JP2001239608A - 積層被膜およびその被覆摺動部品 - Google Patents
積層被膜およびその被覆摺動部品Info
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Abstract
耐摩耗性を大きく損なうことなく摩擦係数の低減を図
り、摺動性を向上させた被膜とその被覆部品を提供す
る。 【解決手段】 周期律表IVa、Va、VIa族金属元
素から選択される1種以上の元素の窒化物、炭窒化物、
および炭化物のうち少なくとも1種からなる化合物層
と、Al、Zn、W、Fe、Moから選択される1種以
上を含む金属層を交互に積層する。
Description
品など耐摩耗性とともに、低摩擦係数が要求される被
膜、及び部品に適用される。
機械などの摺動部に利用される部品に、その摺動性を高
めるための表面処理が施されてきた。摺動性は、耐摩耗
性、耐焼き付き性、摩擦係数によって決定される。これ
ら性質を向上するために、部材表面を窒化処理、メッキ
処理、溶射処理、物理的蒸着法によって改質または被覆
することが試みられてきた。特に、ドライプロセスによ
る表面被覆は、優れた摺動性を示すということが、特開
昭57−57868号公報、特開昭62−120471
号公報により知られている。しかし、現在、摺動部材の
使用条件がさらに過酷になっており、ドライプロセスに
よる表面被覆をさらに強化することが必要となってい
る。
による耐摩耗性被膜を摺動部品に用いた例として、ピス
トンリングの耐摩耗性向上を目的として被膜の配向性を
決定した特開平6−248425号公報、特開平6−2
93954号公報がある。
に対して同様な試みがなされており、例えば、特開平9
−291353号公報、特開平10−330914号公
報、特開平10−317123号公報、特開平10−7
6407号公報、特開平9−323205号公報、特開
平9−125230号公報、特開平5−295517号
公報がある。しかし、摩擦係数については、更なる低減
が望まれている。
との密着力を高めることを考えて特開平6−26421
4号公報、特開平7−18414号公報、特開平9−2
41825号公報には、金属とセラミックの複合層をセ
ラミック層と基材との中間層として用いた例がある。し
かし、これらも耐摩耗性の向上には効果が期待される
が、摩擦係数を低減するものではない。
て、特開平5−78821号公報、特開平11−809
33号公報、特開平11−100656号公報、特開平
10−158818号公報、特開平10−130820
号公報、特開平10−176260号公報、特開平10
−121226号公報では、セラミックの中に第3元素
を添加しているが、耐摩耗性の向上を目的としたもので
あり摩擦係数を低減する目的ではない。
て、特開平2−173265号公報、特開平2−173
266号公報、特開平2−173267号公報、特開平
5−78821号公報では、金属を主成分とした被膜に
セラミックを複合させたものがあるが、これらも摩擦係
数を低減させるためのものではない。
において、セラミック被膜の耐摩耗性を大きく損なうこ
となく摩擦係数の低減を図り、摺動性を向上させた被膜
とその被覆部品を提供することにある。
ために以下の手段を用いる。すなわち、周期律表IV
a、Va、VIa族金属元素から選択される1種以上の
元素の窒化物、炭窒化物、および炭化物のうち少なくと
も1種からなる化合物層と、Al、Zn、W、Fe、M
oから選択される1種以上を含む金属層を交互に積層し
た被膜を所定の部品上に形成する。
摩擦係数の低減機構は次のように説明できる。潤滑油下
の摩擦力は、(1)のように固体−固体の接触で発生す
る摩擦力と潤滑油同士を引き離すのに必要なせん断力の
和で決定される。 F=A{αSm+(1−α)Sl} (1) ここでFは摩擦力、Aは荷重、αは摺動面のうち固体−
固体接触の割合、Smは固体−固体接触の摩擦係数、Sl
は潤滑油同士の摩擦係数である。従って、潤滑油下の摩
擦係数を低減させるためには、第1の方法は固体−固体
の摩擦係数を減らすことであり、第2の方法は固体−固
体接触の割合を減らす、すなわち潤滑油での潤滑割合を
増やすこと、である。
と、摺動時の摩耗及び、表面の凹凸による積層構造のう
ねりによって、図1の様に摺動面に金属層の部分と化合
物層のの部分が存在することになる。摺動面に表れた金
属自体が自己潤滑作用によって第1の方法、すなわち固
体−固体の摩擦係数を減らすという効果を発揮すること
や、または潤滑油中に含まれる摩擦調整剤や極圧剤など
の添加剤と金属が反応することで硫化物などの潤滑物質
が生成され第1の方法の効果を発揮し、潤滑油下の摩擦
係数が低減する。あるいは金属と極圧剤が反応しない場
合でも、摺動表面に対する摩擦調整剤の吸着量が多くな
り、強固な油膜が形成されることで第2の方法、すなわ
ち固体−固体接触の割合を減らすという効果が発揮さ
れ、潤滑油下の摩擦係数が低減する。
層を積層することで摩擦係数が低減されるが、金属層の
それぞれ1層の厚さが0.2nm以上、150nm以下
の方が摩擦係数低減にはより望ましい。金属層の1層の
厚さが150nmより大きい場合、金属の摺動特性とな
ってしまい、摩耗量が多くなることがある。また、金属
層の厚さが、0.2nmより小さいと、積層構造を維持
できなくなることが多い。これら金属層の厚さは、小角
散乱X線回折で観察される金属層と化合物層の積層周期
依存のピークと金属層を構成している金属元素の存在す
る比率から算出してもよいし、透過型電子顕微鏡による
断面観察で観察し、金属層の厚さを10点測定した平均
値でもよい。
合物層の配向性が、X線回折による(111)面に起因
するピークの積分強度と、(200)面に起因するピー
クの積分強度比I(111)/I(200)が、3以上
10以下であることがより有効である。I(111)/
I(200)が3より小さいと摩耗量が大きくなること
がある。また、I(111)/I(200)が10より
大きい被膜を形成することは困難である。この様な化合
物層は耐摩耗性が高く、金属層と積層することで、より
摩擦係数を低減することができる。
0.1原子%以上50原子%以下である方が耐摩耗性は
より優れている。積層被膜中の金属層の原子の割合が5
0原子%以上になると、被膜全体に対する金属の割合が
多すぎて、積層被膜の硬度の低下を引き起こし、摺動時
の摩耗が大きくなる傾向がある。また、積層被膜中の金
属層の原子の割合が0.1原子%以下では積層被膜とし
て摩擦係数を低減する効果が得られにくい。
を発揮する。以下の実施例では、基材は、平板の片面を
鏡面仕上げした鉄系合金、超硬合金、Al合金を用いた
が、特にこれらに限定されるものでもなく、セラミック
焼結体などでも効果が発揮されると期待される。
油、ギヤ油、タービン油、航空潤滑油、等いかなる潤滑
油でもよく、あるいは各種グリースなどでも本発明によ
る積層被膜において摩擦係数の低減効果が得られる。
例により説明する。
びアセトンで超音波洗浄をした。被膜の形成には、図2
に示す真空アーク放電蒸着装置(装置1)、図3に示す
スパッタリング装置(装置2)、および真空アーク放電
蒸着法とスパッタリング法を複合した図4に示す装置
(装置3)、図5に示すイオンプレーティング装置(装
置4)を使用した。基材を洗浄後、装置1〜4のそれぞ
れの真空槽の中に基材を入れ、槽内の真空排気を行っ
た。基板に−500Vから−1500V程度の電圧を印
加し、アルゴンガスを導入することでArイオンによる
基材表面のクリーニングを行った。
化合物粒と金属粒との複合にあたっては、雰囲気ガスを
ArとN2、CH4、またはC2H2として、ArとN2、
CH4,またはC2H2の分圧を制御しながら、2つの蒸
発源の間で基材を回転させること、または電子ビーム照
射位置を移動させてるつぼからの蒸発物質を変化させる
ことにより、積層被膜を形成した。基板の回転速度を大
きすぎないように、あるいは電子ビームのそれぞれの蒸
発源への1回あたりの照射時間が短すぎないようにする
ことにより、被膜が化合物粒と金属粒の粒状構造となら
ないようにして、化合物層、金属層の積層構造の被膜を
得るようにした。すなわち金属層と化合物層の積層構造
とするために、金属層、化合物層それぞれの成膜におい
て、金属、化合物が島状に析出せずに膜構造となるよう
にそれぞれの成膜時間を十分にとった。
線とした回折であり、化合物のピークから積分強度比I
(111)/I(200)比を求め、金属層の厚さは小
角散乱X線回折により求めた。被膜の組成は、EPMA
分析(電子プローブ微小部分分析)、XPS分析(X線
光電子分光分析)により求めた。EPMA分析により積
層被膜中の元素の割合を求めることができる。同一元素
が化合物層と金属層の両方に存在する場合は、XPS分
析によりその元素の結合状態、すなわちその元素の金属
または化合物ととしての存在状態によって、ピーク位置
が異なるために、各ピークの積分強度の比率によって金
属層中と化合物層中に存在する比率を求めることができ
る。図6に示すように津谷式トライボメーターによって
被膜の耐摩耗性、摩擦係数を評価した。相手材は、直径
20mmのSUS304円柱片として、回転速度1m/
s、荷重490N、総滑り距離3600mとして、室
温、エンジンオイル中で試験した。
で評価した後の摩耗痕の断面を表面粗さ計で測定して幾
何学的に求めた断面積を、比較例1の摩耗痕の断面積を
1としたときの値である。
ング試験において、実施例2、4、11の被膜をシム面
に形成して試験したところ、比較例1に比較して、2〜
3割のトルク低減が確認された。
ことなく低い摩擦係数を示す被膜を提供することがで
き、内燃機関、各種機械の摩擦損失を低減することがで
きる。
合した装置の概略図である。
係数を評価する装置の概略図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 周期律表IVa、Va、VIa族金属元
素から選択される1種以上の元素の窒化物、炭窒化物、
および炭化物のうち少なくとも1種からなる化合物層
と、Al、Zn、W、Fe、Moから選択される1種以
上の元素を含む金属層を交互に積層することを特徴とす
る積層被膜。 - 【請求項2】 前記金属層の1層の厚さが0.2nm以
上150nm以下であることを特徴とする請求項1に記
載の被膜。 - 【請求項3】 前記化合物層の(111)面および(2
00)面のX線回折ピークの積分強度の比I(111)
/I(200)が3以上10以下であることを特徴とす
る請求項1、請求項2のいずれかに記載の積層被膜。 - 【請求項4】 積層被膜中の前記金属層を構成する元素
は0.1原子%以上50原子%以下であることを特徴と
する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の積層被膜。 - 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
積層被膜が基材の表面の少なくとも一部に被覆された潤
滑油中の摺動部に使用される被覆摺動部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000051584A JP2001239608A (ja) | 2000-02-28 | 2000-02-28 | 積層被膜およびその被覆摺動部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000051584A JP2001239608A (ja) | 2000-02-28 | 2000-02-28 | 積層被膜およびその被覆摺動部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001239608A true JP2001239608A (ja) | 2001-09-04 |
Family
ID=18573215
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000051584A Pending JP2001239608A (ja) | 2000-02-28 | 2000-02-28 | 積層被膜およびその被覆摺動部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001239608A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010285653A (ja) * | 2009-06-11 | 2010-12-24 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | 構造部材およびその製造方法 |
JP2012523500A (ja) * | 2009-04-07 | 2012-10-04 | ナショナル・マテリアル・エルピー | 耐久性を有し変色しにくい多層セラミックコーティングを有するプレーンな銅製のフードウェアおよび金属製物品およびその製造方法 |
JP2013513027A (ja) * | 2009-12-06 | 2013-04-18 | イスカーリミテッド | 被覆物品および被覆物品を作るための方法 |
-
2000
- 2000-02-28 JP JP2000051584A patent/JP2001239608A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012523500A (ja) * | 2009-04-07 | 2012-10-04 | ナショナル・マテリアル・エルピー | 耐久性を有し変色しにくい多層セラミックコーティングを有するプレーンな銅製のフードウェアおよび金属製物品およびその製造方法 |
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090529 |
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A521 | Written amendment |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090908 |