JP2001243465A - 指紋画像照合方法および指紋画像照合装置 - Google Patents

指紋画像照合方法および指紋画像照合装置

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JP2001243465A JP2000055096A JP2000055096A JP2001243465A JP 2001243465 A JP2001243465 A JP 2001243465A JP 2000055096 A JP2000055096 A JP 2000055096A JP 2000055096 A JP2000055096 A JP 2000055096A JP 2001243465 A JP2001243465 A JP 2001243465A
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Toru Wakahara
徹 若原
Yoshimasa Kimura
義政 木村
Kazuya Kadogoe
和也 角越
Akira Tomono
明 伴野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度な位置合わせおよび回転補正の下で非
線形歪みへの耐性を備えた高い識別能力を実現する。 【解決手段】 指紋画像から得られた入力指紋隆線画像
Fと登録指紋隆線画像Gについて,指紋隆線画像をブロ
ック分割して各ブロック毎に得られる入力指紋隆線方向
分布fと登録指紋隆線方向分布gとの間で最適重ね合わ
せを実現する回転成分および平行移動成分を決定し,前
記回転成分および平行移動成分を入力指紋隆線画像Fに
施して生成した変換入力指紋隆線画像F* と登録指紋隆
線画像Gとの間で位置および方向が類似する照合マニュ
ーシャ対の総数を算出して,前記照合マニューシャ対の
総数に対する閾値処理により同一指紋であるか否かの判
定結果を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,身体特徴を用いて
計算機により個人照合を行うバイオメトリクスの分野に
おける代表的技術である指紋照合技術に関し,特に,指
紋画像の位置ずれや非線形歪みおよび雑音重畳への耐性
を備えた指紋画像照合方法および指紋画像照合装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来,指紋照合技術には,大別して,
(1)相関マッチング型,(2)マニューシャマッチン
グ型,の2種類のアプローチがある。なお,当技術の解
説およびサーベイとしては,例えば以下の文献があるの
で参照されたい。 〔参考文献1〕A.K.Jain, R.Bolle, and S.Pankanti, "
BIOMETRICS - PersonalIdentification in Networked S
ociety," Norwell, MA:Kluwer Academic Publishers, 1
999, Chap.2。
【0003】前者の相関マッチング型は,濃淡指紋画像
に雑音除去,画像強調処理を施してから,濃淡のまま,
あるいは2値化した指紋画像を対象に,入力指紋画像と
登録指紋画像との間で相関値を算出して,指紋画像間の
大局的な重なりの良さを相関値で評価するアプローチで
ある。上記相関値が予め定めた閾値を越えた場合に本人
であると認証する。
【0004】しかし,このアプローチによる方法では,
入力指紋画像が回転していたり平行移動していたりする
と相関値が大きく減少する。このため,回転や平行移動
の想定範囲を指定してから入力指紋画像に順次回転およ
び平行移動を施して登録指紋画像と相関を計算する必要
があり,処理時間が膨大となった。
【0005】もちろん,2次元空間領域での相関演算を
行う代わりに,2次元フーリエ変換を施して周波数領域
での積和演算として算出される相関値は,平行移動には
不変となるが,回転には不変でない。さらに,相関値
は,雑音除去で取り切れない残留雑音への耐性に乏し
く,指先を押し付けた際の指紋画像の非線形な歪みにも
対応できないという問題点があった。
【0006】相関マッチングの識別能力を向上するため
に,画素単位の濃淡値の相関でなく,小矩形領域に分割
して各矩形領域における濃淡値の平均,指紋隆線の平均
方向,指紋隆線数等の特徴量に基づく相関を用いた例も
あるが,上記の処理量発散の問題や,雑音/歪み耐性の
課題は本質的には解決されていない。
【0007】一方,マニューシャマッチング型は,指紋
隆線画像の特徴点としてマニューシャ(指紋隆線の端点
および分岐点)を活用してマッチングを行うアプローチ
である。濃淡指紋画像に雑音除去,画像強調処理を施し
てから2値化して指紋隆線画像を生成し,そのままもし
くはさらに細線化処理を施してからマニューシャを抽出
し,入力マニューシャと登録マニューシャとの間で位置
および方向の相違度が一定閾値より小さい照合マニュー
シャ対の総数を算出して,前記照合マニューシャ対の総
数が予め定めた閾値を越えた場合に本人であると認証す
る。
【0008】このマニューシャマッチング型の指紋照合
を前記相関マッチング型と比較すると,指紋画像の非線
形歪みに対しても高い識別能力を示すことが報告されて
いる。しかし,入力指紋画像が回転していたり平行移動
していたりすると,入力マニューシャの位置や方向情報
が登録マニューシャのものと大きくずれる。このため,
渦状紋の渦点や蹄状紋の尖点等の指紋隆線の特異点を検
出して位置合わせや回転補正を行う処理が適用される
が,渦点や尖点等の特異点の安定な抽出は難しく,さら
に回転補正は処理量が膨大となるという問題点があっ
た。特に,雑音除去で取り切れない残留雑音により偽マ
ニューシャが出現したり正マニューシャが消失したりす
るため,入力マニューシャと登録マニューシャ間の位置
合わせや回転補正の精度が大きく劣化した。その結果,
マニューシャマッチング本来の認証精度が大きく損なわ
れるという問題点があった。
【0009】以上述べたように,指紋照合技術として
は,指紋画像間の大局的な重なりの良さを評価する相関
マッチングの手法や指紋隆線画像からマニューシャを抽
出して対応付けを行うマニューシャマッチングの手法が
考えられてきた。
【0010】しかし,それぞれに欠点が残り,実用的な
処理量で,回転や位置ずれを精度良く吸収する手法は提
案されていない。また,非線形歪みや雑音重畳への耐性
も未だ十分とは言えない。
【0011】なお,本発明に関連する従来技術として
は,特開平11−39478号公報や特開平6−195
449号公報に記載されているものがあり,特開平11
−39478号公報に開示される「指紋照合装置及びそ
の照合処理方法」では,照合処理時間を短縮できるよう
にするため,指紋隆線の端点,分岐点等の特徴点データ
を算出する前に,指紋隆線の渦状紋の渦点,蹄状紋の尖
点等の特異点を検出し,指紋隆線の大局的な流れを示す
方向角データを登録データと照合する前に,前記特異点
およびその種類を照合し,合否を判定することによって
方向角データの照合および特徴点データの照合まで行う
処理回数を削減するようにしている。
【0012】また,特開平6−195449号公報「亀
裂を用いた指紋照合方法及びその装置」では,指紋隆線
の亀裂点を検出し,亀裂点を用いて位置合わせをした後
で照合された特徴点の個数を算出する技術が開示されて
いる。
【0013】これらの技術と本発明との特徴的な違いに
ついては,「課題を解決するための手段」の項で後述す
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,まず
前記相関マッチング型のアプローチに基づき,入力指紋
隆線画像をブロック分割して各ブロック毎に得られる入
力指紋隆線方向分布と登録指紋隆線画像からも同様に算
出されて予め格納されている登録指紋隆線方向分布との
間で最適重ね合わせを実現する回転成分および平行移動
成分を実用的な処理量で精度良く決定し,次いでマニュ
ーシャマッチング型のアプローチに基づき,前記回転成
分および平行移動成分を入力指紋隆線画像に施して生成
した変換入力指紋隆線画像と予め格納されている登録指
紋隆線画像との間でマニューシャの安定な対応付けを行
うことにより,高精度な位置合わせおよび回転補正の下
で非線形歪みへの耐性を備えたマニューシャマッチング
本来の高い識別能力を実現する指紋画像照合方法および
その装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の指紋画像照合方
法は,濃淡指紋画像に雑音除去・画像強調・2値化処理
を施して得られる入力指紋隆線画像Fと登録指紋隆線画
像Gについて,指紋隆線画像をブロック分割して各ブロ
ック毎に得られる入力指紋隆線方向分布fと登録指紋隆
線方向分布gとの間で最適重ね合わせを実現する回転成
分および平行移動成分を決定し,前記回転成分および平
行移動成分を入力指紋隆線画像Fに施して生成した変換
入力指紋隆線画像F* と登録指紋隆線画像Gとの間で位
置および方向が類似する照合マニューシャ対の総数を算
出して,前記照合マニューシャ対の総数に対する閾値処
理により同一指紋であるか否かの判定結果を出力する。
【0016】本発明の実施態様によれば,入力指紋隆線
画像Fと登録指紋隆線画像Gについて所定のブロック分
割数を上回る分割における各ブロック内の隆線方向分布
を算出してからガウス型重み関数による畳み込み演算を
施して,所定のブロック分割に対する入力指紋隆線方向
分布fおよび登録指紋隆線方向分布gの算出を行い,前
記入力指紋隆線方向分布fに一定許容範囲の回転成分お
よび平行移動成分を施して生成した複数の変換入力指紋
隆線方向分布f* と登録指紋隆線方向分布gとの間で,
指紋隆線方向分布間距離Dを算出し,該指紋隆線方向分
布間距離Dを最小とする回転成分および平行移動成分を
決定する。
【0017】また,本発明は,光学方式や静電容量方式
等を用いた指紋入力センサから入力される指紋の濃淡画
像について雑音除去および画像強調処理により画質を改
善してから2値化処理を施して入力指紋隆線画像Fを生
成し,前記入力指紋隆線画像Fをブロック分割して各ブ
ロック毎に得られる入力指紋隆線方向分布fと登録指紋
隆線画像Gからも同様に算出されて予め格納されている
登録指紋隆線方向分布gとの間で最適重ね合わせを実現
する回転成分および平行移動成分を決定し,前記回転成
分および平行移動成分を入力指紋隆線画像Fに施して生
成した変換入力指紋隆線画像F* と予め登録されている
登録指紋隆線画像Gとの間でマニューシャ(指紋隆線の
端点および分岐点)の位置および方向を比較することに
より相違度が一定閾値より小さい照合マニューシャ対の
総数を算出して,前記照合マニューシャ対の総数に対す
る閾値処理により入力指紋が登録指紋と同一人物のもの
であるか否かの判定を行う装置であって,指紋入力セン
サから入力される指紋の濃淡画像について雑音除去およ
び画像強調処理により画質を改善してから2値化処理を
施して入力指紋隆線画像Fの生成を行う入力指紋隆線画
像生成手段と,前記入力指紋隆線画像Fについて所定の
ブロック分割数を上回る分割における各ブロックでの隆
線方向分布を算出しておいてからガウス型重み関数によ
る畳み込み演算を施して所定のブロック分割に対する入
力指紋隆線方向分布fの算出を行い,予め格納されてい
る登録指紋隆線画像Gについても同様に登録指紋隆線方
向分布gの算出を行う指紋隆線方向分布算出手段と,前
記入力指紋隆線方向分布fに一定許容範囲の回転成分お
よび平行移動成分を施して生成した複数の変換入力指紋
隆線方向分布f* と予め格納されている登録指紋隆線方
向分布gとの間で指紋隆線方向分布間距離Dを算出し,
前記指紋隆線方向分布間距離Dが最小となる最も重なり
の良い変換入力指紋隆線方向分布f*を選択することに
より入力指紋隆線方向分布fと登録指紋隆線方向分布g
の間の最適重ね合わせを実現する回転成分および平行移
動成分の決定を行う回転成分および平行移動成分決定手
段と,前記回転成分および平行移動成分を入力指紋隆線
画像Fに施して生成した変換入力指紋隆線画像F* から
変換入力マニューシャの位置および方向の抽出を行い,
登録指紋隆線画像Gについても同様に登録マニューシャ
の位置および方向の抽出を行う変換入力指紋隆線画像生
成およびマニューシャ抽出手段と,前記変換入力マニュ
ーシャと登録マニューシャとの間で位置および方向の相
違度が一定閾値より小さい照合マニューシャ対の総数を
算出する照合マニューシャ対算出手段と,前記照合マニ
ューシャ対の総数が予め定めた閾値より大きい場合に同
一指紋であるとの受理判定を行い,一方,前記照合マニ
ューシャ対の総数が前記閾値より小さい場合には同一指
紋でないとの拒否判定を行う受理/拒否判定手段とを有
する。
【0018】本発明の第1の特徴は,指紋隆線画像をブ
ロツク分割してブロツク単位に算出した指紋隆線方向分
布を用いた相関型マッチングにより,入力および登録指
紋隆線画像間の回転および平行移動成分の吸収を行うこ
とにある。位置合わせおよび回転補正の従来技術におけ
る処理量の発散,非線形歪みや雑音重畳への耐性の問題
を大幅に緩和する。
【0019】本発明の第2の特徴は,効率的にかつ精度
良く位置合わせおよび回転補正を行った後で,識別能力
の高いマニューシャマッチング型のアプローチを採用す
ることである。これにより,実用に耐え得る指紋照合技
術を実現できる。
【0020】このように,本発明は,非線形歪みや雑音
重畳を含む指紋画像に対して実用的な処理量で精度良い
位置合わせおよび回転補正を施してからマニューシャの
対応付けにより高精度な指紋照合を行う革新的手法を提
供しており,上述した従来技術の問題点を解決してい
る。
【0021】「従来の技術」の項で説明した特開平11
−39478号公報および特開平6−195449号公
報に記載された技術と本発明との技術的な相違点につい
て説明する。特開平11−39478号公報には,指紋
隆線の大局的な流れを示す方向角データにおける照合と
特徴点データとの照合を行う指紋照合装置が開示されて
おり,ここでは方向角データの照合において代表方向毎
の度数分布を用いている。すなわち,(1) ブロック毎に
代表角を求め,このブロック毎の代表角の分布を平行移
動して指紋パタンの位置合わせを行うこと,また,(2)
上記(1) の平行移動処理の負担が大きいので,まず代表
角分布から渦点等の特異点を抽出し,各特異点の周囲の
方向角の出現度数を調べてスクリーニングを行うことが
示されている。
【0022】本発明において,方向分布による粗照合を
行う点は,上記(1) と類似しているが,本発明では,上
記(2) に相当する処理は含まない。本発明は,上記(1)
に関して高機能化,高度化した構成になっている。高機
能化,高度化の具体的な実現手段は以下のとおりであ
る。(1-1) ブロック毎に,代表角ではなく方向角の度数
分布を求める。代表角に比べて,表現能力がはるかに高
くなる。(1-2) さらに,上記ブロックの分割数より多い
分割で方向角の度数分布を求めておき,それらの畳み込
みで方向角分布を算出する。これにより,歪みや雑音に
対する耐性が大きく強化されることになる。(1-3) 方向
角分布を用いた粗照合では,平行移動のみでなく, 方向
角の量子化刻みを単位とした回転についても, 効率的に
照合している。
【0023】また,特開平6−195449号公報に記
載された技術とは,本発明は以下の点が異なる。特開平
6−195449号公報のものは,特徴点(マニューシ
ャ)照合方式で一貫している。具体的には,マニューシ
ャのみでは位置合わせが難しいため,指紋画像の劣化等
で生じる指紋亀裂点をむしろ積極的に利用することに着
目し,これを位置合わせ手段に用いる。これに対し,本
発明では,亀裂点のような点情報ではなく,方向角分布
という豊富な面情報を用いて,しかも平行移動と回転を
共に吸収する高精度な位置ずれ・回転補正手段を提供し
ている。これにより,後段のマニューシャ照合を格段に
安定化している。
【0024】したがって,本発明は,実用的な処理量
で,実用条件下での雑音重畳や非線形歪みを含むような
低品質の指紋画像に対しても,高精度な認証を行うこと
が可能になっている。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】次に,本発明の実施形
態について図面を参照して詳細に説明する。図1は,本
発明の一実施形態の指紋画像照合装置の構成図である。
図2は,その装置の処理フローを示す。
【0026】本指紋画像照合装置は,入力指紋濃淡画像
格納部1と,入力指紋隆線画像生成部2と,入力指紋隆
線方向分布算出部3と,回転および平行移動成分決定部
4と,変換入力指紋隆線画像生成部5と,照合マニュー
シャ対決定部6と,受理/拒否判定部7と,登録指紋情
報格納部8とで構成されている。以下,各部の機能およ
び動作について具体的に説明する。
【0027】入力指紋濃淡画像格納部1は,光学方式や
静電容量方式等の公知の技術を用いた指紋入力センサか
ら入力される指紋濃淡画像を格納する。入力指紋濃淡画
像の画素数は,指紋入力センサの空間分解能およびサイ
ズに依存するが,例えば,500×500程度となる。
また,各画素の濃淡値は,例えば0〜255の整数値で
表現されて8ビット/画素で格納される。
【0028】入力指紋隆線画像生成部2は,入力指紋濃
淡画像に対して雑音除去や画像強調の処理を施して画質
を改善してから2値化処理を施して得られる指紋隆線に
ついて,指紋隆線部を構成する画素の値を1(黒画
素),指紋隆線の背景部を構成する画素の値を0(白画
素)とする2値の入力指紋隆線画像Fを生成する(図2
のステップS1)。すなわち,入力指紋隆線画像Fの各
画素は濃淡情報1ビットで表現され格納される。雑音除
去処理としては各種の平滑化フィルタやメディアン・フ
ィルタが良く用いられる。また画像強調処理としては濃
度値変換や濃度ヒストグラム平坦化の手法が用いられ
る。これらは濃淡画像処理に関わる公知の基本技術であ
り,例えば次の文献に記述されている。 〔参考文献2〕A.Rosenfeld and A.C.Kak, "Digital Pi
cture Processing," Second edition. San Diego, CA:
Academic Press, 1982, Chap.8。
【0029】また,前述した〔参考文献1〕の「A.K.Ja
in, R.Bolle, and S.Pankanti, "BIOMETRICS - Persona
l Identification in Networked Society," Norwell, M
A:Kluwer Academic Publishers, 1999, Chap.2」には,
指紋隆線方向に画像強調を行う適応型のフィルタリング
処理も紹介されている。2値化処理についても多くの従
来技術があるが,濃淡値の閾値判定に基づく2値化処理
では,画像全体に単一の閾値を適用するのでなく,局所
的に最適な閾値を選択する手法が良く用いられる。
【0030】2値化技術についての参考文献としては,
例えば次のものがある。 〔参考文献3〕O.D.Trier and A.K.Jain, "Goal-direct
ed evaluation of binarization methods," IEEE Tran
s. Pattern Anal. Machine Intell., vol.17, pp.1191-
1201, 1995 。
【0031】一方,登録指紋隆線画像Gについても同様
に予め生成しておき,登録指紋情報格納部8に格納して
おく。
【0032】入力指紋隆線方向分布算出部3は,前記入
力指紋隆線画像Fを所定数のブロックに分割し(ステッ
プS2),各ブロック毎に得られる入力指紋隆線方向分
布fを算出する(ステップS3)。ここで指紋隆線画像
は正方形として正方ブロックに分割するものとして所定
の分割ブロック数をN×Nとする。まず,各ブロック毎
に指紋隆線を構成する各黒画素における指紋隆線の方向
を量子化した方向コードを決定する。例えば,4方向に
量子化する場合,向きを区別せずに,各黒画素における
指紋隆線方向を水平,右45度,垂直,左45度のうち
最も近いものに分類する。
【0033】ここで方向コードを,図3に示すように,
それぞれH,R,V,Lと記す。同様に,22.5度単
位で量子化する場合は8方向コードを採用することとな
る。各黒画素における方向コードの決定には,公知の技
術として,該黒画素の局所近傍での固有ベクトル方向や
ハフ(Hough)変換,チェインコード化等により指紋隆線
方向を算出してから量子化する方法,黒画素を中心とす
る例えば2×2,3×3または5×5といった大きさの
マスクにおけるすべての黒画素の出現パタンに対する方
向コードを予め定めて,該マスクを用いた論理判定で決
定する方法などがあり,これらのどれを用いてもよい。
他に,各方向コードに対応する例えば3×3の重みマス
クで畳み込み演算をして最も出力の大きい方向コードに
決定する方法を用いることもできる。黒画素における方
向算出の従来技術については,例えば次の文献に記載さ
れている。 〔参考文献4〕R.O.Duda and P.E.Hart, "Pattern Clas
sification and Scene Analysis," New York, NY:John
Wiley & Sons, 1973, Chap.9。
【0034】次に,各ブロック毎に各方向コードの出現
頻度を計数して入力指紋隆線方向分布fを構成する。以
下,4方向コードH,R,V,Lを用いた場合について
説明する。第i(1≦i≦N×N)ブロックにおける各
方向コードの出現頻度を(n H i ,nR i ,nV i ,n
L i )と記すと,入力指紋隆線方向分布fは, f=(nH 1 ,nR 1 ,nV 1 ,nL 1 ,nH 2 ,nR 2 ,nV 2 ,nL 2 , ……,nH NxN ,nR NxN ,nV NxN ,nL NxN ) 〔式1〕 のように構成される4×N×N次元のベクトルで表現さ
れる。
【0035】同様に,登録指紋隆線画像Gについても,
第i(1≦i≦N×N)ブロックにおける各方向コード
の出現頻度を(mH i ,mR i ,mV i ,mL i )と記
すと,登録指紋隆線方向分布gは, g=(mH 1 ,mR 1 ,mV 1 ,mL 1 ,mH 2 ,mR 2 ,mV 2 ,mL 2 , ……,mH NxN ,mR NxN ,mV NxN ,mL NxN ) 〔式2〕 で構成され,予め登録指紋情報格納部8に格納してお
く。
【0036】ここで,入力指紋隆線画像Fに非線形歪み
や雑音重畳が含まれる場合に入力指紋隆線方向分布fを
安定に抽出するために,前記入力指紋隆線画像Fについ
て所定のブロック分割数N×Nを上回る分割における各
ブロックでの隆線方向分布を算出しておいてからガウス
型重み関数による畳み込み演算を施して所定のブロック
分割に対する入力指紋隆線方向分布fの算出を行う。
【0037】具体的には,入力指紋隆線画像Fを,例え
ば,(2N−1)×(2N−1)個のサブブロックに分
割し(図4のステップS11),各サブブロック毎に方
向コードの出現頻度を算出しておき(ステップS1
2),横および縦方向に奇数番目のサブブロック毎に当
該ブロックの一定近傍(例えば,5×5ブロックの範
囲)にあるブロック群について各方向コードの出現頻度
毎にガウス型重み関数による畳み込み演算を施して得ら
れるものを改めて当該ブロックにおける方向コードの出
現頻度とすれば,総数N×Nブロックについて各ブロッ
ク毎の方向コードの出現頻度が決定される(ステップS
13)。
【0038】前記処理を施すことにより,非線形歪みや
雑音重畳に耐性のある入力指紋隆線方向分布fが〔式
1〕により構成される。登録指紋隆線方向分布gも同様
に,前記処理を施して〔式2〕により構成して,予め登
録指紋情報格納部8に格納しておく。
【0039】この各ブロックにおける方向コードの出現
頻度の決定方法を,具体的な数値例でさらに詳しく説明
する。指紋画像のサイズは,例えば300×300画素
程度であると想定する。まず,指紋画像を17×17の
サブブロックに分割し,この各サブブロック内で前述し
た方向コードの分布を求める。次に,縦横に1つおきに
サブブロックを選択して,そのサブブロックの周りで方
向コード分布の畳み込み演算をして,最終的に9×9ブ
ロックでの平滑化した方向コード分布を求める。上記指
紋サイズの場合,他にも21×21のサブブロックに分
割して方向コード分布を求めた後,畳み込み演算によっ
て11×11ブロックの方向コード分布を求めるとか,
25×25のサブブロックをもとに13×13ブロック
の方向コード分布を求めるということも可能である。必
ずしも(2N−1)×(2N−1)のサブブロックから
N×Nブロックの方向コード分布を求める必要はない
が,実験ではこのようなブロック分割による方向コード
分布を決定した場合に,処理時間と認証精度について好
結果が得られた。
【0040】回転および平行移動成分決定部4は,入力
指紋隆線方向分布に施す最適な回転成分と平行移動成分
を,以下の処理により決定する(ステップS4)。ま
ず,前記入力指紋隆線方向分布fに一定許容範囲の回転
成分および平行移動成分を施して複数の変換入力指紋隆
線方向分布f* を生成する(図5のステップS21)。
生成した複数の変換入力指紋隆線方向分布f* と予め登
録指紋情報格納部8に格納されている登録指紋隆線方向
分布gとの間で指紋隆線方向分布間距離Dを算出し(ス
テップS22),前記指紋隆線方向分布間距離Dが最小
となる最も重なりの良い変換入力指紋隆線方向分布f*
を選択することにより入力指紋隆線方向分布fと登録指
紋隆線方向分布gの間の最適重ね合わせを実現する回転
成分および平行移動成分を決定する(ステップS2
3)。
【0041】回転成分については,指紋隆線方向分布を
算出する際に用いた方向の量子化の刻み,例えば,45
度や22.5度を単位にして一定許容範囲を指定する。
ここでは反時計回りを正方向として,45度を単位に−
K≦k≦+K(Kは正の整数)の範囲を許容することと
する。4方向コードH,R,V,Lを用いる4方向量子
化の場合,k単位(−K≦k≦+K)の回転を施すと,
第i(1≦i≦N×N)ブロックにおける各方向コード
の出現頻度(nH i ,nR i ,nV i ,nL i)は次式
に示すように循環的に変換される。ただし, mod[k,
4]は,整数kを4で割った余りを表す。
【0042】 mod[k,4]=0の場合,(nH i ,nR i ,nV i ,nL i ) mod[k,4]=1の場合,(nL i ,nH i ,nR i ,nV i ) mod[k,4]=2の場合,(nV i ,nL i ,nH i ,nR i ) mod[k,4]=3の場合,(nR i ,nV i ,nL i ,nH i )〔式3〕 上記回転成分により生成される変換入力指紋隆線方向分
布f* は,〔式3〕で変換された方向コードの出現頻度
を〔式1〕に従って並べたものとなる。一方,平行移動
成分については,N×Nブロック分割に対してブロック
単位の横および縦方向の移動成分を整数値の組(ΔH
ΔV )で表現して,−Δ≦ΔH ,ΔV ≦+Δ(Δは正の
整数)として一定許容範囲を指定することとする。前記
(ΔH ,ΔV )で指定される平行移動により生成される
変換入力指紋隆線方向分布f* は,〔式1〕のベクトル
表現において,初期値として4×N×N次元のすべての
要素を0に設定しておき,平行移動後に元のN×Nブロ
ックの枠内に残っているブロックについて入力指紋隆線
方向分布fの該当する各方向コードの出現頻度
(n H i ,nR i ,nV i ,nL i )を平行移動後の変
換入力指紋隆線方向分布f*のブロック位置に格納する
ことにより構成される。
【0043】以上から,一定許容範囲の回転成分および
平行移動成分を施して複数の変換入力指紋隆線方向分布
* を生成する際には,まず指定した回転成分により各
ブロックにおける方向コードの出現頻度を循環的に変換
して,次に指定した平行移動成分によるブロック単位の
平行移動に応じて移動先のブロック位置に該当する方向
コードの出現頻度を格納することにより,〔式1〕のベ
クトル表現に従った変換入力指紋隆線方向分布f* を構
成する。前記変換入力指紋隆線方向分布f* の総数は
(回転の自由度=2K+1)×(平行移動の場合の数=
(Δ+1)2 )となる。次に,前記複数の変換入力指紋
隆線方向分布f* の各々について予め登録指紋情報格納
部8に格納されている登録指紋隆線方向分布gとの間で
指紋隆線方向分布間距離Dを次式により算出する。
【0044】D=‖f* −g‖ 〔式4〕 ただし,‖・‖はベクトルのノルムを表し,例えばここ
では4×N×N次元のベクトルのユークリッドノルムを
用いることとすると,Dは次式で与えられる。
【0045】 D=‖f* −g‖ ={Σ[(nH i −mH i 2 +(nR i −mR i 2 + (nV i −mV i 2 +(nL i −mL i 2 ]]1/2 〔式5〕 ここでΣは,i=1,2,…,N×Nについての和を表
す。最後に,前記指紋隆線方向分布間距離Dが最小とな
る最も重なりの良い変換入力指紋隆線方向分布f* を選
択することにより,前記入力指紋隆線方向分布fと登録
指紋隆線方向分布gの間の最適重ね合わせを実現する回
転成分および平行移動成分が決定される。ここで,前記
決定された最適重ね合わせを実現する回転成分をk*
平行移動成分を(Δ* H ,Δ* V )と記す。
【0046】変換入力指紋隆線画像生成部5は,前記決
定された回転成分k* および平行移動成分(Δ* H ,Δ
* V )を入力指紋隆線画像Fに施して変換入力指紋隆線
画像F* の生成を行う(図2のステップS5)。その
際,回転成分k* および平行移動成分(Δ* H
Δ* V )は次式によりそれぞれ回転角θとX/Y移動量
(Δx,ΔY )に換算する。
【0047】 θ=45°×k* Δx =s×Δ* H および ΔY =s×Δ* V 〔式6〕 ただし,sは正方ブロックの一辺をなす画素数とする。
すなわち,1ブロックにはs×sの画素が含まれる。さ
て,変換入力指紋隆線画像F* の各画素の値は,公知の
技術である線形補間法等を用いて,入力指紋隆線画像F
に前記回転角θとX/Y移動量(Δx ,ΔY )で指定さ
れる幾何学的変換を施して得られる対応画素の値を代入
することにより決定される。線形補間法等のデジタル画
像の幾何学的変換を行う一般的な手法については,例え
ば前述した〔参考文献2〕の「A.Rosenfeld and A.C.Ka
k, "Digital Picture Processing," Second edition. S
an Diego, CA: Academic Press, 1982, Chap.9」に記載
されている。こうして位置合わせおよび回転補正が施さ
れた変換入力指紋隆線画像F* が生成される。
【0048】照合マニューシャ対決定部6は,変換入力
指紋隆線画像F* から変換入力マニューシャΨ* を抽出
して各マニューシャの位置および方向を算出し(ステッ
プS6),予め登録指紋情報格納部8に格納されている
登録マニューシャΨとの間で位置および方向の相違度が
一定閾値より小さい照合マニューシャ対の決定を行い,
その総数を算出する(ステップS7)。
【0049】マニューシャは,図6に示すような指紋隆
線の端点と分岐点である。このようなマニューシャの抽
出には,前記変換入力指紋隆線画像F* に公知の技術で
ある細線化処理を施して指紋隆線の線幅を1とする細線
化指紋隆線画像を生成し,前記細線化指紋隆線画像に対
して指紋隆線の端点と分岐点のそれぞれを判別する局所
マスクフィルタを施すことにより,まずマニューシャ候
補点を抽出する。ここで得られるマニューシャ候補点に
は雑音除去で取り切れない残留雑音や2値化・細線化処
理等に起因する擬似マニューシャが含まれることがあ
る。このため,経験的に定めた閾値を用いて,極端に短
い隆線に対応する端点マニューシャ候補点を棄却した
り,近接する端点マニューシャ候補点は掠れによるもの
として棄却したり,細線化処理で生じるヒゲによる分岐
点のマニューシャ候補点を棄却するなどの選択処理を施
して,真のマニューシャのみを抽出することが必要であ
る。
【0050】従来の細線化処理技術については,例えば
次の文献を参照されたい。 〔参考文献5〕L.Lam, S.-W.Lee, and C.Y.Suen, "Thin
ning methodologies−acomprehensive survey," IEEE T
rans. Pattern Anal. Machine Intell., vol.14, pp.86
9-885, 1992。
【0051】また,擬似マニューシャの棄却処理に関し
ては,次の文献に記載されているので,参考にされた
い。 〔参考文献6〕N.K.Ratha, S.Chen, and A.K.Jain, "Ad
aptive flow orientation-based feature extraction i
n fingerprint images," Pattern Recognition,vol.28,
pp.1657-1672, 1995。
【0052】さて,こうして抽出された前記変換入力指
紋隆線画像F* の変換入力マニューシャΨ* の各マニュ
ーシャについてX/Y位置座標値および方向角度を算出
する。変換入力マニューシャΨ* を構成するマニューシ
ャの総数をUとして,第p(1≦p≦U)マニューシャ
ψ* p のX/Y位置座標値および方向角度をそれぞれ
(X* p ,Y* p ),φ* p と記す。
【0053】一方,予め登録指紋情報格納部8に格納さ
れている登録マニューシャΨについては,マニューシャ
の総数をVとして,第q(1≦q≦V)マニューシャψ
q のX/Y位置座標値および方向角度をそれぞれ
(Xq ,Yq ),φq と記す。次に,前記変換入力マニ
ューシャΨ* と前記登録マニューシャΨの間で,すべて
のマニューシャ対(ψ* p ,ψq )(1≦p≦U,1≦
q≦V)について位置の相違度Dpq 1 および方向の相違
度Dpq 2 を,例えば,位置座標値や方向角度の差の絶対
値を評価して,次式により算出する。ただし,0°≦φ
* p ,φq <360°とする。
【0054】 Dpq 1 =|X* p −Xq |+|Y* p −Yq | Dpq 2 =min(|φ* p −φq |, 360°−|φ* p −φq |)〔式7〕 最後に,上記相違度Dpq 1 およびDpq 2 についてそれぞ
れ閾値Th1 ,Th2を設定してから,次式に示す Dpq 1 <Th1 かつ Dpq 2 <Th2 〔式8〕 の条件を満たす照合マニューシャ対(ψ* p ,ψq )を
選出することにより,位置および方向の相違度がともに
一定閾値より小さい照合マニューシャ対の決定を行う。
【0055】受理/拒否判定部7は,前記照合マニュー
シャ対の総数と予め定めた閾値との大小比較を行い(ス
テップS8),照合マニューシャ対の総数が予め定めた
閾値より大きい場合に同一指紋であるとの受理判定を行
う(ステップS9)。一方,前記照合マニューシャ対の
総数が前記閾値より小さい場合には同一指紋でないとの
拒否判定を行う(ステップS10)。
【0056】すなわち,前記照合マニューシャ対の総数
をW,該閾値をTh3 を記すと,次式の, W>Th3 〔式9〕 を満たす場合に受理,満たさない場合には拒否の判定を
出力して,動作を完了する。
【0057】登録指紋情報格納部8には,予め登録すべ
き指紋濃淡画像から生成された登録指紋隆線画像G,登
録指紋隆線方向分布g,ならびに登録マニューシャΨを
格納する。
【0058】図7〜図13に,本発明による指紋画像照
合操作の具体例を示す。図7は,入力指紋濃淡画像,図
8は,2値化した入力指紋隆線画像,図9は,登録指紋
隆線画像を示す。図8および図9では指紋隆線部分を灰
色または白,背景部分を黒で表している。図10は,入
力指紋隆線画像と登録指紋隆線画像を重ね合わせた画像
を示し,前者を灰色で後者を白で表す。図11は,位置
合わせおよび回転補正を施した結果の変換入力指紋隆線
画像を示す。図12は,変換入力指紋隆線画像と登録指
紋隆線画像を重ね合わせた画像を示し,前者を灰色で後
者を白で表す。図13に,変換入力指紋隆線画像と登録
指紋隆線画像およびマニューシャを重ね合わせた画像を
示す。ただし,変換入力マニューシャを四角,登録マニ
ューシャを二重の四角で表す。
【0059】図10と図12とを比較すると,本発明に
よる位置合わせおよび回転補正が高精度に動作している
ことが分かる。さらに照合操作の最終結果を示す図13
において,変換入力マニューシャと登録マニューシャの
間で照合マニューシャ対を決定すると,照合マニューシ
ャ対の総数は20であった。因みに,登録マニューシャ
についてのマニューシャの総数は46であった。本例で
の前記照合マニューシャ対の総数20は充分大きく,同
一指紋であると正しく判定された。この図のように入力
指紋濃淡画像に位置ずれや非線形歪み,雑音除去で取り
切れない残留雑音が含まれる場合も,上記位置合わせお
よび回転補正とマニューシャマッチングの組合せにより
高精度な指紋画像照合が実現されていることがわかる。
【0060】
【発明の効果】以上詳細に説明したように,本発明によ
れば,指紋照合技術において,まず入力指紋隆線画像を
ブロック分割して各ブロック毎に得られる入力指紋隆線
方向分布と予め格納されている登録指紋隆線方向分布と
の間で最適重ね合わせを実現する回転および平行移動成
分を決定し,次いで前記回転成分および平行移動成分を
入力指紋隆線画像に施して生成した変換入力指紋隆線画
像と予め格納されている登録指紋隆線画像との間でマニ
ューシャの対応付けを行うことにより,高精度な位置合
わせおよび回転補正の下で非線形歪みへの耐性を備えた
マニューシャマッチング本来の高い識別能力を実現する
ことが可能である。特に,ブロック分割に基づく指紋隆
線方向分布間で最適重ね合わせを決定することにより,
少ない処理量で雑音耐性を備えた高精度な位置合わせお
よび回転補正が実現できる。
【0061】このように,本発明は,雑音耐性を備えた
相関マッチング型のアプローチによる位置合わせおよび
回転補正と,非線形歪みへの耐性に富むマニューシャマ
ッチング型のアプローチを融合することにより,高精度
な指紋画像照合の技術を実用的な処理量で提供してい
る。このため,実用条件下での雑音重畳や非線形歪みを
含む低品質の指紋画像に対して高精度な認証精度が要請
される場合に大きな効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の指紋画像照合装置の構成
図である。
【図2】図1に示す装置の処理フローを示す図である。
【図3】指紋隆線の4方向量子化の説明図である。
【図4】方向分布の算出処理フローを示す図である。
【図5】回転および平行移動成分決定処理フローを示す
図である。
【図6】指紋隆線の端点と分岐点であるマニューシャの
説明図である。
【図7】指紋画像照合操作を説明するための入力指紋濃
淡画像を示す図である。
【図8】指紋画像照合操作を説明するための2値化した
入力指紋隆線画像を示す図である。
【図9】指紋画像照合操作を説明するための登録指紋隆
線画像を示す図である。
【図10】指紋画像照合操作を説明するための入力指紋
隆線画像と登録指紋隆線画像を重ね合わせた画像を示す
図である。
【図11】指紋画像照合操作を説明するための位置合わ
せおよび回転補正を施した結果の変換入力指紋隆線画像
を示す図である。
【図12】指紋画像照合操作を説明するための変換入力
指紋隆線画像と登録指紋隆線画像を重ね合わせた画像を
示す図である。
【図13】指紋画像照合操作を説明するための変換入力
指紋隆線画像と登録指紋隆線画像およびマニューシャを
重ね合わせた画像を示す図である。
【符号の説明】
1 入力指紋濃淡画像格納部 2 入力指紋隆線画像生成部 3 入力指紋隆線方向分布算出部 4 回転および平行移動成分決定部 5 変換入力指紋隆線画像生成部 6 照合マニューシャ対決定部 7 受理/拒否判定部 8 登録指紋情報格納部
フロントページの続き (72)発明者 角越 和也 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 伴野 明 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 Fターム(参考) 5B043 AA09 BA02 CA02 EA08 EA09 EA12 EA15 GA02 GA03 GA04 GA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力指紋画像から入力指紋隆線画像を生
    成し,生成した入力指紋隆線画像をブロックに分割し,
    前記各ブロック毎に入力指紋隆線方向分布を算出し,予
    め登録された各ブロック毎の登録指紋隆線方向分布と前
    記入力指紋隆線方向分布との間で最適重ね合わせを実現
    する入力指紋の回転成分および平行移動成分を決定し,
    前記入力指紋隆線画像を前記回転成分および前記平行移
    動成分に従って変換した変換入力指紋隆線画像と登録指
    紋隆線画像とで各々対応する指紋隆線の特徴点の位置お
    よび方向で示される相違度を算出し,前記相違度が予め
    定められた第1の閾値より小さい照合特徴点対の総数を
    算出し,前記照合特徴点対の総数が予め定められた第2
    の閾値より大きい場合,前記入力指紋は前記登録指紋と
    同一指紋であると判定し,前記照合特徴点対の総数が予
    め定められた第2の閾値より小さい場合,前記入力指紋
    は前記登録指紋と同一指紋でないと判定することを特徴
    とする指紋画像照合方法。
  2. 【請求項2】 前記入力指紋隆線方向分布として,前記
    入力指紋隆線画像を構成する各ブロックに含まれる隆線
    方向を量子化して方向コードを決定し,前記各ブロック
    毎に前記各方向コードの頻度を算出した情報を用い,前
    記登録指紋隆線方向分布として,予め同様に各ブロック
    毎に前記各方向コードの頻度を算出して登録した情報を
    用いることを特徴とする請求項1記載の指紋画像照合方
    法。
  3. 【請求項3】 前記入力指紋隆線方向分布もしくは前記
    登録指紋隆線方向分布の算出では,各々,前記ブロック
    よりも分割数の大きいサブブロックでの入力指紋隆線方
    向分布もしくは登録指紋隆線方向分布を算出し,算出し
    た前記サブブロックでの入力指紋隆線方向分布もしくは
    登録指紋隆線方向分布に所定の重み関数による畳み込み
    演算を施して,所定のブロック分割に対する入力指紋隆
    線方向分布もしくは登録指紋隆線方向分布を算出するこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載の指紋画像
    照合方法。
  4. 【請求項4】 前記入力指紋の回転成分および平行移動
    成分の決定では,所定の許容範囲内の回転成分と平行移
    動成分に従って前記入力指紋隆線方向成分を変換した複
    数の変換入力指紋隆線方向分布を算出し,前記変換入力
    指紋隆線方向分布と前記登録指紋隆線方向分布との指紋
    隆線方向分布間距離を算出し,前記指紋隆線方向分布間
    距離が最小となる変換入力指紋隆線方向分布に対応する
    回転成分および平行移動成分を,最適重ね合わせを実現
    する回転成分および平行移動成分と決定することを特徴
    とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載
    の指紋画像照合方法。
  5. 【請求項5】 入力指紋画像から入力指紋隆線画像を生
    成する入力指紋隆線画像生成手段と,生成した入力指紋
    隆線画像をブロックに分割し,分割された各ブロック毎
    に入力指紋隆線方向分布を算出する入力指紋隆線方向分
    布算出手段と,予め登録された各ブロック毎の登録指紋
    隆線方向分布と前記入力指紋隆線方向分布との間で最適
    重ね合わせを実現する入力指紋の回転成分および平行移
    動成分を決定する回転および平行移動成分決定手段と,
    前記入力指紋隆線画像を前記回転成分および前記平行移
    動成分に従って変換した変換入力指紋隆線画像を生成す
    る変換入力指紋隆線画像生成手段と,生成した変換入力
    指紋隆線画像と前記登録指紋隆線画像とで各々対応する
    指紋隆線の特徴点の位置および方向で示される相違度を
    算出し,前記相違度が予め定められた第1の閾値より小
    さい照合特徴点対の総数を算出する照合特徴点対決定手
    段と,前記照合特徴点対の総数が予め定められた第2の
    閾値より大きい場合,前記入力指紋は前記登録指紋と同
    一指紋であると判定し,前記照合特徴点対の総数が予め
    定められた第2の閾値より小さい場合,前記入力指紋は
    前記登録指紋と同一指紋でないと判定する受理/拒否判
    定手段とを備えることを特徴とする指紋画像照合装置。
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