JP2001506268A - 皮膚移植片の取込みの改善のためのペプチドの使用 - Google Patents

皮膚移植片の取込みの改善のためのペプチドの使用

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JP2001506268A JP52798898A JP52798898A JP2001506268A JP 2001506268 A JP2001506268 A JP 2001506268A JP 52798898 A JP52798898 A JP 52798898A JP 52798898 A JP52798898 A JP 52798898A JP 2001506268 A JP2001506268 A JP 2001506268A
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Abstract

(57)【要約】 皮膚移植片の下層組織中への取込みを促進するための医薬の調製にペプチド化合物が用いられる。本発明に関連して有用な組成物は、アンギオテンシンII(AII)、AII類似体、AII断片およびその類似体、アンギオテンシノーゲンおよびその類似体、ならびにアンギオテンシノーゲン断片およびその類似体を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】 皮膚移植片の取込みの改善のためのペプチドの使用 技術分野 本発明は、一般に、生化学および医学の分野に関する。詳しくは本発明は、皮 膚移植片の増殖および癒合を促進するのに用いるための組成物および方法に関す る。 発明の背景 哺乳類組織における創傷(すなわち、裂創または開口)は、創傷面で組織破壊 および微小血管系の凝固を引き起こす。こうした組織の修復は、損傷に対して秩 序正しく制御された細胞の応答の現れである。すべての軟組織創傷は、サイズと は無関係に、同じように治癒する。組織の成長および修復は生物学的システムで あり、細胞増殖と血管形成は酸素勾配(oxygen gradient)の存在下で起こる。 連続的な形態学的変化および構造的変化は組織修復中に起こるものであるが、こ うした変化は非常に詳細に特徴付けられており、定量されている例もある(Hunt et al.,"Coagulation and macrophage stimulation of angiogenesis and wou nd healing,"in The surgical wound,pp.1-18,ed.F.Dineen & G.Hildrick -Smith(Lea & Febiger,Philadelphia:1981))。 細胞形態形成は、3つの異なる区域から構成される。中心の無血管創傷空間は 、酸素が欠乏しており、酸血性および炭酸過剰性であり、乳酸塩濃度が高い。創 傷空間には局部貧血(虚血)の勾配帯(gradient zone)が隣接しており、ここ では繊維芽細胞が分裂して増殖する。この先導帯に続くのが活性コラーゲン合成 領域であり、成熟繊維芽細胞と多数の新たに形成された毛細管(血管新生)を特 徴とする。この新たな血管の成長(血管形成)は創傷組織の治癒に必要である一 方、一般に血管形成剤では、予てからの要望である組織修復に対する付加的生合 成効果を提供することは不可能である。創傷(重度の熱傷、外科的切開、裂傷や その他の外傷)をさらに迅速に治癒させる必要があるのにも関わらず、今日まで 、医薬を用いた創傷治癒の促進でうまくいった例は限られている。 米国特許第5,015,629号(DiZerega)(この記載内容は、参照により 本明細書中に含まれる)は、創傷組織の治癒速度の増大のための方法であって、 前記増大に十分な量のアンギオテンシンII(AII)をこのような組織へ適用する ことを含む方法を記載する。アンギオテンシンIIの創傷組織への適用は、創傷治 癒速度を有意に増大し、より迅速な再上皮形成および組織修復をもたらす。アン ギオテンシンIIという用語は、配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile− His−Pro−Phe(配列番号1)を有するヒトおよびその他の種に存在す るオクタペプチドを指す。アンギオテンシンIIは公知の昇圧剤であり、市販され ている。 創傷治癒の促進におけるアンギオテンシンIIの効用にもかかわらず、創傷治癒 を促すのに有用な別の薬剤が依然として必要とされている。さらに、アンギオテ ンシンIIより高血圧を誘発する効力の低い薬剤を用いることは非常に有益である 。 AT2受容体に対して選択性のペプチドアゴニスト(このペプチドはAT2に 対する親和性がAT1より100倍高い)が同定された。p−アミノフェニルア ラニン6−AIIまたは「p−NH2−Phe6−AII」と呼ばれるこのペプチド は、配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−Xaa−Pro−Phe( 配列番号2)(ここで、Xaaはp−NH2−Pheである)を有する(Speth e t al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.169:997(1990))。2つのアンギオテ ンシンII受容体サブタイプは、アンギオテンシンIIの選択性作動性類似体すなわ ちp−アミノフェニルアラニン6アンギオテンシンIIで区別される(Biochem.B iophys.Res.Commun.169:997)。このペプチドは、試験した実験モデルにおい てAT2アンタゴニストに匹敵する結合特性を示した(Catalioto et al.,Eur .J.Pharmacol.256:93(1994);Bryson et al.,Eur.J.Pharmacol.225:119(19 92))。 今までに知られている組成物のすべての欠点を有さない組成物および方法を提 供することが、本発明の目的である。 発明の概要 本発明の一態様は、哺乳類の下層組織(underlying tissue)中への皮膚移植片 の取込み(incorporation)を促進する方法に関する。この方法は、(1)アンギ オテンシ ンIIおよび製薬上許容可能な担体を含む、移植片取込み促進に有効な量の組成物 を皮膚移植片または下層組織に適用し、(2)皮膚移植片と下層組織とを接触さ せ、そして(3)皮膚移植片を下層組織に固定する工程を含み、それにより前記 皮膚移植片の前記下層組織中への取込みが促進される方法である。一実施態様に よれば、皮膚移植片は自己移植片である。本発明の好ましい実施態様によれば、 製薬上許容可能な担体としては、緩衝生理食塩水溶液が挙げられる。担体が緩衝 生理食塩水を含む場合、アンギオテンシンIIを含有する組成物は、皮膚移植片を 浸漬することにより適用工程で適用され得る。あるいは、製薬上許容可能な担体 としては、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。組成物がカルボキシメチ ルセルロースおよびアンギオテンシンIIを含む場合、それは下層組織に適用され 得る。別の好ましい実施態様によれば、緩衝生理食塩水溶液およびアンギオテン シンIIを含む組成物は、下層組織に適用され得る。さらに好ましい別の実施態様 によれば、固定工程は、縫合、包帯または生物学的接着剤の適用のいずれかによ り成し遂げられる。 本発明の別の態様は、哺乳類の下層組織への皮膚移植片の取込みを促進する方 法に関する。この方法は、(1)製薬上許容可能な担体および一般式: R1−R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R1およびR2は共に式: X−RA−RB (ここで、XはHまたは1〜3個のペプチド基であり、RAとRBとの間のペプチ ド結合はアミノペプチダーゼA切断に対して不安定である) の基を形成し、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はPhe、Phe(Br)、IleおよびTyrからなる群から選択され 、但し末端Tyr基としてR4を含む配列を除く) の基R1〜R8の少なくとも3つの連続するアミノ酸からなるペプチドを含む、移 植片取込み促進に有効な量の組成物を皮膚移植片または下層組織に適用し、(2 )皮膚移植片と下層組織とを接触させ、そして(3)皮膚移植片を下層組織に固 定する工程を含み、それにより前記皮膚移植片の前記下層組織中への取込みが促 進される方法である。一実施態様によれば、皮膚移植片は自己移植片である。本 発明の好ましい実施態様によれば、製薬上許容可能な担体としては、緩衝生理食 塩水溶液が挙げられる。担体が緩衝生理食塩水を含む場合、ペプチドを含有する 組成物は、皮膚移植片を浸漬することにより適用工程で適用され得る。あるいは 、製薬上許容可能な担体としては、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。 組成物がカルボキシメチルセルロースおよびペプチドを含有する場合、それは下 層組織に適用され得る。別の好ましい実施態様によれば、緩衝生理食塩水溶液お よびペプチドを含有する組成物は、下層組織に適用され得る。さらに別の好まし い実施態様によれば、固定工程は、縫合、包帯または生物学的接着剤の適用のい ずれかにより成し遂げられる。 本発明のさらに別の態様は、哺乳類の下層組織中への皮膚移植片の取込みを促 進する方法に関する。この方法は、(1)製薬上許容可能な担体および一般式: R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R2はH、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar 、D−ArgおよびD−Lysからなる群から選択され、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はIle、Phe、Phe(Br)およびTyrからなる群から選択され る) を有するペプチドを含む、移植片取込み促進に有効な量の組成物を皮膚移植片ま たは下層組織に適用し、(2)皮膚移植片と下層組織とを接触させ、そして(3 )皮膚移植片を下層組織に固定する工程を含み、それにより前記皮膚移植片の前 記下層組織中への取込みが促進される方法である。一実施態様によれば、皮膚移 植片は自己移植片である。本発明の好ましい実施態様によれば、製薬上許容可能 な担体としては、緩衝生理食塩水溶液が挙げられる。担体が緩衝生理食塩水を含 む場合、ペプチドを含有する組成物は、皮膚移植片を浸漬することにより適用工 程で適用され得る。あるいは、製薬上許容可能な担体としては、カルボキシメチ ルセルロースが挙げられる。組成物がカルボキシメチルセルロースおよびペプチ ドを含有する場合、それは下層組織に適用され得る。別の好ましい実施態様によ れば、緩衝生理食塩水溶液およびペプチドを含有する組成物は、下層組織に適用 され得る。さらに別の好ましい実施態様によれば、固定工程は、縫合、包帯また は生物学的接着剤の適用のいずれかにより成し遂げられる。 図面の簡単な説明 本発明は、添付の図面を参照することにより、よりよく理解され得る。 図1は、類似体1および4を用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖におけ る対照反応のパーセントを示す。 図2は、2つの異なる用量で類似体2および3を用いたビヒクル処置対照に対 する創傷閉鎖における対照反応のパーセントを示す。 図3は、類似体2を用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖における対照反 応のパーセントを示す。 図4は、類似体5〜8を用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖における対 照反応のパーセントを示す。 図5は、類似体9〜12を用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖における 対照反応のパーセントを示す。 図6は、類似体6〜8を用いた肉芽組織の形成における対照反応のパーセント を示す。 図7は、類似体9〜11を用いた肉芽組織の形成における対照反応のパーセン トを示す。 図8は、AIIIを用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖の増大パーセント を示す。 図9は、種々のAIII類似体を用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖にお ける対照反応のパーセントを示す。 図10は、種々のAIII類似体を用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖に おける対照反応のパーセントを示す。 図11は、種々のAIII類似体を用いた肉芽組織の形成における対照反応のパ ーセントを示す。 図12は、種々のAIII類似体を用いた肉芽組織の形成における対照反応のパ ーセントを示す。 図13は、AIIの種々の断片を用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖にお ける対照反応のパーセントを示す。 図14は、AIIの種々の断片を用いたビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖にお ける対照反応のパーセントを示す。 図15は、AIIの種々の断片で処置した動物の対照創傷における肉芽組織の形 成を示す。 図16は、AIIの種々の断片で処置した動物の対照創傷における肉芽組織の形 成を示す。 図17は、AIIの種々の断片で処置した動物における肉芽組織の形成を示す。 図18は、AIIの種々の断片で処置した動物における肉芽組織の形成を示す。 図19は、種々のAII断片で処置した動物の対照創傷における肉芽組織の形成 を示す。 図20は、種々のAII断片で処置した動物における肉芽組織の形成を示す。 図21は、AIIの種々の断片を用いたビヒクル処置対照に対する創傷開鎖にお ける対照反応のパーセントを示す。 図22は、(p−NH2−Phe)6−AIIを用いたビヒクル処置対照に対す る創傷閉鎖における対照反応のパーセントを示す。 図23は、ビヒクル処置、あるいはAIIまたはp−NH2−Phe6−AII処 置創傷における肉芽組織の形成を示す。 図24は、無作為皮弁モデルにおける損傷後の種々の時点での移植片痂皮化ま たは壊死%として測定した場合の移植片取り込みに対するAII含有薬の効果を示 す。 図25は、無作為皮弁モデルにおける損傷後の種々の時点での移植片痂皮化ま たは壊死%として測定した場合の移植片取り込みに対するAII含有薬の効果を示 す。 図26は、損傷後8および12日目の完全に生存する皮弁のパーセンテージに 対するAIIの種々の濃度の効果を示す。 図27は、損傷後8および12日目の生存する皮弁のパーセンテージに対する AIIの種々の濃度の効果を示す。 図28は、手術後7および9日目の高倍率視野当たりの移植境界面での内皮細 胞の数に対するAIIの効果を示す。 図29は、手術後7および9日目の高倍率視野当たりの移植境界面での赤血球 を含有する血管の数に対するAIIの効果を示す。 図30は、移植境界面での内皮細胞の数が浸漬溶液中のAIIの濃度に依存する 様式を示す。 図31は、移植境界面での血管の数が浸漬溶液中のAIIの濃度に依存する様式 を示す。 好適な実施態様の詳細な説明 本発明によれば、哺乳類における皮膚移植片の癒合は、有効量の少なくとも1 つのAT2アゴニスト、アンギオテンシンI(AI)またはその類似体(analog) 、アンギオテンシノーゲンまたはその類似体、AII、活性AII類似体、AIIまた はその類似体の断片を含む組成物の使用により促進される。さらに、これらの化 合物に代謝される前駆体も、本発明による皮膚移植片の癒合の促進に際しての使 用が 考えられ、したがって、本発明の範囲内であると意図される。AT2受容体サブ タイプのアゴニストは創傷修復に利点を有するが、しかし血圧増大および口渇と いったようなAIIの多数の副作用を示さない。活性物質は一般に、基質またはミ セル溶液、あるいは晶質組成物として投与され、極低濃度でも再表皮形成および 組織修復を促進するのに有効である。 後述するように、本発明に用いるのに好ましい種類のAT2アゴニストは、A Iまたはその類似体、アンギオテンシノーゲンまたはその類似体、AII、AIIの 6位に相当する位置にp−NH2−Pheを有するAII類似体またはその活性断 片を包含する。ペプチド剤の他に、必要なAT2アゴニスト活性を有する種々の 非ペプチド剤(例えばペプチド擬似物質)も本発明による使用が考えられる。 本発明で特別に重要な活性AII類似体、AIIの断片およびそれらの類似体は、 下記一般式Iの配列中の基R1〜R8の少なくとも3つの連続するアミノ酸からな る配列を含むことを特徴とする。 R1−R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (I) (式中、R1およびR2は共に式: X−RA−RB (ここで、XはHまたは1〜3個のペプチド基であり、RAとRBとの間のペプチ ド結合はアミノペプチダーゼA切断に対して不安定である) の基を形成し、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro)A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はPhe、Phe(Br)、IleおよびTyrからなる群から選択され 、但し末端Tyr基としてR4を含む配列を除く) 本発明の実施に有用なAT2アゴニストの範疇に入る化合物としては、R6が p−NH2−Pheであるという制限を受ける前記のAII類似体が挙げられる。 好ましい実施態様の一つの種類では、RAはAsp、Glu、Asn、Acp c(1−アミノシクロペンタンカルボン酸)、Ala、Me2Gly、Pro、 Bet、Glu(NH2)、Gly、Asp(NH2)およびSucから適切に選 択される。RBは、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、sar 、D−ArgおよびD−Lysから適切に選択される。RAとRBの特に好ましい 組合せは、Asp−Arg、Asp−Lys、Glu−ArgおよびGlu−L ysである。 この種類の特に好ましい実施態様を以下に示す。AII、AIII、または、AII (2−8)すなわちArg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe (配列番号3)、AII(3−8)すなわちdes1−AIIIもしくはAIVとして も既知のVal−Tyr−Ile−His−Pro−Phe(配列番号4)、A II(1−7)すなわちAsp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pr o(配列番号5)、AII(2−7)すなわちArg−Val−Tyr−Ile− His−Pro(配列番号6)、AII(3−7)すなわちVal−Tyr−Il e−His−Pro(配列番号7)、AII(5−8)すなわちIle−His− Pro−Phe(配列番号8)、AII(1−6)すなわちAsp−Arg−Va l−Tyr−Ile−His(配列番号9)、AII(1−5)すなわちAsp− Arg−Val−Tyr−Ile(配列番号10)、AII(1−4)すなわちA sp−Arg−Val−Tyr(配列番号11)、およびAII(1−3)すなわ ちAsp−Arg−Val(配列番号12)。その他の好ましい実施態様として は、以下のものが挙げられる:Arg−norLeu−Tyr−Ile−His −Pro−Phe(配列番号13)およびArg−Val−Tyr−norLe u−His−Pro−Phe(配列番号14)。本発明の範囲内に包含されるさ らに別の好ましい実施態様は、配列Asp−Arg−Pro−Tyr−Ile− His−Pro−Phe(配列番号32)を有するペプチドである。AII(6− 8)すなわちHis−Pro−Phe(配列番号15)およびAII(4−8)す なわちTyr−Ile−His−Pro−Phe(配列番号1 6)も試験されたが、有効でないことが判明した。 本発明で特別に重要な別の種類の化合物は、下記一般式IIを有するものである 。 R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (II) (式中、R2はH、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar 、D−ArgおよびD−Lysからなる群から選択され、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はIle、Phe、Phe(Br)およびTyrからなる群から選択され る) 一般式IIの特に好ましい亜種の化合物は次式を有する。 R2−R3−Tyr−R5−His−Pro−Phe(配列番号17) (式中、R2、R3およびR5は前記と同様である) 特に好ましいのは、式Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Ph e(配列番号3)のアンギオテンシンIII(AIII)である。その他の好ましい化 合物としては、構造式Arg−Val−Tyr−Gly−His−Pro−Ph e(配列番号18)およびArg−Val−Tyr−Ala−His−Pro− Phe(配列番号19)を有するペプチドが挙げられる。断片AII(4−8)は 、反復試験で有効でなかった。これは、N末端の露出チロシンのためであると考 えられる。 前記の式中では、標準的なアミノ酸残基の三文字略記が用いられている。特に 指示がない場合は、アミノ酸はL体が意図される。他の残基は以下のように略さ れる。 表1 アミノ酸の略語 AIIおよびその類似体は、ガンマまたはベータターンを取ることが示唆されて いる(Regoli et al.,Pharmacological Reiews 26:69(1974))。概して、位置 R3、R5およびR7における中性側鎖は、受容体との結合および/または固有の 活性に基本的に関与する位置R4、R6およびR8における活性基間の適切な距離 を保持するのに関与すると思われる。位置R3、R5およびR8における疎水性側 鎖は、またペプチドの全体の立体配座において重要な役割を果たし、および/ま たは仮説的疎水性ポケットの形成に関与し得る。 位置R2のアミノ酸の適切な側鎖は、標的受容体に対する化合物の親和性に寄 与し、および/またはペプチドの立体配座に重要な役割を果たし得る。この理由 のために、ArgおよびLysがR2として特に好ましい。 本発明の目的のために、R3は、R5(ガンマターンモデルで)またはR6(ベ ータターンモデルで)との線状または非線状水素結合の形成に関与し得ると考え られる。R3は、ベータ逆平行構造(これもまた考え得る構造として提案された )における第1ターンにも関与する。一般式Iにおける他の位置に対比して、ベ ータおよびガンマ分枝はこの位置で等しく有効であると思われる。さらに、単一 水素結合は、相対的に安定な立体配座を保持するのに十分であり得る。したがっ て、R3は、Val、Ala、Leu、Ile、Gly、Pro、Aib、Ac pc およびTyrから適切に選択され得る。 R4に関しては、立体配座分析は、この位置での(ならびにR3およびR5での )側鎖が、受容体の占有および刺激に不可欠と思われる疎水性クラスターに関与 することが示唆される。したがって、R4は、好ましくはTyr、Thr、Se rおよびazaTyrから選択される。この位置では、フェノール性ヒドロキシ ルから水素を受容可能な受容体部位との水素結合を形成し得るので、Tyrが特 に好ましい(Regoli et al.(1974),上記)。 位置R5では、β脂肪族または脂環式鎖を有するアミノ酸が特に好ましい。し たがって、Glyが位置R5に適している一方、この位置のアミノ酸はIle、 Ala、LeuおよびValから選択されるのが好ましい。 本発明で特別に重要なAIIの類似体、断片および断片の類似体において、R6 はHis、Argまたは6−NH2−Pheである。ヒスチジンのイミダゾール 環の独特の特性(例えば、生理学的pHでのイオン化、プロトン供与体または受 容体として作用する能力、芳香族特性)は、R6としてその特定の有用性に寄与 すると考えられる。例えば、立体配座モデルは、Hisが水素結合形成(ベータ モデルで)に、またはR7の配向に影讐を及ぼすことにより逆平行構造の第二タ ーンに関与し得ることを示唆する。同様に、R7は、R8の最も望ましい配向を提 供するために、Proであるべきであると、目下考えられている。位置R8では 、疎水性環および陰イオン性カルボキシル末端はともに、当該類似体の受容体と の結合に特に有用であるようである。したがって、Tyrそして特にPheは、 本発明の目的のために好ましい。 特に重要な類似体を以下に示す。 表2 アンギオテンシンII類似体 アンギオテンシンIIは、毛管を形成するために分枝した小動脈、すなわち細動 脈の収縮を引き起こすことが知られている最も強力な血管収縮薬の1つである。 アンギオテンシンの生物学的生成は、血漿基質アンギオテンシノーゲンに対する レニンの作用により開始される。生成される物質は、アンギオテンシンIと呼ば れるデカペプチドであり、これは、アンギオテンシンIからC末端のHis−L eu残基を除去する変換酵素アンギオテンシナーゼによりアンギオテンシンIIに 変換される。 レニン−アンギオテンシン系の血管作用性生成物であるAIIは、創傷修復に関 与する成長因子の放出、有糸分裂、走化性および培養細胞の細胞外基質の放出を 増大することが研究により示されている(Dzau et al.,J.Mol.Cell Cardiol .21(Suppl.III):S7(1989);Berk et al.,Hypertension 13:305(1989);K awahara et al.,BBRC 150:52(1988);Naftilan et al.,J.Clin.Invest.8 3:1419(1989);Taubman et al.,J.Biol.Chem.264:526(1989);Nakahara et al.,BBRC 184:811-8(1992);Stouffer et al.,Circ.Res.70:820(1992 );Wolf et al.,Am.J.Pathol.140:95(1992);Bell et al.,Am.J.Path ol.137:7(1990))。さらに、AIIは、ウサギ眼の角膜およびニワトリ漿尿膜モ デルにおいて脈管形成性であることが示された(Fcmandez et al.,J.Lab.Cli n.Med.105:141(1985);LeNoble et al.,Eur.J.Pharmacol.195:305(199 1))。したがって、AIIは、新生脈管形成、成長因子放出、再表皮形成および細 胞外基質の産生の増大により創傷修復を促進する可能性がある。損傷組織への血 液および栄養分の流量の増大により、AIIは創傷修復速度を増大する可能性があ る。AIIは、損傷部位での成長因子の生成によっても創傷修復を促進する可能性 がある。成長因子の外因性付加は種々のメカニズムにより創傷修復を促進するこ とが示されている(Grotendorst et al.,J.Clin.Invest.76:2323(1985); Mustoe et al.,Science 237:1333(1987);Pierce et al.,J.Exp.Med.167 :974(1988);Lynch et al.,J.Clin.Invest.84:640(1989);Greenhalgh et al.,Am.J.Pathol.136:1235(1990))。近年の研究は、AIIが損傷後の頸 動脈および大動脈における新内膜形成を増大することを示した(Powell et al. ,Science 245:186(1989);Powell et al.,J.Cardiovasc.Pharmacol.16(su ppl 4):S42-9(1991);Capron et al.,J.Cardiovasc.Pharmacol.18:207(1 991);Osterriedes et al.,Hypertension 18:Suppl II 60-64(1991);Daeme n et al.,Circ.Res.68:450(1991))。これらの観察の結果、内因性AIIが 内皮過形成を誘導し得るメカニズムを確定するために、研究が実施された。AII は、平滑筋細胞、繊維芽細胞および内皮細胞のためのマイトジェンとして作用す ることが示された(Schelling et al.,J.Cell.Physiol.98:503(1979);Ca mpbell-Boswell Exp.Mol.Pathol.35:265(1981);Emmett et al.,J.Cell .Biol.103:171(1986);Paquet et al.,J.Hypertens.8:565(1990);Dzau et al.,上記)。AIIは、血管平滑筋細胞のタンパク質含量およびサイズも増大 する(Berk et al.(1989),上記; Geisterfer et al.,Cir.Res.62:749(1988))。AIIは、平滑筋細胞、内皮 細胞および心臓繊維芽細胞からの種々の型の成長因子、例えばPDGF、ヘパリ ン結合EGFおよびトランスフォーミング成長因子β(TGFβ)、ならびに成 長関連原癌遺伝子の放出を増大することを、研究は示した(Kawahara et al.( 1988),上記;Naftilan,A.J.,J.Cardiovas.Pharmacol.20:S37(1992);Naf tilan et al.(1989),上記;Taubman et al.(1989),上記;Nakahara et al .(1992),上記;Temizer et al.(1992),上記;Gibbons et al.,J.Clin.I nvest.90:456(1992);Bell et al.,J.Clin.Invest.89:315(1992);Sto uffer et al.(1992),上記)。AIIによる血管平滑筋細胞の肥厚は、PDGF により媒介された(Berk et al.,J.Cell.Physiol.154:368(1993))。 したがって、AIIは、創傷組織におけるこれらの成長因子のレベルを増大する ことにより創傷修復を促進するよう作用する、と考えられる。さらに、AIIは、 コラーゲン合成を刺激することが示され、それにより細胞外基質形成におけるこ の因子に関する役割が示唆される(Wolf et al.,Cell.Reg.2:219(1991);Wo lf et al.(1992),上記;Zhou et al.,FASEB.J.6:A1914(1992))。創傷修 復は、必要な細胞型の創傷床への走化性も関与する。AIIは、in vitroの内皮細 胞および平滑筋細胞の移動を誘導することも示された(Bell et al.(1990), 上記)。 近年の研究は、AII受容体の発現が創傷修復過程で変化することも示した(Vi swanathan et al.,Peptides 13:783(1992);Kimura et al.,BBRC 187:1083 (19920))。これらの変化は、修復部位でのAIIの局所産生の増大の証拠とと もに、AIIが創傷修復の過程で鍵となる役割を果たし得ることを示唆する。 創傷修復に関与し得るAIIの作用は、近年、再検討された(Phillips et al .,Angiotensin receptor stimulation of transforming growth factor-βin r at skin and wound healing.In Angiotensin Receptors(ed JM Saavedra and PBMWM Timmermans),Plenum Press,New York,NY,pp 377-396(1994))。報 告された研究の大半において、これらの効果はAT1受容体により媒介されるこ とが示された。 AIIの血圧作用(そしてアルドステロン分泌および口渇増大といったような他 のほとんどの効果)は、1型受容体(AT1受容体)により媒介される(Wong, PC Angiotensin antagonists in models of hypertension.In:Angiotensin Rec eptors (JM. Saavedra and PBMWM Timmermans),Plenum Press NY,NY pp 319-336(1994);M acKenzie et al.,J.Hypertension 12(Suppl 9):S11-S16(1994);Gupta et al.,Hypertension 25:443(1995);Llorens-Cortes et al.,Hypertension 2 4:538(1994);Wong et al.,Eur.J.Pharmacol.220:267(1992))。この結 論は、受容体サブタイプ特異的アンタゴニストによるAIIの作用の遮断に基づい ている。 AIIおよびAIIアンタゴニストの効果は、血管の損傷および修復の2つの実験 モデルで実験された。血管系へのバルーン損傷後の血管の過形成へのAT2の関 与に関して、研究は結びつけられた。ラット頸動脈では、大多数の受容体がAT 2である(Pratt et al.,Hypertension 20:432(1992))。対照的に、損傷ラ ット胸大動脈の新内皮細胞は、主にAT1受容体を発現する(Viswanathan et a l.,J.Clin.Invest.90:1707(1992))。PD 123319(AT2特異的 アンタゴニスト)によるラットの処置は内皮増殖を73%低減し、一方、ロサル タン(losartan)(AT1特異的アンタゴニスト)は内皮面積を95%低減した( Pratt et al.,(1992),上記)。同様のモデルにおいて、14日間血管周囲に 注入されたCGP 42112(AT2アンタゴニスト)は、新内皮形成を阻止 したが、低用量のロサルタンは無効であった(Janiak et al.,Hypertension 20 :737(1992))。他の研究では、高用量のロサルタンは有効であることが判明し た(Fomey Prescott et al.,Am.J.Pathol.139:1291(1991);Kauffman et al.,Life Sci.49:223(1991))。したがって、両方の受容体サブタイプは、 バルーン損傷後の血管病変の形成にある役割を果たし得る、と考えられる。 若い動物における実験的創傷治癒中に、AII受容体の発現は、創傷周囲の皮膚 の浅在真皮内の組織の局在化帯(localized band)中で有意に増大する。この増 大のほとんどが、AT2受容体によるものである(Viswanathan et al.,Pepati des 13:783(1992);Kimura et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.187:10 83(1992))。これらの結果、ならびに本明細書で以下に開示される結果は、実 験動物として成熟ラットを用いた手法により得られた。AT1受容体は、成熟ラ ットにおける切開創傷の形成後に変化する。これらの後者の研究における実験計 画は、創傷の真皮と他の部分との間を区別しない。 AIIおよびAIIIは、いくつかの点で全く異なる生物学的活性を有する、とい う ことが観察されている。例えばAIIは惹起性ニューロンノルエピネフリン放出に 対して二相性作用を示し(初期低減、その後増大)、一方、12分後にのみ、特 発性ノルエピネフリン放出を増大した。AIIIは惹起性および特発性の両方のニ ューロンノルエピネフリン放出に対して二相性作用を示した(Vatta et al.,Ca n.J.Physiol.Pharmacol.70:821(1992))。さらに、AIIおよびAIIIは、 圧受容器−心臓−反射に異なる影響を及ぼす。AIIは反射の感度を増強し、一方 AIIIはそれを減損する(Brattstrom et al.,Progress in Brain Research 91: 75(1992))。意外なことに、AIIとAIIIとの間の生物学的活性におけるこれ らの有意の差にもかかわらず、AIIIおよびその特定の類似体は、創傷治癒の促 進に有用である。 多くの研究がその活性を評価するためにAII(1−7)に集中した。AII(1 −7)の多数の作用は、AT2受容体を介した作用と考えられる。しかしながら 、これは一貫せず、実験した組織に依存している。 AII(1−7)は、AIIの作用の多くを有さない。AII(1−7)は、昇圧活 性を欠き、あるいは、試験したモデルおよび投与経路によって、血圧に非常に穏 やかな(AIIの用量の10,000〜100,000倍で有効)作用を及ぼす。 実際、AII(1−7)は、プロスタノイド合成により媒介され得る血圧降圧作用 を示す。さらに、AIIの作用に対比して、AII(1−7)はカテコールアミン放 出およびアルドステロン放出を引き起こさず、口渇誘発性でない(Webb et al. ,Peptides 13:499(1992);Cheng et al.,Am.J.Physiol.266:H2247-H2255 (1944);Moriguchi etal.,Am.J.Physiol.267:R786-R791(1944);Schiavone et al.,J.Cardiovascular Pharmacol.16(Suppl.4):S19-S24(1990);F errario et al.,Hypertension 19(suppl.III):III-126-III-133(1991) )。 ある報告では、AII(1−7)は匹敵する反応を得るのに、AIIより10,0 00倍多いAII(1−7)を必要とする弱昇圧剤である(Benter et al.,Pepti des 14:679(1993))。この系では、AII(1−7)は用量依存性の長期抑制作 用を有した。AII(3−7)はAII(1−7)より低い昇圧作用を有したが、し かし抑制作用は有さなかった。AII(1−7)、AII(2−7)およびAII(3 −7)はドーパミン系および記憶に影響を及ぼし得る、ということも注目される (精神活性作用を示唆する)。 いくつかの系では、AII(1−7)の作用はAIIと全く異なる。AIIは、AT 1受容体によりラットメサンギウム細胞におけるコリン産生を刺激する;AII( 1−7)およびAII(1−6)はこのパラメーターに非常に弱い作用を及ぼす( Pfeilschifer et al.,Eur.J.Pharmacol.225:57(1992))。 ブタ大動脈内皮細胞では、AIおよびAII(1−7)はプロスタグランジンE 2および12の放出を刺激したが、しかしAIIはこの作用を有さなかった(Jais wal et al.,Hypertension 19(Suppl II):11-49-II-55(1992))。AIIは、 他の細胞型において、そして無傷血管においてプロスタノイドの放出を刺激し得 るが、ヒトまたはブタ内皮細胞ではできない。内皮細胞に対する作用は、AT1 およびAT2とは異なる受容体によるものであった。 ラット糸球体標晶では、AIIは、AT1受容体により、ヒスタミン、セロトニ ンおよび上皮小体ホルモンに応答するcAMPの形成を阻害した(Edwards et a l.,J.Pharmacol.Exper.Ther.266:506(1993))。AII(1−7)は、この 作用を有さなかった。 ブタ血管平滑筋細胞およびヒト星状膠細胞では、AIIおよびAI(1−7)は プロスタグランジン放出を増大するが、アンギオテンシンIIだけが細胞内Ca2+ の放出を増大する(Jaiswal et al.,J.Pharmacol.and Exp.Therapeutic 265 :664(1993);Jaiswal et al.,Hypertension 17:1115(1991))。 AII(1−7)は、おそらく一酸化窒素により、ブタ冠状動脈環を拡張する( Porsti et al.,Br.J.Pharmacol.111:652(1994))。これはAII、AIIIま たはAII(3−8)を用いた場合には観察されなかった。この作用は、AT1ま たはAT2受容体のアンタゴニストにより減衰されなかった。 AIIはラット単離結節性神経節の脱分極を引き起こすが、AII(1−7)は引 き起こさない(Widdop et al.,Clin.and Exper.Hyper-Theory and Practice A14:597(1992))。実際上、AII(1−7)は脳機能に対して新規の作用を有 する(Schiavone et al.,J.Cardiovascular Pharmacol.16(Suppl 4):S19-S2 4(1990))。 バソプレッシンの放出および近位尿細管細胞におけるホスホリパーゼA2活性 の調節といったような、AII(1−7)がAIIと共通する活性がある(Andreatt a-Van Leyen et al.,Kidney International 44:932(1993);Moriguchi et al .Am.J. Physiol.267:R786-R791(1994);Ferrario et al.,Hypertension 19(suppl III):III-126-III-133(1991))。しかしながら、これらの活性は創傷修復に 関与するとは思えない。 AIIのその他の断片の作用は、ほとんど研究されていない。室傍核におけるほ とんどのニューロンはAII(1−7)、AIIおよびAIIIにより興奮させられる が、しかしAII(1−7)はこの作用が弱く、多くのニューロンではAII(2− 7)は不活性である(Ambuhl et al.,Regulatory Peptides 38:111(1992)) 。側脳室に注入されたAIIは運動性、常同症および条件回避反応の習熟を増大し たが、AII(1−6)およびAII(2−6)はこれらの精神作用性活動において は活性でなかった(Holy et al.,Polish J.Pharmacol.45:31(1993))。 AII(4−8)、AII(5−8)およびAII(1−4)は、ラットの前方間脳 中に注入した場合、水分摂取にわずかに影響を及ぼしただけであったが、AII( 1−7)は完全に不活性であった(Fitzsimmons J.Physiol.214:295(1971) )。ラットにおけるAII断片(AII(4−8)およびAII(5−8))の脳室内 注入は、血圧を増大するAIIの濃度の1,000倍の濃度で投与した場合でも、 血圧に及ぼす作用は最小度であった(Wright et al.,Am.J.Physiol.257:R15 51(1989))。これらの両研究では、断片は脳に直接注入されたが、これは非常 に人為的で、全身性代謝を可能にしない。 本発明の方法によれば、本発明のAII、活性AII類似体、AII断片またはその 類似体は、組織の治癒速度を増大するのに十分な量で、皮膚移植片を包含する創 傷組織に適用される。これらの化合物は、in vivoでナノモルレベルで治癒速度 を有意に促進し得る。所与の活性物質のいずれに関しても、所与の処方物のため の最適濃度を経験的に容易に確定することができる。一般的には、本発明に用い るのに適した活性物質の量は、体重1kg当たり約0.001μg〜約10mg 、または創傷面積1cm2当たり約1ng〜100μgの範囲である。 本発明の化合物は、種々の溶液中で適用され得る。本発明に用いるのに適した 溶液は滅菌され、十分量のペプチドを溶解し、創傷組織に有害でない。これに関 しては、本発明の組成物は非常に安定であるが、しかし強酸および強塩基により 加水分解される。本発明の化合物は有機溶媒に、そして水性溶液にpH5.8で 可溶性である。 一定期間に組織中への活性物質の流入を可能にする適用手段のいずれも用いる ことかできる。例えば、水性溶液はガーゼの包帯またはストリップを介して創傷 組織に適用されるか、あるいはこのような溶液は定期還流(例えば、リポソーム 、軟膏、ミセルなどを用いて)が得られるように製剤化されよう。本発明の化合 物を用いたこれらの製剤の製造方法は、当業者には明らかである。組織修復作用 は、化合物がナノモル量で存在する場合でも認められるので、用いられる活性物 質の具体的濃度は臨界的ではない。 好ましくは、基質、ミセルまたは晶質溶液は、少なくとも0.01μg/ml の濃度で存在する活性物質とともに用いられる。後記の実施例で有益に用いられ ている具体的基質溶液は、HYDRONの商標でHydro Med Sciences(New Br unswick,NJ)により販売されている半固体ポリエチレングリコールポリマーで ある。別の好ましい溶液は、PLURONICS F108の商標でBASF(Ludw igshafen,Germany)により販売されているミセル溶液である。室温条件下で、 この溶液は液体であるが、しかし温組織に適用した場合、溶液は、数日間の期間 中の創傷組織への活性物質の注入を可能にするゲルを生成する。その他の好まし い製剤としては、カルボキシメチルセルロース調製物(本明細書の実施例で用い られる)、晶質調製物(例えば食塩溶液、リンガー乳酸溶液、5%デキストロー スを含有するリンガー乳酸溶液、リン酸緩衝生理食塩水等)、粘弾性物質、ポリ エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、膠剤(glue)、または組織接着 剤(例えばフィブリン膠)、アルブミン膠、トロンボーゲンまたはコラーゲンシー ラント)、そして創傷保護用品(例えば包帯等)が挙げられる。 本発明の化合物の治癒作用は、種々の場合に提供され得る。溶液は、潰瘍、病 変、損傷、糖尿病性潰瘍、熱傷、外傷、うっ血性潰瘍、歯周症状、裂傷およびそ の他の症状の治療において、表面創傷組織に局所的に適用され得る。さらに、例 えば侵襲性外科手術に起因するような腹腔内創傷組織は、本発明の組成物で処置 されて、治癒を促進され得る。例えば、結腸切片またはその他の組織の外科的除 去後、手術面は、内部毛管潅流および治癒を促進するために、手術部位を閉じる 前に活性物質の溶液で覆われる。さらに、局所治癒の速度は、注入またはその他 の方法により活性物質を皮下投与することにより増大され得る。 添付の実施例を参照すると、本発明はより良好に理解され得るが、それらは本 発明を説明するためのものであって、限定するものではなく、本発明の範囲は添 付の請求の範囲に明記されている。下記のいくつかの実施例は、創傷治癒を促進 するために本明細書に開示した組成物の一般的効用を示した。その後の実施例は 、本明細書中に開示された組成物の皮膚移植片の癒合を促進するための使用方法 を開示する。 実施例1は、全層(full thickness)創傷の治癒がAII類似体を含有する医薬の 投与により促進されたことを確証するために用いられた方法を記載する。 実施例1 アンギオテンシンII類似体は全層創傷の治癒を促進する 12週齢の雄Sprague Dawleyラットを、Simonsen Laboratories(Gilroy,CA )から入手した。手術当日に、手術の準備前に、ラットに筋注によるケタミン/ ロンパム麻酔を行った。ラットの毛を剃り、ベタジンで洗った。各ラットの背面 に4つの2x2cmの全層皮膚創傷を作った。皮膚の切除後、創傷のサイズはガラ ススライド上に輪郭を取り、ベースライン創傷サイズを確定した。10%HYD RON、1%ポリエチレングリコール(分子量400)および60%エタノール を含有する溶液100μl中の薬剤を投与した。被験物質は、無作為方式で投与 した。全物質を3μg/創傷で試験し、類似体2および3は10μg/創傷でも 評価した。対照創傷は、ビヒクルのみを用いて処置した。被験物質投与後、ラッ トに包帯をして、麻酔から回復させた。2、5、6、8および10日目に、メト キシフルラン麻酔(METOFANEとしてPittman-Moore,Mundelein,ILから 市販されている)下で、各皮膚創傷の面積を測定した。創傷の面積は、以下のよ うに測定した。(1)グラフ用紙(1x1mm方眼)に創傷の形状をトレースし、 (2)形状を切り取り、(3)紙を計量して、2x2cm紙片と比較し、そして( 4)グラフ用紙上の方眼の数を計数する。 図に示したように、一般式Iにしたがった類似体1(図1)、2および3(図 2)で試験創傷を処置した場合、全層創傷閉鎖は、対照に対して実質的に促進さ れた。図に示した結果は、ビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖の増加パーセント で示した。意外なことに、RAがSarであるために一般式Iの範囲外である類 似体4(Sar−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe( 配列番号37))の投与は、創傷修復を促進しなかった(図1)。この類似体は 、アンギオテンシンII受容体に対する完全な親和性および活性を有すると報告さ れたが、しかしアミノペプチダーゼによる切断に耐性である(Mendelsohn et al .,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 81:1575(1984);Israel et al.,Brain Res. 322:341(1984);Harding et al.,Brain Res.424:299(1987))。図3は、 10μg用量は3μg用量よりも有効に創傷治癒を促進した、ということを示す 。 実施例2は、AII分子の8つのアミノ酸位置の各々が異なるアミノ酸に置換さ れて、前記の方法にしたがって治療効用を有する化合物に至る方法を体系的に説 明する。 実施例2 8つの位置の各々で置換されたアンギオテンシン類似体は 創傷治癒活性を保有する 12週齢の雌Sprague Dawleyラットを、Simonsen Laboratories(Gilroy,CA) から入手した。手術当日に、手術の準備前に、ラットに筋注によるケタミン/ロ ンパム麻酔を行った。ラットの毛を剃り、ベタジンで洗った。各ラットの背面に 2つの1.5x1.5cmの全層皮膚創傷を作った。皮膚の切除後、創傷のサイズ はガラススライド上に輪郭を取り、ベースライン創傷サイズを確定した。10% HYDRON、1%ポリエチレングリコール(分子量400)および60%エタ ノールを含有する溶液100μl中の薬剤を投与した。被験物質は、無作為方式 で投与し、全物質を10μg/創傷で試験した。対照創傷は、ビヒクルのみを用 いて処置した。被験物質投与後、ラットに包帯をして、麻酔から回復させた。2 、5、7および9日目に、メトキシフルラン麻酔下で、各皮膚創傷の面積を測定 した。創傷の面積は、以下のように測定した。(1)グラフ用紙(1x1mm方眼 )に創傷の形状をトレースし、(2)形状を切り取り、(3)紙を計量して、1 .5x1.5cm紙片と比較し、そして(4)グラフ用紙上の方眼の数を計数する 。さらに、2、5および7日目に、肉芽組織(granulation tissue)の面積を、類 似体5〜10を投与した動物に関して測定した。 図4〜7に示したように、一般式Iにしたがった類似体4〜11で試験創傷を 処置した場合、創傷閉鎖は、対照創傷に対して実質的に促進された。図4および 5は、ビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖の対照反応のパーセントを示す。いず れの場合も、類似体の1つを投与すると、術後の創傷の閉鎖は促進された。図6 および図7は、肉芽組織の形成における対照反応のパーセントを示す。さらに、 いずれの場合も、類似体の1つを投与すると、ビヒクル単独投与と比較して、肉 芽組織の形成は促進された。これらの結果は、本発明のアミノ酸配列を有するA II類似体を用いて創傷治癒を促進する方法を示す。 実施例3は、AIIIが全層皮膚創傷の治癒を促進したことを実証するために用 いた方法を記載する。 実施例3 アンギオテンシンIIIは全層皮膚創傷の治癒を促進する 12週齢の雄Sprague Dawleyラットを、Simonsen Laboratories(Gilroy,CA) から入手した。手術当日に、手術の準備前に、ラットに筋注によるケタミン/ロ ンパム麻酔を行った。ラットの毛を剃り、ベタジンで洗った。各ラットの背面に 4つの2x2cmの全層皮膚創傷を作った。皮膚の切除後、創傷のサイズはガラス スライド上に輪郭を取り、ベースライン創傷サイズを確定した。10%HYDR ON、1%ポリエチレングリコール(分子量400)および60%エタノールを 含有する溶液100μl中の薬剤を投与した。被験物質は、無作為方式で投与し た。AIIIを3および10μg/創傷で評価した。対照は、ビヒクルのみを用い て処置した。被験物質投与後、ラットに包帯をして、麻酔から回復させた。2、 5、6、8および10日目に、メトキシフルラン麻酔下で、各皮膚創傷の面積を 測定した。創傷の面積は、以下のように測定した。(1)グラフ用紙(1x1mm 方眼)に創傷の形状をトレースし、(2)形状を切り取り、(3)紙を計量して 、2x2cm紙片と比較し、そして(4)グラフ用紙上の方眼の数を計数する。 図8に示したように、3μgおよび10μg用量の両方で、AIIIで被験動物 を処置した場合、創傷閉鎖は、対照動物に対して実質的に促進された。図8に示 した結果は、ビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖の増加パーセントで示す。 実施例4は、AIII類似体も全層皮膚創傷の治癒を促進するということを実証 す るために用いた方法を説明する。 実施例4 アンギオテンシンIII類似体は全層皮膚創傷の治癒を促進する 12週齢の雌Sprague Dawleyラットを、Simonsen Laboratories(Gilroy,CA) から入手し、実施例3に記載したように、手術の準備をした。各ラットの背面に 2つの1.5x1.5cmの全層皮膚創傷を作った。皮膚の切除後、創傷のサイズ はガラススライド上に輪郭を取り、ベースライン創傷サイズを確定した。10% HYDRON、1%ポリエチレングリコール(分子量400)および60%エタ ノールを含有する溶液100μl中の薬剤を投与した。被験物質は、無作為方式 で投与し、全物質を10μg/創傷で試験した。対照創傷は、ビヒクルのみを用 いて処置した。被験物質投与後、ラットに包帯をして、麻酔から回復させた。2 〜3、5、7〜8および9〜10日目に、メトキシフルラン麻酔下で、皮膚創傷 の面積を測定した(表3に示したように、類似体1Aおよび2〜8に関して)。 創傷の面積は、以下のように測定した。(1)グラフ用紙(1x1mm方眼)に創 傷の形状をトレースし、(2)形状を切り取り、(3)紙を計量して、1.5x 1.5cm紙片と比較し、そして(4)グラフ用紙上の方眼の数を計数する。さら に、2〜3、5および8日目に、肉芽組織の面積を、同様に測定した(類似体1 A、1Bおよび2〜7に関して)。これらの操作に用いた類似体は、表3に示し た構造を有した。 表3 アンギオテンシンIII類似体 図9〜12に示したように、一般式IにしたがったAIII類似体1〜8で試験 創傷を処置した場合、創傷閉鎖は、対照創傷に対して実質的に促進された。図9 および10は、ビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖の対照反応のパーセントを示 す。いずれの場合も、類似体の1つを投与すると、術後の創傷の閉鎖は促進され た。図11および12は、肉芽組織の形成における対照反応のパーセントを示す 。さらに、いずれの場合も、類似体の1つを投与すると、ビヒクル単独投与と比 較して、肉芽組織の形成は促進された。したがって、これらの類似体は、全層皮 膚創傷の治癒を促進するのに明らかに有効であった。 実施例5は、AII断片が全層皮膚創傷の治癒を促進するのに有用であったこと を実証するために用いた方法を記載する。 実施例5 アンギオテンシンII断片は全層皮膚創傷の治癒を促進する 体重175〜200gの雌Sprague Dawleyラットを、Simonsen Laboratorie s(Gilroy,CA)から入手した。手術当日に、手術の準備前に、ラットに筋注に よるケタミン/ロンパム麻酔を行った。ラットの毛を剃り、ベタジンで洗った。 各ラットの背面に2つの1.5x1.5cmの全層皮膚創傷を作った。皮膚の切除 後、 創傷のサイズはガラススライド上に輪郭を取り、10%低粘度カルボキシメチル セルロース(Sigma)100μl中の薬剤を投与した。被験物質は、無作為方式 で投与した。全物質を100μg/創傷で試験した。対照創傷は、ビヒクルのみ を用いて処置した。被験物質投与後、ラットに包帯をして、麻酔から回復させた 。術後1〜4日目に、さらに100μgの適切なペプチド処方物でラットを処置 した。2、4、7および9日目に、メトキシフルラン麻酔下で、皮膚創傷の面積 を測定した。創傷の面積は、以下のように測定した。(1)グラフ用紙(1x1 mm方眼)に創傷の形状をトレースし、(2)形状を切り取り、(3)紙を計量し て、1.5x1.5cm紙片と比較し、そして(4)グラフ用紙上の方眼の数を計 数する。さらに、2、4および7日目に、肉芽組織の面積も測定した。 図13〜21に示したように、AII(6−8)およびAII(4−8)を除くい ずれの断片を用いて被験動物を処置した場合にも、創傷閉鎖は、対照動物に対し て実質的に促進された。図13,14および21は、本明細書に記載したような AIIの断片を用いたときの、ビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖の対照反応のパ ーセントを示す。図15〜18および20〜21は、肉芽組織で充填したビヒク ル対照創傷のパーセントとペプチド処置創傷のパーセントとを比較する。図15 、16および19は、それそれ図17、18および20が比較されるべき対照創 傷からのデータを反映する。 本発明の重要な化合物では、R6はpNH2−Pheである。文献は、このアミ ノ酸がアゴニスト活性を付与することを示唆する。R8の最も望ましい配向を提 供するために、R7はProであるべきである、と目下考えられている。位置R8 では、疎水性環および陰イオン性カルボキシル末端はともに、当該類似体の受容 体との結合に特に有用であると思われる。したがって、Tyr、そして特にPh eが、本発明の目的のために好ましい。 AT2アゴニストp−NH2−Phe6−AIIを皮膚修復に関してラットモデ ルで試験し、5日間、100μg/日の用量でのAIIに匹敵する結果を生じるこ とが判明した。肉芽組織形成および創傷閉鎖がともに試験され、p−NH2−P he6−AIIにより促進されることが判明した。 本発明の方法によれば、少なくとも1つのAT2アゴニストが組織の治癒速度 を増大するのに十分な量で創傷組織に適用される。これらの化合物は、in vivo でナノモルレベルで治癒速度を有意に促進し得る。所与のアゴニスト(ペプチド または非ペプチド)に関して、所与の製剤中に用いるための最適レベルは経験的 に容易に決定され得る。一般的には、本発明に用いるのに適した活性物質の量は 、体重1kg当たり約0.0001μg〜約10mg、または約1ng〜100 mg/創傷面積1cm2の範囲である。 実施例6は、AT2受容体アゴニストが全層皮膚創傷の治癒を促進するために 有用であったことを実証するために用いられる方法を記載する。 実施例6 AT2受容体アゴニストは全層皮膚創傷の治癒を促進する 体重175〜200gの雌Sprague Dawleyラットを、Simonsen Laboratorie s(Gilroy,CA)から入手した。手術当日に、手術の準備前に、ラットに筋注に よるケタミン/ロンパム麻酔を行った。ラットの毛を剃り、ベタジンで洗った。 各ラットの背面に2つの1.5x1.5cmの全層皮膚創傷を作った。皮膚の切除 後、創傷のサイズはガラススライド上に輪郭を取り、ベースライン創傷サイズを 確定した。10%低粘度カルボキシメチルセルロース(Sigma)100μl中の 薬剤を投与した。p−NH2−Phe6−AII被験物質は、無作為方式で投与し 、全物質を100μg/創傷で試験した。対照創傷は、ビヒクルのみを用いて処 置した。被験物質投与後、ラットに包帯をして、麻酔から回復させた。術後1〜 4日目に、さらに100μgのペプチド処方物でラットを処置した。2、4、7 および9日目に、メトキシフルラン麻酔下で、皮膚創傷の面積を測定した。創傷 の面積は、以下のように測定した。(1)グラフ用紙(1x1mm方眼)に創傷の 形状をトレースし、(2)形状を切り取り、(3)紙を計量して、1.5x1. 5cm紙片と比較し、そして(4)グラフ用紙上の方眼の数を計数する。さらに、 2、4および7日目に、肉芽組織の面積も同様に測定した。 図22〜23に示したように、AT2アゴニストで被験動物を処置した場合、 創傷閉鎖および肉芽組織の形成は、対照動物に対して実質的に促進された。図2 2は、ビヒクル処置対照に対する創傷閉鎖における対照反応のパーセントを示す 。図23は、肉芽組織が、ビヒクル対照に対して、AIIおよびAIIIのペプチド 類似 体での処置の結果として時間に伴っていかに低減するかを示す。 実施例7は、AIIおよびAIIIのさらに別の類似体が前記のin vivoモデルにお ける創傷修復を促進するために有用であったことを実証するために用いられる方 法を記載する。 実施例7 AIIおよびAIIIの類似体は全層皮膚創傷の治癒を促進する 表4に示した構造を有するAIIおよびAIIIの類似体を、自動ペプチド合成機 と当業者によく知られた方法を用いて調製した。各類似体を、本質的に実施例6 の方法により、創傷治癒を促進する能力に関して試験した。ビヒクル処置対照創 傷のパーセンテージとして測定された、4および9日目の創傷閉鎖の程度の測定 の結果も表4に示す。同一実験操作において類似体のすべてが試験されたわけで はないため、AIIは、試験したペプチドの各群に関する陽性対照として含めた。 下記のように、ペプチド類似体は、上付文字で示される位置でのアミノ酸置換を 有するAIIまたはAIIIの類似体として示す。したがって、例えばGly4−AII Iは、AIIIの位置4で置換されたGly残基を有するAIII類似体を示す。一群 として試験された類似体の結果は、以下の表中で一まとめにしてある。 表4 ペプチド有効性のまとめ 表4に示した数値は、本手法で試験したほぼすべての類似体が全層創傷の閉鎖 を有効に促進したことを示す。 以下の実施例は、一般的に、AII(AT2アゴニスト)、AII類似体、AII断 片またはその類似体、アンギオテンシノーゲンおよびその類似体、アンギオテン シノーゲン断片およびその類似体、アンギオテンシンIおよびその類似体、そし てアンギオテンシンI断片およびその類似体を含む組成物を、どのようにして皮 膚移植片の癒合を促進するために用い得るかについて説明する。皮膚移植片は前 記の実施例に記載した開放創傷とは異なる構造を示す、と当業者は理解するであ ろう。 さらに、アンギオテンシンIIおよび血小板由来成長因子(PDGF)はともに 、動物モデルにおいて創傷組織の修復を促進し、肉芽組織の形成を増大し得るこ とを、従来の研究は示している(diZerega,米国特許第5,015,629号; Grotendorst et al.,J.Clin.Invest.76:2323(1985);Pierce et al.,J. Exp.Med.167:974(1988))。近年の研究は、PDGFが、ウサギ耳潰瘍にお いて肉芽組織の形成を増大する一方、皮膚移植片生存を有効に増大しなかったこ とを示した(Brown et al.,Am.J.Surg.171:247(1996))。これらのデータ は、Eberhard等(Annals of Plastic Surgery 32:361(1994))、Hom等(Ann O tol Rhinol Laryngol 105:109(1996))、Stepnick等(Arch Otolaryngol Head Neck Surg 121:667(1995))およびNail等(Arch Otolaryngol Head Neck Sur g 122:171(1996))による開示とともに、創傷修復を促進するのに有用な薬剤 は移植片生存すなわち「生着」を増大するのに有用であると合理的に予測され得 ないことを示している。 本明細書中で用いる場合、皮膚移植片は、身体皮膚表面の損失部分を置換する ために移植され得る一片の移植物質である。それは全層、分離皮膚または中間層 皮膚移植片であり得る。本発明に関連して有用な移植物質は、移植片を受容する 同一生物体から採取される移植物質であるが、しかし同一種の非同一メンバーか ら採取または調製される同種移植物質でもよい。移植片を受容する生物体に関し て異なる種のメンバーである生物体から採取される異種移植片である移植物質も 、本発明による使用を意図される。すべての場合に、移植物質はドナー生物体か ら単離された後にさらに加工処理されてもよい。いくつかの場合には、移植物質 は、 Hansbrough等(J.Burn Care & Rehab.15:346(1994))が記載した種類の人工 皮膚であり得る。さらに、本発明に関連して使用を意図される移植物質は、生き ているもの、死んだものまたは無生物性のものであり得る。無生物性物質は、無 細胞性物質からなるものが意図される。本発明に関連して有用な移植物質の具体 例としては、以下のものが挙げられる。INTEGRA、すなわちウシコラーゲ ンおよびコンドロイチン硫酸の無細胞性皮膚異種移植片(Integra Life Science s)、DERMAGRAFT、すなわちVicrylメッシュバックボーン上のヒト繊 維芽細胞の同種真皮移植片(Advanced Tissue Sciences;San Diego,CA)、DE RMAGRAFTTC、すなわちシリコーンシートを有するナイロンメッシユ上 のヒト繊維芽細胞の一時性同種移植片、そしてALLODERM、すなわち細胞 が除去されるよう加工処理された死体真皮(cadaver dermis)からの同種移植片( Life Cell,Inc.)。 実施例8は、前記の治療用ペプチドが下層組織への皮膚移植片の取込みをいか に有益に促進し得るかを説明する。特に、この実施例は、治療用ペプチドが哺乳 類において全層創傷欠損の閉鎖を補助するための生存培養皮膚置換(living cult ured skin repalacement)と組合せて用いられる方法を記載する。 実施例8 下層組織中への皮膚移植片の取込みを増強する方法 18匹の雌ヌードマウスを、先ず業者から入手する。手術当日に、手術の準備 前に、マウスに筋注によるケタミン/ロンパム麻酔を行う。マウスをベタジンで 洗った後、各マウスの背面に1x1cmの全層皮膚創傷を作る。9匹のマウスに、 生体皮膚置換移植片の1x1cm切片からなる移植片を施し、移植片の角をその場 に縫合する。移植片と創傷床とが接触する前に、10%カルボキシメチルセルロ ースを含有する製薬上許容可能なビヒクルの100μl試料を創傷床に適用する 。縫合完了後、ビヒクルのさらに別の100μl試料を移植片の外表面に適用す る。いかなる治療的ペプチドも投与されていない6匹のマウスのこの第1群は、 陰性対照群である。9匹のマウスの第2群は、試験群である。試験群のマウスに も同様に人工皮膚の1x1cm移植片を施したが、しかし移植片をその場に縫合す る前に、薬剤の100μl試料を付加的に適用する。薬剤は、10%低粘度カル ボキ シメチルセルロース中に分散されたAIIペプチドを含む。縫合完了後、薬剤のさ らに別の100μl試料を移植物質の外表面に適用する。陰性対照群と試験群の 両方のマウスに包帯をして、麻酔から回復させる。2群のマウスには、適切な場 合には、ビヒクルまたは薬剤を毎日適用する。 移植操作の結果を、肉眼的および顕微鏡的に評価する。術後6日目と15日目 に、各群の3匹のマウスを屠殺し、組織学的分析のために移植片領域の組織切片 を調製する。顕微鏡分析の結果は、術後6日目、15日目ともに、治療ペプチド を含有する薬剤を投与した移植片の皮膚で陰性対照移植片より非常に多く脈管形 成されることを示す。術後6日目から15日目までの間に、血管の数およびサイ ズは増大する。残りのマウス対の術後21日目の肉眼的検査は、治療ペプチドを 投与された移植片の両方が下層組織にしっかり付着していることを示す。これに 対比して、ビヒクル単独で処置した移植片の一方は、接着しない。薬剤処置移植 片の脈管形成増大および付着は、治療ペプチドの適用が、哺乳類における皮膚移 植片の癒合を有益に促進することを示す。 実施例9は、AIIを含有した薬剤が下層組織中への自己皮膚移植片の「生着」 または取込みを促進するのに有用であったことを実証するために用いられる方法 を記載する。これらの手法では、AII含有薬剤が皮弁(skin flap)の下層の創傷 床に適用された。皮弁は、皮筋層まで達する全層切開をおこない、持ち上げて、 次に皮弁を元へ戻すことにより、実験動物の背中に皮弁を作った。以下の手順で は、リン酸緩衝生理食塩水および10%カルボキシメチルセルロースを担体とし て用いたが、AII、活性AII類似体、AII断片またはその類似体、アンギオテン シノーゲンおよびその類似体、アンギオテンシノーゲン断片およびその類似体、 アンギオテンシンIおよびその類似体、そしてアンギオテンシンI断片およびそ の類似体を投与するために有用なその他の多数の担体が、当業者に明らかである 。 実施例9 アンギオテンシンIIは無作為皮弁モデルにおける移植を増強する 雌Sprague Dawleyラットに筋注によるケタミン/キシラシン麻酔を行った。動 物用バリカンを用いてラットの毛を剃り、ポビドンヨードおよびイソプロピルア ルコールで洗った。麻酔動物の目に人工涙を入れた。尻尾から頭の先の方向に、 肩胛骨の真下から始まる7cmの長さの2本の切開を1.2cmの間隔をあけて背中 に作った。切開の尻尾側の先端で、1.2cmの長さで横断方向に切開し、3つの 切開が皮弁の3つの縁を確定して連結されるようにした。皮弁を筋膜から持ち上 げて、結合組織があればそれをそぎ落とした。次に0.3ml容量の薬剤を創傷 床に適用した。皮弁を元に戻して、Ethicon(Rantan,NJ)から入手した5−0 ETHILON縫合糸を用いて8針縫合し付着皮膚の接触を保持した。本手法で 試験した薬剤処方物を以下に示す。(1)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)陰性 対照、(2)PBS中のImg/mlのAII、(3)PBS中の10mg/ml のAII、(4)第二陰性対照としての10%低粘度カルボキシメチルセルロース 、そして(5)10%低粘度カルボキシメチルセルロース中の1mg/mlのA II。3M Corp.(Minneapolis,MN)から入手したTEGADERMで縫合皮弁を 包帯して、ベンゾインで縁を密封した。動物を術後回復させて、次に定期的に観 察して移植片取込みのレベルを評価した。移植片取込みは、以下により評価した 。(1)健康で無傷の外見により決定した、生存した移植片の数またはパーセン テージ(表5)、および(2)褪色、乾燥および壊死、非生存組織により示され るような移植片痴皮化の%(図24および25)。 図24および25ならびに表5に示した結果は、AIIを含有する薬剤が移植片 取込みの効率を実質的に改善し、生存移植片中に存在する壊死組織の割合を低減 したことを示した。特に、表5の結果は、皮弁形成時点でのPBS中の10mg /mlのAIIまたは10%カルボキシメチルセルロース中の1mg/mlのAII の1回投与が12日以内の移植片生着効率を実質的に増強することを示した。実 際、AII含有薬剤のいずれかを投与された移植片だけが、下層創傷床中に首尾よ く取り込まれた。2つの担体の一方だけで処置された対照移植片はすべて、12 および16日目に移植片壊死を有した。PBS中の10mg/mlのAIIまたは 10%カルボキシメチルセルロース中の1mg/mlのAIIを投与されたラット の群では、移植片の67%が生存し、切開は治癒された。残りの動物ではいくつ かの移植片壊死が観察された。図24および25にグラフで示した結果は、移植 片領域の約50%が、2つの担体の一方で処置された陰性対照群で痴皮化または 壊死を示したことを示す。移植片痴皮化のパーセンテージは、AIIを含有する薬 剤の1つで処置された移植片に関しては低減された。PBS中の10mg/ml のAIIまたは10%カルボキシメチルセルロース中の1mg/mlのAIIで処置 された移植片は特に良好な結果を示したが、PBS中の1mg/mlのAIIを用 いて実施した試験でも壊死組織の生成低減を生じた。 表5 AIIは自己皮膚移植片の取り込みを増強する 前記の実施例に示した結果は、下層創傷床中への自己移植片取込みの成功例と 失敗例との間の劇的な差は、創傷床と下層移植片との間に適用された薬剤中のA IIの存在または非存在によることを示した。図24および25に示した時間経過 の結果は、実験系中の移植片壊死の程度が術後8〜12日の間は本質的に安定し ていることを示した。したがって、この時間枠を、AII投与と自己移植片取込み の程度との間の用量反応関係を確立するための後の手順に用いた。 実施例10は、下層組織中への皮膚移植片の取込みを促進するための最適用量 を決定するために用いられた方法を記載する。これらの手法では、AIIは自己皮 膚移植片の下層の創傷床に適用された。AIIは以下の手順で用いられたが、本発 明にしたがった、活性AII類似体、AII断片またはその類似体、アンギオテンシ ノーゲンおよびその類似体、アンギオテンシノーゲン断片およびその類似体、ア ンギオテンシンIおよびその類似体、そしてアンギオテンシンI断片およびその 類似体の最適用量を決定するために同様の手法を用い得ることは、当業者には理 解される。 実施例10 アンギオテンシンIIは無作為皮弁モデルにおける移植を増強する 前記の実施例の方法により皮弁を作製し、そして6つの実験処方物のうちの1 つで処置した。処置皮弁を所定の位置に縫合後、動物に包帯を施して、回復させ て、術後8および12日目に移植片取込みを評価した。本手法で試験した薬剤処 方物を以下に示す。(1)10%低粘度カルボキシメチルセルロースからなる陰 性対照、および(2)10%低粘度カルボキシメチルセルロース中の0.01〜 1mg/ml AII。本手法で試験したAIIの濃度は、1.0、0.3、0.1 、0.03および0.01mg/mlであった。 図26および27に示した結果は、AIIが用量反応方式で移植を増強したこと を確証した。より詳細には、図26は、術後8および12日目に完全に生存する と決定された皮弁のパーセンテージにより判定した場合、皮弁形成時点での10 %カルボキシメチルセルロース中の0.01〜1mg/ml AIIの1回投与が 下層組織中への移植片取込みの効率を増大したことを示す。さらに、図27は、 生存皮弁のパーセンテージがAII含有薬剤を投与した試験で増大したことを示す 。陰性対照として10%カルボキシメチルセルロースを投与した実験動物はすべ て術後8および12日目に移植片壊死を示した。これに対比して、本手法で試験 されたAIIは最低用量でさえ、ビヒクル処置対照と比較した場合、部分皮弁生存 を実質的に増大した。これらの結果は、移植片取込みに及ぼす観察された有効な 作用がAIIの活性によるものであることを立証した。さらに、これらの結果は、 皮膚移植片の取込みを促進する治療化合物の用量を最適化する方法を実証する。 最適用量は、完全生存皮弁の%の最高レベルを実質的に提供し、その相当する最 低用量である薬剤の量である。例えば、薬剤が0.03mg/mlの特定のAII 関連化合物を含有する場合に最大皮弁生存率が得られるならば、高濃度は付加的 利点を提供しないので、最適用量は0.03mg/mlである。 前記の手法は自己移植片モデルを用いて、本明細書で開示した組成物を用いて 移植片取込みを促進する方法を示した。その場合、開示組成物が非自己移植片の 取込みの促進にも有用であるか否かを調べることは、重要であった。以下の実施 例では、人工皮膚、または「生体皮膚等価物(living skin equivalent)」は、A IIでの 処置後にのみ、全層切除により作製された創傷床上に生存移植片を形成した。そ の後の実施例は、創傷清拭化(debrided)熱傷モデルにおける同様の結果を記載す る。本実施例に記載した手法に用いた種類の生体皮膚等価物は、市販供給元、例 えば、Organogenesis,Inc.(Canton,Mass.)およびOrtec Inc.(New York, NY)から入手可能である。本実施例に開示した方法に用いられる皮膚置換物は、 ウシコラーゲン格子を濃縮し、次に培養ヒトケラチノサイトを植え付けることに よりヒト繊維芽細胞で構成された。繊維芽細胞を含有するコラーゲン格子は皮膚 鋳型として機能し、上層ヒトケラチノサイトは合成皮膚置換物の表皮成分を形成 する。この皮膚置換物の組成の説明は、Hansbrough等(J.Burn Care & Rehabil .15:346(1994))(この論文の全開示は、参照により本明細書中に含まれる) により示されている。 実施例11は、AIIが全層切除モデルにおける生体皮膚等価物を用いて移植を 増強するために如何に用いられるかを実証するために用いられた方法を記載する 。同様の手法を用いて、活性AII類似体、AII断片またはその類似体、アンギオ テンシノーゲンおよびその類似体、アンゲオテンシノゲン断片およびその類似体 、アンギオテンシンIおよびその類似体、そしてアンギオテンシンI断片および その類似体を使用して様々な生体皮膚等価物の移植を増強することができる。 実施例11 全層切除部位への人工皮膚の移植 雄Swissヌードマウス(22〜24g)6匹をTaconic Laboratories(Germant own,NY)から購入し、手術前に少なくとも2日間、検疫のため隔離した。Weste rn Medical Supply(Arcadia,CA)から入手したKETASET/ROMPUM の筋注による麻酔後、1cmx1cmの全層皮膚切除を各マウスの背中でおこなった 。本質的にHansbrough等(上記)が記載した通りに製造された生体皮膚等価物を 市販供給元から入手した。この物質を創傷欠損部に配置し、微小鋏でトリミング して、マウス皮膚の縁と移植物質との間に隙間が観察されないようにした。創傷 床に置く前に、移植物質に与えた処置を基礎にして、マウスを各群2匹の3群に 分けた。第1群では、生体皮膚等価物をその培養皿から取り出して、創傷床上に 直接載せた。第2群のマウスは、5%デキストロースを含有する乳酸加リンガー 液中に、 創傷床に置く前に10分間浸漬させておいた生体皮膚等価物を移植した。第3群 では、生体皮膚等価物を、1mg/mlのAIIを含有する5%デキストロースを 有する乳酸加リンガー液中に、創傷床に置く前に10分間浸漬した。移植物質を 配置後、マウスの背表面をペトロラタム埋込みガーゼで、その後2つの接着包帯 で覆った。麻酔から回復後、マウスを個々のケージに戻して、安楽死まで毎日観 察した。手術後最初の3日間は、全マウスに鎮痛薬を筋注した。7日目(各群か ら1匹)または9日目(各群から1匹)の剖検までに包帯をなくしたマウスはい なかった。剖検時に、移植片取込みの程度および移植片の外見を記録した後、1 0%緩衝ホルマリン中で生検を施し、パラフィン包埋し、切片にして、ヘマトキ シリン−エオシン染色した。 これらの手法の結果は、AIIが全層創傷への生体皮膚等価物の取込みに有用な 作用を及ぼしたことを示した。全移植片は健康に見えて、吻合は、7および9日 目に移植片縁の80〜100%に関して認められた。したがって、乳酸加リンガ ー液中への生体皮膚等価物の浸漬は移植物質に悪影響を及ぼさなかった。顕微鏡 分析は、AII処置移植片の1つが、術後7日目までに筋膜に対して下側に付着す る多数の血管を有したことを示した。これは、未処置の2つの移植片でも、リン ガー液に浸漬しておいた2つの移植片でも、AII含有溶液で処置しておいた移植 片の1つでも認められなかった。組織学的分析も用いて、生体皮膚等価物と隣接 マウス組織との間の境界面での20×顕微鏡視野中で、内皮細胞の数、そして組 織統合の測定値としての赤血球含有血管の数を評価した。この分析をおこなうた めに、各移植片に関して、9〜20視野を計数した。創傷床への配置前に約10 分間、5%デキストロースを含有する乳酸加リンガー溶液中に浸漬しておいた移 植片を用いて、対照データを得た。図28および29に示した結果は、配置前に 10分間、AII溶液中に生体皮膚等価物を浸漬すると、術後7および9日目両方 において内皮細胞、および赤血球を含有する血管の数が増大したことを示す。こ のことは、マウス組織との一体化がより迅速に起きることを示唆する。両時点で 、AIIで処置しておいた移植片に関して得られた結果は同様であった。しかしな がら、7日目から9日目の間に、ビヒクル処置移植片に関しては、生体皮膚等価 物とマウス組織との間の境界面で内皮細胞および血管の数の増大が認められた。 AII含有調製物は下層組織中への自己移植片および生体皮膚等価物の取込みを 増強したため、AII、活性AII類似体、AII断片またはその類似体、アンギオテ ンシノーゲンおよびその類似体、アンギオテンシノーゲン断片およびその類似体 、アンギオテンシンIおよびその類似体、そしてアンギオテンシンI断片および その類似体の投与により改善される移植片適用の範囲をさらに調べることは重要 であった。以下の実施例は、AIIが創傷清拭化熱傷損傷部位への生体皮膚等価物 の取込みを促進するために用いられる方法を説明する。同様の結果は、活性AII 類似体、AII断片またはその類似体が、AII、アンギオテンシノーゲンおよびそ の類似体、アンギオテンシノーゲン断片およびその類似体、アンギオテンシンI およびその類似体、そしてアンギオテンシンI断片およびその類似体に置換され た場合にも予期される。 実施例12は、本明細書に開示した種類の組成物が創傷清拭化熱傷損傷の部位 への生体皮膚等価物の取込みを促進するのに有用であることを実証するために用 いられる方法を記載する。 実施例12 ヌードマウスにおける全層熱傷損傷後48時間の創傷清拭部位への 人工皮膚の移植 雄Swissヌードマウス(26g)をTaconic Laboratories(Germantown,NY) から購入し、全層熱傷損傷の誘導前の5日間、検疫のため隔離した。100℃に 加熱しておいた真鍮棒を10秒間、背中の皮膚に接触させて、熱傷損傷を生成し た。熱傷誘発後2日目に、その部位を切除し、(1)生理食塩水、または(2) 1mg/mlのAIIを含有する生理食塩水中に10分間浸漬することにより前処 理しておいた生体皮膚等価物をその領域に移植した。 これらの操作の結果は、AIIが熱傷損傷部位での生体皮膚等価物の取込みを増 強したことを示した。生理食塩水中に浸漬しておいた生体皮膚等価物を移植した マウスの1匹だけが、21日目に依然として生存していた。この生存マウスの移 植片は、縮み、非生存であった。同様に処置した移植片を移植された2番目のマ ウスは、術後6日目に壊死性移植片を有して死亡した。逆に、術後21日目に、 設置前にAII溶液中に浸漬した生体皮膚等価物を移植された1匹のマウスは、十 分に生存する移植片を有した。他の2匹のマウスは、部分的に収縮し、非生存の 移植片を有した。したがって、創傷清拭化熱傷損傷の下層にある組織中にうまく 取り込まれた移植片だけが、配置前にAIIで処置されていた移植片であった。こ れは、本明細書中に開示した化合物が創傷清拭化熱傷損傷部位での移植片生着を 増強するのに有用であることを確証した。 以下の手法を実施して、定量的組織学的方法により、移植前に、デキストロー スおよびAIIを含有する乳酸加リンガー溶液中に生体皮膚等価物を予備浸漬する ことによる新生脈管形成に対する効果を調べた。 実施例13は、移植片配置前にAIIを含有する溶液中に生体皮膚等価物を浸漬 すると、移植境界面での内皮細胞の数および血管の数の有益な増大が示されるこ とを実証するために用いられる方法を記載する。 実施例13 AIIを含有する溶液中に生体皮膚等価物を浸漬すると 下層組織中への取込みが改良される 雄Swissヌードマウス(22〜24g)12匹をTaconic Laboratoriesから購 入し、手術前に少なくとも2日間、検疫のため隔離した。KETASET/RO MPUMの筋注によりマウスを麻酔し、1ヶ所の1cmx1cmの全層皮膚切除を各 マウスの背表面でおこなった。本質的にHansbrough等(上記)が記載した種類の 生体皮膚等価物を創傷欠損部に配置し、微小鋏でトリミングして、マウス皮膚の 縁と生体皮膚等価物との間に隙間が観察されないようにした。創傷床に配置する 前に、生体皮膚等価物を浸漬するために用いた溶液中のAII濃度を基礎にして、 マウスを各群3匹の4群に分けた。これらの操作に用いたAII濃度を以下に示す 。0、0.01、0.1および1.0mg/ml。移植片配置後、マウスの背表 面をペトロラタム埋込みガーゼで、その後2つの接着包帯(Baxter)で覆った。 麻酔から回復後、マウスを個々のケージに戻して、安楽死まで毎日観察した。手 術後最初の3日間は、マウスに鎮痛薬を筋注した。7日目の剖検前に包帯をなく したマウスはいなかった。剖検時に、移植片取込みの程度および移植片組織の外 見を記録した後、10%緩衝ホルマリン中で生検を施して、パラフィン包埋し、 切片にして、ヘマトキシリン−エオシン染色した。 これらの手法の結果は、全移植片は健康に見えて(その移植片を失った対照動 物1匹を除く)、吻合は、移植片縁の80〜100%に関して認められたことを 示した。AII処置移植片の1つが、全層切除後にヌードマウスの筋膜に対して移 植片の下側に付着する多数の血管を有した。これは、他のいかなるマウスでも認 められなかった。生体皮膚等価物とヌードマウス組織との間の境界面に存在する 20×顕微鏡視野(マウス1匹当たり9〜20視野を計数した)中で、内皮細胞 の数、そして赤血球を含有する血管の数を測定した。ビヒクル対照として、約1 0分間、デキストロースを含有する乳酸加リンガー溶液中に浸漬しておいた移植 片から、対照データを得た。これらのデータを図30および31に示す。配置前 に10分間、0.01〜1mg/lのAII溶液中に生体皮膚等価物を浸漬すると 、内皮細胞の数、および赤血球を含有する血管の数が増大した。したがって、こ の用量−反応実験は、次のことを示した。(1)生体皮膚等価物は移植片配置前 10分間、乳酸加リンガー溶液に浸漬しても、有害な影響を受けない。(2)A IIで前処置した生体皮膚等価物は、移植片部位での内皮細胞数および血管数によ り測定した場合、新生脈管形成の促進を示した。さらに、これらのデータは、作 用が濃度依存性であったことを示す。 概して、前記の結果を総合すると、創傷治癒を促進するのに有用であることが 示された前記の化合物は、下層組織中への皮膚移植片の取込みを促進するのにも 有用である。 前記の説明から、当業者は、本発明の本質的特徴を容易に確かめ得るし、本発 明の精神および範囲を逸脱しない限り、種々の用途および条件を本発明に適応し 得る。情況が示唆しまたは適当である場合には形態の変更および等価物の置換が 意図され、本明細書中で用いられる特定の用語は本発明を説明するためであり、 本発明を限定するものではない。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年1月5日(1999.1.5) 【補正内容】 請求の範囲 1.哺乳類の下層組織中への皮膚移植片の取込みを促進するための医薬の調製 におけるアンギオテンシンII、アンギオテンシンIIの類似体、アンギオテンシン IIの断片またはアンギオテンシンIIの断片の類似体の使用であって、前記アンギ オテンシンII、前記アンギオテンシンIIの類似体、前記アンギオテンシンIIの断 片、または前記アンギオテンシンIIの断片の類似体が、下記一般式中の基R1〜 R8の少なくとも3つの連続するアミノ酸からなるペプチドを含む使用。 R1−R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R1はAsp、Glu、ASn、Acpc、Ala、Me2Gly、Pr o、Bet、Glu(NH2)、Gly、Asp(NH3)およびSucからなる 群から選択され、 R2はArg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar、D−Ar gおよびD−Lysからなる群から選択され、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はPhe、Phe(Br)、IleおよびTyrからなる群から選択され、 但し末端Tyr基としてR4を含む配列を除く) 2.前記医薬が、前記皮膚移植片を浸漬するためのものであり、かつ緩衝生理 食塩溶液および/またはを製薬上許容可能な担体として含む請求の範囲第1項の 使用。 3.医薬がカルボキシメチルセルロースを含む製薬上許容可能な担体を含み、 また、医薬が前記皮膚移植片を下層の組織に適用するためのものである請求の範 囲第2項の使用。 4.前記アンギオテンシンII、アンギオテンシンIIの類似体、アンギオテンシ ンIIの断片、またはアンギオテンシンIIの断片の類似体が下記一般式を有するペ プチドを含む請求の範囲第1項の使用。 R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R2はH、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、sar 、D−ArgおよびD−Lysからなる群から選択され、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はIle、Phe、Phe(Br)およびTyrからなる群から選択され る) 5.前記皮膚移植片が自己移植片である請求の範囲第1項の使用。 6.前記皮膚移植片が同種移植片である請求の範囲第1項の使用。 7.前記皮膚移植片が異種移植片である請求の範囲第1項の使用。 8.製薬上許容可能な担体と、下記一般式中の基R1〜R8の少なくとも3つの 連続するアミノ酸からなるペプチドとを含む、移植片取込み促進に有効な量の組 成物を皮膚移植片または下層組織に適用し、 前記皮膚移植片と前記下層組織とを接触させ、そして 前記皮膚移植片を前記下層組織に固定する工程を含み、それにより前記皮膚移 植片の前記下層組織中への取込みが促進される、哺乳類の下層組織中への皮膚移 植片の取込みを促進させる方法。 R1−R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R1はAsp、Glu、Asn、Acpc、Ala、Me2Gly、Pr o、Bet、Glu(NH2)、Gly、Asp(NH3)およびSucからなる 群から選択され、 R2はArg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar、D−Ar gおよびD−Lysからなる群から選択され、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はPhe、Phe(Br)、IleおよびTyrからなる群から選択され 、但し末端Tyr基としてR4を含む配列を除く) 9.前記化合物が下記一般式を有するペプチドである請求の範囲第8項の方法 。 R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R2はH、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、sar 、D−ArgおよびD−Lysからなる群から選択され、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はIle、Phe、Phe(Br)およびTyrからなる群から選択され る) 10.前記皮膚移植片が生体皮膚等価物である請求の範囲第8の方法。 11.前記皮膚移植片が自己移植片である請求の範囲第8項の方法。 12.前記皮膚移植片が同種移植片である請求の範囲第8項の方法。 13.前記皮膚移植片が異種移植片である請求の範囲第8項の方法。 14.生体皮膚等価物が、Vicrylメッシュバックボーン上のヒト繊維芽細胞の 同種真皮移植片、シリコーンシートを有するナイロンメッシュ上のヒト繊維芽細 胞の一時性同種移植片、および細胞か除去されるよう加工処理された死体真皮か らの同種移植片からなる群から選択される同種移植片である請求の範囲第10項 の方法。 15.生体皮膚等価物がウシコラーゲンおよびコンドロイチン硫酸の無細胞性 真皮異種移植片である請求の範囲第10項の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ディゼレガ,ジーア,ストッダー アメリカ合衆国,91106 カリフォルニア, パサデナ,ヒルクレスト アベニュー 1270

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳類の下層組織中への皮膚移植片の取込みを促進するための医薬の調製 におけるアンギオテンシンII、アンギオテンシンIIの類似体、アンギオテンシン IIの断片またはアンギオテンシンIIの断片の類似体の使用。 2.前記医薬が、前記皮膚移植片を浸漬するためのものであり、かつ緩衝生理 食塩溶液および/またはを製薬上許容可能な担体として含む請求の範囲第1項の 使用。 3.医薬がカルボキシメチルセルロースを含む製薬上許容可能な担体を含み、 また、医薬が前記皮膚移植片を下層の組織に適用するためのものである請求の範 囲第2項の使用。 4.前記アンギオテンシンII、アンギオテンシンIIの類似体、アンギオテンシ ンIIの断片、またはアンギオテンシンIIの断片の類似体が、下記一般式中の基R1 〜R8の少なくとも3つの連続するアミノ酸からなるペプチドを含む請求の範囲 第1項の使用。 R1−R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R1およびR2は共に式: X−RA−RB (ここで、XはHまたは1〜3個のペプチド基であり、RAとRBとの間のペプチ ド結合はアミノペプチダーゼA切断に対して不安定である) の基を形成し、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はPhe、Phe(Br)、IleおよびTyrからなる群から選択され 、 但し末端Tyr基としてR4を含む配列を除く) 5.前記アンギオテンシンII、アンギオテンシンIIの類似体、アンギオテンシ ンIIの断片、またはアンギオテンシンIIの断片の類似体が下記一般式を有するペ プチドを含む請求の範囲第1項の使用。 R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R2はH、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar 、D−ArgおよびD−Lysからなる群から選択され、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はIle、Phe、Phe(Br)およびTyrからなる群から選択され る) 6.前記皮膚移植片が自己移植片である請求の範囲第1項の使用。 7.前記皮膚移植片が同種移植片である請求の範囲第1項の使用。 8.前記皮膚移植片が異種移植片である請求の範囲第1項の使用。 9.製薬上許容可能な担体と、アンギオテンシンII、アンギオテンシンIIの類 似体、アンギオテンシンIIの断片、およびアンギオテンシンIIの断片の類似体か らなる群から選択される化合物とを含む、移植片取込み促進に有効な量の組成物 を皮膚移植片または下層組織に適用し、 前記皮膚移植片と前記下層組織とを接触させ、そして 前記皮膚移植片を前記下層組織に固定する工程を含み、それにより前記皮膚移 植片の前記下層組織中への取込みが促進される、哺乳類の下層組織中への皮膚移 植片の取込みを促進させる方法。 10.前記化合物が下記一般式中の基R1〜R8の少なくとも3つの連続するア ミノ酸からなるペプチドである請求の範囲第9項の方法。 R1−R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R1およびR2は共に式: X−RA−RB (ここで、XはHまたは1〜3個のペプチド基であり、RAとRBとの間のペプチ ド結合はアミノペプチダーゼA切断に対して不安定である) の基を形成し、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はPhe、Phe(Br)、IleおよびTyrからなる群から選択され 、但し末端TyΓ基としてR4を含む配列を除く) 11.前記化合物が下記一般式を有するペプチドである請求の範囲第9項の方 法。 R2−R3−R4−R5−R6−R7−R8 (式中、R2はH、Arg、Lys、Ala、Orn、Ser(Ac)、Sar 、D−ArgおよびD−Lysからなる群から選択され、 R3はVal、Ala、Leu、norLeu、Ile、Gly、Pro、A ib、AcpcおよびTyrからなる群から選択され、 R4はTyr、Tyr(PO32、Thr、Ser、homoSerおよびa zaTyrからなる群から選択され、 R5はIle、Ala、Leu、norLeu、ValおよびGlyからなる 群から選択され、 R6はHis、Argまたは6−NH2−Pheであり、 R7はProまたはAlaであり、そして R8はIle、Phe、Phe(Br)およびTyrからなる群から選択され る) 12.前記皮膚移植片が生体皮膚等価物である請求の範囲第9項の方法。 13.前記皮膚移植片が自己移植片である請求の範囲第9項の方法。 14.前記皮膚移植片が同種移植片である請求の範囲第9項の方法。 15.前記皮膚移植片が異種移植片である請求の範囲第9項の方法。 16.生体皮膚等価物が、Vicrylメッシュバックボーン上のヒト繊維芽細胞の 同種真皮移植片、シリコーンシートを有するナイロンメッシュ上のヒト繊維芽細 胞の一時性同種移植片、および細胞が除去されるよう加工処理された死体真皮か らの同種移植片からなる群から選択される同種移植片である請求の範囲第12項 の方法。 17.生休皮膚等価物がウシコラーゲンおよびコンドロイチン硫酸の無細胞性 真皮異種移植片である請求の範囲第12項の方法。
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