【発明の詳細な説明】
腔内ステント移植片背景技術
本発明は腔内ステント移植片(intraluminal stenting graft)に向けられてい
る。さらに特定的には本発明は、複数の円筒(シリンダ)から形成されたしぼみ
可能なチューブ部材を含む、血管の移植のための腔内ステント移植片に向けられ
ている。本発明はさらにそのようなステント移植片を造るための方法に向けられ
ている。
腔内ステント移植片は当業界において知られている。腔内ステント移植片/ス
テントの例は米国特許第5,156,620号において開示されており、この特
許を参照することにより本明細書に組み入れる。腔内ステント移植片は、例えば
大動脈瘤を修復するために血管に移植される。それらは、また動脈硬化症を患っ
ているか又はそれにより狭くなった血管の区画を支持するために用いられる。発明の開示
本発明は血管における移植のための腔内ステント移植片(intraluminal stenti
ng graft)およびそれを造るための方法に向けられている。本腔内ステント移植
片は、第1末端および第2末端を有するしぼみ可能な(collapsible)チューブ部
材を含む。外側層および内側層は該末端間に延びている。外側層は内側層より一
層柔軟である。外側層は内側層に接合されて該第1末端と該第2末端との間に長
手方向に延びる複数の円筒(シリンダ)を形成する。
本発明の方法は、
(a)実質的に平らな表面上に第1層の材料を置き;
(b)成形された表面上に第2層の材料を置き;
(c)逆圧力の使用により前記成形された表面上に該第2層を維持し;
(d)該第2層を該第1層まで移動させ;
(e)該第2層を該第1層に接合して複数の長手方向に延びる円筒(シリンダ
)を形成し;そして
(f)該第1層と該第2層とを成形してチューブ部材を形成する、
工程を包含する。
本発明の主要な目的は効率の良い腔内ステント移植片を提供することである。
本発明の重要な目的は、比較的に使用し易い腔内ステント移植片を提供するこ
とである。
本発明の他の目的および利点は添付図面および以下の本発明の詳細な記載を検
討することにより明らかとなるだろう。図面の簡単な記載
図1は本発明に従う腔内ステント移植片の第1態様の遠近図である。
図2は図1の線2−2に沿って取り出された本発明の複数の円筒(シリンダ)
の横断面図である。
図3はチューブ部材の末端壁中の開口に配置された本発明の一方向弁を示す、
図2の線3−3に沿って取り出された横断面図である。
図4は、本発明に従う円筒(シリンダ)の1つを示す、図2の線4−4に沿っ
て取り出された横断面図である。
図5は、しぼんだ状態で移植の部位での血管に配置された本発明の腔内ステン
ト移植片の横断面図である。
図6は血管に移植された腔内ステント移植片を示す、図5の図に類似の横断面
図である。
図7は本発明に従う腔内ステント移植片の第2の態様である。
図8は本発明の方法に従って処理されるプラテン上の第1層の材料の側面図で
ある。
図9は本発明の方法に従う、逆圧力による表面上に維持されている形状表面上
の第2層の材料を示す側面図である。
図10は第1層への第2層の接合を示す、図9の図に類似の図である。
図11は第1層に接合された第2層を示す側面図である。発明を実施するための最良の態様
さて、図面を参照して本発明は今や詳細に記載されるだろう。図1および図2
を参照して、本発明の腔内ステント移植片は参照番号10で示される。ステント
移植片10は第1末端14と第2末端16とを有するしぼむことが出来るチュー
ブ部材12を含む。材料18の外側層および材料20の内側層は第1末端14と
第2末端16との間で延びている。第1末端壁22は、第1末端14で外側層1
8と内側層20との間で延びている。第2末端壁24は、第2末端16で外側層
18と内側層20との間で延びている。
図1、2および4で示されるように、外側層18は内側層20に接合されて、
第1末端14と第2末端16との間で長手方向に延びる複数の円筒(シリンダ)
30を形成する。図1において示されるように、チューブ部材12は複数の円筒
(シリンダ)30と連通している半径方向に延びる室32を含むことが出来る。
本態様において室32は第1末端14に隣接して配置されている。しかしながら
室32はその室の長さに沿って種々の位置で配置されることが出来ることが理解
されるべきである。
図1を参照して、チューブ部材12は第1末端壁22中に開口40を含むこと
が出来る。開口40は空気のような流体を受け入れることが出来る。下に記載さ
れるように、その流体は血管における移植のために、へこんだチューブ部材12
に拡張を生じさせる。図3に示されるように、逆止め弁のような一方向弁42は
開口40に配置されることが出来る。弁42はチューブ部材12中に流体を導入
することを可能にする。その弁は、チューブ部材に流体の導入後、チューブ部材
12から流体が逃げることを防止する。流体は流体導管44により弁42を介し
てチューブ部材12中に導入されることが出来る。
図2を参照して、外側層18および内側層20は生体適合性である重合体材料
から構成される。そのような材料の一例はポリテトラフルオロエチレンである。
外側層18は内側層20より一層柔軟性であるかまたは一層軽い重量の材料から
構成される。このことはチューブ部材12が拡張されたときに、外側層18を一
層順応合致させるのを可能にする。内側層20は膨張(expanded)ポリテトラフ
ルオロエチレン(ePTFE)のような材料で処理されるかまたは被覆されて血
液流を一層良く導く表面を造ることが出来る。
図2において示されるように、円筒(シリンダ)30の各々は、チューブ部材
12が膨張した状態にあるときに、円筒(シリンダ)中を長手方向に延びる中心
線Cを含む。中心線Cはそこから2つの半径(radii)R1とR2とが延びる点であ
る。半径R1およびR2は角度βを規定する。角度βは90°より大で且つ180
°より小である鈍角であることが出来る。複数の円筒(シリンダ)30がお互い
に隣接して配置されてチューブ部材12を形成するときに、図2に示されるよう
に円筒(シリンダ)の1つの半径R1はその隣接する円筒(シリンダ)の半径R2
と交差する。この配置は複数の円筒(シリンダ)30が協動して、血管における
移植のための安定な膨張した状態でチューブ部材12を維持するようにさせる。
内側層20に比較しての外側層18のより大きな順応性および外側層18のより
多くの量は角度βを180°未満にさせる。チューブ部材12が膨張したときに
複数の円筒(シリンダ)30はお互いに干渉しあって、図1に示されるようにそ
のチューブ部材を丸い形状になるように押し進める。これは血管中の血液の流れ
のための開口通路46を提供する。
さて、図5および6を参照して、本発明の腔内ステント移植片10は血管50
を介して移植部位52に、へこんだチューブ部材12を操作することにより移植
される。そのチューブ部材は、弁42と連通している導管44により、あるいは
他の或る適当な装置により操作されることが出来る。図6に示されるように、ス
テント移植片10が適当な位置にあるときに、導管44からの流体は開口40を
通ってそして室32および円筒(シリンダ)30中に導入される。室32は円筒
(シリンダ)30中への流体の効率のよい分布を可能にする。上に記載したよう
に、複数の円筒(シリンダ)30および外側層18および内側層20はそれぞれ
、協動してチューブ部材12を丸い且つ開いた形状に維持する。流体を充てんし
た後、導管44は取り除かれる。ステント移植片10は、移植の部位52で血液
が通路46中を流れるのを可能にする。
本発明の腔内ステント移植片10の第2の態様が図7に示される。ステント移
植片10は幹部分60と枝部分62および64とを含む。この態様は、例えば大
動脈の分岐部および回腸動脈で使用されることが出来る。幹部分60は大動脈に
配置されることが出来そして枝部分62および64は回腸動脈に配置されること
が出来る。多くの他の形態は適用に依存して構成されることが出来る。
さて、図8〜図11を参照して、本発明に従う腔内ステント移植片を製造する
方法が詳細に記載される。図8を参照して、内側層20に相当する第1層の材料
70はプラテン(platen)72のような平らな表面上に置かれる。接着剤のよう
な結合剤74はアプリケータ76により第1層70に適用される。
図9に示されるように、外側層18に相当する、第2層の材料80は成形され
た表面82上に置かれる。成形された表面82は、例えば部分的に円筒形の形を
有する、長手方向に延びるくぼみ84を含む。そのくぼみは、第2層80が形状
表面82に接着するのを防ぐために合成樹脂重合体及びテフロン(登録商標)の
ような製品の被覆86を含む。第2層80は可逆回転形ポンプPにより造られた
逆圧力または真空を用いることにより成形された表面82上に維持される。
図10において示されるように第2層80は第1層70に移動される。層70
と80とは接着剤74により一緒に固定的に接合される。それらの層はまたヒー
トシーリング処理により接合されることが出来る(図示せず)。
図11に示されるように、第2層80への第1層70の接合は、上記したよう
に、複数の長手方向に延びる円筒(シリンダ)30を形成する。室32、末端壁
22および24そして開口40はまた本方法において形成されることが出来る。
接合された層の長手方向に延びる末端は一緒にされそして接着剤によりあるいは
他の方法により接合されて、図1および5に示される円筒形チューブ部材12を
形成することが出来る。
本方法において用いられるような第1層70および第2層80は、外側層18
および内側層20のために上記したような重合体材料から構成されることが出来
る。第2層80は第1層70より一層柔軟性でありそして一層軽い重量である。
本方法の結果として形成される円筒(シリンダ)30は中心線C、半径R1及び
R2に関して上記したと同じ特性を有しそして角度βが180°より小さい。
本発明は、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲で種々の方法で修正
および変更されることが出来る。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成8年5月3日(1996.5.3)
【補正内容】
請求の範囲
1. 第1末端および第2末端を有するしぼむことが出来るチューブ部材;
前記末端間に延びる外側層および内側層であって前記外側層は前記内側層より
一層柔軟であり、前記外側層は前記内側層に接合して、前記第1末端と前記第2
末端との間で長手方向に延びる複数の円筒(シリンダ)を形成し、前記複数の円
筒(シリンダ)はお互いに隣接して配置されて前記チューブ部材を形成し、前記
複数の円筒(シリンダ)は前記チューブ部材に構造的支持を提供する、外側層お
よび内側層;
前記第1末端および前記第2末端のそれぞれで前記外側層と前記内側層との間
に延びる第1末端壁および第2末端壁であって前記末端壁の1つは流体を受け入
れるための開口を含む、第1末端壁および第2末端壁;そして
前記チューブ部材中に前記流体を導入させることを可能にしそして前記チュー
ブ部材から前記流体が逃げるのを防止するための、前記開口中に配置された弁;
を含む、血管における移植のための腔内ステント移植片。
2. ......削除.....
3. ......削除.....
4. 前記流体が空気である、請求項1の腔内ステント移植片。
5. ......削除.....
6. 前記円筒(シリンダ)の各々は前記円筒(シリンダ)中を長手方向に延び
る中心線を含み、前記中心線はそこから2つの半径が延びる点であり、前記半径
は角度を規定し、前記角度は180°より小さい、請求項1の腔内ステント移植
片。
7. 前記複数の円筒(シリンダ)はお互いに隣接して配置されて前記チューブ
部材を形成し、前記円筒(シリンダ)の1つの前記半径は隣接する円筒(シリン
ダ)の相当する半径と交差し、前記チューブ部材が拡張された後に前記円筒(シ
リンダ)は協動して前記複数の円筒(シリンダ)がつぶれるのを防止する、請求
項6の腔内ステント移植片。
8. 前記内側層および前記外側層が重合体材料から構成される、請求項1の腔
内ステント移植片。
9. 前記外側層の材料は前記内側層の材料より軽い、請求項8の腔内ステント
移植片。
10.(a)実質的に平らな表面上に第1層の材料を置き;
(b)成形された表面上に第2層の材料を置き;
(c)逆圧力を用いることにより前記形状表面上に前記第2層を維持し;
(d)前記第2層を前記第1層に移動させ;
(e)前記該2層を前記第1層に接合して複数の長手方向に延びる円筒(シリ
ンダ)を形成し;そして
(f)前記第1層と前記第2層とを成形してチューブ部材を形成する、
工程を包含する、腔内ステント移植片を製造する方法。
11.前記第1層の前記材料が重合体材料である、請求項10の方法。
12.前記第2層の前記材料が重合体材料である、請求項11の方法。
13.前記第2層の前記材料が前記第1層の該材料より軽い、請求項12の方法
。
14.前記形状表面が実質的に円筒形である、請求項10の方法。
15.前記円筒(シリンダ)の各々が前記円筒(シリンダ)中を長手方向に延び
る中心線を含み、前記中心線はそこから2つの半径が延びる点であり、前記半径
が角度を規定し、前記角度は180°より小さい、請求項10の方法。
16.前記複数の円筒(シリンダ)はお互いに隣接して配置されて前記チューブ
部材を形成し、前記円筒(シリンダ)の1つの前記半径は隣接する円筒(シリン
ダ)の相当する半径と交差し、前記円筒(シリンダ)は前記チューブ部材が拡張
された後に、協動して、前記複数の円筒(シリンダ)がつぶれるのを防止する、
請求項15の方法。