JP2001336097A - 硬化体の製造方法及び硬化体の製造装置 - Google Patents

硬化体の製造方法及び硬化体の製造装置

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JP2001336097A
JP2001336097A JP2001080144A JP2001080144A JP2001336097A JP 2001336097 A JP2001336097 A JP 2001336097A JP 2001080144 A JP2001080144 A JP 2001080144A JP 2001080144 A JP2001080144 A JP 2001080144A JP 2001336097 A JP2001336097 A JP 2001336097A
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papermaking
paper
cured product
producing
sludge
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Kichiya Matsuno
吉弥 松野
Kenji Sato
健司 佐藤
Tetsuji Ogawa
哲司 小川
Toshihiro Nomura
敏弘 野村
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製紙スラッジから効率的に硬化体を量産でき
る硬化体の製造方法及び硬化体の製造装置を提供する。 【解決手段】 硬化体の製造装置は、製紙スラッジを調
整しスラリー14を生成する原料調整機構10と、スラ
リー14から抄造体26を抄造する抄造機構20と、反
転装置40と、抄造体を加圧して脱水を行うプレス機5
0と、乾燥機60とからなる。網状体からなるワイヤー
シリンダ22A、22B、22Cを用いるため、スラリ
ー14から抄造体26を連続して抄造でき、効率的に硬
化体1を量産することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、製紙スラッジを
板状に固めてなる硬化体を量産できる硬化体の製造方法
及び硬化体の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から、種々の
産業廃棄物の有効利用が検討されている。例えば、これ
まで森林資源を大量に消費してきた建築産業において
は、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
森林資源の消費量を抑えることが提案されている。一
方、従来使用していた無機ボード、例えば、珪酸カルシ
ウム板、パーライト板、スラグ石膏板、木片セメント板
および石膏ボード等について、その低コスト化並びに高
機能化を実現が求められている。
【0003】本発明者らは、紙の製造後に発生する製紙
スラッジを脱水プレスした後、乾燥することで硬化さ
せ、建築用パネル等として有効に利用し得る硬化体の製
造技術を特願平10−352586号として提案してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、脱水プ
レス法では、量産性に劣る。このような問題を解決する
ために、特開昭49−114628号では、固形分3%
に希釈された製紙スラッジとセメントの混合物を回転ド
ラムで抄造し、このドラム面から帯状毛布上に転写され
て、脱水プレスされ、さらに巻き取りロールで層厚を増
大させたあと、切断されてコンベア搬送される技術が開
示される。また、特開昭59−156956号では、丸
金網を使用した抄造法を開示するが、1枚づつマットを
抄造し、多層化する技術がそれぞれ開示される。しかし
ながら、このような抄造法では、強度にばらつきが生じ
ることが分かった。
【0005】本発明は、上述した課題を解決するために
なされたものであり、その目的とするところは、製紙ス
ラッジから効率的に硬化体を量産でき強度のばらつきを
小さくできる硬化体の製造方法及び硬化体の製造装置を
提供することにある。
【0006】また、他の目的は、明度の高い硬化体を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、請求項1の硬化体の製造方法は、製紙スラッジを
含む原料溶液を回転数が1〜100回/分の回転ドラム
を用いて抄造し、該回転ドラム表面に製紙スラッジの抄
造体を付着させると共に、この抄造体を搬送ベルトに転
写した後に転送し、所定の大きさに切断し、抄造体を硬
化させて製紙スラッジの硬化体を得る。このため、製紙
スラッジから効率的に硬化体を量産することができる。
また、回転ドラムの回転速度が1回/分未満では、抄造
体の厚さ方向に配向し、強度のばらつきを招き、100
回/分を越えると、繊維が回転方向に配向して強度がば
らつく。
【0008】請求項2の硬化体の製造方法は、製紙スラ
ッジを含む原料溶液の濃度が、固形分3.5〜25重量
%であるため、製紙スラッジからの抄造性を向上させ、
効率的に硬化体を量産することができる。即ち、濃度が
3.5%未満では、効率的に原料溶液から回転ドラムを
用いて抄造することができず、25%を越えると、製品
の均一性が低下するからである。
【0009】請求項3の硬化体の製造方法では、搬送ベ
ルトで搬送しながら抄造体から脱水するため、効率的に
抄造体中の水分を減らすことができる。
【0010】請求項4の硬化体の製造方法では、搬送ベ
ルト上の抄造体を切断用回転ドラムに転写させながら多
層化し、多層化させた抄造体が所定厚さに達した段階で
切断する。このため、均一な厚みの抄造体を連続的に成
形することができる。
【0011】請求項5の硬化体の製造方法では、切断し
た抄造体をさらに多層化した後、加圧プレスする。この
ため、必要とする厚みの硬化体を容易に製造することが
できる。
【0012】請求項6の硬化体の製造方法では、加圧プ
レスを10〜250Kg/cm2で行う。加圧プレスを10Kg
/cm2未満で行うと、必要とされる強度を得ることができ
ない。一方、250Kg/cm2を越えて加圧プレスしても強
度を高めることができず、プレス装置が大型化・高価格
化するからである。
【0013】請求項7の硬化体の製造装置は、製紙スラ
ッジを含む原料溶液を抄造し、表面に製紙スラッジの抄
造体を付着させる回転数が1〜100回/分の回転ドラ
ムと、回転ドラムの表面に付着した抄造体を転写して搬
送する搬送ベルトと、搬送ベルトを搬送された抄造体を
所定の大きさに切断する切断装置と、切断された抄造体
を硬化させて製紙スラッジの硬化体を得る硬化装置とを
備える。このため、製紙スラッジから効率的に硬化体を
量産することができる。
【0014】回転ドラムの回転速度が1〜100回/分
であるため、原料溶液から抄造体を高効率で抄造でき、
製紙スラッジから効率的に硬化体を量産することが可能
となる。ここで、回転ドラムが1回転/分よりも低い
と、抄造効率が低い。一方、回転数が100回転/分を
越えると、均一な厚みで抄造体が出来にくくなる。
【0015】請求項8の硬化体の製造装置は、回転ドラ
ムが網状体から成る。このため、原料溶液から抄造体を
連続して抄造でき、製紙スラッジから効率的に硬化体を
量産することが可能となる。
【0016】請求項9の硬化体の製造装置は、回転ドラ
ムを搬送ベルトに沿って複数個併設し、当該搬送ベルト
に多層化させながら抄造体を転写する。このため、原料
溶液から抄造体を高効率で抄造でき、製紙スラッジから
効率的に硬化体を量産することが可能となる。
【0017】請求項10の硬化体の製造装置は、回転ド
ラムが♯40〜150の網目構造を有する。このため、
原料溶液から抄造体を高効率で抄造でき、製紙スラッジ
から効率的に密度の高い硬化体を量産することが可能と
なる。ここで、♯40よりも網目が荒いと、原料溶液か
ら無機非結晶体のみが抜けて硬化体の密度及び強度が低
下する。一方、♯150よりも網目が細かいと、水分の
抜けが悪くなり、原料溶液から抄造体を高効率で抄造で
きなくなる。
【0018】請求項11の硬化体の製造装置は、搬送ベ
ルトの搬送速度が5〜80m/分であるため、原料溶液
から適度な厚さの抄造体を高効率で抄造でき、製紙スラ
ッジから効率的に硬化体を量産することが可能となる。
ここで、搬送速度が5m/分よりも低いと、抄造体を厚
く抄造できる反面、抄造効率が低い。一方、搬送速度が
80m/分を越えると、抄造体が薄くなり、均一な厚み
にし難くなると共に、抄造体が切れることがある。
【0019】請求項12の硬化体の製造装置は、搬送ベ
ルトが連続する気孔を有する多孔質体で構成されている
ため、搬送ベルトで搬送しながら、抄造体から脱水で
き、効率的に抄造体中の水分を減らすことができる。
【0020】請求項13の硬化体の製造装置は、切断装
置が抄造体を転写させながら多層化する切断用回転ドラ
ムから成る。そして、切断用回転ドラム表面の多層化さ
せた抄造体が所定厚さに達した段階で、押出機構を作動
させ、溝に対応する位置で抄造体を切断する。このた
め、均一の厚みの抄造体を効率的に生成することができ
る。
【0021】請求項14の硬化体の製造装置は、切断装
置が、切断用回転ドラムにて一端の切断された抄造体を
一定間隔で切断する刃を備える。このため、効率的に所
定長の抄造体を形成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】ここでは先ず、後述するこの発明
の複合硬化体の製造方法で製造する複合硬化体の構造に
ついて、図1の模式図に基づき説明する。この複合硬化
体1は、2種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体2
を含み、該無機非晶質体2中に有機質繊維状物3が混在
してなることを基本とする。ここでいう2種以上の酸化
物の系からなる無機非晶質体とは、酸化物(1)−酸化
物(2)・・・−酸化物(n)系(但しnは自然数であ
り、酸化物(1)、酸化物(2)、・・・酸化物(n)
は、それぞれ異なる酸化物)の非晶質体である。
【0023】このような非晶質体は、正確な定義づけが
困難であるが、2種以上の酸化物を固溶あるいは水和反
応等させることにより生成する、非晶質の化合物である
と考えられる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光
X線分析により、酸化物を構成する元素(Al、Si、
Ca、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Z
nから選ばれる少なくとも2種以上)が確認され、X線
回折による分析のチャートでは2θ:10°〜40°の
範囲でハローが見られる。このハローは、X線の強度の
緩やかな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上
がりとして観察される。なお、ハローは半値幅が2θ:
2°以上である。
【0024】上記複合硬化体1は、まず無機非晶質体2
が強度発現物質となり、しかも有機質繊維状物3が無機
非晶質体2中に分散して破壊靱性値を改善するため、曲
げ強度値や耐衝撃性を向上させることができる。また、
強度に異方性がなく、均質な硬化体が得られる。さら
に、非晶質体であるため、低密度で充分な強度が得られ
るという利点もある。
【0025】なお、上記非晶質体が強度発現物質となる
理由は定かではないが、結晶質の構造に比べてクラック
の進展が阻害されるためではないかと推定される。ま
た、結晶質中に比べて非晶質中の方が繊維状物が均一に
分散しやすいことから、破壊靱性値も向上すると考えら
れる。その結果、釘を打ち込んだり貫通孔を設けても、
クラックが生じないために、建築材料などの加工を必要
とする材料に最適なものとなる。
【0026】ここで、酸化物としては、金属および/ま
たは非金属の酸化物を使用でき、Al2 3 、Si
2 、CaO、Na2 O、MgO、P2 5 、SO3
2 O、TiO2 、MnO、Fe2 3 およびZnOか
ら選ばれることが望ましい。とりわけ、Al2 3 −S
iO2 −CaO系またはAl2 3 −SiO2 −CaO
−酸化物系からなる非晶質体、もしくはこれら非晶質体
の複合体が最適である。なお、後者の非晶質体における
酸化物は、Al2 3 、SiO2 およびCaOを除く金
属および/または非金属の酸化物の1種以上である。
【0027】まず、Al2 3 −SiO2 −CaO系か
らなる非晶質体は、Al2 3 、SiO2 およびCaO
の各成分の全部または一部が互いに固溶あるいは水和反
応などにより生成する非晶質構造を有する化合物であ
る。すなわち、Al2 3 とSiO2 、SiO2 とCa
O、Al2 3 とCaO、そしてAl2 3 、SiO2
およびCaOの組合せで固溶あるいは水和反応等させる
ことにより生成する化合物のいずれかを含むと考えられ
る。
【0028】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caが確認され、X線回折
による分析のチャートでは2θ:10°〜40°の範囲
で上記ハローが見られる。
【0029】また、Al2 3 、SiO2 およびCaO
以外に少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl
2 3 −SiO2 −CaO−酸化物系からなる非晶質体
は、上記Al2 3 −SiO2 −CaO系での組み合わ
せ以外に、Al2 3 と酸化物、SiO2 と酸化物、C
aOと酸化物、Al2 3 とSiO2 と酸化物、SiO
2 とCaOと酸化物、Al2 3 とCaOと酸化物、そ
してAl2 3 とSiO2 とCaOと酸化物の組合せで
固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化合
物のいずれかを含むと考えられる。
【0030】なお、前記酸化物が2以上、つまり、Al
2 3 −SiO2 −CaO−酸化物(n)系(nは2以
上の自然数)の非晶質体であれば、これらの酸化物、例
えば酸化物(1)、酸化物(2)・・・酸化物(n)
(nは2以上の自然数で、酸化物(n)は、nの値が異
なればそれぞれ異なる酸化物を意味し、かつAl
2 3、SiO2 、CaOを除いたものである)のそれ
ぞれから選ばれる少なくとも2種の組合せで固溶あるい
は水和反応等させることにより生成する化合物、Al2
3 、SiO2 、CaOから選ばれる少なくとも2種の
組合せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成
する化合物、さらに酸化物(1)、酸化物(2)・・・
酸化物(n)(nは2以上の自然数)のそれぞれから選
ばれる少なくとも1種と、Al2 3 、SiO2 、Ca
Oから選ばれる少なくとも1種との組合せで固溶あるい
は水和反応等させることにより生成する化合物のいずれ
かを含むと考えられる。
【0031】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構
成する元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
e、Znから選ばれる少なくとも2種以上)が確認さ
れ、X線回折による分析のチャートでは2θ:10°〜
40°の範囲で上記ハローが見られる。
【0032】ここで、Al2 3 、SiO2 およびCa
Oと組み合わせる酸化物は、1種または2種以上であ
り、Al2 3 、SiO2 、CaOを除く金属および/
または非金属の酸化物を使用でき、例えばNa2 O、M
gO、P2 5 、SO3 、K2O、TiO2 、MnO、
Fe2 3 およびZnOから選ぶことができる。この選
択は、複合硬化体に期待する特性を基準に行うことがで
きる。
【0033】本発明の硬化体は、製紙スラッジを抄造
し、硬化させてなり、Si、Al、Caのそれぞれの酸
化物からなる無機非晶質体中に多糖類からなる有機質繊
維状物および炭酸カルシウムを含有してなる硬化体であ
って、前記硬化体中のCa、Al、Siの量が、それぞ
れCaO、Al23、SiO2に換算してCaO/Si
2の比率0.2から7.9、CaO/Al23の比率
が0.2から12.5に調整された硬化体である。この
硬化体の明度は、JIS Z 8721の規定に基づく
値でN5以上である。なお、これらCa、Al、Siの
量(CaO、Al 23、SiO2換算量)は、複合硬化
体中のCa、Al、Siの全量であり、たとえば、Ca
であれば、炭酸カルシウム及び無機非晶質体中の全ての
Caの量をいう。また、CaO/SiO2の比率0.2
を越え、7.9以下で、CaO/Al23の比率が0.
2を越え、12.5以下に調整された硬化体であること
が最適である。
【0034】本発明では、網状体の回転ドラムを利用し
抄造して硬化体を製造しており、網目から不純物が脱落
するため、不純物を低減させることができ、明度を高く
することが可能である。また、炭酸カルシウムを含有し
てなる硬化体であって、前記硬化体中のCa、Al、S
iの量が、それぞれCaO、Al23、SiO2に換算
してCaO/SiO2の比率0.2から7.9、CaO
/Al23の比率が0.2から12.5に調整されてな
るため、Ca成分が多くなり、明度が向上する。また、
強度、釘打ち性能も高いからである。このため、硬化体
の明度としては、JIS Z 8721の規定に基づく
値でN5以上にできる。
【0035】なお、JIS Z 8721は、理想的な
黒の明度を0とし、理想的な白の明度を10とし、これ
らの黒の明度と白の明度との間でその明るさの知覚が等
歩度となるように各色を10分割し、N0からN10の
記号で表示したものである。実際の明度の測定は、N0
からN10に対応する色票と対比する。この場合の少数
点1位は0または5とする。硬化体の明度としては、J
IS Z 8721の規定に基づく値でN5以上にでき
るため、着色や装飾を施すことが可能になる。
【0036】前記炭酸カルシウムの結晶習癖は、紡錘
状、角状、薄卓状、立方体または柱状から選ばれる少な
くとも1種以上の形態であることが望ましい。白色度が
高く、角を持つため繊維にからまり抜け落ちにくく抄造
でも硬化体に取り込めるからである。
【0037】本発明では、合成繊維が抄造によりすきこ
まれており、単に、原料と混合して脱水プレスした以上
の強度の向上と破壊靱性値の向上を実現できる。その理
由は、合成繊維が延びた状態で硬化体に取り込まれるか
らである。
【0038】前記製紙スラッジセメントを添加する場合
は、その含有量は30重量%以下であることが望まし
い。明度が低下するからである。また、セメントの添加
で強度も低下することが認められるからである。
【0039】なお、特開昭55−12853号、には製
紙スラッジをワイヤープレスして、脱水し、ホットプレ
スする技術が開示されている。しかしながら、この当時
のスラッジは、1979年発行の「静岡県製紙工業試験
場報告」によれば、CaO換算で2.6重量%程度しか
なく、強度が十分ではない。また、抄造ではないため、
多量の不純物を含み、結局明度が低い。
【0040】また、特公昭57−19019号には、製
紙スラッジと、モンモリロナイトとの混合物をプレス成
形したものであるが、当時の製紙スラッジとしてCa成
分が少なく、また、Ca系結晶ではなく、圧縮強度など
が劣る。特開昭50−101604号には、製紙スラッ
ジと疎水性繊維とを混合し、結合剤を加えたボードを開
示している。
【0041】しかしながら、当時の製紙スラッジとして
は、Ca成分が少なく、また、強度も曲げ強度で2.5
kg/cm2であり、複合化して強度の高いものでも、
15kg/cm2程度しかなく、本発明の方がはるかに
優れている。特開昭52−90585号では、製紙スラ
ッジの表面をパラフィン処理したものが開示されている
が、当時の製紙スラッジとしては、Ca成分が少なく、
強度に劣ると考えられる。また、いずれにせよ、抄造法
ではないため、多量の不純物を含み、結局明度が低い。
【0042】例えば、Na2 OまたはK2 Oは、アルカ
リなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処
理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなって
めっきのアンカーとして作用させることができる。Mg
Oは、Al2 3 、SiO2 、CaOと固溶して強度発
現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。P
2 5 は、骨との癒着を助けるため生体材料(人工歯
根、人工骨)に使用する場合は特に有利である。SO3
は、殺菌作用があり抗菌建築材料に適している。TiO
2 は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作
用することから、付着した有機汚染物質を強制的に酸化
でき、光を照射しただけで洗浄できるという自浄力のあ
る建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として
使用できるという特異な効果を有する。MnOは暗色系
の着色材、Fe2 3 は明色系の着色材、ZnOは白系
の着色材として有用である。なお、これらの酸化物は非
晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。
【0043】上記非晶質体の組成物は、それぞれAl2
3 、SiO2 およびCaOに換算して、Al2 3
複合硬化体の全重量に対して3〜51重量%、Si
2 :複合硬化体の全重量に対して6〜53重量%およ
びCaO:複合硬化体の全重量に対して6〜63重量
%、好適には8〜63重量%で、かつそれら合計が10
0重量%をこえない範囲において、含有することが好ま
しい。
【0044】なぜなら、Al2 3 の含有量が3重量%
未満あるいは51重量%をこえると、複合硬化体の強度
が低下し、また、SiO2 の含有量が6重量%未満ある
いは53重量%をこえても、複合硬化体の強度が低下す
る。また、CaOの含有量が6重量%未満あるいは63
重量%をこえてもやはり複合硬化体の強度が低下するの
である。
【0045】また、Al2 3 、SiO2 およびCaO
以外の酸化物として、Na2 O、MgO、P2 5 、S
3 、K2 O、TiO2 、MnO、Fe2 3 およびZ
nOのうち1種または2種以上を含有する場合、各成分
の好適含有量は次のとおりである。なお、これら酸化物
の合計量は、100重量%を越えないことはいうまでも
ない。 Na2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.2重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜11.0重量% P2 5 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜7.3重量% SO3 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.5重量% K2 O :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.2重量% TiO2 :複合硬化体の全重量に対して0.1〜8.7重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.5重量% Fe2 3 :複合硬化体の全重量に対して0.2〜17.8重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1.8重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからで
ある。
【0046】なお、非晶質構造か否かは、X線回折によ
り確認できる。すなわち、X線回折により2θ:10°
〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造を
有していることを確認できる。なお、この発明では、完
全に非晶質構造となっているもの以外に、非晶質構造中
にHydrogen Aluminium Silicate 、Kaolinite 、Zeolit
e 、Gehlenite,syn 、Anorthite 、Melitite、Gehlenit
e-synthetic 、tobermorite 、xonotlite 、ettringite
や、SiO2 、Al 2 3 、CaO、Na2 O、Mg
O、P2 5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、F
2 3 およびZnOなどの酸化物、そしてCaCO3
(Calcite )などの結晶体が混在していてもよい。
【0047】これら結晶体は、それ自体が強度発現物質
になるとは考えられないが、例えば、硬度および密度を
高くして圧縮強度を改善したり、クラックの進展を抑制
するなどの効果があると考えられる。なお、結晶体の含
有量は、複合硬化体の全重量に対して0.1〜50重量
%であることが望ましい。なぜなら、結晶体が0.1重
量%未満では、硬度および密度を高くして圧縮強度を改
善したり、クラックの進展を抑制するなどの効果が十分
得られず、逆に50重量%を超えると、曲げ強度低下を
招くからである。
【0048】ちなみに、上記Al2 3 −SiO2 系の
結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate 、Kaolini
te 、Zeolite 、Al2 3 −CaO系の結晶性化合物
がCalcium Aluminate 、CaO−SiO2 系の結晶性化
合物がCalcium Silicate、Al2 3 −SiO2 −Ca
O系の結晶性化合物がGehlenite,syn 、Anorthite であ
り、またAl2 3 −SiO2 −CaO−MgO系の結
晶性化合物がMelitite、Gehlenite-synthetic である。
さらに、上記結晶体としてはCaを含むものが望まし
く、Gehlenite,syn (Ca2 Al2 7 )、Melitite-s
ynthetic(Ca2 (Mg0.5 Al0.5 )(Si1. 5 Al
0.5 7 ))、Gehlenite-synthetic (Ca2 (Mg
0.25Al0.75)(Si1.25Al0.757 ))、Anorthit
e,ordered (Ca2 Al2 Si2 8 )、炭酸カルシウ
ム(Calcite )を含有していても良い。
【0049】またこの発明の製造方法で製造する複合硬
化体では、少なくとも2種以上の酸化物の系からなる非
晶質体中に、ハロゲンを添加してもよい。このハロゲン
は、固溶体、水和物の生成反応の触媒となり、また燃焼
抑制物質として作用する。その含有量は、0.1〜1.
2重量%が望ましい。なぜなら、0.1重量%未満では
強度が低く、1.2重量%を越えると燃焼により有害物
質を発生するからである。ハロゲンとしては、塩素、臭
素、フッ素が望ましい。
【0050】同様に、炭酸カルシウム(Calcite )を添
加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自体は強度発現
物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を非晶質体が取
り囲むことにより、クラックの進展を阻止するなどの作
用により強度向上に寄与すると考えられる。この炭酸カ
ルシウムの含有量は、複合硬化体の全重量に対して48
重量%以下が望ましい。この理由は、48重量%を越え
ると曲げ強度が低下するからである。また、0.1重量
%以上が望ましい。0.1重量%未満では、強度向上に
寄与しないからである。
【0051】さらに、結合剤を添加することも、強度の
さらなる向上や、耐水性、耐薬品性および耐火性の向上
に、有利である。この結合剤としては、熱硬化性樹脂お
よび無機結合剤のいずれか一方または両方からなること
が望ましい。熱硬化性樹脂としては,フェノール樹脂,
メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる
少なくとも1種以上の樹脂が望ましい。無機結合剤とし
ては,珪酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群か
ら選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。
【0052】次に、この発明の複合硬化体の製造方法に
おいて無機非晶質体中に混在させる有機繊維状物は、多
糖類からなる有機質繊維状物を使用する。なぜなら、多
糖類にはOH基が存在し、水素結合によりAl2 3
SiO2 またはCaOの各種化合物と結合しやすいから
である。
【0053】この多糖類は、アミノ糖、ウロン酸、デン
プン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロー
ス、キチン、キトサン、ヘミセルロースおよびペクチン
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが
望ましい。これら多糖類からなる有機質繊維状物として
は、一般に、パルプや、パルプかす、新聞や雑誌などの
故紙の粉砕物が有利に適合する。
【0054】なお、上記繊維状物の含有率は、2〜75
重量%であることが望ましい。この理由は、2重量%未
満では複合硬化体の強度が低下し、一方75重量%を越
えると防火性能、耐水性、寸法安定性などが低下するお
それがあるからである。さらに、繊維状物の平均長さ
は、10〜1000μmが望ましい。平均長さが短すぎ
ると絡み合いが生じず、また長すぎると空隙が生じて複
合硬化体の強度が低下しやすいからである。
【0055】以上の複合硬化体1は、紙スラッジ(スカ
ム)を乾燥させて凝集硬化させたものが最適である。す
なわち、製紙スラッジは、無機物を含むパルプかすであ
り、有機質繊維状物を含んでおり、産業廃棄物を原料と
して使用するため低コストであり、環境問題の解決に寄
与するからである。しかも、この製紙スラッジは、それ
自体がバインダーとしての機能を有しており、それ自体
のみで、又は、他の産業廃棄物と混練することにより、
所望の形状に成形できる利点を有する。
【0056】また、製紙スラッジ中には、パルプの他
に、Al2 3 、SiO2 、CaO、Na2 O、Mg
O、P2 5 、SO3 、K2 O、TiO2 、MnO、F
2 3およびZnOの結晶もしくはこれら酸化物の前
駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、ハロゲン
および炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種、そ
して水を含むのが、一般的である。
【0057】ここで、図2に示すように、複合硬化体1
中に、無機粒子4を混在させることが、防火性を向上さ
せたり、非晶質体と反応して強度発現物質を形成して強
度を向上するのに有利であり、この無機粒子量を調整す
ることにより、複合硬化体の比重を調整することもでき
る。
【0058】上記無機粒子4としては、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パー
ライト、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タル
ク、炭酸カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少な
くとも1種以上を使用できる。特に、産業廃棄物粉末と
しては、製紙スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、お
よび珪砂の粉砕屑から選ばれる少なくと1種以上の産業
廃棄物粉末を用いることが望ましい。なぜなら、これら
産業廃棄物粉末を使用することにより、低コスト化を実
現でき、さらに環境問題の解決に寄与できるからであ
る。
【0059】なお、製紙スラッジを焼成した無機粒子
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粒子は、
非晶質であり、強度および靱性に優れ、かつ密度も小さ
いため、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実
現できる。また、製紙スラッジを300℃以上800℃
未満で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱
処理後、急冷することによって得られる無機粒子は、確
実に非晶質体を含むため有利である。無機粒子4は、比
表面積が、0.8〜100m2 /gであることが望まし
い。0.8m2 /g未満では、非晶質体と無機粒子の接
触面積が小さくなり強度が低下してしまい、逆に100
2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上といった
効果が低下して結果的に強度が低下する。
【0060】さらに、無機粒子4中には、シリカ、アル
ミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸
化カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる
少なくとも1種以上の無機物が含まれるていることが望
ましい。これらは化学的に安定で耐候性に優れ、建築材
料などの産業材料として望ましい特性をそなえているか
らである。
【0061】この無機粒子4は、その平均粒子径が小さ
すぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1
〜100μmの範囲にあることが望ましい。無機粒子の
含有量は、10〜90重量%であることが望ましい。す
なわち、無機粒子が多すぎると強度が低下し、逆に無機
粒子の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度
が低下するからである。
【0062】この発明の方法で製造した複合硬化体1
は、各種産業において利用され、ケイ酸カルシウム板、
パーライトボード、合板、石膏ボードなどに代わる新た
な建築材料を始めとして、義肢、人工骨、人工歯根用の
医療材料、プリント配線板のコア基板、層間樹脂絶縁層
などの電子材料に使用することができる。
【0063】次に、この発明に係る硬化体の製造方法及
び硬化体の製造装置の実施例について図3〜図9を参照
して説明する。この発明の製造方法では、複合硬化体の
原料に製紙スラッジを他の産業廃棄物と昆練することな
く使用する。この発明の製造方法で使用する製紙スラッ
ジとしては、印刷・情報用紙、クラフト紙、チタン紙、
ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、生
理用品、タオル用紙、工業用雑種紙または家庭用雑種紙
等を製造する際のパルプ製造工程、古紙等の原料処理工
程、抄造工程などで排出される製紙スラッジが望まし
い。製紙スラッジは、丸東窯材社が取扱っている。
【0064】図3は、硬化体の製造装置の全体の構成を
示している。硬化体の製造装置は、製紙スラッジを調整
しスラリー14を生成する原料調整機構10と、スラリ
ー14から抄造体26を抄造する抄造機構20と、抄造
体26を反転するための反転装置40と、抄造体26を
積層してから加圧し脱水を行うプレス機50と、プレス
された抄造体を乾燥して硬化体1を形成する乾燥機60
とからなる。
【0065】先ず、原料の調整を行う原料調整機構10
について、図4(A)を参照して説明する。上記原料1
1と、水12とを、後述する吸引脱水により濃度を固形
分3.5〜25重量%となるように計量して混合器13
内に入れ、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ塩化ア
ルミニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリ
ル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル
アミドのいずれかから成る凝集剤(フロック剤:添加量
0.01〜5%)及びビニロン繊維等の有機繊維(バイ
ンダ:添加量0.1〜10重量%)を添加し、混合器1
3にて混合してスラリー14を調整する。有機繊維(バ
インダ)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン
などの合成繊維、パイプ、古紙から回収されるパルプ、
その他、繊維状の産業廃棄物などを用いることができ
る。原料は製紙スラッジに、更に各種無機粉末や樹脂を
添加することができる。
【0066】このスラリー14を、底部にフィルター1
6が設けられた脱水容器15を使用して吸引脱水する。
吸引脱水することにより、濃度が固形分3.5〜25重
量%となるようにする。吸引脱水では、製紙スラッジの
繊維が配向しないため、得られる複合硬化体に反りやク
ラックが発生しにくい。
【0067】この脱水容器15の底部は真空ポンプ17
と連結しており、真空ポンプ17の稼働により水分を吸
引する。フィルター16は特に限定されないが、焼結金
属、多孔金属板(直径1〜5mmの穴があいた金属板)、
多孔質セラミックフィルター、多孔質の樹脂、ガラス繊
維板などを使用できる。脱水容器15にて水分調整され
た原料14を、チェストタンク18内に一時貯留する。
該チェストタンク18には、攪拌用のプロペラが備えら
れており、原料中の固形分が沈降しないようになってい
る。
【0068】なお、本実施例では、脱水容器15により
水分を調整しているが、図4(B)に示すように、脱水
容器15を用いることなく、混合器13への水の添加量
のみで含水率を調整することも可能である。
【0069】引き続き、上記水分調整を行った製紙スラ
ッジを含むスラリー14から抄造機構20にて抄造体2
6を生成する。スラリー(原料溶液)中には、セメント
などの無機バインダーや樹脂などの有機バインダーを添
加してもよい。この抄造機構20について、図5を参照
して説明する。抄造機構20は、スラリー14を貯留す
る3連のバット21A、21B、21Cと、バット内に
配設され、スラリー14を抄造するワイヤーシリンダ2
2A、22B、22Cと、ワイヤーシリンダ22A、2
2B、22Cにて抄造された抄造体26を転写し、搬送
する搬送ベルト23と、搬送ベルト23にて搬送された
抄造体26を所定の厚みまで巻回し切断する切断用回転
ドラム30と、抄造体26を切断するためのカッタ36
と、抄造体26を搬送するベルトコンベア38とを備え
る。
【0070】ワイヤーシリンダ22A、22B、22C
は、直径70cmで、幅1mmに形成されている。本実施例
では、ろ水(抄造)を行うろ水体が網状体より構成され
る回転ドラム(ワイヤーシリンダ)から成るため、原料
溶液14から抄造体26を連続して抄造でき、製紙スラ
ッジから効率的に硬化体を量産することが可能となる。
ワイヤーシリンダ22A、22B、22Cを透過した水
は、パイプ17a及び真空ポンプ17を介して図4
(A)に示す混合器13へ戻される。
【0071】また、本実施例では、ワイヤーシリンダ2
2A、22B、22Cを搬送ベルト23に沿って3台併
設し、当該搬送ベルト23に多層化させながら抄造体2
6を転写する。このため、原料溶液14から抄造体26
を高効率で抄造でき、製紙スラッジから効率的に硬化体
を量産することが可能となる。なお、本実施例では、ワ
イヤーシリンダの回転数が60回転/分に設定されてい
る。この回転数は、1〜100回/分が望ましい。原料
溶液14から抄造体26を高効率で抄造でき、製紙スラ
ッジから効率的に硬化体を量産することが可能となるか
らである。ここで、回転ドラムが1回転/分よりも低い
と、抄造効率が低い。一方、回転数が100回転/分を
越えると、均一な厚みで抄造体が出来にくくなる。本実
施例では、ワイヤーシリンダ22A、22B、22Cを
3台併設したが、1台以上何台でも用いることができ
る。
【0072】なお、ワイヤーシリンダ22A、22B、
22Cの網目は♯60(1インチ当たりの網目数60)
に形成されている。ワイヤーシリンダ22A、22B、
22Cの網目は♯40〜150が望ましい。原料溶液
(スラリー)14から抄造体26を高効率で抄造でき、
製紙スラッジから効率的に密度の高い硬化体を量産する
ことが可能となるからである。ここで、♯40よりも網
目が荒いと、原料溶液から無機非結晶体のみが抜けて硬
化体の密度及び強度が低下する。一方、♯150よりも
網目が細かいと、水分の抜けが悪くなり、原料溶液から
抄造体を高効率で抄造できなくなる。なお、凝集剤によ
り製紙スラッジ(原料溶液)中にフロックができている
ので、効率的に抄造を行うことができる。
【0073】製紙スラッジを含む原料溶液の濃度は、固
形分3.5〜25重量%であることが望ましい。製紙ス
ラッジからの抄造性を向上させ、効率的に硬化体を量産
することができるからである。即ち、濃度が3.5%未
満では、効率的に原料溶液からワイヤーシリンダ(ろ水
体)を用いて抄造することができず、25%を越える
と、製品の均一性が低下するからである。
【0074】ワイヤーシリンダ22A、22B、22C
にて抄造された抄造体を転写し、搬送する搬送ベルト2
3は、幅1mのフェルトからなり、ローラ34にて懸架
されており、裏面に吸引ボックス24を設けて、真空ポ
ンプ17で吸引しながら脱水を行っている。即ち、該ベ
ルト23は、製紙スラッジを含む原料14の水分をフェ
ルトの気孔内へ吸着し、吸着した水分が吸引ボックス2
4を経て真空ポンプ17側へ吸着され、図4(A)に示
す混合器13へ戻される。この第1実施例では、ベルト
23をフェルトから構成したが、この代わりに、連続し
た気孔を有する多孔質の樹脂、多孔質のゴム、無機繊維
を結合剤などで固めたもの、焼結金属、多孔金属、多孔
金属のブロックをゴム等の可撓性を有するバインダで固
めたベルト、などを使用することができる。本実施例
は、搬送ベルト23が連続する気孔を有する多孔質体で
構成され、搬送ベルト23で搬送しながら脱水するた
め、効率的に抄造体26中の水分を減らすことができ
る。
【0075】また、本実施例では、搬送ベルト23の搬
送速度が48m/分に設定されており、これと同期する
ように、ワイヤーシリンダ22A、22B、22C、切
断用回転ドラム30及びベルトコンベア38が図示しな
いモータにより駆動されている。搬送ベルト23の搬送
速度は、5〜80m/分であることが望ましい。原料溶
液から適度な厚さの抄造体を高効率で抄造でき、効率的
に硬化体を量産することが可能となるからである。ここ
で、搬送速度が5m/分よりも低いと、抄造体を厚く抄
造できる反面、抄造効率が低い。一方、搬送速度が80
m/分を越えると、抄造体が薄くなり、均一な厚みにし
難くなると共に、抄造体が切れることがある。
【0076】搬送ベルト23にて搬送された抄造体を所
定の厚みまで巻回し切断する切断用回転ドラム30は、
直径64cm(外周2m)に形成されており、表面に水を
滞留させる貯留溝32と、この溝32の近傍に位置する
収容溝33に収容されたピアノ線31とを備える。該切
断用回転ドラム30は、表面に搬送ベルト23から搬送
された抄造体26を多層化させながら巻回する。
【0077】そして、抄造体26が所定の厚み(1.5
cm)に達し、これが図示しないセンサで検出されると、
収容溝33内のピアノ線31が押し出される。貯留溝3
2に沿った位置で抄造体26は、含水率が高く、ピアノ
線31が押し出されると、貯留溝32に沿って切断さ
れ、図6(A)に示すように、切断端がベルトコンベア
38側に倒れかかる。そして、切断用回転ドラム30の
回転及びベルトコンベア38の搬送に伴い、所定の厚み
の抄造体26がベルトコンベア38上まで搬送される
(図6(B)参照)。ここで、図6(C)に示すよう
に、他方の切断端がカッタ36の対応位置まで搬送され
ると、カッタ36がベルトコンベア38側へ降ろされ、
抄造体26の切断端と搬送ベルト23上を搬送される未
積層の抄造体とが分離される。
【0078】本実施例では、搬送ベルト23上の抄造体
を、切断用回転ドラム30に転写させながら多層化し、
多層化させた抄造体26が所定厚さに達した段階で所定
の大きさに切断する。切断用回転ドラムにより、均一の
厚み(1.5cm)及び大きさ(1m×2m)の抄造体26
を連続的に成形することができるので、硬化体を効率的
に量産することが可能になる。
【0079】また、本実施例では、切断用回転ドラム3
0にて一端の切断された抄造体26を一定間隔で切断す
るカッタ36を備える。このため、効率的に所定長(2
m)の抄造体26を形成することができる。なお、本実
施例では、抄造体26の厚みを1.5cmとしたが、厚み
は2cm以下であることが望ましい。2cm以下の厚みであ
れば、抄造が容易であり、また、搬送等においても扱い
易い。
【0080】抄造体を反転するための反転装置40につ
いて、図7を参照して説明する。本実施例の製造装置で
は、後述するように抄造体を交互に反転しながら積層す
るため、1枚おきに抄造体26が反転される。反転装置
40は、抄造体を吸着して搬送する搬送装置42と、テ
ーブル44と、反転板46とから成る。
【0081】図7(A)に示すように、ベルトコンベア
38上の抄造体26が、搬送装置42によって反転板4
6上に載置される。反転板46が駆動され、抄造体46
を反転させる(図7(B)参照)。そして、図7(C)
に示すように反転された抄造体26が、搬送装置42に
よって図3中に示すプレス機50へ搬送される。なお、
上述したように、本実施例では、スラリー14にバイン
ダを添加することで抄造体26に可撓性を持たせ、切断
後の扱いを容易にしてある。
【0082】抄造体を加圧して脱水を行うプレス機50
について、図8及び図9を参照して説明する。図8
(A)に示すように、プレス機50は、凹部54Aを備
えるメス型54と、該凹部54Aへ嵌入するオス型52
とから成り、メス型54及びオス型52には、抄造体を
加圧した際に発生する水分を導出するための微細な通孔
54a、52aがそれぞれ形成されている。また、該プ
レス機50には、抄造体26に原料溶液14を塗布する
ためのカーテンコーター56が備えられている(図8
(B)参照)。
【0083】プレス機50での積層及び加圧について説
明する。先ず、図8(A)に示すように、メス型54の
凹部54Aに、最下層として、図7(C)を参照して上
述した反転装置40にて反転されて上記切断用回転ドラ
ム30との接触面側を下側に向けられた抄造体26が、
搬送装置42により搬入される。次に、図8(B)に示
すように、カーテンコーター56により、抄造体26の
上面、即ち、上層の抄造体との接着面に原料溶液14が
塗布される。この原料溶液の量は、抄造体1層当たり、
固形分で50g/m2〜500g/m2が好適である。な
お、ここでは、カーテンコーター56を用いているが、
ロールコーター等の種々の塗布装置を用いることができ
る。
【0084】2層目の抄造体として、図8(C)に示す
ように、ベルトコンベア38上の抄造体26が反転され
ることなくメス型54の凹部54Aへ搬送装置42によ
り搬入される。その後、図9(A)に示すように、原料
溶液14を塗布した後、3層目の反転された抄造体26
が載置され、原料溶液14を塗布した後に4層目(最上
層)の反転されない抄造体26が載置され積層が完了す
る。ここでは、4層を積層しているが、2枚以上ならば
何枚でも良く、薄い硬化体を製造する際には、1枚でも
可能である。
【0085】その後、オス型52を押し下げ、加圧プレ
スを60Kg/cm2で行う(図9(B)参照)。この際、抄
造体26から染み出る水分を、通孔54a、52aを介
して外部へ導出する。その後、オス型52を上げて(図
9(C)参照)、加圧により形成した複合硬化体1をメ
ス型から取り出し、乾燥機60へ搬送する。
【0086】本実施例では、加圧を型枠(凹部54A)
中で行うため、高圧で加圧しても抄造体26が千切れな
くなり、製紙スラッジから高強度の硬化体1を高い歩留
まりで製造することが可能となる。また、オス型52及
びメス側54に抄造体26から染み出る水分を抜くため
の通孔52a、54aを備えるため、加圧の際に脱水を
行い、後の乾燥による硬化工程を短時間で完了させれ
る。また、製紙スラッジの抄造体を原料溶液14を介在
させて複数積層せるため、剥離の生じない多層の硬化体
を製造することができる。
【0087】加圧プレスは、10〜250Kg/cm2で行う
ことが望ましい。加圧プレスを10Kg/cm2未満で行う
と、必要とされる強度を得ることができない。一方、2
50Kg/cm2を越えて加圧プレスしても強度を高めること
ができず、プレス機が大型化・高価格化するからであ
る。
【0088】本実施例では、原料溶液をワイヤーシリン
ダ(ろ水体)を用いて抄造して得られた製紙スラッジの
抄造体を、複数積層せしめる。これは、抄造により厚い
抄造体を得ることは非効率的であるので、製紙スラッジ
から薄い抄造体を効率的に抄造し、積層することで必要
とする強度及び厚みの硬化体を製造する。これにより、
製紙スラッジから効率的に硬化体を量産する。
【0089】また、本実施例の製造方法では、抄造体を
厚さ20mm以下に形成することで、製紙スラッジを効率
的に抄造し、積層することで必要とする強度及び厚みの
硬化体を製造する。このため、製紙スラッジから効率的
に硬化体を量産することが可能になる。
【0090】本実施例では、抄造体26の積層面を交互
に反転させながら積層する。即ち、反りの発生する方向
を反対にしながら抄造体26を積層するため、抄造体2
6を積層して成る硬化体1に反り、層間剥離を発生させ
ることがない。また、最上層及び最下層の抄造体につい
て、露出面を回転ドラムに接触していた面とし、フェル
トからなる搬送ベルト32と接していた凹凸の付いた面
を内側にするため、積層してなる硬化体の表面を平滑に
することができる。
【0091】更に、本実施例では、製紙スラッジを含む
原料溶液に凝集剤を添加して凝集させるため、製紙スラ
ッジから均質な比重(1.2〜1.3の範囲)の硬化体
1を量産することができる。更に、本実施例では、メス
型54内で積層を行うため、積層した抄造体を移送する
必要がなく量産に適する。本実施例では、型枠54内で
積層したが、積層後に型枠内に移送することも可能であ
る。
【0092】上記プレス機50にて加圧脱水乾燥して、
含水率を下げた後、引き続き、図3に示す乾燥機60に
て完全に脱水して硬化反応を進行させる。乾燥機60
は、電熱ヒータ62とファン64とを備え、乾燥を温度
80〜200℃で行う。乾燥機60は、電熱ヒータ62
を備えるが、この代わりに、赤外線ヒータ、蒸気、天日
乾燥機などを使用することができる。
【0093】乾燥工程を経た硬化体1は、さらに搬送さ
れて、図示しない切断機で所定の大きさに切断される。
切断は、コンベア上に配設されたカッター、或いは、鋸
などで行う。切断された複合硬化体1は、最後に図示し
ない検査機で反りなどの検査を行う。検査機としては、
X線センサ、赤外線センサなどを使用できる。また、画
像処理装置などで欠けやクラックの有無を検査してもよ
い。
【0094】ここで、抄造体の積層方向(張合向き)と
層間剥離の発生との関係について図10及び図11を参
照して説明する。図10(A)の右側に、抄造体26を
反転させて、搬送ベルトを構成するフェルト当接面側を
張り合わせた場合を示している。ここで、抄造体26
は、図3中に示す切断用回転ドラム30にて巻回された
際に応力が残り、切断後も巻回方向に沿って反ってい
る。図中の左側は、積層した抄造体26の断面を示し、
図中での凹凸は、フェルト当接面を示している。本実施
例では、図10(A)の張り合わせ方向が採用されてい
る。
【0095】図10(B)は、抄造体26を反転させず
張り合わせた場合を示している。また、図10(C)
は、抄造体26を反転させ、切断用回転ドラム当接面側
に張り合わせた場合を示している。
【0096】図11は、抄造体の張合向きと層間剥離の
発生との関係、及び、プレス機での圧力と強度との関係
を示す図表である。図表中で、塗布量とは抄造体と抄造
体との間の原料溶液14を塗布量を示し、圧力とはプレ
ス機での圧力を、時間とは加圧時間を示し、密度は乾燥
前の硬化体の密度であり、最大荷重は、乾燥後の硬化体
の耐え得る荷重、即ち、強度を示している。また、含水
率は、加圧後の値である。収縮率厚さとは、厚さ方向の
収縮率を、収縮率長さとは長さ方向の収縮率を、収縮率
幅とは幅方向の収縮率を示している。ここでは、5枚の
抄造体を積層しており、剥離層数とは5枚中の剥離した
層の数を、剥離辺数とは4隅の内で剥離の発生した数
を、剥離長さは、剥離の生じた部分の総延長を示してい
る。
【0097】先ず、圧力を高めることにより、最大荷重
を高め得ることが分かる。また、張合向きとして図10
(A)に示す”A”を採用し、60Kg/cm2の圧力を加え
ることで層間剥離が完全に防げることが分かる(No.
9参照)。本実施例では、製紙スラッジを原料として用
いるため、収縮率が大きく、乾燥の際に、切断用回転ド
ラム30にて巻回された際に残った応力が作用して剥離
が発生し易いが、抄造体を反転させて張り合わせること
で、剥離を防ぐことができる。なお、本実施例では、1
層毎に抄造体を反転したが、2層おき、また、3層おき
に反転させて積層することによっても、反り及び層間剥
離を防ぐことができる。
【0098】上述した工程で得られた複合硬化体を、蛍
光X線分析装置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析し
た一例を下記に示す。酸化物に換算して、下記の組成で
あることが判った。なお、パルプについては、1100℃で
焼成して重量減少量から測定した。 記 パルプ: 51.4 重量%, SO3 : 0.5 重量% SiO2 : 24.2 重量%, P2 5 :0.2 重量% Al2 3 :14.0 重量%, Cl: 0.2 重量% CaO: 8.0 重量%, ZnO: 0.1 重量% MgO: 1.4 重量%, その他: 微量 TiO2 : 1.0 重量%,
【0099】実施例、比較例の製造条件は以下である。
抄造体を5枚重ねて反転させて積層し多層化した。
【0100】
【表1】 製紙スラッジ 凝集剤 セメント ビニロン繊維 回転速度 回/分 実施例1 95% 3% 0% 2% 2.0 実施例2 90% 2% 5% 3% 20 実施例3 98% 0.1% 0% 1.9% 40 実施例4 80% 0.02% 15% 4.98% 50 実施例5 70% 3% 25% 2% 60 実施例6 90% 2% 0% 8% 80 実施例7 65% 5% 28% 2% 100 比較例1 95% 0% 0% 5% 0.8 比較例2 95% 0% 0% 5% 105 比較例2については、多層化せず、20mmのものを使用した。
【0101】また、実施例8については以下のように調
整した。いずれも反転多層させた。 実施例8 未焼成の製紙スラッジ(丸東窯材社の取り扱う中村製紙
のOA機器用の低質紙:固形分34重量%、水分66重
量%)3020重量部を用意した。次に、2N塩酸水溶
液を用いて、酸洗浄し、Ca成分をほぼ完全に除去し、
これをAとした。
【0102】A パルプ:51.2重量% MgO:1.6重量% SiO2:18.6重量% SO3:3.5重量% Al23:22.3重量% P25:0.3重量% CaO: 0.0重量% Cl:0.1重量% ZnO:0.2重量% その他 微量
【0103】また、丸東窯材社が取り扱う牧製紙株式会
社のインクジェットプリンタ用紙の製紙スラッジ;固形
分51重量%、水分49重量%をBとした。 B パルプ:21.8重量% SiO2:4.6重量% Al23: 7.5重量% P25:0.1重量% CaO:65.0重量% Na2O:0.2重量% SO3: 0.2重量% その他 微量 炭酸カルシウムの量は、55重量%であった。
【0104】また、丸東窯材社が取り扱う牧製紙株式会
社のインクジェットプリンタ用紙の製紙スラッジ:固形
分51重量%、水分49重量%にさらに炭酸カルシウム
(立方形状)を10重量%添加してCとした。
【0105】C パルプ:15.0重量% SiO2:2.6重量% Al23: 5.5重量% P25:0.1重量% CaO:75.0重量% Na2O:0.2重量% SO3: 0.2重量% その他 微量 炭酸カルシウムの量は、65重量%であった。
【0106】以上A、B、Cを適宜混合して試料を調整
して、実施例1と同様に抄造して、硬化体を製造し、曲
げ強度、圧縮強度、釘打ち性を測定した。その結果を図
15〜図18のグラフに示した。ここで、図15はCa
O/SiO2と圧縮強度との関係を示し、縦軸に圧縮強
度(Kg/cm2)を横軸にCaO/SiO2の割合を取っ
てある。図16はCaO/Al23と圧縮強度との関係
を示し、縦軸に圧縮強度(Kg/cm2)を横軸にCaO/
Al23の割合を取ってある。図17は、CaOの含有
量と曲げ強度・圧縮強度との関係を示し、縦軸に曲げ強
度・圧縮強度(Kg/cm2)を横軸にCaOの含有量
(%)を取ってある。図18はCaOの含有量と釘引き
抜き強度との関係を示し、縦軸に釘引き抜き強度(Kg
/cm2)を横軸にCaOの含有量(%)を取ってある。
図15に示すように、硬化体は、Ca、Al、Siの量
がそれぞれCaO、Al23、SiO2に換算してCa
O/SiO2の比率0.2から7.9の際に、高い圧縮
強度を発揮する。一方、図16に示すように、硬化体
は、CaO/Al23の比率が0.2から12.5の際
に高い圧縮強度を発揮する。
【0107】以上の実施例および比較例で得られた厚さ
20mmの複合硬化体について曲げ強度、圧縮強度、加工
性および釘打ち性、破壊靭性、耐磨耗性について試験を
行った。その結果を表2に示す。なお、試験方法は、曲
げ強度がJIS A 6901に、また圧縮強度がJI
S A 5416に規定された方法に、それぞれ準じて
測定した。また、加工性は、木工用丸鋸にて切断加工を
行い、加工性を判断した。さらに、釘打ち性について
は、直径4mm、長さ50mmの釘を打ちつけ、クラッ
クの有無を調べた。破壊靭性値は、ビッカース硬度計
(明石製作所 MVK−D)により圧子を圧入して生じ
たクラックの長さから計算した。ヤング率は、曲げ破壊
試験のカーブから計算し、1.4から2.7kgf/c
2であり、この値を用いた。明度については、マンセ
ル色票を使用した。
【0108】
【表2】 曲げ強度 圧縮強度 加工性 釘うち性 破壊靭性 明度 kg/cm2 kg/cm2 MPa・m1/2 実施例1 330 850 加工可 なし 3.3 7 実施例2 335 860 加工可 なし 3.3 7 実施例3 340 865 加工可 なし 3.3 7 実施例4 308 800 加工可 なし 3.1 5.5 実施例5 310 800 加工可 なし 3.1 5.5 実施例6 330 850 加工可 なし 3.3 7 実施例7 310 800 加工可 なし 3.3 5.0 比較例1 270 850 加工可 なし 3.0 7 比較例2 375 850 加工可 なし 3.0 7 ばらつき% 実施例1 1.5 実施例2 1.5 実施例3 2.0 実施例4 1.8 実施例5 2.0 実施例6 2.0 実施例7 1.8 比較例1 8.9 比較例2 9.0
【0109】また、実施例1の複合硬化体について、X
線回折により結晶構造を確認した。そのX線回折のチャ
ートを図12、図13に示す。なお、X線回折は、Ri
gaku製MiniFlexを使用し、Cuをターゲッ
トとした。2θ=15°〜30°の領域にゆるやかな起
伏(ハロー)が観察されるとともに、結晶構造を示すピ
ークも観察され、非晶質構造中に結晶構造が混在してい
ることが判る。また、ピークからは、炭酸カルシウムの
結晶(Calsite)が同定された。
【0110】引き続き、本発明の第2実施例に係る硬化
体の製造方法及び硬化体の製造装置について、図14を
参照して説明する。この第2実施例は、抄造体を切断方
法及び積層方向を除いて第1実施例とほぼ同様である。
このため、切断方向及び積層方向を除いて、説明を省略
する。上述した第1実施例では、抄造体26が1m×2
mに切断された。これに対して、第2実施例では、カッ
タ36により、抄造体26が1m×1mに切断される。
また、ベルトコンベア38から搬送装置42にて抄造体
26が反転装置40の反転板46に載置させる際に、水
平方向に90度捻ってから載置される。即ち、抄造体を
積層する際に、ワイヤーシリンダ22A、22B、22
Cから搬送ベルト23への転写方向がずれるようにす
る。抄造体26は、搬送ベルト23への転写方向に沿っ
て強度差が発生する。具体的には、転写方向に沿って曲
げを加えた際の強度を1とすると、転写方向と垂直方向
の強度が0.8程度になる。第2実施例では、抄造体2
6を積層する際に、搬送ベルト23への転写方向がずれ
るように積層することで、均一な強度を有する硬化体を
製造する。
【0111】上記複合硬化体1の一応用例として、複合
建築材料について以下に説明する。すなわち、図19に
示すように、芯材5の少なくとも片面に、図示例では両
面に補強層6が形成された複合建築材料において、該芯
材5に、この発明の方法で製造した複合硬化体1を適用
する。すなわち、芯材5をこの発明の方法で製造する複
合硬化体1とすることによって、この芯材に引っ張り力
が加わった場合でも、芯材自体が曲げ強度に優れている
ため、しかも芯材の表面に補強層が設けられていること
も相まって、容易に破壊が起きない構成となっている。
また、表面に局所的に圧力が加わっても凹みや窪みが生
じることもない。
【0112】さらに、この複合建築材料は、その使用に
当たり、補強層6の上に塗装、化粧板および化粧単板な
どによる化粧層を設けることになるから、耐衝撃性が向
上して、凹みなどのキズが生じにくくなり、化粧面がキ
ズにより歪んで意匠性を低下させることもない。
【0113】また、補強層6は、樹脂6a中に繊維基材
6bを埋設した構造になる。この樹脂6aには、特に熱
硬化性樹脂を用いることが望ましい。すなわち、熱硬化
性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ高温下で
も軟化しないため、補強層としての機能が失われないか
らである。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メ
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹
脂などが適合する。そして、補強層に充分な剛性と耐衝
撃性、さらに高い耐火性を付与するには、補強層におけ
る熱硬化性樹脂の含有量を、10重量%〜65重量%の
範囲にすることが望ましい。
【0114】一方、繊維基材6bには、無機質繊維を用
いることが望ましい。なぜなら、補強層6の強度を向上
し、かつ熱膨張率を小さくすることができるからであ
る。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウール、セラ
ミックファイバー、ガラス繊維チョップドストランドマ
ット、ガラス繊維ロービングクロス、ガラス繊維コンテ
ィニュアスストランドマット、ガラス繊維ペーパーのう
ち一種以上を用いることが、低価格でかつ耐熱性並びに
強度に優れる点で好ましい。この繊維基材は、非連続の
繊維をマット状に成形したもの、または連続した長繊維
を3〜7cmに切断してマット状にしたもの(いわゆる
チョップドストランドマット)、水で分散させてシート
状にすきあげたもの、連続した長繊維を渦巻き状に積層
しマット状にしたもの、あるいは連続した長繊維を織り
あげたものが、適用できる。
【0115】さらに、補強層の厚さは、0.1mm〜
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性などが得られ、かつ高い加工
性を維持できるからである。なお、補強層には、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃化剤、な
らびにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラスなど一般に
使用される無機質の結合剤を添加してもよい。ここで
は、補強層を設けたが、硬化体が水分を吸収しないよう
に、表面を樹脂等でコートすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。
【図2】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。
【図3】 本発明の第1実施例に係る硬化体の製造装置
の概念図である。
【図4】 (A)、(B)は、原料調整機構の概念図で
ある。
【図5】 抄造機構の概念図である。
【図6】 (A)、(B)、(C)は、切断用回転ドラ
ムの動作の説明図である。
【図7】 (A)、(B)、(C)は、反転装置の動作
の説明図である。
【図8】 (A)、(B)、(C)は、プレス機の動作
の説明図である。
【図9】 (A)、(B)、(C)は、プレス機の動作
の説明図である。
【図10】 (A)、(B)、(C)は、抄造体の張合
せ向きの説明図である。
【図11】 抄造体の張合向きと層間剥離の発生との関
係、及び、プレス機での圧力と強度との関係を示す図表
である。
【図12】 実施例に係る複合硬化体のX線回折のチャ
ートである。
【図13】 実施例に係る複合硬化体のX線回折のチャ
ートである。
【図14】 本発明の第2実施例に係る硬化体の製造装
置の概念図である。
【図15】 CaO/SiO2と圧縮強度との関係を示
すグラフである。
【図16】 CaO/Al23と圧縮強度との関係を示
すグラフである。
【図17】 CaOの含有量と曲げ強度・圧縮強度との
関係を示すグラフである。
【図18】 CaOの含有量と釘引き抜き強度との関係
を示すグラフである。
【図19】 この発明の複合硬化体を用いた複合建築材
料の断面模式図である。
【符号の説明】
1 複合硬化体 2 非晶質体 3 繊維状物 4 無機粉末 5 芯材 6 補強層 10 原料調整機構 14 原料溶液(スラリー) 15 脱水容器 16 フィルター 17 真空ポンプ 18 チェストタンク 20 抄造機構 21A、21B、21C バット 22A、22B、22C ワイヤーシリンダ 23 搬送ベルト 24 吸引ボックス 26 抄造体 30 切断用回転ドラム 31 ピアノ線 32 貯留溝 33 収容溝 36 カッタ 38 ベルトコンベア 40 反転装置 42 搬送装置 44 テーブル 46 反転板 50 プレス機 52 オス型 52a 通孔 54 メス型 54A 凹部 54a 通孔 56 カーテンコーター 60 乾燥機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 哲司 岐阜県大垣市神田町2丁目1番地 イビデ ン株式会社内 (72)発明者 野村 敏弘 岐阜県大垣市神田町2丁目1番地 イビデ ン株式会社内 Fターム(参考) 4L055 AF50 BF02 BF04 CJ01 CJ02 FA20 FA22 FA23 GA24

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製紙スラッジを含む原料溶液を1〜10
    0回/分で回転する回転ドラムを用いて抄造し、該回転
    ドラム表面に製紙スラッジの抄造体を付着させると共
    に、この抄造体を搬送ベルトに転写した後に転送し、所
    定の大きさに切断し、抄造体を硬化させて製紙スラッジ
    の硬化体を得ることを特徴とする硬化体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記製紙スラッジを含む原料溶液の濃度
    が、固形分3.5〜25重量%であることを特徴とする
    請求項1の硬化体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記搬送ベルトで搬送しながら、前記抄
    造体から脱水することを特徴とする請求項1又は2の硬
    化体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記搬送ベルト上の抄造体を、切断用回
    転ドラムに転写させながら多層化し、多層化させた抄造
    体が所定厚さに達した段階で切断することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかの硬化体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記切断した抄造体をさらに多層化した
    後、加圧プレスすることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1の硬化体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記加圧プレスを10〜250Kg/cm2
    行うことを特徴とする請求項5の硬化体の製造方法。
  7. 【請求項7】 製紙スラッジを含む原料溶液を抄造し、
    表面に製紙スラッジの抄造体を付着させる回転速度が1
    〜100回/分の回転ドラムと、前記回転ドラムの表面
    に付着した抄造体を転写して、搬送する搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトを搬送された抄造体を所定の大きさに切
    断する切断装置と、前記切断された抄造体を硬化させて
    製紙スラッジの硬化体を得る硬化装置とを備えることを
    特徴とする硬化体の製造装置。
  8. 【請求項8】 前記回転ドラムは、網状体からなること
    を特徴とする請求項7の硬化体の製造装置。
  9. 【請求項9】 前記回転ドラムを搬送ベルトに沿って複
    数個併設し、当該搬送ベルトに多層化させながら抄造体
    を転写することを特徴とする請求項7又は請求項8の硬
    化体の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記回転ドラムは、♯40〜150の
    網目構造を有することを特徴とする請求項7〜請求項9
    のいずれか1の硬化体の製造装置。
  11. 【請求項11】 前記搬送ベルトの搬送速度が5〜80
    m/分であることを特徴とする請求項7〜請求項10の
    いずれか1の硬化体の製造装置。
  12. 【請求項12】 前記搬送ベルトは、連続する気孔を有
    する多孔質体で構成されていることを特徴とする請求項
    7〜請求項10のいずれか1の硬化体の製造装置。
  13. 【請求項13】 前記切断装置は、抄造体を転写させな
    がら多層化する切断用回転ドラムから成り、当該切断用
    回転ドラムが、表面に水を滞留させる溝と、この溝の近
    傍に位置し、内部から抄造体を押し出すための押出機構
    とを備え、該切断用回転ドラム表面の多層化させた抄造
    体が所定厚さに達した段階で、前記押出機構を作動さ
    せ、前記溝に対応する位置で前記抄造体を切断すること
    を特徴とする請求項7の硬化体の製造装置。
  14. 【請求項14】 前記切断装置が、更に、前記切断用回
    転ドラムにて一端の切断された抄造体を一定間隔で切断
    する刃を備えることを特徴とする請求項13の硬化体の
    製造装置。
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