0066】 トランスジェニック植物細胞における核酸分子の存在および発現はサイクリン
依存性キナーゼ阻害物質の合成をもたらし、このような細胞を含む植物における
生理的変化および表現型変化をもたらす。
【0067】 このため、本発明は、本発明によるトランスジェニック植物細胞を含むトラン
スジェニック植物および植物組織にも関する。それらが天然には起こらない発生
段階および/または植物組織などにおける本発明の細胞周期相互作用蛋白質の(
過剰)発現のために、これらのトランスジェニック植物には野生型植物と比べて
種々の生理的、発生的および/または形態的改変が認められると思われる。例え
ば、これらのトランスジェニック植物は、細胞伸展の変化ならびに/または、改
善された、および/もしくは疾患に対する抵抗性を呈すると思われる。
【0068】 このため、本発明の一部は、植物細胞の分裂ならびに/または植物細胞、植物
組織、植物器官および/もしくは植物全体での成長を調節するための、CKIおよ びそれをコードするDNA配列の使用である。本発明の核酸分子による植物細胞の 形質転換および/または前記分子の発現操作によって植物細胞におけるサイクリ
ン依存性キナーゼの活性に影響を与えるための方法も本発明の範囲に含まれる。
より詳細には、本発明による核酸分子を用いて、サイクリン依存性プロテインキ
ナーゼまたはその阻害物質の活性を妨げることにより、植物細胞の分裂阻止を達
成することができる。後者の目標は、例えば、活性型のサイクリン依存性キナー
ゼ阻害物質の量を減少させるための方法によっても達成しうる。
【0069】 このため、本発明は、本発明による核酸分子またはその一部を(ゲノム中に安
定的に組み込まれた形で)含み、その核酸分子またはその一部の転写および/ま
たは発現がサイクリン依存性キナーゼ阻害物質の合成の低下をもたらすようなト
ランスジェニック植物にも関する。
【0070】 1つの好ましい態様において、この低下はアンチセンス、センス、リボザイム 、共抑制および/または優性変異の効果によって達成される。
【0071】 「アンチセンス」および「アンチセンスヌクレオチド」とは、天然にみられる
遺伝子産物の発現を遮断するDNAまたはRNA作製物を意味する。
【0072】 本発明に係る核酸分子を提供することにより、上記の通りに蛋白質の発現レベ
ルが低下し、それ故にサイクリン依存性キナーゼ阻害物質の蓄積に欠陥のあるト
ランスジェニック植物細胞を作製するという可能性が開拓される。これを実現す
るための技法は当業者には周知である。これらには、例えばアンチセンスRNA、 リボザイム、アンチセンスおよびリボザイムの機能を兼ね備えた分子ならびに/
または共抑制効果をもたらす分子の発現が含まれる;前記も参照。植物細胞にお
けるサイクリン依存性キナーゼ阻害物質の量を減少させるためにアンチセンス法
を用いる場合、アンチセンスRNAをコードする核酸分子は、形質転換に用いる植 物種に対して同種由来であることが好ましい。しかし、サイクリン依存性キナー
ゼ阻害物質をコードする内因性の核酸分子に対して高度の相同性を示す核酸分子
を用いることも可能である。この場合には、相同性は好ましくは80%よりも高く
、特にいえば90%よりも高く、さらにより好ましくは95%よりも高い。
【0073】 トランスジェニック植物細胞における本発明に係る蛋白質の合成の低下は、例
えば細胞分裂の変化を引き起こしうる。このような細胞を含むトランスジェニッ
ク植物において、このことは種々の生理的、発生的および/または形態的変化を
もたらしうる。
【0074】 したがって、本発明は、上記のトランスジェニック植物細胞を含むトランスジ
ェニック植物にも関する。これらは例えば縮小型または強化型の成長特性を示す
と考えられる。
【0075】 本発明は、本発明に係る蛋白質の過剰発現またはこのような蛋白質の合成の低
下のいずれかを示す、上記のトランスジェニック植物細胞を含む培養植物組織に
も関する。
【0076】 本発明に従って得られた形質転換植物は、従来の育種方式、もしくは同一の特
質を備えたさらに形質転換がなされた植物を作製するためのインビトロ植物繁殖
に用いることができ、および/または同一もしくは近縁種のその他の変種に同じ
特質を導入するために用いることもできる。このような植物も本発明の一部であ
る。形質転換植物から得られる種子も遺伝的に同じ特質を含んでおり、本発明の
一部である。前記の通り、本発明は当業者に知られた任意の形質転換法によって
形質転換されうるあらゆる植物および穀物に対して原則的に適用可能であり、こ
れには例えばトウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、脂肪種子作物、樹木種、
テンサイ、キャッサバ、トマト、ジャガイモ、その他の数多くの野菜、果物が含
まれる。
【0077】 さらにもう1つの局面において、本発明は、本発明による核酸分子を発現する トランスジェニック植物細胞または前記蛋白質のレベルの低下を示す細胞のいず
れかを含む本発明によるトランスジェニック植物の回収可能部分および繁殖材料
にも関する。回収可能部分は原則として植物の任意の有用な部分であってよく、
例えば花、花粉、実生、塊茎、葉、茎、果実、種子、根などである。繁殖材料に
は、例えば種子、果実、挿木、実生、塊茎、台木が含まれる。
【0078】 上記の通り、本発明のサイクリン依存性キナーゼ阻害物質は、植物および細胞
懸濁液において異なる発現パターンを呈する。このため、上記のサイクリン依存
性キナーゼ阻害物質の発現を自然下で推進させる調節配列は、ある種の植物組織
中および/または植物発生の異なる発生段階で異種DNA配列を発現させるために 有用なことが判明する可能性がある。
【0079】 したがって、1つのさらなる局面において、本発明は、上記の本発明の核酸分 子または本発明の核酸分子に対して相同な核酸分子の発現を自然下で調節してい
るプロモーターの調節配列に関する。CKI遺伝子の発現パターンは本発明に従っ て詳細に検討されており、実施例8、9、および特に実施例13にまとめられている
。当技術分野で周知の方法を用いて、上記のDNA配列の発現を自然下で調節して いるプロモーターの調節配列を単離することができる。例えば、当業者は、CKI 遺伝子をプローブとして用いて、ファージまたは細菌ベクター中にクローニング
された植物ゲノムDNAからなるゲノムライブラリーのスクリーニングを行うこと ができる。このようなライブラリーは、例えば、ラムダGEM11(Promega)ファー
ジ中にクローニングされ、5kbから50kbまでの範囲の断片に分画された、実生か ら調製されたゲノムDNAからなる。プローブとハイブリダイズするファージを精 製することができる。精製されたファージからDNAの抽出および配列決定を行い うる。上記のサイクリン依存性キナーゼ阻害物質をコードする遺伝子に対応する
ゲノム配列が単離されれば、当業者に周知の転写または翻訳融合法により、異種
DNA配列をこれらのプロモーターまたはその調節配列と融合させることができる 。CKI遺伝子の調節配列および特定の要素を同定するには、5'-上流ゲノム断片を
luc、gfpまたはGUSコード領域などのマーカー遺伝子の前にクローニングし、こ の結果得られたキメラ遺伝子をアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agroba
cterium tumefaciens)を介した遺伝子導入によって植物に導入すること、また は一時的発現のために植物細胞もしくは植物組織にトランスフェクトすることが
できる。本発明の調節配列の制御下にあるマーカー遺伝子を含むトランスジェニ
ック植物またはトランスフェクト植物細胞において認められるパターンから、プ
ロモーターとその調節配列との境界が明らかになる。好ましくは、前記調節配列
は、 (a)幼若根分裂組織、維管束組織中の内鞘細胞、茎頂分裂組織、幼若葉の表面 および先端、幼若実生における茎の表皮、花粉粒における葯のタペータム層、花
芽および成熟子房、球状期、心臓型期および魚雷型期の胚、胚根、 (b)根および茎頂分裂組織、分化中の幼若葉、花芽および幼若な花、子房壁、 珠柄、胚珠および花粉粒、球状期の胚、胚根、または (c)主根および側根の分裂組織、維管束組織、内鞘、成熟子房、球状期および 心臓型期の胚根において異種DNA配列の発現を付与する能力をもつ。
【0080】 本発明の文脈において、「調節配列」という用語は、例えばそれらが細胞およ
び/または特異性を付与するという意味において、発現の特異性および/または
レベルに影響を及ぼす配列を指す;前記参照。このような領域は転写開始部位の
上流に位置しうるが、その下流、例えば転写はされるが翻訳はされないリーダー
配列中に位置することも可能である。
【0081】 本発明の意味する範囲における「プロモーター」という用語は、転写開始のた
めに必要なヌクレオチド配列、すなわちRNAポリペプチド結合部を指し、例えばT
ATAボックスも含みうる。
【0082】 本明細書で用いられる「本発明の核酸分子に対して相同な核酸分子」という用
語には、CKI1蛋白質をコードする遺伝子、さらにはCKI遺伝子と相同であって実 質的に同じ発現パターンを呈する、例えばトウモロコシ、アルファルファ、ジャ
ガイモ、モロコシ、キビ、ハトムギ、オオムギ、コムギおよびイネなどのその他
の種由来の遺伝子などの、その他のCKI遺伝子のプロモーター領域および調節配 列が含まれる。このようなプロモーターは、根増殖組織および上記のその他の組
織において異種DNA配列に発現性を付与しうることを特徴とする。
【0083】 このため、本発明によれば、上記に定義したCKI特異的な核酸分子のプロモー ター、または上記の組織および細胞で発現されるという意味において同一もしく
は同様の発現パターンを呈する遺伝子のプロモーターの調節配列と機能的に相同
な、任意の種に由来する調節配列を用いることができる。しかし、本発明の調節
配列によって付与される発現は、例えば根分裂組織細胞には限定されないと考え
られ、例えば分裂組織のサブドメインを含む、またはそれに限定することも可能
である。個々の発現パターンは、用いる植物/ベクター系にもよると考えられる
。しかし、本発明の調節配列によって促される異種DNA配列の発現は、本発明の 調節配列の特定の要素がその他の細胞種における異種DNA配列の発現を制御する ように当業者によって利用および設計されたものでない限り、根分裂組織で主と
して起こる。
【0084】 また、当業者には、本発明の調節配列にさらに調節性要素を付加しうることも
直ちに明らかとなる。例えば、本発明の調節配列の誘導性発現を可能とする転写
エンハンサーおよび/または配列を用いることもできる。適した誘導系は、例え
ばガッツ(Gatz)、前記に記載されているテトラサイクリン調節性遺伝子発現で
ある。
【0085】 本発明の調節配列は、シロイヌナズナまたはアルファルファのCKI遺伝子に由 来するものでよいが、その他の植物も同じくこのような調節配列の適した供給源
となりうる。
【0086】 通常、前記調節配列は組換えDNA分子の一部である。本発明の1つの好ましい態
様において、組換えDNA分子中の調節配列は異種DNA配列と機能的に結合している
。本発明の調節配列と機能的に結合したDNA配列に関する異種という用語は、前 記DNA配列が本発明の調節配列と自然下では結合していないことを意味する。前 記異種DNA配列の発現は、DNA配列の転写、好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写を
含む。真核細胞、好ましくは植物細胞における発現を実現させる調節性要素は当
業者には周知である。それらは通常、転写の終結および転写物の安定化を実現さ
せるポリAシグナルを含んでおり、これについては前記も参照されたい。そのほ かの調節性要素には転写および翻訳エンハンサーが含まれうる;前記参照。
【0087】 1つの好ましい態様において、上記の組換えDNA分子の異種DNA配列は、ペプチ ド、蛋白質、アンチセンスRNA、センスRNAおよび/またはリボザイムをコードす
る。本発明の組換えDNA分子は、単独でも、例えば病害抵抗性の制御、栄養価の 調節またはCKI関連遺伝子の発現などのための蛋白質をコードするといった異種D
NA配列の発現のためのベクターの一部としても用いることができる。関心対象の
蛋白質をコードするDNA配列を含む組換えDNA分子またはベクターを細胞に導入す
ると、続いてこの細胞は関心対象の蛋白質を産生する。例えば、植物における雄
性不稔または雌性不稔の作製に用いるために、本発明の調節配列をそれぞれバー
スター(Barstar)およびバーナーゼ(Barnase)をコードする配列と機能的に結
合させることができる。
【0088】 一方、前記蛋白質は、ルシフェラーゼ、グリーン蛍光蛋白質またはβ-ガラク トシダーゼなどのスコア化可能なマーカーでもよい。本態様は、本明細書で以下
に説明する、CKI特異的遺伝子の発現を調節しうる化合物および物質に関する簡 便および迅速なスクリーニング法のために特に有用である。例えば、化合物が本
発明の調節配列の制御下にある遺伝子の発現に影響を及ぼすか否かを判定するた
めに候補化合物の存在下および非存在下で細胞懸濁液を培養することができ、こ
のことは例えば上記のマーカーの発現のモニタリングによって評価することがで
きる。また、例えば、前記マーカーの発現を誘導または阻害する化合物の直接的
選択をもたらす選択性マーカーなどをコードするその他のマーカー遺伝子も用い
うることも当業者には直ちに明らかとなる。
【0089】 本発明の調節配列をアンチセンス法の手法に用いることもできる。アンチセン
スRNAは、関心対象の特異的なmRNA配列および/またはDNA配列の一部に対して相
補的となるように作製された短い(一般に少なくとも10、好ましくは少なくとも
14ヌクレオチド、選択的には最大100またはそれ以上のヌクレオチドの)ヌクレ オチド配列であってよい。アンチセンス技術に関する標準的な方法は記載されて
おり、例えばクラン(Klann)、Plant Physiol. 112(1996)、1321〜1330を参 照されたい。DNA配列のアンチセンスRNAへの転写後にアンチセンスRNAは細胞内 の標的配列と結合し、それによってmRNAの翻訳を阻害し、mRNAによってコードさ
れる蛋白質の発現をダウンレギュレートする。したがって、1つのさらなる態様 において、本発明は、上記の調節配列またはその相補鎖と特異的にハイブリダイ
ズする長さが少なくとも15ヌクレオチドの核酸分子に関する。このような核酸分
子に関して考えられる用途については前記を参照されたい。
【0090】 本発明は、本発明の組換えDNA分子を含む、遺伝子工学において通常用いられ るベクター、特にプラスミド、コスミド、ウイルスおよびバクテリオファージに
も関する。好ましくは、前記ベクターは発現ベクターおよび/または植物に関す
る選択マーカーをさらに含むベクターである。適した選択マーカーの例について
は前記を参照されたい。組換えベクターの作製には当業者に周知の方法を用いる
ことができ、これについては例えばサムブルック(Sambrook)、分子クローニン
グ:実験室マニュアル(Molecular Cloning A Laboratory Manual)、Cold Spri
ng Harbor Laboratory(1989)N.Y.およびアウスユーベル(Ausubel)、分子生 物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、
Green Publishing Associates and Wiley lnterscience、N.Y.(1989)を参照さ
れたい。または、標的細胞への送達のために、本発明の組換えDNA分子およびベ クターをリポソーム中に再構成することもできる。
【0091】 本発明はさらに、本発明の調節配列、DNA分子またはベクターによる形質転換 を受けた宿主細胞に関する。前記宿主細胞は原核細胞でも真核細胞でもよい;前
記参照。
【0092】 1つのさらに好ましい態様において、本発明は、本発明の核酸分子、組換えDNA
分子またはベクターを前記植物、植物細胞または植物組織のゲノム中への導入す
ることを含む、トランスジェニック植物、植物細胞または植物組織の作製のため
の方法を提供する。植物細胞における本発明による調節配列の制御下にある異種
DNA配列の発現のために、ポリA尾部などの調節配列を、好ましくは異種DNA配列 の3'側と融合させることもでき、これについては前記も参照されたい。導入遺伝
子の境界部に、「デリミタ」として作用し、付近のヘテロクロマチン配列から波
及するメチル化を遮断するマトリックス付着部位を付加することもまた別の可能
性であると思われる。植物、植物細胞および植物組織に外来性DNAを導入するた めの方法は上に記載されている。
【0093】 このため、本発明は、ゲノム中に安定的に組み込まれた本発明による組換えDN
A分子またはベクターを含むトランスジェニック植物細胞にも関する。
【0094】 さらに、本発明は、上記のトランスジェニック植物細胞を含むトランスジェニ
ック植物および植物組織にも関する。これらの植物は、例えば病害抵抗性の増強
を示すと思われる。
【0095】 さらにもう1つの局面において、本発明は、上記のトランスジェニック植物細 胞を含む本発明によるトランスジェニック植物の回収可能部分および繁殖材料に
も関する。回収可能部分および繁殖材料は原則的には植物のあらゆる有用な部分
でありうる;前記参照。
【0096】 本発明の調節配列により、インビボでのCKI特異的遺伝子の発現を検討するこ とが可能であると思われる。さらに、CKI特異的遺伝子の発現は生理的および病 理的状態のさまざまな段階で異なるパターンを有するため、例えばイオンまたは
エリシターに応じて起こるCKI遺伝子の発現のアップまたはダウンレギュレーシ ョンに重要と思われるさらなる調節配列を明らかにすることが今日では可能であ
る。さらに、今日では、細胞周期における特定の遺伝子発現のさまざまな機能的
または調節的な面に影響を及ぼす変異に関するインビボ試験も可能である。
【0097】 上記にて言及したインビボ試験は、細胞周期の制御にかかわる機構に関する知
識をさらに広げるために適したものと考えられる。現時点では、細胞周期におけ
るCKIの活性、性質もしくは作用様式に関して、および植物発生過程におけるそ れらの役割に関しては全く知られていない。植物および植物細胞における本発明
の調節配列の制御下にある異種遺伝子またはアンチセンスRNAの発現により、植 物におけるこれらの各蛋白質の機能の解明が可能になると思われる。
【0098】 本発明はさらに、 (a)本発明の調節配列と機能的に結合した読み出し系(readout system)を含 む組換えDNA分子を含む植物、植物細胞または植物組織の提供、 (b)前記読み出し系の発現を許容する条件下での、1つの化合物または複数の化
合物を含む試料の存在下における前記植物細胞もしくは組織の培養、または前記
植物の維持、 (c)前記植物、植物細胞または植物組織における前記読み出し系の発現の抑制 または活性化および/もしくは増強をもたらす、試料および化合物のそれぞれ同
定または確認 の段階を含む、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質をコードする遺伝子の活性化
物質または阻害物質を同定するための方法に関する。
【0099】 本発明はさらに、 (a)スクリーニングしようとする化合物と、本発明の蛋白質および適切な条件 下で蛋白質と相互作用しうる読み出し系を含む反応混合物との組み合わせ、 (b)蛋白質と前記読み出し系との相互作用を許容する条件下での、化合物また は複数の化合物を含む試料の存在下における前記反応混合物の維持、 (c)読み出し系の抑制または活性化をもたらす試料および化合物のそれぞれ同 定および確認 の段階を含む、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の活性化物質または阻害物質
を同定および入手するための方法に関する。
【0100】 本発明に係る文脈における「読み出し系」という用語は、細胞、組織または器
官において転写および/または発現した際に、スコア化可能および/または選択
性の表現型を提供するDNA配列を意味する。このような読み出し系は当業者には 周知であり、例えば、上記および添付の実施例で説明する組換えDNA分子および マーカー遺伝子が含まれる。本発明の方法における「複数の化合物」という用語
は、同一でも同一でなくともよい複数の物質として理解されるべきである。
【0101】 前記の化合物または複数の化合物は、例えば、植物、動物または微生物などか
らの細胞抽出物などの試料中に含めてもよい。さらに、前記化合物は細胞周期相
互作用蛋白質を抑制または活性化しうることが当技術分野で知られていても、こ
れまで知られていなくてもよい。反応混合物は無細胞抽出物でもよく、細胞また
は組織培養物を含んでもよい。本発明の方法のために適した設備は当業者に知ら
れており、例えばアルバート(Alberts)ら、細胞の分子生物学(Molecular Bio
logy of Cell)、第3版(1994)、特に第17章に広く記載されている。複数の化 合物は例えば反応混合物、培地に添加しても細胞内に注入してもよい。1つの化 合物または複数の化合物を含む試料が本発明の方法において同定されれば、サイ
クリン依存性キナーゼ阻害物質を抑制もしくは活性化しうる化合物を含むと同定
された最初の試料から化合物を単離すること、または、例えばそれが複数の異な
る化合物からなる場合には、試料当たりの異なる物質の数を減らして最初の試料
を細分したものに対して本方法を繰り返すために、最初の試料をさらに細分する
ことが可能である。試料の複雑さに応じて、好ましくは本発明の方法に従って同
定された試料が限られた数または唯一の物質のみを含むようになるまで、上記の
段階を複数回にわたって行うことができる。好ましくは、前記試料は類似した化
学的および/または物理的特性を有する物質を含み、最も好ましくは前記物質は
同一である。好ましくは、上記の方法に従って同定される化合物またはその誘導
体は、植物育種ならびに植物細胞および組織の培養における用途に適した形態へ
とさらに処方化される。
【0102】 本発明の方法に従って試験および同定しうる化合物は、例えばcDNA発現ライブ
ラリーなどの発現ライブラリー、ペプチド、蛋白質、核酸、抗体、低分子有機化
合物、ホルモン、ペプチド模倣物、PNAなどでありうる(Milner、Nature Medici
ne 1(1995)、879〜880;Hupp、Cell 83(1995)、237〜245;Gibbs、Cell 79 (1994)、193〜198および前記に引用した参考文献)。さらに、サイクリン依存
性キナーゼ阻害物質の調節因子と推定されるものおよび/または本発明の細胞周
期相互作用蛋白質の上流もしくは下流に作用を及ぼすものをコードする遺伝子を
、例えば、当技術分野で知られた遺伝子ターゲティングベクターなどを用いる挿
入変異誘発法(insertion mutagenesis)(例えば、Hayashi、Science 258(199
2)、1350〜1353;FritzeおよびWalden、T-DNAタギングによる遺伝子活性化(Ge
ne activation by T-DNA tagging)、Methods in Molecular biology 44(Gartl
and, K.M.A.およびDavey, M.R.編)、Totowa:Human Press(1995)、281〜294 を参照)またはトランスポゾンタギング(Chandlee、Physiologia Plantarum 78
(1990)、105〜115)などを用いて同定することもできる。また、前記化合物は
、既知の阻害物質または活性化物質の機能的誘導体または類似体であってもよい
。化学的誘導体および類似体の調製のための方法は当業者に周知であり、例えば
バイルシュタイン(Beilstein)、有機化学ハンドブック(Handbook of Organic
Chemistry)、Springer edition New York Inc.、175 Fifth Avenue、New York
、N.Y. 10010 U.S.A.および有機化学(Organic Synthesis)、Wiley、New York 、USAに記載されている。さらに、当技術分野で知られた方法に従って、前記誘 導体および類似体を効果に関して試験することもできる。さらに、例えば上記の
方法に従って、ペプチド模倣物ならびに/またはコンピュータ利用による適切な
誘導体および類似体を用いることもできる。本発明の方法に用いうる細胞または
組織は、好ましくは前記の態様で説明した本発明の宿主細胞、植物細胞または植
物組織である。
【0103】 ある化合物が細胞周期相互作用蛋白質を抑制または活性化しうるか否かの判定
は、例えば、DNA複製および細胞分割のモニタリングによって行いうる。これは さらに、化合物と接触した本発明の細胞の表現型特性を観測し、それを野生型植
物のものと比較することによっても行いうる。1つのさらなる態様において、前 記特性を、細胞周期相互作用蛋白質を抑制もしくは活性化しうる、またはしえな
いことが知られた化合物と接触させた細胞のものと比較してもよい。
【0104】 上記の方法によって同定される阻害物質または活性化物質は、除草剤、殺虫剤
および/または植物成長調整物質として有用なことが明らかになると思われる。
このため、1つのさらなる態様において、本発明は、本発明の方法に従って入手 または同定される化合物であって、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の活性化
物質またはサイクリン依存性キナーゼ阻害物質の阻害物質である前記化合物に関
する。
【0105】 このような有用な化合物は、例えば、本発明のサイクリン依存性キナーゼ阻害
物質と結合するトランス作用因子のことがある。トランス作用因子の同定は、当
技術分野における標準的な方法を用いて行いうる(例えば、Sambrook、前記およ
びAusubel、前記を参照されたい)。ある蛋白質が本発明の蛋白質と結合するか 否かを判定するには、標準的な未変性ゲルシフト分析を行うことができる。本発
明の蛋白質と結合するトランス作用因子を同定するためには、本発明の蛋白質を
標準的な蛋白質精製法における親和性試薬として、または発現ライブラリーのス
クリーニング用のプローブとして用いることができる。トランス作用因子がいっ
たん同定されれば、例えば、トランス作用因子の本発明の蛋白質との結合に対抗
する阻害物質に関するスクリーニングから始めて、本発明のサイクリン依存性キ
ナーゼ阻害物質に対するその結合の調節に向けた取り組みが行えるようになる。
そうすれば、トランス作用因子(またはその阻害物質)、または例えばトランス
ジェニック植物用のベクター中にある、それをコードする遺伝子を適用すること
により、植物におけるサイクリン依存性キナーゼ阻害物質の活性化または抑制を
達成することができる。さらに、活性化型のトランス作用因子が二量体であれば
、その活性を阻害するためにトランス作用因子のドミナントネガティブ変異体を
作製することができる。さらに、トランス作用因子が同定されれば、これに続い
て、細胞周期の制御に関与する遺伝子の活性化(シグナル伝達など)または抑制
につながる経路におけるさらなる構成要素を同定することができる。そうすれば
、動物および植物における細胞周期を調節するためのさらなる薬物および方法を
開発するために、これらの構成要素の活性の調節に取り組むことが可能となる。
【0106】 本発明は、前記の核酸分子、ベクター、蛋白質、抗体、調節配列、組換えDNA 分子または化合物、および選択的には検出のために適した手段のうち少なくとも
1つを含む、診断的組成物にも関する。
【0107】 前記の診断的組成物は、細胞からのmRNAの単離、およびそのようにして得られ
たmRNAと上記の核酸プローブを含むプローブとのハイブリダイゼーション条件下
での接触、プローブとハイブリダイズしたmRNAの存在の検出、およびそれによる
細胞内での蛋白質の発現の検出を含む、対応するmRNAの存在の検出によって、サ
イクリン依存性キナーゼ阻害物質の発現を検出するための方法に対して用いうる
。本発明による蛋白質の存在を検出するさらなる方法は、例えば固相酵素免疫測
定法などの当技術分野で周知の免疫学的技法を含む。さらに、植物育種における
分子マーカーとして本発明による核酸分子を用いることも可能である。
【0108】 当業者は、哺乳動物または昆虫などのその他の生物体における細胞分裂の進行
に影響を与えるために酵母および動物などのその他の生物体に由来する本発明に
よる蛋白質を用いることができる。1つの好ましい態様において、1つまたは複数
の本発明のDNA配列、ベクターもしくは蛋白質または上記の抗体もしくは化合物 を、例えば、形質転換植物、特に ・完全な植物体において ・選択された植物器官、組織または細胞種において ・寒冷、加熱、乾燥もしくは塩ストレスなどの非生物的ストレスまたは病原体感
染などの生物的ストレスを含む、特定の環境条件下 ・特定の発生段階の間 における細胞周期の進行におけるG1/Sおよび/またはG2/M移行期に関与する遺
伝子の発現レベルの途絶を特異的に妨げるために用いられる。
【0109】 具体的には、植物細胞の分裂速度および/または植物細胞分裂の阻害には、本
発明による蛋白質をコードする遺伝子の(部分的)除去または遺伝子の発現の低
下によって影響を与えることができる。また、例えば前記蛋白質に対する抗体を
用いることによって本発明による蛋白質の活性を除去または阻害することによっ
て、前記の植物細胞の分裂速度および/または植物細胞分裂の阻害に影響を与え
ることもできる。前記の除去または低下の結果として、より大きな生物体または
特定の器官または組織を得ることができ、同じく体積および質量の点でもより大
きくなる。さらに、前記の本発明による遺伝子の発現の低下によって、乾燥、高
い塩含有率、寒冷などの種々の有害な環境条件による細胞分裂の阻害を遅延また
は防止することができる。また、本発明による配列の過剰発現によって、形質転
換植物における植物細胞の分裂速度に影響を与えることもできる。前記の形質転
換植物は、当該ポリペプチドをコードする遺伝子またはその断片を単独または組
み合わせて用いることによる植物細胞の形質転換によって得ることができ、植物
細胞は単子葉または双子葉植物に属しうる。この目的のためには、1つの作製物 中にあるか、または当該配列に加えて別々の作製物として存在する組織特異的プ
ロモーターを用いることができる。このため、本発明の1つの重要な面は、組織 、細胞または器官特異的プロモーターの制御下にある本発明による配列の発現の
過剰産生または低下によって植物の構成を改変するための方法である。本発明の
もう1つの面は、本発明による配列の適切な使用によって、上記の環境ストレス によって引き起こされる植物の成長阻害を改変するための方法である。驚くべき
ことに、本発明によるポリペプチドまたはその断片を用いて、または本発明によ
る遺伝子の発現を低下させるためのアンチセンスRNAもしくは任意の方法を用い て、植物の主根および側根の両方、茎頂または維管束組織における細胞分裂を操
作することができる。さらに、本発明の任意のDNA配列、ならびにCDK1をコード するものは、核内倍数性のレベルを操作し(低下または上昇させ)、それによっ
て例えば胚乳細胞の貯蔵能を高めるために用いることができる。
【0110】 本発明のもう1つの局面は、本発明の1つまたは複数のDNA配列、ベクターもし くは蛋白質、調節配列もしくは組換えDNA分子、または上記の抗体もしくは化合 物を、例えば、植物の貯蔵細胞、貯蔵組織および/もしくは貯蔵器官またはその
一部における核内倍加を調節するために用いることができるという点である。「
核内倍加」という用語は、有糸分裂および細胞質分裂が続いて起こらない反復性
のDNA複製を意味する。
【0111】 核内倍加の調節のための標的となる好ましい貯蔵器官およびその一部は、例え
ば、種子(穀類、脂肪種子作物のものなど)、根(テンサイのものなど)、塊茎
(ジャガイモのものなど)および果実(野菜および果物のものなど)である。さ
らに、貯蔵器官およびその一部における核内倍加の亢進は、貯蔵能の増加および
それ自体として収穫量の改善と相関することが予想される。本発明のさらにもう
1つの面において、植物全体またはその一部において核内倍加が調節された植物 を、上記の手段により、当業者に知られた様式での細胞の形質転換によって、単
一の植物細胞から得ることができる。
【0112】 上記の観点からみて、本発明は、植物細胞周期、植物細胞の分裂および/もし
くは増殖の調節のため、サイクリン依存性プロテインキナーゼ阻害物質の活性に
影響を与えるため、サイクリン依存性プロテインキナーゼ阻害物質の有無に影響
を与えることもしくはその発現を妨げることによって植物細胞の分裂を阻止する
ため、環境ストレス条件によって引き起こされる植物の成長阻害を改変するため
、雄性もしくは雌性不稔を誘発するため、上記に定義した宿主における細胞分裂
の進行に影響を与えるため、または細胞周期蛋白質の抑制物質もしくは活性化物
質を同定するためのスクリーニング法において用いるための、本発明のDNA配列 、ベクター、蛋白質、抗体、調節配列、組換えDNA分子、核酸分子または化合物 の使用にも関する。特質が改変された植物の遺伝子操作のため、および相同分子
の同定のために本発明による核酸分子を用いるという上記の可能性に加えて、上
記の核酸分子は、例えば、上記の細胞周期蛋白質と相互作用する蛋白質をコード
する核酸分子の同定のためのいくつかの他の用途に用いることもできる。これは
、上記のもの、および例えばスコフィールド(Scofield)(Science 274(1996 )、2063〜2065)に記載されたいわゆる酵母「ツーハイブリッドシステム」の使
用によるものなども含む、当技術分野で周知のアッセイによって達成することが
でき、これについては添付の実施例も参照されたい。このシステムでは、本発明
による核酸分子によってコードされる蛋白質またはその一部を、GAL4転写因子の
DNA結合ドメインと連結させる。この融合蛋白質を発現し、GAL4転写因子によっ て認識される適切なプロモーターによって働くlacZレポーター遺伝子を含む酵母
菌株に、活性化ドメインと融合させた植物蛋白質またはそのペプチドを発現する
と思われるcDNAのライブラリーによる形質転換を施す。したがって、cDNAの1つ によってコードされるペプチドが本発明の蛋白質のペプチドを含む融合ペプチド
と相互作用しうる場合には、この複合体はレポーター遺伝子の発現を指令すると
思われる。このようにして、本発明による核酸分子およびコードされるペプチド
を、細胞周期相互作用蛋白質と相互作用するペプチドおよび蛋白質の同定に用い
ることができる。相互作用蛋白質の結合に対する阻害物質を同定するためにこの
系および同様の系をさらに活用しうることは当業者には明らかである。
【0113】 本発明による蛋白質またはこのような分子をコードする核酸分子と相互作用す
る化合物を同定するための他の方法には、例えば、ファージディスプレイ系を用
いるインビトロスクリーニングのほか、フィルター結合アッセイ、または例えば
ビアコア(BIAcore)装置(Pharmacia)を用いての相互作用の「リアルタイム」
測定がある;前記に引用した参考文献を参照のこと。
【0114】 さらに、本発明に係る核酸分子を植物育種における分子マーカーとして用いる
ことも可能である。そのうえ、本発明による核酸分子の過剰発現は、植物/病原
体相互作用の変更または改変のために有用と思われる。「病原体」という用語に
は、例えば細菌、ウイルスおよび真菌、さらに原生動物が含まれる。
【0115】 上記およびその他の態様は、本発明の説明および実施例によって開示および包
含される。本発明に従って用いられる方法、材料、用法および化合物の任意の1 つに関するさらなる文献は、例えば電子装置を用いて公的ライブラリーから引き
出しうる。例えば、例えばhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/medline.html
でインターネット上で利用可能である公的データベース「メドライン(Medline )」を利用することができる。これ以外のデータベースおよびhttp://www.ncbi
.nlm.nih.gov/、http://www.infobiogen.fr/、http://www.fmi.ch/biology/re
search_tools. html、http://www.tigr.org/などのアドレスは当業者に知られ ており、例えばhttp://www.lycos.com.を用いて利用することもできる。バイオ
テクノロジーにおける特許情報の概要および遡り検索および現在の認識に関して
有用な特許情報の関連情報源の概説は、バークス(Berks)、TIBTECH 12(1994 )、352〜364において提供されている。
【0116】 本発明はさらに、以下の非制限的な図面および実施例を参照することによって
説明される。
【0117】本発明を例示する実施例 別に述べる場合を除き、すべての組換えDNA法は、サムブルック(Sambrook) ら(1989)、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning :A La
boratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NYまたはアウスユ
ーベル(Ausubel)ら(1994)、分子生物学における最新プロトコール、最新プ ロトコール(Current Protocols in Molecular Biology、Current Protocols) の第1巻および第2巻に記載されているプロトコールに従って実施する。植物の分
子的作業のための標準的な材料および方法は、バイオスサイエンティフィックパ
ブリケーションズ社(BIOS Scientific Publications Ltd)(UK)およびブラッ
クウェルサイエンティフィックパブリケーションズ社(Blackwell Scientific P
ublications)(UK)から共同出版されているR.D.D. クロイ(Croy)による「植
物分子生物学ラブファーセ(Plant Molecular Biology Labfase)」(1993)に 記載されている。
【0118】実施例1:推定サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の同定 CKIの同定を目的とする、CDC2aAt相互作用タンパク質を同定するために、his3
およびlacZレポーター遺伝子の双方の発現を調節するGAL4認識部位に基づくツー
ハイブリッドシステムを用いた。ツーハイブリッドスクリーニングのために用い
るおとり(bait)は、CDC2aAtコード領域をpGBT9ベクター(Clontech)中に挿入
することによって作製した。挿入物はCDC2aAt cDNAをテンプレートとして用いる
PCRによって作製した。プライマーはEcoRI制限酵素部位を組み入れるように設計
した。用いたプライマーは5'-CGAGATCTGAATTCATGGATCAGTA-3'(配列番号:7)お
よび5'-CGAGATCTGAATTCCTAAGGCATGCC-3'(配列番号:8)である。PCR断片をEcoR
Iで切断してpGBT9のEcoRI部位にクローニングし、pGBTCDC2Aプラスミドを得た。
スクリーニングには、シロイヌナズナ浮遊培養細胞から作製したGAL4活性化ドメ
インcDNA融合ライブラリーを用いた。このライブラリーは、新規培地で培養液を
希釈してから20時間後、3、7および10日後に回収した細胞から単離したRNAを用 いて作製した。これらの時点は、対数増殖期初期から定常期後期までの細胞に対
応する。mRNAはダイナビーズ(Dynabeads)オリゴ(dT)25(oligo(dT)25)を製造
者(Dynal)の指示に従って用いて調製した。GAL4活性化ドメインcDNA融合ライ ブラリーは、ハイブリザップ(HybriZAP)(登録商標)ツーハイブリッドcDNAギ
ガパック・クローニングキット(Two-Hybird cDNA Gigapack cloning Kit)(St
ratagene)とともに購入したHybriZAP(登録商標)ベクターを製造者の指示に従
って用いて作製した。この結果得られたライブラリーは、独立したプラーク形成
単位。約3x106を含み、挿入物の平均サイズは1Kbであった。
【0119】 スクリーニングのために、酢酸リチウム法(Gietzら、1992、Nucleic Acids R
es. 20、1425)を用いて、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevi
siae)HF7c株(MATa ura3-52 his3-200 ade2-101 lys2-801 trp1-901 leu2-3,11
2 gal4-542 gal80-538 LYS2::GAL1UAS-GAL1TATA-HIS3 URA3::GAL417mers(3x)-Cy
C1TATA-LacZ)の培養液1lに対して、400μgのpGBTCDC2A 、500μgのライブラリ ーDNAおよび40mgのサケ精子キャリアDNAによる同時形質転換を行った。独立な同
時形質転換体の数を評価するために、形質転換混合物の1/1000をLeu-およびTrp - の培地に播いた。残りの形質転換混合物はヒスチジン原栄養株(Trp-、Leu-、H
is-)を選択するための培地に播いた。30℃での3日間のインキュベーションの後
、合計で約1.2×107個の細胞から独立した形質転換体1200コロニーが増殖した。
2mmを超えるコロニーを、10mM 3-アミノ-1,2,4-トリアゾール(Sigma)を添加し
たヒスチジン無添加培地上で画線培養した。これらの条件下で増殖可能であった
250コロニーに対して、記載の通りにβ-ガラクトシダーゼ活性の試験を行ったと
ころ(BreedonおよびNasmyth 1995、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 5
0、p643〜650)、153個がHis+およびLacZ+であることが判明した。陽性クローン
からプラスミドDNAを調製し、塩基配列を決定した。
【0120】 プラスミドpGADLDV39、pGADLDV66およびpGADLDV159は、それぞれの末尾の23ア
ミノ酸がヒトCKIであるp21cip1およびp27kip1と著しい相同性を示す蛋白質(そ れぞれLDV39、LDV66およびLDV159と命名)を含んでいた。LDV159クローンはICK1
(ワング(Wang)によりNature 386(1997)、451〜452に発表されている通り、
GenBank寄託番号U94772)と同一であった。残る2つのクローンは新規であり、IC
K1との類似性がわずかに見られるに過ぎない蛋白質をコードしていた(表1)。L
DV39遺伝子は622bp長であり、423bpのコード領域および199bpの3' UTR(ポリAテ
ールを除く)からなっていた。LDV66遺伝子は611bp長であり、379bpのコード領 域および232bpの3' UTR(ポリAテールを除く)からなっていた。
【0121】 LDV39、LDV66およびLDV159の間の相互作用の特異性を、pGBTCDC2AおよびpGADL
DV39/pGADLDV66/pGADLDV159による酵母の再形質転換によって検証した。対照 として、pGBTCDC2AおよびGAL4活性化ドメインのみを含むベクター(pGAD424)に
よる同時形質転換、ならびにpGADLDV39/pGADLDV66/pGADLDV159ベクターおよび
GAL4 DNA結合ドメインのみを含むプラスミド(pGBT9)による同時形質転換を行 った。形質転換体を、ヒスチジン含有または非含有培地に播いた。ヒスチジンの
非存在下で増殖可能であったのは、pGBTCDC2AならびにpGADLDV39、pGADLDV66も しくはpGADLDV159のいずれかを含む形質転換体のみであった。
【0122】実施例2:LDV66、LDV39およびLDV159はCDC2aAtと結合するが、CDC2bAtとは結合 しない
【0123】 CDC2bAtの完全長コード領域をpGBT9ベクター中にクローニングすることにより
、GAL4 DNA結合ドメインのC末端とCDC2bAtとの融合蛋白質をコードするpGBTCDC2
Bベクターを作製した。HF7c酵母株においてpGBTCDC2BおよびpGADLDV66/pGADLDV
39/pGADLDV159による形質転換を行い、同時形質転換体をヒスチジン含有または
非含有培地に播いた。対照として、pGBTCDC2AをpGADLDV66/pGADLDV39/pGADLDV
159とともに形質転換に用いた。pGBTCDC2Aベクターを含む形質転換体とは対照的
に、pGBTCDC2Bベクターを含む同時形質転換体はヒスチジンの非存在下では増殖 不能であった。このことは、LDV66、LDV39、LDV159蛋白質はCDC2aAtと結合する が、CDC2bAtとは結合しないことを示す。
【0124】実施例3:FL39およびFL66配列の単離 LDV39およびLDV66クローンはアミノ末端を欠く不完全な蛋白質をコードしてい
るため、ABRC貯蔵センターから入手した花cDNAライブラリー(ライブラリー貯蔵
番号CD4-6)のスクリーニングを行った。蛍光標識したLDV39またはLDV66プロー ブを製造者(Amersham)の手順書に従って用い、ハイブリダイゼーション温度60
℃で、合計50,000プラーク形成単位をハイブリダイズさせた。16時間のハイブリ
ダイゼーションの後に、フィルターを2×SSC、0.1×SDSで15分間、さらに1×SSC
、0.1×SDSで15分間洗った。シグナルの検出には、CDPスター検出モジュール(C
DP-star detection module)を製造者(Amersham)の手順書に従って用いた。シ
グナルはオートラジオグラフィーによって可視化した。いずれの遺伝子に関して
も陽性シグナルが同定されたのは50,000種のファージのうち1つのみであり、こ のことから花におけるLDV39およびLDV66のmRNAレベルは低いことが示唆された。
陽性シグナルに対応するファージをゲルから溶出させ、2回目および3回目のハイ
ブリダイゼーションでそれぞれ1,000および50プラーク形成単位を用いる2回のハ
イブリダイゼーションをさらに行うことによって精製した。ハイブリダイゼーシ
ョン条件は上記のものと同様である。純粋なファージを得た後にDNAを抽出し、 塩基配列を決定した。陽性クローンはFL39およびFL66と命名されたが、これはそ
れぞれLDV39およびLDV66のより長いクローンに相当する。
【0125】 FL39クローンは932bp長であり、209アミノ酸からなる蛋白質をコードするORF を含み、分子量は24kDaと算出される。その3' UTRにおいてポリアデニル化シグ ナルを認識しうる。FL39蛋白質のアミノ末端は11アミノ酸(VRRRD/ExxxVEE、配
列番号:33)の反復モチーフを含む。このモチーフはデータベース中の他の蛋白
質には認められず、その意義は不明である。また、FL39蛋白質は推定される核局
在化シグナル(アミノ酸23〜26)およびPESTに富む領域(アミノ酸71〜98、PEST
FINDスコア+15.5)も含む。プロリン、グルタミン酸、セリンおよびプロリンに 富むこれらの配列は、不安性な蛋白質中に特徴的に存在する(Rogersら、1986、
Science 234、364〜368)。
【0126】 FL66配列はインフレームで停止コドンを含んでおらず、このため完全長ではな
いと思われる。FL66クローンは875bp長であり、24kDの蛋白質をコードする216ア
ミノ酸のORFを有する。核局在化シグナルおよびPESTドメインは存在しない。
【0127】 FL39、FL66およびLDV159クローンのゲノム構成を、DNAゲルブロット分析によ って検討した。3つの異なる制限酵素で消化したシロイヌナズナ(A. thaliana)
C24 DNAを、製造者(Amersham)の手順書に従ってLDV159、FL39またはFL66配列 から調製したフルオレセイン標識物をプローブとして検索した。ハイブリダイゼ
ーションは60℃で行った。16時間のハイブリダイゼーションの後、膜を2×SSC、
0.1×SDSで15分間、さらに1×SSC、0.1×SDSで15分間洗った。シグナルの検出に
は、CDPスター検出モジュール(CDP-star detection module)を製造者(Amersh
am)の手順書に従って用いた。シグナルはオートラジオグラフィーによって可視
化した。LDV159およびFL39に関するあらゆる消化物のうちで認められたのは1つ のハイブリダイゼーションバンドのみであった。FL66については、ほかに弱いバ
ンドが1本認められた。この強度の低いバンドがLDV159およびFL39に関して認め られたいずれのバンドにも対応せず、このことからFL66関連遺伝子がほかにも1 つ存在することが示唆された。本発明者らは、シロイヌナズナには少なくとも4 種の異なるCKI蛋白質が存在すると結論する。
【0128】実施例4:シロイヌナズナCKIはインビボでCDC2aAtのみと結合する CDC2aAtおよびCDC2bAtに対するFL39およびFL66蛋白質の結合特異性を、ツーハ
イブリッドシステムを用いて検討した。FL39およびFL66コード領域を、pGAD424 ベクター(Clontech)中のGAL4活性化ドメインに対してインフレーム位となるよ
うにクローニングした。FL39コード領域の増幅には5'-GGGAATCCATGGGCGGCGGTTAG
GAGAAG-3'(配列番号:9)および5'-GGCGGATCCCGTCTTCTTCATGGATTC-3'(配列番 号:10)のプライマーを用いた。FL66コード領域の増幅には5'-GGCGAATCCATGGAA
GTCTCTAAAGCAAC-3'(配列番号:11)および5'-GGCGGATCCTTTTGAACTTCATGGTTTGAC
-3'(配列番号:12)のプライマーを用いた。FL66の増幅されたコード配列は、 アミノ酸第11位のメチオニンに始まる蛋白質を包含しており、このためFL66クロ
ーンによってコードされる最初の10アミノ酸を含まない。PCR断片をEcoRIおよび
BamHIによって切断してpGAD424のEcoRIおよびBamHI部位にクローニングし、pGAD
FL39およびpGADFL66クローンを得た。これらのプラスミドをpGBTCDC2AまたはpGB
TCDC2Bと組み合わせてHF7c酵母への形質転換に用いた。CDC2bAtの完全長コード 部をpGBT9ベクター(Clontech)中にクローニングすることにより、GAL4 DNA結 合ドメインのC末端とCDC2bAtとの融合蛋白をコードするpGBTCDC2Bプラスミドを 得た。
【0129】 pGBTCDC2Aベクターを含む形質転換体とは対照的に、pGBTCDC2Bベクターを含む
形質転換体はヒスチジンの非存在下では増殖不能であった。このことは、FL39お
よびFL66蛋白質がCDC2aAtとのみ結合したことを示す。
【0130】実施例5:FL39およびFL66の特異的抗体の作製 免疫処置のために十分な量のFL66およびFL39蛋白質を得るために、FL39および
FL66コード配列をpETベクター中にクローニングした。これらのベクター中にク ローニングされた遺伝子は大腸菌の強力な誘導性T7プロモーターの制御下で発現
される(Studierら、1986、J. Mol.Biol.、189、p113〜130)。FL39およびFL66 のコード領域はPCR法によって増幅した。FL66の増幅されたコード配列はアミノ 酸第11位のメチオニンに始まる蛋白質を包含しており、このためFL66クローンに
よってコードされる最初の10アミノ酸を含まない。FL39の増幅に用いたプライマ
ーは5'-TAGGAGCATATGGCGGCGG-3'(配列番号:29)および5'-ATCATCGAATTCTTCATG
GATTC-3'(配列番号:30)である。FL66の増幅に用いたプライマーは5'-ATATCAG
CGCCATGGAAGTC-3'(配列番号:31)および5'-GGAGCTGGATCCTTTTGGAATTCATGG-3' (配列番号:32)である。
【0131】 得られたFL39のPCR断片を精製し、NdeIおよびEcoRI制限酵素で切断した。この
断片をpETの誘導物であるpRK172(McLeodら、1987、EMBO J. 6、p729〜736)のN
deIおよびEcoRI部位にクローニングした。得られたFL66PCR断片を精製してNcoI およびBamHIで切断し、pET21dのNcoIおよびBamHI部位にクローニングした。FL66
pET21dは大腸菌BL21株(DE3)で形質転換した。FL39pRK172はpSBETa(Schenkら 、1995、Biotechniques 19、p196〜200)とともに大腸菌BL21株(DE3)で同時形
質転換した。PSBETaは大腸菌に微量に存在するtRNAであるtRNAUCUをコードし、 コドンAGGおよびAGA(arginine)に対応する。FL39コード配列の起始部にはAGG
AGA AGA配列(Arg 5、Arg 6、Arg 7)が存在するため、FL39の翻訳には大腸菌の
tRNAUCU貯蔵量を増すことが必要である。
【0132】 FL66pET21d/BL21(DE3)およびFL39pRK172、pSBETa/BL21(DE3)大腸菌組換
え株を、それぞれ50μg/mlのアンピシリン、ならびに50μg/mlのアンピシリン
および25μg/mlのカナマイシンを添加したLB培地中で増殖させた。細胞は、培 養液の濃度がA600nm=0.7に達するまで細胞を37℃で培養した。この時点で、組 換え蛋白質の産生を誘導するために0.4mM IPTGを添加した。その3時間後に遠心 処理によって細胞を回収した。250mlの培養液から得た細菌ペレットを10mlの溶 解緩衝液(Tris.HCl pH7.5、1mM DTT、1mM EDTA、1mM PMSFおよび0.1%Triton X
-100)中に懸濁し、凍結/解凍サイクルを3回行った後に超音波処理を行った。 細胞可溶化物を8000rpmでの20分間の遠心処理によって清澄化した。回収したペ レットを抽出緩衝液中に再び懸濁化し、その結果得られた懸濁液に超音波処理を
加え、8000rpmでの20分間の遠心処理によってペレットを回収した。3回目の洗浄
はTris抽出緩衝液+1M NaClを用いて同様の方法で行い、4回目の洗浄はTris抽出
緩衝液で行った。種々の洗浄段階を経た後、ペレットは等質性90%でFL66または
FL39蛋白質を含んでいた。ペレットをレムリ泳動緩衝液(Laemmli、1970、Natur
e 277、p680〜681)中に懸濁し、SDS/12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に よってFL66およびFL39をさらに精製した。ゲルを0.025%クーマシーブリリアン トブルーR250水溶液にて染色し、水中で脱色した。31kDa分子マーカーの位置と ともに移動した濃いバンドをメスを用いてゲルから切り出した。FL66またはFL39
を含むポリアクリルアミド断片を凍結乾燥し、粉末状にした。ウサギ免疫処置は
、この抗原調製物を完全フロイントアジュバント中に添加したものを皮下接種す
ることによって行った。1回の注射は蛋白質100μgに相当する。追加免疫注射は 、不完全フロイントアジュバントを用いて皮下に行った。この結果得られた血清
により、2日間培養した活発に分裂している培養細胞から調製した蛋白質抽出物 中に予想されたサイズのバンドが検出された。免疫処置前の血清を用いた場合に
はシグナルは全く検出されなかった。
【0133】実施例6:FL66によるキナーゼ活性の阻害 組換えFL66の作製にはFL66pET/BL21(DE3)株を用いた。FL66を含む封入体を
回収し、上記の通りに洗浄した。組換えFL66蛋白質を50mM Tris.HCl pH7.6、6M 尿素中に溶解し、氷上に1時間放置した。セファデックスG25ゲル濾過カラムによ
って尿素を除去し、50mM Tris.HCl pH7.6、400mM NaCl中にて平衡化を行うこと により、FL66蛋白質のリフォールディングを実施した。回収した画分を遠心処理
し、上清を阻害アッセイに用いた。
【0134】 2日間培養した浮遊培養細胞から調製した合計100μgの蛋白質から始めて、シ ロイヌナズナ(A. thaliana)由来のCDK複合体をp13suc1セファロースビーズに て精製した。これらの精製複合体にFL66蛋白質を最終濃度が10nM、100nM、1μM および1μMとなるように添加した。氷上で1時間インキュベートした後に、アッ ジ(Azzi)ら(1992、Eur. J. Biochem.、203、353〜380)に従って、ヒストンH
1を基質としてCDK活性を測定した。対照試料(FL66を添加しなかったもの)と比
較して、10nM FL66の添加後には活性は対照の82%となり、100nMの添加後には74
%、1μMの添加後には56%、10μM FL66の添加後には12%となった。これに比し
て、30μMウシ血清アルブミンの添加後には対照活性の70%という非特異的な減 少が生じたのみであった。
【0135】 同じくFL66調製物を、p13suc1ビーズに結合させたシロイヌナズナCDK画分に添
加し、続いてこれらのビーズを洗浄した。FL66の濃度が0.1μMおよび10μMの場 合、キナーゼ活性はそれぞれ対照の81%および35%に低下した。
【0136】実施例7:シロイヌナズナCKI FL66はインビトロでCDC2aAtのみと結合する 精製された組換えFL66蛋白質(前記の実施例6の通りに調製)を、製造者の指 示に従って、5mg/mlのゲル濃度でCNBr活性化セファロース4B(Pharmacia)と結
合させた。蛋白質抽出物は、2日間培養したシロイヌナズナCol-0の浮遊培養細 胞を50mM Tris-HCl(pH 7.2)、60mM β-グリセロリン酸、15mMニトロフェニル リン酸、15mM EGTA、15mM MgCl2、2mMジチオトレイトール、0.1mMバナジン酸、5
0mM NaF、20μg/mlロイペプチン、20μg/mlアプロテニン、20μg/mlダイズト
リプシンインヒビター(SBTI)、100μMベンズアミジン、1mMフェニルメチルス ルホニルフルオリドおよび0.1%Triton X-100を含む均質化緩衝液(HB)中で調 製した。200μgの蛋白質抽出物を含む合計100μlのHBを50μlの50%(v/v)FL6
6-セファロースまたは対照セファロースビーズに添加し、回転ホイール上にて4 ℃で2時間インキュベートした。非結合性の蛋白質を以降の分析のために回収し た。ビーズに結合した画分はHBで3回洗った。ビーズを30μlのSDS泳動緩衝液中 に再懸濁化し、煮沸した。上清(ビーズ結合画分)および10μlの非結合画分を1
2.5%SDS-PAGEゲルにて分離し、ニトロセルロース膜(Hybond-C+、Amersham)に
エレクトロブロッティングを行った。2%ミルクを含むリン酸緩衝生理食塩水(P
BS)によってフィルターを一晩ブロックし、PBSで3回洗い、0.5%Tween-20およ び1%アルブミンを含むPBS中でCDC2aAtまたはCDC2bAtに対する特異的抗体(それ
ぞれ1/5000および1/2500に希釈)をプローブとして、2時間の反応を行い、0.
5%Tween-20を含むPBSで1時間洗浄し、ペルオキシダーゼ結合二次抗体(Amersha
m)とともに2時間インキュベートし、0.5%Tween 20を含むPBSで1時間洗った。 蛋白質の検出は化学発光法(Pierce)によって行った。
【0137】 ウエスタンブロット法により、CDC2aAtの大部分はFL66-セファロースビーズ上
にとどまったが対照ビーズにはとどまらなかったことが判明し、このことからFL
66およびCDC2aAtがインビボで相互作用することが示された。これに対して、CDC
2bAt蛋白質はFL66-セファロースビーズ上にとどまらず、非結合画分中に戻るこ とが明らかになった。これらの結果はFL66蛋白質のCDC2aAtに対する特異性を示 している。
【0138】実施例8:シロイヌナズナ非同調化浮遊培養細胞における異なる段階でのCKIの発 シロイヌナズナ培養細胞の培養期間中の異なる段階におけるさまざまなシロイ
ヌナズナCKI遺伝子(FL39、FL66およびLDV159)の発現レベルを、逆転写ポリメ ラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法によって検討した。さまざまな増殖期の培養細胞を
代表する、1日目(誘導期)、5日目(指数増殖期)、8日目(定常期の初期)お よび12日目(定常期後期)の4つの時点を検討対象とした。これらの時点で回収 した細胞の全RNAを、トリゾール(Trizol)試薬(Gibco BRL)を用いて抽出した
。この全RNA調製物の75μgを、ダイナビーズオリゴT25(Dynabeads oligoT25) (Dynal)を用いたmRNA抽出に使用した。このmRNAを、ユニバーサルリボクロー ンcDNA合成システム(universal riboclone cDNA synthesis system)(Promega
)を用いたcDNAの調製に用いた。5ngのcDNAは後に、それぞれ300ngの適切なフォ
ワードおよびリバースプライマー、160μMのdNTP、10μlのPCRバッファーおよび
0.8μlのタック(Taq)ポリメラーゼ(Promega)を用いたRT-PCRに用いた。用い
たプライマーは、FL39に関しては5'-CGGCTCGAGGAGAACCACAAACACGC-3' (配列番 号:13)および5'-CGAAACTAGTTAATTACCTCAAGGAAG-3'(配列番号:14)、FL66に 関しては5'-GATCCCGGGCGATATCAGCGTCATGG-3'(配列番号:15)および5'-GATCCCG
GGTTAGTCTGTTAACTCC-3'(配列番号:16)、LDV159に関しては5'-GCAGCTACGGAGCC
GGAGAATTGT-3'(配列番号:17)および5'-TCTCCTTCTCGAAATCGAAATTGTACT-3'(配
列番号:18)である。PCR反応は94℃での4分間の予熱に続き、94℃ 45秒間、45 ℃ 45秒間および72℃ 45秒間のサイクルからなる。10、15、20、25、30および35
サイクル後に10μlの増幅混合物をアガロースゲルにローディングし、電気泳動 によって分離した。DNAの脱プリン化、変性および中和を行った後、それをニト ロセルロース膜(Hybond N+、Amersham)に転写した。紫外線照射によってDNAを
膜に固定させた。
【0139】 製造者(Amersham)の手順書に従ってFL39、FL66またはLDV159遺伝子から調製
したフルオレセイン標識プローブを用いて膜のハイブリダイゼーションを行った
。65℃での16時間のハイブリダイゼーションの後、膜を2×SSC、0.1×SDSで15分
間、さらに1×SSC、0.1×SDSで15分間洗浄した。シグナルの検出には、CDPスタ ー検出モジュール(CDP-star detection module)を製造者(Amersham)の手順 書に従って用いた。シグナルはオートラジオグラフィーによって可視化した。
【0140】 FL39転写物は第1、5および8日目には検出可能であったが、定常期後期(12日 目)の細胞では検出不能であった。最も強い発現は指数増殖期(5日目)の細胞 で認められた。FL66およびLDV159遺伝子の発現は5日目(指数増殖期の時期)で 最も強かったが、誘導期である1日目の時点ですでに実質的に強い発現を示した 。いずれの遺伝子の発現レベルも定常期(8日目および12日目)の培養物で大き く低下した。
【0141】実施例9:FL66の転写はNaClによってアップレギュレートされる 定常期にある1日目のシロイヌナズナ浮遊培養物を新鮮培地にて希釈し、48時
間培養した。この時点で培養物を分けて2つの継代培養物とした。これらの培養 物の一方に1%NaClを添加した。培養物を12時間培養し、その後に細胞を回収し 、液体窒素中で凍結させた。これらの試料からトリゾール(Trizol)試薬(Gibc
o BRL)を用いてRNAを調製した。両方の試料の全RNA調製物100μgを、ダイナビ ーズオリゴT25(Dynabeads oligoT25)(Dynal)を用いたmRNA抽出に用いた。ポ
リA RNAはアガロースゲルを用いた電気泳動によって分離し、ニトロセルロース 膜(Hybond N+、Amersham)にブロットした。製造者(Amersham)の手順書に従 ってFL66配列から調製したフルオレセイン標識プローブを用いて膜のハイブリダ
イゼーションを行った。65℃での16時間のハイブリダイゼーションの後、膜を2 ×SSC、0.1×SDSで15分間、さらに1×SSC、0.1×SDSで15分間洗浄した。シグナ ルの検出には、CDPスター検出モジュール(CDP-star detection module)(Amer
sham)を用いた。シグナルはオートラジオグラフィーによって可視化した。
【0142】 対照試料では約1000bpの弱いハイブリダイゼーションバンドが検出された。1 %NaCl処理により、ハイブリダイゼーションシグナルの強度は明らかに増加した
。このことは、NaClの添加によって生じたストレスがFL66遺伝子の転写活性化を
引き起こしたことを示す。この誘導は細胞分裂活性の永続的または一時的な停止
を引き起こしうると考えられる。
【0143】実施例10:植物におけるCKIの産生 シロイヌナズナCKI遺伝子を過剰発現するトランスジェニック植物を得るため に、FL36、FL66およびLDV159のコード領域をpAT7002ベクター(AoyamaおよびChu
a、1997、Plant J. 11、p605〜612)中にクローニングした。このベクターは、 グルココルチコイドであるデキサメタゾンの添加により、クローニングされた挿
入物の発現の誘導を可能とする。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により、適当 なプライマーの組み合わせを用いて、FL39、FL66およびICK1のコード領域を増幅
した。用いたプライマーは、FL39に関しては5'-CGGCTCGAGGAGAACCACAAACACGC-3'
(配列番号:19)および5'-CGAAACTAGTTAATTACCTCAAGGAAG-3'(配列番号:20) 、FL66に関してはGATCCCGGGCGATATCAGCGTCATGG-3'(配列番号:21)および5'-GA
TCCCGGGTTAGTCTGTTAACTCC-3'(配列番号:22)ならびにLDV159に関しては5'-CCC
GCTCGAGATGGTGAGAAAATATAGAAAAGCTAAAGGATTTGTAGAAGCTGGAGTTTCGTCAACGTA-3' (
配列番号:23)および5'-GGACTAGTTCACTCTAACTTTACCCATTCG-3'(配列番号:24)
である。得られたFL39およびLDV159のPCR断片を精製し、XhoIおよびSpeIで切断 した。続いてこれらの断片をpTA7002のXhoIおよびSpeI部位へのクローニングに 用いた。得られたFL66断片はSmaIで切断して精製し、pTA7002ベクターのXhoIお よびSpeI部位に平滑末端クローニングを行った。この結果得られたバイナリーベ
クターをアグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens) に導入した。これらの菌株は、リーフディスク法(Horshら、1985、Science 227
、p1229〜1231)を用いたタバコ・プチハバナ(Nicotiana tabacum cv. Petit h
avana)の形質転換、および根形質転換法(Valvekensら、1988、PNAS 85、p5536
〜5540)を用いたシロイヌナズナの形質転換に用いた。
【0144】実施例11:分裂酵母シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizasaccharomyces pombe )におけるシロイヌナズナCKIの発現 分裂酵母シゾサッカロミセスポンベにおいてシロイヌナズナCKI遺伝子の異種 発現を行わせるために、FL39およびFL66をpREP81(Basiら、1993、Gene 123、p1
31〜136)およびBNRP3(Hemerlyら、1995、EMBO J. 14、p3925〜3936)ベクター
中にクローニングした。これらのベクターはチアミン抑制プロモーターnm1を含 み、FL39およびFL66遺伝子の発現誘導を可能とする(Maundrellら、1990、JBC 2
65、p10857〜10864)。発現はさまざまなレベルで誘導可能であり、BNRP3によっ
て強い誘導が得られ、pREP81によって弱い誘導が得られる。FL39およびFL66のコ
ード領域をPCR法によって増幅した。FL66の増幅されたコード配列は、アミノ酸 第11位のメチオニンに始まる蛋白質を含んでいるため、FL66クローンによってコ
ードされる最初の10アミノ酸を含まない。FL39の増幅に用いたプライマーは5'-G
ATCATCTTAAGCATCATCGTCTTCTTCATGG-3'(配列番号:25)および5'-TAGGAGCATATGG
CGGCGG-3'(配列番号:26)である。FL66の増幅に用いたプライマーは5'-ATATCA
GCGCCATGGAAGTC-3' (配列番号:27)および5'-GGAGCTGGATCCTTTTGGAATTCATGG-3
'(配列番号:28)である。得られたFL39のPCR断片を精製してポリヌクレオチド
キナーゼ(平滑末端)によりリン酸化し、NdeIで切断した。この断片をpREP81の
NdeIおよびSmaI部位にクローニングした。得られたFL66のPCR断片は精製してNco
IおよびBamHIで切断し、BNRP3のNcoIおよびBamHI部位にクローニングした。
【0145】 この結果得られた組換えプラスミドを、電気穿孔法によって972 leu1-32h-分 裂酵母(Sch. pombe)株(野生型)の形質転換に用いた。5μg/mlのチアミンを
添加した誘導培地上で形質転換体を選択した。続いて非誘導培地上で形質転換体
の表現型を野生型株の表現型と比較した。FL39またはFL66を発現する形質転換分
裂酵母(Sch.pombe)において細胞周期のブロックは全く認められなかった。
【0146】実施例12:FL66関連遺伝子の同定 シロイヌナズナ(A. thaliana)配列データベースの検索により、FL66と高い 相性を持つ蛋白質をコードするゲノム配列が同定された。この蛋白質には「未知
の蛋白質」との注釈がなされており、これをFL67と新たに命名した。FL67のFL66
との類似性は39.545%であり、同一性は30.909%であった。
【0147】実施例13:インサイチューハイブリダイゼーションのパターン 2.5%グルタルアルデヒドを含む0.1Mカコジル酸緩衝液(pH7.2)中で植物材料
を固定し、100%エタノールに至る脱水を行った後、パラフィン中に包埋し、組 織切片を作製した。T7およびSp6 RNAポリメラーゼを用いた転写を製造者(Boehr
inger Mannheim)の指示に従って行い、PGem2中にサブクローニングされたFL39 、FL66およびLDV159由来のcDNAに対する35S-UTP標識センスおよびアンチセンスR
NAを作製した。コックス(Cox)ら(1984)に従って標識RNAプローブを加水分解
し、平均長を200ntとした。脱パラフィンおよび再水和処理を行った組織切片に 対して、本質的にはアンゲラー(Angerer)およびアンゲラー(Angerer)(1992
)により記載された通りに、mRNAインサイチュー処理を行った。洗浄時のストリ
ンジェンシーは2×SSC、室温で60分間、および0.1×SSCを含む50%ホルムアミド
、45℃で30分間とした。RNアーゼ処理、洗浄段階、写真のエマルジョン塗布およ
びスライド現像はアンゲラー(Angerer)およびアンゲラー(Angerer)(1992)
に記載された通りに行った。写真は暗視野装置を装着したディアプラン(Diapla
n)顕微鏡(Leitz、Wetzlar、Germany)を用いて撮影した。
【0148】 シロイヌナズナおよびラディッシュ実生に対してmRNAインサイチューハイブリ
ダイゼーション法を適用したところ、FL39、LDV159およびFL66遺伝子で異なる発
現パターンが認められた。パラフィン包埋したシロイヌナズナの根、茎頂分裂組
織、花および角果、ならびにラディッシュの根、茎頂分裂組織を、3種類のサイ クリン依存性キナーゼ阻害物質と共に、ハイブリダイゼーションに用いた。FL39
遺伝子は幼若根分裂組織中で均一なパターンで発現される。成熟根分裂組織では
この遺伝子の発現はほとんど認められなかった。根維管束組織に沿ったいくつか
の領域では、維管束の周辺部に発現細胞および非発現細胞が交互にみられる帯域
が認められた。新たな側根が通常形成される領域に隣接する維管束組織中の内鞘
細胞の領域では、FL39遺伝子の極めて強い発現が認められた。これに対して、側
根が形成される領域にある内鞘細胞ではほとんど発現が認められなかった。これ
らの結果は、側根が出現する領域の付近で認められたより高レベルのFL39 mRNA が、これらの領域での側根形成を妨げた可能性が高いことを示している。他方に
おいて、二原型維管束組織の極部ではFL39遺伝子が発現しないことから、これら
の部位での側根形成が可能になると考えられる。このことから、原生木部群に隣
接した内鞘細胞の分裂によって側根が形成されることは確実であると思われる。
茎頂分裂組織の全細胞でもFL39遺伝子の均一な発現が認められた。強いシグナル
は幼若葉の表面および先端で観察された。葉の表皮および柵状層は最初に液胞化
および分化が起こる層であり、葉の最も古い層は先端にある。さらに、細胞分裂
の分子マーカーであるCYCB1;1の発現パターンは細胞分裂の停止に関して求底性 パターンを示した。このため、葉発生の初期にはこれらの部位でのFL39の発現に
よって細胞分裂が阻害されて細胞分化が可能になると考えられる。ラディッシュ
の葉、根および茎頂分裂組織でも同様の発現パターンが認められた。さらに、幼
若実生では茎表皮にも強い発現が認められた。これらの細胞内でのFL39 mRNAの 存在によって細胞の分化が可能になると思われる。シロイヌナズナの花では、FL
39は主として葯のタペータム層および花粉粒で発現した。この時点ではタペータ
ムおよび花粉粒は分裂しないことを考慮に入れれば、FL39はこれらの部位で発現
されて細胞分裂を阻害すると考えられる。花芽および成熟子房で認められた発現
はこれよりも弱かった。胚発生の期間中では球状期、心臓型期および魚雷型期の
胚で極めて強い発現が認められた。この後の時期には胚性根で最も強い発現が認
められた。成熟種子ではハイブリダイゼーションシグナルは弱いか、全く認めら
れなかった。
【0149】 LDV159の発現も主根および側根の分裂組織ならびに茎頂分裂組織に沿った全細
胞で認められたが、その様式はより均一であった。維管束組織における発現はや
や斑状であり、内鞘でより強かった。成熟葉の別の細胞でもしばしば斑状パター
ンが認められた。花での発現は主として成熟子房において認められた。胚におけ
る発現は主として球状期および心臓型期、ならびに魚雷期の胚性根で認められた
。成熟胚では弱い発現が認められた。これらの結果は、LDV159に細胞周期の正確
な進行を調節する機能があることを示唆する。LDV159はチェックポイント制御に
おいて、好ましくない条件下でのCDK複合体の早期活性化を回避するという役割 を果たす可能性がある。これはCDKと結合することにより、次の細胞周期の時期 に進行するための正しいシグナルを細胞が受け取るまでCDK活性を抑制するもの と考えられる。
【0150】 FL66遺伝子の発現は根および茎頂分裂組織で認められた。比較的強い発現は幼
若な分化中の葉でしばしば斑状に認められ、このことから細胞周期の時期依存的
な発現パターンの存在が示唆された。ハイブリダイゼーションシグナルは維管束
組織に沿っても観察された。FL66の発現は花芽および幼若な花でも認められた。
成熟した花では子房壁、珠柄、胚珠および花粉粒でより強い発現が認められた。
胚発生の期間中には球状期で最も強い発現が認められた。胚が成熟するまでにシ
グナルは徐々に減少した。胚性根において比較的強いシグナルがしばしば観察さ
れた。
【0151】実施例14:アルファルファにおけるCKIの同定 ベクターpBD-GAL4 Camファージミド(Stratagene)中にクローニングしたムラ
サキウマゴヤシ(Medicago sativa)cdc2関連キナーゼ(CDC2AM、Magyarら、199
7.、The Plant Cell、Vol.:9、223〜235.)を、酵母ツーハイブリッドスクリー
ニングにおけるおとり蛋白質として用いた。アルファルファ(Medicago truncat
ula)の若い根粒から単離したmRNAをcDNAに変換した後、HybridZAPファージミド
(Stratagene)中へのクローニングを行った。集団切り出し(mass excision) によってライブラリーをpAD-GAL4プラスミドライブラリーに変換した。ツーハイ
ブリッド分析のための宿主には酵母Y190株(Clontech)を用いた。このシステム
においてCDC2MsAキナーゼと相互作用する陽性クローンとして、128アミノ酸をコ
ードする613bpの部分的cDNAクローンが単離された。このクローンの塩基配列決 定により、既知の複数のCDK阻害物質(CKI)のC末端領域と高度の相同性がある ことが判明した。部分的cDNAをプローブとして用い、アルファルファ根粒ラムダ
ZAP II(Stratagene)cDNAライブラリーのスクリーニングを行い、基本的な手順
を用いることによって完全長cDNAクローンを単離した。ALFCDKIと命名された完 全長cDNAを含むクローンが得られたが、これによってコードされるCKIの対応す るヌクレオチドおよびアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:5および6に示している
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 シロイヌナズナのサイクリン依存性キナーゼ阻害物質FL39、FL66
、FL67、ICK1(寄託番号AC003040)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa) のサイクリン依存性キナーゼ阻害物質ALFCDKI、およびケノポジウム・ラブラム (Chenopodium rubrum)のサイクリン依存性キナーゼCrCKI(寄託番号AJ002173 )の配列を整列化したもの。整列化は、パイルアップ(PILEUP)プログラム(GC
G 9.1パッケージによる)を用い、ギャップ荷重(Gap weight)=4および長さ荷
重(Length weight)=0というパラメーターを用いることによって行った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/53 5/00 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ランドリュー イサベル ベルギー国 ウィアース ルー ブランチ 54

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)配列番号:2、4または6に示されたアミノ酸配列を含む蛋 白質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA配列、 (b)配列番号:1、3または5に示されたヌクレオチド配列を含むDNA配列、 (c)配列番号:2のアミノ酸第75位から209位まで、もしくは配列番号:4のアミ
    ノ酸第11位から216位までのアミノ酸配列を含む蛋白質をコードするヌクレオチ ド配列を含む、または配列番号:1のヌクレオチド第305位から932位までのヌク レオチド配列を含むDNA配列、 (d)(a)から(c)のいずれか1つに定義されたDNA配列の相補鎖とハイブリダ イズするDNA配列、 (e)(a)から(c)のいずれか1つのDNA配列によってコードされるアミノ酸配 列との同一性が少なくとも30%であるアミノ酸配列をコードするDNA配列、 (f)遺伝暗号の結果として、そのヌクレオチド配列が(a)から(e)のいずれ か1つに定義されたDNA配列のヌクレオチド配列へと縮重するようなDNA配列、お よび (g)(a)から(f)のいずれか1つのDNA配列によってコードされる蛋白質の断 片をコードするDNA配列 からなる群より選択される、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質をコードする、
    またはこのような蛋白質の免疫活性および/もしくは機能的断片をコードするDN
    A配列。
  2. 【請求項2】 おとり(bait)としてCDC2a、捕獲対象(prey)として細胞懸濁
    液のcDNAライブラリーを用いるツーハイブリッド・スクリーニングアッセイ法を
    含む、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の同定および入手のための方法。
  3. 【請求項3】 CDC2aがCDC2aAtである、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の方法によって得られる、請求項1(a)また は請求項1(b)記載のDNA配列によってコードされるアミノ酸配列との同一性が少 なくとも30%であるアミノ酸配列を有するサイクリン依存性キナーゼ阻害物質を
    コードするDNA配列。
  5. 【請求項5】 請求項1もしくは4記載のDNA配列またはその相補鎖と特異的にハ
    イブリダイズする、長さが少なくとも15ヌクレオチドである核酸分子。
  6. 【請求項6】 請求項1または4記載のDNA配列を含むベクター。
  7. 【請求項7】 そのDNA配列が原核および/または真核宿主細胞における発現を
    可能にする1つまたは複数の調節配列と機能的に結合している、発現ベクターで ある請求項6記載のベクター。
  8. 【請求項8】 請求項6もしくは7記載のベクターまたは請求項1もしくは4記載 のDNA配列を含む宿主細胞。
  9. 【請求項9】 細菌、昆虫、真菌、植物または動物細胞である請求項8記載の宿
    主細胞。
  10. 【請求項10】 蛋白質の発現および産生された蛋白質の培養物からの回収を可
    能とする条件下での請求項8または9記載の宿主細胞の培養を含む、サイクリン依
    存性キナーゼ阻害物質またはその免疫活性および/もしくは機能的断片の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項1もしくは4記載のDNA配列によってコードされうる、ま たは請求項2、3もしくは10記載の方法によって得られる、サイクリン依存性キナ
    ーゼ阻害物質またはその免疫活性および/もしくは機能的断片。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害物質またはその
    断片もしくはエピトープを特異的に認識する抗体。
  13. 【請求項13】 トランスジェニック植物、植物細胞または植物組織の製造方法
    であって、請求項1、4もしくは5記載のDNA配列または請求項6もしくは7記載のベ
    クターを該植物、植物細胞または植物組織のゲノムに導入することを含む方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の方法であって、前記植物組織または植物細胞か
    ら植物を再生させる段階をさらに含む方法。
  15. 【請求項15】 植物細胞におけるDNA配列の転写および/もしくは発現を可能 にする調節性要素と機能的に結合された請求項1もしくは4記載のDNA配列を含む 、または請求項13もしくは14記載の方法によって得られる、トランスジェニック
    植物細胞。
  16. 【請求項16】 請求項15記載のトランスジェニック植物細胞であって、前記DN
    A配列または前記ベクターが植物細胞のゲノム中に安定的に組み込まれている細 胞。
  17. 【請求項17】 請求項15または16記載の植物細胞を含むトランスジェニック植
    物または植物組織。
  18. 【請求項18】 植物細胞の分裂および/または増殖が変化している、請求項17
    記載のトランスジェニック植物。
  19. 【請求項19】 DNA配列もしくはその一部の転写および/または発現が細胞に おける請求項11記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害物質の合成の低下につなが
    るような、ゲノム中に安定的に組み込まれた請求項1、4もしくは5記載のDNA配列
    もしくはその一部を含む、または請求項13もしくは14記載の方法によって得られ
    る、トランスジェニック植物細胞。
  20. 【請求項20】 低下がアンチセンス、センス、リボザイム、共抑制および/ま
    たは優性変異の効果によって達成される、請求項19記載の植物細胞。
  21. 【請求項21】 請求項19または20記載の植物細胞を含むトランスジェニック植
    物または植物組織。
  22. 【請求項22】 植物細胞の分裂および/または増殖における欠陥を呈する、請
    求項21記載のトランスジェニック植物。
  23. 【請求項23】 請求項15、16、19または20記載の植物細胞を含む請求項17、18
    、21または22のいずれか一項に記載の植物の収穫可能部分または繁殖材料。
  24. 【請求項24】 請求項1もしくは4記載の核酸分子または該核酸分子と相同な核
    酸分子の発現を調節するプロモーターの調節配列。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の調節配列であって、 (a)幼若根分裂組織、維管束組織中の内鞘細胞、茎頂分裂組織、幼若葉の表面 および先端、幼若実生における茎の表皮、花粉粒における葯のタペータム層、花
    芽および成熟子房、球状期、心臓型期および魚雷型期の胚、胚根、 (b)根および茎頂分裂組織、分化中の幼若葉、花芽および幼若な花、子房壁、 珠柄、胚珠および花粉粒、球状期の胚、胚根、または (c)主根および側根の分裂組織ならびに茎頂分裂組織、維管束組織、内鞘、成 熟子房、球状期および心臓期の胚根 において異種DNA配列の発現を付与する能力をもつ調節配列。
  26. 【請求項26】 請求項24または25記載の調節配列を含む組換えDNA分子。
  27. 【請求項27】 調節配列が異種DNA配列と機能的に結合している、請求項26記 載の組換えDNA分子。
  28. 【請求項28】 異種DNA配列がペプチド、蛋白質、アンチセンスRNA、センスRN
    Aおよび/またはリボザイムをコードする、請求項27記載の組換えDNA分子。
  29. 【請求項29】 請求項24または25記載の調節配列と特異的にハイブリダイズす
    る、長さが少なくとも15ヌクレオチドである核酸分子。
  30. 【請求項30】 請求項24もしくは25記載の調節配列または請求項26から28のい
    ずれか一項に記載の組換えDNA分子を含むベクター。
  31. 【請求項31】 請求項24もしくは25記載の調節配列、請求項26から28のいずれ
    か一項に記載の組換えDNA分子、または請求項30記載のベクターによる形質転換 された細胞。
  32. 【請求項32】 トランスジェニック植物、植物細胞または植物組織の製造方法
    であって、請求項26から28のいずれか一項に記載の組換えDNA分子または請求項3
    0記載のベクターを該植物、植物細胞または植物組織のゲノムに導入する段階を 含む方法。
  33. 【請求項33】 ゲノム中に安定的に組み込まれた形で請求項26から28のいずれ
    か一項に記載の組換えDNA分子もしくは請求項30記載のベクターを含む、または 請求項32記載の方法に従って得られる、トランスジェニック植物細胞。
  34. 【請求項34】 請求項33記載の植物細胞を含む、または請求項32記載の方法に
    従って得られる、トランスジェニック植物または植物組織。
  35. 【請求項35】 請求項33記載の植物細胞を含む請求項34記載の植物の収穫可能
    部分または繁殖材料。
  36. 【請求項36】 (a)請求項24または25記載の調節配列と機能的に結合された 読み出し系(readout system)を含む組換えDNA分子を含む植物、植物細胞また は植物組織を提供する段階、 (b)該読み出し系の発現を可能にする条件下での、1つの化合物または複数の化
    合物を含む試料の存在下における該植物細胞もしくは組織を培養する段階、また
    は該植物を維持する段階、 (c)該植物、植物細胞または植物組織における該読み出し系の発現の抑制また は活性化および/もしくは増強をもたらす、試料および化合物をそれぞれ同定ま
    たは確認する段階 を含む、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質をコードする遺伝子の活性化物質ま
    たは阻害物質を同定するための方法。
  37. 【請求項37】 (a)スクリーニングしようとする化合物と、請求項11記載の 蛋白質および適切な条件下で蛋白質と相互作用しうる読み出し系を含む反応混合
    物とを組み合わせる段階、 (b)蛋白質と該読み出し系との相互作用を可能にする条件下での、化合物また は複数の化合物を含む試料の存在下において該反応混合物を維持する段階、 (c)読み出し系の抑制または活性化をもたらす試料および化合物をそれぞれ同 定または確認する段階 を含む、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の活性化物質または阻害物質を同定
    および得るための方法。
  38. 【請求項38】 請求項36または37記載の方法の段階と、段階(c)において入 手もしくは同定された化合物またはその誘導体を、農業または植物細胞および組
    織の培養における施用に適した形態へ処方する段階とを含む、植物の除草剤の製
    造方法。
  39. 【請求項39】 サイクリン依存性キナーゼ阻害物質の活性化物質または阻害物
    質である、請求項36または37記載の方法によって得られる、または同定される化
    合物。
  40. 【請求項40】 請求項1、4もしくは5記載のDNA配列、請求項6もしくは7記載の
    ベクター、請求項11記載の蛋白質、請求項12記載の抗体、請求項24もしくは25記
    載の調節配列、請求項26から28のいずれか一項に記載の組換えDNA分子、請求項2
    9記載の核酸分子、請求項30記載のベクターまたは請求項39記載の化合物、およ び選択的には検出のために適した手段を含む診断的組成物。
  41. 【請求項41】 植物細胞周期、植物細胞の分裂および/もしくは増殖の調節の
    ため、サイクリン依存性プロテインキナーゼの活性に影響を与えるため、サイク
    リン依存性プロテインキナーゼ基質の有無に影響を与えることもしくはその発現
    を妨げることによって植物細胞の分裂を阻止するため、環境ストレス条件によっ
    て引き起こされる植物の成長阻害を改変するため、雄性もしくは雌性不稔を誘発
    するため、請求項9に定義した宿主における細胞分裂の進行に影響を与えるため 、または細胞周期蛋白質の抑制物質もしくは活性化物質を同定するためのスクリ
    ーニング法において用いるための、請求項1、4もしくは5記載のDNA配列、請求項
    6もしくは7記載のベクター、請求項11記載の蛋白質、請求項12記載の抗体、請求
    項24もしくは25記載の調節配列、請求項26から28のいずれか一項に記載の組換え
    DNA分子、請求項29記載の核酸分子、請求項30記載のベクターまたは請求項39記 載の化合物の使用。
  42. 【請求項42】 成長調整物質および/または除草剤としての請求項39記載の化
    合物の使用。
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