JP2001340841A - 汚染土壌の修復方法 - Google Patents
汚染土壌の修復方法Info
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Abstract
ら汚染物質を原位置で回収でき、かつ、未回収の汚染物
質の拡散防止、長期安定化、および捕捉を能動的に実現
することができる汚染土壌の修復方法を提供する。 【解決手段】 鉄製の陽極を用いて汚染土壌に電圧を印
加することで、陰極近傍に移行させた汚染物質を回収す
るとともに、陽極から鉄イオンを溶出させて鉄腐食生成
物と土壌からなるバリア層を形成させ、未回収の汚染物
質を封じ込める。
Description
の修復方法に関するものである。さらに詳しくは、この
出願の発明は、重金属および放射性核種に汚染された土
壌から汚染物質を原位置で回収でき、かつ、未回収の汚
染物質の拡散防止、長期安定化、および捕捉を能動的に
実現することができる汚染土壌の修復方法に関するもの
である。
射性核種などの有害物質による地球表層土壌の汚染なら
びに地下水の汚染は、地球環境を考える上で深刻な問題
である。そのため、従来より、有害物質を安全かつ経済
的に適切に処分するとともに、既に生じた汚染に対して
は拡大防止ならびに回収を図るといった、環境保全及び
修復技術の確立が急がれている。
金属あるいは放射性核種等の拡散を防止する方法として
は連続地中壁等が知られている。この方法は、地下水の
流れ等によって移動してくる土壌中の汚染物質を、下流
側に設置した地中壁で吸着捕捉するものである。これは
極めて受動的な方法であり、土壌中の汚染物質を完全に
回収するにはかなりの年月を必要としてしまう。
射性核種等を回収する方法としては、界面動電法が知ら
れている。図1に界面動電法の概念図を示した。この方
法は、汚染土壌に電場をかけることにより、電極間でp
Hおよび酸化還元雰囲気を変化させて重金属を溶解さ
せ、さらにそれら有害物質を電位勾配によって電極近傍
に移行させて回収するものであり、電極としては専ら黒
鉛が用いられている。図2(a)(b)は、界面動電法
によって土壌中の汚染物質を回収した様子を例示した断
面図である。
を完全に回収することは不可能であり、かなりの濃度の
汚染物質が未回収のまま土壌中に残存し、再び拡散して
しまう。図2(c)は、界面動電法による汚染物質回収
後の土壌の様子を例示した断面図である。また、電圧印
加処理後に電位勾配がなくなると、再び汚染源から汚染
物質が拡散することとなる。
処分に関連した研究においては、地下環境における炭素
鋼容器(オーバーパック)の腐食とその腐食生成物の挙
動に関する検討が進められている。この中で、粘土緩衝
材中に鉄腐食生成物が蓄積した場合、その鉄腐食生成物
である鉄イオンの粘土中の移行は極めて遅いこと、ま
た、その鉄腐食生成物が酸化還元雰囲気に敏感な核種の
移行挙動に大きな影響を及ぼすこと、鉄腐食生成物が粘
土細孔内で鉄酸化物等の形で析出するため緻密な層が形
成され得ることなどが指摘されている。
研究(ナチュラルアナログ研究)からは、鉄腐食生成物
が長時間経過後に鉱物化する際にウランなどの重金属を
その結晶内に取り込んで安定化させるなどの、極めて高
いバリア機能を示す可能性が示唆されている。
事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を
解消し、重金属および放射性核種に汚染された土壌から
汚染物質を原位置で回収でき、かつ、未回収の汚染物質
の拡散防止、長期安定化、および捕捉を能動的に実現す
ることを可能とする汚染土壌の修復方法を提供すること
を課題としている。
は、上記の課題を解決するものとして、以下の通りの発
明を提供する。
は、鉄製の陽極を用いて汚染土壌に電圧を印加すること
で、陰極近傍に移行させた汚染物質を原位置で回収で
き、かつ、陽極から鉄イオンを溶出させて鉄腐食生成物
と土壌からなるバリア層を形成させ、未回収の汚染物質
を封じ込めることを特徴とする汚染土壌の修復方法を提
供する。
記第1の発明において、土壌のpHを調整してバリア層
を任意の位置に形成する汚染土壌の修復方法や、第3に
は、電極間の電流の経時変化を調べることで、汚染土壌
修復の進行度をモニタリングすることを特徴とする汚染
土壌の修復方法をも提供する。
特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。
染土壌の修復方法は、鉄製の陽極を用いて汚染土壌に電
圧を印加することで、陰極近傍に移行させた汚染物質を
回収するとともに、陽極から鉄イオンを溶出させて鉄腐
食生成物と土壌からなるバリア層を形成させ、未回収の
汚染物質を封じ込めることを特徴としている。
核種によって汚染された土壌等が対象とされる。汚染土
壌中に含有される汚染物質は、地下水の流れ等によって
拡散される。そのため汚染源よりも地下水下流側の土壌
中に電極を設置して電位勾配をかけることが好ましい。
子を例示した断面図である。陰極は、汚染源に近い汚染
土壌中に設置することでより多くの汚染物質を回収する
ことが可能となる。一方、陽極は汚染が及んでいない土
壌中に設置するか、あるいは汚染濃度の低い土壌中に設
置してもよい。
いるが、陰極には一般に用いられている電極を使用する
ことができる。たとえば、黒鉛、銅あるいは白金電極等
が例示される。また、それぞれの電極は、対象とする汚
染土壌によってその大きさ、形状等を調整することがで
きる。
ことことにより、電極間でpHおよび酸化還元雰囲気を
変化させて重金属を溶解させ、電極間に陽イオンとして
存在している重金属あるいは放射性核種等の汚染物質を
電位勾配によって陰極近傍に移行させることができる。
これによって、界面動電法と同様の効果が得られ、汚染
土壌を全面掘削すること無しに、陰極近傍の土壌を掘削
するのみで、汚染物質を効果的に回収することが可能と
なる。しかしながら、これですべての汚染物質が陰極近
傍に移行させられるわけではなく、土壌中には未回収の
汚染物質が残存している。また、界面動電処理後に電位
勾配がなくなると、再び汚染源から汚染物質が拡散する
こととなる。
なことは、陽極に用いた鉄電極によりもたらされる機能
である。図3に、この発明の汚染土壌の修復方法の概念
図を示した。
陰極(3)とを設置する。この土壌(1)中に電圧を印
加することにより、陽極(2)では鉄イオンの溶出が促
進されて、 Fe → Fe2+ + 2e- の電極反応が進行し、陰極では水の電気分解が行われ
る。陽極(2)から溶出した鉄イオンは、電位勾配によ
って土壌(1)中を陰極(3)方向に移動し、水の電気
分解などで生じたOH-イオンと次式のように反応す
る。
物、主にFe(OH)2等の形態で鉄腐食生成物が生成さ
れる。鉄腐食生成物は、単純には、電極間のFe 2+イオ
ンとOH-イオンの移動により形成されるものであり、
電極に平行な層となって沈積する。また、土壌(1)中
では、Fe2+イオンはOH-イオンよりも極めて移動度
が小さくなる。そのため、鉄腐食生成物と土壌からなる
混合層(7)が、陽極(2)の近傍に、垂直方向に形成
される。
染物質の移行を妨ぐ高性能バリアとして機能する。ま
た、この混合層(7)は鉄水酸化物からなるため、鉄の
鉱物化の際にウラン等の放射性核種をその結晶内に取り
込んで安定化させるという捕捉機能を有する。さらに、
この混合層(7)が土壌の雰囲気を還元性に保つこと
で、例えば、ウランあるいは六価クロム等の酸化還元雰
囲気に敏感な汚染物質を還元して、安定化を促進させる
ことが可能となる。逆に酸化雰囲気の場合は、鉄腐食生
成物すなわち鉄水酸化物が安定であるため、酸化雰囲気
で溶解度が高くなる物質の地質環境中での移動を防止す
ることができる。
方法によって汚染物質を回収した様子と、長時間経過後
の土壌の様子を例示した断面図である。すなわち陽極に
用いた鉄電極によって、土壌中の未回収および新たに
拡散された汚染物質がさらに拡散することを防ぎ、汚
染物質の長期にわたる安定化を促し、また汚染物質を
捕捉することが可能となる。
に汚染された土壌から汚染物質を原位置で回収でき、か
つ、未回収の汚染物質の拡散防止、長期安定化、および
捕捉を能動的に実現することを可能とする汚染土壌の修
復方法が実現される。
の修復方法は、上記第1の発明の方法において、土壌の
pHを調整してバリア層を任意の位置に形成することを
特徴としている。
出、陰極におけるOH-イオンの生成、ならびにそれら
のイオンの電場による移動と、酸性およびアルカリ性の
境界部における鉄酸化物、主に水酸化第一鉄の析出反応
によって形成される。
よって陰極側に移行するが、その移動度は、土壌への収
着による移行遅延、土壌pHなど、多くの因子の影響を
受ける。また、鉄イオンの溶解度はpH10.5付近で
極小値をとるため、鉄イオンは、陽極側の酸性領域と、
陰極側から拡大してくるアルカリ性領域との境界部にお
いて水酸化第一鉄として析出し、鉄腐食生成物層を形成
する。このことから、両電極近傍のpHを、たとえば薬
剤等により調整することで、両電極間の任意の場所に鉄
腐食生成物層を形成させることが示される。
の修復方法は、上記第1または2の発明の方法におい
て、電極間の電流の経時変化を調べることで、汚染土壌
修復の進行度をモニタリングすることを特徴としてい
る。
開始直後には、比較的移動しやすいNa+イオンがキャ
リアーとして陰極側に移動するため、電極間の電流値は
高い値を示す。しかしながら、時間の経過に伴って、土
壌中の電極間にNa+イオンの濃度差が生じること、電
気浸透現象によって陽極近傍で含水率の低下が生じるこ
と、さらには、陽極近傍で鉄腐食生成物層が形成される
ことにより、電流値は急速に減少する。
と、陽極近傍での鉄酸化物の析出および陰極での水の電
気分解によって、H+イオンとOH-イオンがそれぞれ生
じる。これにより、土壌中には高pH領域および低pH
領域が形成され、各領域は通電時間とともに拡大する。
この領域は、H+イオンあるいはOH-イオンをキャリア
ーとして有するために電気伝導性が高く、高pHおよび
低pH領域の拡大は、結果として土壌の電気伝導度を増
加させることになる。しかし、ある一定時間を経過し、
H+とOH-イオンが陽極近傍において再結合するように
なると、それ以上の各領域の拡大、すなわち電気伝導度
の増加は望めなくなり、逆に、その部分で鉄腐食生成物
の析出反応が進行することから、電気伝導度の低下が進
むこととなる。
流値は、鉄腐食生成物の析出反応後にピークを示した
後、再び減少傾向を示す。このように、鉄陽電極界面電
動法における電流の経時変化から、Na+イオンの移
行、含水率の変化、高pHおよび低pH領域の拡大、鉄
腐食生成物の析出開始などの一連の反応の進行度をモニ
タリングすることができる。
し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明す
る。
イト(クニミネ工業(株)製クニピアF)を用いた。モ
ンモリロナイトは、あらかじめモンモリロナイト中の交
換性陽イオンをNa+に置換したNa型モンモリロナイ
トで、粒径を75〜150μmに揃えた。このモンモリ
ロナイトを、378Kに保持したオーブン中で1日間乾
燥させて水分を除去し、乾燥密度が0.8Mg/m3と
なるようにアクリルセル中で圧縮成形し、直径20m
m、高さ10mmの円柱状ペレットとした。この円柱状
ペレットを、アクリル製の膨潤セルに設置して透水性ス
テンレス鋼製焼結フィルター(孔径2μm)を介して蒸
留水を接触させ、常温常圧下で7日間以上静置すること
で蒸留水を膨潤させ、模擬土壌とした。
9.99%、厚さ1.0mm)を直径25mmの円盤状
に切り取り、鉄線(ニラコ(株)製純度99.5%、直
径1.0mm)を取り付けたものを用いた。純鉄製の陽
極表面は、エメリー紙(#240、#1200)および
ダイヤモンドコンパウンド(3μm、1μm、0.25
μm)で研磨した後、エタノール中で超音波洗浄を行
い、最後にアセトンで洗浄した。
付けた白金電極(田中貴金属工業(株)製、厚さ0.5
mm、直径25mm)を用いた。図4は、模擬土壌に電
位勾配をかける様子を示した概略図である。蒸留水で飽
和させた模擬土壌(11)を、アクリルセル(15)中
で陽極(12)および陰極(13)と接触させ、ポテン
ショスタット(北斗電工(株)製HA-51G)(14)を用
いて界面動電処理を行った。界面動電処理は、800m
Vの定電位で、通電時間を様々に変化させて行った。
を外した模擬土壌を、押出治具を用いて厚さ0.5mm
ずつに切り出して試料とし、陽イオン濃度、pHおよび
含水率を測定した。
3M,HCl溶液に入れ、温度303Kで12時間振と
うして可溶成分を溶出させた後、3000rpmで30
分間の遠心分離と濾過を行い、ろ液中の陽イオン(N
a、Mg、Al、Si、Ca、Fe)濃度をICP−A
ESによって測定した。
に保持したオーブン中で乾燥させ、その減量の測定結果
から以下の式を用いて決定した。 W=(M0−Mm)/M0×100 ここで、M0は乾燥前の試料重量(g)を、Mmは乾燥後
の試料重量(g)を表している。
を量り採り、約0.5mlの蒸留水を加えて懸濁させた
懸濁液のpHを、pH計(堀場製作所(株)製twin pH
B-212)を用いて測定した。 <a> 以上のような界面動電処理によって、陽極から
2.5〜3mm離れた模擬土壌中に、黒もしくは深緑色
を呈する鉄腐食生成物層が形成されたことが肉眼で認め
られた。その様子の一例を図5に示した。この層は、6
時間の界面動電処理では観察されず、およそ12時間以
上の界面動電処理によって形成されることがわかった。
理を施した際の、電流の経時変化を示した。模擬土壌中
を流れる電流は、通電開始直後は不安定なものの、その
後は急速な減少傾向を示した。12時間程度経過する
と、電流値は逆に増加傾向に転じ、約17時間(約10
00分)後にピークに達した後は、再び徐々に減少し
た。
こそ試料毎に多少異なったが、処理時間を様々に変化さ
せて測定したほぼ全ての模擬土壌で認められた。 <b> 界面動電処理を4時間および20時間施した模
擬土壌の、FeおよびNa+イオンの濃度分布を、それ
ぞれ図7および図8に示した。
極の近傍で高い値を示し、陽極から鉄イオンが溶出して
移行することが示された。Na+イオン濃度は、陽極か
ら3mmを境に、陽極側で低下して陰極側で増加し、電
場を与えることによってNa +イオンが陽極から陰極に
向けて移行したことがわかった。
2.5〜3mm離れた位置においてFe濃度のピークが
認められ、この部位で鉄の濃集が起こり鉄腐食生成物層
が形成されたことが示された。 <c> 界面動電処理を4時間および22時間施した模
擬土壌の、含水率の変化を図9および図10にそれぞれ
示した。
%に対し、界面動電処理によって、陽極側で減少、陰極
側で増加することが明らかになった。この傾向は、界面
動電処理を22時間施した模擬土壌に顕著であり、模擬
土壌の含水率は形成された鉄腐食生成物層を境に大きく
変化することがわかった。 <d> 界面動電処理を4時間および22時間施した模
擬土壌の、pHの変化を図11および図12にそれぞれ
示した。
対して、4時間の界面動電処理後、鉄腐食生成物層を境
に陽極側ではpH7程度にまで徐々に減少し、陰極側で
はpH12程度にまで徐々に増加して、含水率と同じよ
うな傾向を示した。一方、22時間の界面動電処理後に
は、陽極側でpH5まで急激に低下するとともに、陰極
側では、ほぼすべての領域で高いpH値が得られた。
における鉄イオンの溶出、陰極におけるOH-イオンの
生成、ならびにそれらのイオンの電場による移動と、酸
性およびアルカリ性の境界部における水酸化第一鉄の析
出反応によって形成されることが分かった。また、鉄腐
食生成物層の形成は、電流値の測定によりモニタリング
できることが示された。
るものではなく、細部については様々な態様が可能であ
ることは言うまでもない。
染土壌の修復方法によって、重金属および放射性核種に
汚染された土壌から汚染物質を原位置で回収でき、か
つ、未回収の汚染物質の拡散防止、長期安定化、および
捕捉を能動的に実現することができる。
概念図である。
質回収直後および汚染物質回収後の土壌の様子を例示し
た断面図である。
示した図である。
図である。
物層を例示した図である。
経時変化を例示した図である。
およびNa+イオンの濃度分布を例示した図である。
eおよびNa+イオンの濃度分布を例示した図である。
率の変化を例示した図である。
含水率の変化を例示した図である。
Hの変化を例示した図である。
pHの変化を例示した図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 鉄製の陽極を用いて汚染土壌に電圧を印
加することで、陰極近傍に移行させた汚染物質を回収す
るとともに、陽極から鉄イオンを溶出させて鉄腐食生成
物と土壌からなるバリア層を形成させ、未回収の汚染物
質を封じ込めることを特徴とする汚染土壌の修復方法。 - 【請求項2】 土壌のpHを調整してバリア層を任意の
位置に形成することを特徴とする請求項1記載の汚染土
壌の修復方法。 - 【請求項3】 電極間の電流の経時変化を調べること
で、汚染土壌修復の進行度をモニタリングすることを特
徴とする請求項1または2記載の汚染土壌の修復方法。
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JP2000164377A JP3732071B2 (ja) | 2000-06-01 | 2000-06-01 | 汚染土壌の修復方法 |
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