JP2001327516A - 歯科用陶材 - Google Patents

歯科用陶材

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JP2001327516A
JP2001327516A JP2000147946A JP2000147946A JP2001327516A JP 2001327516 A JP2001327516 A JP 2001327516A JP 2000147946 A JP2000147946 A JP 2000147946A JP 2000147946 A JP2000147946 A JP 2000147946A JP 2001327516 A JP2001327516 A JP 2001327516A
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firing
dental
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metal
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Hiromasa Tomita
弘正 冨田
Masao Kuze
征夫 久世
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Shofu Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼成により微膨張し、焼成後の強度が歯科臨
床に耐え得る歯科用補綴物を作成するための歯科用陶材
を提供する。 【解決手段】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
および/または金属酸化物粉末の混合物を原料とし、成
形焼成することによって人工歯冠を作製するための歯科
用陶材であって、該陶材の焼成後の寸法/焼成前の寸法
>1であること、および焼成後の曲げ強度が200MP
a以上であることに特徴付られる歯科用陶材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウ蝕や事故によっ
て損傷した歯を元来の形状および機能を有するように歯
にかぶせるセラミックス製の内冠(コア)、オンレー、
ラミネートベニア、及びクラウン等の人工歯冠を作製す
るのに用いることのできる歯科材料である歯科用陶材、
および人工歯冠の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に損傷した歯を、元来の形状および
機能を有するように修復する際に用いられる人工歯冠
は、材料によって、メタルセラミックスクラウンと、オ
ールセラミックスクラウンとに区別される。
【0003】メタルセラミックスクラウンは、金、銀、
白金、またはパラジウムのような貴金属合金や、ニッケ
ル、クロム、コバルトのような卑金属合金により作製さ
れた金属冠に、セラミックスの陶材粉末を溶着させて、
自然の歯と類似する色調を発揮するようにしたものであ
り、現在、人工歯冠の主流を占めている。しかしなが
ら、このようなメタルセラミックスクラウンは外観上、
審美性が乏しく、そのうえ患者によっては、金属に対す
る過敏な反応を起こす可能性がある。
【0004】オールセラミックスクラウンは、人工歯、
補綴物の全てをセラミックス材料のみによって作製し、
削除された歯質上に接着させる歯冠である。このオール
セラミックスクラウンは、前記メタルセラミックスクラ
ウンとは異なり、自然の歯と同様な色調に容易に作製す
ることができ、優美な審美性を発揮し、生体との適合性
が優れ、人体への過敏な反応が発生しないため、現在、
多くの関心が集まっている。
【0005】そこで前記メタルセラミックスクラウンを
オールセラミックスクラウンによって代替しようとする
研究が盛んに行われ、それに用いられる多様なセラミッ
クス材料と、製造工程とが開発されている。しかしなが
ら、セラミックス固有の低い靭性および物理的材料強度
により、十分臨床に耐えうる強度と高い適合精度を兼ね
備えた製品はまだ知られていない。
【0006】従来のオールセラミックスクラウンは、メ
タルセラミックスクラウンに比べて審美性には優れてい
るが、その機械的強度に問題があった。しかしこの機械
的強度の強いものとしては、近年、Procera AllCeram,
In-Ceram等のメタルセラミックスクラウンに遜色無い
強度を有する材料が開発されている。
【0007】しかしかかるオールセラミックスクラウン
は、焼成時の焼成収縮及び結晶化(セラミング)時に収
縮することが知られており、歯冠修復物に対する加工精
度を維持するのが大変である。
【0008】In-Ceramに関しては、米国特許第4,772,43
6に開示されているごとく、アルミナまたはアルミナと
ジルコニアの混合物をセラミックスの原料として用いた
ものであり、これに水を添加して懸濁液を調製し、さら
に安定化剤としてポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、セルロースエステルまたは珪酸ナトリウムを添加
し、さらにpH調整剤を添加したものである。得られた
懸濁液は、歯の模型に被覆して基本構造を形成し、次い
で熱処理によりこの模型を収縮させて分離させ、補綴物
を得るというものである。
【0009】このIn−Ceramによる歯科用補綴物を調製
する際に用いられる型は、たとえば乾燥の際に膨張する
半水石膏(CaSO4・1/2H2O)によって、あるいはアルミ
ナ、シリカのような耐火性の材料と、珪酸ナトリウム、
珪酸エチル、硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウムのご
とき結合剤を添加した混合物を用いて製造してもよい。
かかる型に被覆されたセラミックス原料は、焼成し、開
孔型の骨組み構造を形成させ、得られた骨組み構造にガ
ラスを浸透させて陶材内冠を製造している。この骨組み
構造は焼成される際に収縮するが、上記歯の模型を作成
する際の膨張によりこの収縮は相殺されるため、高い精
度が確保できる。
【0010】ニアネットシェイプ(nearnet shape)性
の高い、適合精度の高い歯冠修復物を作るため、近年CA
D-CAMシステムの制御下でのオールセラミックスクラウ
ンを作る試みがなされている。しかしながら、陶材原料
として用いられるブロックはいずれも焼成により収縮す
るため、CAD&CAMシステムにて成形加工する際に
は、測定したデータを元に収縮見込み分を拡大した値に
基づいて加工することが行われている。
【0011】一般工業界では、従来よりニアネットシェ
イプ(near-net shape)の技術として反応焼結(racti
on-bonded)が知られている。発表されている反応焼結
の論文を以下に列記する:
【0012】1. Yosiyuki Yasutomi,Akio Chiba,and Ma
sahisa Sobue,"Development of Reaction-Bonded Elect
rconductive Sillcon Nitride-Titanium Nitride and R
esistive Sillcon Nitride-Aluminum Oxide Composite
s"J.Am.Ceram.Soc.,74[5]950-57(1991) ニアネットシェイプについて言及されている。寸法変化
は、0.3%以下である。また、曲げ強度は、460MPaであ
る。
【0013】2. Suxing Wu and Nils Claussen,"Fabric
ation and Properties of Low-Shrikage Reaction-Bond
ed Mullite"J.Am.Ceram.Soc.,74[10]2460-63(1991) 収縮率0.1%、強度は、290MPaである旨が開示されてい
る。又、Introductionにおいてreaction-bonded Al2O
3(RBAO)では現在5%〜10%の線収縮が発生しているが、将
来、Zr,Cr,SiC等を添加することにより、ゼロ収縮のRBA
Oが作られるであろうと述べられている。
【0014】3. Suxing Wu,Dietmar Holz,and Nils Cla
ussen,"Mechnisms and Kinetics of Reaction-Bonded A
luminum Oxide Ceramics"J.Am.Ceram.Soc.,76[4]970-
80(1993) ZrO2添加のRBAOが作製されるであろうと述べられてい
る。
【0015】4. Dietmar Holz,Suxing Wu,Sven Scheppo
kat,and Nils Claussen,"Effect of Processing Parame
ters on Phase and Microstructure Evolution in RBAO
Ceramics"J.Am.Ceram.Soc.,77[10]2509-17(1994) 1,Introduction でRBAOは低収縮〜収縮ゼロのAl2O3
ラミックスであると述べられている。
【0016】5. Suxing Wu,"Reaction Bonding and Mec
hanical Properties of Mullite/Silicon Carbide Comp
osites"J.Am.Ceram.Soc.,77[11]2898-904(1994) reaction-bondedコンポジットの線収縮は、7.2%,4.8%、
3%であり、強度は、610,580,490MPaであると述べられて
いる。1,Introduction においてRBAOで無収縮のnet-s
hapeな成型は、アルミニウム単独では不可能で、焼成収
縮を減らす為に、他のセラミックスや金属を添加する必
要があると述べられている。
【0017】6. Nils Claussen ,Rolf Janssen,and Die
tmar Holz,"Reaction Bonding of Aluminum Oxide(RBA
O)"Journal of Ceramic Society of Japan 103[8]74
9-758(1995) 2,The RBAO process 2.1 Technology において、収
縮を減らして無収縮にするために、Zr,Cr,Ti,Nb,Si,Si
C,etcを添加することができると述べられている。
【0018】7. 大塚 敦、富岡 聡志、原田 真二
“無収縮アルミナ材料”「粉体および粉末冶金」44,729
-733(1997) 線収縮率が0.7%,6%,10%である述べられている。
【0019】以上のように一般工業界では、従来よりニ
アネットシェイプの技術として反応焼結(reaction-bon
ded)の報告が数多くあるが、どれも収縮を示しており
歯科用に用いることが出来なかった。
【0020】従来よりAl2O3-Alの系として公知であるRe
action Bonding of Aluminum Oxide(RBAO)では、歯科用
陶材冠組成物としての具備しなければならない強度を達
成しているものもある。しかしながら、いずれも焼成時
に収縮するため、適合性について好ましいものはない。
【0021】臨床上、歯冠修復物に必要な加工精度は、
セメントラインとして、約20〜70μm大きいものが望ま
しい。通常技工士は辺縁部で30μm程度の精度で適合す
るように加工している。RBAO系では現在のところ、高い
精度での加工が可能なよう焼成により膨張し、かつ一定
以上の強度を提供するものは存在しない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、RBAO系の歯
科用陶材において、焼成によりわずかに膨張し、かつ一
定以上の強度が得られる歯科用陶材を提供することを目
的とする。
【課題を解決する手段】
【0023】本発明者らはアルミニウム粉末を主体とす
る金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を原
料として用い、焼成により微膨張する歯科用陶材を提供
できることを見出し、本願を完成した。
【0024】本発明は、アルミニウム粉末を主体とする
金属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物を含
み、成形、焼成することによって人工歯冠を作製するた
めの歯科用陶材であって、該材料の焼成後の寸法/焼成
前の寸法>1であること、および焼成後の曲げ強度が20
0MPa以上であることに特徴付られる歯科用陶材を提
供する。
【0025】なお、本明細書において「アルミニウム粉
末を主体とする」とは、金属粉末および/または金属酸
化物粉末の混合物中、アルミニウム粉末を50重量%以上
含有することを意味する。
【0026】本明細書において、歯科用陶材の寸法とは
線寸法をいうものとする。本明細書においては歯科用陶
材を25mm×6mm×2mmに成形加工した試験片の、焼成前後
の線寸法を測定して、その膨張率を計算した。
【0027】曲げ強度とは歯科用セラミックの国際規格
ISO 6872(1995)に準じて3点曲げ試験に
より測定されるものをいう。本明細書においては25mm×
6mm×2mmに成形加工し、これを焼成した試験片の3点曲
げ強度を測定した。
【0028】本発明の歯科用陶材の1態様としては、金
属粉末および/または金属酸化物粉末の混合物が、アル
ミニウム粉末100%から構成されるものが挙げられる。
【0029】本発明の歯科用陶材の別の態様としては、
アルミニウム粉末を主体とする金属粉末および/または
金属酸化物粉末の混合物が、アルミナ粉末を含有する混
合物である。
【0030】本発明のさらに別の態様としては、アルミ
ニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸
化物粉末の混合物が酸化ジルコニウム粉末を含有する混
合物である。
【0031】本発明の更なる態様としては、アルミニウ
ム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物
粉末の混合物がアルミナ粉末および酸化ジルコニウム粉
末を含有する混合物である。
【0032】本発明の歯科用陶材は、アルミニウム粉末
を主体とする金属および金属酸化物粉末の混合物あるい
は、該粉末混合物を適当な媒体とともに湿式混合した後
に乾燥させて得られる乾燥組成物であってもよい。さら
に(1)粉末混合物または乾燥組成物を加圧成形したブ
ロック、(2)粉末混合物及び/または乾燥組成物と、
結合材、滑材、可塑剤および助剤を混合して得られる射
出成形用コンパウンド組成物、これを射出成形したブロ
ック、(3)粉末混合物及び/または乾燥組成物と結合
材、解膠材、溶媒を混合して作製される鋳込スラリー組
成物も本発明の範囲である。
【0033】本発明の歯科用陶材の各態様は、従来から
良く知られた技術により人工歯冠用陶材内冠(コア)、
オンレー、ラミネートベニア、クラウンなどの所望の形
状に成形加工し、その後酸化雰囲気下で焼成される。い
ずれの態様においても、本発明の歯科用陶材は焼成後の
寸法が焼成前のものより大きくなり、好適な適合性を示
す。また、本発明の歯科用陶材は、焼成後の曲げ強度2
00MPa以上を示す。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の歯科用陶材の原料として
用いるアルミニウム粉末としては、平均粒子径0.1μm
〜500μmのもの、好ましくは0.1μm〜100μmのも
の、さらに好ましくは0.1μm〜50μmのもの、最も好
ましくは0.1μm〜0.5μmのものを用いる。アルミニウ
ムは純度99%以上のもの、特に99.99%以上のものが好
ましい。
【0035】本発明の歯科用陶材の原料として用いるア
ルミナ粉末としては、平均粒子径0.1μm〜500μmのも
の、好ましくは0.1μm〜100μmのもの、さらに好まし
くは0.1μm〜50μmのもの、最も好ましくは0.1μm〜
0.5μmのものを用いる。アルミナは純度99%以上の
もの、特に99.99%以上のものが好ましい。アルミナの
一部は板状アルミナ、例えばLonza製板状アルミナ(α
型 平均粒径16μmアスペクト比5〜20 純度99
%単結晶)、ファイバー、例えばEFG法によるサファ
イア(α−Al23)の連続繊維あるいはウィスカー、
例えば径3〜50μm、長さ1〜3mmの針状、リボン
状のα型Al23ウィスカーであってもよい。
【0036】本発明の歯科用陶材の原料として用いる酸
化ジルコニウム粉末としては、平均粒子径が0.1μm〜5
00μm、より好ましくは0.1〜50μmのものがよい。ま
た更に、0.1μm以下のものが好ましい。
【0037】酸化ジルコニウムは、純度が95%以上のも
のが好適に用いられ、好ましくは純度99%以上、さらに
好ましくは99.9%以上のものである。
【0038】本発明の歯科用陶材の原料としてのアルミ
ニウム粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸
化物粉末の混合物としては、アルミニウム粉末を50から
100重量%、特に50から85重量%含有するものが好適に
用いられる。結合材成分を含まない歯科用陶材組成物の
場合は、アルミニウム粉末が50〜55重量%含まれている
のが好ましく、以下に示すコンパウンド組成物の場合に
は、アルミニウム粉末が75〜85重量%、またスラリー組
成物の場合には、アルミニウム粉末が80〜100重量%含
まれているものが好ましい。
【0039】アルミナ粉末を用いる場合、アルミナ量と
しては10〜50重量%、好ましくは15〜50重量%である。
アルミナとして一部が板状および/またはファイバーま
たはウイスカーアルミナを用いる場合、その添加量は、
全アルミナ成分の5〜50重量%、より好ましくは15〜40
重量%とするのがよい。
【0040】酸化ジルコニウムを含有する場合、酸化ジ
ルコニウムはアルミニウム粉末を主体とする金属粉末お
よび/または金属酸化物粉末の混合物全体の10〜25重量
%含有されていることが好ましい。酸化ジルコニウムお
よびアルミナの両方を含有する場合、それぞれの含有量
は、重量比をAl/Al23/ZrO2=50〜95/5〜50
/1〜25とするのが好ましい.
【0041】さらに、金属粉末および/または金属酸化
物粉末の混合物は、Zr、Cr、Ti、Nb、SiおよびSiCから
なる群より選ばれた1種または2種以上の無機材料を含
有させてもよい。さらにムライトの板状および/または
ファイバーおよび/またはウイスカーを含有することも
可能である。上記無機材料の添加量は、金属粉末および
/または金属酸化物粉末の混合物全体の5〜25重量%で
ある。
【0042】本発明の歯科用陶材は、アルミニウム粉末
を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の
混合物を、有機溶媒の下で磨砕、混合し、乾燥させて得
られる乾燥組成物であってもよい。乾燥後に適当なメッ
シュで篩にかければ、顆粒状の混合物が得られ、取り扱
いしやすい。
【0043】乾燥組成物を作製する際に、本発明に用い
る金属粉末および/または金属酸化物粉末を湿式にて磨
砕、混合するには、純度の高いアルミナ製ポットおよび
ボールを用いて、ポット混合、磨砕を行うのが好まし
い。乾燥組成物は、ポット中へ原料粉末および有機溶媒
を投入し、有機溶媒の存在下で粉末を湿式混合し、次い
で乾燥させることによって得られる。湿式混合する際
に、混合、磨砕を十分行うほど、良好な歯科用陶材が得
られる。
【0044】湿式混合する際に用いる有機溶媒として
は、無水エタノール、アセトン、2-プロパノ-ルが例示
される。なお、湿式混合の際はアルミニウムへの物理吸
着水や化学結合水が含まれないよう、注意する必要があ
る。水の存在によりアルミニウムが水酸化アルミニウム
に変化すると、後の焼成時にブローティングの原因とな
り好ましくない。湿式混合により内容物粉末の粒径が0.
1〜0.5μmとなるよう作製するのが好ましい。
【0045】湿式混合したものの乾燥は、従来良く知ら
れた方法、例えばロータリーエバポレーターなどを用い
て行えばよい。乾燥後の組成物は、80mesh 〜200mesh
のナイロン篩で篩うことにより顆粒化され、取り扱いが
容易となる。
【0046】アルミニウム粉末を主体とする金属粉末お
よび/または金属酸化物粉末の混合物に板状アルミナ、
ファイバー、ウィスカー等を合わせる場合には、原料を
配合当初より添加する。
【0047】本発明の乾燥組成物は、歯科技工士等が以
下に示すごとき加圧成形ブロック、コンパウンド組成
物、あるいはスラリー組成物を作製する材料として好適
に用いられる。
【0048】本発明の歯科用陶材は、上記で得られた乾
燥組成物を加圧成形したブロックであってよい。加圧成
形ブロックを作製する際、上記乾燥組成物に加えて快削
性向上のために重合度の調整されたポリエチレン、ポリ
プロピレン、酢酸ビニル等の熱可塑性バインダーを10重
量%以下の含有量で添加する。この場合、脱脂工程が必
須となる。
【0049】本発明の加圧成形ブロックはこれを所望の
形状に成型した後焼成して歯科用補綴材料を作製するこ
とができる。加圧成形ブロックは、乾燥組成物を、バイ
ンダーを加えない状態で適当な型、例えば14mm×14mm×
18mmに入れ、適当な成形圧で成形すればよい。成形圧
は、20〜50MPa、特に40〜50MPaとするのが好ましい。加
圧には、例えばラバープレスを用い、冷間静水圧下でブ
ロックを成形すればよい。
【0050】こうして得られるブロックは、切削によ
り、人工歯冠用陶材内冠(コア)、オンレー、ラミネー
トベニア及びクラウンなど所望の形状に加工し、これを
焼成して、歯科用補綴物を作製すればよい。切削による
成形加工は、従来から用いられているCAD/CAM技
術の制御下において、ダイヤモンド砥石などの通常良く
知られた道具を用いて、所望の形状に作製すればよい。
CAD&CAMシステムを用いた切削方法は当業者には
よく知られている。歯科で用いられているCAD&CA
Mシステムは支台歯模型の形を計測し、支台歯に適合す
るように切削加工を行う。切削は乾式で行うことが好ま
しい。本発明の歯科用陶材は切削加工後の焼成により微
膨張するため、CAD&CAMシステムにおいて大きめ
のサイズに作製する必要は無く、測定したそのままの大
きさで作製することができる。切削により得られる成形
加工品は次いで、焼成して歯科用補綴物として提供され
る。
【0051】本発明の歯科用陶材は、上記乾燥組成物と
結合材、滑材、可塑剤および助剤とを混合したコンパウ
ンド組成物であってもよい。コンパウンド組成物として
は、本発明の乾燥組成物と、従来歯科用陶材のコンパウ
ンド組成物の成分として用いられてきた各成分を含有す
ることができる。乾燥組成物が本発明のものであればそ
の他の成分については特に限定されないが、特に以下の
ごとき組成: 乾燥組成物 100重量部 結合材 8〜40重量部 滑材 0〜40重量部 可塑剤 0〜15重量部 助剤 0〜8重量部 のものが好適に用いられる。結合材は15〜40重量部であ
るものが特に好ましい。乾燥組成物と、他の成分との混
合は、従来良く知られたコンパウンド組成物製造工程、
即ち原料秤量→混練→造粒の順で行えばよい。混練、造
粒工程は例えば従来からコンパウンド組成物の製造に良
く使われている加熱式ニーダーを用い、適当な形状のも
のを得ればよい。コンパウンド組成物の形状は特に限定
されないが、例えば粒径約3mmの顆粒状とするのが、
扱いやすく、好ましい。
【0052】コンパウンド組成物を作製するにあたっ
て、結合材、滑材、可塑材としては、いずれも従来公知
のものを用いることができる。例えば結合材としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、アタクチックポリプロ
ピレン、メタアクリル、ポリスチレン、ポリブチルメタ
クリレート、ポリエチレンビニルアセテート、エチレン
酢ビ共重合体、アクリル共重合体等が例示される。滑材
としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタンワ
ックス、ステアリン等が例示される。可塑材としては、
フタル酸系(メチル、エチル、ブチル、オクチル)等が
例示される。助剤としてはステアリン酸、ステアリン酸
ブチル、樟脳、ナフタリン等が例示される。
【0053】コンパウンド組成物は、適当な型を用いた
射出成形によりブロックを調製し、射出成形ブロックの
形態であってもよい。射出成形ブロックは、市販の射出
成形機を使用して射出成形して作製することができる。
例えば、射出成形機として東芝機械(株)IS 100
0 EN−i3Zを用い、型締め圧150MPa最大射
出圧125MPaの圧力、100〜160℃の温度にて
行えばよい。得られたブロックは、上記CAD&CAM
システムなどにより切削して所望の形状に形成加工すれ
ばよい。
【0054】又は、コンパウンド組成物は、所望の歯科
用補綴物の型内へ直接射出成形してもよい。型として
は、歯科臨床でよく用いられているロストワックス法で
調製したもの等、従来から知られた型を用いることがで
きる。射出成形の手順は、上記と同様のものを採用する
ことができる。
【0055】コンパウンド組成物の成型加工品は焼成前
に脱脂する。脱脂は従来行われているいずれの方法によ
り行ってもよいが、典型的には、室温〜200℃まで20℃
/時以下の昇温速度で加熱、200℃から450℃まで50℃/
時の昇温速度で加熱し、450℃で10時間係留すればよ
い。得られる脱脂ずみ成形加工品は次いで焼成する。焼
成はコーピングを歯型からはずして行う。
【0056】本発明の歯科用陶材は以下の成分: 乾燥組成物 100重量部 結合材 0〜10重量部 解膠材 0〜3重量部 溶媒 150〜500重量部 の比で混合して調製される鋳込み用スラリー組成物であ
ってもよい。
【0057】鋳込み成型用スラリー組成物の成分であ
る、結合材としては、アクリル共重合物、ポリビニルア
ルコール、多糖類、エチレン酢ビコポリマー、デキスト
リン、澱粉、糖アルコール等が例示される。解膠材とし
ては、アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸ア
ンモニウム、CMC-Na塩,CMC―アンモニウム塩、ポリアク
リル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、アクリル酸オリゴマ
ー、メタクリル酸オリゴマー、ワックスエマルジョン等
が例示される。溶媒としては、n-ブチルアルコール、無
水エタノール、石油エーテル、酢酸ブチル、トリハロメ
タン、グリセリン、グライコール等を用いることができ
る。
【0058】鋳込み成型用スラリー組成物は、アルミナ
製ポットにアルミナボールを加えて、ボールミル分散を
行い、約1〜2日間「熟成」(aging)して作製する。
【0059】鋳込み成型用スラリー組成物は、鋳型とし
て、従来から歯科臨床で用いられている石膏型、多孔性
天然セルロース製型などを用いて成形する。ここで多孔
性天然セルロース製型とは石膏型に代えて多孔質の紙を
塩類溶液中に浸して、細かくして、石膏の代用としたも
のである。
【0060】鋳込み成型用スラリー組成物を成形するに
は、まずスラリー組成物を超音波もしくはバイブレータ
ーによる脱泡後、成形する。
【0061】成形は、乾燥させた型を泥漿中へ浸して着
肉する方法である、dipping casting method(石膏型の
場合)またはpaper casting method(多孔質セルロース
製型の場合)にて行えばよい。
【0062】鋳込み成形したものを乾燥した後、成形加
工品を脱脂する。脱脂は、常套の方法にて行えばよい。
例えば、室温から200℃までは20℃/時間以下、200℃〜4
50℃まで50℃/時間以下の昇温速度で加熱し、次いで45
0℃で10時間係留すればよい。
【0063】脱脂した成形加工品を次いで、750℃以下
で酸化雰囲気中で仮焼する。仮焼は典型的には、室温か
ら750℃まで1℃/min以下の昇温速度で加熱して行う。
石膏型を用いる場合には、石膏の分解を防ぐために、昇
温を750℃までとすることが好ましい。仮焼により、成
形加工した組成物が取り扱い可能な強度を有するように
なり、脱型する事が可能となる。
【0064】上記いずれかの方法により所望の形状に成
形加工した本発明の歯科用陶材は、次いで焼成する。焼
成は、酸化雰囲気下で1,500℃〜1,550℃まで加熱して行
う。ここで酸化雰囲気とは、酸素が十分に供給される雰
囲気である。焼成に際しては、これに限定されないが典
型的には大気中で室温から1,150℃まで1℃/min以下の
昇温速度で徐々に加熱し、1,150℃で5時間係留した
後、1,550℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、1,550℃
で2時間係留し、その後室温まで10℃/minの冷却速度で
冷却する、という加熱スケジュールが好適に採用され
る。
【0065】焼成により、本発明の歯科用陶材は僅かに
膨張する。膨張は、焼成前の寸法をa、焼成後の寸法を
bとすると、b/a=1.001〜1.015、より好ましくは1.
003〜1.007となる。
【0066】また、本発明の歯科用陶材は焼成後の歯科
用セラミックの国際規格ISO 6872 (199
5)3点曲げ試験による曲げ強度が200MPa、好ま
しくは250MPa、より好ましくは300MPaを超
える値を有する。
【0067】曲げ強度が100MPa未満の場合には、
歯科用補綴物としての使用に耐え得る十分な強度である
とはいえない。従来技術では、歯科用としての臨床使用
に耐え得る曲げ強度を有し、かつ焼成により寸法が膨張
を示す歯科用陶材は知られていない。
【0068】本発明の歯科用陶材においては、より有利
に歯科用補綴物を作製するため、当業者に公知の付随的
な工程を付加してもよい。また、本発明の特徴を害さな
い範囲で、コンパウンド組成物に、他の成分を任意に配
合してもよい。
【0069】本発明の歯科用陶材は、セラミックス製の
陶材内冠(コア)、オンレー、ラミネートベニア、及び
クラウンなどの歯科用補綴物の作製に適用できる。上で
詳述した、本発明歯科用陶材を用いる歯科用補綴物の作
製方法もまた本発明の範囲である。
【0070】すなわち、本発明の方法は、アルミニウム
粉末を主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉
末の混合物を含む、成形、焼成することによって人工歯
冠を作製するための歯科用陶材を成形加工し、次いで焼
成する工程を含み、該陶材の焼成後の寸法/焼成前の寸
法>1であること、および焼成後の補綴物の曲げ強度が
200MPa以上であることに特徴付られる歯科用補綴
物の作製方法である。
【0071】本発明の方法によって高い靭性を有し審美
性の高い、焼成時に膨張することにより適合精度の非常
に高い、即ちニアネットシェイプ(near-net shape)
性の高い歯科用陶材を提供することができる。本発明の
歯科用陶材を用いて、内冠(コア)、オンレー、ラミネ
ートベニア、及びクラウンなどの歯科用補綴物を作製す
ることができる。本発明により従来のメタルセラミック
スクラウンの製造工程と同様の工程にてオールセラミッ
クスクラウンを作製することが出来、従来メタルセラミ
ックスクラウンが使用されていた分野にも、オールセラ
ミックスクラウンを適用することが可能になる。
【0072】
【実施例】以下実施例によつて本発明をさらに詳細に説
明する。本発明は、これらの実施例によって限定される
ものではない。実施例中、部は重量部を表し、組成の%
は特に断らない限り重量%である。
【0073】実施例1〜6、比較例1 実施例1〜6および比較例1の加圧成形ブロックを、表
1に示す組成にて、以下の手順にて作製した。平均粒子
径6μmのアルミニウム粉末50〜53部と平均粒子径5μm
のアルミナ粉末(α―Al2O3)38〜50および100部、およ
び平均粒子径5μmのジルコニア粉末0〜10部と板状アル
ミナ(α型 平均粒子径16μm アスペクト比5〜2
0 純度99%単結晶)0〜10部をアルミナ製ポットミル
へ投入、混合し、ここへ無水エタノールを加え7時間磨
砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾燥させ
た。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩って、乾燥組成
物を得た。
【0074】上記乾燥組成物を、ラバープレス(株)神
戸製鋼所 KOBELCO PERSONAL CIP「Dr.CIP」を用いて
冷間静水圧50MPaの成形圧で寸法測定及び試験用に25mm
×6mm×2 mm寸法の試験片及び、14 mm×14mm×18mm寸法
のブロックとに成形した。上記14 mm×14mm×18mm寸法
のブロックを、CAD&CAMシステムの制御下で、定
法どおり人工歯冠用陶材内冠に成形加工した。即ち、支
台歯を形成し、これより歯科用印象材にて印象を採取
し、採取した印象材に練和した石膏を注入して支台歯模
型を作製し、この支台歯模型よりCAD&CAMデータ
を採取し、このシステムの制御下でブロックの切削加工
を行って人工歯冠用陶材内冠に成形した。
【0075】試験片及びCAD&CAM切削加工済み人
工歯冠陶材内冠を、大気中で焼成した。焼成スケジュー
ルは以下の通りである:室温から1150℃まで1℃/min
以下の昇温速度で加熱、次いで1150℃から1550℃まで10
℃/min以下の昇温速度で加熱し、1550℃で2時間係留
した後、室温まで、10℃/minの冷却速度で冷却した。
【0076】焼成前後の試験片の寸法をオリンパスMeas
uring Microscope STMを用いて測定し、焼成による膨
張量を求めた。尚、焼成前の寸法をaと、焼成後の寸法
をbとし、膨張率はb/aで示す。
【0077】また、焼成後の試験片の3点曲げ強度試験
を行った。3点曲げ強度試験は、歯科用セラミックの国
際規格ISO 6872 (1995)に準じて、イン
ストロンジャパン(社)製 INSTRON Series IXを用い
て行った。
【0078】焼成前後の人工歯冠用陶材内冠を、CAD
&CAMデータを採取する際に計測した歯台支模型にも
どして、適合を調べた。適合はオリンパス Measuring
Microscope STMを用いて目視で行った。結果を表1に
示す
【0079】
【表1】
【0080】アルミナ粉末のみを用いた従来技術の比較
例1では、焼成収縮を示している一方、アルミニウムを
主体とする金属粉末および/または金属酸化物の混合物
を用いる本発明の加圧成形歯科用陶材は、焼成前後で僅
かに膨張し、良好な適合性を示すものであった。
【0081】実施例7〜9、比較例2 コンパウンド組成物を射出成形してなる、射出成形ブロ
ックである実施例7〜9および比較例2の歯科用陶材
を、表2に記載の成分を用いて以下のごとく作製した。
【0082】平均粒子径6μmのアルミニウム粉末0〜1
00部と平均粒子径5μmのアルミナ粉末(α―Al2O3)1
00〜20部からなる粉末に、無水エタノールを加えて、ア
ルミナ製ポットミルで7時間磨砕した。磨砕後、ロータ
リーエバポレーターで乾燥させた。乾燥物を100meshの
ナイロン篩で篩って乾燥組成物を得た。
【0083】射出成形用コンパウンドは加熱式ニーダー
を使い、乾燥組成物55部、エチレン酢酸ビニル共重合体
25部を投入して約15分間低速で混練後、パラフィンワッ
クス20部を投入してさらに約1.5時間混練し、ニーダー
から取り出し造粒機で、コンパウンドの粒径が、2〜3m
mになるよう造粒した。
【0084】上記コンパウンドを、射出成型機 東芝機
械(株)IS 1000 EN−i3Zを用い、140℃
型締め圧150MPa最大射出圧125MPaにて25mm×
6mm×2mm寸法の試験片及び、14mm×14mm×18m
m寸法のブロックを射出成形した。
【0085】上記成形物中、14mm×14mm×18mm寸
法のブロックをCAD&CAMシステムの制御下で、人
工歯冠用陶材内冠に加工した。CAD&CAMシステム
による加工は実施例1と同じ手順で行った。
【0086】得られた試験片および人工歯冠用陶材内冠
を脱脂した。脱脂は、室温から200℃まで20℃/時間の
昇温速度で、200℃から450℃までを50℃/時間の昇温速
度で加熱し、450℃で10時間係留して行った。その後自
然放冷にて室温まで冷却した。
【0087】次いで、上記脱脂済み品を大気中で、焼成
した。焼成は、実施例1と同じ焼成スケジュールで行っ
た。脱脂後焼成前と、焼成後の試験片の寸法をオリンパ
ス Measuring Microscope STM を用いて測定し、上
記と同様に焼成による膨張量を求めた。焼成後に得られ
た試験片の3点曲げ強度試験を実施例1と同様にして行
った。また、人工歯冠用陶材内冠は、支台歯模型上にも
どして、適合を調べた。適合は、オリンパスMeasuring
Microscope STM を用いて目視で行った。結果を表2
に示す。
【0088】
【表2】
【0089】実施例10〜12、比較例3 表3に示す組成にて、実施例10〜12および比較例3
の射出成型用コンパウンド組成物を調製した。平均粒子
径6μmのアルミニウム粉末0〜100部からなる粉末と平
均粒子径5μmのアルミナ粉末(α―Al2O3)100〜20部
に、無水エタノール加えて、アルミナ製ポットミルで7
時間磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾
燥させた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩って、乾
燥組成物を得た。
【0090】加熱卓上式ニーダーPBV-03-K(入江商会
(株)製)を用い、乾燥組成物68.5部、ポリプロピレン2.
8部、ポリエチレン0.8部、カルナバワックス1.5部の順
に投入して約15分間低速で混練し、ここへアクリル共重
合体13.7部、パラフィンワックス9.5部、フタル酸−ジ
−n−ブチル3.2部をニーダーに順に投入してさらに約1.
5時間混練した。次いで、混練物をニーダーから取り出
し、造粒機で、コンパウンドの粒径が2〜3mmになる
よう造粒して、射出成形用コンパウンドを作製した。
【0091】上記コンパウンドを、射出成型機 田端機
械工業(株) プランジャ式立型射出成形機 TK−1
4−IAPEにより140℃、7kgf/cm2にて25mm
×6mm×2mm の寸法の試験片を調製した。また、
上記の支台歯模型を用い、現在歯科業界で広く行われて
いるロストワックス法により人工歯冠用陶材内冠を成形
した。
【0092】試験片及び人工歯冠用陶材内冠を脱脂し
た。脱脂は実施例7と同じ手順にて行った。
【0093】上記脱脂済み品を、大気中で焼成した。焼
成スケジュールは、実施例1と同じ条件にて行った。
【0094】脱脂後焼成前、および焼成後の試験片の寸
法をオリンパスMeasuring Microscope STM を用いて測
定し、上記と同様に焼成による膨張率を求めた。また、
焼成後に得られた試験片の3点曲げ強度試験を行った。
また人工歯冠用陶材内冠は支台歯模型上にもどして、適
合を調べた。適合は、オリンパス Measuring Micros
cope STMを用いて、目視で行った。結果を表3に示す。
【0095】
【表3】
【0096】実施例13および14 本発明の鋳込み成型用スラリー組成物(実施例を13お
よび14)を、表4に記載の組成のアルミニウム粉末を
主体とする金属粉末および/または金属酸化物粉末の混
合物から以下の手順により調整した:
【0097】平均粒子径6μmのアルミニウム粉末0〜1
00部と平均粒子径5μmのアルミナ粉末(α―Al2O3)1
00〜20部からなる粉末に、無水エタノール加えて、アル
ミナ製ポットミルで7時間磨砕した。磨砕後、ロータリ
ーエバポレーターで乾燥させた。乾燥物を100meshのナ
イロン篩で篩って乾燥組成物を得た。
【0098】鋳込み成形用スラリーは、上記の乾燥組成
物100部、液状アクリル共重合物3部、ポリアクリル
酸ソーダ0.1部、n-ブチルアルコール400部を投入
し、ボールミルへ投入し、2時間ボールミル内で分散混
合を行って調製した。
【0099】支台歯から印象をとった印象材に石膏を流
して、支台歯模型を複数個作成した。得られた支台歯模
型を用い、dipping casting methodにて鋳込み成形し
た。具体的には、上記スラリー組成物を室温で、石膏型
へdipping casting methodで着肉した。
【0100】得られた鋳込み成形人工歯冠用陶材内冠
を、脱脂した。脱脂は、室温から200℃まで20℃/時
間、200℃から450℃まで50℃/時間の昇温速度で加熱
し、450℃で10時間係留して行った。
【0101】脱脂後、酸性雰囲気中で仮焼した。仮焼は
室温から750℃まで1℃/minの昇温速度で加熱して行っ
た。
【0102】仮焼後、石膏型をはずし、次いでこれを大
気中で焼成した。焼成は、実施例1と同じ焼成スケジュ
ールを用いて行った。
【0103】焼成後、鋳込み成形品を支台歯模型上にも
どして、適合を調べた。適合は、オリンパス Measurin
g Microscope STMを用いて、目視で行った。結果を表
4に示す。
【0104】
【表4】
【0105】実施例15 実施例15の加圧成形ブロックを以下の方法で作製し
た。平均粒子径6μmのアルミニウム粉末80部と平均
粒子径5μmのジルコニア粉末20部からなる粉末に、
無水エタノールを加え、アルミナ製ポットミルで7時間
磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで乾燥さ
せた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩った。
【0106】上記篩い済み乾燥粉末を、(株)神戸製鋼
所 KOBELCO PERSONAL CIP「Dr.CIP」を用いて冷間静
水圧50MPaの成形圧で寸法測定及び試験用に25mm×6mm×
2 mm寸法の試験片及び、14 mm×14mm×18mm寸法のブロ
ックとに成形した。上記14 mm ×14mm×18mm寸法のブロ
ックを、CAD&CAMシステムの制御下で、人工歯冠
用陶材内冠に加工した。試験片及びCAD&CAM加工
済み人工歯冠陶材内冠を、大気中で焼成した。焼成は、
実施例1と同じ焼成スケジュールを用いて行った。
【0107】焼成前後の試験片の寸法を、オリンパス
Measuring Microscope STMを用いて測定し、焼成によ
る寸法の膨張率を求めた。
【0108】また、焼成後に得られた試験片の3点曲げ
強度試験を行った。また、人工歯冠用陶材内冠は支台歯
模型上にもどして、適合を調べた。適合はオリンパス
Measuring Microscope STMを用いて目視で行った。結
果を表5に示す。
【0109】
【表5】
【0110】実施例16 実施例16の射出成形ブロックを以下の通り作製した。
平均粒子径6μmのアルミニウム粉末100部からなる粉
末に、無水エタノール加えて、アルミナ製ポットミルで
7時間磨砕した。磨砕後、ロータリーエバポレーターで
乾燥させた。乾燥物を100meshのナイロン篩で篩った。
【0111】射出成形用コンパウンド組成物はニーダー
を使い、篩い済み乾燥粉末55部、エチレン酢酸ビニル共
重合体25部を入れて約15分間低速で混練後、パラフィン
ワックス20部を入れ、約1.5時間混練し、ニーダーから
取り出し造粒機で、コンパウンドの粒径が、2〜3mm
になるようにした。
【0112】上記コンパウンドを、射出成型機で25mm×
6mm×2mm寸法の試験片及び、14mm×14mm×18mm寸法のブ
ロックとに成形した。成形条件は、東芝機械(株)IS
1000 EN−i3Z型締め圧150MPa 最大
射出圧125MPa、140℃である。
【0113】上記14mm×14mm×18mm寸法のブロッ
クをCAD&CAM システムの制御下で、人工歯冠用
陶材内冠に加工した。得られた試験片及び人工歯冠用陶
材内冠を脱脂した。脱脂は、実施例7と同様の脱脂条件
下で行った。
【0114】上記脱脂済み品は大気中で焼成した。焼成
は実施例1と同じ焼成スケジュールを用いて行った。
【0115】脱脂後焼成前および焼成後の試験片の寸法
を、オリンパス Measuring Microscope STM を用い
て測定し、実施例1と同様にして焼成による膨張率を求
めた。また、焼成後に得られた試験片の3点曲げ強度試
験を行った。また、人工歯冠用陶材内冠は、支台歯模型
上にもどして、適合を調べた。適合は、オリンパスMeas
uring Microscope STM を用いて目視で行った。結果
を表6に示す。
【0116】
【表6】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
    および/または金属酸化物粉末の混合物を含み、成形、
    焼成することによって人工歯冠を作製するための歯科用
    陶材であって、該陶材の焼成後の寸法/焼成前の寸法>
    1であること、および焼成後の曲げ強度が200MPa
    以上であることに特徴付られる歯科用陶材。
  2. 【請求項2】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
    および/または金属酸化物粉末の混合物を加圧成形によ
    り固形化させて得られるブロックである、請求項1記載
    の歯科用陶材。
  3. 【請求項3】 成形圧を20〜50MPaの圧力にて行
    う、請求項2記載の歯科用陶材。
  4. 【請求項4】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
    および/または金属酸化物粉末の混合物、結合材、滑
    材、可塑材、および助剤を含有するコンパウンド組成物
    である、請求項1記載の歯科用陶材。
  5. 【請求項5】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
    および/または金属酸化物粉末の混合物、結合材、滑
    材、可塑材、および助剤を含有するコンパウンド組成物
    を射出成形してなるブロックである、請求項4記載の歯
    科用陶材。
  6. 【請求項6】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
    および/または金属酸化物粉末の混合物、結合剤、解膠
    材、溶媒から成る鋳込み成形用スラリー組成物である、
    請求項1記載の歯科用陶材。
  7. 【請求項7】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
    および/または金属酸化物粉末の混合物がアルミナ粉末
    を含有する混合物である、請求項1〜6いずれかに記載
    の歯科用陶材。
  8. 【請求項8】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
    および/または金属酸化物粉末の混合物がアルミニウム
    粉末50〜85重量%およびアルミナ粉末15〜50重
    量%を含有する、請求項7記載の歯科用陶材。
  9. 【請求項9】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉末
    および/または金属酸化物粉末の混合物が酸化ジルコニ
    ウム粉末を含有する混合物である請求項1〜7いずれか
    に記載の歯科用陶材。
  10. 【請求項10】 アルミニウム粉末を主体とする金属粉
    末および/または金属酸化物粉末の混合物がアルミニウ
    ム粉末のみからなる、請求項1〜6いずれかに記載の歯
    科用陶材。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10いずれかに記載の歯科
    用陶材を成形加工し、次いで焼成する工程を含む、歯科
    用補綴物の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101547172B1 (ko) 2009-08-27 2015-08-25 베데테-볼츠-덴탈-테크니끄 게엠베하 치과용 금속 분말로 이루어진 치아 부분들의 제조 방법

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