JP2001316237A - 成形薫香とその製造方法 - Google Patents
成形薫香とその製造方法Info
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Abstract
度を増強した成形薫香とその製造方法を提供することに
ある。 【解決手段】 糖質としてトレハロース、マルチトール
及びプルランから選ばれる1種若しくは2種以上の糖
類、又はこの1種若しくは2種以上の糖類とともに環状
糖質を含んでなり、膜状物に被覆されてなる成形薫香を
提供することにより解決する。
Description
方法、詳細には、物理的強度を増強した新規な成形薫香
とその製造方法に関するものである。
上らせて味わう香気成分含有物として広く知られ、通
常、香木粉末、香料、色素などを水と混合してペースト
状物とし、多くの場合、これを線状に押し出し成形し、
乾燥して製造されている。このようにして製造される薫
香は、一般にその保存中に香気が揮散及び/又は変質な
どして劣化し易く、商品価値の低下することが知られて
いる。また、成形薫香は、製造時、輸送時、使用時など
における環境変化、とりわけ湿度などの水分変化に伴う
変形や、衝撃などの圧力変化に伴う折損などを起し易
い、すなわち、物理的強度が不十分であるという欠点が
あることも知られている。以上の問題点を解消する薫香
として、同じ特許出願人は、先に特願2000−137
788号明細書に、トレハロース、マルチトール及びプ
ルランから選ばれる1種又は2種以上の糖質、又は、こ
の1種又は2種以上の糖質とともに環状糖質を配合した
成形薫香を開示した。この成形薫香は、それまでの公知
の薫香が抱えていた上記の欠点をともに解消するもので
ある。
き研究を続けたところ、上記明細書に開示された成形薫
香は、香気の劣化のし易さは確かに十分に解消するもの
である一方、成形薫香の通常の流通形態や利用形態を考
慮すると、その物理的強度はなお不十分であり、さらに
改善の余地があることが判明した。
の発明の課題は、従来の薫香における欠点であった、香
気の劣化のし易さを解消しつつ、さらなる物理的強度が
達成された成形薫香とその製造方法を提供することにあ
る。
を解決することを目的に、成形薫香の構造と組成につい
て鋭意研究を重ね、同じ特許出願人による特願2000
−137788号明細書に開示された成形薫香にさらに
別の配合成分を種々加えて鋭意検討を加えたところ、物
理的強度の強化にはある程度の成果が見られるものの、
その物理的強度はなお十分ではないことが判明した。そ
こで、本発明者らは観点を変えて、上記明細書に開示さ
れた成形薫香を膜状物で被覆して、香気の劣化の抑制な
らびに物理的強度を調べたところ、膜状物で被覆された
該成形薫香は、香気の劣化が十分に抑制されていなが
ら、さらなる物理的強度が達成できることが確認され
た。この発明は、本発明者らによる以上の知見に基づい
て完成されたものである。
物由来の物質に加えて、トレハロース、マルチトール及
びプルランから選ばれる1種若しくは2種以上の糖質又
はこの1種若しくは2種以上の糖質とともに環状糖質と
を含んでなる線状に成形された薫香部と、該薫香部の周
囲を被覆する膜状物とからなる成形薫香とその製造方法
を提供することにより上記の課題を解決するものであ
る。
形態について説明する。本発明の成形薫香は香気を示し
うる植物由来の物質に加えて、トレハロース、マルチト
ール及びプルランから選ばれる1種若しくは2種以上の
糖質又はこの1種若しくは2種以上の糖質とともに環状
糖質とを含んでなる線状に成形された薫香部と、該薫香
部の周囲を被覆する膜状物とからなる。本発明でいう香
気を示しうる植物由来の物質とは、植物由来の物質であ
って、本発明の成形薫香に配合され、利用される際に香
気を示す物質を意味し、例えば、元来香気を示す植物由
来の物質、元来香気を示さない植物由来の物質と香料と
を含む組成物、又はこれらの混合物が挙げられる。本発
明で利用できる元来香気を示す植物由来の物質として
は、常温でまたは加熱したときに芳香を示す、きのこ・
海藻を含む植物からの単離物ないしはその加工物、具体
的には、例えば、元来比較的強い香気を示す、伽羅、沈
香、白檀、桂皮、丁子、甘松、乳香、安息香、唐木香、
冷凌香、大茴香などのいわゆる香木の木部の切断物、破
砕物、粉砕物や、比較的弱い香気を示すタブノキ、クス
ノキなどの広葉樹木、スギ、マツなどの針葉樹木の組
織、器官、切断物、破砕物、粉砕物、さらには、花卉、
香草、野菜、きのこ、海草、果物、種実などの破砕物、
粉砕物などが挙げられる。以上のような元来香気を示す
植物由来の物質はその適宜の2種以上を組み合わせた
り、下記の香料と組み合わせて利用することもできる。
一方、本発明で利用できる元来香気を示さない植物由来
の物質は、常温でも、また、加熱したときにも実質的に
芳香を示さない植物の成分、組織又は器官の単離物ない
しはその加工物、具体的には、例えば、パルプ粉末、セ
ルロース粉末、リグニン粉末、デンプンなどが挙げられ
る。以上のような元来香気を示さない植物由来の物質は
香料と組み合わせて組成物の形態で利用することができ
る。本発明で利用できる香料としては、例えば、上記に
示したような香木の抽出物である香木エキスや、ハーブ
エキス、ユーカリエキス、ローズオイル、ラベンダーオ
イル、チョウジオイル、ジャコウ、プロポリスエキスな
どの天然香料のほか、メントール、ゲラニオール、バニ
リンなどの合成香料や、以上のような天然ないしは合成
香料の2種類以上を適宜組み合わせてなる調合香料が挙
げられる。
の、香気を示しうる植物由来の物質に加えて、トレハロ
ース、マルチトール及びプルランから選ばれる1種若し
くは2種以上、又はこの1種若しくは2種以上の糖質と
ともに環状糖質(以下、トレハロース、マルチトール、
プルラン及び環状糖質を総称して単に「本発明で用いる
糖質」ということがある。)を含み線状に成形されてな
る。当該薫香部の形状である線状の形状としては、具体
的には、角柱状、円柱状、角錐状、円錐状、渦巻状、コ
イル状、馬蹄形などが挙げられる。
グルコースが還元性基同士でα,α結合してなる非還元
性二糖類を意味する。本発明でいうマルチトールとは、
グルコースがα−1,4結合してなる二糖であるマルト
ースの還元体を意味する。本発明でいうプルランとは、
グルコースがα−1,4結合した三糖であるマルトトリ
オースが互いにα−1,6結合して重合した多糖を意味
する。
ース残基が相互に共有結合してなる、例えば、環状デキ
ストリンや環状デキストランなどの環状オリゴ糖ならび
にその誘導体を意味する。環状デキストリンとしては、
6個、7個又は8個のグルコース残基が相互にα−1,
4結合してなるものが知られ、これらはそれぞれ、別
名、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン
及びγ−シクロデキストリンとも呼ばれる。ここでいう
誘導体とは、例えば、以上のような環状糖質を構成する
グルコース残基に1個又は2個以上のグルコース又はマ
ルトオリゴ糖が結合してなる、分岐構造を有するものを
意味する。
トール、プルラン及び環状糖質はそれぞれ上記のように
定義される糖質であって、以下に詳述する本発明による
成形薫香における他の成分と配合したときにこの発明の
課題を解決する効果を発揮するものである限り、性状、
純度、存在形態や、調製方法は特定のものに限定され
ず、例えば、食品用などの市販品や常法にしたがって得
られる調製品はいずれも本発明に有利に利用できる。
としては、含水結晶トレハロース(株式会社林原商事販
売、登録商標『トレハ』)や、トレハロース含有シロッ
プ(株式会社林原商事販売、登録商標『トレハスタ
ー』)などがある。この発明で利用できるマルチトール
の市販品としては、無水結晶マルチトール(商品名『粉
末マビット』、固形分重量あたりの無水マルチトール含
量93.5%以上、株式会社林原商事販売)や、マルチ
トール含有シラップ(商品名『マビット』、固形分74
重量%以上、固形分重量あたりのマルチトール含量75
%以上)などがある。また、例えば、特公昭47−13
699号公報に開示された方法により得られるシラップ
状のマルチトールや、特公昭63−2439号公報に開
示された方法により得られる無水結晶マルチトールも適
宜この発明において利用できる。さらにまた、本発明に
おいて、トレハロースとマルチトールを併用する場合に
は、特開平8−73482号公報に記載された、トレハ
ロースとマルトースとの混合物を水素添加して得られる
トレハロースとマルチトールの混合物を利用することも
随意である。本発明で利用できるプルランの市販品とし
ては、プルラン粉末(株式会社林原商事販売、商品名
『プルランPF−20』、商品名『プルランPF−1
0』)などがある。本発明で利用できる環状糖質の市販
品としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキ
ストリン、γ−シクロデキストリン(以上、株式会社林
原生物化学研究所販売)、分岐β−シクロデキストリン
(マルハ株式会社販売、商品名『イソエリートP』)な
どがある。
レハロース、マルチトール及びプルランから選ばれる適
宜の糖質は、薫香に含有されたとき、該薫香の香気の劣
化を効果的に抑制するという本発明の課題を解決する効
果を発揮する。香気劣化の抑制効果は、これらの糖質か
ら選ばれる1種のみを使用した場合にも十分に発揮され
るけれども、適宜選ばれる2種以上の糖質を使用すると
該抑制効果が相乗的に増強されるのでより有利である。
また、以上の糖質に加えて環状糖質を併用することによ
り該抑制効果をさらに増強することができる。本発明の
成形薫香における、本発明で用いる糖質の合計としての
含量の好適な範囲は、膜状物の形状や素材にもよるけれ
ども、製品の薫香重量に対して無水物換算で、通常、
0.5w/w%以上50w/w%未満(以下、特にこと
わらない限り、本明細書を通じてw/w%を単に%と略
記する。)、望ましくは、約0.7%乃至約40%、さ
らに望ましくは、約1%乃至約30%である。該糖質の
含量が多い場合、香気の揮散及び/又は変質などによる
劣化はよく抑制されるものの、加熱による香気の立ち上
がりが悪くなったり、薫香の火付きが悪くなる欠点が生
じるので好ましくない。また、0.5%未満では香気の
劣化の抑制には不十分である。
薫香としての物理的強度を強化するという本発明の別の
課題の解決にも関与する。これらの糖質はいずれも成形
薫香の変形・折損の抑制に奏効するけれども、その効果
を比較すると、プルランがより優れており、その適量
は、膜状物の形状や素材にもよるけれども、製品の薫香
重量に対して無水物換算で、通常、約0.5%以上、望
ましくは、約1%乃至約10%である。
薫香における薫香部には、通常の成形薫香に一般的に利
用される、例えば、無機塩などの賦形剤、その他の安定
剤、溶剤、結合剤、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、乳
化剤などを必要に応じて適宜含有せしめることができ
る。本発明で利用できる着色料としては、具体的には、
赤色系の食用赤色2号、食用赤色102号、食用赤色1
06号、ローダミンなど、青色系の食用青色1号、メチ
ルバイオレット、メチレンブルー、マラカイトグリーン
等が挙げられる。
れる薫香部の周囲が膜状物によって被覆されていること
を特徴とする。本発明で利用できる膜状物としては、当
該成形薫香が利用される際、すなわち、着火するか又は
着火することなく加熱した際に、香気の立ち上がりを妨
げないものが望ましく、例えば、可燃性材料からなるフ
ィルム、シート、紙、織布、不織布などが挙げられる。
着火して利用する当該成形薫香に利用する膜状物のより
望ましい一例は、和紙などの紙である。また、着火する
ことなく加熱して利用する当該成形薫香においては、膜
状物は、可燃性であることに加えて、熱伝導性や通気性
の良好なものが望ましく、例えば、可燃性材料による網
目状のシートなどは好適な一例である。斯かる膜状物を
用いる当該成形薫香の例としては、例えば、通常の線香
のような円柱状の当該薫香部を、望ましくは、水溶性多
糖類などの付着性のある可燃性素材を介して該膜状物で
のり巻き状に巻き上げたものが挙げられる。また、例え
ば、斯かる膜状物で予め作成した、一端が底を有してい
てもよい筒状の膜状物に当該薫香部を、必要に応じて、
互いに異なる香気を示す複数個封入してなるものも別の
一例である。例えば、図1において符号1は薫香部を、
符号2は膜状物を示す(図2及び図3においても同
じ。)が、図1示すように、末広がりの円筒形の膜状物
2の内部に薫香部1を封入した後に膜状物2の端部をそ
の内側に凹型の構造を有するように畳み込めば、薫香部
1が膜状物2からはみ出さなくなるとともに、当該成形
薫香を、例えば、燭台のような針の上に垂直に立てて利
用することが可能となる。本発明で利用できる膜状物の
別の例としては、本発明で利用できる元来香気を示す植
物由来の物質や元来香気を示さない植物由来の物質を含
む成形物が挙げられる。例えば、当該薫香部を、斯かる
植物由来の物質のいずれか又は両方と水を含むペースト
状の平板で巻き上げ、乾燥させてなるものはその一例で
ある。本発明で用いる膜状物のさらに別の例としては、
例えば、水溶性多糖などの粘性物質の被膜が挙げられ
る。例えば、当該薫香部に適宜の該粘性物質の溶液を噴
霧、塗布又は含浸などの処理を施した後に乾燥させてな
るものはその一例である。ここで用いる水溶性多糖とし
ては、例えば、プルラン、アラビアガム、ペクチン、ア
ガロース、カラギーナン、マンナン、イヌリン、アルギ
ン酸、ヒアルロン酸などが挙げられる。なお、以上のよ
うな本発明で利用する膜状物には、必要に応じて、本発
明で用いる糖質・香料、さらには、着色料などを適宜含
有せしめても良いけれども、当該薫香部本来の香気を利
用するためには、該膜状物は、無臭ないしは微香性であ
るか、あるいは、当該薫香部と同じ香気を示すことが望
ましい。
は、個々の成分が上述のような所期の機能を発揮する状
態で含有されている限り、製造方法や個々の成分の含量
は問わない。すなわち、本発明の成形薫香においては、
香気成分は、当該成形薫香の利用に際して、着火したり
又は着火することなく加熱した際に香気が立ち上がるよ
うに含有されていればよく、本発明で用いる糖質は、当
該成形薫香の香気の劣化を抑制したり、成形薫香として
の物理的強度を強化するように含有されていればよく、
また、膜状物は成形薫香としての物理的強度をさらに強
化するように周囲を被覆していればよい。したがって、
以上の要件を満たす限り、本発明の成形薫香における薫
香部ならびに膜状物は、それぞれ、全体として均一な状
態に混ざりあった形態のものであっても、部分ごとに成
分の組成が異なる形態のものであってもよい。
香は、複数香成形薫香として実施することもできる。本
発明でいう複数香成形薫香とは、1個の成形薫香が、香
気を示しうる植物由来の物質として、互いに香気の異な
る複数の物質を含んでなり、該複数の物質が、実質的に
同時に香気を立ち上がらせない、薫香部のそれぞれ異な
る部分に含有しているものを意味し、その形状は線状で
ある限り特に制限はない。円柱状の複数香成形薫香の例
としては、具体的には、例えば図2に示すように香気の
異なるそれぞれの物質を含む薫香部部分1aと1bとの
接合部がZ字状構造を有するものや、図3に示すように
I字状構造を有するものなどが挙げられる。なお、ここ
でいうZ字状構造とは、「Z字」の上辺と下辺とを結ぶ
斜め部分が図2のように平面的形状であるものに限定さ
れず、円柱状の成形薫香の長軸方向に対して該接合部が
垂直でないもの全般を意味し、例えば、その斜め部分が
曲面的形状であるものをも包含する。本発明の成形薫香
は線状に成形されているので、複数香成形薫香としての
当該薫香は、香気を立ち上がらせ始めてからの時間の経
過に伴って個々の香気をそれぞれ楽しむことができると
いう特徴がある。当該複数香成形薫香1個あたりの香気
の数には特に制限はなく、利用対象などに応じて適宜選
ばれる。通常は、同一の香気により嗅覚が麻痺して感知
しにくくなるまでの時間を考慮して選択するのが望まし
く、例えば、1個の複数香成形薫香の利用時間が0.5
乃至3時間の場合、好適な香気の数は、通常、2乃至1
0、望ましくは2乃至6程度である。香気の性質として
は、例えば、気分をリフレッシュさせるもの、優雅で満
足感を与えるもの、気分を鎮静させるもの、気分を高揚
させるものなど他種類のものが知られており、想定され
る利用対象などに応じて適宜選ばれる。
る物質を含有するそれぞれの部分や、必要に応じてその
部分を被覆する膜状物に加える着色料の色調を変えるこ
とにより、利用に際して所望の順序で香気を立ち上がら
せることが容易となる。また、当該成形薫香における膜
状物として、例えば、木目調などのデザイン施したり所
望の文字を記入してなるものを用いることにより視覚に
訴える薫香とすることもできる。さらにまた、例えば、
着火させることなく加熱して香気を立ち上がらせる薫香
の場合、加熱によって変色する色素を用いることによ
り、嗅覚とともに視覚をも楽しませる薫香とすることも
できる。
薫香部を膜状物で被覆する工程を含む本発明による成形
薫香の製造方法により容易に得ることができる。当該製
造方法で用いる薫香部は、上記に示した成分を含み線状
に成形されているものである限り、各成分を配合する順
序やその方法、成形のための方法は問わない。例えば、
(1)香気を示しうる植物由来の物質及び本発明で用い
る糖質と、必要に応じて用いられる着色料などの他の成
分とを予め所定の配合で適量の水とともに含むペースト
状などの混合物を調製し、次いで該混合物を常法にした
がって所望の線状形に成形し、必要に応じて乾燥処理を
施すことによって当該薫香部は得ることができる。ま
た、例えば、(2)元来香気を示す植物由来の物質を先
ず適量の水とを含むペースト状などの混合物を調製し、
次いで、該混合物を常法にしたがって所望の線状形に成
形し、必要に応じて乾燥処理を施して成形物とし、さら
に、該成形物に本発明で用いる糖質を含有せしめること
によっても当該薫香部は得ることができる。ここで得ら
れる成形物に該糖質を含有せしめるには、該糖質を、例
えば溶液の形態で該成形物に噴霧、塗布、含浸などする
か、粉末など固形状の形態で粘着性物質などを用いて付
着させるなどすればよい。さらにまた、例えば、(3)
元来香気を示さない植物由来の物質と、本発明で用いる
糖質と、適量の水とを所定の配合で含むペースト状など
の混合物を前記(2)に準じて成形物とし、さらに、該
成形物に香料を含有せしめることによっても当該薫香部
は得ることができる。ここで得られる成形物に香料を含
有せしめるには、香料を、例えば溶液の形態で該成形物
に噴霧、塗布、含浸などするか、粉末など固形状の形態
で粘着性物質などを用いて付着させるなどすればよい。
上記(1)の方法による場合には、例えば、香気の異な
る混合物どうしを同じ特許出願人による特願2000−
137788号明細書に開示された方法などにより一体
化すればよく、また、上記(2)の方法による場合に
は、例えば、異なる香気の成形物どうしを後述する膜状
物で被覆する方法により一体化すればよく、さらにま
た、上記(3)の方法による場合には、例えば、香気を
示さない成形物の所望の部分がそれぞれ異なる香気を示
すように互いに香気の異なる植物由来の物質を含有せし
めればよい。
被覆すればこの発明の成形薫香は得られる。膜状物によ
る被覆の方法は用いる膜状物の種類によって適宜選ばれ
る。膜状物がフィルム、シート、網、紙、織布又は不織
布の場合には、例えば、付着性の素材を介して、該膜状
物を上記成形物に固定しつつ被覆するか、又は、該膜状
物により成形された筒状物ないしは有底筒状物に上記成
形物を封入すればよい。膜状物が本発明で用いる元来香
気を示す植物由来の物質や元来香気を示さない植物由来
の物質を含む場合、通常、該物質と適量の水を混合した
平板状のペーストで上記成形物を巻き上げるか又は包み
込むなどすればよい。膜状物として水溶性多糖の被膜を
利用する場合には、適宜の濃度の該水溶性多糖の溶液を
該上記成形物に噴霧、塗布、含浸などすればよい。そし
て、必要に応じて被覆された成形物を乾燥すれば、本発
明の成形薫香は得られる。
わうには、加熱して香気を立ち上らせて味わえば良く、
一般的には、着火させることにより加熱するか、又は着
火させずに加熱、例えば、電気ヒーターで薫香を50℃
以上、望ましくは、100乃至300℃程度に加熱して
香気を立ち上らせて味わえば良い。複数香成形薫香の香
気を味わう場合には、例えば、その一端に着火させてく
ゆらせながら時間の経過により加熱部分の移動によって
異なる香気の変化を味わうことも、また、複数香成形薫
香を、これと相対する複数の加熱部分を有する電気ヒー
ターに密着させて、着火させることなく、その加熱部分
を任意の時間毎に移動させるなどして、異なる香気の変
化を味わうことも随意である。
な構成によって香気の劣化が抑制されており、長期保存
も容易である。また、本発明による複数香成形薫香は、
香気の劣化を抑制できるのに加えて、加熱し始めてから
終るまでの間に、それぞれの薫香材料に含まれる異なっ
た香料の趣きのある香りの変化を楽しんだり、アロマテ
ラピーに利用したりすることができるとともに、環境変
化にも安定で、物理的強度に優れた丈夫で高品質な成形
薫香である。
細に説明する。
準篩60メッシュ(目開き0.246mm)を通過でき
ない粉末。以下、同標準篩を通過できない粒径の粉末を
「粗末」という。)50重量部、パルプ(同標準篩60
メッシュを通過する粉末。以下、同標準篩を通過する粒
径の粉末を「細末」という。)40重量部、澱粉10重
量部、トレハロース4重量部、マルチトール4重量部
(登録商標「マビット」、株式会社林原商事販売)プル
ラン2重量部及び分岐β−シクロデキストリン1重量部
に対して、適量の赤色色素とローズオイル又は紫色色素
とラベンダーオイルを、それぞれ適量の水と練り合わせ
てペースト状物とし、次いで平板に加工し、次いで、そ
れぞれの平板の一端を重ね合せ、圧延して、Z字構造で
接合した平板とし、更に細断し、転動成形し、乾燥し
て、円柱状の薫香部を得た。この薫香部の全体に亙って
5%プルラン水溶液を噴霧し、乾燥させ、表面をプルラ
ン被膜で被覆した。斯くして本発明の複数香成形薫香を
得た。本品は、ローズオイルとラベンダーオイルの香気
の劣化を抑制し、長期保存しても安定した香気を保持す
る複数香成形薫香である。また、本品は、変形、折損を
起しにくい丈夫で高品質な成形薫香である。
量部、同(細末)40重量部、澱粉10重量部、トレハ
ロース4重量部、マルチトール4重量部(登録商標「マ
ビット」、株式会社林原商事販売)プルラン2重量部及
び分岐β−シクロデキストリン1重量部に対して、適量
の赤色色素とローズオイル又は紫色色素とラベンダーオ
イルを、それぞれ適量の水と練り合わせてペースト状物
とし、次いで平板に加工した。それぞれの平板を、常法
により細断し、転動成形し、乾燥して、円柱状の薫香部
を得た(それぞれ薫香部1及び薫香部2)。和紙の片面
にプルラン水溶液を塗布し、この上に、薫香部1及び薫
香部2を隙間のないように直列に並べ、該2個の薫香部
を和紙でのり巻き状に巻き上げ、乾燥させた。本品は、
ローズオイルとラベンダーオイルの香気の劣化を抑制
し、長期保存しても安定した香気を保持する複数香成形
薫香である。また、本品は、変形、折損を起しにくい丈
夫で高品質な成形薫香である。
末)70重量部、リグニン粉末(粗末)30重量部、ト
レハロース3重量部、プルラン1重量部及び少量の緑色
色素を、常法に従って、適量の水と練り合わせてペース
ト状とし、油圧成形機にて円柱状に押し出し成形し、通
風乾燥して、円柱状の成形物を得た。これとは別途、伽
羅の粉末100重量部に70w/v%エタノール水溶液
を加え、40度で時間抽出し、濾過して香木エキス1を
調製した。同様に白檀を抽出して香木エキス2を調製し
た。ここで得た香木エキス1の25重量部、トレハロー
ス2重量部及びプルラン0.5重量部を70w/v%エ
タノール水溶液と混合し全量を100重量部として香木
エキス1溶液を調製した。また、香木エキス1に代えて
香木エキス2を用いたこと以外は香木エキス1の場合と
同様に他の成分と混合し、香木エキス2溶液を調製し
た。上記で得た成形物を、その一端から中央部までに適
量の香木エキス1溶液を噴霧し、乾燥させた。次に、該
成形物の残る部分を、適量の香木エキス2溶液を先と同
様に噴霧し、乾燥させ、薫香部を得た。この薫香部の全
体に亙って5%プルラン水溶液を噴霧し、乾燥させ、表
面をプルラン被膜で被覆した。斯くして本発明の複数香
成形薫香を得た。本品は、伽羅と白檀の香気の劣化を抑
制し、長期保存しても安定した香気を保持する複数香成
形薫香である。また、本品は、変形、折損を起しにくい
丈夫で高品質な成形薫香である。
ス、マルチトール及びプルランから選ばれる1種若しく
は2種以上の糖質、又はこの1種若しくは2種以上の糖
質とともに環状糖質を含有せしめることに加えて、周囲
を膜状物で被覆するという、従来技術には全くない構成
を適用することによって香気の劣化を抑制し、長期間安
定な薫香を確立し、併せて変形、折損しにくい高品質の
成形薫香を提供するものである。本発明の成形薫香は、
アロマテラピーにおいて、また、香粧品、生活用品、仏
具用品などとして有用である。このように本発明の産業
的意義は、アロマテラピー業界、エステティック業界、
健康関連商品業界、化粧品業界、医薬品業界、葬祭業界
など、極めて多岐にわたる業界に及ぶものである。
ある。
Claims (22)
- 【請求項1】 香気を示しうる植物由来の物質に加え
て、トレハロース、マルチトール及びプルランから選ば
れる1種若しくは2種以上の糖質又はこの1種若しくは
2種以上の糖質とともに環状糖質とを含んでなる線状に
成形された薫香部と、該薫香部の周囲を被覆する膜状物
とからなる成形薫香。 - 【請求項2】 香気を示しうる植物由来の物質が、元来
香気を示す植物由来の物質であるか、元来香気を示さな
い植物由来の物質と香料とを含む組成物であるか、又は
これらの混合物である請求項1記載の成形薫香。 - 【請求項3】 膜状物が可燃性材料により成形されたフ
ィルム、シート、網、紙、不織布又は織布である請求項
1又は2に記載の成形薫香。 - 【請求項4】 膜状物が元来香気を示す植物由来の物質
及び/又は元来香気を示さない植物由来の物質を含む請
求項1、2又は3に記載の成形薫香。 - 【請求項5】 膜状物が水溶性多糖を含む請求項1乃至
4のいずれかに記載の成形薫香。 - 【請求項6】 薫香部及び/又は膜状物が着色料をさら
に含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の成形薫
香。 - 【請求項7】 薫香部が、香気を示しうる植物由来の物
質として、互いに香気の異なる複数の物質を含んでな
り、該複数の物質が、実質的に同時に香気を立ち上がら
せない、薫香部のそれぞれ異なる部分に含有されている
複数香成形薫香である請求項1乃至6のいずれかに記載
の成形薫香。 - 【請求項8】 燭台に立てることのできる凹部を有する
請求項1乃至7のいずれかに記載の成形薫香。 - 【請求項9】 着火させるか又は着火させることなく加
熱して香気を立ち上がらせる請求項1乃至8のいずれか
に記載の成形薫香。 - 【請求項10】 香気を示しうる植物由来の物質に加え
て、トレハロース、マルチトール及びプルランから選ば
れる1種若しくは2種以上の糖質又はこの1種若しくは
2種以上の糖質とともに環状糖質とを含んでなる線状に
成形された薫香部の周囲を膜状物で被覆する工程を含む
成形薫香の製造方法。 - 【請求項11】 膜状物が可燃性材料により成形された
フィルム、シート、網、紙、不織布又は織布である請求
項10に記載の成形薫香の製造方法。 - 【請求項12】 膜状物が元来香気を示す植物由来の物
質及び/又は元来香気を示さない植物由来の物質を含む
請求項10又は11に記載の成形薫香の製造方法。 - 【請求項13】 膜状物が水溶性多糖を含む請求項1
0、11又は12に記載の成形薫香の製造方法。 - 【請求項14】 膜状物が着色料を含む請求項10乃至
13のいずれかに記載の成形薫香の製造方法。 - 【請求項15】 薫香部を得る工程として、香気を示し
うる植物由来の物質と、トレハロース、マルチトール及
びプルランから選ばれる1種若しくは2種以上の糖質又
はこの1種若しくは2種以上の糖質とともに環状糖質と
適量の水とを含む混合物を調製し、次いで該混合物を線
状に成形する工程を含む請求項10乃至14のいずれか
に記載の成形薫香の製造方法。 - 【請求項16】 香気を示しうる植物由来の物質が、元
来香気を示す植物由来の物質であるか、元来香気を示さ
ない植物由来の物質と香料とを含む組成物であるか、又
はこれらの混合物である請求項15に記載の成形薫香の
製造方法。 - 【請求項17】 薫香部を得る工程として、元来香気を
示す植物由来の物質と適量の水とを含む混合物を調製
し、次いで該混合物を線状に成形し、さらに該線状の成
形物に、トレハロース、マルチトール及びプルランから
選ばれる1種若しくは2種以上の糖質又はこの1種若し
くは2種以上の糖質とともに環状糖質とを含有せしめる
工程を含む請求項10乃至14のいずれかに記載の成形
薫香の製造方法。 - 【請求項18】 線状の成形物に糖質を含有せしめる工
程が、該線状の成形物に該糖質の溶液を塗布、噴霧又は
含浸させる工程を含むものである請求項17に記載の成
形薫香の製造方法。 - 【請求項19】 薫香部を得る工程として、元来香気を
示さない植物由来の物質と、トレハロース、マルチトー
ル及びプルランから選ばれる1種若しくは2種以上の糖
質又はこの1種若しくは2種以上の糖質とともに環状糖
質と、適量の水とを含む混合物を調製し、次いで該混合
物を線状に成形し、さらに該線状の成形物に、香料を含
有せしめる工程を含む請求項10乃至14のいずれかに
記載の成形薫香の製造方法。 - 【請求項20】 線状の成形物に香料を含有せしめる工
程が、該線状の成形物に該香料の溶液を塗布、噴霧又は
含浸させる工程を含むものである請求項19に記載の成
形薫香の製造方法。 - 【請求項21】 薫香部を得る工程において、着色料を
該薫香部に含有せしめる請求項15乃至20のいずれか
に記載の成形薫香の製造方法。 - 【請求項22】 線状に成形された薫香部と、該薫香部
の周囲を被覆する膜状物とからなる成形薫香。
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- 2000-05-10 JP JP2000137797A patent/JP4401533B2/ja not_active Expired - Fee Related
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