JP2001506696A - 双峰性の分子量分布を有するポリエチレンの製造 - Google Patents

双峰性の分子量分布を有するポリエチレンの製造

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Abstract

(57)【要約】 高密度ポリエチレンの製造法、この方法は第1および第2のクロムを基材とする触媒を含んで成る触媒系の存在下で、エチレンを重合するか、またはエチレンと3〜10個の炭素原子を含んで成るアルファオレフィンコモノマーとを共重合することを含んで成り、第1のクロムを基材とする触媒は還元そして再酸化されており、そして第2のクロムを基材とする触媒は活性化され、活性化工程前または工程中にフッ素処理され、そして還元されており、第1および第2のクロムを基材とする触媒は少なくとも0.8cc/gの細孔容積差を有する。さらに、エチレンを重合するか、またはエチレンと3〜10個の炭素原子を含んで成るアルファオレフィンコモノマーとを共重合することにより高密度ポリエチレンを製造するための触媒系を提供し、この触媒系は第1および第2のクロムを基材とする触媒を含んで成り、第1のクロムを基材とする触媒は還元そして再酸化されており、そして第2のクロムを基材とする触媒は活性化され、活性化工程前または後にフッ素処理され、そして還元されており、第1および第2のクロムを基材とする触媒は少なくとも0.8cc/gの細孔容積差を有する。さらに高密度ポリエチレンの分子量分布の双峰性を増すための触媒系の使用を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 双峰性の分子量分布を有するポリエチレンの製造 本発明は、高密度ポリエチレン(HDPE)、特に双峰性の分子量分布を有するよ うなポリエチレンの製造法に関する。さらに本発明は、そのようなHDPEを製造す るための触媒系およびそのような系の使用に関する。 ポリエチレン、そして特に高密度ポリエチレン(HDPE)について、分子量分布 (MWD)は、ポリマーの特性、そしてその応用を決定する基本的な特性である。当 該技術分野では、一般的にポリエチレン樹脂の分子量分布が樹脂の物理的そして 特に機械的な特性を定めることができ、そして異なる分子量のポリエチレン分子 を供給することにより、全体としてポリエチレンの流動学的性質に有意な影響を 及ぼすことが認識されている。 分子量が増大すると、通常はポリエチレン樹脂の物理的特性が向上するので、 高分子量を有するポリエチレンに関する強い要求が存在する。しかしポリマーを より加工し難くするのは高分子量分子である。一方、分子量分布を広げると、高 い剪断速度で加工する時にポリマーの流動を向上させる傾向がある。したがって 、ダイを通す材料の極めて高いインフレーションを使用する急速な変形が必要な 応用、例えば吹込法および押出し法では、分子量分布を広げることが高分子量で ポリエチレンの加工を可能とする(これは当該技術分野で認識されているように 、低いメルトインデックスに等しい)。ポリエチレンが高い分子量およびまた広 い分子量分布を有する時、低分子量部分の結果としてポリエチレンの加工をより 容易とし、しかもまた高分子量部分はポリエチレンフィルムの耐衝撃性に良い影 響を与えることが知られている。この種のポリエチレ ンはより低いエネルギーを用いてより高い加工収量で加工できる。 分子量分布は、ゲル透過クロマトグラフィーにより得られる曲線により完全に 定めることができる。一般的に、分子量分布は分散指数Dとして知られるパラメ ーターにより定められ、分散指数Dは重量(Mw)による平均分子量と数(Mn)による 平均分子量との間の比である。分散指数は、分子量分布の幅の計測値を構成する 。ほとんどの応用について、分散指数は10から30の間である。 広い分子量分布および必要な特性を有するポリエチレンは、種々の分子量を有 するポリエチレンを単に混合することにより生成することができないことが当該 技術分野では認識されている。 上記で検討したように、高密度ポリエチレンは高および低分子量画分から成る 。高分子量画分は、高密度ポリエチレンに対して良好な機械特性を提供し、そし て低分子量画分は、高密度ポリエチレンに良好な加工性を与えるために必要であ り、高分子量画分は、そのような高分子量画分の加工を困難にし得る比較的高い 粘度を有する。双峰性(bimodal)の高密度ポリエチレンにおいては、高および 低融解重量画分の混合物を、一峰性の分布と比べてポリマー中に高分子量種の比 率が増加するように調製する。これにより向上した機械特性を提供することがで きる。 したがって当該技術分野では、高密度ポリエチレンは双峰性の分子量分布を有 することが望ましいと認識されている。双峰性分布に関して、例えばゲル相クロ マトグラフィーにより決定される分子量分布のグラフには、例えば分子量分布の 高分子量側のピークにかかる「ショルダー」が含まれる。 双峰性ポリエチレンの製造は、当該技術分野では周知である。当該技 術分野では、異なる分子量を有する2種のポリマー画分の生成に反映する双峰性 の分布を達成するために、2種の異なる触媒的特性を提供し、そして2種の異な る活性部位を確立する2種の触媒が必要であることが認識されている。これらの 2つの部位は次に双峰性の分布を達成できる2種のポリマーを生成するために、 2つの反応を触媒する。現在、長年知られてきているように、欧州特許出願公開 第0057420号明細書に例示されているような双峰性の高密度ポリエチレンの工業 的製造は連続して2つの反応槽を使用する2工程法により行われている。この2 工程法では、全体の工程中の各工程について高効率および収量を提供するために 、工程条件および触媒を至適化することができる。しかし、現在工業的に使用さ れている2工程法は、2つの別れた連続法が使用されるので、全工程の処理量が 低いという欠点に悩まされている。 双峰性の高密度ポリエチレンを製造するための1工程法を提供することが望ま しい。欧州特許出願公開第480376号明細書は、担持クロム触媒およびチーグラー −ナッタ型触媒の2種の触媒混合物を使用する双峰性ポリエチレンの製造を開示 する。この方法は、チーグラー−ナッタ触媒に活性触媒系を与えるための共触媒 が必要であるが、この共触媒が担持クロム触媒に影響を及ぼし、特にその活性に 有害な影響を及ぼし得るという欠点に悩まされている。出願人は、従来の特許明 細書に開示された方法が工業的には使用されなかったと考える。 当該技術分野では、ポリエチレン生成物の物理的特性、特に機械特性がポリエ チレンを生成するために使用された触媒系に依存して変動することが認識されて いる。これは種々の触媒系が生成されるポリエチレンに様々な分子量分布をもた らす傾向があるからである。すなわち例えば、 クロムを基材とした触媒を使用して製造されたポリエチレン生成物は、チーグラ ー−ナッタ触媒を使用して採用した生成物の特性とは異なる傾向がある。クロム を基材とした触媒のみを使用するHDPE製造が、このように特定のポリエチレン生 成物を製造できることが望ましい。ポリマー科学および工学の辞典(Encyclopedi a of Polymer Science and Engineering)、第6巻、第431-432頁および466-470 頁(ジョン ウィリー アンド サンズ社:John Wiley & Sons Inc.、1986、ISBN 0-471-80050-3)およびウルマンの工業化学辞典(Ullmann's Encyclopedia of In dustrial Chemistry)、第5版、A21巻、第501-502頁(VCHファーラーグズゲゼル シャフト社:VCH Verlagsgesellschaft mbH、1992、ISBN 3-527-20121-1)は、そ れぞれフィリップスおよびチーグラー−ナッタ触媒およびHDPE製造を検討してい る。 HDPEを重合するためにクロムを基材とする触媒の使用に関する従来技術は2つ の主なグループに分類することができ、第1グループは1つの触媒担体上に少な くとも1つはCr部位である2つ以上の触媒部位を有する触媒系を教示し、そして 第2グループは、各々がそれぞれの担体上にある混合触媒を教示し、混合物がク ロムを基材とする触媒を含んで成るか、あるいはそのようなクロムを基材とする 触媒上に非クロム的性質の活性部位を含有する触媒を含む。 第1グループは、代表的な従来技術の公開公報として米国特許第5034364号明 細書を含む。この明細書には1つの耐火性酸化物上に担持された2種のクロム種 を開示する。1種はCrO3またはCrO3にか焼されるCr化合物を含んで成り、そして 他の1種はシリルクロメート−型化合物を含んで成る。そのような触媒は双峰性 のHDPEを生成しない。 第2グループには代表的な従来技術の公開公報として、上で検討した欧州特許 出願公開第480376号、同第291824号明細書、米国特許第4025707号、同第5310834 号明細書および欧州特許出願公開第591968号明細書を含む。 欧州特許出願公開第291824号明細書は、異なる細孔容積のシリカ担体およびAl も含有する成分の1つを有する2種のクロムを含有する触媒成分の混合物を使用 してHDPEの製造を開示する。米国特許第4025707号明細書は、同じか、または異 なる担持成分の幾つかの部分、およびそれらの金属活性化可変部(metal promote d variation)を含んで成る混合触媒を開示し、各部分が異なる温度で活性化され る。各部分はヒドロカルビルアルミニウムヒドロカルビルオキシドで後処理され る。米国特許第5310834号明細書は、Al、Ti、Zr、BまたはPのような1種以上の 金属性または非金属性触媒剤をさらに有する2種の担持されたCrを含有する触媒 成分を含んで成る混合クロム触媒を開示する。第1および第2触媒成分について 使用するシリカ担体の細孔容積は、少なくとも0.3cc/gの単位で異なる。欧州特 許出願公開第591968号明細書は、2種の異なるクロムを基材とする触媒系の使用 を開示する。少なくとも2種の系の担体は、非エチレンコモノマーを生成するコ ポリマーのより高分子量部分に差別的に導入するために十分な平均孔半径差を有 する。トリエチルボロンのような金属アルキルが、コモノマーの生成を補助する ためにエチレン流中に導入される。この方法は、工業的工程において、非エチレ ンコモノマー(C4、C6、C8等)の分布が生成することによりイソブタン希釈 物の再使用を大変困難にするという欠点を有する。 欧州特許出願公開第291824号明細書、米国特許第4025707号、同第531 0834号明細書および欧州特許出願公開第591968号明細書のすべては、広い分子量 分布を有するポリエチレンの製造を開示しているが、双峰性ポリオレフィンの製 造を開示していない。当該技術分野には、1工程を使用し、しかもこれまでに検 討したようなチーグラー−ナッタ型触媒を採用した場合の問題と遭遇することの ないクロムを基材とする触媒を使用する双峰性ポリオレフィンの製造法、そして 特に双峰性の高密度ポリエチレンの製造法が必要である。 本発明は、上記で検討した従来技術における幾つかの問題を克服または少なく とも減ずる、双峰性の分子量分布を有するポリエチレンの製造法を提供すること を目的とする。 したがって本発明は高密度ポリエチレンの製造法を提供し、この方法は第1お よび第2のクロムを基材とする触媒を含んで成る触媒系の存在下でエチレンを重 合するか、またはエチレンと3〜10個の炭素原子を含んで成るアルファオレフィ ンコモノマーとを共重合することを含んで成り、第1のクロムを基材とする触媒 は還元、そして再酸化されており、そして第2のクロムを基材とする触媒は活性 化されており、活性化工程の前または工程中にフッ素処理され、そして還元され ており、第1および第2のクロムを基材とする触媒は少なくとも0.8cc/gの細孔 容積差を有する。 さらに本発明は、エチレンを重合するか、またはエチレンと3〜10個の炭素原 子を含んで成るアルファオレフィンコモノマーとを共重合することにより高密度 ポリエチレンを製造するための触媒系を提供し、触媒系は第1および第2のクロ ムを基材とする触媒を含んで成り、第1のクロムを基材とする触媒は還元、そし て再酸化されており、そして第2の クロムを基材とする触媒は活性化され、活性化工程の前または工程中にフッ素処 理され、そして還元されており、しかも第1および第2のクロムを基材とする触 媒は少なくとも0.8cc/gの細孔容積差を有する。 本発明は、(a)最小の細孔容積差を有し、そして(b)異なって前処理され た2種の異なるクロムを基材とする触媒の混合物を使用することが、予期せずに 1工程の重合法で双峰性の分子量分布を有する高密度ポリエチレンを生成できる という本発明者による驚くべき知見に基づいている。 特に本発明者は、第1と第2のクロムを基材とする触媒間に特定の最小の細孔 容積差を供給すると、低分子量、高密度ポリエチレンの高いメルトインデックス 画分の生成を触媒する比較的高い気孔率有する第1触媒、および高分子量、高密 度ポリエチレンの低いメルトインデックス画分の生成を触媒する比較的低い気孔 率を有する第2触媒を生じることができることを見いだした。そのような2つの 画分の高メルトインデックスおよび低メルトインデックスの差異は、本発明に従 い高気孔率の触媒を還元し、そして再酸化し、そして低気孔率の触媒をフッ素処 理(fluoridized)し、そして還元することにより増強される。そのような画分 間のメルトインデックスの差の増強は、高密度ポリエチレンに双峰性の分子量分 布をもたらすことができる。いずれかの理論により拘束されるとは思わないが、 2種の触媒間に少なくとも0.8cc/gの気孔率(volume porosity)の差異を供給す ることにより、高いメルトインデックスと低いメルトインデックスとの間に差異 をもたらすことができ、この差異は次にその画分のメルトインデックスを高める 傾向がある低分子量画分を生成するための触媒の還元および再酸化により増強さ れ、そしてその画 分のメルトインデックスを下げる傾向がある高分子量画分のフッ素処理および続 く還元により強化される。このように、第1のクロムを基材とする触媒の還元お よび再酸化、ならびに第2のクロムを基材とする触媒のフッ素処理および還元の 使用は、双峰性の分子量分布を生じるように全触媒の分子量分布の広がり強化す ることができる。 第1のクロムを基材とする触媒は、好ましくはシリカおよび/またはチタニア に担持された酸化クロム触媒を含んで成る。特に好適な第1のクロムを基材とす る触媒は、触媒担体上に0.5から5重量%のクロム、特に約1重量%のクロムを 含んで成ることができる。クロムの重量パーセントは、クロムを含有する触媒の 重量に基づく。第1のクロムを基材とする触媒は、200〜700m2/g、好ましくは40 0〜550m2/gの比表面積、および2cc/g、好ましくは2〜3cc/gより大きい気孔率 を有することができる。平均孔半径は、好ましくは100Aより大きく、より好まし くは100〜1000A、最も好ましくは150〜250Aである。 本発明に使用するための第1触媒として特に好適なクロムを基材とする触媒は 、独国、ヴォルムスのグレース社(Grace GmbH)により市販されている触媒を含ん で成る。製造元のデータシートによれば、この触媒は190Aの平均孔半径、約2.1c c/gの細孔容積、およびクロムを含有する触媒の重量に基づき1重量%のクロム 含量を有する。担体は、複合シリカおよびチタニア担体を含んで成る。この特定 の触媒を、今後「触媒1」と称する。 第1のクロムを基材とする触媒を、還元および再酸化工程に供し、ここで少な くともクロムの一部はより低い原子価状態に還元され、そして次に少なくともク ロムの一部はより高い原子価状態に酸化される。その ような還元および再酸化工程は、当該技術分野では周知である。好ましくはクロ ムを基材とする触媒は、既知の様式で乾燥一酸化炭素の雰囲気中にて700〜900℃ 、好ましくは約860℃の温度で還元される。このクロムを基材とする触媒を、次 に既知の様式で空気中にて700〜900℃、好ましくは約760℃の温度で酸化する。 第1のクロムを基材とする触媒は、高密度ポリエチレンの低い融解重量部分の 重合を触媒するように作用する。第2のクロムを基材とする触媒は、高密度ポリ エチレンの高い融解重量部分の生成を触媒するように作用する。第2のクロムを 基材とする触媒を比較的低温で活性化し、活性化工程の前または後にフッ素処理 して触媒の活性を上昇させ、そして次に還元する。 第2のクロムを基材とする触媒は、好ましくはシリカ−アルミナに担持された 酸化クロム触媒を含んで成る。特に好適な第2のクロムを基材とする触媒は、ク ロムを含有する触媒の重量に基づき0.5〜5重量%、好ましくは約1重量%のク ロムを、低い細孔容積のシリカ−アルミナの触媒担体上に含んで成ることができ る。第2のクロムを基材とする触媒は、250〜450m2/g、好ましくは300〜400m2/g の比表面積、および1.5cc/g未満、好ましくは1.3cc/g以下、最も好ましくは0.9 〜1.2cc/gの気孔率を有することができる、平均孔半径は、好ましくは200A以下 、より好ましくは150A以下、そして好ましくは110〜130Aである。 本発明に従い、第1および第2のクロムを基材とする触媒は、少なくとも0.8c c/gの細孔容積差を有する。現在市販されているクロムを基材とする触媒は、最 高約3cc/gの最大細孔容積を有する。したがって、実際には現在市販されている 触媒を使用して、細孔容積の差を最高約2.1c c/gとすることができる。 第1および第2のクロムを基材とする触媒は、触媒系が全体として双峰性HDPE 中に高および低分子量画分の両方の生成を触媒できるように、異なる平均孔半径 を持つことができる。好ましくは第1および第2のクロムを基材とする触媒は、 50〜70Aの平均孔半径の差を有する。 本発明に第2触媒として使用するために特に好適なクロムを基材とする触媒は 、独国、ヴォルムスのグレース社(Grace GmbH)D-67545により市販されている フッ素を含有する触媒固体を含んで成る。製造元のデータシートによれば、この 触媒は約120Aの平均孔半径、約1.1cc/gの細孔容積、およびクロムを含有する触 媒の重量に基づき約1重量%のクロム含量を有する。担体はシリカ−アルミナ担 体である。この特定の触媒をる今後「触媒2」と称する。 第2のクロムを基材とする触媒は、市販されているフッ素を含有する触媒であ るか、または類似ではあるがフッ素を含有しない触媒で、これを次に既知の様式 で行われるフッ素処理またはフッ素化工程に供するいずれかでよい。例えばクロ ムを基材とする触媒は固体状態の四弗化ホウ素アンモニウム(NH4BF4)のようなフ ッ素含有化合物と前混合し、そして次に触媒およびフッ素含有化合物が一緒に反 応するように高温で加熱する。そのようなフッ素処理工程は、活性化工程の前ま たは工程中に行うことができる。 触媒は、空気中で450℃〜750℃の範囲の比較的低い活性化温度で活性化する。 より好ましくは活性化は、500〜650℃の温度で行う。最も好適な活性化温度は、 約540℃である。 活性化工程後、第2のクロムを基材とする触媒を乾燥一酸化炭素を使 用する化学的還元工程に供する。還元工程は好ましくは300〜500℃の温度で行う 。最も好適な還元温度は、約370℃である。 第2のクロムを基材とする触媒のフッ素化工程は、活性化工程の前または後に 行うことができる。 第1および第2のクロムを基材とする触媒は、固体触媒の完全な混合物を形成 するために既知の様式で一緒に合わせる。第1および第2のクロムを基材とする 触媒は、2種の触媒の相対的活性に依存する比率で合わせる。一般的に、高分子 量画分用の触媒は、低分子量画分用の触媒よりも低い活性を有する傾向がある。 したがって一般的に高分子量画分用の触媒は、低分子量画分用の触媒よりも大量 に存在する。好ましくは第1および第2触媒は重量で10:90〜90:10の比率で混合 され、最も好ましい比率は、20重量%の第1触媒および80重量%の第2触媒であ る。 本発明の好適な方法では、不活性な希釈剤中で、重合または共重合法はエチレ ンを含んで成る液相中で、そして必要な場合は3〜10個の炭素原子を含んで成る アルファーオレフィンコモノマーを含んで成る液相中で行う。コモノマーは、1- ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル1-ペンテン、1-ヘプテンおよび1-オ クテンから選択することができる。不活性希釈剤は好ましくはイソブタンである 。この重合または共重合法は、典型的には85〜110℃、より好ましくは90〜100℃ の温度で、そして20〜42バール、より好ましくは24バールの最小圧で行う。 典型的には重合法において、エチレンモノマーは不活性希釈剤中のエチレンの 総重量の0.5〜8重量%、典型的には約6重量%を構成する。典型的には共重合 法において、エチレンモノマーは各々、不活性希釈剤中のエチレンモノマーおよ びコモノマーの総重量に基づき、エチレンモ ノマーが0.5〜8重量%を構成し、そしてコモノマーが0〜4重量%を構成する 。 2種のクロムを基剤とする触媒の混合物を、重合反応槽中に導入する。アルキ レンモノマー、および存在するならばコモノマーが重合反応槽に供給され、そし てHDPEの重合生成物が反応槽から排出され、そして再使用できる希釈剤から分離 することができる。 本発明の方法は、高密度ポリエチレンに典型的な低いメルトインデックスおよ び密度を有するが、本発明の方法により生成されるポリエチレンのゲル相クロマ トグラフィーにより表される高度な双峰性を持つ高密度ポリエチレンを提供する ことができる。 本発明をこれから以下の非限定的な実施例を参照にして、および以下の図面を 参照にして記載し、ここで 図1〜6は、本発明の実施例1〜6に従いそれぞれ生成した高密度ポリエチレ ンのゲル相クロマトグラフィーグラフである。 2種の特別なクロムに基材とする触媒の混合物の触媒系が使用された本発明の 方法を実証するために、エチレンを重合または共重合して高密度ポリエチレンを 形成する多数の実験を行った。各実施例では、6重量%のC2(エチレン)、0 〜4重量%のC6(1-ヘキセン)および不活性希釈剤としてバランスであるイソブ タンを含んで成る液体を重合反応ゾーンに、30バールの圧力および95〜100℃の 範囲の重合温度で供給した。 触媒系も重合反応ゾーンに供給した。実施例では、クロムを基材とする触媒系 は、還元、そして次に再酸化工程に供された第1のクロムを基材とする触媒を、 高温で活性化され、フッ素処理され、そして次に還元された第2のクロムを基材 とする触媒と混合することにより形成した。 各実施例中の第1および第2触媒の重量による比率は、20重量%の第1触媒およ び80重量%の第2触媒を含んで成っていた。 各実施例にぉいて、第1のクロムを基材とする触媒は上記で検討した触媒1か ら成り、約860℃の比較的高温で最初の一酸化炭素還元に供され、そして続いて 約760℃の温度で再酸化に供された。各実施例において、第2のクロムを基材と する触媒は上記で検討した触媒2から成り、そして触媒は約540℃の温度で空気 中で加熱する最初の活性化工程に供され、そして触媒を約370℃の比較的低温で 一酸化炭素還元に供する最終還元工程に供された。 この実施例はポリエチレンの重合および共重合の両方を具体的に説明する。実 施例1〜3ではコモノマーが存在せず、そしてポリエチレンはエチレンモノマー の重合により生成した。実施例4〜6では、1-ヘキセンが表1に特定する量で加 えられ、これによりポリエチレンがエチレンモノマーおよび1-ヘキセンコモノマ ーの共重合により生成された。 表1は、コモノマー量および重合温度を含め実施例1〜6で使用した条件をま とめ、そしてまたメルトインデックス(MI2)、高荷重メルト インデックス(HLMI)および生成した高密度ポリエチレン生成物の密度を示す。メ ルトインデックスMI2および高荷重メルトインデックスは、190℃の温度でそれぞ れ2.16kgおよび21.6kgの荷重を使用してASTM D1238の手順を使用して決定した。 MI2およびHLMIは、ポリマーの分子量をおおざっぱに逆に示している。換言する と、メルトインデックスまたは高荷重メルトインデックスに関する値が低いこと は、ポリエチレンについて分子量が高いことを示している。 例えば、ゲル相クロマトグラフィーは分子量分布を表す曲線を有するグラフを もたらすだけでなく、数(Mn)による平均分子量;重量(Mw)による平均分子量;曲 線の高分子量部分の尾の形を表すパラメーターMz;曲線のピークでの分子量の値 (Mp);Mw/Mn比を表す分散指数D;Mz/Mw比を表す分散指数D';およびグラフの 曲線下の面積Aをもたらす。これらの値はそれぞれ図面に表されている。 図1〜6の曲線は各々、曲線のピークの高分子量側のMw付近での「ショルダー 」を示す。そのようなショルダーは、高密度ポリエチレン中に双峰性の分子量分 布を示すものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.高密度ポリエチレンの製造法であって、この方法は第1および第2のクロム を基材とする触媒を含んで成る触媒系の存在下でエチレンを重合するか、または エチレンと3〜10個の炭素原子を含んで成るアルファオレフィンコモノマーとを 共重合することを含んで成り、第1のクロムを基材とする触媒は還元され、そし て再酸化されており、そして第2のクロムを基材とする触媒は活性化され、活性 化工程前または工程中にフッ素処理され、そして還元されており、第1および第 2のクロムを基材とする触媒は少なくとも0.8cc/gの細孔容積差を有する上記方 法。 2.第1のクロムを基材とする触媒が、シリカおよび/またはチタニアを含んで 成る担体上に酸化クロムを含んで成る請求の範囲第1項に記載の方法。 3.第1のクロムを基材とする触媒が、300〜700m2/gの比表面積、および2〜3 cc/gの気孔率を有する請求の範囲第1または第2項に記載の方法。 4.第1のクロムを基材とする触媒が、700〜900℃の温度で一酸化炭素により還 元されている、請求の範囲第1ないし第3項のいずれか1項に記載の方法。 5.第1のクロムを基材とする触媒が、約860℃の温度で一酸化炭素により還元 されている、請求の範囲第4項に記載の方法。 6.第1のクロムを基材とする触媒が、700〜900℃の温度で空気中で加熱するこ とにより再酸化されている前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 7.第1のクロムを基材とする触媒が、約760℃の温度で空気中で加熱 することにより再酸化されている前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 8.第2のクロムを基材とする触媒が、シリカ−アルミナを含んで成る担体上に 酸化クロムを含んで成る前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 9.第2のクロムを基材とする触媒が、250〜450m2/gの比表面積、および0.9〜1 .2cc/gの気孔率を有する前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 10.第2のクロムを基材とする触媒が、450〜750℃の温度で活性化されている 前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 11.第2のクロムを基材とする触媒が、約540℃の温度で活性化されている、 請求の範囲第10項に記載の方法。 12.第2のクロムを基材とする触媒が、NH4BF4と混合することによりフッ素処 理されている前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 13.第2のクロムを基材とする触媒が、300〜500℃の温度で一酸化炭素により 還元されている前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 14.第2のクロムを基材とする触媒が、約370℃の温度で一酸化炭素により還 元されている前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 15.第1および第2のクロムを基材とする触媒が、平均孔半径において50〜70 Aの差異を有する前記請求の範囲のいずれかに記載の方法。 16.第1のクロムを基材とする触媒が、150〜250Aの平均孔半径を有する前記 請求の範囲のいずれかに記載の方法。 17.第1のクロムを基材とする触媒が、約190Aの平均孔半径を有する請求の範 囲第16項に記載の方法。 18.第2のクロムを基材とする触媒が、110〜130Aの平均孔半径を有する前記 請求の範囲のいずれかに記載の方法。 19.第2のクロムを基材とする触媒が、約120Aの平均孔半径を有する請求の範 囲第18項に記載の方法。 20.エチレンを重合するか、またはエチレンと3〜10個の炭素原子を含んで成 るアルファオレフィンコモノマーとを共重合することにより高密度ポリエチレン を製造するための触媒系であって、触媒系が第1および第2のクロムを基材とす る触媒を含んで成り、第1のクロムを基材とする触媒は還元され、そして再酸化 されており、そして第2のクロムを基材とする触媒は活性化され、活性化工程前 または後にフッ素処理され、そして還元されており、しかも第1および第2のク ロムを基材とする触媒が少なくとも0.8cc/gの細孔容積差を有する上記触媒系。 21.第1のクロムを基材とする触媒が、シリカおよび/またはチタニアを含ん で成る担体上に酸化クロムを含んで成る請求の範囲第20項に記載の触媒系。 22.第1のクロムを基材とする触媒が、300〜700m2/gの比表面積、および2〜 3cc/gの気孔率を有する請求の範囲第20または第21項に記載の方法。 23.第2のクロムを基材とする触媒が、シリカ−アルミナを含んで成る担体上 に酸化クロムを含んで成る請求の範囲第20ないし22項のいずれか1項に記載 の触媒系。 24.第2のクロムを基材とする触媒が、250〜450m2/gの比表面積、および0.9 〜1.2cc/gの気孔率を有する請求の範囲第20ないし23項のいずれか1項に記 載の触媒系。 25.第1および第2のクロムを基材とする触媒が、平均孔半径において50〜70 Aの差異を有する請求の範囲第20ないし24項のいずれか1項に記載の触媒系 。 26.高密度ポリエチレンの双峰性の分子量分布を提供するために、請求の範囲 第20ないし25項のいずれか1項に記載の触媒系の、エチレンを重合するため の、またはエチレンと3〜10個の炭素原子を含んで成るアルファオレフィンコモ ノマーとを共重合するための方法における使用。
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