JP2001500897A - 治療用分子の細胞内送達のための陽イオン性両親媒性組成物 - Google Patents

治療用分子の細胞内送達のための陽イオン性両親媒性組成物

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JP2001500897A JP10515603A JP51560398A JP2001500897A JP 2001500897 A JP2001500897 A JP 2001500897A JP 10515603 A JP10515603 A JP 10515603A JP 51560398 A JP51560398 A JP 51560398A JP 2001500897 A JP2001500897 A JP 2001500897A
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Abstract

(57)【要約】 生物活性(治療用)分子の細胞内への移動を促進する新規陽イオン性両親媒性化合物が提供される。本発明により、このような陽イオン性両親媒性化合物は、追加のプロトンを受容することができる状態、すなわち完全にプロトン化されていない状態で使用される。本発明の目的において、陽イオン性両親媒性化合物は4つの大きな分類を包含すると考えられる:(A)T−型/ステロイドベースの両親媒性化合物;(B)T−型/非ステロイドベースの両親媒性化合物;(C)非T−型/ステロイドベースの両親媒性化合物、および(D)非T−型/非ステロイドベースの両親媒性化合物。

Description

【発明の詳細な説明】 治療用分子の細胞内送達のための陽イオン性両親媒性組成物 本出願は、1995年10月20日に出願された「治療用分子の細胞内送達の ためのジアルキルアミン脂肪親和性基を含有する陽イオン性両親媒性化合物」と いう標題の米国特許出願第08/546,110号の一部継続出願であり、この 出願は、1995年10月11日に出願された「治療用分子の細胞内送達のため のステロイド脂肪親和性基を含有する陽イオン性両親媒性化合物」という標題の 米国特許出願第08/540,867号の一部継続出願であり、この出願は、1 994年12月9日に出願された「治療用分子の細胞内送達のための陽イオン性 両親媒性化合物」という標題の米国特許出願第08/352,479号の一部継 続出願である。本出願はまた、(1)1995年9月26日に出願された「陽イ オン性脂質/DNA複合体の分子モデル」という標題のエクスプレスメイルラベ ルTB798223107USとして識別される米国仮特許出願、および(2) 1995年9月27日に出願された「遺伝子治療のための治療用組成物の静脈内 送達」という標題のエクスプレスメイルラベルEF109437051USとし て識別される米国仮特許出願の優先権を主張する。上記出願のすべての完全な本 文、請求の範囲および図面は、その全体が参照することにより本明細書に組み込 まれる。発明の背景 本発明は、生物活性(治療用)分子の細胞内送達を促進する新規陽イオン性両 親媒性化合物に関する。本発明はまた、このような陽イオン性両親媒性化合物を 含み、治療上有効量の生物活性分子を患者の細胞内に送達するのに有用な薬剤組 成物に関する。本発明の新規陽イオン性両親媒性化合物は、遺伝子治療に関連し て特に有用である。 多くのタイプの生物活性分子の有効な治療的使用は、これらによる治療が治療 的利益を与えるであろう患者の特定の細胞内に、治療上有効量のそのような物質 を送達させる方法が利用できないため、達成されていない。細胞へのこのような 分子の治療上充分な量の効率的な送達は、例えば細胞膜は選択的透過性バリアー となるため、不可能ではないにしてもしばしば困難であった。さらに生物活性分 子がうまく標的細胞中に入ったとしても、これらは細胞質中で直接分解されるか 、または分解プロセスのために特化した細胞内の構造体(例えば、リソソームコ ンパートメント)へ輸送される。すなわち、細胞内に入ることを許された細胞の 性質および細胞内の標的位置に最終的に到達する量(この量で治療的利益を提供 する)の両方とも、厳密に限定される。 このような選択性は、正しい細胞機能が維持されるために一般に必要であるが 、多くの治療上有用な物質(または治療上有効なその量)が排除されることは欠 点である。さらに生物活性分子の細胞内送達の標的となる完全な組織により提示 される、複雑な構造、挙動および環境は、インビトロで培養される細胞集団に提 示される場合と比較して、しばしばこのような送達を実質的に阻害する。 患者の組織への有効なターゲティングがしばしば達成されない生物活性分子の 例:(1)免疫グロブリンタンパク質を含む多くのタンパク質、(2)ゲノムD NA、cDNA、またはmRNAのようなポリヌクレオチド、(3)アンチセン スポリヌクレオチド;および(4)ペプチドホルモンや抗生物質のような、合成 のまたは天然に存在する多くの低分子量化合物。 医療従事者が直面している基本的課題の1つは、多くの遺伝疾患に関連する欠 陥遺伝子(または種々の癌を含む危険因子となるもの)が単離され性状解析され ているが、そのような遺伝子の正常なコピーを患者に提供することにより病状自 体を直す方法(遺伝子治療の技術)が実質的に欠如していることである。従って これらの細胞内送達の改良法の開発が、医学的に極めて重要である。遺伝子治療 が望まれている疾患の例としては、嚢胞性繊維症、ゴーシェ病、ファブリー病、 および筋ジストロフィーのような遺伝疾患がある。治療可能な後天性疾患の代表 的なものには:(1)癌については、多発性ミエローマ、白血病、黒色腫、卵巣 癌、および小細胞肺癌、(2)心血管疾患については、進行性心不全、再狭窄、 および血友病;および(3)神経疾患については、外傷性脳傷害、がある。 遺伝子治療では、患者の標的細胞がうまくトランスフェクションされることが 必要である。トランスフェクションは一般に、細胞内に発現可能なポリヌクレオ チド(例えば、遺伝子、cDNAまたはこれを原型とするmRNA)を導入する プロセスであると定義される。コードするポリヌクレオチドがうまく発現される と、正常なタンパク質が細胞中で産生され、異常な遺伝子に引き起こされる病状 が治療される。このようなタンパク質を直接標的細胞に提供することに基づく治 療法(タンパク質置換治療法)は、しばしば前述のような理由のために有効では ない。 よく知られている致死性遺伝疾患である嚢胞性繊維症は、遺伝子治療の標的で ある疾患の具体例である。この疾患は、嚢胞性繊維症トランスメンブランコンダ クタンスレギュレーター(「CFTR」)として知られているタンパク質であり 、上皮細胞(肺上皮細胞を含む)の細胞膜を通過するイオン(および、従って流 体)の移動を制御するタンパク質を、コードする遺伝子中の1つまたはそれ以上 の突然変異の存在により引き起こされる。気道細胞中の異常なイオンの移動は、 異常な粘液分泌、炎症および感染、組織傷害、そして最終的に死に至る。 いくつかの病状について遺伝子治療は永続的かつ予測可能な型の治療法を提供 することが期待されており、遺伝子治療は、多くの遺伝疾患にとって唯一の型の 治療法である可能性がある。しかし、細胞へ機能性遺伝子が入ることを促進する 化合物であって、この意味で、その活性が、細胞内治療作用に充分である濃度で 、遺伝子または他のそのような生物活性治療用分子のインビボ送達を提供するの に充分である化合物を、開発する決定的に重要な必要性がある。 報告されている進展 生物活性分子の細胞内送達を促進するために設計されている化合物は、非極性 および極性環境(例えば、原形質膜、組織液、細胞内のコンパートメント、およ び生物活性分子自身)の両方と相互作用する必要があるため、このような化合物 は典型的には、極性および非極性ドメインの両方を含有するように設計される。 このような両方のドメインを有する化合物は両親媒性化合物(amphiphiles)と 呼ばれ、このような細胞内送達(インビトロでのまたはインビボでの応用の場合 も)の促進のための使用が開示されている多くの脂質および合成脂質は、この定 義を満足する。このような両親媒性化合物の1つの重要なクラスは、陽イオン性 両親媒性化合物である。一般に、陽イオン性両親媒性化合物は、ほぼ生理学的 pHで正に荷電することができる極性基を有し、この性質は当該分野で、両親媒 性化合物の、多くのタイプの生物活性(治療的)分子(例えば、DNAのような 負に荷電したポリヌクレオチド)との相互作用の仕方を規定するのに重要である と考えられている。また当該分野では、このような両親媒性化合物を多くのプロ トン供給源に曝露して、その陽性電荷を増加させてから治療用分子と接触させる ことが好ましい。 極性および非極性ドメインの両方を有し生物活性分子の細胞内送達に関連して 有用であるとされている陽イオン性両親媒性化合物の例は、例えば以下の文献中 に見いだされ、これらは(1)これらの化合物をこのような応用に適するように すると当該分野で考えられている該化合物の性質、および(2)そのような両親 媒性化合物と細胞内送達のための治療用分子との複合体を形成させることにより 形成される、当該分野で理解されている構造体の性質、の有用な考察を含む。 (1)フェルグナー(Felgner)ら、Proc.Natl.Acad.Sci. USA,84,7413−7417(1987)は、トランスフェクションに適 した脂質/DNA複合体を作成するのに、N−[1−((2,3−ジオレイルオ キシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTM A」)を含む正に荷電した合成陽イオン性脂質の使用を開示している。またフェ ルグナー(Felgner)ら、The Journal of Biologica l Chemistry,269(4),2550−2561(1994)も参 照されたい。 (2)ベア(Behr)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86 ,6982−6986(1989)は、ジオクタデシルアミドログリシルスペル ミン(「DOGS」)を含む多くの両親媒性化合物を開示している。 (3)エパンド(Epand)らの米国特許第5,283,185号は、「DC−C hol」と呼ぶ3β[N−(N1,N1−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル ]コレステロールを含む、追加のクラスおよび種の両親媒性化合物を記載してい る。 (4)細胞への生物活性分子の移動を促進する追加の化合物は、フェルグナー( Felgner)らの米国特許第5,264,618号に開示されている。また「D MRIE」1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチルーヒドロキシエ チルアンモニウムブロミド(これは後述される)を含むさらなる化合物の開示に ついては、フェルグナー(Felgner)ら、The Journal of Bi ological Chemistry,269(4),pp.2550−25 61(1994)も参照されたい。 (5)生物活性分子の細胞内送達に適した両親媒性化合物はまた、ゲベエフ(Ge beyehu)らの米国特許第5,334,761号、およびフェルグナー(Felgner )ら、Methods(Methods in Enzymology),5, 67−75(1993)にも言及されている。 前記文献に記載の化合物は、細胞内へ生物活性分子が入ることを促進(多くの 場合、インビトロのみであるが)することが証明されているが、これらによる提 供される摂取効率は、多くの治療的用途(特に、遺伝子治療)を支持するには不 充分であると考えられている。さらに、上記化合物の活性はあまり強くないと考 えられているため、多量に使用する必要があり、このためこのような化合物また はその代謝物の毒性が心配される。従って、治療を成功させるのに充分な活性を 有する改良された陽イオン性両親媒性化合物を開発する必要性がある。 発明の要約 本発明は、細胞内への生物活性分子の移動を促進するのに特に有効な陽イオン 性両親媒性化合物を提供する。この目的に有用な任意の陽イオン性両親媒性化合 物が、本発明に包含される。本発明においてこのような陽イオン性両親媒性化合 物は、追加のプロトンを受容することができる(すなわち完全にはプロトン化さ れていない)状態で使用される。本発明の目的において、陽イオン性両親媒性化 合物は4つの大きな分類を包含すると考えられる:(A)T−型/ステロイドベ ースの分子:(B)T−型/非ステロイドベースの分子;(C)非T−型/ステ ロイドベースの分子、および(D)非T−型/非ステロイドベースの分子。 分類「A」(T−型/ステロイドベースの両親媒性化合物)について、これら は本明細書において代表的な例で、(I)アルキルアミンおよびポリアルキルア ミン残基により付与される極性R基を有する;および(II)アミノ酸および誘導 体化アミノ酸により伸長される、アルキルアミンおよびポリアルキルアミン残基 により付与される極性R基を有する、として説明される2つの群に分類される。 従って、細胞内への生物活性分子の移動を促進することができる分類A、群I (図1、パネルA、B、およびCを参照)の陽イオン性両親媒性化合物が提供さ れ、この両親媒性化合物は、構造(I) (式中、Zは、ステロイドであり; Xは、炭素原子または窒素原子であり; Yは、短い結合基であるか、またはYは欠如しており; R3は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R1は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; R4は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R2は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; かつ、R1は、R2と同じであるかまたは異なる(ただし、R1とR2の両方が−− NH−−であることはない)) を有する。 1つの好適な実施態様において、ステロイド成分「Z」は、3−ステロール( ステロール分子は、その3−O−基、またはそのN−置換体によりY(または、 Yが欠如している場合は、直接X)に、結合される)よりなる群から選択される 。本発明のこの面において、特に有効な両親媒性化合物には、例えばスペルミジ ンコレステロールカルバメート(N4−スペルミジンコレステリルカルバメート 、両親媒性化合物No.53)、およびスペルミンコレステロールカルバメート (N4−スペルミンコレステリルカルバメート、両親媒性化合物No.67)、 およびこれらを原型とする両親媒性化合物がある。 さらなる好適な実施態様において、ステロイド基は、ステロイド核の環の17 位(図1と22を参照)から、または多くのステロイドの17位から伸長してい るアーム(図1のコレステロールの構造を参照)から、またはこのアームの任意 の短縮型から、Y(または、Yが欠如している場合は直接X)に結合している。 他の好適な実施態様において、結合基Yには、それ自身がXとZの間で共有結 合のブリッジを形成する約3つまたは4つ以下の原子が包含される。本発明の具 体的な好適な実施態様において、Yは、その1つ以下の基がXとZの両方と結合 を形成する結合基であるか、またはYは欠如している。 群1に従って提供される代表的な両親媒性化合物には、以下が含まれる: さらに、細胞内への生物活性分子の移動を促進することができる分類A、群II の陽イオン性両親媒性化合物(図5を参照)が提供され、この両親媒性化合物は 、構造(II)(式中、Zは、ステロイドであり; Xは、炭素原子または窒素原子であり; Yは、結合基であるか、またはYは欠如しており; R3は、アミノ酸、誘導体化アミノ酸、H、またはアルキルであり; R1は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; R4はアミノ酸、誘導体化アミノ酸、H、またはアルキルであり; R2は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; かつ、R1は、R2と同じであるかまたは異なる(ただし、R1とR2の両方が−− NH−−であることはない)) を有する。 群IIで提供される代表的な両親媒性化合物には、以下が含まれる: 分類B、T−型/非ステロイドベースの両親媒性化合物について、これらは、 本明細書において代表的な例で、(III)脂肪親和性基は、モノまたはジアルキ ルアミン残基により付与され、極性基は典型的にはアルキルアミンまたはポリア ルキルアミンにより付与され;および(IV)脂肪親和性基は、飽和もしくは不飽 和アルキルもしくはアシル基により付与され、極性基は典型的にはアルキルアミ ンまたはポリアルキルアミンにより付与される、として説明される2つの群に大 きく分類される。 従って、細胞内への生物活性分子の移動を促進することができる分類B、群II I(図6を参照)の陽イオン性両親媒性化合物が提供され、この両親媒性化合物 は、構造(III) (式中、Zは、そのN−原子によりY(または、Yが欠如している場合は直接X )に結合したアルキルアミンまたはジアルキルアミンであり、ここでZはジアル キルアミンであり、そのアルキル基は同じであるかまたは異なり; Xは、炭素原子または窒素原子であり; Yは、短い結合基であるか、またはYは欠如しており; R3は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R1は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; R4は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R2は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; かつ、R1は、R2と同じであるかまたは異なる(ただし、R1とR2の両方が−− NH−−であることはない)) を有する。 構造(III)により提供される両親媒性化合物に関して、結合基Yには、それ 自身がXとZの間で共有結合のブリッジを形成する約3つまたは4つ以下の原子 が包含されることが好ましい。本発明の具体的な好適な実施態様において、Yは 、 その1つ以下の基がXとZの両方と結合を形成する結合基(例えば、>C=O) であるか、またはYは欠如している。 群IIIで提供される代表的な両親媒性化合物には、以下が含まれる: 追加の群IIIの両親媒性化合物は、公知の両親媒性化合物ジオクタデシルアミ ドログリシルスペルミン「DOGS」(ベア(Behr)ら、Proc.Natl. Acad.Sci.USA,86,6982−6986(1989)を参照)お よびDPPES(べア(Behr J.P.)、Bioconjugate Chemi stry,5,1994.382−389に記載)に関するものがある。 従って、細胞内への生物活性分子の移動を促進することができる分類B、群IV (図7を参照)の陽イオン性両親媒性化合物が提供され、この両親媒性化合物は 、構造(IV) (式中、AとBは、独立にO、NまたはSであり; R5とR6は、独立にアルキルまたはアシル基であり、かつ飽和されているかまた は不飽和の部位を含有し; Cは、−−CH2−−、>C=O、および>C=Sよりなる群から選択され; Eは、炭素原子または窒素原子であり; Dは、−NH(C=O)−または−O(C=O)−のような結合基であるか、ま たはDは欠如しており; R3は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R1は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; R4は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R2は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; かつ、R1は、R2と同じであるかまたは異なる(ただし、R1とR2の両方が−− NH−−であることはない)) を有する。 群IVの代表的な両親媒性化合物には、以下が含まれる: 前記したように、本発明は、非T−型/ステロイドベースの両親媒性化合物( 分類C)の製剤およびその使用、例えば (N1−スペルミジンコレステリルカルバメート)(N1−サーモスペルミンコレステリルカルバメート)、および (N1−スペルミンコレステリルカルバメート)を提供する。 本発明の実施において使用される分類Cの追加の両親媒性化合物には、例えば エパンド(Epand)らの米国特許第5,283,185号に記載のもの、例えば 「DC−chol」と呼ぶ3β[N−(N1,N1−ジメチルアミノエタン)−カ ルバモイル]コレステロールがある。 本発明はまた、非T−型/非ステロイドベースの両親媒性化合物(分類D)の 多様な製剤およびその使用、例えばN−[1−((2,3−ジオレイルオキシ) プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」) を原型とするが、さらにプロトン化することができるその非四級変種(フェルグ ナー(Felgner)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84, 7413−7417(1987))である陽イオン性脂質、および、例えばリポ ポリリジンを含む後述される多くの追加の分類、および1−[2−(アシルオキ シ)エチル]−2−アルキル(アルケニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)イ ミダゾリウムクロリドを原型とする陽イオン性両親媒性化合物を提供する。 本発明はまた、患者の組織における治療上有効量の生物活性分子の細胞内送達 を促進する、1つまたはそれ以上の陽イオン性両親媒性化合物、および1つまた はそれ以上の生物活性分子を含む薬剤組成物を提供する。本発明の薬剤組成物は 、保存のために組成物を安定化させ、および/または生物活性分子の細胞内送達 の成功に寄与する、1つまたはそれ以上の追加の薬剤学的に許容される物質を含 有するように製剤化される。 さらなる面において本発明は、細胞内への生物活性分子の移動を促進する方法 であって:本発明の陽イオン性両親媒性化合物の分散物を調製する工程;該分散 物を生物活性分子に接触させて、両親媒性化合物と分子の間で複合体を形成させ る工程;および、細胞に複合体を接触させて、こうして細胞内への生物活性分子 の移動を促進する工程、を含んでなる上記方法を提供する。 薬学的用途のために、本発明の陽イオン性両親媒性化合物は、細胞内への生物 活性分子の送達を促進するために、公知のものを含む1つまたはそれ以上の追加 の陽イオン性両親媒性化合物、またはジオレオイルホスファチジルエタノールア ミン(「DOPE」)のような中性の補助脂質(co-lipids)とともに製剤化さ れる。さらに本発明の1つまたはそれ以上の陽イオン性両親媒性化合物を含む組 成物は、植物細胞(例えば、培養植物細胞)に生物活性分子を導入するために使 用することができる。 さらに本発明は、適切な治療用トランス遺伝子の高レベルの発現が達成される ように、遺伝子治療により患者を治療するために、本発明の両親媒性化合物と複 合体を形成するのに適した新規プラスミドを提供する。その代表的な例には、プ ラスミドpCMVHIとpCFIがある。pCF1プラスミドは、サイトメガロ ウイルスの前初期遺伝子(immediate early gene)からのエンハンサー/プロモ ーター領域を含有する。このプラスミドはまた、プロモーターとトランス遺伝子 cDNAの間に位置するハイブリッドイントロンを含有する。ウシ成長ホルモン 遺伝子のポリアデニル化シグナルが、トランス遺伝子の下流に置くために選択さ れた。これらおよび他の特徴は、このプラスミドで可能な改良されたトランス遺 伝子発現に実質的に寄与する。 プラスミドの性能のさらなる増強は、複製しているエピソームプラスミドを提 供することにより可能になる。さらなる治療的増強は、治療用トランス遺伝子の 発現が、標的組織内の炎症関連物質の濃度に感受性である転写プロモーターの制 御下に置かれる、プラスミドを提供することにより可能になる。このようなプラ スミドは、炎症が主要な合併症である臨床症例の治療にとって特に有用である。 本発明のさらなる実施態様において、両親媒性化合物/トランス遺伝子複合体 の静脈内投与により、このような複合体中の両親媒性化合物対DNAの比を調整 することにより、およびその見かけの電荷またはゼータ電位を調整することによ り、特定の臓器または組織が遺伝子治療の標的になる。 本発明のさらに別のかつ代表的な面は、以下の本発明の詳細な説明に従って記 載される。図面の簡単な説明 図1は、代表的な群Iの陽イオン性両親媒性化合物を示す。 図2は、代表的なステロイド脂肪親和性基を示す。 図3は、代表的なステロイド脂肪親和性基を示す。 図4は、トランスアシル化反応を示す。 図5は、代表的な群IIの陽イオン性両親媒性化合物を示す。 図6は、代表的な群IIIの陽イオン性両親媒性化合物を示す。 図7は、代表的な群IVの陽イオン性両親媒性化合物を示す。 図8は、スペルミジンコレステロールカルバメートの合成経路を提供する。 図9は、スペルミンコレステロールカルバメートの合成経路を提供する。 図10は、特定の条件下でのいくつかの陽イオン性両親媒性化合物についてイ ンビボのトランスフェクション効率の比較を示す。 図11は、特定の陽イオン性両親媒性化合物についてDNA濃度の関数として のインビボのトランスフェクション効率を示す。 図12は、特定の陽イオン性両親媒性化合物の濃度の関数としてインビボのト ランスフェクション効率を示す。 図13は、群Iの両親媒性化合物の相対的トランスフェクション効率を提供す る。 図14は、群IIの両親媒性化合物の相対的トランスフェクション効率を提供す る。 図15は、群IVの両親媒性化合物の相対的トランスフェクション効率を提供す る。 図16は、pCMVHI−CATプラスミドの地図を提供する。 図17は、pCMVHI−CATのハイブリッドイントロンを示す。 図18(パネルA)は、pCFI/CATプラスミドの地図を提供する。 図18(パネルB)は、pCF2/CATプラスミドの地図を提供する。 図19は、嚢胞性繊維症患者の鼻ポリープ上皮細胞中の修正された塩化物イオ ン移動のプロットを示す。 図20は、pMyc4−CFTRの地図を提供する。 図21は、心臓と肺の静脈内ターゲティングを証明する。 図22は、充分にプロトン化されていない形で提供された時の、両親媒性化合 物No.37のインビボの改良された性能を証明する。発明の詳細な説明 本発明の陽イオン性両親媒性化合物の構造に関する情報 本発明は、細胞内への生物活性分子の移動を促進するのに有用な、陽イオン性 両親媒性化合物、およびこれらを含有する組成物を提供する。両親媒性化合物は 細胞(特に遺伝子治療を目的とする患者の細胞)内への生物活性分子の移動を促 進するのに特に有用である。 本発明の実施に関連して、「陽イオン性」とは、本明細書で定義されるR基が 、生理学的pHまたはそれに近いpHの溶液中で1またはそれ以上の正の電荷を 有する傾向があることを意味する。本発明により、追加のプロトンを受容するこ とができる陽イオン性両親媒性化合物が記載される。このような陽イオン性両親 媒性化合物はpH7で1またはそれ以上の正の電荷を有するが、本明細書で操作 されるように充分にプロトン化されておらず、従ってその完全な陽イオン性電位 よりは小さい電位を有する。このような陽イオン性は、両親媒性化合物と治療用 分子(例えば、負の電荷を有する核酸)との、または細胞構造体(例えば、原形 質膜糖タンパク質)との相互作用を増強し、こうして細胞内に治療用分子がうま く入ることに寄与するか、またはそのサブコンパートメント(例えば、核)内の プロセシングに寄与する。例えば、正に荷電した分子(例えば、追加のプロトン を受容することができる陽イオン性両親媒性化合物)は、細胞膜を横断できるよ うに必要な正の電荷を有することができ、および完全にプロトン化されていない 場合は、負に荷電した核酸のような生物活性分子から解離することができる。こ の点で、陽イオン性両親媒性化合物のトランスフェクション増強機能に関する当 該分野の多くの理論(これらは、いずれも本発明の実施を限定するものではない )を参照されたい。 本発明の実施により細胞内への移動が促進される生理学的分子には、例えばゲ ノムDNA、cDNA、mRNA、アンチセンスRNAもしくはDNA、ポリペ プチド、および低分子量薬剤またはホルモンがある。これらの代表的な例は、本 発明の治療用(薬剤)組成物の説明に関連して以下に言及される。 本発明の実施による分類A(T−型/ステロイドベース)の陽イオン性両親媒 性化合物は、いくつかの新規な特徴を有する。これらの特徴は、陽イオン性両親 媒性化合物構造体(エパンド(Epand)らの米国特許第5,283,185号に 開示されているようなものであり、その代表的な構造は、一般に「DC−cho l」として知られている3β[N−(N1,N1−ジメチルアミノエタン)−カル バモイル]コレステロール、およびベア(Behr)ら、Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA,86,6982−6986(1989)に開示されてい るようなものであり、その代表的な構造は、ジオクタデシルアミドログリシルス ペルミン(「DOGS」)である)と比較することにより理解される。 本発明の分類Aの陽イオン性両親媒性化合物は、明確な構造的特徴を有する: (1)それ自身は、アミノ、アルキルアミンまたはポリアルキルアミン基を有す る2つの陽イオン性基(後述)に、直接または結合基を介して結合している脂肪 親和性基の存在、このため全体的および新規「T−型」構造になっている;およ び(2)多くの場合に、および多くの当該分野で認識されている両親媒性化合物 と比較して、脂肪親和性領域と両親媒性化合物の陽イオン性領域を密接に近づけ るための比較的短い結合基の使用。理論には拘泥されるつもりはないが、これら の特徴は、これらの化合物のトランスフェクション増強能に実質的に寄与すると 考えられる。この例として、以下の図10は、DC−cholおよびDMRIE (2つのよく認識されているトランスフェクション体)と比較して、スペルミジ ンコレステロールカルバメート(本発明の新規両親媒性化合物)の、実質的なイ ンビボでのトランスフェクション増強能を証明する。 本発明の重要な実施態様において、生物活性分子は、患者の細胞中に置かれた 時発現されて代謝の欠陥の修正につながるコード性ポリヌクレオチドである。特 に重要な例において、ポリヌクレオチドは、ヒトの嚢胞性繊維症トランスメンブ ランレギュレーター(「CFTR」)の配列の充分な複製しているアミノ酸配列 を有し、上皮細胞陰イオンチャネル制御の生物学的性質を獲得することを可能に するポリペプチドをコードする。 前記したように、本発明の両親媒性化合物の特徴的かつ新規の特徴は、まず、 脂肪親和性基に2つの陽イオン性アミン基を結合させる結合基は非常に短いか完 全に欠如していること、および第2に、脂肪親和性基への2つの陽イオン性R基 のこうして得られる結合は、例えば構造(I)、(II)、(III)、およびIV( 原子「E」を参照)に記載のように原子「X」(炭素または窒素原子)の位置か ら見ると、T−型構造を形成する。 本発明の分類Aの陽イオン性両親媒性化合物の例として、スペルミジンコレス テロールカルバメート(N4−スペルミジンコレステリルカルバメート)および スペルミンコレステロールカルバメート(N4−スペルミンコレステリルカルバ メート)は、同等の量の陽イオン性アルキルアミン構造体を有する非「T−型」 両親媒性化合物と比較して、インビボで優れたトランスフェクション体であるこ とが決定されている。すなわち、 (スペルミジンコレステロールカルバメート) について、例えば (N1−スペルミジンコレステリルカルバメート) と比較して優れた性能(また例3も参照)が決定されている: (スペルミンコレステロールカルバメート) について、例えば (N1−サーモスペルミンコレステリルカルバメート)、および (N1−スペルミンコレステリルカルバメート)と比較して、優れた性能(が決 定されている: 本出願人は、本発明のT−型/ステロイドベースの陽イオン性両親媒性化合物 はスペルミンやスペルミジンのような天然に存在するポリアミンと同じような構 造的特徴(N−原子スペースを含む)を有することに注目した。この点で、分類 「A」(T−型/ステロイドベース)の両親媒性化合物53、67、78、90 、および91が代表的である。図13、14、および15のデータを調べると明 らかなように、窒素原子を、3個および4個の炭素原子の1つまたはそれ以上の 組合せにより分離されるように両親媒性化合物の極性の頭部の基に置くと、これ と複合体を形成したプラスミドトランス遺伝子のインビボの高いトランスフェク ション効率が得られる。本出願人はまた、共通の構造的特徴は、両親媒性化合物 のDNAとの結合、および細胞表面ポリアミン受容体との相互作用に対して有用 な作用を及ぼすことに注目した。癌細胞のDNA複製要件により細胞ポリアミン 受容体が高レベルに発現されるため、細胞ポリアミン受容体との相互作用は、遺 伝子治療による癌細胞の治療に関して特に重要である。しかし本発明において、 非T−型/ステロイドベースの陽イオン性両親媒性化合物の性能は、充分にプロ トン化されていない型のその使用により大きく改善されることが観察される。す なわち、追加のプロトン供給源を提供しないことにより、トランスフェクション が改良される。分類A/群Iの両親媒性化合物 本発明の群Iの両親媒性化合物の設計に関して、以下の考えが注目される。次 にこれらの設計の特徴の多くを、本発明の他の両親媒性化合物(群II、IIおよび IVに分類されるもの)に関して考察する。 従って、細胞内への生物活性分子の移動を促進するすることができる群Iの陽 イオン性両親媒性化合物(図1、パネルA、B、およびCを参照)であって、構 造(I) (式中、Zは、ステロイドであり; Xは、炭素原子または窒素原子であり; Yは、短い結合基であるか、またはYは欠如しており; R3は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R1は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; R4は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり: R2は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; かつ、R1は、R2と同じであるかまたは異なる(ただし、R1とR2の両方が−− NH−−であることはない)) を有する両親媒性化合物が提供される。結合基 好ましくは、2つの陽イオン性R基に脂肪親和性基を連結する結合基は、比較 的短い。結合基Yには、それ自身がXとZの間で共有結合のブリッジを形成する 約3つまたは4つ以下の原子が包含されることが好ましい。Y基の例には、−( CH22−;−(CH23−;−(CH2)−(C=O)−;−(CH2)n−N H−(C=O)−(ここで、nは好ましくは4またはそれ以下である)がある。 本発明の実施に有用な追加の結合基は、小さいアミノ酸(例えば、グリシル、ベ ータ−アラニル、セリニルなど)を原型とするものである。 上記表示に関連して、その左側は原子「X」に結合すると企図され、その右側 は基「Z」(構造Iを参照)に結合すると企図される。 本発明のいくつかの好適な実施態様において、Yは結合基であり、この基の1 つ以下の原子は「X」および「Z」の両方と結合を形成する。好適な結合基の例 には、−−CH2−−、>C=S、および>C=Oが含まれる。あるいは、結合 基「Y」は完全に欠如していてもよい。 前記したように(構造Iを参照、すぐ前に記載)、「X」は、2つの陽イオン 性R基に結合している両親媒性化合物で結合点を形成する。そこで見られるよう に(図1も参照)、「X」である窒素原子の位置が明らかに、分子にT−型を取 らせる。ステロイド脂肪親和性基 本発明の実施において陽イオン性両親媒性化合物は、脂肪親和性基として種々 の構造体を含んでよい。ステロイドは、このような構造体の好適な群である。 本発明の実施において脂肪親和性基としてのステロイドの設計と配向に関して 、以下の問題に注意すべきである。ステロイドは動物、微生物および植物界に広 く分布している。これらは、典型的には、ペルヒドロシクロペンテノ−フェナン トレン環系の形で配置された炭素原子を、その基本的な骨格として含む固体アル コールとして定義される。従ってこのような化合物は、胆汁酸、コレステロール および関連物質、ビタミンD、いくつかの昆虫脱皮ホルモン、いくつかの性ホル モン、コルチコイドホルモン、いくつかの抗生物質、および上記のすべての誘導 体(ここで、追加の環は、付加されるかまたは基本構造から除去される)を含む 。[当該分野でステロイドとして理解されている広いクラスの分子のさらなる考 察については、Natural Products Chemistry、ナカ ニシ(K.Nakanishi)ら編、アカデミックプレス社(Academic Press Inc.)、 ニューヨーク州(1974)、第1巻、第6章を参照されたい]。さらに、本発 明の目的において、ステロイドという用語は、ビタミンEのような複数のイソプ レノイド単位から得られる関連分子を包含するために使用される。本発明の実施 に有用な物質の代表であるステロイドは、図1、2、3、および5に示す。 以下に詳述するように、本発明のいくつかの好適な両親媒性化合物は、3−ス テロール(ここで、ステロール分子は、その3−O−基またはそのN−置換体に よりYに結合している(図1を参照))よりなる群から選択されるステロイド成 分「Z」を含む。このような構造体には、例えばスペルミジンコレステロールカ ルバメート、スペルミンコレステロールカルバメート、スペルミジン7−デヒド ロコレステリルカルバメート、リジン3−N−ジヒドロコレステリルカルバメー ト、スペルミジンコレスタミン尿素、およびN−3−アミンプロピル−N−4− アミノブチルコレスタミンがある。 さらなる好適な実施態様において、ステロイド基は、ステロイド核の環17位 (図1と3を参照)から、または多くのステロイドの17位から伸長するアーム (図1と3を参照)から、またはこのアームの任意の短縮型から、Y(または、 Yが欠如している場合は直接X)に結合している。 本発明の両親媒性化合物に含めるためのステロイドの選択に関して、その分子 は、体により代謝されかつ使用される投与量では非毒性である構造を有すること が好ましい。好ましいのは、実質的に非毒性であり、患者の安全な代謝を促進す るための生物学的に正常な立体特異性を有するコレステロールやエルゴステロー ルのようなステロイドである。本発明の実施において有用な追加のステロイドに は、例えばエルゴステロールB1、エルゴステロールB2、エルゴステロールB 3、アンドロステロン、コール酸、デソキシコール酸、ケノデソキシコール酸、 リトコール酸、および例えば、図2や3のパネルに示すその種々の誘導体がある 。 ステロイド脂肪親和性基の配向、すなわち、両親媒性化合物の陽イオン性(ア ルキル)アミン基に対しての基の結合の仕方(リンカー有りまたは無し)に関し て、以下の情報に注意すべきである。ステロイド上の任意の環位置または置換基 は一般に、結合点として使用される。しかし、(1)化学合成の複雑さを最小に する、および(2)ステロイド分子の「末端」例えば環の3位の近く、または環 の17位(または、典型的にはそこから伸長しているアーム)の近くに位置する 、結合点を使用することが好ましい。このような位置は、二重層形成、および/ またはミセル形成を促進するか、および/または標的細胞内に運搬される生物活 性分子との相互作用の安定化する、残りの両親媒性化合物構造をステロイドに提 供する。その環の17位から伸長するアームを介してステロイド脂肪親和性基に 陽イオン性(アルキル)アミン基の結合を示す代表的構造を図3(パネルA、B )に示す。この型の構造に関して、環の3位に結合するようなステロイド上の任 意 の極性基は、二重層またはミセル構造を不安定化させることがないように、除去 されるかまたはキャッピング(例えば、ヒドロキシをメトキシとして)されるこ とがさらに好ましい。 そのステロイド脂肪親和性基がステロイド環の17位を介して陽イオン性アル キルアミン基に結合している陽イオン性両親媒性化合物の図3の表示は、本発明 の1例である。同様に、そのステロイド脂肪親和性基がステロイド環の3位を介 して陽イオン性アルキルアミン基に結合している陽イオン性両親媒性化合物の図 1〜4の表示は、本発明の1例である。前記したように、結合点としての任意の ステロイド環の位置(またはそこから伸長する残基または分岐)の使用は、本発 明の実施範囲内である。 本発明の実施に従って基「Z」としての使用に好適なステロイドは、以下を含 む:3−ステロール(コレステロールから得られる) 3−Nステリル基(コレステロールを原型とする) エルゴステロールと誘導体 エルゴステロールを原型とし、本発明の陽イオン性両親媒性化合物の構造を定 義するのに使用される代表的分子種には:エルゴステロール(記載の2重結合) ;エルゴステロールB1(Δ8,9;Δ14,15;Δ22,23);エルゴス テロールB1(Δ6,7;Δ8,14;Δ22,23);エルゴステロールB1 (Δ7,8;Δ14,15:Δ22,23);およびルミステロール(エルゴス テロールの9b−H異性体)、がある。コール酸と誘導体 コール酸を原型とし、本発明の陽イオン性両親媒性化合物の構造を定義するの に使用される代表的分子種には:r1とr2=OHであるコール酸;r1=Hおよ びr2=OHであるデソキシコール酸:r1=OHおよびr2=Hであるケノデソ キシコール酸;r1とr2=Hであるリトコール酸、がある。アンドロステロンとその誘導体 1、R2、R3、およびR4の選択 3とR4について: 本発明の実施において、R3とR4は、独立にH、または飽和もしくは不飽和脂 肪族基である。脂肪族基は、分岐していても分岐していなくてもよい。代表的な 基には、アルキル、アルケニル、およびシクロアルキルがある。1とR2について:1とR2は、当該分野においてアミン;アルキルアミン(一級、二級、および 三級アミンを含む)、またはその伸長したもの(本明細書において「ポリアルキ ルアミン」と呼ぶ)として認識されている構造である。本明細書で定義されるア ルキルアミンとポリアルキルアミンの両方とも、1つまたはそれ以上の炭素−炭 素2重結合を含有し、従ってこのようなアルキルアミンの使用は本発明の実施範 囲内である。 代表的なアルキルアミンには、以下が含まれる:(a)−−NH−(CH2Z −−、ここでzは0以外である;(b)−−[[CH3(CH2y]N]−(C H2Z−−、ここでzは0以外である;および(c)−−[[CH3(CH2x ][CH3(CH2y]]N]−(CH2Z−−、ここでzは0以外である。 R1とR2の1つまたは両方が三級アミン(例えば前記構造(c)に記載のもの )である状況に関して、R3またはR4に対応する水素原子は、そのプロトン化レ ベルがpHに応じて変化する、N:H(+)構造に対応するため、適宜存在して もしなくてもよい。 「ポリアルキルアミン」という用語は本明細書において、少なくとも2つのア ルキルアミンが結合しているポリマー構造を意味する。こうして結合されたアル キルアミン単位は、一級または二級であり、得られるポリアルキルアミンは、一 級、二級、または三級N−原子を含有してもよい。アルキルアミン(サブ)ユニ ットは飽和または不飽和でもよく、従って「アルキルアミン」という用語は、本 発明の説明においてアルケニルアミンを包含する。 得られる代表的なポリアルキルアミンには、以下が含まれる:(d)−−[N H−(CH2(Z)q−−、ここでzは0以外であり、qは2またはそれ以上で ある;(e)−−[NH−(CH2(y)p−−[NH−(CH2(Z)q−−、 ここでyとzはそれぞれ0以外であり、pとqはそれぞれ0以外である;(f) −−[NH−(CH2(x)n−−[NH−(CH2(y)p−−[NH−(CH2(Z)q−−、ここでx、yおよびzはそれぞれ0以外であり、n、pおよび qはそれぞれ0以外である;(g)−−[NH−(CH2(w)m−−[NH− (CH2(x)n−−[NH−(CH2(y)p−−[NH−(CH2(Z)q− −、ここでw、x、yおよびzはそれぞれ0以外であり、m、n、pおよびqは それぞれ0以外である;(h)−−[NH−(CH2(w)m−−[NH−(C H2(x)n−−[NH−(CH2(y)]N]−(CH2Z、 ここでx、nおよびzはそれぞれ0以外である;(i)−−[NH−(CH2( w)p−−[[CH3(CH2x]N]−(CH2y−−[NH−(CH2(Z)q −−、ここでw、p、y、zおよびpはそれぞれ0以外である;(j)−−[ NH−(CH2(v)l−−[NH−(CH2(w)m−−[NH−(CH2(x) n−−[NH−(CH2(y)p−−[NH−(CH2(Z)q−−、ここでv 、w、x、yおよびzはそれぞれ0以外であり、l、m、n、pおよびqはそれ ぞれ0以外である。 前述のようにR1とR2は独立に、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリ アルキルアミンであり、互いに同じかまたは異なってもよいが、(1)得られる 化合物の「T−型」を維持し、および(2)その安定性を提供するために、R1 とR2の両方が−−NH−−ではあり得ない。R31(またはR42)の組合わ さった長さは、窒素と炭素の約40原子未満、より好ましくは窒素と炭素の約3 0原子未満である。 R3に隣接するR1基(またはR4に隣接するR2)が、三級中心を規定する末端 窒素原子を含有する場合は、R3が脂肪族基なら四級アミンが形成され(R1の窒 素原子で)、R3がHなら三級アミンが形成される(R1の窒素原子で)。従って このような得られるR31(またはR42)構造に関して、代表的な式は、(k )H−(CH2(W)−−[[CH3(CH2x][[CH3(CH2y]N]−( CH2z−−、ここでwとzはそれぞれ0以外である、;および(l)H−−[ [CH3(CH2x][[CH3(CH2y]N]−(CH2z−−、ここでzは 0以外である、である。 本明細書に記載の構造式の解釈に関して、原子「x」へのR31−(またはR42−)構造の結合は、R31−の右側(記載の通り)を介してであり、すなわ ちCH2−残基である。本明細書に記載の係数(すなわち、v、w、x、y、お よびz、ならびにl、m、n、p、およびq)は、整数であると定義される。本 発明の目的において、「整数」とは、特に明記しない場合は0と自然数1、2、 3、4、5、6・・・である。 式(a)〜(l)で示される本発明の両親媒性化合物に関して、前記構造(I )で示される原子「X」が窒素原子であるかまたは炭素原子であるかに依存 して、そのような基の設計に関していくつかの選択性があることに注意されたい 。「X」が窒素原子であるなら、得られるX位を含むN−N結合により、不安定 および/または調製が困難である両親媒性化合物が得られるため、N原子で終わ るR3−R1(またはR42)基を含有する両親媒性化合物[すなわち、zは0で ありq=1である式(e);zは0である式(h)]は好ましくない。調製が困 難であるかおよび/または不安定である構造の追加の基は、例えばR配列(R1 であっても、R1とR3をブリッジしても)−−NH−CH2−NH−CH2−−で 示される。従って、本発明の実施において、そのような構造[すなわち、zは1 である式(a)、yとzの1つまたは両方が1である式(e)]は好ましくない 。 陽イオン性両親媒性化合物に包含させるための構造(例えば前述のもの)の設 計に関して、以下の問題に注意すべきである。アミンとアルキル残基の交互の組 合せは、本発明の範囲内のR構造を作成する。ポリアルキルアミンは例えば、前 記式で示されるが、両親媒性化合物構造内のアルキルアミンサブユニットの数、 タイプ、または組合せを伸長することにより、さらに多くの構造(そのような構 造は本発明の範囲内である)が記載される。さらなるこのような変更が可能であ ることは、当業者に公知である。 非常の長いポリアルキルアミン基(または得られるR31基)は、例えば得ら れる両親媒性化合物の溶解性を妨害するか、または細胞内送達のために選択され た生物活性分子と安定に相互作用する能力を妨害することもある。この点で、約 40の窒素および炭素原子またはそれ以上の骨格の長さを有するポリアルキルア ミン(または得られるR31基)は、両親媒性化合物に含めることは好ましくな い。しかし、このような各目的の構造について、その性質は実験によって決定さ れるが、それでもその使用は本発明の実施範囲内である。 従って、以下のような具体的なアルキルアミンおよびポリアルキルアミン構造 が得られる: 分類A/群II両親媒性化合物 さらに、細胞内への生物活性分子の移動を促進することができる分類A、群II (図5を参照)の陽イオン性両親媒性化合物が提供され、この両親媒性化合物は 、構造(II) (式中、Zは、ステロイドであり; Xは、炭素原子または窒素原子であり; Yは、結合基であるか、またはYは欠如しており; R3は、アミノ酸、誘導体化アミノ酸、H、またはアルキルであり; R1は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり: R4は、アミノ酸、誘導体化アミノ酸、H、またはアルキルであり; R2は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; かつ、R1は、R2と同じであるかまたは異なる(ただし、R1とR2の両方が−− NH−−であることはない)) を有する。 群IIに従って提供される代表的両親媒性化合物には、両親媒性化合物87、91 、93、95、97、99、100、および103が含まれる。これらの両親媒 性化合物、群IIの他の両親媒性化合物の構造的特徴に関して、以下を考慮すべき である。 ステロイド基は、分類A/群I両親媒性化合物について前記で定義した基準に 従って選択される。従って好適な両親媒性化合物は、3−ステロール(ここで、 ステロール分子は、その3−O−基、またはそのN−置換体により、「Y」に結 合される)よりなる群から選択される。 群IIの両親媒性化合物の結合基Yは、N−アシルアミノ酸(またはその誘導体 )からなるか、またはその基の1つ以下の原子が「X」および「Z」の両方と結 合を形成する基(例えば、>C=Oまたは>C=S)からなる。基Yは随時欠如 していてもよい。代表的なN−アシルアミノ基には、N−アシルセリン(No. 87)、N−アシルグリシン(No.91)、およびN−アシルアスパラギン酸 (No.103)がある、両親媒性化合物No.103中のN−アシルアスパラ ギン酸の使用に関して、そのガンマカルボキシルは、提供されるように、追加の アルキルアミン残基にさらに誘導体化される。 R1とR2の選択の基準は、群Iの両親媒性化合物について記載したものと同様 である。R3とR4は、Hまたはアルキルであるか、またはこれらのいずれかの誘 導体を含む天然のまたは人工アミノ酸でもよい。R3とR4アミノ酸基の代表的な 例には、トリプトファン(No.97)およびアルギニン(No.95)由来の ものがある。分類B/群III両親媒性化合物 さらに、細胞内への生物活性分子の移動を促進することができる分類B/群II I(図6を参照)の陽イオン性両親媒性化合物が提供され、この両親媒性化合 物は、構造(III) (式中、Zは、そのN−原子によりY(または、Yが欠如している場合は直接X )に結合したアルキルアミンまたはジアルキルアミンであり、ここでZがジアル キルアミンなら、そのアルキル基は同じであるかまたは異なり; Xは、炭素原子または窒素原子であり; Yは、短い結合基であるか、またはYは欠如しており; R3は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R1は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; R4は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R2は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; かつ、R1は、R2と同じであるかまたは異なる(ただし、R1とR2の両方が−− NH−−であることはない)) を有する。 脂肪親和性基としてアルキルアミンまたはジアルキルアミンを含有する本発明 の実施に従う代表的な陽イオン性両親媒性化合物には、例えばN,N−ジオクタ デシルリジンアミド;N1,N1−ジオクタデシル−1,2,6−トリアミノヘキ サン;N,N−ジドデシルリジンアミド;N,N−ジデシルリジンアミド;スペ ルミジン−N,N−ジオクタデシル尿素;N−ミリスチルリジンアミド;および N−(ジオクチルデシルアミノエチル)−リジンアミドがある。代表的な両親媒 性化合物は、両親媒性化合物43、47、56、60、および73として記載さ れる(図6)。これらの両親媒性化合物および群IIIの他の両親媒性化合物の構 造的特徴に関して、以下を考慮すべきである。 脂肪親和性アルキルアミンまたはジアルキルアミン基「Z」の選択に関して、 下記の表2は代表的構造を提供する。 本発明の両親媒性化合物のZ位に含めるための、適切なアルキルアミンまたは ジアルキルアミン基の選択に関連して、この基のアルキル鎖は、両親媒性化合物 の溶解性を妨害するほど、またはプラスミドDNAと相互作用する能力を妨害す るほど、大きな分子量であってはならない。さらにアルキルアミンまたはジアル キルアミンのアルキル鎖は、1つまたはそれ以上の不飽和点を含有してもよい。 R基、R1、R2、R3、およびR4の選択は、群Iの両親媒性化合物について開 示されたものに従い、これらのR基は、例えば表1から選択される。結合基Yは 、群Iの両親媒性化合物のように選択され、その好適例は、−CH2−および> C=Oを含む。分類B/群IV両親媒性化合物 さらに、細胞内への生物活性分子の移動を促進することができる群IV(図7を 参照)の陽イオン性両親媒性化合物が提供され、この両親媒性化合物は、構造( IV) (式中、AとBは、O、NまたはSであり; R56、独立にアルキルまたはアシル基であり、飽和されているかまたは不飽和 の部位を含有し; Cは、−CH2−、>C=O、および>C=Sよりなる群から選択され; E(構造I、II、III中の「X」に類似)は、炭素原子または窒素原子であり; Dは、−NH(C=O)−または−O(C=O)−のような結合基であるか、ま たはDは欠如しており; R3は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R1は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; R4は、H、または飽和もしくは不飽和脂肪族基であり; R2は、−−NH−−、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンであり; かつ、R1は、R2と同じであるかまたは異なる(ただし、R1とR2の両方が−− NH−−であることはない)) を有する。 群IVの代表的な両親媒性化合物には、No.64、76、85、89、94、 98、102、105、110および111がある。これらの両親媒性化合物お よび群IVの他の両親媒性化合物の構造的特徴に関して、以下を考慮すべきである 。 R1、R2、R3、およびR4の選択に関しては、群I、II、およびIIIの両親媒 性化合物について提供された教示が適用される。前述のように、基「E」は、炭 素原子または窒素原子である。 R5とR6は独立にアルキルまたはアシル基であり、好ましくは約8〜約30炭 素原子を含有し、このような基は、1つまたはそれ以上の不飽和点を含有しても よい。 群Dの選択に関しては、−NH(C=O)−または−O(C=O)−のような リンカーが好適であり、その左側が「C」に結合し、その右側が「E」に結合す るように記載される。群Dは、随時欠如していてもよい(両親媒性化合物No. 94)。前記群I、II、およびIIIに関して提供された教示に基づき、追加のリ ンカーが選択され、および得られたインビボ試験日(図15)に基づき、リンカ ーDは短いかまたは欠如していることが好適である。分類C−非T−型/ステロイドベースの陽イオン性両親媒性化合物 前述のように、本発明はまた、例えば: (N1−スペルミジンコレステリルカルバメート) (N1−サーモスペルミンコレステリルカルバメート)、および (N1−スペルミンコレステリルカルバメート)、 のような、非T−型/ステロイドベースの両親媒性化合物(分類C)の製剤およ びその使用を提供する。 本発明の実施に従って使用される追加の分類Cの両親媒性化合物には、例えば 「DC−chol」と呼ぶ3β[N−(N1,N1−ジメチルアミノエタン)−カ ルバモイル]コレステロールを含むエバンド(Epand)らの米国特許第5,28 3,185号に記載のもの;コレステリル−3β−カルボサミドエチレントリメ チルアンモニウムヨウ化物;コレステリル−3β−オキシスクシンアミドエチレ ントリメチルアンモニウムヨウ化物、およびβ−アラニルコレステロールを含む ものなどがある。 さらにこのような両親媒性化合物は、DOTAP、ChoTB、およびCho SC(レベンテイス(Leventis)ら、Biochemica et Bioph ysica Acta,1023,1990,pp.124−132)を原型と するものを包含するが、四級型で提供されるときは包含しない)。 このような両親媒性化合物のさらなるクラスは、ウォーカー(Walker)ら、 Proceedings of the National Academy of Sciences,USA,93,1996,1585−1590に記載 の、N1−(アルキルアミン)結合陽イオン性化粧用両親媒性化合物(例えば、 表1に記載の構造体を含む)により提供される。分類D−非T−型/非ステロイドベースの陽イオン性両親媒性化合物 本発明はまた、以下を用いて製剤化される非T−型/非ステロイドベースの両 親媒性化合物(分類D)の多様な製剤、その使用を提供する: (1)N−[1−((2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−ト リメチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」)を原型とする陽イオン性両親 媒性化合物であるが、非四級変種であり、さらにプロトン化することができる( フェルグナー(Felgner)ら、Proc.Natl.Acad. Sci.US A,84,7413−7417,1987、およびエプスタイン(Eppstein)ら の米国特許第4,897,355号を参照); (2)ベア(Behr J.P.)、Bioconjugate Chemistry, 5,1994.382−389に記載の多くの構造を原型とする陽イオン性両親 媒性化合物であるが、その非四級変種(その第3章、C12GluPhCnN+、 およびC14GluCnN+;第8章、TMAGなどを比較されたい); (3)1−[2−(アシルオキシ)エチル]−2−アルキル(アルケニル)−3 −(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムクロリド(ソロジン(Solodin)ら 、Biochemistry,1995,34,13537−13544を参照 )を原型とする陽イオン性両親媒性化合物;およびレドレイ(Ledley)ら、Hu man Gene Therapy,6,1995,1129−1144、およ びガオ(Gao)ら、Gene Therapy,2,1995,710−722 に記載のような、この分類に一致する追加の分子種。補助脂質 1つまたはそれ以上の陽イオン性両親媒性化合物と混合するための本発明の実 施において有用な代表的補助脂質には、ジオレオイルホスファチジルエタノール アミン(「DOPE」)、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン、リ ソ−ホスファチジルエタノールアミン他のホスファチジルエタノールアミン、ホ スファチジルコリン、リソ−ホスファチジルコリンおよびコレステロールがある 。典型的には、陽イオン性両親媒性化合物対補助脂質の好適なモル比は、約1: 1である。しかし、この比(また広範囲にわたって)を変えることは本発明の実 施範囲内である(下記の例3を参照)。 補助脂質(特に中性補助脂質)との複合体として陽イオン性両親媒性化合物を 調製すると、トランスフェクションを促進する両親媒性化合物の能力を増強する ことは、当該分野で一般的に考えられている。補助脂質で増強された性能は、本 発明の多くの両親媒性化合物について観察されているが、本発明の両親媒性化合 物は補助脂質無しでもトランスフェクション体として活性である。従って本発明 の実施は、細胞内送達機構への補助脂質の参加に関する理論により限定されるこ となく、また補助脂質の関与を必要としないと考えられる。トランスアシル化反応 当該分野でこれまで認識されていないが、いくつかの補助脂質は、同時保存条 件下でいくつかのタイプの陽イオン性両親媒性化合物と化学的に反応し、新しい 分子種が得られることも測定された。このような新しい分子種の作成は、トラン スアシル化のような機構を介して起きると考えられる。この点で、スペルミンコ レステロールカルバメート(No.67)とDOPEが関与するトランスアシル 化反応(これにより、リソPE分子種と特定のアシル陽イオン性両親媒性化合物 の複数の型(No.80と呼ぶ)が得られる)を記載する図4を参照されたい。 このような反応について、以下の説明が興味深い。両親媒性化合物No.67 の使用に関して、クロロホルム溶媒中での両親媒性化合物とDOPEの混合物は 、このような反応に参加しないようであることが観察されている。しかし水溶液 中で両親媒性化合物と補助脂質を調製すると(ここで、リポソームのような二重 層含有構造が生成する)、トランスアシル化が可能になる。さらに、例えばクロ ロホルムから両親媒性化合物と補助脂質を乾燥して薄膜にすると(こうして、2 つの分子種は密接に接触する)、おそらくエントロピー作用の結果としてトラン スアシル化も起きる。これらの現象はまた、凍結乾燥した両親媒性化合物/DO PE調製物にも応用できると予測される。 従って、両親媒性化合物/DOPE調製物を非常に低温(例えば、−70℃) で維持することが非常に好ましい。モノ、ジ、またはトリ酢酸塩としての両親媒 性化合物No.67の調製もまた、トランスアシル化を遅らせることが測定され ている。 本発明の治療上有効な薬剤組成物は、このようなトランスアシル化副産物、ま たは他の副産物を含有してもよく、およびこのような副産物の存在は、それらを 含有する組成物の治療的用途を妨害しないことは、理解されるべきである。この ような組成物の使用は、本発明の実施範囲内にあり、従ってこのような組成物お よびその新規分子種は、具体的に特許請求される。薬剤組成物の調製とその投与 本発明は、生物活性分子の治療上有効量の細胞内送達を促進する薬剤組成物を 提供する。本発明の薬剤組成物は、生物活性分子が組織および臓器(例えば、胃 粘膜、心臓、肺、および固形腫瘍)に入ることを促進する。さらに、本発明の組 成物は、インビトロで維持された(例えば、組織培養)細胞に生物活性分子が入 ることを促進する。本発明の化合物の両親媒性のために、これらが、細胞膜の脂 質、他の細胞表面分子、および組織表面に会合し、およびそこに融合または結合 することを可能にする。両親媒性化合物により形成される1つのタイプの構造体 は、やや球形の二重層に形成される小胞であるリポソームであり、これは生物学 的液体中で安定であり、細胞内送達の標的の生物学的分子を捕捉することができ る。細胞膜と融合することにより、このようなリポソーム組成物は、生物活性分 子を一緒に運搬して、これらがエンドサイトーシスやピノサイトーシスを含む1 つまたはそれ以上の細胞プロセスを介して細胞の内部に入ることを可能にする。 しかし治療用組成物への使用が提唱されている多くのクラスの両親媒性化合物ま たは他の脂質様分子と異なり、本発明の両親媒性化合物は、有効であるために高 度に組織化された小胞を形成する必要はなく、および実際広範なゆるく組織化さ れた構造(これらが結合する生物活性分子とともに)を取ることができる。この ような構造体の任意のものが、本発明の薬剤調製物中に存在し、その有効性に寄 与することができる。 本発明の両親媒性化合物を使用して治療量で細胞内に提供することができる生 物活性分子は、以下を含む: (a)ポリヌクレオチド、例えば当該分野で公知の治療上有効なタンパク質をコ ードするゲノムDNA、cDNA、およびmRNA、 (b)リボゾームRNA; (c)遺伝子の転写産物を不活性化するのに有用であり、例えば悪性細胞の増殖 を制御するための治療法として有用である、アンチセンスポリヌクレオチド(R NAまたはDNA);および (d)リボザイム。 一般的におよびそこから内容物が漏出する可能性があるために、多くの陽イオ ン性両親媒性化合物から形成される小胞または他の構造体は、低分子量の生物活 性分子を送達するのに、当業者には好まれない。本発明の好適な実施態様ではな いが、このような低分子量分子を細胞内に送達することは本発明の実施の範囲内 である。送達することができる低分子量生物活性分子の代表的タイプは、ホルモ ンおよび抗生物質である。 標的細胞および/またはその細胞下コンパートメントへ生物活性分子が入るこ とを促進するために、2つまたはそれ以上の分子種が組合せて使用されるように 、本発明の陽イオン性両親媒性化合物種は混合してもよい。本発明の陽イオン性 両親媒性化合物はまた、当該分野で公知の両親媒性化合物とともに使用するため に混合してもよい。 本発明の薬剤組成物の投与量は、生物活性分子の半減期、生物活性分子の力価 、両親媒性化合物の半減期、両親媒性化合物またはその分解産物の副作用の可能 性、投与経路、患者の状態などの要因に依存して、変化してもよい。このような 要因は、当業者が決定することができる。 本発明の薬剤組成物の極めて正確な投与量を提供するために、種々の投与方法 が使用できる。このような調製物は、経口的、非経口的、局所的、粘膜から、ま たは患者の体腔への調製物の注入、または生体分解性物質を含む除放性製剤を使 用して、または追加のミセル、ゲルおよびリポソームを使用するオンサイト送達 により、投与することができる。噴霧装置、粉末吸入器、およびエアゾル溶液は 、このような調製物を呼吸器官に投与するために使用される代表的な方法である 。 さらに、本発明の治療用組成物は一般的に、賦形剤(例えば、炭水化物である 乳糖、トレハロース、ショ糖、マンニトール、マルトース、またはガラクトース )とともに製剤化され、使用前にこのような賦形剤の存在下で凍結乾燥(および 次に再度水和)してもよい。本発明の各両親媒性化合物の最適化された製剤の条 件は、薬学分野の当業者により決定可能である。例えばスペルミジンコレステロ ールカルバメート(両親媒性化合物No.53)については、特にDNAの濃度 が上昇した時、両親媒性化合物/DNΛ凝集物の生成を防ぐために、マンニトー ルよりショ糖の使用が好ましいことがわかっている。そのような賦形剤を添加す ると、凍結乾燥された薬剤組成物の保存中の粘稠度が維持され、凍結乾燥状態か ら水和した時に起きる可能性のある凝集、不溶性などの問題を防止することがで きる。 従って本発明の主要な面は、生物活性分子(例えば、ポリヌクレオチド)およ び1つまたはそれ以上の陽イオン性両親媒性化合物(随時1つまたはそれ以上の 補助脂質を含む)を含む組成物を提供し、次に該組成物を、上記の1つまたはそ れ以上の賦形剤の存在下で維持し、得られる組成物は液体または固体(好ましく は凍結乾燥)型であり、その結果:(1)生物活性分子の治療活性は実質的に保 存され;(2)両親媒性化合物(または両親媒性化合物/DNA複合体)のトラ ンスフェクション増強性は維持される、ことを特徴とする。理論には限定されな いが、賦形剤は: (1)容器の表面との相互作用を最小にする、 (2)複合体の不可逆的凝集を防ぐ、および (3)両親媒性化合物/DNA複合体を化学的に安定な状態に維持、すなわち酸 4化および/または加水分解を防ぐ、 ことを含む1つまたはそれ以上の作用を介して、両親媒性化合物と生物活性分子 の相互作用(複合体)を安定化させると考えられる。 本発明の薬剤組成物中の賦形剤の存在は、組成物を安定化しその保存と操作を 容易にするが、多くの賦形剤の適度な濃度が、それらを含有する薬剤組成物のト ランスフェクション増強能力を妨害することもあることがわかっている。この点 で、本発明の両親媒性化合物の追加のおよび有用な特徴は、当該分野で公知の両 親媒性化合物に比較して本発明の両親媒性化合物のインビボの活性は大幅に増強 されているため、そのような副作用の可能性は最小にすることができることであ る。理論に限定されるつもりはないが、浸透圧ストレス(低い総溶質濃度で)は 、インビボでの細胞へのポリヌクレオチドのトランスフェクションの成功に正に 寄与することがあると考えられている。このようなストレスは、緩衝化されてい ない水中で提供された薬剤組成物が、標的細胞に接触すると起きることがある。 従って本来なら好適な組成物の使用が、すでにストレスのかかった標的組織(例 えば、嚢胞性繊維症患者の傷害された肺組織)の治療と適合性がないことがある 。従って、およびショ糖を例として使用して、約15mM〜約200mMの範囲のこ の賦形剤の濃度の選択は、(1)保存に対する薬剤組成物の安定化、および(2 )トランスフェクション性に対して組成物中の高濃度の溶質が及ぼす可能性のあ る作用の最小化、との間の妥協である。 特定の製剤のための特定の賦形剤の最適濃度の選択は、実験により決定される が、これはこのような製剤の分野の当業者が決定することができる。プロトン化状態 本発明のさらなる面は、治療用組成物を形成するためにプラスミドDNAのよ うな生物活性分子に接触する前の、本発明の陽イオン性両親媒性化合物のプロト ン化状態に関する。治療用組成物を作成するために、充分にプロトン化、部分的 にプロトン化、または遊離塩基の型の両親媒性化合物を利用することは、本発明 の実施の範囲内である。しかし本発明の目的においては、部分的にプロトン化さ れた陽イオン性両親媒性化合物または遊離塩基の型が好ましい。塩でない形の陽 イオン性両親媒性化合物(すなわち、調製物中にプロトンの供給源がない)の調 製が好ましい。両親媒性化合物は調製中に種々のプロトン化を受けるが、中性の 補助脂質(例えば、DOPE)または活性の生物学的分子(例えば、DNAプラ スミド)と組合せるときは、完全にプロトン化していない状態が好ましい。さら に補助脂質自身は、陽イオン性両親媒性化合物に対するプロトンの供給源となる ことに注意されたい。しかし、本明細書で使用される操作条件下で、そのような プロトンの寄与は、陽イオン性両親媒性化合物を完全にプロトン化すると予測さ れる。さらに平衡の問題に基づき、特定の時期に、陽イオン性両親媒性化合物の 集団(補助脂質または治療用分子と接触している場合を含む)は、完全にプロト ン化した状態で、ある割合の分子を含有することに注意されたい。しかし、混合 物の平均プロトン化が、全体の電荷が両親媒性化合物が完全にプロトンされてい ないことを示すようなものなら、陽イオン性両親媒性化合物は完全にはプロトン 化されておらず、その使用は本発明の実施の範囲内にある。 両親媒性化合物No.67(スペルミンコレステロールカルバメート)に関し て、DOPE(これ自身は双性イオン)との組成物をトランスフェクションする ためにこの両親媒性化合物を提供する時、トランス遺伝子発現は、遊離塩基につ いて最適であるが、両親媒性化合物を酢酸塩として調製すると低下することが観 察された。一および二酢酸により活性は段階的に低下し、三酢酸塩では最小であ った。記載した条件下では、両親媒性化合物と接触するために提供されるプラス ミドDNAは、水中のナトリウム塩として調製された(緩衝液は無し)。 両親媒性化合物No.37(例11を参照)について同様の結果が観察され、 補助脂質およびプラスミドDNAと接触する前に、遊離塩基型の両親媒性化合物 の保存により、レポーター遺伝子発現が約50倍改善された。合成法 以下の方法は、本発明のいくつかの陽イオン性両親媒性化合物の製造を例示す る。これらの化合物の製造および本発明の他の化合物の製造のための、他の方法 を当業者は認識できるであろう。群Iの両親媒性化合物 (A)4−スペルミジンコレステリルカルバメート スペルミジンコレステロールカルバメート(図1、No.53)は、図8に概 説する以下の方法に従って合成した。1,N8−ジCBZ−N4−スペルミジンコレステロールカルバメートの合成1,N8−ジカルボベンゾキシスペルミジン(収率61%、融点104〜10 5℃)を、シャルマ(S.K.Sharma)、ミラー(M.J.Miller)、およびペイン( S.M.Payne)、J.Med.Chem.1989,32,357−367の方法 に従って調製した。N1,N8−ジカルボベンゾキシスペルミジン(25g、60 .5ミリモル)とトリエチルアミン(25ml、178ミリモル)を、625mlの 無水塩化メチレン中に溶解し、0〜4℃に冷却し、窒素下で攪拌した。クロ ロギ酸コレステリル(27.2g、60.6ミリモル)を、250mlの塩化メチ レンに溶解し、20分かけて反応物に加えた。添加により白色の沈殿物が生じた 。添加完了後、反応物を0〜4℃で10分攪拌し、次に室温で1.5時間攪拌し た。この時点で、白色の沈殿物が完全に溶解した。反応を、ヘキサン/酢酸エチ ル6/4の溶出液を用いてTLCで追跡した(生成物のRf=0.25)。この 反応混合物に、625mlの塩化メチレンと625mlの水を加えた。次に層を分離 させた。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮し て油状物を得た。次に真空乾燥を一晩行なった。この粗生成物は、のりのような 粘稠度を有した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(2kgのシリカゲル、溶 出液−ヘキサン/酢酸エチル6/4)により精製して、46.8gの3−β−[ N4−(N1,N8−ジカルボキシスペルミジン)カルバモイル]コレステロール (ここでは、N1,N8−ジCBZ−N4−スペルミジンコレステロールカルバメ ートとも記載する)を収率93%で得た。スペルミジンコレステロールカルバメートの最終合成 窒素下で10%白金担持活性炭6.0gに、エタノール1リットル中の30g の3−β−[N4−(N1,N8−ジカルボベンゾキシスペルミジン)カルバモイ ル]コレステロール溶液を加えた(図13を参照)。反応混合物に窒素を吹き付 け、水素下で18時間撹拌した(大気圧下)。混合物に再度窒素を吹き付け、1 0gベッドのセライトでろ過した。エタノール中の10%トリエチルアミン2リ ットルでフィルターケーキを洗浄し、合わせたろ液を真空下で濃縮してゲルを得 た。次に生成物を真空下で一晩乾燥して粘性の固体を得た。この粗生成物をカラ ムクロマトグラフィー(2kgのシリカゲル、溶出液−4リットルのクロロホルム /メタノール95/5、次に30リットルのクロロホルム/メタノール/イソプ ロピルアミン95/5/5、Rf=0.24)で精製して、13.1gの所望の 所望のスペルミジンコレステロールカルバメートを収率64%で得た。この物質 をHPLC(C−18逆相カラム、線形勾配溶出液プロフィール−メタノール/ イソプロパノール/水/トリフルオロ酢酸60/20/20/0.1〜メタノー ル/イソプロパノール/トリフルオロ酢酸70/30/0.1〜メタノール/イ ソプロパノール/クロロホルム/トリフルオロ酢酸60/20/20/0.1) 分析により、純度は99.2%であり、7−デヒドロコレステロール類似体が0 .8%のレベルで存在した。 本例および以下の例に関して、すべてのTLCプレートは、リンモリブデン酸 で視覚化した。 (B)N4スペルミンコレステリルカルバメート スペルミンコレステロールカルバメート(図1、No.67)を、図9に概説 する以下の方法に従って調製した。1,N12−ジCBZ−スペルミン クロロギ酸べンジル(1.76g、1.5ml、10.36ミリモル)を塩化メ チレン(5ml)に溶解し、窒素雰囲気下で三ツ首フラスコ中に入れた。イミダゾ ール(1.4g、20.6ミリモル)を塩化メチレン(20ml)に溶解し、添加 ロートに入れた。三ツ首フラスコを0℃に冷却し、イミダゾール溶液を20分か けて徐々に加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、次に塩化メチレン(25ml) とクエン酸(10%,25ml)を加えた。層を分離し、有機画分をクエン酸(1 0%,25ml)で洗浄した。有機成分を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃 縮した。残渣を高真空下で周囲温度で1時間乾燥した。 残渣にジメチルアミノピリジン(35mg)、塩化メチレン(25ml)を加え、 混合物を窒素雰囲気下で0℃に冷却した。添加ロートに、塩化メチレン(25ml )中のスペルミン(1g、4.94ミリモル)を加えた。スペルミン溶液を15 分かけて徐々に加えた。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌し、次に真空下で濃縮 した。残渣を酢酸エチル(80ml)に溶解し、水(15ml)で3回洗浄した。有 機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して白色の固体を得た 。この物質をフラッシュクロマトグラフィー(65gシリカゲル、100:10 0:10クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウム、生成物のRf=0. 33)して、高真空下で乾燥後、1.01g(2.146ミリモル、収率43% )の生成物を得た。1,N12−ジCBZ−N4−スペルミンコレステリルカルバメート クロロギ酸コレステリル(964g、2.15ミリモル)をクロロホルム(1 0ml)に溶解し、クロロホルム(10ml)中のN1,N12−ジCBZ−スペルミ ン(1.01g、2.15ミリモル)、トリエチルアミン(1ml)の冷却溶液( 0℃)に滴下して加えた。反応物を室温まで加熱し、2時間攪拌した。反応溶液 に、水(25ml)とクロロホルム(25ml)を加えた。層を分離し、有機画分を 硫酸マグネシウムで乾燥した。溶液を真空下で濃縮して、粗物質を得て、これを フラッシュクロマトグラフィー(68gシリカゲル、メタノール/クロロホルム 1/4、生成物のRf=0.36)して、1.23g(1.39ミリモル、収率 68%)の生成物を得た。4−スペルミンコレステリルカルバメートの最終合成1,N12−ジCBZ−N4−スペルミンコレステリルカルバメート(262mg ,0.300ミリモル)を、5mlの酢酸に溶解し、45mgの10%白金担持活性 炭を加えた。この溶液に窒素を吹き付け、大気圧の水素下で攪拌した。水素分解 を7時間進行させた。反応混合物をろ過し、触媒を40mlの酢酸エチル/酢酸9 /1で洗浄し、ろ液を真空下で濃縮して残渣を得た。粗生成物を35mlの1NN aOHに溶解し、40mlのクロロホルム/メタノール9/1で3回抽出した。合 わせた有機画分を、20mlの水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液をろ 過し、真空下で濃縮し、真空下で乾燥して、125mgの所望の生成物を収率67 %で得た。 上記方法に関連して、触媒の毒性を最小にするために水素分解は酸性条件下で 行うことに注意されたい。 尿素類似体(例えば、スペルミンまたはスペルミジンコレスタミン尿素)は、 有機合成の当業者に公知の反応順序で調製できる。例えば、アミンは等モルのカ ルボジイミドで処理して、次に第2のアミンを加えて所望の尿素を得る。 (C)N,Nビス(3−アミノプロピル)−O−コレステリル−3−カルバメー N,Nビス(3−アミノプロピル)−O−コレステリル−3−カルバメート( 図1、No.69)を、以下の方法に従って調製した。N1,N12−ジCBZ− N4−スペルミンについて前記した方法を使用して、ビス(3−アミノプロピル )アミンを調製したが、N−(3−アミノプロピル)1,3−プロパンジアミン を反応物としてスペルミンの代わりに使用した、純粋な生成物を、クロロホル ム/メタノール/水酸化アンモニウム80/20/0.5を使用してシリカゲル フラッシュクロマトグラフィーにより、収率34%で単離した。 こうして調製したビス(3−CBZアミノプロピル)アミンを次に、N1,N8 −ジCBZ−N4−スペルミジンコレステリルカルバメートの合成について記載 した方法に従ってクロロギ酸コレステリルと反応させた。純粋な生成物(N,N ビス(3−CBZアミノプロピル)−O−コレステリル−3−カルバメート)を 、収率73%で得た。 N4−スペルミジンコレステリルカルバメートの合成に関して前記した方法に 従って、N,Nビス(3−CBZアミノプロピル)−O−コレステリル−3−カ ルバメートから、CBZ基の水素分解により、N,Nビス(3−アミノプロピル )−O−コレステリル−3−カルバメートの合成を完了した。 (D)N,Nビス(6−アミノヘキシル)−O−コレステリル−3−カルバメー N,Nビス(6−アミノヘキシル)−O−コレステリル−3−カルバメート( 図1、No.70)を、以下の方法に従って調製した。 まず、反応物としてスペルミンの代わりにビス(ヘキサメチレン)トリアミン を使用した以外は、N1,N12−ジCBZ−スペルミンについて記載した方法を 使用して、ビス(6−CBZアミノヘキシル)アミンを調製した。トルエンから 再結晶化して、収率24%で純粋な生成物を単離した。 次に、N1,N8−ジCBZ−N4−スペルミジンコレステリルカルバメートの 合成について前記した方法に従って、ビス(6−CBZアミノヘキシル)アミン をクロロギ酸コレステリルと反応させた。ヘキサン/酢酸エチル7/3を使用し てシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、生成物N,Nビス(6−C BZアミノヘキシル)−O−コレステリル−3−カルバメートを収率40%で単 離した。 (E)リジン3−N−ジヒドロコレステリルカルバメート リジン3−N−ジヒドロコレステリルカルバメート(図1、パネルC)を、以 下の方法に従って調製した。 0℃で窒素雰囲気下で攪拌したTHF(2.0ml、アルドリッチ (Aldrich))中のジヒドロコレステロール(5.0g)12.9ミリモル、ア ルドリッチ(Aldrich))、フタルイミド(2.0g)13.6ミリモル、アル ドリッチ(Aldrich))、およびトリフェニルホスフィン(3.8g)13.6 ミリモル、アルドリッチ(Aldrich))の溶液に、ジエチルアゾジカルボキシレ ート(2.3ml)14.5ミリモル、アルドリッチ(Aldrich))を滴下して加 えた。添加完了後、反応混合物を周囲温度まで加熱し、一晩攪拌した。反応混合 物を真空下で濃縮して残渣にした。この残渣を50mlのヘキサン/酢酸エチル9 5/5に溶解して、沈殿物が生成した。混合物をろ過した。ろ液を真空下で濃縮 乾固し、25mlのヘキサン/酢酸エチル95/5に溶解し、200gのシリカゲ ルでクロマトグラフィーを行なった(溶出液2リットルのヘキサン/酢酸エチル 95/5、次に1リットルのヘキサン/酢酸エチル90/10)。所望の3−フ タルイミドコレスタン(5.43g)を収率76%で得た。 3−フタルイミドコレスタン(5.40g、9.75ミリモル)を60mlのメ タノールに溶解し、無水ヒドラジン(3.1ml、99ミリモル)を加えた。反応 混合物を攪拌し、窒素雰囲気下で4時間加熱還流した。次に混合物を室温まで冷 却して、3.1mlの濃HClを加え、得られる混合物を一晩加熱還流した。周囲 温度まで冷却して、100mlのジエチルエーテルと50mlの1N NaOHを加 え(最終pH10.1)、層を分離した。水層を50mlのジエチルエーテルで抽 出し、合わせた有機画分をろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲル クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール90/10)をして、2.24 gの3−アミノコレスタンを収率59%で得た。 L−Na,Ne−ジBOCリジンN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(2 86g、0.644ミリモル、シグマ(Sigma))および3−アミノコレスタン (250g、0.644ミリモル)を5mlの塩化メチレンに溶解し、0.1mlの トリエチルアミンを加え、得られた溶液を窒素雰囲気下で周囲温度で一晩攪拌し た。反応混合物に10mlの水と25mlの塩化メチレンを加えて、層を分離した。 水層を25mlの塩化メチレンで抽出し、合わせた有機画分を硫酸マグネシウムで 乾燥し、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、残渣を25gのシリカゲルのクロマ トグラフィー(溶出液−ヘキサン/酢酸エチル6/4、試料はヘキサン/酢酸エ チル9/1で添加した)により精製した。精製した物質に25mlのクロロホルム とHClガスを2時間溶液にバブリングし、次に窒素で10分バブリングした。 溶液を真空下で濃縮して、299gの所望の生成物を収率79%でジヒドロ塩酸 塩として得た。 (F)1,N8−ビス(3−アミノプロピル)−N4−スペルミジンコレステリ ルカルバメート1,N8−ビス(3−アミノプロピル)−N4−スペルミジンコレステリルカ ルバメート(図1、No.75)を、以下の方法に従って調製した。N4−スペ ルミジンコレステリルカルバメート(1.14g、2.04ミリモル)をメタノ ール(5ml)に溶解した。新たに蒸留したアクリロニトリル(0.28ml、4. 29ミリモル)を加え、溶液を室温で18時間攪拌した。溶媒を真空下で濃縮し て油状物を得た。次に真空乾燥を一晩行なった。粗生成物をカラムクロマトグラ フィー(125gシリカゲル、溶出液−クロロホルム/メタノール1/9)によ り精製して、1.15g(85%)のN1,N8−ビス(シアノエチル)−N4− スペルミジンコレステリルカルバメートを得た。ラネイニッケルの50%スラリ ー(1.2g、アルドリッチ(Aldrich))を、95%エタノール(50ml)中 の1M NaOHとともにパーボンベに入れた。N1,N8−ビス(シアノエチル )N4−スペルミジンコレステリルカルバメートをエタノール(35ml)に溶解 し、ボンベに加えた。小胞からガスを抜いてアルゴン圧(80〜100psi)下 に3回置き、次にガスを抜いて水素圧(100psi)下に3回置いた。反応物を 水素圧(100psi)下で室温で72時間攪拌した。小胞からガスを抜いてアル ゴン圧下に置いた。ろ過して触媒を除去した。ろ液を真空下で濃縮した。得られ た油状物を、2:1塩化メチレン:メタノール(100ml)に溶解し、水(3 5と25ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を 真空下で濃縮し、残渣を100gのシリカゲルのクロマトグラフィー(溶出液− クロロホルム/メタノール/濃水酸化アンモニウム40/25/10、試料はク ロロホルム/メタノール40/25で添加した)で精製した。精製した物質をイ ソプロパノール(3×50ml)で真空下で濃縮し、次に真空下で乾燥して986 g(85%)のN1,N8−ビス(3−アミノプロピル)N4−スペルミジン コレステリルカルバメートを得た。 (G)N(N4−3−アミノプロピル−スペルミジン)コレステリルカルバメー N(N4−3−アミノプロピル−スペルミジン)コレステリルカルバメート( 図1、No.78)を、以下のように調製した: N1,N8−ジカルボベンゾキシスペルミジン(1.0g、2.4ミリモル)を メタノール(10ml)に溶解した。新たに蒸留したアクリロニトリル(0.38 ml、4.5ミリモル)を加え、反応物を室温で18時間攪拌した。溶媒を真空下 で濃縮して油状物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100gシリ カゲル、溶出液−クロロホルム/メタノール1/19)により精製して、1.1 0g(97%)のN4−2−シアノエチル−N1,N8−ジカルボベンゾキシスペ ルミジンを得た。 N4−2−シアノエチル−N1,N8−ジカルボベンゾキシスペルミジン(0. 5g、1.07ミリモル)をメタノール(5ml)に溶解し、CoCl2(280m g、2.15ミリモル、アルドリッチ(Aldrich))を加えた。青い溶液を氷浴で 冷却し、15分かけてNaBH4(405mg、10.7ミリモル、アルドリッチ (Aldrich))を少しずつ加えた。得られた黒い溶液を室温で1時間攪拌した。 この反応物に、塩化メチレン/メタノール2/1(30ml)を加えた。黒い沈殿 物が生じた。ここに水(20ml)を加え、混合物をろ過した。得られた層を分離 し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過し、ろ液を真空下で濃 縮して油状物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(50gシリカゲル 、溶出液−クロロホルム/メタノール/濃水酸化アンモニウム100/100/ 5)により精製して、309mg(62%)のN4−3−アミノプロピル−N1,N8 −ジカルボベンゾキシスペルミジンを得た。 塩化メチレンに溶解したN4−3−アミノプロピル−N1,N8−ジカルボベン ゾキシスペルミジン(300mg、0.66ミリモル)に、窒素下でトリエチルア ミンを加えた。クロロギ酸コレステリル(326mg、0.726ミリモル、アル ドリッチ(Aldrich))を塩化メチレンに溶解し、反応物に滴下して加えた。混 合物を室温で2時間攪拌した。塩化メチレン(25ml)と水(10ml)を加えた 後、層を分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を真空 下で濃縮して640mgの粗生成物を得た。残渣を80gのシリカゲルのクロマト グラフィー(溶出液−クロロホルム/メタノール90/10、試料はクロロホル ム/メタノール90/10中で添加した)で精製した。精製した物質を真空下で 濃縮し、次に真空下で乾燥して329mg(57%)のN−(N4−3−アミノプ ロピル−N1,N8−ジカルボベンゾキシスペルミジン)コレステリルカルバメー トを得た。 10%白金担持活性炭(65mg、アルドリッチ(Aldrich))に、酢酸(25m l)中のN−(N4−3−アミノプロピル−N1,N8−ジカルボベンゾキシスぺル ミジン)コレステリルカルバメート(300mg)の溶液を加えた。反応物を水素 下に置き、反応物をろ過した。触媒を酢酸エチル(50ml)中の10%酢酸で洗 浄した。ろ液を真空下で濃縮して油状物を得た。油状物を2/1塩化メチレン/ メタノール(35ml)に溶解し、1M NaOH(15ml)で洗浄した。有機層 を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、真空下で乾燥 して196mg(93%)のN−(N4−3−アミノプロピルスペルミジン)コレ ステリルカルバメートを得た。 (H)N−[N1,N4,N8−トリス(3−アミノプロピル)スペルミジン]コ レステリルカルバメート N−(N4−3−アミノプロピルスペルミジン)コレステリルカルバメートに アクリロニトリル(収率90%)を反応させ、次にN1,N8−ビス(3−アミノ プロピル)N4−スペルミジンコレステリルカルバメートについて記載したよう にラネイニッケル(収率75%)でジ付加物を還元して、N−[N1,−N4,N8 −トリス(3−アミノプロピル)スペルミジン]コレステリルカルバメート( 図1、No.96)を調製した。 (I)N,N−ビス(4−アミノブチル)コレステリルカルバメート N,N−ビス(4−アミノブチル)コレステリルカルバメート(図1、No. 82)を以下のように調製した。 n−ブタノール(50ml)中のベンジルアミン(2.0g、18.6ミリモル 、アルドリッチ(Aldrich))、炭酸ナトリウム(4.4g、42ミリモル)お よ びヨウ化カリウム(1.4g、9.5ミリモル)の混合物に、窒素下で4−クロ ロブチロニトリル(4.0ml、95ミリモル)を加えた。反応物を窒素下で48 時間攪拌し還流した。室温に冷却後、ジエチルエーテル(50ml)を加え、沈殿 物をろ過して除去した。ろ液を真空下で濃縮して油状物を得た。トルエン(10 0ml)を加え、溶液を真空下で濃縮した。クロロホルム(100ml)を加え、再 度溶液を真空下で濃縮し、次に18時間真空下で乾燥した。得られた油状物をク ロロホルム(100ml)に溶解し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物をカラ ムクロマトグラフィー(250gシリカゲル、溶出液−ヘキサン/酢酸エチル6 0/40)を行い、3.75g(97%)のN,N−ビス(3−シアノプロピル )ベンジルアミンを得た。 N,N−ビス(3−シアノプロピル)ベンジルアミン(3.7g、17.8ミ リモル)をエタノール(150ml)に溶解し、酢酸(4ml)を加えた。この溶液 を、窒素下で10%白金担持活性炭(400mg)に加えた。混合物を水素下に置 き、反応物を室温で18時間攪拌した。反応物を窒素下でおいた。触媒をろ過し て除去し、エタノール(150ml)で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、クロロ ホルム(50ml)を加え、再度真空下で濃縮した。得られた油状物を0.5時間 真空下で乾燥し、次の反応に直接使用した。この塩化メチレン(100ml)に溶 解したこの油状物に、窒素下でトリエチルアミン(5mL、35ミリモル)を加え 、溶液を氷浴で冷却した。クロロギ酸コレステリル(6.2g、13.87ミリ モル)を塩化メチレン(100ml)に溶解し、この溶液を10分かけて反応物に 滴下して加えた。冷却浴を除去し、反応物を窒素下で室温で18時間攪拌した。 塩化メチレン(100ml)と水(100ml)を加え、得られた層を分離した。有 機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、1時間真 空下で乾燥した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(600gシリカゲル、 溶出液−ヘキサン/酢酸エチル60/40)を行い、1.05g(10%)のN ,N−ビス(3−シアノプロピル)コレステリルカルバメートを得た。 ラネイニッケルの50%スラリー(1.2g)を、95%エタノール(50ml )中の1M NaOHとともにパーボンベに入れた。N,N−ビス(3−シアノ プロピル)コレステリルカルバメート(1.0g、1.77ミリモル)をエタ ノール(100ml)に溶解し、ボンベに加えた。小胞からガスを抜いてアルゴン 圧(80〜100psi)下に3回置き、次にガスを抜いて水素圧(100psi)下 に3回置いた。反応物を水素圧(100psi)下で室温で4日間攪拌した。小胞 からガスを抜いてアルゴン圧下に置いた。ろ過して触媒を取り出した。ろ液を真 空下で濃縮した。得られた油状物を、2:1塩化メチレン:メタノール(250 ml)に溶解し、水(75と50ml)で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム で乾燥し、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、残渣を110gのシリカゲルのク ロマトグラフィー(溶出液−クロロホルム/メタノール/iPrNH295/5 /5、試料はクロロホルム/メタノール95/5で添加した)で精製した。精製 した物質を真空下で濃縮し、次に真空下で乾燥して900g(85%)のN,N −ビス(4−アミノプロピル)コレステリルカルバメートを得た。 (J)N,N−ビス(N’−3−アミノプロビル−4−アミノブチル)コレステ リルカルバメート N,N−ビス(N’−3−アミノプロピル−4−アミノブチル)コレステリル カルバメート(図1、No.83)は、N1,N8−ビス(3−アミノプロピル) −N4−スペルミジンコレステリルカルバメートの調製について記載したように 、N,N−ビス(4−アミノプロピル)コレステリルカルバメートをアクリロニ トリル(収率82%)と反応させ、次にジアクリロニトリル付加物をラネイニッ ケル(収率81%)で還元して調製した。 (K)4スペルミジンコレステリルカルボキサミド4スペルミジンコレステリルカルボキサミド(図1、No.90)を以下の ように調製した。 THF((50ml)中の塩化コレステリル(5.0g)12.3ミリモル)の 溶液を、還流しながら0.5時間かけて、THF(25ml)中のマグネシウムく ず(390mg)に滴下して加えた。まず1つまみのヨウ素と3滴のヨードメタン を加えて反応を開始した。3時間還流後、反応物を室温に冷却した。混合物をド ライアイス(10g)に注ぎ、次に1時間攪拌した。溶液を氷浴中で冷却し、氷 冷した1M硫酸(100ml)に加えた。5分間撹拌後、塩化ナトリウム(1g) とジエチルエーテル(100ml)を加えた。層を分離し、水層をジエチルエーテ ル(100ml)で抽出した。合わせた有機層を、水(30ml)中のチオ硫酸ナト リウム5水和物(120mg)の溶液で洗浄した。有機層を真空下で濃縮し、18 時間真空下で乾燥した。粗固体をヘキサン(25ml)で粉砕した。ろ過後固体を 氷冷ヘキサン(10ml)で洗浄した。固体を1時間真空下で乾燥した。得られた コレステリルカルボン酸(3.Og、59%)は、純度約90%であり、さらに 精製することなく使用した。 コレステリルカルボン酸(500mg、1.2ミリモル)とN−ヒドロキシスク シンイミド(140mg、1.2ミリモル)を塩化メチレンに溶解した。この溶液 に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(275mg、1.32ミリモル)を加え、 反応物を窒素下で2時間撹拌した。N1,N8−ジカルボベンゾキシスペルミジン (474mg、1.2ミリモル)とトリエチルアミン(1.2ml、7.1ミリモル )を加え、反応物を窒素下で72時間撹拌した。反応物をろ過し、沈殿物を塩化メ チレン(50ml)で洗浄した。ろ液を水(25ml)で洗浄した。分離した有機層 を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、残渣を150 gのシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液−ヘキサン/酢酸エチル1/1)に より精製した。精製した物質を真空下で濃縮し、次に真空下で乾燥して680mg (70%)のN1,N8−ジカルボベンゾキシ−N4−スペルミジンコレステリル カルボキサミドを得た。 N4−スペルミジンコレステリルカルバメートについて記載したように、N1− N8−ジカルボベンゾキシ−N4−スペルミジンコレステリルカルボキサミドから カルボベンゾキシ基を除去した。精製した生成物(N4−スペルミジンコレステ リルカルボキサミド)を収率53%で得た。群IIの両親媒性化合物 (A)1,N8−ビス(アルギニンカルボキサミド)−N4−スペルミジンコレ ステリルカルバメート1,N8−ビス(アルギニンカルボキサミド)−N4−スペルミジンコレステ リルカルバメート(図5、No.95)を以下のように調製した。 塩化メチレン(25ml)中のN(a),N(e),N(e)(アルファ、イプシオン、 イプシロン)−トリカルボベンゾキシアルギニンに、N−ヒドロキシスクシンイ ミド(100mg、0.89ミリモル)とジシクロヘキシルカルボジイミド(24 0mg、0.89ミリモル)を加えた。混合物を窒素下で室温で2.5時間攪拌し た。N4−スペルミジンコレステリルカルバメート(250mg、0.448ミリ モル)とトリエチルアミン(0.25ml、1.8ミリモル)を加え、反応物を窒 素下で72時間攪拌した。反応物をろ過し、沈殿物を塩化メチレン(20ml)で 洗浄した。ろ液を水(20ml)で洗浄した。分離した有機層を硫酸マグネシウム で乾燥し、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、残渣を70gのシリカゲルクロマ トグラフィー(溶出液−クロロホルム/メタノール95/5)により精製した。 精製した物質を真空下で濃縮し、次に真空下で乾燥して533mg(71%)のN1 ,N8−ビス(N(a),N(e),N(e)−トリカルボベンゾキシアルギニンカルボ キサミド)−N4−スペルミジンコレステリルカルバメートを得た。 N−(N4−3−アミノプロピルスペルミジン)コレステリルカルバメートに ついて記載したように、N1−N8−ビス(N(a),N(e),N(e)−トリカルボベ ンゾキシアルギニンカルボキサミド)−N4−スペルミジンコレステリルカルバ メートからカルボベンゾキシ基を除去した。生成物(N1−N8−ビス(アルギニ ンカルボキサミド)−N44−スペルミジンコレステリルカルバメート)を収率 27%で得た。群IIIの両親媒性化合物 (A)N,N−ジオクタデシルリジンアミド N,N−ジオクタデシルリジンアミド(図6、No.73)を、以下の方法に 従って調製した。N,N−ジオクタデシルアミン(1.35g、2.58ミリモ ル、フルカ(Fluka))とL−Na,Ne−ジBOCリジンN−ヒドロキシスク シンイミドエステル(1.00g、2.58ミリモル、シグマ(Sigma))を、 15mlの塩化メチレン中で合わせ、2mlのトリエチルアミンを加えた。反応混合 物を短時間加熱して完全に溶解させ、次に周囲温度で一晩攪拌した。水(20ml )と塩化メチレン(50ml)を反応混合物に加え、層を分離した。水性画分を5 0mlの塩化メチレンで2回抽出した。合わせた有機画分を硫酸マグネシウムで乾 燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(150g シリカゲル、溶出液−ヘキサン/酢酸エチル8/2)により精製した。精製し た物質(N,N−ジオクタデシル−Na,Ne−ジBOCリジンアミド)(1. 59g)を25mlのクロロホルムに溶解し、塩酸ガスを溶液にバブリングしなが ら2時間攪拌した。溶液に窒素ガスを吹き付け、真空下で濃縮した。N,N−ジ オクタデシルリジンアミド(1.34g)を、二塩酸塩として収率68%で得た 。 (B)1,N1−ジオクタデシル−1,2,6−トリアミノヘキサン1,N1−ジオクタデシル−1,2,6−トリアミノヘキサン(図6、No. 47)を以下のように調製した。30mlの無水THF中のN,N−ジオクタデシ ル−Na,Ne−ジBOCリジンアミド(760mg、0.823ミリモル)に、 周囲温度でLiAlH4(185mg、4.87ミリモル)を少しずつ加えた。反 応混合物を窒素下で周囲温度で一晩撹拌した。2mlの水を滴下して加えて反応を 停止させ、得られた溶液を真空下で濃縮した。この残渣に、順に10mlの1M HCl、50mlの塩化メチレン、および10mlの1M NaOH(最終pH1 0)を加えた。層を分離し、水性画分を50mlの塩化メチレンで2回抽出した。 合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。フィルターケーキを5 0mlの塩化メチレンで洗浄した。合わせたろ液を真空下で濃縮して、700mgの 粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(8Ogシリカゲル、溶 出液−ヘキサン/酢酸エチル7/3)により精製した。精製した生成物を含有す る画分を合わせ、真空下で濃縮して、ジBOC誘導体として保護された490mg の生成物を得た。このジBOC誘導体200mgに、4mlのクロロホルムと1mlの TFAを加えた。反応混合物を周囲温度で2時間攪拌し、真空下で濃縮した。残 渣を25mlの水と25mlの塩化メチレンに溶解し、約2mlの濃水酸化アンモニウ ムでpH10に調整した。層を分離し、水層を25mlの塩化メチレンで2回抽出 した。有機画分を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。得られ た残渣を10mlのジエチルエーテルに溶解し、溶液にHClガスを2分間バブリ ングし、溶液を4℃で一晩冷却した。沈殿した生成物をろ過して集め、冷(4℃ )ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥して、160mgの所望の生成物を収 率67%で得た。群IVの両親媒性化合物 (A)1−(N4−スペルミン)−2,3−ジラウリルグリセロールカルバメー 1−(N4−スペルミン)−2,3−ジラウリルグリセロールカルバメート( 図7、No.89)を以下のように調製した。THF(20ml)中の3−ベンジ ルオキシ−1,2−プロパンジオール(1.00g、5.49ミリモル)の溶液 を、THF(30ml)中の水素化ナトリウムの懸濁液(油中60%w/w、550m g、13.725ミリモル)に加え、乾燥窒素下で一晩還流させた。THF(2 0ml)中のドデシルメタンスルホン酸(3.39g、12.078ミリモル)の 溶液を加え、反応物をさらに2日間還流させた。室温に冷却後、反応物をヤライ トのベッドでろ過し、THFですすいだ。ろ液を真空下で濃縮して、黄色の油状 物を得て、これをジエチルエーテル(100ml)に溶解した。エーテル溶液を0 .1N NaOH(30ml)とdH2O(2×30ml)で洗浄した。有機層を硫 酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して赤褐色の油状物とした。粗 物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(300gシリカゲル)により3% 酢酸エチル/ヘキサンで溶出して精製した。所望の生成物を淡黄色の油状物とし て単離し、1H NMRにより3−OBn−1,2−ジラウリルグリセロール( 1.70g、60%)として解析された。エタノール(100ml)中の3−OB n−1,2−ジラウリルグリセロール(1.70g、3.28ミリモル)を、1 0%白金担持活性炭(250mg、15重量%)と水素雰囲気下で24時間攪拌し た。反応物に窒素をフラッシュし、セライトでろ過し、エタノールですすぎ、触 媒を取り出した。ろ液を真空下で濃縮して固体を得た。粗物質をフラッシュカラ ムクロマトグラフィー(140gシリカゲル)により10%酢酸エチル/ヘキサ ンで溶出して精製した。所望の生成物を白色の固体として単離し、1H NMR により1,2−ジラウリルグリセロール(1.23g、88%)として解析され た。 トルエン(0.77ml、1.49ミリモル)中の1.93Mのホスゲン溶液を 、塩化メチレン(10ml)中の1,2−ジラウリルグリセロール(580mg)1 .35ミリモル)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.26ml、1.4 9ミリモル)の溶液に加え、一晩攪拌した。60:25:4クロロホルム/メタ ノール/水(80ml)中のN1,N12−ジ−CBz−スペルミン・2HCl(7 3 4mg、1.35ミリモル)の溶液を加えた。3時間後、別のN,N−ジイソプロ ピルエチルアミン(0.26ml、1.49ミリモル)を加えた。さらに0.5当 量のN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.13ml、0.75ミリモル)を 3時間後に加え、反応物を窒素下で周囲温度で一晩攪拌させた。反応物を1M NaOH(20ml)とdH2O(15ml)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マ グネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して白色の固体とした。粗物質をフ ラッシュカラムクロマトグラフィー(125gシリカゲル)により90:10: 0.5クロロホルム/メタノール/水酸化アンモニウムで溶出して精製した。所 望の生成物を油状物として単離し、1H NMRにより1−(N4−(N1,N12 −ジ−CBz−スペルミン))−2,3−ジラウリルグリセロールカルバメート (188mg、15%)として解析された。 1−(N4−(N1,N12−ジ−CBz−スペルミン))−2,3−ジラウリル グリセロールカルバメート(188mg、0.203ミリモル)を氷酢酸(10ml )に溶解し、水素雰囲気下で10%白金担持活性炭(45mg、24重量%)とと もに5時間攪拌した。真空ろ過して触媒を取り出して、10%酢酸/酢酸エチル (10ml)ですすいだ。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して油状物とし た。得られた油状物を10%メタノール/クロロホルム(85ml)に溶解し、1 M NaOH(15ml)とdH2O(10ml)で洗浄した。有機層を分離し、硫 酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して油状物にした。生成物は1 H NMRにより1−(N4−スペルミン)−2,3−ジラウリルグリセロール カルバメート(125mg、94%)として解析された。 本発明の他の両親媒性化合物は、当業者の知識の範囲内の方法に従って調製で きるであろう。 以下の例は、本発明の実施を例示するものである。例1−細胞トランスフェクション測定法 3.35μモルのスペルミジンコレステロールカルバメート(両親媒性化合物 No.53)と中性脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「DO PE」)の試料をそれぞれ、ストック調製物としてクロロホルムに溶解した。溶 液を合わせてから、減圧下(20mmHg)で溶媒を留去して混合物から薄膜を作成 した。膜を真空下(1mmHg)でさらに24時問乾燥した。前記したように、本発 明の両親媒性化合物の一部は、DOPEのような補助脂質とともにトランスアシ ル化反応に参加するか、またはその分解を起こす他の反応を受ける。従って、両 親媒性化合物/補助脂質組成物は、使用するまで低温(例えば−70℃)で保存 することが好ましい。 分散懸濁液を作成するために、次に脂質膜を無菌脱イオン化水(1ml)で10 分問水和し、次に1分問ボルテックス混合した(浴ソニケーター中で10〜20 秒間の超音波処理も使用でき、超音波処理はDC−cholのような他の両親媒 性化合物に対して有用であった)。得られた懸濁液を次に、4mlの水で希釈して 、陽イオン性両親媒性化合物中670μMおよび中性補助脂質中670μMであ る溶液を得た。 またスペルミンコレステロールカルバメート(両親媒性化合物No.67)と 本発明の他の両親媒性化合物を使用して実験を行なった。スペルミンコレステロ ールカルバメートに関して、試験した条件下での両親媒性化合物対DOPEの最 適モル比は、1:2であり、1:1ではなかつた。本発明の多くの両親媒性化合 物についての最適比は、図13、14、および15に記載されており、当業者は 容易に測定することができる。 トランスフェクション溶液の調製のために、β−ガラクトシダーゼをコードす るDNA(pCMVβ、クローンテク(ClonTech)、パロアルト、カリホルニア 州)を、OptiMEM培地(ギブコ/ビーアールエル(Gibco/BRL)No.3 1885−013)に溶解した。得られた溶液は、DNA濃度960μMであっ た(コードするDNA中のヌクレオチドについて、平均分子量は330ダルトン であると仮定した)。 以下の方法を使用して、陽イオン性両親媒性化合物スペルミジンコレステロー ルカルバメートとDOPEの1:1モル混合物を試験した。補助脂質(670μ M)も含有するスペルミジンコレステロールカルバメート(670μM)の16 5μlアリコートを、各ウェル中にOptiMEM(165μl)を含有する9 6マイクロタイタープレート中の8つの別々のウェルにピペットで入れた。得 られた335μM溶液を次に、連続7回希釈して、濃度が335μM〜2.63 μMの範囲の8つの異なる両親媒性化合物を含有する溶液を作成した(各165 μlの容量を有する)。すなわち、8つの異なる濃度の両親媒性化合物/DOP Eのそれぞれについて8つのウェルで、全部で64の溶液を調製した。 別に、DNA溶液(165μl、960μM)を、OptiMEM(165μ l)を含有する8つのウェルにピペットで取り、次に得られた480μM溶液を 連続7回希釈して、各ウェルから8つの異なる165μlの溶液を作成し、ウェ ル中のDNAの濃度は480μM〜3.75μMの範囲であった。 次に64の試験溶液(陽イオン性両親媒性化合物:中性脂質)を64のDNA 溶液と合わせて、64のウェル中に別の混合物を得た(それぞれが330μlの 容量と、1つの軸に沿って240μM〜1.875μMの濃度範囲と、別の軸に 沿って167μM〜1.32μMの濃度範囲の脂質を有する)。すなわち、全部 で64の溶液を調製し、それぞれは、異なる両親媒性化合物:DNA比および/ または濃度を有する。DNAと両親媒性化合物の溶液を、15〜30分間靜置さ せて、複合体を形成させた。 ジェームズ・ヤンカスカス(James Yankaskas)博士(ノースカロライナ大学 (University of North Carolina)、チャペルヒル(Chapel Hill))から提供 されたCFT−1細胞株(パピローマウイルスで不死化したヒト嚢胞性繊維症気 管支上皮細胞)を、インビトロ測定法で使用した。細胞は、嚢胞性繊維症トラン スメンブランコンダクタンスレギュレーター(「CFTR」)タンパク質をコー ドする遺伝子の突然変異アレレについてホモ接合性であった(508位でのフェ ニルアラニンの検出、以後ΔF508)。CFTRは、cAMPに制御される塩 化物(Cl-)チャネルタンパク質である。CFTR遺伝子の突然変異は、典型 的には例えば患部上皮組織の細胞膜を介するCl-チャネル活性の完全な喪失( または、少なくとも実質的障害)を引き起こす。 ΔF508突然変異は、嚢胞性繊維症を引き起こす最も一般的な突然変異であ る。ΔF508突然変異の性質と嚢胞性繊維症の遺伝学の考察については、特に チェング(Cheng)ら、Cell,63,827−834(1990)を参照さ れたい。またリオルダン(Riordan)ら、Science,245,1066− 1073(1989);グレゴリー(Gregory)らのヨーロッパ特許出願No. 91301819.8号、公表番号0446017A1号;およびグレゴリー( Gregory)ら,Nature,347,382−385 (1990)も参照さ れたい。 細胞を、2%胎児牛血清(「FBS」、アービンサイエンティフィック(Irvi ne Scientific)、No.3000)と7つの追加の補足物で補足したHams F12栄養培地(ギブコ/ビーアールエル(Gibco/BRL)No.31765−0 27)で培養した。次に細胞を、約7,500細胞/ウェルの密度で組織培養プ レートに広げた。測定で使用する前に、細胞をコンフルエントパターンが得られ るまで、5〜7日間増殖させた。 割り当てられた期間後、CFT−1細胞を有する3つの96ウェルプレートを 吸引して、増殖培地を除去した。種々の濃度のDNA−脂質複合体(100μl アリコート中)を、各96ウェルプレートに移し、DNA−脂質複合体を細胞と 接触させた。DNAのみ/細胞および脂質のみ/細胞対照ウェルも、3つのプレ ートの1つに調製した。 100μlのDNA−脂質複合体溶液を、細胞の上で6時問維持し、次に各ウ ェルに50μlの30%FBS(OptiMEM中)を加えた。さらに20時間 インキュベーション後、さらに10μlのOptiMEM中の10%FBSを加 えた。さらに24時間インキュベーション後、タンパク質とβ−ガラクトシダー ゼの発現について細胞を測定した。 測定にのために、得られた培地はプレートから除去し、細胞をリン酸緩衝化生 理食塩水で洗浄した。次に溶解緩衝液(50μl、250mMトリス−塩酸、p H8.0、0.15%トリトンX−100)を加え、細胞を30分間溶解した。 96ウェルプレートを10秒間注意深くボルテックス混合して細胞と細胞破片を はがし、各ウェルから5μl容量の溶解物を、クマシーブルー(登録商標)プロ テインアッセイ試薬(ピアス社(Pierce Company)、No.23236)100 μlを含有するプレートに移した。プロテインアッセイプレートを、各測定法に 含まれるタンパク質標準曲線とともに、595nmフィルターを有するバイオラッ ド(Bio-Rad)モデル450プレートリーダーで読んだ。 各ウェル中のβ−ガラクトシダーゼ活性のレベルは、残りの溶解物にリン酸緩 衝化生理食塩水(50μl)を加え次にクロロフェノールレッドガラクトピラノ シド(100μl、1mg/ml、カルビオケム(Calbiochem)No.22058) 、60mMのリン酸水素二ナトリウム(pH8.0)、1mMの硫酸マグネシウム、 10mMの塩化カリウム、および50mMの2−メルカプトエタノールからなる緩衝 化溶液を加えた。クロロフェノールレッドガラクトピラノシドは、酵素的(β− ガラクトシダーゼ)加水分解により赤色になり、これを570nmフィルターを有 するプレートリーダーにより検出した。β−ガラクトシダーゼ(シグマ(Sigma )No.G6512)標準曲線を含めて各測定を較正した。 バックグランド読み値を引いて、プレートリーダーにより測定された光学デー タから、β−ガラクトシダーゼ活性とタンパク質含量が測定された。既知のトラ ンスフェクション体により発現されるβ−ガラクトシダーゼの量と比較すると、 DMRIE(1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシ エチルアンモニウムブロミド)(本発明の化合物)は、気道上皮細胞のトランス フェクションおよびそこでのβ−ガラクトシダーゼ発現の誘導に特に有用である 。DMRIE:DOPE(1:1)に比較して、スペルミジンコレステロールカ ルバメート:DOPE混合物(これも1:1)は、約5倍改善されたトランスフ ェクション効率を示した(例えば、図13、14、および15を参照)。例2−ヒト嚢胞性繊維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレータ−タン パク質をコードする遺伝子のトランスフェクション 細胞をトランスフェクションしその生化学的修正を誘導する本発明の陽イオン 性両親媒性化合物の能力を、別のインビトロ測定法で証明した。不死化したヒト 嚢胞性繊維症気道細胞(CFT−1、前記)を使用した。 測定の準備のために、細胞を約60%コンフルエントになるまでカバーガラス 上で増殖させた。次に細胞を、スペルミジンコレステロールカルバメート:DO PE(1:1)と、野生型ヒトCFTRをコードするcDNΛを含有するプラス ミド(pCMV−CFTR)の複合体でトランスフェクシヨンした。pCMV− CFTRプラスミドは、CFTRのコード配列、次の制御成分、CMVプロモー ターとエンハンサー、およびSV40ポリアデニル化シグナルを含有する作製体 である。本例の実施に適した追加の作製体には、pMT−CFTRがある(チェ ン(Cheng)ら、Cell,63,827−834(1990))。使用した複 合体は、10.5μモルのスペルミジンコレステロールカルバメート(DOPE も)とヌクレオチドベースで30μモルのpCMV−CFTRである。 両親媒性化合物介在トランスフェクションの48時間後、6−メトキシ−N− (3スルホプロピル)キノリウム(「SPQ」)測定法を使用して、cAMP刺 激Cl-チャネル活性について試験した。測定法の詳細については、チェン(S.C heng)ら、Cell,1027−1036(1991)を参照されたい。測定に おいて、cAMP依存性Cl-チャネル活性は、「SPQ」(モレキュラープロ ーブ(Molecular Probes)、ユージーン(Eugene)、オレゴン州)、ハロゲン化 物感受性発蛍光団を使用して試験した。ハロゲン化物透過性の増加は、SPQ蛍 光の急速な増加を引き起こし、この変化速度(蛍光の絶対変化より)は、Cl- 透過性の評価の重要な変数である。バックグランド情報については、リッチ(Ri ch)ら,Nature,347,358−363(1990)も参照されたい。 各細胞中のSPQ分子の蛍光は、倒立顕微鏡(ニコン(Nikon))、ユニバー サルイメージング(Universal Imaging)のデジタルイメージングシステム、お よびICCDカメラ(ハママツ(hamamatsu Inc.))を使用して測定した。蛍光 特性の予測される変化速度についての前知識無しで、分析のために細胞を選択し た。 各実験において、90〜100個の細胞の最大5顕微鏡視野を特定の日に観察 し、各条件での試験を少なくとも3つの異なる日に繰り返した。CFTRの発現 は不均一(すなわち、細胞は同量のCFTRを産生しない)なため、示したデー タは、最大の応答を示す各視野の20%の細胞についてのものである。 予測されるように、疑似トランスフェクションした細胞は、cAMP刺激ハロ ゲン化物蛍光の測定可能な増加を示さなかった。これに対して、野生型CFTR cDNAでトランスフェクションした細胞は、cAMPアゴニストで刺激すると SPQ蛍光が急速に増加し、陰イオンに対する透過性の増加を示していた。測定 した細胞の約60%は、測定可能なcAMP刺激Cl-チャネル活性を示した。 従ってスペルミジンコレステロールカルバメートおよび試験した本発明の他の陽 イオン性両親媒性化合物は、不死化CF気道細胞に、CFTRコードプラスミド をトランスフェクションするのに有効である。例3−CAT測定 パートA この測定法は、生きている試料からインビボで細胞をトランスフェクションす る本発明の陽イオン性両親媒性化合物の能力を評価するために使用した。この測 定法では、以下の方法で投与前の15分間に形成させた陽イオン性両親媒性化合 物:DNA複合体の100μlを、Balb/cマウスの肺に鼻内に点滴注入し た(経気管支的に行うこともできる)。両親媒性化合物(あらかじめ補助脂質と 混合した、下記)を水の中で10分間(必要な最終濃度の2倍の懸濁液を与える のに充分な時間)水和した。これを2分間ボルテックス混合し、アリコートして 、点滴注入される各マウスに55μl与えた。同様にレポーター(CAT)遺伝 子をコードするDNAを水で、必要な最終濃度の2倍に希釈し、点滴注入される 各マウスに55μl与えた。脂質を静かにDNAと合わせ(ポリスチレン試験管 中で)、15分間複合体を形成させてから、マウスに点滴注入した。 使用したプラスミド(pCMVHI−CAT、例4を参照)は、クロラムフェ ニコールトランスフェラーゼ酵素のコードDNAを提供する。両親媒性化合物: DNA複合体の詳細を以下に示す。 トランスフェクションの2日後に、マウスを屠殺し、肺と気管を取り出し、重 量を測定し、緩衝液(250mMトリス、pH7.8、5mM EDTA)中でホ モジナイズした。ホモジネートを遠心分離により清澄化し、70℃で10分間加 熱処理してその中のデアセチラーゼを不活性化した。溶解物をアセチル補酵素A およびC14−クロラムフェニコールとともに一晩インキュベートした。酢酸エチ ル抽出後、CAT酵素活性を薄層クロマトグラフィー(「TLC」)により視覚 化した。酵素活性はCAT標準曲線と比較して定量した。 酵素CATの存在は、アセチル補酵素AからC14−クロラムフェニコールへの アセチル基の移動を引き起こす。アセチル化/放射能標識クロラムフェニコール は、TLCプレート上でより速く移動するため、その存在が検出される。次に、 アセチル化クロラムフェニコールの測定された量を作成するのに必要であったC ATの量が、標準物質から算定される。 スペルミジンコレステロールカルバメート(両親媒性化合物No.53)の活 性は、認識されているトランスフェクション試薬DMRIEとDC−Cholと 比較して、CAT測定法で決定した。図10は、インビボで細胞をトランスフェ クションするスペルミジンコレステロールカルバメート(両親媒性化合物No. 53)の能力の増強(この増強は、この測定法では約20倍またはそれ以上)を 劇的に示す(組織100mgあたりのngCAT活性として)。この測定法では、活 性は、肺組織100mgあたりのngCAT酵素として測定した。比較のために、既 知のトランスフェクション物質であるDMRIEをDOPEと1:1モル混合物 として調製し、次にプラスミドDNAと複合体を形成させる(1.7mM DMR IE、1.7mM DOPE、ヌクレオチドとして測定された1.2mMプラスミド DNA)と、この測定法において100mgの肺組織あたり約1〜2ngの活性を与 えることが一般的に観察される。 図10に示す比較に関して、以下の条件に注意すべきである。スペルミジンコ レステロールカルバメートのトランスフェクション溶液は、ヌクレオチドの濃度 として測定して6mMのDNAと1.5mMの陽イオン性両親媒性化合物を含有した 。全体に例1の方法に従い、各両親媒性化合物をあらかじめDOPEと混合した (この場合、1:1モル比)。DC−Cholによるトランスフェクションでは 、DC−Chol対DOPEのモル比は3:2であり、陽イオン性両親媒性化合 物とDNA(ヌクレオチドとして)の濃度は、それぞれ1.3mMと0.9mMであ った。DMRIEによるトランスフェクションでは、DMRIEJADOPEの モル比は1:1であり、陽イオン性両親媒性化合物とDNAの濃度は、それぞれ 1.7mMと1.2mMであった。これらの濃度(および濃度比)の各両親媒性化合 物および補助脂質とDNAは、各両親媒性化合物のトランスフェクションについ て最適であると測定されており、従って本明細書に示す比較のための基礎として 使用した。 スペルミジンコレステロールカルバメート(両親媒性化合物No.53)につ いて、最適化実験も行い、特定の両親媒性化合物濃度(図11を参照)について プラスミドの好適な濃度を決定し、および特定のプラスミド濃度と比較した同じ 両親媒性化合物の好適な濃度を決定した(図12を参照)。トランスフェクショ ン効率は、両親媒性化合物濃度1.5mM(DOPEも1.5mMで存在する)、お よびプラスミド約6mM(ヌクレオチドにより)、すなわち約1:4の比で、最適 であった。しかし、約0.75mMの両親媒性化合物、および3.0mMのプラスミ ドの濃度は、標的細胞に対してあまり毒性はなかったことに注目した。 また、スペルミジンコレステロールカルバメートを陽イオン性両親媒性化合物 として使用して、しかし補助脂質としてはコレステロールを使用して、pCMV HI−CATベクターによる鼻内トランスフェクションも行なった。この実験で は、試験したスペルミジンコレステロールカルバメートの濃度は1.0〜1.5 mMであった(この場合、コレステロールは1:1のモル比で存在し、両親媒性化 合物と補助脂質の混合は前記したように行なった)。DNA濃度(ヌクレオチド 濃度として測定した)は、4.0〜6.0mMであった。トランスフェクション効 率(ngCAT/100mg組織として測定)は、補助脂質としてDOPEを使用し たものより有効ではなかったが、トランスフェクションはDC−Chol/DO PEを使用したものより実質的に有効であった。パートB 図1、5および7に記載の陽イオン性両親媒性化合物のインビボのトランスフ ェクション効率を比較するために、追加の実験を行なった。その結果を、それぞ れ図13、14および15に示す。化合物当たり12および15匹のマウスを使 用して、化合物を鼻内に投与した。前記パートAと同様に、組織100mg当たり のngCAT活性を測定した。しかし、改良されたベクター(pCF1/CATと その近い相当物pCF2/CAT)を使用した。一部は改良されたベクターの性 質のため、溶解物と、アセチル補酵素AおよびC14−クロラムフェニコールとの インキュベーションは、30分間行なったのみである。pCF1/CATとpC F2/CATの作製は、以下の例4に示す。 図13、14および15に示したインビボのデータは、以下のように編集した 。前記したように、図10と11は、両親媒性化合物No.53の完全なインビ ボ最適化を示す。両親媒性化合物No.67に、同様の部分的最適化を行なった 。 報告したすべての他の陽イオン性両親媒性化合物に関して、および多くの構造的 類似性を利用して、インビボ試験の最適化組成をインビトロの結果から外挿した 。これは多数の両親媒性化合物のスクリーニングを促進し、広く(正確にではな いが)比較可能なデータを与えた。No.53と67以外のすべての両親媒性化 合物について、両親媒性化合物濃度対DOPE濃度のインビボの比率は、両親媒 性化合物濃度対DNA濃度の最適比のように、インビトロ実験から取った(例1 を参照)。従って、このような両親媒性化合物についてはインビボ試験濃度は1 mMで固定し、従って補助脂質濃度も固定した。[おおまかには、両親媒性化合物 対補助脂質DOPEのモル比は、1:2(例えば、スペルミンコレステロールカ ルバメート、No.67)から1:1(例えば、スペルミジンコレステロールカ ルバメート、No.53)から2:1(例えば、両親媒性化合物No.75)ま ででの範囲であった]。インビトロで決定した最適化両親媒性化合物/DNA比 をまねるために、プラスミドDNAの濃度は、試験した各両親媒性化合物種につ いて変動した。パートC 本発明の新規の両親媒性化合物が当該分野において重要な寄与をしているとい うことは、その性能(インビボのトランスフェクションエンハンサーとして)を 、新規のT−型を欠如する他の密接に関連する陽イオン性両親媒性化合物の性能 と比較することにより、直ちに明らかである。スペルミジンコレステロールカル バメートは、N1−スペルミジンコレステリルカルバメート(これは、その陽イ オン性アルキルアミン成分中に同じ数の炭素原子と窒素原子を含有するが、線状 であり、「T−型」ではない)よりはるかに大きいレベルの増強を提供する。ほ ぼ例3のパートBの方法に従い、およびそれぞれ6mM(ヌクレオチドとして)、 1.5mM、および1.5mM濃度のDNA、両親媒性化合物および補助脂質を使用 すると、スペルミジンコレステロールカルバメート(両親媒性化合物No.53 )が与えるトランスフェクションの増強は、N1−スペルミジンコレステリルカ ルバメートと比較すると、約30倍であると測定された。 また、ほぼ例3のパートBの方法に従い、およびそれぞれ4mM(ヌクレオチド として)、1mM、および2mM濃度のDNA、両親媒性化合物および補助脂質を使 用すると、スペルミンコレステロールカルバメート(両親媒性化合物No.67 )が与えるトランスフェクションの増強は、N1−サーモスペルミンコレステリ ルカルバメートおよびN1−スペルミンコレステリルカルバメート(スペルミン コレステロールカルバメートが同様に関連している)と比較すると、少なくとも 約30倍である。例4−ベクターの作製 前記したように、多くのタイプの生物活性分子水、1つまたはそれ以上の本発 明の陽イオン性両親媒性化合物を含む治療用組成物中で、細胞に輸送することが できる。本発明の重要な実施態様において、生物活性巨大分子はコードDNAで ある。以下に、標的細胞でのそのようなコードDNAの発現を促進するために好 適な新規ベクター(プラスミド)を記載する。パートA −pCMVHI−CAT pCMVHI−CATは、本発明の実施において有用なプラスミド作製体の代 表的なものである。このプラスミドはレポーター遺伝子を有する形で提供される (例3を参照)が、治療的有用性を有するトランス遺伝子もこの中に含めること ができる。 pCMVHI−CATベクターは、市販のpCMVβ(クロンテク(Clontech ))をベースにしている。pCMVβ作製体は、pUC19骨格(ビエイラ(J .Vieira)ら、Gene,19,259−268,1982)を有し、これは元 々のpBR322から得られた原核生物性複製開始点を含む。pCMVHI−C ATプラスミド(CATをコードするヌクレオチド配列を含むように作製した) の基本的特徴は以下の通りである。時計回りに進んで、ヒトサイトメガロウイル ス前初期遺伝子プロモーターおよびエンハンサー、アデノウイルスとハイブリッ ドイントロンからの融合3成分リーダー、リンカー配列、CAT cDNA、追 加のリンカー配列、後期SV40ポリアデニル化シグナル、およびpUC複製開 始点、ならびにアンピシリン耐性の遺伝子を含む骨格。 ヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子プロモーターおよびエンハンサーは、 ヌクレオチド1〜639の領域をカバーする。これは、もともとボスハート(Bo shart)ら、Cell 41:521−530,1985により規定された ように、転写開始部位(+1)に対して−522〜+72の領域に対応し、−5 24〜−118のほとんどすべてのエンハンサー領域を含む。CAATボックス は、pCMVHI−CAT中のヌクレオチド487〜491に位置し、TATA ボックスはヌクレオチド522〜526にある。CAT転写は、ヌクレオチド5 49で開始すると考えられており、これはCMVプロモーターの転写開始部位であ る。3成分リーダー−ハイブリッドイントロンは、5’スプライスドナーシグナ ルとIgG遺伝子から得られる3’スプライスアクセプターシグナルを含有する 、アデノウイルスからの融合3成分リーダーから構成される。イントロン中の成 分は以下の通りである:最初のリーダー、第2のリーダー、第3のリーダーの一 部、第1のリーダーからのスプライスドナー配列とイントロン領域、およびマウ ス免疫グロブリン遺伝子スプライスドナー配列。イントロンの長さは230ヌク レオチドである。CATコード領域は、ヌクレオチド1257〜1913を含む 。SV40ポリAシグナルは、ヌクレオチド2020〜2249に伸長する。 従って、pCMVHI−CATプラスミドの作製は以下のように進めた。ベク ターpCMVβ(クロンテク(Clontech)、パロアルト、カリホルニア州)はN otIで消化して、β−ガラクトシダーゼ遺伝子を切断した。β−ガラクトシダ ーゼ遺伝子を欠如するベクター断片を単離し、連結してpCMVを作成した。 第3のイントロン(図17)は、プラスミドpADβ(クロンテク(Clontech ))から得た。ハイブリッドイントロンは、p91023(B)の695塩基対 のXhoI−EcoRI断片から単離されていた。ウォング(Wong)ら、Sci ence,228,810−815(1985)を参照。ハイブリッドイントロ ンは、アデノウイルスからの融合3成分リーダー、3成分リーダーの第1のセグ メントからのドナー部位、およびIgG遺伝子からのアクセプター部位を含有し 、230塩基対の長さを有する。 pADβをPmlIとNotIで消化し、〜500塩基対(bp)断片を単離 し、次にpBluescriptKS(−)(ストラタジーン(Stratagene)、 ラホヤ、カリホルニア州)のNotI部位に連結してpBlueII−HIを形成 した。 pBlueII−HIをXhoIとNotIで消化して、ハイブリッドイントロ ン断片を切り出した。この断片をpCMVのXhoIとNotI部位に連結し、 SV40イントロンを置換してpCMVHIを作成した。 CAT遺伝子は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼジーンブ ロック(Chloramphenicol Acetyltransferase GenBlock)(ファルマシア(Phar macia)、ピスカタウェイ(Piscataway)、ニュージャージー州)から得た。こ の792塩基対HindIII断片を、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片で平 滑末端にし、NotIリンカー(ニューイングランドバイオラボズ(New Englan d Biolabs))を両端に連結した。NotIで消化して、NotI粘着末端を露 出させた後、断片をpCMVのNotI部位にサブクローニングしてpCMV− CATを作成した。pCMV−CATをNotIで消化し、CAT断片を切り出 した。CAT断片をpCMVHIに連結して、pCMVHI−CAT(これは図 16に記載される)を作成した。パートB −pCF1とpCF2 pCMVHIは治療的トランスフェクションに適しているが、さらなる性能の 増強(トランス遺伝子の発現の増加を含む)は、pCFIとpCF2プラスミド により提供される。pCFI/CATの地図は図18のパネルAに示し、pCF 2/CATの地図はパネルBに示す。 簡単に説明すると、pCFIは、サイトメガロウイルス(CMV)の前初期遺 伝子からのエンハンサー/プロモーター領域を含有する。ハイブリッドイントロ ンは、プロモーターとトランス遺伝子cDNAの間に位置する。ウシ成長ホルモ ン遺伝子のポリアデニル化シグナルは、トランス遺伝子の下流に置くために選択 される。このベクターはまた、アミノグリコシダーゼ3’−ホスホトランスフェ ラーゼ遺伝子(トランスポゾンTn903から得られる、オカ(A.Oka)ら、j ournal of Molecular Biology,147,217− 226,1981を参照)をコードし、こうしてカナマイシンに対する耐性を付 与する薬剤耐性マーカーを含有する。pCFI構造のさらなる詳細は、下記に提 供するが、嚢胞性繊維症トランスメンブランコンダクタンスレギュレーター(C FTR)タンパク質をコードするcDNA配列のその中の位置の記載を含む。 pCF1ベクターは、市販のpCMVβ(クロンテク(Clontech))をベース にしている。pCMVβ作製体は、pUC19骨格(ビエイラ(J.Vieira)ら 、Gene,19,259−268,1982)を有し、これはもともとpBR 322から得られた原核生物性複製開始点を含む。 pCF1−プラスミド(CATをコードするヌクレオチド配列を含むように作 製した)の基本的特徴は以下の通りである。時計回りに進んで、ヒトサイトメガ ロウイルス前初期遺伝子プロモーターおよびエンハンサー、アデノウイルスとハ イブリッドイントロンからの融合3成分リーダー、リンカー配列、CFTR c DNA、追加のリンカー配列、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル、およ びpUC複製開始点と骨格、ならびにカナマイシン耐性遺伝子。pCFI−CF TRプラスミドは、両方の鎖で完全に配列決定されている。 ヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子プロモーターおよびエンハンサーは、 ヌクレオチド1〜639の領域をカバーする。これは、もともとボスハート(Bo shart)ら、Cell 41:521−530(1985)により規定されたよ うに、転写開始部位(+1)に対して−522〜+72の領域に対応し、−52 4〜−118のほとんどすべてのエンハンサー領域を含む。CAATボックスは 、pCF1−CAT中のヌクレオチド486〜490に位置し、TATΛボック スはヌクレオチド522〜526にある。CFTR転写は、ヌクレオチド548 で開始すると考えられており、これはCMVプロモーターの転写開始部位である 。 ハイブリッドイントロンは、5’スプライスドナーシグナルとIgG遺伝子か ら得られる3’スプライスアクセプターシグナルを含有する、アデノウイルスか らの融合3成分リーダーから構成される。イントロン中の成分は以下の通りであ る:最初のリーダー(ヌクレオチド705〜745)、第2のリーダー(ヌクレ オチド746〜816)、第3のリーダーの(一部、ヌクレオチド817〜87 7)、第1のリーダーからのスプライスドナー配列とイントロン領域(ヌクレオ チド878〜1042)、およびマウス免疫グロブリン遺伝子スプライスドナー 配列(ヌクレオチド1043〜1138)。ドナー部位(G|GT)はヌクレオ チド887〜888にあり、アクセプター部位(AG|G)はヌクレオチド11 28〜1129にあり、イントロンの長さは230ヌクレオチドである。CFT Rコード領域は、ヌクレオチド1183〜5622を含む。 pCFI−CFTRのCFTRコードcDNA内に、元々の公表された予測さ れるcDNA配列とは2つの差がある(リオルダン(J.Riordan)ら、Scie nce,245,1066−1073(1989);(1)元々の公表された配 列中の誤りを修正する、CFTR cDNAの1990位のAからCへの変化、 および(2)936位に導入されるTからCへの変化。936位の変化は部位特 異的突然変異誘発により導入され、サイレントであるが、細菌のプラスミド中で 増殖するとcDNAの安定性を大幅に上昇させる(グレゴリー(R.J.Gregory) ら,Nature,347,382−385,1990)。予測されるCFTR 転写体の3’非翻訳領域は、CFTR cDNAの3’非翻訳領域の51ヌクレ オチド、リンカー配列の21ヌクレオチド、およびBGHポリAシグナルの11 4ヌクレオチドを含有する。 BGHポリAシグナルは、保存AAUAAAの5’にフランキング配列の90 ヌクレオチドと、AAUAAAモチーフの3’にフランキング配列の129ヌク レオチドを含有する。一次CFTR転写体は、ヌクレオチド5808のBGHポ リアデニル化シグナルの下流で切断されると予測される。切断部位に対して+4 6位でpCF1−CFTRの欠失があるが、この欠失は、グッドウィン(E.C.Go odwin)ら、J.Biol.Chem.267,16330−16334(19 92)の研究に基づき、ポリアデニル化効率または切断部位の正確性のいずれに も影響を与えないと予測される。ポリAテイルの付加後、得られる転写体のサイ ズは約5.1kbである。 pCF2プラスミド(図18(B))は、第2のCMVエンハンサーを第1の ものとタンデムで含有する。pCFIまたはpCF2からのトランス遺伝子の発 現増強は、強いプロモーター、非常に効率的なポリアデニル化シグナルの存在、 翻訳を増強するリーダー配列、およびメッセージ安定性を上昇させるイントロン の組合せから得られる。 例5−嚢胞性繊維症患者の鼻ポリープ上皮細胞中の塩化物イオン輸送欠陥の陽イ オン性両親媒性化合物介在遺伝子移動による修正 成人男性嚢胞性繊維症患者(ΔF508についてホモ接合性)の一次(非不死 化)鼻ポリープ細胞を、コラーゲン被覆透過性フィルター支持体(ミリセルズ( Millicells))上で増殖させて、極性を持ったコンフルエントな上皮単層を作成 した。単層がいったん電気的に密になると(接種の約5〜7日後であり、細胞シ ートに抵抗が発生することで示される)、とがった表面は陽イオン性両親媒性化 合物:DNA複合体製剤に曝露される。 この場合、両親媒性化合物(スペルミジンコレステロールカルバメート)はD OPEとの1:1(モル)混合物として提供され、この混合物を次に、pCMV −CFTRプラスミドベクター(野生型のヒト嚢胞性繊維症トランスメンブラン コンダクタンスレギュレータータンパク質をコードする作製体、前記)と複合体 を形成させた。最終混合物中の濃度は、42μモルのスペルミジンコレステロー ルカルバメート(および、DOPE)および60μモル(ヌクレオチドのモル濃 度に基づく)のプラスミド発現ベクターであった。 CFTRの発現は、修飾ウッシング(Ussing)チェンバー(ザブナー(Zabner )ら、Nature Genetics,6,75−83(1984))中でc AMP刺激経上皮塩素分泌を測定することにより決定された。上皮の粘膜側を、 95%酸素と5%二酸化炭素をバブリングしたリンゲル重炭酸溶液に浸した。粘 膜下溶液の組成は粘膜溶液と同じであったが、塩化ナトリウムの代わりにグルコ ン酸ナトリウムを使用した。経上皮電圧は0mVに固定し、短絡電流を記録した。 アミロライド(10pM)を浴先端に適用し、ホルスコリンとIBMX(各10 0μM)を粘膜に加えた。CFTR塩化物チャネルのインヒビターである5−ニ トロ−2−(3−フェニルプロピルアミノ)安息香酸(「NPPB」)を、10 〜30μMで粘膜溶液に加えた。 塩化物分泌(すなわち、上皮細胞から粘膜溶液への塩化物の移動)は、上方へ のたわみにより示される(図19を参照)。同じプラスミドベクター(しかし、 レポーター遺伝子を含む)を、陰性対照として使用した。野生型CFTR遺伝子 でトランスフェクションした単層で、cAMP刺激電流(0,5〜2.5μアン ペア/cm2)が観察された。電流はpCMV−β−ガラクトシダーゼ対照では検出 されなかった。例6−嚢胞性繊維症患者の気道上皮細胞の塩化物イオン輸送欠陥の陽イオン性両 親媒性化合物介在遺伝子移動による修正 ヒト患者の嚢胞性繊維症を治療するのに本発明の薬剤組成物を製剤化し使用す る推奨法は、以下の通りである。 一般的に例1に示す方法に従い、スペルミンコレステロールカルバメート(両 親媒性化合物No.67)とDOPEがモル比1:2で存在する薄膜(クロロホ ルムから溶媒を留去した)を作成した。両親媒性化合物含有膜を注射用水で静か にボルテックス混合しながら再水和して、約3mMの両親媒性化合物濃度を得た。 しかし、均一相としてエアゾルにより安定に送達される(例えば、レニクサメデ ィカルディビジョン(Lenexa Medical Division)、レネクサ(Lenexa)、カン ザス州、のプリタンベネットレインドロップ(Puritan Bennett Raindrop)噴霧 器、またはパリレスピラトリ−エクイップメント社(PARI Respiratory Equipme nt,Inc.)、リッチモンド、バージニア州、のパリエルシージット(登録商標) (PARI LC Jet)噴霧器を使用して)両親媒性化合物/DNA複合体の量を増加 させるために、最終の両親媒性化合物/DNA組成物を安定化させるように作用 する1つまたはそれ以上の追加の成分を含有させるように両親媒性化合物含有膜 を調製することが有効なことがある。従って、両親媒性化合物含有膜を両親媒性 化合物No.67、DOPE、およびPEG(5000)−DMPEの1:2:0.0 5モル混合物として調製することが、本発明において好適である。[PEG−D MPE、PEG5000−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンの適 切な供給源は、アバンチポーラーリピッズ(Avanti Polar Lipids)、アラバス ター(Alabaster)、アラバマ州、のカタログNo.880210である]。P EG−PEの別の脂肪酸種を代わりに使用することもできる。 理論には限定されるつもりはないが、PEG(5000)−DMPEは、形成された 両親媒性化合物/DNA複合体のさらなる凝集を防ぐことにより、治療用組成物 を安定化させると考えられている。さらに、PEG(2000)−DMPEは、本発明 の実施においてあまり有効でないことが見いだされたことに注意されたい。 pCF1−CFTRプラスミド(ヒト嚢胞性繊維症トランスメンブランコンダ クタンスレギュレーターのコード配列を含有する、例4を参照)は、ヌクレオチ ドとして測定する時4mMの濃度で注射用水として提供される。プラスミドと両親 媒性化合物の溶液を、10分間静かに接触させて、両方物質の複合体形成を進行 させる。 エアゾル化したDNAを、約2〜約12mM(ヌクレオチドとして)の濃度で肺 に送達することが好ましい。CFTRをコードする遺伝子中のΔF508突然変 異がホモ接合性である成人患者の肺への1回のエアゾル投与には、約10〜約4 0mlの試料が一般的に充分である。 この方法(両親媒性化合物/DNAの新たに調製された試料を使用する)は約 2週間の間隔で繰り返すことが必要であると予想されるが、これは、患者の応答 、トランスフェクションされたDNAからの発現の期間、可能性のある副作用( 例えば、炎症)の出現(これらすべては、各患者個人について測定され、患者の 担当医により考慮される)に大きく依存する。 本発明の陽イオン性両親媒性化合物の1つの重要な利点は、これらは他の現在 入手できる両親媒性化合物よりインビボで実質的により有効であり、既知の陽イ オン性両親媒性化合物より実質的に低濃度で使用することができることである。 このため、遺伝子治療の成功に悪影響を与えるであろう副作用(例えば、両親媒 性化合物毒性、炎症応答)を実質的に小さくする機会を与える。本発明の多くの 両親媒性化合物の使用に伴うさらなる利点を、再度言及すべきである。本発明の 両親媒性化合物の多くは、その代謝が、比較的無害の生物学的に適合性のある成 分に急速に向かって進むように設計されている。この点で、高活性の両親媒性化 合物53、67、および75に特に注目すべきである。例7−遺伝子治療のためのプラスミド設計のさらなる増強:エピソームプラスミ ドの複製 上記の設計的特徴は、入手できるプラスミドの性能を実質的に増強させるが、 そのようなプラスミドおよび陽イオン性両親媒性化合物を含む治療用組成物が遺 伝子治療のための最適の性能を有するように、さらなる修飾が好ましい。 プラスミドが連続して存在すると長期間にわたって遺伝的欠陥(嚢胞性繊維症 の場合は、肺上皮細胞または他の細胞の細胞膜中のCFTRタンパク質の機能の 欠如)の修正を提供するため、遺伝子治療のためのプラスミドは、患者の細胞中 で複製できることが好ましい。現状の技術の代表的なプラスミド(すなわち、患 者の標的細胞中で複製することができないもの)は、患者の中で比較的短期間維 持された後分解され、従って過剰な繰り返し投与が必要になるという心配がある 。 長期間の修正は、おそらく患者の標的細胞中の染色体に組み込まれるように設 計されたベクター(例えば、レトロウイルスを原型とするべクター)を使用する ことにより達成されるであろう。しかしそのような方策は、(1)ベクターが染 色体の必須の領域に組み込まれるか、または(2)ベクターは癌遺伝子の隣に組 み込まれてこれを活性化する、という危険性がある。 従って、他の手段で遺伝子治療ベクター(プラスミド)の連続的維持を提供す ることが好ましいであろう。そのような方策の1つは、標的細胞の核中の別の場 所で維持することができ、そこで複製することができるプラスミド(すなわち、 エピソーム)を作製することである。 本発明の面に従って提供されるプラスミドは、以下のように作製される。ヒト c−myc遺伝子のエキソン1にすぐ5’に存在する2.4kbのHindIII− XhoI断片は、複製開始点を含有することが、わかってる(マクウィニー(C. McWhinney)ら、Nucleic Acids Res.18,1233−12 42,1990)。次にこの断片はプラスミド中にクローン化され、Hela細 胞にトランスフェクションされると、薬剤選択下で300世代以上そこで維持さ れることが証明された。複製は半保存的であった(マクウィニー(C.McWhinney )ら)。これらの実験で薬剤選択のない場合、細胞世代毎にプラスミド集団の約 5%が失われたが、この結果は、遺伝子治療のための治療用プラスミドの設計に 関して、実質的な安定化が有効であることを証明している。 従って、複製しているエピソームベクターの1つの例では、2.4kbのHin dIII−XhoI断片のコピーがpCFI骨格のCMVエンハンサー/プロモー ター領域のすぐ5’に位置するpCFI−CFTR(またはpCFI−CAT) の変種が作製できる。あるいは、2.4kb断片のタンデムの2〜約4コピーが同 様に存在してもよい。2.4kb(またはその複数のコピー)の挿入から得られる プラスミドサイズの増加は、追加の利点、すなわちプラスミドの巻き戻しを促進 、すなわちDNAポリメラーゼの活性を促進するという利点を提供する。 この複製開始点、またはその複数のコピーの使用は、得られたプラスミドがヒ ト細胞中で効率的に複製することを可能にする。他の複製開始点を含有する他の DNA配列(例えば、ヒトβ−グロビン遺伝子またはマウスDHFR遺伝子中に 存在するもの)も使用することができる。 本発明のこの面に従って作製され、サイトメガロウイルスプロモーターとエン ハンサー、イントロン、CFTR cDNA、ウシ成長ホルモンポリアデニル化 シグナル、カナマイシン耐性トランスポゾンTn903、およびヒトc−myc 遺伝子の2.4kbの5’フランキング領域の4つのコピーを有するプラスミドを 、図20に示す。例8−遺伝子治療のためのプラスミド設計のさらなる増強:遺伝子治療における トランス遺伝子の発現を調節するためのサイトカインプロモーターの使用 慢性の炎症は、遺伝子治療により治療できる多くの病状が関係している。その ような病状の代表的なものは、嚢胞性繊維症(CFTRを使用)、気管支炎、成 人型呼吸窮迫症候群(アルファ−1アンチトリプシンを使用)、および転移性癌 (p53、TIMP−1、およびTIMP−2のアップレギュレーションを介し て)である。炎症症状は典型的には、多くの相互に関連するプロセス(例えば、 多くのタイプの免疫系細胞および肝タンパク質の関与)があり、このため体は傷 害されたかまたは感染した組織を治療しようとする。しかし、未治療の結果とし て残存する慢性の炎症は、嚢胞性繊維症や関連するそのおよび未治療の肺感染に 犯された肺組織の場合のように、永久的な組織傷害を引き起こす。実際、嚢胞性 繊維症患者の肺組織への永久的な傷害が、その死亡率の主要な原因である。標的 病状に関連する炎症症状を治療するように、遺伝子治療を提供することが好まし いであろう。 従って本発明のさらなる面は、治療用トランス遺伝子が、例えばインターロイ キン2、インターロイキン8、インターロイキン1、インターロイキン11、イ ンターロイキン6、エンドセリン−1、単球化学走化性タンパク質−1、IL− 1ra(受容体アゴニスト)、またはGM−CSFのようなサイトカイン遺伝子 (または、別の同様の制御タンパク質をコードする遺伝子)からのRNAポリメ ラーゼプロモーターの制御下に置かれる、遺伝子治療ベクターを作製する。 サイトカインは、細胞の増殖、分化、および機能(例えば、造血やリンパ球形 成)の制御に関与する、ホルモン様細胞間シグナルタンパク質であるとして定義 される。インターロイキンは、本発明の実施において有用なプロモーターを有す る特定の群のサイトカインである。インターロイキンはタンパク質であり、典型 的には、起源が無関係であり、免疫反応性細胞の間の反応を仲介する細胞間シグ ナルとして作用する。しかし、多くの「インターロイキン」は、別のタイプの細 胞(内皮細胞、上皮細胞、および繊維芽細胞を含む)にも作用すると理解されて いる。 多くのサイトカインの濃度は、存在する炎症のレベルに応答して患部でアップ レギュレーションを受けるため、そこから発現される治療トランス遺伝子のレベ ルが、一部は存在する炎症のレベルにより測定されるような遺伝子治療ベクター を設計することができる。例として主にインターロイキン8遺伝子の性質を使用 して、いかにそのようなベクターが設計されるかを、以下に記載する。 多くの生物活性分子(例えば、腫瘍壊死因子「TNF」、およびNF−kB、 AP−I、NF−IL6およびオクタマー結合タンパク質のような可能性のある 転写因子)は、炎症症状の重傷度とともに増殖する濃度で組織中に存在すること がわかっている。 またインターロイキン8(分子量8,500のポリペプチド)は、炎症により アップレギュレーションされ、それ自身が炎症応答に関与する細胞であるTリン パ球や好中球の強力な化学走化性物質として作用することがわかっている。イン ターロイキン8遺伝子は主に転写レベルで制御され、TNFは、インターロイキ ン8の転写を気管支上皮細胞中でインビトロで30倍以上上昇されることが測定 されている(ナカムラ(H.Nakamura)ら、Journal of Biolo gical Chemistry,266,19611−19617,1991 )。従って、これを利用する遺伝子治療ベクターを以下に説明する。 pCFIに実質的に類似のプラスミド、すなわち、細菌由来の複製開始点とカ ナマイシン耐性を与える遺伝子を含有するpUCプラスミドから得られる、プラ スミドを作製することができる。得られるプラスミドはまた、順にCMVエンハ ンサー、プロモーター、ハイブリッドイントロン、CFTRをコードするDNA 配列、およびウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含有する。RNAポリ メラーゼプロモーターとして、インターロイキン8プロモーターの−335〜+ 54領域が選択される。この領域は、TNFが無い場合よりTNFがある場合に 最も高いプロモーター活性を与えた(ナカムラ(Nakamura)、1991)。 このようなプラスミドは、特に有用な性能を有する。嚢胞性繊維症に犯された 肺の炎症の増加(従って、遺伝子治療により肺を治療する必要性が増加する)と ともに、種々の炎症関連分子(例えばTNF)の濃度が増加する。CFTRをコ ードする治療用プラスミドのcDNAを転写プロモーター(例えば、インターロ イキン8のもの)(これ自身は、細胞との接触において炎症関連物質の濃度に対 して感受性である)の制御下に置くことにより、プロモーターは天然の遺伝子ス イッチとして機能し、炎症の量に応じて有効なCFTR転写の量が変動する。前 記したように、他の前記遺伝子から得られるRNAポリメラーゼプロモーター配 列もまた、本発明の実施において有用である。例9−トランス遺伝子の静脈内送達 いくつかの病状(例えば、嚢胞性繊維症)については、トランス遺伝子を肺に 送達することが好ましい。この目的を達成するのにエアゾルを使用することが最 も直接的なアプローチである。しかし、肺以外の標的臓器(例えば、嚢胞性繊維 症の膵臓)に対するニ−ズとともにエアゾルを送達することの本質的な困難さの ため、非エアゾル送達フォーマットを使用して肺送達の現実性を評価することが 重要である。従って、マウスモデルを使用してレポータートランス遺伝子の静脈 内送達を行い、静脈内臓器ターゲティングの実現性を評価した。肺への送達と心 臓への送達の実現性を比較した。 レポータープラスミドpCF−1 CAT(例4)を使用し、エンドトキシン (<IEU/mg pDNA)および染色体DNAの混入を最小(<2%)にするた めに、精製した。両親媒性化合物No.53(DOPEと1:1)/DNA複合 体を、例3の方法に従って調製した。両親媒性化合物を遊離塩基として提供し、 プラスミドは水中のナトリウム塩として、およびDOPEは双性イオン型で提供 した。 動物モデルはBalb/cマウスである。1群5匹のマウスを使用して、6〜 8週齢の体重16〜18gの雌に、尾静脈に静脈内注射した。使用した脂質:p DNA複合体の容量は、すべての実験で100μlであった。特に明記しない場 合は、複合体の投与後48時間目にマウスを屠殺した。直ちに臓器をドライアイ スで凍結し、以後の分析のために保存した。 クロラムフェニコールアヤチルトランスフェラーゼ(CAT)の発現は、CA T酵素活性についての放射化学測定法を使用して定量した。臓器の重さを測り、 プロテアーゼインヒビターを含有する溶解緩衝液中で氷上でホモジナイズした。 溶解物を3回凍結−融解し、遠心分離し、65℃に加熱して、デアセチラーゼを 不活性化してから、これを14C−クロラムフェニコールを含有する反応混合物に 加えた。37℃でインキュベーション後、混合物を酢酸エチルで抽出し、濃縮し 、TLCプレート上にスポットし、クロロホルム/メタノールで溶出した。アシ ル化した反応生成物に対応するスポットを定量(ベタゲン(Betagen))し、真 正のCAT標準物質を使用してngCAT活性に変換した。 驚くべきことに、治療用組成物中の両親媒性化合物/DNAのモル比(ヌクレ オチドとして測定して、0.9mMの一定のDNA濃度)を変化させることにより 、心臓に対するターゲティングは、実質的に改善されることがわかった。心臓の 遺伝子治療(例えば、冠動脈疾患)に関連して、この情報は重要である。しかし 肺へのターゲティングは、両親媒性化合物/DNA比の範囲(すべて、一定のD NA濃度で)にわたって比較的一定に維持された(図21)。 約0.5未満のモル比で、臓器分布は肺の方に強く傾いていた。このモル比で 、複合体のゼータ電位は陰性(約−30mV)であり、これは一部は、両親媒性化 合物に対してDNAの陰性電荷が過剰なためである。しかし複合体が陽性のゼー タ電位(約+30mV)を有する両親媒性化合物/DNΛ比が1.25では、臓器 分布は顕著に異なり、実質的な発現は心臓に見いだされた(図21)。 試料のゼータ電位は、マルベルンゼータサイザー(Malvern Zetasizer)(マ ルベルンインストルメンツ(Malvern Instruments)、サウスボロー(Southboro ugh)、マサチューセッツ州)とゼータセル(AZ−104セル、マルベルンイ ンストルメンツ社(Malvern Instruments Co.))を使用して測定することがで きる(典型的には、1試料について5つの測定)。陽イオン性脂質とDOPEを 含有する乾燥脂質膜を、蒸留水(dH2O)中で水和する。DNAは 典型的には、dH2O中約300μMの濃度に希釈すべきである。次にDNA溶 液(1.5ml)を等量の陽イオン性脂質小胞に加え、室温で10分インキュベー トした。充分なNaCl(例えば、4mMストック)を加えると、最終濃度が1Mm NaClになる。必要であれば、1mM NaClで試料をさらに希釈すること ができ(光電子増倍管のシグナルを4000カウント/秒以下に維持するために )、NaCl溶液の代わりに蒸留水を使用することができる。 本発明のこの面に従って、両親媒性化合物No.53とNo.67は、群Iと 群IIから選択された他の多くの両親媒性化合物と同様に、心臓の静脈内ターゲテ ィングに使用するのに特に好適なものである。例10−追加の実験 (A)N4−スペルミンコレステリルカルバメート(両親媒性化合物No.67 )の追加の合成法 (N1,N12−ジCbz−スペルミンジ−HCl塩) クロロギ酸ベンジル(15ml、105ミリモル)を塩化メチレン(335ml) に溶解し、窒素雰囲気下で三ツ首フラスコ中に入れた。イミダゾール(14g、 206ミリモル)を塩化メチレン(200ml)に溶解した。氷水浴を使用して三 ツ首フラスコを0〜2℃に冷却し、イミダゾール溶液を30分かけて徐々に加え た。冷却浴を除き、混合物を室温で1時間撹拌した。塩化メチレン(250ml) とクエン酸水溶液(10%、250ml)を混合物に加えた。層を分離し、有機層 をクエン酸水溶液(10%、250ml)で洗浄した。有機画分を硫酸マグネシウ ムで乾燥し、真空下で濃縮した。得られた油状物を周囲温度で2時間真空下で乾 燥した。油状物にジメチルアミノピリジン(530mg、43ミリモル)と塩化メ チレン(250ml)を加えた。混合物を0〜2℃に冷却し、窒素雰囲気下で維持 した。塩化メチレン(250ml)中のスペルミン(10g、49ミリモル)の溶 液を、15分かけて徐々に加え、反応温度を0〜2℃に維持した。反応混合物を 周囲温度で一晩撹拌し、次に真空下で濃縮した。得られた物質に、1M塩酸(6 7ml)とメタノール(400ml)を加えた。溶液を4℃で一晩冷却して、白色の 沈殿物を得た。この沈殿物をワットマン#1濾紙を使用して真空ろ過で単離した 。こうして得られたN1,N12−ジCbz−スペルミンジHCl塩(13.38 g) 24.7ミリモル、収率50%)を、周囲温度で17時間真空下で乾燥した。 (N1,N12−ジCbz−N4−スペルミンコレステリルカルバメートの合成) N1,N12−ジCbz−スペルミンジHCl塩(13.38g、24.7ミリ モル)を、65:25:4の比のクロロホルム、メタノールおよび水混合物(9 40ml)に溶解した。溶液を室温で攪拌し、クロロギ酸コレステリル(11g、 24.5ミリモル)を加えた。溶液を周囲温度で1.5時間撹拌し、次に1M NaOH溶液(165ml)で希釈した。有機層および水層を分離し、生成物を含 有する有機層を水(110ml)で洗浄した。有機画分を硫酸ナトリウムで乾燥し 、真空下で濃縮し、真空下で乾燥した。粗油状物を、シリカゲル(60Å、1kg )を使用してクロマトグラフィーにより精製した。シリカを10%メタノール/ クロロホルムに充填し、カラムを25%メタノール/クロロホルムで溶出した。 900mlの画分を集め、薄層クロマトグラフィーで解析した。生成物(20%メ タノール/クロロホルム中でRf=0.5)を含有する画分を合わせ、真空下で 濃縮した。得られた油状物を17時間真空下で乾燥して、8.5g(9.67ミ リモル、収率39%)の生成物を得た。 (N4−スペルミンコレステリルカルバメートの合成) N1,N12−ジCbz−N4−スペルミンコレステリルカルバメート(8.5g 、9.67ミリモル)を、200mlの酢酸に溶解し、1.66gの10%白金担 持活性炭を加えた。溶液に窒素を吹き付け、大気圧で水素下で攪拌した。水素ガ スを満たした風船を使用して、反応フラスコに水素を供給した。水素分解を3時 間進行させた。反応混合物をワットマン#1濾紙でろ過し、触媒を250mlの酢 酸エチル中の10%酢酸で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮して残渣を得て、クロ ロホルムと一緒に溶媒を留去すると酢酸の除去が促進される。粗生成物に1M NaOH溶液(400ml)を加え、溶液を10%メタノール/クロロホルム(7 00ml)で3回洗浄した。合わせた有機画分を水(600ml)で洗浄し、硫酸ナ トリウムで乾燥した。溶液をろ過し、真空下で濃縮し、周囲温度で48時間真空 下で乾燥した。粗物質を、シリカゲル(500g)のクロマトグラフィーにより 精製した。カラムに40:25メタノール:クロロホルムを充填し、40:25 メタノール:クロロホルムで溶出し、次に40:25:10メタノール:クロロ ホルム:水酸化アンモニウムで溶出した。集めた画分を薄層クロマトグラフィー で分析し、画分を含有する生成物を合わせ、真空下で濃縮した(残存する水を共 沸させるためにイソプロパノールを加えて溶媒の蒸発を助けた)。物質を周囲温 度で48時間真空下で乾燥して、N4−スペルミンコレステリルカルバメート( 4g、6.5ミリモル、収率67%)を得た。(B)N4−(N’−コレステリルカルバメートグリシンアミド)−スペルミン (両親媒性化合物No.91) N−t−BOC−グリシン−N−ヒドロキシスクシンイミド(0.5g、1. 83ミリモル)を、65/25/4のクロロホルム/メタノール/水(50ml) 中のジCbz−スペルミン・2HCl(1.0g、1.94ミリモル)とN,N −ジイソプロピルエチルアミン(0.3ml、1.72ミリモル)の溶液に加えた 。溶液を室温で一晩撹拌した。反応物をTLC(20%メタノール/クロロホル ム)で分析すると、新しいスポットが存在した。反応物をまず1M NaOH( 10ml)次に水(10ml)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥 し、真空ろ過し、真空下で濃縮して油状物を得た。粗物質をフラッシュカラムク ロマトグラフィー(85gシリカゲル)により20%メタノール/クロロホルム で溶出して精製した。所望の生成物を単離し、1H NMRによりN1,N12−ジ Cbz−N4−(N’−t−BOC−グリシンアミド)スペルミン(402mg、 0.65ミリモル、35%)として解析された。 クロロギ酸ベンジル(100mg、0.58ミリモル)を、塩化メチレン(20 ml)中のN1,N12−ジCbz−N4−(N’−t−BOC−グリシンアミド)ス ペルミン(220mg、0.354ミリモル)とトリエチルアミン(4滴)の溶液 に加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。反応物をTLC(20%メタノール/ クロロホルム)により分析すると、新しい移動の速いスポットの存在が示された 。1M HCl(5ml)を加えて反応を停止させた。有機層を単離し、H2O( 5ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。 得られた粗物質をクロロホルム(30ml)に溶解し、無水HClガスを2時間 溶液にバブリングした。反応物をTLC(10%メタノール/クロロホルム)で 分析すると、出発物質が完全に消失していることを示した。反応物に乾燥窒素を 吹き付け、1M NaOH(2×10ml)とdH2O(10ml)で洗浄した。有 機層を単離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して、N1,N9 ,N12−トリCbz−N4−グリシンアミド−スペルミン(219mg、0.33 ミリモル、2工程の収率93%)を得た。 クロロギ酸コレステリル(148mg、0.33ミリモル)を、塩化メチレン( 30ml)中のN1,N9,N12−トリCbz−N4−グリシンアミド−スペルミン (219mg、0.33ミリモル)とトリエチルアミン(0.3ml、2.15ミリ モル)の溶液に加えた。反応物を室温で3時間撹拌した。反応物をH2O(10m l)で洗浄した。有機層を単離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で 濃縮した。粗物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(30gシリカゲル) により65%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して精製した。所望の生成物を単離し 、1H NMRによりN1,N9,N12−トリCbz−N4−(N’−コレステリル カルバメートグリシンアミド)−スペルミン(221mg、0.2ミリモル、62 %)として解析された。 N1,N9,N12−トリCbz−N4−(N’−コレステリルカルバメートグリ シンアミド)−スペルミン(221mg、0.2ミリモル)を、氷酢酸(10ml) 中で10%白金担持活性炭とともに、水素雰囲気下で2.5時間撹拌した。反応 物をTLC(65%酢酸エチル/ヘキサン)により分析すると、出発物質が完全 に消失していることを示した。フラスコに窒素を吹き付け、ろ紙を用いて真空ろ 過により触媒を取り出して10%酢酸/酢酸エチル(20ml)ですすいだ。ろ液 を真空下で濃縮して油状物を得て、これを10%メタノール/クロロホルム(1 00ml)に溶解し、1M NaOH(20ml)と水(15ml)で洗浄した。有機 層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。単離した生 成物は、1H NMRによりN4−(N’−コレステリルカルバメートグリシンア ミド)−スペルミン(128mg、0.19ミリモル、収率95%)として解析さ れた。(C)N4−スペルミジン−2,3−ジラウリルオキシプロピルアミン、両親媒 性化合物No.94の合成 2,3ジミリストイルグリセロール(600mg、1.4ミリモル)をピリジン に溶解し、この溶液を0℃に冷却した。溶液を窒素雰囲気下で攪拌し、p−トル エンスルホニルクロリド(300mg、1.57ミリモル)を加えた。溶液を室温 に加熱し、次に周囲温度で一晩撹拌した。この溶液に、塩酸(2.5M、20ml )を加え、溶液を塩化メチレン(25ml)で3回抽出した。合わせた有機抽出物 を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して粗油状物を得た。油状物 をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル50g、60Å)により5%酢酸 エチル/ヘキサンで溶出して精製した。フラッシュクロマトグラフィーにより得 られた油状物を高真空で周囲温度で乾燥して、2,3ジミリストイルグリセロー ルートシレート(630mg、収率77%)を得た。 2,3ジミリストイルグリセロールートシレート(300mg、0.51ミリモ ル)とN1,N8−ジCbz−スペルミジン(1.5g,3.6ミリモル)をトル エン(15ml)に溶解した。溶液を窒素雰囲気下で撹拌し、加熱還流した(11 0℃)。反応物を還流温度で5日間加熱した。反応物を室温に冷却し、次にワッ トマン#1ろ紙でろ過した。ろ液を真空下で濃縮した。残渣をクロロホルム(5 0ml)に溶解し、水酸化ナトリウム溶液(1M、10ml)と水(10ml)で洗浄 した。有機画分を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。粗物質 をフラッシュクロマトグラフィー(30gシリカゲル、60Å)により5%メタ ノール/クロロホルムで溶出して精製した。画分を含有する生成物を真空下で濃 縮した。物質を2回目のフラッシュカラムクロマトグラフィー(20g、60Å )により50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して精製した。生成物を高真空で周 囲温度で乾燥後、クロマトグラフィーによりN4−(N1,N8)−ジCbz−ス ペルミジン−2,3−ジラウリルオキシプロピルアミンが油状物として得られた (142mg、収率35%)。 氷酢酸(5ml)中のN4−(N1,N8)−ジCbz−スペルミジン−2,3− ジラウリルオキシプロピルアミン(142mg、0.18ミリモル)を10%白金 担持活性炭とともに、水素雰囲気下で2時間撹拌した。ワットマン#1ろ紙で真 空ろ過して触媒を取り出した。触媒を酢酸エチル/ヘキサン(10%、10ml) で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、高真空で2時間乾燥した。残渣に水酸化ナ トリウム溶液(1M、8ml)を加え、溶液をメタノール/クロロホルム(10% 、 20ml)で3回抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過 し、真空下で濃縮して、高真空で乾燥後、N4−スペルミジン−2,3−ジラウ リルオキシプロピルアミン(52mg、収率52%)を得た。(D)N4−スペルミン−2,3−ジラウリルオキシプロピルアミン、両親媒性 化合物No.102の合成1,N12−ジCbz−スペルミン(0.87g、1.85ミリモル)と2, 3ジミリストイルグリセロールートシレート(280mg、0.48ミリモル)を 、トルエン(25ml)に溶解し、還流温度(110℃)で3日間加熱した。溶液 を真空下で濃縮し、得られた物質をフラッシュクロマトグラフィー(30gシリ カゲル、60Å)により10%メタノール/クロロホルムで溶出して精製した。 単離した物質をメタノール/クロロホルム(10%、85ml)に溶解し、水酸化 ナトリウム溶液(1M、15ml)と水(10ml)で2回洗浄した。有機画分を硫 酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮した。物質を高真空で周囲温度で 一晩乾燥して、N4−(N1,N12−ジCbz−スペルミン)−2,3ジラウリル オキシプロピルアミン(180mg、収率43%)を得た。 氷酢酸(10ml)中のN4−(N1,N12−ジCbz−スペルミン)−2,3ジ ラウリルオキシプロピルアミン(180mg)、0.2ミリモル)を10%白金担 持活性炭(50mg)とともに水素雰囲気下で3時間撹拌した。ワットマン#1ろ 紙で真空ろ過して触媒を取り出した。触媒を酢酸エチル/ヘキサン(10%、3 0ml)で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、高真空で2時間乾燥した。残渣にメ タノール/クロロホルム(10%、85ml)を加え、有機層を水酸化ナトリウム 溶液(1M、15ml)と水(10ml)で2回洗浄した。有機画分を硫酸ナトリウ ムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して、高真空で乾燥後、N4−スペルミン− 2,3−ジラウリルオキシプロピルアミン(50mg、収率40%)を得た。例11−N1−スペルミンコレステリルカルバメート(No.37)のCAT測 1−スペルミンコレステリルカルバメート(前記参照、両親媒性化合物No .37)を、一般的に例3の方法に従って、インビボCAT測定法で評価した。 N1−スペルミンコレステリルカルバメートのストック溶液と中性の補助脂質D OPE(ジオレオイル[18:1]ホスファチジルエタノールアミン)の調製は 、例1に記載の通りであるが、いくつかの調製物(下記)では、完全にプロトン 化した塩酸塩として両親媒性化合物を提供した(クロロホルムから)。 トランスフェクションについては、両親媒性化合物をDOPEに対して1:1 または1:2のモル比で、最終濃度3.6mMレポータープラスミドDNA(ヌク レオチドとして)、0.6mM陽イオン性両親媒性化合物、および0.6もしくは 1.2mMのDOPEで試験した。 図22に示すように、遊離塩基の型の両親媒性化合物は、完全にプロトン化し た塩酸塩に比較してレポーター遺伝子発現が劇的に増加した。 本発明の好適な実施態様の上記説明は、本発明を当業者に例示するためのもの である。これらは、開示された正確な形で本発明を限定するものと考えてはなら ない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リー,エドワード,アール. アメリカ合衆国02169 マサチューセッツ 州クインシイ,リンカン ハイツ,センタ ー ストリート 175―ジェイ (72)発明者 シーゲル,クレイグ,エス. アメリカ合衆国01801 マサチューセッツ 州ウォバーン,ブラドフォード ロード 15 (72)発明者 イーストマン,サイモン,ジェイ. アメリカ合衆国01752 マサチューセッツ 州マールボロ,ロイヤル クレスト ドラ イブ ナンバー10 13 (72)発明者 チャン,チャウ,ダン アメリカ合衆国02173 マサチューセッツ 州レキシントン,ミドルバイ ロード 7 (72)発明者 シュール,ロナルド,ケイ. アメリカ合衆国01748 マサチューセッツ 州ホプキントン,イースト ストリート 26 (72)発明者 チェン,セン,エイチ. アメリカ合衆国02181 マサチューセッツ 州ウェルスリイ,ウォール ストリート 50

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)追加のプロトンを受容することができる陽イオン性両親媒性化合物 ;および (b)生物活性のある核酸分子、 の混合物を含む組成物。 2.補助脂質をさらに含む、請求の範囲第1項に記載の組成物。 3.補助脂質以外のプロトン供給源は存在しない、請求の範囲第2項に記載の 組成物。 4.陽イオン性両親媒性化合物は約50%未満プロトン化されている、請求の 範囲第1項に記載の組成物。 5.陽イオン性両親媒性化合物はT−型である、請求の範囲第1項に記載の組 成物。 6.陽イオン性両親媒性化合物はステロイドベースである、請求の範囲第1項 に記載の組成物。 7.(a)追加のプロトンを受容することができる陽イオン性両親媒性化合物 ;および (b)補助脂質、 の混合物を含む組成物。 8.陽イオン性脂質は追加のプロトンを受容することができる、陽イオン性脂 質の存在下で生物活性のある核酸分子に細胞を接触させることを含む、細胞のト ランスフェクション方法。 9.接触はさらに補助脂質の存在下で行われる、請求の範囲第8項に記載の方 法。 10.(a)追加のプロトンを受容することができる陽イオン性両親媒性化合 物と; (b)生物活性のある核酸分子とを、 組合せる方法により産生される組成物。 11.補助脂質をさらに含む請求の範囲第11項に記載の組成物。
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