JP2001288109A6 - 黒色腫治療 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高い患者コンプライアンスで、黒色腫を有する患者を処置するための改善された治療法に対する必要性を満足させること。
【解決手段】外科的に除去された黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該医薬が、治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、このような患者に投与される、使用。
【選択図】なし
【解決手段】外科的に除去された黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該医薬が、治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、このような患者に投与される、使用。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、治療的に有効用量のPEG化インターフェロンαを、進行無し生存期間を増加するに充分な時間投与することにより、病巣の明確な外科的除去後に黒色腫を有する患者を処置するための改良した治療に関する。
【0002】
【従来の技術】
黒色腫発生率は、全ての他の固形腫瘍の発生率を超える割合で増加している。4mmより大きい原発性黒色腫または局所リンパ節を含む転移性黒色腫を有する患者は、この原発性黒色腫の外科的切除後50〜90%の死亡率のリスクを有する。
【0003】
最近、Eastern Cooperative Oncology Group(「ECOG」)は、深部原発性黒色腫(T4)または局所性転移性黒色腫(N1)の外科手術後のアジュバント療法として、第III期皮膚黒色腫を有する患者におけるインターフェロンα−2bの使用の結果を発表した(Kirkwood,J.M.ら,J.Clin.Oncol.14巻:(1996)4〜17頁)。ECOGにより使用されるインターフェロンα−2b治療は、4週間、週に5日、静脈内(「IV」)に1日あたり体表面積の、1平方メートル(m2)当たり2千万IUのインターフェロンα−2bを投与する導入期、およびその後の、48週間、週に3回(「TIW」)皮下に(「SC」)1千万IU/m2のインターフェロンαを投与する治療の維持を含む。疾患の無い生存の中央値および全体の生存における有意な改善が、IV導入治療期の50%の患者およびSC維持期の48%の患者において、投薬の減少または毒性の遅延にもかかわらず、対照(観察)に対して観察された。血液学的な、神経学的な、および全身的な毒性がこれらの患者間で発生し、用量の減少またはインターフェロンα治療からの撤退を必要とした。両方の期の間の、投薬および投薬レジメンに対する被験体コンプライアンスは、最大の臨床的利益を達成するために重要であると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
より高い患者コンプライアンスで、黒色腫を有する患者を処置するための改善された治療法に対する必要性を満足させること。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外科的に除去された黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該医薬が、治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、このような患者に投与される、使用を提供する。
【0006】
1つの実施態様において、上述のPEG化インターフェロンは、PEG化インターフェロンα−2aまたはPEG化インターフェロンα−2bである。
【0007】
好ましい実施態様において、上述の患者は、未処置の患者である。
【0008】
さらに好ましい実施態様において、上述の未処置患者は、新たに診断された黒色腫を有する患者である。
【0009】
他の実施態様において、上述の患者は処置経験患者である。
【0010】
好ましい実施態様において、上記処置経験患者は、インターフェロンαに不耐性であるか、インターフェロンαに抵抗性である。
【0011】
別の実施態様において、上述の期間は少なくとも約24ヶ月である。
【0012】
さらに別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、原発性黒色腫の外科切除後に投与される。
【0013】
なお別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、PEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量は週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である。
【0014】
別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、PEG化α−2aであり、そして前記有効量が、週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である。
【0015】
本発明はまた、外科的に除去された皮膚黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該医薬が、有効量のPEG化インターフェロンαを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、該患者に投与される、使用を提供する。
【0016】
1つの実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、PEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量は、週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である。
【0017】
別の実施態様について、上述のPEG化インターフェロンαはPEG化α−2aであり、かつ前記有効量は、週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である。
【0018】
別の実施態様において、上述の期間は少なくとも約100週間である。
【0019】
本発明はまた、皮膚黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該患者が、約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間投与される、使用を提供する。
【0020】
1つの実施態様において、上述の期間が約100週間である。
【0021】
別の実施態様において、約4.5〜約6.5マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bは、週に一回投与される。
【0022】
少なくとも約100週間の期間にわたるプロトコルにおいて、外科手術後約60日以内の黒色腫を有する患者に投与するための治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを市販する工程を包含する方法を提供する。
【0023】
1つの実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαがPEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量が週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgの範囲内にある。
【0024】
別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαはPEG化α−2aであり、かつ前記有効量が週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である。
【0025】
本発明はまた、外科的に除去された皮膚黒色腫を有する患者を処置するためのPEG化インターフェロンαおよび取扱説明書を備えるキットであって、該医薬が、治療的に有効量のPEG化インターフェロンαを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、該患者に投与される、キットを提供する。
【0026】
1つの実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαはPEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量は週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である。
【0027】
別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、PEG化インターフェロンα−2aであり、かつ前記有効量が、週に一回、投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である。
【0028】
さらに別の実施態様において、上述の期間が少なくとも約100週間である。
【0029】
本発明はまた、皮膚黒色腫を有する患者を処置するためのPEG化インターフェロンαおよび取扱説明書を備えるキットであって、該患者が、約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bを進行無し生存期間を増加するに充分な期間週に一回投与される、使用を提供する。
【0030】
1つの実施態様において、上述の期間は約100週間である。
【0031】
別の実施態様において、約4.5〜約6.5マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bは週に一回投与される。
【0032】
本発明は、外科的に除去された黒色腫を有する患者を処置する方法を提供し、この方法は、このような患者に、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを投与する工程を包含する。
【0033】
本発明はまた、外科的に除去された皮膚の黒色腫を有する患者を処置する方法を提供し、これは上述の患者に、有効量のPEG化インターフェロンαを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、投与する工程を包含する。
【0034】
本発明はさらに、外科的に除去された皮膚黒色腫を有する患者を処置する方法を提供し、この方法はこのような患者に、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bを週に一回投与する工程を包含する。好ましい実施態様において、1キログラムあたり6.0マイクログラムが患者に8週間毎週投与され、そして1キログラムあたり3.0マイクログラム以下が最初の投薬からの5年間から8週間を引いた期間患者に毎週投与される。1キログラムあたり3.0マイクログラム未満が患者に投与される場合、好ましくは、この用量の減少段階は、1キログラムあたり3.0−2.0−1.0マイクログラムである。
【0035】
本発明はさらに、少なくとも約100週間の期間にわたるプロトコルにおいて、外科手術後約60日以内の黒色腫を有する患者への投与のための治療的有効用量のインターフェロンαを市販する工程を包含する方法を提供する。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明は、黒色腫、とりわけ、第IIB期(病巣>4mmであるが、陽性結節を有さない)の黒色腫を有する患者、および第III期(病巣>4mmであり、かつ結節陽性)原発性皮膚黒色腫を有する患者を、好ましくは、それらの第IIB期または第III期黒色腫の外科手術後に処置する改良された方法を提供する。この改良された方法は、毎週のPEG化インターフェロン注射の使用により、より安全で、より有効な、そしてより耐容性のある、黒色腫のためのアジュバント治療処置を提供する。本発明の改良した方法に従って処置することのできる黒色腫患者には、この疾患を新たに診断された患者であって、外科手術後56日間、疾患はないが、この疾患の全身的な再発の高い危険性がある患者が含まれる。本明細書中に使用される用語「高い危険性がある患者」は、>4mmのブレスロー厚さの病巣を有する黒色腫患者、ならびに原発性または再発性の結節の併発を伴う任意のブレスロー厚さの病巣を有する患者を意味する。インターフェロンα治療に対する黒色腫患者の不耐性または抵抗性がまた含まれる。本発明に従うPEG化インターフェロンαを用いる処置は、疾患の進行の臨床的証拠、受容不可能な毒性、またはこの治療を中止するとの患者の要求がない限り、最低約2年間(約100〜104週間)、そして5年間まで継続する。
【0037】
投与されるPEG化インターフェロンαが、PEG化インターフェロンα−2bである場合、投与される治療的有効量のPEG化インターフェロンα−2bは、週に一回(QW)投与されるPEG化インターフェロンα−2bの1キログラムあたり約3.0〜約9.0マイクログラムの範囲であり、好ましくはPEG化インターフェロンα−2b(QW)の1キログラムあたり約4.5〜約6.5マイクログラムの範囲であり、より好ましくはPEG化インターフェロンα−2b(QW)の1キログラムあたり約5.5〜約6.5マイクログラムの範囲であり、そして最も好ましくはQWで投与されるPEG化インターフェロンα−2bの1キログラムあたり約6.0マイクログラムの範囲である。
【0038】
好ましい実施態様において、1キログラムあたり6.0マイクログラムが8週間患者に毎週投与され、そして1キログラムあたり3.0マイクログラム以下が最初の投薬から5年から8週間を差引いた期間患者に毎週投与される。1キログラムあたり3.0マイクログラム未満がこの患者に投与される場合、好ましくは用量の減少段階は1キログラムあたり3.0−2.0−1.0マイクログラムである。
【0039】
投与されるPEG化インターフェロンαがPEG化インターフェロンα−2aである場合、投与される治療的有効量のPEG化インターフェロンα−2aは、週に1回(「QW」)、約50マイクログラム〜約500マイクログラム、好ましくは約200マイクログラム〜約250マイクログラムQWの範囲内である。
【0040】
本明細書で使用される用語「PEG化インターフェロンα」は、インターフェロンαのポリエチレングリコール修飾した結合体、好ましくはインターフェロンα−2aおよび2bを意味する。好ましいポリエチレングリコールインターフェロンα−2b結合体はPEG12000−インターフェロンα2bである。本明細書で使用される句「12,000分子量ポリエチレングリコール結合インターフェロンα」および「PEG12000−IFNα」は、国際出願第WO 95/13090号の方法に従って調製され、そしてインターフェロンα−2aまたは−2bのアミノ基と平均分子量12000を有するポリエチレングリコールとの間にウレタン結合を含むような結合体を意味する。
【0041】
好ましいPEG12000−インターフェロンα−2bは、PEGポリマーをIFNα−2b分子中のリジン残基のεアミノ基に結合させることにより調製される。単一のPEG12000分子は、ウレタン結合を介してIFNα−2b分子上のフリーのアミノ基に結合される。この結合体は、結合したPEG12000の分子量により特徴付けられる。PEG12000−IFNα−2b結合体は、注射用の凍結乾燥粉末として処方される。IFNαのPEGとの結合の目的は、その血漿半減期を有意に延長させることによりタンパク質の送達を改善することであり、それによりIFNαの長引いた活性を提供することである。
【0042】
本明細書中で使用される用語「インターフェロンα」は、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、そして免疫応答を調節する高度に相同な種特異的タンパク質のファミリーを意味する。代表的な適切なインターフェロンαには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Schering Corporation,Kenilworth,N.J.から入手可能なIntron−Aインターフェロンのような組換え体インターフェロンα−2b、Hoffmann−LaRoche,Nutley,N.J.から入手可能なRoferonインターフェロンのような組換え体インターフェロンα−2a、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.,Ridgefield,CT.から入手可能なBeroforα2インターフェロンのような組換え体インターフェロンα−2C、Sumitomo,Japanから入手可能なSumiferonまたはGlaxo−Wellcome Ltd.,London,Great Britainから入手可能なWellferon インターフェロンα−n1(INS)のような天然αインターフェロンの精製ブレンドであるインターフェロンα−n1、あるいは米国特許第4,897,471号および同第4,695,623号(特にその実施例7、8または9)に記載されるようなコンセンサスαインターフェロン、ならびにAmgen,Inc.,Newbury Park,CAから入手可能な特定の製品、またはInterferon Sciencesにより作製され、そしてAlferon TradenameのもとにPurdue Frederick Co.Norwalk,CT.から入手可能な天然αインターフェロンの混合物であるインターフェロンα−n3。インターフェロンα−2aまたはα−2bの使用が好ましい。全てのインターフェロンの中で、とりわけ、インターフェロンα−2bは、慢性C型肝炎感染を処置するための世界中で最も広い認証を有するので、最も好ましい。インターフェロンα−2bの製造は、米国特許第4,530,901号に記載されている。
【0043】
他のインターフェロンα結合体は、インターフェロンαを水溶性ポリマーとカップリングすることにより調製され得る。このようなポリマーの非限定的なリストには、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、それらのコポリマー、およびそれらのブロックコポリマーのような他のポリアルキレンオキシドホモポリマーが含まれる。ポリアルキレンオキシドベースポリマーに代わるものとして、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、および炭水化物ベースポリマーなどのような事実上非抗原性の物質が使用され得る。このよなインターフェロンαポリマー結合体は、米国特許第4,766,106号、米国特許第4,917,888号、欧州特許出願第0,236,987号、欧州特許出願第0,510,356号、同第0,593,868号および同第0,809,996号(PEG化インターフェロンα−2a)、ならびに国際公開第WO 95/13090号に記載される。
【0044】
非経口投与に適切なPEG化インターフェロンαの薬学的組成物は、適当な緩衝液(例えば、Tris−HCl、酢酸塩、または第二リン酸ナトリウム/第一リン酸ナトリウムのようなリン酸塩の緩衝液)、ならびに注射用の滅菌水中の薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、ショ糖)、キャリア(例えば、ヒト血清アルブミン)、張性薬物(例えば、NaCl)、保存剤(例えば、チメロサール、クレゾール、またはフェニルアルコール(もしくはベンジルアルコール))、および界面活性剤(例えば、tweenまたはポリソルベート)とともに処方され得る。PEG化インターフェロンαは、2〜8℃での冷蔵下で凍結乾燥粉末として貯蔵され得る。再構成した水溶液は、2〜8℃の間で保存した場合に安定であり、そして再構成の24時間内に使用される。例えば、米国特許第4,492,537号;同第5,762,923号および同第5,766,582号を参照のこと。この再構成した水溶液はまた、インスリンのような薬物の送達に有用なシリンジのような予備充填した多用量シリンジ中に保存され得る。代表的な適切なシリンジには、Novo Nordiskから入手可能なNOVOLET Novo Penのようなペン型のシリンジに取りつける予備充填したバイアル、ならびに使用者が容易に自分で注射できるようにする予備充填したペン型のシリンジを備えるシステムが含まれる。他のシリンジシステムには、希釈剤および凍結乾燥したPEG化インターフェロンα粉末を含むガラスカートリッジを、別個の区画に備えるペン型シリンジが含まれる。
【0045】
本明細書中で使用される用語「黒色腫を有する患者」は、黒色腫を有する任意の患者を意味し、そして未処置の患者、ならびに処置経験患者、ならびに第IIB期または第III期の皮膚黒色腫にある患者を含む。黒色腫を有する全ての患者は、好ましくは、本発明の改良された治療の開始前に原発性黒色腫病巣の広範な切除により処置される。
【0046】
本明細書中に使用される用語「未処置患者」は、黒色腫を有する患者を意味し、任意の化学療法薬物(例えば、ダカルバジン(「DTIC」))、または免疫療法(例えば、IL−2、および任意のインターフェロン(インターフェロンαまたはPEG化インターフェロンαを含むが、これらに限らない))により一度も処置されていない新たに診断された黒色腫患者を含む。黒色腫を有する全ての未処置患者は、好ましくは、本発明の改良治療の開始前に原発性黒色腫病巣の広範な切除により処置される。
【0047】
本明細書中に使用される用語「処置経験患者」は、何らかの形態の化学療法薬物(例えば、DTIC)または免疫療法(インターフェロンα、IL−2、およびGMCSFを含むがこれらに限定されない)を開始した患者を意味する。黒色腫を有する全ての処置経験患者は、好ましくは、本発明の改良された治療の開始前に原発性黒色腫病巣の広範な切除により処置される。
【0048】
本明細書中に使用される用語「原発性皮膚黒色腫」は、現行の(1992)American Joint Committee on Cancer Staging Criteria(“AJCC”):the AJCC Manual for Strategy of Cancer(第4版)Philadelphia PA Lippincott Publishers 1992により定義されるとおりの組織学的に実証された原発性皮膚黒色腫を意味し、そして以下を含む:(a)4mmを越えるブレスロー深さの深い原発性黒色腫を有する結節陰性第IIB期疾患、および(b)以下のように定義される結節陽性第III期疾患:(1)4mmを越えるブレスロー深さの深い原発性黒色腫(CS1 PS1:T4N0M0と命名);(2)臨床的に不顕性の局所リンパ節転移が選択されたリンパ節切除部位で検出された、N1局所リンパ節転移の存在下での任意の腫瘍病期の原発性黒色腫(CS1 PS2:任意のTpN1M0と命名);(3)T1−4の原発性黒色腫と同期の臨床的に顕性のN1局所リンパ節併発(CS2 PS2:任意のTcN1M0と命名);および(4)任意の深さの原発性黒色腫に関する適切な外科手術後の任意の間隔での局所リンパ節の再発(CS2R:TxrN1M0再発と命名)。第1〜3群の患者は、最初の原発性黒色腫生検の56日以内にこの研究に入るよう要求された。4群の局所結節性再発を有する患者は、リンパ節切除の42日以内にこの研究に入るよう要求された。
【0049】
第III期黒色腫を有する全ての患者は、原発性黒色腫病巣の広範な切除により処置されるべきである。
【0050】
鼡径部、腋窩、または頸部に臨床的に陽性の結節を有する患者は、これらの部位を外科的に除去するために完全なリンパ節切除を受けるべきである。
【0051】
全ての外科手術は、この臨床研究への無作為化前56日以内に完了されるべきである。
【0052】本明細書中で使用される用語「進行無し生存期間」(「PFST」)は、本発明に従う黒色腫処置の開始から、組織学的または細胞学的証拠により疾患の進行または再発が記録されるまでの期間を意味する。
【0053】
本発明の方法に従って処置した黒色腫患者について予想される進行無し生存期間は、本発明の黒色腫治療の開始から少なくとも約4年である;好ましくは、PFSTは、本発明の黒色腫治療の開始から約30〜約43ヶ月の範囲である。
【0054】
本発明の方法に従って処置された黒色腫患者について予想される進行無し生存期間の増加は、対照(観察)と比較して約1.0年より長く約1.5年までである。
【0055】
処置不全の以下の判定基準は、疾患の再発または進行の容認可能な証拠のみを構成する:
肺/肝臓:単一の新規病巣の存在下での陽性の細胞学または生検、あるいは転移性疾患と一致する複数病巣の出現
中枢神経系:陽性の脳CTまたはMRIスキャンあるいは脳脊髄液(CSF)細胞学
皮膚、皮下、およびリンパ節での再発:陽性の細胞学または生検
骨および他の器官:単一の新規病巣の存在下での陽性の細胞学または生検、あるいは2つの異なる放射線医学的研究により同定される転移性疾患と一致する複数病巣の出現(すなわち、陽性のガリウムスキャンおよびコントラストGIシリーズ、あるいは腹部疾患のための腹部の超音波、X線、またはCT)。
【0056】
本明細書中に使用される用語「禁止投薬」は以下を含む:
a)他の化学療法、ホルモン療法、免疫療法、生物学的療法、または放射線治療
b)エリスロポエチンおよびG−CSFを含むコロニー刺激因子
c)他の研究用薬物
d)慢性の全身性のコルチコステロイド療法。
【0057】
本発明の方法に従って処置した黒色腫患者は、この処置期間中、上記に列挙した禁止投薬のいずれも受けるべきでない。
【0058】
PEG化インターフェロンα処方は、経口で投与した場合には効果的でないので、PEG化インターフェロンαを投与する好ましい方法は、非経口的方法であり、好ましくは、皮下、IV、またはIM注射による。当然に、両方の医薬の他の型(例えば、鼻スプレー、経皮的、坐剤、徐放投薬形態、および肺吸入による)の投与は、それらが利用可能となる場合には意図される。投与の任意の形態は、活性成分を破壊せずに適切な投薬が送達される限り、使用可能である。
【0059】以下の臨床研究設計は、本発明の方法に従って、黒色腫患者を処置するために使用され得る。この臨床研究設計プロトコルの多くの改変は、熟練した臨床医に明らかであり、以下の研究設計は、本明細書に添付の請求の範囲により定義される本発明の方法の範囲を制限するようには解釈されるべきでない。
【0060】
【実施例】
(臨床研究設計)これは、切除された第III期結節陽性皮膚黒色腫を有する患者においてアジュバント療法として与えられた場合の、PEG Intron(PEG化インターフェロンα2b、すなわちPEG12000−インターフェロンα2b)およびINTRON(登録商標)A(インターフェロンα2b)(これらの各々は、Schering Corporation,Kenilworth,NJから入手可能である)の生活の質に対する安全性、効能、および影響、ならびにPEGイントロンの集団薬物速度論を評価するよう設計したフェーズII/III無作為化、制御化、複数中心の、オープンラベル研究である。およそ450人の被験体が登録され、そして225人の被験体が各処置群に無作為化されることが予想される。
【0061】
被験体は、その第III期黒色腫の最終的な外科手術の56日以内にこの研究に入り、そして以下に示される2つの処置群の1つに無作為化される。最終的な外科手術には、原発性黒色腫の広範な外科的切除、および鼡径部、腋窩、または頸部における全ての臨床的に陽性な結節のリンパ節切除が含まれる。全ての外科手術は、無作為化の少なくとも56日前に完了されるべきである。
【0062】
(A群:INTRON(登録商標)A)20MIU/m2/日 IV5日/週×4週、その後10MIU/m2SC TIW×48週。
【0063】
(導入治療:20MIU/m2/日IV週に5日を4週間)処置群Aに無作為化された全ての被験体は、静脈内INTRON(登録商標)A、2千万国際単位/m2/日、5日/週を4週間での導入治療を開始する。アセトアミノフェン(500−1000mg)は、INTRON(登録商標)Aの最初の用量を受ける30分前にクリニックで与えられ得る。被験体は、最初の用量後、2時間観察されるべきである。アセトアミノフェン(500〜650mgPOq4〜6時間)は、必要であれば継続されるべきであり、そして3000mg/日を超えるべきでない。
【0064】(維持治療:48週間10MIU/m2SC TIW)導入治療後、被験体は維持治療で継続し、INTRON(登録商標)A、1千万国際単位/m2/日、48週間毎週SC3回を受ける。
【0065】
(B群:PEGイントロン:PEG12000−インターフェロンα−2b、6.0μg/kg、SC毎週1回を2年間)処置群Bに無作為化された被験体は、PEG12000−インターフェロンα−2b、6.0μg/kg、SCで毎週1回を2年間受ける。アセトアミノフェン(500〜1000mg)は、PEGイントロンの最初の用量を受ける30分前にクリニックで与えられ得る。被験体は、最初の用量後、2時間で観察されるべきである。アセトアミノフェン(500〜650mgPOq4〜6時間)は、必要であれば、継続されるべきであり、そして3000mg/日を超えるべきでない。
【0066】
(研究の持続期間および来診スケジュール)PEG12000−インターフェロンα2b(約104週)かINTRON(登録商標)A(52週)のいずれかを用いた処置は、疾患再発の証拠、受容不可能な毒性、または治療を中止するという被験体の要求がない限り、計画どおりに続けられる。それぞれの研究処置の耐容性および生活の質が、臨床的観察、慣用的な実験室試験、および治療過程にわたる生活の質の評価から評価される。治療の完了後、被験体は、疾患再発の証拠を追跡され続け、生活の質評価を完了する。黒色腫が再発した場合、さらなる処置は医師の裁量で行われる。全ての被験体は、いつ治療を中止したかに拘わらず、生存について追跡される。再発のない生存および全体的な生存の分析も、治療をいつ中止したかに拘わらず行われる。再発のない生存および全体的な生存の分析は、イベント待ち方式である。
【0067】
本研究の持続期間は、治療的応答の達成に基づき、そして各被験体について個々に決定される。
【0068】
本研究の母集団は、皮膚黒色腫を有する男性および女性の患者を含み、そしてそれらが以下に示す包含および排除の判定基準を満たす場合に含められる:
(被験体包含判定基準)被験体は、以下の場合には本研究に参加するに適格である:
a)被験体は、以下の病期分類判定基準の1つを満たす組織学的に記録された原発性皮膚黒色腫を有さなければならない:
・臨床的に不顕性の局所リンパ節転移を有する選択リンパ節解剖または前哨結節生検で検出したN1局所リンパ節転移の存在下での任意の病期の原発性黒色腫(任意のpTN1M0)。
・原発性黒色腫のT1-4と同期の臨床的に顕性のN1またはN2a局所リンパ節併発(任意のpTrN1-2aM0)。
・任意の深さの原発性黒色腫の適切な外科手術後、任意の間隔での局所リンパ節再発(任意のpTrN1-2aM0)。
b)被験体は、本研究への無作為化前56日以内に、全ての既知の疾患が、適切な外科的余裕を伴って完全に切除されていなければならない。
c)被験体は、Minna,JDら「Cancer of the Lung」DeVita Vら編、Cancer:Principles and Practiced of Oncology,Lippincott,Philadelphia,PA 1989の536頁に定義される0または1のECOG性能状態を有さねばならない。
d)被験体は18〜70歳の間の年齢でなければならない。
e)被験体は、研究処置の開始前14日以内に得た以下のパラメーターにより定義されるような適切な肝機能、腎機能、および骨髄機能を有さねばならない。
【0069】
1)血液学:
−白血球数(WBC)≧3,000細胞/μl
−ヘモグロビン濃度≧9g/dl
2)腎機能および肝機能:
−血清クレアチニン≦2.0mg/dl、または≧50ml/分のクレアチニンクリアランスの計算値
−疾患による浸潤に起因しない限り、血清ビリルビン<正常の上限(ULN)の2倍
−AST/ALT(SGOT/SGPT)<ULNの2倍
f)被験体は、研究参加前に随意の同意書を提出しており、進んで本研究に参加し、そして全てのフォローアップ評価を完了する。
【0070】
(被験体排除判定基準)被験体は、以下の場合には、本研究に参加するに適格でない:
a)黒色腫のための化学療法、免疫療法、ホルモン療法、または放射線療法のいずれかを以前に受けた被験体。
b)遠隔のまたは非局所的リンパ節転移、移動中の転移、または未知の原発性腫を有する陽性リンパ節の証拠を有する被験体。
c)その疾患が関節包外に大きく拡張しているため、外科的に完全に切除され得ない被験体。
d)任意の理由のためインターフェロンαを以前に受けたことがある被験体(しかし、このような患者は、それでも、本発明の方法に従って処置され得ると考えられるが、この登録用の研究からだけ除外される)。
e)重篤な心臓血管疾患、すなわちBruce RA:「Evaluationof Functional Capacity and ExerciseTolerance of Cardiac Subjects」Mod.Concepts Cardiovasc Dis 1956;25−321により定義されるような、慢性的処置を必要とする不整脈、うっ血性心不全(NYHAクラスIIIまたはIV)、または症候性の虚血性心臓疾患を有する被験体。
f)入院を必要とする神経心理学的障害の病歴を有する被験体。
g)治療に応答しない甲状機能不全を有する被験体。
h)管理されていない糖尿病を有する被験体。
i)過去5年以内に、インサイチュで外科的に治療した黒色腫ではない皮膚ガンまたは頸部ガン以外に以前に悪性の病歴を有する被験体。
j)HIVについてセロポジティブの病歴を有する被験体。
k)妊娠しているか、授乳中であるか、または生殖能力を有しており、かつ避妊の有効な手段を実行していない被験体。
l)活性肝炎を含む、活性および/または管理されていない感染を有する被験体。
m)慢性の全身性コルチコステロイドを必要とする医学的状態を有する被験体。
n)アルコールまたは薬物を積極的に乱用していることが分っている被験体。
o)本研究における無作為化前30日以内に任意の実験的治療を受けた被験体。
p)最近の外科手術の作用から回復していない被験体。
【0071】
(被験体中止判定基準)その健康または福祉が本研究の継続により脅かされ得るいかなる被験体の処置をも中止することは、臨床研究者の権利であり、かつ義務である。
【0072】
被験体は、以下の理由のいずれかにより、本研究の完了前に中止され得る:
a)被験体が、本明細書中先に定義したような、疾患の記録された進行または再発を顕出する。
b)被験体が、主任研究者により決定されるような、臨床的に有意に有害な事象を有する。
c)被験体が、本研究から撤退することを要求する。
d)被験体が、不慮の環境のため、本研究の評価/来診を完了することができない。
e)被験体が、研究者の意見において、本研究からの撤退を是認する他の状況を顕出する。
f)被験体が、重篤なうつ病または入院を必要とする任意の他の精神医学障害を顕出する。
g)被験体が、血管性水腫、気管支収縮、またはアナフィラキシーにより明らかになる本研究の薬物に対する重大なアレルギー応答を経験する。
h)被験体が、本明細書中先に示されるような禁止投薬を用いた処置を受ける。
i)被験体が、本明細書中以下に記載のような用量改変にかかわらず再発する毒性を経験する。
【0073】
全ての被験体は、いつ研究を中止するかに拘わらず、生存について追跡される。疾患の再発以外の理由で中止した被験体はまた、再発および生存について追跡されるべきである。
【0074】
(一次および二次終点の分析)一次終点は、無作為化から進行または死までの期間であると定義される進行無し生存(PFS)期間である。PFSは、臨床的な観察により評価され、再発は、適切な放射線写真法および組織学的方法により記録され、そして独立セントラルレビュー(Independent Central Review)により確認される。
【0075】
二次終点は、全体的な生存、安全性、生活の質、および集団薬物速度論(PK)である。安全性および耐容性は、治療過程にわたる臨床的な観察および慣用的な実験室試験から評価される。健康に関連した生活の質(HQL)は、HQL質問票から評価される。集団薬物速度論は、PEG Intron群における定期的な血清サンプリングから評価される。
【0076】
用量を改変したにもかかわらず、IV導入用量レジメンに耐え得ないA群に登録した被験体は、このIVレジメンを中止すべきであるが、本研究を中止すべきではない。毒性の消散後、それらの被験体は完全な維持用量を用いるINTRON(登録商標)A維持期に入り得る。
【0077】
進行無し生存期間を増加するために、黒色腫を有する未処置の患者、および処置を経験した患者を処置するための最終的な外科手術に対するアジュバント療法としての方法であって、治療的有効量のPEG化インターフェロンα(例えば、好ましくは、PEG化インターフェロンα−2b)を投与する工程を包含する方法が開示される。
【0078】
【発明の効果】
本発明により、より高い患者コンプライアンスで、黒色腫を有する患者を処置するための改善された治療法に対する必要性が満たされる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、治療的に有効用量のPEG化インターフェロンαを、進行無し生存期間を増加するに充分な時間投与することにより、病巣の明確な外科的除去後に黒色腫を有する患者を処置するための改良した治療に関する。
【0002】
【従来の技術】
黒色腫発生率は、全ての他の固形腫瘍の発生率を超える割合で増加している。4mmより大きい原発性黒色腫または局所リンパ節を含む転移性黒色腫を有する患者は、この原発性黒色腫の外科的切除後50〜90%の死亡率のリスクを有する。
【0003】
最近、Eastern Cooperative Oncology Group(「ECOG」)は、深部原発性黒色腫(T4)または局所性転移性黒色腫(N1)の外科手術後のアジュバント療法として、第III期皮膚黒色腫を有する患者におけるインターフェロンα−2bの使用の結果を発表した(Kirkwood,J.M.ら,J.Clin.Oncol.14巻:(1996)4〜17頁)。ECOGにより使用されるインターフェロンα−2b治療は、4週間、週に5日、静脈内(「IV」)に1日あたり体表面積の、1平方メートル(m2)当たり2千万IUのインターフェロンα−2bを投与する導入期、およびその後の、48週間、週に3回(「TIW」)皮下に(「SC」)1千万IU/m2のインターフェロンαを投与する治療の維持を含む。疾患の無い生存の中央値および全体の生存における有意な改善が、IV導入治療期の50%の患者およびSC維持期の48%の患者において、投薬の減少または毒性の遅延にもかかわらず、対照(観察)に対して観察された。血液学的な、神経学的な、および全身的な毒性がこれらの患者間で発生し、用量の減少またはインターフェロンα治療からの撤退を必要とした。両方の期の間の、投薬および投薬レジメンに対する被験体コンプライアンスは、最大の臨床的利益を達成するために重要であると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
より高い患者コンプライアンスで、黒色腫を有する患者を処置するための改善された治療法に対する必要性を満足させること。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外科的に除去された黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該医薬が、治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、このような患者に投与される、使用を提供する。
【0006】
1つの実施態様において、上述のPEG化インターフェロンは、PEG化インターフェロンα−2aまたはPEG化インターフェロンα−2bである。
【0007】
好ましい実施態様において、上述の患者は、未処置の患者である。
【0008】
さらに好ましい実施態様において、上述の未処置患者は、新たに診断された黒色腫を有する患者である。
【0009】
他の実施態様において、上述の患者は処置経験患者である。
【0010】
好ましい実施態様において、上記処置経験患者は、インターフェロンαに不耐性であるか、インターフェロンαに抵抗性である。
【0011】
別の実施態様において、上述の期間は少なくとも約24ヶ月である。
【0012】
さらに別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、原発性黒色腫の外科切除後に投与される。
【0013】
なお別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、PEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量は週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である。
【0014】
別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、PEG化α−2aであり、そして前記有効量が、週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である。
【0015】
本発明はまた、外科的に除去された皮膚黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該医薬が、有効量のPEG化インターフェロンαを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、該患者に投与される、使用を提供する。
【0016】
1つの実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、PEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量は、週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である。
【0017】
別の実施態様について、上述のPEG化インターフェロンαはPEG化α−2aであり、かつ前記有効量は、週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である。
【0018】
別の実施態様において、上述の期間は少なくとも約100週間である。
【0019】
本発明はまた、皮膚黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該患者が、約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間投与される、使用を提供する。
【0020】
1つの実施態様において、上述の期間が約100週間である。
【0021】
別の実施態様において、約4.5〜約6.5マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bは、週に一回投与される。
【0022】
少なくとも約100週間の期間にわたるプロトコルにおいて、外科手術後約60日以内の黒色腫を有する患者に投与するための治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを市販する工程を包含する方法を提供する。
【0023】
1つの実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαがPEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量が週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgの範囲内にある。
【0024】
別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαはPEG化α−2aであり、かつ前記有効量が週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である。
【0025】
本発明はまた、外科的に除去された皮膚黒色腫を有する患者を処置するためのPEG化インターフェロンαおよび取扱説明書を備えるキットであって、該医薬が、治療的に有効量のPEG化インターフェロンαを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、該患者に投与される、キットを提供する。
【0026】
1つの実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαはPEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量は週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である。
【0027】
別の実施態様において、上述のPEG化インターフェロンαは、PEG化インターフェロンα−2aであり、かつ前記有効量が、週に一回、投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である。
【0028】
さらに別の実施態様において、上述の期間が少なくとも約100週間である。
【0029】
本発明はまた、皮膚黒色腫を有する患者を処置するためのPEG化インターフェロンαおよび取扱説明書を備えるキットであって、該患者が、約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bを進行無し生存期間を増加するに充分な期間週に一回投与される、使用を提供する。
【0030】
1つの実施態様において、上述の期間は約100週間である。
【0031】
別の実施態様において、約4.5〜約6.5マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bは週に一回投与される。
【0032】
本発明は、外科的に除去された黒色腫を有する患者を処置する方法を提供し、この方法は、このような患者に、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを投与する工程を包含する。
【0033】
本発明はまた、外科的に除去された皮膚の黒色腫を有する患者を処置する方法を提供し、これは上述の患者に、有効量のPEG化インターフェロンαを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、投与する工程を包含する。
【0034】
本発明はさらに、外科的に除去された皮膚黒色腫を有する患者を処置する方法を提供し、この方法はこのような患者に、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bを週に一回投与する工程を包含する。好ましい実施態様において、1キログラムあたり6.0マイクログラムが患者に8週間毎週投与され、そして1キログラムあたり3.0マイクログラム以下が最初の投薬からの5年間から8週間を引いた期間患者に毎週投与される。1キログラムあたり3.0マイクログラム未満が患者に投与される場合、好ましくは、この用量の減少段階は、1キログラムあたり3.0−2.0−1.0マイクログラムである。
【0035】
本発明はさらに、少なくとも約100週間の期間にわたるプロトコルにおいて、外科手術後約60日以内の黒色腫を有する患者への投与のための治療的有効用量のインターフェロンαを市販する工程を包含する方法を提供する。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明は、黒色腫、とりわけ、第IIB期(病巣>4mmであるが、陽性結節を有さない)の黒色腫を有する患者、および第III期(病巣>4mmであり、かつ結節陽性)原発性皮膚黒色腫を有する患者を、好ましくは、それらの第IIB期または第III期黒色腫の外科手術後に処置する改良された方法を提供する。この改良された方法は、毎週のPEG化インターフェロン注射の使用により、より安全で、より有効な、そしてより耐容性のある、黒色腫のためのアジュバント治療処置を提供する。本発明の改良した方法に従って処置することのできる黒色腫患者には、この疾患を新たに診断された患者であって、外科手術後56日間、疾患はないが、この疾患の全身的な再発の高い危険性がある患者が含まれる。本明細書中に使用される用語「高い危険性がある患者」は、>4mmのブレスロー厚さの病巣を有する黒色腫患者、ならびに原発性または再発性の結節の併発を伴う任意のブレスロー厚さの病巣を有する患者を意味する。インターフェロンα治療に対する黒色腫患者の不耐性または抵抗性がまた含まれる。本発明に従うPEG化インターフェロンαを用いる処置は、疾患の進行の臨床的証拠、受容不可能な毒性、またはこの治療を中止するとの患者の要求がない限り、最低約2年間(約100〜104週間)、そして5年間まで継続する。
【0037】
投与されるPEG化インターフェロンαが、PEG化インターフェロンα−2bである場合、投与される治療的有効量のPEG化インターフェロンα−2bは、週に一回(QW)投与されるPEG化インターフェロンα−2bの1キログラムあたり約3.0〜約9.0マイクログラムの範囲であり、好ましくはPEG化インターフェロンα−2b(QW)の1キログラムあたり約4.5〜約6.5マイクログラムの範囲であり、より好ましくはPEG化インターフェロンα−2b(QW)の1キログラムあたり約5.5〜約6.5マイクログラムの範囲であり、そして最も好ましくはQWで投与されるPEG化インターフェロンα−2bの1キログラムあたり約6.0マイクログラムの範囲である。
【0038】
好ましい実施態様において、1キログラムあたり6.0マイクログラムが8週間患者に毎週投与され、そして1キログラムあたり3.0マイクログラム以下が最初の投薬から5年から8週間を差引いた期間患者に毎週投与される。1キログラムあたり3.0マイクログラム未満がこの患者に投与される場合、好ましくは用量の減少段階は1キログラムあたり3.0−2.0−1.0マイクログラムである。
【0039】
投与されるPEG化インターフェロンαがPEG化インターフェロンα−2aである場合、投与される治療的有効量のPEG化インターフェロンα−2aは、週に1回(「QW」)、約50マイクログラム〜約500マイクログラム、好ましくは約200マイクログラム〜約250マイクログラムQWの範囲内である。
【0040】
本明細書で使用される用語「PEG化インターフェロンα」は、インターフェロンαのポリエチレングリコール修飾した結合体、好ましくはインターフェロンα−2aおよび2bを意味する。好ましいポリエチレングリコールインターフェロンα−2b結合体はPEG12000−インターフェロンα2bである。本明細書で使用される句「12,000分子量ポリエチレングリコール結合インターフェロンα」および「PEG12000−IFNα」は、国際出願第WO 95/13090号の方法に従って調製され、そしてインターフェロンα−2aまたは−2bのアミノ基と平均分子量12000を有するポリエチレングリコールとの間にウレタン結合を含むような結合体を意味する。
【0041】
好ましいPEG12000−インターフェロンα−2bは、PEGポリマーをIFNα−2b分子中のリジン残基のεアミノ基に結合させることにより調製される。単一のPEG12000分子は、ウレタン結合を介してIFNα−2b分子上のフリーのアミノ基に結合される。この結合体は、結合したPEG12000の分子量により特徴付けられる。PEG12000−IFNα−2b結合体は、注射用の凍結乾燥粉末として処方される。IFNαのPEGとの結合の目的は、その血漿半減期を有意に延長させることによりタンパク質の送達を改善することであり、それによりIFNαの長引いた活性を提供することである。
【0042】
本明細書中で使用される用語「インターフェロンα」は、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、そして免疫応答を調節する高度に相同な種特異的タンパク質のファミリーを意味する。代表的な適切なインターフェロンαには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Schering Corporation,Kenilworth,N.J.から入手可能なIntron−Aインターフェロンのような組換え体インターフェロンα−2b、Hoffmann−LaRoche,Nutley,N.J.から入手可能なRoferonインターフェロンのような組換え体インターフェロンα−2a、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.,Ridgefield,CT.から入手可能なBeroforα2インターフェロンのような組換え体インターフェロンα−2C、Sumitomo,Japanから入手可能なSumiferonまたはGlaxo−Wellcome Ltd.,London,Great Britainから入手可能なWellferon インターフェロンα−n1(INS)のような天然αインターフェロンの精製ブレンドであるインターフェロンα−n1、あるいは米国特許第4,897,471号および同第4,695,623号(特にその実施例7、8または9)に記載されるようなコンセンサスαインターフェロン、ならびにAmgen,Inc.,Newbury Park,CAから入手可能な特定の製品、またはInterferon Sciencesにより作製され、そしてAlferon TradenameのもとにPurdue Frederick Co.Norwalk,CT.から入手可能な天然αインターフェロンの混合物であるインターフェロンα−n3。インターフェロンα−2aまたはα−2bの使用が好ましい。全てのインターフェロンの中で、とりわけ、インターフェロンα−2bは、慢性C型肝炎感染を処置するための世界中で最も広い認証を有するので、最も好ましい。インターフェロンα−2bの製造は、米国特許第4,530,901号に記載されている。
【0043】
他のインターフェロンα結合体は、インターフェロンαを水溶性ポリマーとカップリングすることにより調製され得る。このようなポリマーの非限定的なリストには、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、それらのコポリマー、およびそれらのブロックコポリマーのような他のポリアルキレンオキシドホモポリマーが含まれる。ポリアルキレンオキシドベースポリマーに代わるものとして、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、および炭水化物ベースポリマーなどのような事実上非抗原性の物質が使用され得る。このよなインターフェロンαポリマー結合体は、米国特許第4,766,106号、米国特許第4,917,888号、欧州特許出願第0,236,987号、欧州特許出願第0,510,356号、同第0,593,868号および同第0,809,996号(PEG化インターフェロンα−2a)、ならびに国際公開第WO 95/13090号に記載される。
【0044】
非経口投与に適切なPEG化インターフェロンαの薬学的組成物は、適当な緩衝液(例えば、Tris−HCl、酢酸塩、または第二リン酸ナトリウム/第一リン酸ナトリウムのようなリン酸塩の緩衝液)、ならびに注射用の滅菌水中の薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、ショ糖)、キャリア(例えば、ヒト血清アルブミン)、張性薬物(例えば、NaCl)、保存剤(例えば、チメロサール、クレゾール、またはフェニルアルコール(もしくはベンジルアルコール))、および界面活性剤(例えば、tweenまたはポリソルベート)とともに処方され得る。PEG化インターフェロンαは、2〜8℃での冷蔵下で凍結乾燥粉末として貯蔵され得る。再構成した水溶液は、2〜8℃の間で保存した場合に安定であり、そして再構成の24時間内に使用される。例えば、米国特許第4,492,537号;同第5,762,923号および同第5,766,582号を参照のこと。この再構成した水溶液はまた、インスリンのような薬物の送達に有用なシリンジのような予備充填した多用量シリンジ中に保存され得る。代表的な適切なシリンジには、Novo Nordiskから入手可能なNOVOLET Novo Penのようなペン型のシリンジに取りつける予備充填したバイアル、ならびに使用者が容易に自分で注射できるようにする予備充填したペン型のシリンジを備えるシステムが含まれる。他のシリンジシステムには、希釈剤および凍結乾燥したPEG化インターフェロンα粉末を含むガラスカートリッジを、別個の区画に備えるペン型シリンジが含まれる。
【0045】
本明細書中で使用される用語「黒色腫を有する患者」は、黒色腫を有する任意の患者を意味し、そして未処置の患者、ならびに処置経験患者、ならびに第IIB期または第III期の皮膚黒色腫にある患者を含む。黒色腫を有する全ての患者は、好ましくは、本発明の改良された治療の開始前に原発性黒色腫病巣の広範な切除により処置される。
【0046】
本明細書中に使用される用語「未処置患者」は、黒色腫を有する患者を意味し、任意の化学療法薬物(例えば、ダカルバジン(「DTIC」))、または免疫療法(例えば、IL−2、および任意のインターフェロン(インターフェロンαまたはPEG化インターフェロンαを含むが、これらに限らない))により一度も処置されていない新たに診断された黒色腫患者を含む。黒色腫を有する全ての未処置患者は、好ましくは、本発明の改良治療の開始前に原発性黒色腫病巣の広範な切除により処置される。
【0047】
本明細書中に使用される用語「処置経験患者」は、何らかの形態の化学療法薬物(例えば、DTIC)または免疫療法(インターフェロンα、IL−2、およびGMCSFを含むがこれらに限定されない)を開始した患者を意味する。黒色腫を有する全ての処置経験患者は、好ましくは、本発明の改良された治療の開始前に原発性黒色腫病巣の広範な切除により処置される。
【0048】
本明細書中に使用される用語「原発性皮膚黒色腫」は、現行の(1992)American Joint Committee on Cancer Staging Criteria(“AJCC”):the AJCC Manual for Strategy of Cancer(第4版)Philadelphia PA Lippincott Publishers 1992により定義されるとおりの組織学的に実証された原発性皮膚黒色腫を意味し、そして以下を含む:(a)4mmを越えるブレスロー深さの深い原発性黒色腫を有する結節陰性第IIB期疾患、および(b)以下のように定義される結節陽性第III期疾患:(1)4mmを越えるブレスロー深さの深い原発性黒色腫(CS1 PS1:T4N0M0と命名);(2)臨床的に不顕性の局所リンパ節転移が選択されたリンパ節切除部位で検出された、N1局所リンパ節転移の存在下での任意の腫瘍病期の原発性黒色腫(CS1 PS2:任意のTpN1M0と命名);(3)T1−4の原発性黒色腫と同期の臨床的に顕性のN1局所リンパ節併発(CS2 PS2:任意のTcN1M0と命名);および(4)任意の深さの原発性黒色腫に関する適切な外科手術後の任意の間隔での局所リンパ節の再発(CS2R:TxrN1M0再発と命名)。第1〜3群の患者は、最初の原発性黒色腫生検の56日以内にこの研究に入るよう要求された。4群の局所結節性再発を有する患者は、リンパ節切除の42日以内にこの研究に入るよう要求された。
【0049】
第III期黒色腫を有する全ての患者は、原発性黒色腫病巣の広範な切除により処置されるべきである。
【0050】
鼡径部、腋窩、または頸部に臨床的に陽性の結節を有する患者は、これらの部位を外科的に除去するために完全なリンパ節切除を受けるべきである。
【0051】
全ての外科手術は、この臨床研究への無作為化前56日以内に完了されるべきである。
【0052】本明細書中で使用される用語「進行無し生存期間」(「PFST」)は、本発明に従う黒色腫処置の開始から、組織学的または細胞学的証拠により疾患の進行または再発が記録されるまでの期間を意味する。
【0053】
本発明の方法に従って処置した黒色腫患者について予想される進行無し生存期間は、本発明の黒色腫治療の開始から少なくとも約4年である;好ましくは、PFSTは、本発明の黒色腫治療の開始から約30〜約43ヶ月の範囲である。
【0054】
本発明の方法に従って処置された黒色腫患者について予想される進行無し生存期間の増加は、対照(観察)と比較して約1.0年より長く約1.5年までである。
【0055】
処置不全の以下の判定基準は、疾患の再発または進行の容認可能な証拠のみを構成する:
肺/肝臓:単一の新規病巣の存在下での陽性の細胞学または生検、あるいは転移性疾患と一致する複数病巣の出現
中枢神経系:陽性の脳CTまたはMRIスキャンあるいは脳脊髄液(CSF)細胞学
皮膚、皮下、およびリンパ節での再発:陽性の細胞学または生検
骨および他の器官:単一の新規病巣の存在下での陽性の細胞学または生検、あるいは2つの異なる放射線医学的研究により同定される転移性疾患と一致する複数病巣の出現(すなわち、陽性のガリウムスキャンおよびコントラストGIシリーズ、あるいは腹部疾患のための腹部の超音波、X線、またはCT)。
【0056】
本明細書中に使用される用語「禁止投薬」は以下を含む:
a)他の化学療法、ホルモン療法、免疫療法、生物学的療法、または放射線治療
b)エリスロポエチンおよびG−CSFを含むコロニー刺激因子
c)他の研究用薬物
d)慢性の全身性のコルチコステロイド療法。
【0057】
本発明の方法に従って処置した黒色腫患者は、この処置期間中、上記に列挙した禁止投薬のいずれも受けるべきでない。
【0058】
PEG化インターフェロンα処方は、経口で投与した場合には効果的でないので、PEG化インターフェロンαを投与する好ましい方法は、非経口的方法であり、好ましくは、皮下、IV、またはIM注射による。当然に、両方の医薬の他の型(例えば、鼻スプレー、経皮的、坐剤、徐放投薬形態、および肺吸入による)の投与は、それらが利用可能となる場合には意図される。投与の任意の形態は、活性成分を破壊せずに適切な投薬が送達される限り、使用可能である。
【0059】以下の臨床研究設計は、本発明の方法に従って、黒色腫患者を処置するために使用され得る。この臨床研究設計プロトコルの多くの改変は、熟練した臨床医に明らかであり、以下の研究設計は、本明細書に添付の請求の範囲により定義される本発明の方法の範囲を制限するようには解釈されるべきでない。
【0060】
【実施例】
(臨床研究設計)これは、切除された第III期結節陽性皮膚黒色腫を有する患者においてアジュバント療法として与えられた場合の、PEG Intron(PEG化インターフェロンα2b、すなわちPEG12000−インターフェロンα2b)およびINTRON(登録商標)A(インターフェロンα2b)(これらの各々は、Schering Corporation,Kenilworth,NJから入手可能である)の生活の質に対する安全性、効能、および影響、ならびにPEGイントロンの集団薬物速度論を評価するよう設計したフェーズII/III無作為化、制御化、複数中心の、オープンラベル研究である。およそ450人の被験体が登録され、そして225人の被験体が各処置群に無作為化されることが予想される。
【0061】
被験体は、その第III期黒色腫の最終的な外科手術の56日以内にこの研究に入り、そして以下に示される2つの処置群の1つに無作為化される。最終的な外科手術には、原発性黒色腫の広範な外科的切除、および鼡径部、腋窩、または頸部における全ての臨床的に陽性な結節のリンパ節切除が含まれる。全ての外科手術は、無作為化の少なくとも56日前に完了されるべきである。
【0062】
(A群:INTRON(登録商標)A)20MIU/m2/日 IV5日/週×4週、その後10MIU/m2SC TIW×48週。
【0063】
(導入治療:20MIU/m2/日IV週に5日を4週間)処置群Aに無作為化された全ての被験体は、静脈内INTRON(登録商標)A、2千万国際単位/m2/日、5日/週を4週間での導入治療を開始する。アセトアミノフェン(500−1000mg)は、INTRON(登録商標)Aの最初の用量を受ける30分前にクリニックで与えられ得る。被験体は、最初の用量後、2時間観察されるべきである。アセトアミノフェン(500〜650mgPOq4〜6時間)は、必要であれば継続されるべきであり、そして3000mg/日を超えるべきでない。
【0064】(維持治療:48週間10MIU/m2SC TIW)導入治療後、被験体は維持治療で継続し、INTRON(登録商標)A、1千万国際単位/m2/日、48週間毎週SC3回を受ける。
【0065】
(B群:PEGイントロン:PEG12000−インターフェロンα−2b、6.0μg/kg、SC毎週1回を2年間)処置群Bに無作為化された被験体は、PEG12000−インターフェロンα−2b、6.0μg/kg、SCで毎週1回を2年間受ける。アセトアミノフェン(500〜1000mg)は、PEGイントロンの最初の用量を受ける30分前にクリニックで与えられ得る。被験体は、最初の用量後、2時間で観察されるべきである。アセトアミノフェン(500〜650mgPOq4〜6時間)は、必要であれば、継続されるべきであり、そして3000mg/日を超えるべきでない。
【0066】
(研究の持続期間および来診スケジュール)PEG12000−インターフェロンα2b(約104週)かINTRON(登録商標)A(52週)のいずれかを用いた処置は、疾患再発の証拠、受容不可能な毒性、または治療を中止するという被験体の要求がない限り、計画どおりに続けられる。それぞれの研究処置の耐容性および生活の質が、臨床的観察、慣用的な実験室試験、および治療過程にわたる生活の質の評価から評価される。治療の完了後、被験体は、疾患再発の証拠を追跡され続け、生活の質評価を完了する。黒色腫が再発した場合、さらなる処置は医師の裁量で行われる。全ての被験体は、いつ治療を中止したかに拘わらず、生存について追跡される。再発のない生存および全体的な生存の分析も、治療をいつ中止したかに拘わらず行われる。再発のない生存および全体的な生存の分析は、イベント待ち方式である。
【0067】
本研究の持続期間は、治療的応答の達成に基づき、そして各被験体について個々に決定される。
【0068】
本研究の母集団は、皮膚黒色腫を有する男性および女性の患者を含み、そしてそれらが以下に示す包含および排除の判定基準を満たす場合に含められる:
(被験体包含判定基準)被験体は、以下の場合には本研究に参加するに適格である:
a)被験体は、以下の病期分類判定基準の1つを満たす組織学的に記録された原発性皮膚黒色腫を有さなければならない:
・臨床的に不顕性の局所リンパ節転移を有する選択リンパ節解剖または前哨結節生検で検出したN1局所リンパ節転移の存在下での任意の病期の原発性黒色腫(任意のpTN1M0)。
・原発性黒色腫のT1-4と同期の臨床的に顕性のN1またはN2a局所リンパ節併発(任意のpTrN1-2aM0)。
・任意の深さの原発性黒色腫の適切な外科手術後、任意の間隔での局所リンパ節再発(任意のpTrN1-2aM0)。
b)被験体は、本研究への無作為化前56日以内に、全ての既知の疾患が、適切な外科的余裕を伴って完全に切除されていなければならない。
c)被験体は、Minna,JDら「Cancer of the Lung」DeVita Vら編、Cancer:Principles and Practiced of Oncology,Lippincott,Philadelphia,PA 1989の536頁に定義される0または1のECOG性能状態を有さねばならない。
d)被験体は18〜70歳の間の年齢でなければならない。
e)被験体は、研究処置の開始前14日以内に得た以下のパラメーターにより定義されるような適切な肝機能、腎機能、および骨髄機能を有さねばならない。
【0069】
1)血液学:
−白血球数(WBC)≧3,000細胞/μl
−ヘモグロビン濃度≧9g/dl
2)腎機能および肝機能:
−血清クレアチニン≦2.0mg/dl、または≧50ml/分のクレアチニンクリアランスの計算値
−疾患による浸潤に起因しない限り、血清ビリルビン<正常の上限(ULN)の2倍
−AST/ALT(SGOT/SGPT)<ULNの2倍
f)被験体は、研究参加前に随意の同意書を提出しており、進んで本研究に参加し、そして全てのフォローアップ評価を完了する。
【0070】
(被験体排除判定基準)被験体は、以下の場合には、本研究に参加するに適格でない:
a)黒色腫のための化学療法、免疫療法、ホルモン療法、または放射線療法のいずれかを以前に受けた被験体。
b)遠隔のまたは非局所的リンパ節転移、移動中の転移、または未知の原発性腫を有する陽性リンパ節の証拠を有する被験体。
c)その疾患が関節包外に大きく拡張しているため、外科的に完全に切除され得ない被験体。
d)任意の理由のためインターフェロンαを以前に受けたことがある被験体(しかし、このような患者は、それでも、本発明の方法に従って処置され得ると考えられるが、この登録用の研究からだけ除外される)。
e)重篤な心臓血管疾患、すなわちBruce RA:「Evaluationof Functional Capacity and ExerciseTolerance of Cardiac Subjects」Mod.Concepts Cardiovasc Dis 1956;25−321により定義されるような、慢性的処置を必要とする不整脈、うっ血性心不全(NYHAクラスIIIまたはIV)、または症候性の虚血性心臓疾患を有する被験体。
f)入院を必要とする神経心理学的障害の病歴を有する被験体。
g)治療に応答しない甲状機能不全を有する被験体。
h)管理されていない糖尿病を有する被験体。
i)過去5年以内に、インサイチュで外科的に治療した黒色腫ではない皮膚ガンまたは頸部ガン以外に以前に悪性の病歴を有する被験体。
j)HIVについてセロポジティブの病歴を有する被験体。
k)妊娠しているか、授乳中であるか、または生殖能力を有しており、かつ避妊の有効な手段を実行していない被験体。
l)活性肝炎を含む、活性および/または管理されていない感染を有する被験体。
m)慢性の全身性コルチコステロイドを必要とする医学的状態を有する被験体。
n)アルコールまたは薬物を積極的に乱用していることが分っている被験体。
o)本研究における無作為化前30日以内に任意の実験的治療を受けた被験体。
p)最近の外科手術の作用から回復していない被験体。
【0071】
(被験体中止判定基準)その健康または福祉が本研究の継続により脅かされ得るいかなる被験体の処置をも中止することは、臨床研究者の権利であり、かつ義務である。
【0072】
被験体は、以下の理由のいずれかにより、本研究の完了前に中止され得る:
a)被験体が、本明細書中先に定義したような、疾患の記録された進行または再発を顕出する。
b)被験体が、主任研究者により決定されるような、臨床的に有意に有害な事象を有する。
c)被験体が、本研究から撤退することを要求する。
d)被験体が、不慮の環境のため、本研究の評価/来診を完了することができない。
e)被験体が、研究者の意見において、本研究からの撤退を是認する他の状況を顕出する。
f)被験体が、重篤なうつ病または入院を必要とする任意の他の精神医学障害を顕出する。
g)被験体が、血管性水腫、気管支収縮、またはアナフィラキシーにより明らかになる本研究の薬物に対する重大なアレルギー応答を経験する。
h)被験体が、本明細書中先に示されるような禁止投薬を用いた処置を受ける。
i)被験体が、本明細書中以下に記載のような用量改変にかかわらず再発する毒性を経験する。
【0073】
全ての被験体は、いつ研究を中止するかに拘わらず、生存について追跡される。疾患の再発以外の理由で中止した被験体はまた、再発および生存について追跡されるべきである。
【0074】
(一次および二次終点の分析)一次終点は、無作為化から進行または死までの期間であると定義される進行無し生存(PFS)期間である。PFSは、臨床的な観察により評価され、再発は、適切な放射線写真法および組織学的方法により記録され、そして独立セントラルレビュー(Independent Central Review)により確認される。
【0075】
二次終点は、全体的な生存、安全性、生活の質、および集団薬物速度論(PK)である。安全性および耐容性は、治療過程にわたる臨床的な観察および慣用的な実験室試験から評価される。健康に関連した生活の質(HQL)は、HQL質問票から評価される。集団薬物速度論は、PEG Intron群における定期的な血清サンプリングから評価される。
【0076】
用量を改変したにもかかわらず、IV導入用量レジメンに耐え得ないA群に登録した被験体は、このIVレジメンを中止すべきであるが、本研究を中止すべきではない。毒性の消散後、それらの被験体は完全な維持用量を用いるINTRON(登録商標)A維持期に入り得る。
【0077】
進行無し生存期間を増加するために、黒色腫を有する未処置の患者、および処置を経験した患者を処置するための最終的な外科手術に対するアジュバント療法としての方法であって、治療的有効量のPEG化インターフェロンα(例えば、好ましくは、PEG化インターフェロンα−2b)を投与する工程を包含する方法が開示される。
【0078】
【発明の効果】
本発明により、より高い患者コンプライアンスで、黒色腫を有する患者を処置するための改善された治療法に対する必要性が満たされる。
Claims (27)
- 外科的に除去された黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該医薬が、治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、このような患者に投与される、使用。
- 前記PEG化インターフェロンが、PEG化インターフェロンα−2aまたはPEG化インターフェロンα−2bである、請求項1に記載の使用。
- 前記患者が、未処置の患者である、請求項2に記載の使用。
- 前記未処置患者が、新たに診断された黒色腫を有する患者である、請求項3に記載の使用。
- 前記患者が処置経験患者である、請求項1に記載の使用。
- 前記処置経験患者が、インターフェロンαに不耐性であるか、インターフェロンαに抵抗性である、請求項5に記載の使用。
- 前記期間が少なくとも約24ヶ月である、請求項1に記載の使用。
- 前記PEG化インターフェロンαが、原発性黒色腫の外科切除後に投与される、請求項1に記載の使用。
- 前記PEG化インターフェロンαが、PEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量は週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である、請求項1に記載の使用。
- 前記PEG化インターフェロンαが、PEG化α−2aであり、そして前記有効量が、週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である、請求項1に記載の使用。
- 外科的に除去された皮膚黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該医薬が、有効量のPEG化インターフェロンαを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、該患者に投与される、使用。
- 前記PEG化インターフェロンαが、PEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量が、週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である、請求項11に記載の使用。
- 前記PEG化インターフェロンαがPEG化α−2aであり、かつ前記有効量が、週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である、請求項11に記載の使用。
- 前記期間が少なくとも約100週間である、請求項11に記載の使用。
- 皮膚黒色腫を有する患者を処置するための医薬を製造するためのPEG化インターフェロンαの使用であって、該患者が、約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間投与される、使用。
- 前記期間が約100週間である、請求項15に記載の使用。
- 約4.5〜約6.5マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bが、週に一回投与される、請求項15に記載の使用。
- 少なくとも約100週間の期間にわたるプロトコルにおいて、外科手術後約60日以内の黒色腫を有する患者に投与するための治療的有効用量のPEG化インターフェロンαを市販する工程を包含する方法。
- 前記PEG化インターフェロンαがPEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量が週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgの範囲内にある、請求項18に記載の方法。
- 前記PEG化インターフェロンαがPEG化α−2aであり、かつ前記有効量が週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である、請求項18に記載の方法。
- 外科的に除去された皮膚黒色腫を有する患者を処置するためのPEG化インターフェロンαおよび取扱説明書を備えるキットであって、該医薬が、有効量のPEG化インターフェロンαを、週に一回、進行無し生存期間を増加するに充分な期間、該患者に投与される、キット。
- 前記PEG化インターフェロンαはPEG化インターフェロンα−2bであり、かつ前記有効量は週に一回投与される約3.0マイクログラム/kg〜9.0マイクログラム/kgの範囲内である、請求項21に記載のキット。
- 前記PEG化インターフェロンαが、PEG化インターフェロンα−2aであり、かつ前記有効量が、週に一回投与される約200マイクログラム〜250マイクログラムの範囲内である、請求項21に記載のキット。
- 前記期間が少なくとも約100週間である、請求項21に記載のキット。
- 皮膚黒色腫を有する患者を処置するためのPEG化インターフェロンαおよび取扱説明書を備えるキットであって、該患者が、約3.0マイクログラム/kg〜約9.0マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bを進行無し生存期間を増加するに充分な期間週に一回投与される、キット。
- 前記期間が約100週間である、請求項25に記載のキット。
- 約4.5〜約6.5マイクログラム/kgのPEG化インターフェロンα−2bが週に一回投与される、請求項25に記載のキット。
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