JP2001228145A - ドコサヘキサエン酸欠乏の検査薬 - Google Patents

ドコサヘキサエン酸欠乏の検査薬

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JP2001228145A
JP2001228145A JP2000360543A JP2000360543A JP2001228145A JP 2001228145 A JP2001228145 A JP 2001228145A JP 2000360543 A JP2000360543 A JP 2000360543A JP 2000360543 A JP2000360543 A JP 2000360543A JP 2001228145 A JP2001228145 A JP 2001228145A
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dha
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acid
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JP2000360543A
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Kazuo Watabe
和郎 渡部
Kazuyoshi Yazawa
一良 矢澤
Susumu Ando
進 安藤
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TOKYOTO ROJIN SOGO KENKYUSHO
Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
TOKYOTO ROJIN SOGO KENKYUSHO
Sagami Chemical Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便かつ迅速に被験者の苦痛を伴わずに行な
えるDHA欠乏の検査薬を提供することにある。 【解決手段】 13C標識DHA又はそのエステル体を含
有する、DHA欠乏の検査薬。 【効果】 安全な安定同位体で標識されたDHAを用い
ることにより、健康の維持に必要なDHAが現在及び近
い将来も充足しているか、不足する可能性があるかなど
を簡便かつ迅速に調べることができる検査薬が提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は13C標識ドコサヘキ
サエン酸又はそのエステル体を用いたドコサヘキサエン
酸欠乏の検査薬に関する。
【0002】
【従来の技術】生体内におけるドコサヘキサエン酸(以
下DHAと称する。)の作用機作はほとんど知られてい
ないが、そのレベルの低下は健康な状態からはずれてい
くと考えられている。ヒトの場合、α−リノレン酸を基
質としたDHAの生合成酵素活性が低いので、生体内に
おけるDHAレベルは食事由来のDHAの吸収とリン脂
質への取り込み及びDHAの分解のバランスによって決
まる。食事脂質は十二指腸で消化され、小腸で吸収され
る。この吸収効率に脂肪酸選択性はないとされている。
しかし、リン脂質への取り込みに関与するアシルキャリ
アプロティンには基質特異性が知られている。また、D
HAはペルオキシソームで1段階のβ酸化を受けた後、
再び鎖長延長と不飽和化からなる合成経路にはいる。こ
のβ酸化分解が1段階で留まらず、炭素鎖長が更に短く
なるとミトコンドリアに運ばれてアセチル−CoAまで
β酸化を受け、結果的に生体内でのDHAレベルが低下
すると考えられている。すなわち、DHAの代謝過程で
はβ酸化分解による減成反応が重要な過程の一つであ
る。長鎖の高度不飽和脂肪酸はDHAと同じようにペル
オキシソームでβ酸化を受ける。一方、パルミチン酸は
ペルオキシソームを経由せずにミトコンドリアでβ酸化
を受ける。
【0003】このDHAの減少は、血漿脂質や目的とす
る臓器の脂肪酸組成を分析すれば検出できるが、分析操
作は煩雑で長時間を要し、被験者の苦痛を伴う。
【0004】一方、標識した脂肪酸の代謝実験も行なわ
れている。例えば、放射性同位体14Cで標識された炭素
鎖長が12から18までの飽和酸、モノエン酸、及びリ
ノール酸、リノレン酸、アラキドン酸をラットに経口投
与し、これらの脂肪酸の酸化によって生成する呼気中の
14C標識炭酸ガス(以下14CO2という。)の放射能が
測定された。その結果、酸化速度は炭素鎖長の短い飽和
酸が最も速く、リノール酸は、オレイン酸やステアリン
酸よりも遅く、アラキドン酸が最も遅かった。すなわ
ち、酸化速度は脂肪酸の種類によって異なることが知ら
れている。しかし、DHAについては報告がない。ま
た、安定同位体13Cで標識された脂肪及びパルミチン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸からなる脂肪
酸混合物をラットやヒトに経口投与して、呼気中の13
標識炭酸ガス(以下13CO2という。)量が測定され
た。その結果、消化機能に関する疾患の診断に利用でき
ることがわかっているにすぎない。このように、標識し
た脂肪酸の代謝実験は一部行われているものの、DHA
については全く知られておらず、またこの方法を脂肪酸
の欠乏を検査する手段として用いた例も知られていな
い。
【0005】現在のところ、標識DHAは放射性同位体
14Cでカルボニル炭素が標識された[1-14C]DHAが市
販されているが、その利用においては、特別の施設が必
要になる他、ペルオキシソームにおける最初のβ酸化に
よって標識されたカルボニル炭素が脱離するので、その
後の代謝を追跡できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡便かつ迅
速に被験者の苦痛を伴わずに検査を行うことを可能にす
る、安定同位体で標識されたDHA又はそのエステル体
用いるDHA欠乏の検査薬を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は呼気中の13
CO2/(12CO2 13CO2)の比(以下13CO2比とい
う)を1分以下の短い時間間隔で測定しながら13C標識
DHAをDHA欠乏モデルラットに投与して、呼気中の
13CO2比の変化量及びそれから算出される13CO2の回
収率をコントロールラットと比較した。同じラットに13
C標識パルミチン酸を投与して同様に呼気中の13CO2
比と回収率を測定しDHAとの違いを比較した。その結
果、13C標識DHAを投与した場合は、DHA欠乏群の
13CO 2比の増加速度とその排出量は、コントロール群
よりも有意に低いが、13C標識パルミチン酸の場合はこ
れらの値について両者に差がないことを見い出した。特
に、13CO2比の増加速度は標識脂肪酸投与後極めて短
時間に判定可能であることがわかり、本発明を完成させ
るに至った。
【0008】即ち、本発明は13C標識ドコサヘキサエン
酸又はそのエステル体を含有するドコサヘキサエン酸欠
乏を簡便かつ迅速に診断する検査薬に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いる13C標識DHAと
しては、呼気中の13CO2を定量的に測定できるように
標識されていればよい。また、比較の対象として用いる
13C標識脂肪酸は、炭素鎖長が12から18までの飽和
酸或いはモノエン酸を用いることができるが、ミトコン
ドリアβ酸化の基質として最も利用され易いパルミチン
酸が好ましい。
【0010】本発明の検査薬を用いた検査方法におい
て、投与した13C標識DHA及び13C標識パルミチン酸
の測定の対象とする代謝産物としては、各々のレトロコ
ンバージョンによって生成する脂肪酸など、代謝産物な
らいかなるものもよいが、測定が容易な点で、呼気中の
CO2が好ましい。測定時間は10分以下、更に1分以
下、の短い時間間隔で連続的に測定するのが好ましい。
【0011】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。ただし、本発明はそれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0012】
【実施例】
【0013】実施例1 吸気口と質量分析器への排気口を備えた内容量約2Lの
プラスチックケージに検体のマウス(約12時間絶食)を
入れ、ケージと質量分析計の途中に備えたポンプで、マ
ウス(メス、30週齢)の呼気中のCO2が約1%になる
ように外気を吸入し、13CO2比が約1.1%になるよ
うに検出器を調整した。次にマウスを取りだし、尾静脈
に標識DHA(13C:99%;DHA 100%)又は標識
脂肪酸[13C:99%;16:0 75%,15:0 13
%,18:1 (n−9)5%]を吸着させたアルブミン
/生理食塩水を投与し、すぐにケージに戻して13CO2
比及び測定気体総流量などを測定した。13CO2比は3
0秒間隔で測定され、5分間の平均値で表示された。13
CO2比が最も高くなった40分間に排出された13CO2
の量を、気体総流量と13CO2比から算出した。次に、
投与した脂肪酸がすべて酸化された場合を100として
実測された13CO2の割合を算出して表1に示した。
【0014】 表1 マウスに投与した13C標識脂肪酸と排出された13CO2の回収率 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ マウス 実体重 投与した13C標識脂肪酸 13CO2 回収率 (g) とその量 (%) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.1 30.5 DHA 0.2 μmol 20 No.2 30.1 脂肪酸* 0.2 μmol* 70* ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *脂肪酸投与量、13CO2回収率:脂肪酸組成はパルミチン酸が75%であるので 、パルミチン酸の分子量で算出した。
【0015】標識脂肪酸の主要な脂肪酸はパルミチン酸
であるので、この実験はDHAとパルミチン酸の比較と
考えられる。標識DHAを投与した場合マウスが排出し
13CO2量は、標識パルミチン酸を投与した場合より
も明らかに少なかった。
【0016】実施例2 低エネルギー食で飼育したDHA欠乏ラット[基礎老化
研究、22(1),41(1998)]とコントロールラットを各々4
匹づつ用意した。両群ともフイッシヤー系ラット(オス)
で18週齢である。ラットにネンブタールを腹腔内投与
し、麻酔が効き初めてからすぐに手術用のベットに固定
した。吸気口と排気口を備えたラットの頭部を覆うマス
クを、検体のラットに装着させ、ポンプで呼気中のCO
2が1%になるように外気を吸入し、標準ガスを用いて
検出器を調節し、13CO2比を30秒間隔で測定を始め
た。1 3CO2比のバックグラウンドが安定した後、13
2比及び測定気体総流量などの測定を継続しながら、
頸部を切開して頸静脈から標識DHA(13C:99%;D
HA 100%)又は標識パルミチン酸[13C:99%;
16:0 98%,18:1(n−9)2%]を吸着させ
たアルブミン/生理食塩水を投与した。切開部は瞬間接
着剤で閉じた。コントロール群、DHA欠乏群のラット
の体重及び投与した標識脂肪酸量を表2に示した。コン
トロール群、DHA欠乏群とも標識脂肪酸投与後の呼気
中の13CO2比の増加速度を一次式、Y=aX+b、で
近似し、傾き「a」を増加速度(%/min)として表3
に示した。標識DHAを投与した場合、DHA欠乏群は
コントロール群よりも有意に低い値であったが、標識パ
ルミチン酸を投与した場合は両者に差はなかった。この
13CO2比の増加速度は標識脂肪酸投与後ほぼ5分以内
に判定できる。コントロール群、DHA欠乏群とも投与
した標識脂肪酸がすべて酸化された場合を100として
投与後1時間に実測された13CO2の割合を表3に示し
た。標識DHAを投与した場合、DHA欠乏群はコント
ロール群よりも有意に低い値であったが、標識パルミチ
ン酸を投与した場合は両者に差はなかった。本実験で
は、DHA欠乏群のパルミチン酸の代謝では異常が見ら
れなかったが、DHAの代謝では明らかにコントロール
群からはずれており、DHAの代謝異常の検査に適用で
きることがわかった。
【0017】 表2 供試ラットの体重と13C標識脂肪酸投与群 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コントロール群 DHA欠乏群 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ラット体重(g) 310.5±10.6 303.0±4.1 208.7±5.3 186.0±12.8 標識脂肪酸 DHA* PA+ DHA* PA+ 投与量(μmol) 4.80±0.44 1.44±0.02 3.35±0.01 0.91±0.08 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━* ドコサヘキサエン酸 + パルミチン酸
【0018】
【0019】実施例3 ウイスター系ラット(オス)を用い、実施例2と同様に13
CO2比を測定しながら標識DHA(13C:99%;DHA
100%)又は標識パルミチン酸[13C:99%;1
6:0 98%,18:1(n−9)2%]を頸静脈から
投与した。13CO 2比が上昇し、最高値に達した後2〜
3分間測定を続け、更に同じ標識脂肪酸を投与した。こ
の投与は同様にもう一度繰り返した。一回の投与量は実
施例2の50〜60%であった。標識脂肪酸の投与後に
13CO2比が最高値を示した2分間の13CO2排出量を投
与量に対して図1にプロットした。投与2回目と3回目
は、脂肪酸投与量と13CO2排出量とも積算値を用い
た。測定範囲内で、脂肪酸投与量と13CO2排出量の間
には直線性が認められた。実施例2の投与量もこの範囲
に入っていた。
【0020】
【発明の効果】安全な安定同位体で標識されたDHAを
用いることにより、健康の維持に必要なDHAが現在充
足しているか、近い将来不足する可能性があるかなどを
簡便かつ迅速に調べることができる検査薬が提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラットの実体重当りの13C標識脂肪酸の投与
量と13CO2の排出量

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安定同位体13Cで標識されたドコサヘキ
    サエン酸又はそのエステル体を含有する、ドコサヘキサ
    エン酸欠乏の検査薬
  2. 【請求項2】 比較薬としての炭素鎖長12から18ま
    での飽和酸若しくはモノエン酸の何れか1つを含有する
    検査薬と請求項1に記載の検査薬とからなる、ドコサヘ
    キサエン酸欠乏の検査キット
  3. 【請求項3】 呼気中に排出される炭酸ガス中の13Cの
    割合を10分以下の短い時間間隔で連続的に測定する方
    法に用いるものである、請求項1又は請求項2に記載の
    検査薬
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006020575A (ja) * 2004-07-08 2006-01-26 Taiyo Nippon Sanso Corp Rna安定化剤ならびにこのrna安定化剤を用いたrna安定化方法および複合体安定化方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006020575A (ja) * 2004-07-08 2006-01-26 Taiyo Nippon Sanso Corp Rna安定化剤ならびにこのrna安定化剤を用いたrna安定化方法および複合体安定化方法
JP4733936B2 (ja) * 2004-07-08 2011-07-27 大陽日酸株式会社 Rna追跡方法

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