JP2001276178A - 医療用器具 - Google Patents

医療用器具

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JP2001276178A
JP2001276178A JP2000101585A JP2000101585A JP2001276178A JP 2001276178 A JP2001276178 A JP 2001276178A JP 2000101585 A JP2000101585 A JP 2000101585A JP 2000101585 A JP2000101585 A JP 2000101585A JP 2001276178 A JP2001276178 A JP 2001276178A
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medicine
medical device
drug
chemical solution
container
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JP2000101585A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Ishiguro
康裕 石黒
Koichi Tachikawa
浩一 立川
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内面または外面に塗布された薬剤の影響による
透明度の低下が小さく、内部の視認性が優れた医療用器
具を提供すること。 【解決手段】採血管(検体採取容器)を構成する容器本
体6は、開放端62を有する有底筒状の容器である。容
器本体6は、例えば、ガラスや各種プラスチックのよう
な材料で構成されている。容器本体6の壁部(周壁)6
3は、光透過性を有し、実質的に透明になっている。壁
部63の内側(内周面61)の一部には、薬剤8が塗布
されている。壁部63の薬剤8が塗布された部分の可視
光の透過率をT1、薬剤8が塗布されていない場合にお
ける壁部63の可視光の透過率をT2とすると、T1/T
2≧0.8である。これにより、壁部63の透明度の低
下が小さく、内部の視認性が優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検査、治療等の際
に用いられる医療用器具に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用器具には、内部を視認できるよう
に透明(実質的に透明)な部分を備えたものがある。そ
して、この透明な部分の内面または外面に予め薬剤を塗
布しておく場合がある。例えば、検体採血に用いられる
採血管の多くは、その有底筒状の容器の内周面に血液抗
凝固剤等の血液処理剤が塗布されている。
【0003】従来、このような医療用器具では、塗布さ
れた薬剤によって前記透明な部分が曇り、透明度が大き
く低下していたため、内部を明確に視認できなかった。
特に、塗布領域の面積が大きい場合には、このような欠
点が顕著になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、内面
または外面に塗布された薬剤の影響による透明度の低下
が小さく、内部の視認性が優れた医療用器具を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(9)の本発明により達成される。
【0006】(1) 内部の視認性を有する光透過部
と、前記光透過部の内面または外面の、全部または一部
に塗布された薬剤とを備えた医療用器具であって、前記
光透過部の前記薬剤が塗布された部分の可視光の透過率
をT1、前記薬剤が塗布されていない場合における前記
光透過部の可視光の透過率をT2としたとき、T1/T2
≧0.8なる関係を満足することを特徴とする医療用器
具。
【0007】(2) 前記薬剤が塗布された前記光透過
部の可視光の透過率T1が70%以上である上記(1)
に記載の医療用器具。
【0008】(3) 前記塗布された薬剤の平均厚さが
0.1〜1000μmである上記(1)または(2)に
記載の医療用器具。
【0009】(4) 前記塗布された状態の薬剤は、着
色透明である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載
の医療用器具。
【0010】(5) 前記医療用器具は、開放端と閉塞
端と光透過性のある壁部とを有する筒状の容器と、前記
光透過性のある壁部の内側の全部または一部に塗布され
た薬剤と、前記容器の開放端を気密的に封止する封止部
材とを備えたものである上記(1)ないし(4)のいず
れかに記載の医療用器具。
【0011】(6) 前記薬剤は、前記容器の開放端か
らの距離が0〜100mmの範囲の内周面に塗布されて
いる上記(5)に記載の医療用器具。
【0012】(7) 前記薬剤が塗布された領域の面積
が1mm2以上である上記(5)または(6)に記載の
医療用器具。
【0013】(8) 前記薬剤は、血液凝固促進剤、血
液抗凝固剤、解糖阻止剤等の血液処理剤である上記
(1)ないし(7)のいずれかに記載の医療用器具。
【0014】(9) 前記薬剤は、貯留された薬液を圧
電ポンプの作動により送液し、前記送液された薬液をノ
ズルから線状をなすように前記光透過部に向けて噴射し
て衝突させることにより塗布したものである上記(1)
ないし(8)のいずれかに記載の医療用器具。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の医療用器具を添付
図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】図1は、本発明の医療用器具を検体採取容
器(採血管)に適用した場合における検体採取容器の一
部を構成する容器本体の縦断面図である。
【0017】図1に示す容器本体6は、図中上方に開放
端62、下方に閉塞端64を有する筒状の容器である。
この容器本体6の開放端62を例えばフィルムやゴム栓
のような封止部材(図示せず)によって気密的に封止し
たものが検体採取容器となる。検体採取容器は、血液等
の検体の採取・収納に用いられるものである。
【0018】容器本体6は、例えば、ガラスや各種プラ
スチックのような材料で構成されている。容器本体6の
壁部(周壁)63は、光透過性を有し、実質的に透明に
なっている。したがって、容器本体6は、光透過部であ
る壁部63を通してその内部を視認することができる。
【0019】壁部63の内側(内周面61)の一部に
は、薬剤8が塗布されている。薬剤8の種類は、特に限
定されないが、本実施形態においては血液処理剤であ
る。血液処理剤としては、血液凝固促進剤、血液抗凝固
剤、解糖阻止剤の群から選ばれる1または2以上の薬剤
が用いられる。血液凝固促進剤としては、例えばトロン
ビン、蛇毒、シリカ粉末等が挙げられ、血液抗凝固剤と
しては、例えばヘパリン、クエン酸、エチレンジアミン
四酢酸等が挙げられ、解糖阻止剤としては、例えばフッ
化ナトリウム等が挙げられる。また、ヘパリン中和剤と
して硫酸プロタミン等が挙げられる。
【0020】さらに、採血管以外の医療用器具に関して
は、抗血栓剤、血栓溶解剤、栄養剤、麻酔剤、抗がん
剤、撥水性コート剤、親水性コート剤等種々の薬剤が目
的に応じて使用される。また、必要に応じて、複数の箇
所にそれぞれ別々の薬剤を付着させてもよい。
【0021】壁部63の薬剤8が塗布された部分の可視
光の透過率をT1、薬剤8が塗布されていない場合にお
ける壁部63の可視光の透過率をT2とすると、T1/T
2≧0.8であるのが好ましく、T1/T2≧0.85で
あるのがより好ましく、T1/T2≧0.9であるのがさ
らに好ましい。T1/T2がこのような条件を満足する
と、塗布された薬剤8の影響による壁部63の透明度の
低下が小さく、明確に内部を視認することができる。な
お、可視光の透過率は、例えば白色光を用いて測定する
ことができる。
【0022】薬剤8が塗布された壁部63の可視光の透
過率T1は、70%以上であるのが好ましく、80%以
上であるのがより好ましく、90%以上であるのがさら
に好ましい。T1がこのような条件を満足すると、絶対
的な透過率が大きいので透明度が高く、特に優れた内部
の視認性が得られる。
【0023】塗布された薬剤8の平均厚さ(乾燥膜厚)
は、特に限定されないが、医療用器具全般においては、
0.1〜1000μmであると、高い透明度で容易に塗
布することができる。
【0024】また、検体採取容器においては、薬剤8の
種類や濃度等によってもその好ましい値は異なるが、通
常、0.5〜20μmであるのが好ましく、1〜10μ
mであるのがより好ましく、2〜5μmであるのがさら
に好ましい。このような範囲内であると、血液処理剤を
濃度その他に関して通常用いられるような実用上の条件
で塗布した場合に、ムラなく塗布することができ、より
鮮明で、高い透明性が得られる。
【0025】塗布された状態の薬剤8は、前記条件を満
足する限り、着色透明(例えば、青、赤、黄色等の有彩
色で着色され、かつ光透過性を有するもの)であっても
よい。そのような場合であっても、内部の視認性が確保
される。
【0026】薬剤8が塗布されている領域は、その全体
が開放端62から下方向に測って、0〜100mmの範
囲内にあるのが好ましく、5〜50mmの範囲内にある
のがより好ましく、5〜30mmの範囲内にあるのがさ
らに好ましい。このような範囲内にあると、塗布された
薬剤8が内周面61の広範囲をカバーし、かつ、閉塞端
64にまでは及ばない範囲になる。特に、閉塞端64部
に血清分離剤等が封入されている場合には、薬剤8がこ
れと接触してしまうことがなく、好ましい。
【0027】薬剤8が塗布されている領域の面積は、特
に限定されないが、1mm2以上であるのが好ましく、
0.5cm2以上であるのがさらに好ましく、2〜5c
2であるのがさらに好ましい。塗布領域の面積がこの
ような範囲にあると、塗布領域が内周面61のうち大き
な割合を占めるので、透明度が低い従来の検体採取容器
では内部の広範囲が視認できないこととなって欠点が顕
著になる。したがって、塗布領域の面積が前記範囲にあ
ると、従来のものと透明度が高い本発明との格差が拡大
し、本発明の有用性が大きい。
【0028】薬剤8を塗布する方法は、以上説明したよ
うな透明度が達成されるものであればいかなるものでも
よいが、次に述べる方法が好ましく用いられる。次に述
べる方法によれば、前述したような透明度を比較的容易
に達成することができるとともに、塗布位置、塗布領
域、塗布量の調整が容易かつ正確に行うことができ、ま
た、効率よく迅速に塗布することができる。
【0029】以下、薬剤8を塗布する好適な方法につい
て説明する。図3は、薬剤8を塗布するのに用いられる
薬剤塗布装置の一例を示す側面図である。なお、以下の
説明では、図3中の上側を「上」、下側を「下」と言
う。
【0030】まず、薬剤塗布装置1の構成について説明
する。薬剤塗布装置1は、圧電ポンプ2と、ノズル5
と、貯留部10と、コントローラー11と、吸入チュー
ブ12と、吐出チューブ13と、支持部材14とを備え
ている。
【0031】薬剤8は、溶媒に溶解(または分散)され
て塗布される。薬剤8が溶解された薬液7は、貯留部1
0に貯留されている。薬剤8を溶解させる溶媒として
は、例えば、水、エタノール等の揮発性有機溶媒、また
はこれらの混合溶液等が用いられる。
【0032】貯留部10には、貯留された薬液7を吸い
上げる吸入チューブ12の一端が差し込まれており、吸
入チューブ12の他端は、後述する圧電ポンプ2の吸入
口に接続されている。
【0033】圧電ポンプ2は、圧電アクチュエータを駆
動源として作動するダイアフラムポンプである。圧電ポ
ンプ2の内部には、ダイアフラムの変形によって容積が
増減するポンプ室がある。圧電ポンプ2内の圧電アクチ
ュエータに電圧を印加すると、圧電アクチュエータが伸
長することによりダイアフラムが押圧され、ポンプ室の
容積が減少する。これにより、圧電ポンプ2は、ポンプ
室内に満ちている薬液7を送液する。圧電アクチュエー
タには、外部のコントローラー11からの導線26が接
続されており、コントローラー11から駆動電圧が印加
される。
【0034】コントローラー11は、0[V]から設定
電圧値(以下、「印加電圧」と言う。)まで立ち上がる
パルス状の電圧を発生できる。また、コントローラー1
1は、1個のパルスの幅[ms](以下、「パルス幅」
と言う。)、パルスが0[V]から印加電圧に立ち上が
るまでの時間[ms](以下、「立ち上がり時間」と言
う。)、パルスを連続して出力する場合のパルスとパル
スとの間隔[s]も設定できるようになっている。これ
らの設定を変更することにより、1回の噴射によって噴
射される薬液7の量(以下、「噴射量」と言う。)、噴
射された薬液7の速さ(以下、「線速」と言う。)、連
続して噴射する場合の噴射間隔等を変更することができ
る。
【0035】圧電ポンプ2の吐出口には、吐出チューブ
13の一端が接続されている。吐出チューブ13の他端
には、ノズル5が接続されている。ノズル5は、内径が
先端に向かって漸減するテーパ状の内面を有している。
これにより、薬液7がノズル5から線状に噴射される。
【0036】ノズル5は、図示しない固定部材によりそ
の先端51が斜め下方向を向くように固定されて設置さ
れている。このため、薬液7は、斜め下方向に噴射さ
れ、容器本体6の内周面61に対して傾斜した角度をも
って内周面61上の衝突中心位置70に衝突する。衝突
した薬液7は、内周面61上で衝突中心位置70からそ
の周囲に広がるが、内周面61に斜めに衝突することに
より衝突中心位置70から容器本体6内部の奥(下方)
に向かう方向の広がりがより大きい(図1参照)。ま
た、ノズル5の向きによって衝突中心位置70を自由に
設定することができ、薬液7を採血管容器6の奥深くに
まで付着させることもできる。
【0037】また、ノズル先端51の形状および内径の
大きさにより、線状に噴射される薬液7の平均直径(以
下、「線径」と言う。)が決まる。
【0038】容器本体6は、支持部材14によって例え
ば直立するように支持されている。ノズル5と容器本体
6とは、容器本体6の開放端62がノズル先端51のわ
ずかに下方に位置するような位置関係にある。
【0039】なお、支持部材14は、図示しない搬送機
構に取付けられ、容器本体6を移動することができるよ
うになっていてもよい。
【0040】次に、薬剤塗布装置1を用いて薬剤を塗布
する方法について説明する。 [1] 薬剤8を溶媒に溶解して薬液7を調整し、貯留
部10に貯留する。薬液7の溶媒は、薬剤8を溶解させ
るものであればよく、薬剤8の溶解性(水溶性であるか
脂溶性であるか)に応じて、例えば、水、エタノール等
の揮発性有機溶媒等が好ましく用いられる。また、水と
有機溶媒との混合溶液のような2以上の混合溶媒を使用
することもできる。
【0041】有機溶媒を比較的多く含んだ溶媒とした場
合には、薬液7が速乾性に優れる。また、薬液7の表面
張力が小さくなるので、容器本体6の内周面61に衝突
した薬液7が大きく広がるようになり、広い範囲に塗布
することができる。これにより、検体採取容器の使用時
に、塗布した薬剤8(血液処理剤)が採取した血液に広
い面積で接触して敏速に溶解する。
【0042】水を比較的多く含んだ溶媒とした場合に
は、薬液7の表面張力が大きくなり、標的に衝突した薬
液7を広げずに滴状とすることができ、狭い範囲に集中
して薬剤を付着させることができる。
【0043】また、薬液7の粘度を調整することによ
り、標的に衝突した薬液7が広がる大きさを調節するこ
とができる。他の条件を同じくする場合、薬液7の粘度
が小さい程標的上で大きく広がる。薬液7の粘度は、例
えば、PVP(ポリビニルピロリドン)のような粘度調
節剤を用いて調節することができる。
【0044】薬液7の濃度は、薬剤8の用途、種類によ
り適宜決定される。薬液7の濃度と噴射量とによって、
塗布される薬剤8の絶対量が決定される。したがって、
同量の薬剤8を塗布する場合に、薬液7の濃度を低くし
て噴射量を多くすると、広い面積に塗布することがで
き、逆に、薬液7の濃度を高くして噴射量を少なくする
と、狭い範囲に塗布することができる。
【0045】[2] ノズル5を吐出チューブ13から
取り外し、代わりにシリンジ(図示せず)等を取付けて
薬液を吸い込み、圧電ポンプ2内のポンプ室に薬液7を
満たす(圧電ポンプ2へのプライミング操作)。その
後、ノズル5を元通りに取付ける。
【0046】[3] コントローラー11を操作して、
印加電圧、パルス幅、立ち上がり時間をそれぞれ設定す
る。主に印加電圧および立ち上がり時間の設定を変更す
ることで、線速を調節することができる。また、主に印
加電圧およびパルス幅の設定を変更することで、噴射量
を調節することができる。
【0047】[4] コントローラー11から[3]で
設定したパルス状の駆動電圧を発生させ、圧電ポンプ2
内の圧電アクチュエータに電圧を印加する。圧電アクチ
ュエータは、電圧を印加されて伸長し、圧電ポンプ2内
のダイアフラムが押圧されてポンプ室の容積が減少す
る。
【0048】[5] ポンプ室の容積が減少すると、ポ
ンプ室に満ちていた薬液7が送液され、ノズル先端51
から薬液7が線状をなして噴射される。
【0049】この際、圧電アクチュエータが敏速に伸長
し、高速に送液するので、瞬間的に噴射することがで
き、迅速な塗布が可能である。
【0050】また、薬液7を液状のまま線状に一方向に
噴射するので、薬液7を正確に標的に衝突させることが
でき、設定した位置に正確に塗布することができる。
【0051】線速は、0.005〜5m/sであるのが
好ましく、0.1〜1m/sであるのがより好ましい。
このような範囲内であると、噴射された薬液7が直線状
に飛行するので、より正確に標的に衝突させることがで
きる。また、衝突した薬液7が跳ね返って飛び散ること
もない。また、噴射量等の他の条件を同じくする場合
に、線速が大きい程、薬液7が大きく広がるので、線速
の設定により薬液7が広がる大きさを調節することがで
きる。
【0052】噴射され、線状をなしている薬液7の長さ
(以下、「線長」と言う。)は、0.1〜500mmで
あるのが好ましく、1〜10mmであるのがより好まし
い。このような範囲内であると、噴射された薬液7の直
進性がより高くなり、また、薬液7が拡散することをよ
り確実に防止することができる。また、線長は、線径と
噴射量との設定を変えることにより、調節することがで
きる。
【0053】線径は、0.1〜2mmであるのが好まし
く、0.2〜1mmであるのがより好ましい。このよう
な範囲内であると、噴射された薬液7の直進性がより高
くなり、また、薬液7が拡散することをより確実に防止
することができる。
【0054】噴射量は、薬剤8の用途、種類に応じて適
宜決定されるが、前記血液処理剤の場合、0.1〜10
0μlであるのが好ましく、1〜10μlであるのがよ
り好ましい。このような範囲内であると、噴射された薬
液7の直進性がより高くなり、また、薬液7が拡散する
ことをより確実に防止することができる。さらに、薬液
7をより均一に付着させることができ、薄く付着させる
こともより容易となる。
【0055】[6] ノズル5から斜め下方向に噴射さ
れた薬液7は、開放端62から容器本体6の内部に進入
して、内周面61上の衝突中心位置70に斜め方向から
衝突し、衝突中心位置70の周囲に一定の範囲に広がっ
て塗布される。このとき、衝突した薬液7が下方へ進行
する勢いをもっているので、下方への広がりが大きい
(図1参照)。
【0056】この際、噴射された薬液7は、設定した位
置(衝突中心位置70)に正確に衝突する。したがっ
て、噴射した薬液7が拡散して目的以外の部分にまで付
着することがなく、噴射量のほぼ全量を設定した領域に
付着させることができ、正確な量の薬剤8を塗布するこ
とができる。
【0057】また、噴射された薬液7の飛距離が大きい
ので、ノズル5を標的に接近させて塗布する必要がな
い。さらに、薬液7の表面張力を小さく設定した場合や
噴射量を多く設定した場合には、塗布された薬液7が下
方向に広がる距離をより長くすることができる。したが
って、ノズル5を容器本体6の内部に挿入することな
く、薬剤8を容器本体6の内周面61に広く、また奥の
部分まで塗布することができる。これにより、ノズル5
を容器本体6の内部に挿入するためにノズル5を容器本
体6に対し相対的に移動する動作およびそのための機構
が不要であり、効率よく、かつ、簡単な装置で塗布する
ことができる。
【0058】また、ノズル5を挿入する必要がないこと
と噴射に要する時間が極めて短いことから、検体採取容
器を製造ラインで量産する場合に、次のような利点があ
る。それは、コンベア等の搬送装置によって次々と搬送
されてくる容器本体6に対して順次薬剤8を塗布する工
程において、容器本体6を一旦停止する必要がなく、移
動を続けたままノズル5との位置関係が適当になるタイ
ミングに合わせて薬液7を噴射して塗布できることであ
る。このため非常に効率よく迅速に塗布することがで
き、装置の簡素化も図れる。
【0059】[7] 薬液7を塗布した後、必要に応じ
て、乾燥させる。乾燥は、自然乾燥や風乾でもよく、温
風乾燥でもよい。
【0060】以上説明したような方法によって薬剤8が
塗布された部分は、薬液7が膜状に、しかも均一に塗布
されるので、塗布した面での光の散乱や吸収が小さい。
このため、薬剤8を塗布した部分の可視光の透過率が前
述の関係を満足するようにすることを容易に実現するこ
とができる。したがって、このような方法は、本発明の
医療用器具を製造する際に薬剤8を塗布する方法として
優れた方法である。
【0061】以上、本発明の医療用器具を図示の実施形
態について説明したが、本発明は、これに限定されるも
のではない。
【0062】本発明の医療用器具は、検体採取容器に限
らず、治療、検査等に用いられる医療用器具に広く適用
することができ、例えばシリンジ、毛細管(キャピラリ
ー)、シャーレ、多穴プレート、バッグ、ボトル、チュ
ーブ類、カテーテル、ドリップチャンバー、あるいは、
フィルター、ダイアライザー、人工肺、熱交換器、カー
ディオトミーリザーバおよびそれらのハウジング内面に
も適用することができる。
【0063】上記した各種の医療用器具においては、そ
れらの種類と目的に応じて各種の薬剤が任意に選択して
塗布された場合について、高い透明度を実現することが
できる。また、薬剤の塗布部位も内面であるか外面であ
るか、その全部であるか一部であるか等いずれの部位で
あってもよい。
【0064】また、薬剤8は、薬剤塗布装置1によるよ
うな方法で塗布したものに限らず、薬液7をスプレーノ
ズルから噴霧して塗布したものや薬液7を含ませたスポ
ンジ、ハケ、ローラーのようなものを接触させて塗布し
たもの、ディッピングにより塗布したもの等であっても
よい。
【0065】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0066】(実施例1)容器本体6として、ポリエス
テル樹脂製で、外径15.6mm、内径12mm、長さ
100mmの有底円筒体(図1に示す構成)を用いた。
【0067】薬剤8としてトロンビン(血液凝固促進
剤)を用いた。溶媒として、同体積の水とエタノールと
を混合した混合溶液を用い、これにトロンビンを溶解し
て薬液7を調製した。トロンビンの濃度は、5000I
U/mlとした。
【0068】調製した薬液7を図3に示す薬剤塗布装置
1を用いて容器本体6の内周面61に向けて噴射して塗
布した。ノズル先端51の内径は0.4mmであり、ノ
ズル5の上下方向からの傾斜角は40°とした。噴射量
は、5μl、線速は、0.8m/sとした。
【0069】塗布した薬液7を6時間自然乾燥させた。
乾燥後、薬剤8は、膜状をなしていた。
【0070】(実施例2)薬液7の濃度(トロンビンの
濃度)を10000IU/mlとした以外は、実施例1
と同様にして容器本体6に薬剤8を塗布した。
【0071】(実施例3)薬液7の濃度を20000I
U/mlとした以外は、実施例1と同様にして容器本体
6に薬剤8を塗布した。
【0072】(実施例4)線速を1.2m/sとした以
外は、実施例3と同様にして容器本体6に薬剤8を塗布
した。
【0073】(実施例5)線速を1.6m/sとした以
外は、実施例3と同様にして容器本体6に薬剤8を塗布
した。
【0074】(実施例6)噴射量を10μlとした以外
は、実施例1と同様にして容器本体6に薬剤8を塗布し
た。
【0075】(実施例7)噴射量を15μlとした以外
は、実施例1と同様にして容器本体6に薬剤8を塗布し
た。
【0076】(実施例8)薬液7に赤色染料(株式会社
パイロット製赤インク)を加えて着色したものを用いた
以外は、実施例1と同様にして容器本体6に薬剤8を塗
布した。乾燥した後、塗布領域は、赤色透明となってい
た。
【0077】(比較例1)容器本体6として実施例1と
同一のものを用いた。
【0078】実施例1で調整したものと同様の薬液7
を、容器本体6の内周面61に多数の微少な粒状にして
(薬剤塗布装置1によらずに)塗布した。塗布量は、実
施例1と同じく5μlとした。
【0079】塗布した薬液7を凍結乾燥させた。乾燥
後、薬剤8は、多点状をなしていた。図2は、このよう
に薬剤8を塗布した容器本体6の縦断面図である。
【0080】以上の実施例1〜8および比較例1におけ
る薬液7の濃度、線速、塗布量(噴射量)、着色の有
無、塗布された薬剤8の状態を、それぞれ、下記表1に
まとめて示す。
【0081】
【表1】
【0082】実施例1〜8および比較例1で得られた容
器本体6のそれぞれについての塗布領域の上端および下
端をそれぞれ開放端62から下方向に測った距離(図1
中のL1およびL2で示す長さ)、塗布領域の面積、塗布
された薬剤8の平均厚さ(乾燥膜厚)を、それぞれ、下
記表2にまとめて示す。なお、比較例1における塗布領
域の面積は、多点状に薬剤8が分布している領域全体の
面積とし、薬剤8が実際には付着していない部分(各点
の間)の面積も含まれる。
【0083】実施例1〜8および比較例1で得られた容
器本体6のそれぞれについて、薬剤8を塗布した壁部6
3における可視光の透過率T1を白色光源を用いて測定
した。また、薬剤8を塗布していない同一の容器本体6
の壁部63について可視光の透過率T2を白色光源を用
いて測定すると、T2は、95%であった。実施例1〜
8および比較例1のそれぞれについてのT1の測定値お
よびT1/T2の値を下記表2に示す。
【0084】<透明度の評価>実施例1〜8および比較
例1で得られた容器本体6を目視観察し、薬剤8を塗布
した壁部63の透明度を評価した。
【0085】この評価は、4段階とした。すなわち、薬
剤8が塗布されていない場合とほぼ同等の透明度がある
場合を評価Aとし、透明度が著しく低下している場合を
評価Dとし、それらの間を2段階に分け、評価Aに近い
ものを評価B、評価Dに近いものを評価Cとした。評価
結果を下記表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】表2に示す結果から明らかなように、実施
例1〜8では、いずれも容器本体6の壁部63の透明度
が高く、優れた内部の視認性を得られるという効果が確
認された。
【0088】これに対し、比較例1では、薬剤8が塗布
された部分が曇り、透明度が著しく低下していた。
【0089】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、内
面または外面に塗布された薬剤の影響による透明度の低
下が小さく、内部の視認性が優れる。特に、塗布領域の
位置、大きさに関わらず、優れた内部の視認性が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用器具を検体採取容器(採血管)
に適用した場合における検体採取容器の一部を構成する
容器本体の縦断面図である。
【図2】比較例1において薬剤が多点状に塗布された検
体採取容器の一部を構成する容器本体の縦断面図であ
る。
【図3】図1に示す容器本体に薬剤を塗布するのに用い
られる薬剤塗布装置の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 薬剤塗布装置 2 圧電ポンプ 26 導線 5 ノズル 51 ノズル先端 6 容器本体 61 内周面 62 開放端 63 壁部 64 閉塞端 7 薬液 70 衝突中心位置 8 薬剤 10 貯留部 11 コントローラー 12 吸入チューブ 13 吐出チューブ 14 支持部材

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部の視認性を有する光透過部と、前記
    光透過部の内面または外面の、全部または一部に塗布さ
    れた薬剤とを備えた医療用器具であって、 前記光透過部の前記薬剤が塗布された部分の可視光の透
    過率をT1、前記薬剤が塗布されていない場合における
    前記光透過部の可視光の透過率をT2としたとき、T1
    2≧0.8なる関係を満足することを特徴とする医療
    用器具。
  2. 【請求項2】 前記薬剤が塗布された前記光透過部の可
    視光の透過率T1が70%以上である請求項1に記載の
    医療用器具。
  3. 【請求項3】 前記塗布された薬剤の平均厚さが0.1
    〜1000μmである請求項1または2に記載の医療用
    器具。
  4. 【請求項4】 前記塗布された状態の薬剤は、着色透明
    である請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用器
    具。
  5. 【請求項5】 前記医療用器具は、開放端と閉塞端と光
    透過性のある壁部とを有する筒状の容器と、 前記光透過性のある壁部の内側の全部または一部に塗布
    された薬剤と、 前記容器の開放端を気密的に封止する封止部材とを備え
    たものである請求項1ないし4のいずれかに記載の医療
    用器具。
  6. 【請求項6】 前記薬剤は、前記容器の開放端からの距
    離が0〜100mmの範囲の内周面に塗布されている請
    求項5に記載の医療用器具。
  7. 【請求項7】 前記薬剤が塗布された領域の面積が1m
    2以上である請求項5または6に記載の医療用器具。
  8. 【請求項8】 前記薬剤は、血液凝固促進剤、血液抗凝
    固剤、解糖阻止剤等の血液処理剤である請求項1ないし
    7のいずれかに記載の医療用器具。
  9. 【請求項9】 前記薬剤は、貯留された薬液を圧電ポン
    プの作動により送液し、前記送液された薬液をノズルか
    ら線状をなすように前記光透過部に向けて噴射して衝突
    させることにより塗布したものである請求項1ないし8
    のいずれかに記載の医療用器具。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010024326A1 (ja) * 2008-08-28 2010-03-04 積水メディカル株式会社 血液検査容器の製造方法、血液検査容器及びスプレー装置
JP2010133682A (ja) * 2008-12-08 2010-06-17 Niigata Power Systems Co Ltd 液体vocの燃焼処理装置

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