JP2001336470A - 波力利用発電装置 - Google Patents

波力利用発電装置

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JP2001336470A
JP2001336470A JP2000153871A JP2000153871A JP2001336470A JP 2001336470 A JP2001336470 A JP 2001336470A JP 2000153871 A JP2000153871 A JP 2000153871A JP 2000153871 A JP2000153871 A JP 2000153871A JP 2001336470 A JP2001336470 A JP 2001336470A
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pipe
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wave
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】波力のエネルギー、及び陸上に設置する場合に
は潮差も併せて淡水等の液体の運動エネルギーに変換す
ることにより、エネルギー変換効率の優れた波力利用発
電装置の提供する。 【解決手段】 下部に海水出入り用の開口部2を有する
揺動室1内を上下に可動な浮体3を設け、浮体3と揺動
室天井壁26間に伸縮隔壁で囲われた加圧室5を設けて
その内部を液体で満たし、加圧室5の自重と圧下力及び
浮体3の自重は浮体3の浮力及び伸縮隔壁の復元力によ
り十分支えられるものとすることを基本特徴とし、加圧
室5より高所に貯漕16を設け、加圧室5の上部に液体
6の流出入口33と流出入管30、貯漕16下部に吸吐
管31を設け、それらの間に発電水車11、又は往復流
に対し一方向に回転する発電水車32を設ける。また、
弁機構によって流体が流路内を一方向に循環する構造と
することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潮汐及び波力によ
る海水の水位差及び運動を、淡水の運動に変換して発電
することを特徴とする、潮汐及び波力利用発電装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】潮差を利用して、直接海水の流動により
発電水車を回転させる装置、波の上下動によるエネルギ
ーを空気エネルギーに変換し、タービンを回転させて発
電する装置、及び波の変動圧で直接ピストンを駆動し、
これを油圧エネルギーに変換する装置、等は既に公知で
ある。しかし、これらは潮差の著しいごく限られた場所
でしか活用できなかったり、最終エネルギー変換効率が
低いためにコストを回収するだけの経済効果を十分生み
出せない、等のために何れも僅かな実用化があるのみで
未だ広く普及するに至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような欠
点を改善し、潮差と波力の双方のエネルギーを同時に大
規模に集積して淡水の運動エネルギーに変換することが
でき、これによりエネルギーの変換効率を上げて経済効
果を高めるとともに、装置の保守を容易にするととも
に、かつ、副次的効果として護岸設備の一部を兼ねるこ
とができることを特徴とする、潮汐及び波力利用発電装
置の提供を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明は、(イ)下部に海水が出入りするための開
口部2を有する揺動室1内を、弾性材25を介して上下
に摺動する浮体3を設け、浮体3と揺動室1天井壁間に
伸縮隔壁4で囲われた加圧室5を設けてその内部を淡水
6で満たし、淡水重量を含めた加圧室5及び浮体3の自
重は浮体3の浮力及び伸縮隔壁4の復元力により十分支
えられるようなものとすることを基本特徴とし、請求項
1記載の潮汐及び波力利用発電装置は更に、(ロ)加圧
室5の上部には淡水6の流出管7及び流入管8を設け、
その各々の流路内には、淡水6が一方向のみに流れるよ
う、加圧室5が加圧状態の時のみ外側に開く流出管用弁
体9、及び加圧室5が減圧状態の時のみ内側に開く流入
管用弁体10を設け、また、(ハ)流出管7と流入管8
の間、または複数の流出管7と流入管8を各々集積した
集合管17と分配管18との間に発電水車11を設けて
接続し、該水車の吸込と吐出側には揺動室1の陸側に設
けた貯槽16に各々通ずる吸込管13及び吐出管15を
設け、その各々の流路内には加圧室5が減圧状態の時の
み水車側に開く吸込管用弁体12、及び加圧室5が加圧
状態の時のみ水槽側に開く吐出管用弁体14を設けるこ
とを特徴とする。
【0005】請求項2記載の潮汐及び波力利用発電装置
は、上記の基本特徴(イ)に加えて加圧室5の上部に淡
水の流出入管30と、貯漕16に接続する吸吐両用管3
1を設け、それらの間、または複数の流出入管30を集
積した集合管17と吸吐両用管31との間に淡水6の往
復流に対し一方向に回転する発電水車32、または二方
向に回転する発電水車33を設けて各々接続したことを
特徴とする。
【0006】本発明の潮汐及び波力利用発電装置は、揺
動室1の海側に、海底から開口部2へ傾斜面をなした底
部22と、斜面または曲面をなして海側に拡がる天井壁
23と、左右に斜面をなして海側に拡がる側壁24から
なる集波室21を設けることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に基づいて説明する。図1は本発明による潮汐及
び波力利用発電装置の全体を示す斜視図、図2は図1X
−X線における断面図である。但し、図1には堤防の表
示を省略している。
【0008】先ず、干潮時でも浮体3の底面が開口部2
を塞ぐことがないよう十分な水深があり、波動が活発な
湾岸を選択し、堤防を築く。そして堤防の海側に鉄筋コ
ンクリート製で矩形体の揺動室1、更にその海側に集波
室21を設置し、堤防の陸側には貯漕16を設置する。
集波室21は鉄筋コンクリート製とし、海底から開口部
2へ傾斜面をなした底部22と、斜面または曲面をなし
て海側に拡がる天井壁23と、左右に斜面をなして海側
に拡がる側壁24とから成るので、集波室入口での海水
の全方向の運動を集積し、開口部2を経て揺動室1に伝
達する。
【0009】揺動室1には浮体3が弾性材25を介して
内接しつつ摺動するように組み込まれており、ここで海
水の水平方向運動を含めた全方向の運動は浮体3の上下
運動に変換される。揺動室1の天井部及び浮体3には図
5及び図3にも示すように、伸縮隔壁4の各々上辺、下
辺を接続し、流出口19及び流入口20以外は密閉され
た円筒形加圧室5を構成して、この内部には淡水6を充
満させている。ここで圧力室5は設置場所で満潮時に予
想される最大波の場合の浮体上面より、伸縮隔壁4が最
小限に収縮した場合に要するスペースを加えた高さにほ
ぼ等しく天井高さを設定する。また、加圧室5の水平方
向断面積は浮体3のそれよりも小さいものとし、淡水を
充満させた加圧室5及び浮体3の自重を浮体3の浮力及
び伸縮隔壁4の復元力で十分支えるようにするだけでな
く、加圧行程中の加圧室5内圧力を狙いの高さまで高め
る。従い、揺動室1内で加圧室5外には空室ができてい
るが、これの上部は図1に示すように外気に直接解放さ
れている。
【0010】伸縮隔壁4の復元力は微弱とし、浮体3が
自重と淡水6を含めた加圧室5の重量の殆どを支えるだ
けの浮力を生み出すため、浮体3は軽量で耐腐食性に富
む合成樹脂製中空体とするのがよい。そして、浮体3の
外周には図3に示すように、合成ゴムまたは合成樹脂製
弾性材25を数層設ける。これら弾性材25は図4に示
すように、浮体3に設けた溝に固定するなどして、消耗
部品として取替え容易とする。これらは海水が押し上が
ってきた時、揺動室1と浮体3との間隙から前記空室へ
の海水の容易な流入を防止する機能を果たすだけでな
く、揺動室1と浮体3の直接接触による損傷を防ぐ緩衝
材としての機能を有する。このような構造の浮体3は、
図2に於いて海面が仮想線に示す位置に上昇すると、当
然それに伴い揺動室内を上昇するが、それと同時に加圧
室5はその内部の淡水6を流出させて自重を減ずるの
で、仮想線で示すように海面の上昇量以上に上昇する。
海面が下降する場合にはこれとは逆の現象が起こるの
で、浮体3は海面の下降量以上に下降する。即ち、伸縮
隔壁4の変形抵抗等が小さければ、浮体3の上下行程は
海面のそれよりも大きくすることができる。
【0011】伸縮隔壁4は軽量で抵抗小さく高さ方向に
伸縮し、かつ、加圧室5が減圧行程時に生ずる外圧に対
しても芯部は座屈を起こさない強度のものでなければな
らない。その構造は蛇腹形式や多重円筒によるスライド
形式のものなど様々考えられるが、本発明はそれら詳細
構造には拘らない。図5は一実施例として、伸縮隔壁4
を弾性材製蛇腹とした例を示す。この構造では内外の気
密を確実に得ることができ、円環26を必要数、蛇腹谷
部の周囲に設けることにより、谷部に座屈することなく
外圧に耐えさせることができる。そして、この蛇腹は上
下行程の中間付近の形状に合わせて、合成ゴム又は合成
樹脂等の弾性素材を用いて成形したものとすれば、弱い
復元力が働く(これが強すぎると、蛇腹の変形抵抗を大
きくすることになる。また、これは他の素材を用いて零
としても構わない)。このような構造の圧力室5は、干
潮や波により海面が下方へ移動すると、自重により下方
へ膨張しようとして大気圧以下となり、発電水車11を
経由して淡水6が内部に流入する。淡水6が流入するに
つれ加圧室5の自重が増すので、浮体3はその分だけ海
面より沈下し、その浮力を増大させる。そして、淡水6
は浮体3の浮力と伸縮隔壁4の復元力との合力と均衡す
るまで圧力室1に流入して停止する。逆に、満潮や波に
より海面が上方へ移動すると、圧力室5は浮体3の浮力
により加圧圧縮され、圧力室内の淡水6は発電水車11
に導かれる。
【0012】蛇腹山部はその強度が十分でない場合に
は、図5に示すように減圧行程中にその一部が外圧によ
り内側へ座屈しようとするが、もしそれを発生させ、減
圧行程の最後まで存在させれば、伸縮隔壁4の水平方向
変形がもたらす加圧時と減圧時の加圧室容積差分だけ、
淡水6の流出または流入が行われないまま浮体3の上下
運動を許してしまうので、それだけエネルギー変換効率
を低下させることになる。しかし、図2に示すように、
貯水槽16を高所に設置して海面と貯水面との間に常に
水位差が存在するようにすれば、減圧行程中には少なく
ともこの水位差分の水圧が加圧室5内に掛かることにな
る。従い、伸縮隔壁4が減圧行程中に座屈を起こすこと
なく、または一時的に座屈を発生させても減圧行程終期
までに解消し、その内部に淡水6を流入させ、加圧室5
を膨張させることができる。なお、貯水槽16は貯水面
の高さ変動を少なくするため、できるだけ広く浅いもの
とするのが好ましい。
【0013】本発明では、これを複数基設置する場合に
は、数基分ずつ流出管7と流入管8を各々集積した集合
管17と分配管18を設けて、それらの間に各1基の発
電水車11を設ける構造とするのが効率的である。図1
は請求項1記載の本発明が1基のみの場合の実施例であ
るが、図7は4基分の流出管7と流入管8を集積した場
合の配管構造例を示す。さて、図1において、加圧室5
内で加圧された淡水6は流出管用弁体9が開いて流出口
19より流出し、流出管7を通り、発電水車11に達し
てこれを駆動する。加圧行程中は吐出管用弁体14が開
いているので、水車を駆動し終わった淡水6は吐出管1
5を通って貯漕16に流入する。減圧行程に移ると吸込
管用弁体12が開くので、貯漕16内の淡水6は吸い上
げられて吸入管13を通り、発電水車11に達してこれ
を駆動する。減圧行程中は吐出管用弁体14は閉じ、代
わりに流入管用弁体10が開いているので、水車を駆動
し終わった淡水6は流入管8を通って、流入口20より
加圧室5内に流入する。ここで、各弁体9、10、1
2、14は淡水6の圧力により自動的に開閉する構造で
もよいが、加圧室5内の圧力を感知して電気的に適時に
開閉させる構造とすることもできる。ただし、本発明で
はこれら弁体の詳細構造には拘らない。一方、図7の実
施例では、上記に於いて加圧行程中に流出管7に押し出
された淡水6は、集合管17に集積され、発電水車11
を駆動した後、吐出管15から吐出される。減圧行程で
は、流入管13に吸い込まれた淡水6は発電水車11を
駆動した後、分配管18から各流入管8に分岐しつつ加
圧室5へ導かれる。その間の弁機構の働きは上記と同じ
であるが、配管が長くなる場合には流出管用弁体9と流
入管用弁体10を、加圧室5付近に設けるのに加え、そ
れらと各々同じ動作をするよう、発電水車11付近にも
設けることが好ましい。
【0014】請求項2記載の潮汐及び波力利用発電装置
においては、図6に示すように、加圧室5内で加圧され
た淡水6は流出入口34より流出し、流出入管30を通
って発電水車32または33に達してこれを駆動する。
水車を駆動し終わった淡水6は吸吐両用管31を通って
貯漕16に流入する。減圧行程に移ると貯漕16内の淡
水6は吸い上げられて吸吐両用管31を通り、発電水車
32または33に達してこれを駆動する。水車を駆動し
終わった淡水6は流出入管30を再び通って、流出入口
34より加圧室5内に流入する。この場合、往復流に対
して二方向に回転する発電水車33を用いれば、発電さ
れた電気を整流する必要があるが、(空気流に於けるウ
ェルズタービンやサボニウス形風車と同様原理で)一方
向に回転する発電水車32を用いれば、その必要はな
い。ただし、本発明では各々の発電水車の詳細構造につ
いては、拘らない。また、該装置を複数基設置する場合
には、図6の装置を端部ユニットとして発電水車のない
他のユニットを隣接させ、それらからの流出入管30を
集合管17に接合すればよい。このように、本装置では
請求項1によるものと比較して、弁機構が必要ないの
で、配管構造が簡素化されるという特徴がある。
【0015】
【発明の効果】本発明による潮汐及び波力利用発電装置
は、以上説明したように構成されているので、以下に記
載するような効果を有する。
【0016】本発明では淡水6のエネルギーに変換(一
次変換)して発電に利用(二次変換)するので、波力を
空気エネルギーに変換する装置に較べて、流体の比重が
大きい効果で流体の運動エネルギーを高めることがで
き、エネルギーの一次変換効率を大きく改善することが
できる。そして、波力による海水の上下運動を吸収して
いる間に、潮汐による海水の上下運動をも同時に吸収す
るが、それも流体の比重が大きい効果で、無視できない
ほど大きなエネルギー源とすることができる。
【0017】本発明では海水のエネルギーを淡水6のエ
ネルギーに変換するので、直接海水により発電する装置
に較べて、発錆や衝撃による損耗が緩和されて発電水車
部分の設備保守作業を容易とすることができる。
【0018】また、波濤をほぼ完全に消化してしまうの
で、副次的効果として護岸設備の機能の一部を担うこと
ができる。
【0019】本発明では、請求項3記載の構成を採用す
ることにより、広く波力エネルギーを集積して、波が有
する全方向の運動エネルギーを上下方向の位置エネルギ
ーまたは水圧力に変え、効率的に発電に導くことができ
る。
【0020】また、請求項2記載の構成を採ることによ
り、本発明による装置を弁機構の必要が無く、簡素な配
管構造のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は請求項1記載の潮汐及び波力利用発電装
置の全体を示す斜視図、
【図2】図2は図1X−X線における断面図、
【図3】図3は浮体3の外周に設けられた弾性材24を
示す斜視図、
【図4】図4は、図2の弾性材24周辺の詳細図、
【図5】図5は図2の伸縮隔壁4上部を示す詳細図、
【図6】図6は、請求項2記載の潮汐及び波力利用発電
装置全体を示す斜視図、
【図7】図7は、請求項1記載の本発明を、複数基設置
した場合の配管構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 揺動室 2 開口部 3 浮体 4 伸縮隔壁 5 加圧室 6 淡水 7 流出管 8 流入管 9 流出管用弁体 10 流入管用弁体 11 発電水車 12 吸込管用弁体 13 吸込管 14 吐出管用弁体 15 吐出管 16 貯漕 17 集合管 18 分配管 19 流出口 20 流入口 21 集波室 22 集波室20の底部 23 天井 24 側壁 25 弾性材 26 円環 30 流出入管 31 吸吐両用管 32 往復流に対し、一方向に回転する発電水車 33 往復流に対し、二方向に回転する発電水車 34 流出入口
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月26日(2000.12.
26)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 波力利用発電装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は波力による海水の運
動、及び本発明を陸上に設置する場合には潮汐による水
位差も併せて、淡水等の液体の運動エネルギーに変換し
て発電することを特徴とする、波力利用発電装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】潮差を利用して、直接海水の流動により
発電水車を回転させる装置、波の上下動によるエネルギ
ーを空気エネルギーに変換し、タービンを回転させて発
電する装置、及び波の変動圧で直接ピストンを駆動し、
これを油圧エネルギーに変換する装置、等は既に公知で
ある。しかし、これらは潮差の著しいごく限られた場所
でしか活用できなかったり、最終エネルギー変換効率が
低いためにコストを回収するだけの経済効果を十分生み
出せない、等のために何れも僅かな実用化があるのみで
未だ広く普及するに至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような欠
点を改善し、波力エネルギーを集積して淡水等の液体の
運動エネルギーに変換し、本装置を陸上に設置した場合
には潮差によるエネルギーも併せて吸収し、これにより
エネルギーの変換効率を上げて経済効果を高めることを
特徴とする、陸上と海上の何れにも設置可能な波力利用
発電装置の提供を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明は、(イ)下部に海水が出入りするための開
口部2を有する揺動室1内を上下に可動な浮体3を設
け、浮体3と揺動室天井壁26間に伸縮隔壁4で囲われ
た加圧室5を設けてその内部を淡水等の液体6で満た
し、該液体重量を含めた加圧室5の自重と圧下力及び浮
体3の自重は浮体3の浮力及び伸縮隔壁4の復元力によ
り十分支えられるものとすることを基本特徴とし、請求
項1記載の波力利用発電装置は更に、(ロ)加圧室5の
上部に液体の流出口19と流出管7及び流入口20と流
入管8を設け、その各々の流路内には、液体6が一方向
のみに流れるよう、加圧室5が加圧行程の時のみ外側に
開く流出管用弁9と、減圧行程の時のみ内側に開く流入
管用弁10を設け、また、(ハ)流出管7と流入管8の
間、または複数の流出管7と流入管8を各々集積した集
合管17と分配管18との間に発電水車11を設けて接
続し、貯液面が常に加圧室5頂部より高くなるよう貯槽
16を設け、発電水車11の吸込側と吐出側に貯漕16
に各々通ずる吸込管13及び吐出管15を設け、その各
々の流路内には加圧室5が減圧行程の時のみ水車側に開
く吸込管用弁12と、加圧行程の時のみ貯漕側に開く吐
出管用弁14を設けることを特徴とする。尚、流体6に
ついては、本発明を大規模に実施する場合には安価な淡
水を用いてよいが、ブイ等の小規模発電に利用する場合
には、防錆剤や不凍液等を溶解させた水や他の適当な流
体を用いても良い。
【0005】請求項2記載の波力利用発電装置は、上記
請求項1(イ)の構造に加えて、貯液面が常に加圧室5
頂部より高くなるよう貯漕16を設け、加圧室5の上部
に液体の流出入口33と流出入管30、貯漕16下部に
吸吐管31を設け、それらの間、又は複数の流出入管3
0を集積した集合管17と吸吐管31との間に発電水車
11(往復流に対し二方向に回転する通常の発電水車を
意味する)、又は往復流に対し一方向に回転する発電水
車32を接続したことを特徴とする。
【0006】請求項3記載の波力利用発電装置は、上記
請求項1(イ)及び(ロ)の構造に加え、貯液面が常に
加圧室5頂部より高くなるように高圧貯漕27と低圧貯
漕28を設け、両貯漕の中少なくとも高圧貯漕27には
空気室35を形成するよう貯漕蓋34を設け、流出管7
と高圧貯漕27及び流入管8と低圧貯漕28を各々接続
し、高圧貯漕27と低圧貯漕28との間に所定圧力以上
で開路するリリーフ弁29と発電水車11を設けて、該
水車に滑らかな一方向回転を与えることを特徴とする。
【0007】本発明の波力利用発電装置は、発電水車1
1の稼働圧力を高圧としたい場合には、貯漕16を大き
く高位置に設置することなくその目的を果たすため、空
気室35を形成するよう貯漕16に貯漕蓋34を設ける
ことが好ましい。
【0008】本発明の波力利用発電装置は、これを陸上
に設置する場合には潮の干満に拘わらず発電水車11ま
たは32を狙いの圧力範囲で稼働させるため、貯漕蓋3
4を設けた貯漕16又は高圧貯漕27と低圧貯漕28の
中少なくとも高圧貯槽27の外側に、少なくとも空気室
35に通ずる排気弁36と吸気弁37と空気漕38から
成る、圧力調整装置を設けることが好ましい。
【0009】本発明の波力利用発電装置は設置場所の状
況に応じ、揺動室1の外側に、開口部2から下側へ傾斜
面を成した集波底部21、斜面又は曲面を成して外側に
拡がる集波天井壁22、左右外側に拡がる集波側壁23
の中の一部、又は全部を設けることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、実
施例に基づき図面を参照して説明する。図1は請求項1
記載の構造を基本とする実施例を示す斜視図、図2は図
1X−X線における断面図である。但し、図1には堤防
の表示を省略している。
【0011】先ず、浮体3が開口部2を塞ぐことがない
よう十分な水深があり、波動が活発な湾岸を選択し、岩
壁を削るか又は堤防を築く。そしてその海側に鋼板又は
鉄筋コンクリート製で矩形体の揺動室1、更にその海側
に集波底板21、集波天井壁22及び集波側壁23から
成る集波壁類を構築し、陸側には貯漕16を設置する。
集波壁類は岩床や岩壁を利用するか、鉄筋コンクリート
又は鋼板製とし、これにより開口部2付近の海水の上下
運動のみならず、水平方向を含めた全方向の運動を集積
し、開口部2を経て揺動室1に伝達することができる。
【0012】揺動室1には浮体3が弾性材24を介して
内接しつつ摺動するように組み込まれており、ここで開
口部2付近の海水の全方向運動は浮体3の上下運動に変
換される。揺動室天井壁26及び浮体3には図5及び図
3にも示すように、伸縮隔壁4の各々上面、下面を接続
し、流出口19及び流入口20以外は密閉された円筒形
加圧室5を構成して、この内部には本実施例では液体6
として淡水を充満させている。ここで加圧室5は設置場
所で満潮時に予想される最大波の場合の浮体上面に、伸
縮隔壁4が最小限に収縮した場合に要するスペースを加
えた高さにほぼ等しく天井高さを設定する。また、加圧
室5の水平方向断面積及び最大容積は浮体3のそれらよ
りも十分小さいものとし、加圧室5及び浮体3の自重を
浮体3の浮力及び伸縮隔壁4の復元力で支えるようにす
るだけでなく、加圧行程中の加圧室5内圧力を狙いの高
さまで高める。従い、揺動室1内で加圧室5の外には空
室ができているが、これの上部は図1に示すように外気
に直接解放されている。
【0013】伸縮隔壁4の復元力は僅かで、浮体3がそ
の自重及び加圧室5の自重と圧下力の殆どを支えるだけ
の浮力を生み出すため、浮体3は軽量で耐腐食性に富む
合成樹脂製中空体とするのがよい。そして、浮体3の外
周には図3に示すように、合成ゴムまたは合成樹脂製弾
性材24を数層設ける。弾性材24は図4に一例を示す
ように、消耗部品として取替え容易とするのがよい。こ
れらは揺動室1と浮体3との間隙から前記空室への海水
の容易な流入を防止する機能を果たすだけでなく、揺動
室1と浮体3の直接接触による損傷を防ぐ緩衝材として
の機能を有する。但し、弾性材24はロールに置き換え
てその一部の機能を担うなどの案も考えられ、本発明の
必須要件ではない。尚、図2中の仮想線は海面が上昇し
た場合の動きを示すものであるが、上記の構造の浮体3
は当然揺動室1内を上昇し、それと同時に加圧室5はそ
の内部の液体6を流出させて自重が変化するので、貯漕
16の底面積や貯漕蓋34の有無等の条件次第では海面
の上昇量と浮体3のそれとは必ずしも一致しない。海面
が下降する場合の下降量についても同様である。
【0014】伸縮隔壁4は軽量で抵抗小さく高さ方向に
伸縮し、かつ、予想される最大内圧に十分耐えられる強
度のものでなければならない。その構造は蛇腹形式や多
重円筒によるスライド形式のものなど様々考えられる
が、本発明はそれら詳細構造には拘らない。図5は一実
施例として、伸縮隔壁4を弾性材製蛇腹とした例を示
す。この構造では内外の気密を確実に得ることができ、
高強度の円環25を必要数、蛇腹谷部の周囲に設けるこ
とにより、谷部の変形を来すことなく内圧に耐えさせる
ことができる。そして、この蛇腹は上下行程の中間付近
の形状に合わせて、合成ゴム又は合成樹脂等の弾性素材
を用いて成形したものとすれば、多少の復元力が働き加
圧室5の重量を支える一助とすることができる。但し、
本発明を大規模に実施する場合には、復元力は浮体3の
浮力に比して微弱である。このような構造の加圧室5
は、満潮や波により海面が上方へ移動すると、加圧室5
は浮体3の浮力により加圧圧縮され、加圧室内の液体6
は発電水車11に圧送される。発電水車11を稼働し終
わった液体6は貯漕16に蓄積され、空気室35を圧迫
して内圧力を高める。逆に、干潮や波により海面が下方
へ移動すると、加圧室5は自重と内圧力により下方へ膨
張し、発電水車11を経由して液体6が内部に流入す
る。それにつれて加圧室5の自重が増すので、浮体3は
その分だけ海面より沈下し、その浮力を増大させる。そ
して、液体6は加圧室5の自重と圧下力及び浮体3の自
重が浮体3の浮力と伸縮隔壁4の復元力との合力と均衡
するまで加圧室5に流入して停止する。
【0015】貯水面が加圧室5頂部より高所でない場合
には、減圧行程中に加圧室5内は負圧となり、蛇腹山部
は図5に示すようにその一部が外圧により内側へ座屈し
ようとするが、もしそれを発生させれば、伸縮隔壁4の
水平方向変形がもたらす加圧時と減圧時の加圧室容積差
分だけ、液体6の流出または流入が行われないまま浮体
3の上下運動を許してしまうので、それだけエネルギー
変換効率を低下させることになる。しかし、本発明では
図2に示すように、貯槽16を高所に設置して加圧室頂
部と貯液面との間に常に差圧が存在するようにしたばか
りでなく、必要な場合、貯漕蓋34を設けて空気室35
により更に内圧力を掛けるので、伸縮隔壁4が減圧行程
中に内側へ座屈することなくその内部に液体6を流入さ
せることができる。そして、液体6は水車11を駆動さ
せるが、流路内は常に適当な正圧に保たれるので、水車
周辺にもキャビテーションを発生させることがない。
尚、本実施例の圧力調整装置に関しては、後述する。
【0016】つぎに、弁機構の働きについて説明する。
図1及び2において、加圧室5内で加圧された液体6は
流出管用弁9を押し開いて流出口19より流出し、流出
管7を通り、発電水車11に達してこれを駆動する。次
いで、液体6は吐出管用弁14を押し開き、吐出管15
を通って貯漕16に流入する。減圧行程に移ると吸込管
用弁12が開くので、貯漕16内の液体6は吸入されて
吸入管13を通り、発電水車11に達してこれを駆動す
る。減圧行程中は吐出管用弁14は閉じ、代わりに流入
管用弁10が開いているので、液体6は次に流入管8を
通って、流入口20より加圧室5内に流入する。ここ
で、各弁9、10、12、14は液体6の圧力により自
動的に開閉する構造でもよいが、加圧室5内の圧力変化
を感知して電気的に適時に開閉させる構造とすることも
できる。但し、本発明ではこれら弁の詳細構造には拘ら
ない。ところで、本発明による装置を複数基設置する場
合には、数基分ずつ流出管7と流入管8を各々集積した
集合管17と分配管18を設け、それらの間に各1基の
発電水車11を設ける構造とするのが効率的である。図
7は4基分の流出管7と流入管8を集積した場合の配管
構造例を示す水平方向断面図で、これら配管は貯漕16
の下側にあって、流入管13と吐出管15は垂直に立ち
上がり貯漕16に接続されている。この実施例では、加
圧行程中に流出管7に押し出された液体6は、集合管1
7に集積され、発電水車11を駆動した後、吐出管15
から吐出される。減圧行程では、流入管13に吸い込ま
れた液体6は再び発電水車11を駆動した後、分配管1
8から各流入管8に分岐しつつ加圧室5へ導かれる。そ
の間の弁機構の働きは上記と同じであるが、流路が長く
なる場合には流出管用弁9と流入管用弁10を加圧室5
付近に設けるのに加え、それらと各々連動するよう発電
水車11付近にも併設してよい。
【0017】図6は請求項2に記載する構造を基本とす
る実施例で、加圧室5内で加圧された液体6は流出入口
33より流出し、流出入管30から集合管17を通って
隣接する同装置からの流出液を集合させ、発電水車11
または32に達してこれを駆動する。次いで、液体6は
吸吐管31を通って貯漕16に流入する。減圧行程に移
ると貯漕16内の液体6は吸い込まれて吸吐管31を通
り、発電水車11又は32を再び駆動する。そして液体
6は流出入管30内を逆流し、流出入口33より加圧室
5内に流入する。この場合、往復流に対して二方向に回
転する通常の発電水車11を用いれば、発電された電気
を整流する必要があるが、サボニウス形風車等と同様原
理の一方向に回転する発電水車32を用いれば、その必
要はない。但し、本発明では各々の発電水車の詳細構造
については拘らない。このように、本装置では請求項1
によるものと比較して弁機構が必要ないので、配管構造
が簡素化され、従って流路損失も少ないという特徴があ
る。尚、本実施例の圧力調整装置については、後述す
る。
【0018】図8は請求項3に記載する構造を基本とす
る実施例で、加圧室5より圧送された液体6は流出管7
を通って高圧貯漕27に流入するから、高圧貯漕27内
の空気室35は圧力を高める。該空気室圧力が所定圧力
まで高まるとリリーフ弁29が開き、液体6は発電水車
11を駆動して低圧貯漕28に流入する。加圧室5が減
圧行程に入ると、液体6は低圧貯漕28から流入管8を
経て加圧室5へ流入する。このように、加圧室5で生ず
る脈動的エネルギーは高圧貯漕27に一旦蓄積された後
に連続的に放出されるので、脈動は平均化され、発電水
車11に滑らかな一方向回転を与えることができる。
尚、本装置を複数基設置する場合には、集合管や分配管
を介しても良いが、図8に示すように、流出管7及び流
入管8を高圧貯漕27及び低圧貯漕28に各々直接接続
しても良い。
【0019】請求項5記載の構造は、本発明を陸上に設
置する場合に効果を発揮するものであるが、図1、2、
6及び8に示すように、貯漕16又は高圧貯漕27(以
下、該貯漕と略す)に貯漕蓋34を設けてその上部を空
気室35とし、更にその上に空気室内圧力を任意の範囲
内に設定するための圧力調整装置を設ける。圧力調整装
置は少なくとも一定圧力px以上で排気する排気弁36
と他の設定圧力pn以下で吸気する吸気弁37及び空気
漕38から成る。ここで空気漕38の圧力を該貯漕内水
位が最低の時にpn以上となるようにし、かつ、該貯漕
内水位が最高の時にpx以下とするに十分な容積のもの
とすれば、空気漕38内圧力は常にpn以上px以下に
保たれる。そして、満潮になる過程で該貯漕の空気室内
圧力はpxに達して排気弁36が開き、空気室35内の
空気の一部は空気漕38に移動し、干潮になる過程では
該貯漕の空気室35内圧力はpn以下となり、吸気弁3
7が開いて空気室35内圧力は常にpn以上px以下に
保たれる。従って、潮の干満に関係なく発電水車11又
は32周辺の圧力を適当な狙いの範囲内で変動させるこ
とができ、効率的に該発電水車を駆動させることができ
る。尚、低圧貯漕28については、発電水車11周辺の
最低圧力を低圧貯漕28を無蓋とした時に得られる水圧
以上としたい場合に、貯漕蓋34と圧力調整装置を設け
る。
【0020】以上は本発明による発電装置を陸上に設置
する例について述べたが、ブイを含め、浮体式海洋構造
物の上に設置し、これを波動が活発な海上に係留せしめ
て実用することもできる。図9及び図10は中規模に実
施する場合の例を示すが、海洋構造物本体40はその上
に本発明による発電装置を搭載し、波動の活発な海域に
複数の係留索41により係留できるものとする。海上沖
合での波動は上下運動が主体であるので、請求項6によ
る集波装置はその効果を弱めるが、代わりに、海洋構造
物本体40の中間部分は平板的なものとして常に海面下
となるようにするなど、海洋構造物全体の揺動を軽減さ
せる方策を講ずるのがよい。各構成要素の作動は前述の
本装置を陸上に設置した場合と同様に行われるが、潮汐
に応じて海洋構造物本体40も上下するので、この方式
では請求項5に記載の圧力調整装置は不要であり、潮汐
エネルギーを吸収することはできない。しかし、陸上に
設置するより、この方式の方が稼働場所の選択範囲が広
がることや、場合により建設コストも安価となる等の利
点が考えられる。尚、本実施例は請求項4の構造を採っ
ているが、貯漕蓋34の頂部には少なくとも運転前に空
気室35内圧力を設定するための弁1個を設けるのが良
い。
【0021】
【発明の効果】本発明による潮汐及び波力利用発電装置
は、以上説明したように構成されているので、以下に記
載するような効果を奏する。
【0022】本発明では淡水等の液体6のエネルギーに
変換して発電に利用するので、波力を空気エネルギーに
変換する装置に較べて、流体の比重が遙かに大きい効果
で流体の運動エネルギーを高めることができ、エネルギ
ーの変換効率を大きく改善することができる(小形模型
実験では、空気エネルギー変換では水車が全く動かない
ほどの波動に対しても、水車は極めて敏感に反応し回転
した)。そして、本発明による装置を陸上に設置する場
合には、波力による海水の上下運動を吸収している間
に、潮汐による海水の上下運動をも同時に吸収するが、
それも流体の比重が大きい効果で、無視できないほど大
きなエネルギー源とすることができる。
【0023】本発明では浮体3と加圧室5や発電水車1
1又は32との断面積比等を調整し、あるいは更に貯漕
蓋34を設けることによって、該発電水車を稼働させる
最も効率的な圧力範囲を選択できる。また、貯漕蓋34
を設けることは、貯漕内圧力に対してクッション効果を
生むので、該発電水車の回転を円滑化する。
【0024】請求項2記載の構成を採ることによって、
本発明による装置を弁機構の必要が無く、簡素な配管構
造のものとすることができ、他の構成に比較して流路損
失は最少限とすることができる(小形模型実験では、こ
の構造のものが最も力強く鋭敏に水車を回転せしめ
た)。
【0025】請求項3記載の構成を採ることによって、
波力による脈動的エネルギーは高圧貯漕27に一旦蓄積
された後に連続的に放出されるので、脈動は平均化さ
れ、滑らかな一方向回転で発電水車11を駆動させるこ
とができる。
【0026】本発明による装置を陸上に設置した場合
は、潮の干満により貯漕液面高さが大きく変動するにも
拘わらず、請求項5記載の構成を採ることによって、安
定して狙いの範囲内の圧力で発電水車11又は32を駆
動させることができる。
【0027】設置場所の状況に応じ請求項6記載の構成
を採用することによって、広く波力エネルギーを集積し
て、波力による全方向の運動エネルギーを上下方向の運
動エネルギーに整え、効率的に発電に導くことができ
る。
【0028】本発明による装置を海洋構造物上に設置す
ることによって、波動が活発な海域を求めて自由に移動
し、最も有利な稼働場所を選ぶことができる。
【0029】本発明では発電水車11又は32は海水又
は海風から隔絶されるので、発錆を防止して設備の保守
を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は請求項1記載の構造を基本とする実施例
の全体を示す斜視図、
【図2】図2は図1X−X線における断面図、
【図3】図3は浮体3の外周に設けられた弾性材24を
示す斜視図、
【図4】図4は、弾性材24周辺の断面図、
【図5】図5は伸縮隔壁4の上部を示す詳細図、
【図6】図6は、請求項2記載の構造を基本とする実施
例の全体を示す斜視図、
【図7】図7は、請求項1記載の本発明を複数基設置し
た場合の配管構造例、
【図8】図8は、請求項3記載の構造を基本とする実施
例の全体を示す斜視図、
【図9】図9は、本発明による発電装置を海洋構造物上
に設置した例を示す斜視図、
【図10】図10は、図9Y−Y線における断面図であ
る。
【符号の説明】 1 揺動室 2 開口部 3 浮体 4 伸縮隔壁 5 加圧室 6 淡水 7 流出管 8 流入管 9 流出管用弁 10 流入管用弁 11 発電水車 12 吸込管用弁 13 吸込管 14 吐出管用弁 15 吐出管 16 貯漕 17 集合管 18 分配管 19 流出口 20 流入口 21 集波底板 22 集波天井壁 23 集波側壁 24 弾性材 25 円環 26 揺動室天井壁 27 高圧貯漕 28 低圧貯漕 29 リリーフ弁 30 流出入管 31 吸吐管 32 一方向に回転する発電水車 33 流出入口 34 貯漕蓋 35 空気室 36 排気弁 37 吸気弁 38 空気漕 40 海洋構造物本体 41 係留索
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月29日(2001.1.2
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】本発明の波力利用発電装置は、これを陸上
に設置する場合には潮の干満に拘わらず発電水車11ま
たは32を狙いの圧力範囲で稼働させるため、貯漕蓋3
4を設けた貯漕16又は高圧貯漕27と低圧貯漕28の
中少なくとも高圧貯槽27の外側に、少なくとも、空気
室35に所定圧力以上又は以下で各々開路し通ずる排気
弁36と吸気弁37及び空気漕38から成る、圧力調整
装置を設けることが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】本発明の波力利用発電装置は設置場所の状
況に応じ、開口部2付近の海水の上下運動のみならず、
水平方向を含めた全方向の運動を集積するため、揺動室
1の外側に、開口部2から下側へ傾斜面を成した集波底
部21、斜面又は曲面を成して上側に拡がる集波天井壁
22、左右外側に拡がる集波側壁23の中の一部、又は
全部を設けることが好ましい。特に集波天井壁22は、
波頭を折り返して開口部22付近の海水圧力を高めるの
みでなく、揺動室上部開口部からの海水の侵入を防ぐ機
能を果たすものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】貯液面が加圧室5頂部より高所でない場合
には、減圧行程中に加圧室5内は負圧となり、蛇腹山部
は図5に示すようにその一部が外圧により内側へ座屈し
ようとするが、もしそれを発生させれば、伸縮隔壁4の
水平方向変形がもたらす加圧時と減圧時の加圧室容積差
分だけ、液体6の流出または流入が行われないまま浮体
3の上下運動を許してしまうので、それだけエネルギー
変換効率を低下させることになる。しかし、本発明では
図2に示すように、貯槽16を高所に設置して加圧室頂
部と貯液面との間に常に差圧が存在するようにしたばか
りでなく、必要な場合、貯漕蓋34を設けて空気室35
により更に内圧力を掛けるので、伸縮隔壁4が減圧行程
中に内側へ座屈することなくその内部に液体6を流入さ
せることができる。そして、液体6は水車11を駆動さ
せるが、流路内は常に適当な正圧に保たれるので、水車
周辺にもキャビテーションを発生させることがない。
尚、本実施例の圧力調整装置に関しては、後述する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)下部に海水が出入りするための開
    口部(2)を有する揺動室(1)内を、弾性材(25)
    を介して上下に摺動する浮体(3)を設け、浮体(3)
    と揺動室(1)天井壁間に伸縮隔壁(4)で囲われた加
    圧室(5)を設けてその内部を淡水(6)で満たし、淡
    水重量を含めた加圧室(5)及び浮体(3)の自重は浮
    体(3)の浮力及び伸縮隔壁(4)の復元力により十分
    支えられるようなものとする。 (ロ)加圧室(5)の上部には淡水の流出管(7)及び
    流入管(8)を設け、その各々の流路内には、淡水
    (6)が一方向のみに流れるよう、加圧室(5)が加圧
    状態の時のみ外側に開く流出管用弁体(9)、及び加圧
    室(5)が減圧状態の時のみ内側に開く流入管用弁体
    (10)を設ける。 (ハ)流出管(7)と流入管(8)との間、または複数
    の流出管(7)と流入管(8)を各々集積した集合管
    (17)と分配管(18)との間に発電水車(11)を
    設け、該水車の吸込と吐出側には揺動室(1)の陸側に
    設けた貯槽(16)に各々通ずる吸込管(13)及び吐
    出管(15)を設け、その各々の流路内には加圧室
    (5)が減圧状態の時のみ水車側に開く吸込管用弁体
    (12)、及び加圧室(5)が加圧状態の時のみ水槽側
    に開く吐出管用弁体(14)を設ける。以上の構成から
    なる潮汐及び波力利用発電装置。
  2. 【請求項2】 請求項1(イ)の構造に加えて、加圧室
    (5)の上部に淡水の流出入管(30)と、揺動室
    (1)の陸側に設けた貯漕(16)に通ずる吸吐両用管
    (31)を設け、それらの間、または複数の流出入管
    (30)を集積した集合管(17)と吸吐両用管(3
    1)との間に往復流に対し一方向に回転する発電水車
    (32)、または二方向に回転する発電水車(33)を
    設けて各々接続してなる潮汐及び波力利用発電装置。
  3. 【請求項3】 揺動室(1)の海側に、海底から開口部
    (2)へ傾斜面をなした底部(22)と、斜面または曲
    面を成して海側に拡がる天井壁(23)と、左右に斜面
    をなして海側に拡がる側壁(24)からなる集波室(2
    1)を設けた請求項1または請求項2記載の潮汐及び波
    力利用発電装置。
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