JP2001273474A - 分析値推定方法、およびこの方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

分析値推定方法、およびこの方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

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JP2001273474A
JP2001273474A JP2000127941A JP2000127941A JP2001273474A JP 2001273474 A JP2001273474 A JP 2001273474A JP 2000127941 A JP2000127941 A JP 2000127941A JP 2000127941 A JP2000127941 A JP 2000127941A JP 2001273474 A JP2001273474 A JP 2001273474A
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analysis value
estimating
neural network
oxygen concentration
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JP2000127941A
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Yasuharu Irizuki
康晴 入月
Takeshi Furuhashi
武 古橋
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分析値の推定を短時間かつ高精度に行うこ
とができ、低コスト化を図ることができること。 【解決手段】分析値推定方法は、分析値と相関の大きい
運転変数を主成分分析により選定し、選定された運転変
数のうち、少なくとも1以上の運転変数20および分析
値の関係をニューラルネットワーク1で置き換える。置
き換えられた運転変数20以外の他の運転変数から、ニ
ューラルネットワーク1の出力として与えられる推定値
と、実測による分析値との推定誤差が最小となる運転変
数の組み合わせを、遺伝的アルゴリズム2、3に基づい
て探索することにより、分析値を推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分析値を推定する
分析値推定方法、およびこの方法を実行させるプログラ
ムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関
し、例えば、石油精製装置等を制御するための入力変数
となる分析値を計測する分析計に代替する分析値推定方
法として利用することができる。
【0002】
【背景技術】石油精製業は、典型的な装置産業であり、
品質向上、安定操業、生産性向上、省力化、省資源化の
実現のため、積極的にプラント運転自動化技術に取り組
んできている。しかしながら、現在でも完全に自動化さ
れているわけでは無い。それは、実装置の多くのプロセ
スが非常に複雑であり、大きな時間遅れや、非線形性、
干渉を有するからである。
【0003】一方、石油プラントに最も広く用いられて
いる制御方式はPID制御であり、多くの複雑なプロセ
スの運転に対し、PID制御を基にした経験、知識が培
われてきている。したがって、こうした経験、知識を極
力活用することで効率的な技術開発を行うことが有効で
ある。
【0004】実際現場では、熟練運転員はPID制御を
極力活用し、PID制御だけでは困難なところに経験を
活かして手動運転で上手く調整し、装置全体を制御して
いる。そこで、経験を活かした手動運転をAI技術の一
つである知識ルールベースシステムで置き換え、基本制
御部分はPID制御で行い、全体のコンストレイン制御
は多変数モデル予測制御で行う複合制御方式を開発して
きた。
【0005】このような複合制御方式を採用した石油プ
ラントとして、例えば、図6に示される重油流動接触分
解装置(RFCC)が知られている。この重油流動接触
分解装置は、付加価値の低い重質油を分解し、ガソリン
や軽油といった高付加価値製品を製造する装置であり、
図6に示すように、反応塔51、触媒再生塔(第一再生
塔52、第二再生塔53)、および主分留塔54を備え
ている。
【0006】油の流れは、原料である重質油を、反応塔
51下部で、高温の触媒と接触し分解する。分解された
油は、主分留塔54で、沸点差を利用し、燃料ガス、L
PG、ガソリン、軽油、残油等に分留される。また、触
媒の流れとしては、反応塔51でコークを生成し、活性
が低下した触媒を、触媒再生塔52、53で燃焼・再生
する。再生された触媒は、触媒再生塔52、53と反応
塔51の圧力差を利用することで、再び反応塔51に送
られる。この時の圧力差は、再生塔52、53の排ガス
流量(燃焼排ガス)により制御している。
【0007】また、触媒が完全に再生されているかどう
か再生塔52,53の酸素濃度を監視し、一般に監視に
は酸素濃度分析計が用いられる。再生塔52、53の酸
素濃度は、フィード流量、性状、温度、触媒循環流量、
再生塔排ガス流量等により変動し、これを供給エアー流
量(触媒再生用空気)により制御している。
【0008】このような重油流動接触分解装置におい
て、反応塔51/触媒再生塔52、53系を定圧化する
制御システムは、図7に示すように、多くの運転上の問
題を克服するため、知識ルールベースシステム61と多
変数モデル予測制御部62とを含む複合制御方式を採用
している。
【0009】知識ルールベースシステム61は触媒再生
塔52、53の燃焼制御を行う部分であり、知識ルール
ベース部61aと、推論部61bと、PID制御部61
cとを備えている。また、モデル予測制御部62は触媒
再生塔52、53の圧力制御を行う部分であり、予測モ
デル部62aと、推論部62bと、本体側制御部62c
と、PID制御部62dとを備え、推論部62b、本体
側制御部62c、およびPID制御部62dが制御目標
値設定部を構成している。
【0010】知識ルールベース部61aの出力は、推論
部61bと、予測モデル部62aに接続されている。推
論部61bの出力は、PID制御部61cに接続されて
いる。PID制御部61cの出力は、第一/第二再生塔
触媒再生用空気供給量調整手段63と、予測モデル部6
2aに接続されている。第一/第二再生塔触媒再生用空
気供給量調整手段63により第一/第二再生塔触媒再生
用空気供給量が調整されると、反応塔/再生塔差圧・再
生塔/反応塔差圧67に影響を与え、これに伴い第一/
第二再生塔酸素濃度64に影響を与える。第一/第二再
生塔酸素濃度64は、酸素濃度分析計65によって検出
され、運転情報61dとして知識ルールベースシステム
61に入力される。
【0011】予測モデル部62aの出力は、推論部62
bと、知識ルールベース61aに接続されている。推論
部62bの出力は、本体側制御部62cに接続されてい
る。本体側制御部62cの出力は、PID制御部62d
に接続されている。PID制御部62dの出力は、第一
/第二再生塔排ガス流量調整手段66に接続されてい
る。第一/第二再生塔排ガス流量調整手段66により、
第一/第二再生塔排ガス流量が調整されると、反応塔/
再生塔差圧・再生塔/反応塔差圧67に影響する。反応
塔/再生塔差圧・再生塔/反応塔差圧67は、不図示の
検出手段により検出され、その検出結果がモデル予測制
御部62の運転情報62eとして入力される。
【0012】知識ルールベースシステム61は、再生塔
/反応塔差圧、および周囲の制約状態を監視し、制約に
かかっていない場合は、第一再生塔エアー流量(第一再
生塔触媒再生用空気供給量)を上げながら、最適エアー
流量を探索し、第一再生塔52での再生効率を最大にす
る。同時に、第二再生塔エアー流量(第二再生塔触媒再
生用空気供給量)を下げながら、酸素濃度64が増加し
ないようにする。
【0013】予測モデル部62aおよび推論部62bで
は、外乱による圧力特性への影響も予測して出力を算出
し、本体側制御部62cにて操作量を決定する。目標値
探索部(制御目標値設定部)では、周囲の制約状態を監
視し、制約にかかっていない場合は、目標差圧を下げな
がら、最適目標差圧を探索し、制約範囲内での最低差圧
を確保する。結果として、再生塔52、53の圧力低下
が図られる。
【0014】上述した知識ルールベースシステム61の
制御周期は例えば1時間であり、モデル予測制御部62
の制御周期は例えば1分である。そして、このような制
御システムでは、酸素濃度分析計で検出された第一/第
二再生塔酸素濃度64は、知識ルールベースシステム6
1による第一/第二再生塔触媒再生用空気供給量調整手
段63の制御量を決定する上で重要な運転変数とされ
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、制御シ
ステムに入力される運転変数である上記酸素濃度64
は、制御システム上重要な変数であるにも拘わらず、酸
素濃度分析計65の稼働率が低く、制御を投入できない
という問題がある。すなわち、再生塔52、53内部に
設置される酸素濃度分析計65が測定中に水蒸気等を吸
い込むことがあり、検出される酸素濃度が急増してしま
うため、再生塔52、53内部の正確な酸素濃度を検出
できなくなってしまい、この間、知識ルールベースシス
テム61による制御を投入できないという問題がある。
【0016】このため、酸素濃度分析計65の稼働率を
上げるために、分析計そのものを性能の高いものに交換
する方法も考えられるが、高価であるという不都合があ
る。一方、この問題をコストをかけずに解決するため
に、酸素濃度分析計65の代替となる推定式を制御シス
テムから出力される運転変数により作成することが考え
られる。この推定式を作成するにあたり、一般的にはP
LS(Partial-Least-Squares)回帰分析や主成分分析
といった手法を採用することが考えられる。
【0017】しかしながら、これらの手法では、運転変
数が多い場合は計算に時間がかかりすぎ、また非線形性
の強い運転変数が含まれる場合は、著しく推定精度が低
下するという問題がある。そして、このような問題は、
重油流動接触分解装置の制御システムに限られず、分析
計で計測された分析値を制御システムの入力変数とする
制御システムにおいて、分析計の稼働率が低く制御が投
入できない場合、同様の問題として把握される。
【0018】本発明の目的は、分析値の推定を短時間か
つ高精度に行うことができ、低コスト化を図ることので
きる分析値推定方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明に係る分析値推定方法は、分析値を推定する
分析値推定方法であって、前記分析値と相関のある運転
変数のうち、相関の大きい運転変数を主成分分析により
選定し、この主成分分析により選定された運転変数のう
ち、少なくとも1以上の運転変数および分析値の関係を
ニューラルネットワークで置き換え、該ニューラルネッ
トワークで置き換えられた運転変数以外の他の運転変数
から、前記ニューラルネットワークの出力として与えら
れる推定値と、実測による分析値との推定誤差が最小と
なる運転変数の組み合わせを、遺伝的アルゴリズムに基
づいて探索することにより、分析値を推定することを特
徴とする。
【0020】このような構成は、以下の問題点を考察し
た結果、見出されたものである。 (1) 膨大な運転変数より分析値と相関の大きい因子を
選定する必要がある。 (2) 非線形性の強い相関因子がある。 (3) 分析値である酸素濃度と相関が大きいと推測され
る因子でも測定されていないものがある。 そこで、まず主成分分析を行い、分析値と相関の大きい
運転変数を選定し、主成分分析で選定された運転変数の
うち、少なくとも1以上の運転変数および分析値の関係
をニューラルネットワークで置き換える。
【0021】ここで、主成分分析により選定する運転変
数は、分析値と相関のあるものであれば、1つのみなら
ず複数の運転変数を選定し、各々をニューラルネットワ
ークに置き換えてもよい。
【0022】また、ニューラルネットワークの構成は、
入力層、中間層、および出力層の3階層構成とすること
ができ、例えば、選択された運転変数を入力層として1
点、中間層として9点、および分析値の推定値を出力層
として1点という構成を採用することができる。さら
に、ニューラルネットワークの学習方法としては、誤差
逆伝播方法(バックプロパゲーション)を採用すること
ができる。
【0023】次に、ニューラルネットワークで置き換え
られた運転変数以外の他の相関の大きい運転変数から、
ニューラルネットワークの出力として与えられる推定値
と、実測による分析値との推定誤差が最小となる運転変
数の組み合わせを、遺伝的アルゴリズムに基づいて探索
することにより、制御システムに入力される分析値の推
定を行う。
【0024】このような本発明によれば、主成分分析に
より選定された分析値と相関の大きい運転変数との関係
をニューラルネットワークに置き換えているため、運転
変数中に、分析値との相関が大きくかつ非線形性の強い
運転変数が存在していても、著しく推定精度が低下する
ということを防止することができる。
【0025】また、ニューラルネットワークで置き換え
られた変数以外の他の運転変数から、推定誤差が最小と
なるような運転変数の組み合わせを、ランダム探索法の
1つである遺伝的アルゴリズムに基づいて探索すること
により、分析値の推定を行っているため、膨大な運転変
数を有する制御システムであっても、短時間で分析値の
推定を行うことができる。
【0026】結果として、このような本発明によれば、
これにより、短時間で有効な酸素濃度推定式を作成する
ことができ、圧力制御の投入が可能となり、電力削減、
省力化などの大きな効果を得ることができる。加えて、
このような本発明を採用することにより、高精度かつ短
時間で分析値を推定できるので、分析計を省略して制御
システム自体の低コスト化をも図ることができる。
【0027】以上において、制御する制御対象が、原料
油を触媒存在下で接触分解する反応塔、および前記触媒
を再生する再生塔を備えた流動接触分解装置である場
合、前記分析値は、再生塔内部の酸素濃度であるのが好
ましい。すなわち、背景技術で説明したように、流動接
触分解装置の再生塔内部の酸素濃度を分析値とした場
合、酸素分析計の稼働率が低下し、制御を投入できない
という問題が顕著に生じるため、本発明の有効性が高
い。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面に基づいて説明する。尚、以下の説明では、既に説明
した部分または部材と同一部分等については、同一符号
を付してその説明を省略または簡略する。図1には、本
実施形態に係る制御システムの構成図が示されており、
この制御システムは、背景技術と同様に図6の重油流動
接触分解装置に適用される。
【0029】この図1において、分析値を推定する酸素
濃度推定装置10は、主成分分析で選定された運転変数
となるフィード流量20および酸素濃度の関係を置き換
えたニューラルネットワーク1と、フィード流量20以
外の運転変数から、遺伝アルゴリズムに基づいて運転変
数を探索する遺伝アルゴリズム変数選択部2と、遺伝ア
ルゴリズム変数選択部2で探索された運転変数を、所定
の回帰式に代入演算し、ニューラルネットワーク1の出
力として与えられる推定値、および実測による分析値の
推定誤差が最小となるような運転変数の組み合わせを求
める回帰式演算手段3とを備えている。
【0030】このような酸素濃度推定装置10は、演算
処理装置および記憶装置を備えたコンピュータとして構
成され、酸素濃度推定装置10を構成する各構成要素1
〜3は、該コンピュータの演算処理装置上に展開される
プログラムとして構成されている。従って、前記各構成
要素1〜3は常に装置として一体的に構成されている必
要はなく、プログラムをCD−ROM等の記録媒体に記
録しておき、汎用コンピュータにインストールして利用
してもよい。
【0031】遺伝的アルゴリズム変数選択部2および回
帰式演算手段3で探索された運転変数の組み合わせは、
所定の式により変換されて、ニューラルネットワーク1
の推定値の補正値とされる。そして、補正後の分析値の
推定値が、知識ルールベースシステム61の運転情報6
1dとして入力され、知識ルールベースシステム61の
入力変数となる。従って、本実施形態では、重油流動接
触分解装置の再生塔内部の酸素濃度を計測する酸素濃度
分析計が省略されている。
【0032】このような酸素濃度推定装置10では、以
下のような手順で酸素濃度の推定を行っている。まず、
主成分分析を行って、酸素濃度と相関の大きい変数を選
定する。本実施形態では、反応塔に供給される重質油の
フィード流量20を選定した。
【0033】このフィード流量20と酸素濃度の相関は
非線形性が強いことが知られているので、これらの関係
をニューラルネットワーク1で置き換え、図2に示され
るニューラルネットワークモデルを形成した。尚、本実
施形態におけるニューラルネットワーク1は、入力層、
中間層、および出力層の3階層とし、フィード流量20
を入力層として1点、中間層として9点、酸素濃度推定
値を出力層として1点という構成を採用した。また、こ
のニューラルネットワーク1の学習方法としては、誤差
逆伝播方法(バックプロパゲーション)を採用し、酸素
濃度の実測値を教師信号として、予め学習させている。
【0034】他の相関の大きい運転変数は、遺伝的アル
ゴリズム変数選択部2および回帰式演算手段3により、
効率的な選定が行われる。まず、実際の酸素濃度とフィ
ード流量20から推定した酸素濃度の差に対して、フィ
ード流量20以外の関連のあるn個の運転変数で回帰式
(1)を作成する。
【0035】
【数1】
【0036】そして、各運転変数をランダムに取捨選択
することで、(2)式で表される推定誤差が最小となる
変数の組み合わせを探索する。尚(2)式において、m
はデータ数、pは回帰式の自由度である。
【0037】
【数2】
【0038】探索に際しては図3に示す遺伝的アルゴリ
ズムを採用し、世代数をkで表し、第k世代の固体の遺
伝子型をGkで表現すると、次のような手順で探索が行
われる。まず、(1)式のanを基に遺伝子型の初期設
定を行う。 STEP1 遺伝子型の初期設定(G0=1)を行う。 STEP2 (2)式の適応度関数Jの計算を行う。 STEP3 淘汰、増殖、交叉、突然変異による次世代
の集団(Gk)を発生させる。 STEP4 世代数k+1とし、STEP2に戻る。
【0039】このSTEP2からSTEP3までの処理
を遺伝子集団一世代とする。世代が進むことにより各遺
伝子は適応が進み、集団の適応度が向上する。ここで
は、集団の評価値である推定誤差が世代が進むにつれて
小さくなり、最初に設定したしきい値以下になると計算
を終了するロジックになっている(STEP5)。
【0040】今回使用したフィード流量以外の関連のあ
る運転変数の数は、フィード温度、第一、第二排ガス流
量をはじめ31個あり、遺伝子型は1又は0のビット列
で31ビットとした。一世代の集団は60個で、最大5
0世代とし、増殖の比率を0.2、交叉比率を0.2、
新世代入替比率を0.2とした。この31個の変数から
最終的には、フィード温度等からなる数個の相関関係の
高い運転変数を選定した。
【0041】前記遺伝的アルゴリズムにより探索された
運転変数を入力として(1)式に当てはめた結果を補正
値とし、ニューラルネットワーク1から出力された推定
値を補正して、推定誤差を最小とした値を知識ルールベ
ースシステム61に入力する。
【0042】ここで、従来の酸素濃度分析計65(図7
参照)による酸素濃度分析値と、酸素濃度推定装置10
により推定した酸素濃度結果とを比較した。この比較デ
ータを図4に示す。これは8時間のデータを用い、酸素
濃度分析値と、推定した酸素濃度との差の標準偏差σに
より評価したものである。
【0043】実測による酸素濃度分析値の急変箇所は、
酸素濃度分析計65が水蒸気等を吸い込んだことで酸素
濃度が急増し、分析異常となったことが原因である。こ
のように酸素濃度分析計65の出力が異常を示すことに
より差圧67の制御が投入できなくなる不都合があった
が、本実施形態の酸素濃度推定装置10の出力によれ
ば、酸素濃度分析計65が異常になっても、推定値は現
状の運転値を基にほぼ妥当と思われる値を示している。
【0044】また、酸素濃度分析値と、推定した酸素濃
度との差の標準偏差σは0.26と運転監視に十分な精
度が得られた。結果として、制御システムが酸素濃度分
析計65および酸素濃度推定装置10を備えていれば、
酸素濃度分析計65の不調時には、代替として推定値が
使用可能となり、今までのように制御が投入できなくな
るという問題は解決された。
【0045】本実施形態に係る制御システムの制御目標
は、そもそも再生塔/反応塔差圧を最小にすることで、
供給エアー送風機電力を削減することである。そこで、
制御導入前後の12時間のデータ(1分値)で再生塔/
反応塔リージェンスライドバルブ差圧の標準偏差σの比
較を行った。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】これによると、外乱(主として反応塔圧
力)による変動が抑えられた結果、制御対象を構成する
リージェンスライドバルブ差圧の変動幅が1/4に軽減
されることが判る。また、制御導入前後の5日分のデー
タ(1時間データ)によるリージェンスライドバルブ差
圧、第一再生塔圧力、第一再生塔使用電力量の変化を図
5に示す。
【0048】以上のデータから、本実施形態によれば、
次のような効果がある。 (1) リージェンスライドバルブ差圧の変動幅は、制御
導入前の1/4程度に軽減され、安定化が図れた。 (2) 安定化が図れた結果、第一再生塔使用電力量が約
300〔kwh/年〕削減ができ、経済的効果が得られ
た。 (3) また本制御システムの導入により自動運転が可能
となり、省力化に繋がった。
【0049】また、本実施形態に係る制御システムの分
析値推定方法を採用することにより、次のような効果が
ある。 (4) 主成分分析で相関が大きくかつ非線形性の強い変
数を選定し、ニューラルネットワーク1で置き換え、次
にその他の相関の大きい変数を効率的に検索するために
遺伝的アルゴリズムを用いることで、短時間で有効な酸
素濃度推定式を作成できるという効果がある。
【0050】(5) 知識ルールベースシステム61は、
熟練運転員の判断をルール化したものであるため、運転
員に馴染み易い。 (6) 多変数モデル予測制御部62は、応答が早く、監
視ポイント、制御ポイントが多いため熟練運転員が調整
困難なものに対しても有効である。
【0051】尚、本発明は、前記実施形態に限定される
ものではなく、以下に示すような変形をも含むものであ
る。前記実施形態では、反応塔51および再生等52、
53を備えた重油流動接触分解装置を制御する制御シス
テムに本発明を採用していたが、これに限られない。す
なわち、要するに、分析計で検出される分析値を入力変
数として制御する制御システムにおいて、分析計の稼働
率が低く制御を投入できないような問題を有する制御シ
ステムであればよく、他の石油精製装置の制御システム
に本発明を採用してもよい。
【0052】また、前記実施形態では、酸素濃度推定装
置10は、単独の装置として構成されていたが、これに
限らず、知識ルールベースの一部として構成することが
できる。さらに、ニューラルネットワーク1は、前記実
施形態で開示された学習方法に限られず、分析値と推定
値の差を検知し、差があるしきい値を超えたときは、自
動的に再学習する機能を持たせる等の構成を追加しても
よい。すなわち、このように自動的に再学習する機能を
持たせることにより、過去に無い原料油に切り替わっ
て、分析値と推定値に若干の差が生じても、自動的にそ
の変化に対応できるので、安定した制御システムとする
ことができる。その他、本発明の実施の際の具体的な構
造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他
の構造等としてもよい。
【0053】
【発明の効果】このような本発明によれば、上述のよう
に構成され機能するので、これによると、主成分分析で
相関が大きくかつ非線形性の強い変数を選定し、ニュー
ラルネットワークで置き換え、次にその他の相関の大き
い変数を効率的に検索するために遺伝的アルゴリズムを
用いることで、制御システムの入力変数となる分析値の
推定を短時間かつ高精度に行うことができ、低コスト化
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る制御システムの構
成を表すブロック図である。
【図2】前記実施形態におけるニューラルネットワーク
で形成されるフィード流量および酸素濃度推定値の関係
を表すニューラルネットワークモデルである。
【図3】前記実施形態における遺伝的アルゴリズムのフ
ローチャートである。
【図4】前記実施形態における制御導入前後のリージェ
ンスライドバルブ差圧の標準偏差σの比較図である。
【図5】前記実施形態におけるリージェンスライドバル
ブ差圧、第一再生塔圧力、第一再生塔使用電力量の変化
を示す制御導入前後5日分のデータである。
【図6】重油流動接触分解装置の構成を表すブロック図
である。
【図7】重油流動接触分解装置に適用される従来の制御
システムの構成図である。
【符号の説明】
1 ニューラルネットワーク 2 遺伝的アルゴリズム変数選択部 3 回帰式演算手段 20 フィード流量(ニューラルネットワークで置き換
えられた運転変数) 51 反応塔 52,53 再生塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5B049 AA04 AA06 BB07 CC11 DD01 EE14 5H004 GB02 KB02 KB04 KB06 KC24 KC27 KD52 KD57 KD62 KD67

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分析値を推定する分析値推定方法であっ
    て、 前記分析値と相関のある運転変数のうち、相関の大きい
    運転変数を主成分分析により選定し、 この主成分分析により選定された運転変数のうち、少な
    くとも1以上の運転変数および分析値の関係をニューラ
    ルネットワークで置き換え、 該ニューラルネットワークで置き換えられた運転変数以
    外の他の運転変数から、前記ニューラルネットワークの
    出力として与えられる推定値と、実測による分析値との
    推定誤差が最小となる運転変数の組み合わせを、遺伝的
    アルゴリズムに基づいて探索することにより、分析値を
    推定することを特徴とする分析値推定方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の分析値推定方法におい
    て、 前記ニューラルネットワークは、入力層、中間層、およ
    び出力層の3層構成とされ、学習方法として誤差逆伝播
    方法を採用していることを特徴とする分析値推定方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の分析値推
    定方法において、 前記分析値は、原料油を触媒存在下で接触分解する反応
    塔、および前記触媒を再生する再生塔を備えた流動接触
    分解装置における該再生塔内部の酸素濃度であることを
    特徴とする分析値推定方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜請求項3のいずれかに記載の分
    析値推定方法を実行させるためのプログラムを記録した
    ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒
    体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008077551A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Univ Of Tokyo リンクの質量パラメータの推定法
JP7354477B1 (ja) * 2021-12-23 2023-10-02 千代田化工建設株式会社 プログラム、情報処理装置、及び方法

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