JP2001262064A - 常温硬化性日射遮蔽膜形成用塗布液およびこれを用いた日射遮蔽膜ならびに日射遮蔽機能を有する基材 - Google Patents

常温硬化性日射遮蔽膜形成用塗布液およびこれを用いた日射遮蔽膜ならびに日射遮蔽機能を有する基材

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JP2001262064A
JP2001262064A JP2000072773A JP2000072773A JP2001262064A JP 2001262064 A JP2001262064 A JP 2001262064A JP 2000072773 A JP2000072773 A JP 2000072773A JP 2000072773 A JP2000072773 A JP 2000072773A JP 2001262064 A JP2001262064 A JP 2001262064A
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film
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solar radiation
screening
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JP2000072773A
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English (en)
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Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
Hiroko Kuno
裕子 久野
Kenji Adachi
健治 足立
Hiromitsu Takeda
広充 武田
Shigeki Iida
繁樹 飯田
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
SHOWA TECHNO COAT KK
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の透明基材に応用でき、常温での塗膜形
成が可能で、かつ優れた膜強度を得られる日射遮蔽膜形
成用塗布液、およびこれを用いて形成された日射遮蔽能
が高く表面硬度の高い日射遮蔽膜と日射遮蔽機能を有す
る基材を提供する。 【解決手段】 バインダー成分、希釈溶媒、硬化触媒お
よび近赤外光遮蔽成分とを含有し、前記バインダー成分
の少なくとも1種がグリシドキシプロピル基含有アルコ
キシシランとアミノプロピル基含有アルコキシシランと
を混合反応させてなる下記化学式1の物質であり、前記
近赤外光遮蔽成分が含ルテニウム酸化物微粒子、含イリ
ジウム酸化物微粒子および/または含ロジウム酸化物微
粒子からなる平均粒径100nm以下の微粒子であるこ
とを特徴とする。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス、プラスチ
ック、その他の日射遮蔽機能を必要とする透明基材に応
用可能な日射遮蔽材料に関するものであり、より詳細に
は特定の常温硬化性組成物を成分として含み、特定の近
赤外光遮蔽成分を含む常温で硬化可能な日射遮蔽膜形成
用塗布液およびこれを用いて形成した表面硬度の高い日
射遮蔽膜ならびに日射遮蔽機能を有する基材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】太陽光線は、近赤外線、可視光線、紫外
線の3つに大きく分けることができ、このうち長波長領
域の近赤外線(熱線)は熱エネルギーとして人体に感じ
る波長領域の光であり、室内、車内の温度上昇の原因と
もなるものである。また短波長領域の紫外線は、日焼
け、しみ、そばかす、発癌、視力障害など人体への悪影
響があり、物品の機械的強度の低下、色褪せなどの外観
の劣化、食品の劣化、印刷物の色調の低下なども引き起
こすものである。これらの不要な熱線や有害な紫外線を
遮蔽するために、日射遮蔽膜を形成して日射遮蔽機能を
持たせたガラス基板、プラスチック板、フィルムなどの
透明基材が使用されている。
【0003】従来から、前記日射遮蔽材料として金、
銀、銅、アルミニウムなどのような伝導電子を多量に持
つ材料を応用した日射遮蔽膜が用いられている。通常こ
れらの材料を用いた薄膜の形成にはスパッタリング法や
蒸着法が利用されているが、これらの方法では大がかり
な真空装置を必要とするため生産性が劣り、膜の製造コ
ストが高くなり、また大面積の成膜が困難であった。一
方、日射遮蔽材料を含有する塗布液を用いて日射遮蔽膜
を基材上に形成することによって簡単、かつ低コストで
日射遮蔽機能を持たせた透明基材を製造することも提案
されている。この場合、例えば光の波長よりも1桁以上
小さい微細な微粒子を分散した塗布液の製造が試みられ
ているが、従来の金属材料では微粒子化による酸化が問
題となり、またAuを用いた場合にはコストが高くなり
好ましくなかった。
【0004】そして特開平9−302284号公報の記
載によれば、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化ロ
ジウムなどは紫外線領域に吸収を持ち、かつ自由電子を
多量に保有する酸化物材料であるが、これらを微粒子化
することにより可視光の透過性を持たせることが可能
で、日射遮蔽材料として利用可能なことが述べられてい
る。しかしこれらの材料は近赤外線と紫外線の遮蔽能を
持つが、紫外線遮蔽能は比較的小さく、十分な紫外線遮
蔽能を持たせようとすると可視光透過率まで低下してし
まった。さて建物の窓や乗り物の窓のような、既に使用
されている透明基材に対して日射遮蔽機能を持たせるた
めには、日射遮蔽材料を含有する塗布液を用いて日射遮
蔽膜を形成する方法が簡便で好ましいが、このような工
法では塗布液が常温で硬化可能であることが必要とな
る。そしてこの塗布液の常温硬化が可能であれば、工場
での使用においても特別な硬化装置を使用する必要がな
くなり、コスト的にも有利となる。
【0005】またホテルの窓や自動車の窓のような用途
では掃除や開閉のため表面が傷つき易く、硬化後の膜の
表面硬度が必要となる。そして有機系のバインダーを用
いた塗布液の中には常温で硬化可能であるものもある
が、塗布、硬化後の膜強度が弱いので実用的でなく、反
面シリケートなどの無機系のバインダーでは硬化後の膜
強度は実用的であるが、常温硬化しないため、硬化させ
るには加熱が必要となり、また膜厚が厚い場合は硬化時
の収縮が大きくクラックが生じてしまう。このように常
温硬化が可能であるとともに、その硬化膜が十分な表面
強度を与えるという両方の特性を有する日射遮蔽膜形成
用塗布液がなかったため、その開発が待望されているの
が現状であった。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】本発明は前記従来の技
術の問題点を解決し、既存の透明基材に適応でき、常温
での塗膜形成が可能で、かつ優れた膜強度を得られる日
射遮蔽膜形成用塗布液、およびこれを用いて形成された
日射遮蔽能が高く表面硬度の高い日射遮蔽膜ならびに日
射遮蔽機能を有する基材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、グリシドキシプロピル基含有アルコキシシ
ランとアミノプロピル基含有アルコキシシランを混合反
応させてなる物質をバインダー成分として用い、さらに
近赤外光遮蔽成分として自由電子を多量に保有する含ル
テニウム酸化物微粒子、含イリジウム酸化物微粒子およ
び/または含ロジウム酸化物微粒子を用いることにより
前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0008】すなわち本発明の第1の実施態様に係る常
温で硬化可能な日射遮蔽膜形成用塗布液は、バインダー
成分、希釈溶媒、硬化触媒および近赤外光遮蔽成分とを
含有する日射遮蔽膜形成用塗布液であって、前記バイン
ダー成分の少なくとも1種がグリシドキシプロピル基含
有アルコキシシランとアミノプロピル基含有アルコキシ
シランとを混合反応させてなる下記する化学式1で示さ
れる物質であり、前記近赤外光遮蔽成分が含ルテニウム
酸化物微粒子、含イリジウム酸化物微粒子および含ロジ
ウム酸化物微粒子の中から選ばれた少なくとも1種から
なる平均粒径100nm以下の微粒子であることを特徴
とするものであり、
【0009】
【化1】 (式中、X1、X2はメトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、ブトキシ基の加水分解によってシラノールを生
じるアルコキシル基を示し、Y1、Y2はメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基のアルキル基を示し、ま
たa、b、c、dはそれぞれ1≦a≦3、a+b=3、
1≦c≦3、c+d=3の関係を満たす数である。) さらに紫外線遮蔽成分としてべンゾフェノン系および/
またはべンゾトリアゾール系の有機紫外線吸収剤を0.
5重量%以上で7重量%以下含有したり、またさらに紫
外線遮蔽成分として平均粒径が100nm以下のCeO
、ZnO、FeおよびFeOOH微粒子の中か
ら選ばれた少なくとも1種からなる無機紫外線遮蔽成分
を含有することを特徴とする。
【0010】また本発明の第2の実施態様に係る日射遮
蔽膜は、前記第1の実施態様に係る日射遮蔽膜形成用塗
布液を基材に塗布し、硬化させてなることを特徴とする
ものである。
【0011】さらに本発明の第3の実施態様に係る日射
遮蔽機能を有する基材は、前記第2の実施態様に係る日
射遮蔽膜が少なくとも片面に形成され、かつ透明性を有
することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず本発明において近赤外光遮蔽成分として用い
られる含ルテニウム酸化物微粒子、含イリジウム酸化物
微粒子、含ロジウム酸化物微粒子には、二酸化ルテニウ
ム(RuO)、二酸化イリジウム(IrO)、二酸
化ロジウム(RhO)の他、ルテニウム酸ビスマス
(BiRu)、ルテニウム酸鉛(PbRu
6.5)、イリジウム酸ビスマス(BiIr
)、イリジウム酸鉛(PbIr6.5)な
どが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また前記含ルテニウム酸化物微粒子、含イリジウム酸化
物微粒子、含ロジウム酸化物微粒子は単独でも、あるい
は2種以上が混合されてもよい。
【0013】いずれの材料の場合もその平均粒径が10
0nm以下の微粒子であることが必要であるが、その理
由は、平均粒径が100nmを超えると微粒子同士の凝
集傾向が強くなり、塗布液中の微粒子の沈降の原因とな
るからであり、また100nmを超える粒子もしくはそ
れらの凝集した粗大粒子の存在は、それによる光散乱に
よって可視光透過率低下の原因となるので好ましくな
い。なお平均粒径は100nm以下であれば、小さいほ
ど好ましいが現在の技術では商業的に製造できる最小粒
径はせいぜい2nm程度である。そして前記微粒子は金
属的電気伝導性を示す黒色粉末であって、粒径100n
m以下の微粒子として薄膜中に分散した状態では可視光
透過性が生ずるが、近赤外光遮蔽能は十分強く保持でき
る。
【0014】つぎに本発明において用いられるバインダ
ー成分の少なくとも1種はグリシドキシプロピル基を含
有するアルコキシシランとアミノプロピル基を含有する
アルコキシシランを混合反応させて得られたものであ
る。グリシドキシプロピル基を含有するアルコキシシラ
ンとしては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシ
プロピルメチルジエトキシシランなどを挙げることがで
き、またアミノプロピル基を含有するアルコキシシラン
としては、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノ
プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。得られ
た反応物の基本構造は下記する化学式1で示される。
【0015】
【化1】 (式中、X1、X2はメトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、ブトキシ基の加水分解によってシラノールを生
じるアルコキシル基を示し、Y1、Y2はメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基のアルキル基を示し、ま
たa、b、c、dはそれぞれ1≦a≦3、a+b=3、
1≦c≦3、c+d=3の関係を満たす数である。)
【0016】すなわち、本発明のバインダー成分は、前
記化学式1に示す基本構造における分子両端にアルコキ
シル基を持ち、分子内にフレキシブルなメチレン鎖を持
つ。このアルコキシル基は室温で加水分解して反応性の
高いシラノ一ルを生じ、これが縮合重合することによっ
て自身で高分子化、あるいは他の成分と結合することが
できる。また分子中のメチレン鎖は縮合重合時の歪みを
吸収し塗膜のクラックを押さえる。本発明の日射遮蔽膜
形成用塗布液の硬化は、バインダー成分中のアルコキシ
ル基の加水分解と、それに続くシラノールの縮合重合に
よる高分子化によって起こる。このようにして形成され
たシロキサン結合は強固であり、堅牢な塗膜を形成する
ことができる。
【0017】さらに日射遮蔽膜形成用塗布液中の希釈溶
媒は特に限定されるものではなく塗布条件や、塗布環
境、塗布液中の固形分の種類に合わせて選択可能であ
り、例えばメタノール、エタノール、イソブチルアルコ
ールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルな
どのエーテルアルコール類、酢酸メチルや酢酸エチルな
どのエステル類、メチルエチルケトンやシクロヘキサノ
ンなどのケトン類など各種溶媒が使用可能である。また
用途によって1種または2種以上の溶媒を組み合わせて
使用することもできる。そしてこのバインダー成分には
湿気硬化性があるが、常温での硬化速度を実用的なもの
とするために、日射遮蔽膜形成用塗布液には硬化触媒の
添加が必要である。この硬化触媒としては三弗化ホウ素
などが用いられ、触媒の添加量を変えることによって硬
化時間を制御することが可能となり、応用範囲が広がる
こととなる。
【0018】さらに形成される日射遮蔽膜の紫外線遮蔽
能を強化するために、日射遮蔽膜形成用塗布液に紫外線
遮蔽成分として有機紫外線吸収剤および/または無機紫
外線遮蔽成分を含有させることもできる。この際、紫外
線遮蔽成分としての有機紫外線吸収剤としてはベンゾフ
ェノン系とべンゾトリアゾール系の有機紫外線吸収剤の
いずれか一方、または両方を含有させることができ、そ
の含有量は0.5〜7重量%が好ましい。紫外線吸収剤
の含有量が0.5重量%未満では形成される日射遮蔽膜
の紫外線遮蔽能が十分ではなく、一方7重量%を超える
と紫外線吸収剤が膜の表面に滲み出したり、曇りが生じ
たりするからである。
【0019】また用途によっては紫外線遮蔽成分として
無機紫外線遮蔽成分を含有させてもよく、この場合の無
機紫外線遮蔽成分として平均粒径が100nm以下のC
eO 、ZnO、Fe、FeOOH微粒子の中か
ら選ばれた1種もしくは2種以上を選択する。平均粒径
を100nm以下とした理由は、粒径が100nmを超
えると微粒子同士の凝集傾向が強くなり、塗布液中の微
粒子の沈降の原因となり、また100nmを超える粒子
もしくはそれらの凝集した粗大粒子の存在は、それによ
る光散乱によって可視光透過率の低下の原因となるので
好ましくない。さらにFe、FeOOH微粒子を
選択することによって、塗布膜に赤味や黄色味を持たせ
ることも可能である。これらの無機紫外線遮蔽成分は経
時変化が少ない。なお、無機紫外線遮蔽成分の平均粒径
は小さいほど好ましいが、前記した理由と同様な理由に
より最小限の粒径は2nm程度である。
【0020】そして本発明では前記した日射遮蔽膜形成
用塗布液をガラス基板、プラスチック板、フィルムなど
の透明基材の片面あるいは両面に塗布し常温で硬化させ
ることによって前記透明基材の表面上に表面硬度の高い
日射遮蔽能を持つ日射遮蔽膜を形成することができる。
日射遮蔽膜形成用塗布液の塗布方法は特に限定されるも
のではなく、スピンコート法、スプレーコート法、ディ
ップコート法、スクリーン印刷法、布や刷毛による塗布
方法など、処理液を平坦で、薄く、かつ均一に塗布でき
る方法であればいかなる方法でも用いることができる。
透明基材上に形成された日射遮蔽膜は、該基材に高い表
面硬度と日射遮蔽機能を付与するとともに、前記基材そ
のものの紫外線による劣化を抑制する。このようにして
日射遮蔽膜が片面あるいは両面に形成された基材は高い
表面硬度と日射遮蔽能を有するものである。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例とともに
さらに詳細に説明する。なお以下の実施例および比較例
の日射遮蔽膜形成用塗布液の構成成分を下記する表1
に、また形成した膜の特性を表2に纏めて示した。 [実施例1]酸化ルテニウム(RuO)微粒子(平均
粒径30nm)15g、N−メチル−2−ピロリドン
(NMP)23g、ジアセトンアルコール(DAA)1
4g、メチルエチルケトン47.5g、およびチタネー
ト系カップリング剤0.5gを混合し、直径4mmのジ
ルコニアボールを用いて100時間のボールミル混合を
行って酸化ルテニウムの分散液100gを作製した(A
液)。グリシドキシプロピルトリメトキシシラン600
gとアミノプロピルトリエトキシシラン400gを混合
し、マグネティックスターラーで1時間撹拌後、室温で
14日間熟成させて目的のバインダー成分1000gを
得た(合成液1)。25gの合成液1と38gのイソブ
チルアルコール、25gのプロピレングリコールモノエ
チルエーテル、2gのA液を混合撹拌し、さらに触媒と
して三弗化ホウ素ピペリジンのイソブチルアルコール溶
液(濃度1重量%)10gを加えて撹拌することによっ
て日射遮蔽膜形成用塗布液を作製した。この日射遮蔽膜
形成用塗布液を3mmのソーダライム系ガラス基板上に
バーコーターを用いて塗布し、常温で放置して日射遮蔽
膜を得た。
【0022】得られた日射遮蔽膜の透過率を日立製作所
(社)製の分光光度計を用いて測定し、JIS R 3
106にしたがって可視光透過率(τv)、日射透過率
(τe)を、ISO 9050にしたがって紫外線透過
率(τuv)を算出した。またテーバー摩耗試験機で摩
耗輪CS 10fを用いて荷重250g、50回転の摩
耗試験を行い、試験前後のへイズの変化量(ΔH)で膜
の表面硬度を評価した。なおへイズは村上色彩技術研究
所(社)製の反射・透過率計で測定した。実施例1によ
り得られた日射遮蔽膜形成用塗布液は常温で硬化可能で
あり、容易に日射遮蔽膜を得ることができた。また膜の
τvは75.4%、τeは69.6%であり、可視光透
過性があり、日射遮蔽能があることが分かった。τuv
は49.1%であり紫外光の遮蔽能もあった。またΔH
は5.0%であり表面硬度の非常に高い膜が形成されて
いた。
【0023】[実施例2]25gの合成液1と2.6g
のべンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(UVA)、3
5.4gのイソブチルアルコール、25gのプロピレン
グリコールモノエチルエーテル、2gのA液を混合撹拌
し、さらに触媒として三弗化ホウ素ピペリジンのイソブ
チルアルコール溶液(濃度1重量%)10gを加えて撹
拌することによって日射遮蔽膜形成用塗布液を作製し
た。ついで実施例1と同様な手順で日射遮蔽膜を形成
し、膜の評価を行った。実施例2により得られた日射遮
蔽膜のτvは74.8%、τeは67.4%であり、可
視光透過性があって日射遮蔽能があることが分った。ま
たτuvは1.0%であり紫外光の遮蔽能は優れてい
た。さらにΔHは6.0%であり表面硬度の非常に高い
膜が形成されていた。
【0024】[実施例3]FeOOH微粒子(平均粒径
30nm)15g、N−メチル−2−ピロリドン23
g、ジアセトンアルコール14g、メチルエチルケトン
47.5g、およびチタネート系カップリング剤0.5
gを混合し、直径4mmのジルコニアボールを用いて1
00時間のボールミル混合を行いFeOOHの分散液1
00gを作製した(B液)。25gの合成液1と14.
7gのB液、23.3gのイソブチルアルコール、25
gのプロピレングリコールモノエチルエーテル、2gの
A液を混合撹拌し、さらに触媒として三弗化ホウ素ピペ
リジンのイソブチルアルコール溶液(濃度1重量%)1
0gを加えて撹拌することによって日射遮蔽膜形成用塗
布液を作製した。つぎに実施例1と同様な手順で日射遮
蔽膜を形成し、膜の評価を行った。実施例3により得ら
れた日射遮蔽膜のτvは68.8%、τeは61.6%
であり、可視光透過性があって日射遮蔽能があることが
分った。またτuvは4.6%であり紫外光の遮蔽能は
優れていた。さらにΔHは4.8%であり表面硬度の非
常に高い膜が形成されていた。
【0025】[実施例4]25gの合成液1、8.7g
のB液、2.6gのべンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、26.7gのイソブチルアルコール、25gのプロ
ピレングリコールモノエチルエーテル、2gのA液を混
合撹拌し、さらに触媒として三弗化ホウ素ピペリジンの
イソブチルアルコール溶液(濃度1重量%)10gを加
えて撹拌することによって日射遮蔽膜形成用塗布液を作
製した。つぎに実施例1と同様な手順で日射遮蔽膜を形
成し、膜の評価を行った。実施例4により得られた日射
遮蔽膜のτvは72.6%、τeは65.3%であり、
可視光透過性があって日射遮蔽能があることが分った。
またτuvは0.3%であり紫外光の遮蔽能は非常に優
れていた。さらにΔHは5.7%であり表面硬度の非常
に高い膜が形成されていた。
【0026】[比較例1]比較のため3mmのソーダラ
イム系ガラス基板のみの測定も行った。ソーダライム系
ガラス基板のτvは90.3%、τeは87.3%、τ
uvは70.7%であった。
【0027】[比較例2]バインダーとしてラッカータ
イプの常温硬化ウレタン樹脂(溶剤はイソプロピルアル
コールで固形分30%)を83.3g、ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤を2.6g、イソブチルアルコール
を12.1g、A液を2g混合撹拌することによって日
射遮蔽膜形成用塗布液を作製した。つぎに実施例1と同
様な手順で日射遮蔽膜を形成し、膜の評価を行った。比
較例2により得られた日射遮蔽膜のτvは73.6%、
τeは66.4%であり、可視光透過性があって日射遮
蔽能があることが分かった。またτuvは0.9%であ
り紫外光の遮蔽能は優れていたが、ΔHは30.0%で
あり表面硬度が非常に低く、爪でこすると傷が付いてし
まった。
【0028】[実施例5]酸化イリジウム(IrO
微粒子(平均粒径30nm)15g、N−メチル−2−
ピロリドン23g、ジアセトンアルコール14g、メチ
ルエチルケトン47.5g、およびチタネート系カップ
リング剤0.5gを混合し、直径4mmのジルコニアボ
ールを用いて100時間のボールミル混合を行い酸化ル
テニウムの分散液100gを作製した(C液)。グリシ
ドキシプロピルトリエトキシシラン600gとアミノプ
ロピルトリメトキシシラン400gを混合し、マグネテ
ィックスターラーで1時間撹拌後、室温で14日間熟成
させて目的のバインダー成分1000gを得た(合成液
2)。25gの合成液2と38gのイソブチルアルコー
ル、25gのプロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、2gのC液を混合撹拌し、さらに触媒として三弗化
ホウ素ピペリジンのイソブチルアルコール溶液(濃度1
重量%)10gを加えて撹拌することによって日射遮蔽
膜形成用塗布液を作製した。つぎに実施例1と同様な手
順で日射遮蔽膜を形成し、膜の評価を行った。実施例5
により得られた日射遮蔽膜のτvは74.3%、τeは
68.2%であり、可視光透過性があって日射遮蔽能が
あることが分かった。またτuvは45.1%であり紫
外光の遮蔽能もある。さらにΔHは5.1%であり表面
硬度の非常に高い膜が形成されていた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】以上述べた通り本発明によれば、常温で
硬化し得る日射遮蔽膜形成用塗布液を得ることができ、
また該塗布液により形成された日射遮蔽膜は表面強度が
高く、また透明基材に高い表面強度と日射遮蔽能を付与
することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久野 裕子 千葉県市川市中国分3−18−5 住友金属 鉱山株式会社中央研究所内 (72)発明者 足立 健治 千葉県市川市中国分3−18−5 住友金属 鉱山株式会社中央研究所内 (72)発明者 武田 広充 千葉県市川市中国分3−18−5 住友金属 鉱山株式会社中央研究所内 (72)発明者 飯田 繁樹 東京都千代田区東神田2丁目8番4号 昭 和テクノコート株式会社内 Fターム(参考) 4G059 AA01 AC07 FA05 FA22 FA28 FA29 FB05 4J038 DL081 HA166 JA32 JB35 KA04 KA06 NA19 PB08 PC03 PC08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダー成分、希釈溶媒、硬化触媒お
    よび近赤外光遮蔽成分とを含有する日射遮蔽膜形成用塗
    布液であって、前記バインダー成分の少なくとも1種が
    グリシドキシプロピル基含有アルコキシシランとアミノ
    プロピル基含有アルコキシシランとを混合反応させてな
    る下記する化学式1で示される物質であり、前記近赤外
    光遮蔽成分が含ルテニウム酸化物微粒子、含イリジウム
    酸化物微粒子および含ロジウム酸化物微粒子の中から選
    ばれた少なくとも1種からなる平均粒径100nm以下
    の微粒子であることを特徴とする常温で硬化可能な日射
    遮蔽膜形成用塗布液。 【化1】 (式中、X1、X2はメトキシ基、エトキシ基、プロポ
    キシ基、ブトキシ基の加水分解によってシラノールを生
    じるアルコキシル基を示し、Y1、Y2はメチル基、エ
    チル基、プロピル基、ブチル基のアルキル基を示し、ま
    たa、b、c、dはそれぞれ1≦a≦3、a+b=3、
    1≦c≦3、c+d=3の関係を満たす数である。)
  2. 【請求項2】 さらに紫外線遮蔽成分としてべンゾフェ
    ノン系および/またはべンゾトリアゾール系の有機紫外
    線吸収剤を0.5重量%以上で7重量%以下含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の常温で硬化可能な日射遮
    蔽膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】 さらに紫外線遮蔽成分として平均粒径が
    100nm以下のCeO、ZnO、Feおよび
    FeOOH微粒子の中から選ばれた少なくとも1種から
    なる無機紫外線遮蔽成分を含有することを特徴とする請
    求項1または2記載の常温で硬化可能な日射遮蔽膜形成
    用塗布液。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の日射
    遮蔽膜形成用塗布液を基材に塗布し、硬化させてなるこ
    とを特徴とする日射遮蔽膜。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の日射遮蔽膜が少なくとも
    片面に形成され、かつ透明性を有することを特徴とする
    日射遮蔽機能を有する基材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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