JP2001512651A - 量子化マトリクスのフレーム毎の計算方法 - Google Patents
量子化マトリクスのフレーム毎の計算方法Info
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Abstract
(57)【要約】
ビデオフレームを該ビデオフレーム用に特別に決定された量子化マトリクスを用いて符号化することによりビデオ信号中の歪みを低減する方法である。この方法は、上記ビデオ信号が平均値の周辺に広がる程度を決定するステップと、上記ビデオフレーム用の平均量子化器スケール値Qを決定するステップと、該ビデオフレーム内の全てのDCT周波数帯域に対する基準の重み付けされた歪みを決定するステップと、正規化された歪み関数を介して量子化パラメータを決定するステップと、各DCT周波数帯域に対して各重みを決定するステップと、前記ビデオフレームを量子化マトリクスにおける決定された重みを考慮して符号化するステップとを含んでいる。
Description
【発明の詳細な説明】
量子化マトリクスのフレーム毎の計算方法
技術分野
本発明は、広くはデジタルビデオの圧縮技術に係り、特には、量子化マトリク
スの選択的な計算によりビデオ内の歪みを最小化する方法に関する。
背景技術
MPEG2準拠のビットストリームを発生するエンコーダのようなMPEG2内部型のみ
(intra-only)のエンコーダにおいては、圧縮処理はDCT変換、スカラ量子化
及びランレングス符号化からなっている。これら3つのステップのうち、量子化
は圧縮の核心であり、歪みが導入される主たる段階である。うまく設計された量
子化方法においては、許容可能な圧縮歪みの量が、利用可能なビットレート伝送
能力に対して重み付けされる。即ち、係数が与えられた場合は、量子化のステッ
プサイズが小さい程、導入される歪みも小さい。しかしながら、小さなステップ
サイズを達成するには、上記係数を符号化するのに追加のビットを要する。
画像又はビデオの圧縮のために設計される全ての量子化方法の最終的な目標は
、所与のビット予算の下で最良の可視品質を達成することである。1979年5
月にニューヨーク・アカデミック・プレスにより発行された「画像伝送技術」、W.
K.Pratt,Ed.の第21〜51頁で公開されたD.J.Sakrisonによる“視覚モデルの
画像符号化アプリケーション”なる題名の論文は、人の視覚系(HVS)は異な
る周波数帯域において画像内の歪みに対し異なるように応答し、従って、エンコ
ーダは全ての周波数帯域における歪みの分布にわたる制御を有することが望まし
いことを強調している。本発明は、MPEG2が各周波数帯域を別々に処理すること
を可能にするためにフレーム毎に量子化マトリクスを伝送するという事実を利用
する。
量子化マトリクスは64個のエントリからなり、各エントリには重みが指定さ
れ、該重みは量子化器スケール値と共にDCT係数のブロックに関する量子化ス
テップサイズを決定する。各々が1〜255の範囲の8ビット整数である上記6
4個のエントリは、ブロック内の8x8のDCT係数に対応する。DCT係数は
該係数に対応する重みにより除算されるので、大きな重みは粗い量子化を意味し
、結果として該係数を符号化するのに少ないビットしか要さない。量子化マトリ
クス内の上記エントリを互いに調整することにより、エンコーダはDCT周波数
帯域内の歪みと当該帯域に必要なビット数との両方を制御することができる。
多くの要因、それらのなかでもコントラストマスキング及び誤りプーリングが
、異なる周波数帯域において知覚される歪みの量に影響し得る。加えて、異なる
周波数帯域における同一の歪みの量に対するHVSの変化する感度であるコント
ラスト感度も、知覚される歪みの量に影響する。この現象はSakrisonの研究にお
いて認識されており、変調伝達関数(MTF)により説明することができる。ま
た、知覚される歪みに影響するものは、異なる周波数帯域にわたる量子化歪みは
全ての帯域に対して同一の量子化方法が使用されたとしても異なり得るという事
実である。その理由は、或る範囲の周波数帯域からのDCT係数は異なる統計を
有しているからである。従って、最適な量子化マトリクスを設計する場合には、
良好な可視品質を達成するために、コントラスト感度及び量子化歪みを考慮しな
ければならない。
量子化マトリクスの計算は、広く研究されている。大連合HDTVシステムに
おいては、量子化マトリクスは、各周波数帯域内のDCT係数の分布がMPEG
規格により規定される可変長コードテーブルに関する“最適”分布に最良に調和
するように、調整される。DCT係数の分布を記述するには、ラプラシアンモデ
ルが用いられる。
前述した“視覚モデルの画像符号化アプリケーション”なる論文は、画像内歪
みの人の知覚をモデル化する“or”システムも記載している。詳細には、各周
波数帯域に関して知覚的に重み付けされた歪みが敷居と比較され、該歪みの何れ
かが該敷居を越えると、変化された画像は元のものから区別することができるか
、又は変化された画像は元のものから知覚的に歪んでいると言われる。このモデ
ルに基づいて、1993年10月のIEEE会報第81巻、第10号で公開され
たJayant、Johnston及びSafranekによる“人の知覚のモデルに基づく信号圧縮”
なる題名の論文では、JND(丁度知覚できる差)又はMND(最大の知覚でき
る差)と呼ばれる知覚的歪み尺度が提案されている。この提案は、画像の主観的
品質、及び画像品質を最適化するために上記MND尺度を使用する方法を述べて
いる。A.B.Watsonによる人の視覚、可視処理及びデジタル表示IV(1993
年のSPIE会報の第1913〜14頁、B.E.Rogowitz,Ed.)の“個別画像用に可視
的に最適化されたDCT量子化マトリクス”のような、個々の画像に対する量子
化マトリクスの算出に関する他の研究においては、コントラスト感度、コントラ
ストマスキング及び誤りプーリングの組み込みが存在する。しかしながら、この
既知の方法は好ましくない程大量の計算によってしか達成することができず、こ
の大量の計算は本発明により避けることができる。
したがって、マクロブロック単位で量子化器スケール値を変化させる、エンコ
ーダにより量子化境界(係数を何のレベルで量子化するかを決定するために使用
される)を任意に決定するような、MPEG2エンコーダにおける量子化方法を調整
する幾つかの方法があるも、周波数帯域にわたる歪みを、フレーム毎に量子化マ
トリクスを更新すること及び量子化マトリクスを計算する改良された方法により
制御する(又は調整する)方法が望まれている。
発明の開示
本発明によれば、ビデオフレームを該ビデオフレーム用に特別に決定された量
子化マトリクスを用いて符号化することによりビデオ信号中の歪みを低減する方
法が提供される。該方法は、好ましくは、上記ビデオ信号が平均値の周辺に広が
る程度を決定するステップと、上記ビデオフレーム用の平均量子化器スケール値
Qを決定するステップと、全てのAC周波数帯域の重み付けされた歪みが等しく
なければならない上記ビデオフレーム内の全てのDCT周波数帯域に対する基準
の重み付けされた歪みを決定するステップと、正規化された歪み関数f(J)を介し
て量子化パラメータを決定するステップと、各DCT周波数帯域に対して各重み
Wk,lを決定するステップと、上記ビデオフレームを量子化マトリクス内の決定
された重みを考慮して符号化するステップとを含む。
他の実施例においては、本発明による方法は、最初f(Jk,l)の関数としてJj,l
を
決定するためのルックアップテーブルを発生し、ビデオフレーム用の平均量子化
器スケール値Qを決定し、基準の重み付けされた歪みを第1周波数帯域に対する
重みを所定値に固定することにより決定し、その後、入力信号がDCT係数の平
均値(S)の周辺に広がる程度を決定するステップと、正規化され重み付けされ
た歪みf(Jk,l)を決定するステップと、Jk,lを上記テーブルからのf(Jk,l)の関数
としてルックアップするステップと、各周波数帯域用の重みを算出するステップ
と、前記ビデオフレームを算出されたマトリクスを用いて符号化するステップと
を繰り返す過程を含む。
かくして、本発明によれば、ビデオフレームを該ビデオフレーム用に特別に決
定された量子化マトリクスを用いて符号化することによりビデオ信号中の歪みを
低減する方法が提供される。
従って、本発明の1つの目的は、ビデオフレーム内の各周波数帯域から生じる
歪みを最小化する改善された方法を提供することにある。また、本発明の更に他
の目的は、ビデオ画像内の知覚される可視歪みを低減することにある。
また、本発明の他の目的は、知覚される可視歪みの低減を介して改善されたビ
デオ画像を達成するために、量子化マトリクスを算出する改善された方法を提供
することにある。
また、本発明の更に他の目的は、本明細書から一部自明に及び一部明らかにな
るなるであろう。
本発明は、上記の幾つかのステップ及び斯かるステップの1以上のものの相互
の関係を有すると共に、斯かるステップを実行する構成の特徴、要素の組合せ及
び各部の配置を具現化する装置を有する。これらステップの全ては以下の詳細な
開示において例示され、また、本発明の範囲は請求項に示されている。
図面の簡単な説明
本発明を一層完全に理解するため、添付図面を参照してなされる以下の説明を
参照されたい。添付図面において、
第1図は、ビデオフレーム内の歪みを低減する好ましい方法を実施する装置の
好ましい構成を示すブロック図、
第2A図及び第2B図は、本発明による好ましい方法のステップを示すフロー
チャート、
第3図は、本発明により導出される正規化された歪み関数を示すグラフ、
第4図及び第5図は、本発明により達成される改善及び低減された歪みの結果
を示すもので、特に、“ピンポン”の第9フレーム及び“冬の木”の第5フレー
ムに関する重み付けされた歪み対周波数帯域のグラフである。
発明を実施するための最良の形態
第1図を参照すると、符号100により示された、本発明により構成された符
号化システムが図示されている。システム100は、フレーム毎の量子化マトリ
クスの算出を含むような本発明の方法を実施するのに特に適している。第1図に
示す実施例の場合、ビデオ信号は冗長フィールド/フレーム検出器105に入力
される。該検出器105は、離散コサイン変換器110、適応型フィールド/フ
レーム判定ブロック115、ME/MEモード選択器120及びバッファ125
に結合され、これらのものの機能は当業者によれば良く理解することができるで
あろう。同様に、当業者によれば理解されるように、選択器120は判定ブロッ
ク115及び第2離散コサイン変換器130に結合されている。更に、変換器1
10は第1パス符号器135に結合され、該符号器自体はマトリクス算出器14
0及び適応型量子化コントローラ145に結合されている。第2パス符号器15
0は、上記算出器140とコントローラ145との出力端子に結合されている。
現状技術において理解されるように、該符号器150はフレーム記憶器155(
該記憶器自体は選択器120に結合されている)、バッファ125、履歴ブロッ
ク160、変換器110及び130、並びに符号器135に結合され、これら全
ての間の相互関係は当業者により理解されるものである。最後に、レート割付器
165が設けられ、上記履歴ブロック160、バッファ125及びコントローラ
145に結合されている。動作時には、ビデオ入力信号はフレームに編成される
。現画像型式が非内部型(Non-Intra)である場合は、動き推定が実施される。
次いで、フレームはブロックに分割されると共に、各マクロブロックに対してフ
レームDCT又はフィールドDCTが使用されるべきかに応じてDCT変換され
る。
第1パス符号化が実行され、該フレームに対する平均量子化器スケールQが該フ
レームに対するビット割付の関数として推定される。内部型(Intra)画像に対
して量子化マトリクスが算出され、該内部型画像の符号化に使用される。
一般的に言って、MPEG2のような量子化マトリクスの更新を許容する如何なる
DCTに基づく符号化方法においても、DCT変換は各々が8x8ピクセルを含
むブロックに対して実行される。次いで、当該マクロブロックに関する量子化器
スケール値、量子化マトリクス(4:2:2又は4:4:4のクロマ解像度の場
合は、複数のマトリクス)及び判定境界に従って8x8DCT係数が量子化され
る。
圧縮された画像の元のものからの視覚的に知覚されるずれを測定するために、
重み付けされた歪みの尺度が用いられる。先ず、全ての周波数帯域に対して平均
二乗された(重み付けされていない)歪みが算出され、次いで、特定の観察条件
に対するMTF関数に基づく知覚的重み付けテーブルにより重みが付けられる。
元のMTF関数がフーリエ変換係数用に得られているから、該関数はDCT係数
に対して使用されるように変形されねばならない。これらのステップは、198
5年6月のIEEE会報、Comm.、第Com-33巻、第6号におけるN.B.Nillによる
“画像圧縮用の可視モデル重み付けコサイン変換及び品質評価”なる論文で提案
されており、MTFに対して変形関数を使用している。
更に、量子化マトリクスの算出は画像の全マクロブロックにわたる知覚的に重
み付けされた歪みの和を最小化することを含み、その際ビット予算により拘束さ
れる。該歪みの重み付けはコントラスト感度に基づくものである。
量子化マトリクスに関し、異なる色差解像度により2つの型式の使用法がある
。従って、各量子化マトリクスを算出するに要するデータ集合は常に同一とは限
らない。例えば、輝度及び色差信号が1つの量子化マトリクスを共有するような
4:2:0の色差解像度の場合は、該量子化マトリクスを算出するのに使用され
るデータ集合は3つの全ての成分、即ちY、U及びVの集合である。4:2:2
:又は4:4:4の色差解像度の場合、クロマに関して別の量子化マトリクスが
許容され、その場合2つのマトリクスのうちの一方を算出するのに要するデータ
はルマ(luma)又はクロマ(chroma)の何れかである。
dk,lが(k,l)番目の周波数帯域に対する重み付けされた歪みを表し、知覚
的重み付けテーブルの(k,l)番目のエントリがIk,lで示され、ブロック番号
b内の(k,l)番目のDCT係数がCb k,lで示される場合は、(k,l)番目の
周波数帯域に対する重み付けされた歪みdk,lは、
となる。
この量は、対応する知覚的重み付け係数Ik,lにより重み付けされた後の全フ
レームにわたる(k,l)番目の周波数帯域の量子化歪みの和を表し、ここで、
Ik, は(k,l)番目の周波数帯域に関する量子化されたDCT係数である。
dk,lを量子化マトリクスの関数として得るには、2つの方法を使用すること
ができる。あまり好ましくない一方の方法は、係数を多数のうまく選択されたマ
トリクスを用いて実際に量子化し、歪みを算出する方法であるが、該方法は大量
の計算を必要とする。他方の方法はDCT係数の統計的特性を数学的にモデル化
し、歪みに関する量子化器のパラメータの形での解析的表現を見付けることであ
る。解析的方法の有効性はモデルの正確さに依存するが、明示的表現が操作及び
評価するのに一層容易である。Netravali及びHaskellによる「デジタル画像」な
る題名の書籍(プレナムプレス、1995年)に公開された研究から、AC D
CT係数の統計はラプラシアン分布によりモデル化することができることが、既
知である。当該データをラプラシアン分布を用いてモデル化することにより、特
定の周波数帯域のDCT係数の統計は、現フレーム内のデータから推定すること
が可能な単一の変数により記述することができる。更に、同一のモデルを用いれ
ば、量子化エラーと量子化ステップサイズとの間には閉じた形態の関係があり、
これが計算を大幅に節約する。従って、DCT係数に関するラプラシアンモデル
が好ましい。
パラメータSを伴うラプラシアンランダム変数Xの確率分布関数は:である。
デックスである。ラムダ(S)は、当該信号がDCT係数の平均値の周囲にどの
程度広がるかを表している。従って、(k,l)番目の周波数帯域に対するSは
S
MPEG規格により指定される再生レベルは、再生された量子化されたDCT
係数を表し(の関数であり)、(k,l)番目の周波数帯域に対しては
この場合、(k,l)番目の周波数帯域に対する重み付けされた歪みは、
となる。ここで、ai及びbi(これらはMPEG-2テストモデル5において普通に使
用される)は、各々、上側及び下側の量子化境界である。従って、MPEG2規格
である。Wk,lは量子化マトリクスの(k,l)番目の重みエントリである。Q
は、近似として、各マクロブロックに対する量子化器スケール値として使用され
る。何故なら、各マクロブロックに対する量子化器スケール値は局部的複雑さ及
びバッファの充填度により変化するからである。にも拘わらず、Qは全体の画像
に対して良好な近似として働く。
上述したように、MPEG-2テストモデル量子化器が使用される場合、値ai及び
biは、
であり、Δk,lは(k,l)番目の帯域の量子化ステップサイズであり、
である。式5のai、式6のbi及び式2のpx(x)を置換すると、(k,l)番目
の周波数に対する重み付けされた歪み(式3参照)は:
と記述することができる。ここで、Jk,lは、
と定義される。従って、当該画像の最大の知覚可能な差(MND)は、
である。
MNDの最小化が全てのdk,lが等しいことを要することを立証することがで
きる。これは、他の場合、即ち1以上のdk,lが他のものより大きい場合を考え
ることにより立証することができる。これらの“大きな”dk,lの最大は、小さ
な歪みを上昇させ、これらの“大きな“ものを減少させることにより、常に減少
させることができる。従って、最大の歪みの最小化は、全てのdk,lを等しくす
ることにより達成されることが分かる。
従って、次いで、全てのdk,lが等しくなければならない最小の可能性のある
重み付けられた歪みを見付ける必要がある。しかしながら、幾つかのDCT周波
数帯域をどの様に量子化するかを決定するのは、マトリクスエントリの相対大き
さであるから、例えば16のような固定された量子化重みを持つ基準周波数帯域
を選択し、該基準周波数帯域を基準の重み付けされた歪みを算出するために使用
することができる。しかしながら、他の値を選択することができることも理解す
べきである。
上記基準周波数帯域として、DC以外の最も低い周波数帯域のうちの1つを用
いることが好ましい。この選択された周波数帯域が0,1と指定され、Io,lが1
に等しく設定され、且つ、対応する量子化マトリクスのエントリが16に設定さ
れると、上記基準の重み付けされた歪みは:
として特徴付けることができる。上述したように、Qは符号化履歴から又は第1
パス符号化から推定することができ、これら両者は当業者により理解されるもの
である。Qの値は、現フレームへのビット割付及び当該画像の複雑さを反映する
から、ビットの数と符号化される現画像が与えられた場合、最小の可能性のある
知覚的歪みを決定する。
かくして、d0は解かれたので、他の全ての周波数帯域に対する重み付けされ
た歪みを、
なる関係から見付けることができる。即ち、
であり、また、Ik,lは定数であり、Sk,lは前述したように量子化されていない
DCT係数から推定することができるから、正規化された歪み関数f(Jk,l)は:
として導出することができる。
第3図を参照すると、f(Jk,l)が0から1へと単調に増加し、これは、量子化
歪みがステップサイズと共に増加し、入力データの分散よりも決して大きくなら
ないという理解に一致している。従って、f(Jk,l)に関する表現は:
となる。
第3図及び式15から分かるように、f(Jk,l)が1より大きいことも可能であ
り、その場合は式15は解を持たない。これは、Qが特に高い周波数帯域に対し
て大きい場合に見られる。しかしながら、そのような状況が発生すると、Wk,l
が無限
であっても、即ち当該周波数帯域内の全ての係数が0に量子化されても、該帯域
に対する重みの付けされた歪みは依然として前記基準の重み付けされた歪みより
も低いことが分かる。かくして、全周波数帯域は0に量子化され得る。言い換え
ると、f(Jk,l)の値を、係数を捨てる評価基準として使用することができる。
明瞭化のため、第2A図を参照すると、該図は本発明による方法のステップを
示している。詳細には、ビデオフレーム用に特別に決定された量子化マトリクス
を用いて当該ビデオフレームを符号化することによりビデオ信号中の歪みを低減
する当該方法は、当該ビデオ信号がDCT係数の平均値の周辺に広がる程度を決
定する第1ステップ(ステップ10)と、次いで当該ビデオフレームにおける全
てのDCT周波数帯域に関する重み付けされた歪みを決定する過程(ステップ2
0)と、その後、DCT周波数帯域の各帯域内の量子化マトリクスにおける個々
の重みを、全周波数帯域にわたる重み付けされた歪みが最小化されるように、決
定する過程(ステップ30)とを含んでいる。この第3ステップは、更に、
テップ(ステップ40)と、当該ビデオフレーム用の平均量子化器スケール値Q
周波数帯域に対する各重みWk,lを決定するステップ(ステップ60)とを実行
することにより達成することができる。最後に、当該ビデオフレームは量子化マ
トリクス内の決定された重みを考慮して符号化される(ステップ70)。即ち、該
量子化マトリクスが算出されれば、当業者は上記ビデオフレームをどのように符
号化するかは分かるであろう。従って、簡略化のため、斯かる説明はここでは省
略する。
上記の平均量子化器スケール値Qを決定するステップ(ステップ50)は、2
パス符号化システムにおける第1符号化パスからQを推定するか又は前記符号化
履歴からQを推定する副ステップを含むことができる。
他の実施例では、出力されたビデオ信号上の各周波数帯域に対する歪みを低減
する方法は、第2B図に示すステップにより実行することができる。最初、f
(Jk,l)の関数としてJk,lを決定するために、以下に一部を図示するルックアッ
プテ
また、ビデオフレームに関して平均量子化器スケール値Qが決定される(ステッ
プ110)。そして、基準の重み付けされた歪みが、好ましくは第1周波数帯域
に対する重みを16に固定することにより、決定される(ステップ120)。該方
法は、ステップ100、110及び120を再び繰り返す必要はないが、当ては
まるなら、ステップ130〜170のみを繰り返す必要がある。ここで、ステッ
プ130は入力信号がDCT係数の平均値(S)の周辺に広がる程度を決定する
過程を含み、ステップ140は正規化された重み付けされた歪みf(Jk,l)を決定
する
(Jk,l)の関数としてルックアップする過程を含み、ステップ160は各周波数帯
域0は当該ビデオフレームを算出されたマトリクスを用いて符号化する過程を含む
。
本明細書において請求される方法を用いれば、可視歪みの大幅な低減が達成さ
れる。例えば、第4図及び第5図は、請求された方法を用いる歪みの最小化にお
ける大幅な改善を示している。全ての内部型符号化は、標準解像度(SD)及び
高解像度(HD)のビデオ系列に対して実行された。実線で示された符号化され
た系列はMPEG2デフォルトの内部型マトリクスを使用し、点線は請求された方法
により達成された低減された歪みを示している。SD系列に対してはビットレー
トは30Mビット/秒であり、HD系列に対してはビットレートは129Mビッ
ト/秒であった。クロマの解像度は全ての符号化シミュレーションに対して4:
2:2であった。2つの量子化マトリクスが3つの輝度及び色差成分に対して計
算される。色差に対する基準の重み付けされた歪みは、輝度成分のものと同一で
あるように選定される。
第4図及び第5図は、“ピンポン”及び“冬の木”に関するルマ及びクロマの
周波数帯域による知覚的に重み付けされた歪みの分布を特に示している。上述し
た
ように、点線は本明細書に開示された算出された量子化マトリクスを用いて得ら
れた結果を表し、実線はデフォルトの内部型マトリクス(intra matrix)を用い
ることにより得られる結果に対応している。
更に詳細には、第4A図及び第5A図はルマの重み付けされた歪みを示してお
り、第4B図及び第5B図は2つの色差成分の重み付けされた歪みの最大を示し
ている。両方の場合において、算出された量子化マトリクスが本明細書において
開示されたように使用されると、重み付けされた歪みの変化は大幅に小さく、ま
た、重み付けされた歪みの最大は大幅に小さい。
第4図に示される対比は輝度に関しかなり明瞭であるが、第5図においては、
MPEG2デフォルトマトリクスが本発明により算出されるものと類似しているため
に幾らか差が少ない。MPEG2デフォルトマトリクスが使用されるより、算出され
た量子化マトリクスが使用される場合の方が、色差に関する重み付けされた歪み
は大きいが、これは、量子化マトリクスを算出する際に色差用の目標の重み付け
された歪みが輝度のものと等しくなるように設定されるが、該輝度のものは上記
デフォルトマトリクスがルマ及びクロマの両方を量子化するために使用されると
色差用の重み付けされた歪みよりも大きくなるからである。請求された方法を用
いて量子化マトリクスを動的に更新することにより、エンコーダはルマ及びクロ
マの量子化を用途の要件に応じて制御することが可能である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.ビデオフレームを該ビデオフレーム用に特別に決定された量子化マトリクス を使用して符号化することによりビデオ信号中の歪みを低減する方法であって 、DCT係数のブロックに対する量子化ステップサイズが前記量子化マトリク スに依存するような方法において、 (a)前記ビデオ信号が前記DCT係数の平均値の周囲に広がる程度を決定 するステップと、 (b)前記ビデオフレーム内の全てのDCT周波数帯域に対する目標の重み 付けされた歪みを、基準の重み付けされた歪みの決定を介して決定するステッ プと、 (c)前記DCT周波数帯域の各々における量子化マトリクス内の個々の重 みを、前記全ての周波数帯域にわたる前記重み付けされた歪みが、 ステップと、前記ビデオフレーム用の平均量子化器スケール値Qを決定するス 定するステップとを実行することにより最小化されるように決定するステップ と、 (d)前記ビデオフレームを前記量子化マトリクスにおける前記決定された 重みを考慮して符号化するステップと、 を有していることを特徴とする方法。 2.請求項1に記載の方法において、前記平均量子化器スケール値Qを決定する ステップが、2パス符号化システムにおける最初の符号化パスからQを推定す るか、又は符号化履歴からQを推定する副ステップを含んでいることを特徴と する方法。 3.出力されるビデオ信号上の各周波数帯域に関する歪みを、ルックアップテーブルを発生し、ビデオフレーム用の平均量子化器スケール値 歪みを第1周波数帯域に対する前記重みを16に固定することにより決定するこ とにより低減する方法において、 (a)入力信号がDCT係数の平均値(S)の周辺に広がる程度を決定するス テップと、 を決定するステップと、 (c)Jk,lをf(Jk,l)の関数としてルックアップするステップと、 プと、 (e)前記ビデオフレームを算出されたマトリクスを用いて符号化するステッ プと、 を有していることを特徴とする方法。
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