JP2001247873A - バイオマスから液体燃料及び有価物を製造する方法及び製造装置 - Google Patents

バイオマスから液体燃料及び有価物を製造する方法及び製造装置

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JP2001247873A
JP2001247873A JP2000063371A JP2000063371A JP2001247873A JP 2001247873 A JP2001247873 A JP 2001247873A JP 2000063371 A JP2000063371 A JP 2000063371A JP 2000063371 A JP2000063371 A JP 2000063371A JP 2001247873 A JP2001247873 A JP 2001247873A
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liquid
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cooling
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Tomoko Kaneko
朋子 金子
Shuntaro Koyama
俊太郎 小山
Kenichi Soma
憲一 相馬
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バイオマスを熱分解して得られる液体燃料の性
状を、石油系燃料油の代替燃料として利用可能となるよ
うに調整する製造方法及び製造装置を提供する。 【解決手段】熱分解炉1でバイオマス100を熱分解し
て発生した熱分解ガス110を、冷却器3で冷却して液
体燃料130を製造する際に、冷却器3の温度を酢酸の
沸点より高い温度に設定して燃料成分を選択的に凝縮
し、液体燃料130として回収する。この液体燃料13
0に水160(あるいは石油系の燃料油)を添加して、所
定の発熱量と流動性を有する液体燃料に転換する。冷却
器3で気液分離された残余の熱分解ガスは、さらに冷却
器4で冷却し、酢酸を主成分とする木酢液として回収す
る。 【効果】原料バイオマスの含水率によらず、石油系の燃
料油の代替燃料に適した油が回収できると同時に、高品
質の木酢液が回収できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バイオマスから液
体燃料と有価物とを製造する方法及び製造装置に係り、
特に木質系バイオマスから液体燃料と有価物とを同時に
製造するに好適な製造方法方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化問題に関連してバイオ
マスエネルギーの役割が強調されている。バイオマスを
エネルギーとして利用する方法には様々なものがある
が、その一つに、バイオマスを熱分解することにより液
体燃料に変換する方法がある。
【0003】バイオマスから得られる液体燃料(以下、
バイオオイルと称する)は、硫黄含有率が少なくクリー
ン燃焼が可能なため、代替ディーゼル燃料として注目さ
れている。その一方で、酸素含有率が高く水分にも富む
ため、発熱量が石油系の燃料油の1/2に満たず、その
値も原料の種類や乾燥の度合いにより変動する。
【0004】また、バイオオイルは化学的に不安定なた
め重合しやすく、保存期間と共に粘度が高くなる。さら
に層分離しやすく、不均一であるという問題がある。
【0005】このようにバイオオイルのみで代替ディー
ゼル燃料として使用するには課題が多く、そのため市販
のディーゼル燃料の一部をバイオオイルで置き換えて混
合燃料として使用する方法が検討されている。その際、
バイオオイルは極性を有するのに対し、ディーゼル燃料
は無極性のため混合しても直ちに分離してしまう。
【0006】そのため例えば米国特許第5820640
号では、界面活性剤を使用して乳化することにより均一
な油にしている。また、重合による動粘度の増加を抑制
して燃料油としての安定性を確保するために、メタノー
ル、エタノール等の極性溶剤を添加する方法についても
詳述されている。
【0007】極性溶剤は、その添加による希釈効果のみ
ならず、バイオオイルと化学反応してバイオオイルの重
合を抑制するため保存安定性が向上するとされている
(例えば、文献R.P.Overend及びE.Chornet編「Proceedi
ngs of the 4th Biomass Conference of the American
s」)。
【0008】ところで、バイオマスを木質系バイオマス
に限定した場合、熱分解により一般に木酢液と呼ばれる
酸性の液体を回収することができる。木酢液は、酢酸を
主成分とする酸性の水溶液で、農業における病虫害の防
除や畜産業における消臭剤、医療における皮膚炎の治療
薬などとして広く使われている。この木酢液は、炭焼き
の過程で発生する煙、すなわち熱分解ガスを凝縮するこ
とにより製造される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
のバイオオイルは水を含み、その含有率が原料の種類や
乾燥状態により変動する。そのため、バイオオイルと石
油系のディーゼル燃料を界面活性剤を用いて乳化するこ
とにより混合燃料として使用する場合、その含水率に合
わせて最適なHLB値の界面活性剤を選択する必要があ
り、事前にバイオオイルの含水率を調べなければならな
かった。また、バイオオイルに溶剤を添加し重合を防止
する方法においても、溶剤のコストが膨大となる。
【0010】一方、木酢液はタール状の高分子量の油分
(以下、タール分と称する)を含まないものが品質が高
いとされていが、現状ではタール分の分離に6ヶ月から
1年間程度の期間を要している。
【0011】したがって、本発明の目的は、このような
従来法の問題点を解消することにあり、バイオマス、特
に木質系バイオマスから、石油系燃料の代替燃料となる
液体燃料を、高品質で得ると共に、有価物である木酢液
をも同時に得ることのできる改良されたバイオマスから
液体燃料と有価物とを製造する方法及び製造装置を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による液体燃料の
製造方法は、バイオマスを熱分解して燃料成分を含む熱
分解ガスを発生させる工程と、前記熱分解ガスを冷却す
ることにより前記燃料成分を含有する液状物を回収する
工程とを有する液状物の製造方法であって、前記熱分解
ガスを冷却することにより前記液状物を回収する工程に
おいては、少なくとも水の沸点より高く、かつ前記燃料
成分が選択的に凝縮する任意の温度で冷却し、前記燃料
成分を主成分とし実質的に水を含まない液状物として回
収する工程と、前記回収された液状物に所定量の水を添
加する工程とを含み、これによって前記回収された液状
物を所定の流動性と発熱量とを有する液状物に転換する
ことを特徴とする。熱分解は周知の通り、空気を断って
加熱する、いわゆる乾留である。
【0013】また、本発明による液体燃料の製造方法
は、木質系バイオマスを熱分解して燃料成分を含む熱分
解ガスを発生させる工程と、前記熱分解ガスを冷却する
ことにより前記燃料成分を含有する液体燃料を回収する
工程とを有する液体燃料の製造方法であって、前記熱分
解ガスを冷却することにより前記液体燃料を回収する工
程においては、酢酸の沸点より高い任意の温度で冷却
し、前記燃料成分を選択的に凝縮せしめて実質的に水を
含まない液体燃料として回収する工程と、前記回収され
た液体燃料に所定量の水を添加する工程とを含み、これ
によって前記回収された液体燃料に所定の流動性と発熱
量とを付与すると共に、前記液体燃料を回収する工程で
凝縮しない残余の熱分解ガスをさらに冷却して酢酸を含
む水溶液として回収する工程を有することを特徴とす
る。これにより液体燃料と共に、有価物である酢酸を得
ることが出きる。
【0014】さらに本発明による液体燃料の製造方法
は、木質系バイオマスを熱分解して燃料成分を含む熱分
解ガスを発生させる工程と、前記熱分解ガスを冷却する
ことにより前記燃料成分を含有する液体燃料を回収する
工程とを有する液体燃料の製造方法であって、前記燃料
成分を含有する前記液体燃料を回収する工程において
は、酢酸の沸点より高い任意の温度で冷却し、前記燃料
成分を選択的に凝縮せしめて実質的に水を含まない液体
燃料として回収する工程と、前記回収された燃料燃料に
界面活性剤を含有する水を添加して攪拌混合する工程
と、さらに界面活性剤を含有する石油系の燃料油を添加
し攪拌混合する工程とを含み、これによって前記回収さ
れた液体燃料に所定の流動性と発熱量とを付与すると共
に、前記液体燃料を回収する工程で凝縮しない残余の熱
分解ガスをさらに冷却して酢酸を含む水溶液として回収
する工程を有することを特徴とする。
【0015】このようにして回収された液体燃料に水だ
けで石油系の燃料油を添加し流動性を調製することによ
り、液体燃料の発熱量を向上できる。従来は、石油系の
ディーゼル燃料に混合する際に、バイオオイルが水を含
んでおり、その含有率は原料の種類や乾燥状態により変
動するため、使用する界面活性剤についてもそれに合わ
せて最適なHLB値のものを選択する必要があった。
【0016】本発明によれば、液体燃料は水と分離され
て回収されるので、バイオマス原料の種類や乾燥状態が
変動する場合においても界面活性剤を変更する必要がな
く、システムが簡素化できる。
【0017】ここで石油系の燃料油としては、灯油、軽
油、重油もしくはこれらの混合物を用いることができ
る。
【0018】本発明による液体燃料の製造装置は、バイ
オマスを熱分解して燃料成分を含むガスを発生させる熱
分解手段と、前記ガスを冷却することにより前記燃料成
分を含有する液状物を回収する手段とを具備した液状物
の製造装置であって、前記ガスを冷却することにより前
記燃料成分を含有する液状物を回収する手段において
は、水の沸点より高く、かつ前記燃料成分が選択的に凝
縮され、実質的に水を含まない液状物として回収できる
温度に前記熱分解ガスの冷却温度を制御する温度調節手
段と、前記冷却温度で選択的に凝縮された液状物と凝縮
されない残余のガス成分とを分離する気液分離手段と、
前記気液分離手段で分離回収された液状物に所定量の水
を添加して攪拌混合する混合手段とを具備していること
を特徴とする。
【0019】本発明による液体燃料の製造装置は、ま
た、木質系バイオマスを熱分解して燃料成分を含むガス
を発生させる熱分解手段と、前記燃料成分を含むガスを
冷却することにより前記燃料成分を含有する液体燃料を
回収する手段とを具備した液体燃料の製造装置であっ
て、前記ガスを冷却することにより前記液体燃料を回収
する手段においては、酢酸の沸点より高い任意の温度で
冷却し、前記燃料成分を選択的に凝縮せしめて実質的に
水を含まない液体燃料として回収する第一の冷却手段
と、前記第一の冷却手段で凝縮せしめた液体燃料と凝縮
されない残余のガス成分とを分離する第一の気液分離手
段と、前記第一の気液分離手段で分離回収された液体燃
料に所定量の水を添加する混合手段と、前記第一の気液
分離手段で分離されたガス成分をさらに冷却して酢酸を
含む液状物に凝縮する第二の冷却手段と、前記第二の冷
却手段で得られた液状物と凝縮されないガス成分とを分
離する第二の気液分離手段とを具備していることを特徴
とする。
【0020】また、別の本発明による液体燃料の製造装
置は、木質系バイオマスを熱分解して燃料成分を含むガ
スを発生させる熱分解手段と、前記燃料成分を含むガス
を冷却することにより液体燃料に転換する手段とを具備
した液体燃料の製造装置であって、前記燃料成分を含む
ガスを冷却することにより液体燃料に転換する手段にお
いては、酢酸の沸点より高い任意の温度で冷却し、前記
燃料成分を選択的に凝縮せしめて実質的に水を含まない
液体燃料として回収する第一の冷却手段と、前記第一の
冷却手段で凝縮せしめた液体燃料と凝縮されない残余の
ガス成分とを分離する第一の気液分離手段と、前記第一
の気液分離手段で分離回収された液体燃料に界面活性剤
を含有する水を添加して攪拌混合する第一の混合手段
と、前記第一の混合手段で得られた混合物に界面活性剤
を含有する石油系の燃料油を添加し攪拌混合する第二の
混合手段と、前記第一の気液分離手段で分離されたガス
成分をさらに冷却して酢酸を含む液状物に凝縮する第二
の冷却手段と、前記第二の冷却手段で得られた液状物と
凝縮されないガス成分とを分離する第二の気液分離手段
とを具備していることを特徴とする。
【0021】本発明では、木質系バイオマスを熱分解し
た際に発生するガスを酢酸の沸点より高い温度で冷却し
て、燃料成分(発熱量を有する成分)を選択的に凝縮す
るようにした。酢酸の沸点は118℃であるため、酢酸
及び多量成分である水は凝縮せずに、水を含まない液体
燃料を得ることである。
【0022】水を分離したことで液体燃料の流動性は低
下するが、前述したように液体燃料として回収される成
分は極性をもつ成分であるため、同じく極性を持つ物質
を添加して希釈することにより容易に流動性が向上でき
る。流動性の調節に当っては、極性物質である水を用い
ることにより低コスト化が図れる。
【0023】従来の液体燃料は含水量が多過ぎるため層
分離が生じたり、発熱量が燃料としては不充分であった
が、本発明にあるように添加量を制御すれば層分離を起
こさずに流動性を付与でき、かつ発熱量も燃料として使
用可能な範囲にすることができる。
【0024】また、液体燃料を分離した後の残余の熱分
解ガスをさらに冷却することにより得られる酢酸を主成
分とする水溶液は、木酢液として市販されている水溶液
に相当する組成であることから、液体燃料と同時に有価
物が得られることになる。
【0025】次に本発明の原理について説明する。木質
系バイオマスとして針葉樹の幹を500℃で熱分解して
得られる生成物のうち、常温で液状のものについて、G
C−MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用いて有機
物質について成分分析を行った結果を図3に示す。熱分
解して生成する液状物は、酢酸、アセトール、トリメチ
ル−2−シクロペンテン−1−オン、メトキシクレゾー
ル等を主成分とし、微量成分も含めると非常に多成分か
らなる。
【0026】これらの成分の割合は原料の種類や乾燥度
合いおよび熱分解の諸条件により異なるが、いずれにし
ても最も多く含まれるのが水である。前述した多量成分
のうち、酢酸の次に沸点の低いアセトールの沸点は14
5℃であり、118℃と145℃の間の温度で熱分解ガ
スを冷却することにより、酢酸を含まず発熱量を有する
成分(燃料成分)のみからなる液体燃料が得られる。
【0027】さらに、その温度で凝縮しない残余の熱分
解ガスを常温まで冷却することにより、酢酸を主成分と
する水溶液、すなわち木酢液が得られる。
【0028】一例として、先に用いた針葉樹の幹を50
0℃で熱分解して発生した熱分解ガスを125℃で冷却
した場合には、原料100に対して、液体燃料が24w
t%、木酢液が35wt%生成した。
【0029】この液体燃料に流動性を付与するために水
を添加したときの動粘度の変化を図4に示す。含水率が
20%となるように水を添加することにより、製品とし
て得られる液体燃料の動粘度はA重油相当となる。さら
に、回収してから1週間後においても動粘度の増加はみ
られず、本発明により得られる液体燃料が安定であるこ
とがわかる。液体燃料と木酢液の生成量は、原料の種類
や乾燥度合いが異なれば、当然上述した結果とは異な
る。しかし、その場合でも基本的な作用は上述した通り
である。
【0030】なお、木質系バイオマスとしては、針葉樹
や広葉樹に代表される木材に限らず、竹材等においても
同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面にしたがって本発明の
実施例を具体的に説明する。 〈実施例1〉図1は、本発明の製造方法及び装置の一実
施例を示すフローダイアグラムである。本発明の熱分解
装置は、主に熱分解炉1、燃焼器2、第一冷却器3、第
二冷却器4、貯油槽5、燃料混合槽6、チャー回収槽1
0、酸性液回収槽11、サージタンク12から構成され
ている。
【0032】原料100は、水分が多い場合には予め乾
燥され、熱分解炉1に定量供給される。乾燥に必要な熱
は、熱分解炉1を加熱した後の燃焼器2の廃熱から得
る。熱分解炉1に供給された原料100は、原料の種類
に応じて300〜800℃で熱分解され、分解ガス11
0が発生する(熱分解は空気を断って加熱する、いわゆ
る乾留である)。同時にチャー120が生成し、チャー
回収槽10に貯められる。
【0033】熱分解ガス110は第一冷却器3に導入さ
れ冷却される。冷却温度は、118℃より高い範囲で任
意に設定できる。第一冷却器3で液化した油130は貯
油槽5に貯められる。
【0034】一方、第一冷却器3で液化しなかった熱分
解ガス110の成分は、ここで気液分離され第二冷却器
4へ導入され、室温まで冷却される。第二冷却器4にお
いて液化した酸性液140は酸性液回収槽11に貯めら
れる。熱分解ガス110のうち第二冷却器4においても
液化しないガス150は、いったんサージタンク12に
貯められ、必要に応じて燃焼器2に燃料として供給さ
れ、空気210と共に燃焼され、その燃焼熱により原料
100が熱分解される。
【0035】貯油槽5に回収された油130は、燃料混
合槽6において所定の割合で水160と攪拌混合され、
液体燃料200が得られる。液体燃料200の一部は、
必要に応じて燃焼器2へ供給され空気210と共に燃焼
され、その燃焼熱により原料100が熱分解される。
【0036】第一冷却器3及び第二冷却器4には、図示
されていない温度制御手段によって、任意の温度に設定
できる構成となっている。本実施例では、上記のように
第一冷却器3の温度を118℃に設定し、第二冷却器4
の温度を室温に設定した。
【0037】第一冷却器3の設定温度を酢酸の沸点より
高い温度(118℃)に設定することにより、少なくとも
水と酢酸は第二冷却器4で気液分離され酸性液140と
して回収される。
【0038】その結果、燃料成分として回収された油1
30は、水分をほとんど含んでいないため発熱量が高
く、また層分離しない。油130は粘調で流動性が悪い
ため、燃料混合層6で水160を添加することにより流
動性を向上する。その際、水160の添加量を制御する
ことにより、最終製品である液体燃料200の流動性と
発熱量を任意に調整でき、さらには層分離を防止でき
る。
【0039】一方、酸性液140は、第一冷却器3の設
定温度以上の沸点を有する油分は含まず、水と酢酸が主
成分であるため、高品質な木酢液と同等の性状になる。
【0040】次に、本システムで木材を熱分解した場合
の実施例を表1に示す。熱分解温度は500℃とし、第
一冷却器3の温度は120℃に設定した。また、比較例
として第一冷却器3の温度を0℃に設定して液状物を回
収し本発明による実施例と比較した。
【0041】比較例で得られた液体燃料は、流動性はあ
るものの回収後、直ちに層分離し、発熱量は14.3M
J/kgである。
【0042】一方、本発明の実施例では、液体燃料の含
水率が10wt%(試料1)あるいは20wt%(試料2)
となるように水を添加した場合、得られた液体燃料は層
分離せず均一で、発熱量はそれぞれ20.9MJ/k
g、18.6MJ/kgであった。
【0043】ところで本実施例において、含水率が30
wt%(試料3)になるように水を添加した場合に得られ
た液体燃料は層分離することがわかる。すなわち、バイ
オマスの熱分解により得られる液体燃料の層分離には水
の含有量が関与している。比較例の方法で得られる液体
燃料の含水率は、原料の種類や乾燥の度合いによって変
動するが、本発明によれば、得られる液体燃料の含水率
を任意に調整することが可能であり、原料が変動する場
合でも、常に層分離しない均質な液体燃料を得ることが
できる。
【0044】
【表1】
【0045】〈実施例2〉図2は、本発明の製造方法及
び装置の他の実施例を示すフローダイアグラムである。
本実施例の熱分解装置は、主に熱分解炉1、燃焼器2、
第一冷却器3、第二冷却器4、貯油槽5、燃料混合槽
6、チャー回収槽10、酸性液回収槽11、サージタン
ク12、第一予混合槽7、第二予混合槽8、第三予混合
槽9から構成されている。
【0046】前述の実施例1と同様な操作で貯油槽5に
油130が貯められる。一方、第一予混合槽7におい
て、水160に界面活性剤170が添加され攪拌混合さ
れ、第一混合液220が調整される。
【0047】調整された第一混合液220は、つづく第
二予混合槽8において油130に添加され、攪拌混合さ
れ第二混合液230が調整される。また、その一方で、
第三予混合槽9において、灯油180に界面活性剤19
0が添加され攪拌混合されて第三混合液240が調整さ
れる。そして燃料混合槽6において、所定の割合で第二
混合液230と第三混合液240とが攪拌混合され、液
体燃料200が得られる。
【0048】図2に示したシステムで、実施例1の試料
と同じ木材を熱分解した場合の結果を、表1の試料4に
示す。熱分解温度と第一冷却器3の設定温度は前述した
実施例1と同一条件とした。
【0049】表1に示すように、水を20wt%添加し
た試料2の場合と比較すると、水を主成分とする第一混
合液220を10wt%、灯油を主成分とする第三混合
液240を10wt%となるように混合した本実施例の
試料4の場合は、試料2の発熱量18.6MJ/kgに
対して22.8MJ/kgに向上していることがわか
る。
【0050】このように本発明では、流動性を向上する
ために水と石油系の燃料油とを併用することにより、得
られる液体燃料の発熱量を向上することができる。
【0051】以上に述べた実施例では、流動性の調整に
灯油を使用したが、軽油や重油を使用しても同様の効果
が得られる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、バ
イオマスから回収した液体燃料の発熱量と流動性を任意
に調整することが可能になった。これにより、既存の燃
焼器における、石油系の燃料油の代替燃料としての利用
が可能となる。
【0053】また、それと同時に有価物である木酢液が
得られるため、その売却益を売ることも可能である。本
発明によればタール分を含まない高品質な木酢液が得ら
れる。さらに、従来6ヶ月から1年間かけて製造してい
たものが短時間でできるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すプロセスフローダイア
グラム。
【図2】本発明の他の実施例を示すプロセスフローダイ
アグラム。
【図3】マツの熱分解で得られた液状物の成分組成の一
例を示すGC−MSスペクトル曲線図。
【図4】本発明により得られた液体燃料の動粘度を示す
特性図。
【符号の説明】
1…熱分解炉、 2…燃焼器、 3…第一冷却器、 4…第二冷却器、 5…貯油槽、 6…燃料混合槽、 7…第一予混合槽、 8…第二予混合槽、 9…第三予混合槽、 10…チャー回収槽、 11…酸性液回収槽、 12…サージタンク、 100…原料、 110…分解ガス、 120…チャー、 130…油、 140…酸性液、 150…ガス、 160…水、 170、190、250…界面活性剤、 180…灯油、 200…液体燃料、 210…空気、 220…第一混合液、 230…第二混合液、 240…第三混合液。
フロントページの続き (72)発明者 相馬 憲一 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所環境システム推進本部 内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バイオマスを熱分解して燃料成分を含む熱
    分解ガスを発生させる工程と、前記熱分解ガスを冷却す
    ることにより前記燃料成分を含有する液状物を回収する
    工程とを有する液状物の製造方法であって、前記熱分解
    ガスを冷却することにより前記液状物を回収する工程に
    おいては、少なくとも水の沸点より高く、かつ前記燃料
    成分が選択的に凝縮する任意の温度で冷却し、前記燃料
    成分を主成分とし実質的に水を含まない液状物として回
    収する工程と、前記回収された液状物に所定量の水を添
    加する工程とを含み、これによって前記回収された液状
    物を所定の流動性と発熱量とを有する液状物に転換する
    ことを特徴とする液状物の製造方法。
  2. 【請求項2】木質系バイオマスを熱分解して燃料成分を
    含む熱分解ガスを発生させる工程と、前記熱分解ガスを
    冷却することにより前記燃料成分を含有する液体燃料を
    回収する工程とを有する液体燃料の製造方法であって、
    前記熱分解ガスを冷却することにより前記液体燃料を回
    収する工程においては、酢酸の沸点より高い任意の温度
    で冷却し、前記燃料成分を選択的に凝縮せしめて実質的
    に水を含まない液体燃料として回収する工程と、前記回
    収された液体燃料に所定量の水を添加する工程とを含
    み、これによって前記回収された液体燃料に所定の流動
    性と発熱量とを付与すると共に、前記液体燃料を回収す
    る工程で凝縮しない残余の熱分解ガスをさらに冷却して
    酢酸を含む水溶液として回収する工程を有することを特
    徴とする液体燃料の製造方法。
  3. 【請求項3】木質系バイオマスを熱分解して燃料成分を
    含む熱分解ガスを発生させる工程と、前記熱分解ガスを
    冷却することにより前記燃料成分を含有する液体燃料を
    回収する工程とを有する液体燃料の製造方法であって、
    前記燃料成分を含有する前記液体燃料を回収する工程に
    おいては、酢酸の沸点より高い任意の温度で冷却し、前
    記燃料成分を選択的に凝縮せしめて実質的に水を含まな
    い液体燃料として回収する工程と、前記回収された燃料
    燃料に界面活性剤を含有する水を添加して攪拌混合する
    工程と、さらに界面活性剤を含有する石油系の燃料油を
    添加し攪拌混合する工程とを含み、これによって前記回
    収された液体燃料に所定の流動性と発熱量とを付与する
    と共に、前記液体燃料を回収する工程で凝縮しない残余
    の熱分解ガスをさらに冷却して酢酸を含む水溶液として
    回収する工程を有することを特徴とする液体燃料の製造
    方法。
  4. 【請求項4】前記石油系の燃料油として、灯油、軽油、
    重油もしくはこれらの混合物を用いることを特徴とする
    請求項3記載の液体燃料の製造方法。
  5. 【請求項5】バイオマスを熱分解して燃料成分を含むガ
    スを発生させる熱分解手段と、前記ガスを冷却すること
    により前記燃料成分を含有する液状物を回収する手段と
    を具備した液状物の製造装置であって、前記ガスを冷却
    することにより前記燃料成分を含有する液状物を回収す
    る手段においては、水の沸点より高く、かつ前記燃料成
    分が選択的に凝縮され、実質的に水を含まない液状物と
    して回収できる温度に前記熱分解ガスの冷却温度を制御
    する温度調節手段と、前記冷却温度で選択的に凝縮され
    た液状物と凝縮されない残余のガス成分とを分離する気
    液分離手段と、前記気液分離手段で分離回収された液状
    物に所定量の水を添加して攪拌混合する混合手段とを具
    備していることを特徴とする液状物の製造装置。
  6. 【請求項6】木質系バイオマスを熱分解して燃料成分を
    含むガスを発生させる熱分解手段と、前記燃料成分を含
    むガスを冷却することにより前記燃料成分を含有する液
    体燃料を回収する手段とを具備した液体燃料の製造装置
    であって、前記ガスを冷却することにより前記液体燃料
    を回収する手段においては、酢酸の沸点より高い任意の
    温度で冷却し、前記燃料成分を選択的に凝縮せしめて実
    質的に水を含まない液体燃料として回収する第一の冷却
    手段と、前記第一の冷却手段で凝縮せしめた液体燃料と
    凝縮されない残余のガス成分とを分離する第一の気液分
    離手段と、前記第一の気液分離手段で分離回収された液
    体燃料に所定量の水を添加する混合手段と、前記第一の
    気液分離手段で分離されたガス成分をさらに冷却して酢
    酸を含む液状物に凝縮する第二の冷却手段と、前記第二
    の冷却手段で得られた液状物と凝縮されないガス成分と
    を分離する第二の気液分離手段とを具備していることを
    特徴とする液体燃料の製造装置。
  7. 【請求項7】木質系バイオマスを熱分解して燃料成分を
    含むガスを発生させる熱分解手段と、前記燃料成分を含
    むガスを冷却することにより液体燃料に転換する手段と
    を具備した液体燃料の製造装置であって、前記燃料成分
    を含むガスを冷却することにより液体燃料に転換する手
    段においては、酢酸の沸点より高い任意の温度で冷却
    し、前記燃料成分を選択的に凝縮せしめて実質的に水を
    含まない液体燃料として回収する第一の冷却手段と、前
    記第一の冷却手段で凝縮せしめた液体燃料と凝縮されな
    い残余のガス成分とを分離する第一の気液分離手段と、
    前記第一の気液分離手段で分離回収された液体燃料に界
    面活性剤を含有する水を添加して攪拌混合する第一の混
    合手段と、前記第一の混合手段で得られた混合物に界面
    活性剤を含有する石油系の燃料油を添加し攪拌混合する
    第二の混合手段と、前記第一の気液分離手段で分離され
    たガス成分をさらに冷却して酢酸を含む液状物に凝縮す
    る第二の冷却手段と、前記第二の冷却手段で得られた液
    状物と凝縮されないガス成分とを分離する第二の気液分
    離手段とを具備していることを特徴とする液体燃料の製
    造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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