JP2001259713A - 継目無鋼管の製造方法 - Google Patents

継目無鋼管の製造方法

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JP2001259713A
JP2001259713A JP2000081348A JP2000081348A JP2001259713A JP 2001259713 A JP2001259713 A JP 2001259713A JP 2000081348 A JP2000081348 A JP 2000081348A JP 2000081348 A JP2000081348 A JP 2000081348A JP 2001259713 A JP2001259713 A JP 2001259713A
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drilling
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Tatsuro Katsumura
龍郎 勝村
Shozo Azuma
祥三 東
Takashi Ariizumi
孝 有泉
Tatsuharu Oda
龍晴 小田
Motoharu Yamazaki
基晴 山崎
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高合金鋼等のビレットを傾斜穿孔するに際
し、安価で、簡便な、プラグ胴部における損傷が防止で
きる、継目無鋼管の製造方法を提供すること。 【解決手段】 マンネスマン傾斜穿孔において、断面中
心部に貫通孔を有す中空ビレットを用いて、穿孔に際
し、ビレットの後端より潤滑材供給管を貫通孔に挿入し
て貫通孔内に潤滑剤を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、傾斜穿孔機を用いて行
う継目無鋼管の製造において、特に穿孔機で用いる穿孔
プラグの耐用度を向上することができる製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】マンネスマン方式を始めとする傾斜穿孔
による継目無鋼管の製造は、通常、100〜400φ程
度の断面を有する丸鋼(以下、ビレットと称す)を加熱
炉に装入し、およそ1100℃〜1350℃に加熱し、
芯金(以下、穿孔プラグと称す)を用いたピアサにより
ホローシェルに穿孔する。次いで、エロンゲータ、プラ
グミルあるいはマンドレルミルといった圧延機でホロー
シェルを延伸し、最終的にサイザまたはストレッチレデ
ューサで外径および肉厚を定めている。
【0003】ピアサやエロンゲータ、プラグミル、マン
ドレルミルなどの圧延機では、一般に素管内面側にも工
具を配し圧延を実施する。これらの内面に配置した工具
は、高温のビレットあるいはホローシェルと接触して過
酷な加工を行い、しかも、周囲全周から強い輻射を受け
るため高い温度に加熱される。使用の度に冷却している
ものの、使用回数の増加に伴い変形を起こしたり、極端
な場合には溶損状の損傷を受けることがある。中でもピ
アサで用いられる穿孔プラグにおいて、その損傷は著し
い。
【0004】さらに、CrやMoあるいはNiなどの合
金成分を多量に含有したビレットを穿孔する場合には、
穿孔プラグの耐用度は数パス程度と極端に少ない。因み
に、炭素鋼の耐用度は数百パスで、主として先端部(以
下、頭部と称す)に溶損状変形や焼付きが発生してい
る。損傷が発生したまま継続して使用すればホローシェ
ル内面に疵を作る原因となるため、頻繁にプラグを交換
することが必要となり、プラグ交換にともなって能率の
低下を招くばかりか、工具原単位も低下し、最終製品の
コスト増につながるとの問題があった。
【0005】しかも、損傷が激しい場合にはマンネスマ
ン穿孔が不可能となり、別の製造方法により最終製品を
製造するという異常事態が引き起こされるとの問題があ
った。
【0006】そこで、穿孔プラグの耐用度向上、特に高
合金鋼および高合金からなるビレットを穿孔する際の穿
孔プラグの耐用度劣化を解決するために、多くの技術開
発が行われている。大別すると、穿孔プラグの高温強度
を高める(従来技術1)、表面処理により耐磨耗性を持
たせる(従来技術2)、さらに、潤滑剤、酸化スケール
などの利用により穿孔材との直接接触を防ぎ、焼付きを
防止する(従来技術3〜5)といった技術が提案されて
きた。
【0007】例えば、特公平2-133106号公報に記載され
た技術は、素材ビレットより高温強度がはるかに高いモ
リブデンMoを穿孔プラグに用い、変形によるプラグ損
傷を防止するものであって、プラグ変形そのものの防止
効果は高く、Mo酸化物による耐焼付き性の向上も期待
できるなど有利な点は多いが、Moが高価であること、
400℃程度より低い温度域では極めて脆いという性質
があり、また、熱応力等に起因する割れが起きやすいこ
とで工業的な使用には問題が多い。(従来技術1)
【0008】また、特開昭63-192504号公報に記載され
た技術は、プラグ表面に硬質材等を各種表面処理により
付着させることによる焼付き・磨耗の防止を目的とした
ものであって、表面損傷の抑制は可能であるが、磨耗層
が硬質材であるため熱応力の繰り返しにより割れ易いこ
とや、表面処理層が剥離する等の点で実機における使用
技術が確立されているとは言い難い。(従来技術2)
【0009】また、特公昭63-54066号公報に記載された
技術は、プラグ母材に低合金鋼を用い、表面に予め酸化
スケールを付与し耐用度の劣化を抑制するものである。
すなわち、低合金鋼、例えば3%Cr−1%Niなどか
らなるプラグをあらかじめ穿孔前に熱処理し、そこに生
成した表面スケールを潤滑剤あるいは断熱皮膜として用
いるもので、現在最も多く実施されている。さらに、特
開平8-193241号公報に記載された技術は、プラグを酸化
スケール生成量の多い材質に改善して、高合金鋼におい
て、20パス程度まで穿孔可能であるとしている。それ
でも到底普通鋼を穿孔する場合の耐用度には及ばず、工
具原単位の大幅な改善や圧延能率の向上が望まれてい
る。(従来技術3)
【0010】さらに、特開平1-180712号公報に記載され
た技術は、穿孔中に、穿孔プラグそのものからプラグと
被穿孔材との界面に潤滑剤を塗布する方法が提案されて
いる。しかし、プラグ自体に加工を施すことによる強度
低下や割損、また塗出孔の詰まり等の課題が残り実用化
には至っていない。(従来技術4)
【0011】さらに、特開平8-117815号公報に記載され
た技術は、ビレットの穿孔側先端面に鋼鈑を接合するこ
とにより穿孔の度に酸化スケールをプラグに付与し、酸
化スケールの消耗を防止している。したがって、酸化ス
ケールによる焼付き抑制効果によって、高合金鋼の穿孔
において、従来の5倍以上のプラグ耐用度を実現してい
る。また、穿孔の度毎に、プラグを交換する必要がなく
なり連続的に穿孔を実施できることから、生産性の向上
を果たした。しかしながら、本技術は、プラグの主たる
損傷要因であるプラグ頭部の焼付きは抑制できたもの
の、プラグ胴部の焼付きやエグレ状の変形といった従来
は目立たなかった損傷が頻発するようになってきた。
(従来技術5)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上鑑みるに、従来技
術1は、プラグ自体が高価であること(問題点1)、使
用に先立って400℃以上の予熱する必要があり準備作
業が煩雑であること(問題点2)、また、熱応力等に起
因する割れ、特にプラグ胴部における損傷が起きやすい
(問題点3)との問題があった。
【0013】また、従来技術2は、特にプラグ胴部にお
いて、表面処理層が熱応力の繰り返しにより割れ易(問
題点3)かったり、表面処理層が剥離する(問題点4)
などの問題があった。
【0014】また、従来技術3は、高合金鋼の穿孔には
耐用度が不足して使用できない(問題点3)との問題が
あった。
【0015】また、従来技術4は、プラグが割損しやす
い(問題点3)、や潤滑剤の塗出孔が詰まる(問題点
5)との問題があった。
【0016】さらに、従来技術5は、ビレットの端面に
鋼鈑を接合する準備作業が生じ(問題点2)、プラグ胴
部の焼付きやエグレ状の変形等の損傷を防止できない
(問題点3)との問題があった。
【0017】特に、プラグ耐用度(問題点3)について
の従来技術は、合金鋼成分からなる穿孔プラグの頭部の
劣化抑制を中心としたものが大半を占め、穿孔プラグの
長手方向の中央部および後方部(以下、胴部と称す)の
損傷を防止することにより耐用度を向上させる技術は皆
無に等しい。
【0018】本発明は、前記の問題点を解決するために
なされたもので、高合金鋼等のビレットを傾斜穿孔する
に際し、安価で、特別の準備作業が不要で、プラグ胴部
における損傷が防止でき、プラグ表面に特別の処理層を
具備せず、また、プラグ自体に潤滑剤の塗出孔を具備し
ない、継目無鋼管の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る継目無鋼管
の製造方法は、被穿孔材のパスラインに対し傾斜配置さ
れたロールと、そのパスライン上に被穿孔材を穿孔する
ためのプラグを配置する傾斜穿孔機における、継目無鋼
管の製造方法であって、被穿孔材が断面中心部に貫通孔
を有し、さらに、穿孔に際し、被穿孔材の後端より貫通
孔に潤滑剤供給管を挿入して、潤滑剤を貫通孔に供給す
ることを特徴とするものである。
【0020】また、前記継目無鋼管の傾斜穿孔方法にお
いて、潤滑剤をプラグに向けて噴き付けることを特徴と
ものである。
【0021】また、被穿孔材の貫通孔の内径が被穿孔材
の外径の10%以上であることを特徴とするものであ
る。
【0022】さらに、被穿孔材が、CrまたはMoまた
はNiの内少なくとも1つを5%以上含有することを特
徴とするものである。
【0023】
【実施の形態】図1は、本発明の一実施の形態を示すも
のである。図1において、穿孔ロール1はその回転軸が
パスラインに対し傾斜した状態で図示しない穿孔機に設
置されている。穿孔プラグ2は、図示しないマンドレル
の先端部に回転自在に設置され、穿孔機の後面において
パスライン上を前後進する。穿孔に際して穿孔ロール1
の略中央部の隙間にまで前進して停止し、穿孔中は被穿
孔材4により回転されながら内面を加工する。プッシャ
3は、穿孔機の前面に設置され、パスライン上を前後進
する。また、プッシャ3の先端部(穿孔機側端部)に
は、被穿孔材4が回転を始めたときに自由に回転するビ
レット押し当て装置32が設置され、、プッシャ3の内
部には、潤滑剤噴出し装置31と、潤滑剤供給管34を
伸縮する伸縮手段33が内臓されている。また、潤滑剤
供給管34の先端には、潤滑剤噴き出し用のノズル35
が設置されている。
【0024】被穿孔材(以下、ビレットと称す)4は、
穿孔機の前面でパスライン上に移送された後、プッシャ
3により穿孔機側に押し出され、穿孔ロール1に噛み込
まれる。その後、ビレット4は回転しながら前進し、穿
孔ロール1と穿孔プラグ2に挟まれるようにして穿孔さ
れ、ホローシェルとなる。 穿孔終了後、ホローシェル
は穿孔機の後面に移送され、次の工程に移送されること
になる。
【0025】さらに、ビレット4の中心部には貫通孔4
1が設けられており、穿孔の開始前から穿孔終了まで所
定の時間、貫通孔41の内部に、前記ノズル35から潤
滑剤が噴き出される。
【0026】噴出しのタイミングは、(1)ビレット4
が穿孔ロール1に噛み込むまでの所定長さの時間、
(2)噛み込み前から噛み込み後の所定長さの時間、
(3)噛み込み後の所定長さの時間、のいずれであって
もよい。
【0027】さらに、ノズル35は、(1)ビレット後
端から一定距離進入して潤滑剤の噴き出しを開始し、そ
の後、プッシャ3の後退速度より早く後退する、(2)
ビレット後端から一定距離進入して潤滑剤の噴き出しを
開始し、その後、プッシャ3と同じ速度で後退する、
(3)ビレット後端から一定距離進入して潤滑剤の噴き
出しを開始し、その後、プッシャ3の後退速度より遅い
速度で後退する、(4)ビレット後端から一定距離進入
して、その後、ビレット4の前進速度と同じ速度で、プ
ラグ先端近傍まで前進して潤滑剤の噴き出しを開始し、
その後、所定の速度で後退する、(5)ビレット後端か
ら一定距離進入して、その後も、その位置に止まり、ほ
ぼビレットの後端がノズル位置を通過するタイミングで
潤滑剤の噴き出しを停止して、後退する、など何れであ
っても良い。
【0028】したがって、前記(4)および(5)の場
合には、プッシャ3が後退する際、潤滑材供給管34は
プッシャ3より押し出されることになる。
【0029】さらに、噴出し強さを経時的に変更させ
て、例えばビレットの後端部になるほど多くの潤滑剤を
供給してもよい。
【0030】以下、本発明の作用を説明する。図2およ
び図3は、それぞれ炭素鋼および13%Cr鋼を穿孔し
た時の穿孔プラグ(3%Cr−1%Ni製)の表面温度
分布を示すものである。いずれも穿孔を繰り返すにした
がって、表面温度が上昇している(穿孔終了後の冷却が
不十分であるためと考えられる)。
【0031】また、図2と図3を比較すると、炭素鋼の
場合には、穿孔プラグの先端側が高温のなだらかなカー
ブで、穿孔回数を重ねても、プラグ中央部にピークが発
生することはなく、平均温度は800℃以上になっていな
い。一方、合金鋼の場合には、穿孔プラグの中央部にも
温度のピーク(以下、ピーク温度と称す)が発生し、そ
のピーク温度が穿孔回数を重ねるにつれて上昇してい
る。高合金鋼の方が変形抵抗が高いため、穿孔プラグの
表面にかかる面圧が高くなることに起因して接触状態が
相違する現象、および穿孔時間が高合金鋼の方が長くか
かるといる傾斜穿孔特有の現象によるものである。ま
た、穿孔中の加工熱(発熱量)が高合金鋼の方が高いた
め、これによってもピーク温度の発生が促進されること
になる。
【0032】図4は、前記ピーク温度と穿孔回数との関
係を示すもので、3%Cr−1%Ni鋼製の穿孔プラグ
に対しSKT3製の鋼は耐用度が高いものの、800℃に
達すると廃却されている。
【0033】以上より、穿孔プラグの胴部の損傷を抑制
するためには、前記ピーク温度を発生させないか、発生
した場合には800℃以上に上昇しないようにすること、
すなわち、穿孔プラグの面圧を低く押さえること及び穿
孔時間を短くすること、が大切であることを見出した。
そこで、直接接触を防ぎ、しかも穿孔時間を短縮できる
方法として、ビレットに貫通孔を設け、あらかじめ穿孔
前にビレット後端より潤滑剤供給管により貫通孔に潤滑
剤を噴き入れる方法を発明した。
【0034】図5は、穿孔時の前進効率における貫通孔
および潤滑剤の効果を示すものである。図5において、
SUS304鋼の貫通孔無しビレット(以下、中実材と
称す)と、これにビレット外径の10%の貫通孔を設け
たビレット(以下、中空材と称す)と、潤滑剤供給管に
より中空材の内面に潤滑材を噴出したもの(以下、潤滑
中空材と称す)と、潤滑剤供給管の先端にノズルを設置
して、該ノズルにより中空材の内面に潤滑材を噴出した
もの(以下、ノズル使用潤滑中空材と称す)との4者に
ついて前進効率を比較した。なお、前進効率とはロール
周速のパスライン方向成分に対するビレットの進行速度
の比率とした。したがって、前進効率0.5の場合は、
前進効率1.0の場合に較べ、ビレットの進行速度が1
/2で、穿孔時間が2倍かかることになる。
【0035】図5より、中実材に較べ、進行速度が中空
材では20%、潤滑中空材では70%、ノズル使用潤滑
中空材では80%改善され、穿孔時間が中空材では約1
7%、潤滑中空材では約41%、ノズル使用潤滑中空材
では約44%短縮していることから、本発明が優れてい
ることが認められる。
【0036】図6は、図5において、ピーク温度が80
0℃に到達する穿孔回数を比較したものである。図6に
おいて、中実材に比較して、中空材は約40%、潤滑中
空材は130%延長しており、本発明が優れていること
が認められる。なお、潤滑中空材においては穿孔プラグ
の磨耗が抑制されている。これは、前進効率の向上によ
り穿孔プラグとビレット内面との接触回数(摺動距離)
が減少したためと考えられる。さらに、貫通孔を設けた
ことにより、穿孔プラグ先端の変形は小さくなり穿孔プ
ラグ先端の損傷はほぼ解消された。
【0037】図7は、廃却穿孔回数比とビレットに設け
た貫通孔の内径との関係を示す相関図である。図6にお
いて、貫通孔の内径がビレットの外径のほぼ10%を超
えるあたりから廃却穿孔回数比が急激に上昇し、20%
辺で、高位に安定して上昇の割合は小さくなる。
【0038】貫通孔の内径の効果については、次のよう
に考えられる。通常マンネスマン穿孔では樽型ロールを
用いる。すなわち穿孔が開始されると一旦外径は縮径さ
れ、しかる後に穿孔プラグと穿孔ロール等で圧延されな
がら拡管される。この際、十分な貫通孔径がなければ縮
径の段階で貫通孔が閉じられ、ビレット後端側から噴き
出されている潤滑剤が初期に付着したものしか作用せ
ず、耐用度の向上に十分に寄与しない。したがって、あ
る程度の大きさの貫通孔が必要になる。また穿孔中にプ
ラグにまで直接潤滑剤を付着させようとするなら、さら
に大きな径の貫通孔が求められる。ただし、孔径があま
りに大きいと、ビレットが穿孔機に到達する前に温度低
下が著しくなり、結果として穿孔プラグにかかる面圧が
高くなることに起因する磨耗が生ずるため、50%程度以
下が望ましい。
【0039】したがって、耐用度向上に十分な効果のあ
る貫通孔を素材径の10%以上、50%以下と考えられ
る。
【0040】なお、本発明は、潤滑材供給管をビレット
の内径に挿入するため、潤滑剤を所定位置に確実に供給
することができ、また、穿孔プラグにも十分な潤滑剤を
供給可能であるため、摩擦抵抗が減少し、前進効率の向
上と摩擦発熱によるプラブ温度の上昇抑制が期待でき
る。
【0041】[実施例1]表1は、本発明の効果をモデ
ル穿孔機による穿孔試験で確認したものである。穿孔プ
ラグを炭素鋼穿孔など一般に使われる3%Cr−1%N
i鋼、熱間工具鋼(JIS-SKT3相当材)からなるものと
し、1250℃に加熱した穿孔ビレットをモデル穿孔機で穿
孔した後、耐用度の評価を実施した。また同時に放射温
度計によりプラグ表面温度を測定しその影響を試験し
た。
【0042】なお、穿孔ビレットは13%Cr鋼とし、穿孔
プラグは予め熱処理を施し、実機材とほぼ同様の表面酸
化スケール厚みほぼ350μmになるように調整した。さ
らに穿孔ビレットには中実材と外径の30%となる貫通孔
を設けた中空材を用いた。潤滑剤はプッシャー先端(穿
孔ビレットの後端)より搬送中に、すなわち穿孔機にビ
レットが噛みこむ直前まで素材内面に噴き出させた。
【0043】その結果、3%Cr−1%Ni鋼からなる
穿孔プラグを使用した場合には、1パス後の穿孔プラグ
表面温度測定において、比較例では715℃にも達してい
たが、中空ビレットでは530℃に抑制でき、さらに穿孔
時間が45%程短くなった。
【0044】表1において、穿孔フ゜ラク゛耐用度を廃却穿孔
回数比(中実ビレットの廃却までの穿孔回数に対する中
空ビレットの廃却までの穿孔回数の比率)で表してい
る。
【0045】さらに表1において、穿孔フ゜ラク゛のピーク温
度の上昇程度を廃却時表面温度比で示している。廃却時
表面温度比は、中実ビレットのピーク温度が800℃(廃
却時表面温度)に達した穿孔回数(以下、基準廃却穿孔
回数と称す)に対する、中空ビレットを該基準廃却穿孔
回数だけ穿孔した時の穿孔フ゜ラク゛のピーク温度の比率と
している。3Cr-1Ni鋼からなる穿孔プラグを使用した場
合、基準廃却穿孔回数が3パスで、同じ3パス時の中空
ビレットのピーク温度が690℃で、9パスで800℃に達し
たから、廃却時表面温度比は690/800=0.87で、廃却穿
孔回数比は9/3=3となる。表1において、いずれの穿孔
プラグを使用した場合でも、廃却穿孔回数比および廃却
時表面温度比が改善され、本発明により、穿孔プラグの
温度上昇が抑制され、耐用度も向上していることがわか
る。
【0046】
【表1】
【0047】[実施例2]表2は、熱間工具鋼(JIS-SK
T3相当材)製の穿孔プラグを使用し、ビレットは貫通孔
径が外径の20%で、材質が1%Cr鋼、5%Cr鋼、9%Cr
鋼の3種類について、前記実施例1と同様の試験を行っ
た結果を示す。表1は、各ビレット材質ごとに、中実材
における測定結果を1.0(基準)として、これと潤滑
中空材の測定結果を比較している。いずれの材質におい
ても、廃却穿孔回数比および廃却時表面温度比が共に改
善されて本発明の向上効果が認められる。
【0048】なお、本発明はマンネスマン穿孔機(第一
穿孔機)におけるものに限定するものではなく、3ロー
ルを用いた傾斜穿孔機や、いわゆる第二穿孔機(エロン
ゲータ)においても適用できるものである。
【0049】さらに、潤滑剤は、黒鉛系粉末に限定する
ものではなく、ガラス系粉末であってもよい。また、噴
き出しに際しては、窒素ガスや大気等を適宜使い分ける
ことあができる。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明に係る継目無鋼管の製造方法は、
断面中央部に貫通孔を有す中空ビレットを使用し、穿孔
する前に中空ビレットの後端より潤滑剤供給管を挿入し
て貫通孔に潤滑剤を供給するから、穿孔時のプラグの胴
部に作用する面圧が押さえられ、胴部のピーク温度の上
昇が押さえられ、かつ前進効率が高まるため、プラグ胴
部が損傷し難くなって、プラグ耐用度の大幅な向上が可
能になる。
【0052】特に潤滑剤を中空ビレットの所望の位置、
例えばビレット後端部近くあるいは穿孔プラグに確実に
供給できることから、長尺の中空ビレットにおいて上記
効果が顕著である。
【0053】さらに、特にCrや Ni、Moといった
合金成分を5%以上含有する高合金において、従来と同
じ鋼管製造方法を用いながら、穿孔プラグの寿命を向上
させ、穿孔後においても従来と何ら違いのない工程で製
品を仕上げることができるから、製造能率の向上が達成
でき、これにより廉価な製品の供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す穿孔状況の説明図
である。
【図2】従来技術における炭素鋼ビレットを穿孔した時
の穿孔プラグの表面温度分布を示すものである。
【図3】従来技術における13%Cr鋼ビレットを穿孔
した時の穿孔プラグの表面温度分布を示すものである。
【図4】従来技術におけるピーク温度と穿孔回数との関
係を示すものである。
【図5】本発明における前進効率への貫通孔および潤滑
剤の効果を示すものである。
【図6】図5におけるピーク温度が800℃に到達する
穿孔回数を比較したものである。
【図7】廃却穿孔回数比とビレットに設けた貫通孔の内
径との関係を示す相関図である。
【符号の説明】
1 穿孔ロール 2 穿孔プラグ 3 プッシャ 4 ビレット 31 潤滑剤噴出し装置 32 ビレット押し当て装置 33 伸縮手段33 34 潤滑剤供給管 35 ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有泉 孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小田 龍晴 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山崎 基晴 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被穿孔材のパスラインに対し傾斜配置さ
    れたロールと、そのパスライン上に被穿孔材を穿孔する
    ためのプラグを配置する傾斜穿孔機における、継目無鋼
    管の製造方法であって、被穿孔材が断面中心部に貫通孔
    を有し、さらに穿孔に際し、被穿孔材の後端より貫通孔
    に潤滑剤供給管を挿入して、潤滑剤を貫通孔に供給する
    ことを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
  2. 【請求項2】 潤滑剤をプラグに向けて噴き付けること
    を特徴とする請求項1記載の継目無鋼管の製造方法。
  3. 【請求項3】 被穿孔材の貫通孔の内径が被穿孔材の外
    径の10%以上であることを特徴とする請求項1または
    2記載の継目無管の製造方法。
  4. 【請求項4】 被穿孔材が、CrまたはMoまたはNi
    の内少なくとも1を5%以上含有することを特徴とする
    請求項1、2、または3記載の継目無鋼管の製造方法。
JP2000081348A 2000-03-23 2000-03-23 継目無鋼管の製造方法 Withdrawn JP2001259713A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013533116A (ja) * 2010-06-08 2013-08-22 コーティング マネジメント スウィッツァーランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング シームレスパイプの製造方法
CN106363022A (zh) * 2016-09-27 2017-02-01 天津钢管集团股份有限公司 提高钛合金无缝钢管内表面质量的方法

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